07/12/25 06:29:48 aHHSJ/SO
何の反省も見えない態度に恵里沙は怒りを覚える。
そして秀雄を睨みつける。
「人がお風呂に入ってるのを覗いてたの?」
「何だよ、お前が誠司とべたべたしてたのが悪いんだろ!」
秀雄の態度がだんだんとけんか腰になる。
「あの子はまだ子供よ…秀雄。気にしすぎよ」
恵里沙は呆れたような口調で言う。
「うるさい、この裏切り者!」
思わず手が出る。
秀雄は恵里沙のことを平手で叩いた。
叩いた後、即座に後悔する。
しかし、時間は戻らない。
恵里沙は一瞬、ポカンと口を開けた。
やがて、信じられないという表情を浮かべてその紅茶色の瞳にみるみる涙が溜まっていく。
そこに、誠司がやって来た。
彼は事情を知らないが恵里沙が泣いているのだけは分かった。
「恵里沙お姉ちゃんをいじめるな!」
誠司は兄に食ってかかる。
弟の言い草にカッとなるが、叩いたのはやりすぎたと思っていたので恵里沙に謝る。
「その…ごめん」
頭を下げて謝る。
「いいのよ…私が悪かったもの」
恵里沙が目を赤くしながら力なく言う。
涙を流す恵里沙を見ているうちに後悔が強くなる。
しかし、そんな彼女を慰めたのは弟だった。
「大丈夫、恵里沙お姉ちゃん?」
心配そうに聞く誠司。
恵里沙は泣き腫らした顔でにこりと笑顔をつくって答える。
「ええ、ありがとう。誠司君」
「いこ、お姉ちゃん」
誠司は秀雄を睨みながらそう言う。
恵里沙は一瞬躊躇ったが誠司の手をとった。
こうして、吉岡秀雄の最悪のクリスマスは終わりを告げた。
しかし、彼の最悪な日々は続く。
おしまい