08/01/15 22:33:43 kQtnDBdC
私は、家路を急いでいた。もう、軽く疼いてきている。
だが幸せになるためには、当座の金が必要だと、彼女は言う。
幸せのためには、仕方がない。それは、私に与えられた命令だからだ。
ただ、彼女は私にチャンスを残してくれた。彼女の母親は、支配器官を
受胎した後、夫を併合した。あの後、繋がって判ったことなのだが。
併合されても消滅する訳ではないが、できれば私も幸せは直に感じたいし、
そのうち他の魂を犯して支配したり、併合したい。
私の体形は激しく変化しなかった。
少しの間なら、家族だったものはだましとおせるだろう。学校も。
新学期から、彼女は登校すると言う。すぐに支配を始めるそうだ。
その後、周りに気づかれないように少しづつ併合を進めていく。
支配者が多いと並列化が進み争いの元になるため、支配者は
私以外は増やさないそうだ。
この星に住む魂は孤独で飢えている。どの世界でもそれは同じだった。
やがては消えてしまううつろなものの宿命。
世界はエントロピーと戦っている。やがて世界はすべて平坦になる。
火は燃やし続けなければ消えてしまう。発火された火に意思があったなら
どうして受け入れて消え行くことが出来るだろう。
遠い昔に私を生み出した私の思いを繰り返しながら、日がほとんど暮れた
ダークブルーの空を見上げる。
空には、かつて歩いた無数の星が瞬いていた。
-おわり-