08/10/29 20:42:23 CYLR7DlF
「人を血液型で判断してはいけません」
最近、黒の騎士団では血液型診断が流行っている。
元を辿れば、井上が面白がって買ってきた「B型自分の説明書」だ。ちなみに過去には脳内メーカーや
動物占いも流行った。黒の騎士団は若い集まりなのだ。
「租界でも売れているとは言え、買うのは日本人がほとんどですよ。科学的根拠がない上、
半数以上がO型 であるブリタニア人の間ではあまり関心がもたれないようです」
長い顎と鬱陶しい前髪の諜報部員がそう嘯いたが、お茶とおやつを持ってきた咲世子以外は黙殺した。
「うるせぇよ! で、お前は何型なの?」
スルーできなかった玉城は好奇心に負けたのだろう。
「……ABですが、それが何か?」
それを聞いた途端、玉城は爆笑し、ディートハルトは眉間にますます深い皺を刻んだ。ディートハルトは
血液型占いなど微塵も信じていないが、日本人に毎度毎度このような反応をされるといい加減腹も立つというものだ。
そんな外野を気にすることなく、カレンは雑誌の相性占いの頁を真剣に読んでいた。
「私はB型だから……。ん? ライは?」
「僕? うーん、わからないな。この間、血液検査をしたから、ラクシャータなら知っているかもしれない」
「そっか。後で聞きに行こう」
カレンは雑誌の開いたまま、B型の項を指でなぞった。
「ねぇ、ゼロは?」
仮面の総司令についてカレンはふと思いついた。黒の騎士団は全員血液型の登録をしている。
いつ、どこで輸血が必要になる事態に巻き込まれるかわからないからだ。素性をすべて伏せている
ゼロも同様のはずだった。
「青い血でも流れてるんじゃねぇの?!」
玉城は自分で言って爆笑している。カレンはにこやかに宴会部長を拳で黙らせた。
「私は聞いたことがないけど、そうねぇ……」
おやつのひよこ饅頭を配りながら井上はちょっと考えるそぶりを見せた。
「まぁ、見てればだいたい分かるよな」
言いながらひよこを手のひらに乗せて、頭から食べるべきかお尻から食べるべきか、扇は悩んでいるようだ。
『ありゃ、A型でしょう』
全会一致の意見だった。