06/04/04 16:52:03
大きな総合病院の産婦人科では待合室に大きなお腹の女性がすしずめ。
４時間程待たされても呼ばれないのでもういいやと思って帰った。
お城のようにピカピカな病院では２代目息子が若くして副院長。
無神経なことを言われ、高い診察料を払った後「二度と来るものか」と泣きながら一人帰る。
細い裏道を歩いていると、外観はボロボロの産婦人科病院を見かける。
でもきちんと優生保護法指定病院と書かれてあるので入ってみる。
年をとった医者と、その奥さんらしき人二人しかいない。
こちらの私的なことに関して何も言わず、すぐに手術の日時を決めてくれた。
経費はちょうど８万円。
私は未成年だったが親に連絡しなくても済むようにはからってくれた。
当日、冷たい手術台に寝せられ麻酔を打たれた。
何か恐ろしげな冷たい器具が挿入される。
酷い時の生理痛より百倍くらいの痛みだったが必死で堪えていると意識がなくなった。
意識を取り戻しても光だけ感知して手足も首も全く動かず感覚が無い。
１時間程してやっと指が動くようになり、頭もはっきりしてきた。
後々聞くところによると手術中私が暴れ出すのでもう一度強い麻酔を打ったらしい。
痛みで暴れたのか、無意識に子どもが殺されるのを防ぎたかったのか。
本来ならば子どもを守るべき筈の、たった一人の母親が
その子を殺してくださいと依頼したのだ。
母親に頼るしかない、自分を守ってくれる筈だと安心して眠っているところに
恐ろしい機械が入ってきて自分を殺そうとする。どんなに怖かっただろうか。
意識が無い時に夢のようなものを見た。数字が見えた。
その後ベッドで吐いたりして気分がよくならないので
そのままその病院に一泊入院することになった。老夫婦がすごくよくしてくれた。
おかゆと軽い食べ物が運ばれてきて、一人になってぼそぼそ食べていると涙がこぼれた。
翌日「手術していなければ予定日はこの日だったね。もう関係ないけれど」
とカルテに書かれている日付を見たら、朦朧としている時に見えた数字と全く同じだった。