08/11/21 20:11:46 4YRaqCAK
そんなに大して世話になったこともなければ、会った回数も交した言葉も少ない
母方の親戚の叔父が夢に現れた事がある。
能の桧舞台の様でもあり、白木の神社の拝殿の周りの廊下にも思える所を
コマ送りで左から右に叔父が移動してくる。
すると次の瞬間目の前に立ち、無限遠の感情のないような眼で見つめている。
目が覚めた。
カラーの夢で、明るい照明の照らす桧舞台みたいだった。
叔父に夢で見つめられるのは、怖いや気味が悪いはないが引っ掛かる気はしてた。
その頃、丸五年、母と口を訊いていなかった。
俺が母のやる事に苛立ちを感じて一方的に拒絶する態度を取っていた時だった。
後日、母から叔父が随分、自分(母)の面倒を見、心配していた時に死んだと聞かされて
〝ハハア〟と内心思っていた。
夢に幽霊となって現れて、俺を叱りに来たに違いなかった。
あの無限遠の冷たい眼は、叱責の意味だったんだと理解した。
今日、母は病院で主治医からエコーで見て貰っているうち、三度目の癌らしき
腫瘍があると告げられた。
くよくよ悩む母は、いま父と争いの最中。心身ともぐったりした体を
俺の部屋に敷いた布団に身を横たえて寝ている。