08/11/01 23:23:44 TvBOydZM
―彼の強運を信じるしか無いわね。
そう意を決したカノンは、後にこの時の自分の決断を後悔する事となるのだが、彼に対して―お願いするわ―と告げた後、
―これは個人的な事だけど―と前置きをした後、もう一つの頼み事をする。
「潜った際にライという人物ついて何か分かれば、それも引き上げてくれないかしら?」
これがカノンがシュナイゼルからの信頼を得た一面でもある。
何よりも、シュナイゼル自身は天才と呼ばれる部類の人間であり、そんな彼に対して、ただ従うだけの人間では、信頼を得る事など不可能なのだ。
主君の命には絶対忠実。ただし、必要に応じて独断で行動を起こす事もある。
全てはシュナイゼルの為であり、その為ならば例え意に反した事だろうと行う。
それが結果として主を、強いては帝国を助ける事となった事は多々ある。
「ライ?それは誰だ?」
「特一級の人物だとしか言えないわ。それと、その名前は口外無用よ?」
自身の内に未だに拭えぬ不安感を払拭するかの如く、ワザと戯けた様子で口元に人差し指を当てて釘を刺すと、男はそんなカノンの仕草を見て苦笑しながらも静かに、しかし力強く答えた。
「Yes, My Lord」
信頼する男からの頼もしい言葉に、カノンは最後に妖艶な笑みをもって答えた。
しかし、これがカノンが見た彼の最後の姿となった。
三日後、カノンの執務室の電話が鳴ると、電話口より男の声が流れた。
「国是には……触れるな」
今にも消えてしまいそうな声で、男はカノンにそう伝えた後、電話は途切れた。それがカノンが聞いた男の最後の言葉となった。
全ての役者は出揃った。歯車はその速度を増して行く。
コードギアス 反逆のルルーシュ L2 ~序章~ 完
―――――――――
694:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/01 23:24:20 pjK9NCKg
支援
695:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
08/11/01 23:25:56 TvBOydZM
次回予告だそうです。投下しますか?
→はい
いいえ
銀色の仮面が笑う。
『租界外縁部ニ出ス……カ』
それは罠。
「はい。食い付く可能性は、現時点では最も高いかと」
だが、そうと分かっていながらも、彼女達はそこに飛び込むしかない。
「ライ、私達に力を貸して」
一世一代の作戦。
「ルルーシュ、迎えに来た。私は味方だ」
獅子の牙をすり抜けて、それは成功する。
「思い出した。俺は……俺が、ゼロだっ!!」
再び目覚めた漆黒の魔神。
「C.C.……あいつは、ライはどうした?」
当然とも言える問いに、魔女は言葉を濁す。
「何故此処に居ない?捕まっているのか?」
目覚めたばかりの魔神は、苛立ちを隠す事無く問い掛けるが―
「……あいつは死んだ」
返って来たのは信じたくない言葉。
「あいつの分も、俺は……俺はっ!!」
左腕を失った魔神の反逆が始まる。
「面白くなりそうだな」
迎え撃つは、灰銀色の若獅子。
次回 コードギアス 反逆のルルーシュ L2
~ TURN 01 魔神が目覚める日 ~
696:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/01 23:27:02 pjK9NCKg
支援
697:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
08/11/01 23:29:55 Ps2ZSZdY
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
最後に猿が出たけど、終了宣言の時で良かった……。
698:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/01 23:35:49 cEJtcqRC
シュナイゼルはギアス済みかww
GJでした次回も楽しみに待ってます
699:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/01 23:43:54 pjK9NCKg
ライカレ厨卿、GJ&乙でした
ラウンズたちの会話に和みましたが後半の急転直下振りが凄いです。
あのルキアーノを一蹴し恐怖すら抱かせるライの静かなる狂い方の表現が凄かったです、
屈辱を味合わされたルキアーノは今後ライにどのように絡んでくるのでしょうか、
このまま黙っているキャラでは無いですからね。
とまれ次からは本編に入るようですのでが続きに期待させていただきます
700:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/01 23:48:08 wuMgeRX8
>>697
乙&GJです。ライの狂気がひしひしと伝わってきました。
さてこれからどうなるか、続きをお待ちしてます。
さて、0:00頃から久しぶりに投下します。
本文・あとがき合わせて14レス分あります。
701:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:00:06 GhkM9Xpl
>>697
ライカレ厨卿、GJでした!
シュナイゼルには既にギアスがかけられており
生身の戦闘でテンさんを圧倒するライ。
しかしながらイイ具合に狂気が滲み出てますね。
次回予告が想像をどんどん膨らましていきます!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
702:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:03:57 wuMgeRX8
ではそろそろ投下します。
作者:余暇
タイトル:てるてる坊主
カップリング:ライ+C.C.
ジャンルはほのぼの、かな?
あとがきも含めて14レスあります。
703:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:04:59 GhkM9Xpl
支援
704:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:05:13 pWg0CuBe BE:1122172984-2BP(0)
sien
705:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:06:18 wuMgeRX8
『てるてる坊主』
アジトのラウンジで休憩中、玉城が部屋に入ってきた。彼の体は雨に濡れていた。
「あーあ、やんなっちまうぜ。いつまで降り続く気なんだよ。」
タオルで頭を拭きつつ、玉城が愚痴をこぼす。今日でもう四日目だろうか、このところずっと雨が降り続いていた。
カレンから聞いた話だと今は梅雨と呼ばれる時期で、一年で最も雨が降りやすいそうだ。
「でも今は梅雨なんだろう?雨が降って普通なんじゃないのか?」
「そりゃそうだけどよぉ、たまにはお天道様の光でも浴びねえと体がふやけちまいそうだぜ。お前だって毎日ジメジメした中を動きたくねえだろ?」
「うーん、確かにそうだな。布団も湿気を含んで気持ち悪いし、窓を開けたら雨が部屋に入ってくるから空気も入れ換えられない。」
玉城の言うことも一理あるな。恵みの雨ならまだしも、こう何日も降られると気持ちが沈みがちになる。そろそろやんで欲しいかも。
「あーあ、早くやんでくれねえかなあ。」
「それは僕も同感だ。でもこういうのは自然任せで、僕たちに何かができるわけじゃないしな。」
「そうだな、せいぜいおまじないとかその程度だな。」
おまじないか。迷信かもしれないが、何もしないよりはましかも。
「なあ、玉城。そのおまじないにはどういうものがあるんだ?僕は記憶がないから何も知らないんだ。良かったら教えて欲しい。」
「ああ、そうだな。雨がやむおまじないといやあ……。」
何か言いかけた玉城が、その動きを止める。
(何も知らねえってことは……。ククク、少しこいつで遊んでみるか。)
何だ、玉城が不敵な笑みを浮かべている。何を考えているんだ。
706:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:06:55 pWg0CuBe BE:1963803078-2BP(0)
sien
707:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:08:43 wuMgeRX8
「実は、日本には『てるてる坊主』という習慣があるんだ。」
「てるてる坊主?何だそれは?」
「家の軒下に人を吊るして、そいつが雨がやむよう一心不乱に祈るんだ。」
「軒下に人を吊るす!?」
僕は驚いた。たかがおまじないで、そこまでしなきゃならないのか?
「しかもそれをするのは、一家の長または組織の重要なポストに就いている男だ。
雨の神を説得するには、それなりの地位にいる者でないと神に対して失礼であるという言い伝えもあるほどだからな。」
「そ、そうなのか。でもそれだと、黒の騎士団ではゼロということにならないか?彼も一応男だぞ。」
そう。黒の騎士団のリーダーはゼロ、つまり彼がてるてる坊主になるということになる。ここで仮面にマント姿のゼロが、軒下に吊るされる姿を想像してみる。
……シュールだ、これはあまりにもシュールな光景だ。いや、誰がやっても一緒か。
「いや、重要なポストにさえ就いていれば、必ずしもトップである必要はない。だから作戦補佐であるお前でも問題はないぜ。
いやむしろ、お前の言うことなら雨の神だってすんなり聞き入れてくれると思うぜ。何しろお前は、フラグ一級建築士だからな。」
「フラグ?建築士?何だそれは。」
「まあ気にするな。とにかくやってみろよ。そんでもって、さっさとこの雨を上がらせてくれよ。なっ、頼むよ。」
玉城が僕の前で手を合わせる。「頼む」と言われても、そんなことをして本当に効果があるかどうかわからないし、僕だって上から吊るされるのは決して気分のいいものではないが。
「ん?そんな所で何をしているんだ?」
僕が悩んでいると、C.C.がラウンジに入ってきた。
708:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:11:07 2/dqQwm8
「おっ、いい所に来てくれた!お前からもライを説得してやってくれよ!」
「説得?何の話だ?」
玉城がC.C.に近寄り、そっと耳打ちする。すると彼女がニヤッと笑った。
「ほう、それは面白い。よし、私に任せろ。」
「よし、頼むぜ。」
二人がヒソヒソ話を終えた後、C.C.が真剣な眼差しで僕を見た。
「ライ。お前は作戦補佐として、部下に心意気を見せねばならん。」
「こ、心意気?」
何故急にそんな話になるんだ。
「雨は人の心を陰鬱にし、気力を低下させる。そんな状態で戦闘を行っても、ブリタニアに反逆できると思うか?いや、無理だろうな。」
何だか話が大きくなってきた。まさか反逆の話になるとは思わなかった。
「だがゼロの場合、悪天候をむしろ喜びそうだが?それを利用した作戦もお手の物だろうし。」
「あのな、今私がしているのは、あの童貞坊やの話ではない。一般隊員の気持ちになってみろ、こんな雨続きの中で気分が高揚すると思うか?」
「だがいざ戦闘になればそんなことも言っていられないし、みんな本気になってくれると僕は信じている。」
「むう、至極もっともなことを言いおって。本当にかわいげのない男だ。」
C.C.が不機嫌そうに頭を掻いた。やはり彼女も、雨続きでストレスがたまっているのだろうか。
709:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:12:23 /PaThSSN
支援
710:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:14:33 2zTO2zef
支援
711:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:14:39 2/dqQwm8
「お前の言い分ももっともだ。だが組織を引っ張る立場のお前が体を張れば、下の者はそれを意気に感じ、なお一層励んでくれるとは思わんのか?
そして組織の団結力がアップすれば、ゼロの進む道も切り開きやすくなる。ゼロの片腕ならば、それくらいやってみせろ。」
C.C.が一気にまくし立てる。確かにそうかもしれない、そうかもしれないが……。ダメだ、哀愁漂うゼロが軒下に吊るされる光景が頭に浮かんでくる。
このシュールな光景の主役が僕になるなんて、考えたくもない。
「それに、これがきっかけで記憶が戻るかもしれんぞ?記憶探しの一環だと考えれば、たやすいものだろう?」
「………!」
そこで記憶を持ち出すのか、君は。僕が「記憶探し」というキーワードに弱いのを知っているくせに。とても何かを思い出すとは思えないのだが、万が一ということもある。
それに、本当に団員の士気向上につながるのであれば、ここは作戦補佐として恥を忍ぶのも大事かもしれない。そうなれば、結論はただ一つだ。
「わかった。少し恥ずかしいが、記憶と黒の騎士団のためだ。やってみよう。」
僕は決心して、ソファから立ち上がった。
(よっしゃ!いいぞC.C.!)
(ふっ、私は魔女だぞ?少々手こずったが、これくらいはお手の物だ。)
玉城とC.C.が何やらアイコンタクトを取っているのが気になるが、決めたものは仕方がない。とにかくやるしかないだろう。
「なあ、二人とも。具体的にどうすればいいのか僕にはわからない。色々教えてもらえないか?」
「ああ、協力するぜ。そして見事に雨を退散させてくれ。」
「お前の雄姿、この目で見届けてやろう。」
こうして、僕は二人の協力のもと、てるてる坊主になることとなった。
712:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:15:27 2zTO2zef
支援
713:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:17:32 2/dqQwm8
「………。」
そして僕は今、アジトの近くにあるビルの軒下に吊るされていた。体を覆う大きな白い布、胴体に括りつけられたロープ、どこからどう見ても僕はてるてる坊主…なのだろうか。
「うむ、どこからどう見てもてるてる坊主だ。」
「自信持てよ、ライ。結構イケてるぜ。」
C.C.と玉城が僕を後押しする。「イケてる」と言われても、こんな姿で風に吹かれて揺れているのは、どう考えてもおかしいのだが。これで本当にいいのか?二人に言いくるめられていないだろうか。
「さて、それでは祈りを捧げてもらうか。」
そんなことを考えていると、C.C.が話を進めだした。
「祈り?」
「そうだ。雨がやむよう、祈れ。玉城に言われただろう?一心不乱に祈るものだと。だからお前もそうしろ。」
「祈れったって、どうすればいいんだ?」
そうだ、僕は祈り方なんて知らない。一体どうしろって言うんだ。
「よし、ではまず俺が手本を見せてやる。よく聞いておけよ、大事な呪文だからな。」
玉城は一つ咳払いをすると、大声で叫んだ。
「おおー、あーめよー、やみーたまーえー♪」
シンプルな祈りの言葉だ。だがやはり恥ずかしいぞ、それは。
「さあ、言え。」
妙にニヤニヤしながら、C.C.が言う。
「あ、あのさ。恥ずかしいし、よくわからないから、最初は二人も一緒にやってくれないか?」
「ふっ、残念だがこの祈りは男性限定…」
「よし、いいだろう。俺たちも協力しよう。」
「何だと?」
僕の願いを拒否しようとしたC.C.の言葉を遮り、玉城があっさり受け入れてくれた。もちろんC.C.が不機嫌そうな顔になったのは、言うまでもない。
僕としては玉城の返答は嬉しいが、彼女を怒らせたのは得策ではないぞ。
714:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:19:37 2zTO2zef
支援
715:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:21:20 2/dqQwm8
「おい、貴様。私にあんな恥ずかしいことを言わせるつもりか?随分といい度胸をしているではないか。」
低い声で、C.C.が玉城を威圧する。明らかにご機嫌斜めだ。
「べ、別にいいじゃねえか。そんなに長くはならねえよ、こいつが慣れてきたら俺たちはやめるから。」
「そういう問題ではない。私はこいつをからかったら面白そうだから、貴様に付き合っただけだ。そんなくだらんアドリブに私を巻き込むな。」
「お、おいっ!」
C.C.の言葉に玉城があわてた。「からかう」、「アドリブ」、それらの単語から真相が見えてきた。もしかしたらとは思っていたが、やはりか。
「玉城……。」
僕が呼びかけると、玉城はビクッと体を震わせ、ゆっくりとこちらへ視線を移した。
「騙したんだな?そしてずっと僕を見て遊んでいたのか。」
「い、いや~、ばれちまったか。けどよ、結構楽しませてもらったぜ。じゃ、じゃあな!」
玉城はあわてて逃げだした。
「あ、こら待て!せめて縄をほどいて…って何をしているのかな、C.C.?」
気がつくと、C.C.が後ろから僕の体を思い切り引っ張っている。ちょうどブランコを引っ張って勢いをつける要領で…って、まさか!
「よーし、行ってこーい。」
「こ、こらー!」
セリフ棒読みのC.C.が、勢いよく僕の体を玉城目がけて押し出した。僕はグルグル回転しながら、玉城に体当りをした。
「ごはぁっ!」
玉城は勢いよく吹き飛び、視界から消えた。そして僕は相変わらず回転しながら、前後に揺れていた。うぅ、何だか気持ち悪くなってきた。
「ふむ、なかなかの威力だな。」
「……どういうつもりだ、C.C.?人の体を何だと思っている?」
「ああ、お前が玉城に『待て』と言うから、足止めをする手伝いをしてやっただけだ。もっとも、吹き飛んで姿も形も見えなくなったがな。」
もう少し文句を言ってやりたかったが、目が回って気持ち悪かったため、これ以上何も言う気にならずにただ揺られていた。
716:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:23:23 2zTO2zef
支援
717:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:25:31 2/dqQwm8
しばらくすると、ようやく揺れが収まって視点も定まってきた。まだ気持ち悪いが。
「なあ、頼む。このロープをほどいて降ろしてくれないか?」
だがC.C.は、何も言わずに僕を見ている。彼女の性格を考えると…アレか、アレをご所望なのか。僕はため息をつくと、彼女に告げた。
「わかった。ピザのLセットを頼もう、これでいいな?だから降ろしてくれないか?」
するとC.C.はニヤッと笑った。
「よくわかっているではないか。私に指摘される前に先手を打つとは、少し見直したぞ。だが残念だったな、まだお前を降ろすわけにはいかん。」
「……何故?」
「まだ雨が降っているではないか。お前はこの雨がやむまで降りることはかなわんぞ。」
C.C.から飛び出したのは、少し意外な言葉だった。
「あれ?てるてる坊主が人を吊るす行為というのは、嘘ではなかったのか?さっきの祈りの言葉がでたらめというだけか?」
「いや、人を吊るすわけがないだろう。本当は布やティッシュで作った人形をてるてる坊主と呼ぶ。軒下に吊るすのは本当だがな。」
やっぱり嘘じゃないか。最早僕が吊るされている理由などどこにもない。
「C.C.、今すぐに僕を降ろせ。何ならピザをもう一枚追加してやろうか?」
「言っただろう、まだ雨がやんでいないと。今のお前はてるてる坊主だ、布の代わりに人で作った大きなてるてる坊主だ。もし拒むなら、この状態のまま回転させてやろうか?
酔って苦悶の世界でのた打ち回りたいなら、希望通りにしてやるぞ?」
「……いえ、おとなしくてるてる坊主の務めを果たします。」
「お前は物分かりが良くて助かる。最初からそうすればいいんだ。ああ、ピザの件は忘れるなよ?」
やっぱりピザは食べる気なのか。だがグルグル回されてはたまらないので、僕は何も言わずに雨がやむのを待つことにした。
718:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:25:38 s2CGuwFY
支援!
719:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:29:03 2/dqQwm8
それからしばらく過ぎたが、雨はまだやむ気配がなかった。
「おい、てるてる坊主。務めはどうした?一向にやまないではないか。」
「いや、そう言われても。そもそも、どうすればいいのかわからないんだが。」
本物のてるてる坊主は人形だし、仮にこの場に本物がいたとしても、「どうやって雨を止めるのか教えて欲しい」なんて尋ねることもできないし。
それ以前に、おまじないとは非科学的なものじゃないか。それで天候を変えられるなら、誰も苦労しない。
「まあ私にもわからんし、所詮はまじないや迷信の類だというのは知っている。だが、お前にただ何もせずに黙っていられては、私の退屈しのぎにならんだろう。
だから雨雲を説得するなり何なり、何か面白いことをしろ。」
「……君の退屈しのぎのために、僕はこんなことをさせられているのか?何か他にすることはないのか?ゼロをからかうなり、退屈しのぎなんていくらでも…」
「ダメだ。」
僕の主張を、C.C.は一言で退けた。
「別にあいつに飽きたわけではないが、お前の方がからかっていて面白い。お前の顔を見ていると、どうもいじめたくなってしまうのだ。『好きな女ほどいじめたくなる』というやつだな。」
「僕は男だ、それでは男女が逆じゃないか。それに、『好き』だなんて冗談はやめてくれ。」
「ふっ、冗談か。」
一瞬、C.C.が寂しげな表情をした。
「C.C.?」
「何でもない。ほら、早くこの雨を何とかしろ。日が暮れるぞ。」
またC.C.が僕の体を揺らし始めた。頭が揺れて気持ち悪い。
「わかった、わかったから揺らすのだけはやめてくれ。」
さて、どうしたものだろう。この状態から解放されるには、本当に神頼みでもしなければならないのだろうか。
720:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:29:03 2zTO2zef
支援。ごめん。寝る。あとは任せた。ここまで読んですごい面白かった。明日また感想書く。
721:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:31:33 Rz6WCZF0
支援
722:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:31:34 F1BAodhI
とりあえず支援参加
723:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:31:58 IUYEXcj3
ならば全力で支援を仕る
724:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:32:41 2/dqQwm8
「えーと。もうそろそろ上がって欲しいんだが、何とかならないのか?でないと、僕はいつまでもこの状態のままなんだ。助けると思って、頼む。」
今、僕は雨雲を説得している…つもりだ。自然現象を一人でどうにかできるとは思っていないが、何もしなければまた脳を揺さぶられる。
だから恥ずかしいのを承知で、こうして雨雲に語りかけていた。正直、顔が熱い。
「くくく……。それで頼んでいるつもりか?何と尊大で、上から目線な物言いだ。とても他人に物を頼む行為とは思えんな。おっと、相手は人ではなかったな。」
腹を抱えて、C.C.が笑った。
「それは君にだけは言われたくなかったな。少なくとも、君よりは頼もうという意思は見せたつもりなんだが。」
「ふん。自慢ではないが、私は人に下げる頭など持ち合わせてはいないのでな。」
「本当に自慢にならないな。そして自慢ではないと言いつつ、ふんぞり返っているのは何故だ?」
「細かいことは気にするな、私は気にしない。ほら、早く何とかしろ。そしてもっと私を楽しませろ。」
そう言うと、C.C.がまた僕の体をグルグル回し始めた。
「まっ、待て!わかったから回すんじゃない!」
時計回りに回された反動で反時計回りに回転しつつ、僕は頭を巡らせる。
ていうか、何故こんなことで知恵を絞らなくてはならないんだ。もっと他に使い道があるだろうに。
それからしばらくの間、僕は必死の思いで雨雲を説得した。だが無情にも雨はやまず、僕の心の中に虚しさと恥ずかしさが降り積もるばかりだった。
そしてC.C.は、悪戦苦闘する僕を見てずっと笑っていた。
725:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:33:36 s2CGuwFY
支援
726:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:34:24 IUYEXcj3
sienn
727:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:36:30 2/dqQwm8
「つ、疲れた……。」
一時間ほどたった頃だろうか。ようやく雨が奇跡的にやんでくれ、僕はほっとした。
非科学的なので説得が通じたとは思わないが、少しは努力が報われたと思いたかった。
「おお、やんだではないか。てるてる坊主の務めを果たしたこと、褒めてやろう。とは言え、予報では夕方前には天気が急速に回復すると言っていたがな。」
その言葉を聞いて、僕は愕然とした。
「つまり君はこうなることを知っていて、ずっと僕で遊んでいたのか?」
「だから言っただろう、雨がやむまでの退屈しのぎだと。」
何を詫びるでもなく、C.C.がさらっと言ってのける。羞恥心と戦った僕の努力は何だったんだ、今までの恥ずかしい記憶をすべて消去したい気分だ。
「とにかく、すぐにここから降ろしてくれ。これ以上恥ずかしい思いをしたくない。」
「やれやれ、もう少し見ていたいのだがな。まあいい、十分楽しんだから降ろしてやろう。」
そう言うと、C.C.が僕を縛っていたロープに手を伸ばした。彼女の目線の高さ、僕の腰の上辺りにロープの結び目があり、彼女は僕の後ろから結び目をほどき始めた。
彼女がロープをいじるたびに、僕の体が大きく揺れる。
「むう、揺れるからやりづらい。少しじっとしていろ。」
「無茶を言うな、この状態でじっとしていられるか。」
「本当にかわいげのない奴め。ならば、動きたくても動けないようにしてやろう。」
するとC.C.は前に回り、僕の腰に腕を回して僕の体を固定した。だがその体勢だと、その…当たるのだが、胸が。しかも、絶対口には出せない場所に。
728:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:37:10 3SWggwrT
silen
729:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:37:45 F1BAodhI
支援
730:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:40:30 2/dqQwm8
「ちょっ、C.C.!」
「よし、これなら動けまい。」
C.C.はニヤリと笑い、再びロープをほどき始めた。揺れるたびに、体に柔らかいものが当たる。僕は恥ずかしさのあまり、顔から火が出そうだった。
「あ、あのさ。この体勢は色々とまずいだろう。」
「くくく、恥ずかしがることはないだろう、純情な奴め。これも役得だと思え。」
この人、絶対に確信犯だ。僕を恥ずかしがらせるために、こんなことを。
「よし、ほどけてきたな。……ん?」
ふと、C.C.が動きを止めた。そして僕の顔を見ると、妖しげな笑みを浮かべた。何かまた、ロクでもないことを言われそうな気がする。
「実は少し心配していたのだが、杞憂だったな。安心したよ。」
「な、何の話だ。」
「正直な話、お前は女に興味がないと思っていたのだがな。今、お前が正直に自己主張してくれたおかげではっきりしたよ。やはりお前も男ということだな。」
何だ、さっきから何を言っているんだ。そう言えば、さっきから胸を押し当てられたままだが。……あっ、まさか!
「ふっ、今さら気づいたか。だが照れなくてもいいぞ、当然の反応だ。私も、正直な男は嫌いではないぞ?」
「や、やめてくれ!早くほどいてくれ、これ以上恥をさらしたくない!それと、あまり密着するな!」
僕は少しでも彼女と距離を取るために、彼女の腕の中でジタバタした。
「おいおい、暴れるな。そんなに欲求不満か?」
「ちがーう!!」
結局ロープがほどけるまでの間、僕はしっかりとC.C.の腕に固定されていた。
動物的本能には逆らえない時があるということを、身をもって知った瞬間だった。
731:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:42:05 Wc9/WVOG BE:946833293-2BP(0)
sien
732:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:43:57 2/dqQwm8
「こんなの、あんまりだ……。」
ロープがほどけた後、僕は地面に突っ伏していた。もう、今日あった出来事をすべて忘れてしまいたかった。
「くくく、実に見ごたえのある羞恥プレイだったな。満足した、礼を言うぞ。」
「それもふんぞり返って言うことじゃないな……。」
上から見下ろして僕に話しかけるC.C.に、僕は文句の一つを言う気力も残っていなかった。
そしてC.C.は、何かを思い出すように言った。
「おお、そうだ。さっきので何か思い出せたことはあったか?『実は自分は正真正銘のてるてる坊主でした』とか、『三度の飯より羞恥プレイが好きだった』とか?」
「そんなわけあるか。残念ながらというかやはりというか、何も思い出せていない。」
むしろ変なことを思い出さずに済んで、嬉しいくらいだ。
「むう、そちらの方が面白かったのだがな。まあいい、雨も上がったことだし、今から記憶探しに行くぞ。」
そう言うとC.C.は、僕の手を引っ張って歩き出した。
「記憶探し?これも君の退屈しのぎか?」
「いや、半分はお前自身のためだな。そしてもう半分は、退屈しのぎかな?」
彼女の答えに、僕はため息をついた。
「なあ、君にとって退屈しのぎとは何だ?僕をからかうためのものか、それとも単に退屈だからか?」
するとC.C.は、いたずらっぽく笑いながら言った。
「お前と一緒にいたいから、とでも言っておこうか。」
「……そんなに僕をいじめたいのか。」
「ふっ、今はそれでいいさ。今は、な。」(そんな理由だけで、あそこまでスキンシップを図るわけがないだろうに。どこまでも鈍い奴だ。)
そう話すC.C.の表情は、どこか不満げだった。
ちなみに、雨の中に吹き飛んだはずの玉城は、翌日何事もなかったかのようにケロッとしていた。
曰く、「俺は不死身だし風邪もひいたことがない」とのことだった。
733:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:44:25 3SWggwrT
支援
734:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:46:08 IUYEXcj3
支援
玉城がいうと問答無用の説得力がwww
735:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:47:38 GG5eS8c5
支援
736:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:48:21 2/dqQwm8
翌日、僕はゼロの部屋にいた。雑談をしているうちに、自然と昨日の話になった。
「そうか、そんなことがあったのか。まったく、あの魔女には困ったものだ。」
ゼロは大きなため息をついた。
「しかしお前もお前だ。簡単に玉城たちの口車に乗せられるとは。」
「いや、面目ない。てるてる坊主を知らなかったから、本当にそういうものだと思い込んでしまって。」
そう言いつつ、昨日想像したてるてる坊主姿のゼロが、今目の前にいるゼロの姿と重なった。そのあまりのおかしさに、僕は思わず吹き出してしまった。
「な、何だ!何故私の顔を見て笑う?私の姿が、そんなにおかしいか!」
事情が呑み込めないゼロは、自分の姿を笑われたと勘違いして怒りだした。
「ごっ、ごめん。そうじゃないんだ、てるてる坊主になった君と目の前にいる君の姿が重なって、それがあまりにも…プフッ。ハハハハハ。」
彼には悪いとは思ったが、まさか自分の笑いのツボに入るとは想定外だった。そしてみるみるうちに、ゼロが不機嫌になっていく。
「ええい、腹立たしい!誰かいないか、すぐにライをてるてる坊主にしてやれ!」
すると部屋の扉が開いて、二人分のてるてる坊主セットを持ったC.C.が現れた。
「また雨が降っている。今日は二人がかりで止めてもらおうか。」
「……って待て!何故私までやらねばならん!」
すると、C.C.がゼロの耳元で何か囁いた。
「いいのか?咲世子が書いた、お前とライが出てくるいかがわしい小説の内容を、ナナリーに事細かに話しても?」
「なっ!?や、やめろ、それだけは!」
急にゼロがあわてふためいた。彼女に何を言われたんだ。
「では、わかっているな?」
「し、仕方がない。ライ、付き合え。お前に拒否権はない、これは命令だ。」
「ええっ!?またアレをやるのか、冗談じゃないぞ!」
「うるさい!こんな恥ずかしいこと、一人でやっていられるか!二人でさっさと終わらせるぞ!」
結局僕とゼロは仲良くてるてる坊主にされたが、その日の予報は大外れで、雨は一晩中降り続けた。
そのため、僕たちは一晩中風雨にさらされて風邪をひいてしまったのであった。
737:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 00:50:40 IUYEXcj3
支援
738:余暇 ◆kkvclxzIds
08/11/02 00:52:21 2/dqQwm8
以上です、支援ありがとうございました。
最近ネタが尽きかけで困ってました。いや、ちょこちょこ書いてはいますけど、なかなか納得できなくて。
人間てるてる坊主のヒントをくれたのは、某日常ゆるゆるマンガの辛辣な三女です。
739:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 01:13:24 s2CGuwFY
>>738
余暇卿、GJでした!
てるてるライ……なんかポンチョ着てるイメージが浮かびました。
玉城のノリが何とも言えないw 不死身の玉城、違和感が無ぇwww
C.C.の胸が当たっているのは……うわぁお!
ラストのてるてるゼロは似合いすぎて吹いたwww
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
740:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 01:21:58 F1BAodhI
>738
「よーし、行ってこーい」にやられました。
あの声で再生されます。真顔でライアタックをかますCC。
白と黒のてるてる坊主が吊るされる様は想像するだに情けないw
笑わせていただきました。
741:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 08:22:36 z+Z1Chtf
>>738
絵面がリアルに想像できて笑わされてしまいました。GJです!
あくまで「ゼロ」であって「ルルーシュ」じゃないところもツボですね。
あの演説口調で文句たれつつ吊るされるのかwww
それにしてもギアス世界の腐女子たちの筆力って、どの作品でもパネェw
一度読んでみたいような、激しく読みたくないような…
742:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 11:55:18 uUaTpwNR
>>738
オハヨウゴザイマシタ。
GJ!!何度も噴き出したww
玉城とC.C.の息が合ってるのか合ってないのかわからないコンビが楽しいです。
余暇さんというと、ライカレのイメージが強かったんだけど、C.C.も上手いなぁ!
ゼロのてるてる坊主はシュール過ぎるww
もう一度、GJ!
743:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:04:17 Wc9/WVOG BE:1262445449-2BP(0)
4時15分くらいに投下しようと思います。
まえがき あとがき含めて10レス分あります。
なにとぞ支援の方お願いします。
744:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:07:50 s/X1Adg4
支援・・・、全力で!!!
745:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:15:29 Wc9/WVOG BE:631223429-2BP(0)
ではそろそろ
続編三話目
一応シリアス系でタイトルどおり、騎士団カレンルートから特区日本の失敗ifからの続き。
カプは常にライカレのつもりですが、今回はカレン出てきません。
だいたいライ視点。
本編と違い、ロイドがトリスタンの開発も行ってたりと本編とやや矛盾していますが、そこは暖かい目でスルー願います。
746:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:25:43 Wc9/WVOG BE:526019235-2BP(0)
俺式ロスカラ続編~騎士団カレンルート~ 第3話
今日で輻射波動砲の最後の調整。機体の名前は暁となっているものの、量産する暁のためだけではなく、紅蓮に後付けする飛翔滑走翼の実験も兼ねているため、形としてはグレンに近いものだった。
場所はインド洋沖の無人島で警備の無頼もたったの4機。
現在、ブラックリベリオンでの勝利によりブリタニアの勢いがさらについてきていて、そのため爵位と引き換えに寝返る地方領主などがたくさん出てきている。
そんな中ラクシャータといった特1級戦犯はブリタニアに寝返るのにこの上ない貢ものになってしまうため、研究やシュミレーションは堂々と建物の中で行えるが模擬戦などの試験はとても難しいのである。
なので、前回の飛翔滑走翼の飛行試験同様 襲われたら逃げ場のない孤島でやらざるを得なかった。
カチッと僕がボタンをおすと、鉄の塊は立方体だったのにぶくぶくとふくらみ、湯気をだしている。
「左腕部異常なし。」
そして、人差し指と中指で別のボタンを少しいじり、鉄塊と少し距離をあけもう一度親指で丸いボタンを押し込む、するとすごい広さに輻射波動砲が拡散し、一気にそこにあったはずの塊はぐにゃぐにゃになり地面に赤い水たまりを作っていた。
―すごい………
これが僕の率直な感想。
この起動性とこの火力 ヨーロッパ戦線でのランスロットの戦闘データと比べてテストの段階では性能的に互角以上。
これから先の騎士団に戦力強化とルルーシュ奪還が心踊るくらい楽しみで仕方なくなる。
747:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:30:28 3SWggwrT
sien
748:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:31:26 Wc9/WVOG BE:420814962-2BP(0)
「ライく~んまだテストは終わりじゃないわよ~」
とラクシャータから通信が入ってきた。
「あの白い円の中から500メートル上昇してからもう一度モードチェンジして、あのバッテンの上にある鉄の塊をロックしてから撃ってみてちょうだい。」
「了解」
そう言って僕は暁を上昇させてゆく
しかし、途中で緊急事態を告げる警報が鳴り出した。
どうやら試験の情報が漏れて、ブリタニア軍がこの試験場に奇襲を仕掛けてきたようだ。
そして、すぐに若々しい声の中にどこか揚々とした若干場違いな警告が聞こえだした
「こちらはナイトオブ3ジノヴァインベルグ率いる航空部隊である。エリア11において特1級戦犯にあたるラクシャータの逮捕と、その研究中のナイトメアの放棄が当方の要求である。12時まで待つ。全員武器を捨て降伏せよ。」
「まずいな…」
いくら試験を襲われる可能性があるとしても、ラウンズといったスザクレベルのパイロットまでくるとは想定していなかった。
―ラクシャータと新型の暁が目的にしては高く買いすぎだ、特区日本で死んだ事になってるはずの僕が生きていることを知っているやつがいるのか?
いや、一斉葬儀に参加できなかったスザクですら僕の墓石に花束を送ってきた。
だが、C.C.がルルーシュの安否が分かるように、僕との契約者がまだ教団にいてそいつが、教えたという可能性もある。けれど、それ以前に帝国で僕にそこまで評価をしている人なんていないだろう。
それとも僕は関係ないとしたら、近々ランスロットタイプのナイトメアの量産試験がされるという情報があったので、それの実戦試験という線もあり得る。
現に、飛行型のランスロットのような、サザーランドとは全然違った形の機体がある。それにグロースターの飛行型6機とナイトメアと同じ大きさくらいのフォートレス一機という一個中隊がある。
普通の戦闘機もあるものの、武装の少ない航空機も多々見られた。これらは戦闘記録用の航空機か?
しかしそれではラウンズの事が説明つかない。実戦試験の保険としてラウンズを使ってるという事だろうか?
ラウンズとはそんなヒマ人なのか?
749:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:32:51 3SWggwrT
支援
750:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:35:14 Wc9/WVOG BE:946833293-2BP(0)
わからない。
けれど、グロースターより性能で劣る無頼4機と僕の機体で、ラウンズの航空部隊を相手にしなければならない現状は変わらない。
僕は急いで急降下し、ベースに戻ってからラクシャータさんに先ほど考えた事を伝えた。 けれど、彼女はそんなに焦る訳でもなく、むしろのりのりといった感じだ。自分が作った機体をそこまで買ってくれた事が嬉しくて仕方ないように思えた。
「大丈夫よ~あんたとその子があれば~。ゲフィオンネットも搭載済みだし。
それに、最後に実験するつもりだったのは輻射波動砲弾っていってハドロン砲を輻射波動で再現したようなものなの。
一番負担のかかる拡散型の輻射波動ですら予想を下回る負担しかかからなかったんだから、出力は少し落ちるけど戦力差はすぐに縮まるわ~」
実地試験が実戦試験になったのがとても嬉しいようだ。 僕は補給中の暁先行試作機に乗り込み、作戦を考えた。12時まで、あと3分。僕が出した答えは相手の目的がわからない以上、研究チームはデータの持ち帰りを早急に行わせ、
ガンルゥ2機に研究施設の警護、残りの2機は森林地帯に潜伏させて、僕の援護に回す事にした。この状況で一番効果的なのは強襲である。
僕は12時になる前に敵軍に向けて突撃をかけた。しかし向こうは完全に戦力差で押し切れると考えたのか固まってヴィンセントとグロースターを前におしたてて進軍してきた。
最終試験するつもりだった輻射波動砲弾のボタンをおしてみる。
轟音と共に、赤黒い光の塔が敵の機体を一気に飲み込んでいった。
どうやら固まっていたグロースター4機を一瞬で消し去ってくれたようだ。
すごいな、これで出力が7割か。
751:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:35:59 3SWggwrT
しえん
752:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:37:01 Wc9/WVOG BE:1227377257-2BP(0)
僕は相手が態勢を整えるまえにその場から一気に強襲をかけハーケンを放ちグロースターに命中させる。
その機体を盾にするように回り込み背中のミサイルポットで敵全体に攻撃をかけた後ゼロ距離でコクピットを射撃し最後のグロースターに狙いを定めた。
普段なら、ライがコクピットにゼロ距離射撃などすることはないのだが、今はそこまで余裕がないのだ。
ヴィンセントやあのフォートレスにはミサイルがあたるとは思っていなかったが、牽制にはなったし最後のグロースターを中破させることにも成功した。
あらかじめ距離は詰めておいたので直線的に進み敵機の手前で進路を変えるという動き方でフォートレスの砲撃や巨大ハーケンをなんとかかわし、わずかな射撃とフェイントで森の方に追い込み無頼に留めをささせた。
残りはヴィンセントとラウンズの機体の二機。戦闘開始5分もたたずに敵のグロースター6機を撃破したライと暁0式の活躍に、ラクシャータは歓喜の通信を送ってきた。
「へ~やるじゃんあのパイロット。」
と、この戦場でのトップ 3の文字を背負うジノは楽しそうに呟く。
753:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:38:01 3SWggwrT
支援
754:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:38:23 Wc9/WVOG BE:1578056459-2BP(0)
しかし、ここで海中から敵機の反応があり無頼の反応が一つ消えた。
もちろん海から上陸部隊が上がり、研究施設を抑えようとするのも想定範囲内だったので、すぐさま積み込んでいた特殊な対水中雷撃弾を海中に放ち無頼全機に海岸線へ向かいすでに上陸した部隊を討たせる指示をだした。
目の前には、大型戦闘機とナイトメア。態勢も整っていてこの2つをどうにか離したいが、今度は僕が研究施設を守らなければならないため、動き回るのではなく、正面から攻撃を仕掛けざるをえなかった。
とりあえず、ヴィンセントを狙い、トリスタンの動きを見るつもりで攻撃しようとした瞬間、機体に大きな衝撃が走った。
今まで、飛行機のような機体が人型のナイトメアに変形して僕の機体に蹴りを決めたのだった。
「お仕置きタイムだ」
今まで早いだけで小回りがきかなかった機体がいきなり最高の起動力を備えた最悪のナイトメアへと変わってしまった。
「ちぃっ」
一か八か、攻撃をもらいのけぞりながらワイドレンジの輻射波動砲を態勢を整えることもせず二機の相手がいた場所へ放ってみたが、既にトリスタンはヴィンセントを抱えて移動していたようだった。
「ライくん、これはランスロットの量産型の試験と思ってたけど違うわ!向こうのさんはあの可変ナイトメアトリスタンと、ヴィンセントの両方の試験よ。こっちはあと15分で片付くからそれまであの二機がんばって!」
やはりワイドレンジの輻射波動のエナジー消費は激しい。あと十五分戦う上で、あれはもう使わないほうがよさそうだ。
しかし機動力も高い上に、射撃武器であるハーケンは射出後に若干の方向修正ができ、白兵戦用のMVSの間合いはこちらよりはるかに長い。
ライが操縦している暁の白兵戦用の武装は小太刀と左腕の輻射波動。
1対1の状況に持っていこうとするライは小回りの利く小太刀型のMVSで敵の攻撃を受け流して、輻射波動を叩き込むといったスタイルから取り入れた武装だ。
しかし現状は2対1で、トリスタンの鶴嘴状のMVSだけなら防ぎきれるもののヴィンセントの援護射撃がおまけに付いてくる状況。
無駄な動きを一瞬でもとれば、それが命取りになり兼ねない。
755:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:43:24 Wc9/WVOG BE:490951627-2BP(0)
「そこっ」
ヴィンセントの斬撃をかわし、暁のハーケンで右腕に持ったMVSごと破壊に成功したので、こちらからトリスタンに攻撃をかけた。
ライの右手から薙ぎ払うように迫るMVSの間合いの内側に入り、小太刀で受け流したあと、さらに左からくるであろう一撃に備えた。
しかし、ヴィンセントからの射撃が暁に当たり態勢を崩してしまったので、トリスタンにそこの瞬間を狙われたもののなんとか切断されたのは左足だけで済んだ。
あのヴィンセントは弾を外せば、トリスタンに当たるのにも関わらず射撃をしてきた。
この二機は連携が上手というわけではない。トリスタンには弾丸をかわす自信があったという事なのだろう。
左足を切られるということは、機体のバランスが崩れて操縦が難しくなるのと同義であるが、ライは怯まずにもう一度間合いを詰めた。
的にならないように不規則な動きで自分の間合いをとる。
無駄に動くため、エナジーの消費は激しい。これで決めるというラストスパートである。
そしてライはなんとか暁の左腕でトリスタンの頭部をつかむことに成功する。
勝った。 頭ならパージできないため、熱を中枢部まで伝えられる。撃破したも同然。カチッとライはボタンを押す
「こりゃまいったな~」
とトリスタンの頭部が熱で頭部が膨れ上がっているにもかかわらず、3の文字を背負うラウンズはこの状況ですら楽しんでいた。
次の瞬間、トリスタンは自分のMVSで自分の頭部をためらいもなく切断した。
思いもしてなかった行動に対処が遅れ、ライの乗る暁は右足も切られてしまう。
756:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:50:30 BK7o1yyH
支援
757:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:51:37 Wc9/WVOG BE:736426837-2BP(0)
あの通信から何分経ったのだろう
コクピットの中は蒸し暑く、パイロットは汗だくになりながらもバイクに乗るように席にまたがり、鋼鉄の巨人を動かしながらも他の部隊に指示を出している。
ただ巨人といっても、ライのナイトメアの両足はトリスタンの大きい鶴嘴状のMVSで膝からしたを切り落とされているので、もはや人の形はしていなかった。
対する敵機もトリスタンの頭部はなくなり、ヴィンセントは右腕がなくなっている。
けれど、2機のナイトメアの相手をしながら地上部隊の指揮をとる。また、先ほどの読み違えにより、ライの乗るナイトメアは極力長い時間動けるような行動を選ばなければならない。
しかも普通の指揮官を相手にしているのではなく、帝国最強の12騎士の一人と新型量産機を相手にしながらとは、明らかにただのテストパイロットでは済まされないほどの異業である。
それどころか黒の騎士団の双璧と言われていたライが生きている事を暗示する戦いでもある。この戦闘データがスザクのもとに届けば、間違いなくぼくが生きていることに感づくだろう。
そして、ランスロットの生みの親、ロイド伯爵が設計したであろうヴィンセントがいるため、その可能性は極めて高い。
それに、たとえこの場をしのいでも今後我々の身は今まで以上に危うくなるし僕自身も中華連邦内での行動に制限がかかる可能性がある。
やっかいすぎるよラウンズ……
758:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 16:55:10 zCqtEArn
支援!
759:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 16:59:14 Wc9/WVOG BE:350679252-2BP(0)
その少年はただ刻々と時が過ぎるのを望むものの、あまり時間は経っていなかった。
ここ二、三日のテストで暁はきっちり操縦できるようにしたし、
日本でも無頼に乗ってカレンや卜部さんと一緒に石鹸工場やら兵器工場などを襲撃していたので、そこまで勘は鈍っていないつもりだ。
けれど、一秒が一時間に思えるほど大変な時間に感じれる。それほどまでに気を抜けない相手なのだ。
トリスタンは変形をうまく使い、緩急をつけ一瞬で間合いをつめたりして攻撃し、ヴィンセントは直線的な攻撃に射撃を絡めくる。
味方機がラウンズでなければ簡単とまではいかないものの倒せる戦力だが、それはどうしようもない妄想の世界。
あと1分で終わるという時にいきなりヴィンセントが突撃してきた。
トリスタンは僕の回避方向にすぐに動けるようにと見せかけて、僕がヴィンセントとに突撃した時にも対応できるように位置どったみたいだ。
これこそ、ゲフィオンネットのチャンス。
僕はヴィンセントより遅いスピードで後退し、ある程度引きつけてから一気に右に曲線をつくりながら距離をあけた。
やはり、トリスタンはハーケンを合わせて出す射撃の準備は行っていて、あのまま直線で進んだであろう場所に光の太い光線が走っていた。
好機と言わんばかりにヴィンセントと距離をつめるとトリスタンは僚機をカバーするように前、ヴィンセントは逃げるように後ろに動く。
「想定どうり!そこだぁっ!!」
760:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 17:14:26 uhtr/FhH
猿さんか
761:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 17:16:48 GUEgXyL+
猿ですね
762:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:17:01 Wc9/WVOG BE:841630346-2BP(0)
ここでゲフィオンネットを放つと二機同時にうごかなくなった。「よし、ようやく終わった。」とひと息つきながら、右手に装備した小太刀でコクピットに留めを刺そうとするとトリスタンは変形し、暁0式の右手は空を切ってしまった。
ゲフィオンネットで動きを封じ込めたと思ったら変形ができ、向きや機体の位置は動かないものの、そこから砲撃を放つことができたようだ。
幸い、かろうじて反応できたので、損傷は右腕がもっていかれただけですんだ。
とどめにワイドレンジで二機まとめて攻撃して撤退した。
ラウンズ撃破とまではいかないが撤退に必要な時間を十分に稼ぎ、追撃を不能にするダメージをトリスタンたちに与えた。
僕の暁は潜水艦に着艦するのも大変なくらい損傷していた。無事だった部分は胴体と輻射波動のついた左腕とコクピットだけ。それでもって、エナジーもちょうど着艦してすぐに底を尽きるくらいぎりぎりの戦いだった。
それに、ライにはあのラウンズがなんとなく手加減していたような感じを受けた。そもそも奇襲なのに降伏勧告に、その上五分以上の戦闘準備をさせてくれたのは、明らかに僕らの想像出来うる目的に反する行為である。
どちらにせよラウンズから逃げ延びたのはいいが、これからは間違いなく日本周辺の海域の警備は強化される。
これでルルーシュを奪還しなければ戦力を一気に上昇させることはできなくなった上、こちらのナイトメアに対して今まで以上に戦力を割いてくるかもしれない。
それにいくら僕のことを知っている人がブリタニア軍に少ないからといっても今回の件で港が警戒しない可能性は低いだろう。
そんなことを考えていると連鎖的に彼女のことも思い浮かんでくるので、ぼそっと呟いた。
「はぁこれでまた、日本に当分戻れなくなっちゃった。」
そうしてライは、ひと月前まで暮らしてたアパートにカレン宛の手紙を出すことを決めたのだった。
763:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:19:39 Wc9/WVOG BE:631222463-2BP(0)
―所変わって中華連邦基地内部―
「あら?何をかいていらっしゃるの?」
「あぁ手紙だよ。」
ライは話しかけてきた神楽耶に目もくれず、手紙の上のペンを走らせる。
「あっ、さては、カレンさん宛てのラブレターですね?」
と神楽耶は笑ってみせた
「べっ、別に、そんなんじゃないよ…」
ライは自分の考えていることを、神楽耶に見透かされたのがなぜか悔しくて見栄をはってしまう。
名字のないライは血液検査ででた日本の皇族という結果から皇を姓として名乗っている。
義理ではあるものの神楽耶とは血がつながっている兄として中華連邦では接してきた。
仮の妹であるが、どこか本当の妹に似たような雰囲気をっている神楽耶にだけは、恋愛事情においてとやかく言われることは恥ずかしかったのだ。
「じゃあ、黒の騎士団としての正式な書類としてみんなに見せるべきですわ。」
ぐぅ…と、ついつい怯んでしまう。
そこを神楽耶は見逃さず、ライの机にあった文書をひったくった。
そこには、ただこちらで起こった事実の記録と最後の最後に『最後に愛してる』とだけかが書かれていた。
神楽耶は怪訝そうな顔をして首をかしげる。
764:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:20:59 Wc9/WVOG BE:1718327677-2BP(0)
ライにとっては一応はラブレターのつもりなのだが、書いてあることは相手を口説いたり、自分の抑えられない愛を述べるものではなかった
カレン宛に書かれている手紙なのは間違いないが、最後の文を恥ずかしがった理由としても神楽耶には何かもの足らないのだ。
ライが本気ではないが手紙を取り戻そうと手を伸ばしてくる。その手から逃げている最中、彼女が見たモノでやっと満足がいった。
神楽耶の見たものは封筒。その封筒にはライが半年間日本で活動する際に使った偽名宛とアパートの住所まで書いてある。
「カレンさんと同棲なんて、お義兄様もずいぶん手がはやいことですわね~」
ライは音が聞こえる様なスピードで顔を真っ赤にしたまま何も言えなくなってしまった。
それから神楽耶はたまに帰ってくる咲世子だけでなく、意味を理解できぬであろう天子様にも自分の兄が女と同棲してた事をべらべらと話すのだった。
天子様は案の定、はてなという顔をしていたが、神楽耶が同棲する者の夜の営みについて話そうとした瞬間、護衛としてその場にいた星刻にものすごい形相で睨まれた。
大宦官に『無礼者!』などといろいろ言われながらも神楽耶を止めた事は、たとえ もう一度記憶喪失になっても忘れられないだろう。
咲世子は咲世子で、
「アッー!そんな…私式ロスカラ続編でカレン様じゃなく、ライ様が捕虜になるスザライルートが…騎士団編ゼロルート続編のライルルが…」
とかライには理解できない言葉を発しながら地面に臥していた。
765:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/02 17:23:13 Wc9/WVOG BE:631222092-2BP(0)
以上です。
すいません途中さるでした
今回は完全に妄想の戦闘です。
トリスタン試作型とヴィンセント試作型対ライの暁です。
なんか本編最後の方でルルカレならまだしも、ジノカレとか言われてるのにカチンときてライとジノをライバル関係においてみました。
ロスカラやってから、この板の住人としてライカレしか考えられないのは自分だけではないはずw
次回はやっとR2の話の中の騎士団と合流します。
766:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 17:50:16 ZuF8NNFD
そうだジノカレは許せない。俺もライカレ派です。つつぎ楽しみにしています。
767:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 18:45:11 s2CGuwFY
>>765
B.B.卿、乙でした!
いきなりの輻射波動の使用で敵を減らす。
ロスカラっぽくてGJだったと思います。
戦闘の後のほのぼのはいい!
より癒し効果が高まる気がします。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
P.S.私的にはライナナのほうが好き
768:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:03:17 XXnJPL2+
>>765
乙です。
読み始めて、戦闘メインだったので「前話読んだっけ?」と保管庫に行って、確認・納得して読み直しました。
妄想の戦闘という事ですが、いやいや良かったですよ。オリジナルの戦闘シーンを表現できる人が羨ましいです。
戦闘後の日常シーンもグッドでした。戦闘時の緊迫感もいいですが、日常のほのぼの感が特に自分は好きなので。
神楽耶にお義兄様と呼ばれるライ 多くの人が考え付く設定かも知れませんが、実際にSSで見たのは初めてなの
ではないでしょうか? 素晴らしい!
次回も期待してます。 GJ!
さて、8KB程度 6レスですが支援は可能でしょうか?
769:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:04:38 GUEgXyL+
支援
770:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:07:08 XXnJPL2+
支援よろしくお願いします。
こんばんわ、投下の際にはキッチンタイマーで投下間隔を計っている『184』です。私生活においても
何かと便利です。
タイトル :ロスカラさん 第7話 ベイエリアでの戦い
カップリング:千葉←ライ←カレン
ジャンル :コメディ? ユル~いキャラで再構成もの
キャラの言動が、ほぼギャグです。(各自がギャグ漫画にありがちな特技や思考を持ってたりします)
5~3頭身キャラが出て来る四コマ漫画を楽しむ感覚で、読んでもらえれば幸いです。
初期状態からライの千葉中尉への好感度は、やや高目に設定してます。その為ゲーム本編と違い、
いきなり「凪沙さん」と呼んでます。
再構成ものなのにゲームの流れ(順序)が多少変わってます。(仙波大尉と合流済みです)
本文に4レス使用予定。前書き・後書き含めて6レスなので、ユル目の支援をお願いします。
それでは、タイマーを2分30秒にセットして、スタートぉ!
771:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:09:18 GUEgXyL+
支援
772:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:09:41 XXnJPL2+
ロスカラさん 第7話 ベイエリアでの戦い
『今の日本解放戦線に、確たる武力は存在しない』
間違いではないだろう。四聖剣の二人と合流できたと言っても東堂中佐を含め後三人の捜索活動
に時間を取られ、ブリタニア軍に攻撃を仕掛ける事などできないのだから。
今回のキョウトの支援は、今までとは趣の異なる物だった。軍資金よりも逃亡資金と言う方が、しっ
くりくる流体サクラダイトを積んだタンカー。これで中華連邦に亡命しろと言うのだ。
「今回の件で、キョウトは我々を見限ったのではないでしょうか?」
片瀬少将から亡命の話を聞いた後、僕は仙波大尉と話をしていた。亡命の件は、キョウトから提案
されたらしいが、それに易々と乗ってしまった事で『戦う意志なし』と見られたのではないか。そして、
そのまま中華連邦に厄介払いする気なのではないか。その気もない相手に、いつまでも支援を続け
る程キョウトもお人好しではないだろう。
「流体サクラダイトは、手切れ金という訳だな。少尉?」
「そうです。キョウトからすれば―」
取引先の零細企業に再就職を斡旋。しかし、再就職先が毎月ちゃんと給料を支払うかは不明。だ
が退職金は払ったし、君はもう我社とは関係ない。だから、今後はお金を借りに来ないでくれたまえ。
最初の内は「両手に華」とばかりに浮かれていたけど、恋人が二人もいたら出費もかさむ。最初の
彼女に魅力を感じなくなった事だし、手切れ金を渡して別れよう。
―みたいな?
「なあ、少尉。ワシは例え話だと理解しているが、皆が皆そう思うとは限らないぞ? ホレ、後」
「え? わわっ! な、凪沙さん」
仙波大尉の言葉に後を振り返ると、凪沙さんが腕を組んで立っていた。
「・・・」
「い、今のは別に僕の経験とか、そういう訳じゃなくてですね・・・」
「別に少尉の女性問題とか、それが元での金銭トラブルとかそんな事に興味はない。仙波大尉、出
撃準備急ぎましょう」
そう言って、格納庫の方へスタスタと去って行ってしまった。明らかにムッとしていて、取り付く島も
なかった。凪沙さんの中で僕は、『女と金に、だらしが無い男』になってしまったのか!?
773:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:10:15 GUEgXyL+
支援
774:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:12:19 XXnJPL2+
「あ~ このまま中華連邦に渡るのか僕は・・・」
今僕は脱出用のタンカーの甲板上、無頼のコクピットの中に居る。一方仙波大尉と凪沙さんは、
『ギリギリまで港でタンカーの脱出を援護し、東堂中佐の合流を待つ』との事だ。結局、凪沙さんの
機嫌は悪いままだし、このまま学園や黒の騎士団の皆とも離ればなれになるかと思うと憂鬱だ。溜
め息が出たところで、通信が繋がった。
「何だ、ゼロか・・・」
「何だとは、ご挨拶だな。亡命前からもうホームシックか? だから、早く戻って来いと―」
「あー、はいはい。そんな嫌味を言う為に連絡して来た訳じゃないんだろ?」
「フッ、まあな・・・」
ゼロは、座標データを送信してきた。それを見るとタンカーの進路上に爆薬を示すマークが点滅して
いる。これは!?
「ライ、そのタンカーからすぐに降りろ!」
ピンときた。ゼロはタンカーを囮にするつもりだ。僕は
「ふざけるな!」
と、叫んで無頼を艦首へと走らせた。港からマイクロ弾による攻撃が開始される。そして、港に残っ
た解放戦線のメンバーとブリタニア軍との間で戦闘が開始された。
「ライ!お前という橋渡し役が居ながら、片瀬は我々と戦う道を選ばず、中華連邦に逃げ出す道を選
んだ。戦わない軍人に何の価値がある!?」
「だからと言って、敵もろとも自爆を強要する事はないだろ」
僕らの会話は途中からオープンチャンネル、更に港のあちこちに設置されたスピーカーまで使ってい
るから話の内容は敵味方に筒抜けだ。『自爆』という単語に港全体がどよめく。そして、自爆に巻き
込まれる事を恐れ、敵(ポートマン)はダイブを中止する。味方の方でも、下船しようとする者とそれを
押し留めようとする者で小競り合いが起きている。そんな状態でも強引にタンカーは動き出した。
いや、だからこそか。片瀬少将が吼える。
「我々は自爆する気などないぞ、なんとかしたまえ少尉! 私は必ずや中華連邦に渡り、いずれ再
起を果たすのだ!」
「フッ、クロヴィス政権下ですら目立った成果を上げられなかったあなたの『いずれ』は、いったいどれ
だけの経費と時間が掛かるのか。いや、そもそも本当にその日は来るのですか?」
「ぐっ、ぬぬぬ・・・」
ゼロの指摘に片瀬少将は、顔を真っ赤にして唸る事しかできなくなった。
775:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:13:05 GUEgXyL+
支援
776:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:14:55 XXnJPL2+
マイクロ弾による攻撃は相変わらず続いているが、ダイブを中止したポートマンは仙波大尉と凪沙さ
んに狙撃され、その殆どはダイブ不能状態(強硬に行えば、コクピットに浸水等各部不具合が発生)
のようだ。艦首に到着した僕は、座標データと照合し水中の爆薬に狙いをつける。こんな至れり尽く
せりで、僕が狙撃に失敗する訳がない。
「東堂の捜索を打ち切り、自分だけは安全な場所に隠れる。そんな男にいつまで従っている。お前も
逃げ出すのか?!」
「違う!」
叫びながら、アサルトライフルのトリガーを引く。爆発により巨大な水柱が上がった。初動の早さが幸
いし、それはタンカーから充分離れた場所だ。余波の影響で大きく揺れるが、幸い航行には支障は
なさそうだ。
「ならば、乗れ! 黒の騎士団は弱者の味方、戦う意志のある者、戦う力のある者を見捨てはしな
い。東堂らの捜索も我々が引き継ごう」
正面から弾丸のように強襲艇が向かってくる。僕は無頼をジャンプさせ、スラッシュハーケンを使い
強襲艇に取り付いた。
「おかえり、ライ」
「カレン・・・ ああ、ただいま」
777:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:15:21 GUEgXyL+
支援
778:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:17:30 XXnJPL2+
強襲艇は、ポートマンを巻き込み敵本陣につっこむ。ハッチが開き、中から紅蓮弐式を始めとする黒
の騎士団のKMFが飛び出す。珍しい事にゼロの無頼は、この中にはいなかった。どうやら、別の場
所から指揮に専念しているようだ。
「パイロットが乗り込む前にナイトメアを海に叩き落せ! ライとカレンは親衛隊を押さえてくれ! 他
の者は解放戦線と協力して本隊を挟撃、退路を確保しろ!」
「「了解!」」
「全力で片瀬を追い出―逃がせ!」
戦闘時においてパイロットの騎乗の有無は、肌で感じ取る事ができる。奥の角付きのグロースターに
パイロットの気配を感じ、最優先で叩く事にする。まだ起動途中のその機体に突進する。
「ええい、起動前に! 私にナイトメア戦で―きゃん!」
タックルでコンテナに叩きつけると、敵パイロットから前半の勇ましさとは裏腹に可愛らしい悲鳴が上
がる。そのギャップに僕は―
「何、やってんの! ライッ!」
カレンの怒声に、萌える暇も与えてもらえませんでした。何と言うか勘が良すぎだ。僕は頭を左右に
ブンブン振り、気を取り直した。そして、苦し紛れに放ってきたスラッシュハーケンを間一髪でかわす。
「危ない、危ない。頭を切り替えないと・・・」
紅蓮弐式がスラッシュハーケンで、萌えな敵(さっきの悲鳴は可愛かったなぁ「ライッ!」はい!ごめ
んなさい)のアサルトライフルを弾き飛ばす。更に攻撃を仕掛けようとしたところで、撤退命令が出た。
エナジーの残量もそろそろ気になっていたところなので、ナイスなタイミングだ。タンカーに攻撃をして
いた敵部隊も、こちらの戦闘に徐々に加わりその数を増していた。
「目的は充分果たした。消耗戦になる前に全員撤退だ!」
タンカーは無事出港し、中華連邦に向かって行った。
(おまけ)ダールトンとギルフォード
「ひ、姫さ ガバ、ゴボ、防衛線、ゲベ、ガバ、ゴボ、ブクブクブク・・・」
「殿下、うぉ、お守、ガバ、しろ、ゴボ」
二人仲良く、海に叩き落されていました。
779:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/02 21:18:41 XXnJPL2+
以上です。
片瀬の扱いに悩んで悩んで、結局中華連邦に行ってもらいました。どれだけの期間、悩んでたかと
いうと第1話投下以前に、早くも悩んでいたような・・・
さて、今回は元々一つの話として書いていたのを長いので、切りのいいところで区切りました。
なので、次回作はお待たせする事なく投下できるかと思います。
では最後に、今回の支援者と前回感想をくださった方々に感謝です。ありがとうございました。
780:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:18:58 GUEgXyL+
支援
781:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:42:50 2/dqQwm8
>>779
GJ!今回も笑わせていただきました。ネリ様がかわいいwそしてカレンが怖いよw
そしておまけの二人wwこの人たちはネリ様に「脆弱者が!」と罵られるといいよ。
次回も楽しみにしています。
782:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 21:56:55 fF6GQw6r
東堂の東って藤じゃなかった?
783:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 22:12:04 s2CGuwFY
>>779
184卿、GJでした!
例え話が結構分かりやすいw
……ギャップっていいね!
ギルとダールトンが微妙に情けないのもユルユルでイイ!
あと、そんだけ悩んだのなら少将も浮かばれるでしょう……死んでないか。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
784:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 22:18:33 GUEgXyL+
>>782
保管庫ですでに修正されているという摩訶不思議
785:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/02 22:38:41 4v4jXlr1
>>782
その通りです。指摘ありがとうございます。
藤堂さんのファンの方、申し訳ありませんでした。
トーマス卿、修正した物をメールで送りますので差し替えをお願いします。
(タグをまた、使わせてもらいますので。あと、何故かタイトルが6話になっている)
786:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 00:55:34 HQSyDRGe
KOUSI卿どうかしたのかな?
787:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 00:59:03 AxzPjcwj
>>786
Eが抜けてますよ。
まあ今日も祝日で休みだし、あの方の都合もあるでしょう。
788:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:28:34 1+dzqOBf
KOUSEIです。前回の続きを投下します。
全部で14レス(予定)です。
789:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:29:49 Qu+gph9s
投下は幸せ!
支援します
790:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:30:55 1+dzqOBf
○ロイ・キャンベル。
0025-0417参照。
○クラブ・コンクエスター
0007-0290参照。
○ライ
0012-0009参照。
○青い聖騎士(パラディン)
0022-0188参照。
○紅月カレン
0025-0417参照。
○アーニャ・アールストレイム
0028-0037参照。
○ジノ・ヴァインベルグ
ナイトオブラウンズのナイトオブスリー。ロイの同僚であり、親友。
名門貴族出身で幼少から世間知らずとして育ってきたが、ロイと出会ってから一般市民の生活に興味を持つようになり、今ではある程度の社会常識は持っているもよう。
また、一人称は“私”だったがロイ、スザクと一年間俗な場所巡りをしたせいで、いつの間にか“俺”が主流になった(“私”を使わなくなったわけではない)。
ロイとアーニャ。ナナリーとスザクの仲を影ながら応援している。ただ、その応援の仕方(特にアーニャに対する助言)は色々と間違っている。
性格は陽気で明るいが、いざという時には冷徹になれるというのがロイの評価。
791:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:31:12 Qu+gph9s
支援
792:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:33:14 1+dzqOBf
○シーン9『気持ちの問題』Aパート
某日早朝。エリア11の政庁、最上階。
ナナリー総督の執務室がある場所、その隣の部屋に、ロイ達ラウンズは揃っていた。
部屋には天井から一つのモニターが吊るされており、四人はその前で跪いていた。
『今回の行政特区。ナナリーより、全て聞いた』
モニターには、一人の男の姿が映し出されていた。
白髪の特徴的なロールカット。齢50を越えながら見るものに戦慄を与える眼光。歴戦軍人のようにいかつい肩。
シャルル・ジ・ブリタニア。
ブリタニア帝国の最高権力者。皇帝陛下その人である。
『そして、お主らからの報告書も読ませてもらった。しかし、直に言いたい事はあるか?』
相手に威圧を与える口調で、シャルルはモニターの前で跪く四人の騎士に問いかけた。
四人の騎士。ロイ・キャンベル、枢木スザク、ジノ・ヴァインベルグ、アーニャ・アールストレイムは赤い絨毯の上で恭しく頭を垂れるだけで、何も答えなかった。
『何も無い、と言う事か?』
シャルルは更に問う。ここにきて、リーダー格のジノが口を開いた。
「恐れながら申し上げます皇帝陛下。今回ゼロを取り逃がした責は、ナイトオブゼロの報告書にもありました通り、我々ラウンズにございます。ですので、全ての失態の罰は―」
『だから、ナナリーには過失は無い。そう言うのだなナイトオブスリーよ』
「……はい」
ジノは額に冷や汗を滲ませて、更に頭を下げた。モニター上のシャルルは鋭い眼光を全員の騎士に浴びせ続けた。
『責は我々ラウンズが取る。なので、ナナリーには今まで通りエリア11で好きにやらせよ。お主らの言いたい事はそれに尽きるのだな?』
「……」
ジノ達は無言だった。それを肯定と受け取ったシャルルはなにやら熟考し、小さく頷いた。
『分かった。ではそういう事にしよう。ナナリーにはこれまで通り、エリア11の総督を任せる。そして、お主らラウンズも、責があるというのなら、そのエリアで責を挽回できるよう励むと良い』
何人かがその言葉に意外そうな顔をして、チラリと自分たちの主を見た。しかし、すぐにまた恭しく頭を下げた。
「はっ、ありがとうございます」
793:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:33:32 Qu+gph9s
支援!
794:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:35:41 1+dzqOBf
『だが、お主らにはナナリーの補佐をしてもらいつつ、一つ任務を申し渡す。来月、我が息子オデュッセウスと中華連邦の天子との挙式が決定した事は知っておるな?
お主らラウンズにはエリア11の補佐はさておき、この挙式の間、オデュッセウスとその付き添いであるシュナイゼル両名の護衛を言い渡す』
「護衛、ですか?」
ジノが顔を上げ、後ろの三人は頭を下げながら互いに視線を合わせた。
―ここにいるラウンズ全員がこの地を一時的にとはいえ離れる? 行政特区が失敗してこのエリアは混乱しているというのに?
『不服か?』
しかし、どんなに不満や疑問があったとしても、断るという選択権は彼らナイトオブラウンズには無い。
「イエス・ユア・マジェスティ。その任務謹んでお受けいたしま―」
「皇帝陛下。恐れながら」
ジノの型通りの言葉を遮ったのはナイトオブゼロ、ロイ・キャンベルだった。
ジノは驚き。
アーニャは困惑。
スザクは怪訝。
同僚三人のそんな視線を一身に浴びながら、ロイはそれを意に介さず、一歩進み出た。
『なんだ、ナイトオブゼロよ』
「現在、エリア11は報告書でも述べさせていただきました通り、混乱の極みにあります。したがって、文官だけでは手に余る事も起こりうるかと」
シャルルは黙ってゼロの名を持つ部下の言葉に耳を傾けていた。ロイは続けて言った。
「ですので、このエリア11には念のため一人はラウンズを残留させたほうがよろしいかと考えます。どうかご一考を」
『……』
シャルルは頭を下げるナイトオブゼロの見据え、しばし考え。
『よかろう、では、お主らで中華連邦で護衛を担当する三人を決め、任務にあたるがよい。これで良いな? ロイ・キャンベルよ』
「はっ」
ロイの返事を最後に通信は切れた。
○
早朝という事もあってか、政庁の廊下にある自販機ルームに人はいなかった。
空調もまだ目を覚ましていないらしく、廊下には冷たい朝の空気が流れていた。
「お前、やめてくれよああいうの。寿命が縮む……」
「同感……」
先ほどの皇帝陛下との通信。そこでの行動について、スリーとシックスの名を持つ同僚に文句を言われたロイは、自販機の下から缶コーヒーを取って苦笑した。
795:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:35:58 Qu+gph9s
支援
796:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:37:46 1+dzqOBf
「でも、何も四人全員が中華連邦での任務にあたる必要はない。君たちだってそう思っただろ?」
「まぁ、それはそうだけどな」
ジノはため息交じりに缶コーヒーをすすった。そしてぼやいた。
「でも、何も直に言わなくてもいいだろ? シュナイゼル殿下に口ぞえしてもらってもいいわけだし」
「ジノ。それ、本気で言ってるのか? それなら僕達は何のための皇帝陛下直属なんだ」
「……そうだな。お前の言う事はいつも正しいよ」
「ところで」
アーニャがオレンジジュースの缶を爪を使って開けながら話を切り出した。しかし、何回やってもあけられないようなので、ジノが横から手を伸ばしてあけてやった。
「ありがと。でっ、誰が中華連邦に行くの?」
「僕とアーニャ、そしてジノさ」
「ああ、その方がいいだろうな」
ロイの提案にジノは同意した。アーニャも否定はしなかった。しかし、
「待ってくれ」
ロイの隣でソファに座っていたスザクが真剣な表情で言った。
「僕はエリア11には残らない」
「えっ……」
その言葉に、三人は一瞬呆然とした。
「む、無理しなくていいよスザク。君は総督の傍についていてくれ」
ロイがそう勧めても、スザクは首を縦に振らなかった。
「いや、譲らないよ。僕はゼロを追って中華連邦に行く」
「スザク。何言ってるんだ……。一体、僕が何のために陛下に進言したと―」
「好きにさせれば」
そう言い放ってロイの言葉を制したのは、オレンジジュースを飲み終えて、缶を乱暴にゴミ箱に放り込んだアーニャだった。
アーニャはその眠たげな瞳でスザクを一瞥した後、ロイに言った。
「いたくない人が残るのは、結局誰も残らないのと同じ。違う?」
「……」
全くの正論だったので。ロイは何も言い返せなかった。
「となると……残るのはロイだろうな」
ジノは横目でロイを見た。ロイはその視線に困って、スザクを見た。
「……いいのか、スザク?」
「ああ」
「本当に?」
797:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:37:52 dhLt1JaI
支援
798:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:40:07 1+dzqOBf
「ゼロを倒さない限り、ナナリーの願いは叶わない」
「でも、それでもさ、スザク……」
ロイは諦めきれずに訴えた。
「君はナナリー総督の傍にいてあげて欲しい。行政特区が失敗してあんなに落ち込んでおられるんだ。こんな時こそ、幼馴染の君が……」
「だけど、適材適所で考えるならロイ。やはり君が残るべきだろう。この中で、戦闘力と、混乱したエリア11に対応できる政治的センス両方を持つのは君しかいない。
……それに、僕が一人だけ残ってもローマイヤとケンカして、かえってナナリーを困らせるだけのような気もするしね」
「まぁ、スザクの言う事ももっともなんだが……」
ジノは、今回のスザクに、理屈では反論できない事を理解しているようだった。
だが、理屈では無い感情でロイ、ジノ、アーニャはスザクに残ってほしかった。
行政特区の失敗以降。ナナリーの落ち込みようは凄まじかった。いや、表面上はいつも通りなのだが、ふと、総督としての仕事の合間に酷く疲れた表情をするようになった。しかもそれは、今にも事切れてしまいそうなほど、弱々しい顔だった。
「……」
だからこそ、三人はスザクが残るのを良しとしたのだ。三人はそんなナナリーを励ませるのは一人だけだと思っていたのだ。
「とにかく。僕は中華連邦行きを譲る気は無い」
スザクは睨みつけるように同僚を見回した。そこには、テコでも動かないという決意が見て取れた。
結局、中華連邦行きのメンバーはスザク、ジノ、アーニャとなり。ロイはエリア11に残留という形になった。
○
ロイ達が朝っぱらから自販機コーナーに険悪なムードを漂わせている頃、ナナリーはまだベットの中にいた。
そして、夢をみていた。
一年前のあの夢。
ナナリーの活動が本格的に始まったあの日の夢だ。
当時、ナナリーはブリタニアで、何かがしたいとあがいていた。
兄を失い。友を失い。場所も失った。それは自分が何もしなかったせいだという考えに至り、何かをしたいという欲望にも似た衝動にかられた。
贖罪のつもりなのかもしれない。とナナリーは思った。兄に守られ続けて、自分は何もしなかったという罪。それを少しでも償っていきたいと。
(何か私のできる事を、何か私に出来る事を……)
ナナリーは自分に問い続けた。
799:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:40:27 Qu+gph9s
支援!
800:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:42:42 1+dzqOBf
そして、問い続けた結果。ナナリーはブリタニアのブリタニアらしさに目を向けた。
ブリタニアでは一定の価値観において、一度弱者と決め付けられれば、その人の人生はそれまでだった。障害者しかり、被征服者しかり、貧困者しかり。
弱肉強食。ブリタニアが唱える国是であり真理。
そしてその真理の犠牲者は、今なお増え続けている。
(それではいけない……)
ナナリーはいままで過ごしてきた境遇もあり、ブリタニアの弱肉強食を完全に是としない、皇族内でも珍しい存在だった。しかし、それを是としないのはいいとして、だからなんだという話になる。
ナナリーがなんと思おうが相手は国是であり、太刀打ちできるものでは決してなかった。しかし、ナナリーは動こうと決めた。たとえそれがどんな小さな事でもやらないよりはきっとマシだと考えた。
(でも、どうすればいいのかが分からない……)
そこで、まずナナリーは護衛のアーニャに相談してみた。他に相談し易い人がいなかった、というのもあるが、アーニャはブリタニアに来て初めて、仲良くなってくれた人だった。
それに、アーニャは、かつてアッシュフォード学園でナナリーと仲良くしてくれた友達と雰囲気がとてもよく似ていた。だから、というわけでも無いのだが、ナナリーはほぼ無条件にアーニャを信じていた。
相談されたアーニャは、真剣にきいてくれた。そして、言った。
『私は役に立てそうに無い。……でも、文官じゃないけど、優秀で、皇女殿下の力になってくれそうな人を知ってる』
そして、彼女は数日後にある人を連れてきた。
ナナリーの住む宮殿の応接室に通されたその人は、過去の忘れられない感覚を思い起こさせる人だった。
「殿下。連れてきた」
「あ、あなたは……」
ナナリーはその人を通じて伝わってくる“音”を聞いて、驚きを隠せなかった。
―また来たよ、ナナリー。今日は何の折り方を教えてくれるんだい?
そう言って、足しげく通ってくれた、あの人。
兄の友人。スザクの友人。カレンの恋人。生徒会の仲間。
そしてなにより、ナナリーがルルーシュと、スザクの次に好きだった人。
(生きて、生きていた……?)
良かった。良かった良かった!
801:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:44:07 Qu+gph9s
支援
802:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:46:27 1+dzqOBf
目が見えなくても涙は流れる。顔と心が熱くなる、込み上げる。
なぜ、あの人がブリタニアに? なぜこの限られた者しか入れないこの場所に? そんな疑問など、この時のナナリーにはよぎりもしなかった。
「ああ、ライさ―」
「ロイ・キャンベルと申します」
部屋の入り口で跪いた男の言葉は、ナナリーの期待を大きく裏切るものだった。
「えっ……」
「お初にお目にかかります、ナナリー皇女殿下。ナイトオブゼロを拝命して数ヶ月あまりの間、ご挨拶に伺わなかった無礼をお許し下さい」
「ロイ、キャンベル……?」
ナナリーは肩透かしをくらったような気分になって、目の前にいるであろう騎士に気の抜けた顔を向けていた。
「殿下。ロイはあまり評判は良くないかもしれないけど、その実力と能力はシュナイゼル殿下のお墨付きで……」
ナナリーが怪訝そうに潜めた眉を、違う意味に受け取ったのだろう。アーニャは急いでフォローを入れた。
「あ、いえ、そういう事ではありません」
ナナリーは顔を赤くして顔を振った。
「ただ、足音が、その……私とお兄さまの大切な人に似ていたものですから、驚いてしまって……」
「足音?」
ロイ・キャンベルと名乗った男が、不思議そうに首を傾げた。
アーニャは「あぁ」と頷いて、ロイに説明した。
「殿下は足音で人を判別できる。結構正確」
「へぇ」
ロイは純粋に驚いたようだった。
ここで、ナナリーはロイをずっと部屋の入り口で跪かせている事に気が付いた。
「あっ、すみません。どうぞ中へお入り下さいキャンベル卿」
「はっ、失礼いたします」
そして、ナナリーは客人をテーブルに促した。
「おかけ下さい」
ロイは一礼してから、アーニャは特に何もせず席に腰掛けた。
それを見計らって、ナナリーの侍女がお茶を運んできて、三人の前に丁寧に置いた。
「わざわざ来ていただき、ありがとうございますキャンベル卿」
すると、ロイはスッと手を前に出した。
「どうかロイと呼び捨てになさって下さい皇女殿下。親しい友人はスザクを始め、そう呼びます」
「あ、はい。ではロイ……さん、と」
「……」
803:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:46:51 Qu+gph9s
支援!
804:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:49:02 1+dzqOBf
「ロイ。殿下にはこれが限界。これ以上の要求は下手をすればいじめになる」
「いじめって……。僕はそんなつもりは微塵も……」
「殿下をいじめたら、ダメ」
アーニャに睨まれて、ロイは困った顔をした。
「……分かったよ。了解」
(……)
この間、ナナリーはずっとロイの声や口調に集中していた。
(口調が少し違う、仕草も……でも声はそっくり……)
ナナリーは目が見えない代わりに、耳の良さには自信があった。
そして、ロイという人物が出すあらゆる音を聞く限り、やはり、あの人ではないかという疑問が無制限に増大していった。
(試してみよう……)
どちらにせよ、客人を迎えていつまでもモヤモヤとした感情を抱き続けるのは失礼と言うものだろう。
違うなら、違うとハッキリさせる必要があった。
ナナリーはそう決意して、気分を落ち着かせるために小さく呼吸をした。そして、微笑んだ。
「ロイさん。あなたの事はスザクさんに聞いています。どんな状況になったとしても、私のために動いて下さる方だと」
「イエス・ユア・ハイネス。もちろんです皇女殿下。私の忠誠は皇帝陛下とその皇帝陛下が愛するブリタニアと皇族の方々に捧げております。それはもちろんナナリー皇女殿下も例外ではございません」
そして、ロイは優しい声で言った。
「つまり、私はナナリー様の盾でもあります。いざという時にはお守りいたします」
やっぱりあの人の声と似ている、そう感じてナナリーは顔を赤くしてしまった。
そういえば、一時期兄ルルーシュの帰りが遅く、その事を、あの人に相談してみた時も、同じような事を言われた。
「大丈夫、心配しなくていいよナナリー。ルルーシュと、それに」と言って彼は言葉を止めた後、
―ナナリーは僕が守るから。
ナナリーは自分が回想に浸っている事に気付いて、胸中で首を振った。
「あ、ありがとうございます。それに、アーニャさんからも、あなたの事はよく聞いています」
「はは、何と言われているのやら」
「悪い風には言ってない。多分……」
「ええ、とても素晴らしい方だと聞いています。これからよろしくお願いします」
ナナリーはさりげなく手を差し出した。ロイは反射的にその細い手に自分の手を重ねた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします殿下」
805:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:49:15 Qu+gph9s
支援
806:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:51:02 1+dzqOBf
握手を交わし、ロイは手を離そうとした。
「?」
しかし、ナナリーは手の力を緩めなかった。いや、むしろ強めた。
「殿下?」
振り払うわけにもいかないのだろう。ロイは困った様子でナナリー声をかけた。
「あの……」
ナナリーはおずおずと尋ねた。
「あなたはロイさん……なんですよね?」
「へっ?」
ロイは質問の意味を理解しかねたのか、一瞬呆気にとられたようだが、
「あっ、イエス・ユア・ハイネス。私はナイト・オブ・ゼロ。ロイ・キャンベルです」
ナナリーの心の中に暗い落胆の色が広がった。なぜなら、この手を繋ぐという行為によって、ロイが嘘を付いていないと言う事が分かってしまったからだ。
「そう、ですよね……」
ナナリーは力なく、手を離した。
しかし、ナナリーはすぐに気を取り直した。
忙しい中わざわざ来てもらった客人を、これ以上個人的な気持ちに付き合わせては迷惑だろう。と思ったのだ。
「実はロイさん。アーニャさんから聞いておられるかもしれませんが、あなたに頼みたい事がありまして……」
「これ」
いつの間にか、アーニャがナナリーの机に置いてあった書類を持ってきていた。
「ええ、話は聞いています。では、拝見させていただきます」
ロイは書類を受け取って、目を通し始めた。
それは、文庫ぐらいの厚さがある書類だったが、ロイは流すような速さで目を通した。これは別に、何割かを省いて読んだというわけではなく、ロイの速読が成せる技だった。
約五分間。少女二人は大人しく待っていた。
「……戦災孤児向けの援助基金。戦傷病者戦没者遺族への援助改正案。帝国内の名誉ブリタニア人への公的扶助指針案。それにスラムの教育整備ですか」
「素人考えですが……こういうのが実現できれば良いなと思いまして」
「なるほど、なるほど……」
ロイはひとしきり頷いた後、人に気付かれない程度に小さくため息をついた。しかし、耳の良いナナリーにはそれが聞こえた。
「結論から申しますと、確かに素人考えですね。それにこれは計画書ではない。ただの感想文です。こうしたい。ああしたいという想いは伝わりますが、提示されているそこに至るまでの手法に現実味が無さすぎます」
「……」
辛口コメントであったが、その通りだったのでナナリーは何も言えなかった。
807:全力支援者Y ◆7RZOliBygM
08/11/03 01:52:14 ale6/R2i
携帯が猿った、支援
808:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:53:01 1+dzqOBf
「このままシュナイゼル殿下にお見せしていたのですか?」
「はい……」
もっとも、見せた所で「気持ちは分かるけどねナナリー。君はもう少し勉強をしてみるべきだよ思うよ」と、遠慮がちに言われただけだった。
その時、隣にいた、副官のカノンが補足した。
「ナナリー様のやりたい事は理解できますわ。ですが、その私たちが理解している事と、ナナリー様が成しえたい事が必ずしも同義とはらないのが人の性です。
ですので、こういう計画書を正式に申請として提出する場合、その目標へ到達する経緯を現実的に、かつ第三者にも分かりやすく示す必要があります。
そうしなければ、ナナリー様の目指す目標が、捻じ曲がった理解をした者が歪曲した段階を踏み、結局はその目標をナナリー様とは違うものにしてしまう可能性があります」
つまりは、多くの人に関係する何かをしたいと思うのなら、多くの人が同じ認識を持って進めるような指針や段階目標をしっかりと作らなければいけないという事だ。
しかし、この時点では、ナナリーはこうしたいという最終目標のみを強調し、そこに到達するための段階ごとの計画を欠いた。
その指針・段階作りをシュナイゼル達に手伝ってもらうという選択肢はナナリーには無かった。帝国宰相とその副官は一年を通して業務に忙殺されており、ナナリーとの面会時間も、本来ならただでさえ貴重な睡眠や休息にあてる時間を割いて作ってくれたのである。
スザクに頼むという選択肢もあったが、彼と会うといつも慣れないラウンズの仕事が忙しそうなので、頼みにくかった。
しかし、ナナリーにはどうしても、賢い人物の助けや指導が必要だった。
そして、今日来たのがアーニャ曰く「初めての仕事でも、すぐに慣れる。だから、スザクに比べれば多分暇」のロイ・キャンベルだった。
しかし、今回ロイに見せたものは、シュナイゼルから言われた後、ナナリーなりにその指針・段階目標を加えてみたものだったのだが、“シュナイゼル殿下のお墨付き”のロイからしてみれば、勉強不足・感想文の域を出ないものであったらしい。
「なんと申しますか。さぞかし、シュナイゼル殿下もお困りだったでしょう……」
「……」
ナナリーはドレスのスカートを無意識にギュッと握った。
「ロイ……」
ロイの腕を、アーニャがつついた。
809:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:53:56 ale6/R2i
……ミスった……支援
810:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:55:15 1+dzqOBf
「んっ、何?」
「言いすぎ。皇女殿下いじめたらゆるさない」
「いえ、いいんですアーニャさん。事実ですから……」
「話は最後までお聞き下さい皇女殿下。それにアーニャも。確かに、このままではダメですが、だからこそ僕に協力を頼んだんのではないのですか?」
ナナリーが俯かせていた顔をハッと上げた。
「ロイさん。では」
ロイはニッコリと笑った。
「殿下。あなたが叶えたいと思っている内容は実に的を得ていますし、何よりブリタニアに必要だけど足りない事です。あとは、僕がしっかりと形にしましょう。いや、形にするお手伝いをさせて下さい」
そしてロイは、ナナリーに協力する事を約束してくれた。
ナナリーは嬉しかった。ナナリーが唱える思想に共感を示してくれた貴族は、ブリタニアに来て以来初めてだったからだ。アーニャだって、別にナナリーという友達に協力してくれているだけであって、決してナナリーの唱える思想に共感してくれているわけでは無いのである。
「ありがとうございます。ロイさん」
「殿下。先ほど僕は少し厳しい事を言いましたが、あなたは、こういう事に向いていますよ。僕が保証します」
そして、ロイはその書類を抱えて立ち上がった。
「では、とりあえず今から、これを僕なりにもう少し詰めてみたいと思います。明日にでもまた打ち合わせしたいと考えますがいかがでしょうか?」
「はい、私はどうせ暇ですので、ロイさんに合わせます」
「ロイ。私に何か手伝える?」
隣のアーニャの言葉に、ロイは手を振った。
「いや、君はナナリー総督の護衛だろ。君は君の任務をするんだ」
「でも……」
「適材適所さ。そういえばナナリー皇女殿下、先ほど暇とおっしゃいましたが、本当に暇ですか?」
「えっ、はい。暇です」
「そうですか。では、しばしお待ちを」
すると、ロイは懐から携帯電話を取り出し、どこかにかけた。
しばらく待ち、相手が出ると、ロイはパッと笑顔を作った。
「あっ、ローマイヤさん? こんにちは、僕です。ロイです。ちょっとお聞きしたいのですが……」
と言ってロイは電話越しに何かを尋ね、ペンを取り出し、頷きながらメモを取った。
「ありがとうございます。このお礼は後日にでも。ええ、はい、失礼します」
811:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:55:49 ale6/R2i
支援
812:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 01:57:59 1+dzqOBf
そして、ロイは携帯を切ると、テーブルの上の何かが書かれたメモ用紙をアーニャの前にスッと移動させた。
「ナナリー皇女殿下。僕の友人に、殿下の目指すものの参考になりそうな本を聞いてみました。お暇でしたら、読んでみてください。きっと参考になるでしょう。本のタイトルが書いてあるメモはアーニャに渡しておきますので」
「あっ、はい。分かりました」
「では、ひとまずこれで失礼いたします」
と言って、ロイは立ち上がり、一礼した後、部屋を出て行った。
部屋には少女二人が残された。
「言ったとおりでしょ」
「えっ、何がですかアーニャさん?」
「ロイの事。彼、優しいから。きっと殿下に協力すると思った」
ナナリーは友人の言葉に驚いた。アーニャと知り合ってそんなに長くないが、それでも他人の事を、優しい、と評価するような人物ではないと思っていたのだ。
「……」
「? なに?」
ナナリーの困惑した表情に気付いたのか、アーニャは怪訝そうに聞いて来た。
「あっ、いえ、アーニャさんがそうやって他人の事を言うのも珍しいな、と思いまして……」
「そう?」
「はい、そうです」
「……」
「もしかして、好きなんですか。ロイさんの事?」
アーニャの体がピクリと震えたのをナナリーは感じ取った。そして、アーニャはしばらく黙った後、
「……ち、ちがう」
珍しく呂律の回らない友人の顔が見れなくて残念だ、とナナリーは思った。
「違うんですか?」
「……」
アーニャは答えなかった。
ここにきて、ナナリーは無性に申し訳ない気分になった。
「あの、アーニャさん。ごめんなさい。変な事聞いてしまって」
「……別に構わない。正直、私も分からないから」
「えっ、じゃあ、やっぱり好きかもしれないんですか?」
積極的なナナリーに、アーニャは意外そうな視線を向けた。
「……皇女殿下。もしかしてこういう話好きなの?」
「好きです」
即答だった。
813:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:58:18 Qu+gph9s
支援!
814:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 01:59:31 dhLt1JaI
支援
815:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 02:00:21 1+dzqOBf
実際ナナリーはこういう話が大好きだった。
ただ、兄にこんな事を話すと「ナナリー。他人の情事に興味を抱くのはあまり感心しないな」と注意されてしまうので、黙っていただけである。
その兄にしても、あの兄と大変仲の良かったシーツーとの関係に、ナナリーは大きな興味を抱いていたものだ。なにせ、自分の義理の姉になるかもしれない人物なのだから、その興味も一押しだった。
「……」
ワクワクが弾けそうなナナリーの顔を一瞥して、アーニャは俯いた。それは、呆れているのか、話すのを恥ずかしいと感じているのか、それ以外の感情なのか、ナナリーには判断しかねた。
結局アーニャは、「図書館。行く?」と、これで話はお終いと言わんばかりに席から立ち上がった。
○
朝日の眩しさを肌で感じて、ナナリーは体をベッドから起こした。
懐かしい夢、と言うにはまだそれほど月日が経っていないが、ナナリーは遠い昔のような気がした。
(……私は、嫌になっているのだろうか)
気分は落ち込んでいる。夢にみた頃と比べればそのモチベーションとも言うべきものはかなり低下していると思う。
行政特区日本の失敗。
あのあと、シュナイゼルからも、励ましの通信が届いたが、やんわりと少し急ぎすぎたね、と言われてしまった。
それはナナリー自身も思う。でも、
(急ぎすぎなのは分かっていた。困難な事だとも分かっていた。分かっていたのに……)
それでも、いくら先走りでも、急ぎすぎでも、こちらが誠意をぶつければ理解してもらえると思っていた。本気で思っていたのだ。
816:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:00:38 Qu+gph9s
支援
817:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 02:02:25 1+dzqOBf
ナナリーは歩き出したこの道を止まろうとも、引き返そうとも思わない。ただ、この道が果たして自分に進む資格があるのか、また、自分はこの道を歩き終える事ができるのだろうか。
不安は尽きない。そして、今現在、その不安がナナリーの心に言いようの無い暗い影を落としている事も事実だった。
無理も無い。ナナリーはまだ15歳。心身共に成熟には程遠く、弱々しい。就任早々あんな失敗をしてしまってケロリとできるほど、ナナリーの神経は図太くは無い。
『ナナリー様。起床のお時間でございます』
介護者兼侍女のノックがした。
「はい、入ってください」
しかし、ナナリーの気分はどうあれ、ナナリーの選んだ道は、いつも通り彼女に一日と仕事を与えるのだった。
○『気持ちの問題』Aパートおわり。Bパートに続く。
818:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:02:53 Qu+gph9s
支援!
819:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/03 02:02:56 1+dzqOBf
投下終了です。
こんな時間なのに支援ありがとうございます。感謝です。
820:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:27:07 Hqk4Fzvt
投稿ご苦労様でした!
821:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:27:12 Qu+gph9s
>>819
KOUSEI卿、GJでした!
皇帝に意見を述べたロイの度胸が凄い。
あの顔と声を前にしたら普通無理だよね。
エリア11に残ることを拒むスザク、ゼロを理由にしてますがロイのことも有るんだろうなぁ、と勝手に想像しました。
ナナリーの感覚を見るならばやはりロイはライ、しかし……
忠義の漢が待ち遠しい。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
822:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 02:40:16 nx93Ltdi
KOUSEI卿、乙であります。支援!
とうとう中華編に入りましたが、ロイは残りますか。
これからどのように展開していくのか楽しみです。
そして、そして遂にカレン捕縛イベント!!
はたしてどうなるのでしょう?カレンは真実に気づくのでしょうか?やはり再会の鍵はオレンジ?
次回も楽しみにしています。
823:うにゃら…
08/11/03 13:04:13 PdSCfa23
こんにちわ。
ゲリラ投下の人です。
投下しちゃいますので皆様、爆撃に巻き込まれないようご注意ください。
流れ的には前回の「誕生日編」の続きになります。
気になる方は、読んでいただけるとうれしいです。
タイトルは、「アッシュフォド生徒会の何気ない日常~迷走編その1~」。
カップリングは、「ライ×ミレイ」。
本レスは、4レスなので支援は必要ありません。
また、終了レスは入れないので、本レスの最後に《おわり》と入っていたらそこで投下終了となります。
ご注意ください。
824:うにゃら…
08/11/03 13:05:31 PdSCfa23
アッシュフォード生徒会の何気ない日常~迷い編その1~
「あーっ、かわいい~っ。会長っ、それどうしたんですか?」
シャリーが目敏く私のつけているペンダントにチェックを入れる。
ライからもらったあのロケットペンダントだ。
「うふふふ、いいでしょ?」
ついつい自慢したくなる。
ライが私の為にくれたプレゼント。
とても大切なもの。
あれ以来、肌身離さず持っている。
「本当っ、すっごくいいですね。もしかして婚約者からのプレゼントですか?」
「え?!」
私は、そう聞かれて言葉を失った。
「さすが伯爵家の方ですよね。センスいいなぁ。
私もこういうの欲しいなぁ…」
聞こえよがしに声のトーンを上げてそう言いつつ、ちょろちょろとルルーシュの方を見ている。
シャーリーとしてはルルーシュを牽制するつもりで何気なく言ったつもりだったのだろう。
だけど私にとって、その言葉の意味は現実を再認識させるだけの楔でしかない。
そう、私は…ライとは……。
この時、私はシャーリーの言葉を否定する事も出来ず、泣き出しそうになるのを我慢することしか出来なかった。
825:うにゃら…
08/11/03 13:07:05 PdSCfa23
この出来事があってから、私はライとの関係に深入りしないようにしなければならなかった。
これ以上、彼の事を思ってはいけない。
私のライへの思いは、決して実現しないもの。
なぜなら、卒業したら私は他の人と結婚するのだから。
だから、私はペンダントを外した。
貰った時、私はこれを絶対外すことはないと思っていたのに…。
ふと、鏡を見る。
あれ、何で泣いているんだろう。
鏡に映る私は、まるでこの世の終わりを見てきたかのように絶望に打ちひしがれて泣いている。
ああ、笑わないと。
だってこれからアスプルンド伯爵と会うのに…。
そう思って無理やり笑ってみる。
ああ、なんて不恰好な笑顔なんだろう。
しっかりしなきゃいけない。
そう、アッシュフォード家の為にも。
そう思って自分を奮い立たせようとする。
でも、それ以上にアッシュフォード家の家名が重く圧しかかってくる。
今までそれが重いとか負担だとか思ったことはなかった。
そういうものだと思っていたから。
なのに、今、私はそれに潰されそうになっていた。
826:うにゃら…
08/11/03 13:09:01 PdSCfa23
最近、ミレイさんの様子がおかしい。
話したりはするものの、なんかはぐらされている感じだ。
それにプレゼントしたペンダントも最近していないみたいだし…。
やっぱり、迷惑だったのかな。
そういう思いが頭を掠める。
その時だった。
「どうした?らしくないじゃないか…」
ルルーシュが僕に声をかけてきた。
「なんでもないよ、ルルーシュ。大丈夫だ」
そう言って無理やり笑ってみせた。
「おいおい、その顔でなんでもないといわれても余計心配させるだけだぞ」
呆れ顔でそう言われてしまう。
そんなに酷い顔してるんだろうか。
「悩みがあるなら相談しろよ。何かできることがあるかもしれないだろ?」
少し照れながらそう言ってくれるルルーシュ。
そうだよな。
僕は一人じゃない。
僕の周りには、大切な友人たちがいるじゃないか。
一人で抱え込んでみてもしょうがない。
そう思い、僕はミレイさんの事で気になっていることをルルーシュに相談することにした。
そして、恥ずかしかったが僕の彼女への思いも話した。
なぜなら、その思いがあるからこそ、僕はここまで悩んでいる。
だから言わないわけにはいかなかった。
827:うにゃら…
08/11/03 13:11:11 PdSCfa23
真剣な表情で僕の話しを最後まで聞くと、ルルーシュは僕を見据えて言った。
「ライ、お前はどんなことがあっても、彼女の傍にいて彼女を守ると誓えるか?」
いきなりの言葉に僕は言葉を失った。
「ど、どういうことだよ、いきなり…」
いきなりのルルーシュの言葉に、僕はわけがわからない。
混乱気味な僕をルルーシュはじっと見つめた後、ゆっくりと話し出した。
アッシュフォード家の事、そしてミレイさんの婚約の事を…。
僕は、ただルルーシュの話を聞くだけで精一杯だった。
思考がまったく働かない。
でもそんな状態ではあったが、なぜルルーシュがああいう事を最初に聞いてきたのか理解できた。
「ライ、悪いことは言わない。最初に言った覚悟がないのなら諦めるんだ」
ルルーシュは最後に冷たくそう言うと、立ち尽くしている僕を残してその場を去った。
僕は、その後姿を呆然と見送る事しか出来なかった。
僕は…僕はどうすればいいんだ。
その時の僕は、まるで出口のない迷宮に落されたような心境だった。
《おわり》
828:うにゃら…
08/11/03 13:14:46 PdSCfa23
うわー…。
すみません、誤字です。
本文のタイトルが「迷い編その1」になっています。
正確には「迷走編その1」です。
申し訳ありません。
829:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 16:54:47 Qu+gph9s
おぉ、なかなかの急展開!
>>828
うにゃら…卿、GJでした!
この二人の関係、無性に哀しい気持ちが込み上げてきますね。
ミレイの気持ちといい、ライの知った事といい……
凄く続きが気になってまいりました!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただけますか!?
830:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:42:15 1jPLFfoJ
>>828
シリアス展開GJ!です。続きが気になります。そして、卿のミレイさんへの愛ゆえにでしょうか?
驚異的な投下ペース! (本スレだけで7作)もう一度GJ!
さて、総レス数6レスなんで支援をお願いしたいのですが・・・
831:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:43:45 div2ldVS
支援
832:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:43:58 U8bnHMUz
久しぶりに支援します。
833:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:46:59 1jPLFfoJ
静かな夜なんで心配でしたが、支援よろしくお願いします。
分割しなければ、ギャップ萌えのネリ様も溺れる?忠臣二人も生まれなかった。
前夜に引き続き、こんばんわ『184』です。二晩続けて投下なんて、もう二度とないかもしれない・・・
タイトル :ロスカラさん 第8話 シャーリーと銃口?
カップリング:ライ←(カレン&井上)
ジャンル :コメディ? ユル~いキャラで再構成もの
キャラの言動が、ほぼギャグです。(各自がギャグ漫画にありがちな特技や思考を持ってたりします)
5~3頭身キャラが出て来る四コマ漫画を楽しむ感覚で、読んでもらえれば幸いです。
初期状態からライの千葉中尉への好感度は、やや高目に設定してます。その為ゲーム本編と違い、
いきなり「凪沙さん」と呼んでます。
ベイエリアでの戦闘後の話です。既に仙波大尉と合流済みです。
本文に4レス使用予定。前書き・後書き含めて6レスなので、ユル目の支援をお願いします。
静かな夜をぶち壊せ!
834:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:48:08 div2ldVS
支援
835:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:49:34 1jPLFfoJ
ロスカラさん 第8話 シャーリーと銃口?
「よ~ おかえり、ライ」「元気にしてたか?コノー」「わ~ ライ君、帰って来た~」
古巣(黒の騎士団)に戻った僕を皆は歓迎してくれた。肩や背中をバシバシ叩かれたり、ヘッドロッ
クをした上で頭をグリグリのクシャクシャにされた。
「ライ!」
「カレン! おっと」
人混みを掻き分け、カレンが抱きついてきた。僕の胸に顔を埋める彼女の頭をそっと撫でてやる。
「ヒューヒュー。熱いねぇ~ 次はチューか?チューするのか? ぐはっ!」
小学生みたいに囃し立てる玉城を、顔を埋めたまま後ろ足で蹴り飛ばすカレン。相変わらずの雰囲
気に苦笑いしながら回りを見ると、凪沙さんと目が合った。しかし、プイッとそっぽを向かれてしまっ
た。嫉妬してくれたのなら少しは嬉しいのだが、彼女の場合ラブシーン?に免疫が無くて単に照れ
ているだけというのもあり得るので、何とも判断が難しい。
(後で探りを入れて、前者ならフォローしとかないと・・・それはそうと・・・)
「良く戻ってくれたライ。C.C.と井上なら別件で出張っていて留守だ」
欠けている物を感じていた僕に、ゼロが的確に答えてくれた。
「フッ、二人に会えなくて寂しいか?」
「ああ、それは勿論―ってぇーー!!」
背中に激痛が走る。カレンに力一杯抓られた。背中がジンジンする。
「そうか♪ 今後の事で話がある。ライ、司令室に来てくれ。カレン、ライを借りるぞ?」
「こんなチャンス、滅多にないのに・・・」
「非常に大事な話だ」
「分かりました・・・」
ゼロにキッパリと言われ、カレンが渋々僕から離れる。しかし、チャンスって・・・
「皆も疲れただろう、もう休んでくれ。ああ玉城、騒ぎたい気持ちも分かるが宴会は暫くお預けだ。
解放戦線の人達の気持ちも考えろ」
「気遣い感謝する。我々はあくまで―」
「承知している。まずは藤堂中佐との合流、その後の事は中佐の判断しだいと言うことで」
836:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:50:31 div2ldVS
支援
837:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:52:05 1jPLFfoJ
『今後の事で話がある』という事で司令室に来たのだが、先程からゼロは一言も話しかけてこない。
「~~♪」
しかも何故か、僕の隣に寄り添うように座っている。それどころか段々こちらに体重を預け、しなだれ
掛かってきた。
「あの、重いんだけど・・・つっ!」
今度は太腿を抓られた。
「ごめん、冗談。井上さんは重くないです」
「! どうして・・・?」
ビクッと反応するゼロ。やっぱり、ゼロ=井上さんなんだ。C.C.の可能性も僅かにあったのでホッと
する。
「こんなに密着していて、気付かない筈ないでしょう? さ、仮面を取って顔を見せてください。あと、
理由も説明してくれますね?」
「ええ♪」
作戦直前にゼロが負傷したと、C.C.から連絡が入った。ゼロ不在では士気に大きく影響する。その
為、急遽影武者が必要になった。以前のキョウトの時の様に、ゼロの仮面と衣装を着てただ立って
いれば良いという訳にはいかない。今回は戦闘があるのだ。要所要所で指示をする必要がある。
しかし、始めから影武者を想定していたのなら兎も角、あらかじめ声を録音して準備などしている訳
が無い。それでゼロの声を再現する為に、【声真似】の技能を持つ井上さんに白羽の矢が立ったの
だという。
(あらゆる事態を想定して、数十パターンもの作戦データが入力されたパソコンがあったとはいえ、
見事にゼロになりきったな井上さんは・・・)
それに今回に限って、あの白カブトが出てこなかったのもラッキーだった。
「それで、ゼロは?」
「C.C.が付いているから大丈夫。それよりも―」
ブルブル震える井上さん。
自分の言動に沢山の人の生死が掛かっていたと思うと震えが止まらない。ゼロの肩に掛かる責任
の重さに潰されそうになった。だから―
「抱きしめて、震えを止めて・・・」
こんなに、弱々しい井上さんは初めてだ。僕は彼女をギュッと抱きしめた。こんな体勢だから井上さ
んが、ペロリと小さく舌を出している事に気付ける筈もなかった。
838:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:52:13 U8bnHMUz
支援
839:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:54:45 1jPLFfoJ
やがて、井上さんが潤んだ瞳で見つめてきた。
「ねえ? して、キス・・・欲しいの」
「い、井上さん・・・」
そんな目でそんな事を言われたら、僕はもう・・・
「駄目だ!」ガ ン ッ ! 「つ~」
「「何(だ)?!」」
大きな音に我に返り発生源の方を見ると、執務机の下からC.C.が頭を擦りながら出てきた。
(頭をぶつけたな)(ぶつけたわね)
「あ~ ゴホン。被写体の商品価値が下がる。それ以上はダメだ」
片手にカメラを持っている。また、盗み撮りをしていた様だ。軍人とゼロのコスプレ女のツーショットっ
て、需要があるのか?
「C.C.、何故ここに? ゼロはどうした」
「そうよ、何で居るのよ? やっと二人っきりになれて、これからって時に・・・」(ブツブツ)
「ゼロなら信用の置ける奴に、家まで送らせた。だから、大丈夫だ(多分・・・)それより、ライ。
感謝して欲しいものだな。お前の貞操を守ってやったのだから・・・」
「え? わわっ!」
僕の着ていた軍服は、いつの間にかシャツのボタンが全部外されズボンのベルトも緩められていた。
あのまま雰囲気に流されていたら、僕が井上さんに食べられていたのは間違いないだろう。
「ぼ、僕、もう帰ります。そ、それじゃ、お疲れ様でした~」
「ああ~ん、ライく~ん」
僕は着衣の乱れもそこそこに、司令室を飛び出した。慌てるあまり、司令室の近くにいた新顔の団
員に見られたのにも気付かなかった。
「ゼ、ゼロは男色家!? いや美少年キラー!? 両刀使い、軍服フェチ、カオスだ! 何と言うカオ
ス! さすがは、ゼロ! はーっはっはっはっは」
840:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:55:40 div2ldVS
支援
841:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/03 23:55:41 U8bnHMUz
支援
842:184 ◆CqyEjyiJyU
08/11/03 23:57:17 1jPLFfoJ
(おまけ1)ゼロ負傷とランスロット本作戦不参加の真実
海中に爆薬を仕掛け終えたゼロ=ルルーシュであったが、慣れぬ肉体労働でとうとうダウンしてしま
った。幸いあらゆる事態を想定して作戦は立ててある。データもパソコンに入力済みだ。後の事は、
C.C.経由で井上に任せる事にした。
ルルーシュに学生服を着せ、肩を貸して付き添っていたC.C.だったが途中で面倒臭くなった。道端
に彼を置き去りにし、よりによって近くにいた軍人(枢木スザク)に押し付けた。
スザクが『人が倒れている。虫の息だ』と聞かされ、慌てて行ってみるとそこに居たのは親友だった。
「君を死なせるものか!」とばかりに特派につれて行くと、ただの過労だと分かった。ホッとして
「それじゃ、家まで送ってきます」とルルーシュをおぶって出て行くスザクの頭には、作戦開始時刻
の事はスッポリ抜け落ちていた。
(おまけ2)シャーリーとヴィレッタ
前日にブリタニア軍人ヴィレッタ・ヌゥからルルーシュが『黒の騎士団に関与している』と吹き込まれ、
彼を尾行していたシャーリー・フェネットであったが、途中で見失ってしまい仕方なく学園に帰って来
た。するとなんと校門の所で、そのルルーシュをおぶったスザクと遭遇した。聞けば道端で倒れてい
たと言う。部屋まで運んでもらい、看病は自分がすると申し出た。
「すまん、シャーリー。迷惑を掛けて・・・」
「ううん、気にしないで」(疑ってごめんね、ルル。こんなヘナチョコなテロリストがいる訳ないもんね)
「シャーリー?」
「あははは。何か安心したら、涙が出てきちゃった。変なの」
「あんな情けない男が、黒の騎士団の筈がない・・・貴重な時間を返せ!」
シャーリーを尾行、途中まで様子を窺がっていたヴィレッタは、汚名返上の為の独自調査を一から
やり直す事にし、その調査対象からルルーシュ・ランペルージを除外する事にしたのだった。