【みなみけ】桜場コハル Part3【今日の5の2】at EROPARO
【みなみけ】桜場コハル Part3【今日の5の2】 - 暇つぶし2ch391:メルト・千秋
07/12/16 17:37:51 LOUwFFjP
千秋は思った、

「(神様、お願いします。少しだけ時間を止めてください。)」

それ程に千秋はこの時間が嬉しくて……幸せすぎて、泣きそうになっていた。

しかし、そんな願いは叶うはずも無く、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
帰りの電車で千秋は寝たふりをし、藤岡の肩に頭をのせた。
あと30分もすれば駅に到着してしまう……次に二人っきりで出掛けるなんて、もう出来ないかも知れない。
頻繁に家に来るとは言え、藤岡はカナが好きと言う事くらい千秋は分かっていた。
すごく近い存在なのに、恋愛するには…千秋には藤岡の存在がすごく遠く感じた。

駅に到着すると、雨はすっかりやんでいた。
少し暗くなってきていたので、千秋は藤岡に送ってもらう事になった。
家についたら藤岡はまた遠い存在になってしまう…そう思うと千秋はまた泣きそうになった。
せめて家に着くまでは自分だけの藤岡でいてほしい……そう思った千秋が口を開く。

「藤岡…その……手をつないで歩きたい…。」

今にも泣きだしそうな目で藤岡にそう言った千秋に、
藤岡は優しくうなずいて応え千秋の手を握り締めた。
行きはあんなに長く感じた道のりが、すごく短く感じる……あの角を曲がればもう家に着いてしまう。
突然千秋が立ち止まった。

「あれ?どうしたの千秋ちゃん。」
「……もう…バイバィしなくちゃいけないのか……?」
「ぇっ…今日はそうだけど……でも、また遊びに行ったりするから!そうだ!!今度プリン買っていくよ!」

駅からの帰り道、ずっと泣き出しそうな千秋に気を使って藤岡は元気づける様に言った。

「……めろ………」
「え…?ごめん、聞こえなかっ……」
「今すぐ……今すぐ私を抱きしめろ!!」
「え…ぇぇぇ・??!」
「…クスッ……」
慌てる藤岡を見て、千秋がやっと少し笑った。


『冗談だよ、じゃぁまたな!』

そう言うと千秋は走って家に向かう最後の角を曲がった。
藤岡は首をかしげながら家路についた。

千秋は角を曲がった所でへたり込み、10分ほど泣いた。

そして家に着いて真っ先にお土産を要求してきたカナを踏みつけ、いつもの生活に戻った。


完。


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