【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合22at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合22 - 暇つぶし2ch247:鋼の錬筋術師 ◆mQKcT9WQPM
07/10/17 18:12:42 lOXzBEsU
空はどこまでも青く晴れ渡り、高空を甲高い声を上げて名も知らぬ鳥が飛んでゆく。
それは昼食には少し早く、かといって朝食には遅すぎる時間の出来事。
トリステイン魔法学院の南門に、一台の馬車がやってきた。
それはしっかりしたつくりの黒塗りの四頭立てで、中に乗る人物がそこそこの身分の者であることがうかがい知れた。
馬車は昼の交代時間を直前にした門衛の前で止まると、その重厚な扉を開いた。
門衛はそこから出てきたものを見て、一瞬動きを止める。
まず、最初に現れたのは赤銅色のごつい手。指の一本がドアのノブくらいある。
次に、出てきたのは角ばった頭。申し訳程度に天辺に鳥の巣のような茶色い毛が生えている。これまたオーバーサイズで、かろうじて理性を感じられる引き絞られた口許がなければ、オーガと間違えられるだろう。
そして最後に、身体がでてきた。どうやってこの馬車の中に入っていたのか、頭頂部は頭一つほど馬車の屋根から飛び出ている。
門衛は頭の中で、即座にこの目の前の物体に対して名前を付けた。「メイジの格好をしたオーガ」。
そのオーガはなんと礼儀正しく御者に礼を告げると、馬車の後ろに積んであった荷物を手に取る。
荷物は木製のトランク一つだけだったが、そのオーガとの対比を見ると、そのトランクは、門衛自身がまるまる入るほどの大きさがある事が分かった。
オーガはトランクを手にしたまま、のしのしと門衛に近寄ってくる。
く、食われる…!
本能的にそう思ってしまい、思わず身をすくめる門衛。
しかしオーガはにっこりと笑顔を門衛に向けると、大きな声で言った。

「新任教師、ロナ・アルベルト・シモンズである!学院長どのはおられるか!」

その名は、確かに来客予定リストの中に入っていた。

ロナ・アルベルト・シモンズは、トリステイン王国辺境の、ギルフォード伯爵領にある『ギルフォード私設魔法学院』で教鞭を振るう、優秀なトライアングル・メイジである。
その授業はとてもわかりやすく、しかも人柄もよいので、ギルフォード領外にも、その名前は知れ渡っていた。
当然トリステイン魔法学院の学院長たるオールド・オスマンの耳にも、彼の名前は届いていた。
機会があれば、彼を呼び寄せ、一度この学院でも教鞭を振るってもらいたい、そう思っていた。
そのチャンスが、ついに訪れたのである。
ギルフォード伯爵が、先のアルビオン戦役に出兵するために、魔法学院を解体してしまったのである。
元々ギルフォード魔法学院は、軍部の幹部の一人であるギルフォード伯爵の私設軍に入れるためのメイジを育てる場所であった。
それが、先の戦役によって急な戦力の増強を迫られたため、教師・生徒を問わず、兵役に駆り出されたのである。
ついでに守銭奴としても名の通っているギルフォード伯は、学院の閉鎖を決定してしまったのだった。
それを知ったオールド・オスマンは、戦役が終わるやいなや、ロナにトリステイン魔法学院で教鞭を振るう気はないか、と打診した。
返事は二週間の時を経て、ロナがその気である事をオスマンに伝えた。
そして、いよいよオスマンはロナと顔を合わせたわけだが。

「いやあはっはっは!なんとも立派な塔ですな!」

目の前で大口を開けて笑いながらそう言う大男が、ロナであるとは未だに信じられない、いや信じたくないオスマンであった。
名前の響きとあまりにもギャップがありすぎる。門衛が、『メイジの格好をしたオーガ』と評したのもむべなるかな。

「えーと…それで、ミスタ・シモンズはギルフォード魔法学院ではどのような授業を…?」

不審の視線を隠そうともせず、オスマンはロナに尋ねた。
実物を目の前にした今のオスマンには、あの評判が急にマユツバに思えてきたのだ。

「ロナ先生、とお呼びください」

必要以上に白い歯を輝かせながら、満面の笑顔でロナはそう言った。
オスマンはうんざりしながら、

「…ではロナ先生」

と訂正した。

「お答えしましょうっ!」

意味もなくガッツポーズなどとりながら、ロナは応える。


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