天元突破グレンラガンでエロパロ 4at EROPARO
天元突破グレンラガンでエロパロ 4 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:04:41 kLqPYbOG
女は少なそうだけど、戦艦に一人もいないことはないんじゃないか
言い寄ってくるのは艦長にずっと憧れてた女性クルーの一人とか

51:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:14:35 DN7hzC5f
敵戦艦無量大数!のオペレーターがいたじゃないですか。
ニア姫をさらってくる前までは言い寄る女は全員食ってた、がいいです。

52:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:37:46 443ujJuZ
絶対にダリーがいる
居なきゃ困るぐらいいる、そんで艦長に淡い恋ごこr……

53:名無しさん@ピンキー
07/11/26 23:03:09 Tik3SNkK
書き込んでからそういや声だけオペ子のねーちゃんがいたっけと思い出した

副官以外の他クルーとの接し方は、一話アバン艦長のキャラをどう取るかで変わってきそうだよな
初期に予想されてたみたいな兄貴を一回り豪快にした風覇王キャラなら来るものは拒まず全喰いなイメージだけど
今主流のやさぐれたまま大きくなった系だと男女問わず一定レンジ内に近寄らせないような感じがする


ところでギミダリって1、2部の年から色々刷り込んでたら世界がどういう方向に分岐しても
適応して馴染んでそうな気が
つまりアバン艦長ルートでシモン最強!シモンすげー!な世界だと
素で二人ともシモン崇拝者になってる可能性

54:名無しさん@ピンキー
07/11/26 23:08:34 L21V9DTi
部下が喰ってるのを醒めた眼で一瞥

55:名無しさん@ピンキー
07/11/26 23:24:54 kLqPYbOG
>>53
1話冒頭でブータにすら敬語使われるような艦長だから、他人を気安く寄せ付けない孤高の人ってイメージがあるなぁ

56:名無しさん@ピンキー
07/11/26 23:39:28 ELlhGwIY
すごい気難しくて誰も寄せ付けない
けどカリスマ性があって他クルーには憧れられてたり尊敬されてたり、みたいな

つかこのパラレル艦長ルートエロなしでも普通の作品として読みたいから困るww

57:名無しさん@ピンキー
07/11/27 01:22:38 M7CfCiGf
一話艦長!一話艦長!
>>45の流れではやさぐれシモン成長型の艦長じゃ泥沼だ!素敵!

58:名無しさん@ピンキー
07/11/27 12:26:24 L8EeAo84
ニアのスリットに手を突っ込みたい

59:名無しさん@ピンキー
07/11/27 15:44:25 HcZ+z9vX
グレンラガン5巻初回限定 ドラマCD 男一匹グレンラガン 34分17秒
イラスト島本和彦 脚本中島かずき
ブックレットのCAST一覧より

シモン、カミナ、ヨーコ、、ニア、ブータ、キタン、リーロン、ダヤッカ、キヨウ、キノン、キヤル
ロシウ、ヴィラル、ギンブレー、ジョーガン、バリンボー、アーテンボロー、ゾーシィ、キッド

60:名無しさん@ピンキー
07/11/27 16:52:15 Jtu9+xUp
ドラマCD面白いわ
カミヨコ、シモニア的にはネタにできそう

61:名無しさん@ピンキー
07/11/27 19:47:30 ilURd9B4
>>54
艦長がEDみたいなのでやめてw

62:名無しさん@ピンキー
07/11/27 20:34:35 DGVAclG9
>>40
パス一緒 おはやめにどうぞ
URLリンク(www.uploda.org)

63:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:18:32 9x3vqE87
>>62
ありがとうございます!!!読めました!
いろんな要素もりもりで、にやにやが止まらなかったw
おやっさんがいい味だしてて、
やっぱ本編シモンもいいよなぁと艦長に盛り上がりつつも、しみじみ思いました!

64:名無しさん@ピンキー
07/11/28 01:19:52 eJWJUaRr
筆がなかなか進まない


ので、息抜きにドラマCDニア描きますた
ネタバレ注意
URLリンク(sakuratan.ddo.jp)

65:名無しさん@ピンキー
07/11/28 01:34:36 GSDJC6dZ
ちょww金蔵さんGJ
おれも疑問に思ったんだよなんで理事長の言うままに校舎営繕してるのかって
お礼に親のいないシモンを理事長の家で面倒みてるのかなとか考えたんだが、それもアリだなw

66:名無しさん@ピンキー
07/11/28 01:39:03 2i/08eMG
>>64
GJJJJJJJ
あのドラマCDのニア、声のトーンにエロスを感じて困ってるww

執筆作業中なんだな、
まったり待ってるから頑張ってくれー&

67:名無しさん@ピンキー
07/11/28 02:07:19 /4tBKESx
保守

68:名無しさん@ピンキー
07/11/28 02:14:38 g7vlCz2l
ドラマCD聞きてー

69:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:35:49 tUKmXQ3G
>>68
それはお前が買うんだよ!

70:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:24:31 G/27/hJJ
理事長の歳が気になるなー
シモンより年上っぽいけどアニキよりは年下っぽいし
理事長はちょっと暗めのシモンくんに優しく筆卸してあげるといい

71:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:27:51 aJ+oiEfp
ここは静かだが俺の脳内では艦長とニア姫ストーリーが
ちゃくちゃくと進行していてだな
現在紆余曲折の末にやっと心通いあったところで
ニアがメッセンジャー化したよ

結局運命はいつも俺を裏切るってぶちぎれて
リーロンに黒ニア捕獲装置の製作を強要→ニア捕獲
「忘れたか?はっ、思い出させてやるよ、お前は俺の女だってことをな」
で公開r… 処罰に至ると

艦長にはS心を煽られるなぁ

72:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:31:51 ozECN2w9
>>71
さあ一刻も早く執筆作業に(ry

73:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:40:10 5pb1TEzR
>>70
子供って言われてたからなあ
どうなんだろ

74:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:45:11 LD7B3sEr
ロシウとギンブレー以外は1,2部の年齢ぐらいだと思ってた

75:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:37:07 EVXMytUN
ドラマCD版でシモニア、カミヨコ(は違和感無いか)、ロシキノ、ダヤキヨ等を無理やりくっつけようとするとどうなるのかね

76:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:47:01 jGrUgnET
ネギ先生だって10才で先生なんだ。ニアが14ぐらいで理事長でもおかしくない。天涯孤独で生活すら困ってるシモンが学校に行けるのもニア理事長の援助があってのことだな。

77:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:52:09 dqriwIiI
キノンは普通にロシウの部下してそうだとおもた

>>71
わっふるわっふるわっふる
艦長の台詞に俺の螺旋力が天元(ry

78:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:57:27 gKHmgcmU
つまりいけない理事長を修繕してやるってことですか
URLリンク(sakuratan.ddo.jp)(ネタバレ注意)

79:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:00:29 aJ+oiEfp
>>78
キッタァアアアアア
ただでさえバリエーションの多いしもにゃーにさらなる新境地が!
エッロイよ理事長修繕ハァハァ

80:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:06:33 GSDJC6dZ
営繕は理事長の援助に対するお礼かなw上下関係がたまらんのう
>>71
お前の脳とおれの脳を共有するにはどうしたら良いだろう
黒ニアと艦長のセクースはすっげーエロそうだ…ハァハァ
>>78
GJすぎるww素晴らしい…!理事長エロいよ理事長
さすがは穴掘りシモンくんwニアの穴を掘るのはいつだってシモンなんですね

81:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:54:01 G/27/hJJ
>>78
早速学パロネタktkr
シモンがちょっとキモいけど理事長が艶めかしいからおkww
クスクス笑ってけしからんな理事長はwいいぞもっとやれ!

82:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:09:49 0ZqCTy/x
>>78
キタアアァァァン!!GJ!相変わらずの上手さに天元突破GJ!!
シモンの手が、理事長の表情が、全てがエロすぐる

83:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:35:16 ovm4zf+g
>75
ロシキノ部分は妄想完了してる

グレンラガンにあっさりやられて倒れてるロシウとか
スパイ作戦ダカナンダカで、見るからに怪しい格好のロシウとか
とにかく偶然出会って、敵同士なんて知らないまま惹かれあって
キノンはスケバンやめて、兄姉妹に「変わったな」とか言われたりした後
戦場(って街中だよな)で再開するんだよ

「まさか君なのか、キノン」
「そのデコ…まさかロシウさん!?」

撃たないで、と懇願するキノンとか
「今日はこの辺で勘弁しておいてやる」と
去っていくロシウ(←どうみても負けてる)とか、そんな展開


84:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:22:17 xJt0MX2b
>>78
ちょw男のドリルで理事長を修繕するんですかw
理事長室で繰り広げられる二人の裏の関係をうっかり見てしまった市原悦子な気分だ
GJ!!

85:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:03:54 Tfzvy+cR
どうでもいいが、>>79>>82の第一声が、いっしゅんキタンに見えた。
だがあえていわせてもらいたい。
>>78
きたぁあああああん!GJ!!!いけない理事長は灰ニアなイメージw

CDのダヤキヨは、先生(だっけ?)とスケバンでなかなかいいんじゃないかと。

86:名無しさん@ピンキー
07/11/29 07:33:33 ww7ob5r2
>>74
島本絵を見る限り、年齢は変わらんと思う。
つか、何でロシウだけ3部仕様なの?

87:78
07/11/29 08:31:04 NNNKOfrm
>>64の金蔵さんのネタからってことで

>>81
キモくて根暗な男子生徒とあれな関係を持つ理事長を描きたかったんで無問題wwww
ごめん、志門


88:名無しさん@ピンキー
07/11/29 10:09:10 rtTb0RsO
>>83
シリアスなのにやっぱりロシウはヘタレデコ悪役なのかw

ヤクザ(?)ロシウとスケバンキノンで悪役バカップルっぽいのも新鮮かもしれんと今思った

89:名無しさん@ピンキー
07/11/29 10:18:24 FRwDv3gu
>>83の妄想に全俺がはぁぁぁあんした

いいなそれ!
ロシウのお馬鹿具合(しかし至って真面目)とキノンの更生っぷりが見てみたくなったw

90:名無しさん@ピンキー
07/11/29 17:44:04 Usedujdn
>>78見逃した…
俺に螺旋力があれば…


91:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:15:50 0vGsSYqQ
>>87
確かにCDの志門は根暗でちとキモかったw
動け僕の電動ドリル…ってぼそぼそ呟くのがまたなんとも
理事長はそんな志門でも好きなんだろうなぁ

92:名無しさん@ピンキー
07/11/29 20:44:25 SAc0/Jl4
>>91
つまり、CDを一言で表すと、
「 島 本 詐 欺 」
と言うことでよろしいか?

93:名無しさん@ピンキー
07/11/29 20:53:35 nBar0X1i
堀田くんは本編シモンに
IN 根暗
OUT 気弱
な感じ。詐欺ってほどじゃねえな

94:名無しさん@ピンキー
07/11/29 20:53:43 cA2TpKZJ
>>92
買ってないのか?詐欺なんて言葉出しようなく熱いぞ
特にロシウとヴィラルと兄貴が

てか兄弟合体もダブルギガドリもしてるしシモンもなんだかんだいつも通り熱いか

95:名無しさん@ピンキー
07/11/29 20:55:02 v35Hco7Z
>>92
確かに、ニアとシモンは詐欺
ガキ大将シモンの髪を鷲掴みながら指差して叫んでる理事長ニアってどんだけ・・・
表紙は多元世界の一つ、島本ワールドでおk

この世界ではシモンが転校生だったりツルペタフェチなキタンが居たりするかもしれんぞ
心に棚を作れ!!

96:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:22:32 TCZeyzFi
ニアとシモンに限らずカミナとヨーコもあのジャケ絵ほど濃くはなかったなw
やはり島本が描くと暑苦しさが倍増する

97:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:38:26 qvWeFw4i
ジャケ絵の印象→聴いてみての印象

兄貴:熱いな!→アホだな!(しかし敬語が使えたのは意外だった)
シモン:テラ転校生www→なんかちょっと黒いよこの子
ヨーコ:いわゆるお転婆キャラってやつですね!?→あれ?なんか影薄い…
ニア:最強キャラっぽい→最強キャラだった

ジャケにいない人たち
キタン:→なにげに一番おいしくないかお前
三姉妹:→元ネタ古いよ!3人とも兄ちゃん思いなのは嬉しいけど
ロシウ:→デwwwwwコwwwwwwww
ヴィラル:→それにしてもこの檜山、ノリノリである
ギンブレー:→お前そういう役どころでいると一番輝いてるよ

98:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:42:06 Qc1sM4kU
デwwwwwwwコwwwwwwwwww

ヴィラルは最終回のホスト風の格好だろうか


99:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:44:38 9NzwOkgo
ラジオCDのシモンはなんだろうと思っていたが、そうか黒かったんだなw
7話の策士っぷりと舌ぺろりを思い出したよ

100:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:51:07 xJt0MX2b
舌ぺろりって言うとな
ぺろっ この味は!……ウソをついてる『味』だぜ…って言うジョジョ風のシモンを想像するから勘弁してください

101:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:53:24 cA2TpKZJ
>>100
あ、言いそう言いそう
堀田君にはやや変態チックな黒さが似合うww

102:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:55:02 kct3sKFM
>>100
>ぺろっ この味は!

コナンを連想したw

103:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:56:10 Tfzvy+cR
>>100
誰の味見してるんですか、堀田君w

104:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:02:15 Qc1sM4kU
本編が完璧にシモン×ニアで他が入り込む余地無いけど、シモンとキヤルとかシモンとダリーとかね・・・みたいんですよ・・・

105:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:10:48 9NzwOkgo
>>100
そりゃすまんかったw
しかもドラマとラジオ間違えとる

コナンつながりで探偵事務所とかいいな
所長がニアで探偵が堀田、ロシウが助手で刑事がダヤッカ
ダヤッカ行きつけのバーのママがリーロン
黒の三兄弟がキャッツアイで…兄貴は怪人二十面相か?

ドラマCDまたやってくれんかなあ、ガイナ

106:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:17:41 NNNKOfrm
ノシ普通にシモン×ヨーコも見たかったりする

107:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:27:18 VAY6XVdd
お互い一番好きな人を失ってしまい
その心の隙間を埋めるためというわけでもないが
なんか男女の友情の延長線上で性交に及ぶ
艦長(nonやさぐれ)×ヨコを以前目にしてわっふるわっふるしたことを思い出した。

つまり何がいいたいかというと、艦長ヨコもいいよね、という

108:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:27:32 KpIP/qtg
すみません
ドラマCD聴いて初っ端妄想したのは
理事長×ヨーコでした・・・

109:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:31:44 xJt0MX2b
>>101
変態チックな黒さってwそう言われると確かに堀田君はマニアックな感じがするな
>>108
ちょっと百合っぽかったよなw

110:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:36:45 3/d1H9SM
俺は普通にシモン×ダリーが読みたい、
が書いてくれる職人がいない。・・・自分で書けということか!

111:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:43:19 TCZeyzFi
じゃあおれはニア×ロシウが見たいかな
前スレかなんかでニアに媚薬盛られて勢い任せに襲うロシウがなかなか良かった

112:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:49:24 1byyaixa
ここであえてチミルフ×アディーネ様を推したい
漫画のあれは反則だろ…

113:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:49:51 lFN0Bhvh
実はギミー×ダリーが好きなんだが
近親相姦は良くないよな…うん

114:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:51:43 z+H77VCU
ここで一つ螺旋王×アディーネ様をだな…

115:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:01:04 qvWeFw4i
ここで一つテツカン×シベラの補完を

116:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:02:12 MUnYoLWN
キヤシモかキヨシモがみたい、3P的な感じだとさらに良い


117:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:05:55 xfeg6GOi
カミナ君とニア理事長も良いな

118:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:11:43 FzS9zKck
あのカミナが敬語を使ってることに感動したよ
ニアとアニキの夢の共演はなかなか良かった。おれもカミナ君×理事長良いと思うw

119:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:15:19 s1E5OKWJ
そういやグレンで乱交って見たことないな

120:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:22:00 hjubF/xz
同人誌でチラッと見た気がする
肝心なところはリーロンにブラックアウト処理されてしまっていたが

121:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:22:48 HlQQdm3i
ちょwww
リーロンwww

122:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:41:50 mDr+vjZH
シモニア厨だからちょっと去ってるかな。

123:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:51:13 s1E5OKWJ
>>120
ごめんこのスレでって意味で
同人だとシモン、ヨーコ、ニアのハーレム3Pはよくある気がする
黒兄弟4Pとかシモニアロシキノ4Pとか、ありそうでない

124:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:56:13 wTS+Nr84
妹たちに至れり尽くせりされてるお兄ちゃんはぁぁぁあんな展開はまだですか

シモニアロシキノ4Pだとどうしてもロシウ一人がみじめな思いをしそうな気がするのは俺だけではないはず。

125:名無しさん@ピンキー
07/11/30 01:04:53 FzS9zKck
ロシウ1人が涙目になってる姿が目に浮かぶよ
突っ込み入れるけど結局3人の勢いに流される哀れなロシウが

126:名無しさん@ピンキー
07/11/30 01:09:37 hjubF/xz
今こそノリツッコミ王の力を借りる時だ
(注:何の役にも立たない)

127:名無しさん@ピンキー
07/11/30 08:59:59 jBdLRuJp
ここは一つ黒の三姉妹にいろいろ弄られる一部シモンで

128:名無しさん@ピンキー
07/11/30 12:26:42 03zsPcq+
>>116>>127
お前たちとは気が合いそうだ

キヨウのおっぱいに挟まれながらキヤルに足コキされてキノンに顔を跨がられてるような同人ねえかな

129:名無しさん@ピンキー
07/11/30 17:41:14 QWhSFmyh
>>108>>118
俺、基本的にシモニア厨だけど、理事長×ヨーコもカミナ×理事長もちょっと見てみたい…

つか堀田君ってシモンの事でいいんだよな?ドラマCD持ってないんでわかんないけど

130:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:17:26 gxG0jnI+
ほうほう。
ダリー×艦長とはこういうことかね?

131:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:19:43 gxG0jnI+
皆が寝静まった夜、わたしは気まぐれでテッペリンの頂上に向かった。
まだわたしが小さかった頃に始まったテッペリン攻略戦は、三年の歳月をかけてようやく成った。
しかしそれでも、人々は地上を我が物にした喜びに打ち震えながらも、地上奪還の英雄に不信感を募らせ、ついに政府中核である大グレン団においてクーデターが起こった。
ロシウを始めとするクーデター派は突如として総司令閣下の自宅を襲撃。
あわや政権交替とまでなったが、総司令閣下の元に突如飛来した小型人型ガンメン「ラガン」が上空より飛来。
直下しながらロシウを貫き、政権交替は失敗に終わり、ロシウは総司令閣下の刀の錆となった。
そうして、総司令閣下は大グレン団内においてさらに孤立した。
人は彼を、むしろ皮肉をこめてこう呼んだ。
地上奪還の英雄・シモン。



実際、私もシモンの事が判らなくなっていた。
ヨーコをどこかの島に送ってしまい、螺旋王の子供を幽閉し、ロシウを殺した。
すくなくとも、今のシモンに近づくものはブタモグラのブータだけだろう。
ギミーはロシウを殺したシモンを心の底から憎み、シモンもまたギミーに対しては人一倍辛く当たっている。
事実上、彼は一人ぼっちだった。
なぜこうなってしまったかといえば、それはカミナが死んだことが全ての原因だろう。
あれ以来シモンは幽鬼のような表情をして獣人を虐殺し、命乞いをする獣人や背中を向けて逃げ出す獣人さえも容赦なく殺した。
そして一年前、このテッペリンを舞台として、最後の戦いが始まった。
人々はシモンを先駆けとして我先にとテッペリンを蹂躙した。
そして、数時間にわたる戦いの後、突如として獣人のガンメンは活動を停止。
占領を試みてテッペリンの頂上に昇った私たちを待ち受けていたのは、刀と自分を血まみれにして泣きじゃくるシモンだった。
その光景があまりにも美しかったからだろうか。
わたしはそれが忘れられなくて、時折こうやってテッペリンの頂上に上っている。
夜の不気味な廊下を抜けて、いつも半開きになっているシャッターをくぐれば、もう外である。
わたしは身をかがめて滑り込むように頂上に出た。

132:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:20:37 gxG0jnI+
そこには、シモンがいた。
星の光を浴びて、黒ずんだ血がべっとりとついた刀が、彼の象徴とも言えるコアドリルが輝いている。
寝ているのだろうか、彼は空を見上げるように頭をもたげてラガンに腰掛けていた。
わたしは、なんとなくあの夜の事を思い出してシモンに近寄っていった。
彼はまるでこうもりのように黒いコートに身体をくるんで寝ていた。
その様子がなんだか子供っぽくって、わたしはなんとなくシモンの手を握ってみた。
急に、懐かしさがこみ上げてきた。
アダイ村から出てきたとき、初めて火山を見たときも、こうしてシモンの手を握っていた。
わたしはシモンのコートに包まり、彼に身を寄せた。
すると、彼が小声で何かを呟いているのが聞こえた。
わたしはコートを這いずってシモンの顔の辺りまで寄って、彼の寝言を聞こうとした。
「す……ない」
よく聞き取れなかったが、もう少し近寄れば聞こえる。
わたしは彼の顔と自分の顔がくっつきそうなほど顔を寄せて、彼の寝言を聞いた。
「……すまない、みんな」
聞かなければ良かった。と、わたしは思った。
彼は続ける。
「もう誰にも死んでほしくないんだ……。
ヨーコのこと、嫌いになったんじゃない。ロシウのこと、殺したいなんて思わなかった。すまない……」
それだけ呟くと、彼の目に涙が浮かんだ。
コートを握る手のひらに力が入り、わたしの事を強く抱きしめた。
わたしは彼の首を優しく抱きしめ、ぺろりと涙をなめた。
きっと彼は、誰もかも大好きなんだ。
それだけなんだ。と、呟いて、わたしは彼のことをいっそう強く抱きしめた。

133:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:21:17 gxG0jnI+
あれから三年たって、わたしたちは宇宙に出た。
始めの三ヶ月はアンチスパイラルとの戦争が続き、それからは終わりの無い殲滅戦が続いている。
わたしは―。
「なんで、シモンなんだよ!」
「なにがいけないの!」
割り当てられた部屋に、双子の怒号が飛び交う。
「だって、シモンはロシウを殺したじゃないか! なんだってそんなやつを!」
「ギミーは、シモンさんのこと何もわかってない!」
わたしは思わずギミーの頬を平手で叩き、早足で部屋から出て行った。
叩いた右手が痛い。
こんなことばっかりでイヤになるけど、それでもわたしは彼のことが好きだった。
早歩きで自分の部屋に向かい、わたしはベッドに倒れこんだ。
別に、ギミーのことが嫌いになったわけじゃないし、ロシウのことを忘れたわけじゃない。
―ただ、それ以上にシモンさんが好きなだけ。
「シモン……さん」
自然と、右手が胸を触っていた。
ゆっくりと触ると、ほんの少しの寒気とともに自分の胸が大きくなってきていることに気付いた。
「シモンさん……好きぃ」
中心にわずかに感じるしこりをやさしく押すと、心地よい痛みを伴った快感が体中に走った。
そこを執拗にねぶると、徐々に体中が痺れ思考回路が麻痺してぼんやりと彼のことだけを考えた。
かつて無い快感だった。
自分にもう二本腕があって、体中を優しく愛撫するような、信じられない快楽。
「はぁ……シモン、さぁん」
正体不明の二本の腕は、じきに下腹部を撫でるように動き始めた。
鳥肌が立つような恍惚感が脳内を犯して、わたしはなす術も無くその腕にほんのりと湿った下半身をさらけだした。
指はゆっくりと往復するようにわたしの秘部をなぞり、ゆっくりと中指がわたしの中に侵入した。
「ひゃぁ……ん」
もう何も考えられなくなって、腕の為すがままだった。
しかし―。
「ん! んんぅ」
突如、わたしの唇が何かで塞がれた。
その瞬間わたしは夢から覚め、目を大きく見開いた。
ぼやけた焦点が徐々にあうと、真紅の大グレン団のマークが目に映った。
どう考えても、シモンさんのコートである。
ようやく唇を解放されたわたしは、大きく息を吸い込んだ。
「な、なんで……シモン、さん」
「なんでもどうしても、ここは俺の部屋だぜ? ダリー」
「え……」
そういえば、そうである。
普段ベッドの上に大切においてあるぬいぐるみが無い、適当にぶら下げてあるパイロットスーツが無い。
何故だ―!
「まぁ、かまわねぇ。俺の部屋であんなことしてたんだ、そういうことだろ?」
そう呟いて軽く笑うシモンさんに顔を覗き込まれて、わたしはうなじまで赤くなるのを感じた。
すると、もう一度シモンさんがわたしを覗き込んで、唇に吸い付いた。
「ん、はぁ……」
そのままベッドの上に押し倒されて、彼はわたしの足を大きく開かせた。
「し、シモンさん……やです、恥ずかしいです」
すると彼は、わたしのおでこに自分の額を当てて、「俺の名前を呼びながら自慰をするのは、恥ずかしくないのにな」と、笑い混じりに呟いた。
今度は、首の根元まで真っ赤になったかもしれない。
彼は顔を抑えてもだえるわたしを抱きしめながら、ソレをわたしの秘部にあてがい、ゆっくりと差し込んだ。


―それから二日間、乗組員全員には休暇が言い渡され、ダリーに謝ろうと考えたギミーは丁度二日後に疲れきったダリーを艦長室で発見した。

134:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:22:28 gxG0jnI+
すまん、肝心なところ書いてない
本当にすまん、ダリーが恥ずかしくなる以前に俺が恥ずかしくなったw

135:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:26:24 v6ArRt7L
シモン(´;ω;`)ブワッ
そういう宇宙も存在してしまうのが怖いところ。そしてダリーえろかわゆす

136:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:29:06 r4wL8j+M
とうとう俺のダリーきたああああああああああああああああ!
設定は暗いが幸せだ!!!11

137:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:41:46 JcHlXw95
ギタアアアアアアアアアアアアアアアア

138:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:50:13 jZpIEMs2
ずっと前から待っていたダリー話キター!
GJ

139:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:54:10 DDhWlyUW
はじめに(´;ω;`)ブワッと泣き、ダリーの可愛いさにニヤニヤしてしまった。
しかしこの艦長シモンは孤独だな…

140:名無しさん@ピンキー
07/12/01 04:33:41 6pJv+Zkz
ダリー待ってた!
待ってたよダリー!!

141:名無しさん@ピンキー
07/12/01 09:11:16 REKW4SzE
シモダリ好きって俺ぐらいじゃないのか、と思ってたら
大量にシモダリ派が涌いててフイタww
仲間がいてくれて俺は嬉しいw

142:名無しさん@ピンキー
07/12/01 13:39:54 r4wL8j+M
>>113な俺の本命はギミダリなんだが、さすがにそれはなw
正直、女性キャラの中でダリーが一番好きだ
しっかり者で女の子らしくて淡いピンクの髪に細い体だぞ
かわええのうかわええのう

143:名無しさん@ピンキー
07/12/01 13:51:36 wb9lj8zN
つかロシウwww

144:名無しさん@ピンキー
07/12/01 13:56:45 dYBYLyE5
ロシウ、ラガンに串刺しに(性的な意味で)されたのか・・・

145:名無しさん@ピンキー
07/12/01 14:22:49 VVwtPf6c
>>144
お前の言葉で、最終話ロシウにラガンさんが
(性的な意味で)ラガンインパクトかます同人誌が出る事を想像しちゃったじゃないかw
あまりの事に鼻から噴出しちゃった俺のカルボナーラを返せ

146:名無しさん@ピンキー
07/12/01 14:28:58 C+qhiRxn
>>145
新機軸すぎてフイタwwwwww
それはお前が出すん(ry

147:名無しさん@ピンキー
07/12/01 14:29:45 O4oM2XAB
すしジェノム以来の驚きの新カップリングだな



まっするまっする

148:名無しさん@ピンキー
07/12/01 14:40:35 oyfzziT4
ラガロシ

149:名無しさん@ピンキー
07/12/01 14:41:37 2QLvR8Lz
自分シモニア厨だけど、
今回シモダリ読んで新しい扉が開けた気がするよwww
以前誰かがレスしてたけど、投稿したその時から需要が出来るってこの事だと思った。

150:名無しさん@ピンキー
07/12/01 16:22:55 s2vs+QDd
シモンとダリーって本編じゃほぼ絡みないけどなw
まぁ本編とは全く別物と考えればなんでもアリだ

151:名無しさん@ピンキー
07/12/01 16:32:23 6pJv+Zkz
ここの投下物は良作が多いから、割と何でも受け入れられるなあ

152:名無しさん@ピンキー
07/12/01 17:00:19 REKW4SzE
>>150
おいおい、シモンおかえりー、だきっ
という最高に美味しいイベントがあったではないか!

153:名無しさん@ピンキー
07/12/01 17:07:41 s2vs+QDd
>>152
そういえばそんなことあったな。14話だったか
おれはかぼちゃパンツ履いてダルそうなダリーが好きだったよ

154:名無しさん@ピンキー
07/12/01 17:13:05 GHZfyGw4
ロシウ殺された恨みでキノンがシモン殺そうとして逆に犯されて(ry
まで読んだ

155:名無しさん@ピンキー
07/12/01 17:25:16 REKW4SzE
とりあえずシモダリ派でキタキヤ派な俺は異端にも程がある
と言う訳でちょっくら異端審問受けてくるわノシ

156:名無しさん@ピンキー
07/12/01 18:24:57 QfhEKyFu
俺もキタキヤは好きだ。
いつも「にいちゃん」って呼んでたキヤルが20話で「お兄ちゃん!」って叫んだときに開眼した。

157:名無しさん@ピンキー
07/12/01 18:40:16 BqM9s627
>>142
実は俺もギミダリ派だったりするんだぜ。

近親相姦だからこのスレでは望むべくもないが。

158:名無しさん@ピンキー
07/12/01 18:41:49 lo2UlL4+
初代エロパロ板でキヤヴィラに覚醒した同志はいないのか・・・・・

159:名無しさん@ピンキー
07/12/01 20:04:57 AoFAdgAX
>>143 >>144
エロパロ3の時に谷底にラガン捨ててきたって
描写を誰かかが書いてたからそのまま乗っかった。反省と後悔だけはしない
>>142 >>157
君らが書くのを皆が待ち望んでるんだ。失望させるなよ、兄弟!

160: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:51:42 O4oM2XAB
そういえば艦長は酷い人だったんだということを思い出したので酷い艦長×ニア姫投下。
愛はあるけど艦長が酷い。
陵辱なんてものでもないけどラブラブ以外駄目って方はスルースルー


161: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:52:19 O4oM2XAB
人肌の温もりが気持ちのいいものだと知ってから、しばらくの時が流れた。



いつもの時間、いつもの部屋。いつものように全ての他人を拒むかのような重苦しい空気を纏い、彼はニアの元を訪れた。
いつもと同じようにあまり意味の無い他愛ない会話をぽつりぽつりとし、その後に関してもいつもと同じ。
豪奢な天蓋のついた寝床にニアを引き倒し、自分の欲が満たされるまで好きなように身体を貪る。

今までと何も変わらない、同じような絶望の日々が繰り返されている―はずだった。
だが、同じではなかった。明らかに変化はおこっていた。


変わったのは、彼のニアに対する接し方だった。
相変わらず粗野で強引で、こちらの話を聞こうともしないような不遜な態度には変わりない。
―しかし、荒っぽいは荒っぽいが、本当の意味での乱暴さは影を潜めたような気がするのだ。


彼に監禁された初めのころは、ニアの身体には生傷が絶えなかった。
憎しみに瞳を燃やす彼に首を絞められたこともある。抵抗するたびに腕を捻り上げられ、あちこちに鬱血の痕が残った。
言葉での罵倒も酷いものだった。ニアの父にぶつけられなかったものをそのままニアにぶつけるかのように、連日二度と思い出したくもないような言葉でなじられ続けた。

「自害などと馬鹿なことを考えるなよ。そんなことをしたら、お前の世話をさせている女達まとめて後追いさせてやるからな」

怒りに支配されて彼を睨みつけると、嘲るようにそう告げられた。
殺してやりたいほど憎い、という感覚をニアはあのとき初めて味わったのだ。
もっとも、それを実行することはニアの誇りが許さなかったが。
憎しみに任せて命を奪えば、あの男と同じになってしまう。獣以下の所業だ。それこそ、死ぬより嫌だった。

―たとえ殺されたって、決して殺してやるものか。
その代わり、死ぬまで憎んでやる。

男に抱いた感情は、今までニアが知ることがなかった、他者への初めての負の感情だった。



162: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:52:45 O4oM2XAB
ニアが憎んだその乱暴さが―消えつつあった。
暴力も罵倒も以前から大分減りはしていたが、最近それが特に顕著だ。
とくに変わったといえるのが、彼がニアを抱くとき。
強引な態度は相変わらずだが、最低限のニアへの気遣いらしきものが見えるようになった。
痕が残るような強い力で押さえつけることもなくなったし、ニアが「本当に駄目なとき」は、何も言わずに部屋を去ることすらあった。
どれも最初のころでは考えられないことだ。以前であれば、欲を満たすためならニアが泣こうが喚こうが眉一つ動かさなかったあの男が。
いつだったか、月の障りで本当に無理なのだと屈辱と羞恥に耐えて泣きながら告げたら、風呂場に連れて行かれたことがあった。

―あれは本当に最低だった。思い出すだけで胸が悪くなるようだ。


そんな男が、今はニアのことを少なからず慮っている。
新しい花を携えて、ニアの元を訪れる。
花を受け取るニアの表情を、どうでもよさそうな素振りで―しかし実際には注意深く窺うように見つめる。
食らいつくような激しい口付けの合間、何か言いたげな切ない視線をニアに向けてくる。




本当は酷い人なのよ。いくら変わったといっても。
そんな人の胸に、どうして私は甘えているの?
彼にされたことを忘れたの?


ニアは自問する。
変わったのは彼だけではない。ニアもそうだった。
毎日毎日、ニアの元を訪れる彼。話題などそうあるはずもないのに、それでも何かを話そうとする彼。
とうとう会話が途切れて気まずい沈黙が部屋を支配すると、少し困ったように視線を泳がせて―ニアの肩を抱き寄せる彼。


ああ、私はどうして彼の一挙手一投足をこんなにもはっきり覚えているんだろう。
抱き寄せられて、好きなようにされて。全てが終わった後、それでも彼が私の身体を離さずに引き寄せる。
それを心地良く感じるようになってしまったのはいつからだろう。


彼の肌の温もりが気持ちいい。
寝顔の彼は普段の険が取れて、どこにでもいるごく普通の若者に見えた。彼の年齢がいくつなのかは知らないが、少年のあどけなさすら残っている。
しかし閉じられた目元には、彼が経験した憎悪と絶望、そして倦怠による疲れが色濃く影を落としているように思えた。
この目が父のものと似ていることに気づいたのは、最近のことだった。



仇を父に似ていると感じるなど、父への冒涜以外のなにものでもない。
それ以前に、こんな穏やかな気持ちでこの男の寝顔を見つめていること自体が父への裏切り行為だ。
忘れてはいけない。自分はこの男に酷いことをされた。何度も、何度も、何度も。

ニアは彼の寝顔を見つめ、必死に憎悪の念を思い起こそうとした。
思い起こさないと憎めないという時点で、すでに憎しみは氷解し始めているのだということには気づけなかった。



163: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:53:46 O4oM2XAB
※※※※※


「脱げ」

冷酷に告げられた言葉の意味が最初わからず、しかし次の瞬間には理解し―ニアは絶句した。
唇を噛み、ぎゅtっと握り締めた手元を見つめる。
身体が小刻みに震えるのは彼への恐れからか、それとも屈辱に対する怒りからか。
―おそらくは、両方だ。

「い、やです」
小さな声で、それでもはっきりと拒否の言葉を口にする。
どうして彼がそんなことを言ったのか、その経緯も動揺した頭ではよく思い返せない。
ニアの態度が気に入らなかったのか、何気ない一言が気に入らなかったのか。
しかし、そんなことはどうでもいいことだった。彼は常に、ニアにとっての暴君として君臨するのだから。

いつもならば力でニアを屈服させるのが彼のやり方だった。
それはニアにとって酷く辛いことではあったが、初めから勝ち目がないという事実は逆にニアの心を気丈に奮い立たせた。
力では絶対に勝てないけれど、心は絶対に負けない。屈しない。
そう思うことができたから、彼と出会ってから今日までの日々を生きることができた。

それなのに。

自分から脱ぐなんて、絶対に嫌だった。まるで自分から彼に抱かれようとする女のようではないか。


目を逸らして俯いてしまったニアの顎をぐいと持ち上げ、男はニアの顔を覗き込んだ。
そしてゆっくりと、ニアに絶望を突きつける。
「控えの部屋に使用人の女がいたな」
びく、とニアの肩が震える。
「耳から削いでやろうか。それとも鼻からか」

ぱん、という乾いた音が部屋に響く。後のことをまったく考えず、ニアは感情のままに男の左頬を思い切り引っ叩いた。
人を視線で殺せるのなら、間違いなくニアの瞳に映る男は死んでいる。
しかし瞳の中の男は殴られたにもかかわらず、どこか余裕すら感じさせる態度でニアを見つめ返した。
ニアに選択肢が残されていないことを理解しているからだろう。
「あなた、最低です」
震える声でそれだけ言うと、ニアは勢い任せに髪飾りをはずした。
男は、嘲るような笑いを浮かべてその動作を見つめていた。



髪飾りをはずし、ピアスをはずし、腕や腰を飾る宝飾具をはずす。ついには靴も脱いだ。
すべての動作は、服を脱ぐまでの時間稼ぎだった。
こうしている間に彼の気が変わってくれれば、まだニアの心は楽になれた。彼に屈服したことを、自分で認めなくて済むのだから。

しかし、その淡い期待は叶えられそうにもなかった。長椅子に身を沈めた彼は、獲物を嬲る獣のような視線をこちらに向けてくる。
ニアはぐっと唇を噛むと、ゆっくりと首元を彩る首飾りに手をかけた。―これを取ってしまえば、終わりだ。


164: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:54:24 O4oM2XAB
かちりという小さい音と共に首飾りがはずされると同時に、ニアが身に纏っていた薄桃色のドレスはするりと白い身体を伝い、落ちた。
足元に丸く広がるそれを恨めしく睨む。どうしてこんなに着脱が簡単なドレスを、今日に限って着てしまったのだろう。

ニアの身体を覆うものは、レースで飾り立てられた白いブラとショーツだけになった。
下着姿のまま何もされず、何も言われず、ただ彼の前にニアは立っている。しかし彼の視線は痛いほど感じた。ニアの身体を舐めるように見つめている。
首筋から鎖骨、その下の乳房の丸みを這い、白くなだらかな腹とくびれた腰のラインを伝って脚へと至る。

耐えられず、せめて両腕で身体を覆い隠しながら言った。
「……ぬ、脱ぎました。これで満足、なんでしょ?」
しかし、目の前の男は長椅子に寝そべったまま無慈悲に告げた。

「下着」
「……っ!」

かあ、と顔が怒りで赤く染まるのがニアにはわかった。

どうしてこんなことをするの。抱きたいんならさっさと好きにすればいいでしょ。一体人をどこまで馬鹿にすれば気が済むの。
大声で罵倒してやりたかったが、しかし怒りのあまり口元が震えてろくに言葉が出てこなかった。
結局そのまま黙り込んでしまったニアに対して、男はあざ笑うように追い討ちをかけた。

「なんだ、お前、俺に脱がせて欲しいのか?」
「じょ、冗談を言わないで!」

涙を滲ませて男を睨む。ああ、本当に憎らしい。きっと自分の人生で、後にも先にもこれほど憎める人間は他にいないだろう。

ニアは怒りに震える指先で、ブラジャーのホックへと指をかける。
ぷつん、という小さな感触の後、胸に解放感が訪れる。
白くたわわな乳房がこぼれると、長椅子の男の口元が一瞬緩んだような気がした。

足元にブラジャーを落とし、ショーツに指をかけるとゆっくりとずり下げた。
尻と秘所が外気に晒される感覚に、目尻に涙が滲んだ。
人として最も他人に見られたくない瞬間のうちの一つを、最初から最後まで舐るように見つめられた。しかも、最も嫌いな男に。


脚を伝わらせて下着を脱ぎ捨てると、今度こそニアは一糸纏わぬ姿となって男の前に立っていた。
いや、立っていられたのは最初の数秒だけだった。
羞恥と屈辱と、そして男の視線に耐えられなくなったニアは、細い二本の腕だけで自分の身体を守るようにして、その場に崩れ落ちた。
今もまだ、王のように長椅子に座りながらニアを視姦する男と、その前に跪いたニア。
彼の視線がニアを嬲る。恥ずかしさに歪む顔を、腕で隠されて柔らかく形を変えた乳房を、同じく腕で頼りなく隠された秘所を、外気に晒された脚を。

裸は何度も見られている。明かりが煌々と点いた場所で、何も身に着けていない姿で抱かれたことだって何度もある。
だが、だからといって羞恥を感じなくなるわけではなかった。むしろ、何もされずにただ見られているだけの今のほうが、何倍も恥ずかしかった。

「もう、いいでしょう?」
それはニアの、男への敗北宣言だった。

「早くあなたの好きにしてください」
何もされず、ただ見られていることに耐えられなかった。そんなことなら、さっさと暴力に呑まれてしまいたかった。

ニアの言葉に男は口元に歪んだ笑いを浮かべ、ニアの腕をぐいと掴むと、引きずるようにその身体をベッドに放った。



165: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:55:12 O4oM2XAB
ベッドの柔らかさがニアの心に安堵をもたらす。
いつも通りの絶望の時間が始まる。いつも通り耐えればそれでいい。そのことがただありがたかった。
それが敗者の思考だということに気がついていても、だ。


ベッドに腰掛け、コートを脱いだ男はニアに目をやり―しばらく何かを考えた後に言った。
「いつもと同じようにただ抱くのも、飽きたな」
「……え?」
言いようの無い不安を感じて、普段はまともに見つめたりしない男の目を、ニアは覗き込んだ。


「自分でしてみろ」


男の言うことが理解できず、ニアはきょとんとし―次の瞬間、今度こそ耳まで真っ赤にして悲鳴をあげた。
「い、嫌ですっ!」
「したことないのか」
「あっ、当たり前でしょう!? そ、そんなの―できるわけありません!」

変態! 色情狂! 無表情なその裏で、なんてこと考えるの!?
大声で思い切りなじってやりたかったが、あまりのことに声が出せない。
それに、ニアは既に理解してしまった。自分に選択肢などないことに。
目の前の男の瞳には暗い興奮の炎が宿っており、逃げ出すことなど出来はしない。


死んでしまいたい。
男と出会ってからもう何度思ったかわからない思いを、ニアは今までにない絶望感とともに胸に抱いた。





「ぅう……んっ……」
ベッドに寝そべり脚を開き、身体を洗うとき以外は直に触ったことのなかったそこを、ニアはゆっくりと撫でた。
自慰など一度もしたことがなかった。どうすればいいのかもわからない。
男は「自分の気持ちいいようにやればそれでいい」などと言ったが、ただ恥ずかしいばかりで気持ちよくなるどころではなかった。

男がどんな顔をして自分の痴態を見ているのかはわからなかった。想像したくもなかった。
ぎゅっと目を瞑り、ただこの悪夢のような時間が一刻も早く過ぎ去ってくれることを願って拙く指を動かす。
割れ目を何度か往復した白い指は、やがて秘烈の上部、小さく膨らんだ芽を恐る恐るなで上げた。
「んっ……」
ぴくん、と身体に快感が走る。口から快感に濡れた吐息が漏れた。

―ああ、この様も全部、あの男に見られているんだ。いやだ。いやだ。いやだ。
いっそ気持ちよくなった振りができるほど、自分が芸達者であればよかったのに。

男への嫌悪感と、羞恥心と快感に頭の中をぐちゃぐちゃにされながら、ニアは何度も肉芽を擦り上げた。
ぷっくりと膨らんだそこを撫でるたび刺激が伝わり、徐々に呼吸が速くなる。
身体の奥から何か熱いものがとろりと湧き出る感覚に、どうしようもない嫌悪を抱いた。



166: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:55:53 O4oM2XAB
「淫乱だな」
「っ!」
かけられた言葉に、かっと身体が熱くなる。そして―自分でも信じられないことに、言葉で嬲られると同時にニアの秘所は更に熱く蕩けた。
内側から愛液が溢れた感覚に身体が震える。
「も……やぁっ……!」
「ほら、もうこんなにぐしょぐしょだ」
「ひぁっ!」

言葉とともに、男の無骨な指がゆっくりとニアの膣内に侵入した。そのままかき回すようにニアの中を弄る。
「いやあっ、やめっ……! ひゃあ、あああんっ」
ぐちゅぐちゅと溢れた愛液は男の指を濡らし、肉襞はより深く男の指を飲み込もうときゅうきゅうと締まる。
差し入れられた指が二本に増やされると、ニアの身体は歓喜に震えた。
―心は、絶望に沈んだままだった。

はしたなく喘ぐニアの顔を、秘所を弄りながら圧し掛かるように男は見つめている。
「気持ちいいか?」
「ひっ、ん……!」
膣の天井を刺激され、濡れた声があがる。いつの間にかニアの脚は、ニアを弄ぶ男の腕をぎゅうと挟み込んでいた。
まるで、逃さないとでもいうように。

「答えろ」
「気持ち、いいです……っ」
男の熱い吐息を感じ、顔を背けながらニアは答えた。
このまま男がいつものように、自分を嬲ってくれればいいと願った。もう、これ以上の辱めには耐えられない。
しかしニアの願いとは裏腹に、男の指はずるりとニアの中から引き抜かれた。

「あぁっ……」
「なら、続きは自分でやれ」
「え……」
「気持ちいいんだろう? 最後まで一人でやってみせろ。見ててやるよ」

残酷に告げられた言葉に、ニアの唇は小さく震え―そしてとうとう小さな嗚咽が漏れた。
肩を震わせて、ニアはひっくひっくと泣き出した。

「も……もう、やだっ……! どうしてこんな、意地悪なことばかりするの……っ」
まるで意地悪な男の子に苛められた幼い女の子のように、ニアは泣きじゃくった。
見下ろす男の表情はわからなかったが、彼は泣くニアに対してゆっくりと告げる。

「なら、お願いしてみせろ」
「……?」
「自分でできないのなら、俺にどうしてほしいのか言ってみろ」

涙に濡れた瞳でぼんやりと彼の顔を見上げる。
「どうしてほしいのか」……?
ニアが彼に一番に望むことを正直に言うとすれば「もう私に構わないでください」ということになるが、そういうことではないだろう。
この責め苦から解放されるための言葉。彼が望む言葉を、ニアは口にする。


167: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:57:18 O4oM2XAB
「……抱いてください」
「もっといやらしい言葉で言ってみろ」

ぐ、と歯を噛みしめ、目の前の男を恨めしく睨む。
いやらしい言葉なんて、よくわからなかった。それでも懸命に考えて、より直接的であろう台詞を再度言う。

「あなたが、欲しいです……」
「……俺の、何が?」
言いながら、男は再度ニアの秘所をくちゅくちゅと弄んだ。

「やっ……!」
「いやらしく濡れたお前のここに、俺の何が欲しい?」
「何、って……」

ニアは動揺して視線をさまよわせた。「それ」が何なのか知っている。が、言葉に出して呼んだことなど一度もない。
そんなはしたない言葉を、この男の歪んだ快楽のために口にせざるを得ない我が身の情けなさに、つくづく涙が出る。

「あ、あなたの……おちんちんが、欲しいです」

小さな小さな声で言うと、目の端に新たな涙が浮かび上がってきた。
今夜、自分は何度彼に心を折られたんだろう。何故彼はこんなことをするんだろう。
しゃくりあげながら泣くニアの顔を、満足げな微笑を浮かべて男が覗き込む。
ニアの髪を撫でる手の動きは優しかったが、ニアにはそれが哀れみとしか思えなかった。


「螺旋王第一王女も堕ちたものだな」
ニアの耳を食み、彼は囁く。

「望み通りにしてやる」





※※※※※


「何を考えている」
不意にかけられた声に顔をあげると、いつの間にか目を覚ましたらしい彼がこちらを見つめていた。
その瞳は穏やか―といえるかどうかはわからなかったが、少なくとも今しがたニアが回想していた彼の瞳とは全く違っていた。
荒ぶる怒りも憎しみも、その目には映っていない。歪んだ情欲も燃えてはいない。

「少し前のあなたのことを、思い返していました」
回想を終えて彼の顔を見てもやはり憎悪の念が帰ってこないことに、自分に対する失望と、ほんの少しの安堵を感じながらニアは言った。

「随分酷いことをされたなあって。殴られたり、引きずり回されたり。肩、脱臼したこともありました。
服を自分で脱げって言われたり、むりやり自慰をさせられたり」
自分でも驚くくらいの淡々とした声だった。
されたことを言葉にしてみても、ニアの瞳をどこか傷ついたように見つめてくる彼に対して何の負の感情も浮かんでこなかった。


ああ、私もやっぱり変わってしまったんだ。
憎むことに疲れてしまったのだろうか。心が壊れてしまったんだろうか。
それとも、もっと他の理由があるのだろうか。彼のことを憎めなくなった、本当の理由が。


168: ◆Lpi7YUvTkQ
07/12/01 20:57:39 O4oM2XAB
「……もう、しない」
言われた言葉に、ニアは目を瞬かせる。
顔を覗き込もうとすると、男はふいと顔を逸らした。そしてそのまま寝返りをうち、ニアに背を向けてしまう。

……ひょっとして、拗ねたの?

以前の悪行を掘り起こされて、バツが悪くなったの? 傷ついたの?


背を向けた彼に気づかれないよう、ニアは小さく笑った。
もの言わぬ背中が、妙に縮こまって丸まっているようにすら見える。

なんだか、可愛い。

それは胸に自然に浮かんだ想いだった。かつてあれほど憎んだ相手にこんな感情を抱けることが不思議だったが、不思議と否定する気にはならなかった。
彼がニアに酷いことをしたことも、ニアが彼が憎んだことも事実だ。否定しようのない過去だし、消すことなどできない。
だから、今ニアが彼に対して抱いた気持ちも、きっと否定すべきではないのだ。

とはいえ、しばらくこの話題で彼をさりげなくいじめることは出来そうだ。
沈黙を続ける背中に静かに寄り添って、ニアはくすりと笑った。




169:名無しさん@ピンキー
07/12/01 20:58:16 O4oM2XAB
投下終了。
そろそろ本編シモニア書きたいとか思ってたら、志門×理事長漫画に妄想天元突破しますた

170:名無しさん@ピンキー
07/12/01 21:07:49 SQyswtw5
ぐぅっっっっっっっっっっっっっっじょぉぉぉぶ!!!!!

あんた最高だぜっ!!

171:名無しさん@ピンキー
07/12/01 21:14:24 bioFCPbu
す、すごい…めちゃくちゃエロいし艦長が鬼畜すぎる…!
文才ありすぎだw思わずこっちの羞恥心まで掻き立てられたよ
GJ!今度は本編シモニアも是非

172:名無しさん@ピンキー
07/12/01 21:37:45 2QLvR8Lz
ハアハアハアありがとう金蔵さん

173:名無しさん@ピンキー
07/12/01 22:06:15 QbluchaR
>>169
毎度乙です!艦長×姫はエロすぎるw
ここまで上手く文章書ける金蔵さんの才能に嫉妬
おれも試しに書いてみようと思ったことあるけど、全然上手く纏まらなかったよ

174:名無しさん@ピンキー
07/12/01 23:40:06 5gL1FekS
艦長すっげードSだなぁw
最近艦長のイメージが不器用ヘタレ男で定着しつつあったけど一気に一変したよ
ややS気質な自分には堪らない投下だった!ありがとう心から感謝する

175:名無しさん@ピンキー
07/12/02 00:52:21 va7KGxJ6
2日連続で根性入れてみる!
すまないがギミダリの要望には応えられなかった

176:名無しさん@ピンキー
07/12/02 00:53:05 va7KGxJ6
館内の電灯よりも明るい、満天の星の光が宇宙の海に輝いている。
艦首は色とりどりの星の光に照らされ、わたしは幾度も見てきた筈なのにその光景に言葉を失った。
「そんな珍しいもんでもねえだろ、いつも見てるじゃねえか」
と、傍らの彼がささやいた。
「それでも、この角度からこの光景を見れるのは、今だけです」
彼は、「そんなもんか……」と言ったきりまた星を眺めてしまった。
右手でコアドリルをもてあそびながら、真っ黒なコートを行儀悪く寝たまま羽織った。
すると、ゆるゆると艦首一帯に深緑の輝きが満ち始めた。
それを皮切りに、艦内のあちこちから眠そうなクルーたちが現われ、持ち場に着いた。
「ブータぁ、そろそろ全員そろったか?」
不意に、だらけていた彼が叫ぶと、どこから現われたのかブータさんが後ろに立っていた。
「リーロンさん以外は、全員そろいました」
「そうか、じゃあそろそろ始めるか」
彼は大きくあくびをすると、車のドアを飛び越えるようにラガンから艦首に降り立った。
その姿には先ほどのような倦怠感は無く、ただ白めの勝った凍りつくような瞳が星を睨んでいた。
「ブータぁ! 敵、情勢はぁ!」
「十二時、一時、四時の方向より、数分後にワープを確認。それより五分おき、無量大数規模の戦艦を確認しています」
圧倒的戦力差である。
かたや無量大数、かたや巨大戦艦一隻。どう考えても戦局は劣勢。
それでも―。
「上等ォ! 相手にとって不足はねぇ! やるぞ、ブータァ!」
もてあそんでいたコアドリルを右手で握り締めると、拳の中から溢れ出した螺旋力が艦首を照らした。
「行くぜ! グレンラガン、スピンオン!
―俺を誰だと思ってやがる!」
優しい銀河の歌が、耳鳴りのように響いていた。


177:名無しさん@ピンキー
07/12/02 00:53:59 va7KGxJ6
俺から三メートルほど離れたところで、ダリーは星を見ている。
なにがそんなに楽しいのだろう。
もう宇宙に出てからかなりの時間が経っているし、それまでの間に目に焼きつくほど宇宙を見続けたはずなのに。
それなのに、今も彼女は爛々と目を輝かせながら星を見つめている。
まるで舞い落ちる雪を眺める子供のように、今も彼女は手に入らないものを追い続けているのかもしれない。
そう考えると、彼女に何かをくれてやりたくなった。
俺は黒いコートをなびかせながらラガンから飛び降りると、彼女の傍に寄った。
彼女は俺を見定めるととろけるような笑顔を浮かべ、また星を見上げた。
「欲しいものとか、無いのか?」
そう尋ねると、彼女はころころと笑って俺のコートの襟を掴み、包まるように俺に抱きついた。
「この間、一番欲しいものが手に入ったんです」
よくわからなかった。こんな宇宙の辺境で今更手に入るものなんて無いのに。
「シモンさんは多分、わたしが言うまで判りません」
そう俺の耳元でささやくと、彼女は頬ずりするように俺の胸元にもぐりこんだ。
アレを抱くときには考えすらしない肌のぬくもり、何故だかそれが心地よくて、俺はダリーを優しく抱きしめた。
「それ、俺も手に入るかな?」
彼女はまた俺の方を見上げると、宙に浮くように緩やかに俺の唇に口付けした。
「きっと、いつかダリーがシモンさんに上げます」

178:名無しさん@ピンキー
07/12/02 00:55:00 va7KGxJ6
黒いコートの中にダリーを包みながらラガンの中で抱き合うと、一人ぶんの肌のぬくもりがやけに心地よかった。
ダリーの頬は早くも朱色に染まって、歳不相応の色香を発している。
彼女のうなじに顔を埋めながら優しく彼女の胸をまさぐると、動悸が激しくて少し、指が動きを躊躇した。
「シモンさん、はやく……」
少し首をひねって、彼女が俺にささやく。
俺はその声に押されるようにしてゆっくりと指を動かし、彼女はそれを受け入れてくれた。
少し、小さいのだろうか。
比較対象がヨーコだから多分それは失礼だろうけど、同年代で見ても小さいほうではないだろうか。
だが、そのぶん感度がいいらしい。
始めてからまだ三十秒も経っていないのに、早くも胸には取っ掛かりが出来ていた。
そこを重点的にこするようにして触ると、彼女は俺の耳元で悩ましげな溜息を何度もついた。
「はぁ……シモンさん、気持ちいいです」
俺は何故だかその言葉が嬉しくて、余った片手で彼女のことを強く抱きしめた。
彼女もまた自分のことを強く抱きしめているその手に自分の手をかさね、撫でるようにさすった。
「……ダリー」
何故だか、不意に彼女の名前を呼びたくなった。
「ふふ……何ですか、シモンさん」
意味なんて無かったんだから、答えようも無い。
だから俺は言葉の変わりに両手で彼女を抱きしめ、滑らせるようにして彼女の秘部に手を添えた。
彼女は一瞬驚いたように身体を強張らせ、それから身体をひねって俺の耳元に軽く口付けした。
その瞬間、今まにないような感覚が俺の体中を走り、動悸が激しくなるのを感じた。
俺は衝動のままに彼女のそこに指を差し込んだ。
「ん! んんうぅ」
彼女はまるで、愛しいものでも扱うかのように何度も何度も締め付けてきた。
俺はまた動悸が激しくなり、彼女を深く抱きこむとむさぼるように口付けた。
「はむっ……、んんぅ!」
くぐもった矯正を上げる彼女を、俺はなお強く抱きしめた。
「ふぅ! んんぅうぅ!」
一際深く指を差し込むと、彼女は俺の口深くに舌を突き入れて俺の舌をねぶった。
加速的に下半身から響く音が大きくなり、それに比例するように彼女は腕と舌を俺に絡みつかせた。
「ひゃっ、あぁあぁああぁぁ!」
不意に彼女は、俺の口付けを解くと一際大きい矯正を上げ、俺にもたれかかった。
俺はそんな彼女を後ろから強く抱きしめ、無抵抗となった彼女の秘部に自分を差し込んだ。
「あぁあああぁぁあぁあぁぁぁ!」
呆然としていた彼女は強い衝撃で不意に覚醒し、同時に少し涙ぐんだ瞳で俺のことを睨んだ。
「痛かったのか」
俺は、少々怯えながら言った。
「そうじゃなくて……、奥までいきなりだったから」
それだけ言うと彼女は自ら身体をよじって俺の方に向き直り、涙が滲んだ目で美しく微笑んだ。
もう一度、俺の心臓が痙攣したように暴れだした。
俺は自分の胸を彼女の胸に押し付けるようにして彼女を抱きしめると、彼女もそれがわかったように俺の背中に手を回した。
「シモンさん、―動いてくださぁい」
俺は飛び出しそうになる心臓を押さえ込みながら、じゃじゃ馬のように下から彼女を突き上げた。
「んっ、ひゃ、ひゃん!」
彼女はその度に甲高い叫び声を上げ、その度に俺のことを強く抱きしめた。
「ダリー。……ダリー!」
意味も無く彼女の名前を呼ぶと、腹の底に不思議な熱が沸き起こった。
彼女は優しく俺の頭を抱きしめて、自分の胸に俺を押し当てている。
それが―、堪らなく嬉しかった。
俺はスパートを掛けるように動きを激しくし、彼女もそれに呼応するように激しく動いた。
「シモンさん、シモンさん……シモンさぁん!」
壊れたように俺の名前を呼び続ける彼女の奥に、俺は強くそれをうちつけた。
「あ……ああぁあぁあぁあ。シモン、さぁん!」
彼女はそう叫んでより強く俺の頭を抱きしめ、俺もまた彼女の中に自分の精を出しきった。
彼女の肌のぬくもりが、嬉しかった。

179:名無しさん@ピンキー
07/12/02 00:56:00 va7KGxJ6
航海日記

ダリーと一緒に星を見た。
何故だか判らないけど途中から彼女を見ると鼓動が早まった。
初めてヨーコに会ったときと似てる。
でも、兄貴が死んじゃったときも、こんな感じがした。
風邪でもひいたのだろうか。
判らないけど、ダリーと一緒にいると、なんだか幸せになる。


しゅーりょー。
2日連続は疲れますたw

180:名無しさん@ピンキー
07/12/02 00:59:51 S+JMj3Gc
>>179
あんた神だ!神だよ!!
ダリーも艦長も幸せそうだしエロいしで、なんか色々天元突破した
ダリーかわええええええええええええええええええええええ

181:名無しさん@ピンキー
07/12/02 10:08:33 kOIn52uh
やっほう!驚きの連続シモダリだ!
俺も職人にならってキタキヤを書こうとしたら、
凄まじい鬱展開になってしまってワロタw
それでもやっぱり一応は完成させたい

182:名無しさん@ピンキー
07/12/02 11:05:58 hRQIv3Z4
>>181
待ってる

183:名無しさん@ピンキー
07/12/02 11:59:18 eNS6LFwE
>>181
お前の文才でスレを突け!

184:名無しさん@ピンキー
07/12/02 15:51:26 7Dh7ktzQ
wktk

185:名無しさん@ピンキー
07/12/02 20:51:40 x9zGfyMc
無量大数の上の位が紅蓮華(ぐれんか)と言うらしい…グレンラガンはその辺りからきてるのか?

186:名無しさん@ピンキー
07/12/02 21:12:12 XGHXhqeL
グレン 愚連・紅蓮
ラガン 裸顔
偶然じゃねえの?ムックには特に何とも書いてなかったし

しかし何でこのスレに…?

187:名無しさん@ピンキー
07/12/02 22:05:49 biW9gBaZ
>>181
wktk wktk

188:名無しさん@ピンキー
07/12/02 22:25:26 kOIn52uh
やっとでけた。キタキヤってよりキタ←キヤだけど。
初めてSSを書いてみたけど、思った以上に難しかった。
本職は凄いと思いマスタ。

作中でキャラが違ってたり、エピソードそのものも違っている箇所があるけど、
わざとなんで怒らないで下さい。かなりクドい仕様になってます。ご注意下さい。
一応13レス予定。
それではエントリー!

189:名無しさん@ピンキー
07/12/02 22:26:43 kOIn52uh
私は彼らに会う前の出来事をほとんど忘れてしまった。
両親の顔を覚えていない。ただ父親は冷たく、私はそんな父親を怖がっていたのは覚えている。
だから私は親の愛情というものを知らなかった。
でも親の愛情は知らなくとも、家族の愛情なら十分過ぎる程に知ることができた。
今でも忘れることのないあの記憶―

-*-

私は村人に厄介者扱いされていた。その頃は幼かったので理解できなかったが、
向けられる悪意は確かに感じられた。もっとも地上から迷い込んできた男が置き去りにした
子供に関わりたくないのは分からないでもない。
後に聞いた話によると、彼らは村に呪いがかかると恐れていたらしい。
バカバカしい。と一笑に伏すことができるのはその恐怖を乗り越えたからだろう。
ともかく、幼い私は村人も、地上の呪いもどちらも恐ろしかった。眠る家も無く、隠れる場所を探してそこで眠った。

190:兄と共に歩く道
07/12/02 22:28:16 kOIn52uh
その日も地震の為に数人が死んだらしかった。私は村の子供達に疫病神と責められ、石を投げつけられた。
逃げることも出来ず、私はうずくまり恐怖に震えているしかなかった。
泣きべそをかきながら、お願いやめて、と懇願していると、誰かが私と子供達の間に割り込んだ。
「おいコラァッ!てめえら何してやがる!?」
涙と鼻水でグシャグシャになった顔を恐る恐る上げると、目の前に髪が逆立った男の子が立っていた。
私はそれまでその男の子を見たことはなかった。まあこの時点では村に来て日が浅いからおかしくはないのだけれど。
「いいご身分だなオイ。 こんな小さな子を寄ってたかってイジめて楽しいかよ…? 少しは恥を知りやがれっ!!」
その男の子と子供達は言い合いになり、取っ組み合っての大喧嘩になった。
結果を言えば男の子が勝ってしまった。でも顔を青あざだらけにした彼の顔を見ると、私は申し訳なくなって泣き出してしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
自分が悪いのだ。よくは分からないけど、きっとそうに違いないのだ。私はひたすらに泣きながら謝り続けた。
「謝ることなんてねぇぜ。お前は全然悪くねぇんだからよ。…ホラ、もう泣くなって」
「でもわたしのせいで…」
「気にすんなって。あいつらと喧嘩したのはムカついたからだし、ケガをしたのも俺のせいなんだからさ」

191:兄と共に歩く道
07/12/02 22:29:41 kOIn52uh
彼に頭をなでられ、ようやく私が泣き止むと、彼は私をある場所に連れて行った。
そこは彼の家だった。中には2人の女の子がいた。なんでも彼とは兄妹らしい。
みんな孤児で血は繋がってないけど心の絆で結び付いた真の兄妹なんだ、と彼は力説していた。
2人の女の子は彼の暑苦しい演説にはいはいと相槌をうちつつ、私を風呂場へと連れて行き、
体の汚れを落とすと、傷の手当をしてくれた。2人とも優しかった。
彼らはここ数日、村の拡張工事のために出払っていて、私が村に来たことは知らなかったそうだ。
私が事の顛末をたどたどしく説明すると、
「なあ、行く場所が無いんなら俺達の家族にならねぇか? 3人が4人になったところで大して変わらねえしよ」
と彼は言った。家族とはどのようなものなのかを質問すると、一緒にご飯を食べて、苦しい時には一緒に苦労して、
楽しい時には一緒に笑うものだと答えが返ってきた。家族の暖かさを知らなかった私にとって、
それはとても幸せな世界だと思えた。ほんとうにいいの?とおずおずと尋ねると、
「こっちが誘ってるんだ。家族になるのもならないのもお前の自由だぜ。
まあ俺としては家族になって欲しいけどな。当然お前らもそう思うだろ?」
と彼は笑いながら答え、彼女達からは、「当たり前でしょ」「私末っ子だから妹が出来るのは嬉しいかな」
という答えが返ってきた。私が、かぞくになりたい、と小さい声で言うと、彼は破顔し、
そりゃあ良かった。こちらこそよろしくな、と私の頭をワシワシと撫でてくれた。

そこで彼は私に名前を聞いてないことに気付いたようで、
「そういやまだ名前を聞いてなかったな。なんて名前なんだ?俺はキタン、そっちの金髪がキヨウでメガネのがキノンだ」
と自己紹介も交えて尋ねてきた。しかし答えようにも私は名前を持っていなかった。これまで名付けられたことは無かったのだ。
名無しであることを伝えると、彼は怒りを顕にした。彼女達も一緒になって、ひどい、と怒っていた。
「となると、お前の名前を決めなきゃなんねぇな…」
彼はウーン、と頭を捻っているうちに思いついたらしく、ポンと手を打った。
「キヤルってのはどうだ?キタン、キヨウ、キノンに続いてキヤル、やっぱキ繋がりの名前がしっくりくると思うんだがよ
…どうだ? ダメか?」
「…ううん、そんなことない。…キヤル…わたしはキヤル…わたしのなまえ…」
キヤルという名前が気に入った私の姿を見て、彼は嬉しくなったようで、
「よっしゃ! 新しい家族が出来たことだし、今日の晩飯はちょっと贅沢するか!」
と大きな声で宣言していた。
晩御飯は確かに贅沢だった。もっともそれまでまともな食事をしたことが無かったので、
どの程度が贅沢なのかは分からなかったのだけど。
暖かいご飯の味と、彼らの優しさを受けて、私はまた泣き出してしまった。
夜は4人並んで寝た。外で隠れていた時とは違って、とても暖かく安心して眠れた。
その日から私は黒の兄妹の末っ子キヤルになった。

192:兄と共に歩く道
07/12/02 22:31:03 kOIn52uh
-*-

それからは楽しい記憶がたくさん出来た。苦労したこともあったけど、家族がいたから怖くなかった。
私は粗野だけれども優しい兄が大好きだったから、だから彼の真似をするようになった。
姉達からは、そんな言葉を使っちゃダメ!と言われたけど、これだけは譲れなかった。
ちなみに兄は、そんな言葉とは何だコノヤロ!とプンプン怒りながら拗ねていた。

私が黒の兄妹の一員になってから7年ほど経ったある日、私たちの住んでいたバチカ村は巨大な怪物に壊滅させられた。
私たち兄妹は命からがら逃げ切れたが、他の村人も逃げ切れたかどうかは確証は無かった。
初めて出た地上での狩は大変だった。でもやっぱり家族がいたから怖くなかった。
しばらくすると、上半身裸で刺青だらけの変な男カミナと、キヨウ姉に劣らず露出が激しい女ヨーコと、気の弱そうな男の子シモンに会った。
なんでも巨大な怪物、ガンメンを捕獲して使っているらしい。これには少しばかり驚いた。
カミナは私たちに、グレン団に入れてやる!と言っていたが、そんな怪しげな団体に入りたくは無かった。
彼らとはすぐに別れたが、不本意にもそれほど間を置かず再会することとなった。
私たちもガンメンを手に入れ、グレン団とやらと行動を共にすることとなっても、私たちは彼らを相手にすることは無かった。
戦い方も知らないシロウトと行動するのはそれだけで気が滅入るのだから。
そんな無謀な戦いを繰り返すカミナを眺める日が続いたある日、カミナは敵の超巨大ガンメン、通称ダイガンを奪ってしまおう、
というこれまた飛び切りに無謀な提案をした。まあ現状ではいずれジリ貧になるのは目に見えていたのだけれど。
そういう意味ではこの作戦は有効かもしれない。

193:兄と共に歩く道
07/12/02 22:32:30 kOIn52uh
カミナが明日は決戦だ!と叫んでいたその日、兄は昼食を食べながら私たちにポツリと言葉を漏らした。
内容は驚いたことに、あのグレン団に入るか、というものだった。
私たちが、なんでまた急にそんなことを言い出すのか、そもそも黒の兄妹はどうするのかと問い詰めると兄は答えた。
「何も黒の兄妹を解散させる訳じゃねぇ。…ただなんてーのか、アイツのバカさ加減を見てると少しぐらい手を貸してやってもいいか、と思っただけだ」
一応は家族の長である兄がそういうのだからと私たちは不承不承同意した。まあカミナが悪い奴ではないというのは私たちも気付いていた。
…ただとんでもなくバカではあるが。それでも兄も物好きだなと溜息をつかざるを得なかった。
敵ダイガン強奪作戦にあたり、参加人数がかなり多くなったため、グレン団は大グレン団と改名された。

結果を先に言うと、強奪作戦は成功した。しかし焚き付け役であったカミナが戦死してしまった。
拠点を手に入れたにも拘らず、艦内はお通夜ムードでどんよりとしていた。
あの騒がしい男がいなくなっただけで、ここまで静かになるとは。何だかんだ言って、カミナはムードメーカーだった。
兄は悲しそうだったし、私たちも何となく気分が沈んでいた。とりあえず奪ったダイガンはヨーコの意向でダイグレンと名付けられた。
カミナを失ったことでやさぐれてしまったシモンがラガンの暴走ついでに何故か女の子を連れて帰ってきた。
しかもその女の子の正体は、私たちの敵である獣人の首領ロージェノムの娘だった。何か事情があって捨てられたらしい。
その後、立ち直ったシモンが大グレン団新リーダーになり、私たちは敵の本拠地テッペリンを目指すこととなった。
数ヶ月間の道中で敵幹部を倒しながら、ついにテッペリンへと辿り着いた。そしてテッペリン攻略戦が始まった。

攻略戦は激しかった。それは正に人類対獣人の生残りを掛けた総力戦だった。
私たち同様に敵ダイガンを強奪し、援軍に駆けつけた仲間の多くが死んだ。
なんとテッペリンは超々巨大ガンメンだったのである。
兄とキヨウ姉と私も出撃したけど、死なずに済んだのは全くもって幸運だった。
シモンが首領ロージェノムを倒したため、敵ガンメンは全て活動を停止した。
もう少し戦闘が長引けば、私たちも負けていたかもしれない。それほどギリギリの戦いだったのだ。
私たちの家として愛着が涌いていたダイグレンもまた大破してしまった。
こうしてテッペリン攻略戦は人間の勝利で幕を下ろした。

194:兄と共に歩く道
07/12/02 22:33:55 kOIn52uh

-*-

その後もカミナシティ建設、同時に政府設立で慌しかった。シモンは独立戦争の英雄として若くして総司令官の地位に付き、
ロシウが補佐官となった。兄はというと法務局長官というどう考えても似合わない役職を押し付けられていた。
カミナシティ政府が発足して間もないため、人手があまりに足りず、政府要職の多くは大グレン団メンバーだった。
キノン姉も同じように政府に就職した。ギミーとダリーは政府運営のエリート養成機関に入り、次世代メンバーとして期待されている。
キヨウ姉は食料局局長に就任したダヤッカの補佐をしている。そして気が付けば恋人になっていた。
私はというと、兄の手伝いをしていた。法律に関しての知識なんて欠片も持っていないので、もっぱら雑用係である。
兄は法律を覚えるのに加え、仕事も山のようにあるので毎日クタクタになっていた。
そのせいか、時々この仕事は俺には向いていない、と私に泣き言をこぼしていた。

家族の時間は少なくなってしまったけど、兄と一緒に仕事をしていたせいか寂しくなかった。
この頃から私は兄と2人きりでいたいと思うようになった。昼休み、弁当を食べながら兄と談笑してる時に訪問者が
やってきたり、通信が入ったりすると少し腹が立った。女の人と話しているのを見掛けると、
何だか無性にイライラした。兄にそれとなく、誰か好きな人はいるの?と尋ね、緊張しながら答えを待っていると、
まだ当分はそんな暇は無いな、と溜息混じりの答えが返ってきた。その答えに私はホッと胸を撫で下ろした。
さすがにここまで来て自分の気持ちに気付かないほど私は鈍感じゃなかった。
自分は兄に恋愛感情を抱いている。そう自覚するとそれまで以上に好きになってしまった。
粗野で大雑把だけど優しいところや、自分の責任には誠実な所など、あばたもえくぼ状態になっていた。
思い返せば、出会ったときからずっと兄に恋をしていた気がする。ただ幼かったために自覚していなかっただけだ。

ただ正直に自分の気持ちを兄に伝えることは出来なかった。兄は私を妹としか見ていないだろうし、
今まで妹だと思っていた人間から告白されれば、あの優しい兄のことだ、きっと傷つけまいと1日中悩むだろう。
ただでさえ忙しいのに、そんな迷惑を掛けたくなかった。だからしばらくは自分の胸にしまっておこうと決意した。
5年ほど経つと、カミナシティは以前とは比較にならないほど大きくなっていた。
キヨウ姉とダヤッカは結婚して、見ている方が恥ずかしくなるバカップル夫婦になった。
キノン姉はロシウの補佐になったらしく、最近家に帰ってくるのが遅い。性格もずいぶんと冷たくなった気がする。
兄は相変わらず忙しそうだった。でも法務局長官も板についてきて、肩書き負けはしなくなった。
更に2年経つと、キヨウ姉が妊娠した。ダヤッカと二人で大喜びしていた。キノン姉は顔も見せなかった。
キヨウ姉が身重になってきたので、私は兄にキヨウ姉の世話をするからしばらく仕事を手伝えない、と伝えた。
兄は、構わねぇよ。キヨウの力になってやれ、頼りにしてるぜキヤル。と答えた。
未だに私は告白していない。告白して今までの関係が崩れるのならこのままでもいい、と思っていた。

195:兄と共に歩く道
07/12/02 22:35:17 kOIn52uh

-*-

その日、私たちを取り巻く世界は一変した。全く新種の敵が出現してシティを攻撃し始めたのだ。
TVにはニアとシモンが映し出され、画面の中でニアは人類に対して戦線を布告していた。
おまけに3週間後には私たちが天に頂くあの月が落下すると言うのだ。
そして再び敵が出現し、シモンによって撃退されたが、その戦い方により市民に極度の不安を
与えたとして逮捕、ロシウを裁判長とする裁判で超弩級戦犯として死刑が決定された。
当然兄は激怒し、何とか死刑を撤回するよう訴えた。ダヤッカはその時既に食料局長官を辞任しており、
発言権は無かった。ロシウの補佐であるキノンはこちらの通信には一切出ず、
兄の言うことにも全く耳を貸さなかったらしい。もうキノンはあのキノン姉ではなくなった。
そう思わないとやっていられなかった。

シティ地下より発見されたダイガン、アークグレンに非難する時、兄が私たちを逃がすために1人身一つで敵に
向かっていったのには肝が冷えた。兄が無事であることを知ると腰が砕けてしまった。
兄はレイテさんがこっそり整備していたキングキタンに乗って戦っていた。とても生き生きとしていて、
やはり兄は法務局長官よりガンメンに乗って戦う方がむいているのだ、と再認識した。
アークグレンは兄やシモンを置き去りにして発進した。このダイガンを逃がすために闘っているのに
置き去りにするなんてあんまりだと、私はアークグレンを降りようとしたがキヨウ姉に止められた。
兄ならきっと大丈夫だ。あのしぶとい兄がどうにかなるはずがない、と諭された。

宇宙に上がっても敵の攻撃は激しく、もうダメかもしれない、と思っていたら、グレンラガンやキングキタン、
ほかのガンメン達が駆けつけてくれた。結局本当の危機を救ってくれるのはいつも大グレン団なのだ。
兄達が敵を蹴散らすも多勢に無勢、徐々にジリ貧となり押しつぶされそうになったその時、
驚いたことにグレンラガンがアークグレンと合体してしまった。
そのアークグレンラガンの力は凄まじく、いとも簡単に敵を倒してしまった。
落下していた月は実はとんでもなく巨大な戦艦で、シモンが制御を取り戻すとあっけなく元の場所に戻った。

地球に帰ると、ロシウはシモンの死刑を撤回、総司令官の地位を返却した。
今回の事件で責任を感じたロシウは自殺しようとしたらしいが、危うい所でシモンとキノンの静止が間に合ったようだ。
事件が解決しても、キノンを完全に信用出来なかった。兄に対し酷く当ったのは私としては絶対に許せなかったのである。
で、兄はと言うと、超銀河ダイグレンと名付けられた月戦艦に乗って私たちの敵、アンチスパイラルを倒しに行くと息巻いていた。
今度こそ兄は死んでしまうかもしれない、その未来に恐怖を抱いた私は兄と一緒に行くと申し出た。
でもにべも無く却下されてしまった。私は年甲斐も無く泣き出してしまった。
「何で俺を連れてってくれないんだよ!? 何で兄ちゃんは俺を置いてこうとするんだ!? 俺だって闘えるんだぜ?
兄ちゃんの背中ぐらい守れるんだ!! もういやだ!兄ちゃんが敵に撃たれた時、俺がどれだけ心配したと…!」
「キヤル、お前はキヨウを守れ。俺はお前達を守る。…なぁに心配すんなって!絶対帰ってくるからよ!
…だから笑顔で見送ってくんねぇか?」

196:兄と共に歩く道
07/12/02 22:36:46 kOIn52uh
結局兄は私たちを置いて行ってしまった。ちゃっかりダヤッカまで付いていった。
私は兄が帰ってきたら告白しようと思った。あの殺しても死なない兄のことだ、絶対に帰ってくる。
大グレン団はそうやって今まで困難を乗り越えてきたのだ。今回も上手くいくに決まっている。
だから兄が帰ってくる場所を守るのだ。そしてこの想いを伝えよう。
上空に地球より大きな敵と戦うグレンラガンの姿を見たとき、兄も戦っているんだ、と思った。
ついに敵の親玉まで辿りついたのだ。私たちはグレンラガンが絶対に勝つと信じていた。
そして絶対に帰ってくると。期待に背かずグレンラガンは最後の敵を倒した。
地球全体が熱狂に沸き、超銀河ダイグレンの帰還を地球総出で褒め称えた。

しかし、その中に兄の姿は無かった。探しても探しても見つけることは出来なかった。
兄は戦死した。そう伝えられた時、私は目の前が真っ暗になった。
約束したのに。生きて帰ってくると約束したのに。もう想いを伝えることも出来ない。
私も一緒に行けばこうはならなかったかもしれない。際限なく落ち込んでいく。
死にたい、そう思うようになった。自殺なんてしたら兄はきっと怒るだろう。
バカヤロウ!なんで自殺なんてしやがったんだ!と。でもそれでもいいかもしれない。
怒られるという事はもう一度会えるということだから。

その日、私は睡眠薬を大量に飲んだ。これで兄の所に行ける。
ふと机に目をやると、シモンとニアの結婚式案内が置かれていた。
他人の結婚式などどうでも良かった。もう私にはその希望すらないのだから。
徐々に瞼が重くなってきた。私は兄に会えますように、と願いながらベッドにもぐった。
おやすみ、兄ちゃん…

197:兄と共に歩く道
07/12/02 22:38:05 kOIn52uh

-*-

翌日、自室のベッドにてキタンの写真を抱き、静かに息を引き取っているキヤルを、起こしに来たキヨウが発見した。
枕元には遺書と思しき手紙が置かれていた。

『キヨウ姉ちゃん、勝手にこんなことをしてゴメン。でも兄ちゃんがいない世界なんて嫌だったんだ。
俺は兄ちゃんに拾われてから人間になれた。兄ちゃんがいたからここまで来れたんだ。
もちろん姉ちゃん達にも感謝してる。俺は皆と家族だったことを誇りに思ってる。
それでも俺にとっては兄ちゃんが全てなんだ。昔からずっと好きだったんだ。でも妹だから告白できなかった。
んで兄ちゃんは死んじまった。だから俺も向こうに言って今度こそ告白するんだ。
だからゴメン。姉ちゃん達とはここでお別れ。キノンにも謝っといてくれると嬉しいかな。
色々ひどいこと言ってこめんなさい。キノンも大好きだったよ。

さようなら。皆の幸せを願っています。』

198:兄と共に歩く道
07/12/02 22:39:49 kOIn52uh
以上です。エロは俺には無理。なんのためにエロパロにいるのかと言われれば
首を捻るしかないです。エロに期待してた人がいたらごめんなさい。

案外レスの省略が出来たので9レスに収めれて何よりでした。

199:名無しさん@ピンキー
07/12/02 22:52:51 biW9gBaZ
>>188
近親相姦かと思ってたけど違った。
GJ!!!

200:名無しさん@ピンキー
07/12/02 23:01:23 WmkV9NDh
>>188
台詞以外の文が「~だった」など過去形を使いすぎないようすれば更にGJ!
過去の出会いや心境が切ないがすんなり入れた
キヤルには元気に笑ってて欲しいから、天国では兄ちゃんと(性的な意味でも)仲良くしてるんだよな?

201:名無しさん@ピンキー
07/12/03 00:35:39 K5uYKFXH
GJでした…うがあああ切ない切ない切ないよう

202:前スレ551 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:15:31 zEhI4dO1


λスック!

(´ДД゚`)いやっほーう、俺俺、俺だよう!
「ボクの名前はシトマンドラです」「断じて否!」の続きなんですが、
今回もパロくない、エロくないのが出来ちゃったんで、
「そんなのは川平慈英ばりに、まっぴらゴメンだ!」って方は申し訳ないんで寸が、
この超次元アンカーに乗って、終了予定ポイントに固着してくんさいまし。

->>215

203:『学パロ「先生、顔、顔 -1-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:17:10 zEhI4dO1
先日、一軒のコーヒーストアが、新興都市の中心にあるステーションデパートにオープンした。
温かさを感じる白熱灯の明かりに映るインテリアや、ゆったりとしたソファなどで飾られた店内は、
落ち着いたBGMのせいもあってか、ファースト店とは異なる大人の空間を演出している。
客層にしても、その雰囲気に似合う、落ち着いた服装の客が多く、
香ばしい匂いと暖かい湯気に、息をつく声がちらほらと聞こえる。

店の名前はスターモッコス。
緑の二重円に、少し目の離れた青髪の女がロゴマークの、
世界規模で展開するコーヒーストアのチェーン店である。

「アイスカフェ・モカのトールと、ツナメルトサンドイッチで・・・830円になります」

また客が来たようだ。
祭日の午前中というのにも拘らず、スーツに身を固めた客は手早く注文を済ませると、
カウンターで笑顔を振りまく女店員の顔を見ようともせず、
トレイを空いた席へと運び、持っていたラップトップパソコンを広げ何かを打ち込みはじめる。
その横で、新聞を広げ経済の動向に目を配る初老の会社員に、
束ねた書類に目を落とし、一心不乱に何かを書き込む青年の姿があった。
この国は、他国から『勤勉』だと指摘される。
勿論それは、皮肉の意味を込めて、だ。
店の雰囲気に合った客層というのも、ただ服装が似つかわしいだけで、
ファースト店との違いなど長時間座れる椅子があるかどうか、だけなのかも知れない。

「いらっしゃいませー」

先ほどの女店員が、カウンターから新たな来客を告げる。
金髪の髪を後ろで束ね、背筋をピンと張って笑顔を振りまく女の名はキヨウ。
バイトの経験などなかった女も、既に1ヶ月も勤務を続けた今では、
店の掲げる精神でもある『サードプレイスの提供』に欠かせない人材に成長していた。

オーダーの確認とレジ業務に勤しむキヨウが、ここの求人広告を見つけたのは、
在籍する紅蓮大学付属羅顔学園からの帰宅途中のことだった。
内装工事の続く店に貼られたチラシを見つけ、キヨウはあることを計画した。
その計画の内容については、親友のヨーコにも伝えておらず、
今日はその進捗を確認する重大な日でもあった。
キヨウが頭上の時計を見上げる。

「交代の時間ね・・・さてさて、最初のお給料日、4万ぐらいにはなるのかなぁ」

そう呟き、私的な笑顔を作ったキヨウは、
窮屈なエプロンの帯を解きつつ、店の奥へと消えていった。

204:『学パロ「先生、顔、顔 -2-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:17:48 zEhI4dO1
その店の前に、一組の影があった。
丈の短いデニムスカートにフリンジブーツを履き、灰色のトレーナーパーカーにダウンベスト、
赤い長髪を後ろで束ね、その目元をオレンジ色のサングラスで覆ったボーイッシュな女が一人。
そしてもう一方の男はというと、ごついブーツに、穿き古したジーンズを大きなバックルで留め、
白いタンクトップに青いジップパーカーを羽織ったその顔は、目深に被ったニット帽で表情を窺うことは出来ない。

「なぁ、ヨーコ・・・流石にこれは不味いんじゃないのか?」
女から借りたニット帽が慣れないのか、額との隙間に指を入れながら男が問う。
「不味いってなにがよ?」
「いや、だからだ・・・これってトーカーってやつなんじゃないかって」
ヨーコと呼ばれた女は男のその言葉にも生返事を返すと、
壁に背を預け、サングラスの奥から店内の動向を窺っている。
その様子に探偵ごっこをする子供のような・・・いや、それ以上に他人の色恋沙汰を楽しんでいるような、
そんな印象すら覚えた男は、不謹慎な考えだと口にはしなかった。

二人がここに来るまでの経緯を少し触れておこう。
今から三日前・・・金曜日の事だ。

--*--

夕日に照らされた学園の廊下で、生徒に呼び出された担任の男は、
驚愕に目を見開き、口を上下にカクカクと動かしていた。

「だから!浮気してるっぽいっていってんのッ!」

ヨーコが数秒前に告げた内容を、より端的に言い放つと、腕組をしたまま言葉を続ける。
「でも、アタシが詰め寄るのも、変・・・じゃない、だからここは先生に言うのが良いと、思ったのよ」
目の前で、次第に世界の終わりといった表情へ変化していく男を見ながら、
ヨーコはその『判断』が誤まっていたかもしれないという疑念に駆られ、弱い口調へと変わっていった。
最初は壊れたロボットのように、ただただ意味の分からない動きを繰り返した男も、
ようやく事情が飲み込めてきたのか、彫りの深い顔にいっそうの影を落としポツリと呟く。

「・・・まぁ、仕方ないさ」

予想にしなかった言葉に、今度はヨーコの顔が困惑の色に染まる。
「俺は、アイツの恋愛に口出しの出来る立場でも、ないからな」
何時もの困った顔をした男が、目元にうっすらと涙を浮かべながら、
口元だけは貼り付けたような笑みを作って続けると、ヨーコの中で何かが爆発した。

「意味が分からない!文化祭の時といい、なんでそうなんですかッ!」

男の事情や考えの一切を寄せ付けない声が、狭い廊下に反響する。
そして、暫くの沈黙の後、呼吸を整えたヨーコが踵を返し、静かに言う。

「・・・月曜の十五時、ステーションデパートの一階・・・絶対、来てくださいよ」

親友から聞いたスケジュールを思い出しながら、
ヨーコはそう告げると、男の前から立ち去った。

205:『学パロ「先生、顔、顔 -3-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:18:26 zEhI4dO1
--*--
そんな先日の様子とは一転したヨーコに、ため息混じりに次の言葉を口にしかけた時だった。

「出てきた!先生隠れて!」

ヨーコに押され裏路地へと放り込まれた男は、思わず情けない声をあげながら尻餅をついた。
そして、四つん這いのままヨーコの足元から表通りに顔を覗かせた先には、
どちらが本体かも分からなくなるようなストラップをつけた携帯のサブディスプレイで、
時刻を確認する私服姿のキヨウがいた。
タートルネックに膝上まであるニットワンピースを着込み、その裾からはサテン生地のペチコートを覗かせ、
ヨーコとは対照的に女性らしい可愛さをまとったその姿に、男の顔は本来の目的も忘れだらしなく緩んでいった。
この後、誰かと待ち合わせがあるのだろうか、
折り畳み式の携帯を開くと、胸の前で何かの操作を始めるキヨウ。

「誰かにかけてるわよ・・・先生の携帯じゃない」

顔はキヨウに向けたまま、張り詰めた声でヨーコが言うより早く、
同じことを考えた男が自分の携帯をズボンのポケットから引っ張り出す。

「あ、ゴメンなさい・・・うん、今終わったの・・・そうね10分ぐらい・・・・わかった、西口ね」

移動を開始したキヨウの声が、二人の耳へと微かに聞こえる。
ヨーコが自分の足元へ視線を向けると、明かりの消えたままのディスプレイを顔の横に並べ、
何かを言いそうで、何も言えない、情けない男の姿があった。
「ンもぅ!情けない顔しないの!追うわよッ!」
「・・・相手は男じゃないかも知れんし、それに・・・俺とキヨウはまだ、別に・・・」
両手の人差し指を付き合わせ、言葉尻を濁らせながら男が言う。
「男相手じゃなきゃ「なさい」なんて言い方しないわよ」
「そういうものなのか?」
「何より、女の感が騒ぐってのもあるしね・・・それと」
説得力の無い裏付けを自信に満ち溢れた顔で言ってのけるヨーコに、
男は疑いの眼差しを向けながら続く言葉を待った。

「キヨウは、ダヤッカ先生の彼女でしょ!」

ヨーコはそう言い切ると、路地裏に停められた一台の自転車へ走る。
青地を基調としたメインフレームに製造元であるカイザー社のロゴを掲げ、
『DAYAK-KA-ISER』と自作シールの張られた、ダヤッカと呼ばれた男のマウンテンバイクだ。
リアサスペンションを揺らし、ハンドルグリップの心地を確かめたヨーコが、
つま先でペダルを回しながらサングラスをパーカーの首元へとしまう。

「待てよ、お前がそいつに乗るのか?俺はどうする??」
「先生は走る!足で!」
そう言ったヨーコは、自分の脚をぱんと叩き、靴底でペダルの回転を止めると、
サドルには腰を乗せずにキヨウの追跡を開始した。
ダヤッカは何時もの表情で頭を掻くと、その後ろに続いて駆け足を始めた。

206:『学パロ「先生、顔、顔 -4-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:20:15 zEhI4dO1
新興都市の中心に位置するステーションだけあって、
祭日の夕方ともなればカップルたちが肩を寄せ合うようにして歩く姿も珍しくない。
手を繋いだり、腕を組んで歩くだけならいざ知らず、
所かまわずキスを交わすものもいれば、抱き合ったまま動かない若者たち。

(俺には到底、真似が出来んな)

そんな景色に目を凝らしながら、ダヤッカはふと・・・そんな雑念に喉を鳴らした。
ステーションの西口から少し離れたところからキヨウを探す二人は、
動く景色によって視界を邪魔されながら、右へ左へと捗らない捜索を続けていた。

「―いた、キヨウだ!」

唐突にダヤッカが声を上げる。
その指差す方をヨーコが確認すると、そこには確かにキヨウの姿があった。
自分よりも先に、目当ての女を探し出した男に、
少しほっとしたのも束の間、ヨーコは眼光鋭くキヨウの状況を確認する。

口元を隠しながら笑みを浮かべるキヨウの前には、
路上に停めた車に腰を預けた長髪の若い男がいる。
二十代前半であろうその男は、高そうなジャケットに身を固め、
髪をかきあげる仕草の度に、うざったい程のピアスを耳元で輝かせながらキヨウと何かを話している。

「・・・よく、見えないわね」

ヨーコはそういうとダヤッカイザーから降り、ダウンベストのポケットに忍ばせた折り畳み式のオペラグラスを取り出す。
その様子に唖然とした表情を浮かべるダヤッカは、『先ほどの印象』が思い過ごしではなかったと実感すると同時に、
女という生き物の不思議を目の当たりにしたような、そんな気分なのだろう。
それもそのはず、ここに来るように言った時のヨーコの言葉には、
返すことも、取り繕うことも出来ないほどの緊張感があった。
他人の恋愛であるにも拘らず、彼女にそうまでさせた理由は、
親友に対する憤りよりも、何より『自分の不甲斐なさ』に対してだと男には思えたからだ。
勿論、ヨーコに今こうしている理由を問うたところで、返ってくる答えはそれなのだろうが、
その反面、楽しんでいるようにしか見えないのは誰の目で見ても明らかだった。

(まったく、女はどれもこういうモノなのか?)

そう思考に蓋をし、本来の目的に頭を切り替えたダヤッカが、
キヨウの方へと向き直った時、ヨーコがひときは大きな声を上げた。

207:『学パロ「先生、顔、顔 -5-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:20:52 zEhI4dO1
「あーっ!!」
「ど、どうした?」
「キヨウが車に乗るわ・・・あれ・・・でも、なんで?」

既に身体の一部になったかのようなオペラグラスから目を離し、
瞬きを数回したかと思うと、また接眼レンズへと顔を近づける姿にダヤッカが怪訝そうな顔で言う。
「だから、どうしたっていうんだッ!」
珍しく苛立った声をあげる担任に、はっと我にかえったヨーコはオペラグラスを下ろすと、
目だけはキヨウたちへ向けながら、その目で見た光景の要点だけを述べる。

「相手の男・・・ナイフ、持ってる・・・よ?」

未だ整理の付かない様子のヨーコからオペラグラスを奪い取ると、
ダヤッカは皺を作った分厚い眉間にそれを当てた。
倍率が調整された視界が目に馴染むまでの数秒すら長く感じる中、
その目で男の手に光るモノを確認したダヤッカは、次の瞬間には自分の愛車に飛び乗った。

「ヨーコは警察へ行け、俺は・・・アイツらを追う」

放り投げられたオペラグラスを受け取り、何かを言いかけ歩み寄ろうとしたヨーコの足が止まる。
静かに言ったその口調とは裏腹に、怒りに口元を震わせながら、
ニット帽を握り締めるように脱ぎ去った男の目に、明らかな殺気を感じたからだ。
学園では決して見せることのなかったその表情に、
ヨーコは近づくことも、声をかけることも出来なかった。

208:『学パロ「先生、顔、顔 -6-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:21:29 zEhI4dO1
--*--
背にナイフを突きつけられ、無理やり車へと乗せられたキヨウは、
車の後部座席から突然現れた小太りの男に両腕を押さえられながら、
バックシートの上で仰向けに倒され、身動きの取れない状態にいた。

自分の上に跨り、荒い鼻息を吹きかけるこの男の顔に、キヨウは見覚えがあった。

三週間ほど前、バイトからの帰り道で自分を襲おうとした男だ。
そして、角度を変えたバックミラーから下卑た笑み覗かせ、
車を運転するピアス男は、その時キヨウを助けてくれた男だった。
自分を襲った男と助けた男が、同じ『欲望』に駆られた瞳で自分を見ている。
最初は意味がわからなかったが、次第に落ち着きを取り戻したキヨウが行き着いた答えはこうだ。

(グル、だったんだ・・・コイツら)

「ま、悪く思わないでくれよ?オマエが俺の誘い断るから、ちょっと乱暴なことになってるけどね」
車を運転する男が悪びれた様子もなくそう言う。

「あの時助けたのも、最初から計画・・・してたのね」

一方が強姦魔を演じ、もう一方が正義のヒーローを演じることで心の隙を作る。
あとは女の元に通い詰め、『興味のない話』に相槌を打ち、話を合わせてやれば落とすことは簡単だ。
既に、同様の手口で何人もの女の身体を堪能した男たちの目的は、
愛を語る甘ったるい時間でもなければ、個としての女ではない。
刹那の欲を手っ取り早く満たし、かつ同じ欲を抱えた男どもから金を巻き上げ、
自分たちの更なる欲へと還元させるための道具の調達であった。

運転席から家庭用のビデオカメラを後ろ手に振りながら、
サイドウィンドから差し込む夕日に耳元のピアスを光らせ、偽のヒーローが言う。
「オイオイ、あんまりガッツクなよ?まだカメラ回してないんだぜ?」
「へっ・・・へへへ、心配するなよ、俺ぁ撮られてネェと、勃たねぇんだヨ」
「ま、盗撮風ってのもいい加減飽きたしね、今回は二人で犯っちゃいますかね」
「それより、今日はどこで犯るんだ?」
「貨物ターミナルなんてどうよ、この時間なら人もいねぇだろうし、な」
ピアス男の提案に、小太りの男が股間の膨らみを太股に押し付け、キヨウの頬を舐め上げた。

「アンタたちなんかに、喘ぎ声一つ・・・くれてやるもんか!」
キヨウはその不快感に思わず身を強張らせながらも、気丈な表情で返した。
しかし、その言葉に返されたのは、密閉された車内に響く二人からの嘲笑だけであった。
実際、身体は身動き一つとれない身体でどれだけの啖呵をきってみたところで、
震えた声と身体では虚勢と呼ぶにも程遠かったからだ。

(・・・隙さえあれば・・・こんな奴らッ)

そう心の中で吼えたところで、この狭い車内の中では対処可能なことなどそう多くはなかった。
自分の上に跨る小太りの男を例え伸すことが出来たとしても、
走り続ける車の中では次の行動が見つからない。
幾つかの手順を頭に巡らせたものの、結局は今よりもひどい仕打ちを受ける自分の姿に行き着いてしまい、
キヨウは脳裏に浮かんだ男の名を心で叫び、瞳を閉じることで現実から自分を遠ざけた。

(ダヤッカ!助けてッ!)

キヨウの首筋にねっとりとした蛭のような舌が音をたて、糸を引いた。

209:『学パロ「先生、顔、顔 -7-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:22:04 zEhI4dO1
--*--
右腕でグリップタイプの変速レバーを回すと、リアディレイラーが機械的な音を上げる。
チェーンがスプロケットに噛み合うのを脚に感じながら、
ダヤッカは目の前を走る車との距離を詰めれない苛立ちの矛先を、自分の足元へと向けた。

人間の足の裏には、神経が集中しており、そこから得られる感覚によって、
地面の傾きや歪みを感じ、倒れる力を利用しながら、
ロボットでは難しいといわれる動歩行を無意識のうちに可能としている。
自転車を漕ぐという行為にしても、それは同じだ。
ペダルの踏み込み具合や身体の傾き具合を足の裏で感じ、次の一漕ぎへと繋ぐ。

しかし、男の穿いている底の厚いブーツでは、そんな『本来の役割』を望むこと自体がお門違いで、
踏み込み過ぎた足にバランスを崩しながら、全速力を出せずにいるのだ。
そして、そんな事情など意に介さずといった様子で、
目の前の車は交通の少ない道を選び速度を上げつつあった。

(早い内になんとか・・・だが、どうやって止めるッ!?)

相手は足を踏み下ろせば速度を上げ、燃料が尽きるまで走り続ける乗り物に対し、
こちらは人力で走る乗り物なのだから、長期戦では圧倒的に不利なことは分かっている。
しかし、だからといって短期戦に出たとして、どうやって相手を止めるのか、
体力と筋力には自信はありながらも、知力はあまり褒めれたものではない男が内心で舌打ちをした。

(高速に乗られたら、一貫の終わりだな・・・クソッ!!)

せめてもの頼りだった『信号機』も、ダヤッカの意図した通りには全く働かず、
オールグリーンの進路を示すばかりだった。
目の前の車がリアウィンカーを点灯させ、左折する予備動作を告げると、
絶好のチャンスが訪れたにも拘らず、それに合わせるようにダヤッカイザーの速度は落ちていった。
追いついたところで、以後の走行を止める策を持たぬダヤッカにとっては、
キヨウに自分の存在を感づかれる方が危険だと判断したのだろう。
そうはいっても、サイドミラーなどで追跡者の存在に気付くのは時間の問題であった。

車輪と一緒に回転する円盤を液圧式のブレーキパッドで押さえつけ、
タイヤを横滑りにしながら、ダヤッカは次に自分の頭を高速に回転させた。
すると、その視界に緩やかにカーブを描く一本の道が開ける。
この街の物流を支える貨物ターミナルへと続く道路は、
日中はその広さに反して閑散としており、数台の車しか走ってはいなかった。

道路にタイヤ跡をつけ、ダヤッカイザーが停止すると、ダヤッカはジーンズから携帯電話を取り出し、
何かの操作をしたかと思うと、それをすぐさまポケットへと戻す。
そして、今度はブーツの紐を引き千切るように脱ぎ捨てると、
靴下だけになった足をペダルに乗せ、再び力を込めた。

「―もしもし、先生!ちょっと聞こえてますか?先生ッ!?―」

ジーンズのポケットからは、ヨーコの声が微かに聞こえた。

210:『学パロ「先生、顔、顔 -8-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:22:43 zEhI4dO1
--*--
「―続いてのニュースです」

原付きに跨がった茶髪のやんちゃそうな男が、隣の車線に並んだタクシーから聞こえるラジオに耳を傾けた。
キャスターが続いて自分たちの住む街の名を読み上げたのを聞くと、
反対側でエンジンを吹かす青い長髪が特徴の優男に声をかける。

「おい、ニュース、この街だってよ」
「へぇ・・・で、どんなニュースよ?」
「ちょっと待てよ」

そう言って半分だけ被ったヘルメットのベルトを更に緩めると、
シートから腰を浮かせ、その音源へと身体を近づける。
その様子に、タクシー運転手がタバコを吹かしながら訝しい顔を向けたが、
茶髪の男は愛想笑いを浮かべながら、ラジオの音を上げるようジェスチャーで示した。

ニュースの内容は、最近街を賑わしていた連続婦女暴行事件の続報であった。
未成年をターゲットにした犯行の被害者は、年の暮れを皮切りに、
現在までで六名にまで上っており、警察がその似顔絵を公開し一般からの情報を求めているといった内容だった。

「興味ないね」

そう言いながら、青髪の優男がスロットを回すのを止めた手でタバコを取り出すと、
原付のハンドルへと身を預けた茶髪の男が鼻で笑ってそれに返す。
「ラジオで似顔絵って言われてもなぁ・・・つまんねー」
「まったく、レディに対する接し方すら知らないなんてな・・・どんな育ちしてんだかねぇ」
冗談ぽくそういった言葉とは裏腹に、何か自信に溢れたその様子に、
茶髪の男がスロットを捻り、マフラーが鳴らす騒音で言葉をかき消した。

「はいはい、色男様にはかなわねぇな・・・でもな、今日の勝負は俺が勝つぜ」
「27戦して、俺の21勝・・・アインザーの勝ちは決まったようなもんだろ?」
そういって自分の跨る相棒に貼られたステッカーを指でなぞり、
余裕の表情を浮かべる優男に、やんちゃな茶髪が負けじと食らいつく。
「いいや、今日はキッドナックルが、勝つ!言っとくが今日の勝負は50ポイントだからな!」
「おいおい、それで負けたら、逆転どころの話じゃないって・・・自分で分かってるのか?」
そういって青髪の男は後頭部のヘルメットを被り外部の音を遮断する。
それに続くように、茶髪の男もハンドルに預けた身を起こし、
同じく自分の世界へと潜行を開始する。
目の前を通り過ぎる人や車の流れが止まり、次第に視界が広がる。

その時だった。

何かの影が二人の横を通り過ぎた。
そして、自分たちに似たもう一つの影が、
それを追うように交差点へと進入する寸前、信号は青へと変わっていた。

211:『学パロ「先生、顔、顔 -9-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:23:20 zEhI4dO1
--*--
ダヤッカはブーツを脱ぎ捨てることにより、
その足に本来の感覚を取り戻すことで、目標の追跡を可能にしていた。
しかし、踏み抜く度に靴下は疎か、足裏の皮膚さえ引き裂き、
肉へ食い込むペダルのエッジは、その『感覚』を次第に奪っていく一方であった。

(何か策、策は・・・ないのかッ!?)

目の前の車と20メートル程の距離を空け、疾走するダヤッカイザーの上で、
ダヤッカは焦りに奥歯を噛み締めた。
そして、回転数を上げる車輪に比例して思考力はどんどん低下する。

(前に出る・・・気付かれないように・・・止める)

そう同じ言葉を頭で繰り返し唱えた視界に、次の交差点が目に入った。
ダヤッカは周辺の地図を頭に呼び起こしつつ、車のテールランプに注意を向ける。
そして、左右どちらのランプも点滅することなく、車が交差点へと進入していくと、
左手でブレーキレバーを軽く絞り、後輪のディスクブレーキを作動させた。

ダヤッカイザーが30km/h程度のスピードを保ち交差点へと進入すると、
今度は右手で前輪へ繋がるブレーキレバーを握り締める。
速度の落ちきっていないダヤッカイザーが、前進する力を急激に抑えられたことによって、
前輪を支点にその車体を前のめりに浮かせ始めると、フロントサスペンション内部の空気へ圧力が加わり、
今度は車体を下へと沈ませながらその衝撃を吸収した。

すると、ダヤッカはサドルから浮かせた腰を後方へとずらし、
姿勢を低く保ち、胴体を捻るようにしてその力を横へと流す。
そして車体が90度曲がったところで、両脚で車体を道路へと押し付けた。
空中で回転を続けていた後輪が、再び道路と摩擦音を上げると、
両手のブレーキレバーを離し、フロントディレイラーを一段下げ、
車体を横に滑らしながら再びペダルを踏み込みはじめる。

チェーンとギア噛み合い、重い負荷が再び脚へと伝わると、大きく空気を吸い込みダヤッカは吼えた。

「止めてやるッ!体当たりしてでもなッ!!」

自分に言い聞かすように、そう言ったダヤッカの姿は細い裏道へと消えていった。
頭の中に呼び起こされた、キヨウを乗せた車が走る『大きな弓なりの道』と、
その両端に繋がる『弦のようなこの道』が、その終端で再び交わると信じて。

疲労と痛み、そして寒さに下半身の感覚が奪われていく中、ダヤッカは最後の賭けに出た。

212:『学パロ「先生、顔、顔 -10-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:24:18 zEhI4dO1
夕方の貨物ターミナルは、数刻後より始まる搬出作業を前にし、
徐行運転をする列車の緩やかな音だけが響く、嵐の前の静けさといった様子を呈していた。
勿論、既にターミナルの倉庫へと運び込まれた搬出物資を、
貨物列車への積み込みが始まる頃になれば、先の言葉通り『嵐のような慌しさ』に賑わうのだろう。

そんな貨物ターミナルへと続く道を、一台の車が走っていた。
視線を車の進行方向へと向けると、反対車線を車線を走る一台の自転車の姿があった。
その上で息を切らしながら大きく身体を左右に振りる男の足元からは、
ポツポツと赤い斑点を道路に落としている。

お互いが一定の速度を保ちつつ、徐々にその距離を縮め、
その影が交差する瞬間、車は甲高いブレーキ音を上げていた。
自転車に跨る男は対向車線から車が近づくと、急角度で車線を変更し、
腕の力で前輪を持ち上げ、そのまま車の正面へと飛び込んだのだ。

上がりきった前輪が車のボンネットに乗り上げ、
メインフレームがバンパーと接触した衝撃で自転車はバランスを失い、横倒しの状態で車の上を滑った。
そして、フロントガラスへ前輪を叩きつけると、
青いパーカーを着込んだ男が放り出されるように後方へと消えていく。
残された自転車が、今度はその車体全体をフロントガラスへ打ち付け、
その部分を中心にくも膜下状の亀裂を作り、車を運転する男たちの視界を奪った。

ブレーキ音を響かせたまま、暫く迷走を続けた車が街路樹に衝突すると、
車の上に残った自転車を前方へと吹き飛ばし、その動きを止めた。
一方、後方へと飛ばされた男は、とっさに身を丸めたとはいえ、
最初は肩・・・続いて背中を道路へと打ち付け、
ボールのように浮遊と落下を数度繰り返すと、うつ伏せのまま動かなくなった。

全てが停止し、訪れた暫くの沈黙を、
遅れて道路へ落下するナンバープレートの軽い音がそれを破る。
続いて、街路樹に衝突した衝撃で馬鹿になったドアを蹴り開け、
高そうなジャケットの乱れを直しながら、後頭部に手を当てた男が運転席より出てきた。
後部座席からもう一人の男が、何者かの足に顔を蹴られながら、
のそりのそりと太った身体を後ろ向きに姿を現すと、車内からは女の喚き散らす声が聞こえた。
暴れる女の足に苦戦しながら、なんとかそれを車内へと押し込めると、
小太りの男がドアを乱暴に閉める音が響いた。

「おぉい、おいおいおい、なんだよコレ、自殺かなんかかよ・・・ったく、勘弁しろよなァ」
ピアスの男がそう言いながら、神経質そうに首元を掻き毟った。
その傍らで、小太りの男は辺りの様子に目をやったが、
倉庫の並ぶこの一帯に住宅はなく、事故の目撃者や、
音を聞きつけた野次馬どもがいないことに胸を撫で下ろした。
「オイ、早くズラかった方が良いんじゃネェか?」
「アァ?・・・だったら女も連れてくぞ・・・こんなハズレクジ引かされたんだ、スカっとしねぇとな」
そう言ってこめかみに怒りを称えたまま、ピアス男が合図を送ると、
辺りを警戒しつつ小太りの男が再び後部座席のドアを開いた。

その時、うつ伏せで倒れたままのパーカー男の指が、微かに動いた。

213:『学パロ「先生、顔、顔 -11-」』 ◆AqM5INjZ9o
07/12/03 01:24:54 zEhI4dO1
ビデオカメラで撮影されるのとは別に、思い通りにならない『モノ』を力でねじ伏せ、
屈服させるのも、この小太りの男の趣向―いや、大半の男がそうなのかも知れないが―なのだろう。
そんな趣向を満たす絶好の材料となった女を前に、
小太りの男は顔面に数発蹴りを喰らいながらも再び息を荒げ始めていた。

「そのか細い腕で?えへッ、俺をどうしようしようって―」

その時、何かが小太りの男の身体ごと、その言葉をキヨウから遠ざけた。
胴の辺りを襲った重い衝撃に、小太りの男は開いたままのドアをへし曲げ、
傍らにいたピアスの男を巻き込んで派手に吹っ飛んでいく。
空中で身を絡ませた二人の男が道路に身体を打ち付けると、その衝撃の主が言い放つ。

「キヨウに・・・手はッ!出させるものかッ!」

その声を後部座席で聞いたキヨウは、その主が誰なのかが直ぐに分かった。
あの男だ、自分の本当のヒーローが来たんだ、と。
そして、背凭れに手をかけ一気に身を起こすと、肌蹴た胸元もそのままに車の外へと飛び出した。

ボロボロのパーカーを羽織り、裸足のまま立っているのもやっとといったその姿に、
キヨウは己の身に降りかかった脅威が払われるのと同時に、
絶叫したいほどの新たな恐怖に、身体を凍らせた。

道路に倒れた悪党たちは、小太りの男が下敷きになってクッションの役割を果たすと、
その上でピアスの男が懐から取り出した折りたたみナイフを取り出していた。
そして、反対の手で首元を毟りながら、ナイフの刃先に夕陽の光を反射させ、
溢れる感情を噛み殺したような声で言う。

「テメェら、よくないね・・・オレ、思い通りならないのって、イラッイラァすんだよねェエッ!」

ナイフを握り締めこちらへと突進してくる相手に、ダヤッカは倒れこむように身体を前に投げ出すと、
男の右手を脇の下に抱え込むようにしてその動きを止めた。
しかし、ピアス男は固められたままの姿勢でナイフを逆手に握り直し、
自由の利く手首だけを使って、ダヤッカの脇腹の肉を抉った。

「キヨウはッ・・・キヨウは、お前たちの女じゃネェッ!」
脇腹に走る痛み奥歯をかみ締めながらそう叫ぶと、体勢を低くし、
空いた右腕で相手の脇腹めがけ、渾身の力を込めた拳を打ち上げるように放つ。
呼吸という行為を強制的にその身体から切り離されたピアス男は、苦しさと込み上げる嘔吐感に顔を歪める。
続いてダヤッカが、長身から一気に振り下ろした頭突きをピアス男の鼻へと見舞うと、
グシャリという音とともに鮮血を撒き散らし、鼻に走る鋭い痛みに身を硬直させた。
同時に、脇腹へと刺さったナイフの刀身がズルリと抜け落ち、硬質な音を上げて道路へと転がった。


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