コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 30at GAL
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 30 - 暇つぶし2ch750:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:35:14 Wc9/WVOG BE:946833293-2BP(0)
わからない。
けれど、グロースターより性能で劣る無頼4機と僕の機体で、ラウンズの航空部隊を相手にしなければならない現状は変わらない。
僕は急いで急降下し、ベースに戻ってからラクシャータさんに先ほど考えた事を伝えた。 けれど、彼女はそんなに焦る訳でもなく、むしろのりのりといった感じだ。自分が作った機体をそこまで買ってくれた事が嬉しくて仕方ないように思えた。
「大丈夫よ~あんたとその子があれば~。ゲフィオンネットも搭載済みだし。
それに、最後に実験するつもりだったのは輻射波動砲弾っていってハドロン砲を輻射波動で再現したようなものなの。
一番負担のかかる拡散型の輻射波動ですら予想を下回る負担しかかからなかったんだから、出力は少し落ちるけど戦力差はすぐに縮まるわ~」
実地試験が実戦試験になったのがとても嬉しいようだ。 僕は補給中の暁先行試作機に乗り込み、作戦を考えた。12時まで、あと3分。僕が出した答えは相手の目的がわからない以上、研究チームはデータの持ち帰りを早急に行わせ、
ガンルゥ2機に研究施設の警護、残りの2機は森林地帯に潜伏させて、僕の援護に回す事にした。この状況で一番効果的なのは強襲である。
僕は12時になる前に敵軍に向けて突撃をかけた。しかし向こうは完全に戦力差で押し切れると考えたのか固まってヴィンセントとグロースターを前におしたてて進軍してきた。
最終試験するつもりだった輻射波動砲弾のボタンをおしてみる。
轟音と共に、赤黒い光の塔が敵の機体を一気に飲み込んでいった。
どうやら固まっていたグロースター4機を一瞬で消し去ってくれたようだ。
すごいな、これで出力が7割か。


751:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:35:59 3SWggwrT
しえん

752:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:37:01 Wc9/WVOG BE:1227377257-2BP(0)
僕は相手が態勢を整えるまえにその場から一気に強襲をかけハーケンを放ちグロースターに命中させる。
その機体を盾にするように回り込み背中のミサイルポットで敵全体に攻撃をかけた後ゼロ距離でコクピットを射撃し最後のグロースターに狙いを定めた。
普段なら、ライがコクピットにゼロ距離射撃などすることはないのだが、今はそこまで余裕がないのだ。


ヴィンセントやあのフォートレスにはミサイルがあたるとは思っていなかったが、牽制にはなったし最後のグロースターを中破させることにも成功した。
あらかじめ距離は詰めておいたので直線的に進み敵機の手前で進路を変えるという動き方でフォートレスの砲撃や巨大ハーケンをなんとかかわし、わずかな射撃とフェイントで森の方に追い込み無頼に留めをささせた。
残りはヴィンセントとラウンズの機体の二機。戦闘開始5分もたたずに敵のグロースター6機を撃破したライと暁0式の活躍に、ラクシャータは歓喜の通信を送ってきた。
「へ~やるじゃんあのパイロット。」
と、この戦場でのトップ 3の文字を背負うジノは楽しそうに呟く。

753:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:38:01 3SWggwrT
支援

754:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:38:23 Wc9/WVOG BE:1578056459-2BP(0)
しかし、ここで海中から敵機の反応があり無頼の反応が一つ消えた。
もちろん海から上陸部隊が上がり、研究施設を抑えようとするのも想定範囲内だったので、すぐさま積み込んでいた特殊な対水中雷撃弾を海中に放ち無頼全機に海岸線へ向かいすでに上陸した部隊を討たせる指示をだした。
目の前には、大型戦闘機とナイトメア。態勢も整っていてこの2つをどうにか離したいが、今度は僕が研究施設を守らなければならないため、動き回るのではなく、正面から攻撃を仕掛けざるをえなかった。
とりあえず、ヴィンセントを狙い、トリスタンの動きを見るつもりで攻撃しようとした瞬間、機体に大きな衝撃が走った。
今まで、飛行機のような機体が人型のナイトメアに変形して僕の機体に蹴りを決めたのだった。
「お仕置きタイムだ」
今まで早いだけで小回りがきかなかった機体がいきなり最高の起動力を備えた最悪のナイトメアへと変わってしまった。
「ちぃっ」
一か八か、攻撃をもらいのけぞりながらワイドレンジの輻射波動砲を態勢を整えることもせず二機の相手がいた場所へ放ってみたが、既にトリスタンはヴィンセントを抱えて移動していたようだった。
「ライくん、これはランスロットの量産型の試験と思ってたけど違うわ!向こうのさんはあの可変ナイトメアトリスタンと、ヴィンセントの両方の試験よ。こっちはあと15分で片付くからそれまであの二機がんばって!」
やはりワイドレンジの輻射波動のエナジー消費は激しい。あと十五分戦う上で、あれはもう使わないほうがよさそうだ。
しかし機動力も高い上に、射撃武器であるハーケンは射出後に若干の方向修正ができ、白兵戦用のMVSの間合いはこちらよりはるかに長い。
ライが操縦している暁の白兵戦用の武装は小太刀と左腕の輻射波動。
1対1の状況に持っていこうとするライは小回りの利く小太刀型のMVSで敵の攻撃を受け流して、輻射波動を叩き込むといったスタイルから取り入れた武装だ。
しかし現状は2対1で、トリスタンの鶴嘴状のMVSだけなら防ぎきれるもののヴィンセントの援護射撃がおまけに付いてくる状況。
無駄な動きを一瞬でもとれば、それが命取りになり兼ねない。


755:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:43:24 Wc9/WVOG BE:490951627-2BP(0)
「そこっ」

ヴィンセントの斬撃をかわし、暁のハーケンで右腕に持ったMVSごと破壊に成功したので、こちらからトリスタンに攻撃をかけた。
ライの右手から薙ぎ払うように迫るMVSの間合いの内側に入り、小太刀で受け流したあと、さらに左からくるであろう一撃に備えた。
しかし、ヴィンセントからの射撃が暁に当たり態勢を崩してしまったので、トリスタンにそこの瞬間を狙われたもののなんとか切断されたのは左足だけで済んだ。
あのヴィンセントは弾を外せば、トリスタンに当たるのにも関わらず射撃をしてきた。
この二機は連携が上手というわけではない。トリスタンには弾丸をかわす自信があったという事なのだろう。
左足を切られるということは、機体のバランスが崩れて操縦が難しくなるのと同義であるが、ライは怯まずにもう一度間合いを詰めた。
的にならないように不規則な動きで自分の間合いをとる。

無駄に動くため、エナジーの消費は激しい。これで決めるというラストスパートである。
そしてライはなんとか暁の左腕でトリスタンの頭部をつかむことに成功する。

勝った。 頭ならパージできないため、熱を中枢部まで伝えられる。撃破したも同然。カチッとライはボタンを押す

「こりゃまいったな~」
とトリスタンの頭部が熱で頭部が膨れ上がっているにもかかわらず、3の文字を背負うラウンズはこの状況ですら楽しんでいた。

次の瞬間、トリスタンは自分のMVSで自分の頭部をためらいもなく切断した。
思いもしてなかった行動に対処が遅れ、ライの乗る暁は右足も切られてしまう。

756:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:50:30 BK7o1yyH
支援

757:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:51:37 Wc9/WVOG BE:736426837-2BP(0)
あの通信から何分経ったのだろう
コクピットの中は蒸し暑く、パイロットは汗だくになりながらもバイクに乗るように席にまたがり、鋼鉄の巨人を動かしながらも他の部隊に指示を出している。
ただ巨人といっても、ライのナイトメアの両足はトリスタンの大きい鶴嘴状のMVSで膝からしたを切り落とされているので、もはや人の形はしていなかった。
対する敵機もトリスタンの頭部はなくなり、ヴィンセントは右腕がなくなっている。
けれど、2機のナイトメアの相手をしながら地上部隊の指揮をとる。また、先ほどの読み違えにより、ライの乗るナイトメアは極力長い時間動けるような行動を選ばなければならない。
しかも普通の指揮官を相手にしているのではなく、帝国最強の12騎士の一人と新型量産機を相手にしながらとは、明らかにただのテストパイロットでは済まされないほどの異業である。
それどころか黒の騎士団の双璧と言われていたライが生きている事を暗示する戦いでもある。この戦闘データがスザクのもとに届けば、間違いなくぼくが生きていることに感づくだろう。
そして、ランスロットの生みの親、ロイド伯爵が設計したであろうヴィンセントがいるため、その可能性は極めて高い。
それに、たとえこの場をしのいでも今後我々の身は今まで以上に危うくなるし僕自身も中華連邦内での行動に制限がかかる可能性がある。

やっかいすぎるよラウンズ……

758:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:55:10 zCqtEArn
支援!

759:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:59:14 Wc9/WVOG BE:350679252-2BP(0)
その少年はただ刻々と時が過ぎるのを望むものの、あまり時間は経っていなかった。
ここ二、三日のテストで暁はきっちり操縦できるようにしたし、
日本でも無頼に乗ってカレンや卜部さんと一緒に石鹸工場やら兵器工場などを襲撃していたので、そこまで勘は鈍っていないつもりだ。
けれど、一秒が一時間に思えるほど大変な時間に感じれる。それほどまでに気を抜けない相手なのだ。
トリスタンは変形をうまく使い、緩急をつけ一瞬で間合いをつめたりして攻撃し、ヴィンセントは直線的な攻撃に射撃を絡めくる。
味方機がラウンズでなければ簡単とまではいかないものの倒せる戦力だが、それはどうしようもない妄想の世界。

あと1分で終わるという時にいきなりヴィンセントが突撃してきた。
トリスタンは僕の回避方向にすぐに動けるようにと見せかけて、僕がヴィンセントとに突撃した時にも対応できるように位置どったみたいだ。
これこそ、ゲフィオンネットのチャンス。
僕はヴィンセントより遅いスピードで後退し、ある程度引きつけてから一気に右に曲線をつくりながら距離をあけた。
やはり、トリスタンはハーケンを合わせて出す射撃の準備は行っていて、あのまま直線で進んだであろう場所に光の太い光線が走っていた。
好機と言わんばかりにヴィンセントと距離をつめるとトリスタンは僚機をカバーするように前、ヴィンセントは逃げるように後ろに動く。
「想定どうり!そこだぁっ!!」

760:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 17:14:26 uhtr/FhH
猿さんか

761:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 17:16:48 GUEgXyL+
猿ですね

762:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:17:01 Wc9/WVOG BE:841630346-2BP(0)
ここでゲフィオンネットを放つと二機同時にうごかなくなった。「よし、ようやく終わった。」とひと息つきながら、右手に装備した小太刀でコクピットに留めを刺そうとするとトリスタンは変形し、暁0式の右手は空を切ってしまった。
ゲフィオンネットで動きを封じ込めたと思ったら変形ができ、向きや機体の位置は動かないものの、そこから砲撃を放つことができたようだ。
幸い、かろうじて反応できたので、損傷は右腕がもっていかれただけですんだ。
とどめにワイドレンジで二機まとめて攻撃して撤退した。
ラウンズ撃破とまではいかないが撤退に必要な時間を十分に稼ぎ、追撃を不能にするダメージをトリスタンたちに与えた。
僕の暁は潜水艦に着艦するのも大変なくらい損傷していた。無事だった部分は胴体と輻射波動のついた左腕とコクピットだけ。それでもって、エナジーもちょうど着艦してすぐに底を尽きるくらいぎりぎりの戦いだった。

それに、ライにはあのラウンズがなんとなく手加減していたような感じを受けた。そもそも奇襲なのに降伏勧告に、その上五分以上の戦闘準備をさせてくれたのは、明らかに僕らの想像出来うる目的に反する行為である。
どちらにせよラウンズから逃げ延びたのはいいが、これからは間違いなく日本周辺の海域の警備は強化される。
これでルルーシュを奪還しなければ戦力を一気に上昇させることはできなくなった上、こちらのナイトメアに対して今まで以上に戦力を割いてくるかもしれない。
それにいくら僕のことを知っている人がブリタニア軍に少ないからといっても今回の件で港が警戒しない可能性は低いだろう。
そんなことを考えていると連鎖的に彼女のことも思い浮かんでくるので、ぼそっと呟いた。
「はぁこれでまた、日本に当分戻れなくなっちゃった。」
そうしてライは、ひと月前まで暮らしてたアパートにカレン宛の手紙を出すことを決めたのだった。


763:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:19:39 Wc9/WVOG BE:631222463-2BP(0)
―所変わって中華連邦基地内部―

「あら?何をかいていらっしゃるの?」
「あぁ手紙だよ。」
ライは話しかけてきた神楽耶に目もくれず、手紙の上のペンを走らせる。
「あっ、さては、カレンさん宛てのラブレターですね?」
と神楽耶は笑ってみせた
「べっ、別に、そんなんじゃないよ…」


ライは自分の考えていることを、神楽耶に見透かされたのがなぜか悔しくて見栄をはってしまう。
名字のないライは血液検査ででた日本の皇族という結果から皇を姓として名乗っている。
義理ではあるものの神楽耶とは血がつながっている兄として中華連邦では接してきた。
仮の妹であるが、どこか本当の妹に似たような雰囲気をっている神楽耶にだけは、恋愛事情においてとやかく言われることは恥ずかしかったのだ。
「じゃあ、黒の騎士団としての正式な書類としてみんなに見せるべきですわ。」
ぐぅ…と、ついつい怯んでしまう。
そこを神楽耶は見逃さず、ライの机にあった文書をひったくった。
そこには、ただこちらで起こった事実の記録と最後の最後に『最後に愛してる』とだけかが書かれていた。
神楽耶は怪訝そうな顔をして首をかしげる。

764:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:20:59 Wc9/WVOG BE:1718327677-2BP(0)
ライにとっては一応はラブレターのつもりなのだが、書いてあることは相手を口説いたり、自分の抑えられない愛を述べるものではなかった
カレン宛に書かれている手紙なのは間違いないが、最後の文を恥ずかしがった理由としても神楽耶には何かもの足らないのだ。
ライが本気ではないが手紙を取り戻そうと手を伸ばしてくる。その手から逃げている最中、彼女が見たモノでやっと満足がいった。
神楽耶の見たものは封筒。その封筒にはライが半年間日本で活動する際に使った偽名宛とアパートの住所まで書いてある。
「カレンさんと同棲なんて、お義兄様もずいぶん手がはやいことですわね~」
ライは音が聞こえる様なスピードで顔を真っ赤にしたまま何も言えなくなってしまった。
それから神楽耶はたまに帰ってくる咲世子だけでなく、意味を理解できぬであろう天子様にも自分の兄が女と同棲してた事をべらべらと話すのだった。
天子様は案の定、はてなという顔をしていたが、神楽耶が同棲する者の夜の営みについて話そうとした瞬間、護衛としてその場にいた星刻にものすごい形相で睨まれた。
大宦官に『無礼者!』などといろいろ言われながらも神楽耶を止めた事は、たとえ もう一度記憶喪失になっても忘れられないだろう。

咲世子は咲世子で、
「アッー!そんな…私式ロスカラ続編でカレン様じゃなく、ライ様が捕虜になるスザライルートが…騎士団編ゼロルート続編のライルルが…」
とかライには理解できない言葉を発しながら地面に臥していた。

765:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:23:13 Wc9/WVOG BE:631222092-2BP(0)
以上です。
すいません途中さるでした
今回は完全に妄想の戦闘です。
トリスタン試作型とヴィンセント試作型対ライの暁です。
なんか本編最後の方でルルカレならまだしも、ジノカレとか言われてるのにカチンときてライとジノをライバル関係においてみました。
ロスカラやってから、この板の住人としてライカレしか考えられないのは自分だけではないはずw
次回はやっとR2の話の中の騎士団と合流します。

766:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 17:50:16 ZuF8NNFD
そうだジノカレは許せない。俺もライカレ派です。つつぎ楽しみにしています。

767:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 18:45:11 s2CGuwFY
>>765
B.B.卿、乙でした!
いきなりの輻射波動の使用で敵を減らす。
ロスカラっぽくてGJだったと思います。
戦闘の後のほのぼのはいい!
より癒し効果が高まる気がします。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!


P.S.私的にはライナナのほうが好き

768:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:03:17 XXnJPL2+
>>765
乙です。
読み始めて、戦闘メインだったので「前話読んだっけ?」と保管庫に行って、確認・納得して読み直しました。
妄想の戦闘という事ですが、いやいや良かったですよ。オリジナルの戦闘シーンを表現できる人が羨ましいです。
戦闘後の日常シーンもグッドでした。戦闘時の緊迫感もいいですが、日常のほのぼの感が特に自分は好きなので。
神楽耶にお義兄様と呼ばれるライ 多くの人が考え付く設定かも知れませんが、実際にSSで見たのは初めてなの
ではないでしょうか? 素晴らしい!
次回も期待してます。 GJ!

さて、8KB程度 6レスですが支援は可能でしょうか?

769:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:04:38 GUEgXyL+
支援

770:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:07:08 XXnJPL2+
支援よろしくお願いします。
こんばんわ、投下の際にはキッチンタイマーで投下間隔を計っている『184』です。私生活においても
何かと便利です。

タイトル   :ロスカラさん 第7話 ベイエリアでの戦い
カップリング:千葉←ライ←カレン
ジャンル  :コメディ? ユル~いキャラで再構成もの

キャラの言動が、ほぼギャグです。(各自がギャグ漫画にありがちな特技や思考を持ってたりします)
5~3頭身キャラが出て来る四コマ漫画を楽しむ感覚で、読んでもらえれば幸いです。
初期状態からライの千葉中尉への好感度は、やや高目に設定してます。その為ゲーム本編と違い、
いきなり「凪沙さん」と呼んでます。
再構成ものなのにゲームの流れ(順序)が多少変わってます。(仙波大尉と合流済みです)
本文に4レス使用予定。前書き・後書き含めて6レスなので、ユル目の支援をお願いします。

それでは、タイマーを2分30秒にセットして、スタートぉ!

771:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:09:18 GUEgXyL+
支援

772:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:09:41 XXnJPL2+
ロスカラさん 第7話 ベイエリアでの戦い


『今の日本解放戦線に、確たる武力は存在しない』
間違いではないだろう。四聖剣の二人と合流できたと言っても東堂中佐を含め後三人の捜索活動
に時間を取られ、ブリタニア軍に攻撃を仕掛ける事などできないのだから。

今回のキョウトの支援は、今までとは趣の異なる物だった。軍資金よりも逃亡資金と言う方が、しっ
くりくる流体サクラダイトを積んだタンカー。これで中華連邦に亡命しろと言うのだ。
「今回の件で、キョウトは我々を見限ったのではないでしょうか?」
片瀬少将から亡命の話を聞いた後、僕は仙波大尉と話をしていた。亡命の件は、キョウトから提案
されたらしいが、それに易々と乗ってしまった事で『戦う意志なし』と見られたのではないか。そして、
そのまま中華連邦に厄介払いする気なのではないか。その気もない相手に、いつまでも支援を続け
る程キョウトもお人好しではないだろう。
「流体サクラダイトは、手切れ金という訳だな。少尉?」
「そうです。キョウトからすれば―」

取引先の零細企業に再就職を斡旋。しかし、再就職先が毎月ちゃんと給料を支払うかは不明。だ
が退職金は払ったし、君はもう我社とは関係ない。だから、今後はお金を借りに来ないでくれたまえ。
最初の内は「両手に華」とばかりに浮かれていたけど、恋人が二人もいたら出費もかさむ。最初の
彼女に魅力を感じなくなった事だし、手切れ金を渡して別れよう。
―みたいな?

「なあ、少尉。ワシは例え話だと理解しているが、皆が皆そう思うとは限らないぞ? ホレ、後」
「え? わわっ! な、凪沙さん」
仙波大尉の言葉に後を振り返ると、凪沙さんが腕を組んで立っていた。
「・・・」
「い、今のは別に僕の経験とか、そういう訳じゃなくてですね・・・」
「別に少尉の女性問題とか、それが元での金銭トラブルとかそんな事に興味はない。仙波大尉、出
 撃準備急ぎましょう」    
そう言って、格納庫の方へスタスタと去って行ってしまった。明らかにムッとしていて、取り付く島も
なかった。凪沙さんの中で僕は、『女と金に、だらしが無い男』になってしまったのか!?

773:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:10:15 GUEgXyL+
支援

774:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:12:19 XXnJPL2+
「あ~ このまま中華連邦に渡るのか僕は・・・」
今僕は脱出用のタンカーの甲板上、無頼のコクピットの中に居る。一方仙波大尉と凪沙さんは、
『ギリギリまで港でタンカーの脱出を援護し、東堂中佐の合流を待つ』との事だ。結局、凪沙さんの
機嫌は悪いままだし、このまま学園や黒の騎士団の皆とも離ればなれになるかと思うと憂鬱だ。溜
め息が出たところで、通信が繋がった。
「何だ、ゼロか・・・」
「何だとは、ご挨拶だな。亡命前からもうホームシックか? だから、早く戻って来いと―」
「あー、はいはい。そんな嫌味を言う為に連絡して来た訳じゃないんだろ?」
「フッ、まあな・・・」
ゼロは、座標データを送信してきた。それを見るとタンカーの進路上に爆薬を示すマークが点滅して
いる。これは!?
「ライ、そのタンカーからすぐに降りろ!」
ピンときた。ゼロはタンカーを囮にするつもりだ。僕は
「ふざけるな!」
と、叫んで無頼を艦首へと走らせた。港からマイクロ弾による攻撃が開始される。そして、港に残っ
た解放戦線のメンバーとブリタニア軍との間で戦闘が開始された。
「ライ!お前という橋渡し役が居ながら、片瀬は我々と戦う道を選ばず、中華連邦に逃げ出す道を選
 んだ。戦わない軍人に何の価値がある!?」
「だからと言って、敵もろとも自爆を強要する事はないだろ」
僕らの会話は途中からオープンチャンネル、更に港のあちこちに設置されたスピーカーまで使ってい
るから話の内容は敵味方に筒抜けだ。『自爆』という単語に港全体がどよめく。そして、自爆に巻き
込まれる事を恐れ、敵(ポートマン)はダイブを中止する。味方の方でも、下船しようとする者とそれを
押し留めようとする者で小競り合いが起きている。そんな状態でも強引にタンカーは動き出した。
いや、だからこそか。片瀬少将が吼える。
「我々は自爆する気などないぞ、なんとかしたまえ少尉! 私は必ずや中華連邦に渡り、いずれ再
 起を果たすのだ!」
「フッ、クロヴィス政権下ですら目立った成果を上げられなかったあなたの『いずれ』は、いったいどれ
 だけの経費と時間が掛かるのか。いや、そもそも本当にその日は来るのですか?」
「ぐっ、ぬぬぬ・・・」
ゼロの指摘に片瀬少将は、顔を真っ赤にして唸る事しかできなくなった。

775:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:13:05 GUEgXyL+
支援

776:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:14:55 XXnJPL2+
マイクロ弾による攻撃は相変わらず続いているが、ダイブを中止したポートマンは仙波大尉と凪沙さ
んに狙撃され、その殆どはダイブ不能状態(強硬に行えば、コクピットに浸水等各部不具合が発生)
のようだ。艦首に到着した僕は、座標データと照合し水中の爆薬に狙いをつける。こんな至れり尽く
せりで、僕が狙撃に失敗する訳がない。
「東堂の捜索を打ち切り、自分だけは安全な場所に隠れる。そんな男にいつまで従っている。お前も
 逃げ出すのか?!」
「違う!」
叫びながら、アサルトライフルのトリガーを引く。爆発により巨大な水柱が上がった。初動の早さが幸
いし、それはタンカーから充分離れた場所だ。余波の影響で大きく揺れるが、幸い航行には支障は
なさそうだ。
「ならば、乗れ! 黒の騎士団は弱者の味方、戦う意志のある者、戦う力のある者を見捨てはしな
 い。東堂らの捜索も我々が引き継ごう」
正面から弾丸のように強襲艇が向かってくる。僕は無頼をジャンプさせ、スラッシュハーケンを使い
強襲艇に取り付いた。
「おかえり、ライ」
「カレン・・・ ああ、ただいま」

777:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:15:21 GUEgXyL+
支援

778:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:17:30 XXnJPL2+
強襲艇は、ポートマンを巻き込み敵本陣につっこむ。ハッチが開き、中から紅蓮弐式を始めとする黒
の騎士団のKMFが飛び出す。珍しい事にゼロの無頼は、この中にはいなかった。どうやら、別の場
所から指揮に専念しているようだ。
「パイロットが乗り込む前にナイトメアを海に叩き落せ! ライとカレンは親衛隊を押さえてくれ! 他
 の者は解放戦線と協力して本隊を挟撃、退路を確保しろ!」
「「了解!」」
「全力で片瀬を追い出―逃がせ!」
戦闘時においてパイロットの騎乗の有無は、肌で感じ取る事ができる。奥の角付きのグロースターに
パイロットの気配を感じ、最優先で叩く事にする。まだ起動途中のその機体に突進する。
「ええい、起動前に! 私にナイトメア戦で―きゃん!」
タックルでコンテナに叩きつけると、敵パイロットから前半の勇ましさとは裏腹に可愛らしい悲鳴が上
がる。そのギャップに僕は―
「何、やってんの! ライッ!」
カレンの怒声に、萌える暇も与えてもらえませんでした。何と言うか勘が良すぎだ。僕は頭を左右に
ブンブン振り、気を取り直した。そして、苦し紛れに放ってきたスラッシュハーケンを間一髪でかわす。
「危ない、危ない。頭を切り替えないと・・・」
紅蓮弐式がスラッシュハーケンで、萌えな敵(さっきの悲鳴は可愛かったなぁ「ライッ!」はい!ごめ
んなさい)のアサルトライフルを弾き飛ばす。更に攻撃を仕掛けようとしたところで、撤退命令が出た。
エナジーの残量もそろそろ気になっていたところなので、ナイスなタイミングだ。タンカーに攻撃をして
いた敵部隊も、こちらの戦闘に徐々に加わりその数を増していた。
「目的は充分果たした。消耗戦になる前に全員撤退だ!」
タンカーは無事出港し、中華連邦に向かって行った。


(おまけ)ダールトンとギルフォード
「ひ、姫さ ガバ、ゴボ、防衛線、ゲベ、ガバ、ゴボ、ブクブクブク・・・」
「殿下、うぉ、お守、ガバ、しろ、ゴボ」
二人仲良く、海に叩き落されていました。

779:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:18:41 XXnJPL2+
以上です。
片瀬の扱いに悩んで悩んで、結局中華連邦に行ってもらいました。どれだけの期間、悩んでたかと
いうと第1話投下以前に、早くも悩んでいたような・・・
さて、今回は元々一つの話として書いていたのを長いので、切りのいいところで区切りました。
なので、次回作はお待たせする事なく投下できるかと思います。
では最後に、今回の支援者と前回感想をくださった方々に感謝です。ありがとうございました。

780:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:18:58 GUEgXyL+
支援

781:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:42:50 2/dqQwm8
>>779
GJ!今回も笑わせていただきました。ネリ様がかわいいwそしてカレンが怖いよw
そしておまけの二人wwこの人たちはネリ様に「脆弱者が!」と罵られるといいよ。
次回も楽しみにしています。

782:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:56:55 fF6GQw6r
東堂の東って藤じゃなかった?

783:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 22:12:04 s2CGuwFY
>>779
184卿、GJでした!
例え話が結構分かりやすいw
……ギャップっていいね!
ギルとダールトンが微妙に情けないのもユルユルでイイ!
あと、そんだけ悩んだのなら少将も浮かばれるでしょう……死んでないか。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

784:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 22:18:33 GUEgXyL+
>>782
保管庫ですでに修正されているという摩訶不思議

785:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 22:38:41 4v4jXlr1
>>782
その通りです。指摘ありがとうございます。
藤堂さんのファンの方、申し訳ありませんでした。

トーマス卿、修正した物をメールで送りますので差し替えをお願いします。
(タグをまた、使わせてもらいますので。あと、何故かタイトルが6話になっている)

786:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 00:55:34 HQSyDRGe
KOUSI卿どうかしたのかな?

787:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 00:59:03 AxzPjcwj
>>786
Eが抜けてますよ。
まあ今日も祝日で休みだし、あの方の都合もあるでしょう。

788:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:28:34 1+dzqOBf
KOUSEIです。前回の続きを投下します。
全部で14レス(予定)です。

789:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:29:49 Qu+gph9s
投下は幸せ!
支援します

790:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:30:55 1+dzqOBf
○ロイ・キャンベル。
 0025-0417参照。
○クラブ・コンクエスター
 0007-0290参照。
○ライ
 0012-0009参照。
○青い聖騎士(パラディン)
 0022-0188参照。
○紅月カレン
 0025-0417参照。
○アーニャ・アールストレイム
 0028-0037参照。
○ジノ・ヴァインベルグ
 ナイトオブラウンズのナイトオブスリー。ロイの同僚であり、親友。
 名門貴族出身で幼少から世間知らずとして育ってきたが、ロイと出会ってから一般市民の生活に興味を持つようになり、今ではある程度の社会常識は持っているもよう。
 また、一人称は“私”だったがロイ、スザクと一年間俗な場所巡りをしたせいで、いつの間にか“俺”が主流になった(“私”を使わなくなったわけではない)。
 ロイとアーニャ。ナナリーとスザクの仲を影ながら応援している。ただ、その応援の仕方(特にアーニャに対する助言)は色々と間違っている。
 性格は陽気で明るいが、いざという時には冷徹になれるというのがロイの評価。

791:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:31:12 Qu+gph9s
支援

792:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:33:14 1+dzqOBf
 ○シーン9『気持ちの問題』Aパート

 某日早朝。エリア11の政庁、最上階。
 ナナリー総督の執務室がある場所、その隣の部屋に、ロイ達ラウンズは揃っていた。
 部屋には天井から一つのモニターが吊るされており、四人はその前で跪いていた。
『今回の行政特区。ナナリーより、全て聞いた』
 モニターには、一人の男の姿が映し出されていた。
 白髪の特徴的なロールカット。齢50を越えながら見るものに戦慄を与える眼光。歴戦軍人のようにいかつい肩。
 シャルル・ジ・ブリタニア。
 ブリタニア帝国の最高権力者。皇帝陛下その人である。
『そして、お主らからの報告書も読ませてもらった。しかし、直に言いたい事はあるか?』
 相手に威圧を与える口調で、シャルルはモニターの前で跪く四人の騎士に問いかけた。
 四人の騎士。ロイ・キャンベル、枢木スザク、ジノ・ヴァインベルグ、アーニャ・アールストレイムは赤い絨毯の上で恭しく頭を垂れるだけで、何も答えなかった。
『何も無い、と言う事か?』
 シャルルは更に問う。ここにきて、リーダー格のジノが口を開いた。
「恐れながら申し上げます皇帝陛下。今回ゼロを取り逃がした責は、ナイトオブゼロの報告書にもありました通り、我々ラウンズにございます。ですので、全ての失態の罰は―」
『だから、ナナリーには過失は無い。そう言うのだなナイトオブスリーよ』
「……はい」
 ジノは額に冷や汗を滲ませて、更に頭を下げた。モニター上のシャルルは鋭い眼光を全員の騎士に浴びせ続けた。
『責は我々ラウンズが取る。なので、ナナリーには今まで通りエリア11で好きにやらせよ。お主らの言いたい事はそれに尽きるのだな?』
「……」
 ジノ達は無言だった。それを肯定と受け取ったシャルルはなにやら熟考し、小さく頷いた。
『分かった。ではそういう事にしよう。ナナリーにはこれまで通り、エリア11の総督を任せる。そして、お主らラウンズも、責があるというのなら、そのエリアで責を挽回できるよう励むと良い』
 何人かがその言葉に意外そうな顔をして、チラリと自分たちの主を見た。しかし、すぐにまた恭しく頭を下げた。
「はっ、ありがとうございます」

793:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:33:32 Qu+gph9s
支援!

794:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:35:41 1+dzqOBf
『だが、お主らにはナナリーの補佐をしてもらいつつ、一つ任務を申し渡す。来月、我が息子オデュッセウスと中華連邦の天子との挙式が決定した事は知っておるな?
 お主らラウンズにはエリア11の補佐はさておき、この挙式の間、オデュッセウスとその付き添いであるシュナイゼル両名の護衛を言い渡す』
「護衛、ですか?」
 ジノが顔を上げ、後ろの三人は頭を下げながら互いに視線を合わせた。
 ―ここにいるラウンズ全員がこの地を一時的にとはいえ離れる? 行政特区が失敗してこのエリアは混乱しているというのに?
『不服か?』
 しかし、どんなに不満や疑問があったとしても、断るという選択権は彼らナイトオブラウンズには無い。
「イエス・ユア・マジェスティ。その任務謹んでお受けいたしま―」
「皇帝陛下。恐れながら」
 ジノの型通りの言葉を遮ったのはナイトオブゼロ、ロイ・キャンベルだった。
 ジノは驚き。
 アーニャは困惑。
 スザクは怪訝。
 同僚三人のそんな視線を一身に浴びながら、ロイはそれを意に介さず、一歩進み出た。
『なんだ、ナイトオブゼロよ』
「現在、エリア11は報告書でも述べさせていただきました通り、混乱の極みにあります。したがって、文官だけでは手に余る事も起こりうるかと」
 シャルルは黙ってゼロの名を持つ部下の言葉に耳を傾けていた。ロイは続けて言った。
「ですので、このエリア11には念のため一人はラウンズを残留させたほうがよろしいかと考えます。どうかご一考を」
『……』
 シャルルは頭を下げるナイトオブゼロの見据え、しばし考え。
『よかろう、では、お主らで中華連邦で護衛を担当する三人を決め、任務にあたるがよい。これで良いな? ロイ・キャンベルよ』
「はっ」
 ロイの返事を最後に通信は切れた。

 ○

 早朝という事もあってか、政庁の廊下にある自販機ルームに人はいなかった。
 空調もまだ目を覚ましていないらしく、廊下には冷たい朝の空気が流れていた。
「お前、やめてくれよああいうの。寿命が縮む……」
「同感……」
 先ほどの皇帝陛下との通信。そこでの行動について、スリーとシックスの名を持つ同僚に文句を言われたロイは、自販機の下から缶コーヒーを取って苦笑した。

795:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:35:58 Qu+gph9s
支援

796:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:37:46 1+dzqOBf
「でも、何も四人全員が中華連邦での任務にあたる必要はない。君たちだってそう思っただろ?」
「まぁ、それはそうだけどな」
 ジノはため息交じりに缶コーヒーをすすった。そしてぼやいた。
「でも、何も直に言わなくてもいいだろ? シュナイゼル殿下に口ぞえしてもらってもいいわけだし」
「ジノ。それ、本気で言ってるのか? それなら僕達は何のための皇帝陛下直属なんだ」
「……そうだな。お前の言う事はいつも正しいよ」
「ところで」
 アーニャがオレンジジュースの缶を爪を使って開けながら話を切り出した。しかし、何回やってもあけられないようなので、ジノが横から手を伸ばしてあけてやった。
「ありがと。でっ、誰が中華連邦に行くの?」
「僕とアーニャ、そしてジノさ」
「ああ、その方がいいだろうな」
 ロイの提案にジノは同意した。アーニャも否定はしなかった。しかし、
「待ってくれ」
 ロイの隣でソファに座っていたスザクが真剣な表情で言った。
「僕はエリア11には残らない」
「えっ……」
 その言葉に、三人は一瞬呆然とした。
「む、無理しなくていいよスザク。君は総督の傍についていてくれ」
 ロイがそう勧めても、スザクは首を縦に振らなかった。
「いや、譲らないよ。僕はゼロを追って中華連邦に行く」
「スザク。何言ってるんだ……。一体、僕が何のために陛下に進言したと―」
「好きにさせれば」
 そう言い放ってロイの言葉を制したのは、オレンジジュースを飲み終えて、缶を乱暴にゴミ箱に放り込んだアーニャだった。
 アーニャはその眠たげな瞳でスザクを一瞥した後、ロイに言った。
「いたくない人が残るのは、結局誰も残らないのと同じ。違う?」
「……」
 全くの正論だったので。ロイは何も言い返せなかった。
「となると……残るのはロイだろうな」
 ジノは横目でロイを見た。ロイはその視線に困って、スザクを見た。
「……いいのか、スザク?」
「ああ」
「本当に?」

797:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:37:52 dhLt1JaI
支援


798:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:40:07 1+dzqOBf
「ゼロを倒さない限り、ナナリーの願いは叶わない」
「でも、それでもさ、スザク……」
 ロイは諦めきれずに訴えた。
「君はナナリー総督の傍にいてあげて欲しい。行政特区が失敗してあんなに落ち込んでおられるんだ。こんな時こそ、幼馴染の君が……」
「だけど、適材適所で考えるならロイ。やはり君が残るべきだろう。この中で、戦闘力と、混乱したエリア11に対応できる政治的センス両方を持つのは君しかいない。
 ……それに、僕が一人だけ残ってもローマイヤとケンカして、かえってナナリーを困らせるだけのような気もするしね」
「まぁ、スザクの言う事ももっともなんだが……」
 ジノは、今回のスザクに、理屈では反論できない事を理解しているようだった。
 だが、理屈では無い感情でロイ、ジノ、アーニャはスザクに残ってほしかった。
 行政特区の失敗以降。ナナリーの落ち込みようは凄まじかった。いや、表面上はいつも通りなのだが、ふと、総督としての仕事の合間に酷く疲れた表情をするようになった。しかもそれは、今にも事切れてしまいそうなほど、弱々しい顔だった。
「……」
 だからこそ、三人はスザクが残るのを良しとしたのだ。三人はそんなナナリーを励ませるのは一人だけだと思っていたのだ。
「とにかく。僕は中華連邦行きを譲る気は無い」
 スザクは睨みつけるように同僚を見回した。そこには、テコでも動かないという決意が見て取れた。
 結局、中華連邦行きのメンバーはスザク、ジノ、アーニャとなり。ロイはエリア11に残留という形になった。
 
 ○

 ロイ達が朝っぱらから自販機コーナーに険悪なムードを漂わせている頃、ナナリーはまだベットの中にいた。
 そして、夢をみていた。
 一年前のあの夢。
ナナリーの活動が本格的に始まったあの日の夢だ。
 当時、ナナリーはブリタニアで、何かがしたいとあがいていた。
 兄を失い。友を失い。場所も失った。それは自分が何もしなかったせいだという考えに至り、何かをしたいという欲望にも似た衝動にかられた。
 贖罪のつもりなのかもしれない。とナナリーは思った。兄に守られ続けて、自分は何もしなかったという罪。それを少しでも償っていきたいと。
(何か私のできる事を、何か私に出来る事を……)
 ナナリーは自分に問い続けた。

799:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:40:27 Qu+gph9s
支援!

800:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:42:42 1+dzqOBf
 そして、問い続けた結果。ナナリーはブリタニアのブリタニアらしさに目を向けた。
 ブリタニアでは一定の価値観において、一度弱者と決め付けられれば、その人の人生はそれまでだった。障害者しかり、被征服者しかり、貧困者しかり。
 弱肉強食。ブリタニアが唱える国是であり真理。
 そしてその真理の犠牲者は、今なお増え続けている。
(それではいけない……)
 ナナリーはいままで過ごしてきた境遇もあり、ブリタニアの弱肉強食を完全に是としない、皇族内でも珍しい存在だった。しかし、それを是としないのはいいとして、だからなんだという話になる。
 ナナリーがなんと思おうが相手は国是であり、太刀打ちできるものでは決してなかった。しかし、ナナリーは動こうと決めた。たとえそれがどんな小さな事でもやらないよりはきっとマシだと考えた。
(でも、どうすればいいのかが分からない……)
 そこで、まずナナリーは護衛のアーニャに相談してみた。他に相談し易い人がいなかった、というのもあるが、アーニャはブリタニアに来て初めて、仲良くなってくれた人だった。
 それに、アーニャは、かつてアッシュフォード学園でナナリーと仲良くしてくれた友達と雰囲気がとてもよく似ていた。だから、というわけでも無いのだが、ナナリーはほぼ無条件にアーニャを信じていた。
 相談されたアーニャは、真剣にきいてくれた。そして、言った。
『私は役に立てそうに無い。……でも、文官じゃないけど、優秀で、皇女殿下の力になってくれそうな人を知ってる』
 そして、彼女は数日後にある人を連れてきた。
 ナナリーの住む宮殿の応接室に通されたその人は、過去の忘れられない感覚を思い起こさせる人だった。
「殿下。連れてきた」
「あ、あなたは……」
 ナナリーはその人を通じて伝わってくる“音”を聞いて、驚きを隠せなかった。
 ―また来たよ、ナナリー。今日は何の折り方を教えてくれるんだい?
 そう言って、足しげく通ってくれた、あの人。
 兄の友人。スザクの友人。カレンの恋人。生徒会の仲間。
 そしてなにより、ナナリーがルルーシュと、スザクの次に好きだった人。
(生きて、生きていた……?)
 良かった。良かった良かった!

801:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:44:07 Qu+gph9s
支援

802:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:46:27 1+dzqOBf
 目が見えなくても涙は流れる。顔と心が熱くなる、込み上げる。
 なぜ、あの人がブリタニアに? なぜこの限られた者しか入れないこの場所に? そんな疑問など、この時のナナリーにはよぎりもしなかった。
「ああ、ライさ―」
「ロイ・キャンベルと申します」
 部屋の入り口で跪いた男の言葉は、ナナリーの期待を大きく裏切るものだった。
「えっ……」
「お初にお目にかかります、ナナリー皇女殿下。ナイトオブゼロを拝命して数ヶ月あまりの間、ご挨拶に伺わなかった無礼をお許し下さい」
「ロイ、キャンベル……?」
 ナナリーは肩透かしをくらったような気分になって、目の前にいるであろう騎士に気の抜けた顔を向けていた。
「殿下。ロイはあまり評判は良くないかもしれないけど、その実力と能力はシュナイゼル殿下のお墨付きで……」
 ナナリーが怪訝そうに潜めた眉を、違う意味に受け取ったのだろう。アーニャは急いでフォローを入れた。
「あ、いえ、そういう事ではありません」
 ナナリーは顔を赤くして顔を振った。
「ただ、足音が、その……私とお兄さまの大切な人に似ていたものですから、驚いてしまって……」
「足音?」
 ロイ・キャンベルと名乗った男が、不思議そうに首を傾げた。
 アーニャは「あぁ」と頷いて、ロイに説明した。
「殿下は足音で人を判別できる。結構正確」
「へぇ」
 ロイは純粋に驚いたようだった。
 ここで、ナナリーはロイをずっと部屋の入り口で跪かせている事に気が付いた。
「あっ、すみません。どうぞ中へお入り下さいキャンベル卿」
「はっ、失礼いたします」
 そして、ナナリーは客人をテーブルに促した。
「おかけ下さい」
 ロイは一礼してから、アーニャは特に何もせず席に腰掛けた。
 それを見計らって、ナナリーの侍女がお茶を運んできて、三人の前に丁寧に置いた。
「わざわざ来ていただき、ありがとうございますキャンベル卿」
 すると、ロイはスッと手を前に出した。
「どうかロイと呼び捨てになさって下さい皇女殿下。親しい友人はスザクを始め、そう呼びます」
「あ、はい。ではロイ……さん、と」
「……」

803:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:46:51 Qu+gph9s
支援!

804:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:49:02 1+dzqOBf
「ロイ。殿下にはこれが限界。これ以上の要求は下手をすればいじめになる」
「いじめって……。僕はそんなつもりは微塵も……」
「殿下をいじめたら、ダメ」
 アーニャに睨まれて、ロイは困った顔をした。
「……分かったよ。了解」
(……)
 この間、ナナリーはずっとロイの声や口調に集中していた。
(口調が少し違う、仕草も……でも声はそっくり……)
 ナナリーは目が見えない代わりに、耳の良さには自信があった。
 そして、ロイという人物が出すあらゆる音を聞く限り、やはり、あの人ではないかという疑問が無制限に増大していった。
(試してみよう……)
 どちらにせよ、客人を迎えていつまでもモヤモヤとした感情を抱き続けるのは失礼と言うものだろう。
 違うなら、違うとハッキリさせる必要があった。
 ナナリーはそう決意して、気分を落ち着かせるために小さく呼吸をした。そして、微笑んだ。
「ロイさん。あなたの事はスザクさんに聞いています。どんな状況になったとしても、私のために動いて下さる方だと」
「イエス・ユア・ハイネス。もちろんです皇女殿下。私の忠誠は皇帝陛下とその皇帝陛下が愛するブリタニアと皇族の方々に捧げております。それはもちろんナナリー皇女殿下も例外ではございません」
 そして、ロイは優しい声で言った。
「つまり、私はナナリー様の盾でもあります。いざという時にはお守りいたします」
 やっぱりあの人の声と似ている、そう感じてナナリーは顔を赤くしてしまった。
 そういえば、一時期兄ルルーシュの帰りが遅く、その事を、あの人に相談してみた時も、同じような事を言われた。
「大丈夫、心配しなくていいよナナリー。ルルーシュと、それに」と言って彼は言葉を止めた後、
 ―ナナリーは僕が守るから。
 ナナリーは自分が回想に浸っている事に気付いて、胸中で首を振った。
「あ、ありがとうございます。それに、アーニャさんからも、あなたの事はよく聞いています」
「はは、何と言われているのやら」
「悪い風には言ってない。多分……」
「ええ、とても素晴らしい方だと聞いています。これからよろしくお願いします」
 ナナリーはさりげなく手を差し出した。ロイは反射的にその細い手に自分の手を重ねた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします殿下」

805:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:49:15 Qu+gph9s
支援

806:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:51:02 1+dzqOBf
 握手を交わし、ロイは手を離そうとした。
「?」
 しかし、ナナリーは手の力を緩めなかった。いや、むしろ強めた。
「殿下?」
 振り払うわけにもいかないのだろう。ロイは困った様子でナナリー声をかけた。
「あの……」
 ナナリーはおずおずと尋ねた。
「あなたはロイさん……なんですよね?」
「へっ?」
 ロイは質問の意味を理解しかねたのか、一瞬呆気にとられたようだが、
「あっ、イエス・ユア・ハイネス。私はナイト・オブ・ゼロ。ロイ・キャンベルです」
 ナナリーの心の中に暗い落胆の色が広がった。なぜなら、この手を繋ぐという行為によって、ロイが嘘を付いていないと言う事が分かってしまったからだ。
「そう、ですよね……」
 ナナリーは力なく、手を離した。
 しかし、ナナリーはすぐに気を取り直した。
 忙しい中わざわざ来てもらった客人を、これ以上個人的な気持ちに付き合わせては迷惑だろう。と思ったのだ。
「実はロイさん。アーニャさんから聞いておられるかもしれませんが、あなたに頼みたい事がありまして……」
「これ」
 いつの間にか、アーニャがナナリーの机に置いてあった書類を持ってきていた。
「ええ、話は聞いています。では、拝見させていただきます」
 ロイは書類を受け取って、目を通し始めた。
 それは、文庫ぐらいの厚さがある書類だったが、ロイは流すような速さで目を通した。これは別に、何割かを省いて読んだというわけではなく、ロイの速読が成せる技だった。
 約五分間。少女二人は大人しく待っていた。
「……戦災孤児向けの援助基金。戦傷病者戦没者遺族への援助改正案。帝国内の名誉ブリタニア人への公的扶助指針案。それにスラムの教育整備ですか」
「素人考えですが……こういうのが実現できれば良いなと思いまして」
「なるほど、なるほど……」
 ロイはひとしきり頷いた後、人に気付かれない程度に小さくため息をついた。しかし、耳の良いナナリーにはそれが聞こえた。
「結論から申しますと、確かに素人考えですね。それにこれは計画書ではない。ただの感想文です。こうしたい。ああしたいという想いは伝わりますが、提示されているそこに至るまでの手法に現実味が無さすぎます」
「……」
 辛口コメントであったが、その通りだったのでナナリーは何も言えなかった。

807:全力支援者Y ◆7RZOliBygM
08/11/03 01:52:14 ale6/R2i
携帯が猿った、支援

808:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:53:01 1+dzqOBf
「このままシュナイゼル殿下にお見せしていたのですか?」
「はい……」
 もっとも、見せた所で「気持ちは分かるけどねナナリー。君はもう少し勉強をしてみるべきだよ思うよ」と、遠慮がちに言われただけだった。
 その時、隣にいた、副官のカノンが補足した。
「ナナリー様のやりたい事は理解できますわ。ですが、その私たちが理解している事と、ナナリー様が成しえたい事が必ずしも同義とはらないのが人の性です。
 ですので、こういう計画書を正式に申請として提出する場合、その目標へ到達する経緯を現実的に、かつ第三者にも分かりやすく示す必要があります。
 そうしなければ、ナナリー様の目指す目標が、捻じ曲がった理解をした者が歪曲した段階を踏み、結局はその目標をナナリー様とは違うものにしてしまう可能性があります」
 つまりは、多くの人に関係する何かをしたいと思うのなら、多くの人が同じ認識を持って進めるような指針や段階目標をしっかりと作らなければいけないという事だ。
 しかし、この時点では、ナナリーはこうしたいという最終目標のみを強調し、そこに到達するための段階ごとの計画を欠いた。
 その指針・段階作りをシュナイゼル達に手伝ってもらうという選択肢はナナリーには無かった。帝国宰相とその副官は一年を通して業務に忙殺されており、ナナリーとの面会時間も、本来ならただでさえ貴重な睡眠や休息にあてる時間を割いて作ってくれたのである。
 スザクに頼むという選択肢もあったが、彼と会うといつも慣れないラウンズの仕事が忙しそうなので、頼みにくかった。
 しかし、ナナリーにはどうしても、賢い人物の助けや指導が必要だった。
 そして、今日来たのがアーニャ曰く「初めての仕事でも、すぐに慣れる。だから、スザクに比べれば多分暇」のロイ・キャンベルだった。
 しかし、今回ロイに見せたものは、シュナイゼルから言われた後、ナナリーなりにその指針・段階目標を加えてみたものだったのだが、“シュナイゼル殿下のお墨付き”のロイからしてみれば、勉強不足・感想文の域を出ないものであったらしい。
「なんと申しますか。さぞかし、シュナイゼル殿下もお困りだったでしょう……」
「……」
 ナナリーはドレスのスカートを無意識にギュッと握った。
「ロイ……」
 ロイの腕を、アーニャがつついた。

809:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:53:56 ale6/R2i
……ミスった……支援

810:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:55:15 1+dzqOBf
「んっ、何?」
「言いすぎ。皇女殿下いじめたらゆるさない」
「いえ、いいんですアーニャさん。事実ですから……」
「話は最後までお聞き下さい皇女殿下。それにアーニャも。確かに、このままではダメですが、だからこそ僕に協力を頼んだんのではないのですか?」
 ナナリーが俯かせていた顔をハッと上げた。
「ロイさん。では」
 ロイはニッコリと笑った。
「殿下。あなたが叶えたいと思っている内容は実に的を得ていますし、何よりブリタニアに必要だけど足りない事です。あとは、僕がしっかりと形にしましょう。いや、形にするお手伝いをさせて下さい」
 そしてロイは、ナナリーに協力する事を約束してくれた。
 ナナリーは嬉しかった。ナナリーが唱える思想に共感を示してくれた貴族は、ブリタニアに来て以来初めてだったからだ。アーニャだって、別にナナリーという友達に協力してくれているだけであって、決してナナリーの唱える思想に共感してくれているわけでは無いのである。
「ありがとうございます。ロイさん」
「殿下。先ほど僕は少し厳しい事を言いましたが、あなたは、こういう事に向いていますよ。僕が保証します」
 そして、ロイはその書類を抱えて立ち上がった。
「では、とりあえず今から、これを僕なりにもう少し詰めてみたいと思います。明日にでもまた打ち合わせしたいと考えますがいかがでしょうか?」
「はい、私はどうせ暇ですので、ロイさんに合わせます」
「ロイ。私に何か手伝える?」
 隣のアーニャの言葉に、ロイは手を振った。
「いや、君はナナリー総督の護衛だろ。君は君の任務をするんだ」
「でも……」
「適材適所さ。そういえばナナリー皇女殿下、先ほど暇とおっしゃいましたが、本当に暇ですか?」
「えっ、はい。暇です」
「そうですか。では、しばしお待ちを」
 すると、ロイは懐から携帯電話を取り出し、どこかにかけた。
 しばらく待ち、相手が出ると、ロイはパッと笑顔を作った。
「あっ、ローマイヤさん? こんにちは、僕です。ロイです。ちょっとお聞きしたいのですが……」
 と言ってロイは電話越しに何かを尋ね、ペンを取り出し、頷きながらメモを取った。
「ありがとうございます。このお礼は後日にでも。ええ、はい、失礼します」

811:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:55:49 ale6/R2i
支援

812:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:57:59 1+dzqOBf
 そして、ロイは携帯を切ると、テーブルの上の何かが書かれたメモ用紙をアーニャの前にスッと移動させた。
「ナナリー皇女殿下。僕の友人に、殿下の目指すものの参考になりそうな本を聞いてみました。お暇でしたら、読んでみてください。きっと参考になるでしょう。本のタイトルが書いてあるメモはアーニャに渡しておきますので」
「あっ、はい。分かりました」
「では、ひとまずこれで失礼いたします」
 と言って、ロイは立ち上がり、一礼した後、部屋を出て行った。
 部屋には少女二人が残された。
「言ったとおりでしょ」
「えっ、何がですかアーニャさん?」
「ロイの事。彼、優しいから。きっと殿下に協力すると思った」
 ナナリーは友人の言葉に驚いた。アーニャと知り合ってそんなに長くないが、それでも他人の事を、優しい、と評価するような人物ではないと思っていたのだ。
「……」
「? なに?」
 ナナリーの困惑した表情に気付いたのか、アーニャは怪訝そうに聞いて来た。
「あっ、いえ、アーニャさんがそうやって他人の事を言うのも珍しいな、と思いまして……」
「そう?」
「はい、そうです」
「……」
「もしかして、好きなんですか。ロイさんの事?」
 アーニャの体がピクリと震えたのをナナリーは感じ取った。そして、アーニャはしばらく黙った後、
「……ち、ちがう」
 珍しく呂律の回らない友人の顔が見れなくて残念だ、とナナリーは思った。
「違うんですか?」
「……」
 アーニャは答えなかった。
 ここにきて、ナナリーは無性に申し訳ない気分になった。
「あの、アーニャさん。ごめんなさい。変な事聞いてしまって」
「……別に構わない。正直、私も分からないから」
「えっ、じゃあ、やっぱり好きかもしれないんですか?」
 積極的なナナリーに、アーニャは意外そうな視線を向けた。
「……皇女殿下。もしかしてこういう話好きなの?」
「好きです」
 即答だった。

813:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:58:18 Qu+gph9s
支援!

814:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:59:31 dhLt1JaI
支援


815:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 02:00:21 1+dzqOBf
 実際ナナリーはこういう話が大好きだった。
 ただ、兄にこんな事を話すと「ナナリー。他人の情事に興味を抱くのはあまり感心しないな」と注意されてしまうので、黙っていただけである。
 その兄にしても、あの兄と大変仲の良かったシーツーとの関係に、ナナリーは大きな興味を抱いていたものだ。なにせ、自分の義理の姉になるかもしれない人物なのだから、その興味も一押しだった。
「……」
 ワクワクが弾けそうなナナリーの顔を一瞥して、アーニャは俯いた。それは、呆れているのか、話すのを恥ずかしいと感じているのか、それ以外の感情なのか、ナナリーには判断しかねた。
 結局アーニャは、「図書館。行く?」と、これで話はお終いと言わんばかりに席から立ち上がった。

 ○ 

 朝日の眩しさを肌で感じて、ナナリーは体をベッドから起こした。
 懐かしい夢、と言うにはまだそれほど月日が経っていないが、ナナリーは遠い昔のような気がした。
(……私は、嫌になっているのだろうか)
 気分は落ち込んでいる。夢にみた頃と比べればそのモチベーションとも言うべきものはかなり低下していると思う。
 行政特区日本の失敗。
 あのあと、シュナイゼルからも、励ましの通信が届いたが、やんわりと少し急ぎすぎたね、と言われてしまった。
 それはナナリー自身も思う。でも、
(急ぎすぎなのは分かっていた。困難な事だとも分かっていた。分かっていたのに……)
 それでも、いくら先走りでも、急ぎすぎでも、こちらが誠意をぶつければ理解してもらえると思っていた。本気で思っていたのだ。

816:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:00:38 Qu+gph9s
支援

817:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 02:02:25 1+dzqOBf
 ナナリーは歩き出したこの道を止まろうとも、引き返そうとも思わない。ただ、この道が果たして自分に進む資格があるのか、また、自分はこの道を歩き終える事ができるのだろうか。
 不安は尽きない。そして、今現在、その不安がナナリーの心に言いようの無い暗い影を落としている事も事実だった。
 無理も無い。ナナリーはまだ15歳。心身共に成熟には程遠く、弱々しい。就任早々あんな失敗をしてしまってケロリとできるほど、ナナリーの神経は図太くは無い。
『ナナリー様。起床のお時間でございます』
 介護者兼侍女のノックがした。
「はい、入ってください」
 しかし、ナナリーの気分はどうあれ、ナナリーの選んだ道は、いつも通り彼女に一日と仕事を与えるのだった。

 ○『気持ちの問題』Aパートおわり。Bパートに続く。

818:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:02:53 Qu+gph9s
支援!

819:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 02:02:56 1+dzqOBf
 投下終了です。 
 こんな時間なのに支援ありがとうございます。感謝です。

820:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:27:07 Hqk4Fzvt
投稿ご苦労様でした!


821:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:27:12 Qu+gph9s
>>819
KOUSEI卿、GJでした!
皇帝に意見を述べたロイの度胸が凄い。
あの顔と声を前にしたら普通無理だよね。
エリア11に残ることを拒むスザク、ゼロを理由にしてますがロイのことも有るんだろうなぁ、と勝手に想像しました。
ナナリーの感覚を見るならばやはりロイはライ、しかし……
忠義の漢が待ち遠しい。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

822:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:40:16 nx93Ltdi
KOUSEI卿、乙であります。支援!

とうとう中華編に入りましたが、ロイは残りますか。
これからどのように展開していくのか楽しみです。
そして、そして遂にカレン捕縛イベント!!
はたしてどうなるのでしょう?カレンは真実に気づくのでしょうか?やはり再会の鍵はオレンジ?

次回も楽しみにしています。

823:うにゃら…
08/11/03 13:04:13 PdSCfa23
こんにちわ。
ゲリラ投下の人です。
投下しちゃいますので皆様、爆撃に巻き込まれないようご注意ください。

流れ的には前回の「誕生日編」の続きになります。
気になる方は、読んでいただけるとうれしいです。


タイトルは、「アッシュフォド生徒会の何気ない日常~迷走編その1~」。
カップリングは、「ライ×ミレイ」。
本レスは、4レスなので支援は必要ありません。
また、終了レスは入れないので、本レスの最後に《おわり》と入っていたらそこで投下終了となります。
ご注意ください。


824:うにゃら…
08/11/03 13:05:31 PdSCfa23
アッシュフォード生徒会の何気ない日常~迷い編その1~

「あーっ、かわいい~っ。会長っ、それどうしたんですか?」
シャリーが目敏く私のつけているペンダントにチェックを入れる。
ライからもらったあのロケットペンダントだ。
「うふふふ、いいでしょ?」
ついつい自慢したくなる。
ライが私の為にくれたプレゼント。
とても大切なもの。
あれ以来、肌身離さず持っている。
「本当っ、すっごくいいですね。もしかして婚約者からのプレゼントですか?」
「え?!」
私は、そう聞かれて言葉を失った。
「さすが伯爵家の方ですよね。センスいいなぁ。
私もこういうの欲しいなぁ…」
聞こえよがしに声のトーンを上げてそう言いつつ、ちょろちょろとルルーシュの方を見ている。
シャーリーとしてはルルーシュを牽制するつもりで何気なく言ったつもりだったのだろう。
だけど私にとって、その言葉の意味は現実を再認識させるだけの楔でしかない。
そう、私は…ライとは……。
この時、私はシャーリーの言葉を否定する事も出来ず、泣き出しそうになるのを我慢することしか出来なかった。

825:うにゃら…
08/11/03 13:07:05 PdSCfa23
この出来事があってから、私はライとの関係に深入りしないようにしなければならなかった。
これ以上、彼の事を思ってはいけない。
私のライへの思いは、決して実現しないもの。
なぜなら、卒業したら私は他の人と結婚するのだから。
だから、私はペンダントを外した。
貰った時、私はこれを絶対外すことはないと思っていたのに…。
ふと、鏡を見る。
あれ、何で泣いているんだろう。
鏡に映る私は、まるでこの世の終わりを見てきたかのように絶望に打ちひしがれて泣いている。
ああ、笑わないと。
だってこれからアスプルンド伯爵と会うのに…。
そう思って無理やり笑ってみる。
ああ、なんて不恰好な笑顔なんだろう。
しっかりしなきゃいけない。
そう、アッシュフォード家の為にも。
そう思って自分を奮い立たせようとする。
でも、それ以上にアッシュフォード家の家名が重く圧しかかってくる。
今までそれが重いとか負担だとか思ったことはなかった。
そういうものだと思っていたから。
なのに、今、私はそれに潰されそうになっていた。

826:うにゃら…
08/11/03 13:09:01 PdSCfa23
最近、ミレイさんの様子がおかしい。
話したりはするものの、なんかはぐらされている感じだ。
それにプレゼントしたペンダントも最近していないみたいだし…。
やっぱり、迷惑だったのかな。
そういう思いが頭を掠める。
その時だった。
「どうした?らしくないじゃないか…」
ルルーシュが僕に声をかけてきた。
「なんでもないよ、ルルーシュ。大丈夫だ」
そう言って無理やり笑ってみせた。
「おいおい、その顔でなんでもないといわれても余計心配させるだけだぞ」
呆れ顔でそう言われてしまう。
そんなに酷い顔してるんだろうか。
「悩みがあるなら相談しろよ。何かできることがあるかもしれないだろ?」
少し照れながらそう言ってくれるルルーシュ。
そうだよな。
僕は一人じゃない。
僕の周りには、大切な友人たちがいるじゃないか。
一人で抱え込んでみてもしょうがない。
そう思い、僕はミレイさんの事で気になっていることをルルーシュに相談することにした。
そして、恥ずかしかったが僕の彼女への思いも話した。
なぜなら、その思いがあるからこそ、僕はここまで悩んでいる。
だから言わないわけにはいかなかった。

827:うにゃら…
08/11/03 13:11:11 PdSCfa23
真剣な表情で僕の話しを最後まで聞くと、ルルーシュは僕を見据えて言った。
「ライ、お前はどんなことがあっても、彼女の傍にいて彼女を守ると誓えるか?」
いきなりの言葉に僕は言葉を失った。
「ど、どういうことだよ、いきなり…」
いきなりのルルーシュの言葉に、僕はわけがわからない。
混乱気味な僕をルルーシュはじっと見つめた後、ゆっくりと話し出した。
アッシュフォード家の事、そしてミレイさんの婚約の事を…。
僕は、ただルルーシュの話を聞くだけで精一杯だった。
思考がまったく働かない。
でもそんな状態ではあったが、なぜルルーシュがああいう事を最初に聞いてきたのか理解できた。
「ライ、悪いことは言わない。最初に言った覚悟がないのなら諦めるんだ」
ルルーシュは最後に冷たくそう言うと、立ち尽くしている僕を残してその場を去った。
僕は、その後姿を呆然と見送る事しか出来なかった。
僕は…僕はどうすればいいんだ。
その時の僕は、まるで出口のない迷宮に落されたような心境だった。

《おわり》

828:うにゃら…
08/11/03 13:14:46 PdSCfa23
うわー…。
すみません、誤字です。
本文のタイトルが「迷い編その1」になっています。
正確には「迷走編その1」です。
申し訳ありません。


829:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 16:54:47 Qu+gph9s
おぉ、なかなかの急展開!
>>828
うにゃら…卿、GJでした!
この二人の関係、無性に哀しい気持ちが込み上げてきますね。
ミレイの気持ちといい、ライの知った事といい……
凄く続きが気になってまいりました!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただけますか!?

830:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:42:15 1jPLFfoJ
>>828
シリアス展開GJ!です。続きが気になります。そして、卿のミレイさんへの愛ゆえにでしょうか?
驚異的な投下ペース! (本スレだけで7作)もう一度GJ!

さて、総レス数6レスなんで支援をお願いしたいのですが・・・

831:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:43:45 div2ldVS
支援

832:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:43:58 U8bnHMUz
久しぶりに支援します。

833:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:46:59 1jPLFfoJ
静かな夜なんで心配でしたが、支援よろしくお願いします。
分割しなければ、ギャップ萌えのネリ様も溺れる?忠臣二人も生まれなかった。
前夜に引き続き、こんばんわ『184』です。二晩続けて投下なんて、もう二度とないかもしれない・・・

タイトル   :ロスカラさん 第8話 シャーリーと銃口?
カップリング:ライ←(カレン&井上)
ジャンル  :コメディ? ユル~いキャラで再構成もの

キャラの言動が、ほぼギャグです。(各自がギャグ漫画にありがちな特技や思考を持ってたりします)
5~3頭身キャラが出て来る四コマ漫画を楽しむ感覚で、読んでもらえれば幸いです。
初期状態からライの千葉中尉への好感度は、やや高目に設定してます。その為ゲーム本編と違い、
いきなり「凪沙さん」と呼んでます。
ベイエリアでの戦闘後の話です。既に仙波大尉と合流済みです。
本文に4レス使用予定。前書き・後書き含めて6レスなので、ユル目の支援をお願いします。

静かな夜をぶち壊せ!

834:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:48:08 div2ldVS
支援

835:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:49:34 1jPLFfoJ
ロスカラさん 第8話 シャーリーと銃口?


「よ~ おかえり、ライ」「元気にしてたか?コノー」「わ~ ライ君、帰って来た~」
古巣(黒の騎士団)に戻った僕を皆は歓迎してくれた。肩や背中をバシバシ叩かれたり、ヘッドロッ
クをした上で頭をグリグリのクシャクシャにされた。
「ライ!」
「カレン! おっと」
人混みを掻き分け、カレンが抱きついてきた。僕の胸に顔を埋める彼女の頭をそっと撫でてやる。
「ヒューヒュー。熱いねぇ~ 次はチューか?チューするのか? ぐはっ!」
小学生みたいに囃し立てる玉城を、顔を埋めたまま後ろ足で蹴り飛ばすカレン。相変わらずの雰囲
気に苦笑いしながら回りを見ると、凪沙さんと目が合った。しかし、プイッとそっぽを向かれてしまっ
た。嫉妬してくれたのなら少しは嬉しいのだが、彼女の場合ラブシーン?に免疫が無くて単に照れ
ているだけというのもあり得るので、何とも判断が難しい。
(後で探りを入れて、前者ならフォローしとかないと・・・それはそうと・・・)
「良く戻ってくれたライ。C.C.と井上なら別件で出張っていて留守だ」
欠けている物を感じていた僕に、ゼロが的確に答えてくれた。
「フッ、二人に会えなくて寂しいか?」
「ああ、それは勿論―ってぇーー!!」
背中に激痛が走る。カレンに力一杯抓られた。背中がジンジンする。
「そうか♪ 今後の事で話がある。ライ、司令室に来てくれ。カレン、ライを借りるぞ?」
「こんなチャンス、滅多にないのに・・・」
「非常に大事な話だ」
「分かりました・・・」
ゼロにキッパリと言われ、カレンが渋々僕から離れる。しかし、チャンスって・・・
「皆も疲れただろう、もう休んでくれ。ああ玉城、騒ぎたい気持ちも分かるが宴会は暫くお預けだ。
 解放戦線の人達の気持ちも考えろ」
「気遣い感謝する。我々はあくまで―」
「承知している。まずは藤堂中佐との合流、その後の事は中佐の判断しだいと言うことで」

836:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:50:31 div2ldVS
支援

837:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:52:05 1jPLFfoJ
『今後の事で話がある』という事で司令室に来たのだが、先程からゼロは一言も話しかけてこない。
「~~♪」
しかも何故か、僕の隣に寄り添うように座っている。それどころか段々こちらに体重を預け、しなだれ
掛かってきた。
「あの、重いんだけど・・・つっ!」
今度は太腿を抓られた。
「ごめん、冗談。井上さんは重くないです」
「! どうして・・・?」
ビクッと反応するゼロ。やっぱり、ゼロ=井上さんなんだ。C.C.の可能性も僅かにあったのでホッと
する。
「こんなに密着していて、気付かない筈ないでしょう? さ、仮面を取って顔を見せてください。あと、
 理由も説明してくれますね?」
「ええ♪」

作戦直前にゼロが負傷したと、C.C.から連絡が入った。ゼロ不在では士気に大きく影響する。その
為、急遽影武者が必要になった。以前のキョウトの時の様に、ゼロの仮面と衣装を着てただ立って
いれば良いという訳にはいかない。今回は戦闘があるのだ。要所要所で指示をする必要がある。
しかし、始めから影武者を想定していたのなら兎も角、あらかじめ声を録音して準備などしている訳
が無い。それでゼロの声を再現する為に、【声真似】の技能を持つ井上さんに白羽の矢が立ったの
だという。
(あらゆる事態を想定して、数十パターンもの作戦データが入力されたパソコンがあったとはいえ、
見事にゼロになりきったな井上さんは・・・)
それに今回に限って、あの白カブトが出てこなかったのもラッキーだった。
「それで、ゼロは?」
「C.C.が付いているから大丈夫。それよりも―」
ブルブル震える井上さん。
自分の言動に沢山の人の生死が掛かっていたと思うと震えが止まらない。ゼロの肩に掛かる責任
の重さに潰されそうになった。だから―
「抱きしめて、震えを止めて・・・」
こんなに、弱々しい井上さんは初めてだ。僕は彼女をギュッと抱きしめた。こんな体勢だから井上さ
んが、ペロリと小さく舌を出している事に気付ける筈もなかった。

838:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:52:13 U8bnHMUz
支援

839:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:54:45 1jPLFfoJ
やがて、井上さんが潤んだ瞳で見つめてきた。
「ねえ? して、キス・・・欲しいの」
「い、井上さん・・・」
そんな目でそんな事を言われたら、僕はもう・・・
「駄目だ!」ガ ン ッ ! 「つ~」
「「何(だ)?!」」
大きな音に我に返り発生源の方を見ると、執務机の下からC.C.が頭を擦りながら出てきた。
(頭をぶつけたな)(ぶつけたわね)
「あ~ ゴホン。被写体の商品価値が下がる。それ以上はダメだ」
片手にカメラを持っている。また、盗み撮りをしていた様だ。軍人とゼロのコスプレ女のツーショットっ
て、需要があるのか?
「C.C.、何故ここに? ゼロはどうした」
「そうよ、何で居るのよ? やっと二人っきりになれて、これからって時に・・・」(ブツブツ)
「ゼロなら信用の置ける奴に、家まで送らせた。だから、大丈夫だ(多分・・・)それより、ライ。
 感謝して欲しいものだな。お前の貞操を守ってやったのだから・・・」
「え? わわっ!」
僕の着ていた軍服は、いつの間にかシャツのボタンが全部外されズボンのベルトも緩められていた。
あのまま雰囲気に流されていたら、僕が井上さんに食べられていたのは間違いないだろう。
「ぼ、僕、もう帰ります。そ、それじゃ、お疲れ様でした~」
「ああ~ん、ライく~ん」
僕は着衣の乱れもそこそこに、司令室を飛び出した。慌てるあまり、司令室の近くにいた新顔の団
員に見られたのにも気付かなかった。
「ゼ、ゼロは男色家!? いや美少年キラー!? 両刀使い、軍服フェチ、カオスだ! 何と言うカオ
 ス! さすがは、ゼロ! はーっはっはっはっは」

840:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:55:40 div2ldVS
支援

841:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:55:41 U8bnHMUz
支援

842:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:57:17 1jPLFfoJ

(おまけ1)ゼロ負傷とランスロット本作戦不参加の真実
海中に爆薬を仕掛け終えたゼロ=ルルーシュであったが、慣れぬ肉体労働でとうとうダウンしてしま
った。幸いあらゆる事態を想定して作戦は立ててある。データもパソコンに入力済みだ。後の事は、
C.C.経由で井上に任せる事にした。
ルルーシュに学生服を着せ、肩を貸して付き添っていたC.C.だったが途中で面倒臭くなった。道端
に彼を置き去りにし、よりによって近くにいた軍人(枢木スザク)に押し付けた。
スザクが『人が倒れている。虫の息だ』と聞かされ、慌てて行ってみるとそこに居たのは親友だった。
「君を死なせるものか!」とばかりに特派につれて行くと、ただの過労だと分かった。ホッとして
「それじゃ、家まで送ってきます」とルルーシュをおぶって出て行くスザクの頭には、作戦開始時刻
の事はスッポリ抜け落ちていた。

(おまけ2)シャーリーとヴィレッタ
前日にブリタニア軍人ヴィレッタ・ヌゥからルルーシュが『黒の騎士団に関与している』と吹き込まれ、
彼を尾行していたシャーリー・フェネットであったが、途中で見失ってしまい仕方なく学園に帰って来
た。するとなんと校門の所で、そのルルーシュをおぶったスザクと遭遇した。聞けば道端で倒れてい
たと言う。部屋まで運んでもらい、看病は自分がすると申し出た。

「すまん、シャーリー。迷惑を掛けて・・・」
「ううん、気にしないで」(疑ってごめんね、ルル。こんなヘナチョコなテロリストがいる訳ないもんね)
「シャーリー?」
「あははは。何か安心したら、涙が出てきちゃった。変なの」

「あんな情けない男が、黒の騎士団の筈がない・・・貴重な時間を返せ!」
シャーリーを尾行、途中まで様子を窺がっていたヴィレッタは、汚名返上の為の独自調査を一から
やり直す事にし、その調査対象からルルーシュ・ランペルージを除外する事にしたのだった。

843:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:57:44 div2ldVS
支援

844:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:58:35 1jPLFfoJ
以上です。
今回の支援者と前回感想をくださった方々に感謝です。ありがとうございました。
ネタバレになるので前書きには書けませんでしたが、井上さんの特殊技能【声真似】再登場でした。
元ネタは萌は文化卿の「寝起きドッキリ」からです。2話の時点では、あってもなくても関係なさそうな
スキルでしたが『井上ゼロ』の為の布石だったのです!な~んて
では、次回をユルユルと待つべし!(一行も書けてないんだけどね)

845:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:16:11 1J1XZduw
>>844
ユルユルGJ!
ライ、黒の騎士団におかえりー!
井上が万能すぎるw
おまけが平和だw それは疑うのがバカバカしくなるわけだなww
寄りによってディートハルトに見られてどう誤解を解くのか先行き不安な予感

846:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:25:36 HFx55/bi
>>844
GJ!ユルユルでいいなあ、この世界は。
ディートハルトに勘違いされて、ゼロはどうなっちゃうんだろう。
そしてスザク、作戦をすっぽかすなよwさらにヘナチョコテロリストってww
次回をお待ちしています。

さて、0:40頃から小ネタを投下します。
前書き・本文・あとがき合わせても4レス分なので、支援なしでも大丈夫かな?

847:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:28:03 QKZURRop
 184卿GJでした
 相変わらずユルイわりに蝶修羅場な騎士団が面白いです
 神出鬼没なC.Cもかっこいい事言ってる割りに虚弱なゼロもヤキモチやきな
 カレンも初登場の割りにいい感じに暴走してるディードハルやらキャラの
 ユルさがいい感じですね。
 あとスザク親友のためとはいえ作戦忘れんな、というか特派の人々も止めろ
 ヴィレッタさんもシャーリーも何気にヒデェよ、こんなんばっかかブリタニア
 という感じでいい感じに緩々な卿の次回の投下をユルユルとお待ちさせていただきます
 

 ところで今回の最萌は頭打ちつけて痛がってるC.Cだと思いました。 

848:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:30:33 lpAIEMU8
>>844
ユルユルにGJ
このシリーズ大好きだwww
特にこのシリーズの井上さんが良いです
ええ、素敵です
机の下から出てくる時に頭をぶつけたC.Cに萌えたwwww
次回も期待しています

849:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:33:09 STwjSKdV
>>844
184卿、GJでした!
ユルユル感が心地いいw
無駄にアットホームな騎士団はやはり良いものだw
あれ? 限りなく優しい世界に近いな、これw
貴公の次の投下を全力でユルユルしながら待っています~

850:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:33:47 ebS4BVn0
遅くなりましたが、GJでした。
本当にリラックスして読めました。井上さんが只者じゃないね。やっぱり。

シャーリーの方は本編と違って幸せに生きていてくれそうなので良かったと思います。

さて、>>846卿の投下が終わって感想を書いたら自分も投下しようと思います。

851:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/04 00:40:34 HFx55/bi
さて、そろそろ投下します。小ネタは初めてなので、うまくいったかどうか。

作者:余暇
タイトル:夜のカオス

(注意)
・タイトル通り、ものすごいカオスです。

本文は2レス分です。その後、あとがきもつけます。

852:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/04 00:43:26 HFx55/bi
                『夜のカオス』

その日の夜、僕は部屋のベッドの中で、眠れない時間を過ごしていた。
「困ったな、眠れない。明日も早いのに、どうすればいいんだ。」
と、その時だった。
「フゥフハハハハハ!」
「なっ、何だ!?」
不気味な笑い声がしたかと思うと、部屋の天井に穴が開いて、ゴンドラに乗ったロール髪の男が降りてきた。
あの姿はまさか、ブリタニア皇帝!?
「眠れないと言うのはぁ、貴様だなぁ?」
「ちょっ、皇帝陛下!何故こんな所にいらっしゃるんですか!」
「ふっ、ほぉんの気まぐれよぉ。」
「気まぐれ?気まぐれで何故こんな馬鹿騒ぎを起こすんですか!」
ここに皇帝が来るのも驚きだが、今何時だと思っているんだ。
「パンパカパァン!おぉめでとう!貴様はぁ、このわし直々にぃ眠れるまで面倒を見てやろう。ていうかぁ、今気まぐれで決まったのだぁ!」
「……だから、何でもかんでも気まぐれで事を起こさないで下さい。」
実はこの人、かなりお茶目なのか?
「そぉれではぁ、ひぃつじが一匹ぃ~。ひぃつじが二匹ぃ~。」
「ちょっと陛下、唐突過ぎますって!何故予告なしで羊を数えだすんですか!」
まだ布団をかぶっていないのに、羊を数えられても困る。あ、これってお茶を出した方がいいのか?
「あの、陛下。今お茶をお出ししますので…」
「むぅ、羊では眠れぬと申すかぁ。そうかぁ、昔話が良いのだな?」
「だから話を聞いて下さい!」
ダメだ、まったく話が噛み合わない。


853:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/04 00:46:36 HFx55/bi
「むかぁし昔ある所にぃ、若い二人の男女が住んでおったぁ。」
結局僕は、皇帝から昔話を聞かされていた。どうやらお茶はいらないらしい。
「その男はぁ、女にベタ惚れであったぁ。何とかして気を引こうとぉ、ある夜、男は女の寝所に忍び込んだぁ。」
あれ?何だこの話、もしかして年齢制限ありですか?
「『おぉ~、いとしのマリアンヌゥ~。』」
「……って、何故お二人の馴れ初めの話を聞かされないといけないんですか!」
「なぁんだ、これからいいところなのにぃ。ふふふ、恥ずかしいのか?まぁだまだ青いのぉ、大人の世界にはぁ、それはもうピン…」
「みなまで言うなあ!」
ええい、年寄りの馴れ初め話は何故かいやらしいと聞いていたが、本当だったのか。
「ふむ、仕方がないのぉ。」
「そんな心底残念そうな顔をしないで下さい、聞かされる身にもなって…」
その時だった。朝を告げるニワトリの鳴き声が聞こえ、空が白み始めた。
「おおっと、もうこんな時間かぁ。若者よぉ!わしはもう帰るが、気落ちせず今日も励むがよい!では、まぁた来るぞ。オォール・ハァーイル・ブリタァーニア!」
すると皇帝は、ゴンドラに乗って帰っていった。ゴンドラが去った後、天井は静かに元の姿に戻った。穴が開いた跡は、まったく見えない。
「一体何だったんだ。……って、一睡もできていないじゃないか!皇帝のバカ野郎、もう二度と来るなー!」
結局その日の授業はまともに受けることができず、ずっと居眠りしてしまったのであった。


854:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/04 00:49:03 HFx55/bi
以上です、皇帝大爆走の巻でした。


855:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:54:29 QKZURRop
 余暇卿GJでした
 とりあえず何処から突っ込んだらいいのかわかりませんがあの声で例の羊が
 云々言われて眠れる人間は居ないですよマジェスティww
 なんともカオスな話でした、卿の次回の投下をお待ちしています

856:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 00:59:15 STwjSKdV
いきなり吹いたw
>>854
余暇卿、GJでした~!
ちょっと来てほしい気もするぞwww
というかどんだけ暇人だ、皇帝wwwww
やっぱりギャグはいいねぇ……そしてこの短さでここまでの笑い、ヤヴァイw
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

857:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:00:51 ebS4BVn0
余暇卿、GJでした。
皇帝がいたら、そりゃ寝れないし、追い出すのも難しいですよね。
とりあえず、ルルーシュたちももしかしたら眠れなかったかもしれないと勝手に妄想。

さて、あと10分ほどしたら投下したいと思います

858:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:11:29 ebS4BVn0
どうも、お久しぶりです。
たぶん、もう覚えている方はいないだろうと思いますが、またよろしくお願いします。

さて、今回は随分大昔に予告した、「キューピッドの日の災難」の続きの
「Knight of V.V.」というよく分からないものを投下したいと思います。

以下注意
・今回はプロローグみたいな形なので「?」と思う人が多いかもしれません。
・V.V.は…出て来ないです。名前だけはでますが
・カップリングは・・・あえて言うなら ライ×マリアンヌ。無しと言って良いくらいだけど。
・しばらくSSを書いてなかったので、出来は最悪です。自分の中では。
・本編の方は4、5レスで収まると思います。数回の支援をお願いします。


一応、次におおまかなあらすじを書かせてもらいます。予想以上に長くなったので
うざいなぁと思う方はスルーしちゃってください。



859:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:12:05 QKZURRop
お待ちしていました、今こそが支援のとき

860:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:14:26 ebS4BVn0
あらすじ

行政特区日本成立前からライとカレンは恋仲(保管庫0004-0912「告白の時」より以下それに続いていきます)。
そんな時、ミレイは「キューピットの日」の開催を宣言。
もし、他の生徒に帽子をとられればライとカレンはルール上別れることになってしまう。
ライはカレンに「絶対向かえに行く」と約束する。
始まったキューピットの日。ライはミレイの巧みな作戦により生徒たちによって捕まえられ、
生徒会室に連れて行かれてしまう。
そこで、ライはミレイの想いを知る。
キューピットの日は終わり、カレンはミレイがライに告白したのを知る。
ライを問い詰めているうちに怒りを抑えきれなくなり、「大嫌い」と言ってしまう。

ライはこの事件をきっかけに騎士団の信頼を失う。
そんな中、現れた敵「ナイトオブテン」。
黒の騎士団はほぼ全滅状態になるが、そこでライが月下に乗って登場。
整備が整っていない状態だったが、ルキアーノと相打つ。

ライはカレンの腕の中で永遠の眠りにつく。
彼の死をきっかけに、カレンはある決意のもとゼロと共にブリタニア本国に旅立つ。
一方、アーカーシャの剣では、死んだはずのライがV.V.の騎士として生きていたのであった。

次より、本編です。


861:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:15:35 QKZURRop
支援

862:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:16:28 ebS4BVn0
Knight of V.V.
0、未来の戦い

天空に機械の騎士たちが舞い、怒りや憎しみ、嫉妬、悲しみ…さまざまな感情をぶつけ合いながら
戦う。
かたや王の為に。かたや平和を望み、愛する人を救う為に…戦う。

ひとつ、またひとつ、騎士たちは散っていく。
モニターに『LOST』という文字が点滅する度に、ただそれだけが彼らの命の消滅を意味する。

一騎のサザーランドが破壊された。
乗っていた騎士は、先日結婚したばかりだった。子供の出産日も決まっており、これから幸せの時を刻んでいくはずだった。

一騎の暁が爆散した。
彼には、幼い弟と妹がいた。なかなか遊んでやることが出来なかった。この戦争が終われば、
必ず休暇をとり、旅行に行くと約束していた。

彼らはここで死ぬはずではなかった。
なぜなら世界は平和だったから。黒の騎士団とブリタニア帝国の争いは終わったのだから。

しかし、世界に再び争いが起きる。白き王によって――


戦場を紅き鬼が駆け抜ける。
黒き王―ゼロの騎士、ナイト・オブ・イレブン 紅月カレンは、今まさに敵の本陣に突撃をかけていた。
彼女は戦争を終わらせたかった。だから、彼女は白き王を討つ。それがたとえ彼女の最愛の人でも…



863:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:17:45 QKZURRop
しえん

864:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:20:20 ebS4BVn0


―――――――

大アヴァロンで指揮を執っていた白き王は苛立ちを隠せずにいた。
先程から、戦況が自分達に不利な流れになりつつあるからである。

オペレーターの男が、叫ぶ。
「キンメル卿の部隊、全滅! 右翼より敵部隊! 数は・・・8機!」
「正面の主力部隊、紅蓮を止められません!」
その報告に王は舌打ちした。
「ビスマルクの部隊をまわせ! 主力部隊は引き続きジェレミアに指揮をとらせろ!」
イエス ユア マジェスティ とすかさず男は返答する。

その様子を、白き王の騎士であるマリアンヌは口元は緩ませながら静観していた。
その表情は、わが子を見る母のように慈愛に満ちているように見える。
やがて、マリアンヌは王に話しかける。
「少しいい?」
王を司令室の隣にある一室に手招きする。王は無言で彼女の手招きに応じた。



865:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:21:15 QKZURRop
支援

866:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:22:23 ebS4BVn0
――

部屋に入ってからも、王は椅子に腰をかけ携帯用のモニターで戦況を確認していた。
「随分と機嫌が悪いのね」
白き王は、戦局を移す画面から視線を変えずに答える。
「そういうあなたは、随分機嫌が良さそうだ。こんな状況で・・・」
「あら、そう? これでも危機感は抱いてるつもりだけど?」
マリアンヌはそういうと、王に自分の腕を絡める。
柔らかな感触を腕に感じると、王は少し頬を赤らめた。その姿は、先程まで険しい目つきで部下に命令をしていた
指揮官とは思えないほどかわいらしいと、マリアンヌは思った。

「それで、どうするの?敵の・・・紅蓮だっけ?たぶん止められないわよ。ほかのラウンズもまだ残ってるし。」
「わかってる。だから頼みがあるんだ」
王は彼女の腕をどかし、あるものを手渡した。
「これは・・・」
それは今まで数多の戦いを共にしてきた白き王の愛機の起動キー。
「僕は今回、王として、完全に指揮に回ります。だからあなたには僕の代わりに戦線にでて欲しい」
「私が彼女と戦っていいの?あなたが・・・」
「僕は、臆病なんだ。カレンとは戦えない。だから・・・」
白き王は椅子から立ちあがり、マリアンヌと向き合う。
「V.V.が命じる。我が騎士マリアンヌよ、我に変わり、黒の騎士団を・・・カレンを・・・倒せ」
『殺せ』とは言えなかった。王の中にはまだ情があったから。
「Yes, your Majesty・・・」
マリアンヌはそう呟くと、王の・・・彼の頬を優しく手で触る。
彼女はわかっていた。王がこの戦いでどれほどの苦痛に耐えていたのかを。だから騎士として、
そして、彼を愛する一人の女として。
王とその騎士の唇はほんの一瞬の間、重なった。


――――――――



867:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:23:41 QKZURRop
しえん

868:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:25:29 ebS4BVn0

敵のウォードを破壊したところで通信が入った。ゼロからだ。
『カレン、まもなく敵のアヴァロンが見えるはずだ』
「わかっています・・・」
それは、つまり『彼』もすぐそばにいるということだ。カレンの顔に緊張がはしる。

カレンは一度彼を失った。永久の別れ。彼は死んだのだ
しかし、現実には彼は生きていた。それはカレンにとって最悪の再会だった――

突然、彼女のまわりにいた護衛の暁が破壊された。
目の前には、紅蓮やランスロットと同じエナジーウイングを装備した蒼いKMF。
その機体はまちがいなく『彼』の機体だった。
カレンはすかさずオープンチャンネルを開きその機体に向かって叫ぶ。
「ライ!ねぇライなんでしょ!!」
しかし、その問いに答えたのは『彼』ではなかった。
「残念だけど、人違いみたいね!」
蒼いKMF―ランスロット・クラブ・アルビオン―は二丁の可変式ライフルを紅蓮のコックピットめがけ打つ。
カレンは不意をつかれたものの、その正確「すぎる」射撃を輻射波動で防ぎ、すぐさま反撃にでようとするが…

「消えた!?」
クラブの姿はそこにはもうない。
「何処に行った?」
そう呟いた瞬間、青い閃光が目の前を横切る。遅れて紅蓮のコックピット内に響く警告音。
紅蓮の装甲に傷が入る。カレンは敵の姿を追おうとするが、また見失ってしまう。そして閃光がまたあらわれる。
閃光、警告音。閃光、警告音……




869:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:27:30 ebS4BVn0
カレンはクラブの動きについていけなかった。機体性能の差はほとんど無い。相手の技量が一枚も二枚も上手なのだ。
だが、カレンも類まれない才を持つもの。その動きが見えなくても直感的…第6感が働いた。
「下から…」
閃光は再び走ったときクラブのMVSをカレンは紅蓮の爪で受けとめた。
相手はその防御に驚いたのか距離をとる。

緊張感を保ちつつもふっと息を吐いていると、今度は相手からオープンチャンネルで通信がはいってきた。
「なるほどねぇ。なんでV.V.が私に頼んだのかわかったわ。彼じゃあなたに勝てないもの」
先程は気づかなかったが、乗っている相手は女だった。
しかし、カレンにとってそんなことどうでもよかった。『彼』でないのなら相手など関係ない。
「V.V.?違う。彼の名前はライ。V.V.なんて名前じゃない!」
「ライという人物は死んだの。今の彼は神聖ブリタニア帝国、第99代皇帝『V.V.』よ。
あなたの望む人物はもうこの世にいない」
カレンが大声で叫ぶ。その事実を否定するために。
「そんなことない!私が彼を取り戻す!!だから…」
紅蓮の右腕に赤黒い光が集約されていく。
「そこをどけぇええええ!!」
放たれる輻射波動。だが、クラブはいとも簡単にそれをかわす。まるで、輻射波動がどのタイミング・場所に発射されるか
「わかっていた」かのように。

攻撃を回避後、マリアンヌも声をあげる。彼女にも譲れないものがあった。
「いいわ。だったら教えてあげる。彼がどれほどの想いで戦っているのかを!」
クラブは二対のMVSを構え、青き翼を広げ、紅蓮はその右腕に全てをのせ、赤き翼を展開する。

蒼と紅。二つの閃光が空を支配していった。


870:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:28:15 QKZURRop
しえん

871:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:29:08 ebS4BVn0

後にこの戦いは、A fight of the lie King―偽りの王の戦い―と呼ばれ、
黒の騎士団とコーネリア軍、ナイト・オブ・ラウンズの
反帝国軍に2度目の大打撃をあたえる結果となる。


なぜ、白き王「ライ」は自らをV.V.と名乗り、戦争を起こしたのか。
そもそも、ルキアーノ・ブラットリーとの戦いで死んだ彼がなぜ生きているのか。

それを知るには、時計の針を半年ほど遡らせなければならない・・・



872:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:29:39 QKZURRop
しえん

873:ポタラ ◆8QavxK4RXU
08/11/04 01:30:55 ebS4BVn0
以上で終わりです。
すいません。最後のミスで、6レスになってしまいました。
ナイトオブラウンズのカレンとクラブ・アルビオンを早く書きたかったので投下できてそこだけは満足です。
支援ありがとうございました!!



874:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:34:47 3I7lBoNk
GJ、お疲れ様でした。

えー容量が規定に達しましたので新スレ建ててきます。

875:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 01:38:11 QKZURRop
 ポタラ卿GJでした
 なにやらいきなり話が飛んで最終回付近まで来ているのに吃驚しました
 マリアンヌやビスマルク等原作では死んでいるキャラも出てきて次回の
 展開が読めません、とても楽しみです、卿の次回の投下を心よりお待ちしています


ところでこのままだとライがルルーシュやナナリーを我が子と呼ぶ日が来るのでしょうか?
 DS版を想像した私はダメな人です

876:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/11/04 01:43:32 3I7lBoNk
建設完了でございます
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31
スレリンク(gal板)

テンプレちょっと変更させていただきました。
31スレまでに保管庫に文言乗せたかったのに……急がないと。

877:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 02:05:11 STwjSKdV
>>873
ポタラ卿、乙でした!
過程を! もっと過程を!
凄まじい展開に私の頭の理解が追い付いていない気がする。
あと、散っていった人達の死亡フラグに吹いたのは私だけですか、そうですか。
続きというか前というか、とにかく大変気になります!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

878:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 02:07:33 STwjSKdV
っと
>>876
乙でした!

879:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 08:15:26 vkEVJcmn
>>876
O.2.!


880:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 11:37:51 C4Nn6xkV
>>876乙です
ポタラ卿、大変わくわくする内容ですな!
期待して待ってます

881:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 18:02:55 iAZc0KVi
469KBですので誰か次のスレ立てる準備をしてくだされ。私はこれからバイトに行くんで

882:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 18:09:28 EZuewF/O
>>881
立ってますよ。

883:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 18:43:53 q1Lp8Y/c
>>881
トーマス卿が勃ててくれました

884:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 18:48:59 q1Lp8Y/c
883の誤字はスルー推奨orz

885:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 18:55:47 zWrB0M6Y
■埋め埋めSS(ハロウィン)■
 埋めるにはまだ早いかなーと思いつつ、新スレはたってるんだし動きもないようなので投下してみる。
本文2.5レスの小ネタです。
 ハロウィンに向けて賑やか平和萌え話を書いていましたが、到底間に合わない事に気付き、
その中から捨てるつもりだったネタを拾って短いのを書いてみた。
……それでも当日中には間に合わなかった。
 そして書く前から微妙だと思っていたネタは、書いてみてもやっぱり微妙だった。
 そんなイタいSSですが、まあ、穴埋めにならいいかーと投下してみる。
軽ーく読み捨ててください。

 でも、注意書は必読なんだからね!
読まなくて、嫌な思いしたって自業自得なんだからっ!

■注意■
・虫注意!
・微グロ注意!
・強引落ち注意!
・想像力は控え目に!

■よいことライのやくそく■
(ひ)危険を感じたら3レス目は飛ばせ!
  締めの文ものってるけど、そんなの気にするな!

886:■にんげんっていいな■1
08/11/04 18:59:32 zWrB0M6Y
 せっかくのハロウィンだからと、お祭り好きの会長を擁する我が生徒会は、
ティーパーティーを催す事になった。

「今日は、ナナリー様に手伝っていただいたんですよ」
 ポットを手にした咲世子さんがそう告げると、室内は、俄然賑やかになった。
「どれ?どれよ?」とリヴァルが騒ぎ、「すごいや、ナナリー!」とスザクが誉め、
「ナナちゃんえらーい!」とシャーリーが感嘆の声をあげて、
「頑張ったね、ナナリー」とルルーシュが優しく微笑む。
「スコーンとガトークラシックです」
 注目が集まるテーブルの前で、にっこりと笑いながら咲世子さんがリヴァルの問いに答えた。
どちらも、とても美味しそうだ。
「そんな……お手伝いした内に入りません。スコーンは生地をこねただけですし、
 ガトークラシックに至っては仕上げの粉砂糖をふっただけです」
 謙遜するナナリーを、皆が口々に誉める。
「スコーンの生地って、バターと粉をなじませるの結構大変じゃなかった?意外に疲れるのよね」
 僕にとっては、カレンがスコーンを作ったことがあるのが意外だ。
「凄い、です。美味しそう」
 言葉少なだけど、普段はあまり積極的に発言しないニーナにとっては最大の賛辞だと思うよ。
「綺麗に焼きあがっている。スコーンは素朴な焼き菓子だが、シンプルだからこそ奥が深い。
 初めての作ったとは思えない出来上がりだよ、ナナリー」
 立て板に水でベタ誉めのルルーシュ。確かに綺麗に焼き上がっているけど、……君って本当にシスコンだよね。
「すごいや、ナナリー!」 待て、スザク。それ、さっきも言ってなかったか?いや、らしいんだけどね。
「でも、本当に咲世子さんの言う通りにしただけで……、大したことはしていないんです」
 誉められて気恥ずかしいのか、うっすらと頬を染めたナナリーはとても可愛らしかった。
「ナナリー様はとても筋がよろしくて、すぐにコツを飲み込まれました」
「咲世子さん……っ!」
 ナナリーは咲世子さんの言葉にますます顔を赤くする。
「ちょっと、ライ。貴方は何か言うことないの?」
 ミレイさんに促されて、僕もナナリーに言葉を告げた。

887:■にんげんっていいな■2
08/11/04 19:02:31 zWrB0M6Y
「綺麗にできてて、どっちもすごく美味しそうだよ。
 チョコレートケーキの模様も、くっきり浮かんでいていいね」
「ありがとうごさいます。ライさん」
 誉められ過ぎてばつが悪かったのか、少し緊張していた表情が緩んだ。
緊張した顔より、笑顔の方が何倍も可愛いと思う。
「模様ねえ……」
 ミレイさんがポツリと呟いた。
どうかしたんですか?ミレイさん?
ハロウィン向けのお菓子に蜘蛛の巣模様は定番ですよね?
別にそんな複雑そうな表情をする理由はないと思うんですが?
「ねえ、咲世子さん。どうしてこの型で焼いたの?普通に大きなラウンド型でもいいじゃない?」
 ああ、形の方ですか。
確かにハロウィンにしては可愛い感じかもしれないと、僕は改めて四ツ葉の形に並べられたケーキを見た。
「昔の癖で、つい……。やはり、変でしょうか?
 気が付いた時には既に焼き初めていたものですから……」
「うーん?変ってほどでもないけど、ちょっとシュールよね」
「……?そうですか?」
 咲世子さんは不思議そうな顔をした。
僕も不思議だ。
確かにハロウィンにハート型は可愛すぎるかもしれないけど、シュールってことはないんじゃないかな?
「ミレイさん、何がシュールなんですか?」
 こっそりと、咲世子さんやナナリーに聞こえないように聞いてみる。
「え?判らないの?」
「はい」
 判らないのが意外という顔だ。でも、本当に判らないのだから仕方がない。
「ハートは愛情をあらわすでしょう?」
 僕はゆっくり頷く。
「そこに蜘蛛の巣ってちょっとエグくない?しかも、今回はハートを半分にカットして食べるわけだし……」

888:■にんげんっていいな■終
08/11/04 19:07:13 zWrB0M6Y
「???」
 すみません。判りません、ミレイさん。
ハート型をカットっていわゆる失恋?でも別にエグいとまでは思いませんけど……。
「……男の子には言いにくいんだけど、その、蜘蛛って命がけじゃない?色々と」
 色々?何が?
「蜘蛛って交尾に失敗すると雌が雄を食べちゃうでしょ!文字通り!
 もー!女の子にこんなにこと言わせないでよ!」



 ─その日、僕は人間に生まれたことを感謝した。ていうか、ミレイさん!
蜘蛛の巣模様一つで、そんな突飛な発想しないでくださいっ!!


■めでたし、めで……たくねーよっ!■



 微妙なネタは埋めに投下するに限るよね……。
今回はまだ、ちょっと早い気がするからビクビクものだけど。

 最初はもう少し生徒会メンバーの様子とか、ナナリー萌えーな感じとか、引きの演出なんかも
ねっとり書くつもりだったけど、こんなオチのSSでナナリーカワユス!を主張してもなーとか、
強引では無くなるけどグロい想像を喚起するようなのはやめた方がいいよなーと思ってこの形に落ち着きました。
生徒会メンバーには一通りしか触れてないし、入れる必要あるのかって感じですが、
元々はまったり平和な、ささやかで、欲張りな日常が書きたかったので……。
(「ヒカリ」良かったよね!ロスカラ好きとしては、あそこにライいたらって思うよね!?)
 ぬるいから大丈夫だとは思うけど、もし気分悪くなっちゃった想像力豊かな方がいらっしゃったらすみません。

 それでは、またノシ
次はマトモなネタを投下したいです。

889:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 20:26:29 auDjvqvq
<<888
想像してしまった・・・。

890:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 20:37:43 STwjSKdV
>>888
乙……でした……
……カマキリは成功したら食べられちゃうよね。
うん、タイトルの意味を言葉ではなく心で理解した。
……とりあえずテンション上げよう!
ナナリー、凄いよ、ナナリー!
そして可愛さが半端じゃない!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

891:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 20:43:17 3I7lBoNk
>>888
最初の注意書きが念入りだったので、どんなに凄まじい描写があるのかとドキドキしながら読んでいきましたが、
とってもソフトな感じだと思いましたよ。(てっきり、井上さんがライを食べてしまう話クラスのものを想像したのだが…)

ランボー4を観て麻痺しているのかしらん?

892:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 21:01:46 kpZjVXvC
>>888
乙!
え、そんなに怖い想像にはならなかったよ? 覚悟して挑んだせいか、まったく平気でした!

ついでに埋めSS投下します。2レス
・ライナナ
・正しい意味でヤマなしオチなしイミはなし
・一期の黒の騎士団ルート前提でまったり
・ナナリー誕生日SSの没ネタをリサイクルだZE

893:夜、薫る 1/2
08/11/04 21:02:58 kpZjVXvC
 秋のお茶会の賑やかだ。瑞々しい旬の果実、暑さを離れて使用されるようになったオーブンから取り出
される焼き菓子、ティースタンドに溢れるようなお供を載せて、主役となるのは最高の季節を迎えたセイ
ロンの茶葉だ。
 兄が手ずから淹れた紅茶を一口飲み、ナナリーはにっこりと笑みを浮かべた。
 二杯目はミルクティーで、砂糖を少し。何度も席を共にするうちに僕も覚えてしまった。ナナリーに
好き嫌いはないけれど、特に好きなものはルルーシュが把握している。切り分けるケーキが他より少し
大きかったり、特別な日に食卓に上ったりする。ささやかな変化の積み重ねで僕はナナリーを知っていく。

 日は沈み、風に当たりたいと言ったナナリーに付き合って、僕はクラブハウスを出た。
 過保護なルルーシュはあれこれと僕に細かく注意し、最後にすごい目で睨んだ。ふんわりと肌触りの
よい膝掛けを持って彼女の車椅子に駆け寄るとナナリーは小さく笑った。
「心配症なんです。お兄様は」
 どうやら先ほどのやり取りはすべてばれていたようだ。視線を合わせるためにナナリーの前に屈むと、
彼女は慰めるように僕の髪を撫でた。ナナリーは時々、何もかも分かっているんじゃないかと思うことが
ある。僕やルルーシュがしていることも、カレンやスザクが秘密にしていることも。彼女の前では隠し事
なんて無意味なことに思える。
 閉じられた瞳よりも触れる指先で彼女は世界を識る。

894:夜、薫る 2/2
08/11/04 21:06:55 kpZjVXvC
 夜の庭へ僕たちはゆっくりと歩きだした。厳しかった残暑も十月に入れば気配は遠くなり、人も動物も
少しずつ到来する冬への準備を始める。虫の声に耳を澄ましていると、ふわりと鼻先を甘い匂いが掠めた。
「あ、金木犀……。もうそんな季節なんですね」
 匂いの正体をナナリーは僕に教えた。ナナリーの示す方向へと足を進めていくと、オレンジ色の小さな
花が地面に星を撒いたように散らばっていた。
 昼間にも同じ場所を通っていたはずだが、僕は気が付かなかった。夜の方が強く香るのだろうか。
 それともナナリーが一緒に居るからだろうか。

 ざわりと風が木を揺らして、星のような花がまた落ちてきた。ナナリーの髪にも花が絡む。
「ナナリー、髪に」
 僕は声をかけてからそれを取ろうとしたが、白いてのひらに止められた。
「そのままでいいです。―いい香り。お兄様にも教えてあげたい」
 闇の中に金木犀の香りは一層強く立ち上った。



-----------------------------------------
以上で終了ー。
そろそろロスカラ2の制作発表でも出てこないもんかなと期待しつつ。

895:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 21:33:13 zWrB0M6Y
 「注意書は過剰なくらいがいい」派なので、逆方向で期待した方がいたらすみません。
大丈夫な方より、駄目な方に配慮した方が良いと思うのですよ。

 カマキリもクモも実際には成否はあまり関係ないみたいです。
何回かは成功していて、体力が落ちてきたところで……という場合もあるようですね。
まあ、中には必須条件な種も存在するようです。肉食の虫コワス。
でも、逆に猫だとメスは毎回相当痛いらしいので、その辺はお互い様ということで……。
(痛みの刺激で排卵するので必須で、しかも一回で排卵するとは限らないらしいです)



>>894
 キンモクセイの描写が、タイトルも含め詩的で好きです。
視力が悪いせいか、目にとまるより香りで開花に気が付くことが多いので、妙に共感できました。
ケーキの大きさとか髪に落ちた花の行には、ナナリーとルルーシュが
互いを思う気持ちが感じられて、ほっこりしました。
傍らで見守るライとも、時間が積み重なっていく感じがして、
この穏やかな時が少しでも長く続くことを願わずにはいられません。
優しいSSを読ませていただき、ありがとうございました!

896:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/04 21:47:39 STwjSKdV
>>894
GJでした!
あれ? 涙が出てる。
何故だろう、少しも悲しく無い、そして口元が緩んでるのに……
読んでいて微笑みを与えてくれる
心の暖まるSSをありがとうございました。
貴方の次の投下を全力を挙げて待たせていただきませう。


>>895
何回か読み返してると、ライを食べるナナリーという非常に愛らしい光景が浮かんできました。
……俺は何を言ってるんだ?

897:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 01:26:34 MJz8avov
>894
やわらかで、詩情のあるすてきな小品ですね。
>ささやかな変化の積み重ねで僕はナナリーを知っていく。
いいフレーズだなあと思いました。
日常の積み重ねが宝物であるライの状況を思うと、とても沁みます。

898:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 07:04:35 HvdHw9Ws
そろそろ埋めますか?

899:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 07:11:47 M+fxJr8R
いいですね

900:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 07:20:02 M+fxJr8R
埋め

901:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 07:27:04 X7Be0133
埋め

902:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:12:56 3jMYFeeK
埋め

903:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:14:50 3jMYFeeK
埋め

904:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:18:01 3jMYFeeK
埋め

905:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:19:34 3jMYFeeK
埋め

906:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:21:03 3jMYFeeK
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907:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:22:31 3jMYFeeK
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908:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:23:31 3jMYFeeK
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909:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:24:53 3jMYFeeK
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910:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:28:21 3jMYFeeK
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911:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:29:09 3jMYFeeK
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912:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:31:12 rBp/ibj3
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913:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:31:47 rBp/ibj3
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914:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:34:00 rBp/ibj3
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915:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/05 08:34:41 rBp/ibj3
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