【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合26at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合26 - 暇つぶし2ch533:タバサの隣で眠りたい
08/01/20 00:44:08 WTydTLFG
(なんかな。こいつ、頑張りすぎだって。ああ、添い寝して思いっきり抱きしめて頭撫で回して一晩
中褒めまくってやりてえ)
 才人は心底からそう思った。その念には、自分でも驚くほどに、やましい欲望が微塵も含まれてい
ない。ほとんど父性とも言えるような、今まで感じたこともない大きな愛情である。
 タバサが目の前にいるせいか、その感情は一秒経つごとに増してくるように思えた。
「サイト」
 ふと、タバサが才人の視界に回りこんできた。驚いて身を引くと、ほんの少しだけ眉を曇らせた。
「なにかあったの」
 いつもの平坦な声音から、こちらの身を案ずる優しさが滲み出ているような気がした。
 才人の胸に熱いものがこみ上げてくる。
(ああもう、自分のことで手一杯になるのが当然だってのに、お前って奴は……!)
 今度こそ本当にどうしようもなくなって、しかし抱きしめるのだけはなんとかこらえた。
 代わりに、才人はタバサの両肩に勢いよく両手を乗せた。
「タバサ!」
「……なに?」
 突然の才人の行動に、さすがのタバサも驚いたものらしい。瞳がかすかに見開かれており、返事も
一拍遅れていた。
 そんなタバサの顔を真正面から見つめながら、才人は思いの丈をぶちまけた。
「今夜、俺と一緒に寝ないか」
 返事はなかった。タバサは身じろぎせず、口を開かず、瞬きすらせず、硬直したようにその場に立
ちすくんでいた。
「……冗談?」
 一分ほど経って、タバサはようやくそれだけ口にした。壊れた玩具のように、その首がぎこちなく
傾ぐ。才人は思いっきり首を横に振った。
「いや、冗談なんかじゃない。な、今夜、俺と一緒に寝ようぜ、タバサ」
 溢れる思いを視線にこめて、タバサの瞳を真正面から見つめる。
 そのとき、奇妙なことが起きた。
 白い頬にかすかな赤みが差したかと思いきや、タバサが思い切り才人を突き飛ばしたのである。
 予期せぬ反応に、才人は踏みとどまることすら出来ずに尻餅を突く。
 呆然として見上げると、タバサは俯いて細かく体を震わせていた。折しも差し込んできた夕陽が逆
光となって、その表情を窺い知ることは出来ない。
「タバサ……?」
 困惑しながら声をかけると、タバサは今まで聞いたこともないほど大きな声で叫んだ。
「そういうのは!」
「え?」
「ま……まだ、早いと、思う!」
 そう言って、タバサは勢いよく踵を返した。小さな体が物凄い勢いで遠ざかり、夕闇の中に消えていく。
 才人はその場に座り込んだまま、タバサが残した言葉を何度も何度も頭の中で繰り返した。
 そして、彼女が言わんとすることの意味を悟り、自嘲する。
「そうか……問題を全部解決したわけじゃないから、人に甘えるのはまだ早いと……そう言うんだな、タバサ」
 胸にじわりと温かさが染みこんでいくのを感じながら、才人は立ち上がった。
「やっぱり凄い奴だよ、お前は……俺も、少しでもお前の助けになれるように、頑張らせてもらうぜ」
 タバサが去っていった方向を見つめながら、才人は力強く微笑んだのだった。

 なお、後にタバサは、
「あまりにも突然すぎたために、本来なら喜んで受け入れるところを拒否してしまった。あれはわた
しの生涯でも一、ニを争うほどの失点である」
 と述懐したそうである。


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