【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part11【改蔵】at EROPARO
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part11【改蔵】 - 暇つぶし2ch400:名無しさん@ピンキー
07/11/23 11:02:14 cQk5czFC
以上です。

駄文を書き連ねて、皆様のお目を汚してしまいましたこと、お詫び申し上げます。

401:名無しさん@ピンキー
07/11/23 12:09:12 zqBzm1v+
懐かしい雰囲気だな

402:名無しさん@ピンキー
07/11/23 17:45:31 r0+3ftVi
エロパロ板の圧縮が近いって話が流れてるが、見たらスレ数800まであと4スレだった。
基準はよくわからんのだが、このスレは大丈夫だよな?

403:名無しさん@ピンキー
07/11/23 22:09:57 iGfHj0tU
たかしとまといが付き合いだした頃を想像して書いてみました。はじめて書いたもので、なおかつ初投稿なので不手際があると思いまずが、どうかご容赦ください。

404:名無しさん@ピンキー
07/11/23 22:13:38 iGfHj0tU
最初に声をかけたのはたかしのほうだった。ひとめぼれというのだろうか。
断られるかと思ったが、意外に返事はイエスだった。
いつものように絵文字のついたメール。いつもの時間にかかってくる電話。
彼女はとても従順で、声も仕草も、全てが愛くるしかった。
ある日、そんな彼女に「家に遊びにこないか」と誘ったのだった。
男の部屋にくる、それが何を指すか彼女にも伝わったのだろう、
少し赤面してから「…うん」とうなづくまとい。まといの手をとるたかし。
彼女はうつむいたまま、素直にたかしについてきた。
手をひかれるままについてきた。

405:名無しさん@ピンキー
07/11/23 22:15:50 iGfHj0tU
まといは、はじめて経験する感覚に戸惑っていた。
正直、これが気持ちいいのかどうか彼女自身わからなくて、
ただただ、たかしが与える愛撫においついていくのが必死だった。
恥ずかしくて恥ずかしくて気がつけば何度も足を閉じよう閉じようとしていた。
ただ、自身が気がつかないうちにみるみる潤いが増してゆくのを感じていたのだった。
「えっと…も…いいかな…」
たかしにとってもはじめての経験で何をどうしていいのか頭の中が真っ白になっていた。
早く早く早く挿入しなければ、と軽くパニックを起こしていたのだ。
雑誌で覚たり友達から聞いた手順を必死に反芻していたが、身体がもたない。
今にも爆発しそうだった。

406:名無しさん@ピンキー
07/11/23 22:18:47 iGfHj0tU
あれだけ練習したコンドームがうまく装着できない。
焦れば焦るほど手がすべり、うまい位置にかぶせられないのだ。
まといはまといで身の置き場がなかった。
間が持たず、「だいじょうぶ?」と思わず手を出してしまったのだ。
その温かでやわらかな指先が、たかし自身に触れた瞬間、耐えきれず爆発してしまった。
思い切り飛び散ってしまった白濁液はまといをも汚した。
はじめての行為とはいえ、愛しい彼女の前で粗相をしてしまい、バツが悪いたかしはうつむいたままだまってしまった。
それを知ってか知らずか、まといはたかしの出したその液を指に一掬いし、
「たかしの…にがい…ふふっ」
とはにかんでみせた。
その愛くるしい笑顔に、たかしは思わずまといを抱き寄せた。
「たかし…いたいよ」とほほえむまとい。
彼女の柔らかな髪の先が素肌をくすぐったが、その感触でますます愛しさがこみあげたのだった。

彼女を、まといを大切にしようと決めたのはこの時からだった。
そしてそれにまといも応えてくれた。
が、それが重すぎる愛に変わってゆくことをこのころのたかしは知る由もなかったのである。

おわり

407:名無しさん@ピンキー
07/11/23 22:19:46 iGfHj0tU
以上です。読んでくださってありがとうございました。

408:名無しさん@ピンキー
07/11/24 01:07:17 Bm/9IaI6
待て待て、ここからがいいところではないか。

続き希望

409:名無しさん@ピンキー
07/11/24 09:52:26 4xydyd7F
勤労感謝の日に投下ご苦労様です。

というわけで、たかし以前の元カレ達のも・・・

410:名無しさん@ピンキー
07/11/24 11:25:19 rwWnyPXi
まといが可愛い、これはもっと見たいですよ
また書いてくれたら嬉しい

>>400
GJ、多対一で襲われる先生っての個人的にすごい好きなんだよなあ
俺は本当は先生が好きなのかもしれない

411:名無しさん@ピンキー
07/11/24 11:28:37 NCyZyWQ7
先生は受けでいいんじゃないかと

俺キモいな

412:名無しさん@ピンキー
07/11/24 21:47:04 aQLOtipG
確かに、どうしても先生は受身っぽく書いてしまうなぁ。
おかげで先生が絡むと鬼畜シチュが思いつかない。
まぁ純愛エロの方が書いてて楽しいからいいんですが。

…ちょっと保管庫もぐって鬼畜モノ探してみるか…。

413:名無しさん@ピンキー
07/11/24 22:13:46 zKDcX2PL BE:224234742-2BP(2375)
先生攻めといえばいつかの霧の小ネタがエロかった
あの人また書かないかな

414:名無しさん@ピンキー
07/11/24 22:25:10 +GL769O8
あの爛れた空気がたまらんかった
特に一本目の方
欲を言えば、小森はタメ口にして欲しかったけど

415:名無しさん@ピンキー
07/11/24 23:15:41 mXC08hRm
「それでは、これから補講を始めます」
教卓の前に立ち、元気よく声を出す書生姿の男は糸色望―2年へ組の学級担任である。
今この姿からはとても想像できないが、彼は超ネガティブシンキングな男なのだ!
「はーい」
望の声に唯一応じる女生徒、彼女の名は、風浦可符香。
彼女は望とは正反対、超ポジティブシンキングな女の子である!

そしてこの物語は、絶対に相容れない二人の禁断の恋を描く、学園ラブストーリーである。

「いきなり訳の分からない地の文ですね」
「良いんです、所詮パロディですから」


「さて、風浦さん。今回あなたには『性』についての補講を行うことになっていますね?」
「はい。ちゃんと教科書もありますよ!「男の子と女の子 体の秘密」です!」
可符香は満面の笑みで教科書(?)を鞄から取り出す。
表紙には情事を行う男女の姿が描かれている。
「残念ですがそれは作品が違います。…それに、この授業に教科書なんて必要ありません」
「どうしてですかー?」
可符香は頭に?マークを浮かべている。
「なぜなら!『性』の教育は、己の体を使って行うからです!」
「つまり、どういう事ですか?」
望はうーんと唸って、自らのバックからロープを取り出し、そのロープを使って可符香を縛り上げた。


「こういう事です」
「何ですかこれ?あ、そうか!囚人ごっこですね!」
「あなた、何のために補講に来たんですか?『性』の勉強のためでしょう!」
「やだなぁ、先生、そんな事ぐらい分かってますよ。今のはジョークです、ジョーク」
「はぁ、そうですか」

「さて、あなたにはまず私の絶棒を舐めてもらいましょうか」
望が袴を下ろしつつ言った。
姿を現した絶棒を前に、可符香が呟いた。
「…ほんとに絶望的ですね」
「言うなぁぁぁぁ!!!」

「さて、たぶん知っているとは思うのですが、男性の絶棒は、何か性的な快感を得る事によって巨大化します」
「ぼっき…ですね!67頁に載っています!」
「まだ見てたんですか!」

「っていうか、これはもう収拾がつかないので、ここら辺で切り上げましょうか」
「ええっ!?まだ何もしてませんよ?」
「大体作者がエロシーンは描けないので、エロパロ版に投稿する事自体が絶望的だったのですよ」

「という訳で、引き続き久米田康治エロパロ版をお楽しみください」
「お目汚し、失礼いたしました」

416:名無しさん@ピンキー
07/11/25 01:14:41 1RYRq6vQ
絶望的だ!その意気やよし!

417:名無しさん@ピンキー
07/11/25 01:17:50 sM0o5qAf
字書きは度胸。とりあえず投下してみるものさ

418:名無しさん@ピンキー
07/11/25 01:22:18 70wkCjx4
うむ、とりあえず教科書のタイトルにエスカリボルグ吹いた。

419:名無しさん@ピンキー
07/11/25 01:25:59 NPAq9mEz
小学生の頃授業サボって同級生の女のコとそんな感じの題名の本を読み漁ったな
それも保健室で

420:名無しさん@ピンキー
07/11/25 13:22:54 hvnYnit+
結構経っちゃいましたが、つきものが落ちた千里が可愛かったので千里で1本書いてみました。
投下させてもらいます。

421:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:23:57 hvnYnit+
「二番底は、きっと不思議の国。」
そう言い残して、千里は不細工なうさぎの後を追いかけた。
大きなリボンカチューシャとふりふりのエプロンワンピース。
まさにルイス・キャロルのアリスのような姿で、うさぎの穴へと落ちていった。
つい昨日のことだ、そのまま不思議の国にはたどり着けたのか、彼女は今日学校に来なかった。
たくましい彼女の事だから、おそらく大丈夫だろうとは思う。
不思議の国の王制を廃し、どの札も等しく富める共産主義国家樹立のために
革命軍のリーダーとして指揮を取っている頃かもしれない。
だけど千里も一人の少女、弱いときは弱いのだ。
さすがに望も少し心配になる。
家に帰れずに泣いていたり、事件に巻き込まれたり…逆に事件を起こしているかもしれない。
「昭和の事件史に、マッドチリパーティーとか追加されるのは御免ですよ…」
そう呟いた直後、ばたーんと押入れのふすまを吹き飛ばし、中から人影が転がり出てきた。
それは昨日と同じ姿をした千里、不思議の国から無事帰還したようだ。
「…おかえりなさい。」
「…ただいま、先生。」
突然の事態に驚くも、心配が杞憂に終わった事に望はホっとした。

422:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:25:01 hvnYnit+
「紅茶の方が良かったですかね?」
「いえ、向こうで飲んできましたし。」
服装とはアンバランスに、緑茶をすする千里の姿を望はチェックする。
返り血は無し、服の乱れも無し、どうやら怪我もなさそうだ。
「どうでしたか不思議の国は?」
「なんだかこの格好してた間の事、よく思い出せないんですよね。おぼろげには覚えてはいるんですけど。」
「はぁ、なるほど。」
きつねの代わりに何かが憑いていたのかもしれない。
「それで、どうしてここの押入れから?」
「…不思議の国にふさわしくないから、ってクーリングオフされました…」
「ん…それは…まぁ無事に帰ってこれて何よりですよ。」
やはり革命でも起こそうとしたのだろうか、ストレートフラッシュを量産する千里の姿が思い浮かぶ。
クーリングオフされていなかったら、未来のアリスが迷い込むのはどんな国になっていたのか。

423:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:25:59 hvnYnit+
「んー、しかしあなた…意外と似合いますね、その格好。」
望はついっと千里の元に近づき、まじまじとその姿を見つめる。
慣れない格好を見られて恥ずかしいのか、千里の頬が染まる。
「そ、そうですか?」
「ええ、とっても。」
貧相な胸がまたなんとも、とは埋められてしまうので言わないでおく。
恥ずかしそうに視線を逸らす千里が愛らしくて、望は彼女の細い体をきゅっと抱きしめた。
「ッ!こらっ、そういうのはきっちり籍を入れてからっていつも言って…」
「まあまあ、それはそれ、という事で。」
首筋にキスをしながら言う。
「またそんな風にごまかして…駄目って…んむっ…もぅ…」
反論を望の唇に塞がれ、千里はおとなしくなってしまった。
普段は望を振り回し続ける彼女だが、ひとたび行為に及べば二人の立場はこうも逆転する。

424:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:26:58 hvnYnit+
「うん、そう持ち上げて…そうそう、そのままです。」
すっかり従順になってしまった千里は、言われるまま望の前でスカートをたくしあげる。
屈みこんだ望の瞳に、千里の純白の下着が映った。
「はぁ…なんでこんなこと…先生のバカ…」
「そんな事言いながらも、先生のわがままに付き合ってくれる木津さんが好きですよ。」
つっと下着に指を這わせ、千里の起伏を露にするように彼女のクレバスに下着を食い込ませていく。
「やぁ、シミになっちゃうぅ…」
「シミを作るのはあなたです、先生知りません。」
「またそんな事言って…」
下着越しに指で入り口をいじりながら、千里の様子に望はにやにやしている。
「ん?しかしこれは…」
気になることがあるのか千里の下着に手をかける。彼女の愛液が糸を引いた。
下着を下ろされ、望の前に広がった丘はつるつるになっていた。

425:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:27:58 hvnYnit+
「どうしたんです、ここ?」
こりこりと指の腹で千里の小豆をいじくりながら尋ねる。
「うぅ、よく覚えてないんです…でもたぶん、私アリスになりきってたから。」
「なるほど。あなた形から入るタイプですもんね。」
不思議の国に迷い込む10歳の少女には相応しくない、という判断で剃られたという事なのだろう。
「ふふ、まあいいでしょうこういうのも。よく見えますし、舐めやすい。」
望は千里の股に顔を埋め、舌を彼女の中へ侵入させる。
「あぁ…もぅ…」
羞恥と自分の中を動き回る舌から送られる快感に千里はその身を震わせる。
「はぁ…あっ…んっ!」
わざと音を立てて望は千里を攻め立てる。
千里の足に力が入らなくなってきた、このまま立っているのにも限界が来そうだ。
「あっ、先生っ…先生っ!」
「ほお、面白そうな事やってるじゃない二人とも。」
不意に入り口の方からかけられた声の主は、千里の親友、藤吉晴美だった。

426:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:28:56 hvnYnit+
「ひゃっ、ひゃるみ!?」
晴美の乱入に動転し、隠すようにばふっとスカートを望にかぶせる。
「こ、これはその…んぅ!」
とんでもない場面を見られ、うろたえる千里を晴美はニヤマリと眺めている。
「いい格好じゃない千里ー。それって、千里の趣味?先生の趣味?」
「ちがっ!あんっ…こ、これはぁあっ…なんでやめない!?」
晴美の乱入にもかかわらず、千里を舌で攻め続ける望に鋭いチョップが轟音とともに振り下ろされた。
ずん、と畳に沈んだ望が頭をさすりながら立ち上がる。
「…痛いですよ、何するんですか。」
「こっちのセリフです!晴美が見てるのに…」
「藤吉さんになら別にいいじゃないですか。」
「ですよねー。今さらでしょ、千里。」
「恥ずかしいものは恥ずかしい!」
「まあまあ落ち着いて。」
晴美の方を向いた千里を後ろから抱きしめて首筋にキスをする。
望はやっかいさんの扱いにずいぶん慣れてきたようだ。
よいしょ、と千里の軽い体を持ち上げ、自分にもたれさせるようにして一緒に畳に座る。

427:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:29:55 hvnYnit+
「さ、藤吉さん。」
望が後ろから千里のふとももに手をかけて足を上げさせる。
下着が足首にかかったままなので開脚はさせられなかったが、千里のスカートの中が晴美から丸見えになった。
「さすが先生、話がわかりますね。」
「へっ?…あ、あなたたち埋められたいの!?」
「いいですよ、1回くらい。」
「先生、私の分もお願いします。」
「う…まあ1回も2回も同じようなものです、いいでしょう。」
「このバカどもはぁぁぁ…」
足首に残された下着を脱がせ、晴美は千里のスカートの中へと潜り込む。挨拶代わりにキスを一つ。
ぺろぺろと舌を差し入れて動き回らせると、うなぁぁと妙な嬌声が聞こえた。
望は望で、千里の薄い胸を服越しに揉みしだいて楽しんでいる。
「おお、つるつるだぁ…ふーん。」
やはり彼女も同じ事が気になるのか、スカートから顔を出して千里を見る。
「やるじゃない千里。見えないところまでなりきるなんて。」
「まあ見えてるんですけどね。」
「で、これはどっちの趣味?」
「とりあえず私は何も言ってませんよ。」
「ほお、千里がねえ…」
「だからちが…うなぁぁ…」
舌の代わりに今は晴美の指が千里の中で暴れていた。

428:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:30:59 hvnYnit+
いつの間にやら千里は四つんばいにされて、あぐらをかいた望の腹に顔を埋めていた。
突き出された尻を掴んだ晴美がじゅるじゅると溢れる愛液をすすっている。
息を荒げる千里は、目を閉じて快感に身を震わせながら、しっかと望の服を掴んで離さない。
盛り上がりを見せる自身の下腹部のすぐ横であえぐ千里の顔が望にまた新たな欲望を喚起させた。
「あの…木津さん、お願いがあるんですけど。」
「っへ?は、はい。」
ぽおっとした表情をする千里の髪を撫でながら続ける。
「舐めて…もらえませんかね?」
「舐める、って先生の…ここ、ですかぁ…?」


屹立する望の絶棒を、千里はおっかなびっくり指でそっと触れる。
望の表情をうかがいながらゆっくりと舌を先端に這わせる。
そのまま口を近づけて絶棒を口に含んだ。と、そこで固まってしまう。
思考が停止してしまったのか、魚のような目で肉棒を咥えて動かない千里はシュールでもあり
一部の人間には愛しくもある、例えばその様子を楽しげに見つめる晴美などに。

429:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:32:01 hvnYnit+
「あの、気持ちいいんですけど…それだけじゃ…」
「うぅ、どうすれば…?」
自分に向けられた4つの期待の目に応えられなかったのが情けないのか千里は涙目だ。
「もしかして千里って先生のフェラするの初めて?」
「ええ。」
なでなでと千里の頭を撫でながら望は答えた。
「へー、意外。私なんて初めてのときから先生の舐めさせられてたのに。」
「あなたは自分から言ってきたんじゃないですか…」
「そうでしたっけ?まあ、そういうことなら私が教えてあげるよ、千里。」
晴美も千里の横に並んで寝転んだ。
「んぅ、こう?」
「うん、そうそう歯は立てないように…それで…」
望の目の前で晴美の人差し指をそれと見立てて、千里にレクチャーが行われている。
「生殺しじゃないですかぁ!」
下半身を丸出しのまま待たされている望が叫んだ。
「まあまあ、もうちょっとですよ。そうそう、千里。」
今度は本物の絶棒を掴んで、晴美は盛り上がった部分の裏側に舌先を沿わせた。

430:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:32:57 hvnYnit+
「ココ。先生ココ好きだから。」
「えっと…こ、ふぉう?」
晴美に促され、千里もちろちろとその舌を伸ばした。
千里がちらりと望の方を見た。なるほど確かに気持ち良さそうだ、実にだらしのない顔をしていた。
二つの舌が絶棒を中心にして絡み合っている。
担任する二人の可愛い女生徒にこんなにも愛されて良いのだろうか。
とりあえず社会的には良くないだろうが、望はたまらなく幸せだった。
「こんなに良い生徒に恵まれて先生幸せです。」
二人の少女の頬を撫でながら言う。
「…」
千里は照れているのか、押し黙っている。
「変態教師。」
笑顔でそう告げる晴美に、望は返す言葉もなかった。

431:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:34:01 hvnYnit+
「ほら、千里。」
「うん、失礼します。」
かぷぅ ちゅっちゅちゅ
不安そうに望を愛する千里と、その様子を愛おしそうに眺める2人。
「うっ、上手ですよ木津さん。気持ちいい…」
すりすりと千里の頬を撫でながら笑顔を向ける望。
望が感じてくれていると判り、千里もつい顔がほころんだ。
晴美から学んだことを実践し望に快感を与えていく。
やはり指とは太さも形も違うので少々戸惑ったが、効果はきちんと出ているようだった。
じゅぷじゅぷと音を立てる口の中で、千里の舌が望を探る。
(ココ…かな?先生…)
先ほど晴美に教わった、「先生の好きなところ」を探り当て舌を掻くように擦り付けた。
「ん、木津さん…!」
千里の口の中に広がる望の快感の証、そしてもたらされた達成感に千里も嬉しそうだ。
「おぉ、よくできたね千里。教えた甲斐あったなー、んっ。」
「あ、む。」
晴美は千里の口の中に舌を入れて、その中に残る望の精液を舌ですくい舐めまわす。

432:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:35:00 hvnYnit+
「んぅー。」
こくっと、二人の少女が舌を絡ませ、望の精液を味わい飲んでいる。
口づけをしたまま晴美は千里を引き倒し、千里が晴美の上にのしかかる形になった。
その状態で、晴美は手を千里のスカートに持っていきめくり上げる。
望の目の前に千里のヒップと濡れそぼった秘所が開かれる。
「先生、さっきのお返しです。」
「はは、ありがとうございます。それじゃ…」
「あっ…んぅぅっ…!」
ずん、と千里の中へと望が侵入していく。
千里のきっちりと分けられた真ん中分けがはらはらと乱れた。
「ふふふ、じゃあ私はこっちを。」
晴美が千里の背中に手を回しファスナーを下げた。
「この服脱がすの、ちょっともったいない気もするけどねえ。」
そう言いながら千里をはだけさせ、小ぶりな胸を露にする。
「こっちも捨てがたいからね…ちゅっ…」
「あっ…ああっん…」
「千里は相変わらず感じやすいなあ。」
かぷっ こりこり
千里の敏感な胸の先端が晴美によって転がされる。

433:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:36:03 hvnYnit+
「うぅっ…せ…んせい…もう…」
「私もです…一緒にいきましょう。」
「はい…あ、あっ…あぁ!」
「うくっ!」
二人は共に絶頂を迎え、望からどくどくと放たれた熱さが千里に更なる悦びを与える。
千里の中に収まりきらぬ望の精液はボタボタとこぼれ、晴美のふとももを汚していった。


「あっ、あっ、あっ…んぅっ。」
疲れ切って寝転がったままの千里の横で、晴美が座した望に抱かれている。
晴美が望の上に座り込むようにして、深く繋がった二人は熱狂的に唇を重ねあう。
スカート以外の衣服は既に脱ぎ捨てられ、晴美のその豊満な体が惜しげもなく望の前に披露されている。
「んっ…それにしても、先生と千里にコスプレえっちの趣味があったなんてね。」
「だから、ちがぅぅ…」
「うん、まあ色々あったんですよ。でも、なかなかいいものですね、こういうのも。」

434:不思議の国の千里ちゃん
07/11/25 13:36:56 hvnYnit+
「あはは、ハマッちゃましたか?それでしたら、私色々持ってますよ。」
「ほう。」
「何か要望あります?逆に男子生徒と女教師とか。」
「ちょっと惹かれますね…」
「書生と下宿先のお嬢さんとか。」
「結構惹かれますね…」
「千里はー?どういうのが好み?」
「だからちがうって…」


後日
「こらー糸色くん!ふざけてないで、きっちりしなさい!」
「おおっと、おっかねえなあ委員長は。」
「…やっぱりノリノリじゃないの、千里…」
小学生に扮した二人の小芝居を眺めながら晴美は呆れ顔でそう言った。

435:名無しさん@ピンキー
07/11/25 13:38:08 hvnYnit+
以上です。
最近千里が可愛くて仕方ないのです。

436:名無しさん@ピンキー
07/11/25 14:43:44 y+r+5E/U
これはいい作品。
千里ファンではないけど、最近可愛くて仕方ないのはよくわかる。

437:名無しさん@ピンキー
07/11/25 19:31:59 /MTqoLqd
水を挿すようで悪いが、千里スキーに最近などの千里の魅力を一言

438:名無しさん@ピンキー
07/11/25 19:50:38 eOJQIMn0
GJ
ありそうでなかった組み合わせだ

439:名無しさん@ピンキー
07/11/25 23:59:53 1RYRq6vQ
キャラスレで思いついた単発ネタです。

時は21世紀末 
全ての尾を持つ動物は一人の人物によって狩られ絶滅、正確には尻尾無し動物に変異していました。
AD.2456年 
その家に伝わる秘宝コレクションを尻尾の研究に愛を注ぐ天才少女の秘法により再生。
多くの動物達にしっぽのある生活が返ってきたのです。

しかし、その少女自身もクローン技術によって生まれ変わった存在だったのです。
そして彼女こそ絶滅の張本人。
歴史はくり返す…

のちにこの物語はノアの箱舟として多くの生物を救う事になるのですが、それはまた、別の 話。

440:名無しさん@ピンキー
07/11/26 02:38:20 ONFOzpQH
>>437
いろんな面を見せてくれる所、けして安定しないところ、不安定なきっちりさんが好き

441:名無しさん@ピンキー
07/11/26 17:20:31 9TnZ6z5A
何か本当に「絶望の器」って小説つくってる人いたわ。

442:名無しさん@ピンキー
07/11/26 18:01:14 xVyXUfKo
>>441
待て、それは「はてな」にあるやつか?

443:名無しさん@ピンキー
07/11/26 18:04:57 9TnZ6z5A
ん、そう。

444:名無しさん@ピンキー
07/11/26 18:12:42 xVyXUfKo
>>443
書いたの私です。
完成してから投下しようと思っていたのだが...


完成率は現在30% 

445:名無しさん@ピンキー
07/11/26 18:20:49 9TnZ6z5A
そうだったんですか。執筆頑張って下さいね。
…後、それならついでに一言。
「智恵」先生ですよ。


446:名無しさん@ピンキー
07/11/26 18:24:20 xVyXUfKo
>>445
その通りでした。かなり絶望的な間違いを起こすところだった。
ありがとうございます。

447:絶望の器
07/11/26 21:43:05 xVyXUfKo
URLリンク(d.hatena.ne.jp)
せっかくなので、一. だけ投下しておきます。未完成ですし、筆が遅いのであまり期待しないでくだい。


絶望の器


彼等は心を傷つけることなしに、心に触れることができない。
                  
                          一近代人


448:1-1
07/11/26 21:47:31 xVyXUfKo
 春─卯月。風浦可符香の心は希望に満ちあふれていた。
 新学期の初日、可符香には何か楽しいことが起こる予感があった。
その予想通りに、通学路の途中にある桜並木は満開だった。
可符香は暖かい風に吹かれた花びらの中をゆっくりと歩いていた。
とても幸せな気分だった。
人生は希望で満ちあふれていると、そんなありふれたことを考えていた。
 そして首つり死体に出会った。
 
 桜並木の終わりに、その死体はゆっくりと揺れていた。死んでいた。
 黒い学生服は背を向けていた。けれどその首から伸びる縄は、はっきりと見えていた。
可符香はそれを見た瞬間、頭の中が混乱して自分の目の前にあるモノが何なのか分からずに、
けれど本能が嫌なものだと悟って、尻餅をついた。
顔が見えないのが幸いだったのか、それとも不幸だったのか。
よく分からないことを不快な匂いがする中で考えていた。
 桜の花びらは絶え間なく降り注いでいた。
目の前を通過するそれを見て、可符香は少し落ち着いた。
自分の目の前で何が起きたのか、正確に理解した。
そして目の前の人間に対して怒りが沸いてきた。
なんで死んでしまったのかと。なんでそんなに命を粗末にできるのだろうかと。
そう思ってしまったら思考は止まらなかった。
正さねばならなかった。
彼を叱ってやらなければという思いが可符香の内に溢れた。
そして立ち上がろうとした瞬間、

「首つり死体ですね」

 桜吹雪の中に立つ、和服の男に可符香は出会った。


449:1-2
07/11/26 21:50:08 xVyXUfKo
春─卯月。糸色望の心は憂鬱だった。
春は希望の季節と人は言う。
けれど季節によって望の心は変わらなかった。
それでは自分の心は動かなかった。望は家を出た。
新学期の初日であったので、事務処理の時間を考えて早めに出かけた。
外の天気は良く、暖かい風が吹いていた。
気分はいっこうに晴れなかった。
しばらく歩くと道の途中に見事な桜並木があった。
以前通った時は蕾だった花は、今は満開であった。
桃色のその花は、昔から多くの者に幸せを与えてきたのだろうと思った。
望は素直に美しいと思った。

そして首つり死体と少女に出会った。

最初、少し前方に何かが揺れているのに望は気が付いた。
たいした考えもなく近づきなら、あれは首つりだという考えに至った。
ではすぐ側にいるセーラー服の少女は何なのだろうか。
少女を驚かさないように足音を忍ばせながら少女の横に立つと、嫌な匂いが鼻をついた。
そっと右手を見ると、少女の顔は目まぐるしく変化しているようであった。
困っているような、怒っているような、よく分からない表情が一瞬見えた。
「首つり死体ですね」
望は何も考えずに言った。
「えっ?」
「首つり死体ですね」
「えっ、ええ。そうですね」
「大丈夫ですか、手を貸しましょう」
「あっ、はい。すみません」
「あやまる必要はありませんよ...よっと」
少女はバランスを崩して望にぶつかった。
「あっ、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫です」
望はあらためて少女の顔を見た。
その表情と唇、そして目。交差した髪留めが目を惹いた。

450:1-3
07/11/26 21:52:42 xVyXUfKo
「通報はしましたか」
「えっ」
「警察に通報です」
「いえ、まだです。そう、彼を叱ってあげなきゃ」
少女は望の手を離し、少しだけ離れた。
「.........叱る、ですか」
「はい。命を粗末にしては駄目だと」
少女は望の目を真っ直ぐに見ていた。真剣であった。
望はその時自分が理解しえない者に出会ったという思いと、それでいて少しの心地よさを感じた。
少女は汚物も異臭も気にせず、首つり死体の正面に近づいて、彼女が先ほど言ったように何かを語りかけていた。
聞こえてくる言葉はなぜか断片で、遠い世界に見えた。
それと同時に、彼女は自分に対して何かを責めているように感じた。
しばらくして少女は死体から離れた。
「もういいのですか」
「はい。言いたいことはもう言いましたから」
「そうですか。では、もうお行きなさい。後は私が後始末をします」
「通報ですか」
「通報です。あなたは学校があるでしょう」
「別に学校は遅れても大丈夫ですけど」
「...本当のことを言うと、女の子にいつまでも死体の側に居てほしくないのです」
「やさしいんですね。では、お言葉に甘えて」
望が頷くと、少女は軽く頭を下げて行ってしまった。少女の歩く先に桜の花が咲いていた。
どれくらい少女の行った先を見ていたのだろうか。
望はゆっくりと携帯電話を袴から取り出した。
そして110番をかけるのは初めてだと気が付いた。
「事件ですか、事故ですか」
簡潔で落ち着いた声が聞こえてきた。
自殺は事件だろうか、それとも事故なのだろうか。
少し迷ったが、そのまま言うことにした。
「首つりです。誰かが自殺したのを見つけました」
「場所はどこでしょうか」
これはかなり迷った。望はまだこのあたりの地理を覚えてはいなかった。
ここがどこなのか客観的に言い表せなかった。だから仕方なくこう言った。
「桜のきれいな所です」








一.了

451:名無しさん@ピンキー
07/11/26 21:59:18 xVyXUfKo
以上です。  
極めて個人的な解釈ですので、申し訳ない。


URLリンク(www.nicovideo.jp) (ニコニコ)
ちなみにこの動画を見て書きたくなった。


452:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:12:54 OnNztlpg
>>451
非常にGJなんだがニコに直リン貼るのはダメじゃまいか
しかも真昼さんのMADww

453:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:15:09 nGMJmLmt
スタダwwww
こんなんあったのか

454:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:19:07 xVyXUfKo
>>452
直はまずいのか。すまん。以後気をつける。

455:名無しさん@ピンキー
07/11/26 22:58:34 /0cSSNEc
これは凄い作品だな。
続きを早く読みたいけど、じっくりと腰を据えて書き上げてほしくもあり。ダブルバインド。

456:名無しさん@ピンキー
07/11/27 01:14:13 /iAOQ+Qy
>>451
ホント凄い。
雰囲気のある文章がたまらんです。
首を長くして続きをお待ち申し上げております。

457:名無しさん@ピンキー
07/11/27 16:42:33 DLA+QLqw
ちょっスタダwwww
個人的にスタダ子は世界とか千里とかそっち系のイメージがあるなぁ

458:真昼
07/11/27 17:22:54 2k/ohrWb
何か晒されてる上に凄いSS降臨してて絶望した!恐縮でござります。続編楽しみにしてます。
…MADの方は歌詞に合わせたらあんなんなっちゃったんだよぅ本当は幸せな話の方が(作るぶんには)好きなんだよぅ…
というわけでエロも盛り上がりもないただのバカップル小ネタを投下させていただきます。

真昼が雪と午後の紅茶後の話ですが、普通に望×可符香前提ってだけなんで、知らなくても読める感じです。
7レスほど消費させていただきます。クリスマスが近いとの事で、そんな感じのネタです。

459:雪のように白く 1/7
07/11/27 17:24:41 2k/ohrWb

◆ ◇ ◆ ◇

掌で形を失くした結晶は、暖かな雫となって、肌を濡らす。
それを、愛おしく想った。

◆ ◇ ◆ ◇

吐く息は白く染まり、吸い込む空気は身体を内から凍らせるように冷たい。
望は身震いして、マフラーを口元まで上げ、首を竦めた。
街はすっかり冬の装いに染まり、気の早い事にクリスマスムードを漂わせている。
店先を飾るイルミネーション。電力の無駄遣いだと、望は内心で毒づいた。
道を行く人々―特にカップルは、心なしか浮かれているように思える。
通り過ぎざまに、カップルの会話が耳を掠めた。
「イブはどうする?どっか出かけようか」
女の問いに、男は間を置かずに答える。
「そうだなぁ、やっぱお前の家で、二人で過ごしたいな~」
「もぉやだっ、絶対やらしい事考えてるでしょっ!」
女はまんざらでもないようで、不満を口にしながらもその声は弾んでいた。
(……あなた達のような人が、私のような不幸な人間を作るんですよ……)
通り過ぎていくカップルに、望は心の中で恨みがましく呟いた。
世間がクリスマスに浮かれるほど、望の心は深く沈んでいく。
「…っふん」
そんな自らの絶望を振り切るように、足を速める。
早々に買物を済ませて宿直室に帰り、こたつに潜り込む事にしよう。
小森から預かった、夕食の材料を記したメモを懐から取り出す。
どうやら今夜は鍋のようだ。望の足は更に速まる。早く帰って、三人で鍋を囲みたい。
 
っどん。

「あ」
「おっと、すみませ……ん?」
メモに視線を落としていた所為か、前方からの人の接近に気付かなかった。
真正面からぶつかった人物に咄嗟に謝ろうとするが、すぐにそれが見知った顔だという事に気付く。
ぶつかった少年は、体勢を立て直しながら望の顔を見上げて、少し驚いたように瞬きをする。
手には、分厚い本を携えていた。
「久藤くん……大丈夫ですか?」
「先生。すみません、こちらこそ」
ベージュのコートにすっぽりと身体を包んだ久藤は、微笑を湛えて頭を下げた。
「……また、本を読みながら歩いてたんですか?」
「さすがに人ごみの中で読むのは、やめようって思ってたんですけど」
「我慢出来なかった、と」
「はい。さっき、そこの書店で買ったんです。
 新刊なんですよ。読み終わったら、先生にも貸してあげます」
「それはありがたいですが、それは家に帰るまで鞄にでもしまっておきなさい」
「そうですね。そうします」
素直に本を、肩から提げた大きめの鞄にしまい込む久藤。

460:雪のように白く 2/7
07/11/27 17:26:12 2k/ohrWb

「先生はお買物ですか?」
「えぇ、夕飯の買出しを頼まれまして。
 ……本当は、この時期はなるたけ出歩きたくないのですが」
「どうしてです?」
望はそっと、店先で輝くイルミネーションに視線を移した。
その様子を見て、久藤はクスリと可笑しそうに笑う。
「笑わないで下さいよ、人の真剣な悩みを」
「だって、可笑しいですよ、先生」
半眼で睨むも、彼は臆した様子もなく笑みを深める。
「だって先生は、今年は浮かれる側の人なんじゃないんですか?」
「……え?」
キョトンと目を丸くする望に、久藤は言葉を重ねる。
「少なくとも、カップルをジト目で睨む側の人間じゃないって事ですよ」
「み、見てたんですか?」
「いいえ。ただ、想像はつきますから」
すっかり行動を読まれている。
「さ、さすがですね……」
よろり、とたじろく。やはり彼は心が読めるのかと、冷や汗が額を流れた。
「先生は、クリスマスはどうするんですか?」
「え? えぇ、ああ……そ、そうですね」
久藤の問いにしどろもどろになりながらも、咳払いしてどうにか心を落ち着かせるよう努める。
「多分、なんだかんだで生徒達と騒ぐ事になりそうです。
 クリスマス会、今年もやるんでしょう?」
「あぁ…、そういえば、木津さんが張り切ってスケジュール組んでましたね」
休み時間、何やら机に向って時間表らしきものを書いていた彼女を思い出して、久藤は少し思案顔になった。
「まぁ、それはそれで楽しそうですけど……」
「…? 何か、思う所でも?」
彼らしからぬハッキリとしない物言いに、望は少し首を傾げる。
「僕としては、先生には、クリスマスは恋人と二人で浮かれていて欲しいです」
ニコリ、と微笑む久藤。
その言葉に、望は自分の顔に血が上るのを自覚せざるを得なかった。
「よ、よよよ余計なお世話ですッ!」

『浮かれる側の人なんじゃないですか?』

ようやく先ほどの彼の言葉の意味を理解した。
―確かに今の望には、聖夜を二人でムーディに過ごす相手が、居るには居る。
けれど恋人が居るからといって、自分は世間のカップルみたいに浮かれたりしない。
あまつさえ浮かれた勢いで、色々いたしたりも絶対にしない。しないったらしない。
「照れない照れない。先生だって、本当は杏ちゃんと二人で恋人らしい事がしたいって、思ってるんでしょう?」
「お、思ってない事はないですが…うぅん…」
望の脳裏に、先ほど通り過ぎたカップルの様子が浮かぶ。
あんな風に、臆面も無く周囲に幸せバカップルオーラを撒き散らしたい、とまでは思わない。
けれどせめて、二人で居る時くらいはあんな風に、恋人を照れさせてみたいものだ。

461:雪のように白く 3/7
07/11/27 17:27:36 2k/ohrWb
普段の二人といえば、良い雰囲気になる事なんて本当にざらで、大概可符香にからかわれているだけだった。
「―正直に、言いますと」
「言いますと?」
いつの間にか望の唇からは、本音が零れ落ちていた。
「ちょっとあの娘を、可愛らしく照れさせたり出来たら良いなぁ、とか……思っちゃってます」
その本音は、いたく久藤のお気に召すものだったようで、彼は上機嫌に微笑んだ。
「随分と、ささやかな望みなんですね」
「そう言いますがね、久藤君。
 あの娘を照れさせるなんて、常人には不可能なんじゃないかと思いますよ」
飄々と、いつも望の思考の遥か上を行く行動で、自分を惑わせる可符香。
そんな彼女が、どうすれば可愛らしくモジモジと照れてくれるというのか。
「確かに常人には不可能ですね」
「でしょう?」
ふはぁ、と溜息を吐く望とは対照的に、
「でも、先生になら案外簡単な事だと思いますよ」
久藤はあっさりとした口調で言った。その言葉に、望は反射的に頭を振る。
「む、無理ですよそんな、簡単になんて」
初めて身体を重ねた夜すら、照れる素振りを見せなかった可符香だ。
「うーん……まぁ、先生はそれで良いと思いますけどね」
グッタリと項垂れる望の様子を微笑ましく思いながら、思わせぶりな言葉を呟く久藤。
望は突然ハッと顔を上げて、名案だとばかりに弾んだ口調で言った。
「そうだっ、プレゼントなんてどうでしょうか」
「プレゼント?」
「そうです――クリスマス当日は、どうせ生徒皆で騒ぐ事になるでしょう。
 だから、一足早いクリスマスプレゼントを彼女に贈るんです。
 どうです? 不意打ちにはなりませんか、これ」
わくっ、と両の拳を胸の前で握って久藤に同意を求める望。
「あぁ、良いですね――不意打ちになるかはともかくとして」
その望み通りに久藤は同意した。後半の言葉は、胸を弾ませる望に聞こえないよう、小声で呟く。
「……ですが」
だが、すぐに望の表情は沈んでしまった。どよんど、と背に影を背負いながら、
「……普通のプレゼントなんかじゃ、駄目ですよねぇ……。
 彼女を照れさせる程のプレゼントなんて、私なんかじゃ思いつきません……」
自らの恋人の事だというのに……と、望の心は深く沈んでいく。
「照れる、とかは置いておいて、彼女の喜びそうなものとかは?」
「――それすら思いつきません」
フォローの為に言った久藤の一言は、どうやらトドメの一撃だったようである。
望はズルズルとその場にしゃがみ込み、頭を抱えた。通行人の視線もお構いなしだ。
「絶望した…っ、自分の恋人へのプレゼントもろくに決められない、甲斐性なしの自分に絶望したぁ…っ!」

462:雪のように白く 4/7
07/11/27 17:29:00 2k/ohrWb


「やだなぁ、先生は甲斐性なしなんかじゃないですよぉ」


その悲鳴に答えるように、軽やかな少女の声が、望の頭上から降ってきた。
聞き覚えがありすぎる声に、ぐぁばッ、と顔を上げる望。
そこには予想通り、髪留めを付けた彼の恋人が、冬の装いで立っていた。
淡い桃色のセーターを羽織った可符香は、気さくに手を上げて久藤に挨拶している。
「「やぁ」」
ポン、と掌を打ち合う二人。それを横目に、望は立ち上がった。
「か、可符香さん…!? いつからそこに…ッ」
「『あなた達のような人が、私のような不幸な人間を作るんですよ』
 って、先生が毒づいてたあたりから、です」
「それ最初からじゃないですかッ!?
 いや、そもそもその台詞、口に出してないんですけどッ!!」
「まぁまぁ、細かい事は良いじゃないですか」
「細かくねえぇッ!」
「先生、口調が」
そっと久藤に指摘されて、望は慌てたように咳払いをした。
「先生、いっそこの際だから、可符香ちゃんと一緒に買っちゃったらどうですか?」
「はい?」
「プレゼント、ですよ」
呆けたように聞き返す望に、久藤はぴっと人差し指を立てて言った。
「全部バレちゃってるんですから、今更隠すより、本人に欲しい物を聞いたほうが良いと思います」
「そ、そうですね……」
もう彼女を照れさせる、という目的は果たせそうにない。
けれど、少し早いクリスマスプレゼントを二人で選ぶ、というのは悪い案ではない。
望は少し考えてから頷いた。可符香はそんな二人の様子を、ニコニコと笑いながら見つめている。
「そうと決まれば、僕は退散した方が良さそうですね」
「私は、准君が居てくれてもかまわないよ?」
「そうですよ。遠慮なんていりません」
気を利かせてその場を去ろうとする久藤を引き止める可符香。望も、心から同意して頷いた。
けれど彼は笑顔で首を振り、
「実は、今日はこれからお呼ばれしているんです。
 最近よく図書室に来てくれる娘で、今日は夕飯をご一緒する事になってまして」
「あぁ、それは……引き止めて悪かったですね」
「それなら早く行ってあげないと。その娘、きっと首を長くして待ってるよ」
「うん。それじゃ、さようなら。二人とも」
そういう事ならば仕方ないと、二人は手を振り去っていく久藤の後姿を見送った。

463:雪のように白く 5/7
07/11/27 17:30:32 2k/ohrWb

「さて、と」
その姿が見えなくなると、可符香はパッと勢い良く顔を上げて、望の瞳を真っ直ぐに見た。
「今日は何でも買ってくれるんですよねっ!」
邪気の無い笑顔で、さり気に恐ろしい事を言われる。
だが否定するわけにもいかず、望は微妙に引き攣った笑顔で頷いた。
「ま、まぁ……常識の範囲内の物であれば」
「先生、私コレが欲しいです、コレ!」
「――って、言った傍から非常識なモノを欲しがらないで下さい!」
可符香は店先に飾られていた、ある商品を指差して瞳を輝かせる。
その指先にあるものを見て、望は堪らず悲鳴を上げた。

――宇宙人コスプレセット。

そう書かれたパーティグッズを、可符香は物欲しそうに見つめていた。
銀色の全身タイツと、妙な触覚の生えたヘアバンドが同封されている。
そもそもこのグッズの製作者は宇宙人と遭遇した事があるのかと、小一時間問い詰めたい気持ちになる。
「私、クリスマスはこれを着た先生と、ムーディな一夜を過ごしたいです」


―相応の値段のするホテルの一室。
頬を桃色に染めて、可符香は愛しい男の胸に顔を寄せる。
その身体を抱きとめる――全身銀色タイツの、頭から触覚を生やした男。

甘い声で囁く殺し文句は、
「―貴女と、交信したい―」


「アリです!」
「ねーよッ!!」
ビシィ!と両の親指をおっ立てる可符香に、即座に突っ込んでおいた。

――それからも、二人はいくつかの店を梯子した。
可符香が欲しがるものは悉く非常識な物ばかりで、四店目を出た時には、望の疲労は限界をむかえていた。
「お願いです……後生ですからマトモな物を欲しがって下さい…」
「先生、わりと瀕死ですか?」
「死体一歩手前ですッ、死んだらどーする!」
恋人とのプレゼント選びによる過労死。あまりにも絶望的な死因である。
「仕方ないですねぇ。では、お疲れの先生に一服入れさせてあげます」
可符香はそう言うと、望の返事も待たずに駆け出した。
咄嗟に呼び止めようとするも、彼女の向かう先が、すぐそこにある自販機だと判って、ホッと息を吐く。
可符香が飲み物を買っている間、望は何の気なしに、近くの百円ショップの看板を見つめた。
その店先には、ちょっとしたアクセサリーが置いてある。
百円とはいえ、望の目には十分お洒落に使えそうな代物ばかりに見える。
ふと、一つの髪留めが目に留まる。キラリと白く光ったそれが、何故だか妙に気になった。
チラリと可符香の方を見る。何を買おうか迷っているようで、まだ時間が掛かりそうだった。

464:雪のように白く 6/7
07/11/27 17:33:23 2k/ohrWb
それを確認してから、望は自分の目を惹いた髪留めまで寄っていく。
雪の結晶をあしらった髪留めは、凝った細工とまでは言えないが、とても百円とは思えない美しさがあった。
手に取って、これを付けた恋人の姿を想像してみる。とても、愛らしかった。
(ですが、百円ですからね……)
値段で物の価値を決める程愚かではないが、さすがに恋人のクリスマスプレゼントとしては粗末だろう。
少し名残惜しい思いで、望は元の場所にそれを戻そうとした。
「何見てるんですか?」
だが、背後から掛かった声に、思わずその手が止まる。
何故かどぎまぎしながら振り返ると、両手にホット飲料を持った可符香が立っていた。
「あ、いえ、何でも―」
「わぁっ」
望の返事を遮った可符香の声は、軽やかに弾んでいた。
その目には、彼の手の中にある髪留めが映っている。
「先生、案外良いセンスしてるじゃないですか」
「一言余計です。ですが、これ……」
たった百円ですよ――そう言おうとするも、
隣に並び、嬉しそうに同じ髪留めを手に取る可符香の姿に、二の句が告げなくなる。
「決めましたっ、これが良いです」
「……本当に、これで良いんですか?」
「駄目ですか?」
――そんな物欲しそうな目で小首を傾げないで欲しい。
慌てて赤く染まる頬を着物の裾で隠しつつ、「いいえ」と首を振った。
「貴女さえ良ければ」
「やったっ、えへへ」


――髪留めを買った後、望は自分の買物がまだだった事に気が付いた。
可符香の買ってきたホット飲料を急いで飲み干し、二人は手早く夕飯の買物を済ませた。
そうして今、二人はゆっくりとした足取りで、帰り道を歩いている。
本当なら急ぎ足で帰らなければならないのだろう。
けれど、こうして二人で歩く時間を、まだ深く噛み締めていたかった。
買物は頑張って急いで済ませたのだから、帰り道くらいはゆっくりさせて欲しい。
心の中で小森と交に謝りつつ、二人の足が速まる事はなかった。
 
今、可符香の髪には雪の結晶が煌めいている。
(……こんなに喜んでもらえるなんて、思いませんでした……)
ニコニコと上機嫌に、さっきから笑みを絶やさない可符香。
そんな彼女の様子を嬉しく思いつつも、その程度のもので満足してもらう事に、申し訳なさを覚えてしまう。


465:雪のように白く 7/7
07/11/27 17:36:38 2k/ohrWb

商店街を抜け、民家の立ち並ぶ道へ出ると、夕食の香りが各々の家から漂ってきた。
ポツポツと、街灯に灯りが灯り始める。
「えへへ」
彼女が歩くたび、揺れる髪留めがキラキラと輝く。
―それと同じ光が、いつの間にか頭上から降ってきていた。
「あ、雪だ」
どうりで寒いはずだと、可符香は白い気を吐きながら空を見上げる。
その横顔を、望はしばらくじっと見つめていた。
それに気付いて、キョトンと望を見返す可符香。
「何ですか?」
「い、いいえ別に。―寒くはないですか?」
まさか見惚れていたとも言えず、慌てて言い繕う。
「平気です。むしろ今は暖かいくらいです」
贈られたのは雪の結晶だというのに、こんなにも心が温かいのも不思議な話だ。
可符香はそっと髪留めを撫でた。

――その手に、そっと望の手が重なる。

少し驚いて望の顔を見上げる可符香。
「あぁ、やっぱり。随分冷たいですね」
望はやおら可符香の手を、自らの胸に引き寄せた。
片手が買物袋で塞がっていなければ、きっと両手で彼女の手を包み込んでいただろう。

――望はただ、彼女の手があまりに白く、寒そうだったからそうしたに過ぎない。
だがその行為は、可符香の不意をつくには十分だった。

「…………」
可符香の頬に赤みが差す。望の掌は、自分のそれより随分暖かだった。
その様子に気付いた望は、少し驚いたように、
「もしかして…、照れてます?」
そう聞いた。可符香は否定も肯定もせず、少しぼんやりとした表情で、手を掴まれたままでいる。

雪のようだ、と、そう思った。

ふわふわと掴みどころの無い白い粒。
一度人肌に触れると、瞬く間にその温度に染まり、溶けていく。
望の体温が可符香の冷たい掌に伝わり、二人の温度は徐々に近づいていく。

「……クリスマスは」
無言の時を打ち破ったのは、可符香の方だった。
「クリスマスは、皆でいっぱい騒ぎましょうねっ」
そう言った可符香の頬は、まだ少しだけ赤かった。
掴まれた手を引き戻すと、フワリと身を翻す。
数歩望の先を行くと、彼女は一瞬だけ振り返り、

「――えへへ」

言葉に困ったように微笑んで、それきり、振り返らずに走り去っていった。
それが彼女なりの照れ隠しだとわかって、望は満足気に笑みを深めた。
「何だ……こんな事でいいんですか」
まだ彼女の体温が残る掌を握り締めて、白い粒の降る空を見上げる。

彼女に贈った結晶の降る空は、とても美しかった。

その夜に振った雪は、一晩を掛けて街を白く染め上げた。
たくさんの粒が寄り添いあって、降り積もる。
その様は、愛しさにも似ていた。


466:真昼
07/11/27 17:39:31 2k/ohrWb
終わりです。ひたすらイチャこいてるだけの文で申し訳ない。

467:真昼
07/11/27 17:58:23 2k/ohrWb
>>465
どうりで寒いはずだと、可符香は白い気を吐きながら空を見上げる。×
どうりで寒いはずだと、可符香は白い息を吐きながら空を見上げる。○

気を吐いてどうする。自分で読み返して全力で吹いてしまったじゃないか馬鹿…。

468:絶望の器
07/11/27 18:00:40 vW85YgNN
>>458
直リンク、申し訳ありませんでした。

今回の私のssは真昼氏の動画を見て、創作意欲が湧きました。
以前から絶望先生の原作があったならこんな感じかな、
と想像していたのですが、形にはなりませんでした。
そんな折に氏の動画を見てこれだ!!と思い書いてみました。
ものを書くのは初めてですが、頑張ってみます。

現在はてなダイアリーを利用してssを書いています。
一応、1章から8章までは完成しています。(長くなったので投下はしない予定)
ここ URLリンク(d.hatena.ne.jp)
前の日へ で次の章に進みます。
執筆速度は非常に遅いので、気長に待っていただければ幸いです。

469:絶望の器
07/11/27 18:04:22 vW85YgNN
間違った。こっちです。さっきのは九章のでした
URLリンク(d.hatena.ne.jp)

470:名無しさん@ピンキー
07/11/27 18:50:33 eYJr6KfI
>>467
想像図はこんな感じか

                                     _,,-─‐‐,┐,,,,            __ /
                                    /─=   | |  ゙'''ヽ、    ,-─''"/
                                  / / ̄| |  |└-,,,,  ヽ-、,,‐''"  /  //
                                  / /,,-,'''''''' ) ノノ"_'''   '"/  ,, ,,-"、.  / /
                                 ./ //  |l  "  /,,,,\  /  ,//,,/''''、ヽ‐"ノ
                                ヽ.l/  / _   / /-‐、 ゙、 |  /,.-/  ゙、 ./"
                    /"'/  __  ,‐  _,,,ヽl・/-'''"   , l、-、 ヽ.゙、 ノノ ./    | |
  ,,,-─‐,-            ヽノ-、ヽ‐/  ヽニ  /l -、  ̄      /  ゙'''''ヽ | .|    |    | ヽ,,,,,,,-=
;;;;;;;;;;;;ヽ、 ヽ-─_-、       / | ノ |_  ヽ       L‐''_\    //  / 」 l ノ   |     |  ,.‐''"
;;;;;;;;;;;;;;;;;\ __ ,\、;;;;;;;;,,,,,,,  ノレ'"  ヽ、ヽ--、.    ヽニニ、ヽ、  |/   ヽノ /    |     | /
    '''''‐-ヽ''''\ ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|/'''''ヽ、ヽ、;;;;;;;;ヽ--、\ヽ  |    (  /─- 、. |     | |
           \へ\             | ヽ  、   ゙''ヾ、 .|    "、 ̄""'''-、'''|     | |
            ヽ|  ヽ\ ‐-、        |   |  ヽ、   |||  |     \--,,,,,,,,,-\    ヽ\
           )     l\  ゙"ヽ、     /ヽ-、ヽ ヽl_   | ||. |      |   ,,/"ヽ、    ヽ\
        ,,-''/      \ヽ   \、   /    ヽ| └ヽ、,,,,,| || ヽ     / / ,,,,,-‐\
     ,,‐'''" /          \  ヽ、       l|    \l| | |     / / _ "''''ノ\
    /ヽ /             ヽ _ヽヽ _____|\__ ノ |      |/-'''"  ゙"'''"   \、
   (  ノ ゝ      ,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ\;;;;--─,-∧ \--」 ,|  |   / /           \ヽ,,,,,,
      | |  ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;-‐'''''''''//   \、  /"  ヽl"''"> ,|  /  / /             ヽ、、
   ,,,,,,,,,| |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;‐''''''    /ゝ     \二/      ヽ| ,,,-‐  .| /              ヽ、゙'''
,,,,;;;;;;;;;;;;;;/ ヽ;;;;;;;;;;;;;-‐'''"      //       、          ゙''''''、   l/                \
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ \          ヽヽ,,      \ヽ           ゙"""                  ヽ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'''''\ ヽ-,,,,,,,,,,,ノ |,,__,,ノ‐" |,,   ,,   ノ ノ
''''''"      \   ,-─-、-‐'ヽ   ─/  -‐'''"
           ゙'''ヽ\     ヽ    レ
              ̄       ゙'''''''"

471:名無しさん@ピンキー
07/11/27 19:29:11 6grFp9rT
まあカフカだし気くらい出せてもおかしくは無い

472:名無しさん@ピンキー
07/11/27 19:30:24 W4Zf9Ms8
>>466
超GJ!イチャこらいいじゃないか

可符香かわいいよ可符香
糸色かわいいよ糸色

473:名無しさん@ピンキー
07/11/27 21:13:23 vW85YgNN
カップルの破壊力ってのは、本当に、こう.....いいな

474:名無しさん@ピンキー
07/11/27 21:28:34 dzzhRjVj

『たくさんの粒が寄り添いあって、降り積もる。
その様は、愛しさにも似ていた。』

・・・この二行に惚れた。
なぜ、真昼さんはこんな表現が出てくるのか・・・
私には素敵過ぎる・・・

475:名無しさん@ピンキー
07/11/28 02:03:15 QThzlhQT
>>466
わー、真昼さんの文章、本当に大好きだ…!
SSもMADも神過ぎ(スレチなのでこっそり。ババロアも拝見しました!)。
そして、原作の雰囲気を壊さずにこの2人をラブラブさせられる力量に脱帽です。
読んでて幸せになりましたv

>>468
これで処女作とは…恐ろしき才能。
全体を覆うどこか虚無的な雰囲気、ホントたまらなく大好きです。
投下なしでしたら、更新お知らせとかあると個人的に嬉しいかもです。

ああ、相変わらず感想なげーな…。


476:器
07/11/28 19:07:44 0Cm2mVeQ
>>475
最初は投下しようと思ったのですが、如何せん長すぎるのでやめました。
更新のお知らせはしようと思います。

感想は長いと嬉しいですよ。

477:名無しさん@ピンキー
07/11/29 03:12:52 lgivppGK
今週の大草さんの不倫SSを誰かに安価してみる

478:名無しさん@ピンキー
07/11/29 03:20:01 twdyre9k
ここは楓もので一つ

479:名無しさん@ピンキー
07/11/29 03:24:54 lKeUuYid
じゃあ智恵先生の高校時代のエピソード希望。
カウンセラーを目指すきっかけになった出来事とか。


480:名無しさん@ピンキー
07/11/29 12:09:05 IogUioGk
更新のお知らせか。 恩着せがましい・・・

481:名無しさん@ピンキー
07/11/29 22:23:27 r7qUtKbh
そして、ツンデレへと進化していくのである・・・

482:名無しさん@ピンキー
07/11/30 01:33:22 DtKWk43n
以前一旧さんやヤンデレのSSを投下した者ですがツンデレラに刺激され私は日本書記のパロディを投下させていただきます
なんか献上語と敬語が交じったり名前がカタカナひらがなが交じってますがそこは文化レベルの違いって事で許して下さい

483:絶望日本書記 壱/十壱
07/11/30 01:35:07 DtKWk43n
鬱くしい国、にっぽん。その始まりはいかなる物だったのでしょうか?


初め何もなかった世界に最初生まれたのが天緒中主尊と可美葦牙彦舅尊と国常立尊でいらっしゃいますが文化レベルが高すぎて出番がありません、

その後も七代の神々が生まれましたがやはり文化レベルが高すぎて出番がありません。


そして最後に何処か
神として軸がぶれてらっしゃる夫婦、
イザナギとイザナミがお生まれになりました。


神々はやがてそのぶれが世界をも変えるだろうと思い国生み命じしたのです。
「ふうしかし矛で海をかきまぜて出来たのがこの小島のみです
どうしたら国を生めるんですかね?」

イザナギは悩みましたが良い案が浮かばずヤケになりました。


「ええい!地上にはまだ何も生まれてませんし
もう逸脱して裸になります!!」
イザナギは服を乱暴に脱ぎ捨てましたが、
入水自殺しようとしても止める人がいないし
国も生めないため、
第三選択肢として裸のまま天御柱の廻りを歩く事にしました。

すると向こうからイライラしている裸の女神イザナミが現れたのです、

484:絶望日本書記 弐/十壱
07/11/30 01:38:05 DtKWk43n
「あ、イザナギ。」


「そうですが貴女まで裸ですか!?
貴女も国が生めず絶望していたのですか!?」


するとイザナミは眉毛を吊り上げ真ん中わけされた黒髪をふりかざしながら口を開きました。


「違います!私の体よく見たら足りない部分があって凄くイライラするんです。」

「あぁ確かに胸はもっと欲しいですね、」

「あーーーッ!もうそっちじゃありません!!!ここですよ、ここ!!」

イザナミは突然足を開くと勝負の割れ目とも形容出来る箇所に指をつっこみ押し開いてイザナギに見せ付けました。

「うら若き女神がおっぴろげないで下さい!
絶望した!恥じらいなく自分の足りない箇所を見せる女神に絶望した!!」
しかし否定しながらも逆にイザナギの余分な箇所は益々邪魔な大きさに膨張してきたではありませんか
「イザナギ!貴方のその余分な箇所を私の足りない箇所に入れてきっちり補って下さい!!
そうすればきちんと国が産める気がします!」

「ちょ!そんな事言われてもいきなりそんな!」
「きちんとしてください!!」
そう言うなりイザナミは強引にイザナギを押し倒しました。

485:絶望日本書記 参/十壱
07/11/30 01:40:57 DtKWk43n
「うわーーーッ!」

ドサッ

「わあイザナギの余分な部分、
まるで天御柱の様に太くて硬くてそそり立ってます、
私も天空の様に突き刺して下さい。」


そう言うとイザナミは倒れたイザナギに跨がり余分な部分を足りない部分にグププと補ったのです。
「ああ!イザナミの足りない箇所は前戯してないのにぬるぬるしてますよ!?」
「どうやって補おうかとさっき散々一人でいじったからです、
それにしてもあぁ!
イザナギの天御柱は本物より逞しいです!!」


自分の足りない部分が始めて補われる悦楽に歓喜しイザナミはイザナギの上を昇り下りし続けます。
「あぁイザナギもう駄目、高天原までイっちゃうーーーッ!!!!!!!!」
「あーーーッ!!!」


イザナミの足りない部分はビクンビクンとまさに神速にて痙攣しイザナギの余分な部分から御子の素を絞り取っていきました。
「こ・・これで国を身篭ったでしょうか?
良い土地が生まれたら良いですね・・・・・」

486:絶望日本書記 四/十壱
07/11/30 01:43:56 DtKWk43n
イザナギの子種は見事に受精し次第にイザナミの腹は大きくなっていきました、
そして十月十日目にとうとう陣痛が起こったのです。
「うう~ん!う~ん!」


「イザナミ頑張って下さい!
私たちの第一子です!」

イザナミが産みの苦しみに悶える中、
男の自分はせめて我が子を受け取ろうとまさしく
足の間の「勝負の分かれ目」にまわりました。

「おっ頭が出てきましたよ、もう一息です。」


「ううう~ん!!」


とうとう彼等夫婦の第一子が産み落とされイザナギは赤ん坊を抱き抱えました、
その子が最初に発した産声は・・


「ポッチャリタイプで~す」

「・・・・これはフォトショップで相当加工しないといけない子ですね・・」
「産んだ私が言うのもなんですが、川に流しましょう。」

こうして蛭子は川に流されてしまわれたのです、その後産まれた淡州もやはりフォトショップで加工しないと崇拝されない様な子でした。

487:絶望日本書記 五/十壱
07/11/30 01:48:10 DtKWk43n
「イザナミ、貴女は最初に声をかけてくれたり、上に乗ってくれたり、
陣痛に耐え二回も産んでくれました。
なので今度は私にまかせて下さい。」


「・・は、はい。」


イザナギのいつになく凛々しい思いやりにここまでリードしていたイザナミは少し顔を赤らめました、
そして再び二人は天御柱で出会う事にしたのです。

「おぉなんて美しくきちんとしてる女神なんでしょう!」

「そんな、私を美しくきちんとしてるだなんて・・ふふふ。」


イザナギはそっとイザナミに接吻なさりゆっくり寝かせていきました、
そしてイザナミの二回も頑張った足りない部分を舌で愛おしんでいきます。
「あぁ・・そこを舌で・・補う・・だなんて・・。」
「ここは勝負が分かれる場所ですからね、禊ぎをしなくては。チュバチュバ」
充分に潤われた事を確認すると既にそびえたった自分の天御柱を小宇宙たる彼女の中に。

「あぁ!!イザナギの・・御柱が・・私の宇宙を・・かき回してる!!」

「今は私にまかせて下さい、かわいいですよイザナミ。」

イザナミは足りない部分を補われてるとゆうよりこの男神に愛されてるとゆう実感に歓喜の涙を流しながら何度も果てられたのです。

488:絶望日本書記 六/十壱
07/11/30 01:51:27 DtKWk43n
再び十月十日がたちました、
以前は一方的な交わりをしただけありフォトショップで加工しないといけない子が産まれました、
「しかし今度は本当に二つの気持ちが交わった事もありきちんとした日本の島々が産まれましたよ。イザナミよくやりました!!」

その後も風の神、穀物の神、山の神、河の神、木の神、土の神と続々と自然の神々が産まれていきました。

「でも、自然の神々が産まれたのに火の神はまだじゃないですか、
きっちり産まなきゃ。」

「そうですよね火は必要です。」

二人は火の神を産むため再び交わり、
十月十日がたちました。

「うぅう~ん!!私もう駄目えぇ~!」

「今まで何回も産んできたじゃないですか、
貴女なら産めますよ!」

陣痛の苦痛に悶えるのはいつもと同じですが真ん中わけされた髪はいつも以上に乱れ分かれ目を失っていました。


「あっ!頭が出てきましたよ、アツッ!!」


火の神だけあり頭が出ると同時にイザナミの体は炎に包まれました


「ひいぃぃい!!焼け死ぬううぅ!!!!!!!!」
「これは証拠過多です!こんな目付きが悪くて熱い火の神を産んで焼け死ぬはずありません!!」

489:絶望日本書記 七/十壱
07/11/30 01:54:48 DtKWk43n
「証拠過多も何も私燃えてるじゃないですか!!!ああぁああああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
「ひぃ!ちょっと産まれて早々母親に放火するのはやめなさい!!えいっ!」
イザナギは十拳剣にてカグツチを葬りそこからも神々が産まれましたが
時既に遅くイザナミは焼け死んでしまいました。
無残にも黒焦げとなったイザナギを産めて葬ると突然の悲しみにうちひしがれる他ありません。


「絶望した・・愛する妻に先立たれる不幸に絶望した・・・・」


こうなったら自分も後を追って死のうとしましたが死ねません、

「よし、こうなったら生きたままイザナミのいる黄泉の国に行きます!
死者の国なんて恐いですけど・・・・・」

そうしてイザナギは他の神から聞き知った死者の国に繋がる洞窟を見つけました、

「流石に黄泉に繋がるだけあって暗いしじめじめして恐いです、」


イザナギは流石に怖じけづきました、
しかし明かりを持っている事を思いだしました。

「イザナミを焼き殺したカグツチの残り火を頼りに黄泉のイザナミに会いにいくとは随分皮肉ですね」
こうしてイザナギは洞窟を照らしながら進んでいきました。

490:絶望日本書記 八/十壱
07/11/30 01:57:47 DtKWk43n
「イザ・・ナギ?」


暗闇を進むイザナギの耳に突如強張りがありながらも懐かしく愛おしい声が響きました。


「おぉその声はイザナミ!やはり黄泉にいましたか声はすれど姿はありませんが?」


少し間を置きイザナミは再会した夫に語りかけました、
「・・それよりわざわざ黄泉にまで来てくれてお腹もすいたでしょう?
料理作ってたから食べてって。」


「貴女が手料理ですか?なんでしょうか楽しみだです。」
几帳面過ぎる故に細かい事を気にしてかえって料理を作れなかった妻が一体何を作るのか、
しかし再会と急展開に胸踊らせるイザナギの耳に聞いた事もない音が・・
ぐにゅっぐにゅっ


「切れない!切れないよお!」
「一体何を切ってるんですか!?」

「くっ、包丁が切れ過ぎて危なかったからデチューンしたがデチューンしすぎて切れない!
やっぱりデチューンは駄目!全力でやらないと!!」
怯え戸惑うイザナギを気にせずイザナミは何かを切る事を辞めて今度は何かをぐつぐつ煮始めたのです。
「鍋料理?ですか?」


「あ・・・・『砂糖と塩』と間違えて『佐藤年男』入れちゃった。」


「入れるなあああーーーッ!!!!」

491:絶望日本書記 九/十壱
07/11/30 02:00:04 DtKWk43n
「てへっ♪」

有り得ないドジをやったとゆうのにイザナミは全く悪びれる様子はありません
「せっかく作ったんだから、きっちり食べてくれるわよね?」

「そんなのまっぴら御免で~すーーーッ!!!!!」
慌てふためきイザナギは松明を手放してしまいました、
しかしその松明が転がって行った先は幸か不幸かイザナミの足元に。

「ひいぃぃ!?イザナミその姿は!!!???」

「見たな!知ったな!黄泉で私はこうゆう風貌である事を!!!!」


イザナミのややキツさがありながらもあどけなかった姿の面影は微塵もありません。
瞳は輝きを失い海に住む魚様に冷たくなり、
いつも強く主張していた口には刀の様に鋭く細長い歯が不気味に並んでいますし
天御柱の様にまっすぐだった髪は膨れ上がり世の果ての闇に恐怖とともに同化していました。


「この姿を見られたからには・・・・・埋める!!」
「嫌でーーーす!!
絶望した!愛する妻を猟奇へと変える黄泉の国に絶望した!!」

イザナギは来る前の死にたがりをすっかり忘れ、死者の国には不釣り合いな生きたいオーラを出しながら一目散に逃げ出しました。

492:絶望日本書記 十/十壱
07/11/30 02:03:04 DtKWk43n
「うなああああああ!!!待てえぇーーーッ!!!」
「待ちませ~ん!!!」


鋤を手に憤努するイザナミの姿に母親の面影はもはやなく、
完全に黄泉の死神と化していました。
必死にふり切ろうと走っているとようやく出口の明かりが見えてきました、
すると入った時はあまり気にも止めなかった桃の木があるではないですか。
「ようしこの桃で、えいっ!!」
イザナギはたわわに実った桃をもぎ取り背後に迫る死そのものに投げつけました、

「こんな物を私に投げつけるだなんて・・・・・・あっ!左右対象。」

イザナミが桃の綺麗なシンメトリーにうっとりしているスキにイザナギは黄泉の入口に大きな岩でなんとか蓋をしめ閉じ込める事に成功しました。

「イザナミ、私と貴女は住む世界が違い過ぎます。
もう離婚しましょう!!」

「な ん で す っ て !?死が二人を引き裂いてもずっと夫婦とおもってたのに・・・・・そんな事言うならそっちの国の人達を毎年千人殺してこっちに送ってやる!!」
なんと恐ろしい宣言、
彼女は身も心も死の国の住人になってしまったと言うのでしょうか?

493:絶望日本書記 十壱/十壱
07/11/30 02:05:40 DtKWk43n

「イザナミ・・・・・」

でももしかしたら彼女は一人ぼっちで暗い暗い黄泉に放り出されて寂しかったのではないか?

いやそうに違いない、
死の国なんて恐ろしい処にやってきて耐え切れるはずはないし
もう地上には戻れない。
だから自身も恐ろしい存在となる他なかったのではないか?
そう思い語りかけました。
「イザナギ、貴女の心がそれで晴れるとゆうなら一向にかまいません、
でも貴女が千人殺すたびに私は千五百の母屋を作り千五百人の命を産みます。
この国は私達二人で産んだ子どもです、
私は地上から、貴女は地下からこの子を一緒に守り育てていこうではありませんか。」


何回も上に乗って励み、何回も痛みに耐えたのに報われず心が折れそうになっていた自分を気遣ってくれたあの時と同じ凛々しさで語ったその言葉、
イザナミは岩越しにコクンと頷きました。


愛する夫と、

愛する我が子に。

494:名無しさん@ピンキー
07/11/30 02:09:24 DtKWk43n
え~とまたヤンデレの話になってしまいすいません
エログロはこの国産み編だけのつもりですが

皆さんがよろしかったら天岩戸編や八俣大蛇編や因幡の白うさぎ編もやらせてもらえないでしょうか?

495:名無しさん@ピンキー
07/11/30 02:10:56 Hl9k6o26
対称ですね

今週居ない千里?分を補充できました

496:名無しさん@ピンキー
07/11/30 02:12:02 Hl9k6o26
おっとageてしまった

497:名無しさん@ピンキー
07/11/30 04:02:01 rOD1WsJ8
前から思っていたのだが「いう」を「ゆう」と書くのは何かポリシーでも?

498:名無しさん@ピンキー
07/11/30 06:13:59 1eYS9tKR
>>494
断る

499:名無しさん@ピンキー
07/11/30 06:20:14 QcPz+Njx
とりあえず天岩戸編のエッチな踊りに期待してる

500:名無しさん@ピンキー
07/11/30 07:08:04 adUJeHKD
もうこういう著作権無視の無法はやめようよ・・・

501:名無しさん@ピンキー
07/11/30 08:05:07 7wxEdeRA
パロってことでスルーしてくれ・・・

502:名無しさん@ピンキー
07/11/30 08:05:55 DtKWk43n
>>497以前は答えそこねたんですが方言がつい出てしまうのです

503:名無しさん@ピンキー
07/11/30 08:07:04 MlGvBbRf
日本書「記」じゃなくて日本書「紀」でしょ!
「日本書紀」は一発変換できるのに、どうして間違えるのよ!
あー、もうイライラする!

って、千里ちゃんが言ってました。
何はともあれ乙。

504:名無しさん@ピンキー
07/11/30 15:33:25 vRoaDmQM
>>494
お願いします、これは他の話も千里がヒロインになるんでしょうか?

505:名無しさん@ピンキー
07/11/30 17:34:11 2kBKEMeT
天照は霧だろ常考

506:名無しさん@ピンキー
07/11/30 20:28:49 IDp2xmMB
元の話よく知らないから凄い電波w
何はともあれ乙

507:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:00:00 3Ex6rp0v
日本書紀は元ネタからカオスだから、意外と絶望先生と合う

乙です

508:430
07/12/01 00:17:24 uhDjJRe9
>>494
この題材で絶望パロって、すご過ぎです。
敢えて古事記でなく日本書紀にチャレンジされているところがまた…。
続編、全く配役が想像できないところが却って楽しみですね。

こんばんは、430です。
もう12月なんですね…1日が(自分だけ)48時間あればいいのにorz
というわけで、ささくれた心で書いた季節ネタを1本。…仕事しろ。

えーと、私のも一応、パロ話ではあるのですが、
こちらの方はエロもなければカップリングもない、
原作なぞったまんま(…かなぁ?)のお話なので、
お暇な方以外はスルー推奨で…。


509:絶望的クリスマス・キャロル 1/10
07/12/01 00:18:31 uhDjJRe9
巷ではクリスマスのイルミネーションが煌き、
ジングルベルが鳴り響くこの季節。

ここ、天界では神々が難しい顔をして額を寄せ集めていた。

髭の神様がため息をついた。
「本当に、あの男は何とかならんものかの。
 この間は早々に天使ちゃん達を使ってお帰りいただいたが、
 余りしょっちゅう来られては、天国の沽券にかかわるんじゃ。」
神様の向かいで、仏様が渋い顔で首を振った。
「わしも以前、あの男には我慢の臨界点を超えたことがあるが…。
 いっそのこと、あの世に送ってしまっても良いのではないか。」
すると、その隣で三途の川の渡し守の婆がしわくちゃの口元をすぼめた。
「いや、それが、思い切って向こう岸に渡しちゃろうと思うと、
 あやつ、笑ってごまかして逃げよるんじゃよ。
死ぬなら死ぬ、生きるなら生きるではっきりしてもらわんとの。」

仏様が顎を掻きながら言った。
「どうすればよいか…3日以内に10人の女性と交わらんと死ぬぞ、
と脅してみるか?」
「…保管庫を読みながら言うな。それではマルパクではないか。
 大体、あんな大作書けるものか。
 そうだのう、やはりこの季節からすると…あれではないか?」
神様の提案に、渡し守の婆が顔をしかめた。
「あれか…西洋の話は好かんが…この際、仕方ないかの。」
「まあ、できる限りのことはやってみようではないか。」

3人は、顔を見合わせて頷いた。







510:絶望的クリスマス・キャロル 2/10
07/12/01 00:20:22 uhDjJRe9
<<朝だ・・・起きたり起きなかったり・・・って!ダメだぞ!起きろー!>>

携帯から流れる大音量の声に、望は飛び起きた。
「な、な、なんですか!?」
慌てて眼鏡をかけて辺りを見回すと、まだ窓の外は暗い。
首をめぐらせると、望の枕元に、携帯を掲げて持っている芽留が座っていた。

「音無さん…一体何の嫌がらせですか!?」
芽留は望の抗議を軽く無視すると、再び携帯の液晶を光らせた。
『うるせー。神様から伝言だ。
 これから3人の幽霊がテメーにあるものを見せに来る。
 この先、心安らかな人生を送りたかったら心して見るんだな。以上。』

「…はぁ?」
とっとと携帯をしまって帰ろうとする芽留に、望は惚けた声を上げた。
「神様とか、幽霊とか…何の話ですか?」
『テメーの生き様が、天界にメーワク及ぼしてんだよ、このハゲ!
 いつも中途半端にゼツボーしてるんじゃねー!』
振り向かないままに毒舌をメールで送ると、芽留はそのまま姿を消した。

「…訳が分かりません…。
 絶望した!安眠を妨害された上に意味もなく罵られて絶望した!!」
「…お兄様…さっそくお定まりのセリフですか…。」
叫ぶ望の後ろから、声がかかった。

望が振り向くと、そこには白い着物を纏った倫の姿があった。
「倫…?どうしてここに…お前も私の安眠を妨害するのですか!?」
「お兄様。」
倫は怖い顔をして望を見た。
「音無さんの話をきちんとお読みになりました?
 私は、お兄様を絶望から解き放つために天界から遣わされた第1の使者。
 過去の幽霊です。」

「…何を、言って…。」
望の言葉が終わる前に、目の前の光景が一変した。


511:絶望的クリスマス・キャロル 3/10
07/12/01 00:21:32 uhDjJRe9
古い風情のある日本家屋。
障子からは明るい光が漏れ、2つの人影が映っている。

「ここは…私達の実家じゃないですか。でも何だか雰囲気が違う…。」
辺りを見回して呟く望を見ながら、倫が無言ですっと障子を開いた。
望は息を飲んだ。
「…!?お父様とお母様…?…若い!!」

そこにいたのは、望の両親だった。
しかし、望の記憶にある2人よりも随分若い…30代そこそこに見える。
2人には、全く望達が見えていないようだった。

「メリークリスマス、妙。」
「メリークリスマス、あなた。」
2人は微笑み合いながらグラスを合わせた。
「子供達は、もう寝たのか?」
「ええ、3人ともクリスマスパーティではしゃぎすぎて疲れてしまったみたい。」
「そうか…今年もパーティに参加できなくてすまなかったな。」
「いいえ、お忙しい中、こちらに帰ってきてくれるだけで嬉しいですわ。」
「いつも留守にしてしまって…寂しくはないか?」
大の問いに妙は首を振った。
「大切なお仕事だって分かってますもの…それに、私には子供達がいます。」
「…本当に、皆、いい子達に育っているな…私達の宝だ。」
妙は、その言葉に大を見上げた。
「あなた…。私、クリスマスプレゼントをおねだりしてもいいかしら。」
「ん?何だね?」
「私、もう1人、子供が欲しい…私と、あなたの宝物を。」

「も、もしや、これは…。」
2人の会話を聞いていた望の背を、冷たい汗が伝わった。
倫はにっこりと頷いた。
「そのとおり、お兄様がこの世に形作られたときの場面ですわ。」
「――!!絶望した!!両親のラブシーンなんて気恥ずかしいものを見せられ、
 あまつさえそれが自分の製造現場なんて、絶望以外の何物でもない!!!」
倫はため息をついた。
「そう言われると思いました。
 …でもね、お兄様。お2人の会話、聞いてらした?」
「…は?」


512:絶望的クリスマス・キャロル 4/10
07/12/01 00:22:27 uhDjJRe9
「は?じゃありません。お兄様、いつもおっしゃっていたじゃないですか。
 自分は、両親がクリスマスに浮かれてできた子供だ、って。
 でも、今のお父様とお母様のお言葉、聞いてらしたでしょう?
 …お2人は、本当に、心からお兄様を望まれていたのですわ。」
「…。」

望と倫の前の場面が切り替わった。
辺りに赤ん坊の泣き声が鳴り響く。

「妙…よくやった!」
「あなた…見て、元気な男の子。」
妙の腕の中の赤ん坊を覗き込む2人の顔は、喜びに溢れていた。
「ねえ、あなた…私、この子を、望、と名づけたいと思いますの。」
「望…良い名だな…この子は、私達の望みを受けて生まれたんだものな。」

「…名前をつける前に、自分達の苗字を考えて欲しかったですけどね…。」
望は呟いたが、その声音には先ほどのようなとげとげしさはなかった。
自分では気がつかなかったが、望は柔らかい表情で目の前の光景を見ていた。
倫は、そっと望を覗き込むと、小さく微笑んだ。

目の前の光景は、再び変わり、望の子供時代を目まぐるしく映し出していった。
そこには常に、家族の暖かい笑顔が溢れていた。

――そういえば、この頃は、絶望という言葉さえ知りませんでしたね…。

眺めているうちに、目の前の光景はだんだんと薄れていき、
いつの間にか、望と倫は元の宿直室の部屋に戻っていた。

倫と望は向かい合って座っていた。
倫が、望の目をひたと見つめた。
「お兄様…お兄様は、この世に望まれて生まれてきたのです。
 それだけは忘れないで下さい。
 お父様とお母様の思いを、無にすることのないよう…。」

そう言うと、倫は望の前から掻き消えた。

望は、黙ったままぼんやりと、今まで倫が座っていた空間を見つめていた。


513:絶望的クリスマス・キャロル 5/10
07/12/01 00:24:19 uhDjJRe9
「さーて、次は私の番ですよ、先生。第2の使者、現在の幽霊でーす。」
明るい声に望は振り向いた。
そこには、奈美が白いワンピースを着て立っていた。

「…。」
「どうしたんですか、先生?そんな不思議そうな顔して。」
「いえ、人並みなあなたがこんな大役を仰せつかるなんて、
 神様の判断基準というのは分からないものだ、と思いまして。」
「人並み言うな!!それに、馬鹿にするなぁああ!!」
奈美は両手を振り上げて怒鳴った。
「もうっ、いいから、先生こっち来て見てくださいよ。」
奈美が振り上げた両手を下ろすと、
目の前に、望のクラスの生徒達がどこかの家で、
クリスマスパーティの準備をしている光景が現れた。

「先生、今年も来てくれないのかなぁ。」
千里がツリーに飾りをつけながら、ため息をついた。
「ねぇ。何をするにも、先生がいないと何かピリッと来ないよね。」
晴美が隣で相槌を打つ。

「ほら、先生、こんなに生徒達に慕われてるんですよ。」
嬉しそうに望を振り返る奈美に、望はため息をついた。
「…なんですか、そのリアクションは。」
「余りにもインパクトがなさ過ぎて。…本当に悲しいまでに普通ですね。」
「普通ってゆーなあ!」
奈美は顔を真っ赤にして怒ると
「違うんです!私が本当に見せたかったのは、あっちです!!」
と部屋の一角を指差した。

奈美の指差す先にいたのは、膝を抱えてうずくまっている甥っ子だった。
「交…?」

うずくまる交に、千里が声をかけた。
「交君、一緒にツリーの飾り付け、しない?」
その誘いに、交はふい、と顔を背けた。
「…クリスマスなんて、大嫌いだ。」

「どうしたのよ、交君。」
女生徒達が、わらわらと交の周りに集まってきた。


514:絶望的クリスマス・キャロル 6/10
07/12/01 00:25:29 uhDjJRe9
「だって、クリスマスが近くなると、叔父さん機嫌が悪くなるんだもの。」
交は下を向いてぼそぼそと呟いた。

「…。」
黙って目の前の光景を見ている望を、奈美は非難の目で振り返った。
「子供にとって、クリスマスは1年で一番楽しい季節のはずなのに、
 交君は、先生のせいで、クリスマスはいつも嫌な思い出ばかり!」
「だって!それを言ったら、私の元に交がいること自体、
 そもそも縁兄さんがいけないんじゃないですか!!」
不満そうに叫ぶ望の言葉に、奈美は悲しそうな顔をした。

「…先生、そんなこと言うんですか…がっかりです。」
奈美は、寂しげな声で呟いた。
「誰の責任とかじゃないじゃないですか…目の前に、先生が
 救うことができる子供がいるのに…先生は、目をつぶるんですか。」
「そ、そんな、いくら年末だからって、
 赤い羽根の共同募金みたいなこと言わないで下さい!」

居心地が悪くなって、望は再び目の前の光景に顔を戻した。
――ずきん。
ふいに、交の表情の暗さが、望の胸をついた。
その表情は、子供の表情ではなかった。
世を拗ねた大人のような――まるで自分のミニチュアのような。

「…交君、このまま、絶望まみれの人生を送らなきゃいけないんですか?」
奈美の声が後ろから追いかぶさる。
望は、ふと先ほど見た自分の子供時代を思い出した。
今は絶望ばかりしているが、自分の子供時代は楽しかった。
――交は、それさえも与えられていないのか…。

奈美は、しばらく望の表情を観察していたようであったが、やがて、
「…どうやら、先生、分かってくれたみたいですね。」
と肩をすくめた。
「…人並みなあなたに、そんな洞察力があるんですか?」
望の答えに、奈美は顔を赤くして口を開いたが、望を見て口を閉じた。
そして、突然、輝くような笑顔を浮かべた。
「…分かりますよ。だって、私も、先生のこと大好きですから。」

そう言うと、望の答えをまたず、奈美は虚空に姿を消した。


515:絶望的クリスマス・キャロル 7/10
07/12/01 00:26:26 uhDjJRe9
最後の奈美の笑顔が余りにも印象的で、望は呆けたように突っ立っていた。
何だか顔が熱いような気がして、頬に手をやる。
「…なんだ、日塔さん、意表をつくようなこともできるんじゃないですか…。」
頬を押さえながら呟く望に、後ろから声がかかった。

「やだなぁ、世の中に意表をつくことなんかあるわけないじゃないですか。
 全ては必然の結果ですよ。」
「…やはり、最後はあなただろうと思ってましたよ、風浦さん。」
望はため息をつきながら振り返った。
そこには、白い天使のような姿をし、笑みを浮かべた可符香が立っていた。
「それなら話は早いですね。さあ、未来へと飛び立ちましょう!」
可符香が腕を優雅に振ると、辺りが真っ暗になった。

「カウシテ」「コノ物語ノ主人公ハ死ンダ」

空から、誰のものとも知れない声が響く。
そして、ふいに2人の目の前に、どこかの式場が現れた。

「…ここは?」
「先生のお葬式ですよ。」
白と黒で埋められた場内には、静かな読経の声とすすり泣きが満ちていた。
「ほほう、なかなかいい式じゃないですか。」
望は、きれいに飾られた祭壇を眺めながら、満足そうに目を細めた。
可符香は、そんな望を横目で見やると不可思議な笑みを浮かべた。
「まだまだ、ここからが本番です。」

急に、式場でざわめきが起こった。
「大変、まといちゃんが首を吊りました!!」
外から駆け込んできた生徒が、慌てたように告げた。
「え…!?」
絶句した望の目の前で、霧がロープを取り出した。
「抜け駆けなんて、ひどいよ!私も、先生のところに行く!」
そういうと、ロープを式場の梁にかけ、えい、とばかりにぶら下がった。

「な、何やってるんですか、小森さん!」
望は霧に駆け寄ったが、その手は、霧の体をすり抜けてしまった。
「何故、誰も止めないのです!?」
望の叫びは、当然のことながら式場の誰にも届かない。


516:絶望的クリスマス・キャロル 8/10
07/12/01 00:27:18 uhDjJRe9
「ごめんなさい、先生が自殺しちゃったのは私のせいなんです!」
愛が突然立ち上がると、泣きながら式場から走り去った。
間もなく外から、ブレーキを踏む音と嫌な衝撃音が聞こえてきた。

「…。」
真夜が涙目で、爆弾のスイッチらしきものを押した。
爆音が響き、真夜は周囲の生徒達ともども吹き飛ばされていった。

「なん…何なんですか、これは一体!?」
言葉を失っている望の背後から、可符香が明るい声をかけた。
「やだなぁ。先生は、皆に悲しまれて死にたかったんでしょう?
 先生の望みどおりじゃないですか。
 30倍どころか100倍、1億兆倍も悲しまれてますよぉ。」
望は、目を見開いて可符香を振り返った。

そこに、涙でしゃがれた声が聞こえてきた。
「いつの世にもこの子に望みがあるようにと、願いを込めて名づけたのに…。
 こんな形で我が子に先立たれて、この先、夢も希望もありません。」
親族席で、望の両親が立ち上がると、怪しげな錠剤を口に放り込んだ。
「そんな…いやだ!」
望の叫びも虚しく、両親は重なり合って崩れ折れた。

可符香は、青ざめた望を見ながら、楽しくて仕方ないというように
腕を一振りすると、新たな場面を映し出した。
「ほら!見てください、先生!これは必然です!!
 先生の絶望の先には、こういう結末が待ってるんですよ!!」

既に式場は阿鼻叫喚の坩堝と化していた。
そんな中、千里が血の涙を流しながら立ち上がった。
その手にはスコップが握られている。
「絶望よ!先生のいないこの世なんて、存在する価値はない!!」
千里はスコップを振り上げた。

悲鳴と怒号。
望の目の前に、言葉に尽くせない凄惨な光景が広がっていった。


517:絶望的クリスマス・キャロル 9/10
07/12/01 00:28:11 uhDjJRe9
望は顔を覆った。
「やめて…もうやめてくださーい!」
「どうして?
 素晴らしいじゃないですか!先生のおっしゃるとおり、
 世の中には希望なんてない、あるのは絶望だけなんです!
 箱の底に残ったのは、希望じゃなくて絶望だったんですよ!!」

可符香の明るい笑い声が、望の頭の中いっぱいに響き渡る。
「私が悪かったです!もう、もう絶望なんかしないから、
 お願いですから、やめてください――!!」




望は、叫びながら飛び起きた。
「あ…?」
朝日がさんさんと部屋に差し込んでいる。

「今のは…夢…?」
呟きながら、ふと枕元に目をやった望の表情が強張った。
そこには、小さな髪留めが落ちていた。

「何やってるんだよ、叔父さん。」
望は、その声に振り向いた。
交が仏頂面をしながら望を見ていた。
「いくらクリスマスが嫌いだからって、悲鳴上げながら起きるなよ。」
「…交。」

甥っ子の姿に、望の脳裏に奈美が見せた光景が蘇った。
同時に、倫や可符香が見せた光景も…。

望は、壁の日めくりに目をやった。
今日は12月24日――千里の家でクリスマスパーティが開かれる日だ。

――まだ、間に合う…ということでしょうか。


518:絶望的クリスマス・キャロル 10/10
07/12/01 00:29:02 uhDjJRe9
望は、再び交を見た。
「交…後で、一緒に木津さんの家のパーティに行きませんか?」

交は目を瞬いた。
「…。叔父さん、何かヘンなもんでも食べたのか?」
「いいえ、ちょっとした心境の変化です。」
望は明るくそう答えると、布団から出た。

窓を開けて天気を確かめると、交を振り返る。
「今日は良い天気ですからね。
 もしかして夜にはサンタクロースも現れるかもしれません。」
交が大きく目を見開き、次の瞬間顔を輝かせた。
「ホントか!?」
「ええ、きっと、この部屋にも来てくれますよ。」

――後で、交が欲しがっていたあのプラモを買っておきましょう。
望はそっと微笑んだ。

望は、再び窓から外を見やり、3人の幽霊達のことを思い浮かべた。
やり方は三人三様であったが、皆、望に大切なことを伝えようと
必死だったことが、今なら分かる。

――誰からも愛されていない人間なんていない。
誰も愛することのできない人間も、いない。

そうやって、人は、常に誰かとの絆を築きながら生きていく。
自分の人生は、決して自分1人だけのものではない――。

――少し、うっとうしいですけどね。

望は、小さく笑うと、辺りを見回した。
見慣れたはずの風景が、いつもよりまぶしく見えるのは気のせいだろうか。

どこか遠くから、ジングルベルの歌が聞こえてくる。
望は、空を見上げて目を閉じると、小さい声で呟いた。


この世に生まれ、そして生きてゆく全ての人に――メリークリスマス。


519:430
07/12/01 00:30:30 uhDjJRe9
えー、お付き合いいただきましてありがとうございました。
電波な可符香が書けて楽しかったです。

では、また埋め小ネタの時期になったら、お邪魔しに来ます…。
って、もう、すぐにそうなりそうだけど。


520:名無しさん@ピンキー
07/12/01 00:47:54 FydDRgwL
>>519
ふふふ・・・・・・丁度ケーキを予約した日に、430氏ssがリアルタイムだなんて。
それもこんなに良いものを。だんだん加速して読ませて、最後、穏やかな流れになる話はとても好きです。

何だか懐かしい(ry  ずいぶん前な気がしますが、まだ三ヶ月ちょいなんですねぇ・・・   よし、私も、書き上げ・・・るぞw

521:名無しさん@ピンキー
07/12/01 08:21:37 1J2TxJzJ
>519
感動した!(古

522:名無しさん@ピンキー
07/12/01 22:24:58 iXFEQ+Ko
いい話だった。12月にふさわしい。

523:名無しさん@ピンキー
07/12/01 22:38:33 tOUd+ve+
>>519
流石430氏!
俺にはできないような綺麗なエンディングを平然と書き上げてみせる!
そこにしびれる!あこがれるぅ!

会社で過ごすであろうクリスマスのエネルギーにさせていただきます。

>>520
430氏のネタに使ってもらえるとは光栄の極みw
三ヶ月も充電しているといい加減過充電で妄想が暴発しそうです。
つーわけで、今週末にでも久々に投下しようかなぁと思います。

524:名無しさん@ピンキー
07/12/01 22:53:30 XhGc5gg1
最高!
やっぱり430氏以外はイラネ。

525:名無しさん@ピンキー
07/12/01 23:17:17 egUWZ+7s
まあそう言うな。偏りがあった方が面白い。

526:名無しさん@ピンキー
07/12/01 23:51:34 HQm2E0ww
>>525
ほっとけ、いつもの荒らしだ

527:305
07/12/02 02:00:07 mRiOS/p2
>>523
色々・・・色々・・・語りたいのは押さえて・・・おかえりなさい・・・
私も、クリスマスは会社w ケーキ持ちこむ予定w


えーと、お疲れ様です。

こんな夜中に失礼してw 投下させて頂きます。
一応、奈美+芽留主役で、エロ無し+捏造設定+ちょっと長め(12レス程かと)です。
なのでスルー推奨でお願いいたします。

では、よろしくです。

528:変わらないもの、変わってゆくもの
07/12/02 02:02:31 mRiOS/p2

後ろ姿は親子ほども身長差がある少女が二人。そろって柳眉を逆立てた表情で、不機嫌さを隠そ
うともせずに通路の真ん中を並んで歩いていた。

『何だあの店員! 子供扱いしやがって! 責任者出て来い!』
「ホントムカツク! 何で私がお母さん扱いなの!?」

それぞれ怒りの向く方向は違うが、お互いに不満の言葉をつらねてゆく。
――もっとも、小柄な少女の方は携帯の画面に文字を打ち出しつづけていたので、背の高い少
女の方が一人で喋っているように見えるが。

「どこをどう見たらそんな年に見えるかな!? ねえ芽留ちゃん?」
芽留は勢いよく訪ねられて、背の高い方の少女――奈美を横目で見上げる。
藍色のタートルにクリーム色のジャケット。下はジャケットと同色のショートパンツと足には黒
のストッキング。首に掛けたロングのパールネックレス。

『どこをどう見ても 授業参観スタイルだ ブス』
そう打った画面を見せて芽留はニヤリと笑ってみせる。
奈美は口を半開きにして、虚ろな表情で少しよろめいた。

「・・・ちょっと大人っぽくしたつもりだったのに。」
『フケて見えてんなら 成功じゃねーか』
「成功って言うのかな!? それ!?」
怒りが何処かに飛んでしまったのか肩を落として歩く奈美の隣。
奈美を消沈させて機嫌が直ったようで、嬉しそうに携帯をいじりながら歩く芽留は、赤いAライ
ンのコートをすっぽりとはおり、首元にはゆるめたマフラーが巻き下げられている。
コートの裾は足首に届く所まで来ており、袖は辛うじて手の甲から先が出ているだけだった。
やがて二人は駅ビルを繋ぐ連絡路にさしかかりガラス張りの天井を見上げた芽留が足を止めた。
『雨 止んだな』
つられて足を止めた奈美もガラス越しに見える空を仰ぐ。
「ホントだ。・・・あー、ゆうべ降っていた雪が、朝は雨になっていたのはショックだったよね
ー。」
少し眩しそうに、遠い太陽の姿を見ながら奈美は答えた。
『・・・コドモ』
「何で! ・・・・・・でも、雨上がりの空って気持ちいいよね。何かこう、いい事が起こりそ
うな気がしない?」
芽留は肩をすくめ、奈美の顔をチラリと見た。

『まあ 雨よりはマシ だな ・・・普通は』
「普通って言うな!」

――いつもの私の叫びに彼女は肩をすくめてみせる。
雲の隙間から光の柱となって街の遠くへと落ちる日差しと、重なるようにしておぼろげな姿を現
わす虹の切れ端。灰色の雲が少しずつ散り、明るく照らし出されてゆく街の姿。
私は、楽しい何かが起こりそうな予感を抱きながら、彼女と二人佇み、しばらく眺めていました――



「芽留ちゃんどうする? このあと。」
エレベーターホールに入った所で足を止め、奈美は傍らの芽留を見て尋ねる。
『もう用事はねーからな 帰ろーぜ』
奈美の脇から手を伸ばし下りのスイッチに触れる。
ポン と軽い電子音が響いた。
「だねー。じゃ、さ。帰りがけに学校寄って行かない? 私、来週から交くん当番だしさ。・・・あと、
先生の様子も見ておかないと。」
芽留は小さく肩をすくめて首を縦に振った。
『生徒に これだけ心配かける先公も大概だな』
「まあ、それが先生だしね。」
奈美はクスリと笑って見せる。

529:変わらないもの、変わってゆくもの
07/12/02 02:04:24 mRiOS/p2
再び電子音が鳴り、到着したエレベーターのドアが開いた。

「・・・え。」
「ああっ!? 普通に偶然ですか、これは!?」
「いきなりイヤミかあ!!」
エレベーターの中には男性が二人。
その袴姿の相手に向かって奈美は怒鳴り返す。
『もう脊椎反射で出るんだな 普通に』
「芽留ちゃんまで!?」
ショックを受けた表情で肩を落とす奈美に、先生は しれっ とした顔でそっぽを向いてしまった。
ふと、もう一人の男性がクスクスと声を抑えて笑っている事に気がつく。
「あれ!? お兄さんじゃないですか。」
「や。ひさしぶり。」
奈美の声に眼鏡の位置を直しながら、命は笑いかける。
『よお 死ねる医者』
携帯の画面を見せた芽留に苦笑を浮かべて、命はその携帯を軽く押し戻した。
「もうネットでは流さないでくれるかい? 困った患者さんばかりが押しかけて来て大変だったから。」
そのやりとりに奈美はひきつった笑いを浮かべた。
「あー・・・えっと! 先生達も買い物?」
話題を変えるように、そっぽを向いたままの先生に話しかける。
「いえまあ、買い物ではなくてですね・・・・・・」
「今日、上で医療機器の展示みたいな事をやっていてね。ああ、延命治療のね。――望が連れ
て行ってくれと言うもので・・・・・」
言いよどんだ先生の代わりに命が答え、先生は再び顔をそむけてしまう。
命の言葉を聞いて奈美の顔が少し意地悪そうな笑みを浮かべてほころんだ。片手を口元に当てて
横目で先生の顔を眺めながら、わざと鼻を鳴らすような笑い声を上げた。
「なぁーんだぁ。先生、死ぬ気ないんだー。せっかくいつも、私達が様子を見に行ってあげてい
るのに、損しちゃったなー。」
てっきり反論してくるかと思いきや、先生は目をそらしたままでボソリとつぶやいた。
「また、恩着せ様が始まりましたか・・・」
「何か言いましたよね!? 聞こえよがしに!」
奈美は口に当てていた手を外し、眉間に皺を寄せて先生の顔を覗きこむ。
先生は奈美の視線を避けるように首を振って目をそらす。
「・・・おーい。エレベーター閉めるよ。」
「あ! ごめんなさい!」
命に声をかけられ、奈美は慌ててドアから離れて中に入る。すでに壁にもたれて待っていた芽留
が小さく溜め息をついた。
『みっともねー女だな コドモか』
「うう・・・」
奈美は気まずそうにうつむいてしまう。
エレベーターのドアが閉まり、下の階に向けて動き出した。今は自分達しか乗っていないが、ホ
ールにいた他の客達には丸聞こえだっただろう。
「普通に変な人ですね。」
「だから普通って言うなあ!」
先生は涼しげな顔をしたまま奈美に背を向けている。奈美はぶすっと口を尖らせた表情でその背
中を見ていた。
エレベーターのくぐもった作動音の中、四人は揃って無言で階数表示を眺めている。命は背を奥
の壁に預けて、困ったような顔で微笑みながら目の前で前後に並んだ二人をしばらく見ていた。
「・・・ああ、そうだ望。私はちょっと行く所があるから。生徒さんを送って電車で帰ってくれ
るかな?」
「はあ? まあ、方向は一緒ですし構いませんが。」
命の言葉に、首だけを捻って先生は返事をした。
『しょーがねーな 送ってやるぜ 坊っちゃん』
「いや、それ逆でしょう!?」
奈美はクスリと笑うと命の方へと向き直る。
「お兄さん忙しいんですね・・・ ちょっと、みんなでお茶でも、って思ったけど。ほら、丁度そんな時間だし。」
「・・・誰にたかるつもりだったんですか?」
『そら 決まってるだろが』
奈美と芽留は揃って先生の方へと顔を向ける。
それを見て命は苦笑を浮かべて頬を掻いてみせた。

530:変わらないもの、変わってゆくもの
07/12/02 02:06:18 mRiOS/p2
「・・・まあ、たまにはいいかもね。」
「あ、じゃあ行こうよ! スウィーツ!」
「兄さん・・・言っている事が違いませんか?」
振り向いた先生に命は軽く肩をすくめて見せる。
ポン
電子音が鳴り響きエレベーターのドアが開いた。
乗り待ちのお客は居ない。先生はホールへと足を踏み出し芽留もそれに続いた。
奈美は――足を踏み出そうとした所を左肩に命の手が置かれた事に気がつき、思わず動きを止
めてしまった。
「・・・・・・え?」
戸惑っている奈美の右手に背中から命の右手が添えられた。命はその手を持ち上げ、エレベータ
ーの「閉」ボタンの前まで誘導するように動かした。
「・・・お兄さん?」
奈美の呼びかけに返事は無く、代わりに頭の上あたりからやや低めのトーンで命の声が囁かれる。
「追いかけてきて――欲しい? ・・・欲しくない?」
柔らかく耳に届いた命の声が、瞬時にして両耳から全身へと流れるように広がりゆき、奈美の動
きを凍りつかせた。
急速に狭まった視界の中、少しずつ離れてゆく先生の背中と、やや遅れて続く芽留の姿が映っている。
二人とも背後の様子には何も気がついていないまま徐々に距離が広がって行く。
――トクン
自分の心臓が大きく波打つのが聞こえたようだった。
「・・・・・・先生。」
奈美の口からぽつりとその言葉がこぼれた。
聞こえるような大きさの声ではないだろうが、何かを感じたのか、それとも二人が後ろに居ない
事に気がついたのか、先生は軽く振り返る。
奈美と先生の視線が絡んだ。不思議そうな表情が浮かび、その口がわずかに開いて何事か声を発
した様子がわかる。
何と言ったのかは奈美には聞こえなかった。
気がつくと、奈美は右手の人差し指を立て、その指は「閉」ボタンの上に触れていた。
響く電子音。そして扉は固く閉じられる。
「・・・あ・・・あれ!? えっええ!?」
すかさず命に押されたB2のボタンが点灯し、エレベーターは降下を始めた。
奈美は呆然と行き先のランプと、閉まった扉を交互に見つめる。その肩を命の手が軽く叩いた。
「じゃ、行こうか。」
「・・・・・・い・・・行くって?」
振り返って尋ねる奈美に、命は澄ました顔で小首をかしげてみせる。
「ん? ――お茶だよ。」


   □ □ □ □


(――先生)
ふと呼ばれたような気がして振り向いた。
後ろを歩いているはずの奈美と命の姿は無く、思わず先生は足を止めて二人を視界の中から探そ
うとする。
すぐに探している相手は見つかった。
エレベーターの中。なぜか降りずに残っている二人の姿。こちらを見つめる奈美の視線を正面か
ら受け止める姿になった。
「兄さん・・・何を・・・?」
視線の先、奈美の顔とその後ろに並ぶ命の姿。命はこちらに笑いかけ、軽く数回手の平を振って
見せる。気のせいでなければ、命に導かれるようにドアを閉めた奈美は訴えかけるような目で見
ているようだった。
階数を表示するランプが、階を下って行く。
『なんだ あいつらはどこいった?』
目の前に差し出されたディスプレイの文字に、先生はようやく我にかえる。

「あ――、ええと、まあ。私にもよく分かっていないので、説明するとなると・・・・・・」
『分かるように言え ハゲ』


531:変わらないもの、変わってゆくもの
07/12/02 02:07:40 mRiOS/p2

「・・・まあ、連れ去られたように見えましたねぇ・・・。兄さんに。」
芽留の携帯を打つ手が一瞬止まる。
『誰がだ!?』
先生は悩むように腕を組み、首を捻ってみせた。
「・・・日塔さんが・・・ですかね・・・?」
その言葉に硬直する芽留。――先生は難しい顔をして唸っている。

無言になった二人をよそに、階数の表示はB2で止まった。


   □ □ □ □


「さて――少し走ろうか。」
「あー、ちょっとまっ・・・!?」
何か言いたげな奈美の手をひいて、命は小走りで自分の車まで誘導する。
走りながら取り出した鍵でロックを外し、助手席のドアを開けた。
「はい、どうぞ乗って。・・・頭、打たないようにね。」
「えーと・・・その・・・・・・」
背中を ぽん と押され、奈美は戸惑いながらも助手席に乗り込んだ。
そのまま運転席へと回り込む命を何となく見ていると、
ガツッ
「あ痛ッ!?」
座りなおそうとして、バックミラーの角に頭をぶつけてしまう。
「奈美さん? 大丈夫かい?」
「あ、うん。ちょっとぶつけただけだし・・・」
ぶつけた場所を手のひらで ぽんぽん と軽く叩いてみせる奈美を見て、命は口元に笑みを浮か
べた。
エンジンがかけられ、二人の乗った車は停車位置を離れて通路に滑り出す。
シートの横から後部座席の方を覗き込むと、ちょうど正面に位置するエレベーターが離れてゆく
様子が見えた。そして、奈美の目はボックスが降下してくる事を教える表示ランプを捉える。
表示はこの階で止まりドアが開く。
開いたドアをくぐって降りてくる先生と芽留の姿が見えた。
「ね! お兄さん?! 先生たち来たよー!?」
離れて行く二人の姿を捉えて離さないまま、奈美は運転席に声をかける。
命はチラリと奈美に視線を送り、
「――あっと、忘れる所だったね。」
その言葉に、奈美はホッとしたように笑みを浮かべて振り返った。
「あーもうー びっくりしたじゃないで――」
「シートベルトしなきゃ。・・・ね? 奈美さん。」
命にベルト口を示され、奈美は慌ててベルトを引っ張り出し――

「違うー! まってまって・・・・・・」
「ちょっと高速使うからねー。ベルトは? つけたかい?」
「ええ? どこまで・・・ って、あの、ちょっとぉ!?」
混乱し、後部と運転席とに忙しく視線を変えながら、奈美はもたもたとシートベルトをつけている。
命は口元に微笑をうかべるとハンドルを切る。
――地上へ続くスローブを上がりきった車は車道へと入って行った。


   □ □ □ □


「あっと・・・! いけない。圏外ですねここ。」
先生は自分の携帯を取り出し、命のアドレスを開いた所で渋い顔をしてみせた。
『どっちみち運転中だろ?』
「ああ・・・たしかに・・・」
先生は大きく溜め息をつき、再びエレベーターに乗り込む。

532:変わらないもの、変わってゆくもの
07/12/02 02:08:56 mRiOS/p2
芽留もそれに続いた。取り敢えずドアを閉め1Fのボタンを押す。・・・低い作動音が響き、エ
レベーターが動き出した。
先生の目の前に、そっと携帯のモニターが差し出される。
『ひょっとして 放っといても いいんじゃねーか?』
先生の表情が曇る。
「・・・そう言うわけにはいきませんよ。」
『オマエのアニキ そんなにアブナイ奴なのか?』
芽留の問いに先生は苦笑を浮かべて首を横に振った。
「いえ、そんな事はありませんが・・・ しかし、前から日塔さんに興味がありそうな感じでし
たから・・・ちょっと。」
芽留の瞳が少し不機嫌そうに細められた。先生には顔が見えないように足元に視線を落としたま
ま携帯を打つ。
『それが 何かマズイのかよ』
「いえ・・・・・・日塔さんはまだ未成年ですし・・・」
苦い顔をして首を振って見せる先生に、芽留はうつむいたまま大きく息を吸い込んだ。

『立場ばかり 気にしてんじゃねーよ タコ!』
『アニキを信用してねーのか? ついでに普通も?』
『どうせ 取り越し苦労で 終わるんだろーよ!』

ポン と電子音が響き、ドアが開いた。
芽留の勢いに少々呆気にとられた様子の先生と二人並んでホールへと進む。
『・・・まあ 心配なんだろーから あいつにメールしとくぜ』
小首をかしげて自分を見上げた芽留に、先生は半ば諦めたように短く笑ってみせた。
「では・・・お願いしますからね。音無さん。」
その言葉に芽留の肩からフッと力が抜け、照れ隠しのように顔をそむけてしまった。
先生に背を向けたまま何事か考えているようだったが、やがて携帯のボタンを打ち始める。
メールの着信音がして、先生は自分の携帯を開いて見た。

『じゃ ちょっと ヅラ貸せよ』
「・・・! 私はヅラではありませんから!!」

思わず肩を怒らせて叫ぶ先生。周囲を行き交う人達が何事かと注目する中、芽留は他人の振りを
装いながらメールを打ち続けニヤリと笑う。

『間違えた  ツラ 貸せよ』

先生がメールを読んでいるうちに、芽留はてくてくと玄関口の方へと歩いていってしまう。
「・・・まあ、ワザとなのは分かり切っていますけどねぇ。」
先生は周囲の視線に気まずそうに咳払いを一つ落とすと、ちょっと大げさな動作で髪を一度掻き
あげてから芽留の後を足早に追って行った。


   □ □ □ □


眼下に見える桟橋の先には釣り人が一人糸を垂れている。
紅く染まった遠くの空を渡ってゆくのはウミネコだろう。猫の声にも似たその泣き声は緩やかな
風に乗って奈美の耳まで運ばれてくる。
水平線に触れかけた太陽の光は優しく波間を照らし、見渡す海は一面が金色に染まりゆっくりと
揺らいでいるようだった。

「寒くないかな?」
レストハウスの方からかけられた声に振り向き、奈美は笑顔で頷いてみせる。
「うん! 意外と寒くないです。かえって気持ちいいくらい。」
「今日は風もあまり無いからね。・・・はい。」
命は湯気を立てているサーモマグを奈美に手渡し、テラスの手すりにもたれている奈美の隣に並
んだ。
自分が手にしているマグに軽く息を吹きかけると、沸きあがった白い空気が風下へと流れ、奈美
の目の前をかすめる。

533:変わらないもの、変わってゆくもの
07/12/02 02:10:37 mRiOS/p2
「いただきまーす。あー、ココアの匂い・・・美味しそう。」
「熱いから気をつけて。」
奈美は命のように一息吹きかけて、甘い香りの漂うマグを口に運んだ。
一口含み、美味しそうに顔を綻ばせると、―ほうっ、と白い息を吐き出した。

微かに聞こえるウミネコの声に耳を傾けながら、二人はしばらく言葉を交わす事もなく熱い飲み
物を楽しんでいるようだった。

「あの・・・ お兄さん?」
「ん?」
「なんで連れ出したんですか? その・・・ちょっとひとさらい・・・ってゆうか・・・・・・
拉致? みたいに。」
命は口元にマグを運んだまま、少し目を細めて笑ったようだった。
「たまには・・・ こんなのも良いかな、と思ってね。」
「・・・まあ、先生達もあまり心配していないみたいですし・・・・・・いいですけど・・・」
奈美は携帯を取り出し、先ほど芽留から届いたメールを呼び出した。

『じゃあ オレは ハゲに二人分たかる』

少し苦笑を浮かべて、携帯をしまう。
「・・・それで、奈美さん。」
「はい?」
「その後 ――どう? 望とは進展したかな?」
ぶはっ と盛大に奈美はむせ返る。
「なんですかぁいきなり!? ・・・ええ!? でも、ど、ど、ど・・・・・・」
命は語尾をどもり続ける奈美に少し首をかしげて考えたようだった。
「ああ・・・ 『どうして知ってるの』って事?」
「あ・・・う・・・!」
口を開けたまま言葉が出ずに顔を真っ赤にしている奈美に命は微笑んでみせる。
「ああゴメン。・・・以前話した時に、そうじゃないかな? って思っただけ。」
「カマかけですかぁ!?」
「うん、まあ。」
ちょっと人の悪そうな笑みを浮かべた命に、奈美は手すりに突っ伏して両腕で顔を覆い隠す。
「・・・お兄さん、意地悪い。」
奈美は腕の中に顔をうずめたまま、くぐもった声でぼそりとつぶやいた。
命は何も答えずに、微笑んだままカップの中身を一口含んだ。
「あの・・・・・・どうせ恥掻きついでに聞いていいかなぁ・・・?」
「ん?」
奈美は少し頭を上げ、腕の上に顔を半分見せた。
「先生って・・・ その、いわゆる、彼女・・・とか、居るのかな?」
顔は命に向けたまま、しかし視線は合わせずに奈美は問い掛けた。
命はその言葉に少し眉を上げて驚いたような表情をみせる。一瞬考えて口を開き、
「――いるよ。・・・・・・って言ったら、どうする? 諦めてしまうのかい?」
奈美の目が驚きで見開かれ、顔を上げて呆然とした表情で命を見つめ・・・一拍置いて顔を伏せ
てしまい、力無く手すりの上に顎を乗せて水平線を見つめている。

「・・・わからない。そんなの。」
やや投げやりな声で奈美はポツリとつぶやいた。
「そうだね・・・わからないよね・・・」
ココアを口に運び、コクリと一口飲み干す。
奈美の口から、白い溜め息が漏れた。
「さっきのエレベーター・・・ お兄さんも意地悪だったけど、私も悪い事考えていましたよ。」
苦笑交じりの奈美の表情に、命は一つ肩をすくめてみせる。
「追いかけてきて欲しいなぁ――って・・・・・・  血相変えてさ・・・」
その自分の言葉を自嘲するような笑みを浮かべ、奈美は片手で頬杖をつく。
「・・・普通にいやらしい奴ですよね私・・・・・・ あ! 自分で普通って言ってるし!?」
口を丸く開けたまま眉間に皺を寄せる奈美に、今度は命が苦笑を浮かべる。
「やっぱり、『普通』って言われると嫌なんだ?」
奈美は少し考えているようだった。



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