07/12/17 20:16:02 CuM21Ty4
流れをぶった切って初投下。
藤カナです。
「ただいまー……って、誰もいないのか」
今日は二人が買い物に行く日だった。ぼーっとドアを閉めようとしてドアノブを握り、問題点に気づく。
人がいないところに挨拶をしている奴は不気味だ。普通じゃない。
うっかり無人の我が家に挨拶してしまった私をみたら、千秋は……奴はその問題点を指摘するだろう。
もちろん、腹が立つほどの正しさで。
千秋が居ないからといって気を抜いてはいけない。私はあいつの冷たく心にえぐり込むような突っ込みに常時反応出来なければならない。
とにかく、あいつは厳しいのだ。揚げ足ばかり狙っているクラスのアホな男子のように、獲物は決して逃さない。
「み、南……」
何かに遮られているような声が聞こえる。恐らく帰り際引っ張ってきた藤岡だ。
そういえば玄関に気配が無い。
振り返ると、靴だけがドアと壁の間に挟まっている。
こいつ……。
「無様な私を、嘲笑っているのか……」
「いや、違うから、ドアノブを引っ張るのをやめてくれないかな……」