07/11/13 00:51:52 bdz9+ay6
「中原、最近頑張ってるな」
「はあ」
「この調子なら、志望校もう一ランク上げてもいいんじゃないか?」
「じゃあ、そうします」
「何だその言い草は。自分の進路なんだぞ?」
「はい、そうっすね」
「ちゃんと考えておけよ」
「はい、分かりました」
それから僕は、とにかく勉強をした。睡眠不足になって倒れるまで、ひたすら机に向か
った。集中して勉強している間は、何もかも忘れられたから。
―――あれがあった晩に彼女と電話で話して、僕と彼女の関係は終わった。
僕はもう、彼女と一緒にいていい人間ではないのだ。
彼女の大事な場所を、僕は壊した。自分勝手で、わがままな気持ちから、僕はそれを壊
してしまった。
決して許されていいことなんかじゃない。
僕はもう、人に好きになってもらう資格なんてないのだ。
僕はもう恋なんてしないんじゃないか、そう思った。彼女以外の人を好きにはならない
だろうし、彼女以外の人を好きになりたくなかった。
―――僕はここで止まっていよう、そう思った。
倒れたとき、夢に彼女が出てきたときは、泣いた。悲しくて、寂しくて、自分が許せな
くて、とにかく泣いた。
それでも勉強して、必死に現実逃避をしたお陰で、僕は県内でも有数の進学校に合格す
ることが出来た。両親はとても喜んでいたが僕はちっとも嬉しくなんかなかった。
それでも、あそこにいたメンツ全員と進学先が違ってよかった。それだけは思った。