09/04/01 22:21:16 jjpqvZi9
目の前でゴミ袋が破られていく光景を見て>>5は震えていた。
いや、むしろ生ゴミがカラスのくちばしに吸い寄せられるように食べられていき、瞬きさえできなかった。
3匹の巨体が艶かしく動き、醜悪なくちばしがゴミ袋を破っていく様は
昨日までの>>5にとって嫌悪すべき光景以外の、なにものでもなかったはずだ。
しかし今は違う。
袋から漏れる生ゴミの臭いがやけに臭い。
先ほどまであっけにとられていた>>5が気付くまでもなく、>>5の小さなゴミ袋は
先端から生ゴミの液を滲み出させていた。
「カー カー」
激しく抽送を繰り替えすカラスの、くちばしというにはあまりにも巨大
な凶器を見ていた>>5はついに袋を置きっぱなしにして帰ってしまった。
振り向くカラスの目は、新しい獲物を見つけた野獣そのものだった。
「カー カー(こっちもうまそうじゃないか)」
ゴミ袋はすでにびりびりにひきちぎられ恍惚状態だ。
激しく動いていたゴミ袋の結び目が止まり、こちらを振り返ると地面には
ゴミ汁の証明がゆっくりといやらしく流れている。
「チュン チュン(親方おれたちはこっちでいきますか)」
小柄とはいえスズメも嫌いな口ではない。
二匹がカラスがこぼした生ゴミのかすの方に羽根をはばたかせながら近付いてきた時、空腹感と快感の狭間から
~これからおまえも生ゴミを貪るのだ~という声が聞こえた。
ゴミ収集車はいつ来るのだろう。
後片付けが大変そうだ・・・