07/11/01 22:00:07 2va0n1Ex
「……最悪」
毎年恒例の魔法学院作詩大会の課題を前に、ルイズは大きな溜息をついた。この大会は学校の催しであ
るだけではなく、作詩学の定期試験も兼ねているから重要だ。だというのに。
「なんで恋歌なのよ!」
ただでさえ苦手なルイズにとって恋歌は鬼門だ。教師曰くポエジーがないらしい。
「ねえルイズ、授賞式何が似合うと思う?」
もうキュルケは優勝する気だ。だが今回ばかりはルイズも張り合う気にはなれない。男子たちに目を向
けると、いつも机上の科目では低空飛行のギーシュが生き生きと語っている。
改めて見回すとタバサがルイズを見つめていた。
「タバサも恋歌は苦手だよね?」
タバサはこくりとうなずき、だが冷静な声で答えた。
「今まで詩は満点。だから、大会を落としても問題ない」
ルイズはがっくりとうなだれて部屋に戻った。
「大好きで大好きで眠れない夜」
呟いてはがーっと叫ぶルイズに、遂にシエスタは声をかけた。
「お熱、あります?」
きっ、とルイズはシエスタを睨んで教科書を投げつけた。
「作詩よ作詩!課題が恋歌なの!あんたに詩なんてわかるわけないけど」
シエスタはむっとして投げ付けられた教科書をめくる。だが、次第にシエスタの顔が輝き始めた。
「月の夜は あなたの顔 夜の闇は あなたの髪 夜はあなたに包まれて」
「……何よその詩」
「サイトさんのことを思ったら自然に」
ぐっとルイズは言葉に詰まる。もうシエスタに負けてしまった。ルイズは用事を思い出したと言って慌
てて部屋を飛び出した。