09/04/02 15:20:45 ww9yvhU9
缶コーヒーを飲もうと思い、とどまる。
今日から俺は男喫茶のウエイターだ。
缶コーヒーなんてもう飲んでちゃいけねぇやな。
これからは常にドリップコーヒーを飲みこむか!
帰り道、公園のゴミ箱に缶コーヒーを捨てた。
焙煎した豆の香りが、気を引き締める。
畜生、また男気が溢れてしょうがねぇぜ・・・
辺りを見渡す。この公園には広い森がある。
武は真っ直ぐに森の中に向かった。
人気のない森の中、武は服を脱ぎ、丁寧にたたむ。
になり、鞄の中からサイホンを取り出してセットする。
そして腹から大声を張り上げる。
「俺は男だ!男喫茶のウエイターだ!
男一匹、根性根性ど根性!」
そしてその場でコーヒーを淹れ始める。
「押忍!押忍!押忍!」
ポットの湯がコーヒー粉を濡らすたび、押忍と声を張り上げる。
やり場のない男の精力を、コーヒー淹れ鍛錬で発散させる。
「押忍!押忍!押忍!」
体中から汗が噴き出しては零れ落ち、足元の土の色を変えていく。
アルコールランプも生豆も汗でびしょ濡れになってくる。
「くそ!きついな」
焙煎し過ぎ、炭にならんばかりのコーヒー豆を見て言う。
そして、焙煎機から豆と豆の滓を引っ張り出した。
焦げ茶色になった豆は油分と湯気で光っている。
「よっしゃ、楽になった」
そして再びコーヒーを淹れ始める。
誰もいない森に、武がコーヒーを淹れる音と押忍の叫び声が延々と響き渡った。