嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 43も古参もat EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 43も古参も - 暇つぶし2ch454:名無しさん@ピンキー
07/11/27 21:57:00 hM8hQ68V
>>453
リボンの剣士の作者様ですか
どんな修羅場になるかwktkして待ってます

455:名無しさん@ピンキー
07/11/27 22:19:58 /Y9YaCcL
GJ!

456:名無しさん@ピンキー
07/11/27 22:33:38 GmiC8mON
>>453
GJ!

このスレで巫女ものは有りそうで無かったような気がするので期待大です。
まださわり程度なので分からないですけど
何やら期待できそうな感じがビンビンするんで楽しみにしています。

457:名無しさん@ピンキー
07/11/27 22:47:29 U0IjNHUH
GJ! 期待の作家ktkr
俺は見る派だとつくづく実感した

458:名無しさん@ピンキー
07/11/27 23:14:20 4ZpDn0k2
ラノベの吸血鬼のおしごとって作品はここでは既出?

459:名無しさん@ピンキー
07/11/27 23:21:34 ZP9OG1cu
やめて!トラウマやめて!
まるでブタのようだな、ははははは

460:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:02:55 nFk8+Ccf
筆者がドSのやつか

461:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:15:36 mmtVM1+6
投下増えてきて良きかな良きかな

462:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:23:35 5Ox/lqvc
>>453
GJ!
だけど、リボンの剣士のようなトラウマを植え付けるのは勘弁してくれなw

463:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:29:15 s828ZPh0
なんかいい流れだなwwww

464:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:30:00 asgiQY3K
レイプされて寝取られたんだったけ?

465:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:56:39 CIZhKuf0
寝とられは、されてないでしょ
それにそんな鬱も面白ければいいや

466:名無しさん@ピンキー
07/11/28 01:50:14 UT709xBq
あー思い出した。
確かにあれはトラウマになってこないだ夢に出てきたぞ。
仮にやるなら別ルートで寝取られないルートやって、
なおかつ、やった奴は拷問スレのSSのごとく
全員徹底的にミンチになるまで皆殺しにしないと収まりがつかん。

467:名無しさん@ピンキー
07/11/28 02:02:33 0fm45U6/
>>466
確かに処女の貴重さを痛感させられた作品だったな。
避難所に過去のSSを語るスレがあるから一緒に行かない?

468:名無しさん@ピンキー
07/11/28 02:12:38 UT709xBq
>>467
悪寒と殺意で眠れなくなったから、まあいいけどさ。

469:名無しさん@ピンキー
07/11/28 05:21:38 sZ+XB4XU
一万年とニ千年前からの続きマダー?

470:名無しさん@ピンキー
07/11/28 06:00:37 /HVvYZZX
一万年の話題は自重

471:名無しさん@ピンキー
07/11/28 09:06:38 VQd7joht
つーかお前ら石橋を叩いて渡りすぎてるだろwwww
そんな鬱展開なんてそうそうあるわけないさ! ハッハハッ! ハハッハハ……ハハ、ありませんよね?

472:名無しさん@ピンキー
07/11/28 10:37:24 v851mF8K
現実は残酷なのさ・・・

473:名無しさん@ピンキー
07/11/28 13:21:38 s828ZPh0
俺はなんか10年くらい前に劇場版エヴァをみた時と同じような気持ちに陥った

474:名無しさん@ピンキー
07/11/28 13:58:29 W81Hiy16
何か耐性無い奴多いんだな

475:名無しさん@ピンキー
07/11/28 14:48:11 QjtXn+Gr
「鬱展開いやぁぁ!」なんて口先だけで、本心では鬱展開を欲しがってるんだよ!


476:名無しさん@ピンキー
07/11/28 15:13:13 edWuJzEc
大人になるってかなしい事なの・・・。

477:名無しさん@ピンキー
07/11/28 15:14:10 tsXF/LFF
たしかにむけたらいたい

478:名無しさん@ピンキー
07/11/28 15:16:24 qjzQ59EJ
ここにいるのは痛い大人だけどなHAHAHA

479:名無しさん@ピンキー
07/11/28 16:20:49 Nt49671G
何うまくまとめたつも(ry

480:名無しさん@ピンキー
07/11/28 16:23:56 UG+7C7DL
>>444
稚拙で良いなら書こうか?
内容は期待出来ない超素人だが

481:名無しさん@ピンキー
07/11/28 16:47:56 vhRdgLp/
書けよ
枯れ木も山の賑わいっていうしな

482:名無しさん@ピンキー
07/11/28 17:13:58 hIisppMj
tesu

483:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:27:41 5sQgXovN
皆さんこんばんは。
ちょっと前に投稿させて頂いた蒼天の夢の続編です。
前回の投稿が一話の前編だったので読みにくいかと存じます。
申し訳ありません。

484:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:28:26 5sQgXovN
 エリシアさんとミリアちゃんに引っ張られ、俺たちは庭園の中央までやって来た。
 そこでは既に大勢の人々が手や腕をつなぎながら踊っていた。
 音楽を奏でるのは市長が呼んだ大楽団。あらゆる楽器が用意されており、どんな唄でも演奏してくれそうだ。
 今流れているのは祭りでよくある踊曲だ。
 太鼓や笛など、シンプルな楽器が素早くリズムを刻んでゆく。
 踊っているのはほとんどが平民だが、周りの貴族たちもリズムに合わせて手を叩くほどノリの良い曲だ。
 料理もいいが宴といえばやっぱり踊りである。これは平民も貴族も変わらない。
 俺が踊りに見とれている間、エリシアさんとミリアちゃんは何か視線で語り合っていた。
 いつの間にそんなに仲良くなったのかと感心いると―
「ジースさん、わたしと踊りましょう!」
 いきなり踊りに誘われた。
「もう少し様子見ないか?」
 別に踊りたくない訳ではないが食後からすぐに、というのも何だか気が引けた。
「いいから、いいから」
 ミリアちゃんはそんな俺を有無言わせず、強引に踊りの輪の中に引きずり込んだ。
 民踊の渦に加わると、中は炎のような真っ赤な熱気で満ち溢れていた。
 とてもではないが今さら脱出なんてできない。
 だがすぐに逃げる必要なんてないと分かる。
 民踊の動きは大味なものの躍動感があり、純粋な楽しさがフツフツと湧き上がってくるのだ。
 ミリアちゃんと腕を組ながら回って、とまって、また回る。単純な動作の繰り返しだが余計なことは何も考えず、歓喜に身をゆだねられる。
 子供の頃の無邪気さが戻ってきそうだ。
 気づく頃には曲が終わり、もう一回踊りたい気分になる。
 踊曲が終わると平民の招待客はそそくさと踊り場から撤退する。
 入れ替わるように貴族の紳士淑女たちがゆったりとした足取りで中央に進み出る。
 俺もミリアちゃんと一緒に踊り場の外周まで戻ってくる。
 するとそこにはエリシアさんが腕全体で曲線を描くように手をさし出しながら待っていた。
「教えたことは覚えてる?」
 俺は思わず微笑みながらエリシアさんの手の甲に口づけをする。
「もちろん」
 エリシアさんから教わったのは何も読み書きだけではない。
 そして柔らかい手をとり、再び踊り場に舞い戻る。


485:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:29:02 5sQgXovN
 楽団はうって変わって、アルス王国の舞踏曲を弾きはじめる。
 ヴァイオリンやリュートなどの弦楽器で導かれ、ゆっくりとはじまる曲だ。
 舞踏曲の踊りは基本的に男女のペアで行われる。
 そして祭りの曲とは違い全てのステップは正確にして優雅。パートナーの瞳を覗き込みながら、身体の動きを制御する繊細さが必要だ。
 アルス王国の舞踏曲は曲が進むにつれて参加する楽器が増えてくる。ゆったりとした雰囲気が壮大さに変わる。
 それに応じて踊る男女の動きも鋭さを増し、一歩一歩が強調される。
 エリシアさんの動きに合わせ、間合いを計る剣士のように的確に姿勢を変える。
 舞踏曲の最後は全楽器がそれぞれの音色を一気に奏で、そして一同揃って静止する。
 残るのは石像のようにポーズをとって固まるペアと熱情の余韻のみ。
 曲が終わり、閑静から開放されるとドッと疲れがきた。
 楽しかったが休まず二回も踊ったため、少し休憩が必要だ。
 エリシアさんをエスコートしながら踊り場を去ろうとすると、背後で再び祭曲がはじまる。
「凄いスタミナだな。あの人たち……」
 休まず演奏を続ける楽団員。踊り場を取り戻そうとするかのように一斉に飛び出す平民の招待客。
 疲れを知らないのだろうか。
「ジースさん!もう一回踊りましょう!」
 すると彼らに混じってミリアちゃんがエリシさんから俺の腕を引っ手繰る。
「ちょっと休ま―」
 返事する間もなく、俺は再び踊りの輪の中に連行されていった。

 そして六曲目が終わると、俺はプライドを投げ捨て片膝をつきながら懇願した。
「もう……勘弁して。あ、足の感覚がもうない……」
 俺は休む暇も与えられず二人にかわるがわるダンスに誘われた。
 宴の席で女性に誘われたのだから断りたくなかったが、流石に六曲も連続で踊らされると話は別だ。
「え~!わたしともう一回……」
「お願い。本当にもう体力が……」
「わ、分かりました」
 ミリアちゃんとエリシアさんはまだまだ踊り足りない様子だったがなんとか許してもらえた。
 それから二人は何か飲み物をとってくると言い、人ごみの中へと消えていった。
 俺は適当なベンチに腰掛け休むことにした。


486:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:29:49 5sQgXovN
「ふぅ~……」
 貴族主催のパーティーでこれほど疲れるとは思っていなかった。
 もっとも、ここまで楽しいとも思っていなかった。
 今のところ予想していた堅苦しい宴とは正反対である。
 しばらくしてボーっと視線を泳がせていると、一人のきらびやかなドレスを身に纏った女性が目に入った。
 薔薇を思わせる真っ赤なドレスだ。
 恐らくは貴族のご令嬢だろう。周りの取り巻きを見ただけでも分かる。
 召使いや護衛の騎士。家来だけでも4,5人はいる。その他にもダンスに誘おうとしている貴族のお坊ちゃまや社交辞令に来ている偉そうな爺さんたち。
 彼女の行くところに常に人だかりができている。
 ご苦労なことだと顔を他所へ向けようと思った時、令嬢と一瞬だけ目が合った。
「……あ」
 よく見ると俺は彼女のことを知っている。
 刃物を思わせる鋭い目つき。派手な服装に負けない気品のある金髪。
 いつもとは違う女らしい服装で気づかなかったが、あれはティオーナである。
 不思議なのは彼女もスキッダーなのにドレス姿だということ。
 市長はスキッダー全員、貴族平民問わず革鎧を着てこいと言ってきた。それなのになぜ彼女だけあんな豪華な格好をしているのか。
 あるいはベイヴェルグ家の娘だから例外なのだろうか。
 ふと、ある推測が頭をよぎる。
 もしかしたらこのパーティー自体、市長がティオーナのために開いたものなのかもしれない。つまり“市民への感謝の気持ち“は建前で、本当の理由は彼女の優勝を祝うため。
 だとしたら彼女だけ正装していることや突然の宴にも納得がゆく。
 そんなことを考えていると、先日の口論を思い出した。
 ティオーナの態度は明らかに乱暴でおかしかった。同時に俺の対応もただの八つ当たりだった。
 彼女に非がまったくないとは思わない。
 だが男なら悪かったところは素直に謝っておくべきだろう。
 大体このままティオーナにビクビクしながら過ごすのも身体に悪い。
「よし」
 決心がつくとまだ感覚の薄い足に活を入れ、ティオーナの方へ歩いてゆく。
 しかし近づくにつれ、彼女と話せるかどうかさえ怪しくなってくる。
 彼女の周りには人の壁があり、中には明らかに俺がこの場にいることを快く思っていない人たちもいる。
 特に貴族のお坊ちゃまたちの視線が痛い。


487:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:30:21 5sQgXovN
 さて、どうしたものかと困っていると幸運にもティオーナ本人が気づいてくれた。
「おまえは」
 威圧的な雰囲気は健在だが、口調は普段より柔らかだ。
「お久しぶりです」
「何用か?」
「少し話がありまして。すぐに終わります」
 言い終わった瞬間、ティオーナの取り巻きの目つきが変わる。平民の分際でお嬢様に何を、と言わんばかりだ。
「……いいだろう。来い」
 そう答えると俺に集まっていた目線は驚きをもってティオーナに返される。
 異様な光景に思わず笑い出しそうになるがなんとか堪える。
 対してティオーナは周りのことなどどこ吹く風。ドレスの裾を持ち上げ、さっさと歩き出した。
 護衛の騎士が付き従おうとするが彼女は鋭い眼光でそれを制す。
「お前はここで待っていろ」
「しかし……」
「いいな?」
「……ハッ」
 騎士は主人の命令に頭を垂れる。同時に俺に一睨みすることも忘れない。
 流石は公爵家の護衛の騎士。例えスキッダー相手でも警戒心を隠そうともしない。
 俺はティオーナを宴から少し離れた庭園の一角へとついていった。
 そして彼女は適当な木の下で止まり、振り返った。
「ようやく何か話す気になったのか?」
 闇に埋もれるのを拒むかのように輝く金髪に一瞬見とれてしまう。
「ぁ……いや、俺は先日の件で無礼を働いたことに謝りたいのです」
「なに?」
「その……あの時は負けてイライラしてました。大変申し訳ありませんでした!」
 俺は頭を下げ、なるべくハッキリした声で謝ろうとした。
「つまり、おまえの技の話を聞かせてくれる訳ではないのだな」
 彼女は額に手を当てながらため息をついた。
「え?あ、はい。ですから―」
「もういい。分かった」
 ティオーナは俺の言葉を遮ると両手を太ももの上で合わせ、改めるように言った。
「あの時は私も大人気なかった。すまなかったな」
 驚いた。貴族が平民に謝っている。
 てっきり俺が一方的に責められ、罵詈雑言が飛んでくるものと想像していた。


488:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:31:47 5sQgXovN
 それとも単に俺がティオーナと貴族に対して偏った見方をしていただけなのだろうか。
 呆気にとられた俺をよそに彼女は続ける。
「しかし、本当に何も知らない、いや、喋る気がないのだな?」
「つまり……」
「おまえの技のこと。疾風のドノテのこと、だ」
 ようやく俺にも合点がいった。
 彼女が知りたがっていることを俺が話すと思ったからつき合ってくれたのか。
「疾風のドノテのことでしたら俺よりファンの方が詳しいはずです。技は先日言った通り御自分で見定め下さい」
「おまえまさか……いいだろう。明日からしっかりと見ておいてやろう」
 一瞬何か気づいたような表情を浮かべたが、すぐに不敵な笑みに変わる。
「それでおまえの名はなんという?」
「ジース・グリンです」
「ジースか。覚えておこう。私の名は分かるな?」
「ティオーナ様ですね」
 彼女がはじめてグレイ・クリフに来た日のことを思い出す。
 おおげさな自己紹介の仕方だとは思っていたが彼女の態度から見てやっぱりわざとだったらしい。
「うむ。用件はこれで全部か?」
「はい、お騒がせして申し訳ありませんでした」
「お互い様だ」
 ティオーナは来た時のようにドレスの裾を持ち上げ再び歩き出した。
「ではジースよ、パーティーに戻るとしよう」
「はい」
 短い会話だったが妙な満足感があった。
 刃物のような少女だと思っていたティオーナといつの間にかくだけた雰囲気で話せたのだ。
 もしかしたら彼女は案外普通の女の子なのかもしれない、という考えさえよぎった。
 派手だと思っていたドレス姿も可愛く見えてくる。
「あぁ、これか」
 俺はいつの間にかティオーナのドレスを見つめていたようだ。
 彼女はそれに気づきバツの悪そうな顔で言う。
「これはリックベン殿―市長殿―がどうしてもというのでな。ここについてから着替えさせられたのだ。悪く思わないでくれ。何も特別扱いされたい訳ではないのだ」
「いえ、そういうつもりではありません。ただ似合っているなと思っただけです」
「……おまえは作法や踊りの他に世辞もうまいのだな」


489:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:32:25 5sQgXovN
 プイっとそっぽを向くティオーナ。
 珍しくしおらしい仕草を見て俺は吹き出しそうになった。
 パーティーの方へ戻ると律儀にもティオーナの取り巻きが同じ場所で待っていた。
 当然ながら全員、俺に対して険悪な顔を向けてきた。
 予想外だったのは彼らと共に、ミリアちゃんとエリシアさんも不機嫌な表情で飲み物片手に待っていたことだ。


490:蒼天の夢 07 後編 ◆ozOtJW9BFA
07/11/28 17:34:24 5sQgXovN
投下終了です。
これから連載をはじめた頃のペースに戻れればなと思っています。
あとこんな作品ながら待ち遠しいと言ってくれた方、本当にありがとうございます。

491:名無しさん@ピンキー
07/11/28 17:40:09 Ss4ZUeyA
EVAなぁ

やめて
火炎放射器二回も浴びせないで
悲鳴が消えてしまう

492:名無しさん@ピンキー
07/11/28 18:06:03 s828ZPh0
蒼天キタ━(゜∀゜)━!!キタ━(゜∀゜)━!!

493:名無しさん@ピンキー
07/11/28 18:21:01 2lKGIqXY
グッジョブ!
蒼天待ってたよ!

494:名無しさん@ピンキー
07/11/28 18:34:18 EcZloSW5
本人乙

495:名無しさん@ピンキー
07/11/28 18:43:51 pwl/2HJC
設定だけが先走りしてスレ違いな感じがする
もっと相応しい投下先があるんじゃね?

496:名無しさん@ピンキー
07/11/28 18:48:22 40cHzRJG
これから三つ巴の嫉妬が展開されるんだYO!
>>490 GJです

497:名無しさん@ピンキー
07/11/28 18:52:38 W81Hiy16
>>490
蒼天ktkr
次回の投下も楽しみに待ってます

498:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:01:00 ENaHNHxa
>>490
GJ!

499:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:32:07 cu5qF3NB
エロパロ板なのに全然エロくない
普通の小説家目指すのなら創作板でも逝って書けば

500:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:52:31 3VQN1kUY
修羅場と嫉妬は普通に興奮出来る。

501:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:53:07 hIisppMj

 町に火が灯る。私はそれを眺める。大きく強く、全てが灰に帰るほどの業火が覆う町を。
 まさに『阿鼻叫喚』という言葉は今このためにあるのだろう。
 訳のわからないまま焼け崩れた家に取り残された子供の叫び、目の前で我が子を失った母の嗚咽、運よく難を逃れた者達の先にはそれでも希望は無い。
 老若男女問わず助かった者は町を囲む兵士達捕えられてある場所へと連れて行かれる。
 
「お前達が匿っていた王女スラルとの関係は?」

 連れてこられた者にティークは第一にそう問いかける。
 
「それより孫が…! 孫がまだ町に…」

「…王女スラルとの関係は?」

 半狂乱な老婆の言葉を遮るようにティークは再度問いかける。
 
「…ス、スラル様の子供の出産に、た、立ち会いました」

 産婆だと名乗った老婆、それを確認するように後ろで捕えていた姫にティークは目をやる。
 
「もう…もうやめて…」

「メンゼイ、スラルが目を閉じなように瞼を抑えておいてくれ」

「……はい」

 姫の泣きじゃくる声に罪悪感とい輪で胸が締め付けられる。
 でもティークの言葉には従う。私は姫ではなくティークに仕えているからだ。
 
「お、王さ…――」

<ザンッ>

「ちっ…」

 ティークの方を振り向いてしまったために首へと振り下ろされた剣は老婆の顔を縦一門に切り裂いてしまう。
 金切り声のような耳障りな悲鳴が姫の口から飛び出す。
 
「次だ

502:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:53:48 hIisppMj
「……はっ」

 ホーネットが応える。 
 異常な光景だった。
 燃える町を背景に地面には別れた無数の人の胴と首、それを作り出しているのは目の前の血に塗れたティーク、兵士の誰もが吐き気を覚えた。私も例外では無い。
 そうして一分もしない内に次の者が連れてこられた。若い年ごろの娘だった。
 
「…王女スラルとの関係は?」

 すでに何度も繰り返された機械的な行為。
 姫との関係を明かすと同時に娘はスラルに向かって罵詈雑言の限りを尽くした。
 そして首が切り落とされた。
 全てが終わった時には夜が明けていた。
 
「どうだ? 素晴らしい光景だろう! お前達の行動が招いた結果だ…!!」

 山になった死体の前でティークは縛られた姫とその夫見下して言った。
 
「………」

 そのどちらも硬く口を閉ざしてティークの言葉には答えない。
 しばらくその様子を見つめた後、姫へと近づき思いっきりお腹を蹴り飛ばした。
 
「ぅ…あ…」

「王の前だぞ、答えろ」

「や、やめろ。スラルの腹には子供が…!!」

 やっと口を開いた男の言葉を聞き、ティークは無表情に男を蹴った。
 一切の手加減をせず、微塵の躊躇もなく狂うように男を蹴り続けた。
 
「サーナキア! …サーナキア!!」

 呪詛のように姫の言葉が繰り返しサーナキアという男の名前を枯れた叫ぶ。
 その言葉を聞くにつれてティークの憤怒の表情に涙を浮かばせてサーナキアを蹴り続ける。
 そしてそれはサーナキアの首の骨が折れる音で終わりを迎えた。
 
「先に使った軍は正規のではなく私直属の部下達なのでその者達から今回のこと洩れる心配は無いでしょう」

「……そうか。じゃあスラルのことを公表してくれ、あのサーナキアとか言う男に全ての罪をなすりつけてな」

503:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:54:51 hIisppMj
「わかりました」

「あと…スラルは死んだことにしてくれ」

「…はい」

「俺の暴挙に苦労を掛ける」

「いえ、今回の件は多少の非は王にあろうとも圧倒的にスラル様が悪い。
  それは事実を公表したとしても変わらないでしょう」
  
「…気休めとして受け取っておく」

 ホーネットが部屋から出ていく。全ての元凶は自分にあると言うのによくもそこまで言えたものだと、私は関心してしまった。
 明日から忙しくなる。こうしてティークと二人きりになるのも、これからしばらく無いだろう。

「…あの光景を見たとき、皆が笑える幸せな国を作るなんて言葉頭の中から消えていた。
  スラルの笑顔が見たくてここまで来たはずだったのに、俺は一体なにをしているんだ…」

「若のせいじゃありませんよ…」

「でももういいんだ」

「……え?」

「笑顔はもう見なくていい。スラルは死なさない。生かしもしない。ずっとずっと苦しませる。
  アイツは俺のことを嫌いなはずだよな、きっときっと感情の籠った顔をいっぱいいっぱいしてくれるよな。嗚呼楽しみだ」
  
 
 気力出して前の続き。
 ここで分岐して
 心壊れたまま堕ちてホーネットルート
 ゼンメイの懸命な気持ちで幸せゼンメイルート
 に流れる。
 俺がんばりました。うん、もう無理だ。これはプロットだ。

504:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:56:59 fr1LBQQB
蒼天待ってたヨ………
これからどんどん話が進むのを楽しみに次回を待つぜ。

505:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:59:40 cu5qF3NB
また、新IDがw

506:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:18:31 /HVvYZZX
プロットというタイトルのSSが見れるスレはここですか?

507:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:25:42 mmtVM1+6
まず最初にGJ。仕事はえーな

さてさて、俺も勝手に続き書いてたんだけど、どうしたもんかね
遅筆なもんで、まだ書き終わってないけどさ

やっぱり見てもらいたいし、出来上がったらここに投下しちゃって良いのかな

508:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:28:18 Q1LsFdGR
誘い受けはやめれ。書きたいから書く。読んでもらいたいから投下する。
それがこのスレだろ?少なくともここに一人続きを待っているヤツがいるぜ?

509:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:29:32 xEDmwhAi
プロットと言う名のリレーSSが始まるのか?w

510:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:29:55 JbHFBvCT
>>490
グジョーブ!
完結目指してがんばって!

>>503
さぁ、はやく続きのテキストを書く仕事に戻るんだ

511:名無しさん@ピンキー
07/11/28 20:35:54 hIisppMj

>>507
……ごめん。ログ読んでなかった。
描きたい部分とプロットしか書かない俺だからリメイクとか激しく嬉しい。
皆が期待しすぎないように投下する時キャップつけるようにするさ。

>>510
俺が投げっぱなしジャーマンをこのスレで何回してきてると思っているんだ



512:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:02:37 xUKLlEFW
プロットとか言ってる奴、ようは書けないから逃げてるだけなんだよな
誘いウケだっていうんならそれなりの成果はあったよな
もう満足したろうから黙っててくれ
おかしなこと自慢してるようだと荒れるだけだから

513:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:12:54 tsXF/LFF
何でわざわざ潰すような発言するかなあ
一時の感情で滅多なこと言うなよ

514:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:23:08 1O4uxygZ
このスレじゃ作者が途中でSS投げ出すのは珍しいことじゃないだろ
投げっぱなしのジャーマンか何か知らないけど、少なくとも声高に自慢するようなことじゃないだろ
バカじゃなかろうか

515:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:27:14 F2FIeLvI
モウコノナガレハカンベンナンダガ、ホントセイチョウセンナオマエラ('A`)

516:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:37:34 8LOHn/13
ほんとほんと
続きが気になるのに続き投げ出したSSのタイトル次々読み上げてやろうかマジで

517:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:37:51 OraNQX3C
ファンタジー祭りに便乗して投下します。

518:魔女の祈り
07/11/28 21:39:13 OraNQX3C
 血が足りない。早く渇きを癒さなきゃいけない。じゃなきゃ、ベルゼブブ様に叱られてしまう。
早く、早く、早く。
手遅れになる前に、審判の日がやってくる前に、僕は位階を上げなきゃいけない。神の軍団を打ち破る力をつけなきゃいけない。
そのためには、血を吸わなきゃ。罪深い魂を集めなきゃ。
僕がいっぱい血を吸えば、きらきらした鎧を着て、ベルゼブブ様の側近として働けるんだ。そうさ、それが定説なんだ。
―いた。見つけた。
「兄ちゃん?」
 おいしそうな、罪深い人間。無知の罪に浸された、ちっちゃな子供。血をもらおう。ごくごく飲ませてもらおう。
「ちょっ、どうしたの!」
この生贄を羽交い絞めにする。五月蝿いクソ餓鬼め。お前なんか、ベルゼブブ様からいただいた神通力でイチコロなんだぞ。
「い、痛い! 放してったら!」
 じたばた動くな。ああ、おいしそうな首筋だ。待っててくださいベルゼブブ様。今、血を吸ってあなたのお傍に行きます。
ちゅうちゅうぺろぺろ、なかなか、上手くいかない。もっと、強く噛まなきゃ駄目だ。
「助けてお母さん! 兄ちゃんが!」
 ええい、糞餓鬼め。僕の神聖な儀式の邪魔をするな。せっかく集めた霊気が発散しちゃったじゃないか。
とにかく、こいつを静かにさせなきゃ。
「あぐっ……苦し……やめ……」
「プーレ! 何をやっているのトト!」
 放せくそばばあ。さもなくば僕の神通力を食らわせるぞ。
くそ、くそ、動けない。こうなったら、貴様も殺してやる。ポアしてやる。
「暴れないでトト! 誰か、誰か来てちょうだい!」
 死ね死ね死ね。僕の神通力を味わえ。一瞬で凍り付いて死に至るんだぞ。
―エターナルフォースブリザードッ!
「あなた、何を?」
 ……ちくしょう、どうして効かないんだ。霊力が足りないのかもしれない。だったら、これでどうだ。
―ディアボリックデスバーストッ!
「トト?」
 ……くそ、ベルゼブブ様から力を貰ったはずなのになんで出ないんだよ。
「プーレ! おい、何があったんだ!?」
「さっきからこの子の様子がおかしいのよ!」
 止めろ、放せこの野郎。髭男め、汚らわしい手で僕に触れるな。
「いつっ、この野郎噛み付きやがった! 足を押さえてくれ。そら、じたばたするな!」
 霊気が……神通力が抜けて力がでない……。いつもの僕ならこんなやつら楽勝なのに……。
「この子は、悪魔憑きだわ……」
 そうさ……僕は……ベルゼブブ様の……。

519:魔女の祈り
07/11/28 21:40:32 OraNQX3C
 イゼベルは編み物をしていた手を休めて窓を眺めてみたが、雨は弱まっていなかった。
この様子では、今日じゅうには止まないだろう。
暖炉にくべられた薪はちりちりと燃えて熱を吐き出し、この部屋と、部屋を横断する紐にかけられた衣類を温めている。
しかし、朝から干していても一向に湿気が抜ける気配はない。
昨夜から、梅雨の生暖かいどしゃ降りがラグナグの都市全体を覆っていた。
石畳に打ち付けられた雨水は街路脇の溝に流れ込み、溢れかえって小さな洪水を起こしている。
死体のようにぐったりと枝を垂らした街路樹の下には、どろどろの粥に変わった地肌があり、砂糖のように溶かされた土は地面と舗装との段差を乗り越え、こげ茶色の水となって氾濫した小川と合流する。
湿気は町中の壁にびっしょり汗をかかせて、大雨は家々の屋根と窓ガラスに響きを立て、不均等なリズムで滴り落ちている。
イゼベルが居る建物の入口にぶら下がる、ストルドブラグ祓魔(ふつま)事務所と書かれた看板は、ぽつぽつと大粒の涙をたらして、まるで来客が無いのを悲しんでいるかのようだった。
ここひと月、祓魔事務所の扉を叩く客は、とある一部の人間を除けば一人もいなかった。
ただでさえ財政が苦しいというのに、こんな天気が続いていけばますます客足が遠ざかって、財布の中身は軽くなるばかりである。
(洗濯物も、乾かないし……)
 イゼベルは視線を手元に戻すと、はぁとため息を吐いた。
けれども、彼女は雨が嫌いではない。
雨音や、屋根を伝う水の音に耳を済ませていると不思議と気持ちが落ち着いてくるし、大水のなかで身の安全を感じているのは心地よい。
(それに……)
 顔を上げて、部屋の中心ある古ぼけた机を見やる。
机の上で広げた本に手を当てたまま、もう片方の腕で頬杖を突いて居眠りしている青年が、琥珀色の瞳のなかに映し出された。
時折、寝息に合わせて、青年の癖が付いた黒いぼさぼさの髪が小さく揺れる。
(今日は、ずっと二人きり)
 愛しい男を見つめながら、少女はその青白い肌をほのかな薔薇色に染めた。

520:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:41:25 1O4uxygZ
なんだ、この嫌な感じは

521:魔女の祈り
07/11/28 21:41:46 OraNQX3C
 来客があったのは、イゼベルが無防備に眠っている青年のほっぺたをつつこうと、指を震わせて彼の前で身構えた瞬間だった。
「フェイド! フェイド・ストルドブラグは居るか!」
 ばん、とノックも無しにいきなり扉が開かれて、雨でびしょびしょに濡れた緑色の外套を羽織った女性が事務所に怒鳴り込んできた。
その反動で青年の頬杖が折れ、支えを失った頭部が落ちた。衝突した額と机がごつんと鈍い音を立てる。
イゼベルは一瞬だけびくりと大きく全身を震わせたが、すぐまた我に帰って、不機嫌そうな顔を無粋な乱入者に向けた。
「おっと、すまないがイゼベルさん、外套はそこにかけておいてくれ。ああ、それと紅茶は濃い目のオレンジペコを頼む」
 女性はそう言うと、首筋のあたりで切りそろえられた栗色の髪を揺らしながら、青年の対座にある肘掛け椅子にどっかと腰を下ろす。
悪びれるどころかお茶を催促し始めた目の前の女に聞こえぬよう、イゼベルは小さく舌打ちをした。
「……わかった。少し待っていて」
 ご注文どおり、雑巾汁100%の特製紅茶を淹れてあげる。
そんな、ちょっとした仕返しを企みながら、至福の時間を邪魔された少女は台所へと歩き出した。

「フェイド! さっさと起きろ!」
 フェイドと呼ばれた、先ほどから眠りこけている青年は、この女性の、やや低めだがよく通る声を夢のなかで聞きとったらしい。
彼はゆっくりとした動作で少しだけ顔と瞼を上げて、焦点の合わない目でちらりと正面を覗き見た。
しかし、彼の黒い瞳に彼女の姿が映るや否や、再び糸の切れた人形のように机に突っ伏して寝息を立てはじめる。
「こら! 寝るな!」
 女性がばんばんと机を叩くと、耳元の振動と騒音でようやく目覚める気になったのか、フェイドはけだるそうに頭をかきながら起き上がった。
やがて、安眠を妨害された彼は眉間に皺を寄せ、迷惑げに、重々しい調子の声で話しかける。
「……聖騎士マノン・ヤレリック卿。人がせっかく瞑想に耽っているというのに、邪魔しないでもらえるか」
「何が瞑想だ。貴様は居眠りしていただけではないか」


522:魔女の祈り
07/11/28 21:43:59 OraNQX3C
 起き抜けの心底不機嫌そうな目つきでにらまれても動じないこの女性の名前は、マノン・ヤレリック。
ラガード王国竜騎兵第十三連隊、通称聖騎士団に大尉として所属する貴族である。
聖騎士といえば聞こえはいいが、ラガード王国における竜騎兵第十三連隊とは実際のところ、退役間近の老人や扱いに困る貴族の子女といった、家柄は結構だが実力はいまいちで解任しようにも解任できない士官の厄介払い先というのが現状だった。
元は近衛第七連隊という古くからあった連隊の一つで、先代国王が行った大規模な軍備構造改革の際に、半ば形骸化した、名誉職で官僚の天下り先となっていたそこを竜騎兵科として再編成して厄介者の士官を集めたことが始まりである。
そうして、所属する貴族のうち男爵以上の称号を持たぬ者にはお情け、というよりむしろ強制的に聖騎士の称号が与えられる。
騎士という階級は男爵の下に位置するため、聖騎士になるということは、事実上、それ以上の爵位を得られない、出世街道から外れたことを意味するのだ。
そういった事情から、聖騎士団という通称は彼らに対する皮肉の一つであり、結成以来未だ戦場に投入されていない事実からきた、抜けぬ懐刀、無敗連隊、国立修道会といった揶揄と併せて用いられている。
ちなみに、竜騎兵第十三連隊はまだ出来て間もない連隊であるので、田舎から飛び出してきた世相に疎い人間などは聖騎士団という名称を聞くと、強い兵士の代名詞である竜騎兵の兵科も相まって盛大に勘違いしてくれるらしい。
 寝起きが悪いほうなのか、フェイドは正面でふんぞり返っているマノンを無視して、しばらくの間虚ろな目を人差し指の背で擦った後、たっぷり一分間かけて全身で伸びをした。
それからやっと、首をこきこきと鳴らしつつも言葉を続ける。
「で、今日は何の要件だ? 除霊の依頼か? それとも人生相談か? おあいにくさま、後者は専門じゃないんでな。教会の聴罪司祭さまかそこらの占星術師にでも当たってくれ」
「違う! 貴様、まさか今日が何の日なのか忘れているのではないだろうな?」
 フェイドには思い当たるふしがない。六月はとくに祝日もないし、暦の中でこのやたら元気な女に関係する日なんて、先月の誕生日くらいだ。
「何だよ」
 欠伸を噛み殺す男の姿に、大きな、つり上がり気味の、不透明な青色をした目が細まった。

523:魔女の祈り
07/11/28 21:46:18 OraNQX3C
 しかしマノンが気を静めるように一度大きく深呼吸をしてしまうと、目じりの力が抜け、今度は得意そうな目つきになり、ふふん、という含み笑いが口元でこぼれる。
不敵そうな面構えになった彼女は、懐から大事そうな手つきで薄汚れた紙切れを取り出して、それを机の上にゆっくりと広げた。
「ああ、あのときのやつか」
 広告か何かの裏地を利用したのだろう、所々に染みがあるそれには汚い文字でこう殴り書かれている。

『私、フェイド・ストルドブラグは本日十九時三十分、マノン・ヤレリック様から、金貨百ガードを借り入れました。神に誓って返済期日までに―』

 先月、マノンと一緒に飲みに行ったとき、それまで溜めていた酒場のツケを支払わなければならなくなり、持ち合わせの無いフェイドは彼女に代金を肩代わりしてもらった。
机にあるのは、そのときの借用書だった。署名の横には、ご丁寧に血判も押してある。
フェイドの脳裏に、酔いと困窮に任せるがまま、このいけ好かない女に土下座してしまった屈辱が甦った。
暴君は手を腰に当てながら、薄い胸を張って言い放つ。
「今日がその返済日だ。耳を揃えて払ってもらうからな!」
「いつもニコニコ現金一括払いと、いきたいところだがな……なあ、しょっちゅうウチに来てるんだから、わかるだろ?」
「ほほう。返せない、と言いたいのか」
「無いものは無い。そもそも依頼が無いんだ。収入だってあるはずが無い」
 今月の生活費だって、イゼベルの服を質に入れて得たものである。それほど今の祓魔事務所は貧乏なのだ。
ここは対話と圧力による平和的解決を図るべく、フェイドは開き直ってやった。
降伏せよ、さもなくば一千万人の捕虜を送り込む、とでも言いたげな顔つきをして腕を組み、鼻で笑う。
ハ、と声に出すのは、彼が人を虚仮にするときの癖である。
しかし、マノンは先ほどから浮かべている笑みをますます深めた。
「……ならば、貴様はこれから、私の奴隷になるということだ」
「はぁ?」
「見るがいい!」
 びしぃ、と折れるくらいにのけぞらせた人差し指で、マノンは借用書の隅っこを示した。
そこには普通に見るだけでは判別できないくらいの小さな文字で何かが書かれている。
フェイドはくっ付きそうなほど目を近づけて、あの時マノンが書き入れたらしい、彼の知らない借用条件を読んだ。



524:魔女の祈り
07/11/28 21:47:40 OraNQX3C
『もしも、下賤で卑屈な私めが期日までに麗しく高貴な貴女さまへ金銭を返済できなかったばあい、全額を返済するまでの期間、マノン様の奴隷になることを誓います』

 残念なことに、後から書き込んだ形跡はない。おそらく、べろんべろんに酔っ払っていたせいで見逃してしまったのだろう。
「な、ふざけやがって……」
「ふふん。しっかり確認しなかった貴様の自業自得だ」
 たしかに、最期の血判を押させる前に、彼女はやたらとフェイドに同意の確認を取っていた。
しっかり読んだかという言葉を何度も繰り返したことから考えるに、マノンは今の状況を見越していたらしい。
嵌められた、とフェイドは思った。その場を凌げるならどうとでもなれさという、投げやりになった心の隙を突かれた。
あの時は酔っていたとはいえ、こんな女に出し抜かれてしまった。
目も当てられないほど愚劣きわまる失敗をしでかしてしまったのだ。
フェイドは、地団駄を踏んで悔しがった。この失態は、死ぬまで自分に付きまとうだろうとさえ感じた。
そんな彼とは対称的に、マノンは非常に上機嫌のようだ。勝ち誇って、顔を赤らめてさえいる。
悔しがるフェイドの姿を、真面目な顔つきでじっと観察しているかと思えば、突然口元をだらしなくにへらと緩ませて、次の瞬間には慌てて引き締めたりしている。
忙しなく歓喜を表現している彼女の様子を見て、フェイドは心の中で呪詛を唱えた。
祓魔師という曲がりなりにも聖職者である彼が口にすべきではない罵詈雑言を延々と唱え続けた。

525:魔女の祈り
07/11/28 21:50:04 OraNQX3C
 イゼベルが三人分のお茶をお盆にのせて音もなく現れたとき、マノンはあさっての方向に顔を逸らして、
「そ、そういうことで、まずは私の買い物の荷物持ちをやってもらう!」
 と叫んでいた。彼女の耳は充血して、赤く色付いている。
イゼベルはなんとなくその仕草が気に入らなかった。
なので、フェイドの分のお茶だけを降ろして、マノンの分をのせたまま、机の上で聖騎士の体からなるべく離れた、手が届きそうで届かないような位置にお盆を放置する。
そのままイゼベルは自分の椅子に戻って、編み物を再開した。
お茶が飲みたければ自分で歩いて取りに行け、と少女は心の中で貴族の女につぶやいた。
「アンタ、聖騎士の任務はどうするんだよ。今日は非番じゃないだろ」
 いくらお飾りの聖騎士団でも、平日には練兵所で訓練だとか、路上のゴミ拾いだとかの雑用があるはずである。
ならば彼女が毎日のようにここへ入り浸っているのはどうなのか、と問われると困るのだが、ともかく、苦し紛れにフェイドは建前上の常識を持ち出してみた。
いくら窓際貴族でも、おおっぴらに遊びまわるのはよろしくないのだ。
「有給休暇をとった」
 マノンはけろりと言った。そういわれてみると、フェイドは彼女の恰好が普段と違うことに気が付く。
いつもなら外套の中には、あの無闇に派手で気色悪い色合いをしているうえ、布地が見えなくなるほどたくさんの勲章をぶらつかせている、聖騎士団専用の恥しい軍服があるはずだった。
けれども今の彼女は私服姿で、四六時中、後生大事に抱えている例の長剣も持っていない様子である。
「外は雨が降っているだろうが」
「貴様が傘になればいい」
 フェイドはまた厭な記憶を思い出した。以前、雨の翌日に彼女と町を歩いていて、大きな水溜りに出くわしたことがあったのだ。
マノンはそんなときに限って新品の高価な長いスカートとやらを穿いていて、濡れるのがいやだとかいう理由で彼の上着を水溜りの上に敷かせた。
ちょうどそのころ彼女に弱みを握られていたフェイドは、反論さえ出来ずに泣く泣く上着を一着献上したのだった。
後日、マノンから詫びとして、駄目にしたそれよりも値の張る上着を買い与えられた。
そうしてその晩、フェイドは自分の惨めさと、情けなさを呪った。

526:魔女の祈り
07/11/28 21:52:48 OraNQX3C
 再びあんな思いをするのはこりごりだと考えた彼は、次の理由を持ち出す。
「……俺にだって祓魔師の職務ってものがある」
「こんな大雨の日に客が来るのか? それにしても、留守番ならイゼベルさんにしてもらえばいいではないか」
「こいつは愛想がないから接客は無理だ。そうだよな?」
 そうだと言え、と、フェイドは窓際で編み物を続けるイゼベルに熱の篭った視線を送る。
「ええ」
 少女は手元から視線を外さずに答えた。もとより彼の言うことに関して彼女の答えは肯定以外にない。
自分たちの平穏をぶち壊してくれた女を追い出すためというのなら、なおさらだ。
そんなイゼベルの思惑を知ってか知らずか、マノンは立ち上がって、すたすたと机の周りを歩いて行き、紅茶の乗ったお盆の前で止まった。
そうして冷め始めたカップの取っ手に手をかけながら、少女をとがめる。
「イゼベルさん、あまりフェイドを甘やかしてはいけない。貴女がそうだからいつもこいつは」
「とにかく、駄目なものは駄目だ。今日はなんとなく胸騒ぎがするんだよ。こう、耳の後ろにざらついた感覚があってだな、きっと俺に助けを求める依頼人が……」
 説教がうるさくなりそうだから、フェイドは適当に思いついたことを口走る。
「馬鹿なことを言うな。来るはずな―」
 ―こん、こん、という弱々しいノックが、マノンが言葉を続けようとした矢先に扉から響いた。
一瞬にして、姦しかった事務所に静寂が訪れる。一ヶ月と二週間ぶりの、来客を知らせる音色だった。
マノンはノックをしないので、普段は聞こえることはない。
数十秒ほどして、再び、先ほどより少し強めに、こん、こん、と鳴った。
ぽかんと間抜けに口を開けたままでいるマノンより、一足早く気を持ち直したフェイドがイゼベルに目配せすると、彼女は小さく頷いて、
「どうぞ」
 と、鈴を鳴らすようなかわいらしい声色で言った。こういうときに言葉をかけるのはもっぱら女性であるイゼベルの役目である。
スケベ心と言っては身も蓋も無いが、相手がよほどの女嫌いでもないかぎり、客に聞かせる第一声は儚げな少女の声のほうが好印象を与えられるし、依頼者が女性の場合でも気安さを装うことが出来る。
後は事務所に入れてしまえばこっちのものというわけで、大事な大事なお客さんを逃がさないために、フェイドはゆっくりと立ち上がって扉に近寄った。

527: ◆RKfY.eXwSY
07/11/28 21:53:24 pLR4XfYe
>>469仕事の都合でしばらく書けそうにありません。ごめんなさい。

528:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:54:35 PXsfZbX7
ジャーマン氏に限らず、作品を途中で投げ出す無責任な書き手は
取り敢えずチヤホヤして欲しかっただけなのかな
ここは練習用のスレじゃないんだが

529:魔女の祈り
07/11/28 21:54:52 OraNQX3C
 充分に油の差されていない扉がぎいと小さな唸り声を発した。
開いた隙間から覗きこむように、髭を生やした中年男性の、おどおどと気後れした顔が現れる。
「あ、あのぅ……」
 声と同時にフェイドは飛び掛るように男性の肩に手をかけると、すぐさま扉を大きく開いて半ば無理矢理彼を部屋の中に招きいれた。
「ああ! お客様ですね! ささ、ご用件は何でしょうか? 悪魔憑きですか? それとも悪霊? 洗礼オプションの悪魔祓いのほうもたいへんお安くなっておりますよ」
「あ、悪魔憑きです」
 背中を押しながら一息にまくしたてる青年に気を呑まれたのか、依頼者の中年男性は声の調子は弱々しいものになっている。
「おお! なんと悪魔憑き! それでは、まずはこちらにおかけになって。どけ!」
「いたっ。何をする貴様!」
 あっけにとられつつも椅子に戻ろうとしていたマノンの体をフェイドは無造作な手つきで払いのけ、彼女の席に緊張し切った依頼人を座らせた。
そうして、マノンの首根っこを掴み扉のほうへと引き摺りながら、顔だけをお客さんに向けて続ける。
「ええ、安心してください。これでも悪魔殺しのプロです。必ずやにっくき悪魔野郎を屠殺してくれましょう!」
「は、はぁ」
 あれよあれよという間に、依頼人はちょこんと椅子に腰掛けて、マノンは出口に追い遣られていた。
「そんなわけだ。じゃあなマノン」
「ちょっと!」
「ここからは部外者お断りだ。最近は個人情報云々もうるさいからな」
「まだ私お茶飲んでな―」
―ばたん、と音を立てて扉が閉まった。続いてがちゃんと鍵をかける音が聞こえ、聖騎士マノン・ヤレリックは一人ぼっちで外に取り残された。
大粒の生暖かい雨が、マノンの体を打ち据える。壁から跳ね返るしぶきが、彼女の顔を濡らす。
あっという間に、追い出されてしまった。豪雨は弱まる気配もない。
彼女は懐から、湿気でふやけてよれよれになった小さな紙片を取り出して眺める。
やがて、新悲喜劇優待席と書かれた二枚のそれを、彼女はくしゃりと握りつぶした。
地面と同じで、心も水びたしだった。
「……この、下衆男」
か細い声で、彼女は扉に向かってつぶやいた。
ストルドブラグ祓魔事務所と書かれた看板が小さく揺れる。
「この、インチキエクソシスト―ッ!」
そう叫んで、マノンは大雨の中を疾走した。

530:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:56:50 ti62aKW8
長編書き上げるにはそれなりの力量がいるんだろ
それに書き出したはいいがモチベーションが続かないとな
無理せず読み切りの短編書けばいいのに

531:魔女の祈り
07/11/28 21:58:02 OraNQX3C
 ところで、学問および学問に裏付けられた技術による合理化―即ち学問の進歩―とは、それを欲しさえすれば、どんなことでもつねに学び知ることができるということである。
そして、そこにはなにか神秘的な、予測し得ない力がはたらいている道理がないということであり、むしろすべての事柄は原則上、予測によって意のままになるということである。
高度に発達した科学は、魔法であってはならない。魔法からの世界解放こそ、科学というものにほかならないのだ。
剣と魔法が支配するこの世界においても、人類発生以来絶え間なしに続けられた数多の賢者たちの思索と実験によって、魔法は既に元来の意味における魔法ではなくなり、主知化、合理化、原則化、体系化され、つまり予測しえる現象に昇華されて人類の英知の一つとして君臨した。
この世界の人々にとって魔法とは火と車輪と言語の延長であり、神秘や不思議なんてものは一欠けらもなしに極々一般的の学識として人間の生活に溶け込んでいる。
物語の舞台となるのはたしかに剣と魔法の世界だが、森や草原でおとぎ話に登場するような怪物が跋扈しているわけでもない。
あくまで地上における最も強い種族は人間で、最も賢い種族も人間なのだ。
半人半獣の亜人種なんてものも、漫画のなかにしか存在しなかったりする。
しかしそれでも、こんなつまらない世界であっても宗教というものは存在した。
神が何度となく起きた宗教革命で半殺しにされ、さらには哲学者によって息の根を止められた後も、神秘と歴史ある思想に憧れる人々は今だ教会を徳の拠り所とし、坊主達の食い扶持を補ってくれていた。
魂を扱うという、このほとんど暴きつくされた神秘の最後の砦は、しかしまた難攻不落の要塞であった。
祓魔師という、いかがわしい、やくざな業種が生き残れているのもそのお陰である。

532:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:59:00 UG+7C7DL
ちょwww必死こいて書き写ししたりしてる間に>>501に書かれてるwww

どうしようコレ…

533:魔女の祈り
07/11/28 21:59:18 OraNQX3C
 交渉はとんとん拍子に運んだ。
 ―プランはどのようにいたしますか? バリューパック甲、乙、丙に、法人向けビジネスパックや各種オプション、プラチナスペシャルゴージャスパックをご利用ならただ今キャッシュバックキャンペーン実施中でたいへんお徳―
 ―あの、一番安いやつで……。
 ―……通常祓魔プラン丙ですね。
 ―は、はい。それで頼みます。
 ―では教区のほうはどちらで?
 ―ええと、リェレナです。
 ―それなら教会のほうから補助金が下りますので、ここと、ここに署名をお願いします……貧乏人が。
 ―はい?
 ―なんでもございません。ささ、御記入は済みましたか? それではお子さんに憑いた悪魔がどのようなものなのか、お聞かせください。
 そんなこんなであくる日には、フェイドとイゼベルは悪魔に憑かれたという少年が住む村、リェレナ行きの郵便馬車に揺られていた。
 馬車の窓の外には、菜種畑が広がっている。
花盛りを過ぎ、波打つように敷かれた緑の毛布は、黒々としたあぜ道で大きな網の目に仕切られている。
ところどころで鎌を持った農夫が、茶色の地肌を広げるべく、せっせと菜種刈りに精を出している。
空では、巨大な蒸気の塊が青い下地の半分を覆って、太陽光を遮り、大地にくっきりと影を落としている。
馬車が雲の影を抜けた。
柔らかな日光に愛撫されて、イゼベルの透き通った白い肌の上に、綿の糸のようにぼやけた、ほのかなうぶ毛が浮かび上がる。
曲がり角に差し掛かったのか、車体が大きく揺れた。
細い、色あせた金髪がほつれて、少女の瞼にかかる。
前髪を撫でるように指を滑らせると、イゼベルは頑丈な石造りの家並みをぼんやり見つめた。


534:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:00:49 I6s4FEUA
バカな
短編に仕上げる方がむしろ力量がいるんだぞ
ダラダラした長編よりピリッとした短編の方が書くの難しい

535:魔女の祈り
07/11/28 22:01:50 OraNQX3C
「僕は地獄からやってきた魔王ベルゼブブの部下だ、か。やれやれ、面倒なことになりそうだ」
 イゼベルの向かいに座るフェイドは、調書を手に持ってそうつぶやいた。
彼の言葉を聞いても、イゼベルは外の景色を眺めたまま、何も言わない。
馬車の乗客は彼らだけだった。速歩で進む二頭の馬の蹄に、古くなった車体の軋みと、車輪が回り、道路を踏みしめる音のほかには、二人分の衣擦れだけが聞こえていた。
今みたいに彼女と二人きりのとき、彼はよほどのことがないかぎり少女に意見を求めることはありえない。
彼は自分自身に言い聞かせるような独り言しか口に出さないのである。
イゼベルはそのことを痛いほどよく理解しているから、沈黙をまもるのだった。
 二人がリェレナの集落にたどり着いた時、村の学校で正午の鐘が鳴り響いていた。
鐘が鳴り終わってしばらくすると、昼飯に帰るのだろう学童たちが校門から、競争するように大急ぎで飛び出してきた。
村道を歩くフェイドたちの正面にも、何人かの腕白小僧がわれさきにと腕を振り振り走ってくる。
そうして、見慣れぬ法衣姿の青年と、こんな田舎ではまずお目にかかることの無い、フリルの付いた服を着た少女の二人組みに遭遇すると、わっと大声を上げて驚き、すぐにまた踵を返して、喚きながら逃げていった。
 こうして若い祓魔師と助手の少女の訪問は、当日のうちに村中へ知れ渡ることとなった。
田舎では、流行が伝わるのは遅いが、個人の噂はどんな都会よりも素早く広まる。
悪魔に憑かれたトト少年の父親、依頼主のラッシ氏はこの点において考えが足りなかった。
対岸の火事ほど面白い話題はない。無関係な人間ほど変に勘ぐったり、憤慨して陰口を叩きたくなったりするものだ。
早く息子を元に戻したいばかりに段取りを焦りすぎたおかげで、ラッシ氏は村に新たな娯楽を提供してしまった。
その上、悪魔憑きの人間も悪魔祓いの人間も、ごく真っ当な村人からしてみれば、教義を厳守する教区司祭と代わらないのである。
ようは、楽しく陰口をたたける手合いなのだ。
そうして、祓魔師フェイド・ストルドブラグはそれを知っていながらも、わざわざ真っ昼間に村を訪れたのだった。
格安には格安なりの待遇がある、とは彼の言い分である。

536:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:02:14 MJhvXXwA
>>532
同じ題材で競作してみては?
なんなら俺も書いてみる

537:魔女の祈り
07/11/28 22:06:06 OraNQX3C
 食卓には、五つのスープ皿が置かれている。
じゃが芋と玉ねぎのほか、四等分されたキャベツが丸ごと放り込まれたスープのなかに、パンが浸してあり、皿の底にはすこしばかりの牛肉のかけらが沈んでいた。
ところどころに傷が目立つ、何十年も使い込まれた木のテーブルを、フェイドとイゼベル、この家の主人であるラッシ氏、妻のメリー夫人、首に包帯を巻いた次男のプーレ少年の五人が囲んでいた。
都会の生活に馴染んだフェイドとイゼベルにとって、この農家の食事はあまりいいものとは思えなかった。
いくら農奴制が廃止されたといっても、まだまだ農家の生活は楽になったとはいえない。このわずかな牛肉だって、突然の客に対する精いっぱいのもてなしなのだろう。
味は、そんなに悪くない。量もそれなり、腹いっぱいある。けれども、どうも貧乏臭くていただけない。
作り笑いを浮かべて、依頼者家族と談笑しながら、図々しくもフェイドはそう感じていた。
「トトは、ほんとうは、ちょっとだけ気の弱い、とても優しい、いい子なんです。ですから神父さま、あの、坊やにあまりひどいことは……」
 昼食を終えたプーレ少年が学校へ戻り、家の中が大人たちだけになってしまうと、メリー夫人がおどおどと切り出した。
悪魔祓いの儀式というものは、それはそれは恐ろしいものだと彼女は噂に聞いていた。
寝台に縛り付けて延々と呪文を聞かせたり、悪魔を追い出すためと称して鞭で打ったり、監禁、断食、去勢云々、そういった、様々なおぞましい仕方で行われるらしいのだ。
かわいい息子を、そんな目に合わせたくない。
そう思った子を溺愛する母親は、なんとかやさしくしてもらえないだろうかと、人好きのする微笑みを称えた好青年に懇願したのだった。
「ご心配なさらず、奥様。私は決して、お子さんを打ったり、縛り付けたりはいたしません。そもそも、悪魔が憑くということは、主が我らを試みるある種の試練です。
私はただ、その試練に打ち勝つお手伝いをさせていただくだけであり、私たち祓魔師の秘蹟も、そのためだけのものなのです」
 胸に手を当てて、いかにももったいぶった仕草で答えるフェイドの姿に、メリー夫人はその好色そうな、ややたるみ気味の顔を赤らめた。
生まれたときから田舎の野卑な男たちの間で育った村の女には、彼のような似非紳士の胡散臭い動作でさえも、上品なものとして見えるらしい。

538:魔女の祈り
07/11/28 22:07:07 OraNQX3C
すると、青年の一挙一動にいちいち感激する妻にラッシ氏が横槍を入れる。
「お前がどう言おうたって、もう高い金を払っちまったんだ。何が何でもトトのやつを正気に戻してもらわんと困る。
ただでさえ、あいつの気狂いのおかげでご近所に醜聞が広まってんだ。
なあ、ラグナグの先生。なにはともあれ、どんなことしてもいいから、さっさと悪魔を追い払ってくだせえ」
 ラッシ氏は、祓魔師を値踏みするような目でにらみ付けて、腹立たしげに言った。
けっこうな出費が半分の理由で、もう半分は若い男への嫉妬である。
フェイドたちがこの家に訪れたときから、ラッシ氏は事務所の扉を叩いたときとは正反対の、このような、いかにもいかめしい態度で話していた。
自分の領域のなかにいるときだけ気が大きくなるというのは、田舎の亭主たちにとってそれほど珍しいことではない。
臆病そうな、地主に絶対服従の小作人だって、家のなかではごく普通に酒を飲み、妻子に当り散らし、傲慢に振舞うのだ。
「うちにはあいつ一人のために使える余分な部屋はないもので、昨日言ったとおり、トトは今、教会のほうに預けてんです。
これ以上の余計な出費は抑えなきゃならん。なんで先生、さっさと行きやしょう。出来れば今日中に片付けてもらえるとありがてえですがね」
 ラッシ氏はそう言い、不機嫌そうに鼻を鳴らして家から出て行った。
そんな彼を見たフェイドは、ハ、と鼻で小さく笑うと、法衣の上に、奇妙な紋様の刺繍が入った白い上衣を羽織る。
そうして、似非神父は仰々しい仕草で夫人の手を取って歩き出し、開きっぱなしの扉をくぐった。
 最期に残ったイゼベルは、二人の手元をぼんやりと眺めていた。
いつものことであるが、くすぐったそうな顔をして、彼の手に自分のそれを乗せて歩く女を、彼女は心底羨ましく感じた。
それと同時に、女の腕を、懐のナイフで切り落としてやりたい衝動に駆られた。
肩先から断ち切ったそれを地べたに叩きつけ、何度も何度も突き刺して、ぐちゃぐちゃになるまで踏みにじり、最後には魔法で本人ごと焼き尽くしてしまいたかった。
手を握られるということは、日ごろ彼からぞんざいに扱われている彼女にとって、それほど魅力的な行為なのだ。
けれども、イゼベルは人並みくらいには忍耐強かった。
彼女は我を忘れてしまわないように小さく息を吐いてから、みんなの後を追って、すたすたと静かに歩きだした。





539:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:08:04 Q1LsFdGR
今日もあぼ~んが多いなぁ。

540:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:08:50 OraNQX3C
以上です。
携帯なので、投下が遅くてごめんなさい。

541:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:12:23 EphtVovj
競作はオレも読んでみたい
それぞれに書き手の個性が出て面白そう
リレーほども荒れないだろうし

542:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:15:09 h4214CE/
すげぇ大量投下が来たな。
まだ読んでないが、お疲れ様と言わせて貰うぜ。

543:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:23:18 57NbFy7H
一万年さん
早く続きをお願いします

544:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:16:00 2lKGIqXY
>>540
お疲れー
続きが楽しみです

545:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:20:31 dmoILXic
>>540
乙だぜ。
投下の間に書き込んでる奴がいるが気にすんな。
それと、必死にID変えて書き込んでた奴は自分の行動を反省しとけ。
自分がされて嫌なことは他人にするな。

546:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:34:08 9a4IQ3p4
本当に最近のこのスレは荒れ気味だな

そんな空気の中でも投下してくれている作者達には
心からGJと言わせてもらおう

547:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:44:17 9/DyrNje
GJ付かなくて乙ばかりなのは、書き手さんが払った労力に対しお疲れさんって意味ってホントなの?

548:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:46:09 WdaHFgeS
こういう状況だと内容に関わらずGJ貰えそうだしな
貰えない人もいるみたいだけど

549:名無しさん@ピンキー
07/11/28 23:48:10 s2XvJkot
作品が会話の邪魔になっているのは初めて見た

550: ◆RKfY.eXwSY
07/11/28 23:59:32 pLR4XfYe
現在一万年の続きを執筆中なのですが、交際の断りに対する翼のリアクション、
次の中でどれがいいですか?

①あっさり引き下がるように見せかけてこっそり舞香を亡き者にし、私が慰めてあげます的に再び近づく。
②前世の話で必死に説得するも失敗し『来世で幸せになりましょう』と言って優を殺す
③優を気絶させて自宅に監禁し逆レイプ妊娠で責任取らせる。
④優か舞香の弱みを血眼で探り脅迫。
⑤その他、何かアイディアがあったらお願いします。

551:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:06:06 qZu2NExk
投票w
しかもお前がか、身の程を弁えろや
つーか消えろ

552:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:09:05 0jgBJnS3
う~ん
②や③は余りに救いがないでしょw
④はこのスレにある凡百のクソSSで食傷気味

消去法だと①なんでしょうが、舞香を殺すのはやりすぎでは?
俺、舞香のファンだから、彼女殺したらもう読まないよw

553:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:10:19 vGAeZUQw
このスレの住人は気の良い奴ばかりだと勝手に思い込んでるおかげで
荒れる方向に進める発言をしてる奴は大体荒らしにしか見えない。
こんな俺はなかなかの幸せ者だと思う。


554:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:10:29 NvMs3oEm
これなんて自作自演?
◆RKfY.eXwSYは作者の暗黙のルールも守れないのか?

555:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:15:15 0jgBJnS3
つーか
スレが大荒れする原因を作った冬の星空がもう続きを投下できない以上
このスレでまともに読む気になれる作品って一万年ぐらいしかないだろ、実際

556:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:16:10 igh8j6mF
>>553.554
実際この状況で荒れる方向の話好んでする奴は荒らしだろ
自分が荒らしと自覚してない奴も多そうだが

557: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 00:20:18 qBbq+ZNl
>>552そうですか。じゃあ
①を少し弱めて病院送り
③を敢行しようとした翼を影から見てた舞香が後ろから不意打ちで気絶させて放置しておく
っていうのはどうでしょう?
①についてなんですが、自分が振られて舞香が選ばれるというのは翼の中では『優を殺すことで自分達を引き裂き、奪うことに成功した』
と認識されているので『自分だって相手のどっちかを殺せば仲を引き裂ける』という発想に至るんです

558: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 00:27:30 qBbq+ZNl
ちょっと強引ですが、舞香を病院送りにしてその際に舞香の記憶を奪い、
優の記憶を改竄するっていうのもアリかも。
あるいは、舞香が前世での罪悪感で身を引くもやはり耐えられず・・・とか、
翼が『天界の規則では天使が人間と交わると転生しても永遠に添い遂げないといけない』
とか嘘を言って情にすがるというのはどうでしょう?

559: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 00:32:58 qBbq+ZNl
↑何か他人事のように書いてしまいました。自演じゃなくて↑はその前の続きです

560:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:33:53 0jgBJnS3
病みっぷりがすごいなぁw
そんな感じで進んでいくと面白そうですね

あと、自分にとって都合のいい流れに反するのは全て荒らしだって言ってる連中は無視の方向で
彼らは実は自分たちが荒らしだということに気付いていない可哀相な人たちなんですから


561:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:38:24 WkuU4Hwf
>>557
僕は一流の嵐になりたいので一万さんのカキコを毎回参考にさせて貰ってます。
これからもこのスレを荒らすのを頑張ってくださいね><

562:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:50:25 0jgBJnS3
>>561
だったら、こんな耐性の低い荒らしやすいスレを選ばないで
もっと歴史のある大人のスレで暴れてください
ここしばらくのあなたの行為には目に余るものがあります
お願いだから書き手さんたちの投下を邪魔しないで下さい

563:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:00:52 mQD0SRY/
お前もスルーしとけって
言いたいのは分かるがな


564:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:11:08 iRMLgOlZ
とりあえず一万年は割込みカキコした事を謝れよ

正直、今まで叩かれ過ぎで可哀相だと思っていたが今回の件で失望した

565:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:11:18 EEQag7Aa
一万年とニ千年さん早く続きキボンヌ
内容は自分で考えるんだ!ただ鬱はやめて

566:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:12:52 0jgBJnS3
どうあっても◆RKfY.eXwSYさんを悪者に仕立て上げようってんでしょうけど
あなただって自分の好きな星空の書き手さんが叩かれたら、きっと悔しいでしょうに
ほんと、もうやめて下さい
お願いしますから、嫌いな作品は黙ってスルーして下さい

567:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:14:03 qZu2NExk
いつもの荒らしだけでもウザいのに一万年が餌ばら撒くから余計ウザい
利用されてるのに気づかない真性の馬鹿なのか荒らしの自演なのか

568:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:19:16 0IB7XYG9
いや、今回の件は魔女の祈りの書き手が悪いと思う
携帯で投下間隔が長くなるのなら、最初に何スレ投下するつもりか明記して
1/5 2/5 3/5とかタイトルの後ろにつけたらよかったんだ
それを怠ったんだから、もう投下が終了したのだろうと思われても仕方がない
少なくとも俺はラストまでに3回ほど投下終了だと思ったよ

569:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:25:13 lKrHyGL4
一万年、出てくるなよ
お前を叩いてスレを荒そうって魂胆なんだから
悔しくっても我慢してろ

570:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:37:54 rRx4pALp
魔女の祈りは文脈にメリハリがないから、どのレス尻を見ても投下終了に感じてしまうんだよな。
割り込んでる人たちに少なくとも悪意はないように見えるよ。

571:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:49:16 EEQag7Aa
なんかこのスレ気持ち悪いヤツが多いな
冬の星空?が投下された時は異常な程盛り上がるけどそこまでマンセーするものでもないだろう……
そして常駐してるヤツらでの自治気取りが一番キメェ 気に入らない作者はとことん叩くとか呆れるわ

572:名無しさん@ピンキー
07/11/29 01:57:52 fFKE4BYR
30分もかければ、割込みカキコされてもしょうがないと
投下主も納得してるだろ。
文句言ってる奴は理由をつけて一万年氏を叩きたいだけにしか見えない。

573:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:01:38 igh8j6mF
ホント耐性の無いリア充の多いインターネッツですね^^

574:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:03:34 Pxu6HqsE
空気読まずに>>434のアレをちんたら投下ぁ!

575:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:06:26 Pxu6HqsE
 軍が町に着いてから全てが終わるまで、それは永遠のように長く、あっという間の出来事だった。
文字通りの殺戮。圧倒的な虐殺。
逃げ惑う人々を殺し、命乞いする人々を殺し、死体を死体の上に高く積み上げ燃やした。
軍隊に入っていたとはいえ、戦場に出た事がない私は虐殺の恐怖に震えた。
圧倒的な狂気を前にして、体が前に進まない。
それでも自らの体を鼓舞して奮い立たせたのは、ティークに対する思いだった。

ティークの怒りと悲しみ。ティークの望み。

そして、ティークへの愛のため。

指揮を執ったのはティークだ。自らが先陣を切って町に入り、目に映る全ての人間を斬り伏せていく様は、まるで殺戮を楽しんでいる様にしか見えなかった。
狂ったような笑みで惨劇を眺めるティークに、かつての優しい面影はすでに無い。

彼は誰だ? 目の前で笑っている男は一体誰だ?

私が知っているティークがこのような事をするはずがない。

私が知っているティークはこんな顔で笑うはずがない。

私が知っているティークはこのような殺戮を望むはずがない。

私が愛しているティークは?

ティークの顔をした悪魔は残忍な笑みを浮かべて言う。

「この町は敵国の毒に侵されている。焼き尽さねば国に被害が及ぶ。そうだろう、ゼンメイ?」

私は震える足を抑えるように、跪くしかなかった。
町を轟火が焼き尽し、全てを灰塵にし終えたのは朝日が昇る頃だった。

576:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:11:15 Pxu6HqsE
 町の中心には、足を縄で縛られたスラルと、両手足を縛られた男が兵士達に囲まれて捕えられている。スラルの腕の中には、幼い赤子が泣き疲れて眠っている。
三人を囲む兵士の輪が、大きく開いた。
三人の前に現れたのは、二人の女性騎士を従えたティークだった。

ティークの目は暗く澱み、濁って光を透さない底無し沼のようだ。
スラルの瞳が大きく見開く。自分が裏切った男が目の前に現れたのだ。兵士達の鎧と装備から、自分の国の兵士だということはスラルも気がついていた。そして、ティークが目の前に現れた瞬間、ティークがこの惨劇を起こしたことににスラルは気がついた。

「ティーク…何故このような事を! 何故罪の無い人々と町にこのような事を!!」

赤子を強く抱き、スラルが罵るように叫んだ。

(お前がこの町に居たから町の皆が死んだのだ。お前のせいで罪の無い人々が犠牲になったのだ。ティークにこんな事をさせたのはお前だ!)

私は叫び出してしまいそうな言葉を、喉元でグッと堪える。

しばらくの沈黙の後、ティークがゆっくりと口を開く。

「この町は猛毒に侵されていたんだよ。それよりもスラル、迎えに来たよ。さあ、国に帰ろう。俺は慈悲深い。スラルの行った過ちならいくらでも目を瞑ろう」

ティークは濁った目で、優しくスラルに言った。
闇だ。ティークの眼はスラルを見てはいない。闇を見ているのだ。
私はティークの真意が読めなかった。何故こんな売女にそんな優しい言葉をかけるの?

(なんでその裏切り者に許すなんてことを言うの?)

(見たじゃない、そこにいる男と幸せそうに笑っている顔を。見ているじゃない、そのスラルの腕の中の赤ん坊を)

私の中に暗い炎が灯る。この町を焼き尽した轟火が燃え移ったのかもしれない。

(言ってよティーク。その女の首を斬り落とせって。お願いだから命令して!)

祈るように胸元で拳を握り締める。剣の柄を握り、ティークの言葉を、命令を待つ。

「貴方を裏切った私の罪のせいで、この町は滅びました。貴方を裏切って彼と国から逃げ出した私が国に戻る事はできません。この場で処刑してください。…その代わり、どうか彼と娘の命だけは救ってください!」

スラルは涙を流し、自らの命と引き換えに、彼と娘の命を救うことを懇願した。


577:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:17:13 Pxu6HqsE

私はじっと命令を待つ。早く「スラルを殺せ」と命令してほしい。

ティークが無言でスラルを見つめていると、横で跪いていた男が声を上げた。

「王よ。スラルを連れ去り、裏切らせたのはこの私です。罪は私にあります。処刑するならばどうか私を! ですが、どうか…どうかスラルと娘の命だけはお救いください!」

スラルが涙を流し、男と見つめあう。二人の表情からは、愛し合う二人の強い絆のようなものが感じられた。
二人のその顔を見て、ティークの顔が大きく歪んだ。

私をその表情をよく知っている。例えようのない「怒り」と「憎しみ」が混じり合うと、このような顔になるのだ。ティークと私は2年間も顔を歪ませて苦しんだ。許せるはずがない。

やがて、表情がなくなったティークの眼に、暗い光が灯る。全てを飲み込み、焼き尽し、塗り潰すような暗い闇に、私の全身に鳥肌が立った。

「……っは、はっはっはっはっ…」

廃墟となった町に、抑揚のない声が響く。

その場にいる全ての者の視線がティークに注がれている。ティークは震えるように肩を揺らし、何かを堪えるように下を向いた。

そして、

「ハッハッハッハッハッハッハッハッ! アッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

578:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:20:03 Pxu6HqsE
ティークは体を大きく揺さぶりながら、天を仰ぎ見るかのように体をのけ反らせて笑いだした。何がそこまでおかしいのか、目に涙を浮かべながら笑うティークに、その場に居る者たちは声を発することもできないでいる。

スラルに裏切られ、そんなに悲しかったからか?

目の前で二人の愛を見せつけられた事が悲しくて笑っているのか?

哀れな自分がおかしくて笑っているのか?

その場に居る者は皆、固唾を呑んでティークを見守る。ひとしきり笑い終えたティークは、
「何を言ってるんだ? そんなに自分達が罪を犯したというのか? そんなに自ら罪人になりたいのか? そんなに自分達がしてきた事が罪だというのか? …そんなに俺が哀れか? ……そんなに俺を侮辱したいのか?」

ティークは優しく、おぞましい声で二人に問いかけた。

目の前で捕えられている罪人に、我が子に諭すかのように優しく、罪人を地獄に突き落とそうとする悪魔のように。その声は、今まで聞いたことのない声だった。ティークの顔をした悪魔の声にしか聴こえなかった。
「そんなに死にたいか? ならば望みどおり殺してやろう。俺は慈悲深いから、最も苦しむ方法で殺してやる。…ゼンメイ、赤子を取り上げろ」

ティークの一言に、私は耳を疑う。

「……えっ?」

ティークは今…なんて言った?

 最も苦しむ方法で?
 赤子を取り上げろ?

 それを私に命令した

意味が分からず、私はティークの顔を見ていると、ティークは動かない私に苛ついた顔で、

「何をしている? 俺はお前に言ったのだ。二度も言わせるな」

ティークは氷のような冷たい声で言う。


579:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:25:30 Pxu6HqsE
ティークは暗い眼で、飲み込むように私を見据える。

その眼は、「従わなければお前の首を落とす。もう一度言わせても同じだ」と暗に物語っていた。圧倒的な死の恐怖感に足がすくむ。
王の命令は絶対だ。例えどのような命令であっても従わなければならない。例えそれが、王の過ちであっても。

私は我が子を抱きしめて離さないスラルの腕を、近くの兵士を使って離させた。泣き叫ぶスラルの声に耳を塞ぎ、我が子を奪う悪魔の手先を睨む眼から顔を背け。

赤子は柔らかく、ミルクのような良い匂いがした。

母親の愛情は私には分からない。
捨て子だった私には母親の愛など知る由もない。私にはティークに対する愛情しかない。スラルとは違う。偽りの愛などではないのだ。ティークに対する愛は何があろうとも絶対に揺るがない。何があろうとも絶対だ。

ティークに赤子を差し出す。ティークはゴミを見るような
目で赤子を摘み上げると、残虐な笑顔で、

「まずはコレだ。よく見ておけ。お前達の大事なコイツから先に殺してやる。罪人にふさわしい罰だ」

 ティークはそう言うと、赤子の顔が二人に見えるように持ち、腰に差した剣を抜いて―。

赤子の腹を貫いた。


580:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:29:07 Pxu6HqsE
 絶叫。悲鳴が聴こえた。

目の前には串刺しにされた赤子を持ち、高らかに笑うティークが立っている。剣の先からは、赤子の腹から流れる血がポタポタと流れ落ちる。

兵士達は顔を背け、ホーネットは顔を真っ青にして立ち尽くしていた。

「嫌あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

なおも二人の絶叫が廃墟となった町に木霊する。魂を業火の炎で焼き尽す、罪人の悲鳴が響き渡る。

ティークは二人の絶叫とその様子に満足した顔で、剣を赤子の腹
から引き抜く。

「罪人が煩いな…ゼンメイ、ホーネット、二人の口を塞げ。舌を噛み切られては困る。余興はこれからだ」

狂っている―ティークは狂っている。

 猿轡をされた二人の目の前で残虐なショーが始まる。赤子の四肢を切断し、腸を掻き出し、首を斬り落とす。

あまりの凄惨さに、殺戮を行った兵士達さえ目を塞ぎ、顔を背けた。見ていた兵士達は次々と嘔吐した。もちろん私も、ホーネットも。

スラルは途中で気を失った。男は最後まで自分の子が肉塊に変わっていくのを見ていた。ティークが言ったのだ。

お前が最後まで見なければ、次はスラルだ」

ショーが終わり、赤子の首を持ってティークは男に言った。

「この赤子を残さず食べろ。そうすればスラルの命だけは助けてやる。なに、食えるように調理はしてやる」

狂っている―ティークは狂っている。

「城に戻るぞ。国王も楽しみに待っている」

私とホーネットは震えながら、血生臭いティークの後ろを追って歩きだした。

狂王。ティークがそう呼ばれる日の始まりだった。

581:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:31:36 Pxu6HqsE
それからのティークの行為は見るに耐えがたいものだった。

男を地下深くに幽閉し、赤子を残さず食べさせた。男はだんだんと痩せ細っていった。

スラルはあの日のショックからか心を病み、声が出なくなった。国王は嘆き、スラルを城の自室から出れないようにして療養させた。

国王は知らない。スラルがこの様になった原因がティークにあることを。スラルに赤子がいた事も。

スラルが発狂したのは、よく晴れた日の昼食の時だった。悲鳴を聞いて部屋に飛び込むと、スラルはスープを床に溢して震えていた。
スープの溢れた床には、安物の指輪の挟まった指が落ちていた。

スラルに出されていた料理は、愛した男の肉だった。発狂した数日後、スラルは舌を噛み切って死んだ。

ティークはスラルの遺体と一晩を共にした。スラルが死んでしばらくして、国王が病に倒れた。毒による暗殺。城の一部の者しか知らない真実。

ティークは若くして国王になった。ティークに進言する者は居なくなった。ティークの気に障る者は処刑された。

ある日、占い師が城に招かれてティークに言った。
「王よ。貴方は全てを滅ぼし、全てを手に入れるでしょう。そして、自らが滅ぼしたものに滅ぼされるでしょう」

ティークは占い師の予言を笑い、その場で首を斬り落とした。

ティークが他国を侵略し、国を強大にしていくのに3年が過ぎた。今では3つの国を滅ぼした王だ。

私とホーネット以外、誰もティークに近づかなくなった。近づく女は私とホーネットで始末している。狂王の側には二人の魔女がいると、国の内外で囁かれている。

私のティークに対する愛は変わらない。むしろ強く増しているくらいだ。私の愛は揺らぐ事はない。
残る邪魔者はホーネットだけだ。ホーネットは手強いが、いずれ始末できるだろう。やり方はいくらでもある。

ホーネットさえ居なくなれば、ティークは私だけしか居なくなる。そうなれば、ティークは私だけを見てくれる。

例えティークが私を見なくても、私だけが見続けられる……。

私だけが側に居続けるわ、ティーク…。




そういえば先日、次の侵略を予定していた国の王女がティークに謁見しに来た。あの女のティークを見る目は危険だわ。ホーネットよりも先に始末しよう…。。

582:名無しさん@ピンキー
07/11/29 02:36:12 Pxu6HqsE
投下終了です。
なんかホントごめん!
なんかしんないけど書いてから超謝りたくなった!

583:名無しさん@ピンキー
07/11/29 03:05:19 TdoqqN3j
>>582
お前はよくやった! GJ

584:名無しさん@ピンキー
07/11/29 04:08:51 Pxu6HqsE
ありがてぇ!
なんか一人にでもGJって言われると嬉しいな。
初書きだったからその一言が超嬉しいわ。

585:名無しさん@ピンキー
07/11/29 04:10:58 9IxXVoe3
>>582
続くようなら、トリップ付けるのがお奨め

586:名無しさん@ピンキー
07/11/29 06:28:43 NhpqDP9U
これはGJ

ティークが凄過ぎて側近二人が空気になってるな

587:名無しさん@ピンキー
07/11/29 07:36:19 ft7L2Pvo
>>582
GJ!朝から作品が読めるとは幸せだ
ただ一つ気になったのがティークは結婚の後すぐに国王に既になってないか?

588:名無しさん@ピンキー
07/11/29 07:44:01 M113tZwf
ティークの気持ちもわからんでもない。
子供の頃からずっとスラルのために生きてきたのに、まんまと他の男、しかも平民に取られたんだから。
俺だってその状況になったらそーする。誰だってそーする

589:名無しさん@ピンキー
07/11/29 07:51:54 CZgX56da
>>582
ティーク・・・(´;ω;`)ウッ
このまま覇道を進むか・・・
次回があるなら是非トリを付ける事を勧めるよ

590:名無しさん@ピンキー
07/11/29 11:46:02 /BpCg0WZ
>>582GJ!これからもよろしくなw職人さん!

591:名無しさん@ピンキー
07/11/29 12:55:15 /qN/GBkp
GJ!
これが競作の一作目になるのか、はたまたこれオンリーになるのか。

592:名無しさん@ピンキー
07/11/29 13:03:56 Pxu6HqsE
>>585>>589
俺2ちゃん初心者のROM専なんだぜ?
トリのつけかたも知らないんだぜ?
だからこの話はここで終わり。続きは考えてない。書けない事はない
後は競作とか言ってた人達と住人の判断に任せるよ。

うん。GJって言われただけで作者は嬉しいんだな。よく分かった。

593:名無しさん@ピンキー
07/11/29 13:31:10 ESlNdWoP
スレの安定を保ちたければ
妙なコメントは付けないことだな
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

594:名無しさん@ピンキー
07/11/29 14:53:22 tJAZ8Kwa
みょ~ん……すまん、言ってみたかっただけだ。

595:名無しさん@ピンキー
07/11/29 16:13:42 FZY902cb
俺は、トリの付け方教えてあげないから

596:名無しさん@ピンキー
07/11/29 16:27:24 Kc0cuMq6
俺はググり方すら教えないから

597:名無しさん@ピンキー
07/11/29 16:47:39 BGGX+Um/
てか投下終了については
作者が「投下終了です」って書き込むもんじゃないの?
少し投下に時間かかってて、その作品が投下終了しそうな雰囲気だったらそう思って割り込み書き込みをするのも構わないもんなの?

598:名無しさん@ピンキー
07/11/29 17:12:45 97KXWClj
終わってしまった話を引きずるんじゃない

むしろここは嫉妬してる女の子に何が似合うかを考えて落ち着くんだ

つ包丁

599:名無しさん@ピンキー
07/11/29 17:21:59 g+HB/JQ1
狂った瞳

600:名無しさん@ピンキー
07/11/29 17:27:46 Kc0cuMq6
燃える拳

601:名無しさん@ピンキー
07/11/29 17:36:29 uaPSYqxb


602:名無しさん@ピンキー
07/11/29 17:41:10 glm/58lu
爪を噛む仕草

603:名無しさん@ピンキー
07/11/29 18:47:01 0A6jRwXh


604:一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 18:59:05 qBbq+ZNl
投下します。
「おはよう、優君」
「おはよう、舞香」
「今日はご飯とパンのどっちがいい?」
「何となくスパゲッティが良い」
「分かった。ミートソースどこ?」
「缶入りのがその棚の中にある」
「分かった。待ってて」
「あ、そうだ、舞香、ちょっと良いか?大空さんの事なんだけどさ」
「うん、何?」
「一人で断りに行かせてくれないか?やっぱさ、俺一人で決着つけるべきだと思うんだ」
「そうだね。告白って受け入れるにしても断るにしても部外者はいないほうが良いよね」
「ああ」
「あ、それと、私も少し気になってる事があるの」
「何だ?」
「天使の転生って、人格や記憶を完全に受け継いでいるってどこかで聞いた事があって、ネットで詳しく調べてみたの」
「それで?」
「やっぱり本当みたい。優君は『自分は自分だ』って言ったよね?」
「ああ」
「確かに人間の場合だと前世の記憶の断片を共有しているだけで人格は受け継がれないからその表現は正しいけど、
天使にとってはそうじゃないの。『大空翼=リーン』の図式はちゃんと成り立っているから、表現に気をつけてね」
「図式が成り立つって具体的にどういうことなんだ?」
「えっとね、表現がちょっとむずかしいんだけど聞いてね?」
「うん」
「人間を含めて普通の生き物の意識って脳で発生するよね?」
「そうだな、脳が停止したらおしまいだな」
「人間の脳の構造は個人によって違う、だから転生前と転生後の人格は違う、けど、天使の場合だと
『同じ脳の構造を持つ人間に転生する』って言えば良いのかな?要するに何度転生しても容姿は同じって事」
「なるほどな、人間の記憶をデータ、人格を機種に例えれば分かりやすいか」
「そういうこと。現に夢に出てきた『リーン』って大空さんに瓜二つだったでしょ?」
「髪は白かったし目は青かったけどな」
「唯ね、この理論だと一つだけ分からない事があるの」
「分からないこと?」
「うん、優君自身のこと」
「?」
「優君は夢の中で『ユウ』と視界を共有してたよね?」
「ああ」
「だから、優君は夢に出てきた『ユウ』の顔を正確には知らないよね?」
「まあ、鏡が無かったからな」
「そっくりだった」
「え?」
「だから、髪とか目の色とかは違ったけど、それ以外は瓜二つだったの」
「それって・・・」
「分からない。偶然かもしれないし、そうじゃないかもしれないし」
「まあ、もし何か重要な秘密があれば向こうから話してくるだろ」
「向こう」
「大空さん。もしかしたら前世の話し、詳しく聞かせてくれるかもしれないし」
「危険じゃない?」
「危険?」
「うん。だって、向こうは前世の恋人だよ?」
「こっちから聞きだしたりはしないさ。ただ、向こうが前世関連の話を始めたらその時に聞きだそうと思う」
「大丈夫かな?向こうは『優君にも前世の記憶があるのに裏切られた』って思って優君を殺すかもよ?」
「まさか、大空さんは優しいし、天使なんだろ?」
「優君、大空さんは天使である以前に今は一人の女の子なの。分かるでしょ?」
「ああ、ごめん・・・ってもうこんな時間!?」
「あ、ゴメン、急いで作るから」
「イヤ、良い。今日はもうパンで済ますからさ」
「じゃ、スパゲッティは明日作ってあげる」
「ああ、頼むよ」

605:一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 18:59:55 qBbq+ZNl
短いけど投下終了です。
ちょっと構想を練って見ました。こんな具合でどうでしょうか?

606:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:01:38 iL0OVO7+
>>てか投下終了については
>>作者が「投下終了です」って書き込むもんじゃないの?

それは絶対的な決まり事じゃないし、それを知ってる書き手のようにも思えなかったけど
それをいうのなら、投下前に何レス投下するよって予め書くのも常識じゃないの?

あと、作品の投下だからって雑談の間に割り込むのもどうかと思う

結果が全てを語ってると思うけど、うるさく見て見て言うほどの作品ではなかったし

607:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:28:45 3s7SK3YU
こうして読むと、作者のセンスの良さがよく見てとれる。

会話が少しでも連続するような作品は、普通なら台本のように見えて鼻につくものだが、
氏の作品においては、逆に状況を表す地の文など不要なのではないかとすら思える。

これはひとえに作者の会話センスのよさと、豊富な語彙から選び抜かれ、
吟味された言葉で織り上げられていることに起因している。
本来シナリオであるはずの文章が、珠玉の文学に昇華した希有な一例と言えよう。
全編に漂うミステリアスな雰囲気と、登場人物が醸し出す焦燥感は秀逸。

唯一、難点を指摘するなら、余りにも短すぎ。
読者の期待に応えねばならない義務感とプレッシャーは理解できるが、
もう少し書きためてから投下することを個人的に希望する。

608:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:33:44 3s7SK3YU
>>604
申し訳ない、構想の紹介であることを見落としていた。
これが単なる構想に過ぎないのだとすると、本編ではどうなることやら。

609:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:37:22 /BpCg0WZ
早いな…もう600か

610:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:39:22 HZRliywy
>>605
GJ!
さあ、優がどうなるのか楽しみだな。

611:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:46:45 qzgseAWC
>>607
本当にそう思う。
挨拶を済ませた後、舞香がエプロンを付ける姿が、
棚からミートソースの缶を取ろうと屈む姿が
話に夢中になるに連れ、不安そうに眉をひそめる姿が、
そして知らぬうち時間が過ぎ去っていたことに驚く姿が
それら全てが行間から滲み出ているようで、頭に絵が浮かんできたよ。
舞香に明日は来ないんじゃないかって思うと、最後の
「じゃ、スパゲティは明日作ってあげる」
には、ふとジワッとさせられた。

612:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:58:26 PKHIbFDC
会話のキャッチボールがテンポよくて耳障りいいな
情報を伝えるのに、必要不可欠かつ必要最低限の言葉だけで応酬させているから
会話と会話がごく自然に繋がってて、不自然さがまったく感じられないしリズムもいい
前スレの途中からここにお邪魔しているので詳しい経緯は知らないけど、
どうしてこの作品が叩かれているのかサッパリ分からない
これまであちこちのスレ見てきたけど、お世辞じゃなくこれだけの書き手はそうはいないよ

613:名無しさん@ピンキー
07/11/29 20:16:35 ebqrilgD
耳障りなのか耳触りが良いのかどっちかはっきりしんしゃい。

614:名無しさん@ピンキー
07/11/29 20:27:23 PKHIbFDC
1.耳障り2.みみざわり・・・一発変換できないorz

615: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 21:07:01 qBbq+ZNl
>>612
前々スレだったかでトリップのつけ方が分からずに迷惑かけてしまったんです

616: ◆SVNDcoHudE
07/11/29 21:08:03 45Yej0Je
投下します。すごく短いです。

617:黒女 ◆SVNDcoHudE
07/11/29 21:09:10 45Yej0Je
パソコンの液晶画面の中では、多くのかわいらしいキャラクター達が忙しく動き回っている。
それぞれのキャラクター達は、美しいCGで描写された街並みの中を、歩き回り、探索していく。
無限に続くかのように描写された美しい世界、オンラインゲームと呼ばれるこの世界と出会った事こそが、
英田百桃にとってすべての始まりだった。

「今日はこんなところかしら……」

マウスを動かし、ゲームを終了する。
そのままウィンドウズも終了させ、パソコンの電源を落とす。
今日も目当ての「彼」は現れなかった。
ここのところ全くといっていいほど、「彼」はこのゲームにログインしていなかった。

「さてと、そろそろ準備しなきゃ」

しかし百桃に焦りはなかった。
もうすでに「彼」とはゲーム内ではなく現実で会っている。
それこそ、毎日のように百桃は「彼」に会っていた。

「今日はこれにしましょ」

部屋中に散らばった洋服達の中から、百桃は黒いワンピースを取り出した。
「黒」という色は百桃の大のお気に入りであり、「彼」に会う時は常に黒い洋服に身を包んでいた。
それに、常に同じ色の服を着ていれば「彼」の印象に残りやすい。
その意識はまた、自身の腰まで伸びる黒いストレートヘアにも現れていた。

「みっちゃ~ん? ちょっと出掛けてくるわね~?」

玄関のドアに手をかけながら、百桃は台所へ向けて声を掛けた。
するとその声にすばやく反応し、スーツを着込んだ快活そうな女性が台所から顔を出した。

「先生! 何言ってるんですか! まだ原稿終わってないでしょう!?」

女性の非難するような声が、大きなマンションの一室中に響いた。
だが百桃はまるで表情を変えず、ケロッとした顔で言った。

「終わったわよー。部屋の机の上においてあるから、後で確認しておいて頂戴」

そんな百桃の態度に毒を抜かれたのか、はたまたその内容に呆気に取られたのか、
女性の声が一気に小さくなった。

「……え? あ、そ、そうですか……じゃあ、どうぞ、いってらっしゃい」

「はい、行ってきます」

女性の申し訳なさそうな声を聞きながら、百桃はマンションを後にした。

618: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 21:09:28 qBbq+ZNl
後、一万年書く前に書いた作品が初めてだったんですけど、今読み直すと余りに
駄作で、投下途中でメモ帳の内容が消えてしまったり、
荒らしと思われても仕方ない事してしまって。

619: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 21:10:00 qBbq+ZNl
ごめんなさい。割り込んでしまいました

620:黒女 ◆SVNDcoHudE
07/11/29 21:10:24 45Yej0Je
百桃は、漫画家だった。
それも有名な少年誌を代表するような、いわゆる売れっ子であった。
それでも、オンラインゲームというゲームの中でも時間を食うものに手を出せる理由は、
ひとえに彼女の才能から起因するものであった。
彼女は通常の漫画家では数日はかかるような枚数の原稿を、たった数時間で完成させてしまう能力を持っていた。
しかもネームからベタ塗りまで、すべて一人でこなしてその時間なのだ。
ストーリーに詰まることもなく、自分の描きたい時に、描きたい分だけ描くことができる。
ある意味で異常とも言えるこの能力を百桃は自在に使いこなし、デビューから10年間、生きてきた。
だが、今の百桃にはそんな素晴らしい才能よりも、もっと大事なものがあった。

―「恋」という、大事なものが。


「いたいた。今日も元気そうね……よかった」

電柱の影に隠れながら、百桃はほっとしたようなため息をついた。
道行く人々は皆、百桃の格好を奇異の目で見つめている。
が、百桃はそんな周りの視線などまるで気に止めていないか、視線を固定したまま動かない。
百桃のその熱っぽい視線の先には、この付近でも有名な公立高校の制服を着た、3人組の男がいた。
ブツブツと独り言を言いながら、百桃は少しずつ3人に近づいていく。

「だからな、俺は思うわけよ。やっぱりこのメンツでつるんでても女の子は寄ってこないなって。
そこで俺からの提案なんだが……」

「山下君、今日は何のゲームやるの?」

「えっと……格ゲーでもやろうかな。ホラ、この前のアレ。森本もやっただろ?」

「あーあれか。いいね。僕もちょっと強くなったよ!」

「お、そりゃ楽しみだね」

「……おい。お前ら、無視はやめようよ。無視はさ」

楽しげに街の中を歩いていく、3人組の男子高校生。
そんな3人を電柱の影から見守りながら、百桃は小さく微笑む。

「よかった……義男ちゃん。楽しそうで」


―そう、百桃はこの高校生3人組の真ん中を歩いている、少し肥満体の「彼」―森本義男に恋をしていた。

621:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:11:11 PKHIbFDC
トリップなんか別に付けなくってもいいのに
鳥どころか題名だって付けていない人だっているんだし
ひどいな

622: ◆SVNDcoHudE
07/11/29 21:12:45 45Yej0Je
終わりです。導入って事で・・・
星空も書き終わってるので、よく見直してから投下します。

623: ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 21:13:36 qBbq+ZNl
直前の投下は構想だったのですが意外にも好評だったので
次の投下はそれに繋げて書きます

624:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:16:49 p0NrrPnw
心配しなくても星空は絶対に叩かれないでしょうw
ご自分が一番よく分かってらっしゃるくせに

625:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:21:20 3xXSOtaL
また一万年っすか・・・

626:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:22:40 4LpKJi4x
>>623
待ってるファンのためにも無理しないでくださいね
このスレのメインライターとして、どっしり腰を据えて創作活動に勤しんでください


627:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:23:27 HZRliywy
>>622
GJ!
星空のスプンオフか!期待してるぜ。

628:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:25:39 I+pkQsMH
一万年氏のSSを読んでいると、地の文なんかは結局、会話のリズムを取ったり
文脈の不自然さを誤魔化すためのものにすぎないような気がしてきた
俺もwktkして待つ

629:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:30:19 QecPGQHt
スピンオフか……
人気作家が割りとよくやるよね
踊るシリーズとかスターウォーズとか
大人気作品ばかりだな

630:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:33:22 koTuX5dB
百桃の漫画描いてるシーンはやはり露伴先生ばりなんだろうか?

631:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:35:26 ZYXnq3eK
>>630
俺もそれおもた
JoJoのパクリじゃねーかって
ドシロウトの小僧が◆SVNDcoHudEに意見してゴメンw

632:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:40:46 cXPon0N3
あぁ~ああ、新連載ってことはやっぱり冬の星空は打ち切りですか
まあ、スレが荒れる原因作っちゃったんだから自重もやむを得ないか
あれだけの人気作品をスパッと捨てちゃう思い切りの良さが人気の源でもあるんだけどね
ともかく新連載にも期待しています

633:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:46:42 ATlzXfWG
>>622
GJ
この話で秋穂とMOMOちゃんとの繋がりが明かされるのかな?
ともかく期待してます

634:名無しさん@ピンキー
07/11/29 21:58:39 K38aZbwK
>>632
お前は自作自演のウナギイヌ君でしょ?

635:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:00:27 yGQu5rOm
期せずして二大作家の作品の競演となったわけですが
こうして並べてみると◆SVNDcoHudE氏の作品は如何に無駄な台詞が多いかがよく分かる
最初の呼び掛けやそれに応じる返答などは別として「はい、行ってきます」なんかはハッキリ言って要らないだろ
それにガキどもの台詞も冗長で、区切り全体がダラダラと間延びしている感が否めない

636:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:02:37 Q5XJhPAo
星空が叩かれないって皮肉が付いた途端
何か不自然に◆SVNDcoHudEさんを叩くレスが急にw

637:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:02:40 slssmEt8
このスレはいつからこんなんになっちまったんだ
はぁ…悲しい

638:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:09:00 gV6cM0xF
売れっ子作家気取ってスピンオフ作品なんか投下するから荒れるんだろ
んなことすりゃ荒れるって、投下前に予想できなかったのかな
ここんとこちょっと調子に乗りすぎてるんじゃないの

639:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:14:29 K38aZbwK
ウナギイヌ憐れだな

640:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:18:30 Poum6Y7R
そんな事よりちょっと↓を見てくれ。


>売
>ん
>こ


なっ?

641:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:23:29 yMryTqYz
(^ิ౪^ิ)

642:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:41:40 X5B0uuqd
ちょっと想像力豊かにすればこうなることは見えていたのに・・・

643:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:44:19 glm/58lu
>>640
なんと言う小学生的下ネタ

644:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:47:00 ESlNdWoP
ひとり遊びじゃ!ひとり遊びじゃ!

645:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:54:56 FZY902cb
小学生がいるスレはここですか

646:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:56:45 arJ2+ZmF
いいえTOMです

647:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:00:58 K38aZbwK
嫉妬しやすい女がクリスマスイブの時に
待ち合わせに来ない彼に苛立つシチュで

誰か書いてみないか?

1レス程度でもいいから書いてみよう

648:一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 23:20:16 qBbq+ZNl
書く時間が少しだけあったのでちょっと書きました。投下します。

「はぁはぁ、危うく遅刻するところだったね」
「ああ、危なかったな・・・ん?」
「どうしたの?」
「いや、俺の下駄箱の中に手紙があったから」
「誰から?」
「大空さん。告白の返事を誰にも聞かれたくないから場所を指定してきたみたい。地図が同封されてる」
「で、どこ?」
「このお屋敷、大空さんの家なのかな?妙に大きいけど」
「優君知らないの?大空さんってお嬢様なんだよ?」
「へぇ、そうなんだ」
「家が旧財閥でお父さんが海外で仕事してて、お母さんも時々手伝いに行ってるらしいよ」
「親が自宅不在か。ウチと似てるな」
「そうだね、あ、そうだ、大空さんのおうちに行くなら、これ持ってって」
「何だこの巾着?」
「護身用の武器。開けてみて」
「ナイフ、爆竹、スタンガン、特殊警棒、ロープ、軍手、手ぬぐい、黒ビニール袋・・・まるで人殺しに行くみたいじゃないか!」
「声が大きいよ。万が一の事を考えたの。あと、拉致監禁されたときの為に発信機も入ってるから」
「何でそんなもの持ってんだ?」
「お父さんが護身用にってくれた武器。相手は仮にも元天使なんだし」
「別に天使狩りに行くわけじゃ・・・」
「良いの!備えあれば憂い無しって言うでしょ!?敵は全力で倒すのが礼儀なの!手加減なんて失礼だよ」
「・・・・・・最初から敵と決め付けるお前の方がよっぽど大空さんに失礼だぞ」
「とにかく、くれぐれも気をつけて行ってね?」
「ああ」








「で、ここがそのお屋敷か。で、とりあえずチャイム押せば良いのか?」
「その必要はありませんよ」
「うわぁ!・・・び、びっくりした・・・・!いつから僕の後ろにいたの!?」
「校門からずっとです。まあ、立ち話もなんですし、中にお入りください」
「あ、あのさ、何で告白の返事にわざわざ家に呼ばれるわけ?」
「いくつか、お話したい事があって・・・さぁ、どうぞ」

649:一万年と二千年前から愛してる ◆RKfY.eXwSY
07/11/29 23:22:32 qBbq+ZNl
投下終了。

650:続 ノン・トロッポ ◆4ZvEOwCmqs
07/11/29 23:24:46 l0z1iT2w
ガレージの電動シャッターが、ガラガラという音と共に巻き上げられていった。
闇の世界が両断される。初冬の日の光が弱いといっても、闇に慣れた陰獣にとっては充分眩しかった。
電動車椅子に乗った青年が目を細め、日の当たる世界へゆっくりと這い出てくる。
平沢進である。
あれから10年の歳月が流れていた。
27になった進は、もう松葉杖をつくこともできない体になっていた。
「全部、自分が悪いんだ……」
自分が足立沙織にしようとしたことを考えると、今の境遇もやむを得ないと思える。
「……俺はなるべくしてこうなったんだから」
進は自嘲的に唇を歪めようとするが、麻痺の残る表情筋は思うように動かせなかった。
進は両足はもちろん、運動機能のほとんどを失っている。
あの忌まわしい転落事故の後、損傷した脊髄は結局よくならなかった。
今では電動車椅子なしでは移動することもままならない。
何とか動かせる右手の人差し指を使い、肘掛けに付いたボタンを操作してどうにか外出できるまでには回復していた。
「悪いのは俺さ……」
進は自分に言い聞かせるようにもう一度呟いた。
目を瞑ると、川名愛美が最期に見せた顔が浮かび、断末魔の悲鳴が聞こえてくるようであった。
進は幻影を振り払おうと頭を振ろうとして─―直ぐに諦めて溜息をついた。
だが、次に目を開けた時、進の目には光が蘇っていた。
もう彼には後ろを振り返っている時間はない。
復讐のため、彼に残された時間はわずかしかないのだ。
「沙織……待ってろよ……」
確かに自分が体の自由を失う羽目になった原因は自分自身にある。
しかし愛美を失う原因を作ったのは、誰あろう沙織ではないか。
愛しい愛美は惨めに死に、彼女を死に追いやった沙織はのうのうと生きている。
それも、成金男の後妻などに収まって。
決して許せるものではなかった。
「待ってろよ……沙織……」
進は今一度、かつて愛した大切な幼馴染みの顔を脳裏に描いてみた。

651:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:29:58 9i9o6sFi
GJ
舞香って、本当に優のことが好きなんだなあ
ちょっとした会話の端々に、彼のこと思う気持ちが溢れてる
キャラの揺れ動く感情が流れ込むように伝わってくるよ

652:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:31:41 CZgX56da
>>647

クリスマスイブに、嫉妬深い彼女のために必死にバイトした金で指輪を買いにいく主人公
なぜか一緒に行くと言って聞かない妹(姉でも可)
ついでだから、女性の意見を聞く為に一緒にジュエリーショップへ
そこにたまたま通りかかった彼女が、店内でまるで恋人のように指輪を選んでいる二人を目撃
次の日のクリスマス、主人公は彼女を公園(どこでも可)に呼び出す
しかし彼女の様子がおかしい事に気付く
そして惨劇のクリスマスが・・・

SSは書けないが、こんなのはどうだろうか?

653:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:35:19 K38aZbwK
>>652
惨劇のクリスマスの後が気になるwwwwww

どんどんと妄想を書いていこうぜw

654:
07/11/29 23:48:07 osgstp0E
>>635
お前は存在自体が無駄だけどなwww

655:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:52:14 CZgX56da
>>653
こっから先は嫉妬スレ住人の妄想力に任せるぜ!!・・・・・・じゃ駄目?

656:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:53:49 3xXSOtaL
一万年はスルー

657:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:59:59 9i9o6sFi
今日の流れでどうして一万年氏が叩かれているのか分かった
嫉妬に負けないで

658:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:10:44 vWioIwAl
>一万年氏

わかりやすくてありがたい

659:愛しさと心の壁  ◆oNTNicc3Mg
07/11/30 00:12:24 afxVh1D+
こんにちは。
前スレ>>397の続き投下します。

660:愛しさと心の壁  ◆oNTNicc3Mg
07/11/30 00:13:33 afxVh1D+

「あっ、あっ、んん!! 遼さん、遼さん!!!!」

 ――――――――これは、何?

「はあっ、はあっ、はあっ………楓、楓ぇ!!」

 ――――――――これは、夢?

「き、気持ち良いですか?」

 ――――――――こんなのは、現実じゃない。

「うん、凄く、いいよっ」

 ――――――――こんな現実は、いらない。

「遼さんっ、好き、好きです、んああっ!!」

 ――――――――だって、こんなのおかしいじゃない。

「俺も、俺も好きだよ、楓!!」

 ――――――――嘘だ、遼君が好きなのはあなたじゃない。

「ああっ、遼さん」

 ――――――――やめて、そんな風に彼を呼ばないで。

「楓、楓、楓ぇ!!!」

 ――――――――やめて、私以外の女の名前を呼ばないで。

「ああっ、うあっ、んんんっ!!!」

 ――――――――どうして?

「……っ楓、俺もうそろそろっ!!」

 ――――――――どうして、遼君と綾瀬さんが、

「はあ、んっ、はいっ……来て、下さいっ、遼さん、りょうさあん!!!!」

 ――――――――どうしてこんなことしてるの?

「あっ、くうっ!!!」

 遼君から出た精液が、彼女の肢体に勢い良く降り注ぐ。

「は、ああ………あはは沢山、出ましたね」

661:愛しさと心の壁  ◆oNTNicc3Mg
07/11/30 00:15:18 afxVh1D+

 自らを汚していく白濁を恍惚とした表情で見つめる。

「楓………」

 どうして? どうして、遼君があんな女をそんな風に抱き締めるの?
 何で? 何でそこにいるのが私じゃなくてその娘なの?
 ねえ、遼君!! 何で!? どうして!?

「遼さん……キス、してください」

 私は遼君の言いつけ通り放送室で遼君を待ってて、
 遼君遅いなーって、そう思いながら待ってて、
 そしたら遼君からメールが来て、
 今からちょっと教室に来てくださいって、そうメールが来て、
 何だろうって、もしかして告白とかだったらどうしようって思って、
 一応入念に身だしなみを確かめて、

 それで――――――

「んっ………」

 ――――――どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうし
てどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうし
てどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうし
てどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!!!???????

「んんっ……はん……りょうさぁん」

 私は声を出すことも出来ず、扉の隙間からただその光景の一部始終を見ていることしか
出来なかった。

「……………っ!!」

 その時、綾瀬さんと目が合った。

『あ、そうだ先輩。中原さんからの伝言です』

 遼君とキスをしながら、ニヤリとその目をこちらに向けた。

『帰りも少し遅くなりそうだから放送室で待ってて下さい、だそうです。ちゃんと伝えましたからね?』

 まるで最初から、私がそこにいるのを知っているような目つき。




                    ばーか






662:名無しさん@ピンキー
07/11/30 00:16:33 yynpNbPb
>>648
えぇっ、あれからのわずかな時間でこれだけのものが作れるの?

しかし、舞香のお父さんって過保護なんだねw
でも、こっそりガードマン付けてたりせず、護身用の武器を渡すだけにしてるとこなんか
お父さんの娘への信頼がよく表現できてる
とにかくGJ

663:愛しさと心の壁  ◆oNTNicc3Mg
07/11/30 00:17:08 afxVh1D+
 あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女あの女
あの女あの女あああああ!!!!!嵌められた嵌められた嵌められたのだ私は!!!!!
許さない、許さない許さない許さないあの女、よくも、よくもよくもよくも遼君を!!!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺してやる!!!!!!!!!!

「あはっ…………あはは、あはははははははははは」

 可笑しすぎて思わず笑いがこみ上げてきてしまう。

 だってこんな現実は、おかしすぎる。

 間違っている、絶対に間違っている。

 遼君が、私の遼君が、あの糞猫女とあんなことして、しかも『好きだ』なんて。

 ねえ遼君、これは何かの間違いだよね?

 あの雌猫に騙されてるだけだよね?

 うん大丈夫、分かってるから。

 だってわたし遼君のことが世界一好きだから。

 世界で一番だよ?

 あの泥棒猫の百万倍は愛してるんだから。

 だから一回の間違いくらい許してあげる。

 あの泥棒猫を殺したら、すぐその間違いに気付くよね?

 それとそれと、わたしがあの猫を殺したら、すぐにわたしにも同じことしてね?

 ううん、同じなんかじゃ足りないね。

 百万倍は凄いことしようね。

 うん、好きだよ遼君。愛してる。

 だからね、すぐわたしがあの泥棒猫から助けてあげるから。

 えへへっ、待っててね遼君。

「遼君、がんばるよ、あたし」

 私は軽快な足取りで、その場を後にして放送室に向かった。

 ―――本当、あそこには何でも揃ってて便利だなあ。






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