【ひぐらし】07th総合part13【うみねこ】at EROPARO
【ひぐらし】07th総合part13【うみねこ】 - 暇つぶし2ch594:名無しさん@ピンキー
07/11/20 05:16:55 BzpnFgNF
k1はいいキャラ持ってるよなあ
誰とでも組めるし

595:名無しさん@ピンキー
07/11/20 06:40:49 nZmdDHkh
>>594
同意。その気になれば大抵のキャラと組める
好感が持てるタイプの主人公だし
たまに両親が仕事で家に帰らない日があるというのもポイントw

596:名無しさん@ピンキー
07/11/20 07:10:08 UzG2Er1c
                 |
            \  __  /
            _ (m) _ ピコーン
               |ミ|
             /  `´  \
  !     l  `!-ト、,|__,X .:.| ヽ _, -l'゙/!:.: , .:.:.  | `、 |
  ヽ  ',   ト、 Xィ'ヘ f_ハ ヽ ! ィク::/ハヽ/:. /.:.:.:.  !  ヾ      
   l  ヽ   V,イ|::::ヾ::!  `   i::::::::l ハ/.:.:.:イ:. /     
    }  ..:\ ヽヾ;ヒoノ      弋;=○ブ.:.:./ |:.. / 
    l .:.:.:.:.`ー ゝ ̄     _'_   ̄/;ィ'. ヘ //
    / .:.:.:.:.:.:.;\      i l    ´ノ:.:.   ヽ    
   l  .:.:.:.:.:.:/!.:/::`>- ,__`´,. ィ< ヘ;.:.:.:.:  ヽ      
   |  .:.:.:.:.:///:::::::::ヽ     /:::::::ヽハ;.:.:.:.:..  i

597:名無しさん@ピンキー
07/11/20 12:17:30 oTmhmnxA
閃いたw圭一気をつけてw

598:名無しさん@ピンキー
07/11/20 15:29:22 pxiL5P5n
>>595
出題編の恐るべきDQNぷりから、

解答編での記憶の覚醒に罪の自覚、反省…そして身体を張った仲間への呼びかけ
皆殺しの椅子直撃でもびくともしない所なんか鳥肌立って痺れたぜ

まさに成長の軌跡って感じもあるしな

599:名無しさん@ピンキー
07/11/20 20:21:54 BkDumMy0
そろそろ梨花×沙都が来ても罰は当たらないはずだ

600:名無しさん@ピンキー
07/11/20 20:43:17 IiNwB7xT
                ファサァ
         ∧_∧
         ( ´∀`)       ))
         /つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
        ノ   )        \ ))
       (__丿\ヽ ::    ノ:::: )
           丿        ,:'  ))
        (( (___,,.;:--''"´``'‐'

            ∧_∧
            ( ´∀` )おいで、梨花ちゃん♪
      パンパン /  _ノ⌒⌒⌒`~、_
       ε( ̄⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
       ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃

601:名無しさん@ピンキー
07/11/20 21:07:58 5OmaJUFU
鬼畜王はもう来ないのかなー

602:名無しさん@ピンキー
07/11/20 22:56:37 3ETACIEI
詩魅百合希望

603:名無しさん@ピンキー
07/11/20 23:13:22 VvLbqzkY
>>599
全くだ。

…時間があれば自給自足するけどな…orz

604:名無しさん@ピンキー
07/11/21 00:07:21 uICXpOXw
梨花×沙都子もいいが、沙都子×梨花が一番見たい

沙都子が梨花を攻めるSSが読みたい

605:名無しさん@ピンキー
07/11/21 00:08:20 4Ur0iIVP
そういえば梨花が沙都子をってのは多いが逆はほとんどないな

606:名無しさん@ピンキー
07/11/21 00:13:43 z5lYjdv8
沙都子は受けしか思いつかない

607: ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:21:10 UveHNxvG
梨花祭りの流れを斬ってしまってすいません。

前スレで圭×羽を書くと予告していたものです。

ようやく完成しましたので、只今から投下します。

有名どころなハードボイルドから主題をお借りして、「さよならは冗長に」との題でお送りします。

長めの作品であること、ご容赦下さい。

608:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:22:47 UveHNxvG
      さよならは冗長に

「あぅあぅあぅ、圭一。こっちには誰もいないのですよ。」
「了解だ羽入。あの電信柱まで突っ切るぞ!」
 冬にしては暖かなある日の夕方。俺と羽入は帰路の途中にあった。
 慎重に周りを見渡して人が居ない事を確認し、物陰から物陰へ一気に突っ切る。まるで秘密基地に潜入したダンボール・マニアのおっさんのようにッ・・・!
「よし、神社まであと少しだな。」
 傍らの羽入に告げたとおり、古手神社の石段はもう百メートルもない。しかし門前の商店には、夕食を買うために集まった主婦の方々が屯している。
 強行突破を図るか?いや、それではこちらの損害が大きくなる。特に俺たちのこの格好では致命的だ!
「この人数での被害を考えると・・・。あぅあぅあぅッ!明日から外を出歩けないのですよっ!」
 頭を抱えて羽入が悶える。それもそのはずだ。今の俺たちは旅を続ける三本指の方々のように、人に姿を見せられぬのだ・・・!
 そりゃそうだろ。羽入の姿はカーキ色の制服に巻きゲートルといった旧日本軍の格好そのものなのだ。
 しかもその頭には、右から「神風」と書かれた鉢巻きに挟まれた懐中電灯が二本、角に寄り添うような感じで天を突くように聳え立っている。
 片手にはレナから借りた大鉈。もう片方には、やけに重そうな小銃が握られている。
 このご時世にこんな格好。さすがは魅音、空気の読めなさは天下一品だぜ・・・。
 ちなみに、かくいう俺は禁酒法時代のようなフロックコートを羽織っている。・・・その下には下着一つ付けてないけどな!!

 発端は今日の部活に遡る。久々にやる推理ゲームだということで、その罰ゲームは推理にちなみ『探偵の格好をして帰宅する』と魅音が宣言したのだった。
 途中で人に遭った場合その探偵の決め台詞を言うというルールが追加されたので、その羞恥心は果てしなく倍増されるというオマケ付きだ。
 結果は魅音の一人勝ち。絶対にイカサマが仕込まれているのだが、「バレなきゃ関係ねぇ!ハイ(以下略」と言うのが俺たちの部活だ。敗者である俺達は、潔く罰ゲームに服すしかない。
「梨花はまだ良いのです。お釜帽におんぼろの和服姿なんて、土曜の夜八時に時々やってますから。」
「しかし、決め台詞が『じっちゃんの名にかけて!』とはな、俺はてっきり『しまったー!』か、意味なく逆立ちするとばかり思っていたけど。」
「あぅあぅ、沙都子は定番の鹿撃ち帽にインバネス・コートなのです。決め台詞も『初歩だよ○○君』なのですから。」
「あいつは二位だったから、一番甘かったのかな。しかし、あいつの場合一・五倍増しで嫌味に聞こえるだろうな。」
「レナのは良く分からないのです。何で子供の礼服に赤い蝶ネクタイとメガネなのですか?何で『真実はたった一つ』が決め台詞なのですか?」
「さあな・・・。鉄人のショタ郎君で少年探偵なんじゃないか・・・?」
「もっと分からないのが詩ぃの格好です。あれは何なのですか?拘束衣に、防声マスクって訳がわからないのですよ~。」
「何でも、まだ邦訳されていない作品に出てくる名探偵らしい。大量殺人鬼にして名探偵って言っていたがなぁ・・・。」
「魅ぃと黒服の人が担いで帰ってましたです。あれじゃ決め台詞がなくても恥ずかしいです・・・。」
 本当に探偵なのか怪しい連中が入っているが、魅音のセレクトだから間違いはないだろう。しかし羽入の格好は・・・。
「あぅあぅ、魅ぃは梨花と私か沙都子でこのネタをやらせたかったようなのです。名探偵と殺人鬼との対決とでもいうのでしょうか。」
「原作にはない夢の対決か。まぁ、十中八九探偵側がやられるだろうな。台詞の迫力も違うし。」
 なぜか分からないが、羽生が『祟りじゃぁ~』と言うと、重みが違う気がする。
「『祟りじゃぁ~』と『じっちゃんの名にかけて』ですか。しかしどちらも探偵本人の台詞ではないと思うのです。あぅあぅ。」




609:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:24:28 UveHNxvG
 

「しかし、そういえば圭一も台詞を言わないといけないのですよ。覚えているですか?」
「ううん・・・。良く分かんねえんだよな。俺、この探偵よく知らないし。」
「レナや詩ぃよりは有名とは思うのですよ。えっと、何だったですか・・・?」
「う~ん。『俺はタバコに火を付けた』か?」
「それは歌舞伎町に居て、いつまでたっても美人助手をモノにしない私立探偵だと思うのです。」
「それじゃ、『抵抗するかっ!』だったっけ。」
「それは新宿署の一匹狼な警部さんだと思うのです。しかも、決め台詞というよりも掛け声のようなものだと思うのです。」
「んじゃ、『君の瞳に乾杯』ってやつか?」
「・・・ボキーはボギーで惜しいのですが、作品が違うと思うのです。」
 う~む。ハードボイルドという方向性は合っていると思うのだが・・・。
「あ、思い出した。『さよならをいうことは、わずかな間死ぬことだ』だったよな。」
 羽入の反応を伺う。外れているならさっきと同じ冷たいツッコミが返ってくるはずだが、それはまだ返ってこない。
 数秒間の沈黙。正解なのだろうかと思い、俺は羽入の顔を覗き込んだ。どこか遠くを見ているか、俺を見ても焦点の合わない瞳は反応を示さない。
 その瞳からすっ、と一筋の涙が零れた。柔らかそうな羽入の頬に、輝く跡が糸を引く。
 「羽入・・・?」
 何か悪いことでも言ってしまったのだろうか?俺は羽入へ静かに声をかけた。
 「あっ、ご、ごめんなさいです。圭一ッ!」
 瞬時に羽入が正気に戻り、頭を下げる。その拍子で角の懐中電灯が、丁度俺の鳩尾に入った。
 「げ、げほっ・・・!」
 「あっ、あぅあぅあぅあぅっ!ごめんなさい、ごめんなさいなのですっ!!」
 「ぐ、ぐえぇ・・・。謝るのはいいから、頭は下げないでくれぇ・・・。」
 下げないでぇ、お願いだから頭を下げないでぇ・・・。って、こりゃ療養中の鷹野さんか。
 何とか羽入を止めると、俺は先ほどの質問を繰り返した。
 「う~ん。惜しいのです。正解は『助かりたければ三つ数えろ』なのです。第一作目の邦題にも使われているのですよ、あぅあぅあぅ。」
 ああ、そうだったっけ・・・。って、何でそこまで知っているんだ、羽入侮りがたし。
 「『祟りじゃあ~』に『助かりたければ三つ数えろ』か、何かシュールな光景だな。」
 大鉈と銃を振り回して暴れる羽入に逃げ出す村人、逃げ込んだ民家で待ち伏せる俺。必死に命乞いするその村人に、俺は銃口を向けて「助かりたければ三つ数えろよ」と冷たく言い放ち、引き金を引く・・・。
 どこのホラー映画なのかと考えてしまう、しかも失敗作の匂いがぷんぷんする。
 「あっ、そうだ。俺が言った台詞は台詞として合ってはいるよな?」
 さっきの反応が気になり、俺は羽入に同じような質問をしてみた。羽入が転校してきて半年近くなるが、あんな反応を見たのは初めてだったからだ。
 「はい、あれは確か第五作目に使われている台詞なのです。題は『長い』・・・。」
 題名を言いかけて、羽入は突如俺の後ろに視線を移した。俺もつられて背後を振り返る。
 見ると、向こうの商店から出てきたおばちゃん二人組みがこちらを見てひそひそ話をしている。
 ああ、口の動きだけで、俺達を不審者扱いしているのが分かる。俺は軽く絶望を覚えながら今後の対応を決めることを強いられた。
 「畜生、見つかっちまったか。羽生、退却ルートはあるのか?」
 「あぅあぅ・・・。このまま引き返すと、買い物帰りの人達が沢山通ってくるのです。」
 「ちっ、それじゃあ強行突破しかないわけか・・・。」
 俺は覚悟を決めた。おたおたしている羽入の手を取り、タイミングを伺う・・・。
 「あぅ。圭一・・・。」
 羽入の顔がほんの少し紅くなったようだが、気にしている暇はない。
 「三つ数えたら行くぜ、一気に突き抜けてゲームを終わりにするんだ。・・・叫びながらな。」
 「あ、あぅあぅあぅっ!それは恥ずかしいのです!」
 「幸い、突破したほうが被害が少ない。覚悟を決めるんだ。いくぜ、一、二の・・・。」
 三。で弾かれたように飛び出した。右の人スタイルの羽入と、露出狂スタイルの俺。目の前のおばさん達は目を白黒させている。
 「あぅあぅあぅあぅ~~っ!祟りなのです~っ!!」
 「オラオラぁ~っ!助かりたければ三つ数えろやぁ~っ!!」
 やけになった二人の声が、夕暮れの雛見沢に響く。俺の悪名がまた広まるのか。そう思うと心が涙を流すのを、止める事が出来なかった・・・。


 

610:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:25:12 UveHNxvG
 

 楽しい。本当に毎日が楽しい。
 梨花達のクラスメートになって運命を乗り越えてから過ごしたこの半年は、一日一日が掛け替えのないもので、尊い。
 観客ではなく俳優として舞台に立つことがこんなに素晴らしいなんて、オヤシロさまという傍観者の立場では永遠に味わえない感情だった。
 だから、失うのが惜しい。そして惜しむ気持ちが本当に強いから、自分がこの演劇に立つ時間があまり残されていないことを痛感させられてしまう。
 本来、私はこの星の生き物ではない。この星から遙か離れた場所で生まれた存在であり、その組成分子も人間のそれとはかなり異なる。
 よくは覚えていないが、私達はこの世界よりも高次元の存在であるため、本来はこの世界の人間に覚知出来ないということらしい。漫画の登場人物が、自分達の世界を読んでいる読者という神様的な存在を理解出来ないのと同じことだ。
 それを覚知させるとなるとこの世界に合うように組成分子を再構築する必要があり、それにより膨大なエネルギーが消費されてしまうのだ。
 人間からすれば遙かに長命な存在である私達にも、それは大きな負担となる。だから私は綿流しで『死んだ』後本来の存在に戻り、千年の間孤独な時間を過ごしてきたのだ。
 「だから、『死ぬ』とか『別れ』なんて言葉は聞きたくないのです。」
 冬空に向かって呟く。深夜も零時を回った家の中では、梨花と沙都子が仲良く寝息を立てている。
 昼間の圭一との出来事を思い出していた。『さよならを言うことはわずかな間死ぬこと』という台詞が、私の心に引っかかっていたのだ。
 死を前にした者は、どうしても死を連想させる言葉や別離に対して敏感になる。
 私の場合、エネルギーが無くなってこの世界での姿を保てなくなることを差すが、それは梨花以外の人間との死別を意味する。
 見えなくなり、話せなくなり、気配だけがわずかに感じられる存在への変化。それは幽霊となることに等しい。
 だから圭一の話を途中で遮ったのだ。『別れ』という台詞を少しでも聞きたくなかったから。
 寝息を立てる梨花を見て思う。もうすぐ私は梨花の背後にしか居なくなる存在になってしまうのだ。その時に、梨花は私を哀れんでくれるのだろうか・・・。
「くすくす、気づいているのね・・・。」
 聞き慣れた声に、私は方向へと振り向いた。
 そこには制服姿の梨花が居た。オレンジジュースの混じっていない、紅の液体で満たされたワイングラスを片手にして、窓枠に座っている。
 だが、そんなはずはなかった。だって梨花は安らかな寝息を立てて眠っている。
 傍らにいるこの梨花を梨花だとすれば、あの、私の目の前にいる梨花は一体・・・?
 「なぁに、その顔?私にとっては久しぶりの再会。涙が出そうなくらい嬉しいのにつまらない反応ね。」
 不敵に笑い、梨花がワイングラスを口に運んだ。唇を縁に滑らせ液体を口に含むその姿は、まるで妖艶な魔女のようである。
 違う、この感触は梨花じゃない。
 この感触は、この気配は、私自身から発する気配そのもの・・・!
 「誰ですか、あなたは!?」
 「誰って、くすくす。もう見忘れたの?私の顔を。」
 「あなたは梨花じゃない。梨花に限りなく近いけど別の、ボクに近い存在・・・。」
 私の指摘に、梨花に似た存在はもう一度笑うと、再びワイングラスに口づけした。
 「ふふ、半分は正解・・・。だけど半分は違うわ。私は梨花よ、正確には『梨花』だった存在。」
 「な・・・!それはどういうことなのですか!?」
 「命の無駄遣いに気づいて、私が罪を背負うことを選んだ世界。その世界で生まれた存在とでも言うのかしら、『梨花』であって『梨花』を越える存在、それが私。」
 賽殺し。梨花が罪を背負いながらも乗り越えたあの世界のことだ。
 残念ながら、あの世界のことについては私も断片的にしか知り得ない。梨花から聞いた話以外に、あの世界の事は分からないのだ。
 そんな私の動揺に気づいたのか、『梨花』は窓枠から降り、まるでお芝居をする役者のようにスカートの裾を持ち上げた。
 「初めまして、そしてお久しぶりね羽入。私はフレデリカ・ベルンカステル。百年の魔女として梨花から生まれ、そして梨花そのものだった者よ・・・。」


 

611:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:25:56 UveHNxvG
 

 「フ、フレデリカ・・・?」
 ベルンカステルという名前には聞き覚えがある、確か梨花が隠れて飲んでいるお酒の銘柄だ。しかし梨花の名前をほんの少し変えるだけで、こうも西洋風の名前に聞こえるとは思わなかった。
 「なぁに、その目にBB弾を打ち込まれたような顔は?『あぅあぅあぅっ!赤坂からの頼りがないから、梨花がおかしくなってしまったのです!!』とでも言いたいの?」
 「そんなつもりはないのです、でも・・・。」
 俄には信じられなかった。私の知らない世界で梨花が人間という存在から昇華し、私と同じく世界を外側から見ることの出来る存在になっていたとは・・・。
 しかし、オヤシロさまの生まれ変わりとして私の血を色濃く受け継ぎ、子孫の中で唯一私の存在を覚知することの出来た梨花であれば、私に近い存在になっても不思議ではないのかもしれない。
 「まぁ、信じられないのは分かるけどね。私もこうやって、あなたに会うことは二度と無いと思っていたから。」
 梨花、いやベルンカステルが皮肉な笑みを浮かべた。繰り返される時の中で、時折見せていた自嘲気味な笑み。
 それは彼女がもはや私の知っている梨花ではなくなってしまったことに対する悲しみなのか、それとも私に対する哀れみなのかは分からない。
 「ねぇ、あなたは残された時間をどう過ごすつもりなの?」
 ぽつりと、呟く様にベルンカステルは私に問いかけた。
 「あなたが気づいているように、残された時間は少ない。その時間をどう過ごしたいと思っているの?」
 「わ、私は・・・。」
 考えていなかったというのが本音だ。いや、正確には考えたくなかったというべきか。
 梨花がそうだったように刻々と迫りくる自身の最期というものは、考えるだけで気が狂いそうになるものだ。
 正直、梨花は蘇る度にこの恐怖を味わっていたと思うと、ぞっとする。
 「なあに、震えているの・・・?くすくす、羽入の怖がり・・・。」
 思わず両手を組んでいた私をあざ笑うかのように、ベルンカステルは私に近づき、その顔を近づけた。私は息を呑んで、思わず仰け反る・・・。
 「ふふふ、まあ、早すぎるのだけどね。」
 私の頬を両手で包み込んだ梨花が、窓際のワイングラスを目で指す。
 ワイングラスの中には、月光を浴びて透き通った液体が静かに佇んでいる。水面に写った月も寒いのか、静かに震えていた。
 「この場合はなんと言うのかしら、あのお話ではカクテルだったけれども、あれは純粋なワイン。そうねぇ、産地を冠して『ベルンカステルには早すぎる』とでも言おうかしら。」
 どこかで聞いたことのあるような台詞を口にして、梨花は私から手を離すと、くるりと背を向けた。
 「どういう、意味ですか・・・?」
 「ふふっ!あなたも小説くらいは、ジャンルの有名どころくらいは読んでおいた方が良いわよ。」
 背中越しに向けられる小悪魔的な笑み。まるで彼女の手の平に乗せられてしまったかのような気分だ。
 「杯を空にすると言うことは、それまでの終わりとこれからの始まりの意味。そして、あなたの杯にあるものは、もう残り少ないわ。」
 分かりきった事をちくちくと・・・。私は口を噤むと、ベルンカステルから顔を背けた。
 「どうすれば良いのかは、あなたが一番分かっているわよね・・・。」
 「・・・言われるまでも、ないのです。」
 「じゃあ、時間は有効に使わないといけないわね。ねぇ、あなたの残された時間の過ごし方、つまりあなたの願いは何?」
 「私の、願い・・・。」
 問われてみて、改めて考える。これまでの私の願いは、梨花と共に昭和58年の6月を乗り越えることだった。
 その願いが叶った今、私の望みは他にあるのだろうか。
 ・・・正直に言えば、ある。私に残ったただ一つの望み、いや、未練。
 だが、その未練を叶えるということは、私という飛び入り参加の素人が、演劇の主役を張ってしまうことを意味してしまう。
 口にすることがどうしても躊躇われてしまう願い。梨花を、部活のみんなを差し置いた分不相応な願い。
 そんな私の内心を見抜いたように、ベルンカステルは再び不敵に笑い、私の言葉を待った。
 ああ、やはりこの魔女は梨花なのだ。私のをからかうことに悦びを覚える意地悪な、梨花なのだ・・・。


 

612:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:26:30 UveHNxvG


 「どうしたんだよ、羽入。こんなところに呼び出して・・・。」
 散々な目に遭って帰宅した翌日の放課後、部活を終えて帰ろうとした俺は下駄箱で羽入に呼び止められた。体育用具室の辺りまで連れてこられ、そこでくるりと向き直られる。
 気のせいか、羽入の顔色は優れないようだった。
 「ごめんなさい、圭一。こちらに来てもらう用があったのです。」
 梨花ちゃんのように手を後ろ手に組んで、俺の目を覗き込む。
 「よ、用って・・・?」
 急に顔を近づけられて、俺は思わず仰け反った。沙都子や梨花ちゃんと同じ年頃のはずだが、羽入には二人にはない色気というか、大人びた魅力がある。
 まあ、わかりやすく言えば体が大人っぽいというか、胸元が二人よりも出ているというか・・・。
 「実は圭一だけにお話ししたいことがあるのです。」
 そんな俺の内心を知って知らずか、羽入は目を伏せて衝撃的な内容を告げた。
 「僕は、もうすぐ転校することになるのです・・・。」
 「えっ・・・!?」
 確か羽入が転校してきたのは半年前じゃないか。それがまた転校だって!?
 「う、嘘だろ。だって・・・。」
 「残念ですけど、もう、決まっていることなのですよ。都合が出来て、今度はとても遠いところへ行くことになったのです。」
 羽入は「遠く」という言葉に微妙なアクセントを付けた。それは俺達ともう二度と会うことの出来ないという、永遠の別れを告げるかのようだった。
 「そんな、そんな。嘘だろッ!」
 今居る羽入がそのまま消え失せてしまう気がして、俺は羽入の両腕を掴んでいた。
 仲間が急にいなくなる。それは死刑宣告を受けたようで、急には受け入れがたい事だった。
 「ごめんなさい、圭一。子供の居ない親戚のおじ様が、僕を養子にしたいといってくれたのですよ。話が急に進んだので、みんなに伝える暇が無かったのです。」
 「でも、だからって転校なんて・・・。その来年の春とかには出来ないのか?」
 「向こうにも都合があるのですよ。もらわれていく立場の僕が文句を言う訳にはいかないのです。あぅ・・・。」
 「で、でもっ!羽入は今までも梨花ちゃんと暮らしてきているじゃないか。それなら-」
 「圭一。」
 何とか羽入から翻意を引き出そうと、俺は言葉をかけ続けていた。しかし羽入は俺の唇に指を当て、先程言った台詞をもう一度強く告げた。
 「もう、決まっていることなのです。」
 その台詞にはとても強い悲しみが込められていて、俺はそれ以上転校について話すことが出来なかった。
 無念と、未練が同居した断末魔のような言葉。指を通じて羽入の悲しみが俺に伝わってくるような気がする。
 「だから、圭一。」
 俺の反応に満足したのか、羽入は俺の唇から指を離した。
 「最後に、本当に最期に圭一にお礼がしたいのです。僕と梨花を誰よりも親身になって助けてくれた圭一に。」
 「羽入・・・。」
 潤んでいる羽入の瞳を、俺は見つめることしか出来なかった。
 そんな俺の耳元に、羽入が顔を寄せてぽつりと呟く。内容に一瞬固まった時、羽入の体が俺の手を離れて校舎の方へと戻っていった。
 『今夜、古手神社で待っているのです・・・。』


 















 




613:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:27:29 UveHNxvG
お袋に外出を告げ、古手神社の石段の脇に自転車を停めたのは夜の八時ごろだった。
 冬の寒空の前では、ダウンジャケットもあまり用を成さない。そんな寒空の中、鳥居の前にコート姿の人影が俺を待っていた。
 「羽入!」
 白い息を吐き出しながら駆け寄ると、羽入はほっとしたような顔で俺に向かって歩んできた。俺のように白い息は漏れていない、この寒さの中で随分待っていた証だ。
 「ご、ごめん。随分待っただろ!」
 「あぅあぅ。ほんの少しだから心配いらないのですよ。」
 羽入はいつもの困ったような笑みを見せ、早く家に入ろうと、俺の腕を引っ張った。
 こんな寒空の下には一刻も痛くなかったので、羽入のされるがままにする。物置小屋までの道のりを、俺達は他愛のない話をしながら歩いた。
 「ふ~っ、あったけぇ。生き返るぜ・・・。」
 部屋に入ると、学校で使われるような石油ストーブが煌々と輝いており、先程までの寒さが嘘だったかのように感じる。俺は羽入に勧められるまま部屋に入り、蜜柑笊が乗った炬燵へと向かった。
 「生姜湯なのです。とても暖まるのですよ。」
 「ん、サンキュ。」
 炬燵に入り、羽入が持ってきた生姜湯を飲む。羽入は俺のジャケットを掛けてくると言い、隣の部屋へと向かっていた。
 いつもなら沙都子や梨花ちゃんがいるはずなのだが、どういう訳か姿が見あたらない。
 「あぅあぅ。二人は詩ぃの家にお泊まりなのですよ。」
 「へぇ、そうか・・・って、羽入!?」
 俺の疑問を先読みしたのか、部屋から出てきた羽入が二人の不在の理由を告げた。まぁ、最近二人が詩音の家にお泊りしているという話は良く聞くから分かる。
 しかし、今の羽入の姿は初めて見るものだった。その姿は綿流しの時に梨花ちゃんがしていた格好。つまり巫女さんの服をしている。
 「ここではいつもこの格好なのですよ~。あぅあぅあぅ。」
 羽入は向かいに座り、えへ☆と小さくポーズを決める。
 見ると袖のうち二の腕の部分が無く、むき出しになった二の腕と胸の部分が強調されている作りであった。
 「そ、そうなのか。にしても似合うな、まるで本物の巫女さんみたいだぜ。」
 どうしても、その、豊かな胸に目がいってしまう。同い年であるはずの梨花ちゃんや沙都子はともかく、レナのものにも引けは取らない。
 襟元から除く膨らみはとても柔らかそうで、俺は唾を飲み込んでしまった。
 「そんなに見られては恥ずかしいのです。」 
 俺の邪な視線に気づいたのか、羽入は袂で口元を覆い笑った。同じ笑うことでも普通の洋服とは違い、和服での仕草には色気がある。
 オヤヂ達の浴衣好きに通じるものがあるなと思いつつ、俺は視線をそらして本題を切り出した。
 「・・・やっぱり、転校するのか?」
 「・・・はい、残念ですけど、仕方がない事なのです。」
 寂しそうに笑って、羽入は昼間と同じ答えを返した。
 改めて言われて、胸が詰まる。転校という事実が覆すことのできない現実として、俺の目の前に立ちはだかった感触を覚えた。
 「それで、どうして俺を呼んだんだ・・・?」
 「それはですね、圭一にボクのお願いを聞いてもらおうと思ったからなのです。」
 「お願い?って、うわっ!!」
 突然俺の胸元に、羽入が飛び込んできた。胸板と、羽入のふくよかな胸がぶつかり合って、背中に両手が回される。
 心臓が全速力で走ったかのように脈打ち、息をするのにも苦しい。それでも、思った以上に女の子の胸というものは柔らかくて、俺は羽入を引き剥がせずにいた。
 シャンプーのせいだろうか、軽くウェーブのかかった髪からは良い香りがする。それがとても心地よくて、深く息を吸わずにはいられなかった。
 「圭一。」
 喉元の先で、羽入が俺を見上げる。潤んだ強い意志を持った瞳が、俺を捕らえて離さない。
 「ボクに、思い出をください・・・。」
 女の子が欲しがる男の子の思い出という意味くらい、俺でも知っている。それは軽々しく与えてはいけない、一生ものの思い出。
 しかも、俺達の年ではまだ早い、早すぎると言われるくらいの思い出だ。『断るべきだ』『まだ早い』という心の声が聞こえてくる。
 だけど、俺を見詰める羽入の目があまりにも綺麗だったから、近づいてきた唇を拒むことは出来なかった・・・。


 

614:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:28:29 UveHNxvG


 唇が離れるまでには長い時間を要した。
 奪うという言葉が相応しい私からの口付けを、圭一は最初震えるようにして受け止めていたが、しばらくすると自分から求めるようになっていた。
 私がするように、角度を、強さを変えて相手を求める。ぎこちないことこの上ないのだろうけど、快感を求めて慣れない動きに戸惑う圭一の姿に愛しさを感じてしまう。
 
 圭一と結ばれる。
 
 それが私に残された最後の望みだった。
 百年の間、見詰め続けてきた男の子。まるで息子のようでもあり、友人のようでもあり、・・・時にはエロオヤジのようにもなるが、魅力的な男の子だった。
 だから、圭一が発症した時には、誰よりも早く謝りに行った。彼が凶行に走ってしまった時には、その側で悲しんだ。
 ずっと近くにいても、話す事も、触れる事も出来なかった、まるで物語の中の主人公のような存在。
 それが、私もこの世界に受肉することによって、これまで肌で感じることが出来なかった圭一と接することになった。楽しく、愛しい日々の中で、私は既に忘れかけていた感情を取り戻していったのである。
 超越した存在から蘇った一人の女性としての感情。愛しい人に抱かれるという女性としての宿業を・・・。
 「あ・・・。」
 名残惜しそうに、圭一が呟く。唇と唇の間に銀の糸が生まれ、ほどなく消えた。
 舌で唇を舐め取り、流し目で圭一を見る。男の心を溶ろけさせる女としての仕草。
 求めようとする男を焦らし、受け流してその扇情を更に強いものとさせる雌の本能が、私の動きをまるで娼婦のように艶めかしいものにしている。
 「ふふ・・・。」
 唇を細めて笑うと、私は両手で圭一の鬢を掻き分け、そのまま耳を包んだ。聴覚を塞いで触覚を鋭敏にさせ、私の感触を刻み込むために口づけをする。
 柔肉同士の触れ合いでは飽き足らず、圭一の歯に舌を這わせて口腔を犯す。それはまるでもう一本の指が温もりを求めて肉体に入り込むよう。
 しばらく動かしていると圭一のそれも絡みつき、お互いを味わうために動きが激しくなる。いつの間にか私は畳の上に仰向けになっていた。
 「・・・っ、羽入ぅ。」
 圭一の唇が私の顔中に降り注ぎ、それと同時に手が私の胸を、腰を、太腿を這う。加減が分からないのか、その愛撫には時折痛みが伴った。
 しかし、しかし遙かな時を孤独という牢獄の中に過ごした私にとっては、痛みすら自分がここに居る証明のように思える。
 「あ、ごめん。痛かったか・・・?」
 だが、表情を押さえることは出来なかったようだ。圭一の愛撫が止み、私の顔を心配そうな顔で覗き込んでいる。
 「大丈夫なのですよ。・・・圭一は優しいのですね。」
 「でも、俺、女の子にこうするの初めてだから、加減分からなくて・・・。」
 「ふふ、最初は誰でもそうなのですよ。ボクだって緊張しているのですから・・・。」
 嘘ではなかった。経験があるというもののそれははるか昔のこと、あの頃の記憶を必死に辿り、圭一を導こうとしているのだから、私にも若干の緊張はあった。
 「だから圭一。圭一はボクに何をしても良いのですよ・・・。」
 その緊張を断ち切るため、私は精一杯の強がりで圭一に全てを委ねる言葉を告げた。





615:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:29:12 UveHNxvG


 私に何をしてもよい。
 男ならば誰もが夢見る台詞。どこかの怪盗ならば三秒で服を脱ぎ捨ててダイブするような魔法の言葉だ。
 俺は今、その言葉を眼下に組み敷いている女の子から告げられている。年下だが気心も知れ、充分魅力的な体型をした美少女からのお誘いだ。
 だが、急激な展開の早さに戸惑っている自分がいるのも事実だった。
 普通、俺達くらいの男女の付き合いというものは、告白して、デートして、それで段々と親密になっていってからキスに辿り着くようなものじゃないのだろうか。
 いま羽入が告げたのは、交際の最終段階へのGOサイン。つまり、セックスをしようということだ。
 俺も年頃の男だから、部活メンバーを夜のオカズにして愉しむということもしていた。正直俺は、部活メンバーなら誰とでも付き合うことができると思う。
 しかし、こんなに急に、予想も付かない形で羽入が俺を求めて来るなんて思いもしなかった。
 いや、今でも信じられない。羽入の目はどこか思い詰めたようでいて、正気なのだろうかと疑いすらしてしまう。
 本当に俺のことが好きで、だから俺とセックスしたいと言うのならこんなに嬉しいことはない。だけど、こんな、最後の思い出だからという形でして良いのだろうか?
 『据え膳食わぬは男の恥』だという言葉が何度も、何度も頭をよぎる。それをかろうじて残った俺の理性が押さえていた。
 肉体は今にも羽入を犯そうと自己主張をしている。息も獣のように荒々しく乱れている。
 でも、こんな気持ちがあやふやなままで結ばれて良いのかよッ・・・!
 俺にとっては本当に美味しい話。夢見ていた女の子とのセックスができ、しかも彼女は転校していなくなるから後腐れも何もない、夢のようなシチュエーションだ。
 だけど!女の子を抱くと言うことを欲望だけでしちゃ駄目なんだ!俺が初体験の相手を忘れられなくなるように、羽入だって相手の事を一生忘れられなくなるに決まっている。
 そんな一生ごとを、もうじきいなくなる俺なんかがすれば、将来本当に好きな人が出来た羽入が全てを捧げようとした時に、後悔するかもしれないんだ・・・。
 
 「・・・本当に、どこまでも優しい人。」
 いつの間にか俺の左頬に羽入の手が優しく添えられていた。俺がここに居ることを確かめるかのように、撫でる指先が肌を擽る。
 「こんな時にでも僕を心配してくれるのですね。そんな圭一だから、僕は圭一が好きなのですよ。」
 俺の逡巡を察しているのか、羽入の言葉にはそんな俺でも包み込んでくれる不思議な響きがあった。羽入の年は俺よりも少し下のはずだ。しかし、目の前の彼女はまるで母親、いやそれ以上に強い包容力を持つ存在のように思える。
 「ずっと見ていたのですよ、圭一を。仲間の危機に立ち上がる圭一、運命を変えようと懸命にあがく圭一。そして恐怖を前に醜く怯える圭一の姿も。」
 列挙された自分の挙動だが、俺自身にはその記憶が無かった。しかし、何故か涙が一筋頬に流れる。
 言葉に呼応するかのように俺の魂が癒されてゆく、今自分に起こっている感情を例えるとするならば、そう表現するしかない。
 「みんなには敵わないかもしれないけれど、僕だって圭一を見ていたのです。だから、後悔なんてしないのですよ。」
 「・・・本当に、俺なんかでいいのか?」
 「はい、圭一でないと駄目なのです。圭一はボクじゃ駄目なのですか?」
 「い、いやっ!!俺も、羽入なら・・・。」
 俺の言葉を待っていたかのように、羽入が再び俺にキスをする。欲望を抑えていた最後の鎖が、音を立てて砕けていくのが分かった。


 

616:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:29:58 UveHNxvG


 久しぶりに嗅ぐ欲望の匂いは、やはり栗の花の香りがした。
 
 迷いの消えた圭一の行動は、思春期の少年らしく直接的なものだった。
 襟元から手を入れて直に私の胸を掴み、その感触を愉しむ。直ぐに両手が乳房を覆い、這うように指が動くのを感じた。
 私も襟をはだけて圭一の手を自由にさせる。加減を知らない圭一の愛撫は相変わらず痛みが伴うが、その荒々しさにすら胸が熱くなってしまう。
 愛撫が一段落すると、圭一は乳首を口に含んで転がし始めた。頭を抱えると、夢中になって吸い続ける。
 「んっ、圭一・・・。もう少し、優しく・・・。」
 胸元に目を向けると、圭一の顔。息を吸うために口を離す度に、唾液で濡れた私の乳首が鈍く光る。
 「すげぇ、羽入の胸・・・。柔らかくて、温かくて・・・。」
 思うように私の胸を動かす圭一が、正直な感想を漏らす。やはり桜色の突起が気になるのか、指は常に乳首の側にあった。
 もう片方の手が私の腰の辺りに伸びる。緋袴を脱がせたいのだろうか、結び目が乱暴に掴まれた。
 が、それから圭一の指はせわしなく動いたものの、結び目を解くには至らなかった。
 無理もない、最近では和服を身に着ける人自体が少ないのだ。圭一だって着付けのイロハも知らないだろう。
 「あぅ・・・。ここはこう解くのですよ・・・。」
 指を結び目に絡めて、静かに戒めを解く。腰周りが軽くなり、立てば今にも袴がずれ落ちそうになる。
 「い、いいのか・・・。」
 不安げな圭一の問いに、私は無言で頷いて答える。圭一の手が腰にかかり、袴の端を掴んだ。
 するすると私の袴は腿を、脹脛を、そして足首を通り抜け、畳の上に落ちる。冷えていた素足にかかる圭一の手が、とても温かかった。
 「う、うわっ。」
 袴が取り去られたその部分を見ていた圭一が絶句した。・・・無理もない、文字通り私のその部分は一糸纏わぬ姿だったのだから。
 「見るのは、初めてですか・・・?」
 「あ、当たり前だろ。こ、こんな風になっているなんて・・・。」
 圭一がこっそり持っているビニ本でも、女性の部分は暈されるか黒塗りで隠されているはずだ。初めて見る女性器を、圭一はしばらく凝視していた。
 「僕だけこんな格好じゃ恥ずかしいのです。圭一も、僕に全部見せて欲しいのです。」
 若干の恥ずかしさもあって、私は圭一にも自分と同じ格好になることを要求した。
 戸惑いながら圭一が自分の服を脱いでゆく。セーターとTシャツが取り払われると無駄肉の付いていない胸板が、ジーンズが脱ぎ捨てられると引き締まった太腿が顕になる。
 最後に残ったトランクスは、前がはちきれそうなばかりに突っ張っていた。
 「・・・。」
 顔を真っ赤にして圭一が最後の一枚を脱ぎ捨てる。布でその部分がずり下げられ、離れると同時にぴょん、と跳ねた。
 「あぅあぅ、これが圭一のなのですね。」
 僅かに包皮で覆われたその部分は、天井を向いて雄雄しく反り返っていた。先端の部分が赤く染まり、これから起こるであろう未知の経験に震えているようでもあった。
 私は上体を起こして圭一の股間に顔を近づけ、その部分に手で触れた。
 「つっ!羽入っ!」
 「圭一の、大きくなっているのです。」
 「や、やめ、そんな、汚いッ!!」 
 まるで女の子が言うような台詞で圭一は私に拒絶を伝えるが、腰を引こうとはしない。本当は、この先の快感を待ち望んでいるのだ。
 くすりと笑い、圭一を見上げて私は最も敏感な鈴口の部分を指先で摘んだ。
 その瞬間、圭一の顔色が変わった。
 「つあッ!駄目だ、羽入っ!!」
 瞬間。私の手の平に生温かい液体が迸った。目をその部分に向ければ、白い液体が間断なく噴き出している。
 あ、いったんだ。
 それは私の手で達してくれたという証拠。私が男を満足させられる存在であることの確証。
 射精を終え、圭一は脱力して畳に膝を付く。息を荒げる圭一の顔は無力な子供のようで、可愛らしさすら感じてしまう。
 私は指を汚した欲望の残滓を口に含むと、噎せかえるようなその香りを胸いっぱいに吸い込んだ・・・。


 

617:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:30:56 UveHNxvG


 自分で出した時よりも遙かに強い脱力感に、俺は立つことが出来ず膝を屈した。
 羽入の冷たい指に刺激された瞬間、あまりの気持ちよさに全てを出してしまった。脈打つ俺自身から飛び出た液体が羽入の指を、顔を白く汚す。
 俺は両手を支えに腰を付くと、息を求めて天を仰いだ。自分でするのとは全然違い、相手が居ることで得られる満足感が全身を支配している。
 途端に、強烈な眠気が襲ってきた。射精に伴う脱力のせいで、わずかに意識が遠のく。
 「う、あぁっ!」
 それを引き戻したのは、俺自身に再び与えられた刺激だった。敏感な部分を、指とは違う柔らかい何かで撫でられたのだ。
 視線を戻す。するとそこには俺自身に顔を近づけ、精液でぬめった部分に舌を這わせる羽入が居た。
 「嬉しいのです・・・。圭一は、ボクで気持ち良くなってくれたのですね。」
 俺の視線に気づくと、白濁にまみれた指で竿の部分を扱き、もう片方の手で、袋の部分を包み込む。
 「ぐ・・・。あっ、あぁっ・・・!」
 硬さを失う暇もなく、俺の分身は新たな刺激を求めていきり立った。その反応に満足気な顔をして、羽入が更に動きを強める。
 刺激に弱い部分を的確に押さえ、俺を高みに導いていく・・・。
 「圭一の、また大きくなったのです。」
 言葉と共に、敏感な部分が何かで覆われた。舌が踊り、強く吸われる感触がある。
 「や、やめっ!羽入ッッ!!汚い・・・ッ!!」
 「んんっ・・・。む・・・。圭一のに、汚いとこなんて・・・。ないのですよ・・・。」
 羽入が俺自身を口で含んでいた。舌が、歯が、口腔が、俺自身を包み込んでいく。
 まるで快楽の壺の中に放り込まれて、俺自身が解かされる。そんな妄想に囚われてしまう。
 「うううっ、あ、ああぁ、羽入・・・!」
 俺はおとがいを反らすと、手で羽入の頭を押さえた。更なる刺激を求めるためか、それとも程度を弱めるためなのか自分自身でも分からない。
 それに、羽入は敏感に反応した。分身への刺激が弱くなり、羽入が矯声を上げる。
 見ると、俺の手は羽入の角の部分を押さえていた。無意識の行動だったが、羽入は角に触られることに、悦びを感じているようだ。
 自分にされているように、角を軽く扱く。
 「はぁっ、あああああっ!」
 同時に、羽入が高く悦びの声を上げた。そうか、ここが羽入の性感帯なんだ・・・。
 高まる射精感と同時に、俺は羽入の角への刺激を強めていった。それはまるで自分の分身を扱いて絶頂へ到ろうとする、夜の営みの再現。
 「くっ、羽入っ!いい、いいぞっ!!」
 「あぅ、あぅ、あぅぅ・・・!け、圭一ぃ。ボ、ボクもき、気持ちよくて・・・。」
 「だ、だめだ。イク、イクぞっ!羽入の口で、俺・・・!!」
 「ボクも、ボクも行きたい・・・!圭一、もっと、もっとボクの角を、いじめて!いじめてぇっ!!」
 最後に向けて、一層扱きを早くする。すると、俺の指が羽入の角にある欠けたような部分を抉った。
 「は、あ、あぅぅぅぅっっッッ!!けえ、い、ちぃ・・・。」
 びくりと全身を振るわせて羽入が脱力する。同時に羽入の歯が俺の雁首の部分を刺激した。
 「う、うおおっ!!羽入ッッッ!!」
 羽入の口の中が、俺の欲望で満たされる。一度目よりも激しい迸りが吹き出し、凄まじい快感が俺の脳髄を突き抜ける。
 「あ、あぅっ・・・。圭一の、圭一の・・・んぐ、んっ、んぐっ。」
 絶頂感の中に居る羽入だったが、しっかりと俺の欲望を喉に送る。それでも飲みきれない俺の液体が口から零れ、畳の上に落ちていった。



618:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:32:55 UveHNxvG
 「・・・圭一の、どろどろするのです。」
 口の中に残っていた白濁液を飲み干し、羽入が俺自身から口を離す。まだ、粘り気が残っているのか、しきりに口がもごもごしている。
 「ぜ、全部飲んじまったのか・・・。その、臭くないか?」
 「あぅ。圭一の匂いがたっぷりだったのですよ。ちょっと、むせちゃいました。」
 最後にごくり、と喉を鳴らして、羽入が微笑む。無理をしているのか、目にはうっすらと涙が光っていた。
 「羽入、俺のために・・・。」
 女性に尽くされるということがこんなにも愛しいなんて、初めて知った。俺は羽入を引き上げるようにして胸元に引き寄せると、その唇にキスをした。
 「ん・・・。圭一。」
 どうしようもなく羽入が欲しくて、奪うように唇を求める。それに答えて羽入も強く、強く唇を吸う。
 ぴったりと俺と羽入の体が寄り添い、お互いの体温を直に感じ合う。
 「あ・・・。」
 「圭一、元気すぎるのです。あぅ。」
 だから、心地よい羽入の肌に体が反応する。二回達したというのにまだ足りないのだ。羽入の全てを知りたいと、俺の体が求めているのだ。
 「羽入、俺。」
 お前を抱きたいと告げようとした瞬間に、胸を軽く突かれた。流石に疲れているのか、上体が畳の上に仰向けになる。
 煌々と灯る蛍光灯が瞼に映る。その光を遮るかのように、羽入が馬乗りのようにしてぬっと姿を現した。
 

619:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:34:01 UveHNxvG


煌々と灯る蛍光灯が瞼に映る。その光を遮るかのように、羽入が馬乗りのようにしてぬっと姿を現した。
 「圭一は、じっとしていて欲しいのです。」
 羽入はお尻を俺の腰の上に動かし、十分に硬くなった俺自身を手で包んだ。相変わらず羽入の手は気持ちよくて、触れられただけで達しそうになる。
 わずかに腰を浮かして、羽入は俺自身を自分の真ん中、根元の部分へと導いていった。
 コツ、コツと敏感な部分が柔らかい部分に触れる度、夢見ていた初体験が現実のものになるのだという緊張が走る。
 「怖がらなくても、いいのですよ。」
 こわばった顔をしていたのか、羽入が俺にリラックスするように声をかける。返事をするが上ずった声になり、何を言ったのかも定かではない。
 だって、次の瞬間俺自身は今までとは全く違う感触に包まれていたのだから・・・。
 「んあ、あ、ああっ・・・。」
 ずぶずぶと何かにめり込んでいく様な感覚が、全身を包んだ。羽入の中に身も心も埋めてゆくという表現が相応しい、内面という内面が重なった気分だ。
 何度もねじ込むように、羽入は俺の腰の上で踊った。大きいとはいえない体に、そそり立った男の欲望は辛いのか、時折表情が歪む。
 「く、む、無理するなッ!痛いんだろ・・・?」
 「だ、大丈夫なのです。体を引き裂かれる痛みに比べたら、これくらい・・・。」
 健気にも、羽入は俺の手に指を絡めて体重を更にかけてきた。徐々に俺自身が羽入に飲み込まれ、気がつけばいつの間にか全て埋没していた。
 万力で締め付けられるような刺激が俺自身に走る。敏感な部分だけじゃなくて、全体がその刺激で覆われているのだ。
 「け、圭一。動いてほしいのです。ボクで気持ちよくなって欲しいのです。」
 裸身に長い髪を乱し、羽入が俺を求める。年下の少女であるはずなのに、この成熟した女性のような仕草。たまらない・・・ッ!!
 「羽入ッッ!!」
 俺は思い切り腰を上下に動かした。最初から強く突き上げられ、羽入がもう一度俺の上で、踊る。
 「け、圭一っ!圭一ぃっ!!」
 何度も突き上げていると、逆に上から来る別の動きがあった。羽入も俺を求めているのか、自ら腰を打ち付けてきたのだ。
 「うっ、うあっ、うあぁッ!羽入、す、すげえっ!!」
 「あぅ、あぅっ!ああぅぅッッ!!圭一の、圭一のが大きく、なってぇ・・・。」
 バラバラだった俺たちの腰の動きが、数を重ねるたびに拍子を合わせて一つになってゆく。シンクロするごとに快感が二乗、三乗されていき、邪魔な思考が薄れてゆく。
 いつしか、俺たちはお互いを求めて抱き合う形になっていた。俺は上体を起こし、羽入は首に両手を、腰に両足を回して必死にしがみ付いている。
 「くうっ、羽入、羽入っ、羽入っ!羽入ぅぅッ!!」
 「圭一、圭一っ。圭一ぃぃぃっ!!」
 名前を呼び合い、より深く繋がる為に激しく腰を打ち付けあう。羽入の嬌声はまるで媚薬のように俺の脳髄を刺激し、底なしの欲求を与える。
 「羽入、好きだ。俺、羽入が、好きだ・・・っ!
 「ボクも、ボクも圭一が、好きです。好きなのですッッ!」
 いつまでも続くことを願う恋人達の時間。しかし、終わりというものは確実に訪れてしまう。
 「ふ、ふああぁっ!あぅ、あぁぁうぅぅっ!!」
 絶頂の直前、羽入の角を口に含む。コンプレックスに感じているこの角も、自分を悦ばせるためのスパイスだと知った羽入が敏感に反応した。
 「う、うおおおっ!羽入、俺、もう・・・!」
 「ああっ、圭一、イクのですね。ボクで、イッてくれるのですね・・・!!」
 「ああ、俺、羽入でイク、イクぞっ!!」
 「ボ、ボクももうすぐ、あ、あ、ああああああああっっ!!」
 全身を震えさせて、羽入が頂点に達した。ほぼ同時に俺も最後となる迸りを羽入の中に放つ。
 愛しい女性の中を自らの欲望で満たすということは、最高の幸せ。
 力尽きるまで俺は羽入の体を抱きしめ、離れなければいけないその温もりを、記憶の中に刻み込んでいた。






620:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:34:58 UveHNxvG
 暖かい炬燵の布団に包まれ、私達は並んで寝転んでいた。
 時折視線が合わさると、お互い恥ずかしそうに目を伏せる。
 さっきまで力強く私を抱いていたはずの圭一の腕は思ったよりも細くて、まるで違う人に抱かれていたような錯覚すら覚える。
 しかし体に残る口付けの後と、女性の部分に走る甘い痺れが、先程までの情事が夢ではないことを教えてくれた。
 そう、これは現実。私が望んでいた願いが叶った喜ぶべき現実のはずだった。
 だが、喜びも現実ならば、後に待っている私の消滅も待ち受ける残酷な現実なのだ。
 「羽入・・・?」
 圭一が私の顔を覗き込んで怪訝な顔をする。
 いつの間にか私の瞳は濡れていた。どうして、最期の最期で私の願いは叶ったというのに、どうして私は泣いているのだろうか。
 理由は分かっている。分かっているけれども、改めて考えてしまうとまた辛くなるから考えたくないのだ。
 別れたくないのだ。圭一と、私の愛しい人とさよならをすることが嫌でたまらないのだ。
 なんということだろう。未練を断ち切るために思いを遂げたというのに、抱かれてみてますます圭一への想いが募ってしまったのではないか・・・!!
 「け、圭一ぃ。圭一ぃ。う、うああ、うああああぁぁぁぁ・・・。」
 堰を切ったように、私の瞳から涙が溢れ出した。
 圭一が好きだ。圭一が好きだ。圭一が、大好きだ・・・!
 その圭一の前から消えないといけないというのは、なんと悲しいのか。
 かつて私が愛したあの人にもここまでの感情は抱いたことがない。見えなくとも、話せなくとも、圭一を見ていた時間はあまりにも長かったのだ。
 濃密な時間が生み出した恋心は、私の想像以上に育っていたのだ。
 「別れたくない、圭一と離れたくないのです。うっ、ううっ。ひっく・・・!」
 子供のように、私は泣きじゃくった。圭一はそんな私を黙って見ていたが、一頻り泣いた後の私を胸に抱いてくれた。
 「俺だって、羽入と離れたくない。順番が逆になっちまったけど、俺、羽入のことが好きだから。」
 言葉と共に強く抱きしめられる。この抱擁が失われるのが惜しくて、私も圭一の背中に手を回した。
 「ごめんなさいなのです。圭一。」
 しかし、いつまでも甘い夢に浸っているわけにはいかない。圭一に告げなければいけない言葉が残っているのだ。
 「圭一、ボクがいなくなったら、ボクを忘れてほしいのです。」
 「えっ・・・!?」
 圭一が驚愕に目を見開く。一生の思い出となる初めての経験を終えた直後に告げられた別離の言葉、無理もない。
 「ボクが『転校』したら、みんなといつものとおりに部活をして、笑って、楽しんで下さい。そして、ボクの、古手羽入の全てを忘れてください。」
 「な、何でそういうことを言うんだよッ!俺にとって、羽入は!!」
 「それが一番良い事なのです。ボクにとっても、圭一にとっても、みんなにとっても。」
 何のことはない、本来在るべきでない異質のものの退場。私の存在が消えても、圭一たちには私が居なかったあの日々に戻るだけの話だ。
 「忘れる前に一度、ボクのためにシュークリームを食べて欲しいのです。それだけでボクは、幸せなのですよ・・・。」
 私が元の存在に戻った時には、直ぐに圭一の元へ行こう。圭一は私の最後のお願いを叶えてくれるのだろうか。
 いや、必ず叶えてくれるだろう。言葉が終わらない内から声を殺して泣いている圭一ならば、心に深く刻まれているに違いない。
 ああ、私は残酷だ。圭一を深い悲しみに突き落としてしまうというのに、圭一が私のことで悲しんでくれている姿に悦びを感じているのだから・・・。


 

621:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:35:29 UveHNxvG
 

 翌日の昼下がり、私は知恵の住む学校近くのアパートを尋ねていた。
 「何もない部屋ですが、まぁ、上がって下さい。」
 日曜日にも関わらず、自分の都合で来訪の電話を架けた私を、知恵はいつもどおりの飄々とした笑顔で迎えてくれた。黒のタートルネックに茶色のロングスカートといった出で立ちで、知恵らしく落ち着いた格好である。
 「寒かったでしょう?今ストーブを焚きますから。」
 言葉通り、知恵の部屋はテーブルといくつかの棚以外はほとんど何もない殺風景な部屋だった。生活感の感じられない、まるで私自身の存在のような部屋。
 その中で、棚の上に置かれている十字架と数冊の聖書が目に付く。知恵は基督教徒なのだろうか、オヤシロさま信仰が根付いている雛見沢では珍しいことだ。
 「はい、チャーィです。温かい内に飲んで下さいね。」
 リビングの食卓に着くと、甘く、良い匂いのするミルクティーが運ばれる。寒くなってから知恵が良く飲んでいるインドの紅茶だ。
 「どうしたんですか?お休みの日に先生に用事だなんて。何か、あったのですか?」
 半分ほど飲んだところで、知恵が来訪の目的を尋ねてきた。私の雰囲気から察したのか、何時になく真剣な眼差しである。
 知恵は良い教師だ。生徒の変化には敏感だし、それに対応しようという心意気もある。
 ・・・惜しむらくは解決に繋がるまでの力が無いということか。まぁ、私が抱えている問題を解決出来る人間などいないのだけれども。
 「知恵。これを読んで欲しいのです。」
 「ん?何ですかこれは・・・?」
 私は鞄から書類を取り出して知恵に手渡した。
 内容はあって無いようなもの、問題は書類を読む時点で使う私の『力』だ。読むということに集中しようとしている人間の脳に直接働きかけ、さもそれが完璧な書類であろうと思いこませる一種の催眠術。
 この世界に受肉して、『転校』する際も使った手だ。あの時も知恵を欺くことに成功し、私は違和感なくクラスに溶け込むことが出来たのだ。
 知恵が険しい顔で書類を覗き込む。彼女が読んでいるのはセブンスマートのチラシだが、その脳裏には何が映っているのだろうか。
 「羽入さん。」
 読み終わって、知恵が私の顔を覗き込む。
 怒っていた。そう、表情はにっこりとしているが、背後から妖気にも近い怒気が立ち上っている。
 まるでカレーを馬鹿にされたその時のように・・・ッ!!
 「これは一体どういうつもりですか?私に電話したのは、スパゲティ麺大安売りのチラシを見せるためだけだったというのですかッ!!」
 どん、とチラシがテーブルの上に叩き付けられる。馬鹿な、私の催眠術が、効いていない・・・?
 「あの時もそうでしたね、転校してきた時も。書類の代わりに見せられたのは、営林署からの広報でしたね。校長先生は騙せても、私は騙されないんですよ・・・。」
 「な・・・!知恵は気づいていたのですか!?」
 「私も教師になる前は色々ありましてね・・・。催眠術のイロハもかじったことはあるのですよ、だからあなたの力は効きません。」
 「何、ですって・・・。」
 「転校してくるということは、何かしらの事情があるということ。私はその理由を深くは問いません。他人には知られたくない理由があるのかもしれないからです。」
 知恵が遠い目をして語る。まるで自分も理由のある転校をしたことがあるかのように。
 「だから、あなたを受け入れることを拒まなかった。そんなリスクを冒してまでこの学校にくる理由があなたにはあると思ったからなのです。」
 そうだった。私は梨花を、部活のみんなを、雛見沢を、そして圭一を救うためにこの学校に『転校』してきたのだった。
 強い意志で、今度こそ運命を打ち破ると言う決意で望んだあの時。私は何としても梨花と圭一の傍で戦いたかった。
 だから絶対に『転校』してくる必要があった。催眠術による書類偽造という不正手段に訴えてでも。
 「それなのに、今度は転校ですか?羽入さんに何があったのかは分かりません。羽入さんが学校に居辛くなったというならば、私にも責任があるのかもしれない。しかし、また不正な手段で転校するなんて、そんな卑怯な手を二度も許すほど、私は甘くありませんよ!」
 
 

622:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:39:02 UveHNxvG
 

 正論だった。
 教師という立場では、生徒の不正は揺るすべかざること。知恵の怒る理由は充分に分かる。
 しかし、私の場合は違う。必然である消滅を他のクラスメイトに納得させる最良の手段と言うことで、『転校』という別離を絵に描いたのだ。
 私は宇宙人です。もう、地上にいるエネルギーがありません。だから消滅します。さようなら。
 事実を告げれば私は精神病院行きだ。だからこういう形を取ろうと思ったのに・・・。
 「どうせ、知恵には分からないのです。」
 「なっ・・・!羽入さん!!」
 投げ遣りな言葉が口から漏れる。
 皆殺しにされた世界で梨花が暴言を吐いた気分が良く分かってしまった。自分には全て分かっているのに、それを説明できないのに、無理解な反応を示す周囲の人間。
 ああ、疎ましいったらありはしない。もう、どうにでもなれという気分だった。
 「ボクだって、『転校』なんてしたくない。この世界が愛しい。梨花が、部活の、クラスのみんなが、雛見沢のみんなが大好きなのです!」
 「・・・・・・。」
 「好きな食べ物も、この風景も、村で起こる全ての出来事も大好きです!好きな人だって出来ました!!・・・誰が好き好んでこの世界から消えようと思うもんか!!」
 椅子から立ち上がり、知恵に迸る感情をぶつける。まるで自らの演説に酔う独裁者のように、私は思いの丈をぶちまけていた。
 「でも仕方ないのです!ボクにはもう力が無いのです!!この世界がこんなに愛しいのに、ボクに残された時間は無いのです!!」
 「知恵は余命告知を受けた事がありますか!?ボクはそんな気分なのですよ!死を待つだけの末期患者。消滅が間近に迫っているのに何をすることも出来ない!嫌だ。嫌だああああぁぁぁ・・・!!」
 全てを吐き出した私は、嗚咽して食卓に手を付いた。涙が零れ落ち、卓上を濡らす。
 「・・・落ち着きましたか。」
 私の嗚咽が止まるまで、知恵は口を挟まずに居てくれた。先程までの怒気は掻き消えて、悲しみと慈しみを含んだ目で私を見つめている。
 「はい、ごめんなさいなのです、知恵。」
 深く溜め息を付き、私は椅子に座り直した。溜め込んだ感情を吐き出したためか、不思議と気分は落ち着いていた。
 「・・・その、羽入さんが病気か何かで、ここに留まる事が出来ないというのは分かりました。それは、どうにもならない事ですか?」
 「居るだけで、留まろうというだけで力を失うのです。今、こうしているだけでもきついのです。」
 「薬か、栄養の付く物は無いのですか?」
 「あれば、もう使っているのです。莫大な力を得る物を取るか、それともボクの力を底上げするかしかないのです。」
 自分でも馬鹿なことを言っていると思う。どんな食品・薬品でも私の力の補充には及ばないというのに。
 「なるほど、そうですか。・・・似ていますね。」
 だが、知恵はその言葉に敏感に反応した。まるで同じような事を知っているかのように。
 
 

623:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:43:24 UveHNxvG
 

 「私の古い友人の妹さんに、同じような事がありました。その人は特殊な血筋の方でして、自分の力が弱くなると、自我を保てなくなると言う病を抱えていたのです。」
 「・・・病気ですか、ボクのとは違うケースなのです。」
 「まぁまぁ、話は最後まで聞いて下さい。その妹さんがある日、発病してしまったのです。友人はあらゆる方法を試したのですが、結局病気は最終段階にまで発症してしまったのです。」
 最終段階まで発症というのは、まるで雛見沢症候群のようだ。私はわずかに興味を抱き、知恵の話を最後まで聞くことにした。
 「その病気を押さえるには、妹さんの力を元に戻す必要がありました。」
 遠い昔を懐かしむかのように、知恵の目が細くなる。きっと、知恵の目の前にはその時の光景が浮かんでいるのだろう。
 「実は、妹さんの力が弱まったのは、その友人が瀕死の重傷を負った時に自分の力を分け与えたためだったからです。つまり、妹さんを直す鍵は友人自身という、近いから見つかりにくい盲点にあった訳なのです。」
 
何か、知恵の話に何かが引っかかる。近いから、当たり前にあるから見つかりにくい物・・・。
 
「まあ、結論としては友人が妹さんに力を返して、自力で重症を治したので、両方とも助かったのですけどね。私も少しは骨を折ったんですよ。分け与えたエネルギーを一時的にせよ空にするのは危険な賭だったのですから・・・」
 
あ、あ、あ、あああああっ!!
 どん、とテーブルを叩いて、私は立ち上がった。
 近くにある。分け与えたエネルギー。
 「ど、どうしたんですか、羽入さん?」
 「ち、知恵っ!ありがとう、本当にありがとうございますなのですっ!!転校は止めなのです!!心配を掛けてごめんなさいなのですッ!!!」
 「は、はぁ・・・。それは、どうも。」
 「急用を思い出したのですっ!し、失礼するのです!お邪魔したのですッッ!!」
 私は文字通り風のような早さで知恵に頭を下げると、踵を潰したままで玄関から飛び出した。
 行かなければならない。盲点であったあの場所にある、あの品物を手に入れなければならないのだ・・・!!


 「思い当たることがあったようですね。あれで良かったのですか?」
 「くすくす、ごめんなさいね、知恵。あなたを巻き込んでしまって。」
 「可愛い生徒のためですから。こんなことくらいお茶の子です。」
 「それに私も入っているのかしら。」
 「勿論です。どんなになっても、どんな姿になったとしても、私の生徒は生徒に変わりないのですから。」
 「・・・ありがとう、知恵。こんな性悪な人間になってしまったけど、私はあなたの生徒であったことを誇りに思うわ。」
 「私の方こそ。生徒が誇りに思ってくれること、それが教師としての最高の喜びなのですから・・・。」


 
 

624:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:44:27 UveHNxvG

 
 「あら、遅かったわね。先にやっているわよ。」
 古手神社の祭具殿の中で、ワイングラスを片手にした性悪な魔女は待っていた。
 もう一方の手に握られているのは、古ぼけた木箱。しばらく前に梨花の手によって封印された古手神社の秘宝、『フワラズの勾玉』が入った木箱だ。
 「・・・ッ、梨花ぁぁぁ・・・。」
 感情の高ぶりに、梨花ではない存在であることを知りながら、いつもの調子で呼びかけてしまう。
 その反応も楽しいのか、ベルンカステルはくすくすと笑いながらグラスに口付けをしている。
 「最初から知っていたのですね!ボクが作った『フワラズの勾玉』。それでボクの力が補充出来るって・・・!!」
 知恵の話があるまで忘れていた。人と人を強制的に結びつけるこの秘宝に込めた私の力は、それはそれは強力なもので、私の体を現世に留めるのには充分なものだったのだ。
 その時間は、最低でも通常の人間の寿命ほどはある。力だけは有り余っていた昔の自分に感謝感激だ。
 「そんなに怒らないでよ。」
 文字通り角を突き立てて怒る私に対し、魔女は何処までもクールだった。ひらりと祭壇から降りると、私に木箱を投げ渡す。
 胸元で受け止めたそれには、中身を見なくても強い力が込められていていることが感じられた。
 「私は最初から答えを言っていたんだから。」
 「え、答え・・・?」
 急に答えを言っていたと言われても、思い浮かばない。それらしき言葉を聞いていただろうか?
 「『ベルンカステルには早すぎる』。」
 「あ・・・。」
 「『杯を空にすると言うことは、それまでの終わりとこれからの始まり』ということ。この二つの言葉を組み合わせたらどうなるか。おつむの弱いあなたでも流石にわかるでしょ?」
 そういえば最初、ベルンカステルはそんな言葉で私を煙に巻いていたはず。この言葉に答えが隠されていたとでもいうのか、私はベルンカステルがワインの銘柄ということを考えてから、慎重に答えを探った。
 「お酒には早すぎる。そしてお酒が無くなるのは終わりと始まり、あっ!!」
 「・・・さよならには早いということ。古典のハードボイルドを読んでいたら、直ぐに分かると思ったのだけどね、くすくす。」
 本を読んだ方が良いと言っていたのはそういうことだったのか。
 だが、やはりこの魔女は性悪だ。ハードボイルドなんて、普通の女の子は読まないジャンルなのに。
 「ふふ、スリルがあって良かったでしょ。」
 「こ、この、梨花はぁ・・・!私がどんな気持ちで・・・!!」
 「結果オーライじゃない、圭一とヤレたんだから。三回も出させるなんて羨ましいわねぇ・・・。」
 一気に顔が紅に染まる。おのれ、私達の情事を高い所から見ていたというのか。
 「くすくす。怒らない、怒らない。ほら、圭一が神社の前に来ているわよ。」
 「えっ!?」
 私は思わず振り向いた。無論、ここは祭具殿なので外の様子は見えないが、圭一が境内に入っていこうとする気配を感じる。
 「久しぶりに会えて楽しかったわ。幸せにね、羽入。」
 背後に、消え入りそうな声が聞こえた。祭壇の方向に振り向き直すと、さっきまでそこにいたベルンカステルの姿は無い。
 「あ、ああっ?り、梨花?梨花ぁッ!?」
 完全にベルンカステルの、いや、梨花の気配は消えていた。何度も祭具殿の中を見渡すが、影も形も無い。
 いきなり過ぎる。もっと話したかった。憎まれ口ばかり叩かれたけど、梨花を見ても分かるように、あれは梨花の照れ隠しなのだ。
 そうでなければ、私の元に現れて、私がこの世界に留まる方法を教えてくれることなんてあるものか・・・。
 宮澤賢治の小説に出てくる転校生のように強烈な印象を残して去っていった彼女。もう一人の梨花。
 私は彼女との再会が出来るだけ早く訪れる事を祈って、祭具殿を後にした。


 

625:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:45:24 UveHNxvG

 「あっ、羽入!」
 神社の境内に、圭一は居た。
 駆け寄ってくるその手には、エンジェル・モートの紙袋。中には沢山のシュークリームが詰められていた。
 「どうしたのですか、こんなに、沢山・・・。」
 あまりの量に目を丸くする。半端な量では無い、百個はあるかないか、そんな勢いだ。
 「ほら、昨日羽入は『ボクのためにシュークリームを食べて下さい』って言っていただろ?」
 情事の後にそうお願いしたのは覚えている。しかし、それはあくまで圭一だけへのお願いだったはずだ。
 「俺、考えたんだけど。こういうのって、二人で食べた方が楽しいと思うんだ。羽入が自分の事を忘れて欲しいといった気持ちは分かるけど、俺、羽入の事忘れたくないから。」
 「け、圭一・・・。」
 「だからさ、転校するまで一緒に食べていこうぜ。ほら、いっぱいあるから梨花ちゃんや沙都子とも食えるぜ。あ、そうそう。勿論レナや魅音と詩音も一緒だぜ。最後まで、良い思い出を作って行きたいんだ。」
 胸が熱くなる。
 私は圭一を悲しませないためにあのお願いをしたのに、圭一はそれでも私を忘れず、最後まで楽しい記憶を作ることを選択してくれたのだ。
 この人を好きになって、結ばれて良かった。
 「ありがとうなのです。圭一。」
 圭一の体を抱きしめる。愛しい人、もう話すものか。勾玉で得た力が失われる限り、私はあなたの傍にいることを誓おう。
 「羽入・・・。」
 圭一も私を抱きしめ返す。紙袋が落ちるのも構わず、強く抱きしめられた。
 「俺、手紙書くから、電話もするから。羽入のこと忘れない。どこへ羽入が行っても、俺必ず会いにいくから。羽入を、誰よりも愛しているから・・・。」
 「圭一、嬉しいのです。」
 その覚悟は尊いもの。転校しなくなったことを私が告げれば、どんな顔をするのだろうか。
 願わくば、満面の笑みを見せて欲しいものだ。
 「実はですね、圭一・・・。」
 圭一を安堵させるべく、笑顔で転校の中止を告げようとする。その瞬間、意外な声に私の発言は遮られてしまった。
 「みぃ~☆こんなところにシュークリームなのです~♪」
 ざっ、と砂利を擦る音と共に、シュークリーム入りの紙袋が消えた。
 視線の先には制服姿の梨花が、嬉しそうにこちらを見つめている。
 「げっ、梨花ちゃん!?」
 電気が走ったかのように、私と圭一の体が離れる。それを見て梨花はくすくすと笑うと、「わーぃ、今日はご馳走なのです~☆」と走り去ってしまった。
 「あぁっ!?ま、待ってくれ梨花ちゃん!それは俺達の・・・!!」
 圭一が紙袋を奪い返すべく、駆け出す。
 だが、おかしい。梨花は今日の夕方まで沙都子と詩音の家に居るはずだ。
 その時、振り向いた梨花が私を見て意地悪く笑った。こ、こいつはまさか・・・!
 「みぃ~♪圭一も羽入も捕まえてごらんなさいなのです~☆」
 くそぅ、性悪魔女め。なんだかんだ言っても、あんたは私にちょっかいを出したいだけではないか。
 さっきのさよならは何だったのかと思う。これではまるで冗長なさよなら、居座りに等しい。
 でも、まだ彼女と話すことが出来るのだと思うと嬉しい。舞台で言えばアンコールに応えてくれて、私好みの演技をしてくれたようなものだ。
 私は一歩踏み出した。これから圭一と待つ日々を始めるため、そして、今しか味わえないこの瞬間を楽しむため。
 
 「あうあうあぅ~!シュークリームにはまだ早すぎるのですよ~!!」


  終わり
 

626:さよならは冗長に ◆CoudB9M4c2
07/11/21 00:54:05 UveHNxvG
以上で投下終了となります。

自分の作品にはエロ分が少ないとのご指摘がありましたので、今回はその点を強化したつもりです。

作中、色々な点で本家(清水俊二氏訳)を元にしています。題名も自分なりの邦訳を付けました。

あと、ベルンカステルをキーパーソンにしたので、別作品繋がりで知恵先生に出演してもらいました。

本家や月姫ネタを知らない方には分からないところがありましたこと、ご容赦下さい。

他作品の作者さんには及ぶべくもありませんが、今回もお目汚し失礼しました。

627:名無しさん@ピンキー
07/11/21 01:15:25 KvZdD8rK
>>626
良い話だった涙がでそうだった(;∀;)GJ!!
私的事だが前置きが長く感じたしエロ部分ももう少し長くした方がいいかも?
ごめんよケチつけてるみたいで

628:名無しさん@ピンキー
07/11/21 01:16:04 bOfkMteA
>>626
GJ!
ベルンカステルの性悪っぷりに笑って羽入の可愛さににやけて
もういろんな意味でお腹いっぱいだ

629:名無しさん@ピンキー
07/11/21 01:36:33 nl1W2lEE
>>626
GJ!!!!!
良い締括り方で参考になった。
エロの多い少ないは、俺のSSも似たような物だから、何とも言えないが、丁寧に書けていて感動した。

630:名無しさん@ピンキー
07/11/21 02:19:28 0yulQBIK
良い締括り方が良い絞まり方に見えてしまった

631:名無しさん@ピンキー
07/11/21 03:46:55 gDCD24b5
大石「んっふっふ!熊ちゃん良い絞めつけですねぇ~!負けてられませんねぇ~!」
熊「アッー!!!!」








もちろん柔道やってる時の話だぞ


632:名無しさん@ピンキー
07/11/21 04:14:03 3aH02Ubb
>>631

死ね

633:名無しさん@ピンキー
07/11/21 07:04:36 z+Fa/VmE
面白かったんですが、クロスだけは勘弁して下さい。
月姫も好きです。ひぐらしも好きです。
でもマジ勘弁して下さい。

634:名無しさん@ピンキー
07/11/21 09:34:09 +U7j9D1x
>>633に入江から絞ったミルクを。苦味はコーヒーでごまかしなさい

635:名無しさん@ピンキー
07/11/21 10:03:11 iMFx30X0
なんでわざわざ知恵を月姫キャラにするのか意味がわからん。
でも面白かったのでGJ

636:名無しさん@ピンキー
07/11/21 12:04:59 1XAEJM83
そろそろ次スレの季節

637:名無しさん@ピンキー
07/11/21 13:14:44 3Ib1eihS
デレ羽入可愛いすぎる(*´Д`)
しかもそのままハッピーエンドで仕上げるなんてGJです…よ!!

638:名無しさん@ピンキー
07/11/21 15:09:39 kvstb9Y9
別れエンドで思いっきり号泣したかった気もする
まぁでも良かった。GJ

639:名無しさん@ピンキー
07/11/21 18:31:09 z5lYjdv8
月姫って何?


640:名無しさん@ピンキー
07/11/21 18:53:59 PrQdY5nK
緒方有夏月

641:名無しさん@ピンキー
07/11/21 18:54:44 c9THhaPW
月姫最低SS
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

642:名無しさん@ピンキー
07/11/21 20:20:46 h1EBsHLC
>>640
ムシウタじゃねーかwwww

643:名無しさん@ピンキー
07/11/21 20:32:47 ZiCRhtrB
月姫はぜんぜん知らないけどすごく話が上手ですげえ…!
最後も救いがあったし良かった!

でも文学作品の比喩が多くて理解できなくてさびしかったんだぜ
エロパロにも頭が必要なのか(´・ω・`)

644:名無しさん@ピンキー
07/11/21 20:40:05 4Ur0iIVP
ていうかネタとしてちょっとでてきたくらいなんだし
知恵先生のシエルネタくらいは簡便してやろうぜ
竜ちゃんもネタとして狙って入れてるわけだしさw

メインにされたらそりゃひくがw

とりあえず626GJ、このまま是非3Pで

645:名無しさん@ピンキー
07/11/21 20:40:51 7chG9j3F
>>643
ベんきょうしろ

646:名無しさん@ピンキー
07/11/21 22:19:33 ic0oKTLE
現在483kb
次スレ立ててくる

647:名無しさん@ピンキー
07/11/21 22:21:54 ic0oKTLE
次スレ

【ひぐらし】07th総合part14【うみねこ】
スレリンク(eroparo板)

648:名無しさん@ピンキー
07/11/21 22:51:02 Kl9dw840

>>539>>626
おくればせながらGJ!!
どっちもいい圭羽SS、楽しませていただきました。
圭羽は本当に少ないので書いてくれる職人さんがいてくれてよかった。

それから、>>539に続きがあるなら、激しく期待して待ってますぞ?


649:名無しさん@ピンキー
07/11/21 23:09:02 irQX3sMt
>>647
しっかし、スレが埋まるの早いなあ……。
1年前なんて……あ、丁度クララの頃か。
まあ、活発なのは良いことだ。

650:名無しさん@ピンキー
07/11/22 00:21:48 5/81ZOjG
クララか…アレはすごかった、色んな意味で。
でもまたあの作者さんが降臨するのを
期待してしまう自分がいる

651:名無しさん@ピンキー
07/11/22 00:51:11 E6I3YEVK
>>650

(・3・){kwsk

652:名無しさん@ピンキー
07/11/22 02:06:26 9OPEMqy5
( ゚ω゚)

653:名無しさん@ピンキー
07/11/22 02:08:38 lyP7OIn9
うわああああああああ

654:名無しさん@ピンキー
07/11/22 02:12:39 CxOVuh4U
クララか・・・俺は保管庫で初めて見た時、作者の頭の中を見てみたくなった。

655:名無しさん@ピンキー
07/11/22 02:13:49 kgFP5QK4
と思ったら羽入でした

( ^ω^)?

656:名無しさん@ピンキー
07/11/22 20:18:56 ZCNJHfeV
もう投下は新スレのが良い?

657:名無しさん@ピンキー
07/11/22 20:24:47 9OPEMqy5
>>656
うん。
もう埋めネタ以外は新スレの方がいいと思う。

658:名無しさん@ピンキー
07/11/22 20:33:38 ZCNJHfeV
>>657
おk。そうさせて貰う。

659:名無しさん@ピンキー
07/11/23 11:48:26 R31txXi3
罰ゲームの会話はちょっと長いと思ったけど、本当に素晴らしい作品だった
これだからエロパロスレはやめられねえ

660:名無しさん@ピンキー
07/11/23 22:40:03 fjMDX2Zk
「富竹SMASH!」

富竹はそう叫びながら自らの屹立した分身で圭一を貫いた。
「アアッ! と、富竹さ……ん。……一体、どうして……」
同性である富竹にアヌスを犯され、衝撃をうける圭一。
そんな圭一の問いに、富竹は腰を振りながら答える。
「そりゃッ! 圭一君が、好きだからさッ!」
「富竹さんは……鷹野さんの事が、好きなんじゃ、アッ……?」
そう圭一が訊くと、富竹は笑いながらこう言った。
「そりゃ鷹野さんも好きだよ。でもねッ、鷹野さんは女で、そして君は男だ。
最近男の方はゴブサタだったから、圭一君の姿を見ていたら、もう我慢が出来なかったのさ」
そして富竹は腰の動きを加速させる。

(省略されました。続きはありませんので安心して次スレへとお行き下さい)
【ひぐらし】07th総合part14【うみねこ】
スレリンク(eroparo板)

661:名無しさん@ピンキー
07/11/23 23:11:00 bDVSA62U
なぁ、みんな
>>660にはオヤシロ様の罰でも生ぬるいと思うんだ
どんなことをすればいいかな


662:名無しさん@ピンキー
07/11/23 23:16:58 0dV2bc2v
埋めネタは面白けりゃ良いだろw

663:名無しさん@ピンキー
07/11/23 23:27:04 i10bWIZh
軍人は掘るか掘られるかの世界らしいからな…

664:名無しさん@ピンキー
07/11/23 23:52:23 JUGRZIY7
覚醒したK1はめでたく自衛隊へ入隊して幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし

665:名無しさん@ピンキー
07/11/24 00:05:17 l21Zjm4N
<(・3・)> うっ



\(・3・)/ ぽん!

666: ◆62YPmgSSSw
07/11/24 00:09:37 iEzUvfSY
まだ埋まってねーのこっち

667:名無しさん@ピンキー
07/11/24 00:31:27 mc5SXZqc
「っつく!あうぐぅううう・・・・」
富竹に容赦なく突かれ苦悶と恥辱の入り混じった表情を浮かべる圭一。
排泄時に感じるような甘辛い感覚を繰り返し覚えさせられ、圭一の分身も怒張し始めていた。
「どうだい圭一君。まるで太いウンチを何回もひり出しているみたいだろう?」
「・・・・・ッくう・・・富竹さん・・・もう止めて・・・くれ・・・」
漏れる声を必死に堪える圭一。
必死に陵辱から耐えようとする圭一の姿を見て富竹の欲望は危険な領域に達しようとする。
「・・・ふふふ・・・圭一君のような若い少年をいただけるなんて、僕は幸せ者だなあ。」
富竹はハンディカムを構え圭一の肢体の撮影を開始する。
「さぁ圭一君、僕は写真だけじゃなくて動画撮影も得意なんでね・・・」
欲望まみれのレンズが圭一を捉える。
「おっ?なんだい圭一君・・・君も立派なものを持っているじゃないか・・・」
「・・・!?やめろ!!富竹さんそこは・・・!!」
富竹の武骨な指が圭一の分身を捕えようと・・・

(続きを引き継ぎました。安心して次スレへとお行き下さい)
【ひぐらし】07th総合part14【うみねこ】
スレリンク(eroparo板)


668:名無しさん@ピンキー
07/11/24 06:57:48 Kz3sXESG
しつこいww

669:名無しさん@ピンキー
07/11/24 07:53:50 m+Jk/0gO
程よくカオス

670:名無しさん@ピンキー
07/11/24 09:44:13 IqqCDaUW
良い仕事してるけどトミー自重wwwww

671:名無しさん@ピンキー
07/11/24 10:10:23 4Ym5mDVE
「っちょ、お、お姉!?」
目覚めるとそこは、あのおぞましい地下祭具殿だった。
何故か手足を拘束され、身動きの取れない状態であることに青褪め、詩音は目の前の双子の片割れへと叫び声をあげた。
「一体なんのつもりですかこれは…っ。……!」
まさか。
そんな、まさか。
―祭具殿に忍び込んだことが、ばれている…?
ガクガクと恐怖に自らが震えていることを感じた。
昨日自分は確かに、軽い気持ちで鷹野さんに誘われるがまま祭の最中に祭具殿に忍び込んだ。
だけど、そんな。あれくらいのことで…?
目の前の魅音は、いつもの私の双子の顔をしていない。
何度か見たことがあるその表情。私の大嫌いな、園崎家次期頭首としての顔―。
「み、魅音?……あ、あのね…?」
「ねえ、詩音?」
まるで詩音の言葉を遮ろうとするように、魅音は口を開いた。
薄い笑みを浮かべ、ゆっくりともったいぶるような動きで、近付いてくる。
「私さ、」
するりと詩音の頬を撫でるように手を添えると、吐息のかかるような距離で囁いてくる。
「あんたに、言ってないことがあったよね?」
ちがう。
これは、次期頭首としての魅音でもない。
よく見知ったはずの、なのに全く知らない誰か…。
その「誰か」は、拘束されて動くことの出来ない詩音の着衣に手をかけ…

(とりあえず流れを切ってみました。当然続きませんので次スレへとお行き下さい)
【ひぐらし】07th総合part14【うみねこ】
スレリンク(eroparo板)

672:名無しさん@ピンキー
07/11/24 13:46:48 Qxbuv9uw
やべぇソウルブラザーだと思うと笑いが止まらないwww

673:名無しさん@ピンキー
07/11/25 07:32:20 PirtUB2l
「……ふぇ?」
魅音は突然の展開に驚いた。
自分の部屋でさっきまで勉強を教えていた圭一が自分を押し倒していた。
「悪い、魅音…………俺、もう…」
「………………あ」
見れば圭一の下半身は苦しそうな程に張り詰めている。
付き合い始めて3ヶ月、今まで何度かそんな雰囲気になったが、圭一が迫ってきたのはコレが始めて。
「ま、待って…圭ちゃん」
少しずつ魅音に近付いていた圭一の動きが止まった。
「魅音…………やっぱ嫌か?」
「そ、そんなことないよ!」
悲しそうな圭一を見てすぐ返す魅音。
そう、嫌では無い。
魅音だってそういう事には興味が有るし、相手が他ならぬ圭一なのだ、嫌なはずがない。
「じゃあ………どうして」
「そ、その………初めては凄く痛いって言うからさ……」
魅音は真っ赤な顔を逸らしながら
「優しく…………して欲しいな……って」
そう、呟いた。
「……ああ、勿論だ」
それを聞き、圭一も顔を真っ赤にして、ゆっくりと手を魅音の豊かな胸を【ネタが尽きました、続きは無いので安心して次スレへお進み下さい】

674:名無しさん@ピンキー
07/11/25 11:25:49 0ysZ6C7f
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( ゚∀゚)彡
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675:名無しさん@ピンキー
07/11/25 11:26:26 0ysZ6C7f
  ∧_∧
 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪
  ∧_∧
 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪
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 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
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 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪


676:名無しさん@ピンキー
07/11/25 14:31:31 L8bI+/7X
| \
|Д`) ダレモイナイ・・
|⊂  センデンスルナラ
|   イマノウチ


 ♪ Å
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ヽ(´Д`;)ノ ランタ タン
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  く    タン

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ヽ(;´Д`)ノ ランタ タン
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    >   タン


677:名無しさん@ピンキー
07/11/25 15:26:45 Ef2unHMx
目の前の状況が理解できない。
瞳を開けたらそこは桃源郷だ、ってのは使い古された表現だけど、そう言っても過言じゃない気がする。
いつも顔を合わせている彼女らが、一糸纏わぬ姿で俺を見下ろしていた。
更に布団が妙に感触が違うことと、肌寒さを感じることから、脳が「お前は素っ裸だ」と教えてくれた。
漫画の世界、小説の世界じゃ「これは夢だ」って眠り直して再び起こされたりすると思う。
だが夢の中でこんな屁理屈に似た考えが浮かぶはずもないし、あまりにも様々なことがリアルだ。
間違いなく俺は裸で、そして彼女らも俺の近くに恥じることなく裸で居るのだろう。
「お休みなさい」
とりあえず彼女らのあられもない格好を見るのは、下半身を考慮してよろしくないので、布団で顔を隠す。
なにやら騒々としているのだが、寝ぼけた頭ではまだ耳からの情報を確実に言語化してくれない。
「起きてよー、圭、ちゃん!」
俺のすぐ横に居た魅音が俺の一張羅を剥がした。
一つの部屋に五人の全裸の少年少女。笑えない。冗句であったら間違いなく退く。
「なにがどうなってんだ、こりゃあ」
薄目の儘俺は誰にとでもなく呟いた。笑い声が聞こえた気がする。
「そりゃー、驚くよねぇ。こんな所に連れてこられて、しかも自分は裸って言うんだからさぁ」
こんな所……?
ふと見渡せば、俺の記憶には存在しない部屋の中に俺は居た。
部屋が妙に桃や薄紫の色で飾られていて、ばかでかいベッドが部屋にあるだけの寝室。
……いや、ホテルに泊まりに行くと、こういう作りになっていたか。と圭一は思い直した。
それにしても、こんな悪趣味な光が部屋を照らすホテルを、圭一は知らなかった。
「じゃあ、圭一くん。始めよっか」
「え? なにを」
レナが俺の腹にまたがるように近づいてきた。露わになっている胸に、どうしても視線が行く。
「まーだ寝ぼけているんざますの? 圭一さんはこれからわt
(当然続きませんので次スレへとお行き下さい)
【ひぐらし】07th総合part14【うみねこ】
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678:名無しさん@ピンキー
07/11/25 16:50:08 JGvS4sfA
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          | |    レ'  ≧‐ /'  ‐≦  | !  :|     , -'´ ̄`⌒ヽ、
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          /∧   L_   |   |     }   |   ∨'}、ゝ 0   0 ノ人:ノ
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          / |    ト      }  ∧  ∧∨:!   /     ( 八 7~V∨~、)ヽ ヽー′
        .' ∧    } \   /ヽイ lヽ/  .> |  /        ∨  ∀  ∨jノ
      l イ |   .'     ̄/|  :L 」   {r 7/        〈   人.  ハ
      |/ l  !  /      /l !     /Z コ  __    /ヽ/川\ノ│
        }小 /      / .| !      l  L| /       /     リリ   |
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                  - ゝ >、ゞ-、:l  i´ /   ヽ
                  〃 /  、  `  l  ,'  _ノ
                   / '   ,ゝ ''_二`! ,'  ,'
                     !   ヽ=_― ソ  i










679:名無しさん@ピンキー
07/11/25 17:41:31 wEYpU457
これで終わりだあああっ!

680:名無しさん@ピンキー
07/11/25 17:53:31 DM2YAumh
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