ちりとてちんでエロパロ 第二席at EROPARO
ちりとてちんでエロパロ 第二席 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/12/17 19:32:24 QbWefLgW
>>1
底抜けに乙!

3:名無しさん@ピンキー
07/12/17 19:37:00 Jpn29n+W
前スレは落ちたら無くなるのか?
だったら、職人さんはこっちでカキコしてもらわんとイカンな。

4:名無しさん@ピンキー
07/12/17 19:38:56 U/ZskDqH
>>1乙!


5:名無しさん@ピンキー
07/12/17 19:52:41 SQM4yAn7
>>1 乙とぞ思ふ・・・とぞ思ふ。


6:名無しさん@ピンキー
07/12/17 20:04:32 LFBQHyMz
>>1乙の陽気なこと!

7:名無しさん@ピンキー
07/12/17 21:05:28 PncLv0z5
>>1
乙!!

8:名無しさん@ピンキー
07/12/17 21:20:50 KL3Y5bJV
>>1にお疲れ様、と言う気持ち
これを我々2chでは “>>1乙”と言うのです、ハィ~

9:58
07/12/17 22:41:25 Lrv9eLEe
では、投下。

友春×順子
エロ


「ん…ええ顔…ん…く…順、順子」
「あっ…はぅ…と、友…友春…あっ」
 友春は順子の腰を掴み、下腹部を尻に叩きつける様に激しく
 動き出した。
「あっああっ!そ、そんな―はげし、激しすぎや」
「順子、すまん。もう止められ―ん、ああっ…ん、ううう」
 語尾を強めた友春は順子の腰を抱きかかえるように掴み込むと
有無を言わさず、腰を叩きつけた。
「あううっ!と、ともは…ともはる…あっあっあ」
 かくんかくんと頭を振る順子の呂律がかすみがかってきた。
 友春は背後から踊り回る順子の胸を鷲掴みにして、その乳首を搾乳するように
指で扱きあげた。

ちりとてちんSS 『若狭塗り箸で焼き鯖はいかが?』


「あ、やあっ!お、おっぱい…そんな揉まんでぇ」
「順子、順子の胸…柔らかすぎや…」
 下からすくい上げるように揉みし抱き、指を埋没させる。順子の柔乳が
 淫らにその形を歪めた。
「あっ…き、順子…ちょっと…く…体起こして…」
「え…とも…は――うううう」
 友春は順子を背後から抱え上げると、柱に押しつけ、その下から再び怒張を押し込んだ。
順子は爪先で立つような姿勢で押しつけられている為、ぷるんと突き出ている胸が柱との間で
さらに淫らに歪んだ。

10:58
07/12/17 22:42:39 Lrv9eLEe
「と、友はっ―ちょっとこんな―あんっあああっく…くるし…はああ」
「順子、順子、順子ぉ」
 友春は順子の両肩を掴み、下から押し上げながら、そのうなじにむしゃぶりついた。
パンパンパンと下から怒張を突き上げ、内壁に擦りつける動作は馬のソレに似ている。
「あっああっ!あ、あかん…あかん、あああ」
 順子の意志に反して膣は雌としての本能のまま、雄の精放出を急かせるため、
友春の肉棒を締め上げた。中でさらに大きく勃起している友春はそれだけで堪らない快感を得た。
「き、きつい…順子、あかん…で、出る、出るで!!」
 順子の胸を背後からその荒々しく鷲掴み、友春は一旦、腰をためて一気に下から押し込んだ。
ぐちゅうと剣突の乾いた音が食堂にやけに重く、ゆっくり響いた。
「あっ、あかんっ!わ、私もイク…イッてまう…ああああっ」
 途端にくる順子の叫ぶような乱れた声。
「うっ出…出る…くう!」
 順子が叫んだ瞬間、友春の怒張が膣内で爆発した。
びゅるるるううと友春の白濁液が順子の最奥に注ぎ込まれる。
「はっ…あっ…あは…」
目を見開き、己の膣内が友春の白濁液で満たされる快感はなんとも形容しがたい。
「わ…私…あっ…は…はああ…」
満たされ、絶頂の余韻にひたる順子の柔尻を掴み、なおも
うっ…うっ…と射精を続ける友春そしてようやく長い射精を終えると順子の
膣内からぐちゅりと抜き出した。ドロリと順子の尻の谷間から太股を伝い落ちる白濁液。
「…順子…可愛かったで…」
「は…さ、最高やでぇ……友春…な、も、もっと…今度は…私の部屋でぇ…」
 順子の妖艶な瞳に吸い込まれそうになる友春であったが…
 くううう。
「あ……」
「順子……すまん、何か食わしてくれ。腹減ってたん忘れてた。」
バキ……さっきとは違う重々しい音が食堂内に響き渡った。

11:58
07/12/17 22:43:51 Lrv9eLEe
「最悪や、ムードぶち壊しや、友春のアホッ!ボケッ!カスッ!」
「そこまで言わんといてくれぇ…痛てて」
 順子は服を着なおし、文句を言いながら鯖を焼いている。
「ちゃんと金払えよ。タダちゃうからな!ホラ、焼き鯖一丁上がり」
 ドンッ!と荒々しく焼き鯖ののった皿を友春の前に置く順子。
「すまんなぁ……ん、いただきます……」
 店の割り箸で焼き鯖の身を摘み、ぱくっと口に運ぶ友春。
「………美味い」
「……あ、当たり前や。私かて鯖くらい焼けるわ」
 顔を赤くしながら口を尖らせる順子。
「この前、食った消し炭みたいな鯖を焼いたんはどこの誰やったっけな?」
「う、うるさい、そんなん知らんわ!」
 口では簡単に言うが順子はきっと父の見ていないところで必死で練習したのだろう。
 店に出ている時に父の技術を盗み見、火加減や焼き具合を研究し、血のにじむ様な
 努力をしたに違いない。そんな順子に友春は胸がいっぱいになった。
「ホンマ美味いで、順子も食ってみぃ」
「……ほんまにそんなに美味しい?」
 ゴクっと唾を飲み込む順子。
「ホンマ言うてんのや。ほら、食うてみぃ」
「う、うん…」
 友春の横に座って割り箸に手を伸ばそうとする順子の手を友春は押さえた。
「あ…友春?」
「お前の箸はコレや」
「え…あ…!?」
 友春が紙の包みから出したのは綺麗な木箱であった。
 中には一膳の塗り箸が納まっていた。
…そう言えばと順子は店に来る地元の労働者達の噂話を耳にした事がある。
『最近、二代目は工場でアルバイトから始めよったで~』
『時給で小遣いもろとるらしい』
『塗り箸の勉強とかで正典さんとこ、かよとるらしい』等々…
(あの噂はホンマやったんや…)
 順子も喜代美から塗り箸の事を少し聞かせて貰った事があるが、並大抵の時間や根気で
 できるモノではないらしい。それに友春が工場で、喜代美の父の所で必死で取り組んでいるのだ。
それを思うと胸がいっぱいになった。
「この塗り箸は俺が初めて作らせてもらったモンでな…正典さんのモンに比べると
何もできてへん贋作やけど…これを順子に渡したかったんや。一緒になった時は
もっと…もっとすごい塗り箸作って順子の為に作るから…今はこれで…」
「……ありがとう友春…」
「順子……」
 順子は焼き鯖の身を友春の塗箸で摘み、言った。
「友春、あーんして、私が食べさせたる」
「順子?」
「若狭塗り箸で焼き鯖はいかが?」 

END

>>559氏、設定お借りしました。感謝します。

12:名無しさん@ピンキー
07/12/17 23:14:39 LFBQHyMz
GJ!エロで最後は良い話かいな!

13:名無しさん@ピンキー
07/12/18 07:58:31 pDLWgaGU
>>11さん、GJ!ありがとう。

14:名無しさん@ピンキー
07/12/18 08:04:06 pDLWgaGU
小ネタ、エロ無し。投下します。

念願であった復活の 天狗座「徒然亭一門会」が開演された。
一番手は 若狭。会場は大入り満員。ドキドキが止まらない。
高座にあがり・・・緊張の余り口走る。

「ぬ・・濡れ濡れティ わ、若狭でございます!」

その時 会場はマイナス40℃に凍りついた。

お粗末さま~。

15:草々、独り身の夜
07/12/18 08:17:14 pDLWgaGU
投下します。エロあり・草々DT喪失話

その様子を初めて見たのはいつだろう・・入門して間もなく、トイレに起きた草々は
母屋で聞こえた声に引き寄せられるように障子の隙間から部屋を覗いた。
「あ・・あ・・・し、師匠・・そんな・・ああ・・」
「そんなに声出したら、仁志や草々に聞こえる。」
「あ・・す・みま・・せ・・んぅぅぅぅ。」
草若と志保がまぐわっていた。草若の雄々しい抱き方にも驚いたが、抱かれている志保の
肢体の美しさは・・生涯忘れられなくなった。(見てはイケナイ)と思いつつ、体が動けない。
しばらく、見つめていた草々の肩をポン!と誰かが叩いた。

「!!!」と驚き、背筋が凍る草々。振り返ると小草若が立っていた。
「お前・・何楽しんどんねん。」と小声で言う。
音を立てないように、その場を二人で離れた。

「ふ・・・親父も他に女居るのにな、まだおふくろ抱きたいんか。」
「やめろ、そんな言い方。」  「お前・・覗いといて何言うとんねん。スケベが。」
「あれは・・不可抗力で・・。」   「言い訳すんな、俺のおふくろの裸見といて。」
「・・・・すまん。」   「ま、あの年でまだイケてるほうやしな。変な気起こすなよ。」
「アホ!尊敬してる女将さんにそんな気起こすか!!」   「へ、どうだか。オカズにする気やろ。」
掴みかかろうとしたが、後ろめたさがあったので、それだけで二人は離れの部屋にそれぞれ戻った。

その夜から、草々の想像の相手は志保になった。これは今でも同じだった。
初めてはいつだったか・・・。成人したその年、珍しく師匠と二人で出掛けた。
着いた場所はいつもとは違う雰囲気の料亭だった。

「おう、来たで。」  「ああ、待ってました。さぁ、どうぞ・・こちらのお部屋です。」
着物姿の女将が案内する。座敷には酒の席が用意されていた。
「成人したんや、堂々と飲めるな。おめでとう、草々。大人の仲間入りや。」
「ありがとうございます。師匠。まだ実感湧かんけど。」
「それでやな、俺からのお祝いや。」ポン!と手を叩く草若。
すぐに草々より少し年上かと思われる、若い女性がやって来た。着物姿がよく似合う・・どこか
志保を思い出すような、美しいというより愛らしさが残っている女性だった。
「こんばんは。初めまして、あずさ言います。こちら草々さんですね・・よろしゅうお願いします。」
「は、はい・・。」   
「緊張せんでもええ、草々。この娘(こ)はな、俺の妾宅で・・手伝いしてる娘や。」
「はぁ・・。」
「俺からのお祝いや、芸の為に女も知らんとまずいからな。後は頼んだで・・あずさ。」
「はい、お任せ下さい。」
「え・・・し、師匠!!」  「よ~う教えてもらえな、草々。」

二人きりになった座敷の隣の部屋のふすまを、静かに開けるあずさ。
蒲団が敷かれて・・用意されていた。あわてる草々。「お・・俺・・。」
「師匠さんから聞いてます。そんなに怖がらんでも、とって食べたり・・しませんから。」
とスルリと着物を脱ぐあずさ。草々のそばに襦袢姿で近寄る。そっ・・と帯に手をかける。
「お・・俺は、は、初めてでっ!」とオタオタする草々を「行きましょ。」と蒲団の座敷へ促す。

全部脱いだ草々をやさしく導く、あずさ。最初は入れる前に出てしまったり、乱暴に扱って注意されたが。
何回かするうちに慣れて、ついには絶頂を迎えさせた。
「ああ・・良かったわ。私、コレでイケたん・・・初めてやわ。」と舐めてくれる。
「も・・もう、まだしてもええか?」 クスクス笑うあずさ。「若いんやね、ええよ。師匠さんから十分
満足させるまで付き合うてくれ、言われてますから。オンナの体・・知り尽くして帰ってね。」
その日は帰らず、朝帰りした草々は男としての自信を持てたのである。

しかし、実際に女性と付き合うとそういう行為には出れない。なまじ知ってるだけに、
大事に扱ってしまう。今夜も志保の幻とあずさを思い出し、自分でする毎日。
それは今も続いている・・・・・。

お粗末さまでした~。


16:名無しさん@ピンキー
07/12/18 15:09:33 Jf0zYM+C
草々のDT喪失は絶対こんな感じだろうな…

>>9
gj!エロエロなのにいい話ってのがアホボンへの愛を感じるw

>>1
ちょっと遅れたけど乙。

17:名無しさん@ピンキー
07/12/18 16:28:57 KWj59TVi
>>1さん、底抜けに乙。
>>9さん、GJ!タイトル、そういう意味だったのか!!!と思った。
確かにアホぼんと順ちゃんへの愛だなあ。
>>15さん、エロエロだ…。これぞエロパロ。

18:名無しさん@ピンキー
07/12/18 16:35:35 KWj59TVi
エロありの後、エロなしで申し訳ないですが。

エロなし、ベタなドラマ風の小草若×喜代美。

昨日の本編を見て、どうしても小草若を幸せにしたくなり
書いてみたものです。
ぐれぐれ亭小草若なので、途中まで暗いです。

19:小草若×喜代美その1
07/12/18 16:37:29 KWj59TVi
小草若は荒れていた。

レギュラーの仕事は減り、自分らしい仕事をしていた番組まで降板することになってしまった。
後釜はあの尊建だ。実績と実力に裏打ちされた自信に満ちた、尊建。
そして、今の自分は…。自暴自棄になっていた。

今日も小草若はひとりで酒を飲む。
もともと、強いほうではない。
感情の起伏が激しい小草若は、飲めば飲んだだけそのときの感情が拡幅されていく。
楽しい気持ちが勝れば天まで昇らんばかりのテンションになるし、
負の方向に気持ちが行っていれば…それはすなわち、今の状態だった。

繁華街にあるカジュアルイタリアンの脇から入るバーだった。
細くて急な階段を降り、ドアを開けると、そこは大きなウッドカウンターがあるだけの落ち着いたバー。
薄暗すぎない照明と静かに流れるジャズ、バーテンダーとの適度な距離感。
本来は静かに楽しんで酒を飲むのにふさわしい居心地のいい空間だろう。
しかし、小草若にとってはそんなことはどうでもよかった。
いつもの店だから、ひとりになれる店だから、それだけ。
誰も自分にかまわないから、それだけ。

誰かに何かを言われたら、気持ちごと壊れてしまいそうだった。

「ここやったんですね」
不意に声をかけられる。顔をあげる元気もなくゆっくりと声の主に視線を向けた。
かわいらしい妹弟子。最愛の、ひと。
「小草若兄さん…。ね、帰りましょう」
喜代美が言った。今にも泣き出しそうな顔をしている。
小草若は思う。こんなところを見られて、泣きたいのはこっちのほうだと。
やっとの思いで、声を絞り出す。
「なんでわかったん、ここ…」
「前に、言うとんなったでしょう、この店のこと…。
考えたいときに来る、って。大好きな店なんや、て…」
喜代美ちゃんだけに教えたるねんで、年季明けたら連れて来たるからな。
喜代美がかばん持ちをしてついて来ていた頃、たまたま前を通りかかって、そう言った。
憶えていたのか。
いたずらっぽく片目をつぶって見せたあのときの自分は、どこへ行ったのだろう。
「ね、兄さん…私、送っていきますさけ」
伸ばされかけた手を振り払う。
「ほっといてくれ!」
思わず大きな声を出した。喜代美が泣き出しそうな顔のまま、うつむく。
また自己嫌悪に陥った。吐きそうだ。
けれども、そんな隙は見せない。精一杯の冷静な声を作る。
「…ごめん、喜代美ちゃんにまで怒鳴るつもりはなかったんや。
けどな、ほっといてくれんか。俺にかまわんでくれ」
こんな姿、見られなくない。
一門のテリトリーである寝床に居るのとは訳が違う。
ここは自分のテリトリーだ。
そこですらこんなに無力な自分を、喜代美に見られたくはない。
「…きません」
うつむいたまま、震える声で喜代美が言った。
と、決然と顔を上げる。
「できません、ほっとくやなんて!できるはず、あらへんやないですか!」
きっぱりと言った。2年半の間に、大人になったその凛とした表情で。
しかし、今の小草若には彼女の成長がむしろまぶしすぎて、痛かった。
思わずかっとなる。
「ほっといたら、ええんや!みんな、俺なんかほっといたらええやろ!」
叫んだとたん、かっこつけていたものが崩れ、涙が出てきた。


20:小草若×喜代美その2
07/12/18 16:38:54 KWj59TVi
芸の道は努力すれば上達するというものではない。
血縁があれば、才能が受け継がれうまくいくというものではない。
落語を愛している。父親を尊敬している。
生まれたときから身近に落語があった。
だからこそ見えてしまう、自分の才能の地点。
だからこそ見える、他者の才能。
ずっともがいてきたのだ。その結果があのタレント活動だったのだ。
やっとつかんだと思ったのに。
自分でつかみに行って、手に入れて、あいつに取られへん唯一のものだったはずなのに。

小草若もコンプレックスに苦しんできた。
あの「身寄りのない、子」「落語の才がある、子」。
優しい母は、草々を実の子のようにかわいがった。
厳しい師匠も、草々には本気で稽古をつけた。
じゃあ、自分は?
あの両親の子。できて当然と、草々が決め付ける自分は?

「みんな、取られてまう、草々に…」
親も、師匠も、落語も、みんなみんな。
愛するものは自分の手をすり抜け、草々のもとに零れ落ちていく。

いつの間にか、号泣していた。
喜代美は、そんな小草若を見ていた。そっと肩に手を触れる。
「兄さん…私には、わかります、兄さんの気持ち。
私にとって、A子がずっとそうやったから。ずっと、苦しかったから」
なだめるような声ではなく、むしろ淡々とした声で喜代美が言う。
「そうかもしれん、喜代美ちゃんにはわかるかもしれん…。けど!」
言ってはいけない、小草若にも自分でわかっていたが止められなかった。
「喜代美ちゃんかてそうや!草々のことが好きなんやろ!
結局、草々に取られるんや!だからほっといてんか、みじめになるだけや!」

その瞬間、頬に衝撃を感じた。
一瞬、何が起こったかわからない。目の前で喜代美が涙をこぼしていた。
「ずっと、おんなじ人を好きでおらな、あかんのですか。
A子を好きになった人を…ずっとずっと片思いしてな、あかんのですか。
他の人に恋をしたら、あかんのですか」
あっけにとられる小草若。まさか喜代美に平手打ちされるなんて。
ましてや、何を言おうとしているのか。
「年季が明けるまで、黙っとこうと思っとりました。
でも、今、言います。私は小草若兄さんが好きなんです」
ぱちくり。酔いがいっぺんにさめた思いだった。目を見開く。
ななな、なんやて?


21:小草若×喜代美その3
07/12/18 16:40:27 KWj59TVi
「いつも明るくて元気で優しい小草若兄さんが、好きでした。
もちろん、それは兄弟子としてです。
けど、兄さんの優しさや明るさは、本当は自分が傷ついてる人やから、
だから周りのことを思いやってくれるんやって気づいて…。
それから、ずっと兄さんの傷はなんやろ、て考えてました。
そして、気がついたんです。私とおんなじ傷やってことに。
けど、私よりももっともっと深くて痛い傷や。
私やったら苦しくて、生きていかれんかもしれません。
そないな傷抱えてんのに、優しく明るくできる兄さんは強い人や思います。
尊敬、します。男の人を、こないに思ったことありません。
好きなんです、小草若兄さんが。
だから、今みたいに一人で泣いてる兄さんをほっとかれんのです。
それでも、あきませんか?ほっとかな、あきませんか?」
涙をこぼしながら、それをぬぐおうともせずに喜代美が言う。
小草若は黙って聞いていた。あまりのことに声もでない。
のどがからからになってきた。とりあえず、手元にあったチェイサーを飲む。
「喜代美ちゃん…」
息を吐き出し、酒気を押し出すようにしてから、小草若は言った。
「あんな、同情やったら…せんでくれたほうがええねんで。
気にかけてくれただけでも…。…ほんまに、うれしい」
ほんまに、の前に苦渋の間があった。底抜けに、との変換の、間。
「兄さん、もういっぺん殴られますか?
四草兄さんなら言うでしょうね、若狭に同情なんて知恵がまわるわけあらへんでしょ、て」
冗談のつもりか、喜代美がそんなことを言う。
「こんなこと、同情や冗談で言えません。
私が、いつも兄さんに喜代美ちゃんて呼んでもらえて
どれだけうれしかったか…わかりますか?
兄さんにとっては、もう、私なんてただの妹弟子でしかないのかもわかりませんけど、
私にとっては…兄さんは私を喜代美として見てくれる大事な人です」
「喜代美ちゃん…」
「兄さんさえよければ、私は小草若兄さんのものやのに…。
草々兄さんにとられたりなんか、せんのに…」
小草若は腕の中に喜代美のふわふわとしたからだを引き寄せた。
いとおしい最愛のひとのぬくもりが、初めて自分の中に降ってきたのだ。
だから、思いを込めてくちづけた。

22:小草若×喜代美その4
07/12/18 16:41:39 KWj59TVi
小草若は、ほしいものすべてを手に入れることはできなかったけれど、
喜代美の暖かでやわらかな肌を手に入れた。
案外まじめなところがあるから、年季が明けるまではこれ以上手は出さない、
と決めたけれど。

タレントの仕事が減った分、落語の稽古ももちろんしている。
基礎があってこその、フリートークだ。
そして、草々と比較するのはやめた。
比較しすぎて、迷走していた自分にも気がついた。
親にだって落語にだって、愛されていないはずはなかったのに。
自分は、自分の落語を探せばいいのだ。
正統派でなかったとしても、自分らしくやっていけばいいのだ。

喜代美の笑顔が、そんな自分を後押ししてくれるから。
もう、痛い思いはしなくていいのだとわかっているから、
真正面から、ぶつかっていこうと思う。

「あとしばらくして、喜代美ちゃんの年季が明けたら…ウヒョヒョヒョヒョ」
幸せ妄想モードに入った小草若の背中を、喜代美が真っ赤な顔でぶつ。
それを見て、残りの兄弟弟子たちがため息をついたとか、つかないとか…。

おしまいです。お粗末さまでした。ありがとうございました。

23:名無しさん@ピンキー
07/12/18 17:12:15 /9Z/Utfs
>>18
ぐれぐれ亭小草若ワロスw
小草若ちゃん、平手打ちで二度惚れかいw尻にしかれそうだ。

今週は小草若好きには辛くなりそうだから、
パロでもこういうのが読めるのは嬉しいよ。GJ!

24:名無しさん@ピンキー
07/12/18 17:31:12 kIP/yNVe
>>18
GJ!私も今週の小草若見てて辛かったので少し救われた
喜代美かわいいしカッコいいよ
小草若が底抜けに、と出そうになるのをほんまに、に変換してるのが切なかった
本編の小草若にも幸せになってもらいたいものだよ…(´・ω・`)

25:名無しさん@ピンキー
07/12/18 17:46:25 7Hf65yE3
>>18
いいねえ。小草若の気持ちが伝わってくるよ。
本編でもこういう展開が見られたら最高なんだが。

26:名無しさん@ピンキー
07/12/18 18:07:48 RLn4OBc1
姑争弱は影古とくっつくんだよ。

27:名無しさん@ピンキー
07/12/18 18:31:23 xutbp0r0
昨日の小次郎と奈津子のやりとり見て、
ペットとその飼い主みたいだと思ったw
「小次郎!(怒)」とか呼び捨てキャラになるなんて…。

28:名無しさん@ピンキー
07/12/18 19:16:07 45yA4lFV
どちら様もGJ!

鼻毛兄さんが暴力沙汰を穏便に済ませるかわりに
若狭を要求してくるとか
妄想が膨らむね

29:小草若×清海 その1
07/12/18 19:21:19 X505QkOt
小草若×清海  エロあり(鬼畜もあり) 展開は暗いです。
>>19さんとは全然違う視点の妄想。A子が好きな方はスルー願います。
ネタばれではありません。



そこは場末の飲み屋街。逃げて・・逃げて・・・やっと落ち着いた先がそこだった。
ここでは日雇い労働者だけが、さまざまな事情を抱えて、わずかの小銭で飲む場所・・。
「おっさん・・もう一杯くれ。」  「お客さん・・もう止めといた方が・・」
「うっさいわ、もうええ!」  「お!お勘定!!」 投げつけるように千円札を叩きつけ、出ていく。
無精ヒゲで誰か分らなくなっている、小草若の姿だった。

キャバレーの前を通った時、客引きの男に促され、フラフラと入った。
そこはキラキラした場所だったが、どこか物悲しく思う。うらぶれた町のネオンが不似合いだった。
「いらっしゃいませ。お客さん、初めて?ビールで宜しいですか?」と若い女が隣についた。
無言でお酌をして貰いふと、その女の手が震えた気がした。顔をあげてよく見ると・・・
「き、清海ちゃんやないか?・・。」   「こ・・小草若さん・・・。」

店を引けて、裏口から出ると、そこに小草若が待っていた。
「お久しぶりです。」と通り過ぎようとした清海の腕を掴んだ。
「どないしたんや。喜代美ちゃんも心配しとったで。」と聞く。
「離して!」と振り切ろうとしたが、男の力には敵わなかった。

「ここが私の今の家よ・・。」と隙間風が入るアパートへ連れて行かれた、小草若。
女性の一人暮らし、以前の華やかなマンション生活を思うと、悲しくなるぐらい何も無い。
しかも窓の外はネオンがチカチカしていて、日当たりは悪そうである。
電気も申し訳程度で、台所にはわずかな炊事道具しか無かった。冷蔵庫も小型の古いワンドアだった。
「お茶・・入れますね。」と用意する間、そんな部屋の中を見る。そんな部屋の中に写真立てだけが
飾っていた。「これ・・・」と見る、小草若が手に取ったのを素早く奪い返す、清海。
「なにわ情報局の時のやな・・・。懐かしい。俺も、今レギュラー降板したわ。」と言う声に
驚いて振り向く。「な・・なんで?あんなに人気あった番組やのに・・。」
「落ち目になったら、芸能界も使わんようになるんや。当たり前やねんけどな、堪える。」
「そう・・ですね。」   「あんたは?なんで実家に戻らんねん?」
「父に勘当されてしまいました。かっこ悪いし、家には戻れません。それに・・・」
「なんや。」  「B子に約束したのに・・こんなになってしもうて・・」としゃがんで泣く。

30:小草若×清海 その2
07/12/18 19:22:13 X505QkOt
そんな清海が哀れだった。「あんな店でお金稼いでんのか・・他にバイトあるやろ。」
「顔が知られてるから・・面接で何か言われるのが辛かったんです。ここやったら、とりあえずお金は
心配ありませんから・・。でも・・。」
「でも、なんや?」   「ええ所紹介する、って言われてます。お客さんで来てくれる人から。」
その意味をまだ清海は分かってなかった。ピンときた小草若は「止めとけ!それはあかん!」
「なんでですか?私・・お金もっと稼いで、もう一度勉強して、夢叶えたいんです。」
「それは・・騙されてる。それやったら、うちに来い。俺が・・面倒みたるから。」
「そんなこと頼めません。B子に何て説明すればええの?カッコ悪いし・・それに・・・」
「それに、なんや?」   「今、小草若さんも大変やないんですか?」

哀れな女から哀れんでもらう、これほどの屈辱は無い。カッとなった小草若は、清海を思わず殴った。
「すまん・・・・」と謝る。頬を抑えて「すみません・・」と言う清海を小草若は抱いた。
哀れな男と女は、何かを忘れるようにお互いを慰めあった。
「うぅぅん・・はぁん・・あっあっ・・」敏感な部分を攻めて、
濡れる清海の中へ、自分のどうしようもない気持ちを押し出した。激しく突き上げて、女の体をサンドバックにしてやるせない思いを紛らわせる男。
そんな二人は一緒に暮らし始めた。清海を抱くことで、日頃のウサを晴らす。
そんな関係が続くはずがない。耐え切れなくなった清海は逃げ出した。行くところも無いのに。

知らない繁華街でナンパされ、複数の男達に廻された。
「おい・・こいつ、前にテレビに出てた女に似てるな・・」
「おお、でもええ体してるわ。ほら・・処女違うぞ。」
「お、こいつ口のテクニック上手いやんけ・・俺もう出る!」  
「胸もええ形や。この乳首たまらなぁ。」
「膣(中)もエエゾ・・・こ、こいつ・・締め付けるわぁ・・」と中に出された。次の男も次の男も中で出され、
足から白い液がダラダラ流れた。最後は全員の男の股間を舐めさせられ、アナルにも中出しされた。

発見されたのは明け方だった。財布も取られ、服もビリビリに裂かれ、たった一つ持っていた、
若狭への連絡先へ警察から電話が入った。
病院で心を亡くした清海を、抱きかかえて若狭は泣いた。ドアの外で草々は悔し泣きをしていた。
後日、友春と母親が現れ連れ帰った。もうそこにはあの輝いていたA子は居なかった。
ただ哀れな女が生きているだけだった。


31:小草若×清海 その3
07/12/18 19:24:44 X505QkOt
小草若がその事を知ったのは、金が底をつき、ボロボロで戻って草々に殴られてからだった。
その日から、清海へ詫びたいと思い精進した。半端じゃない猛特訓で、1年後やっと草々に引けを取らなくなった。
小浜へ清海に会いに行った。点滴と流動食でやっと生きている清海。
ベッドで手を握って、目を見るがぼんやりしている。「俺にそばに居らせてください。」と頼み込み、
看病をした。でも何の反応もなく、空しい日々が続いた。

ある日病院で「落語をやってもらえませんか?」とお願いされ、入院患者の慰問として草々・若狭と
3人で始めた。最初ぼんやり聞いていた清海。ところが・・「景清」を草々が始めた時・・・。
清海が涙を流した。そして段々、しっかり見つめるようになった。
公演が終わり、若狭が声をかけると「B子・・・草々さん・・」と意識が戻った。
そして・・・「小草若さん・・・・」名前を呼んだ時、小草若は清海を抱きしめた。そして泣いた。
「許してくれ・・俺が・・あの時あんなことせんかったら・・・」
「ええの・・私も・・お互い辛かったね・・。」
4人は泣いた。涙も枯れるかと思うぐらい泣いた。そして・・・笑い合った。

半年後、季節は春を迎えた。桜並木を清海は歩いていた。その隣には小草若がほほ笑んでいた。
「私、もう一度頑張ってみます。」  「ああ、今度は俺もついてるからな。」
左手には指輪が光っていた。

お粗末さまでした~。
しかし・・A子に酷い展開になってしまった。

32:名無しさん@ピンキー
07/12/18 19:58:08 8NndAmOa
>>27
でもなっちゃんはそのペットにご飯食べさせてもらってるんだよね…w
二人が同棲してると発覚したときの喜代美の反応が見たかった。

33:名無しさん@ピンキー
07/12/18 20:28:57 duWAzKjL
>29 乙!そういう話好きだ。
それに何か説得力を感じる。あり得そうw

34:名無しさん@ピンキー
07/12/18 21:42:09 mdI4eFqj
>>29
GJ!!何となくフジの昼ドラ展開だとオモタ。
でも何か今日のA子についてのナレーションが不安を掻き立てて
もしかしたらありそうな気もするw


前スレ241です。やっとocn規制が解けましたので投下します。
『草々←B子←小草若』前提での、『小草若×喜代美』です。
何かやたらと長くなってしまいました。13レスほどあります。
舞台は第11週の前半あたり、小草若が喜代美の恋心を知る前です。
現在の展開からはかなり遅れております。
前回投下したものと世界が繋がっております。

以下の条件が苦手な方はスルーをお願いします。
・一部強姦に近い描写があります。
・お互い両思いでの行為ではありません。
・ハッピーエンドではありません。最後に喜代美がどちらを選ぶともはっきりしておりません。

前振りがかなり長いです。
エロシーンのみ読みたい方は、通し番号@7あたりから@11まであたりをどうぞ。

では、稚拙なSSでございますが、しばしお付き合い願います。

35:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@1
07/12/18 21:43:01 mdI4eFqj
大雨が降る中、喜代美は銭湯からの帰り道で足止めを食らっていた。
雨の予報を見て傘を持って出てきたのに、
誰かに間違って持っていかれたのか銭湯の玄関に傘は無かった。
家までの帰路の途中にある自動販売機の並ぶ一角、屋根つきのスペースで空を睨みつける。
(やっぱり今日は止めといたら良かったかなぁ?一人で銭湯まで行くのん初めてやったし。今までは……)
大きく頭を振って思考を止める。銭湯で乾かしてきた髪の毛がさらさらと流れた。
傘代わりにしてきたバスタオルを必要以上に力を込めて絞ると、音を立てて広げた。
足元に置いていた洗面器を持ち、タオルを畳んで頭上に乗せる。
雨脚が弱ったのを見計らい、もう一度雨の中へ飛び出した。
雨の勢いは先ほどよりかなり弱くなっている。このままならそれほど濡れずに帰れそうだ。
目の前の大きな通りを渡って角を曲がればすぐそこに、寝床の看板が見えてくる。
点滅する歩行者信号を目にし、より一層速度を上げようと出した足が水溜りに突っ込む。
そして、ずるりと横に滑った。無理に体勢を立て直そうとしたことでバランスが崩れて思いっきり肩から転ぶ。

抱えていた洗面道具が暴れて額を強打するわ、左半身はずぶ濡れな上どこかすりむいたのかズキズキと痛むわ、
信号待ちをしていた車からは笑われるわ、おまけに信号はさっさと赤になるわ。
すでに下着まで冷たく濡れてまるで頭から水を被ったようになってしまった。。
(お風呂行ったのにもう、何やのん私。これやったら部屋におった方が良かったわ。
ああ、でも部屋にもおりたぁない。あの部屋におるのが辛い)
触れないようにしてきた部分に思考が向かいだす。幸せそうな笑顔がフラッシュバックする。
風が強く吹いて体が冷える。身震いして今の自分の姿の惨めさに唇を歪めた。
何とか体を起こそうと手を着いたが、もうどうでもよくなってしまって水溜りにぺたりと座り込む。
自分の頭すら重く感じて俯いた時、一台の車がするりと近づいてくる。
聞き覚えのあるエンジン音。その車はすぐ後ろに停まったかと思うとドアが開いた。
「喜代美ちゃ~ん!!どないしたんや大丈夫か?!」
ヘッドライトの向こうから慌ててやって来るのは小草若だった。

36:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@2
07/12/18 21:43:39 mdI4eFqj
ずぶ濡れで座り込む喜代美を小草若は有無を言わせぬまま自分の上着でくるむ。
そのまま抱き上げて助手席へと運ぶとハンカチを渡し、ヒーターを強める。
「とりあえず俺の部屋おいで、……変な意味やないからね?
こんなボトボトで帰ったら風邪引くし、風呂入りなおし。乾燥機あるから服も洗ろて乾かしたらええ」
あれこれと喋りかける小草若に喜代美は満足に答える事ができず、頷くのが精一杯だった。
その様子に小草若もすぐに口を閉じ、ただアクセルを踏み込む。

玄関でタオルを渡された喜代美が水をぬぐっている間に小草若は手際よく風呂の湯を張り
そのまま脱衣所へと連れ込まれてあれよあれよというまに服を脱がされ暖かい湯に浸けられる。
「喜代美ちゃん、洗濯機入れとくから。あがる頃には出来てるし乾燥機入れとき」
扉の向こうからかかる声に喜代美は小さな声で礼を言うのが精一杯だった。
体が鉛を詰められたように重かった。左手は大きくすりむいていて湯が酷くしみた。
腕もあちこち赤くなっているから、数日後には見事な青あざになるだろう。

それでもしばらく浸かっているうちに、暖められた体が深呼吸する気持ちの余裕をくれる。
湯船に顔を浸けてぶくぶくと息を限界まで吐き出すと勢いをつけて風呂から立ち上がった。

脱衣所にはタオルと一緒に新品の黒いTシャツと洗濯済みのスウェット、コンビニの袋に入った新品の下着が置かれていた。
(って、そういえばさっき、兄さんに見られてるやん私!!)
今更ながらに身体を抱いて座り込む喜代美だったが、さっきは全身が強ばって一人ではどうにも出来なかったのも事実。
先ほどの小草若の気遣いに赤面しながらもありがたく思う喜代美だった。
サイズがやはり違うので袖や裾を多少折り返してなんとか着おわったタイミングで、洗濯機が終了を知らせた。
慌てて服を取り出し乾燥機に突っ込んでスイッチを押し、一つ深呼吸をしてから扉を開ける。

37:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@3
07/12/18 21:56:14 mdI4eFqj
部屋は小さいが綺麗に掃除されていた。
ラフな格好に着替えてソファで何やら物を広げていた小草若が笑顔で手招きすると、
自分の横をぽんぽんと叩く。ここに座れ、という事らしい。
「兄さん、お風呂お先に頂きました、ありがとうございます」
「どういたしまして。ま、とりあえずここ座り」
ぺこりと頭を下げた彼女の肩に手を乗せて座らせる。
「うわ、かなり酷いなぁこれ。痛かったやろ」
小草若は自分の膝の上に喜代美の左手を引き寄せると
テーブルに広げた救急箱の中身で手際よく手当を済ませてゆく。
「しかし草々のアホウはどこいったんや、夜にこんな可愛い女の子一人で歩かせるやなんて」
眉間に皺を寄せて呟く小草若の言葉に、思わず喜代美の口から言葉がこぼれた。
「草々兄さんは、今晩遅くなると思います。……デートですから」
喜代美は大きなガーゼを当てられた左手を小草若の手ごと強く握り締める。
笑って喋ろうとするのに、口の端が歪んでしまう。
「A子とつきあうんだそうです。あの二人から幸せそうに言われましたから」
電話越しにでもわかるA子の弾んだ声。出かけていく早々の嬉しそうな後姿。
まばたきした拍子に涙が一粒こぼれ、慌てて喜代美は頬をぬぐう。
「喜代美ちゃん、もしかして草々の事『違います!!』
おっかぶせるように叫んだ。
「3年間は恋愛禁止ですし、今は少しでも上手になるために一生懸命稽古せんといかんのです。
第一、あんなでかくてぇ、大食いでぇ、鈍い人なんて、何とも思ってませんし」
鼻の奥がつんと痛くなる。喉に大きな塊がせり上がってくる。
情けない顔を見られたくなくて俯いたままで喜代美は喋る。

38:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@4
07/12/18 21:56:38 mdI4eFqj
小草若は無言のまま空いた手を伸ばし、顔を伏せたまま喋る喜代美の肩を掴むと
自分の胸に押し付けるように抱き寄せた。
「今は俺の事毛布か何かやと思て使こて。んで、あの底抜けにアホウな奴なんか流してしまい」
喜代美の背中を小草若の手のひらが何度も上下に撫でていく。

苦しさに何度唾を飲み込んでも塊は消えない。食いしばった歯の間から嗚咽が漏れる。
きつく瞑った目からぽつぽつと滴が落ち、小草若のシャツに沁みこんでゆく。
「我慢、せんでええよ。しばらく俺の耳日曜やから」
随分古い言い回しに少し吹きだした。そうしたら止まらなくなった。
小草若の胸に額を押し当て、肩にしがみつくようにして泣き続けた。
喜代美がしゃくりあげるせいで断片にしかならない言葉を
小草若はただうんうんと頷いて聞き続ける。

しばらく時間が経ち、ようやく涙が収まってきた喜代美が大きく肩で息をついた。
それを見た小草若も背中を撫でる手を止め、ぽんぽんと軽く叩いて抱擁を解く。
「ちょっと顔洗うといで」
そう言い残すとキッチンへと姿を消した。
鏡を見た喜代美は苦笑する。あれだけ泣いてしまえば目が真っ赤に腫れ上がるのは当然の事、
散々すすりあげた鼻水と涙でぐちゃぐちゃだった。
冷たい水でざぶざぶと顔を洗ってタオルを借りる。ガーゼを濡らさぬように片手で顔を洗うのは少し大変だった。
顔を埋めた柔らかいタオルからはかすかに花の香りがした。

39:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@5
07/12/18 21:57:17 mdI4eFqj
リビングへ戻ると小草若が湯気の立つマグカップを持ってキッチンから出てくる所だった。
「これ飲んでみ、底~抜~け~に!美味いと思うで」
いつもの振り付けと笑顔はさっきまでの空気を忘れて、変えてくれる。
厚手のカップは持つ手を優しく温め、湯気と共に漂う爽やかな柑橘系の香りは気分を少しだけ持ち上げてくれた。
「……おいしいです、何や懐かしい味」
「せやろせやろ~!これ飲んだら風邪とかそんなん一発で飛んでく、体暖めるには一番や」
ニコニコと笑って自分のカップを口にする小草若の姿はとても嬉しそうで、喜代美はふと思いついたことを口にした。
「これって何ですか?みかんみたいな匂いしますけど」
「よう聞いてくれました!これは金柑の蜂蜜漬の汁を湯で割ったもん。
俺がまだ小っさい頃に、咳とか鼻出とったらおかんがよう作って飲ませてくれたんや。
『これ飲んでお布団入ったら風邪なんか明日には行ってまうのよ』って言いながら」
続く言葉は少しだけ小さい声だったので、聞き取るために喜代美は少し顔を近づける。
「おかんが病気してからは、作ってあった奴ものうなってしもて。
作り方聞いて自分でやってみたけど、どうも味が違ごてなぁ。
…まぁ、俺ももう子供や無し、いらんっちゃいらんのやけど。
最近ロケで和歌山の方行く事あってな、地元のおばちゃんが作ってはったこれ
飲ましてもろたらこれが同じ味でなぁ。あんまり懐かしゅうて、頼んでちょっと分けてもろたんや」
何だか小さい頃の微笑ましい親子の姿が浮かんでくるような気がして、喜代美がにっこりと笑う。
その笑顔を見た小草若も嬉しそうに笑う。
ソファに並んで座る二人は微笑んでカップを傾けた。

40:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@6
07/12/18 21:57:41 mdI4eFqj
「せや、親父に電話しとき。遅いって心配しとるかもしれんから」
小草若の声に頷くとテーブルの上に置いてあった子機を手に取る。
『はい、草若邸です』
ソファの上で喜代美の体が固まる。電話越しに聞こえてきたのは草々の声だった。
「…あの、若狭です。」
何とか声を絞り出したものの、後が続かない。
『なんや若狭か、お前どこまで風呂入りにいっとんねん?もう2時間も帰ってこんって師匠が心配してはるぞ』
その言葉に喜代美は唇を噛む。
(師匠が、なんや。草々兄さんにとっては私なんて心配やないんやね)
「あ、の、その、…」
もつれる舌を何とか動かして喋ろうとした時、横から伸びてきた手に受話器を奪われる。
「草々か。喜代美ちゃんは俺の部屋におる、ちゃんと家まで送るから心配すな。
…お前ええ加減にせぇよ。女の子一人で夜歩かすやなんてどういう了見や。」

通話終了ボタンをにぎりつぶさんばかりの力で押し、叩きつけるように小草若は受話器を置く。
そのまま喜代美の手首を掴んで引き寄せ、ぐいと顎を掴んで顔を上に向けさせ、唇を重ねた。
(え、え、ちょっと、普通女の子の方が目を閉じるんじゃ)
喜代美が場違いな感想を抱いてパニックを起こしているうちに唇は離れる。

ゆっくりと小草若の瞼が開かれ、鼻がくっつきそうな距離で見つめあう。
「俺は喜代美ちゃんの事が好きや」
間近で見る瞳はいつに無く真剣で怖いくらいだった。
「さっきみたいな悲しい顔した喜代美ちゃんは見とうない。
俺はあんな風に泣かせる事せぇへん。嫌やったら、突き飛ばすなりどつくなりしてくれ。
……嫌やなかったら、このまま抱きしめさしてくれ。」
喜代美の体に早い鼓動が伝わってくる。まわされた腕も微かに震えているようだ。
小草若の腕の中は暖かで、さっきと同じ花の香りがした。
(…あったかいなぁ、兄さん)
喜代美がそっと体を預けて目を閉じた。

41:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@7
07/12/18 21:58:21 mdI4eFqj
小草若の指が頬をゆっくりと撫でていく。
顔中にキスされる。額に、髪の毛に、瞼に、耳はちょっとくすぐったくて。
くすくす笑う喜代美の首筋にもキスを一つ落とし、もう一度。今度はきつく吸い上げて痕を残す。

今度のキスはお互い目を閉じたままだった。
閉じた唇を小草若の舌がなぞり、ノックをするようにつつく。
微かに開いた唇の間からぬるりと舌が入り込んで、喜代美の歯の裏を撫でる。
逃げようとする舌を捕らえ絡めて唾液をすすり上げて、お互いの耳に入ってくる水音が快感を高めてゆく。
(キスって、こんなに気持ちいいんや)
ぼんやりとした頭で喜代美はそんな事を考える。

ゆっくりとソファに押し倒される。喜代美が目を開けるとそこで初めて二人の唇が離れた。
「喜代美ちゃんが欲しい。ずっと大事にするから」
額と額をくっつけて呟く小草若の手が服の上から鎖骨をなぞり、胸元へと指を下ろす。
シャツの上からそっと胸に手を添え、首筋にキスをしながら優しくほぐすように揉むとかすかに息を漏らす。
立ち上がりかけの乳首を指先でつついてやるだけでぴくんと喜代美の肩が跳ねる。

シャツの中に手を入れ、胸が見えるくらいまでまくりあげた。
きめ細かい肌を小草若の手が撫であげ、直に胸に触れる。
「や、あ、ちょっと待ってくださ、やぁんっ!」
「待たれへん」
片方の胸の頂点を口に含むと高い声が上がった。
「やっぱり綺麗や。さっきはゆっくり見るどころや無かったけどそれでもしっかり見たけど。
……いや、そんなつもりやのうて、とにかく早ぅ暖めんとと思てやったんやけど」
弁解するように言葉を連ねながら、小草若の指と唇が喜代美の体を探る。
その言葉の恥ずかしさにまた喜代美は目を閉じ、人差し指の間接を噛んで声を抑えようとする。
行き所を探していた喜代美の片手が小草若の頭を抱き寄せた。
「ふ、んくっ…」
声をこらえる姿もかえって男の欲情をそそると言う事を知らないのか。
吸い上げ、そっと歯を立てて軽く噛むと背中が反り返った。
もう片方の乳首も指でつまむとますます硬くなってゆく。
(やぁ、嘘、どうしよ。こんな気持ちいいやなんて)
自分で慰めていた時とは比べ物にならない強烈な快感に喜代美は翻弄される。

42:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@8
07/12/18 21:59:22 mdI4eFqj
スウェットを膝まで下ろされて下着の上から撫でられる。
スリットをさすり上げ、膨れてきた突起を優しく転がされるとそれだけでさらに感じてしまう。
思わず自分でする時のように小草若の指に腰を擦り付けてしまった。
(ダメ、あかんのに、でも気持ち良すぎて動いてしまう)
「喜代美ちゃん、ココ気持ちいい?」
小さく笑いながら小草若が問いかける。夢中で喜代美が頷くと下着の横から指が中に入ってきた。
蜜を指にからめて突起を撫でられると体中に電気が走る。
「すごい濡れてる……可愛いなぁもう」
真っ赤にそまる頬にキスをして小草若は囁く。喜代美の秘所から次々に蜜があふれ出す。
声をこらえるために咥えた指はすでにくっきりと歯型が着いていた。
(今までの自分でしてるのと全然違う、こんな、あかんダメ我慢できへんあかん―)
「声聞かせて。大丈夫やから」
咥えた指を引き剥がされ、口に含まれる。歯の痕を舐めてゆく優しい舌使いに声が漏れてしまう。

そうこうしている間に、膝で止まっていたスウェットも汗でしっとりしていたTシャツも脱がされて、
小草若も気づけば全て脱いでいて、お互い何も隠すものの無い状態で抱き合っていた。
ずっと繋いだままの手がくいと小草若に引っ張られて、股間の高ぶりへと導かれてゆく。
「ほら、分かるやろ?喜代美ちゃんが欲しいてこんななってんねん」
喜代美は初めて触れた男性のその部分の熱さと固さに息を呑む。
先端に触れた指にぬるりとした液体がまつわりつく。
おそるおそる撫でていく指先の動きに小草若がかすかに呻く。

自分の中に何かが入ってくる感覚に身震いする。
小草若の細く長い指が喜代美の秘所にゆっくりと沈められ、抜き差しを繰り返す。
中のざらついた感触を味わうように指を動かすと中も答えるように吸い付く。
指を増やして根元まで沈めるとそれに応じてまた声が上がった。
「あぅ、ああぁ、ん、や、あきませんっ、んーっ!!」
快感が波のようにやってきて、もう限界だと思える。
浅い呼吸を繰り返し体をよじる。子猫のように小草若の手に爪を立てた。
目を閉じたままびくびくと震えている喜代美に小草若が問いかけた
「イキそう?我慢せんで、イってええよ」
その言葉と共に指の動きが激しさを増す。
「あぁあ、あ、やっ。……草々、さっ……!!」
小草若の腕の中で喜代美の体が反り返り、絶頂を迎える。
無意識に口から零れた名前はここに居ない男のものだった。

43:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@9
07/12/18 22:00:07 mdI4eFqj
「喜代美ちゃん、目ぇ開けて」
そう呼びかけられた喜代美は荒い息のまま目を開く。
視線を合わせるのが怖い。さっき自分が誰を呼んだかくらいは分かっているから。
「俺を見て」
おそるおそる目を上げると小草若の強い視線に捕われる。
「ここにおるのは俺や、あいつやない。
……記憶の中のあいつやなしに、目の前におる俺を見てくれ」
繋いだままの手が小草若の頬に当てられる。指先まで火照った喜代美とは対照的に小草若の頬は冷たかった。

「…ごめんなさい、っ、!?」
視線に耐え切れずに喜代美は目をそらし、小さく呟く。
繋いでいた手をほどいてソファから体を起こそうとする。
その瞬間、小草若の手が腕を捕らえた。
そのまま床に引き倒され、上にのしかかられた。見上げる形になった小草若の表情は影になってよく見えない。
先ほどまでとは全く違う雰囲気に、本能的な恐怖が走る。
喜代美が身をよじろうとするが強引に小草若が体重をかけて押さえ込み、太ももの間に割り込む。
秘所に肉棒を擦り付け、そのまま一息に腰を押し進めた。
「!!!!――っっッッ!!!!」
喜代美の声にならない悲鳴が喉から漏れる。
腹の底に、その悲鳴を喜んでいる自分が居る事を小草若は自覚する。

44:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@10
07/12/18 22:00:35 mdI4eFqj
「く……う…。熱、…」
小草若は自身をぴったりと奥まで収め、動かさずに熱く蕩けた感触を堪能する。
破瓜の痛みとショックで全身に力が入ったままの喜代美を抱きしめる。
まだ男を知らぬ秘所は異物を排除しようときつく堅く締め付ける。
しかしすでに一度絶頂に達した秘所は蜜に溢れ、
男を受け入れようと根元まで収めた男根にさわさわと嬉しそうに吸い突いてくる。

小草若は喜代美の手を取り、二人が繋がっているその部分を触らせる。
「あ……嫌ぁ」
「入ってるやろ?喜代美ちゃんの中に俺が」
柔らかい毛を撫で、溢れてくる蜜で指先を濡らして敏感な突起をつついてやる。
喜代美の体にこもった力がわずかに緩む、その瞬間を狙って動き出す。
「ぁ、く、うぁ……ふぅん!!」
その動きにあわせて喜代美は微かに艶の混じった吐息を漏らす。
「なぁ、喜代美ちゃん自分でしてたんやろ?どんなにしてた?」
「そんなこと!!…嫌ですぅ…ぅぁ、ん!!」
顔を背けようとする動きに合わせて突き上げる。
「だってほら、めちゃ敏感やし。…ここが気持ちいいんやろ?」
指先で突起をはさんで震わせると声が一際高くなる。
「あ、やぁ、そこ嫌、んっ!!」
「嫌やないやろ、めちゃ気持ちよさそうな顔してる」
陰核を守る皮を指先でつるりと剥き、その中身に愛液をまぶすように弄ってやる。
「あ、あ、や!!んんんんーッ!ひゃ、ああぁ、あっ!!」
小草若の肩に爪を立ててあえぐ喜代美。
「今まではあいつの事思ってしてたんか。でもな」
抜け落ちる限界まで腰を引き、そこから一息に最奥まで貫く。
顔をそらす喜代美に粘っこい水音が聞こえるように動きながら囁き続ける。
「今こうして喜代美ちゃんを抱いてるのは俺。
さっきの底抜けに可愛い表情でイッた喜代美ちゃん見たのは俺や。
俺と喜代美ちゃんが繋がっとる。
聞こえとるやろ、喜代美ちゃんのココがめちゃめちゃ濡れてる音」

45:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@11
07/12/18 22:01:08 mdI4eFqj
泣きそうな顔でこちらを向く喜代美の腰を抱き上げて膝に乗せ、より深く繋がる体勢を取ると激しく突き上げる。
「や、奥、おくぅ!ひっ、痛、ぃっ、あああぁっ!!」
一番奥―子宮口まで届く挿入に悲鳴じみた声をあげる喜代美。
「ぐ、くぅ…あぁ!!痛、ぃっ、あああぁっ!!」
眉根をきつく寄せたその顔に浮かぶのは苦痛か快楽か。
ごりごりと音がしそうな感触を伴った律動に追い立てられる。
胸を押しやろうとする彼女の両手首を掴み、頭上に一まとめにして力任せに縫いとめると
蜜でぬめる膣の中で彼女の弱い場所を狙って動く。
陰核への愛撫と合わせて、内壁をえぐるように角度を付けてやると、
「あ、あぁぅあっ、はぁんっ!んっ、くふぅ、くあぁ…あああっ!」
動きにあわせて口から嬌声が溢れ出た。
白い喉を見せ付けるように仰け反るから、そこに噛み付くようなキスを落とす。
割り裂かれた両足が動きに合わせて跳ね回る。

「痛っ!!あ、いった、ぁ、んぅっ、はんっ!!」
不意に、右の乳房の少し上に歯を立てぎゅぅと噛み、吸い上げてくっきりと紅い痕を付けてやる。
彼女の中心、心臓のあたりに所有物だという焼印を刻むように。
『あいつにも、誰にも、渡さへん』

本能のままに喜代美の中を突き、こすり、かき回す。
ただ夢中で彼女を貪る。
「駄目イヤ嫌ぁ、あ、や、あふ、んん!!」
繋がっている部分は彼女の言葉とうらはらに、より一つになろうと男根を引きこむ。
その動きにつられるように、腰の動きが一層力強くなった。
そして、足の先まで電気が走るような、ちかちかと目の前に火花が散るような感覚が訪れる。
「喜代美ちゃん、好きや……っっ!!」
逃がさないように腰をがっちりと引き寄せ、最奥に突き刺したまま小草若は果てた。
一番深い場所で、どくどくと震えながら放つ。
腰を捉える手にきつく爪を立て、背中を床から浮かせるようにして喜代美も同時に絶頂を向かえる。
脈打って放たれる白濁を全て胎内に注ぎ込む。
彼女の中もそれを受けて歓喜に震え、搾り取るように奥へと誘う。
「うぁ……っ……」
いつまでも続くかのように思えた射出は徐々に勢いを無くし、背中をぶるりと走る電気が終わりを告げた。
…全て、子宮の奥底まで自分で満たしてやった、小草若の頭の中にそんな暗い達成感すらちらついた。

46:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@12
07/12/18 22:02:20 mdI4eFqj
マグカップはすっかり冷たくなり、今まで気にならなかった雨音が部屋に響く。
二人は視線を合わせずに抱き合ったまま何も喋らない。
乾燥完了を知らせる電子音が聞こえるまで、ずっとそのままだった。

雨はもう上がりかけていてフロントガラスを行きかうワイパーもゆっくりとしたリズムを刻む。
運転は静かで、車内のFMだけが賑やかに鳴っていた。
家の前まで送るという小草若の申し出を断り、喜代美は少し離れた場所で降ろしてくれと頼んだ。
家から一本挟んだ通りに小草若は車を停め、助手席のドアを開けて傘を差し出す。
小さく頭を下げて帰ろうとする喜代美の肩を引き寄せてキスをした。
すぐに唇は離れ、小草若はぎこちなく彼女を抱きしめて耳元に呟く。
「今日は、ごめん。……俺はずっと好きやから。
今すぐやのうていい。でもいつか、喜代美ちゃんが俺の方向いてくれる事を願っとる、から」
彼女の手は小草若の背中に回されることなく、体の両側にだらりと垂らされていた。
喜代美の背中が角を曲がって消えていくまで見送った小草若は
革のシートに滑り込むとハンドルに額を打ち付け、重い重い溜息をついた。
「俺……底抜けに、最低やわなぁ……」

寝床の看板は既に仕舞われ準備中の看板が出ていた。師匠宅も玄関の電気が消えていた。
出来るだけ音がしない様に木戸を開けた喜代美は小さく「遅くなりました」と呟く。
不審者では無いのだから別にこそこそする必要はないはずなのだが、
何か後ろめたいような気持ちで離れへと向かう。
草々の部屋の前を通り過ぎようとした時、そのドアが開いて行く手を遮る。
息を呑む喜代美の前には草々が立っていた。

47:小草若×喜代美 アンバランスなkissをして@13
07/12/18 22:02:59 mdI4eFqj
「若狭、お前今何時や思てんねん」
口調は静かだが険のある声と視線に体が強張った。
まともに草々の顔を見ることが出来なくて、口の中で小さく謝罪の言葉を呟いて傍を走り抜けようとする。
しかしそれは草々の腕に止められ、左手を掴みあげられた。
掴まれた部分がちょうど擦りむいた場所で、やっと収まっていた痛みが蘇る。
「痛っ…」
喜代美の声に慌てたように草々は手を離す。その隙に喜代美は自室に飛び込んだ。
ドアを閉め、開かないように体重をかけてドアノブを抑える。
「おい若狭、お前どうしたんや?大丈夫かおい」
「…大丈夫ですから!!明日もきちんと起きて仕事しますから兄さんは心配せんでください!」
ドア越しに草々の問いかける声が聞こえたが無視する。そのうちに足音が遠ざかり、隣の部屋のドアが閉まる音がした。
左手をかばうように抱きそのまま入り口にうずくまった。
俯いた拍子に髪の毛が顔に被さる。どこからか小草若の香りがした。
背中から滑り落ちた髪の毛からあの花の香りがしたのだった。

「ふ……うー…っ」
今日はもう涙は出ないと思ったのに、ぽろぽろとこぼれて止まらない。
自分で自分が分からなかった。
草々兄さんが好きだった筈なのに、小草若兄さんに抱かれた。
あれほど乱れて、小草若兄さんの腕の中で安心していたのに、草々兄さんに手を掴まれてときめいた。
(私ってなんなんやろ、どうしたらええんやろ)
じくじくと左手が痛む。丁寧に手当てされたガーゼ越しにかすかに赤いものが滲む。
自分で自分を抱きしめる。
「……、にいさん……」
さっきのキスの感触の残る唇をなぞり、小さく誰かの名を呟いた。

48:名無しさん@ピンキー
07/12/18 22:04:08 mdI4eFqj
以上です。お付き合いありがとうございました。

49:名無しさん@ピンキー
07/12/18 22:43:28 45yA4lFV
底抜けにGJです
エロ読んで涙が出たのは内緒や

50:名無しさん@ピンキー
07/12/18 22:49:52 kkD8vhGB
>>34
GJ!!
もうタイトルからしてツボ入りまくりw、中身も最高!
小草若ちゃん。・゚・(ノД`)・゚・。

51:名無しさん@ピンキー
07/12/18 23:05:07 kIP/yNVe
>>34さんGJ!
…こ、小草若も喜代美も切ない、切ないよー!!


52:名無しさん@ピンキー
07/12/18 23:12:06 jiQiGcmx
>>34さん
GJ!
最高だぁ。自分も泣きそうだ。
切なすぎるよ…。

タイトルがまた泣かすんだもん。
同世代かも。歌が回る…。

53:名無しさん@ピンキー
07/12/18 23:19:15 kRsNkNVi
GJ!タイトルわからなかったからぐぐった。
小草若ちゃん…今週は小草若ちゃん祭りだ。

54:名無しさん@ピンキー
07/12/18 23:27:23 5TZNQBYK
>>18
小草若幸せ話、ありがとうGJ!!
二度惚れするほど喜代美が健気で可愛い。
鬱なドラマ展開から救われましたよ。

>>34
切な小草若!GJ!!
甘々かと思いきや鬼畜で、一転切ない。
エロいのに涙が…(´;ω;`)

55:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:33:54 pwcdY2Hl
>>34
ええな…

56:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:57:16 hkF0Opqu
>>34
GJ!しかしかなーり草月さんの影響を受けとりますなw


57:小草若×若狭 その1
07/12/19 01:19:00 8iTUg5QU
小草若×若狭  エロあり。
本編の内弟子修業中は無視、投下します。


小草若は荒れていた・・・番組を降板、落語も大成出来てない・・自分の状況にイライラしていた。
今夜も飲んだくれて、母屋に泊まった。夜中・・水を飲みに台所へ行くと、そこで若狭に会った。

「あ・・小草若兄さん・・。」   「水、貰えるか?」  「はい。」
飲み終わって、コップを返し部屋へ戻る後姿を辛そうに見る、若狭。

ふと、振り返り「なんや?」と聞く。
「小草若兄さん・・・お願いします。落語・・稽古・・。」言葉にならない。
「何言うてんねん。俺は・・・。」そう言う小草若に抱きつき泣く若狭。

「お願いします・・私の稽古見るだけでも、落語・・して下さい。」と言われた。
その若狭の顔を両手で優しく包み、キスをする。

「優しいな・・喜代美ちゃんは。」と抱きしめて、離れへ連れて行った。
そのまま、若狭の部屋で二人は抱き合い、若狭は(兄さんの為なら・・)と小草若の思いを
受け止めた。白い柔肌を、激しい舌使いで舐めまわす。首筋・・耳・・鎖骨を・・乳房を掴み、
「餅みたいやな・・それも羽二重や・・この乳首・・可愛いらしいな。」と舌と指で転がす。

「あ・・んぅぅぅん・・あ・・兄さん・・はぁん」と吐息と声が出る若狭。
「少し静かにしろよ。」    「は・・い。」唇を噛んで堪える。
胸の間をツツツ・・・と舌でへそまで這わせ、腰骨を撫で回す。「くっぅ!」と声が出る。
「シッ!草々に聞こえる。」と手が止まる小草若。「は・・はい・・でも・・」
「でも、なんや?」   「感じてしまって・・続き、お願いしますぅ。」

ニヤッと笑い、「そうかぁ~へへへ、どこが一番感じるか・・俺が調べたるわ。」と続けた。
若狭の口にそばにあったハンカチを丸めて入れた。「ぐ・・ンンハゥ」ともがくが声は出なくなった。

「これからが本番や。優しくしたるから・・我慢してくれ。」 コクリと頷く若狭。
へそから下へ段々手が茂みへ延びる。ゆっくりと下着を脱がせ、腰を浮かせる。
両手で膝を持ち、思いっきり開いた。若狭は顔を思わず手で隠した。

「初めてやろ?」 言葉なく頷くのを確かめて、ゆっくりと茂みをかき分け・・・舌で舐め始めた。
ピチャ・・ピチャ・・(はあっくぅぅぅ!)クチュ・・グチュ・・(あ!あぁあ!あ!)
尖った突起を転がした。(!!うぁぁぁ!いやぁあぁぁあ!イヤイヤ・・ンンン・・あ・・)
若狭の手が小草若の頭を押さえた。

「どうや・・我慢出来へんやろ?」 涙でグチャグチャな若狭は頷くしかない。
今度は指で入口を攻めていく、小草若。なかなか自分のは入れない。それが若狭の期待を大きくしていた。
(入れて・・入れて・・欲しいの!兄さんのが!)と考えている自分に震えた。
「もうトロトロやな・・・どうして欲しいんや?俺の欲しいなってきたやろ?」と聞く。
なかなか頷けない若狭を見て、「どうするんや?もう止めるか?」と言う小草若の腕を掴んで首を横に振る。

「そうやな・・続きは自分でしてもらおうか。」と虐める。涙を流して首を振るのだが・・・許してくれない。
「オナニーしたことあるやろ?こんなに感じれるんやもんな・・正直に言い。」とますます虐める。
頷くしかない。「やってもらおうか、いつもみたいにな。」と言われ、指で自分を慰め始める若狭。
(イケナイ・・・やっぱり・・兄さんにしてもらいたい・・)と弄るが興奮が冷める。


58:名無しさん@ピンキー
07/12/19 01:23:17 hEkMFc2t
本人かも知れないのに・・・・

59:小草若×若狭 その2
07/12/19 01:23:18 8iTUg5QU
「あかんやろ?俺のがええんやろ?」と言われ・・・脚を開いて、指差す。
(入・れ・て・下さい・・兄さん)と願う若狭。
「コレ、まず口で濡らせ。」とそそり立つモノを口へ持っていった。口を開け、舐めていく若狭。
男の体臭とコロンの香りが混じったそれは・・初めての経験だった。

「最初やからな・・まだまだ下手なんはシャーないなあ」と離れ、勃起したそれを下の口へ持っていった。
それでもすぐには入れない。入口を突いて突いて・・焦らせた。
(お・・お願い・・)と腕を掴む若狭。その顔を見て、「そら!」と一気に突いた。
「くぅうううううう!」と口から声が漏れる。下の口も愛液が漏れた。

何度も何度も小草若は若狭の中を突いた。(なんつー気持ちのエエ・・数の子天井や。締め具合も最高や)
(あ・・ああ・・兄さん・・私の中にイッパイになって・・ああ・ああああ・・・・)と動きに合わせて
若狭の気持ちも高ぶった。目の前に白い光が広がって、下半身が自分のものではない感覚だった。
若狭は気絶した。あまりの小草若のテクに精神が付いていけなかった。

「くぅ・・出てもうた・・」と全部、若狭の中へ注ぎこんんだ。
気を失った若狭を介抱しつつ、その唇を指でなぞって呟く。「これで俺の女になったんやな・・喜代美。」
その体を舐めまわすようにもう一度見、布団をかけてやる。自分も服を着て、部屋を出た。

外に出ると、草々が立っていた。
「お前・・抜けがけすんな。俺の若狭やぞ。」  「何言うとんねん。俺が今自分の女にしたんじゃ。」
「ふん・・アイツはな、俺のが最高言うとった。」   「な!なんやと・・!お前ら・・」
「そうや、半年前から俺らはそういう関係や。お前も仲間になりたかったら、稽古しろ。そしたら・・」
「なんや。」   「抱かしたる。」   

こうして、契約は成立し、一門会は大成功に終わった。

「ぁあああ・・・ん・・・兄さん・・・くぅん・・ああ壊れちゃうぅぅ」前と後ろを兄弟で突き上げる。
「オオ・・・お前の締め具合は最高や!」    「き・・喜代美!もう出すでぇ・・」

今夜も3人での夜は更けていった。その後小草若は生まれ変ったように、落語に打ち込んだ。
それは若狭のお陰だったかもしれない。

お粗末さまでした~。

60:名無しさん@ピンキー
07/12/19 01:34:23 8iTUg5QU
亀レスだけど、>>19さんGJ!

>>34さん 長いストーリーお疲れ様。アク規制解除おめでとう。
GJ!

61:名無しさん@ピンキー
07/12/19 16:27:18 HpSTuLH8
喜代美と小草若小話、投下。
本日放送分から捏造妄想。甘くないエロ(和姦)あり。





秋の日は釣瓶落とし、とはよく言ったものだ。
何も言い訳をしなかったひとを一方的に責めたことを悔やみながら、散々探して走りまわって
いると、いつのまにか日は落ちた。
心細さを助長するような肌寒さを覚えながら、草若邸の門をくぐった。母屋には明かりは灯され
ておらず、人の気配はない。
外の喧騒が嘘のように、家の空気が静まりかえっている。
取りあえず羽織るものでも持ってこようと離れに向かうと、無人となったばかりの部屋の前に寄
りかかる影が見えた。もしや、という期待は、その影が発した声ですぐに裏切られる。
「…喜代美ちゃん」
「小草若にいさん」
向かいあうふたりの間に落ちるのは沈黙。双方の視線が地面に落ちる。
「あいつのこと、探してたんか?」
沈黙を先に破ったのは小草若。喜代美はうなずいた。
「草原にいさんたちは、帰った。…探しとんのやと、思う。親父は……ずっと帰ってけえへん」
薄闇の中でもわかるほど、小草若の顔色は血の気を失って白い。
寒さと、事態が想像以上に大きくなっていることに怯えているからだろう。
それから、おそらく、後悔も。
きんと冷えた自室のドアノブをまわすと、視線だけで入るように小草若に促す。
部屋の中は、冷えた空気に満ちていた。
明かりのスイッチを押すために、腕をさまよわせていると、後ろから部屋に入ってきた小草若が
崩れ落ちるように座り込んだ。
「にいさん…」
こんなときに白々とした蛍光灯の明かりに照らされる気にはなれない。多分、小草若も。

62:名無しさん@ピンキー
07/12/19 16:30:20 HpSTuLH8
薄暗い部屋の中、喜代美は屈むと、小草若の顔を覗きこむ。
「あいつが嫌いやった」
前置きもなく、わななきに似た動きで唇が開いた。
「俺と違って…落語ひとすじにのめりこめる、あいつ見るのがいややった」
無表情のようで、そうではない表情はかたい。
「あいつも、落語にのめりこめん自分も、いやいやでしゃあなくて、落語から逃げたくて、親父の
こどもであることもいやになっとった」
いつか喜代美自身も抱えていたものと同質の、黒くどろどろとした小草若の思いが、とどまるこ
とも知らずにこぼれおちていく。そこに口をはさむことはできない。
両の手が顔を覆っていく。サングラスが落ちた。
「もう、いっぺん親父を捨てたことあんのにな。実の親父、捨てたいと思うような子ぉ、碌なもん
やあらへんのにな…俺、ほんまに、どうしょうもない」
一瞬の震えた自嘲は、爆発のような叫びにとって代わられる。
吐くように叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。
「なのに、なんでや!なんであいつが、こんな俺のかわりに…なんでや、破門なんて、なんで
や!なんで、俺なんかのかわりに。俺よりよっぽど、落語が好きで…!」
小草若が畳に手をつくと、はたはたと涙が落ちて、畳の色を変えた。
「親父だって!……親父だって、……あいつの方、が」
ついには、消えそうな、かすかな、かすかな声で。
「にいさん、もうええです……ええですから…!」
泣かないで、と続けた言葉は声になっていたかどうか。
その瞬間は、どうして咄嗟にそんな動きをしたのかはわからなかった。
いまは、ただ、ただ必死。自分に何ができるのか。目の前のひとを、つなぎとめられるのか。
喜代美は小草若を抱きしめた。喜代美の腕の中で小草若がのろのろと頭をあげる。
濡れた二対の目が、互いを捕らえる。
小草若のつめたい唇に、ゆっくりとくちづける。自分の体温が伝わるように。
唇と唇があたたかくなったとき、小草若の冷たい手が背中にまわされた。


63:名無しさん@ピンキー
07/12/19 16:31:56 HpSTuLH8
最初は遠慮がちだった手が、次第に貪るように性急さを増していく。
まるで餓えた人間が食物を探し当てたように。
それぞれの素肌を晒しあえば、その勢いは留まることを知らない。勢いは熱を呼び、ふたりの
皮膚の上に汗が浮かぶ。
今まで喜代美が知らずにいた感覚を、小草若はひとつひとつ教え導いていく。喜代美はついて
いくことしかできずに、目をかたく閉ざして、小草若にしがみついた。
小草若の身体は肩も胸も腰のあたりも本当にきゃしゃで細い。
時々自分の身体と見比べてはこっそり溜息をついていたのに、喜代美がしがみついても、逆に
押しのけようとしても動じない力が小草若にはあって、鋭さを増していく刺激を与え続ける。
心臓が打つ音は早く、息は乱されている。
もう吐息だけではこらえきれずに、口から甘い呻きがあがる。
自分の知らない、自分の甘い声。それがたまらなく恥ずかしいものだと、喜代美は知る。
甘い呻きを聞きつけたかのように、小草若が喜代美の太腿に手を伸ばす。思わず閉じようとす
る足の間に、小草若の足が差し込まれて、それを防いだ。
指が、触れて、動いて、ぬめった。
「や…、にいさ、…あ、…やっ!やぁっ!」
制止の声は受け入れられない。背中を反らせて、目尻に涙を浮かべて、喜代美はおののく。
「は……ぁ、はっ……あ!あ!」
浅く早い喘ぎ。濡れた音。
「や、あ…、な、…な、に…っ」
指が挿しいれられる。
のぼりつめる。
痙攣にちかいような動きで身体が震え、息が止まる。
すでに上気していた肌が一段と色を濃くした。


64:名無しさん@ピンキー
07/12/19 16:33:07 HpSTuLH8
息苦しさと込みあげる熱さで意識が薄れそうになったところで、指が抜かれ、小草若の声が喜
代美の意識を引き止めた。掠れた、うわずった声が。
「やさしくしたかったけど、でけそうにない……堪忍、な」
とっくに力の入らない喜代美の両膝の裏に、小草若は手をかけた。
「喜代美ちゃん…こわい?」
小草若の瞳が揺らいでいる。傷ついて、揺れている。
怖くないなんて、嘘。でも、ここに、こうしていることは、自分が望んだこと。
小草若にいさんが壊れないように繋ぎとめたい、と思ったのは、半分嘘で半分本当。
あのひとをなじって、追い詰めた。そのくせ、あのひとがここにいないことが哀しくて怖くて不安
で押しつぶされそうで、誰かにすがりたかった。小草若にいさんとおんなじ。
いま、わたしはどんな顔をしてるんやろう?
わからないから、喜代美は精一杯ほほえんで頭を左右に振る。
小草若も眉のあいだに皺を寄せて、泣きそうな顔で、それでも笑った。
そして、小草若の身体の重みが自分に押しかかってきたことを知る。


眼裏に血の色が浮かぶ。
声に出すこともできない痛みと衝撃に襲われて、全身を強張らせた。
のどの奥までせりあがってくる圧迫感に、意識がとばされそうになるのを必死でこらえる。
深いところまで分け入って、二度と忘れられないだろう痛みを与えてくる、このひとが好きだ。
誰より陽気で、ちょっとだけアホで、可愛がってくれて、最初からずっと名前を呼んでくれた、
このひとが好きだ。
けれど、この感情は、恋じゃない。
同情かもしれない。傷の舐めあいかもしれない。
でも、愛しいと思う気持ちに変わりはない。
こんな気持ちを何て呼べばいいかなんて知らない。
どちらが流したともしれない涙が、汗と混じりあって、ふたりの重なった身体のあいだに流れていく。


65:名無しさん@ピンキー
07/12/19 16:36:41 HpSTuLH8
「…ごめん」
身中に湧いていた熱がおさまりかけた頃、小草若がぽつりと謝罪を口にした。
気だるさを覚えながら、喜代美は身体の下に敷いていた衣服を引き寄せる。汗がひき、気化熱
で、皮膚が冷えた。
「喜代美ちゃん、はじめてやったのに、俺」
背後で、小草若が起き上がった気配。
お気にいりだったカットソーに血痕を見つける。もう着られへん、とぼんやりと思う。
「それに…喜代美ちゃんは…」
そのあとに続く言葉は簡単に予想できて、喜代美はそれをさえぎった。
「言わんとって」
声は思いのほかきつく響く。息を呑んで、ひるむ気配。
「言わんとってください…私かて、ひとりじゃいられんかった、から、気にせんで」
息をひとつ吸う。笑うことができるようにと。
ぎこちのない言葉はごまかしようがないから。せめて笑えるように。
かき寄せた衣服で、隅々まで知られたはずの身体を隠して振り返った。
「だから、平気です」
まっすぐに背筋を伸ばして、ありったけの力を込めて、小草若を見つめる。
小草若は苦いものを呑みこんだような顔をしていた。
「あした。また、あした。みんなで、考えましょう?草原にいさんと、四草にいさんと……師匠は
あかんかもしれへんけど、みんなで。」
解決策は見つからなくても。溜息をつくしかない状況でも。
居なくなったひとを思うことが、力になるなら、それはけっして無益なことではないから。
「…ああ」
小草若が目をすがめてうなずいたのを見た途端に、喜代美の視界がにじんで歪んだ。たちまち
に兄弟子の顔も、室内の風景も、皺だらけの服も、全部がぼやけた。
ためらいがちに細い腕が伸ばされて、頭を撫でられた。
今度は抱き合わない。これがいまのふたりのあいだにある距離だった。





以上です。

66:名無しさん@ピンキー
07/12/19 17:03:17 J0gRW2/u
>>61さん、素晴らしい!GJ!
小草若兄さん・・・エロもどこか切ない。

67:名無しさん@ピンキー
07/12/19 17:07:50 UGiKJWQZ
>>61 底抜けにGJです!
やっぱり小草若ちゃんには幸せになって( ゜Д゜)ホスィ・・・

68:名無しさん@ピンキー
07/12/19 17:08:13 ULZ79/Qk
>>61さん
GJ!かわいそうな小草若にいさん…。喜代美も。
切なくて、泣きそうだった。

69:名無しさん@ピンキー
07/12/19 18:10:44 qO7Qrjnn
》61さんGJ!
小草若も喜代美も切ないよ…。
言葉が凄く綺麗で読みやすいし、描写が上手いからシーンが脳内で再生される。
こんな作品を待ってた。最高。

新スレ移行してからたくさん作品が投下されてて
職人様皆様ありがとうございます。

70:尊建、恋物語  エロ編
07/12/19 18:36:33 HxrRiDE1
尊建×若狭  エロあり 
本日からの展開での妄想。本編とは関係なし。投下します。


「お・・おお・・ええぞ・・出すからな!」そう言って顔に己の体液をかける尊建。
ゴホッゴホッ・・と咽ながら、顔と胸にベッタリ付いたザーメンと涙が入り混じる若狭。
それをやさしく拭き取ってやる手を止めて言う。「お願いします・・・。」


それは契約だった。草々との一件を無しにして貰い、尊徳師匠に自分の非を話して和解する為に。
柳眉に頼んで、尊建と会う機会を作って貰った。そして来たのがこのホテルだった。
「俺に頼むなら、体出せ。」と言われ、怯んだが・・・これも愛する草々と一門会の為と
鬼になる覚悟だった。(これで上手くいくんなら、私はこの人に抱かれる・・草々兄さん・・すみません)

今回の事件で若狭は、この男を心から恨んでいた。しかし・・彼女は知らなかった。尊建の想いを。

小草若の付き人でテレビ局や、ラジオ局で出入りしていた、気になる妹弟子。
時々様子見で、「寝床寄席」を観覧し・・興味本位から、段々気になる存在だった。
犬猿の仲の草々を好きで、小草若や兄弟子からも大事にされている、しかも柳眉までもが・・・。
少なくとも、徒然亭の連中から好かれていない自分は、決して実らない恋。
その相手が・・自分の手中に入ったのだ。どんなに思っていても出来ない夢を叶えるチャンス。
それが自分を人間として落とすことだったとしても、この機会を失いたくは無かった。

「さぁ・・次は、楽しませて貰うで。」と若狭の体を、弄んだ。「処女やろ?俺も処女は初めてや・・」
とまだ男を知らない体を、まだ産毛のある白い素肌を、まんべんなく嬲る。
「はぅぅ!」と声を出す若狭を「お前、感じとんのか?」などと虐める。シーツを掴んで耐える若狭。
舌や指で体中を這わされて・・肝心な最後の処へはなかなか手が行かない。

「ここは・・やさしくしたろうか・・」と胸を吸いながら、揉むがその手つきは柔らかかった。
「あ・・ふぅん・・くっっ・・」喘ぎ声が出る。自分でも濡れてくるのが分かる。
でも、尊建はその部分へは何もしない。もぞもぞしている太腿をなぞるだけだった。
胸の刺激で火照った体は・・次の刺激を求めていた。自分でも不思議なぐらい感じていた。

「どうや・・?俺のテクは・・でもな、これからが本番や。」と足首を持って膝を折り曲げ、開脚した。
「イヤ・・!」と口では抵抗するが、力が入らない。「ほぅ・・濡れてるがな。」とじっくり見ている。

ところが、何もしない。「?」と思っていた若狭は尊建を見た。何故か彼は泣いている。
「・・尊建兄さん?」  「俺・・俺・・お前に申し訳ない・・。」
「ど・・どうしたんですか?私・・覚悟出来てます。お願いします。」と言うと
「こんな事して・・俺は、お前が前から好きやった。それをこんなに・・俺は・・最低や。」
「え・・?」   
「最初は本気で犯したろう、と思ってた。だけど・・アカン。そうしたらもう、
お前の前に二度と顔出されへんようになる。」と打ち明けられた。
目に入った尊建の股間は勃起していなかった。


「じゃ・・約束ですから。」  「ああ、師匠を説得するから。それと、今日の事は忘れて・・くれるか?」
「はい。でも・・」   「あかんか?許してくれんよな・・。」
「いえ、私誤解してたと思うて。尊建兄さん、優しかったです。乱暴とか無かったから。」
「顔射してもか?」   「あれは・・嫌でしたけど・・・それ以外は・・」と真っ赤になる若狭。
そんな彼女を愛しく思う尊建。しかし、若狭の心はアイツのモノだと今日は思い知らされた。

「今度会うた時は、笑ってくれ。約束やで。」  「はい。」
それは恋の終わりを意味していた。

お粗末さまでした~。



71:尊建、恋物語  純愛編
07/12/19 18:38:03 HxrRiDE1
若狭を想う、尊建の物語。
前スレのシリーズから。本編とは全くかけ離れてる内容です。
尊建→若狭←柳眉 で続きです。エロは無し。柳眉の性格は知りません。


鞄で殴られてから惚れ、強引にキスした一件で、師匠や徒然亭一門から
「若狭に近寄るべからず」な、土佐屋尊建。

謹慎がとけても未だに話も出来ない状態が続いた。
何せ、傍には草々をはじめ兄弟子たちが固くガードしているのだ。
若狭はもう許してくれているみたいで、テレビ局で会うと会釈はしてくれる。
その笑顔に癒される日々だった。(何とか話だけでもしたいなぁ・・)と柄にもなく、悩む。

「最近、間違い電話多いな。」と草若は思っていた。電話をかけても出るのは草々か草若だった。
たまに若狭が出ても、焦り「ラ、ラーメン出前お願い出来ますかっ?」とテンパる。

これが一度狙った女は、落とすまで諦めない男だったかと思うと泣けてくる。
そんな時はお互い辛い片思いの、万葉亭柳眉を飲みに誘うのだった。
「いい加減、諦めろ。」と言われるだけなのだが、同じ思いだろうからとつい頼る。
柳眉としてはライバルを減らしたいと思っていた。

「なあ・・普通に挨拶ぐらい出来る関係に戻りたい・・。」
「無理やな。」   「なんかええ知恵無いか?」   
「あるかもしらんが・・。」   「ホンマか?」   
「でもなぁ、お前がそんな真似出来るとは思えんし。」
「アホ!俺は何でもするぞ!教えてくれ!!」

数日後、柳眉から何か渡される若狭。
「これ・・なんですか?柳眉兄さん。」   
「ああ、尊建がお前にって。嫌やったら返したる。」

紙袋から出てきたのは 『交換ノート』と書かれたキ○ィちゃんのノート。
(まさか本当にやるとは・・尊建のアホ。どんな顔してサン○オショップで買うたんや。
若狭、驚いてるな。ふふふふ、呆れられて嫌われてしまえ。一人でも居らん方が俺も助かる。)

「ありがとうございます。柳眉兄さん、私嬉しいです。」  
「えっ!えええええ?ええんか?」
「はい。うちの兄さんらに邪魔されて、なんも話出来へんしぃ。私も尊建兄さんと話したかったから。」
「そ・・・そうか、あいつも喜んでくれるやろ。ほら、これ鍵ついてんねん。こっちがキーや、
二つあるからこっちが若狭の分やと。ほな、俺が渡してやるから・・書いたらくれるか?」
「はい、今晩早速書きます。」無邪気に笑顔で答える若狭。  

柳眉の気持ちは複雑だった。「尊建に負けてられんな。」と新たに闘志を燃やす。
OKを貰い、その夜の尊建は 夢の中で若狭と二人きりで一つのパフェを食べていた。
(若狭・・・俺・・夢みたいや・・・)と夢なのだがニヤニヤして、枕を抱きしめる。

「尊建兄さんへ。ノート嬉しかったです。今度『寝床』で飲み会しませんか?
そして草々兄さんと小草若兄さんと仲良くなって下さい。大好きな兄さん達が仲良しなら
私も嬉しいです。どうか、お願いします。」などと書いている、若狭。
尊建の夢は夢で終わりそうだった。

お粗末さまでした~。尊建が根は良いヤツだと思いたいです。


72:名無しさん@ピンキー
07/12/19 19:20:09 HxrRiDE1
亀レスだけど、>>34さん。
気にせんで、スルースルー。気持ちワカリマッセ!
次の作品楽しみにしてます!

同じ書き手として職人の皆様すべてにGJ!ですがな!
例え釣られても投下、それが職人魂と思とります。

73:名無しさん@ピンキー
07/12/19 19:43:13 ZDCAlYe+
>35
今更ですがGJです
私も歌詞が脳内で
ぐるぐると流れていました
四草贔屓でしたが
これからは小草若贔屓にもなりました

74:名無しさん@ピンキー
07/12/20 00:34:35 S5b4Y4cI
>>71>>72GJ!
黒鼻毛兄さんも白鼻毛兄さんも
どちらも好きだ!

75:名無しさん@ピンキー
07/12/20 00:57:23 ZGjuQNj5
>>74
「割ったまんじゅう、どっちも好きや」を唐突に思い出したw

76:名無しさん@ピンキー
07/12/20 02:43:20 S5b4Y4cI
小草若祭りの最中、草々×清海です

エロ少なめ
強姦テイスト多少ありです
嫌いな方はスルーしてください4レスあります

77:草々×清海 1
07/12/20 02:46:31 S5b4Y4cI
明日東京へ立つという夜、清海はバルコニーで大阪の街を見つめていた。恋に落ちたあの夜の様に雨模様だ。
この夏のことは一生忘れられないだろう。
インターフォンが鳴る。こんな遅くに誰だろと、モニターを確認して驚いた。
草々だ!傘もささずに来たのか全身ずぶ濡れである。
「A子ちゃん開けてくれ!もう一回話し合お!」
「もう何も言う事はありません。帰って下さい。」
5分…10分…ドアは開かない。草々が諦めて立ち去ろうとした時、カチリと微かに解錠の音が聞こえた。
草々はドアに飛びつくとノブを思い切り引いた。清海が胸に飛び込んでくる。
「何で来るんですか?もう終わってるのに!」
清海は泣いていた。

78:草々×清海2
07/12/20 02:48:11 S5b4Y4cI
「行くな!俺のそばに居ってくれ!」
喚きながらリビングにもつれ込み、清海を組み敷く。清海の顔には雨の雫とも、草々の涙ともつかない水滴が落ちてくる。
「このまま大阪に居ったら10年20年してB子を妬んで暮らしとるかも知らん。
そうなったら草々さんを恨んでしまう。そんなん嫌や。後悔したくないんです!」
行くんか、俺を置いて行ってまうんか。ならせめて俺を忘れんとってくれ
草々は清海にくちづけると荒々しく舌をねじ込んだ。清海の舌を絡めとりながら、ぎこちない手つきでシャツとブラをたくしあげる。
大きいとは言えない乳房を指の跡がつく程掴み取ると清海は小さく呻いた。

79:草々×清海3
07/12/20 02:49:54 S5b4Y4cI
唇を解放した草々は焼き印でも押すかのように、首筋から胸に赤いしるしを付けていく。
(こんなん3日もしたら消えてまうわ…)
へその辺りまでしるしを付けると、ゴムのスカートをショーツごと引きずり降ろした。清海は一瞬身を硬くする。
経験の少ない草々は、更に経験のない清海の不安を思いやる事ができなかった。
ただ自分の激情をぶつけるだけだった。太股の間に膝のねじ込み、強引に割って入ると、一気に侵入した。
充分に準備のできていない清海は泣き叫んでいる。その声を聞きながら草々は瞬時に果てた。

80:草々×清海4
07/12/20 02:51:41 S5b4Y4cI
朝が来て草々は帰って行った。エントランスまで見送ると清海は言った。
「東京でメインの番組が持てるようになったら、ゲストに呼びますね。」

去って行く背中を見つめながら思う。
体の痛みは消えるけど、愛しい人の事は絶対忘れない。

空は底抜けに青かった。


お粗末様です

81:正平、大人の階段
07/12/20 18:01:25 dtQ5Vk6z
前スレで投下出来なかったので・・・
正平×糸子 エロあり 筆おろし話。投下します。

いつからだろうか・・。こっそり喜代美のパンティや糸子のパンツを盗んで、オナニーをするように
なったのは。正平は罪の意識に苛まれながらも、止められない自分をどうすることも出来なかった。
初めて夢精した時、自分のブリーフを学校の焼却炉で隠れて燃やしたこともある。

小次郎の悪知恵で、一応の性知識はあった。父親とも話をしたこともある・・。
だが、大半は友達との変な情報交換だった。こうすると気持ちいいとか、ああするといいとか。
自分の性の目覚めは割と早かったのだと思う。母親と一緒にお風呂に入る事にも早くから躊躇いがあった。

だから・・その対象は身近なものだった。姉はともかく、母親はなんとも犯しかたいが、魅力的だった。
(あのおっぱいを吸ってたんだ)と思うと、下半身が疼く。ふと見せる風呂上がりの姿がもうたまらない。
喜代美の体系は母親のそれに近い。でも・・・やはりあの体つきは、自分にとっての憧れだった。

同級生はエロ本でも、自分より少し年上の女性を好んだ。クラスの女子の誰々が好きとか、水着姿や
体操服姿で想像しているらしい。「母ちゃんなんて、オバハンやんけ。」と一笑されるのが怖い。
誰にも言えないでモンモンとオナニーは続いた。

それを、寄りによって糸子が見てしまった。
(どうしよう・・お父ちゃんに言うべき?でも思春期の感じやすい時期に優しく諭してやらんと・・)と
思い、見て見ぬふりをした。なのだが・・。

ある日、それは夏休み。家族で白浜へ海水浴へ行く予定だったのだが、正平が夏風邪だったので糸子は残った。
「そしたら、お父ちゃん、小次郎さん、頼みますね。お義母さん、すみません。」
「ええええ、任せといてんか、姉さん。」  「正平、頼んだで。」
「糸子はん、お土産買うてきたあげるからね。」  「お母ちゃん・・ほなら行ってくるわ。」
と出かけた。時計の音だけが響く部屋で正平は眠っていた。
熱の為、夢で糸子が出てきた。裸で自分の前に現れ・・・正平は思いきりその体にしがみついた。
想像の中での事を、夢で堪能した・・処で目が覚め、ブリーフにベッタリと出してしまった。
「あ~あ~・・しゃないな。」と汗もかいたから、ついでに全部着替えるつもりで服を脱いでいた。

「正平、お昼オジヤしようかねぇ」と入って来た糸子。
息子のムスコを目の当たりに見てしまった。驚きで自分の意思とは関係なく、ムクムクと大きくなる。
「ご、ごめんね・・正平。」と出ようとした、糸子。その背後から正平は抱きついた。
子どもと油断したのが失敗だった。もうすぐ17歳になろうとしていた息子の体は大人だった。
力も男だったのである。

難なく、糸子はパンツを下された。服もはだけ、胸を鷲掴みにされる。「や、やめなさい!正平!!」
と抵抗したのだったが・・無駄だった。気がついた時には正平は糸子に入れていた。
「お・・お母ちゃん・・」と腰の動きに、ご無沙汰だった糸子は感じてしまっていた。
未熟な手の動きにも反応してしまう。ドロリ・・と股間を熱いモノが流れた。


「オジヤ、熱いからヤケドせんようにしなさいね。」と脇とりに乗せて持って来て、置いておく。
「うん・・。」と返事をして、「お母ちゃん・・・」と何か言おうとした正平に糸子は言う。
「もう忘れようね。」   「は・・い」 二人の胸しまう事にした。


それから、2年・・・正平は大学へ入り、無事彼女を作ることが出来まともな性生活が送れるようになった。
その相手はどこか糸子に似ていた。

お粗末さまでした~。

82:草月 ◆ACiteNl50A
07/12/21 00:36:37 zipIIyB6
徒然亭の五兄妹@寝床 其の二 序

ドラマ本編もここも切なくて良いSSが続く中で空気読まずに短編です。
ここのところ、キャラを壊した感のある作品を書いてきたので久々に
徒然亭の五兄妹を投下します。書いたのは前スレ456よりも前なのですが
何となく投下するタイミングを失ってしまってました。
しかもドラマ本編とは大幅に時期がズレてますが軽く楽しんで下さい。
エロはありません。

しかし、アンチと思うのは個人の勝手だと思うのですがさすがに前スレで
はっきり広言されると落ち込みますね。だからといってコテ外すのも
投下しないのも嫌なのでこのままいきます。よろしくお願いします。

83:草月 ◆ACiteNl50A
07/12/21 00:37:41 zipIIyB6
徒然亭の五兄妹@寝床 其の二 前編

今日も徒然亭の五人兄妹は居酒屋「寝床」で酒を飲みつつ(未成年と下戸は
ウーロン茶)落語談義に花を咲かせていた。

「せやかて若狭、師匠の落語を受け継ぎたい言うたかて自分の落語もまだ
ようせえへんのに生意気言うな!」
「ほやけど…」
「親父のこと買いかぶり過ぎやで、喜代美ちゃん。」
「若狭て呼べ!」
「ええやないか!喜代美ちゃんは喜代美ちゃんや!」
草々と小草若は椅子を蹴って立ち上がった。
「まぁまぁ、落ち着け。」
喜代美はいつものようにおろおろし、草原がいつものように窘める。
「落語そのものに対しても考えが大袈裟過ぎるんじゃないですか。」
そしていつものように皮肉な口調で四草が応じる。
「落語は元々『辻噺』言うて大道芸から始まったもんや。もっと気楽に
楽しんでもらうもんなんやで。」
草若の落語を受け継ぎたいと熱く語る喜代美に四人の兄達は窘めつつも
一生懸命語る喜代美を微笑ましく見ていた…一人を除いては。
「ま、若狭の気持ちはわからんでもないけどな。みんな同じ気持ちなんやし。」
草々が仕方ないなと言いたげな表情で答えた。
「やっぱりそーですよね!」
喜代美は満足げに微笑んだ。

その時、四草が喜代美を見つめてこう言い放った。
「でも若狭にしか受け継がれへんもんがありますよね。」
「え!?」
全員が四草に注目した。
「私にしか受け継がれへんもんってあるんですか!?」
喜代美は身を乗り出した。
「若狭にしかでけへん。俺ら男には絶対でけへんのです。徒然亭一門の中では
末っ子の若狭だけができるもんがあるんです。」
「何やねん四草、もったいぶらんと早よ言え。」
小草若がじれったそうに促した。
「若狭だけが受け継ぐことができるのは『DNA』ですよ。」
「でぃーえぬえー?」

84:草月 ◆ACiteNl50A
07/12/21 00:38:41 zipIIyB6
徒然亭の五兄妹@寝床 其の二 後編

喜代美と草々、小草若はぽかんとした顔をした。草原だけが感づいたらしく
にやりとしている。
「受け継ぎたいか?若狭?」
「はい!」
「そうか、わかった。お咲さん、ちょっと。」
カウンターに向かうと四草は咲に何やら耳打ちした。
「あるわよ。これでいい?お客さんからケーキ頂いた時のだけど。」
「十分ですよ。」
四草は喜代美に近づくと髪にくるりとリボンを巻いた。
「なっ、何なんですか?これ?」
「そ~こ~ぬ~け~に可愛いがな!」
「さっきから四草は何がしたいねん。」
草原だけは笑いを噛み殺している。
四草は喜代美に顔を近づけると例の算段顔で話しかけた。
「今からな、師匠の部屋行って…あ、その前に自分の部屋寄って枕持って
行くんやで。それで師匠の部屋行って『お情けを頂戴に参りました』って
言え。」
ついにこらえきれずに草原が吹き出した。
「何やと四草!それって親父と寝ろっちゅうことか!」
やっと意味のわかった小草若が怒りだした。なぜか草々は考え込んでいる。
「一門の中では若狭だけにしか受け継がれへんでしょ。師匠の『DNA』は。」
四草はニヤリと笑って喜代美を立たせた。
「さ、若狭行こか。その前に風呂入って身体綺麗にせえよ。」
「えええええええ!いやですうううう!」
「待て四草!喜代美ちゃ~ん!俺のDNAでもええやろ!?ってゆーか俺
親父のDNA受け継いでるやんか!嘘ばっか言うな!!」
今頃意味のわかった喜代美は四草に引きずられて行ってしまった。
小草若も慌てて後を追いかけた。

「ひっどいやっちゃな~…四草は。あ~腹痛ぁ。あ?どうした?草々?」
腹を抱えて笑い転げていた草原は草々を見た。いつになく真面目な顔を
している。
「若狭しか『DNA』を受け継ぐことってできひんのですね…」
「草々…お前…」

居酒屋「寝床」の夜は今日も更けてゆく…

END

85:名無しさん@ピンキー
07/12/21 01:20:12 pkr8xtG1
草月さんGJです!

草若師匠は若狭にDNAを譲り渡したのか、気になる所だ

86:名無しさん@ピンキー
07/12/21 06:53:09 MQwJoSqp
おもしろかった!GJです!
なんか、図ぅが浮かんで…算段顔って…w
四草、鬼や…
あー朝から笑った
これで、ちょっとぶるーな本編を見る気持ちが湧いてきましたよ…


87:名無しさん@ピンキー
07/12/21 08:11:57 0TRxvXoB
結局、どうのこうのと言われるのは、読み手の大半の好みが
この人しか無いということだろうな。比べられたりで。
俺にしたらどのSSもGJ!なんだけどさ。
それとも四草ファンが多いからか?

88:名無しさん@ピンキー
07/12/21 08:35:12 pkr8xtG1
くそ~若狭のボケ、俺の小草若ちゃんに
何ちゅうことさらすねん!

89:名無しさん@ピンキー
07/12/21 09:07:35 FbEqxjEN
あのまま押し倒して・・くれんわな、草々の部屋じゃ・・。
師匠も留守でチャーンス!なのに寝床で告白か。

90:名無しさん@ピンキー
07/12/21 10:44:06 Wayd2ic/
今日の本編があまりにひどかったので、
どなたか救いのある話にしてくれませんか。
エロくなくてもいいので。

91:名無しさん@ピンキー
07/12/21 13:17:56 KaOaUzZB
草月師匠、相変わらずええ仕事してますな~。
やっぱ師匠×若狭のカップリングは萌えますわ~!
恋愛というより色事の稽古、というかんじもしますが。

92:名無しさん@ピンキー
07/12/21 16:06:21 yqi7IlDc
喜代美と小草若ちゃんがおもろい夫婦になってくれたらいい、そんな風に思っていた時期もありました

小草若カワイソス(´;ω;`)

93:名無しさん@ピンキー
07/12/21 16:38:20 dJ8YkNug
>>90を見て、考えてみたけど、
自分には誰をどう救えばいいのか、もはや全然見当がつかない…

きっと明日脚本家が救ってくれる!と、思いたい…
それにつけても、小草若。・゜・(ノД`)・゜・。

94:名無しさん@ピンキー
07/12/21 17:37:44 9U4K2GLN
草々もかわいそうなこと、時々でいいから思い出してあげてください。



95:名無しさん@ピンキー
07/12/21 17:47:19 z6QJSnbt
>>93
同じく。どうにも考えつかなかった。
小草若うううう(´;ω;`)

96:名無しさん@ピンキー
07/12/21 17:49:57 pkr8xtG1
A子まさかの復活→草々と焼けぼっくい→若狭大失恋
てな話には、ならないよねえ
まさか、ねえ
そうなったら、我らが小草若ちゃんや、セクシー草にも
大活躍のチャンスなのに~

97:名無しさん@ピンキー
07/12/21 19:40:41 JWVzvA+6
ここは小草若スレではありません。

98:名無しさん@ピンキー
07/12/21 20:08:06 jDs4QX75
>>96
A子、このまま退場はないだろうしな。

今日の小草若を押しのけた喜代美のあまりのおぼこさに、
なんだかエロ妄想するのが申し訳なくなってきた。

99:名無しさん@ピンキー
07/12/21 20:10:16 ZYy8Lwax
>>97
今週は仕方ないって。主役は小草若だもん。

100:名無しさん@ピンキー
07/12/21 20:56:59 zEeEuEo5
草々の部屋での妄想を投下。

「すまんかった、喜代美ちゃん。」と謝る小草若。頬を伝う涙を見て若狭の心は揺れた。
「そんな・・すみません、小草若兄さん・・私も悪かったです。」
手を握って慰める。

「喜代美ちゃん・・・」そう言いつつ、そっとキスをする。
驚く若狭。「ごめん・・」と外へ出る小草若。

残された若狭は、「小草若兄さん・・」と口を両手で押さえ、
小草若の切ない思いを受け止めきれないでいる。
でも・・・心は揺れていた。
(私・・誰が好きなん?あれほど草々兄さんが好きや・・と思うてたのに)
もう季節は冬になろうとしているのだが、心の中に温かい風が吹いた。

これぐらいしか・・思いつけなかった。限界。
お粗末さまでした。誰か繋いで欲しい。


101:名無しさん@ピンキー
07/12/21 21:30:57 wgA2BGIQ
>>100
GJ、ありがとう!
こんなだったら良いのになぁ…
キスは無いにしろ気遣うぐらいして欲しかったぜ、喜代美

102:名無しさん@ピンキー
07/12/21 22:50:29 MQwJoSqp
>>100さん、GJ!ありがとう・゜・(ノД`)・゜・。

100さんのを読んで、自分も考えてみました…。
でも、全然エロパロ板にふさわしくないorz
救われてるのかもよくわからないし。
喜代美のモノローグ風なので、お嫌な方はスルーしてください。

103:名無しさん@ピンキー
07/12/21 22:55:03 MQwJoSqp
自分は、ひどいことを強いたのではないか。
喜代美は後からそれに気がついた。

あのとき…寝床で小草若から話を聞いたとき。
自分の頭はもうはちきれんばかりだった。

真実を告げず出ていった、草々。
師匠として親としての草若の、気持ち。
自分にすがりつかねばならないほど傷ついていた、小草若。

あの瞳に揺らいだ自分がいた。
そのまま小草若を抱きしめてしまいそうで、そんな自分に驚いて思わず大声をあげた。

みんなの気持ちを、これ以上だめにしたくなかった。
これ以上事態がこじれて、誰かが傷つくのをみたくなかった。
自分が揺らいだ気持ちのまま、小草若を受け入れそうで怖かった。
だから、このまま草々が殴ったことにしてほしいと、小草若に言ったのだ。
このままの状態で、突き進んでいくしかないと思ったから。

けれど、それは小草若をますます追いつめることではなかったか。

案の定、小草若は稽古に集中しない。
できるわけがない。
草々から、落語を「家族」を取り上げてしまったと自分を苛んでいる小草若が、
稽古に身を入れることなんて、できるはずがなかったのだ。

わかっていたはずなのに。

本当は小草若がこの「家族」を愛していて、誰よりも繊細だと、
わかっていたはずなのに。

自分はなんて傲慢だったのか。
師匠に嘘をつき、草々を行かせたままにし、小草若の気持ちをえぐって。

あんなにも傷ついた目をしていたのに。
あの瞳に、揺らいで吸い込まれてしまいそうだったのに。
今でも、自分を責めて傷ついている人なのに。

だから、言った。
殴ったのは小草若にいさんです、と。
自分が嘘をつかせたから。
小草若の意志ではなかったことを、師匠ではなく父親としての草若に
伝えなくてはいけなかったから。

そして走り出した。

草々への思いと、小草若のあの瞳に揺らいだ気持ちと、
どちらが自分の恋心なのか確かめなくてはいけない。
とりもどして、きちんと考えるためにも、急がなくてはいけない。
だから、自分の力、すべてをこめて。走りだしたのだった。

おしまいです。お粗末さまでした。ありがとうございました。

104:名無しさん@ピンキー
07/12/21 23:06:24 EWKTL7+C
>>103
GJです!
なんか淀んでいた気持ちがちょっと救われた気がする…(つД`)

105:名無しさん@ピンキー
07/12/21 23:46:04 x7/t0EhB
>>103
おおー、GJ!

106:名無しさん@ピンキー
07/12/22 01:16:01 5tsqR2Y0
>>100です。>>103さん、素晴らしい。
ありがとう!! GJ!

107:名無しさん@ピンキー
07/12/22 02:55:54 F0+KdbUK
本編では喜代美と草々がくっつきそうな気配だけど、
そうなったら四草×喜代美とか、小草若×喜代美の投下は
やっぱり減ってしまうのでしょうか?
草々×喜代美にあまり萌えれないので、そうなったら悲しい…

108:名無しさん@ピンキー
07/12/22 03:13:10 ZSeX1vZw
小草若×清海
四草×清海
がいい。

喜代美はDQNだからイラネ

109:名無しさん@ピンキー
07/12/22 06:45:19 7Y4rnneg
>>107 妄想スレだから
どんなカプがあってもいいんだけどね

四草と小草若は人気あるし、減るかもしれないが
無くなりはしないでそ

てか、無くならないで欲しい

110:「若狭、草々を迎えに行く」  その1
07/12/22 08:53:23 l//Ay3tK
別のカプも無くならせませんが、本日の放送前に妄想したら、本編に若干かぶってました。
KYですいません。でも本音は小草若贔屓。
エロは無し。投下します。

「こんな・・所におっとたんですか?」あばら家より廃墟のような佇まい、ここは依然草原が
話していた、昔潰れた民宿の離れだった。
上を見ると天井は空が見える穴があり、足元は草が伸びている。畳だろうと思われる座敷の
埃とも砂ともつかない汚れようは、人が住めるような状況ではない。
その生活ぶりを思うと涙がでそうになる。
「ええやろ・・別に。誰にも迷惑掛けてる訳やないし。」と不満気に言う。連れ戻そうとしたが、
頑なに戻るとは言わない草々。押し問答をしていると

『ポツ・・』と水滴が落ちてきた。

「あ・・雨?」  「しもうた!ここ屋根があれへんねん。補修するつもりやったのに・・・」
「とにかく、ここにおったらあかんと思います。帰りましょう!」  
「それは出来ん。」  「じゃ、私もここに残ります。どのみち破門やぁ言われてますし。」
「えええ?何やてぇ?」驚く草々を尻目に、なんとかこの雨をしのごうと考えてる若狭。
しかし、何をしても無駄だと気がついた二人だった。「お前、金持ってるか?」  
「はい・・大入りで、お客さんから貰ったのと、少し蓄えてたので1万ぐらいは・・」  
「じゃ一緒に来い。折半で泊まれる場所はある。」

そこはホテル街だった。透明ビニル傘を二人でさし・・一番安い処へ入った。
ピンク一色の可愛いお城のような一室だった。「宿泊します。」とインターホンで告げる。

「誤解すんなよ・・男女やから、こういう所やったら泊まれる。安いしな・・。」
「分かってます。何でもあるんですねぇ。替えの下着もあるわ・・。」
と初めてのラブホで備品が珍しいのできょろきょろする若狭。

「ほら!草々兄さん、お風呂大きいですよ!溜めますから入りますか?」
「ああ・・先、お前入れ。」  「あ・・・・」  「何や?」
「この服・・・」 それはラブホテルの備え付けの浴衣のような服だったが、
女性のはやたら丈が短かった。どう着てもミニスカートにしかならない。男性のは長いのに。
「し・・仕方無いやろ、それ着とけ。」  「あ、はい・・。」
ドキドキしながらも、風呂はなかなか心地良かった。長いこと銭湯だったから、内風呂は久し振りだ。
ゆったり浸かっていると「おい、まだか長い風呂やな・・」と言われてしまった。

「す・・すみません、お先でした。あ、いい湯加減になってますさけぇ・・。」
「ああ、俺こそすまん。お前がのぼせとんかと思うて・・。」と着替えた若狭を直視しないようにした。
風呂から上がると、若狭がお茶の用意をしていた。「お茶しか無いですけど、どうぞ。」
飲む草々。体が芯から温まる心地がした。ずっと一人で気張ってきた心が溶かされるようだった。

「すまんな、俺体デカイから・・」  「ええんです。でも毛布もろてええんですか?」
「あの部屋も布団なんか無いから。これで寝れるんやから上等や。」
若狭はソファで眠ることになった。しばらくすると草々のいびきが聞こえた。(疲れてはるんや・・)
なかなか寝付けない若狭は、これからのことを考えていた。
(もしこのままここに居ったら、草々兄さんが駄目になる・・。それと戻れないなら小浜の家に一緒に
行こうか・・)と思っていた時。「ハックション!」とくしゃみが聞こえた。見ると草々だった。
(草々兄さん・・やっぱり寒いんや・・。)そう思うと、体が勝手に毛布と一緒にベッドへ行った。
そっと包んで自分も草々の背中へ密着した。(冷たい体・・こんなに冷えてたんや。私が温めてあげる)
そう思い、体をゆだねた。草々は眠っていたが・・・若狭を抱きしめた。
(寒かったんやわ・・もっと温もって・・私が私が・・)と愛しい人の胸に抱かれて自分も眠った。

111:「若狭、草々を迎えに行く」  その2
07/12/22 08:58:11 l//Ay3tK
朝、目が覚めた草々は傍らの若狭に驚いた。しかも・・自分の腕の中だった。
何も無かったことは明白だが、暖められていたと気がついた。「ありがとう・・若狭・・」
まだ眠っている、その寝顔は幼さがまだあったが、女だった。薄紅色の唇が柔らかそうだった。
無意識にその唇に自分の唇を重ねた。(温かい・・こいつは本当に温かい・・)と泣けた。

「ん・・・あ・・草々兄さん、おはよ・・うございますぅ・・」と寝ぼける若狭。
照れもあり、「あ・うん・・おはようさん。」と髪をクシャっと頭を撫でてやる。
「すまんかったな・・俺を温めてくれてたんか。こっちで寝て。」と言われ、ハッと目が覚める。
「は・・はい、何か寒そうやったんでぇ・・ごめんなさい。」  「ええ・・嬉しかった。ありがとう。」

夜明けの珈琲ならぬ、夜明けの番茶を二人で飲んだ。「俺、仕事あるから・・もう出なあかんな。」
「帰ってください。もしあかんのやったら、こんなとこやのうて、小浜の実家へ一緒に行ってください。」
「それも出来んやろ。お前の実家に世話にはなれん。」  「でも・・」
「とにかく、着替えて出よう。」  「はい・・」

ホテルを出て表通りへ出た時「喜代美ちゃん・・・」小草若に出会った。
師匠から二人を連れ戻すように言われ、駆け付けたのだった。
しかし、この状況をどう説明すれば良いのか?3人は微動だに出来なかった。

「おい・・草々。」口を開いたのは小草若からだった。  
「草々兄さん、やろ。なんや。」乱暴に答える草々。
「師匠からお前連れて来い言われた。」驚く若狭。信じられない顔つきの草々。
「小草若兄さん!ホンマですか?草々兄さん、帰りましょう!」  
「あかん。」頑なに拒む草々を見て、キレる小草若。

「何でじゃ!せっかく俺が来ったのに。」  「そうですよ、強情言わんと帰りましょ。」
「あかん・・一度破門言い渡されたんや、ノコノコ帰れるか。」気持は嬉しかったが、意地もある。   
「どうしてもか?」  「ああ、そうや。俺は覚悟して出たんや。」   
「ほな、俺も破門やな・・。」項垂れる小草若を、驚きで見る二人。
「え?!どういうことですか?」聞いたのは若狭だった。   

112:「若狭、草々を迎えに行く」  その3
07/12/22 09:00:48 l//Ay3tK
「お前ら連れて帰ることが、俺の破門取り消しの条件や。」
「ほなら、帰りましょう!」   

「それ・・ホンマか?」草々は信じられなかった。 
「ああ、言い出したら聞かんからな。」
しばし沈黙の後・・・
「やっぱり、それでも戻れん。お前は実の子や。何とでもなるやろ。若狭連れて戻れ。」
「まだそんなこと言うとんのか!アホ!!」草々を殴る小草若。

「何するんですか!」と転んだ草々に駆け寄る若狭。次の瞬間・・・土下座する小草若が居た。
「小草若兄さん・・・」  「お前・・何やってんねん。止めろそんなことすんな!」
「お願いや・・兄さん・・俺は、お前に戻ってもらいたい。ずっと喧嘩しながらも・・俺や師匠が
落語を忘れんかったんはお前が居ったからや・・・」涙をボロボロこぼして言う。

「復活出来たんも、皆集まったんも、お前のお陰や・・お前の・・お・・兄さん・・・」声にならない。
そんな小草若を抱きかかえる草々。
「何言うてんねん。俺がずっとそばに居っても、師匠は高座に上らんかった。それを上げたんはお前や。
あの時そう思った。やっぱり、お前は師匠の子供や。俺には出来んかった事や・・・。」そんな草々の頬を打つ、若狭。

「何、寝ぼけたこと言うとんですか!師匠は女将さんの写真に言うとんなさった。
親の心も知らんと・・アホが・・って!私、聞いてしもうたんです。それに、真相も知ってはりました。」
涙が止まらない。そんな若狭と小草若を見て・・涙が溢れそうになる。
あわてて空を見上げて、「ほなら・・仕事行ってくるわ。」  

「草々兄さん!」
「現場監督に・・辞めます言うてこな、あかんやろ!」と笑う。
「ほなら、私らあの離れで待ってます。」若狭に座布団と手荷物を預ける草々。 
「ああ、小草若!」 「なん・・や?」
「切符代出せよ。」ニヤッと笑って言う。
「アホ!もう買うとるわ!!」涙が伝う頬をひきつらせて笑う小草若。  
「いってらっしゃい!」送り出す若狭。

走り去る草々を見送る二人。
「あんな・・喜代美ちゃん・・。」  
「何ですか?」  「ホンマに・・何にもなかったよな?」
真顔で聞く小草若に首を思いきり振りながら「あ、あったり前です!!草々兄さんは何も・・」
(それもどうかと思うけど・・ホンマやしぃ) 
(ホンマやと思うけど・・アイツのことやし。でも・・な)と二人の考えは複雑だった。

「あ、でも帰りまでに何か食べて行きますか?」と話題を変えようとする若狭。
「そ、そやな。俺、さっき可愛い喫茶店見つけたわ。モーニングあったから行こか!!」
「あ、でも草々兄さんが戻ってからにですよ。」  「ちぇっ・・シャーナイな。」
と言いつつも嬉しそうな小草若。「フフフ」 「アハハハハハ!」と笑う二人だった。

(戻ったら、また頑張らな!一門会の復活やもん!)と張り切る若狭。
(戻ったら、また喜代美ちゃんの気持ちこっちに向けな!)と若干のすれ違いはあるが、
二人の気持ちは一つだった。

昨日の雨がうそのように、空は晴れていた。遠くで草々が手を振ってこっちに向かう姿が見えた。

お粗末さまでした~。 まだ、小草若にもチャンスは・・ある?



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