【みなみけ】桜場コハル Part3【今日の5の2】at EROPARO
【みなみけ】桜場コハル Part3【今日の5の2】 - 暇つぶし2ch626:ぶつ切り
07/12/27 16:24:09 aZA7Wzzq
俺は、約束の時間より8分ほど早く公園に着いた。
俺はベンチに座って彼女を待つ。果たして、彼女は来るだろうか。
再び時計を見ようとした途端、視界が遮られた。後ろから手で目を隠されたようだ。
「うわぁっ!」
だ、誰だ!ってそれは愚問か。俺はそっと彼女の手に触れる。
間違いない。
俺は目隠しを外して振り返った。
「チアキちゃ、うわっ!」
彼女はいきなり抱きついてきた。
「藤岡ぁっ!藤岡ぁっ!」
な、なんなんだこの甘えっぷりは!
「やっと、やっと二人きりに!」
「お、落ち着いてチアキちゃん!」
「はっ!」
漸くチアキちゃんの動きが治まった。
「す、すまない」
今の行動を恥じているのか、もじもじとしている。
「とにかく、座ってよ。」
俺は隣に座るよう促すが、チアキちゃんは容赦なく俺の上に深く座った。


627:ぶつ切り
07/12/27 16:26:07 aZA7Wzzq
さて、困ったことになった。いや、チアキちゃんとこうする事自体は、南に見つからない限りいいのだが。
普段こうする時は、俺が胡座だったり尻をついて座ったりしていて、そこにチアキちゃんがよっかかる。
つまり、背中がひったりつくだけなんだ。それでも多少はどぎまぎしたけど、最初は。
けど今は違う。今チアキちゃんは深く座っている。つまり、その、股間部がチアキちゃんにピッタシと…。

ぴくっ


まずい。反応してしまった。ばっ、俺には南が…!
ふとトイレでの出来事を思い出してしまう。よりにもよってこんな時に。

「うーん。」
「ど、どうしたのチアキちゃん。」
バレたか!?
「いやなあ、なんだか座り心地がいつもと違うんだ。」
す、座り心地…
「あ、藤岡は何にもきにするな。…『何にも』だぞ?」
「え?」
するとチアキちゃんは前後に微動し始めた。そして、それによって擦られる。
「ち、チアキちゃん?」
「なんだぁ?」
「なんだって、意図的に、やってるんだろ?」
「きにするな、って言ったろ。」
「でも、」
「その減らず口、黙らせてやる。」
チアキちゃんは振り返って小悪魔的に微笑んだ。そして、キスをしてきた。

628:ぶつ切り
07/12/27 16:28:02 aZA7Wzzq
藤岡との初キスだ。藤岡をリードしようと頑張ってるがそろそろ限界だ。
しかしまだ決定打を与えてはいない。このままでは来た意味がない。

私は思い切って舌を入れてみた。

629:ぶつ切り
07/12/27 16:29:42 aZA7Wzzq
ち、チアキちゃん!舌を入れてきた!南ともそんなことしてないのに!
チアキちゃんは容赦なく舌を侵入させてくる。俺は抗えずになすがままにされてしまう。
なんだろう。ただのキスよりも、その、ドキドキする。舌の、初の感触に性的興奮が高まる。
チアキちゃんは、体勢が辛くなったのかこちらを向いて、おれにそろ小さな身体を預けた。
しかも、俺の股間部への「愛撫」を続けながら、キスもより激しくしている。


分かる。
チアキちゃんはマジで誘ってる。ていうか、俺の理性がヤバい。
でも、俺は南の彼氏だ。俺は南と付き合ってるんだ。チアキちゃんを受け入れるわけにはいかないんだ。
俺は、チアキちゃんを押し離した。俺の口の中はチアキちゃんの唾液でいっぱいだ。その事実だけでもヤバい。
「藤岡…、ごめんなさい。」
「え…?」
「私、もう知ってるんだ。二人の関係。なのに」
「いや、俺こそ。チアキちゃんの想いに答えられなくて…」
チアキちゃんは微笑んだ。
「そんなだから、好きになっちゃったんだ。」
「ご、ごめん。」
「…ううん。いいんだよ。でもな。」
「でも?」
「責任は取れ。」


630:ぶつ切り
07/12/27 16:31:47 aZA7Wzzq
「え?」
「責任だよ。今から私が言うことをしてくれさえすればいい。」
なんだろう。全く見当がつかない。
「いいか。よく聞け。」
「う、うん。」
なんだろう。チアキちゃんから躊躇いを感じた。一瞬だけ。
「恋人としてカナにしたこと、カナとしたことを私にもやれ!」
「え、え~っ!?」
なんてムチャクチャな条件だ!ていうかそれ以前に…
「カナと別れろなんてことは言わない。だからせめて、私のことも愛してほしいんだ!」
いや、だから…
「さあ!言え!カナと何をした!」
「き、キス。」
「…へ?」
「キス、までだよ。舌を使ったキスなんて、したことなかったよ。」
「…本当なのか?」
「本当。」
チアキちゃんは鳩に豆鉄砲を当てたような顔をした。
「は、初めてだったんだよ本当に。こんなキス、初めて…」
「つまりさ、」
「うん。」
チアキちゃんが微笑んだ。
「藤岡の彼女は実質私だな。」
「え…」
「ふふふ、言ったろ。藤岡は気にしなくていい。」
そう言うと、チアキちゃんは俺の制服のズボンのチャックを下ろした。
「何度言えばわかるんだ。やっぱりその減らず口は塞がないとな。」
そう言って、またキスしてきた。

631:ぶつ切り
07/12/27 16:34:54 aZA7Wzzq
またもや、舌を絡ませるキス。そしてチアキちゃんは右手をズボンの中、そして下着の中に侵入させてきた。
情けないことに、俺はチアキちゃんを止められなかった。
遂にチアキちゃんの指先が俺の陰茎に触れた。
「んっ」
ヤバい。触れただけなのに気持ちいい!
チアキちゃんは最早躊躇う事なく、竿を握った。冷えた手がこれまた気持ちいい。
更には、しごき始める始末。理性が崩れは……はっ、はあっ…!

632:ぶつ切り
07/12/27 16:36:02 aZA7Wzzq
はっくしょん!


チアキちゃんの動きが、俺のくしゃみと同時にピタリと止まる。
「あ、その…」
「え、あ…」
チアキちゃんは慌てて侵入させていた手を抜く。
「す、すまない!私としたこどがこんな…!」
我に帰った、というべきか。
「いや、俺こそ、ちゃんと断れなくて…」
「…ううん。」
これで一安心だ。


「寒いし、今日は帰ろ?」
「…うん」
チアキちゃんは素直に立ち上がった。
俺も立ち上がり、チャックをしめた。
俺はチアキちゃんに手を差し伸べた。
「家まで送るよ。」

633:名無しさん@ピンキー
07/12/27 16:39:15 aZA7Wzzq
俺とチアキちゃんは、しっかりと手を繋いで歩く。

「…、それで、話…はなんだったんだ?」
「ああ…」
すっかり忘れてしまっていた。
「わかった。話すよ。」
チアキちゃんは何かを覚悟しているようだ。鋭いな。
「俺がチアキちゃんを呼んだのは、俺の事を諦めてもらうためだったんだ。」
「え…あき、らめる?」
チアキちゃんの声が震える。
「うん。最初はね。でも、チアキちゃんの『熱烈なアプローチ』を受けたら考えが変わったよ。」
「え…」
「チアキちゃんの想いは僕が思っていた以上に真剣だった。蔑ろにはできないよ。」
「それじゃあ!」
「けど、だからといってチアキちゃんてつき合えるわけじゃない。」
「…じゃあ。じゃあ、どうしてくれるって言うんだよー!」
俺はあくまでも冷静に答えた。
「さっきの条件、飲もうか。」


634:名無しさん@ピンキー
07/12/27 16:40:33 aZA7Wzzq
\(^o^)/

635:名無しさん@ピンキー
07/12/27 18:41:16 VuZFohrv
おいいいいいいいいいいいいふじおかあああああああああああああ

636:名無しさん@ピンキー
07/12/27 18:49:17 y3ztTDZS
うぅむ、感想は保留にさせてもらうかな。偉そうで悪いけど、今後の展開次第ってことで1つ。

637:名無しさん@ピンキー
07/12/27 19:18:44 KzslQa+S
藤岡………恐ろしい子。

638:名無しさん@ピンキー
07/12/27 19:23:11 p2OsJH2q
かなし~みの~むこう~へと~

639:名無しさん@ピンキー
07/12/27 19:45:34 hF0pzJHd
藤岡死ね→NICE(ry

640:妖
07/12/27 21:13:49 269aPsTm
インテル藤岡生きろ
ついでに         
インテル誠 生きろ
ニコ動見た奴には分かる

641:名無しさん@ピンキー
07/12/27 21:41:40 aZA7Wzzq
不評か…

642:妖
07/12/27 21:46:25 269aPsTm
>>641
内容はGJ
だが、終わり方が・・・・・
と言うわけで続き書いてくれ  (=●w●=)/頼む

643:名無しさん@ピンキー
07/12/27 22:00:50 v4Pd36bg
みなみけ見逃して嘆いている香具師に
URLリンク(rimo.tv)
こんなのどうぞ。
ようつべとか嫌いな香具師は無視してくれ

644:名無しさん@ピンキー
07/12/27 22:03:20 v4Pd36bg
すまん
sage忘れてしまった

645:名無しさん@ピンキー
07/12/27 22:03:53 y3ztTDZS
>>641
いや、出来が酷いとかじゃないんだ。
むしろこれからの展開が気になるぐらいだから、是非続きを読みたいところ。

646:名無しさん@ピンキー
07/12/27 22:21:03 rGBgjchp
>>616-
おお藤カナパートだ!うむ、この後が非常に楽しみな流れですな。寸止め失敗がカナらしいwあと専ブラ導入おめでとう

>>626-
藤岡ーーー?!千秋だけかと思ったら藤岡まで暴走しだしたーーーーーー!しかし条件を飲むと言ってもある意味飲んだも同然のはずだろ?何するんだ?

647:この野郎
07/12/27 22:44:36 chh6p9WE
藤岡許すまじ!!w(゚Д゚)


上手いこと書き込めていて一安心です。
コメントくれた方々ありがとうございます(´-`).。oO(今夜も頑張る)

648:この野郎
07/12/28 00:46:49 41+ijnpN
>>617

カナの寸止めは見事失敗し唇が触れた瞬間、二人は驚いて目を開き、その際に目が合ってしまった。
非常に気まずいこの事態を打開すべくカナの頭はフル回転した。

(お、落ち着けカナ!ここで取り乱したりしたら藤岡の思うつぼだ!……まさかココまでが奴の作戦だったのか?!
 藤岡…敵ながらあっぱれな男よ…だが私にも考えがある…この天才策士カナに不可能はない!)

と、カナの頭はおかしな方向へフル回転した…その間約10秒。
そしてカナはゆっくりと唇を離し、藤岡に覆いかぶさりながら、顔の横に自分の頭を置いた。

「あ…危なかったな藤岡。私が本気だったなら、お前の頭は今のヘッドバッドで真っ二つだったぞ。」
「…えっ?!ヘッドバッド?」

10秒間もキスをしたにも関わらず、ヘッドバッド……藤岡はその言葉を聞いて驚いた。

(こういう時はどう言ったらいいんだろう…結構長いことキスしてたよな…でも南はごまかそうとしてるし…)

(あれー…なんだろうねこの空気は……すごーく重いよ…まさか藤岡気づいてたのか…?)

それぞれ考えること約1分、カナは耐えきれなくなって口を開いた。

「えーっと…。その、すこーし…ほんの少し触れた…かな?」
「あっと…そ、そうだね!少し触れたかも知れない!」
「そっかそっか、でも3秒ルールで大丈夫だよな?」
「…3秒ルール?」
「そ、そうだ!3秒以内のキスは…キスにカウントされず無効化されるシステムなんだ。」

カナの無茶苦茶なルール…そもそもどう考えても3秒は超えていたが、
この気まずい雰囲気から逃れるために、藤岡は何も言わずうなずいた。

(顔が熱い……そうか、南とキスしたのもあるけど、今も体は密着してて…南が耳元話すから息も…
 それにしても柔らかかったなぁ…南の唇……)


「なぁ、藤岡。…どう……だった?」
「え?どうって…?!」
「だ、だから!その…無効化されたとは言え、少しでも触れただろ?その、私とのキスはどうだった?」
「…それは……柔らかくて気持ち良かった…今でも体に柔らかい南の感覚が残ってるって言うか…」
「そそそ…そうか!そうだろう!私の唇にかかれば藤岡もイチコロだな。」
「…アハハッ、そうだね。南にキスされちゃ俺なんてイチコロだよ…。」

藤岡の余裕の返答にカナは焦った。
(まずい、このままでは…完全に藤岡のペースになってしまう…)

「いや、藤岡。お前の唇もなかなかのもんだったぞ。」
「…?どういうこと?」
「その…唇を通して体中が今も気持ちいと言うか…まぁ難しい事は藤岡にはわかるまい!」

何とか意地を張りとおしたカナ。
そんな必死のカナを見て、藤岡はカナが愛おしく思えて仕方なかった。
そして藤岡は、カナの頭を撫でようとした。




649:この野郎
07/12/28 00:47:22 41+ijnpN



しかし頭を撫でようとした藤岡の腕は何かに挟まって動かなかった。
藤岡はカナが勢いよく倒れこんだ時、とっさに手でガードしたらしく体と体の間に手が挟まっていた。

「南、ちょっとごめん。」

そう言って藤岡は手を抜こうとした。

「…きゃっ!……わっ……どどど…どういうつもりだ藤岡?!」
「えっと…どうって、手を抜くだけで……」

…藤岡が手元に目をやると、その両手はがっちりとカナの胸をつかんでいた。
藤岡は慌てて胸から手を離し、その場で謝り続けた。

「ご…ごめん!これはその、事故って言うか…えっと…」
「……………」
「?……南?」

魂が抜けたような顔で天を見つめるカナ。

「私は……」

そしてしばらくするとスクッと立ち上がり、頭を抱えて床を転げ回り始めた。

「うわー!私は何をしているんだ!!あまつさえ寸止めを失敗しキスをしたと言うのに!!」
「み…南、落ち着いて!」
「今度は胸を揉まれて、『唇通して体中が気持ちい』とか言っちゃったよ!」
「ちょっ…そんな大声で…みんなに聞こえちゃうから!」
「なんなんだ私は?!欲求不満なのか?藤岡の体を求めているのか?!うわぁぁー!!!」

その後、約5分間転げ回ったカナは、恥ずかしさの余り隠れる場所を求め部屋を飛び出した。

最初にたどり着いたのは居間だった。

「ト・・・トウマ!タケル!助けてく……」

しかしそこでカナが見たのは、トウマとタケルがキスをしている現場だった。
カナは自分に、『これは幻覚だ!』と言い聞かせ、内田のいる千秋の部屋に向かった。

「千秋、内田!部屋で私をかくまってく……」

『…くちゅっ……ねぇ、マコト君…これ…気持ちいい?…ねぇ。』
『…き…気持ち良すぎる……かも…。』


ここでも聞こえてくるのは内田の声と、千秋では無くマコトの何やら喘ぎ声の様なもの…
しかも風呂場で自分が藤岡に口でした、あのイヤラシイ音まで聞こえる・・・
『これは幻聴だ……』カナはそう信じ、誰もいないトイレで一夜を過ごす決心をした。
…しかしトイレの扉は閉まっており、中から声が聞こえてくる……

『だめ……あっ!…出てくる液が…少しも止まらない…んんっ…それに体が熱い…』

トイレから聞こえてくるのはまぎれもなく千秋の声だった……
あまりの事にその場に座りこんだカナは、体を引きずり、残るハルカの部屋へ向かった。





650:この野郎
07/12/28 00:47:52 41+ijnpN

「は・・・ハルカ……助け…助けてくr……」

そう言いながら扉に手をかけたカナだったが、ふとあることを考えていた。

(待てよ…あのトウマがキスをしてて…千秋はトイレで……内田とマコトは……
 じゃあ中学通り越して高校のハルカはあんな事やこんな事…!!)

そんな事を考えてると頭がフラフラし、よろよろ歩き廊下でカナは倒れこんだ。

次の日目が覚めるとカナは藤岡に付き添われ、ベッドで寝ていた。
どうやら、あの後すぐ倒れる音に気づいた藤岡が見つけて運んでくれたらしい。

「わ…悪いな藤岡…。」
「そんな、もとはと言えば俺が悪いんだし、…でもビックリしたよ。 アハハッ…」
「…どうした?藤岡、お前少し変だぞ?」
「えぇ?!そ…そんな事…あっ、俺トウマと朝連しながら帰るから!じゃぁまた月曜学校で!」

そう言うと藤岡はトウマを連れ、いそいそ先に帰ってしまった。
カナは朝食を食べるため居間へ向かった。

「やぁ、みんなおはよう。」
「何がおはようだバカ野郎。お前藤岡と一緒にいたみたいだけど何かしたのか?ご飯も食べず急いで帰っちゃったぞ。」
「えぇー…別にこれと言って何も……」
「そうか。ところでバカ野郎、お前パジャマもろくに着れないのか?」
「え?」

カナがパジャマを見てみると、ボタンを一つずつかけ間違えていた。
それをみたカナが不思議そうな顔をした。

「ホントだ…でもおっかしいなぁ…私、パジャマはボタン外したりしないんだけど…??」

それを聞いて、カナ以外の皆はピンときた。
カナが言ったことが本当なら…ボタンが一度全部外され誰かが着せた…部屋には藤岡だけ……
すると内田、カナ、ハルカ、マコちゃんは不気味にほほ笑んだ。

「な…なんだお前らボタンくらいでニヤニヤして!!気持ち悪いぞ!!」

しかしそんな中、笑っていない男が一人そうタケル(自称南家の番犬)だ。

「カナちゃん!駄目だよ!!男女が一緒に寝るなんて!彼もしばらく出入り禁止にしなくちゃ!」

タケルは何やら誇らしげにやりきった顔をしている。
しかし、周りの視線は冷たくタケルに突き刺さった。

「おい、タケル。お前昨日トウマとキスしてたな。」
「あ、それなら私も見たぞ。おでこをひっつけてるだけかと思ってたけど…やっぱり。」
「あー!!じゃあ私が見た、トウマを布団に入れてモゾモゾさせてたのって…フェ……」

「ちょっと待って!ちがっ…それは…!」
「おじさん?……帰ってください。」
「ちょっと…ハルカちゃんまで!……ちょっ…イタタッ!!」


その後、ハルカにつまみ出されたタケルの出入り禁止が解けるのは、3ヵ月あとだった。



終。

651:名無しさん@ピンキー
07/12/28 01:01:35 4fABCPo2
ちょッッッΣ( ̄□ ̄)!!
フジオカ!!何やってん??
とりあえず、
GJ!!&お疲れ様でした!!

652:名無しさん@ピンキー
07/12/28 01:06:18 WteZk/Zu
お、おい、続きかけよ!!!!!

653:名無しさん@ピンキー
07/12/28 01:27:13 +jemW0HW
黒マコトのSSが見たいオレは…

654:名無しさん@ピンキー
07/12/28 01:47:22 s2dpVLsj
続き続き!GJ続き

655:この野郎
07/12/28 02:51:08 41+ijnpN
× すると内田、カナ、ハルカ、マコちゃんは不気味にほほ笑んだ。
○ すると内田、千秋、ハルカ、マコちゃんは不気味にほほ笑んだ。

最後まで失敗してましたね。orz 
最後までコメントくれた方々ありがとうございました(゚Д゚)ノ

明日からは、以前ニコニコで歌を聴いて、ついカッとなって書いたメルトの続きを書くので、
暇つぶしにでも見てください。orz

メルト
>>390-391 >>423-425 >>440-441

656:名無しさん@ピンキー
07/12/28 05:37:33 1PXlPTzc
>>653
黒マコちゃんならこんな感じだな
Stage1.トウマ ラッキースケベからお互いの倒錯的な性を意識しちゃって、ちゅっちゅな展開→黒覚醒
Stage2.内田 性に目覚めたマコトはまず手始めに内田を標的にする。
        夢見がちな内田はマコトに見つめられて告白されると、そのまま流されて…。
Stage2.5  初めての3P
Stage3.カナ マコトの豹変ぶりに興味を持ってからかってみるも、アホの子策に溺れる
Stage4.ハルカ スケコマシを極めたマコトは、マコちゃんのままハルカにじゃれつきイチャイチャ。
        年下の女の子に甘えられて悪い気のしないハルカ。ふと気づくとあれマコちゃんの股間に違和感が。
Stage5.千秋 最近様子のおかしい二人の姉を問い詰めるも…。


ここまで妄想できるのに筆を起こせる文才がないじぶーん。職人さんの降臨を待つお(´・ω・`)

657:名無しさん@ピンキー
07/12/28 05:49:42 LA1epWbZ
この野郎氏GJ!
なんとなく最後は駆け足のような気もするけど、まずは完結に乾杯。


黒マコちゃんか・・・ハルカ姉様の油断に乗じて毒牙を・・・は無理ありすぎだろうな。
「お姉さんが教えてあげる」的に状況に引きずられてズルズル深入り・・・しかイメージできないな。

658:名無しさん@ピンキー
07/12/28 12:49:28 X7DYg+WB
そろそろトウマがでてもいいじゃないか!

659:名無しさん@ピンキー
07/12/28 19:34:44 vTkhFDLO
リコだろ………………………………………

660:名無しさん@ピンキー
07/12/28 21:44:44 INng3XPJ
>>650
終了ですか、お疲れ様でした。ニヤニヤじゃなくていやいやいいもの読ませていただきました。藤カナもさることながらマコ内の行方も気になりますな
しかし藤岡、寝ているカナになにをした?

661:名無しさん@ピンキー
07/12/28 22:09:34 GnVbNsPc
>>659
そういや、過去にリコものってあったっけ?
なかったはずだが、記憶違いであってほしいぜ。

662:名無しさん@ピンキー
07/12/28 22:41:08 vTkhFDLO
リコみたことない……あんなに可愛いのに……
いいよ誰も手出さないなら俺が愛でるよ

663:名無しさん@ピンキー
07/12/28 22:59:45 sSNKy1Pg
吉野×内田書いてるんだけど、投稿してよろしいですかね?

664:名無しさん@ピンキー
07/12/28 23:06:11 DJe5QlxQ
>>663
さあ頼むよ!

665:名無しさん@ピンキー
07/12/28 23:09:26 GnVbNsPc
>>662
それは文章で愛を表現すると解釈してもいいのかな? だったら、wktkして待ってよう。

666:名無しさん@ピンキー
07/12/28 23:27:01 hdv1UvMX
てかリコってどんなんだっけ

667:名無しさん@ピンキー
07/12/28 23:37:01 IEfDrfYa
ほくろのある子

668:この野郎
07/12/29 01:47:05 W3NsfFpD
メルト
>>390-391 >>423-425 >>440-441

千秋の日記。

南家クリスマスパーティーは大賑わいで開催されていた。
トウマの奴は、今日もずうずうしく藤岡の……私の特等席に座っている。
トウマが座る前に座ろうと思えば座れた……でも遊園地のデート以来、藤岡を以前より意識している私は、
今までの様に座るのが恥ずかしく、指を咥えて見ていることしか出来なかった。

(いいんだ今は……このパーティーをきっかけに、藤岡と前みたいに戻るんだ…。)

…しかし夜の8時が近づき、昼から始まったパーティーも終わろうとしていた。
一人帰り…二人帰り……気がつけば残りの客はトウマと藤岡だけになっていた。
結局トウマはずっと私の特等席に…おそらく二人は、サッカーの話でもしながら一緒に帰るのだろう。
そう思うと、今日一日藤岡を独占していたトウマに怒りすら覚えた。

「さぁーて、藤岡。そろそろ俺達も帰るか。」
「んー…悪いトウマ、今日は先に帰っててくれないか?」
「え?うん、まぁいいけど。じゃあな!」

そう言うとトウマは一人で家に帰った。
予想外だ…どうして藤岡は残ったんだ?やっぱりカナと一緒にいたいのか?
そんな事を考えてると、いつの間にか藤岡が居間から消えていた。

「おい、カナ。藤岡はどこへ行った?帰っちゃったのか?」
「あー、なんか珍しくハルカが部屋に連れていったぞ。」
「ハルカ姉様が…?」

確かに珍しい…いったい何を話してるんだろう……
しかし気になって居間から覗いて見ても、見えるのはハルカ姉様と藤岡の後姿だけだ。
しばらくすると、ニコニコしたハルカ姉様と、緊張したような顔の藤岡が戻ってきた。
そして、良く分からないが藤岡が私の方をずっと見ている…

「千秋ちゃん、ちょっとこっちに来てくれるかな?」
「ん…なんだ藤岡?」

そう言われ私が藤岡に近づくと、藤岡は簡単に私を持ち上げ特等席に座らせた。

「な…なにするんだいきなり!!」
「えっと、千秋ちゃんが座ってなかったら寒いって言うか…ここが千秋ちゃん席だし……」
「そ、そんな事言っても…さっきまではトウマが座ってたじゃないか!」
「その…ごめんね、千秋ちゃん。」

(何故藤岡が謝ったんだろう…勝手にやきもち妬いて怒ったりしたのは私なのに……)

そう考えると、私は藤岡に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「いや…いいんだ。悪いのは私だし……えっと…ごめんなさい。」

なんだか心の中がすっきりした気分だ。清々しいって言うのはこう言う事か。
私は藤岡にもたれ掛りながら、久々の特等席で話をしたりテレビを見たりしていた。
遊園地での話に夢中になっていると、あっという間に10時を過ぎていた。




669:この野郎
07/12/29 01:47:58 W3NsfFpD


藤岡の日記

南にクリスマスパーティーに呼ばれ、イブの夜を南家で過ごすことになった。
このパーティーでオレがしなくてはいけない事は2つ!
まず一つは、サンタクロースに扮し作戦を成功させること!
そしてもう一つ、千秋ちゃんとのギクシャクした関係を修復することだ。

…とは言っても、あの日以来千秋ちゃんを「妹の様な存在」ではなく「女の子」と意識してしまって、
なかなか上手く話せないと言うか…どう接したらいいのか……
顔を見るだけで緊張して、まるで少し前までの、南と話したりする様な感じだ。

今日もオレの前には、千秋ちゃんではなくトウマが座っていた。
トウマはサッカーもやっていて、話も合うし楽しいんだけど…やっぱり気になるのは千秋ちゃんだ。
いつもトウマと話していると機嫌が悪くなり…今日もご機嫌斜めのようだ。

夜も8時になり、パーティーも終りが近づいていた。
気がつけば、残っている客はオレとトウマの二人だけだった。

「さぁーて、藤岡。そろそろ俺達も帰るか。」
「んー…悪いトウマ、今日は先に帰っててくれないか?」
「え?うん、まぁいいけど。じゃあな!」

この後サンタ役をするオレは、そう言ってオレはトウマの誘いを断った。
千秋ちゃんが寝るのは10時頃らしいので、皆でテレビを見ることにした。
テレビを見ているとオレはハルカさんに肩を叩かれ、話があるらしく他の部屋に連れていかれた。

「ねぇ、藤岡君。最近千秋の様子がおかしい事気づいてた?」
「はぃ。…えっと、遊園地に行ってから、なんかオレ避けられてるみたいで…」
「…フフッ。それは違うと思うよ…。私はね、千秋は照れてるんだと思うの。」
「え?でも、前までは普通に一緒に座ってテレビ見たりしてたのに最近は…やっぱり嫌われて……」

話している途中に、ハルカさんは何かに気づいたのか、少し居間の方に目をやった。

「でも千秋…さっき居間から心配そうにこっち見てたよ?」
「…え?」
「千秋はね、藤岡君と遊園地に行って、きっと今まで以上に藤岡君の事が好きになっちゃったのよ。」
「………」
「だから恥ずかしくて…藤岡君と話とかしたいけど、どうしたら良いのか分らないんじゃないかな…」

さすが高校生と言った感じか…説得力と言うか…確かにそんな気がしてきた。

「ハルカさんはそんな事まで分るなんて凄いです…。さすがは年上と言うか……」
「藤岡君だって千秋からすれば年上のお兄さんなんだから、しっかりリードしてあげなくちゃ…ねっ!」

そう言うと、ハルカさんはいつも通りニコニコしながら居間へ戻った。
今思えば、この時すでにハルカさんは、千秋ちゃんだけでなくオレの気持ちまで気づいていたのかもしれない。

居間に戻ったオレは、緊張しながらも千秋ちゃんを呼んで前に座らせた。
トウマを座らせていた事を怒られたが、謝るとすぐに許してもらえた。

その後は千秋ちゃんも上機嫌で、一緒にテレビを見たり話をしたりしていた。
遊園地の事などを話していると、あっと言う間に時間は10時をまわっていた。



670:名無しさん@ピンキー
07/12/29 05:13:42 0xs9I80K
さて、気まずい状態から立ち直った後どうなるのかwktk。
また寝るつもりなのに変にテンションが上がっちまったから困るw

671:名無しさん@ピンキー
07/12/29 17:59:10 ELMMu4wW
いいぞもっとやれ。いや、やってください。

672:名無しさん@ピンキー
07/12/29 23:35:27 UNiq1mEf
うん、すごくたのしみっす

673:この野郎
07/12/29 23:39:27 W3NsfFpD
千秋の日記


夜10時…いつもならそろそろ眠くなる時間だが、今日は藤岡がいるせいか眠くならなかった。
ハルカ姉さまは「パーティーの後片付けがあるから」と言って台所へ行き、
いつもなら私が手伝うのだが、今日は何故かハルカ姉さまはカナを連れて行った。
居間で藤岡と二人になり、さらに遊園地の話は盛り上がりをみせた。

「藤岡はジェットコースターが怖かったんじゃないか?」
「え?そんな事無いよ?」
「だって私が先に乗り場の階段を上がって、藤岡を呼んだのにお前なかなか来なかったじゃないか!」
「そ…そうだっけ?」
「そうだよ!ずーっとうつむいたまま上がって来ないから、私が降りて引っ張って行ったじゃないか。」
「あー、そう言えばそうだったね!…アハハ。」

藤岡は恥ずかしかったのか、顔を少し赤くしながら笑っていた。
そしてその後、藤岡が私に反撃を仕掛けてきた。

「そう言う千秋ちゃんだって、最後に入ったお化け屋敷が怖かったんでしょ?」
「ば…ばかっ!私はお化けなんて怖くないよ!」
「でも中では珍しく悲鳴あげて、ずっとひっついてたのは誰だったかな?」
「それは…うぅっ……」
「それにお化け屋敷から出たら、凄く涙目で泣きそうになってたよ?」
「う……うるさーい!!」

藤岡は少し意地悪そうに笑いながら話してきた……よかった、気付かれていなかったらしい。
本当は怖くなんてなかったんだ。ただもっとひっつきたかったから、驚いたふりをしただけ…
それに、最後泣きそうになったのは…もう帰らなくちゃと思ったからだ。
でも藤岡には少しもばれてなかったらしい…。



674:この野郎
07/12/29 23:40:29 W3NsfFpD
「…それじゃあ一番楽しかったアトラクションは何だ?」
「う~ん…そうだなぁ、やっぱりメリーゴーランドかな。」
「ぇっ?メリーゴーランドって、藤岡は乗ってなかったじゃないか。」

そう、確かにあの時藤岡は「少し疲れたからベンチに座って待ってる」と言って、
メリーゴーランドには乗っていなかった。

「うん、でも千秋ちゃんがメリーゴーランドから降りた時、オレのこと探してたでしょ?」
「えーっと…確か乗った場所と違うところで止まったから、藤岡がどこにいるか分からなくなったんだ。」
「その時にオレを見つけて、手を振りながら笑顔で走ってきた千秋ちゃんはすごく可愛かったよ。」
「……なっ…そ、そんなの乗り物なんて関係ないじゃないか!バカ野郎!!」
「あははっ、ごめんごめん。でも本当にそれが一番思い出に残ってるから。」

そう言って、藤岡の奴は謝りながら笑っていた。
確かにあの時は雨も上がって元気だったとは言え…私はそんなに楽しそうにしていただろうか…。
私は恥ずかしくなって、藤岡から少し目をそらした。

「えっと…あの、千秋ちゃん?…怒ってる?」
「…いや、別に怒ってないよ。」
「あっ!そうだ、これオレからクリスマスプレゼント!」

藤岡はそう言うと、ポケットの中を探り紙切れを取り出した。

「これ…新聞の集金の時にもらったやつなんだけどさ……」
「……水族館の招待状?」
「そう!もしよかったら来週の日曜日でも一緒に行かな…」
「行くっ!絶対いくよ!……あっ…」

私は嬉しすぎて、藤岡が話し終わる前に答えてしまった。
それによく考えてみれば、カナはともかくハルカ姉さまは用事があるかも知れない。

「えっと、私は大丈夫なんだが…ハルカ姉さまは用事がないのか聞いてみるよ。」

そう言って私は台所へ向かおうとした。

「あっ、千秋ちゃん!」
「ん?なんだ?」
「その…水族館のチケットって二枚しかないんだよね…」
「えーっと…それって……つまり…」
「うん。遊園地の時みたいに、オレと千秋ちゃんの二人で行かない?って意味なんだけど…。」

私の思考回路は完全にストップしてしまった。
二人っきりのお出かけなんて、遊園地が最初で最後と思っていたのに…
こんな最高のクリスマスプレゼントが……

「……ち…・ゃん?……千秋ちゃん?」
「…あっ!…えっと、悪い…ボーっとしてた。」
「その…無理にとは言わないけど…」
「え?!行く!行くよ!行くに決まってるだろ!」
「…? 良かった。じゃあ前と同じ時間に同じ場所で。」

藤岡がそう言ったとほぼ同時に、カナが台所からやってきた。
そして、藤岡の耳元で何か言ったと思うと、藤岡は時計を見て「そろそろ帰る」と言いだした。
確かに時計を見ると、すでに11時前だった。
カナは何故か藤岡を連れて一緒に外へ出て行った。

その直後ハルカ姉さまがやってきて、そろそろ寝なさいと言った。
…そして私は思い出した。今日がクリスマスと言う事を。
11時…毎年サンタに扮したタケルがやってくる時間だ。
私はハルカ姉さまを困らさないためにもベッドに入ることにした。

675:名無しさん@ピンキー
07/12/29 23:56:11 1AxFFxtb
wktk

676:名無しさん@ピンキー
07/12/30 00:04:23 60HFyx+k
チアキかわいい

677:この野郎
07/12/30 00:19:33 wyg5BC5c

藤岡の日記


夜10時…南の話では、そろそろ千秋ちゃんは寝る頃なのだが…そんな様子は無かった。
ハルカさんは気を使ったのか、今日は珍しく千秋ちゃんではなく南を手伝いに連れて行った。
千秋ちゃんはそれを見て、少し不思議そうな顔をしながらも、遊園地の話を続けた。

「藤岡はジェットコースターが怖かったんじゃないか?」
「え?そんな事無いよ?」
「だって私が先に乗り場の階段を上がって、藤岡を呼んだのにお前なかなか来なかったじゃないか!」
「そ…そうだっけ?」
「そうだよ!ずーっとうつむいたまま上がって来ないから、私が降りて引っ張って行ったじゃないか。」
「あー、そう言えばそうだったね!…アハハ。」

オレはとりあえず笑ってごまかした。…助かった。
本当はジェットコースターが怖かったわけじゃなく、あの時千秋ちゃんは先に上にあがった訳なんだけど、
…その……短いスカートだったので、呼ばれて上を向いたら…下着が見えてしまったのだ。
それで上が向けなかったんだけど…どうやら千秋ちゃんは気づいてないらしい。
オレはとりあえず話を変える事にした。

「そ、そう言う千秋ちゃんだって、最後に入ったお化け屋敷が怖かったんでしょ?」
「ば…ばかっ!私はお化けなんて怖くないよ!」
「でも中では珍しく悲鳴あげて、ずっとひっついてたのは誰だったかな?」
「それは…うぅっ……」
「それにお化け屋敷から出たら、凄く涙目で泣きそうになってたよ?」
「う……うるさーい!!」

千秋ちゃんは顔を真っ赤にして必死に反論してきた。
よっぽどお化け屋敷が怖かったんだろう…普段はクールなのに、お化けが弱点なんて…本当に可愛い。
でも、これ以上は本当に怒られそうなので、これ以上お化けの話はやめることにした。

「それじゃあ…千秋ちゃんが一番楽しかったアトラクションは?」
「うーん…そうだなぁ…観覧車かな。」
「観覧車?…結構意外だなぁ…」

オレはてっきりジェットコースターやメリーゴーランドと答えると思っていた。

「どうして観覧者なの?」
「だって15分くらいの間、藤岡と二人でいっぱい話ができただろ?」
「……あははっ…そ、そうだね!」

千秋ちゃんはサラッと言ったが、オレはそれを聞いて内心ドキドキした。
なんて言うか…嬉しいって言うか…顔が熱い。
とにかく話を終わらせよう…そう思い、オレは話を続けた。

「そう言えば観覧者と言えば、千秋ちゃんが膝の上に乗るもんだからゴンドラが傾いてたよね。」
「仕方ないだろ?ここが私の席なんだから!」
「そうそう、それと同じ事を降り場のおじさんにも言ったんだよね。」
「『片方に寄ると危ないよ』って言ってきたから、膝の上が私の特等席なんだ!って言ってやったんだ。」
「それで、おじさん苦笑いしながらオレと千秋ちゃんの方見て……」

「そう、藤岡と私を見て、『仲のいいカップルだね』…って言ったんだよね。」

話が終わるどころか、ますますおかしな方へ話は進んでしまった。



678:この野郎
07/12/30 00:20:17 wyg5BC5c

オレは、慌てて

「あはは、本当にまいっちゃうよね!」

などと言ってしまった。

すると、千秋ちゃんは機嫌をそこねたのか目を逸らしてしまった。
慌てたオレはポケットから水族館の招待券を取り出した。

「えっと…あの、千秋ちゃん?…怒ってる?」
「…いや、別に怒ってないよ。」
「あの、これオレからクリスマスプレゼント!」

いきなりだったので千秋ちゃんは少しキョトンとしてしまった。

「これ…新聞の集金の時にもらったやつなんだけどさ……」
「……水族館の招待状?」
「そう!もしよかったら来週の日曜日でも一緒に行かな…」
「行くっ!絶対いくよ!」

どうやら喜んでくれたらしい…オレはとりあえずホッとしていた。
すると、千秋ちゃんは立ち上がり、ハルカさんのスケジュールを聞きに行こうとした。
オレは慌てて千秋ちゃんを呼びとめた。

「あっ、千秋ちゃん!」
「ん?なんだ?」
「その…水族館のチケットって二枚しかないんだよね…」
「えーっと…それって……つまり…」
「うん。遊園地の時みたいに、オレと千秋ちゃんの二人で行かない?って事なんだけど…。」

千秋ちゃんの動きが止まった…と言うか時間が止まった感じだ。
1分程返答がなかったので、オレは勇気を出して返事を聞いてみることにした。


「千秋ちゃん?……千秋ちゃん?」
「…あっ!…えっと、悪い…ボーっとしてた。」
「その…無理にとは言わないけど…」
「え?!行く!行くよ!行くに決まってるだろ!」
「…? 良かった。じゃあ前と同じ時間に同じ場所で。」

オレがそう言ったとほぼ同時に南が来て、オレは外に連れ出された。

「藤岡、お前がいちゃ千秋の奴がなかなか寝ないんだ。」
「あっ…そっか、もう11時前だったのか。」
「いまハルカが千秋をベッドに誘導してるから、お前はこのサンタの衣装を着ておくんだ。」
「うん、わかった!」

そう言って、オレはサンタの衣装を身にまとい、千秋ちゃんが寝るのを待った。



679:この野郎
07/12/30 00:24:50 wyg5BC5c
コメントやwktksていただきありがとうございます。orz


二人の日記と言う事なので、内容が微妙に違うのは仕様なので、
よろしくお願いします。(゚Д゚)

680:名無しさん@ピンキー
07/12/30 00:36:34 p/tKZr+B
>>679
( ;∀;)イイハナシダナーこの野郎。乙だこの野郎。
続きwktkしてますこの野郎。

681:この野郎
07/12/30 01:12:02 wyg5BC5c

千秋の日記

「それじゃあ千秋、オヤスミなさい。」
「はぃ。おやすみなさい。ハルカ姉さま。」

ハルカ姉さまに寝るように言われ、私は自分の部屋へ向かった。
そして扉を閉めて、しばらく藤岡にもらった水族館の招待状をながめていた。
私は、扉をちゃんと閉めた事を確認すると、ベッドに飛び込み転げ回った。

「……嬉しい…嬉しい!!藤岡が私にだけくれた!藤岡は3姉妹の中で私を選んでくれたんだ!
水族館なんて言った事無いけど…藤岡となら楽しいに決まってる!」

私はベッドの上で転げ回りながら、時よりチケットを見てはニヤケ…また転がったりしていた。

しかしいつタケルサンタが入ってくるか分からない…
いったん落ち着いて、チケットを手帳などを置いている鍵付きの引出しに直し、電気を消しベッドに戻った。

しかしまだ胸がドキドキして眠ることが出来ない…私はしばらく布団の中で眠れずにいた。
すると、ハルカ姉さまが部屋の様子を見にきた…タケルが来るみたいだ。
とりあえず私は寝たふりをする事にした。

『ガチャ……ゴソゴソ…』

扉を開けてプレゼントらしき袋を置いていく音がする…毎年のことながら、タケルにはサンタの才能がない。
もしこんなのがサンタだったら、子供は物音に気づき、凄い確率でサンタは見つかってしまうだろう。
そんな事を考えながら私はタケルが部屋を出るのを待っていた。

…しかし一向に出ていく気配がない……と言うかずっと横に立っている?
私は少し気味が悪くなり、寝返りをうつふりをしてパンチをおみまいしてやった。

『……ドスッ!!』

我ながらなかなか良いパンチが入った。

「わっ…イテテッ……!!」

その声を聞いて私は驚いた……タケルの声じゃない。
私が少しだけ目を開けて横を見てみると、そこにはタケルより小さい…うずくまるサンタがいた。



682:この野郎
07/12/30 01:13:13 wyg5BC5c


「びっくりした……千秋ちゃん…起きてないよね……」
「うっ…うーん……スヤスヤ……」
「ふぅ…良かった。」

私は、とっさに寝たふりをしたが、その声…身体的特徴はまさに藤岡だった。
…しかし100%決まったわけじゃない。もしかしたら本物のサンタかも知れない……

「…あれ?さっきので髭がずれちゃった…付け直すか……(ぺりぺり)」

藤岡だ。交じりっ気なし、100%藤岡だ。

なんだ?!今日はタケルが来れなくて代わりに来たのか??訳が分からない。
その後、藤岡は髭も付けずにこっちをじっと見ている…ってか近づいている……?
えーっと…近づいてると言うか……藤岡の顔が目の前まで……

「千秋ちゃん…メリークリスマス…。」

そう言うと藤岡は私のほっぺに軽くキスをした。

落ち着け…落ち着け私!!…そう自分に言い聞かせながら、私は平静を装った。
しばらくすると藤岡サンタは髭を付け、部屋から出て行った。
部屋の外からはカナと藤岡の声が聞こえる…

「南、千秋ちゃんグッスリ寝てるみたいだけど・・・起こさなきゃだめなの?」
「当たり前だろ!千秋の夢を取り戻すため、お前を呼んだんだ!」
「…でも気持ちよさそうに寝てるし……」
「いいからもう一回行って千秋に顔を見られてから出てくるんだ!」

……そう言う事か…。つまり私が藤岡サンタを本当のサンタと間違えればいいんだな…。
すると藤岡サンタがもう一度部屋に入ってきた。
今度は咳ばらいをしながら足音も大きめだ…仕方なく私は演技をした。

「んんっ…あれ?……プレゼントが…・ん?」
「あ、メ…メリークリスマス!」

そう言って藤岡サンタは部屋を出て行った。
私は藤岡が家から脱出できるように、10秒数えてから深呼吸し部屋を飛び出した。

「ハ…ハルカ姉さま!今私の部屋にタケルではないサンタが!!」

その後、カナにも馬鹿にされたが、とりあえず藤岡の面目は保たれただろう。
私はそう思いながら、その夜キスをされた方のほっぺを触りながら考えていた。

「あのキスは…どういう意味なんだろう……」

プレゼントの中身はクマの人形だった。
私はそのクマにふじおかと名付けた。

683:この野郎
07/12/30 01:38:52 wyg5BC5c
藤岡の日記


玄関の外でオレはサンタの衣装を身にまとい、千秋ちゃんが寝るのを待っていた。
しばらくすると、南が出てきてOKサインを出し、オレは千秋ちゃんの部屋の前に連れて来られた。
南とハルカさんは、怪しまれないために居間でテレビを見ながら待機しているらしい。

それにしても、少しだけ顔を見られて逃げるなんて…そんな器用なこと出来るだろうか…
ともあれ千秋ちゃんの夢を取り戻すためにやるしかない!

『ガチャッ!……ガサガサ!!』

オレは、ドアのあける音を大きくしたり、プレゼントを置くときに音を鳴らしたりしてみた。
…しかし起きる気配はまったく無い。
千秋ちゃんが起きないので、しばらくそばで立ってみる…机の上には遊園地での写真が飾られていた。
そう言えば観覧者に乗る前に写真撮られて、それを千秋ちゃんにねだられたんだっけ…
一枚1000円と言うぼったくり価格だったけど…こうしてもらえるなら買って良かった…と言うか嬉しいな。

そんな事を考えながら突っ立っていると、寝返りをうった千秋ちゃんの手が、偶然にもオレの足を直撃した。

「わっ…イテテッ……!!」

しまった…思わず声を出してしまった……。
慌てて千秋ちゃんが寝ているか様子を見ると、寝息を立てて眠っていた。
オレは付けていた髭がずれてしまったので、一度外して付け直すことにした。

…それにしても可愛い寝顔だ。天使のような寝顔とはよく言ったものだ。
気がつくとオレは千秋ちゃんの唇に吸い込まれる様に顔を近づけていた。

しかし、寝ている千秋ちゃんの唇を奪うなんて…それはしてはいけない……
ぎりぎりで理性を失わずに我慢したオレは、
千秋ちゃんの耳元で『メリークリスマス』と言って、ほっぺにキスをした。

あまりにも幸せそうに寝ているので、起こすのが可哀そうになり、オレは一度部屋を出た。

「南、千秋ちゃんグッスリ寝てるみたいだけど・・・起こさなきゃだめなの?」
「当たり前だろ!千秋の夢を取り戻すため、お前を呼んだんだ!」
「…でも気持ちよさそうに寝てるし……」
「いいからもう一回行って千秋に顔を見られてから出てくるんだ!」

南にそう言われ、オレは千秋ちゃんの部屋にもう一度入ることになった。
今度は咳ばらいをしながら足音も大きめにしてみた。
ハッキリ言って、こんなサンタじゃすぐに子供に見つかるだろう…
そんな事を考えていると、いきなり千秋ちゃんが動き出した。

「んんっ…あれ?……プレゼントが…・ん?」

突然のことに、オレは慌てて作戦を実行した。

「あっ…メ…メリークリスマス!」

そしてオレは部屋を出た。
外に出ると、南が「でかした!」と言ってオレを外に連れ出した。
とりあえず千秋ちゃんは夢を取り戻せるらしい…
オレは満足しながら家に帰った。

684:この野郎
07/12/30 01:41:40 wyg5BC5c

今日はこの辺で!(゚Д゚)ノ

リアルタイムにコメくれた方々ありがとうございます!orz



685:名無しさん@ピンキー
07/12/30 02:04:17 X8ciElBY
この乙野郎が!!

686:名無しさん@ピンキー
07/12/30 04:20:35 EXXFMyUC
この野郎、眠れねぇじゃねぇかw

687:名無しさん@ピンキー
07/12/30 04:42:38 EXXFMyUC
細かい突っ込みウゼーって奴はスルーなりNGなりを推奨。





トウマと藤岡が出会って意気投合した後に、ふじおか登場じゃ時間系列乱れてないかい?
そんなことが頭によぎっても十分萌えられたけど。

688:名無しさん@ピンキー
07/12/30 11:48:00 i7rNibbt
乙かれ~何時も楽しみにしてるっす

689:この野郎
07/12/30 18:01:05 wyg5BC5c
コメントありがとうございます(゚Д゚)
その一言が描く意欲を湧かせてくれています。orz


>>687

アニメではトウマが先でふじおかは先週登場したばかりなので、
うっかりしていました。orz
そんな所に気づくほど見ていただいてありがとうございます(゚Д゚)ノ

690:この野郎
07/12/30 23:18:38 wyg5BC5c
千秋の日記


「…ちょ…ふじ……そんな……嫌じゃなぃけど…こころ……準備っ……」

『ハッ!!』

朝から良い……変な夢を見て私は飛び起きた。
カレンダーの今日の日付には、赤い丸が記されている…今日は約束の日曜日だ!
目覚ましは一応8時にセットしたけど、時計を見るとまだ7時……約束の時間は9時だ。

少し早いが私は支度をはじめた。
この日の為に用意した新しい服に、一番のお気に入りのスカート。
いつもはバッグなんて持ち歩かないけど、今日は肩から掛けるバッグも用意した。
中には髪をとかすクシと、お財布…それに昨日用意した手作りクッキーだ。

すべての準備を整えて、私は一度カガミの前に立ってみた。……うん、大丈夫!
朝食は食べようか迷ったが、お腹が出たりしたら嫌なのでヨーグルトだけ少し食べた。
時計を見ると時間は8時30分…少し早いが私は家を出ることにした。

「今日は、吉野の家で勉強会をしてきます。……っと。」

机の上にそう置手紙をして、私は家をでた。
別に嘘をつく事も無かったのだが、藤岡とデートと書くのは少し照れくさかった。

家を出ると外は恐ろしいほどに寒かった。
震えながら階段を降り、私はとりあえず体を温めるために駅まで走ることにした。

「あっ、千秋ちゃんおはよう。」
「えっ?」

待ち合わせの場所は駅なのに、何故かマンションを出た所で藤岡が待っていた。

「驚かそうとしてココで待ってたんだ。」
「待ってたって…何時からだよ!」
「うーん…8時前くらいかな…?」
「じゃあお前は30分以上もここに立ってたのか?!」
「うん、驚いた?」

全く驚いた。今日の朝の気温は1℃と天気予報で言っていたのに、
わざわざ私を驚かすために30分もこの寒い中待っていたなんて…
顔は笑ってはいるけど、藤岡は体中震えていた。

「驚いたって言うか…お前バカだろ!風邪ひいたらどうするんだよ!」
「ごめん…そうだね、今日は寒いから千秋ちゃんも風邪に気をつけないと。」
「…いゃ、私はいいんだけど…そのお前の体の事が心配…って言うか、その…」
「あっ!そうだコレ!」

そう言うと藤岡は私に手袋を取り出した。

「手袋…?」
「うん。すぐ使えるように袋とか取っちゃったけど…少し遅れのクリスマスプレゼント!」
「え?…でも私はもう水族館のチケットも貰ってるし……」
「あれは貰いものだったから…こっちが本当のクリスマスプレゼントって事で!」
「そ、そうか…その、あ…ありがとう。」

そう言って私は藤岡から手袋を受け取ろうとした。
しかしその時触れた藤岡の手は、凍っているのではないかと思うほど冷たかった。
私は慌ててその手袋を藤岡に突き返した。


691:この野郎
07/12/30 23:20:44 wyg5BC5c

「お前、すっごく手が冷たいじゃないか!その手袋はお前が使えよ!」
「…オレは大丈夫だから、それにせっかくのプレゼントだし、千秋ちゃんが使って……ねっ?」
「そんな事言っても…お前の方が寒いだろ……わかった、じゃあ半分ずつだ!それでいいだろ!」

そう言って私は左手に手袋を付け、右は藤岡に渡した。
藤岡は少し迷っていたが、私が強引に言うと申し訳なさそうに手袋を装着した。

「うん、これあったかいよ。ありがとう藤岡。」
「喜んでもらえて良かった…でもごめんね、千秋ちゃんの右手……」
「そんなの…こうすればいいだろ!」

そう言って私は藤岡の手を握り、駅へ向かい始めた。
恥ずかしくて顔なんて見れない…顔を合わせない様に、私は藤岡の手を引いて少し前を歩いた。
緊張のせいか、右手を通して体中が火照っていた。

「な…なぁ、藤岡。お前は水族館に行ったことがあるのか?」
「うーん…3回くらい行った事はあるかなぁ。 千秋ちゃんは初めてなの?」
「うん…。」

そう、私は水族館たるものに今まで行ったことが無かった。
風のうわさで魚などを見る場所と聞いた事はあるのだが、詳しい事は知らなかった。

「水族館ってのは魚とかがいるんだろ?」
「そう、大きい水槽にいろんな魚がいるんだよ。」
「大きいって…1mくらいか?」
「いやいや、もっと大きいよ!」
「じゃあ私の部屋の窓…2mくらいもあるのか?」
「うーん…それは着いてからのお楽しみかな。」

藤岡は少し笑いながら、そう言って詳しい事は教えてくれなかった。

そんな話をしているとあっという間に駅に到着した。
駅に着いてすぐ、藤岡は切符を買いに行った。
つないでいた手が離れた瞬間、右手は一気に冷たくなり、火照っていた体も冷めていった。

しかし、自動改札を通り切符を財布にしまうと、今度は藤岡が私の手を握った。
私の時とは違い、スムーズに何の迷いもなく……

「やっぱり手袋が無い方は手が冷たくなっちゃうね。」
「あ…あぁ…そうだな。私もそう思っていた所だよ。」
「ごめんね。この前の傘と言い…なんで二人分買ってこなかったんだろ…」

「……でも…こうしてると両方の手が温かいから別にいいよ…。」
「あははっ、そう言ってもらえると助かるよ。」
「…そ、その代り……絶対手を離すなよ!…その……寒くなるから…!」

そう言って私たちは電車に乗り込んだ。


692:この野郎
07/12/30 23:41:46 wyg5BC5c


今回は藤岡の日記は必要無いので、飛ばします(゚Д゚)ノ

693:名無しさん@ピンキー
07/12/31 03:48:00 p6S/Ztzz
>>692
(・∀・)千秋カワイイヨ千秋

694:名無しさん@ピンキー
07/12/31 09:01:06 g+bz2tKs
>>692
アニメじゃこの2人は3話しか絡まなかった(12話はサンタとしてだし)から、
その分の補充に最適なSSだぜ。ガッカリ感を忘れさせてくれる。

695:名無しさん@ピンキー
07/12/31 19:46:21 M3DyOHpV
明けましておめでとう、チアキちゃん。

696:名無しさん@ピンキー
07/12/31 19:55:46 C2VpQYd7
フライングだバカ野郎

697:この野郎
07/12/31 21:22:36 8bj6+AIW
よいお年をだバカ野郎!

698:この野郎
07/12/31 23:02:20 12PGc8mG
藤岡の日記

電車に乗ると、座る場所は満席だ。…まぁ快速電車だから仕方ない。
しかし千秋ちゃんは慌てた感じでオレに訪ねた。

「ふ…藤岡?!どういう事だ!この前はあんなに空いてたのに!」
「この前は普通電車だったからね。こっちは着くのが早い代わりに、乗る人が多いんだ。」
「…で、座る場所のない私たちはどうすればいいんだ?降りるのか?」
「え?どうするって…そりゃ立って乗るしかないかな。」

オレがそう言うと、千秋ちゃんは更に慌てだした。

「立ったまま電車が動くと言う事か?!」
「そうだけど…」
「そんな…揺れたりして転んだらどうするんだ……」

そうこうしている間に、扉は閉まり電車は動き出した。
揺れて危ないとは言え、手はつないでるし、手すりに掴まってれば問題ない。
しかし千秋ちゃんは本当に怖いらしく、手を強く握り手の平には汗を握っていた。

「え…えっと…千秋ちゃん?そんなに脅えなくても大丈夫だよ?」
「あ、あ…安心しろ藤岡…わ…私が付いているからな。」
「ぇ…?」

そう言うと千秋ちゃんは、オレの左腕にしがみ付いて真剣な顔をしていた。
結局その後、何を言っても千秋ちゃんの耳には入らず、電車は次の駅へと到着した。
その時客が一人降り、席が一つ空いた。 千秋ちゃんは、少し駆け足でその空き席へと向かった。

「おーぃ、藤岡!ここの席が空いたぞー!」
「うん、良かったね千秋ちゃん。」
「あぁ、…さぁ藤岡、早く座れ。」
「え?そんな、気にしないで千秋ちゃんが座ればいいよ!」

千秋ちゃんがこんなに気を使ってくれるなんて、オレは嬉しかった。
しかし千秋ちゃんは不思議と言うか…困った顔をしていた。

「お前…私の上に藤岡が乗っちゃったら重いだろ。」
「へっ?」

そう言うと千秋ちゃんは俺を席に座らせ、千秋ちゃんはオレの膝の上に座った。
どうやら別に気を使っていた訳では無いらしい。

オレは周りの客の、仲のいい兄弟を見る様な微笑ましい視線が痛かった…。
しかし上機嫌で鼻歌を歌っている千秋ちゃんに、「恥ずかしいから…」なんて事は言えなかった。
オレは周りの音をシャットダウンする様に、ボーっと宙を眺めていた。

そうこうしているうちに、次の駅へ到着した。
すると隣に座っていたおばさんが電車を降り、千秋ちゃんは隣の席へと移った。
恥ずかしかったので良かったのだが…少し意外と言うか……淋しい気もした。

「あの…千秋ちゃん、急にどうしたの?」
「え?…そりゃ……まぁ…んっと……ごにょごにょ……」
「…?」
「と…とにかく恥ずかしいだろ!」

なんだなんだ…オレは何か嫌われる様な事をしただろうか……
心配になって千秋ちゃんの方を見ると、顔を少し赤くしてこちらを見ていた。
怒ってる?…と思ったが、千秋ちゃんはオレの手を握り、周りに見えない様に背中の後ろに隠した。
(手を握ると言う事は怒ってないよな…)
しかし、その後千秋ちゃんは目的の駅に着くまで話すことはなかった。

699:この野郎
08/01/01 00:04:30 ecBrjc+k
千秋の日記

私は電車に乗って驚愕した……人が多すぎる。
この前乗った時はガラガラだったのに、これはどういう事だ?!
電車にほとんど乗った事の無い私は、慌てて藤岡に訪ねた。

「ふ…藤岡?!どういう事だ!この前はあんなに空いてたのに!」
「この前は普通電車だったからね。こっちは着くのが早い代わりに、乗る人が多いんだ。」
「…で、座る場所のない私たちはどうすればいいんだ?降りるのか?」
「え?どうするって…そりゃ立って乗るしかないかな。」

コイツはなんて恐ろしい事をサラっと言うんだ…揺れて転んだら危ないじゃないか!
それに、もし電車が何かにぶつかったりしたら、立っている私たちは飛んで行ってしまうじゃないか!
…そう思い、私はさらに藤岡に問い詰めた。

「立ったまま電車が動くと言う事か?!」
「そうだけど…」
「そんな…揺れたりして転んだらどうするんだ……」

しかし、私の決心は固まっていないと言うのに、電車の奴はピーっと言いながら出発した。
とにかく落ち着け…藤岡は吊革に捕まっているんだ、藤岡から離れなければ大丈夫……
私はそう思い、藤岡の手を強く握りしめた。

「え…えっと…千秋ちゃん?そんなに脅えなくても大丈夫だよ?」
「あ、あ…安心しろ藤岡…わ…私が付いているからな。」
「ぇ…?」

まったく藤岡の奴はのんきなものだ…私たちはいつ飛んで行ってしまうか分からないと言うのに…
そう思った瞬間、電車は右へ緩やかなカーブへさしかかった。
緩やかなカーブと言うのに、私の体は横へ大きく振られた。
私は恐ろしくなって、気がつくと藤岡の腕にしがみ付いていた。

ようやく次の駅に到着すると、席が一つ空いた。
私は少し駆け足でその席へ向かい、藤岡を呼んだ。

「おーぃ、藤岡!ここの席が空いたぞー!」
「うん、良かったね千秋ちゃん。」
「あぁ、…さぁ藤岡、早く座れ。」
「え?そんな、気にしないで千秋ちゃんが座ればいいよ!」





700:この野郎
08/01/01 00:05:16 ecBrjc+k


…どういう事だ?藤岡は私の上に座るつもりなのか…?
でもさすがに藤岡が上に座るのはおかしくないのか?
とりあえずどう言うつもりなのか藤岡に聞いてみることにした。

「お前…私の上に藤岡が乗っちゃったら重いだろ。」
「へっ?」

すると電車が再び動き出したので、私は慌てて藤岡を席へ座らせ、私も藤岡の膝の上へ座った。
どんなに電車が揺れようが、座っていれば安心だ!
私は元気を取り戻し、足をブラブラしながら学校で習った歌を口ずさんだりしていた。
しかし、藤岡の方を振り返って見ると、何故か遠くの世界に行っているような目をしていた。

私は不思議に思いながらも、歌の続きを歌い始めた。
すると、隣にいたおばさんが急に話しかけてきた。

「可愛いお嬢さんね。今日はデートかな?」
「…ひゃぃ?! デデデ…デートだなんて……」
「それにしても、かっこいい彼氏ねぇ。」
「か…彼氏?!…藤岡がですか?!」
「えぇ、お膝に座ってとっても仲が良いわね。」

そう言うとそのおばさんは電車を後にした。
そう言われると…なんだか周りが私達を見ているような…
藤岡を見るとまだ遠くを見ていた…私は恥ずかしくて席を隣に移った。
するとそれを見た藤岡がようやく動き、口を開いた。

「あの…千秋ちゃん、急にどうしたの?」
「え?…そりゃ……まぁ…んっと……ごにょごにょ……」
「…?」
「と…とにかく恥ずかしいだろ!」

どうやら藤岡は、おばさんと私の話を聞いていなかったらしい。
私はまた冷やかされないように、藤岡と握った手を後ろへ隠した。

(…でも、私たちって周りから見たら彼氏と彼女に見られてるんだ……)

そんな事を考えていると、顔が真っ赤になり、藤岡に悟られないように私はずっと下を向いていた。
そして、ようやく目的の駅へ到着した。



701:この野郎
08/01/01 00:07:23 ecBrjc+k
書いてる途中に年越した。orz

みんな、あけましておめでとう。
今年もよろしくお願いします。orz

702:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:36:54 19uSmJRD
新年一発目からGJです!!

703:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:50:51 Ds/lF8+A
チアキ、小5なのに快速の存在を知らないとはw

704: 【大吉】 【10円】
08/01/01 01:24:54 CP92HjIq
(゚д゚)あけおめ

705:名無しさん@ピンキー
08/01/01 01:52:30 hMkZILQi
原作で電車に乗る描写はなかったよな。
出掛けるときは大勢でクルマ。
設定上学校は近所(の割には私立っぽいが)

都会っ子でもいつも車を使う家の子供は
意外なほど電車の乗り方とか知らないようだぞ。

706:名無しさん@ピンキー
08/01/01 06:42:50 +jhgRvLj
あらためて明けましておめでとう、チアキちゃん。とリコ

707:名無しさん@ピンキー
08/01/01 15:41:03 Ix1EpXzE
家が近いからたまり場になってるんじゃね?
内田やマコトや冬馬の家も近所にある雰囲気だけどね

私立でも近所にあるから通っているのかもしれんし

708:名無しさん@ピンキー
08/01/01 16:05:12 hMkZILQi
つましく生活しているはずなのに
たまり場になっているせいで
「食費」「交際費」が家計を圧迫している南家(w

709:名無しさん@ピンキー
08/01/01 23:50:51 aBlbURpO
いいぞもっとやれ。いややってください。

710:ぶつ切り。家~さくりゃく~路
08/01/02 00:07:06 aBlbURpO
>>633
俺がそう言ったのは、決してチアキちゃんをモノにしようとするためではないんだ。
チアキちゃんが先の条件を提示してきたのは、俺と関係をもちたいからなのだろう。
しかしだ。俺は南と性的な関係になるつもりは今の所は毛頭ない。つまり、チアキちゃんともそういう関係にはならない。
チアキちゃんの思いを無碍にすることなく、二人ともと健全な関係を保てる。


「どう?」
そしてチアキちゃんの答えは、聞かずとも分かる。
「いいんだな?カナと私、両方を平等に愛せるんだな?」
チアキちゃんはとても真剣みたいだ。
「勿論だよ。」
「そ、か」
俺には分かる。表には出さないがチアキちゃんはかなり喜んでる。
少し追撃してみようか。

711:名無しさん@ピンキー
08/01/02 00:08:27 9HLmCoD6
遅くとも次の晩にまた

712:この野郎
08/01/02 00:46:17 pqDuhmeL
千秋の日記

駅に到着して、私は走って外へ飛び出した。
…しかし、水族館と思われる建物はどこにも見当たらなかった。

「藤岡、この建物のどれかが水族館なのか?」
「いや、水族館はもっと海の方にあるんだよ。…えーっと、ここから歩いて20分くらいかな。」
「そうなのか…よし、早く行くぞ!」

私はそう言って藤岡の手を握った。
最初は恥ずかしかったが、今では並んで歩いても全然平気だった。

しばらく歩くと水族館が見えてきた。
それを見て私は驚いた。…想像の何十倍も大きい……
そして中に入ると私は更に驚いた。
2mくらいの水槽がいっぱいあるのかと思いきや、入ってすぐにとんでもなく大きい水槽があった。
部屋の窓どころか、私の住んでいるマンションくらいあるんじゃないか?

「どう?思ってたより大きくて驚いた?」

藤岡がなんだか笑いながらそう言ってきた。
私は空いたままの口を閉じ、平静を装った表情で返事をした。

「えっと…思っていたより少し大きいな。…うん。」

…とは言ったものの、本当にびっくりだ。
何やら小さい魚が泳いでいると思いきや、大きなサメまで一緒の水槽にいる。
魚の紹介には、プランクトンを食べていると書いているが、大丈夫なのだろうか…

さらに他の水槽にはマンボウも泳いでいた。
マンボウなんて本当に存在したとは…私は都市伝説みたいなものと思っていた。

そして一番驚いたのは出口の近くにいたペンギンだ。
まさかペンギンに水族館で会えるなんて!私はペンギンが大好きなんだ!
なんて言うか…少しどんくさくて可愛いんだ。
テレビでしか見たことが無かったけど…本当に可愛い………一羽欲しいな……

そんな事を考えながら歩いていると、私は何かにつまづいて転んでしまった。

「うわぁっ!!…………いててっ…」

それを見た藤岡が慌てて私の方へ走ってきた。

「千秋ちゃん!だ、大丈夫?!」
「へ…平気だ、これくらい。」
「なら良かったけど、足元には気をつけて歩かないと危ないよ。」
「なっ…!お前が手をちゃんと握ってないからだろ!バカ野郎!!」
「えぇ?!」

…ついつい恥ずかしくなって藤岡に八つ当たりしてしまった。
でも、ちゃんと手を握っていなかった藤岡も悪いんだ!
私はそう思いながら、藤岡に手を引かれ立ちあがった。

「イタッ…!あれっ…?」
「どうしたの?どこか痛いの?大丈夫?!」
「…大袈裟だな……少し足を捻っただけだ。もう大丈夫だよ。」

そう言って私たちは水族館を後にした。



713:この野郎
08/01/02 00:47:09 pqDuhmeL
藤岡の日記

駅に到着すると千秋ちゃんは走りだし、当たりをキョロキョロしだした。

「藤岡、この建物のどれかが水族館なのか?」
「いや、水族館はもっと海の方にあるんだよ。…えーっと、ここから歩いて20分くらいかな。」
「そうなのか…よし、早く行くぞ!」

そう言うと千秋ちゃんはオレの手を握り歩き始めた。
なんだかこうしていると、もう立派なカップルと言った感じかな…。

しばらく歩き水族館が見えてくると、千秋ちゃんは驚いた顔をしていた。
たぶん思っていた以上に大きかったのだろう。
オレは水族館に入った時に千秋ちゃんがどんな顔をするのか楽しみだった。

…中に入って一番大きい水槽を見た千秋ちゃんは、ボーっとした顔で口は少し開いていた。
普段隙がほとんど無いだけに、こういう表情は凄く新鮮だ。

「どう?思ってたより大きくて驚いた?」

オレがそう聞くと、千秋ちゃんは慌てて口を閉じ、顔を少し赤くしながら

「えっと…思っていたより少し大きいな。…うん。」

しかし平静を装ったわりに、オレの手をぐいぐい引っ張り水槽の一番近くで魚を見ていた。
その後も、いろいろな魚を見るたびに千秋ちゃんは驚いたり笑ったりしていた。

そんな千秋ちゃんが一番反応したのがペンギンだ。
よっぽど好きなのか、ペンギンが見えると一人で走って行ってしまった。
後から追い付いてみると、千秋ちゃんは珍しくキラキラした目で、ペンギンの動きを追っていた。

「千秋ちゃん…ペンギンが好きなの?」

そう聞くと、ペンギンを見たまま何も言わず首を縦に振った。
しばらく動きそうもないので、オレは隣の土産物屋でペンギン人形付きのストラップを二つ買った。
…よっぽどペンギンが気に入ったのだろうか…かれこれ20分程黙ってペンギンを見ている。

オレは少し疲れたので後ろの椅子に座って、ペンギンを見る千秋ちゃんを見ていた。
ペンギンが右に走れば千秋ちゃんも右へ…水に潜ればしゃがみ、ずっと動きを観察している。
ハッキリ言ってペンギンなんかよりよっぽど可愛い。

しかし、ペンギンに集中していた千秋ちゃんは、何かにつまずき派手に転んだ。
オレは慌てて千秋ちゃんの元へ走った。


「千秋ちゃん!だ、大丈夫?!」
「へ…平気だ、これくらい。」
「なら良かったけど、足元には気をつけて歩かないと危ないよ。」
「なっ…!お前が手をちゃんと握ってないからだろ!バカ野郎!!」
「えぇ?!」

千秋ちゃんから手を離して走ったんだけど…と思いつつも、
いつも通りの口調の千秋ちゃんにホッとしつつ、オレは千秋ちゃんを引き上げた。

「イタッ…!あれっ…?」
「どうしたの?どこか痛いの?大丈夫?!」
「…大袈裟だな……少し足を捻っただけだ。もう大丈夫だよ。」

千秋ちゃんがそう言ったので、とりあえず安心し水族館を後にした。
この時、オレがもっとちゃんと足を気にしてあげればよかったんだ…。

714:この野郎
08/01/02 01:43:28 pqDuhmeL
藤岡の日記


水族館を出ると、時間は1時を過ぎた頃だった。
お腹もすいたので、お昼御飯を食べることにした。

「そろそろお昼ごはん食べよっか。」
「そうだな。そう言えばお腹すいたな。」
「何が食べたい?御馳走するよ!」
「え…そんな、コンビニでおにぎりでも…」
「そんな、なんでも好きな物言ってよ!」

オレは二人でお昼を食べるくらいなら、十分なお金は持っていた。
…実は昨日、親戚のおじさんが来て少し早いお年玉をくれたのだ。

「そうだ!焼肉でも食べようか!」
「えぇ?!ダメだ!そんなのお昼から贅沢すぎるぞ。」
「じゃあ何にしようか?」
「…あっ、あれが食べたい。」

そう言って千秋ちゃんが指をさす方にはハンバーガー屋があった。

「えっ?ハンバーガー…?」
「うん。私はハンバーガーとやらを食べた事がないんだ。」
「そうなの?」
「………」

千秋ちゃんは少し黙り込んでしまった。
おそらく気を使って、ハンバーガーを食べた事がないから食べたいと言ってくれたのだろう。
せっかくなので、オレ達はハンバーガーを食べることにした。

「…藤岡。…ハンバーガーってこんなに種類があるのか?」
「え?…まぁ。」
「藤岡はどれを食べるんだ?」
「オレはテリヤキバーガーのセットにしようかな。」
「そうか…じゃあ私も同じのにするよ。」

どうやら千秋ちゃんは、『ハンバーガーを食べた事が無い』と言う嘘を通すつもりらしい。
気を使ってくれるのは嬉しいけど、少し悪い気もする。




715:この野郎
08/01/02 01:44:25 pqDuhmeL


「お会計1160円になります。」
「はい。」
「あっ、やっぱり私も半分だすよ。」

そう言うと千秋ちゃんはかばんの中をゴソゴソし始めた。

「え?!そんなの良いよ!これくらい出させてよ。」
「でも…やっぱり悪いだろ……」
「デートの時くらい…オレの顔を立てるつもりで…ねっ?」

そう言うと千秋ちゃんは黙ってうなずいた。
正直1160円くらいで顔を立てるって……オレは言った後に少し恥ずかしくなった。

「…はむっ!…もぐもぐ……うん!美味しいよコレ!!」
「そう?良かった。」
「なんて言うか…初めて食べたけど、ハンバーグとパンって合うんだな!」
「あははっ、そんなに気を使わなくてもいいよ。千秋ちゃんは本当にやさしいね。」
「……???」

オレはそう言いながら千秋ちゃんの頭を撫でた。

お腹もいっぱいになり、店を出たのが2時…帰るにはまだ少し早い時間だ。

「藤岡、せっかく海の近くまで来たんだ。海を見ていかないか?」
「うん、それいいね!帰るには少し早いし行こうか!」

そう言って二人で海へ行くことにした。
店を出て海に向かっている最中も手はつないで歩いていると、オレは何か違和感を感じた。
…なんだか千秋ちゃんの歩くスピードが遅いような気がする。

「千秋ちゃん、少し疲れた?休憩しようか?」
「だ…大丈夫だ。早く海へ行こう。」
「わかった。…けど疲れたらすぐ言ってね。」

そう言って再び歩き始めたが、早く行こうと言った千秋ちゃんのスピードは上がることは無く、
むしろスピードは落ちていった。




716:この野郎
08/01/02 02:19:27 pqDuhmeL

千秋の日記


外に出ると、時間は1時くらいだった。
水族館に夢中になっていて気付かなかったがお腹がペコペコだ。

「そろそろお昼ごはん食べよっか。」
「そうだな。そう言えばお腹すいたな。」
「何が食べたい?御馳走するよ!」
「え…そんな、コンビニでおにぎりでも…」
「そんな、なんでも好きな物言ってよ!」

なんでも好きな物と言われても…藤岡と食べれるなら何でも良いよ。
…なんて事も言えるわけもなく、私は何がいいか少し考えていた。

「そうだ!焼肉でも食べようか!」
「えぇ?!ダメだ!そんなのお昼から贅沢すぎるぞ。」
「じゃあ何にしようか?」
「…あっ、あれが食べたい。」

私はハンバーガ屋を指差した。

「えっ?ハンバーガー…?」
「うん。私はハンバーガーとやらを食べた事がないんだ。」
「そうなの?」
「………」

藤岡は不思議そうな顔をしている…ハンバーガーを食べた事無いのはおかしいのか?!
うちはクリスマス等のイベント以外、外食なんて殆どしない。
そういうイベントの時は夕食を食べに行くので、ハンバーガーなんて食べにいかないし…
コンビニでも売っているが、CMで見るのと全然違う…
とにかくハンバーガーに、私は少し憧れの様なものを持っていた。

店に入るとメニュー表に何種類ものハンバーガーが載っていた。
どれがおいしいのか分らないので、藤岡と同じものを食べることにした。


「お会計1160円になります。」
「はい。」
「あっ、やっぱり私も半分だすよ。」

私はそう言ってカバンの中から財布を取り出そうとした。



717:この野郎
08/01/02 02:20:52 pqDuhmeL


「え?!そんなの良いよ!これくらい出させてよ。」
「でも…やっぱり悪いだろ……」
「デートの時くらい…オレの顔を立てるつもりで…ねっ?」

…私は黙ってうなずいて下を向いた。……なんだか嬉しいな…。
藤岡は何も考えないで言ったのかもしれないが、確かにデートと言った。
友達とならデートじゃない……特別な人とだからデートなんだ。
私は最初からそのつもりだったけど、藤岡も同じ気持ちでいてくれたのかな…
そんな事を考えるとまた顔が赤くなった。

「……ゃん?…千秋ちゃん?」
「わっ!!どど、どうした?!」
「えーっと…席に座って食べようか?」
「あ…あぁ、そうだな。」

そして私は席につき、はじめてのハンバーガーを食べた。

「…はむっ!…もぐもぐ……うん!美味しいよコレ!!」
「そう?良かった。」
「なんて言うか…初めて食べたけど、ハンバーグとパンって合うんだな!」
「あははっ、そんなに気を使わなくてもいいよ。千秋ちゃんは本当にやさしいね。」
「……???」

藤岡は意味の分からない事を言って、私の頭を撫でた。
いつ気を使ったのか分らないが、悪い気分ではないので私は黙って頭を撫でられていた。

ハンバーガーを食べ終わって時計を見るとまだ2時だった。
…まだ一緒にいたい……私は藤岡が帰ると言う前に、先手を打った。

「藤岡、せっかく海の近くまで来たんだ。海を見ていかないか?」
「うん、それいいね!帰るには少し早いし行こうか!」

良かった…藤岡もまだ帰る気はなかったらしい。
私は張り切って藤岡の手を引いて海へ急ごうとした。
…その時私はあることに気がついた。

(あれ…さっき捻った足が痛い……)

信号待ちの間、藤岡に気づかれないように、足首をさわってみた。
少し腫れている気がする……私の歩くスピードはますます落ちて行った。
少しすると、私の様子がおかしい事に藤岡も気付き始めたらしい…。

「千秋ちゃん、少し疲れた?休憩しようか?」
「だ…大丈夫だ。早く海へ行こう。」
「わかった。…けど疲れたらすぐ言ってね。」

早く行かないと足が動かなくなってしまいそうだったので、私は急いで海へ向かおうとした。
…しかし気持ちとは逆に、私の歩くスピードは遅くなり、痛みはどんどん増していった。



718:この野郎
08/01/02 02:30:50 pqDuhmeL

正月とか関係ねー! orz

本日はこの辺で(゚Д゚)ノ

719:名無しさん@ピンキー
08/01/02 02:42:02 X4cZYtx8
ちあ~~~き!! 可愛すぎるぞこの野郎!

いい仕事するじゃないか馬鹿野郎!

720:名無しさん@ピンキー
08/01/02 09:00:25 g3PtZirN
リコー! 藤岡はとうとう小学生に手を出したぞ
黙って俺んとこ来いよー!

721:名無しさん@ピンキー
08/01/02 09:20:10 eSBWm483
>>710
>>709での言葉をそのまま返すぜ。
勿論この野郎氏にも送らせてもらう言葉だけどさ。

722:名無しさん@ピンキー
08/01/02 11:57:44 9HLmCoD6
>>720
逆な気がしないでもない。

>>721
恐縮です。

723:名無しさん@ピンキー
08/01/02 14:04:08 zsHETU27
>>720
リコいくつだっけ?

724:名無しさん@ピンキー
08/01/02 15:24:07 9HLmCoD6
14歳で確か姉が一人いたはず、ゲートキーパーの

725:名無しさん@ピンキー
08/01/02 18:00:00 I2WWzK6k
2人ともGJ!

>この野郎氏
チアキの小学生っぽいツンデレさが微笑ましいですね。
ぜひ突っ走ってください。

>ぶつ切り氏
あれ、姉妹と性的に両手に花の関係になるのが最終目標ではないのですか?

726:ぶつ切り。~こいつは下呂以下の(ry~
08/01/02 18:28:02 9HLmCoD6
「嬉しく、ないの?」
俺は敢えて聞く。
「え!?」
チアキちゃんは驚いてこちらを見上げた。
「だってチアキちゃん、あまり喜んでなさそうだからさ…」
嘘です。今チアキちゃんがハイテンションだということは手に取るように分かります。
気の迷いかな。チアキちゃんが慌てて縋る姿を見たくなったんだ。
「そ、そんなことない!そんなことないぞっ!」
「本当に?」
俺はチアキちゃんを煽り続ける。チアキちゃんは思うように反応してくれる。それが可愛くて仕方がない。
「本当だ!…むしろ藤岡は条件を飲んではくれないと思ってたからさ…」
「バカだなあ。」
「な!?バカとはなんだ!私は真剣に」
チアキちゃんの握力が強まる。
「俺も真剣だ。」
「…!」
「俺は、チアキちゃんの想いにできる限り答えたい。そう思ってる。」
「…」
「チアキちゃんの想いを無碍にはしないよ。必ずや平等に、ね。」
「本当に、いいんだな?」
「男に二言はないよ。」
俺は言い切った。それでもまだチアキちゃんは不安そうだ。
「それでも、藤岡の中での一番は…」
そっか。チアキちゃんは俺の中での一番でありたいのか。じゃあ…
「好きだ。」
「え!?」
「俺はチアキちゃんが好きだ。一番にね。」

727:名無しさん@ピンキー
08/01/02 18:30:25 9HLmCoD6
>>725
トイレでは惑わされたけど、基本的には「学生で性行為など言語道断」な考えな高校生。

728:ぶつ切り。
08/01/02 21:01:26 9HLmCoD6
流石に言い過ぎただろうか。でもまあチアキちゃんが可愛いのは事実だしなあ。
というか正しくは、チアキちゃん『も』一番なんだ。俺のなかではいつの間にか二人は同等な存在になっていたんだ。
だから条件も躊躇うことなく飲めたのだろうか?
けど、悪くない気分だ。二人の美少女をモノにできるんだから当然か…。

「そうか。私が、一番…」
チアキちゃんにしては珍しく、考えていることが顔に出ている。
「私も同じだよ、藤岡。」
「え?」
「私も、藤岡が一番だ!そして、世界で一番藤岡を想っている!だから…!」
興奮して饒舌になるが落ち着く。
「同じだな♪」
ご満悦です。
俺はとりあえず微笑んでおく。

729:名無しさん@ピンキー
08/01/02 21:02:48 9HLmCoD6
皆様のおかげで藤岡が思いも寄らぬ男になってしまいました。本当に(ry

730:名無しさん@ピンキー
08/01/02 21:25:40 DSPM5NKu
/(^o^)\

731:名無しさん@ピンキー
08/01/02 21:50:42 g3PtZirN
いくらセクロスしないとはいえ二股とは!藤岡が悪いやつになっていくよおお~

732:名無しさん@ピンキー
08/01/02 22:08:39 9HLmCoD6
こりゃ恋空(笑)より酷い小説(笑)だな…

733:ぶつ切り ~南家~カナサイド
08/01/02 23:04:22 9HLmCoD6
「遅いわねぇ、チアキ。」
ハルカが呟く。時計は九時四五分を示していた。
「いくらなんでも遅すぎる。心配だわ…」
「まっさか~!あいつに限って心配するようなことは起こらないよ。」
「そうかしら。」
「そうだよ。」
断言しておく。
「でも、やっぱり心配…。誘拐されたりなんかしたら…」
「はぁ。」
「私、ちょっと外見てくるわ。」
「…いや。」
私はハルカより早く炬燵から抜け出した。
「私が行くよ。」
「そう?じゃあお願いね?」
私は肯いて玄関へ向かう。
確かに帰ってくるのが遅い。コンビニは近くはないけど、それにしたってもう十時になるんだ。おかしいよな。
嫌な予感がする。気のせいだろうか。


私は玄関のドアを開けた。

734:この野郎
08/01/02 23:16:29 pqDuhmeL

千秋の日記


店を出てどれくらい歩いただろうか…出た時は15分も歩けば着くと言っていたが、
私の歩くスピードが遅いせいで、20分以上歩いても海には到着しなかった。

「千秋ちゃん疲れたんでしょ?少し休憩しよう。」
「だ…大丈夫だから!早く行こう!」
「駄目だよ、さっきからずっと辛そうじゃないか。少しだけ休もう…ね?」
「……わかった…じゃあ少しだけ…」

そう言って、私たちは階段に腰をかけた。
とりあえず座っている限り、足はそんなに痛くないんだけど…私は立ち上がれるか不安だった。
なんだか足に心臓が付いている様にドクドクいっているような気がする…
…その時、藤岡の右足が、ほんの少し…私の左足首をかすめた。

「……イッ…!!…うっ…うぅ……」
「え?!ごめん!踏んだのかな…大丈夫?!」
「……ッ…!…だ……大丈夫…」
「?…千秋ちゃん、少し見せてもらってもいい?」

そう言うと藤岡は私の靴と靴下を脱がし始めた。
抵抗しようと思ったが、足が痛くて動けないし…口を開けば悲鳴を上げそうで喋れなかった。

「なっ…どうしたの?!凄く腫れてるじゃないか!」
「だ…大丈夫だ……これくらい…」
「大丈夫って……駄目だよ、今日はもう帰ろう!」
「なっ…これくらい大丈夫だって言ってるだろ!」

私はそう言って、手すりに掴まり階段を5段程上った。

「いいか藤岡!良く見ておけ!!これくらいの腫れなら…階段だって簡単に降りれるんだ!」
「そんな…駄目だよ!危ないだ……」
「うるさい!黙って見てろ!バカ野郎!!」

そう言って私はそう言って階段を降り始めた。
手すり無しでもコレくらいなら…藤岡と海へ行くためだ…大丈夫!
心ではそう思ったが、実際左足は体を支える事も出来ず下へ転落した…。
しかし私は、その場にいた藤岡にキャッチされて怪我が無くてすんだ。



735:この野郎
08/01/02 23:17:05 pqDuhmeL


過程はどうあれ、私は偶然のアクシデントのおかげで藤岡と抱き合う事が出来た。
顔が真っ赤になり、足が痛いのも気にならなくなった。

「あ…あの…藤岡。…これは……その…事故と言うか……」
「何でこんな危ない事するんだ!もし受け止めていなかったら大怪我する所だったんだよ!」
「…え……その…ごめんなさい……。」
「…もういいから靴はいて…家に帰るからね。」
「……はぃ…」

正直、藤岡が怒るなんて予想もしていたなった……でも、普通に考えてみればそうか。
散々わがまま言って、大丈夫って嘘をついたり…無茶して怪我しそうになったり……
私は藤岡に迷惑をかけてばかりだった。

せっかく藤岡と仲良くなったのに…これで嫌われちゃったのかな……
そんな事を考えていると悲しい気持ちでいっぱいになり、下をうつむいていた。

(ダメだ…私……今…泣きそうだ……)

私は唇をかみしめ、痛みと泣きそうなのを我慢して靴を履いた。
靴を履き終わる頃には藤岡は、下まで3段ほどの階段を降り、私に背中を向けて立っていた。
水族館で転んだ時は、真っ先に走ってきて手を差し伸べてくれたのに…まぁ自業自得か…
そう思い、私は一人で立ち上がろうとした。

すると、その時藤岡がその場にしゃがみこんだ。

「そんな足じゃ歩けないでしょ?…背中に乗って。」
「え…でも……」
「いいから。」
「……はぃ。」

私はこれ以上藤岡に嫌われるのが怖くて、言う事を聞いた。



736:ぶつ切り
08/01/02 23:29:11 9HLmCoD6
あっという間に南ん家。本日二回目だ。
「それじゃあ、俺帰るね。」
「あ、あぁ。」
チアキちゃんは不満がる。可愛いなあ。
「明日も、来るからさ。必ず。」
「けど…」
うーむ。このままだと暫く帰して貰えなさそうだ。

「キスだ。」
「へ?」
「バイバイのキス、してほしい。」
きっと恥ずかしいのを我慢して強請ってきたのだろう。瞳を潤せ、懇願する。
「わかったよ。本日最後の、キスだよ。」
「うん!」
チアキちゃんは高らかに返事をした。なんか振り回されてるなあ、俺。
「それじゃあ、するよ?」
「あ、ああ。」
チアキちゃんが目を閉じた。俺はそっと唇を重ねた。

やっぱり。南とはまた違った、幼い、柔らかい、ましまろな感触。そそるものがある。
けれど南は南で、同年代ということもありサイズが合う、という表現はおかしいかも知れないが、相性が合う。
たとえるなら、チアキちゃんは強姦で、南が和姦かな?
…って俺はなにを考えてるんだ!
チアキちゃんはこんなにも俺を受け入れてくれてるじゃないか!強姦なわけがない!…ってそうでもなくて!
お、落ち着けよ俺。今日の俺はおかしい。おかしい。
おかしい俺はチアキちゃんを抱きしめた。チアキちゃんはそれに応えるように俺の背中に腕を回した。こんな所、南に見られたら…




ガチャ

737:名無しさん@ピンキー
08/01/02 23:30:16 9HLmCoD6
この野郎様申し訳ない。

738:この野郎
08/01/02 23:33:06 pqDuhmeL
いいから早く続き書けバカ野郎!!
続き楽しみにしてんだ!バカ野郎!!

739:ぶつ切り
08/01/03 00:14:56 nRL09/zS
玄関から出た私はただただ困惑した。理解不能未知領域な『それ』を目の当たりにした私はそうするしかなかったのだ。

私に気づいた二人は『それ』を中断する。いや、正しくは藤岡が一方的に中断したんだな。
それ故に、チアキは邪魔者を鋭く睨みつける。
「…」
「こ、こんばんは。」
「おぉ、藤岡。」
私は至って平静だ。何故ならチアキの想いに気づき始めていたからだ。大方、チアキが強要したんだろ。
それにしたって、藤岡の慌てっぷりったらないな。まるで浮気がバレた男みたいじゃないか。
「あ、あのっ!これは…」
「ありがとな、藤岡。」
「えっ!?」
「この愚かなお姫様を態態送ってくれたんだろー?」
「なっ!?」
チアキは怒りを露わにする。
「う、ううん。その…」
私は敢えて無視した。
「ほらチアキ、さっさと家に入れ。ハルカも心配してるぞ。」
「むぅ…」
「そ、そうだね。」
うーむ。このままじゃ藤岡がかわいそうかな?
私はそう考えて、チアキに見せつけるように、藤岡にキスをした。

740:名無しさん@ピンキー
08/01/03 00:29:40 nRL09/zS
寝ます。


>>738
嘘だッ!

741:名無しさん@ピンキー
08/01/03 00:43:11 zRRvIUEx
wktkがマジとまんねぇ。
どうしてくれるんだお二人さん…………
物語が終わる前に悶え死にそうなんだぜ

742:名無しさん@ピンキー
08/01/03 01:10:45 KElJOyrz
>>740

wktk(゚Д゚)

743:名無しさん@ピンキー
08/01/03 01:48:13 hClLi8Oa
>>739 ぶつ切り氏
>私はそう考えて、チアキに見せつけるように、藤岡にキスをした。

どんな風にキスをしたんだ? カナはどんな風にチアキに見せつけたんだ?
微に入り細に入って描写してくれ、頼む!
一行でさらっと流さないでくれ!

744:この野郎
08/01/03 02:28:52 KElJOyrz
続 >>735

千秋の日記


「落ちると危ないから…しっかり掴まっててね。」
「…ぅん。」

そう言うと、藤岡は駅へ向かって歩き出した。やはり怒っているみたいだ…
その証拠に駅へと向かっている最中、藤岡は一言も話さなかった。

しばらく歩くと、さすがに藤岡も疲れて来たのか呼吸が荒くなってきた。

「藤岡…疲れたなら私歩くよ…もう大丈夫だ。」
「だ…大丈夫。」
「いや…でも、周りの目もあるし…」

確かに街中で背負われていると、周りの視線は私たちに集中していた。
私は別にそんな事は気にならなかったが、これ以上藤岡に迷惑をかけたくなかった。
すると藤岡は大通りを外れ、細い道へ入った。

「藤岡?こっちは来た道じゃないんじゃないか?」
「…うん。でもこっちの方が少し遠くなるけど…人目が少ないから…千秋ちゃん恥ずかしくないでしょ?」
「バ…バカッ!それじゃあ余計お前が疲れちゃうだろ!」
「あははっ…大丈夫……これでもサッカーで鍛えてるんだから…!」

そう言うと藤岡は黙々と歩き始めた。
私は自分勝手な事ばかりしたのに…藤岡はいつも私の事を気遣ってくれている。
さっき怒られた時も、藤岡は私の事を気遣って怒ってくれたのかな……
そう思うと、自分が情けなくなった。

「藤岡……怒ってない?」
「……そりゃ怒ってるよ。千秋ちゃんがあんな無茶するんだもん。」
「そっか…。……じゃあ私の事嫌いになっちゃったか?」
「……え?」

藤岡はほんの5秒ほど黙ったまま歩き続けた。
嫌いって言われたらどうしよう……この5秒ほどの時間が、私には恐ろしく長く感じた。

「なんて言うかさ…階段の件は千秋ちゃんが悪いと思うよ?」
「…うん。」
「でもさ、それまでに怪我に気づかなかったオレがもっと悪かったんだ。」
「うん……って、何でそうなるんだよ!」

「…だってさ、転んだ時もオレがちゃんと手を握っていれば怪我なんてしなかったはずだし…」
「それは私が…一人で勝手に走って行っちゃったからだろ!」
「…でも、オレ電車乗る前に千秋ちゃんの手を離さないって約束したのに…」

コイツはバカ野郎…いや、大バカ野郎だ。
100%私が悪いのに、ほとんどを自分が悪いと言っている…
本当に呆れる程のバカ野郎だ…。



745:この野郎
08/01/03 02:30:01 KElJOyrz


「…で、結局嫌いになったのか?」
「…いや、嫌いになんてなってないよ。」
「そっか…。」

(私は…もっと藤岡の事が好きになったよ…)


「……ん? 今何か言った?」
「…う…うるさい!バカ野郎ー!…私は疲れたぞ!少し休憩だ!!」
「えぇぇ?!千秋ちゃん歩いてないでしょ?!」
「うるさい、うるさい!!疲れたんだ!休憩だー!!」

私は「藤岡の為に休憩する」と言っても休憩しないので、自分が疲れたと言ってみた。
すると藤岡は近くの段になっている所に腰を掛けた。
私も藤岡の隣に座ろうとすると、藤岡は私を持ち上げ膝の上に置いた。

「わっ…なっ…なにするんだ!」
「何って…ここが千秋ちゃんの席なんでしょ?」
「そうだけど…いつもと違って横向きじゃないか!」
「だって地面に足がついたら痛いでしょ?」

この時の藤岡の抱き方は、いつもと違い膝の上で横向きで…俗に言うお姫様抱っこだ。
恥ずかしい…けど、これも私の事を気遣ってくれているのか…?
藤岡はニコニコしながら私を見ている。

「…どうかいたしましたか?姫。」
「なっ…!ひ…姫とか言うなー!!……イタッ!!」
「ほらほら、暴れると傷に響きますよ!姫!」
「ふ…藤岡~!!」

どうせカナのバカが姫の話を藤岡に話したんだろう…あのバカ野郎……
…しかしこのまま言い合いをしても、怪我をしている私に勝ち目はなかった。
私は少し考え、藤岡に最も効きそうな作戦を思いついた。

「…藤岡。」
「なんでございますか?姫。」
「お前、さっきから左手で私の太ももを触っておるが、どう言うつもりだ?」
「え?!こ…これは…この抱き方だから仕方なく…」

やはり効き目は抜群だ。これは良い…私はさらに続けた。

「そうか、この抱き方だから仕方なく…右手で私の胸を触っておったのか。」
「え?!ご…ごめん!当たってたなんて気づかなくて…その……」
「気付かなくて?…そんな事を言って太ももや胸を…私の体を触って弄んでおったのか!!」
「そ…そんなぁ~!もう許してよ千秋ちゃん。オレの負けだよ…」
「アハハハハ!ワラワをからかおうとするから、こうなるのじゃ!」

さっきまでの暗い気持も吹っ飛び、私と藤岡はしばらく笑い続けていた。



746:この野郎
08/01/03 02:41:56 KElJOyrz
まだ話が12/30日なので、藤岡の日記は飛ばしますorz

オヤスミなさいorz

747:名無しさん@ピンキー
08/01/03 02:51:52 nRL09/zS
>>743
慌てなさんな。全部考えた上での投下だから。

748:名無しさん@ピンキー
08/01/03 03:15:25 nRL09/zS
>>745
マシロ様!マシロ様ではないか!

749:ぶつ切り
08/01/03 23:17:27 nRL09/zS
愕然とした。
この愚かな姉は、私の眼前で躊躇うことなく藤岡とキスをしたのだ。

クチュ

「な、あ…ああぁ!」
それだけでなく、舌を入れている。ひどい!こんなのレイプに他ならない!藤岡だって嫌がってるじゃないか。
お前を押し返しているのがわからないのか!?
何のつもりなんだカナ!


ふと、カナと目があった。
…笑っている。いや、挑発してるんだ。乗せられてたまるか!!
私は怒りを押さえ込んだ。

750:名無しさん@ピンキー
08/01/04 00:53:54 LRp9nsoN
あれ?続きはー?

751:名無しさん@ピンキー
08/01/04 01:38:35 SdPh5ewk
>>749
いけいけ、カナー!

752:名無しさん@ピンキー
08/01/04 14:50:54 WC4LIe+y
姉妹丼、しかも泥沼の醍醐味。

753:名無しさん@ピンキー
08/01/04 18:12:24 KwZ/eIYp
続き早くキボン頼むよ~

754:名無しさん@ピンキー
08/01/04 19:10:57 MgmCKCeg
冬馬はまだか

755:名無しさん@ピンキー
08/01/04 22:27:33 aNrmm8Re
>>754
とりあえず「この日」が終わって、トウマ編に入らないことには…

756:この野郎
08/01/04 22:59:54 aHUE30kO
>>745

千秋の日記

ひとしきり笑った後、藤岡が時計を見た。

「おっと、もう3時か…」
「3時…あっ!そうだ!」

私は今日のために焼いたクッキーの事を思い出し、鞄から取り出した。

「藤岡、昨日たまたまクッキーを焼いたんだ。食うか?」
「そんなのがあるの?…それは千秋ちゃんが焼いたの?」
「おぉ、私が作ったんだ。あ…ありがたく食べるんだぞ!」
「うん!……えっと…」
「…どうした?」
「いや、手が…」

そうか…藤岡の両手は、私を抱きかかえているのでふさがっているんだった。
私はクッキーを一つ取り、藤岡の口元へ運んだ。

「藤岡、口を開けろ。あーんだ。」
「こ…こうでいいかな?」

私が藤岡の口元にクッキーを運ぶと、クッキーをくわえ食べ始めた。

「ど…どうだ?」
「うん!美味しいよ!売ってるのより全然美味しい!」
「そ…そうか!よし、もっと食え!」

そう言って私は、藤岡の口へどんどんクッキーを運んでいった。
そしてあっという間にクッキーは無くなってしまった。

「これで最後の一個だ。心して食すんだぞ!」
「わかった、最後の一つ…いただきます!……あむっ…!」

「……わっ!バ…バカ野郎!!人の指まで咥える奴があるか!」
「え…?あははっ。」
「あはは…じゃねーっ!それに私は食べてないのに、お前に食べさせたから手が汚れちゃったじゃないか!」

私はそう言って、粉の付いた親指と人差し指を舐めた。
…あれ?これって間接キスってやつなのか?…私はしばらく人差し指を咥えたまま考えていた。

「へ…へっくしょん!!」
「わっ!…大丈夫か?」
「うん、平気平気。汗かいてたから体が冷えちゃったのかな?」
「駄目じゃないか!えっと…あっ!あそこで休憩すればいいんじゃないか?」
「え?」

私は、『休憩 2時間3000円』と書いた看板を指差した。



757:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:03:09 LRp9nsoN
支援

758:ぶつ切り
08/01/04 23:14:26 aNrmm8Re
ふむ。挑発に乗ってくると思ったんだが案外しぶといな…
私は『名残惜しそうに』ゆっくりと唇を離した。

「み、南…?」
藤岡は呆然としている。いきなりのキスにかなり戸惑っているようだ。
「恋人同士なら当然だろ?」
チラッとチアキをみると、これ以上ないくらいの膨れっ面を作っていた。

「じゃあな、藤岡。また明日。」
「あ、あぁ。」
私は颯爽と室内へ入った。





「ふっ…」
遂に、笑いが漏れた。カナの愚かっぷりは、怒り超越させて笑いを生んだ。
「ど、どうしたの?」
「いやな、知らないって怖いなあってさ。」
「え…」
私は満面の笑みで言ってやった。
「お前にとっての一番は、私なんだろ?」

759:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:16:40 aNrmm8Re
>>756
なしてそうも簡単にエロに持っていけるんだ…orz

760:この野郎
08/01/05 00:07:02 xOd5I4+j
藤岡の日記



千秋ちゃんの指差した方向には看板があった。

『休憩 2時間3000円』

…うん。間違いなくラブホテルだ。
はたして千秋ちゃんはアレの意味が分かっているのだろうか…

「…あの、千秋ちゃん。アレって何か知ってるの…?」
「何って…お金を払ったら部屋で休憩させてくれるんだろ?」
「えーっと…間違ってはいないけど……」
「…?」

まいった…こう言う時はなんて説明すればいいんだろう……
アレのせいでオレがこんなに困ってると言うのに、昼間っからカップルの出入りはにぎやかだ。
しかし、それのカップルばかり出入りするのを見た千秋ちゃんが、突然ハッとして顔を真っ赤にした。
…まさか何か勘付いたのだろうか…?

「ふ…藤岡。」
「どうしたの?」
「あの…えっと……もしかしてアレは…その……ぉ…おかしな事する所なのか?」
「えぇ?!」

おかしな事…ハッキリと言わなかったが、顔が真っ赤な所からして気づいたのか?!
それにしては勘が良すぎ……まさか南が変なこと教えたんじゃ……

「藤岡…こ、答えろ!どうなんだ?」
「えっと…ぅ……ぅん。そう…かな……」
「やっぱり……」

まいった…なんだろうこの変な空気は…
千秋ちゃんもしばらく黙ってホテルの方を見てるし…

「藤岡…。」
「は…はいっ!」
「その……入らないか…?私は別に……藤岡となら…お、おかしな事になっても…その……」

そう思ってくれてるのは嬉しいのだが…物事には順番って物が……
そんな事を考えて、オレは少し黙ってしまった。




761:この野郎
08/01/05 00:09:06 xOd5I4+j
「…嫌なのか?」
「え?!」
「その…私と入るのが……私とおかしな事をするのが嫌…なのか?」
「えーっと…嫌とかじゃなくて……そう!年齢!確か学生は入っちゃだめなんだ!うん!」
「…そうなのか……」

千秋ちゃんは少し残念そうな顔をしたがしかたない。
オレは嘘は言っていないし、選択も間違ったとは思っていない。
しばらくすると千秋ちゃんが周りをキョロキョロしだした。
なんだか、首を延ばして周りを確認しているみたいだ…

「千秋ちゃんどうしたの?」
「藤岡…入れないなら……ここでおかしな事するか…?」
「えぇぇ?!ここって…外だよ?!」
「外と言っても…ほとんど人も通らないし…駄目…?」

オレは過去の事を考えていた…
オレが小学生の時なんてサッカーばかりで、おかしな事なんて知らなかった。
やはり現代の性は乱れているってやつなのか……

「ぉ…か……藤岡?」
「…え?」
「だから、今なら人もいないし……」
「だ、駄目だよ……そんなの…その、オレ達まだ子供だし……」

「……子供はおかしな事しちゃ駄目なのか…?」
「そりゃ…そう言う事は大人になってからと言うか……」
「そんな…大人になるまで待てないよ!私は今ここで……藤岡としたいんだ!」

そう言ってもらえると嬉しいし…その興味が無い訳でもないけど…
でもやっぱり間違ってる…まだキスもしてないのに……!

「千秋ちゃん…気持ちは凄くうれしいんだけど、でもやっぱり今は駄目だよ。」
「…どうして?」
「その…えーっと……オレに勇気がないから。」
「…え?」
「…千秋ちゃんみたいに勇気がなくて…もし誰かに見られたら…って思ったら怖くて…」
「………」

オレがそう言うと千秋ちゃんは下を向いて黙り込んでしまった。
…なんだか悪い事をした気分だ。
そして今度は俺が周りをキョロキョロ見渡して、誰もいないのを確認した。

「千秋ちゃん…?」
「……いいよ。気にしてないから…」
「えっと…そうじゃなくて……今は子供で、おかしな事は出来ないけど…その、これくらいなら……」

オレはそう言って千秋ちゃんにキスをした。
時間は短かったが、クリスマスの時と違い唇へ…
その瞬間、千秋ちゃんの顔が再び真っ赤になり、少し震えていた。

「ななな…藤岡……?!」
「え?」
「え?…じゃないよ!なんだよ!!おかしな事しないって言ったと思ったら…急にするなんて!!」
「えぇ?どう言う事?」
「どう言う事って…お前…今私におかしな事……キスしたじゃないか!!こ、こっちにも心の準備ってもんが…」

あぁ…そう言う事か…。
千秋ちゃんはおかしな事=キスと思っていたらしい。
オレはさっきまで自分が妄想していたことが恥ずかしくなった。

762:この野郎
08/01/05 00:34:56 xOd5I4+j
千秋の日記

私は顔が真っ赤になっていた…裏路地で、藤岡におかしな事をされたからだ。
藤岡は「おかしな事はしない」って…そう言ったので油断してこのざまだ。
私は恥ずかしくなったので、藤岡に電車へ向かうように命令した。

「藤岡…急におかしな事するなんてずるいぞ…。」
「えっと…ご…ごめんね。」
「……別にいいけど…」

まぁ最初に誘ったのは私だし、文句は言えないんだけど…
もう少しムードと言うか…いきなりだったから驚いてあまり覚えていなかった。

駅のホームに到着し、私たちは電車に乗った。
行きと違い電車がガラガラだ…藤岡が気を使って普通列車とやらにしてくれたらしい。

「藤岡!見てみろ!この車両は私たちの貸し切りだぞ!!」
「あはは、そうみたいだね。」
「やっぱり私は、遅くてもこっちの方が広々していて好きだ!」

そう言ったものの、貸し切りの車内で私は藤岡の横にぴったりひっついていた。
…そう、前みたいに寝たふりをして、藤岡の肩へ頭を乗せたかったからだ。
私は寝たふりをするタイミングを計っていた。

…と、その時予想外の出来事が起きた。
先に私の肩に頭をのせ、藤岡が寝てしまったのだ…そう言えば確か昨日は寝てないとか言ってたな…
それに帰りはずっと私が乗っていたし…疲れたのかな?

予定とは違ったが、私は藤岡とひっつけて悪い気分ではなかった。
しばらくすると電車の揺れで崩れ落ち、藤岡は私の足に頭を乗せて横たわった。
肩から落ちたのにぐっすりと寝ている…よほど疲れていたのだろうか……

「藤岡…今日はありがとう。楽しかったよ…」

私は藤岡の髪を撫でながら、寝ている藤岡にお礼を言った。
…その時私は裏路地での藤岡の不意打ちを思い出した。
今の藤岡はそれはもう恐ろしいほどに無防備だ…車両は貸し切り…私は意を決した。

「…こ……これは仕返しだからな…!」
「……スースー…」
「…………」

『…ちゅっ……チュッ……んっ…も…もう一回……チュッ…』


うん、3回もしておけば…まぁ、私の勝ちだろう。
満足した私は、藤岡の髪を触りながらいつの間にか一緒に眠っていた…

763:名無しさん@ピンキー
08/01/05 00:49:57 y7d+JeSM
>確か昨日は寝てないとか言ってたな
なに!?
カナと濃厚な一夜を過ごした翌日にチアキとデートだったのか?
藤岡恐るべし。


764:名無しさん@ピンキー
08/01/05 00:54:46 EBly37JO
素晴らしい!

どっちのチアキも行け行けドンドン
押して押して押しまくれー!

765:この野郎
08/01/05 00:58:11 xOd5I4+j
藤岡の日記


『…ゃくさん…!……お客さん!!』
「……ん?…はぃ?」

気がつくとオレは知らないおじさんの声で目を覚ました。
どうやらいつの間にか寝ていたらしい…
しかしココは何処だ…?…なんだか頭の辺りは、妙に柔らかくて気持ちいい。
顔をこすってみてもスベスベしていて……

「……んっ…!」
「…?」

上を見てみると千秋ちゃんの寝顔があった。
千秋ちゃんの膝枕で寝ていた事に気が付き、オレは飛び起きた。
…と同時に見たことのない風景と知らないおじさんに気づいた。

「あの…すみません。ここは何処でしょうか?」
「…だから、終点ですよ。」
「はぁ………えぇぇぇ?!!」

慌てて飛び出すと外は真っ暗、時刻は7時前。
オレは慌てて千秋ちゃんを起こした。

「千秋ちゃん!千秋ちゃん!!」
「ん…ふぁ~……どうした藤岡もう着いたのか?」
「いや、着いたどころか通り過ぎてたんだ…。」
「そうかそうか……なっ!?…どう言……イタッ!!」

慌てて立ち上がろうとした千秋ちゃんを背負い、オレは急いで反対方面の電車に飛び乗った。
ココからだと快速でも1時間…駅に着くのは8時頃だ。

駅に到着してオレは千秋ちゃんを背負ったまま南家へ走った。
結局千秋ちゃんの家に到着したのは8時20分だった…

「遅くなりました!ごめ…」
「千秋!どこ行ってたの?お友達の家に電話してもいないし、心配したんだよ?!」
「ハルカ姉さま…えっと……」
「…千秋、その足どうしたの?…それに藤岡君まで……」
「その…そこで足を挫いて動けなくなっていた所を藤岡が助けてくれたんです!」
「…そうなの?」

…これはどう答えればいいんだろう……
千秋ちゃんに口裏を合わせるべきか…本当の事を言うべきか……
千秋ちゃんはオレと出かけた事を内緒にしているんだろうか…?

「えっと…」
「藤岡!今日はありがとう。助かったよ!お前も気をつけて帰れよ!じゃあな!!」

『バタン!』

千秋ちゃんはそう言って扉を閉めた。
オレはなんだか釈然としないまま家へ帰った。


766:名無しさん@ピンキー
08/01/05 01:27:24 pirSjGLY
すんばらしい

767:この野郎
08/01/05 01:45:18 xOd5I4+j
オマケ的  ハルカの気持ち


8時20分頃、千秋はカナの友達の藤岡君に背負われて帰ってきた。
千秋が言うには、近くで足を挫いて藤岡君が助けてくれたらしいのだが…
朝から足を挫いて、夜まで発見されないなんてありえない。千秋は私に嘘を付いている…
…とは言え大体見当は付いているのだけど、千秋の口から本当の事が聞きたくて、
私は千秋を居間へ連れてきた。

「おー、やっと帰って来たのか。この不良娘め。」
「………」
「まったく、ハルカが心配してうるさかったんだよ。千秋なんて誰も誘拐しないって言ってんのに…」
「う…うるさい!このバカ野郎!!」
「おーおー、それだけ元気があれば大丈夫だ。じゃあ私はお風呂に入るからな。」
「くっ…カナの奴め……」

そう言って千秋とカナはいつも通り喧嘩していた。
……正確には、いつも通りに見せかけるように喧嘩した…かな。

「千秋、あーは言っても…カナも凄く心配してたのよ。」
「え?…カナがですか…?まさか…。」
「あの子は不器用な所あるから…ほらっ。」

そう言って私はお膳の上を指差した。
そこには、カナが一口だけ食べたご飯とおかずが置かれていた。

「これは…?」
「千秋が心配で食事がのどを通らなかったのよ…きっと。」
「そんな…偶然お腹がすいていなかったとか……」
「…でもあの子、6時前から「お腹すいた~!」ってうるさかったんだから。」
「………ごめんなさぃ…。」

一言そう言うと、千秋は泣きそうな顔で黙り込んだ。

「ねぇ千秋。カナには言わないから…本当の事教えてくれない?」
「本当の…こと……?」
「うん。今日どこに行ってたの?怒らないから…ねっ?」
「……藤岡と水族館に…。」

千秋は申し訳なさそうに口を開いた。

「それなら…書置きにもそう書いておいてくれれば良かったのに。」
「その…恥ずかしくて……」
「…どうして?」
「その…藤岡とデートだなんて……」

…ちょっと待って……いつから千秋は藤岡君とそんな仲に?!
…そう言えば時刻は8時過ぎ…まさかとは思うけど……私は頭の中が混乱し始めた。

「ち…千秋?朝からずっと藤岡君と水族館にいたの?」
「えっと…1時に水族館は出てハンバーガーを食べました。」
「それから…?」
「海に行こうとしたら足を挫いて…帰ってきました。」
「…え、でもそれじゃあ時間が……」
「はぃ、帰る時は藤岡に背負ってもらっていたので…」

それにしても時間が遅すぎる…心配になってさらに私は追及してみた。


768:この野郎
08/01/05 01:46:21 xOd5I4+j


「それでも…遅すぎるでしょ?」
「……そっか、ハルカ姉さまは…すべてお見通しなんですね…。」
「…え?」
「私…藤岡と……その…おかしな事…しました。」

千秋はほほを赤らめてとんでもな事を言い出した。

「お…お……おかしな事?!」
「…はぃ。あ…でも、私から誘ったんです…」
「千秋から?!」
「最初は休憩できるホテルでしようと言ったんですが…断られまして…」
「……」
「それで、人通りが少ないので外でもいいと言ったら…藤岡がいきなり……」
「………」
「でも私も悔しかったので、電車で藤岡が寝てる間におかしな事を3回程…」
「…………」
「あれ…?ハルカ姉さま?!」

…情けない…千秋の言葉に私は少し放心状態になった。
良く考えてみればドコまでしたのか聞いていないし…
…聞くのは怖いけど……

「…千秋?…その……ドコまでしたの?」
「ドコまで…?」
「その…本番……と言うか…入れたり出したり……と言うか…」
「入れたり……あっ!えっとそんなに本格的にはしていないです……」
「そっか…なら良かった……」
「す…少し口で触れたりしたくらいで…入れたりは……(舌的な意味で)」

『バタンッ』

「ハルカ姉さま?!……ハル…カ……姉……」


気がつくと私はベッドの中で目を覚まし朝食の支度をはじめた。
確か昨日は…千秋の帰りが遅くて……

「おっはよー。あーぁ、今日から学校かぁ…」
「あっ!カナ、昨日千秋帰ってきたんだっけ?」
「はぁ?足を挫いて藤岡に背負われて帰ってきたじゃないか。」
「そっか…そう言えばそうだったわね……。」
「大丈夫か?昨日は急に寝たって千秋に言われて、私がハルカをベッドに運んだんだぞ?」
「そっか…ごめんね。…どうも昨日の夜の記憶が……」
「?」


その後、ハルカにその日の記憶が戻ることは無かった。


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