【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合22at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合22 - 暇つぶし2ch500:名無しさん@ピンキー
07/10/26 21:38:47 A6kHk2u7
>>420
買ってみた。 エロアンソロを買う事自体が久々なんだが、
9話中1話がシエスタ責め×ルイズ受け。 それ以外すべてサイト×ルイズ。 
ボチボチな出来。

SSスレは最近見始めたのだが、このスレの職人さん達の表現力の素晴らしさに脱帽
楽しく読まさせてもらってます 
wikiで最初から読みだしているんだがすべて読破するのも時間かかりそう。
URLリンク(wikiwiki.jp) が今のところ一番お気に入り。
シエスタ好きなんだが バックアップに回るジェシカも可愛い。
職人さんに多謝! 駄文スマソ

501:名無しさん@ピンキー
07/10/26 21:51:32 AIQfVLxb
ところで13巻っていつだっけ

502:名無しさん@ピンキー
07/10/26 22:17:03 /Kg8Buw4
シルフィストの俺が、タバサの冒険2を読破。

205氏が熱望していた、竜態シルフィの挿絵は今回もナシ、か…。

ただ、使い魔同士の会話というシーンには、ある種の既視感を。

まさか…。www

503:名無しさん@ピンキー
07/10/26 22:31:37 EHg8UeNi
>>502
お、おいらにも既視感あったんだな!

こいつはひょっとするとひょっとするかもしれねぇぜ…

504:名無しさん@ピンキー
07/10/26 22:41:50 TfmvD2iM
つまり、君達は、このスレにノヴォル・ヤマグットィーニが入り込んでいる可能性がある…と言っているのか?

505:名無しさん@ピンキー
07/10/26 22:54:43 nApMrK/S
それよりなにより俺が気になったのは後書きなんだ
なんかもの足りないんだよ。
そう、カオスだ一心不乱のカオスが今回の後書きには足りてないんだ

506:名無しさん@ピンキー
07/10/26 23:10:46 GlPBTD9I
つか作者の方も自分の作品は気になるだろうから、
2ch位は見ると思う、多分このスレも見た事は有るはず?

507:名無しさん@ピンキー
07/10/26 23:14:18 AIQfVLxb
さすがにそれは言いすぎだろ
その理屈だとほとんどの漫画家・作家は2ch見てることになるぞ

508:名無しさん@ピンキー
07/10/26 23:28:55 t2lyjyei
まぁしかし見る人は少なくないだろうな
俺も使い魔達の会話に既視感があったw原作では未出だったよな?な?

509:名無しさん@ピンキー
07/10/26 23:54:12 oq1ZhSr5
>>500
>>シエスタ責め×ルイズ受け
節子・・・それ、シエスタやない、アンリエッタや!
俺も原作知らずにアニメ見てた頃はメイドにコスプレする趣味のある王女だと思っちまってたが。
MFのアンソロジー土魔法の章でも入れ替わりネタがあったくらいだし。
一応髪がストレートなのがシエスタで、髪に曲線があるのがアンリエッタ王女。

魔法世界の設定をもう少し上手く活かして欲しかったのと、
キュルケやタバサが空気になってたのが残念(モンモンなど1コマしか・・・)。

510:名無しさん@ピンキー
07/10/27 00:18:30 PX4OPNXd
ほう、アン様だったのか。シエシエと一緒にされるのは悲しい。
いや嫌味じゃなくて、二人とも持ち味ちがうだろw コミックでアン様のエロか。濃いやつが読みたいね。

511:名無しさん@ピンキー
07/10/27 01:43:38 lGPfs5gp
あれ?タバ2解禁だよね?全く話題になってない件についてw

512:名無しさん@ピンキー
07/10/27 04:49:31 YwVEqUoi
長編がマンネリ化したときに書かれる短編は実に面白いの法則

色々使えそうな要素がちりばめられていたので、皆様の新作が楽しみだ

513:名無しさん@ピンキー
07/10/27 10:07:38 Y9syyJue
そういや本家のシルフィはタバサのことを頭かいぐりかいぐりしたり、自分が
姉みたいな物言いするときが結構あったね。
このスレで完全にアホの子扱いされてるのに馴染んじゃって、逆に違和感あったw

514:名無しさん@ピンキー
07/10/27 10:27:43 m1JxgYX2
>>513
「おまえは…」「この小っこいの…」とかなww

515:名無しさん@ピンキー
07/10/27 11:24:14 EYgCj+0B
本来は登場人物中最も年よりだしなぁ。

516:名無しさん@ピンキー
07/10/27 12:23:17 EWBut2em
だが人間の歳に置き換えるとロリくらいだったよな?

517:名無しさん@ピンキー
07/10/27 12:43:10 oP7ZQ+74
頭は悪く
仕事はたまに任務でタバサを運ぶだけで
自分でとる以外、飯はコックとかタバサとかにたかり
古代種としてのプライドだけは妙に高い

これってなんてニート?

518:名無しさん@ピンキー
07/10/27 13:15:46 utO8/mwz
束「ごくつぶし」
汁「な、な、この古代種のシルフィをつかまえてごくつぶしってどういうことなのね! きゅいきゅい!」
束「ニート」
汁「シルフィはちゃんと働いてます! お姉さまを運んだり、戦ったり、囮になったり、きゅい! どこがニートなのね! 待遇の改善を求めるのね!」
束「バカ」
汁「ば、バカ! シルフィがバカ!? ありえない、ありえないのね! ホントはね、シルフィはお姉さまなんかよりずっと頭がいいんです。だから撤回するのね! このちんちくりんの似非あやn」
束「黙れ」
汁「はい」


519:名無しさん@ピンキー
07/10/27 14:33:38 NNVNHcq2
酷い言われようだなwww

520:名無しさん@ピンキー
07/10/27 14:53:05 DikhA0tv
シルフィ意外と従順w
だが汁とみるとメイド服着た誰かを思い出してしまう。

521:名無しさん@ピンキー
07/10/27 15:07:44 QDIG8eLR
シルフィはバカの子だというのが最近の学会での定説なのにヤマグチノボルは考証が足らないな

522:最高のお土産
07/10/27 17:02:07 mNwz42Qi
「サイトの、いっちばん大切にしてるものをちょうだい」
 ルイズはサイトを正面から見つめて言った。
 明日はサイトが地球に帰る日。別れの、最後の思い出にというわけだ。例のボロパーカーはとっくにルイズにあげて
しまっている。デルフは小さく震えて言った。
「相棒、俺をお前に買ったのって嬢ちゃんだろが」
 サイトはそっか、と言ってデルフに伸ばしかけた手を止める。改めて荷物を見回すと、こちらに来たときに持っていた
ノートパソコンが目に入った。初めて会った日、ルイズに異世界から来たと納得させた品。サイトは丁寧にパソコンを手
にとると、黙ってルイズに手渡した。ルイズはパソコンを抱きしめ、小さな声で「大事にする」と呟いて顔を背けた。
 なぜか、その日ルイズはサイトに手も触れなかった。

「やっぱ、来ないのか」
 異世界への扉の前。この世界に来たときの荷物にデルフリンガーのみを加えた格好でサイトは周りを見回す。シエスタ
はぐずぐずと泣きながら毒つく。
「意地っ張りも限度ってものがあるはずです!ミス・ヴァリエールは馬鹿です大馬鹿です!」
 サイトはシエスタの剣幕におののきながらもう一度全員を見回した。と、後ろからタバサが大きな荷物をシルフィード
に背負わせて現れた。
「お土産」
 サイトは、はあ、と呆けた返事を返す。タバサはがんじがらめに縛ったその荷物をサイトに預けて言った。
「ルイズが、別れのお返しって。ルイズは、包装できないから、私が荷造りした」
「あ……ありがとう」
 タバサは普段より冷たい声でさらに言った。
「サイトが、一番喜ぶもの、これしかないから。悔しいけど」
「悔しい?」
 聞き返すとタバサは少し頬を赤らめて毒つくように言う。
「着いたらすぐに開けて。腐ると危ないから」
 何だかよくわからないが、サイトはうなずいて扉に向かった。虚無の力で作った門。そこを通れるのは異世界から来た
者と、それに伴うもののみだ。ルイズのいない見送りの声を背にサイトは扉をくぐった。

 強烈な光から飛び出すと、そこは喧騒の中だった。店の装いや看板は変わったが、それでも見慣れた秋葉原の街並み。
「帰ってきたんだ……俺、地球に帰って来たんだ!」
 思わず叫んでから慌てて首を引っ込める。幸いアキバだったおかげか、ちょっとイッたオタクと思われただけのようだ。
「よう相棒、荷物、ほどかなくていいのかい?」
 言われてサイトは荷物を背負って店と店の小路に入り、どさりと荷物を落とした。何かごぎゅっ、と変な音がした気も
するが、タバサのことだ壊れやすいものを入れるような不注意はないだろう。
 隣りの店では「すももももももフェア」の旗がはためいていた。旗に描かれた桃色の髪の少女を見て、サイトは涙ぐみ
そうになる。
「あの馬鹿意地っ張り……」
 気を取り直してサイトはデルフで荷物の縄を解いて袋の口を開けて中を覗き込んだ。中には桃色のふわふわしたものが
入っている。お土産が動いた。涙を溜めた勝気な目が、黒いオーラを発しながら見上げて叫んだ。
「犬ーっ!早く開けなさいって言ったでしょーっ!お土産を投げ出すなんてどういう神経してんのよこの馬鹿犬!」
「ってか何でルイズお前っ!」
「サイトからいっちばん大切なものを貰ったんだから、私だってお返ししなきゃラ・ヴァリエールの名が泣くわ!だから
私の、その」
 ルイズは言いよどんで目を逸らし、改めてきっ、と顔を上げた。そしてルイズが口を開いたと同時に「すもももももも
フェア」の店員が店頭のラジカセのボリュームを最大にあげた。
「私をサイトにあげる!」「♪子っ作っりしっまっしょっ♪」
 サイトは一瞬呆けて、そして呟く。
「ルイズが、俺に全部くれて、子作り……」
「子作り違う!先に結婚式!だって私もう……」
 ルイズは袋から這い出してサイトに飛びつく。それはいつも見慣れた魔法学院の制服でも普通のドレスでもなく、純白
のドレス。トリステイン式のウエディングドレス姿だった。
「サイトぉ、私この世界で一人ぼっちなんだから、早く……もらって」
 サイトはルイズをぎゅっと抱きしめる。目を閉じたルイズにそっと口付ける。ルイズの舌がサイトの口内を侵す。
「でもやっぱり、サイトの赤ちゃん欲しいな」
 ルイズは恥ずかしげにサイトの手を控えめな胸に導き、いつも蹴っていたサイトの股間をそっと優しく撫でた。

 後にルイズが住人を指して、アキバを「マリコルヌ・シティ」と呼ぶようになったのは別の話。

523:522
07/10/27 17:10:30 mNwz42Qi
先日、ラノベ板のヤマグチノボルスレに勢いでカキコしました。
その内容を膨らませてこっちにカキコしてみた。

1年前にローゼンメイデンスレに2本カキコして以来の初心者っス。

524:名無しさん@ピンキー
07/10/27 17:31:09 JYLCaAtd
>>522


1番下の行自重しろww
アキバ=デブの街かよwそれは間違ってる!アキバ≡デブだ!

525:名無しさん@ピンキー
07/10/27 17:32:36 lGPfs5gp
>>514
あれって始め、イザベラの物真似してんのかと思ったw

526:名無しさん@ピンキー
07/10/27 17:48:48 a9ulwUih
タバサがお土産を渡す場面で

『タバサは大きな荷物を背負うようにシルフィードを持って現れた』

『タバサはがんじがらめに縛ったシルフィードをあずけて』

に見えたオレはベア様万歳

527:名無しさん@ピンキー
07/10/27 18:48:39 EWBut2em
寧ろ亀甲縛りにだな

528:名無しさん@ピンキー
07/10/27 20:00:34 BUATp/Oi
>>524
外見がマリコルヌなのではない、
魂がマリコルヌなのだ

529:名無しさん@ピンキー
07/10/27 20:52:16 Wy90+MZg
マリコルヌの塊

530:名無しさん@ピンキー
07/10/27 21:03:53 5Da6EYqM
マリコルヌを転がしてビューティフルなマリコルヌに

……ビューティフルマリコル魂

531:名無しさん@ピンキー
07/10/27 21:06:54 BEP8nfEB
                   _ _     .'  , .. ∧_∧
          ∧  _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ '     (    )
         , -'' ̄    __―=', ・,‘ r⌒>  _/ /
        /   -―  ̄ ̄   ̄"'" .   ’ | y'⌒  ⌒i
       /   ノ                 |  /  ノ |
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      /   _, \               / ,  ノ
      |  / \  `、            / / /
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    / ノ   {  |          /  /|  |
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  `、_〉      ー‐‐`            |_/


                   _ _     .'  , .. ∧_∧
          ∧  _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ '     (    )
         , -'' ̄    __―=', ・,‘ r⌒>  _/ /
        /   -―  ̄ ̄   ̄"'" .   ’ | y'⌒  ⌒i
       /   ノ                 |  /  ノ |
      /  , イ )                , ー'>>301/´ヾ_ノ
      /   _, \               / ,  ノ
      |  / \  `、            / / /
      j  /  ヽ  |           / / ,'
    / ノ   {  |          /  /|  |
   / /     | (_         !、_/ /   〉
  `、_〉      ー‐‐`            |_/


532:名無しさん@ピンキー
07/10/27 21:07:56 rRI1/y2z
行方不明になってた高校生が女連れて戻ってきたら大騒ぎになるwww

533:名無しさん@ピンキー
07/10/27 21:12:05 BEP8nfEB
>>531
誤爆

534:名無しさん@ピンキー
07/10/27 21:24:46 Vv+t+FJf
なんて的確な誤爆だ。

535:名無しさん@ピンキー
07/10/27 21:34:29 wi16GmeG
よりによって直近の投下報告のレスをスマッシュwww
誤爆報告がなければ301=523って何で分かったんだろうと悩むところだったwww

536:名無しさん@ピンキー
07/10/27 22:13:01 i8ZAfSTu
そういや何日か前に「ルイズの家の爵位が~」という話があったけど

公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵

これはおおむね正しいんだけど「公爵」は他の爵位と違って「王家直系」
という意味合いがある。虚無の素養は「ブリミル(及びその弟子)直系」で
ないと発現しないのでヴァリエール家の爵位が公爵で無いと設定が破綻
しちゃうので注意が必要かも。

537:名無しさん@ピンキー
07/10/27 22:38:33 oEqKi4B3
多分、爵位なんてどれも同じと思ってる人もいるんじゃないかな?
貴族社会なんて現代日本にはほぼ無縁だし、触れられるのはフィクションの世界に限られるし。
華族を研究した自分からすれば、爵位を間違えるなんて「ルイズのおっぱいは公爵級」、「タバサのおっぱいは侯爵級」、「テファのおっぱいは伯爵級」と言ってる様なもん。
もちろん大きさね。

テファのおっぱいは公爵と名乗るだけの格はある。いや、それどころか『王』にも『神』にも相当するだろう。
『乳神様』だ。

それに比べてルイズやタバサはへいm…



すまん、誰かきた

538:名無しさん@ピンキー
07/10/27 23:25:37 6CzQs3jr
>>536
キュルケやベアトリスのゲルマニアは多分我々の世界のドイツと同じ
爵位制度なんだろうな 実際結構簡単に貴族になれたらしいしな
そういやテファの親父はアルビオン王弟で爵位は大公だっけ?

539: ◆LoUisePksU
07/10/28 00:29:50 M9do1U9l
平日は忙殺されていたので書きだめができんかったorz
というわけで短いのだが、「サイトが魔法を使えたら」+「桃色Sisters」の2本立て、投下開始。

540:サイトが魔法を使えたら(1/1)
07/10/28 00:30:54 M9do1U9l
空。そして湖。それがサイトの左目に飛び込んできた景色だった。
ルイズ!?
いつの間にか左の耳から耳鳴りは消え失せている。その耳から聞こえるのは風切音。そして左目の視界の主、ルイズの声だった。
”サイト?私の声が聞こえるの・・・・?”
「ああ、聞こえる。ばっちり。」

湖。そして湖岸に群れるアルヴィーたち。そして右の耳からサイトの声がした。
”ルイズ!?”
サイトが見るものだけではなく聞いたものも分かった。まるで自分がそこにいるかのように。そんな自分に驚き、そして嬉しいルイズなのだった。
「サイト?私の声が聞こえるの・・・・?」
”ああ、聞こえる。ばっちり。”

サイトは言葉を続けた。
「おまえもつながったんだな・・・声で分かるぜ。っと。」
目の前に群がる敵を槍捌きとマジックスペルの合わせ技で弾き飛ばす。とはいっても倒しても倒してもキリがない。どこからともなくわらわらと溢れるアルヴィー。これまで歴戦を戦ってきた彼でも無傷というわけにはいかなかった。掌、二の腕、脇腹などに傷を負っていた。
「ルイズ、お願いだ。ここに降り立つまでに魔法唱えといてくれ・・・おれちょいやばめ」
”イサ・ナウシド・ウンジュー・----”
ルイズの心地のよい詠唱がサイトの左耳に入ってくる。

視線の先にいるミョズの背後に巨大な影が現れた。
ヨルムンガント・・・!!!サイトは青ざめた。
”だーりん。ねぇ。だーりんってば。”
グングニールが声をかけた。
なんだよ。どーすりゃいーんだよ。あれ。
”あたしをあれ目がけて投げてちょーだい”
んなことしたら俺お前拾いにいかないといけないんじゃ---俺丸腰だぜ?
”だいじょうぶよぉ。ちゃんと自分で戻ってこれるのよ~。だから、な げ て”
巨大な人形がこちらに近づいてくる。
ままよ----意を決したサイトは、グングニールを上段に構え、走り出した。スピードが乗ったところで背中を反り、振りかぶる。グングニールの穂先とサイトの左手のルーンの輝きが同調するかのように光を増した。
いっけーーーーーーーーーー!!!!
ヨルムンガント目がけてグングニールを擲った。

”おまえもつながったんだな・・・声で分かるぜ。っと。”
私とサイトは今つながってるんだ。ルイズの心に温かい火が灯る。
”バキン!ドカッ!”
何かがぶつかる音がする。不安な気持ちが溢れだした。
”ルイズ、お願いだ。ここに降り立つまでに魔法唱えといてくれ・・・おれちょいやばめ”
サイトの声が届いた。ルイズは不安を吹き飛ばすかのようにシルフィの背中に立ち上がった。

イサ・ナウシド・ウンジュー・----
アルヴィーにかけられたスペルを解除する”ディスペル”を唱え始めた。
しかし詠唱開始から寸刻のたたないうちにルイズは右目に新たな敵を捉えた。
即座にスペルを”エクスプロージョン”に切り替える。
”ヨルムンガント!!!”サイトの叫びが飛び込んでくる。絶対に倒してやるんだから。
エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ----
ルイズの中で魔法の力がうねりはじめた。

541: ◆LoUisePksU
07/10/28 00:32:24 M9do1U9l
ここまで。短くてスマソ。続いて「桃色Sisiters」いきます。

542:名無しさん@ピンキー
07/10/28 00:32:40 gsNk0VNs
しえーん

543:桃色Sisters
07/10/28 00:34:07 M9do1U9l
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
抱き寄せた彼女の桃髪の匂いは紛れもなくルイズのものだった。
離れてしまわないように才人はしっかりと抱きしめた。

「----おにーちゃん。わたしのこと、その人と同じように『ルイズ』って呼んでいいんだよ」
才人に強く抱きしめられながら彼女はつぶやいた。彼女の言葉に才人の拍動が速まった。
「どきどき。聞こえるよ。すっごくドキドキしてるね----」
彼女は才人を見透かしたように言葉を継いだ。
俺、どうしたらいいんだろ。思い余って抱きしめたまではいいのだが、才人にはこれ以上どうしていいのか分からなくなっていた。

コン、コン。部屋のドアがノックされた。

「誰か来ちゃったね。私どいたほうがいいのかな?---それともこのままがいい?」
なんという二択を迫ってくるんだろうか。彼女は。緊張の余り才人は言葉に詰まった。
”ロック”
彼女はそうつぶやくと、ドアのノブがカチャリと音を立てた。
「ルイズ。魔法・・・・・・使えるのか」
まさか彼女に力があるなんで思ってなかった。そして思わず『ルイズ』と言ってしまった自分に少し照れてしまった。
「うふふっ、不思議な力でしょ。でもおにーちゃん、わたしのこと嫌いになっちゃやだよ」
彼女は才人の胸でもぞもぞと動いて顔を上げた。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ノックの主の声が聞こえた。サイトはその声には聞き覚えがあった。
「サイト殿。ここを開けていただけませんか」
彼女は悪戯っぽ笑みを零しドアの方を振り返り、その声の主に声をかけた。
「あ、おねーちゃん。えへへ。今はそのドア開かないよー」
「まぁまぁ。ルイズったらおいたはだめでしょ」
ドアの向こうの声の主はそういうと続けてこう唱えたのだった。
”アンロック”
一瞬の間に彼女のかけた魔法が解かれ、ガチャリとドアが開けられた。
才人は首を上げてドアの開いたほうを見た。そこにはある部分を除いて彼女と同じ容姿の芳紀な女性が立っていた。
「か、カトレアさん?!」
才人は声を呑んだ。
カトレアは才人をみて天使のような微笑をたたえた。
「しばらくぶりです。サイト殿。」
カトレアは彼女に目を移した。
「まぁルイズったら、なんて格好してるんでしょう」
その言葉とは裏腹にカトレアはころころと笑っているのであった。

544: ◆LoUisePksU
07/10/28 00:36:00 M9do1U9l
以上でした。ノシ

最近こじかを買ったせいか、「桃色」のルイズが影響を受けているかもしれん。

545:名無しさん@ピンキー
07/10/28 01:07:08 5+iFQA50
>>538

大公というのはどちらかといえば王の兄弟に対する敬称に近いかと。

公爵は…要するに江戸幕府における御三家見たいなもので王位継承者
のストックもかねているというか…現国王(女王)には子供がいないから
11巻の件が無かったとしてもルイズが玉座に座る可能性はあったんだよな。

546:名無しさん@ピンキー
07/10/28 01:19:20 fgdF4kvM
当たり前のように投下作品と雑談が共存できているこのスレの良い方への異常さには、つくづく驚かされる。

ただ、作品投下直後に感想も無しに雑談に興じるのはちょっと良くないんじゃね?
雰囲気が独特で感想書きづらかったり、1レスの続き物では反応が難しいのも確かにあるかもしれんが。

KYでスマソ

547:名無しさん@ピンキー
07/10/28 02:00:44 FwRMsetM
>543
カトレアもかよ!いや、sistersだから一人じゃないのは当然だが。
って、もしかしてもしかしたらエレオノールさんもですかぁっ!?
>546
うん、そうだね。鏡を覗いたらいいと思うよ。
スルーできない俺もだけど。

548:名無しさん@ピンキー
07/10/28 04:38:51 rNdwKXuv
URLリンク(www.mmv.co.jp)

( ゚Д゚) アン様とタバサに即死させられたw

549:名無しさん@ピンキー
07/10/28 05:00:26 VPPi11R2
どうもこの作品のアニメ絵は(ゲームだけど)
受け付けないなあ

550:名無しさん@ピンキー
07/10/28 06:06:55 uB7PjMfG
ルイズって瞳の色ピンクなのか…

551:名無しさん@ピンキー
07/10/28 07:03:18 5zstwJGX
鳶色(茶褐色)のはずなんだがなぁ…

552:名無しさん@ピンキー
07/10/28 08:10:02 i7Hx2uqf
>>548
待て、あれは偽者だ。
あんなに胸があるのはおかs

553:名無しさん@ピンキー
07/10/28 09:21:48 c+HgY4kZ
>>552
ホントだ。まるで谷間がある様にみえr

554:名無しさん@ピンキー
07/10/28 10:42:56 sBr9x3u2
あれ? 今日って花火大会だったっけ、妙に爆発音が

555:名無しさん@ピンキー
07/10/28 11:13:36 JBrkHAB1
へっ、汚ぇ花火だぜ!!

556:名無しさん@ピンキー
07/10/28 12:12:19 8f2Dqs1q
またミス・ヴァリエールと>>522君かぁ(^_^;)

>>548
すべてエロい!GJ! 
パロディウスもどきも面白そうだし予約済
1作目の廉価版買ってくるわ
ところでゲームにテファは出てこないのか?

557:名無しさん@ピンキー
07/10/28 14:39:32 BzQ7DAcB
お久しぶりです。虹山です。
らき☆すたの22話を久しぶりに見て感動し涙が止まらなかったです。はい。
その温かな家庭がもしゼロの使い魔の世界だったら?
という電波を受けて書いてしまいました。


558:ぜろ☆すた
07/10/28 14:44:17 BzQ7DAcB
ラ・ヴァリエール家のはずれにある日本風の墓。
ここに二人が手を合わせて合掌している。
一人は長身にスーツ、黒髪で黄色い肌と長い剣をを持った
ハルケギニアでも珍しい装いの青年。歳は二十歳前後だろうか。
もう一人は背が小さく痩せており、マントに魔法学院の制服を着た
桃色のウェーブのかかっていないロングヘアで、黒い瞳を持った少女。

「ねぇ、お父様」
「ん。なんだ?」
「お母さんってどんなひとでした?
ティファやデルフに聞いても教えてくれないんですもの。
お父様にお聞きになったら?としかいってくれないもの」

そうか、この娘は母親の顔を覚えていないんだな。
二人とも教えてやれば良いのに。

「そうだな……姿顔立ちはカトレアさんで性格はエレオノールさんにそっくりだったな」
「姿顔立ちはちぃ姉さまで性格はエレオノール伯母様ってことは……
ドSでツンデレで小さくて巨乳の女王様ってこと?」

何でこの娘はこんな用語を知っているんだ?俺はこんな教育をさせてしまったのか?
いや、してしまったんだろう。テファがそんな教育するはずないもんな。
ちなみにこの娘はテファって言うのが呼びにくいのかティファって呼んでる。

559:ぜろ☆すた
07/10/28 14:45:16 BzQ7DAcB
「おっと、かなり良いところをついているが一つだけ違うぞ?お前のお母様の胸ランクは虚無だ!」
「えぇ!ティファが使ってるあの魔法ランク!?
あ、だけどティファったらあの胸は巨を超えて超ですよね。
よかった~私は小くらいあって」
「静かに!これ以上言っちまうとルイズが化けて出てしまうぜ?」
「それだったらいいですね。わたしのお母様が見られるのですから!」

やめてくれ!そんなことしたら俺が犬の呪いをかけられてしまう!
夢に出てきて鞭に打たれたり、エクスプロージョンだけは勘弁だ!
普段からルイズパパに公爵家として書類のサイン書いたり貴族としてのあり方とかいろいろ学んでるから、
休憩する暇って言ったらこの毎朝の墓参りと寝る時しかないんだよ……。

「お父様がそんなお母様を選んで、私を溺愛ってことはお父様って貧乳好きってことですよね?」
「いやいやまてまて、それはちょっとちがうぞ!」

娘は俺の眼をみている。どっかの犬が言ってたな、「眼を見ればわかる」って。
人間そんな簡単にいかないんだよ。それだけでわかるのなら俺はそいつにシュヴァリエの称号を与えてやりたい。


560:ぜろ☆すた
07/10/28 14:46:14 BzQ7DAcB
「貧乳も好きだし、美乳も好きだし、巨乳も好きだから……よーするに胸全般がだーい好きってことだ!」

俺は女湯をのぞくために命を捨てるのもかまわない男のように指を天に突きつけていった。

「どれにしてもダメ男って事には変わらないですね……」

ちょっとココロが傷ついた……。

「そしたらお父様が私にぺたぺたしてきますけど、私が男子だったら今と同じように接してきましたか?」

俺は悩んだね。あぁもちろん悩みまくった。
もし男だったらそりゃもうアニエスさんみたいにびしびし鍛えてるけど、
今は娘の前!同じように接したといってやらねばいかんな。
でも待てよ?それって俺ショタコンになるんじゃないのか?ついでにホモ?
…………えぇい、別に同じように接したで良いじゃないか!
……これを考えるのに0.1秒だったと思う。


561:ぜろ☆すた
07/10/28 14:47:58 BzQ7DAcB
「……………当たり前じゃないか~~」
「はいはい~よーく分かりましたよ。よかったですね私が女の子で」

しまった!判断はよかったが口が開くのに時間がかかってしまったようだ!
絶望した!口が思うように動かないことに絶望した!

心地よい風が流れてくる。空を見上げると今日は快晴だった。
確か理科では上を見上げた時に
雲の量が0~2割くらいが快晴だったっけ?などと考えていた。

「ねぇ、お父様。お母様って小さいらしいし、
使い魔として召喚されたお父様のご主人様みたいですしツンデレで貧乳って、
なんかエロ小説を書いている人が作ったキャラみたいですよね」
「だろー!ルイズは俺のストライクゾーンど真ん中でなー!」
「でもお父様がお母様にベタ惚れなのは分かったけどなんでお母様はお父様と結婚したんだろう?」

562:ぜろ☆すた
07/10/28 14:50:42 BzQ7DAcB
「あーそれはだな……
 

 お前が振り向いてくんないから!俺はこんな巨乳好きの男になったんだ!


 といったら割とすんなり」
「あなたは最低だ!」
「でもほんとの事だし……」
「それって脅迫じゃないんですか!
私はもっと『ルイズー!お前が好きだー!お前が欲しいー!!』みたいな回答を期待していたのに……」
「いやいやもちろんそれだけじゃないぞ本当に。
 特にお前が生まれた時には、ルイズものすごく喜んでたしな」


563:ぜろ☆すた
07/10/28 14:54:03 BzQ7DAcB
~二十年前~

「終わったな。ルイズ」
俺たちはこの戦いの全ての元凶であったレコン・キスタの残党やジョセフたちを倒した。
エルフから聖地を奪還するための力として「始祖の虚無」。
それを目覚めさせるために必要な、
四の秘宝、四の指輪、四の使い魔、四の担い手、いわゆる「四つの四」が集まってしまった。
しかしサイトたちの活躍がありを防ぐことができたのであった。
 
               「始祖の虚無」
それは世界を作り直す究極の魔法だった。世界を破壊する。
または一からやり直すためのもので、どこかのカチューシャをつけた団長様のような力だった。
集まってしまい世界が赤い空で満たされ海もまた赤い海で何もかもが赤一色だった。
「始祖の虚無」は目覚めた。サイトは「始祖の虚無」をデルフリンガーで吸収しようとした。
しかし吸収しようとしてもそう簡単にいくものではない。「始祖の虚無」は世界を作り変える力。
デルフリンガーで吸収しきれる量の魔力は、はるかに超えている。
そのときルイズの虚無が発動し、サイトのガンダールヴとしての真の力
がでて左手の刻印から銀色の光が満ち溢れサイトの左腕を伝って
体全身に及び光の翼を出現させ「始祖の虚無」を吸収し、なくした。
ハルケギニアの世界の命は全て守られたのであった。
そして……サイトの帰るときがきた。
サイトのガンダールヴの刻印が左手の徐々に戻っていく。サイトは全てが終わったのだと実感した。

564:ぜろ☆すた
07/10/28 14:55:49 BzQ7DAcB
「終わったな。ルイズ」

しかしルイズは首を横に振る。

「いいえ、まだ終わってないわ。あなたは自分の世界に戻らなくちゃいけないのよ、サイト」

サイトはハッとした。自分にはまだやるべきことが残っていることに。

「…………………わかった」

別れたくない。自分たちは愛し合っているのだから。
触れたい。抱きしめたい。壊れてしまうくらい抱きしめたい。
たくさんキスだってしたい。同じ太陽の下で暮らしたい。
笑いあいたい。二人で、みんなで。しかしそれは叶わない夢。叶えてはいけない願い。
二人はそのためにここに来たのだから。

565:ぜろ☆すた
07/10/28 14:57:47 BzQ7DAcB
仲間たちがいる。もうお別れだ。
「ギーシュ、お前モンモンを大切にしろよ?次浮気なんかしたら殺されるぜ?」
「わかってるよ。僕には右手に一本のバラだけで良いのさ」
「けっ!最後までギザな奴だぜ……モンモランシー、こんな奴だけど支えてやれよ。」
「もちろん、貧乏くじだからって後悔しちゃいないわ。
それにしてもアンタやっと私のこと名前で呼んだわね」
「そうか?」
「そうよ」
「ギーシュ、お前この頼りになる水精霊騎士の副隊長がいなくなるんだから隊長としてしっかりやれよ?」
「あたりまえだ」
俺たちは握手をした。だがギーシュがかなり力を入れてきたので
ガンダールヴの力で思いっきり握り締めてやったら死にそうにな顔をして面白かったので放してやった。

「キュルケ、今までありがとう。コルベール先生と幸せにな。」
「えぇ。私たちでこの世界の機械文明はどんどん進歩していくと思うわ。
だけどこのひとったらあなたの世界に飛び込んじゃいそうで」
「やりかねないな、コルベール先生は」
「だって、私は君の世界を見てみたいんだ。君の飛行機よりももっと凄い飛行機を見てみたいし、
魔法のない世界がどれほどまでに凄いのかこの眼で見たいのだよ、サイト君」
「だめよ、ジャン!あなたがいてくれなきゃ私死んでしまうわ!」
キュルケがコルベールに抱きついている。まぁなんとゆうか……微笑ましい(?)のかな。

566:ぜろ☆すた
07/10/28 14:58:49 BzQ7DAcB
「タバサ、ありがとう。お前がいてくれなきゃきっと俺はそこら辺の道端で死んでたと思う」
「いい、別に。私こそあなたにどれだけのお礼をしなきゃいけないのか分からない」
「だったら、おあいこだろ」
「そんなことない。私のお母様を治してくれたし、
私の復讐を手伝ってくれたし、何より私の心を開いてくれたのはあなた」
「……それは俺だけじゃなくてみんながやってくれたんだ。俺だけじゃないよ。だからさ、みんなを大切にな?」
「……うん」
タバサが泣きはじめて来たので俺は頭をなでてやった。
「シルフィードも元気でな。お前女の子なんだからもうちょっと身だしなみに気をつけろよ?」
「サイトに言われたくないのね!竜の状態で衣服を着ている竜なんていないのね」
「じゃあ、その元気をタバサにも分けてやれよ」
「まかせてなのね!」
シルフィードにも頭をなでてやった。
「……最後に一つお願いがある」
「なんだ?」
「…シャルロット、って呼んで」
「……今までありがとうな。シャルロット」
タバサ…いや、シャルロットが抱きついてきた。まぁルイズもいるけどこんな時ぐらい抱きしめてもいいかな。

「ジュリオ、お前にお願いがある」
「なんだい?まさかルイズを守ってくれ、じゃないよね?」
「ご名答だ、いいよな?」
「いいけど……それは僕がルイズをとっちゃってもいいってことだね?」
「ダメに決まってんだろ?それにもしお前がルイズに求愛しても一寸の愛もくれないぜ」
「それはひどいな……」
当たり前だ。ルイズは俺に惚れててめろめろなんだからな。

567:ぜろ☆すた
07/10/28 15:00:53 BzQ7DAcB
「サイト様、本当にありがとうございました。
あなたがいてくれなければ、私たちの世界は滅んでいたことでしょう」
深々と頭を垂れるのは、アンリエッタ女王だった。
彼女の目尻にも悲しみの涙が溜まっているのを見た才人は、困ったような笑みを浮かべると
「いや、そんな……。俺は大した事はしてませんよ。
もしお礼を言うのならルイズに言ってやってください」
「わかりました。前はトリステインの英雄だったのに、今度は世界の英雄ですね」
「そういえばそうですね……全然考えていませんでした、
というか実感ありませんよ。英雄なんて」
「まぁ英雄とはそんなものではないのでしょうか」
「かもしれないっすね。……今までお世話になりました」
「いいえ、こちらこそありがとう」
「アニエスさん、女王様をしっかり守ってくださいよ。」
「なんだ?お前はいつから師匠を超えたのだ?」
「勝ってはいませんけど、俺、今、世界の英雄ですよ?」
「そうだな……だが、私を罵るなどとは10年早いわ!」
「す、すみませんでした!……アニエスさんもアンリエッタさんも幸せになってくださいよ!」
二人とも辛い過去がある。だから幸せになって欲しいんだ。

568:ぜろ☆すた
07/10/28 15:04:52 BzQ7DAcB
「テファ、子供たちとベアトリスを大切にな」
「大丈夫。あなたは私の最初のお友達だもの。
あなたこそ私たちのこと忘れないでね」
「忘れるもんか」
その革命的な胸を見せられたら忘れようにも忘れることができません。

「シエスタ、君は俺がこのハルケギニアにきた時に一番最初にやさしくしてくれた人だ。ありがとう」
「サイトさん…今までありがとうございました……あちらのほうに行ってしまうんですね。」
「うん。……あのさ、また合えることがあったらあのヨシェナヴェだっけ?食べさせてくれよ」
「もちろんです!」
「それともう一つ……ゼロ戦を守ってくれないかな。それに、あれはもともと君の家のものだし」
「サイトさんが望むのなら構いませんわ」
少し時間を置いてから俺はシエスタを抱きしめた。キスはしない。それはこれが友好の証だからだ。


569:ぜろ☆すた
07/10/28 15:07:49 BzQ7DAcB
「ルイズ……お別れだな。」
「早くいっちゃいなさいよ!
もうアンタが…アンタが……アンタなんかを召喚しちゃったから私の人生は狂いっぱなしじゃない!」
虚無魔法の使いすぎでかなり弱ってるはずなのに…コイツの元気は底なしなのかな?
「ルイズ……お前は俺とあえて幸せだったか?」
「…そんなの……幸せに決まってるじゃない……サイトのバカバカバカーー!!」
ルイズがぽかぽかと殴ってくる。俺はルイズをそのまま抱きしめた。
「いてーよルイズ。幸せだったよ、おれも。別れたくないし。できることなら一緒にいたい。
だけど俺はあっちの世界に……地球に戻らなきゃいけない。
それが俺たちの選んだ道だったろ?だから俺はやるべきことをするためにここにきた。
ルイズ……俺は君とあえて嬉しかった。愛してるよ」
「私も……愛してるわ」
俺たちは抱き合いキスをした。そういえば俺たちの出会いはキスから始まったんだよな。
だったら締めはキスで決めるべきなんだろうな。


「じゃあな」

俺は「始祖の虚無」の力がこめられたデルフをふってゲートを作った。

「サイト!」「サイトさん!」「サイト君!」

みんなが呼んでくれる。

振り向きたかった。だけど振り向かない、いや振り向けない。
振り返ったら、それだけで、足が、体が、心が止まってしまいそうだったから。

「大丈夫だ、相棒。俺がついてるからよ」
俺のすべてを察してくれたデルフが励ましの言葉をくれた。
「ありがとうな」

俺は大きく拳を握り締めて天に突き上げゲートの中へ入っていった。


570:名無しさん@ピンキー
07/10/28 15:10:16 BzQ7DAcB
とりあえずここまで。

後半につづきます。

誤字脱字、又は矛盾などありましたら教えてください。

571:名無しさん@ピンキー
07/10/28 15:14:06 fKMPz6Ro
後半まではまだなんとも評価できない。ただ1レスにもう少し詰められるかなぁとオモタ。

572:名無しさん@ピンキー
07/10/28 15:15:18 ypSMg13J
リアルタイムGJ!!!!

楽しみにしてます

573:名無しさん@ピンキー
07/10/28 15:17:56 M9do1U9l
>>557

GJ!!!
才人の許に娘(こなた)がどうやって来たのかなぁwktk
続き待ってるぜぃ。

574:名無しさん@ピンキー
07/10/28 16:35:56 SBlxLQBs
>>570
なんちゅう親子の会話だw

575:名無しさん@ピンキー
07/10/28 17:04:00 BzQ7DAcB
すいません
虹山ですがだれか保管庫の編集おねがいします………


576:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:31:17 RDLODFz4
はいおまたせー
>>434
の続きでございます


577:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:33:01 RDLODFz4
「見よ!これが我が戦闘術、『武装錬金』であるッ!」

ロナの宣言と同時に、タバサの詠唱が完成する。
ロナの周囲の水分が一瞬で細かな氷の刃と化し、風が渦巻いて、白い嵐となって襲い掛かる。

「やったか?」

普通の人間なら、この氷の刃の嵐の中では、数秒ともたずに息絶えるだろう。
よしんば初撃の氷の刃に耐え切っても、微細な刃は容赦なく肌を切り裂き、そして呼気とともに呼吸器を傷つける。
この術をまともに食らって、立っていられる人間などいない。
はずだった。

「…嘘」

タバサの目が、驚愕に見開かれる。
殺意を含んだ白い霧の晴れた後に。
腕を組んで、平然と。
鈍色に光る彫像が、そこに立っていた。

「噴!効かぬな!」

氷の刃によって裂けた服の隙間から覗くロナの肌は、鈍い銀色に染まっていた。
そう、彼は、『錬金』によって、己の身体を鋼へと変えていたのである。

「…アレをやらかすバカがいるとは思わなかったぜ…」

ロナのその身体を見て、デルフリンガーが呟く。

「…なんなんだアレは?」

間合いを取りながら、才人はデルフリンガーに尋ねる。

「…見てのとおりただの『錬金』さね。『錬金』で自分の肌を鋼にしてんだよ。
 ただし、並みの力じゃ、鋼になった自分の重さで身動きも取れなくなる」

デルフリンガーの言葉のとおり、ロナの足元は、彼の重さで大地が沈んでいる。
しかしロナはそんな重さをものともしないで、右腕を勢いよく振り上げた。

「そう!鍛え抜かれた鋼の筋肉あればこそ!この戦闘術『武装錬筋』が成しえるのだ!
 鋼と化した我が肉体の前に、刃は意味を成さぬ!まさに無敵無敵無敵ィィィィィ!」
「な、なんつー厄介な…」

今の才人に、鋼を両断できるほどの膂力も腕もない。
この状態のロナに対しては、完全に手詰まりであった。

「こういうとき、虚無の嬢ちゃんの『ディスペル・マジック』があればねえ」

デルフリンガーの指摘どおり、ルイズの『ディスペル・マジック』があれば、ロナの術を解き、なんとか勝つことも可能だっただろう。
しかし今ここにいない人間の話をしても意味はない。

「そしてぇっ!」

突如叫んだロナは、振り上げた拳をそのまま、才人めがけて振り下ろす。

「うわっ?」

才人は結構なスピードで振り下ろされるそれを横っとびに避ける。
ロナの拳は文字通り大地を割り、地面に突き刺さった。
ロナはそれを容易く引き抜き、そしてまた吼える。

578:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:33:55 RDLODFz4
「鋼の拳は岩をも砕く!まさに我が『武装錬筋』は無敵!素敵!快適!」

最後のはなんか違う気がするが、それを突っ込む暇は才人にはない。
次々と繰り出されるロナの拳を、避けるので手一杯になってしまったからだ。
右のストレートをサイドステップでかわし、上から振り下ろされる左の拳をバックステップでかわす。

「くそっ!」

ロナの拳は面積が大きく、まるで巨大な戦槌を休みなく次々繰り出されているようだ。
しかし、相手の獲物が大きいということは、その分死角も大きいという事。

「撃滅のっ、アイアンっ、ストレィィィィィトっ!」

大気を巻き込み唸りを上げる鋼鉄のストレートを紙一重でかわし、才人は即座に前方に踏み込む。
もらった!
才人はがらあきの背中めがけて、デルフリンガーを振りぬく。
いや、振りぬこうとした。

「甘いのである!」

ロナはまるで背後が見えているかのように、振り抜いた拳を無理やり引き抜き、裏拳を背後の才人めがけて振りぬく。

「うわっ!」

才人はかろうじてそれをデルフリンガーで受け止めることに成功した。

「お、折れる折れるっ!」

その衝撃に思わずデルフリンガーの悲鳴が上がる。

「忘れんな相棒!あのデカブツ、文字通り後ろにも目ぇついてんだぞ!」
「わかってるっ!」

『千里眼の布』によって360度の視界を得ているロナには、背後からの攻撃など意味はなかった。
それはすぐにもう一度、証明される事になる。
不意にロナは背後めがけて左手を突き出す。
すると、彼の左手に圧縮された空気の塊がぶち当たり、四散する。
タバサの『エア・ハンマー』だ。
タバサは才人の戦闘中に詠唱を終え、斬撃ではなく打撃によるダメージを与えられる、『エア・ハンマー』による攻撃を行ったのである。

「無駄無駄無駄!どのような攻撃だろうと私には通じぬ!
 我が『武装錬筋』は無敵無敵無敵ィィィィィィ!」

吼えるロナを目の前に、才人は軽い絶望に打ちのめされていた。
何か、突破口はないのか?
そんな才人の前で、不意にロナが動きを止める。
まるで、痛みに堪える様に歯を食いしばり、微動だにしなくなる。
何かくるのか?そう警戒した才人に、ロナが語りかけてきた。

「…く…君は…学院の生徒かっ…!」

その声は、先ほどまでロナの発していた殺気に満ちた声ではなく、授業中に見せていた、あの熱血教師の声だった。
才人はすぐにある可能性を思いつく。
そしてそれは、ロナの言葉によって肯定される。

「…今の私は、私ではない…何者かが、私の中の衝動を開放したのだ…!
 この数秒だけ、なんとか意識をとりもど…」

579:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:34:49 RDLODFz4
そう、彼は何者かに操られていたのだった。
ロナは苦痛に歪んだ表情でそこまで言ったが、そこまでだった。
すぐにロナは元に戻り、好戦的な笑みを浮かべる。

「おおっとあんまり攻撃が温いので居眠りしてしまったわ!
 さあかかって来い!私の無敵で素敵で快適な拳が相手をしよう!」

才人はその言葉を聞いて、さらに絶望的な気分になった。
彼が操られていると分かったこの状況で、しかも並の攻撃が通用しない相手で、殺さない程度に加減して戦えと。
…ムチャな…。
しかし。
その絶望的状況を、彼の使い魔が救った。

私にまかせて。

心に響いたその声は、確かな自信に溢れていた。
才人はそのまま、流れてくるタバサの考えに耳を傾ける。
なるほど。これならいけそうだ。
しかし、この作戦、上手くいけばいいが、失敗すればタバサを大変な危険に晒す事になる。
だがその才人の心配は、タバサの心の声で打ち消される。

…サイト、信じてるから。

そう、この作戦が成功するか否かはすべて才人にかかっていた。
ならば。

まかせろ、俺は最強の盾、ガンダールヴだぜ!

心の声とともに、才人の身体に力が満ちてくる。
ガンダールヴの印が、眩しいほどに光り輝いていた。


「待たせたな!」

才人はタバサとの一瞬の心の会話の後、ロナ目掛けてデルフリンガーを構える。

「ようやく来る気になったか!
 さて、見せてもらおうか、どうやって君が私に抗うのかを!」

ロナは大きく右の拳を振りかぶると、才人目掛けて振り下ろす。
才人はそれをサイドステップで大きくかわす。ロナの拳のリーチの外へ逃げる。
そのロナの視界の隅で、タバサが動いたのが見えた。
しかし、ロナはそれを無視した。
なぜなら、タバサは『フライ』を使い、急速に上昇を始めたからだ。

「なるほど!学院に援軍を要請する気かね!」

ロナは言いながら踏み込み、今度はショルダータックルで才人に迫る。
才人は軽トラックの突進にも見紛うその一撃を後方に跳躍して避け、再び間合いを取る。
もう既に、ロナの視界からはタバサは消えていた。『フライ』の速度は馬の駆ける速度より速い。

「しかし!それは意味を成さぬぞ!
 なぜなら、援軍が来る前に君は私に倒されるからだ!」

間合いを取った才人めがけ、今度はロナの左拳が鋭いフックとなって襲い掛かる。
着地点を狙われた才人は、デルフリンガーでかろうじてそれを受け止める。
確かにロナの言うとおりだった。
たとえタバサがどれほどすぐれたメイジだとしても、全速の『フライ』で学院との道のりを往復するのは不可能だ。
さらに、学院にタバサと同等クラスの風使いはいない。
ロナの言うとおり、援軍は間に合いそうもない。

580:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:37:17 RDLODFz4
「それはどうかな!」

才人は言いながら、まっすぐ突きを繰り出す。
その突きにはガンダールヴの力全てがこめられていた。
この一撃なら、ロナの鋼の肌を突き破る事も可能だろう。
その鋭さを察したロナは、両の拳でデルフリンガーを挟み込み、その一撃を止める。

「これが君の全力全開かね?
 だとすれば強がりも甚だしいぞ!我が力の半分にも及ばぬではないか!」

ロナは言いながら、そのままデルフリンガーを捻ろうとする。
しかし才人の手を緩まない。デルフリンガーを更に強い力で押し出し、ロナに突きを食らわせようとする。
ロナはさらに力を込め、才人を押し戻そうとする。
二人の力は一見拮抗しているように見えたが、そうではなかった。
じわじわと、才人が押されている。
二人の間で、デルフリンガーが悲鳴をあげる。

「あ、相棒、折れる、マジ折れるって!」
「堪えろデルフ!ここが踏ん張りどころだっ」
「ふふん、剣が折れるのが先か、君が力尽きるのが先か!根競べだな!」

そしてさらに、才人は押し込まれていった。

その頃。
彼らのはるか上空。
白い雲を引き裂き、青い髪の少女が現れた。
タバサである。
彼女は『フライ』の術を使い、この高度までやってきた。
そして、ある程度位置を修正すると、タバサは術を解く。
タバサを覆っていた浮力が途切れ、乱暴な加速が始まる。
タバサは頭を下に、一気に雲を突きぬけ、落下していく。
風がタバサの周囲で渦を巻き、音を立てる。
その落下の中、タバサは呪文を唱えていた。
その呪文は『エア・ハンマー』。
ロナに放った、風系統の打撃系呪文である。
彼女はその呪文を、極限まで範囲を絞り込み、そしてできるだけ距離を伸ばすように、詠唱していた。
タバサの心の中には、絶えずある情報が送られていた。
それは、才人の居場所。
彼女の主人が今どこにいるのか、使い魔である彼女には手に取るように分かる。
タバサはその情報を頼りに、落下位置を決めていた。
すぐに、彼女の視界に組み合う二人の男が写る。
才人は必死に、ロナの動きを止めていた。
そして。
タバサの狙い通り、ロナはタバサに気付いていない。
そして。
攻撃目標が射程距離に入る。
極限まで絞り込まれた『エア・ハンマー』が解き放たれる。
それは正確に、ロナの脳天を打ち抜き。
鋼で覆われた彼の頭蓋を揺らし、彼に脳震盪をおこさせたのだった。
これが、タバサの考えた作戦である。
『千里眼の布』は、360度見渡す事はできても、直上への視界はない。
そこで彼女は、ロナの真上からピンポイントで彼の頭を狙い打つ作戦を立てたのだ。
そしてこの作戦はここで終わりではない。
『エア・ハンマー』の有効射程ギリギリの高さだと、『レビテーション』も『フライ』の詠唱も間に合わないのである。
だから、この後の事も作戦には織り込み済みであった。
気絶して倒れるロナを土台に、才人はデルフリンガーを逆手に持って飛び上がる。
送られて来る情報を元に、正確に、彼の使い魔を受け止められる場所に。
才人は放物線の頂点で落下してくるタバサを捕まえると、そのまま着地する。
落下の衝撃で、才人の脚に痺れが走ったが、ガンダールヴの力がそれを抑え込んだ。
才人は腕の中のタバサに、にっこりと笑ってみせた。

581:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:38:19 RDLODFz4
「上手くいったな!」
「うん」

こうして、二人は勝利を収めたのである。

目を醒ましたロナは、元に戻っていた。
どうやら『エア・ハンマー』の衝撃で暗示が解けたようだ。
『千里眼の布』を返した彼を問いただすと、彼は事件のあらましを全て語ってくれた。
彼の本名は、アルフレド・ドナヒュー。教師になることを夢見ていた、ギルフォード魔法学院の職員の一人。
ロナ・アルベルト・シモンズと彼は同僚であったという。
しかし彼は二つの系統しか使えない『ライン』であったため、ロナとは違い授業の助手を務める程度であった。
そんな中、アルビオン戦役のため、ギルフォード魔法学院は解体され、アルフレドは出兵する。
彼は自分で開発した『武装錬筋』の術でもって戦役を生き延びた。
そして兵役から帰ってきた彼に、ある朗報が訪れるのである。
放浪の旅人と名乗る女性が、トリステイン魔法学院からの書簡を持ってきた。
そこには、ロナの名前が刻まれていたが。
その女性は言った。
『あなたは教師になりたいのでしょう?ロナ・アルベルト・シモンズになれば、あなたはすなわち教師になれますわ。
 幸い、トリステイン魔法学院に、ロナ・アルベルト・シモンズを知る者はいない…。
 さあ、行きなさい、ロナ・アルベルト・シモンズ』
そして、彼女のはめていた指輪が光り輝き…。
アルフレドは、トリステインにやってきた。
どうしてそんな事をしようと言う気になったのか、彼にはわからなかったという。
そして、その女性はもう一度姿を現す。
『千里眼の布』を持って、教師として充実の日々を送っていた彼の前へ────。


ミョズニトニルン。

話を聞いたタバサは心の中でそう断定した。
間違いないだろう。
彼に暗示をかける際、なにがしかのマジック・アイテムを使ったのだ。
するってえと…ガリアが裏でまたなんかやってんのか…。
才人はうんざりする。
しかし、ガリアが関わっていると知っても、タバサは平然としている。
たいしたもんだな、とか才人が考えていると。

サイトと、一緒だから。

タバサの毅然とした心の声が、響いてくる。

私はもう、何も怖くない。
サイトがいるから、サイトと一緒だから。

そんな言葉に、才人の方が照れくさくなって、思わず視線を逸らして頬をぽりぽりと掻く。
タバサはそんな才人にそっと寄り添う。
そんな二人の前で、縄で後ろ手に手を縛られたロナが、いやアルフレドが、教師達に連れられていく。
そこへ。
生徒たちがやってくる。

「先生っ!」「せんせぇっ」「ロナ先生っ!」

縛られたロナを取り囲み、生徒たちは口々にロナを呼ぶ。
そんな生徒たちに、アルフレドは寂しそうに笑って、応えた。

「私はロナ・アルベルト・シモンズではないよ。
 …君たちを、騙していたんだ」

そして、アルフレドは顔を伏せる。

582:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:38:50 RDLODFz4
生徒たちは一瞬、声を失ったが。

「名前なんてどうでもいい!」「先生は先生だよっ!」「先生っ!」
「お、おまえたちぃぃぃぃぃぃ!」

そして湧き上がる声。
『先生、必ず戻ってくるからなっ!』『俺、それまで待ってるよ!』『どんだけ留年する気だよお前』
などという言葉が交わされるのを、タバサは冷めた目で見ていた。
そして、彼女のご主人様は。

「…なんかいいなあ、アレ」

抱き合う生徒と教師を見て、なんかちょっといいなあ、なんて思ってしまう。

…サイト、趣味悪い。

そして容赦なく入る心の突っ込み。

え?チョットマッテ?なんかいいじゃんアレ?
…趣味悪い。

心は通い合っていても、まだまだ分かり合えない二人であった。


後日。
事の顛末を聞いたタバサの使い魔は。

「シルフィ呼べばよかったのねー!何もサイトがキャッチする必要なかったのねー!」

そう言ってタバサにえんえん文句を垂れ、杖でさんざん小突かれたという。~fin

583:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/10/28 19:41:07 RDLODFz4
すいませんごめんなさいこんなgdgdな非エロえんえん続けてごめんなさいorz
ていうかね、最初は土のメイジで土の触手でタバサが(ry)な話を考えてたんだけどもさ。
お兄さん陵辱もの書いてると気分悪くなるから無理なの!(ぁ

商業には向いていませんね!ええ!
んじゃまた今度はエロで会いましょうノシ

584:名無しさん@ピンキー
07/10/28 19:52:23 SBlxLQBs
>>583
いやぁ、爽快な物語ありがたう!
エロを書けやw

585:名無しさん@ピンキー
07/10/28 20:02:41 Q883buH2
>>583
やっと終わったーー!乙で~す
というワケで、最初から読んできます

こんな焦らし逃れしてる俺は一体なんなんだ…

586:名無しさん@ピンキー
07/10/28 20:16:07 36upMPBt
ルイズ分が足りない!

587:名無しさん@ピンキー
07/10/28 20:18:33 ZchhT3yf
つルイ酢

588:名無しさん@ピンキー
07/10/28 20:26:36 36upMPBt
湯豆腐でも食うかな…

589:名無しさん@ピンキー
07/10/28 21:15:06 GStHGSJe
GJですぜ職人の皆様方w
つーか一気にきたな。さすが休日。

590:君の声と約束
07/10/28 21:55:57 pp61YsGF
連続の非エロですが、投下します。

※拙作『離別』と設定上つながっていますが、読まないでも大丈夫ですw

591:君の声と約束
07/10/28 21:57:36 pp61YsGF
これは自分が決めたこと。貴族だからとか、人に言われたからでもなく、自分で約束した。
だからやるって決めた。他の誰に止められようとも、やり遂げる。それが、この約束を交
わした大切な人への、私の精一杯の言葉になるから。

「こんなもんでいいかしらね」
「あぁ、いいんじゃねぇの?」
「ちょっとボロ剣、言い方が投げやりすぎるんじゃない?」
「んなこと言われてもよお」

今までに成功例のない作戦会議を終えて、私はその準備をしていた。私の使い魔、サイトが
明日、元の世界へと出発する。今頃サイトは皆の所へお別れの挨拶に行っているだろう。

「そこまでしなくてもいいと思うんだがねぇ」
「何言ってるのよ? それじゃ、私もサイトも納得しないわ」
「自分が納得しないだけじゃねぇのか?」
「何か言った? ボロ剣」
「~♪」

デルフの言葉が、私の中で反響しているかのように残る。
『自分が納得しないだけじゃねぇのか?』
確かにそうかもしれない。この日が近づくにつれて、私の中の『帰ってほしくない』とい
う気持ちが強くなるのをしみじみと感じる。明日サイトは自身の世界と私、どちらかを選
ぶことになるだろう。さすがに私も勝てるなんて思ってはいない。いないけど、それでも
サイトは私を選んでくれるんじゃないかって、期待してしまう。

「とにかく、作戦通りお願いね」
「ヤダ」
「……」
「謹んでお受けいたします」

ボロ剣を残し、私は部屋を出る。

これが私のサヨナラの仕方。




592:君の声と約束
07/10/28 21:59:12 pp61YsGF
~~~『君の声と約束』~~~


「『行ってらっしゃいませ』か……」

シエスタの部屋を出た俺は、先程の会話を思い出していた。大方の挨拶は終わり、ご主人
様であるルイズの部屋へと戻っている途中である。
「いざ帰ることができるとなると、不思議と帰らなくてもいいんじゃないかと思えるから不思議だよな」
実際、一度元の世界へと戻ったらこっちに帰れない可能性が高い。だから、ということも
あって挨拶に行っていた訳なのだが、やはり別れはつらい。皆が無理して喜ぼうとしてい
ることがさらに悲しくさせた。
「ん~、どうすっかなぁ」
やっぱ俺って流されやすいのか? などと思いながら、俺はルイズの部屋のドアを開けた。

「ん? ルイズ?」
まったく、相談しようかと思ったら、あいつはどこに行ったんだよ。仕方がねぇ、デルフに聞くか。
「なぁデルフ、ルイズは……」
「お、相棒! 帰ったか、マズイことになっちまったぜ」

一瞬、時が止まったかと思った。

「何があった!?」
「と、とにかく机の上を見てくんな」
見てみると、一枚の手紙が置いてある。

『貴方の愛しのご主人様、才色兼備、クールでキュートな麗しのルイズ・ド・ラ・ヴァルリエール様はいただいた。
 返して欲しくば、夜、学院の広場までやってこい。
 来ないと許さないんだからね。
土くれ』

「………………ふっ」
正直コメントは控えさせていただきたいな、まじで。土くれのフーケの手紙とか見たこと
はないが、どう見てもこれは……
「相棒?」
「はぁ……」
脱力して床に座りこむ。慌てた自分が馬鹿のように思えた。

「なぁデルフ……」
「なんだい相棒」
先程とはうってかわって落ち着いた、いつものデルフの声、これが意味するのは一つだ。

「あのさ」
「みなまで言っちゃいけないぜ。相棒」
「そうだな。じゃあ、ルイズはどこに行ったんだ」
「金髪巻き毛のお嬢ちゃんとこじゃねぇかい」
「そりゃ、安心だな」

あまりの脱力に笑うことすらできなかった。そんな俺の内心をよそにデルフは話し続ける。
どうやら久しぶりに話せるのが嬉しいらしい。
「ところで相棒、俺の演技どうだった? なかなかだろ?」
「……ま、よかったんじゃね?」
「そうか」
「あぁ」


593:君の声と約束
07/10/28 22:00:54 pp61YsGF
「相棒、女ってやつは何考えてるかわかったもんじゃねぇな」
「確かにな。ところでデルフって男なんだよな?」
「女だったらどうする?」
「いや、何もできねぇだろ」
「ま、そりゃそうだ」
「萎えるしな」
「ひでぇな、相棒」
「そうか?」
「そうだろ」
「そっか」

以下こんな会話をしつつ夜になった。
俺はデルフを片手に部屋を出て広場へと向かう。
「双子の月も、今日で見納めか」
「相棒の世界には一つしかなかったんだっけか?」
「あぁ」

また、広場に向かう途中、様々なものを見て、また思い出していた。
「風呂か……」
「相棒の自信作だぁね」
「別に、それほどのもんじゃねぇよ」
懐かしい雰囲気をもつ黒髪の少女が、ふと浮かぶ。涙ながらの別れになってしまったが、
彼女は強いからきっと俺がいなくてもうまくやっていけるはず。それにしてもシエスタの……、
いや、やめとこう。

「お、相棒。そういえばここら辺で酒をあおってなかったかい?」
「思い出したくねぇ話だな」

ご主人様に追い出され、他人の使い魔を集めて絡んでいたことを思い出す。

「さて」

そして広場、俺とルイズが初めて出会い、そして初めてのキスをした場所。

「来たぞ、ルイズ。いるんだろ?」
「……なんで?」
「あんな変な文章書くの、お前以外いねぇよ」
「っ……うるさいわね。でも丁度いいわ」

今のルイズの声に、少しだけ喜びがふくまれていた気がした。あくまでそんな気がしただけだが。

「ヒラガ・サイト、私と元の世界への帰還を賭けて、決闘しなさい!」

ルイズの表情は雲の陰に隠れて見えなかったが、その言葉には明らかに決意の色がみてとれた。
「相棒、お嬢ちゃんは本気だぜ」
「わかってる」
さすがにここでボケるほど空気読めないこじゃないつもりだぜ。
「次に月が出た時が開始の合図よ」
「わかった」
ルイズが何故突然決闘を申し込んできたのかはわからないが、この勝負は受けなきゃなら
ないだろう、ということはわかった。ルイズがあんな手紙まで書いてやろうとしたこと、
その真意が知りたい。


594:君の声と約束
07/10/28 22:02:27 pp61YsGF
暫くの間、風の音と体勢をかえるときにする砂の音だけが占める穏やかな空間となった。
未だ月が出てくる気配はない。
ふとルイズの方を見る。相変わらず表情は伺えない。声が聞こえないので、おそらくは詠
唱もしていないのであろう。本当に貴族らしいやつだなと思わず苦笑してしまう。
「どうしたんだい、相棒」
「いや、なんでもない」
慌ててデルフを構えなおす。真剣勝負で呆けているなど男としてどうかと思うし、彼女も
また真剣たることを望んでいると思ったからだ。
やがてゆっくりと辺りが明るくなっていく。月が……見えた!
デルフを下手に構え走り出すのと、ルイズが詠唱を始めるのが同時。
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ……」
「エクスプロージョンか……それでも」
既知の通り、虚無の威力は詠唱時間に比例する。この距離ならばエクスプロージョンの威
力は大したことないうちにルイズのもとへと到達する。俺はデルフを握りなおす。
だがルイズはすぐに魔法を地面へと解放した。
ボフッ
「くっ……」
辺り一面が砂ぼこりにまみれる。
「くそっ、目に砂が」
「相棒、距離をとれ! 的になる」
互いに視界を遮られた場合、攻撃範囲の広い方が有利である。この距離でエクスプロージ
ョンをくらうわけにはいかない。
素早く後方へと待避し、姿勢を低くする。砂ぼこりの中からは、またはっきりと詠唱が聞
こえてきた。

「ん?これは……」
「イリュージョン、だね」
「何をする気だ?」

通常、イリュージョンは存在を偽装することによって効果を発揮する。つまり、イリュー
ジョンの使用がバレた場合、その効果はほとんどない。ましてや使う前を見ているのだか
ら、使用前に無かったものが幻想なのである。これでは意味がないはずである。
とにかく目が見えなくては何もできない。俺は目をこすり、なんとか目をあけた。次第に
砂ぼこりも消え、視界が開けてくる。

「なっ……!」
「なるほどね」


595:君の声と約束
07/10/28 22:04:02 pp61YsGF
現れたのは、五人のルイズ。おそらくは自身の姿を四人分投影したのであろう。
「最小限の詠唱でここまで、やるねぇお嬢ちゃん」
「関心してる場合か」

ほんとに俺を帰さない気かよ、と独りごちる。それと同時に嫌な記憶まで蘇ってきた。
「ちっ、なんか見覚えがあると思ったら」
「『風は偏在する』ってか」
某スクエアクラスのメイジが使ってた魔法にそっくりである。
「でも“偏在”とは違う」
“ルイズ達”の方を見ながら呟く。その違いとはただ“風”と“虚無”の差というわけで
はない。明確な差がそこにはあった。
「ルイズの攻撃も五分の四が偽物になるはずだ」
分身系統の魔法と違って幻想魔法は投影されたものに実体がない。
つまり、“詠唱のポーズ”や“攻撃自体”を映すことができても、こちらにダメージを与
えることができないのである。
「つまりお嬢ちゃんの狙いは」
「隙をついて、でかいの一発ってとこか」
そこまでわかれば十分だ、と俺は走り出す。先程のような不意打ちを警戒したのと、相手
がルイズということで全速力の八割も出ていなかったが、決闘においてはこれでも十分な
速さだった。狙いを定められないように多少ジグザグな動きをしながら距離をつめる。
「さらにもう一つ」
ルイズは決定的なミスを犯していた。

トリステインの貴族に多い、堂々とした詠唱。それが本物を教えてしまっている。俺は声
のする“ルイズ”に狙いを定めて一気に懐へと入り込む。
「みね打ちだ、勘弁しろよ!」
ドスッ
「きゃっ!」

ルイズの短い悲鳴とともにデルフの頭が実体を捉えた。かはっ、とルイズは息を漏らす。
これがイリュージョンによる幻想でないことは明らかだ。
「俺の……勝ちだ」
確かな手応えに俺は自分の勝利を確信した。デルフを握る力も弱めて、ルイズの様子を伺う。
「……ハ・ズ・レ!」
ポンッという音とともにルイズであったものは煙を発して人形になる。
「なっ…ア……アルヴィー?」
「相棒っ左だ!」
確信を崩されたという動揺から動きが遅れる。振り向いた時には、既にルイズは杖を振っていた。
「しまっ――!」
「へぶ!」
手元が爆発し、デルフが吹き飛ぶ。
「うああぁぁぁぁぁあああああ!」
デルフの叫び声が夜の学院にこだまし、そのまま弧を描きつつ後へと突き刺さった。
「チェックメイトよ」


596:君の声と約束
07/10/28 22:06:03 pp61YsGF
全身から力が抜ける。俺は地面へと倒れこんだ。
「負けた……のか」
口からでてきたのはそんな言葉。不思議と悲しくはなかった。帰れなくなったという実感
がないだけかもしれないが。夜の広場が一層静かに感じる。
あいつはどんな顔をしてんのかな、とルイズの方を見た。
「……なんでおまえが泣いてんだよ」
なぜかルイズは頬を濡らしていた。小刻みに震える肩。ルイズは俺の傍にやってくるとへ
たりと座りこんだ。
「うううっうるさいわねっ! これで、あんたも安心して帰れるでしょ」
「は?」
「あによ?」
「いや帰れるかを賭けた決闘じゃ」
「そうでも言わないと本気でやってくれないじゃない」
泣き顔を見せないようにうつ向くルイズ。もしかしたら決闘中も我慢していたのかもしれ
ないな、とそんな気がした。
「そっか」
不器用なやつ、と心の中で笑う。少々投げやりな返事をしつつ星空を見上げる。
「ありがとな」
二つの月が綺麗だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

数日後に俺は無事に元の世界へと帰還する。その後さらにゴタゴタがあったが、そんなことは些細なことに過ぎない。そして俺は、ルイズが内緒で書いた手紙をパーカーのポケットに見つけ、こう言うのだ。

「あれ? 読めねぇ。……なぁんだ、もう一度あっちの世界に行かなきゃならねぇのかよ」

~Fin~

597:ぺとるーしゅか
07/10/28 22:09:18 pp61YsGF
投下終わりです。
実は何スレか前に、ネタバレされてしまったので消そうとしたら
『消しちゃらめぇぇ』とか言われたやつです。
どうでもいいですね。それではノシ

598:名無しさん@ピンキー
07/10/28 22:11:07 ypSMg13J
>>597


GJ!!!

599:名無しさん@ピンキー
07/10/28 22:13:35 TbSsD/ME


600:名無しさん@ピンキー
07/10/28 22:34:27 6zmUJrVq
>>597
ぐっ、GJ!!だなんて、言わないんだからねっ!! www

601:睡眠 ◆CSTs7hoBww
07/10/28 22:56:35 fbnvByTe
(まだシエスタが才人のお付になる前の話。)

すぅー…すぅー…

眠りに入る前の不定期な呼吸から定期的な呼吸へと変わる。
ルイズはその事を確認し、うっすらと目を開ける。
寝る時は気恥ずかしさからか、隣の使い魔に背を向けて寝ているが…
先に向こうが違う世界へ旅立った時は自分のやりたい様にさせてもらっている。
既に何回か肌を重ねたはずなのに、未だに気恥ずかしさが消えないからだ。

ここ最近、ルイズはお隣が寝静まった後に同じような事をしている。
そこから学んだ事は、この犬はちょっとやそっとの衝撃では起きる事が無いという事。
しかし、今日は運が良い。普段なら両者ともに背を向けあっているために
一度身体をルイズの方へ倒さないといけないのだが、その日の犬はすでに寝返りを打っていた。

ご、ご主人様より先に眠るなんてぇ~っ!
と、頭で思っていても顔は全く逆の思考を考えているようで…
とりあえず、使い魔の腕を伸ばし自分の枕にする。最近のお気に入りだ。

女の自分とは全く肉付きが違う腕、ゴツゴツしていて枕になんてとても向いた物ではない。
しかし…その腕に桃色がかった頭を乗せてしまうとこの世のどの枕よりも寝心地が良い。
こんな事で悦に入る自分を最初は嘆いた。それも大いに嘆いた。

あた、あたしがこいつの腕で寝る必要なんて、まま全くないのよ!そ、そうよ!こいつがそうしたがってそうだからなのよ!

自分で身体の向きと腕の方向を変えておいてどの口がその台詞をしゃべるのか
その問題を解いた時、きっとその解答者と犬は消し炭になるだろう……

話はズレたが、桃色は数日前の自分の行いを全く忘れている。
いや、正確には忘れてはおらず今の行為に耽っているだけなのだが…
ただ、「耽っている」とは言えそんな邪な事をしている訳ではない。
伸ばした使い魔の腕に煩悩を抱え込んだ頭を乗せ、深呼吸をする。

たったそれだけ。
それだけの行為が、どうしようもなく止められないのだ。
一度深呼吸をすれば、石鹸の匂いと才人自身の匂い。その混合物が肺を覆う。
その混合物がまるで麻薬の一種でもあるかの様に、ルイズの頭に桃色の霞を広げていく。

うぅー…さいとのにおいぃ…もっとぉ…

顔はすっかり緩みきって普段の彼女ならば見せないようなアホ面…もといニヤケ面であった。
今の匂いに慣れてしまったのか、彼女の頭は更なる強い匂いを求めていた。

地球にいれば決してお目にかかる事が無いハルケギニアの双月は昨日と変わる事の無い柔らかな光を
地上へと降り注ぎ、人はその恩恵に預かる。
それはここ、トリステイン魔法学院も例外ではなく学生が寝泊りする寮にも注がれている。

もちろん、桃色能天気とその下僕が寝泊りする部屋にも…
その月明かりを頼りに、才人との距離を縮めていく。
二の腕あたりに居た桃色の髪の塊は徐々にその位置を肩の付け根と動いていった。

頭を動かす度に鼓動が早く大きくなった。
まるで、今この部屋に誰か居れば自分の鼓動が聞こえるんじゃないかと思うくらいの。
丁度、頭は肩の付け根より少し下あたりにやってきた。
目の前には胸板、前髪には才人の鼻息が少しかかっている。
自分と同じような構造の、それでいて作りが全く違う胸板にそっと触れてみる。
鼓動の速さ、硬さ、その他諸々正反対。
何回も触っているはずなのに、触る度に新しい発見がある気がする。

602:睡眠 ◆CSTs7hoBww
07/10/28 22:57:10 fbnvByTe
ピタピタと触っていると、急に使い魔が動き始めた。
ビクッと身体を強張らせて様子を伺ったが、なんて事は無い。少しの寝苦しさを感じただけだろう。
そう思ったのがルイズの間違いで、余った手がそのままルイズの背中へと回され自身は胸板へと押し込まれた。

普通の人なら苦しいと思うべきだろう。寝ているとはいえ、いや寝ているからこそ力加減は普段とは違う。
しかし、その中でルイズは一種の恍惚状態に陥っていた。

さいとが……ちかいぃぃ…んぅ……これ、いい……

にへらーと頭のネジが数本飛んでしまったような顔を浮かべ、嬉しいトラブルで悦に浸る桃色天然娘。
自分の手の居場所が無くなってしまったので、「仕方なく」才人の首に手を廻す。

あんたがねぇ…犬みたいにこうがっつくからなんだからね!まったくもう…

さながら不審者のようにニヤニヤしながら口ではブツブツと何か呟いている。
不意に、使い魔の口が動いた気がした。
口を噤み、犬の口に視線と注意を送る。

「ぅ…るいず……」

最初は何を言ってるか分からなかったが、分かった瞬間顔が噴火した。

な、ななな何を言ってるのかしらね!?この、っこの犬はっ!?

そんじょそこらのバカップルの様にくっつきながら悪態を付く桃色。
端から見たら滑稽以外の何者でもないが、ここでは双月以外見る輩なぞ無い。

比喩ではなく、真っ赤になった顔を鎮めるべく才人の胸板に顔を沈めた。
心臓が血液を送り出す音が心地良い。

…ね、寝ながらご主人様を呼ぶその心意気だけは…か、か感謝したげるわ!
こ、これはその、嬉しいからとかそんなんじゃないのよ!ご主人様なんだから報わなくちゃね!

いつも通りの訳の分からない持論を繰り広げた後、意を決し自分の名を呼ぶ唇を閉ざさせた。
もちろん、使ったのは自分の唇だ。
空気を通して感じる匂いと、粘膜を通して感じる匂いとでは訳が違う。
その匂いを認識すると、桃色の霞は急速にその範囲を広めゆっくりとルイズの意識を奪っていった……


朝、才人は信じられない光景を目にする。
自分がルイズを抱いている。
しかも、ルイズの手は自分の首へと伸びている。

「これさ…バレたら俺死ぬんじゃね?」

そう呟き終えた瞬間に、ルイズの目がゆっくりと開かれた。

「あ、あああのな、ルイズ。これはな、違うんだ。な?な?」

気だるそうに、その言葉を無視しルイズは開けた時とは比べ物にならないくらい早く目を閉じた。

今日は…虚無の曜日なのよ…バカ犬…

それで分かりなさいよ、といった語気が感じられる。


この後、二人はお楽しみだったとか、そうでないとか。 ~オワリ~

603: ◆CSTs7hoBww
07/10/28 22:59:56 fbnvByTe
どうも、お久しぶりです。と覚えてる方はいらっしゃらなそうですがw

ちょっと、身の回りがゴタゴタしてたり、普段書いてるノートパソコンに水ぶっかけて壊したり
最近ようやく、かける環境が整ったのでまた参戦させていただこうかと・・・

手始めに、>>586氏がルイズ分を欲しがってたので思いついたネタでちゃちゃっと書き上げてみました。
一気に書き上げてしまったので、誤字脱字があるかもしれませんが
そこらへんは脳内補正でどうかお願いしますorz

鳥はこれであってたかな・・・
では、またお会いしましょう。

604:ぜろ☆すた
07/10/28 23:06:42 BzQ7DAcB
~地球~


「なんだよこれ……」

俺がゲートを潜り抜けそこにあるのは確かに地球の日本の秋葉原だった。
ただ何かが違う。灰色の空、崩れ落ちてるビル、昼だというのに人一人いない。
地震でも起こったのだろうか。いや、それで人がいないのはおかしい。電気もついていない。
秋葉原に電気がついてないだなんておかしすぎる。それに雑音一つ無く、かえって耳が痛くなりそうだった。
小さい女の子ようの赤い靴が片方落ちていている。道路を見ると走行していたの車が瓦礫によって押しつぶされたようだ。
中の人はいるのか?近寄って確かめてみた。しかし運転席には誰もいない。脱出したのだろうか?
……違う。脱出したのならドアが開いているはずだ。だから脱出できるはずが無い。
なのに遺体がどこにも無いってどういうわけなんだ?


「おーい!誰かいませんかー!」

とりあえず俺は叫んだ。人がいるって信じたかった。返事が無い、まるで町自体がただの屍のようだ。
せめて高い場所から町が見たかった。東京の高層ビルは全て崩れ去っていた。
まずは家族を探すために近くのハーレーに乗った。キーがさしてある。考えたくないが乗ろうとした時に消えてしまったのだろう。
考えるだけで吐き気がしてきた。だから、無用心だな、と思って気を紛らわそうとした。いや、現実から眼をそむけようとした。
バイクをものすごいスピードで走り向ける。時速200キロは出してるだろう。

605:ぜろ☆すた
07/10/28 23:07:26 BzQ7DAcB
自分の家の場所についてみると確かにある自分の家。鍵は開いていなかったので家族で決めている鍵の隠し場所である倉庫から鍵を取り出して玄関を開けた。
久しぶりに嗅いだ自分の家のにおい。それだけで眼が潤んできた。
そして二階の自分の部屋に行った。自分がハルケギニアに飛ばされた頃から変わらない自分の部屋だった。
本棚には自分のマンガ本や使ったのが一回しかない参考書、作文を書くときに使った辞典。
勉強なんて居間でやっていたからまったく使うことの無かった机。
タンスに入っているもう背が伸びてしまってきることが困難そうな服。自分が使い慣れてたベット。
だいぶ疲れていたのでデルフを壁に立てかけてベットの上に大の字になった。
自分の家族はもういない。父さん。親孝行できなくてごめんな。母さん。味噌汁のみたかったよ。
さっき居間の机においてある写真立てを見た瞬間から涙があふれ出てきた。
ルイズ、明日から俺はどうすればいい?カンダールブの刻印をなぞりながら答えを出す前に俺は眠りにつこうとした。

606:ぜろ☆すた
07/10/28 23:08:12 BzQ7DAcB
一睡もできなかった。
次の日、向かっているのは新東京タワー。600mもあるのだから東京の町並みを見るよりいいのではないかと思ったからだ。
自分がハルケギニアにいた頃はまた建設されてもいなかったがもう自分も20代だ。もう建設完了してあるだろうと思っていた。
そして新東京タワーついたらその大きさに圧倒された。建設当初は600mって聞いてたけど、これ1000mはあるぞ?
きっと建設当初高さでは世界一にならないから意地張って作ったんだろうな。中に入りエレベーターのボタンを押してみると扉は開いた。
きっと非常用の電源は生きているのだろう。もし電源が無かったら1000メートルの高さを階段で上らなきゃならない。
どこかの高校ラグビー部の約三倍だ。カンダールヴの力なら無理ではないだろうが、さすがに上るのは疲れる。ほっとした感じがしてエレベーターの中に入った。
エレベーターはぐんぐんとものすごい勢いであがっていく。第三展望台までの直通のエレベーターだ。気圧の変化で耳が痛くなってきたのでつばを飲んだ。
第三展望台につくとサイトは言葉が出なかった。上から見下ろした東京は廃墟というよりも地獄だった。
バイクでも見てて分かったが、ほとんどのビルは破壊されていた。
まるで時間が止まっているかのような世界。ジョジョもびっくりな世界だ。
なんだこれ?これが東京?あのカップヌードルの世界でも人はいたぞ?だけど人は一人もいない。だから何も動かない、動いていない。
サイトはデルフリンガーを抜いた。
「一日ぶりだね、相棒」
「ああ、一日ぶりだな」
「おでれーた!これがお前さんの言ってた日本かい?」
「ああ、そうだよ。だけど何でこんなになったか分からない。ほとんどの建物は崩れてて人は一人もいない。死んだんじゃない、消えたんだ、突然に」
「…………きっと「始祖の虚無」のせいだろうな」
「………」
「予想だが「始祖の虚無」はハルケギニアだけじゃなくこの地球にも影響を及ぼした。
ハルケギニアの「始祖の虚無」は発動段階で防げたが地球の「始祖の虚無」は防ぐことができなかったんだ。
そして地球が造り変わる直前に俺たちがハルケギニアの「始祖の虚無」を防いじまった。だから人は消え、建物がこんな状態なのさ」

607:ぜろ☆すた
07/10/28 23:08:58 BzQ7DAcB
「………じゃあもうこの地球に希望は無いのか?」
「……わからんさ。あくまでこれは予想だ、真実じゃない。「始祖の虚無」はあの時全てを飲み込んだわけじゃない。
ハルケギニアにはあの真っ赤な空だったが、サハラやロバ・アル・カリイエのほうにまであの空だったかはわからねぇ。
もし地球もあっちと同じように影響を受けたのなら、まだ無事なところもあるかもしれないぞ?
希望を捨てるにはまだ早いんじゃねーのか?」
「……だけど世界中を旅するなんて簡単なことじゃない。ましてや人がいないこの世界でだ」
「……うん」
「それでも俺はやらなきゃいけないのか」
「……ああ、そうだね。お前さんはやらなきゃならない責任がある。……大丈夫だ。オイラがついてる。そしてお前さんは、今や真のガンダールヴだ。」
「そうだけどそれがどうしたんだ?」
「お前さんは気づいて無くて当然だが……お前さんは覚醒したときにルイズの虚無を受けた。
それはガンダールヴ後からの扉の『鍵』をあけるものだよ。扉の開け閉めはお前さんだけでもできる。
それにブリミルが「始祖の虚無」を作った理由をお前さんは分かっているのかい?」
俺の頭の中では考えがつかなかった。
「ブリミルは聖地の奪還を目的としていた。だがエルフは強い。ハルケギニアの国が全て集まっても敵わないし虚無の担い手がたった4人では無理だ。
だからもし聖地を得ることができなかった時のために「始祖の虚無」を準備しておいたのさ」
「……全てが無かったことにできるように、か」
「そうだ。そしてその「始祖の虚無」の魔力はこのデルフリンガー様の体の中に入ってる。そして真のガンダールヴとなったお前さんは不老不死だ」
「は?なんで?」
「お前さんは世界を見届ける必要があるんだよ、サイト。ブリミルだって人間だ。人類が滅亡して欲しくないだろうさ。
「始祖の虚無」が発動したら何もかもが無かったことになる。「始祖の虚無」は最終手段だからな。世界が終わりそうになったらお前さんが防ぐんだよ。
そして人類が死滅しかけたら子供が作れるようにするためだ。だかさブリミルはお前さんを不老不死にしたんだよ。
じっさいに一睡もできなかったんだろ?寝つきが悪かったからじゃない。寝る必要がねーからだ」
「……なんだよ、それ。もう何いっていいかわかんないよ。フリーザさんも叶えられなかったことを俺がやってのけてしまうなんてさ。」


608:ぜろ☆すた
07/10/28 23:10:03 BzQ7DAcB
俺はできる限りのものを持った。だけど食料や水は要らない。死なないから。
寝袋もいらない。寝ないから。だけどその代わり発電機と一眼レフのデジタルカメラとありったけのメモリーとGPS。
そして相棒のデルフリンガー。まるでジャーナリストみたいだな。


そしておれは数百年を旅した。さびしくは無かった。デルフがいたから。
ただ会いたかった。人に、生命があるものに。だけど木には会えたが虫も鳥にも人にも会えなかった。俺は写真をとり続けた。

「なぁデルフ」
「なんだ?相棒」
「ひといねーな!」
「そうだなー!」
「世界中旅したけど67億人中一人も見つけれなかった!」
「そーだなー!」
「今俺たち何歳だろ!」
「わからんねー!」
「どうしたらいいんだろー!」
「どうしたいんだー!」
「ルイズたちに会いたい!」
「会いたいなー!」
「でもその方法がわかんねー!」
「だったら俺様で空気を斬ってみろー!」
「わかったー!ゼァア!」
「ゲートが開いたぞー!よかったなー!相棒ー!」
「うん、よかった!ってええええええぇぇぇえぇぇぇ!!」

それは確かにハルケギニアから地球へくるために通ったゲート。

「な、なんでゲートがでるんだよ!……もしかして、デルフてめぇゲート作れるっとこと知ってやがったな!」
「いいじゃねーか。不老不死なんだし。一様世界見た後で作ったっていいだろう?」
「だからって教えてくれるくらいいいじゃねーか!」
「だって、相棒は聞いてこなかっただろ!?」
「おまえ、こんな世界見たらハルケギニアに帰りたいって思うだろ!なんで新東京タワーの時教えなかった!」
「だってオイラ剣だもん、人間の気持ちわかんないもん!」
「うるせー!俺の数百年の苦労返しやがれーー!」
俺はデルフを近くの岩に何度もたたきつけた。
「ごめ、ちょ、痛いって!」
「成敗成敗成敗!」
「お、いげ、とがき、え」
「あー!?なんだって?」
「だからゲートが消えかかってんだよ!俺が吸い込んだ「始祖の虚無」の魔力はもう無いからゲートが消えたら二度と……」
「うううぅぅぅおおおぉぉぉ!!」
俺はデルフの説明を聞く前にゲートに飛び込んだ。


609:ぜろ☆すた
07/10/28 23:12:05 BzQ7DAcB
ども。虹山です。
やっぱ日曜日だけあってたくさんのssが投下されてますね。
すいません。後編どころか中編で終わってしまいました。ごめんなさい。
エロがかけるかな?それが問題……

610:名無しさん@ピンキー
07/10/28 23:16:13 Q883buH2
>>603
久しぶりのルイズネタだ~
ルイズカワエエな。GJです

>>609
こういう展開も好きだな~
まぁ焦らずに、濃い続き書いてください。GJです

611:名無しさん@ピンキー
07/10/28 23:35:26 DuTIsEF/
GJです。続き期待してます。

612:名無しさん@ピンキー
07/10/28 23:39:02 SBlxLQBs
>>603
そのルイズを嫁に下さいw
>>609
あ~ん続くのねw

613:586
07/10/28 23:48:41 jDYfqiRb

ルイズ分が補充された、これほど嬉しいことはない。

614:予定は決定
07/10/29 00:26:34 Iqz7Ht9t
 時が経つのは早いもので、あと半年でこの魔法学院を卒業することになる。
 この書に書くのも、これが最後。内容は、簡単。
 ―旅立つ日、私はヒラガサイトと結ばれる―
 この一行だけ。
 もう、この書を開くことも無いと思う。最後に書くのはこれにしよう、と決めてたから。
 もっとも、今開いてるのは最後のページ。これ以上書く事が出来ないから、開くことがなくなるのは、決めてても決めてなくても同じことだった。
 私は、その書を閉じて、本棚の中にしまった。サイトに見られるかもしれない危険があるけど、サイトには『見たら駄目だからね』ときつく言ってあるから、たぶん大丈夫。
 それに、始祖の祈祷書と同じで、虚無の系統の人間しか見ることが出来ないみたい。
 半年の間に、やることはたくさんある。
 今よりももっと綺麗にならなくちゃならないし、今よりももっと魔法を習得しなくちゃいけない。この胸も、出来れば今よりも大きく。
 世界一の男の人に嫁ぐんだから、世界一の女にならなくちゃいけない。たぶん、この半年は今まで以上に忙しくなる。
 絶対絶対、サイトが見惚れるくらいの女になってやるんだから!
  
 始祖ブリミルは、偉大なメイジであったと同時に、偉大な予言者であったとも言われている。ブリミルの言うことに外れは無く、まるで全てが予定されてあったことのように。
 そして、ブリミルは全ての予言を一冊の書に残しているという。
 その書は、始祖の予言書と言われているが、本当に存在するかどうかはわかっていない。
 
 私は、始祖の予言書を見ながら、ため息をついていた。
 今まで、色々な事を書いて始祖の予言書を試してきた。
 サイトが転ぶ。サイトが私を抱きしめる。サイトが私に愛の言葉をささやく。サイトが私といい雰囲気になって……。
 全てが成功。始祖の予言書は、その通りの効果を示してくれた。
 始祖の予言書の効果は簡単。
 書いたことが、現実に起こること。
 人の命を奪うとかは出来ないけれど、ある程度のことならば叶えてしまう。
 明日は、特別な日になりますように……。
 そう願いながら私が始祖の予言書を見てると、サイトが部屋にやってきた。
 あ、サイト。え? 卒業おめでとう? まだ早いわよ。卒業式は明日。まあ、一応お礼は言っておくわ。え? 綺麗になったって? 何言ってるのよ、いきなり。見惚れるくらいですって? ……ありがと……。
 あ、ちょうどいいわ。……ねぇ、サイト。私からも言いたいことがあるんだけど、聞いてくれる?
 予言書に書いたことはただの予定。この予言だけは、私が叶えなくちゃいけない。
 予言書の力を借りちゃ駄目。なぜなら、これは私にとって一番大切なことだから。
 大切なことは、自分の力でやらなくちゃ。
 あのね? 私、サイトと……。

615:29Q
07/10/29 00:30:03 Iqz7Ht9t
思いついたのをそのまま書いただけだぜ。
そういえばまとめWikiで「雪風の~」がfell氏の場所にあったんだぜ。
直そうにも使い方がよくわからないぜ。
うへ。

616:名無しさん@ピンキー
07/10/29 00:45:34 6VMyOLHe
>>614
目からほんのり甘くてちょっぴりしょっぱい液体が出てきたよ…

617:名無しさん@ピンキー
07/10/29 01:52:13 kDw+6Vwt
>>614
貴殿のSSを読んだらウイングマンのドリームノートを思い出した

618:名無しさん@ピンキー
07/10/29 02:24:31 0XrFOG4H
サイトを転ばしたり、抱きしめさせたり、どう思ってるのか言わせたり…
いたずら書きを言い訳にして、色々と頑張ったんだろうなぁ、ルイズ。
もっとやれ。

619:名無しさん@ピンキー
07/10/29 02:35:34 WuYZKZaA
3032年にゼロ使第三期が始まるという夢を見た。
しかも内容が、サイトがスライムになって世界を覆い尽くすという訳分からん物だった。
目覚め最悪だから、もう一回寝てシャルロットとえちい事する夢見てくる。

620:名無しさん@ピンキー
07/10/29 02:39:59 QZ7oIbt8
>>617
ルイズが6本指になってしまうではないか。

621:名無しさん@ピンキー
07/10/29 04:54:48 EM6P4Dwx
>>619
とりあえず落ち着け

622:吝嗇 ◆G.VR4wY7XY
07/10/29 09:23:21 j6bUPGv/
>>497の続きを投下します

623:GIFT~dad!(1)
07/10/29 09:24:48 j6bUPGv/



夜空に浮かぶ二つ月がほんの少し欠けながら、俺とルイズの部屋を青と桃色の光で照らす夜


俺はルイズの上に乗り、激しく動いていた、彼女は抱擁の替わりに俺の肌に爪を立てながら声を上げている


「……あぁっ…サイト!サイトぉ!……あ……だめ!ぬいちゃだめ!…中に…なかにちょうだぁい!!」

最後はルイズの上って事が多かった、ゴム製の避妊具の無いこの世界、外に出すにはその方がいい

俺がルイズの白い肌にぶち撒けようとする瞬間、彼女は下で腰をバタつかせながら両足で俺の腰を掴んだ
突然のカニ挟みに未経験の刺激を受けた俺は、そのままルイズの中にたっぷりと放射してしまった

あーあ

しょうがねぇな、と思った、俺の手遅れやルイズの不意打ちで、既に何度かそうなってしまっていた

性教育にやたら熱心だった高校の保健体育の先生のお蔭で、妊娠しない日が大体はわかるようになったが
それはふたつの月に女の潮を支配された異世界の娘とのセーフセックスまでもを保証してはいなかった

この世界にもパンツのゴムはあるってのに、地球では紀元前から羊腸のコンドームがあったってのに
その役目を魔法が担っていた事を俺は最近知った、ルイズはそれに関してずっとすっとぼけてた

「無いったら無いの!あっても絶対使わないんだから!……いいじゃない別に…そう、なっちゃっても…」



624:GIFT~dad!(2)
07/10/29 09:25:18 j6bUPGv/



何度目かの夜の秘密

その晩もいつも通りルイズはネグリジェ、俺はTシャツにパンツで広いベッドを分け合っていた
彼女が「主人と使い魔の聖なる配分」としていたベッドの7割近い面積を占め、悠然と目を閉じる横で
俺は残り3割の領地に横向きに寝転がりながら月を眺め、テレビもラジオも無い夜を紛らわせていた

俺の背中に感触があった、ルイズが背中に指で字を書く、この世界の文字にまだ疎い俺は黙っていた
ルイズの指に力が篭る、俺のTシャツを掴んでまくり上げると、素肌に爪を食い込ませ、文字を刻んだ
字面よりもその痛みで伝わってくる文面、もっと痛いことされたくなきゃ…わたしにも痛いことしなさい


俺は向き直りルイズの引っかきを中断させた、シャツがめくれた間抜けな姿でルイズの薄絹に手をかける

バンザイをして一枚だけの衣を俺に抜き取らせたルイズは俺の上に乗り、俺が自分で脱ぐのを待っている


「……サイト……いやだわ……わたしサイトにワガママ言いたい気分……言っても……キライにならない?」
「なるかもな」
「わたしもだいっきらい!だからあんたを一生閉じ込めてやるの……わたしの中に……入ってきて……」

境界は消滅し、俺は領土を取り上げられた、ルイズに征服されたベッドの上で俺は虜囚となってしまった

俺とルイズの夜が始まる、お互いに二度としないと決めた事は、しない夜よりする夜のほうが多かった





625:GIFT~dad!(3)
07/10/29 09:27:04 j6bUPGv/


真夜中

ルイズは子宮の奥深くに受けた熱い刺激に半ば失神し、瞳孔の緩んだ目で天井を見つめていた
その後にいつも汚れきったルイズの体を拭いてやる使い魔の義務をサボり、俺は窓の外を眺めていた

背後でルイズが動く気配がする、彼女は俺と終わった後、爪や歯で俺に傷を刻むのが好きだった
その衝動がいつもより強い時は言葉での罵倒を好んでいた、そして俺もそれが嫌いじゃなかった


「……こっ…このバカ犬!このわたしの…中に出すなんて!もし平民のあんたと、アレになっちゃったら…」

ルイズの声が遠い、俺は窓の外、夜空に浮かぶ月を眺めていた、桃色の月と蒼い月、異世界の空
天候や風向きの気まぐれで片方の月を雲が隠すことがある、桃色との対比を失い、クリーム色を帯びた月
背後で罵るルイズの声よりも、自然の造作が見せる一つだけの月に目を奪われた、俺の世界と同じ空

「…………月……キレイだな…………」

手を伸ばす、指がベットに隣り合った窓に当たる、届かない、もう届かない俺の世界に泣きそうになった

「……月が一つ……大切なものは一つだけ……月はひとつのほうがいい……」

背中を向けたまま月を眺める俺の背後のルイズを感じる、彼女の声が途端に気弱で臆病なものになった

「…………サイト…………」

さっきまで爪を立てていた俺の背中に指を這わせるルイズ、俺を確めるように背中を撫で回している

「……帰り…たい……?……あんたが居たっていう異世界に……月がひとつしか無い世界に……」

俺の背に頬を触れるルイズに向き直った、ルイズが俺の体に手を伸ばす、彼女に触れる気になれなかった
月光を受けたルイズは不安げな顔をしていた、月の逆光を受けた俺の顔は怖そうに見えるのかもしれない

「…俺の親父とお袋は、きっと死体すら上がらぬ俺の葬式をしている…その事は片時も忘れたことは無いよ」

元居た世界の人達の顔が時と共に記憶の中で薄れつつある、月が一つの夜にはその人達と逢える気がした

「……サイト……わたしいつか必ず……あんたの世界に帰してあげる……サイトの家族や友達の所に……」

底知れぬ虚無の系統、ゴミの召喚、ルイズはその能力で異世界との繋がりを得るのに消極的な様に見えた

「……俺はここでルイズの使い魔をしているサイトだ、今帰る気は無いよ…でも…会いたいひとも…いる…」

ルイズの瞳を見つめた、俺が見たのは瞳を通して俺に伝えてきた震える心じゃなく、瞳に映るひとつの月

「……イヤ!やっぱりイヤ!サイトは一生わたしのそばに居るの!……どの世界でもいい…一緒に居て……」

声がまた遠くなる、桃色の月を隠していた雲が慌しく流れ、夜空を二つの月が照らそうとしていた



           それが今の俺には、とても悲しくて寂しいことのように思えた




626:GIFT~dad!(4)
07/10/29 09:28:17 j6bUPGv/



ルイズと俺の異世界物召喚実験は相変わらずだった
この世界に様々な役立たずを召喚し、俺の世界を悩ますゴミ問題の緩和にささやかな貢献を続けていた


石作りの小部屋に居たのは俺とルイズ、キュルケとタバサ、学院に嘱託勤務するエレオノールとカトレア

病に体を蝕まれていたカトレア、それに心を痛めていたルイズを見て、俺は自分に出来る事を考えた
「チーズ食べてください、カビ生えた臭っさいチーズを食ってください、ゲロ吐くほど食ってください」
律儀なカトレアは毎朝の食卓にブルーチーズを加え、俺にはとても食えない貴腐チーズを食べ続けた
しばらくの後、驚いたことに彼女の病は少しだけ好転し、国内での短い執務に就くことが可能になった
俺の居た世界で多くの不治の病を救った抗生物質ペニシリンは青カビから作られたと学校で習った

俺に出来る事なんてそれくらいのこと、武器を自在に使いこなす以外にも、俺に出来る事は少しある


最初は秘密裏に行われた召喚儀式、オールド・オスマン以下学院の教師が揃って実験を見学していたが
多分に俺自身の説明の効果で、召喚された物がことごとくこの世界の役に立たぬものであることを知ると
教師連中の興味は次第に薄くなり、それに変わってルイズの悪友達の興味を引き寄せた、いつもの面々が
数日に一度学院の小部屋を爆発させてはオモチャを召喚しているという噂を聞きつけ集まるようになった

俺が地球の高校に居た頃によく買って食べてたヤマザキのランチパックがいくつも召喚された事があった
シエスタが作ってくれるこっちの飯に馴染んだ俺は食指が動かず、苺クリームのパンが入ったパックを
ルイズとキュルケに薦めたところ、二人は安っぽいバタークリームとくどいイチゴジャムの味に感激し
「これは王族の、いえ神々の食卓から盗んできたものだわ!」「味の宗教革命だわぁ」と大喜びしてたが
1時間ほどで二人して盛大に吐き始めた、漂白剤や保存料、イースト発酵促進剤に免疫が無かったらしい
辛党のギーシュはといえば卵サンドを二つ平らげてご満悦の様子、多分こいつはどこででも生きていける


爆発の煙と共に現れたのは何か大きな物、動く物、ナマモノの召喚は俺自身の召喚以来初めてだった
遂にルイズは俺の世界から人間を召喚してしまった、人様への迷惑は俺だけに留めてほしかったのに

その人間は茶色の背広を着た男性で、化繊のネクタイを締め、すり切れた豚革の靴を履いた小柄な中年
匂いで思い出した、嫌いな臭い、子供の頃はこの臭いから離れたくなくて、いつも後ろをついて歩いた

「親父!」

ルイズの異世界物召喚術によって召喚されたのは、東京でサラリーマンをしている俺の父親だった




627:GIFT~dad!(5)
07/10/29 09:29:52 j6bUPGv/


突然現れたオッサンに目を丸くして驚いていたルイズは俺の言葉を聞いて今度は口をポカンと開けている

俺はルイズをおしのけ、地下鉄で寝過ごしたような顔で周囲を見回す親父の肩を抱いて早口で説明した
信頼の置ける人間に自分が異世界から来た事を説明した事は何度かあって、説明は随分うまくなった

親父は俺とのやり取りを手を振って強引に終わらせる、親に反発してた中学の頃からこの仕草が嫌いだった

親父は俺の口から聞く魔法だの使い魔とかいう単語を、わかったようなわからなかったような顔をしたが
俺の顔を見て、俺の目を見つめ、「私にはよくわからないが、これからわかるだろう」とだけ言った


親父は部屋の面々を見渡し、怪しい宗教の類だと思った俺よりは少しだけ物分りのいい顔で軽く一礼した

「はじめまして、私は平賀才蔵という者です、息子の才人がこちらでお世話になっているようですね」

エレオノールが親父の前に立った、上背のある彼女は挑発的に親父を見下す、親父はオッパイを見ていた
「さすが平民の使い魔の父親ね、父子そろって貧相なナリしてるわ、この学院には場違いもいいとこよ」

呆然としていたルイズの顔が一瞬で真っ青になり「お、お姉さま何てことを!」と金切り声を出す

奇妙な格好の面々に挨拶をしながらも警戒心を窺わせていた親父は、その言葉を聞いて不躾に吹き出した
エレオノールの強がりな口調は、ルイズに負けず劣らず俺をイジメていた俺の妹とまるっきり同じだった

カトレアは親父に向かって深々と頭を下げた、親父もそれに応えてツムジを突き出すお辞儀をする
「サイトさんのお父上ですね、突然お呼び立てした非礼を深くお詫びします、私はラ・ヴァリエール家の…」

「ちぃ姉さまやめて!」
なぜかルイズはカトレアの丁寧な挨拶をさっきより厳しい口調で遮ると、突然膝を震えさせた

「……わ……わたわたっ……わたしのしししし仕事……なななんだからぁ!」




628:GIFT~dad!(6)
07/10/29 09:30:54 j6bUPGv/



ルイズはそのまま姉達を押しのけ俺を蹴りどかすと、唾をゴクリと飲み、魔方陣の中心で親父の前に跪いた

「は、初めましてヒラガ様、わ、わたしは……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです
サイト…サイトさんを使い魔として召喚させて頂き、勝手ながら主人の契りを結ばせてもらいました
…ち…契りっていってもそんな…そのいかがわしいものじゃなくてその…でもキスして…あぁもう!
…え~と…あれです……その……ふ…ふつつかものですが……よろしくお願いしますっ!」

そのまま親父の前の床に額をこすりつけるルイズ、どこで何を見たのか三つ指らしきものもついている
エレノオールは声を荒げ「何してるのルイズ!貴族のアナタが平民に頭を下げるなんて!」と怒鳴る
カトレアまでも「ダメよルイズ、今から下手に出ると、向こうのお家には一生頭が上がりませんわよ」

ルイズは震えながらも親父の前に伏し、頭を上げようとしない、親父は突っ立ったまま困惑していた
俺はルイズの肩を抱き、「もういいよ」と言ったが、ルイズは「サイト…さんは黙ってて!」

親父が土下座するルイズの前にしゃがみこんだ、頬に手を添えて上向かせる、二つの視線が交錯する

「まだ私にはよくわかりませんが、貴女と才人とは絆で結ばれているようですね、しかし才人は私の息子
幼い頃から風邪をひけば寝ずに看病し、誰かに傷つけられれば共に全力で闘い、大切に育てて参りました
然るに貴女は、マホウ、というのですか?学校でお勉強中の身、それも余りよい成績ではなさそうですね」

相手がその属する集団の中で占める位置を瞬時に嗅ぎ当てるのは、営業職の必須だと親父は言っていた

「ルイズさん、失礼ながら私には、貴女が才人を幸せにする力を得ているようには見えないのですが」

ルイズは床に正座したまま俯いた、膝に涙が落ちる、親父はしゃがんだままルイズが再び顔を上げるの待った

「……たしかに…わたしは学校でも姉妹の中でも落ちこぼれのルイズ、ゼロのルイズ…でも…でも…
サイトさんを想う気持ちなら誰にも負けません!わたしはサイトの幸せの為ならこの命だって惜しくない!」

立ち上がった親父は背広のポケットから出した楊枝を咥え「へぇ~」とニヤつく、禁煙は続いてるらしい

「……ヒラガ様……お言葉ですがわたし達の関係…その…使い魔!、主人と使い魔としての関係を
ヒラガ様が認めてくださらないのでしたら…わたし…サイトと駆け落ちでも心中でもする覚悟です!」

ルイズが俺をサイトさんなんて呼ぶ、何とも変な気持ちで頭を掻いた、最後の話については…う~、ん…

「……ほ…ほんとにサイト、連れてっちゃいますからね!…居なくなった後で泣いたって遅いんだからね!」




629:GIFT~dad!(7)
07/10/29 09:31:29 j6bUPGv/



楊枝を投げ捨てた親父は小声で「もう一生分泣きました」と呟くと、もう一度ひょこっとしゃがみこんだ

「ルイズさん、あんた、何したい?」

「……わたしは……ゼロじゃない立派なメイジとして……姫様と祖国のお役に立つような……」

「いっこだけ」

ルイズはうつむき、拳を握りながら長いこと考え、姉達や同級生を見て、そして俺をちょっと見た

「…………わたし………………わたし……………サイトと一緒にいたいです……」

「居りゃいいじゃん」

俺を見たり背後に居る姉達を見たり、落ち着かないルイズの視線は自分の胸、五芒星のタイ留めに落ちる

「……で…でも・・・・・わたしには……貴族として出来ない事もあるんです……メイジが使い魔となんて……」

親父は背広の内ポケットを探った、爪楊枝は品切れらしい、禁煙中の親父は苛立たしげに背広の胸をはたく

「………サルだな…お前ぇ…メージとかキゾクとか言ってても、私には人以下の猿にしか見えないよ
欲しいものに手が届いた時、掴めるのが人間だろ、猿は何かわけわかんねぇ物を怖がって掴めないんだ」

握られていたルイズの手が動く、夕べ俺の体をまさぐった時に似た手つきで、俺のパーカーの端を摘んだ

「……猿は……イヤです……だって犬と仲悪くなっちゃうし……」

ルイズは俺をしっかりと捕まえ、頭を上げ、親父と視線を合わせる、揺るがない鳶色の瞳に少し見とれた

「ヒラガ・・・ヒラガサイゾー様・・・サイトはわたしが貰います・・・もう掴んじゃったから・・・絶対離しません」

親父はネクタイを締め直しながらルイズを見返した、俺が随分昔に聞いた柔らかく暖かい声が聞こえてくる

「ルイズさん、貴女の瞳はとても綺麗だ、瞳は心、あなたの瞳は青い空のはるか上の虚空、深淵の海の底
虚空は地を守り、深淵は命を育む、それが地球です、貴女の瞳はまるで私と才人の故郷のようです
何も持たぬ貴女にはその瞳がある、貴女がその瞳を曇らせない限り、才人も貴女も大丈夫でしょう」


ルイズの綺麗な瞳から涙が落ちる、ゼロのメイジである劣等感、虚無の使い手である重圧を洗い流す涙

「……ヒラガ様……お父さま……!」

ルイズは親父に抱きついて、声を上げて泣いた、きっと彼女が求めていたのは、ただ泣くこと
俺は彼女の涙を受け入れられなかった自分、気づいてやれなかった俺自身が恥ずかしくなった




630:GIFT~dad!(8)
07/10/29 09:35:01 j6bUPGv/


今回も参加していたキュルケは部屋の端っこで黙ってやり取りを見物してたが、突然手を叩き声を上げた
「よくやったルイズ!よくやったぞ!ゼロのルイズがよくぞ女の一大事を乗り越えた!パチパチパチ」
落ちこぼれのルイズに一番厳しいキュルケ、彼女はルイズが何かをやりとげた時に真っ先に誉めてくれる

タバサは手にしていた書物よりも面白そうな見世物を眺めていた、彼女なりに興味をそそられてるらしい
「…これからが大変、お姑さんとの対面はこれの三倍ぐらい大変、とってもタイヘンでとっても楽しみ…」
彼女は何でも面白がる少し悪趣味な癖がある、しかし俺からしてみてもすっげぇオモシロそうなことだ


ルイズは赤い目をこすりながら姉妹の前に立つ、おチビのルイズの背が少し伸びたように見えた
「お姉さま、改めて紹介します、この方はヒラガサイゾー様、サイトと…わたしの大切なお父さま」

親父は突然出来た娘の胸を見て、それからカトレアとエレオノールの胸を見比べ「チッ」と舌打ちしたが
凄く大きくてたわわなオッパイが桃色の髪を揺らしながら自分に近づいてきたのを見てご機嫌な顔をする

カトレアが親父の前に立つ、どうやらこの場で一番偉い奴だろうと察したらしき親父は背広の皺を伸ばす
猿の群れの中からボス猿を探り当てるのも営業の特技だが、親父はどうみてもオッパイを基準にしていた

「ヒラガ様、我が王国のアカデミーは現在、総力を挙げて召喚者の送還魔法の研究をしております
早暁、私達が責任をもって貴殿を元居た世界にお送りいたします、それまで私の屋敷に是非ご滞在を…」

親父は手を振って強引に話を止めた、この仕草も長くみていないと、苛立ちより懐かしい気持ちになる
「いえいえ、折角ここまで来たんだから商売でもしていきますわ、帰る時はそういうのうまい人を雇うよ」


サラリーマンをしている親父、日本拳法の選手として大手商社に入り、その後のスポーツ事業の縮小で
お袋との結婚を控えて営業職に移った、畑違いの仕事に苦労した親父は、お袋の腹の中に居た俺に
生まれてくる俺には立派な営業マンとなった父を見せてやる、と誓いながら頑張ったらしい

と、いうのは本人談で、お袋によると当時バブルで景気のよかった商社で結構気楽にやってたとか



631:GIFT~dad!(9)
07/10/29 09:36:07 j6bUPGv/


その後、ルイズは授業をサボり、エレノオールとカトレアも執務を中断し、午後のお茶会が催された
学院の先生達も招待しようと思ったが、主にルイズの希望でこの奇妙な召喚は報告しないことにした
賓客を招くために学院内に設けられているラウンジにはキュルケとタバサもちゃっかりついてくる

親父はお茶会でまで読書に耽るタバサに、背広の内ポケットから出したペンテルの赤サインペンを渡した
「思ったこと気づいたことを絶えず書き込みながら読むといい、本は君の本に、本は友達になってくれる」
実はタバサは本を読む時、重い本に反重力の魔法を発生させて腕の疲労なく読書をする術を用いていて
この世界に存在する羽根ペンでは書き込みができなかったが、サインペンは毛細管現象でインクを出す
タバサは宇宙空間でも使用可能なサインペンの書き味を確かめ、彼女には稀な驚きの表情を浮かべた
親父は出張には必ず持ってくロレンスの「知恵の七柱」を開き、真っ赤に書き込まれたページを見せた
タバサは「そう」「それで?」と生返事を繰り返すだけだったが、どこかから葡萄の粕取りブランデーを
くすねてきたキュルケに呼ばれて親父が席を立つと、黙って背広の端を掴み、ずっと離そうとしなかった


酒の入ったエレオノールは親父に、自分がアカデミーで研究を指揮してる送還魔法の自慢をしていた
「原理はもう出来てんの、あとは必要な予算と人員さえ回してもらえば、魔法の完成も時間の問題よ」
親父は「へー」と言いながら、刺身に似たラグドリアン鱒の燻製料理を自前の割箸でつつくのに夢中だった
ソバ屋の「今出たところです」と技術屋の「カネさえあれば出来る」は当てにしない事にしてるようだ




親父はルイズの髪をクシャクシャと撫でていた、ルイズはウチで飼っていた猫のように目を細めている
「ルイちゃん、息子を頼むよ、しかし一つだけ言っておく、私はまだお爺チャンと呼ばれるのはイヤだ」

ルイズは暫くその言葉の意味を理解できなかったようだが、少し遅れてから茹でたように真っ赤になる
「そ、そんな孫とか…そんな…お父さま誤解です!わたしとサイトは主人と使い魔の、その…清い関係で…」
俺もルイズの後ろで「そーだそーだ、まだそんなにやってねぇから安心しろ!」と調子を合わせる

親父は俺とルイズの言葉をさほど聞いていなかった、ただ、俺達が交し合った目配せを確かめると頷き
「いいから!この世界では、今のおまえらには、まだ早すぎるよ、お前らの為だ、わかったな?」

医学が魔法頼りのこの世界での出産は命がけで、世継ぎの関係で若くして出産する貴族は特にそうだった
俺が以前憂いていたように親父もまた、この世界では未知の病原菌の蔓延を恐れているのかもしれない
エイズを媒介したミドリザルの様に世界規模で悪役扱いされては親として尻の座りが悪くなるんだろう

茹でて蒸らしたように赤くなったルイズは親父の背広をつつき、俺と親父を交互に見ながら小声で言った
「…お…お父さまの意に沿うよう努力します…でも…がんばってもダメだった時は仕方ないかもぉ……」
親父は渋い顔で笑った、この顔を「ボガートに似ている」と言ったお袋はきっとどうかしてたんだろう
「ん、あ~、そうだな、気ぃつけてても出来ちゃったらしょーがねえなァ、お前が産まれた時だって…」

全員の視線が俺達に向く、親父はそれに応えるように俺の話、俺の幼少期の話を嬉々としておっ始めた

俺の生き恥タイムが始まったらしい





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