09/04/06 21:35:24 xDduPln7
布団から出て、武台の上に置いてあった服を着る。
書類かばんを持とうと思い、とどまる。
今日から俺は二児の父だ。
休日出勤なんてもうやってちゃいけねぇやな。
これからは常にマイホームパパを決めこむか!
帰り道、寝室のクローゼットにネクタイを捨てた。
まだ寝ている息子の寝顔が、気を引き締める。
畜生、また男気が溢れてしょうがねぇぜ・・・
辺りを見渡す。この家には狭い台所がある。
武は真っ直ぐに台所の中に向かった。
火の気のない台所の中、武は服を脱ぎ、丁寧にたたむ。
エプロン一丁になり、冷蔵庫の中から食材を取り出して下ごしらえする。
そして腹から大声を張り上げる。
「俺は男だ!この家の父親だ!
男一匹、根性根性ど根性!」
そしてその場で朝食を作り始める。
「押忍!押忍!押忍!」
家族が起きるたび、押忍と声を張り上げる。
やり場のない男の精力を、家族への奉仕で発散させる。
「押忍!押忍!押忍!」
息子が食べ物を散らかしては零れ落ち、足元の床の色を変えていく。
妻も娘も会話で楽しい雰囲気になってくる。
「くそ!きたないな」
散らかり過ぎ、おもちゃ箱を突き破らんばかりの玩具を見て言う。
そして、納戸から掃除機とクイックルワイパーを引っ張り出した。
片付いた家はマイペットと我慢汁で光っている。
「よっしゃ、片付いた」
そして再び家族サービスを踏み始める。
家族を乗せた車に、武がアクセルを踏む音と押忍の叫び声が延々と響き渡った。