【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part9【改蔵】 at EROPARO
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part9【改蔵】 - 暇つぶし2ch700:『猫の瞳』2章前座
07/10/09 17:50:21 nWyJ8ORZ
☆★☆★☆★☆★☆★☆★

でもねえ、戦後の混乱期だろう。悲しい事が起こっちまったんだよ。

わしも良くは知らないのだがね。
神社の裏山でね、その女の子が死体で発見されたんだよ。
乱暴されたんだな。遠目で死体を見たけど、酷い有様だった。

犯人? 村でも色々な噂があったが、結局捕まらなかったよ。
戦後すぐってのは、そういう世の中だったんだ。

取り残された猫達は、しばらくご主人様の帰りを待っていたんだけど、
ある日突然、白い方の猫がフラッと外に行ったきり帰ってこなくなったらしい。

黒い方の猫は、他所の飼い主に貰われたって話だったけど……
直ぐに逃げ出したんだったかな?栄養失調で死んだのかな?
昔の事だから、よく覚えていないなあ。

そんな事も悲しい一事件として、すっかり忘れていたんだ。
ところが、あれは5年ほど前だったかな、ふと小耳に挟んだんだよ。
アメリカでね、ある将校さんが死んだって言うんだよ。
それも、白い猫に喉をやられたらしい。

その将校さんはうちの村に駐在していた人なんだ。
柄の悪い人でね、良く揉め事を起こしていたんだよ。
米兵って言ったって、ほとんどが規律を守る人だったし、中には村の復興を
手伝ってくれた人だっていた。
でも、あの男は例外だったね。
女の子の事件の時も随分取り沙汰されたんだけど、やっぱりあのご時勢だから
うやもやになってたんだ。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

701:『猫の瞳』2章①/14
07/10/09 17:52:30 nWyJ8ORZ
2章

 週末―
 日曜日である。

 高校教師糸色望は、町外れの公園で頭を抱えていた。
 公園には彼以外誰もおらず、時折秋の風が枯葉を舞い散らすのみであった。

 月日が経てば経つほど、あびるへの恋情がつのり最近は授業も手に付かなく
なっていた。教壇に立っていても、ついつい彼女を目で追ってしまう。彼女に
新しい包帯が巻かれているのに気付くたびに心が痛む。

(ああ……どうすれば良いのでしょうか。教師が生徒に恋をするなんて、
絶対のタブーですよ。こんな邪恋が世間に知れたら、とんでもないことになります。)
 溜息をついて、太陽を見上げる。秋空の太陽は、雲に覆われてにぶく光っている
のみで解答を与えてくれるはずもない。

『にゃーおー』
 不意に、一匹の猫が公園の中に飛び込んできた。
「おや。この猫は……」
 望の目に、Y字に分かれた2又の白い尻尾が映る。
 望は、奈美からの情報であびるがこの猫を追っていることを知っていた。
(この猫を捕まえて、小節さんの好感度アップといきますか)
 迷いを振り切るかのようにベンチから立ち上がると、ゆっくりと猫に近づいていった。

***********

「おかしいな。この辺に逃げ込んだはずなんだけど」
 数十秒後、息を切らせて小節あびるが公園に入ってきた。

 2又の尻尾を持った白猫を発見し、近くまで追跡してきたのだが、もう少しの
ところで見失ってしまったのだった。
 胸に手を当てて息を整えながら、公園をぐるりと見渡す。
 褐色の瞳が、ベンチの近くにうずくまっている和服姿の男を捉えた。

「あれ、先生じゃない」
 何か知っているかもしれないと思い近づくと、何やらめそめそと泣いている。
 あびるは、手を腰に当てて彼の前に立ち、腰をかがめて覗き込んだ。

「先生、どうしたんですか。こんな所で」
「ああ、小節さん。助けてください!」
 取り縋らんばかりに、あびるの足元に体を投げ出す望。
 「何を?」と言おうとして、あびるはギョッと固まった。
 袴の裾から、白く長い尻尾がはみ出していたのだ。


702:『猫の瞳』2章②/14
07/10/09 17:53:14 nWyJ8ORZ
あびるの瞳が強い光を帯び始め、白い喉がゴクリと鳴った。
「ど……どうしたのですか……その素晴らしいお姿は……」
緊張と喜びで声が震えている。
胸がきゅんきゅんして早鐘のように鼓動を繰り返していたが、彼女にとっては
それすらも心地よい。

「化け猫に取り憑かれたのです!!」
「はぁ?」
怪訝そうな表情をしながらも、あびるの視線は彼の尻尾から離れる事はできなかった。
風に揺られて、白色の尻尾が揺られている。
望が呼吸するたびに、ぴょこんぴょこんと小さく跳ねていた。

「しっぽーーー!!」
<ギュム>
とうとう、あびるは我慢できずに揺れるY字の尻尾を思いっきり握った。
(やったーーー!!ああぁ……素晴らしい感触!)
尻尾の毛並み…硬度は申し分なく、最高の握り具合である。
あびるをほんわかとした幸福感が包み込み、その顔は恍惚とした表情になる。

『にゃ!にゃにゃ~ん!!』
あびるが尻尾を掴んだ瞬間、突如として猫の鳴き声が望の喉の奥から発せられた。
包帯少女はビックリして望の顔を見た。

「先生、今何か言いました?」
「く……口が勝手に……」
望は、手で喉を押さえて口をパクパクして見せた。
「ん?」と、あびるはその口許を見詰める。

『にゃにゃにゃにゃにゃ~ん』
望の口が動き、猫の鳴き声を発した。
同時に<ぶんぶん>と望の首が振られ、その声が彼の意思によるものではないこと
を示す。

あびるの脳裏に、可符香との会話が響いた。
【―猫が20年間交尾をしないと、猫又といって強い妖力を持った妖怪になるの】

まさかと思いつつ、あびるは聞いてみる。
「ちょっと。あなた何者?」
『にゃんにゃん』
「残念ながら、私は猫語を解しませんね。先生、翻訳してください」
「せ、先生だって知りませんよ。大学で猫語は選択しなかったのです」
困り果てて、う~んと唸ってしまう2人。
その時、あびるは可符香に貰ったコンニャクを思い出した。

703:『猫の瞳』2章③/14
07/10/09 17:53:54 nWyJ8ORZ
「これを使ってみましょう」
 まさか使う事はあるまいと思っていたコンニャクを、バックから取り出す。
(後で、可符香ちゃんには謝らなくては)
 心の中で呟きつつ、コンニャクを口に咥える。口内になんともいえない味が
広がった。

『ににゃん、な~お、にゃんにゃん。なごなご、にゃん』
「にゃんにゃあ、にゃにゃにゃん、にゃん」

 真っ昼間の公園で、いい年した男と女子高生がしきりに『にゃごにゃご』
言い合っているのだから、傍から見たらさぞ滑稽だろう。いや、もしかしたら
何かのプレイだと思ってくれるかもしれない。
 しかし、当の本人達は大真面目である。

「分かりました」
 しばらく、猫と会話していたあびるが、コンニャクを口から離して望に告げた。
「何ですって?」
「先生に取り付いた猫は、50年以上前から生きている化け猫だそうです。
自分の願いを聞いてくれなければ、このままずっと先生に取り憑くと言っています」

 一瞬固まる望。
 公園を秋の爽やかな風が吹きぬけ、枯葉が舞う。
 枯葉が囁くカサカサという音に、望は不意に我に返った。

「な、なんですかその非現実的なオカルト話は!
私は1999年7月以降、そういう話は信じない事にしてるんですよ!」
「しかし、これが現実です」
「うう。ね、願い事は何ですか?!」

 どよんどしながら尋ねる望に、あびるは肩にかかった三つ編みを掻き揚げて
微笑した。
「願い事の内容なんて聞いてませんよ。だって、先生の尻尾とても可愛いんだもの。
ずーーっと取り憑いていてね、と言っておきました!」
 それを聞いた望の顔に縦線がいくつも走る。
「なんてこと言うのですか! この姿を生徒達に見られたらどうなるか!
世間に知られたら、捕獲されてスーパーテクノロジーで実験台にされてしまいます!」
 「ああああ」と頭を抱え込み、うずくまってしまった。

「まあ、いいじゃないですか。そのお姿とても似合ってますよ」
 あびるは嫌味なくらいに素敵な笑顔を見せて、望の肩をぽんぽんと叩いた。
 もちろん、もう片方の手はしっかり尻尾を握ったままである。
「う」
 思わずその笑顔に負けそうになったが、精神力を振り絞ってぷいんとそっぽを向いた。
「そ、そんな事言われたって全く嬉しくないですよっ。願い事が何か位は聞いて
くださいよ!」
『な~~おぉ……』
 涙を浮かべつつ全力で抗議する望に同情したのか、それとも予想外の展開に慌てたのか、
猫も哀れっぽい声で鳴く。

704:『猫の瞳』2章④/14
07/10/09 17:55:25 nWyJ8ORZ
「そのままの方が可愛いのに」
 さすがに気が引けたらしく、ぶつぶつ言いながらもあびるは再びコンニャクを
口に咥えた。
「にゃにゃん。にゃんこにゃお」
『にゃーにゃー。にゃんにゃん』

 あびるは何やらしきりに頷いた後、コンニャクを口から離した。
「分かりましたよ。飼い主のお墓参りがしたいそうです。」
「なんだ、そんなことですか。私はてっきり魂を喰うとかカツオブシ10年分
 強奪とかそういうものだと思いましたよ」
 望は心底ほっとした表情で溜息を付くと、服についた枯葉を落とし公園の
ベンチに座りなおした。尻尾のせいで、どうにも座りにくい。
 あびるは、立ったままの姿勢で言葉を続ける。
「しかしこの猫、飼い主のお墓の場所を知らないらしいです」
「ほう」

 望は、顎に手を当てて少し考えてみたが、結論は決まっているようなものだ。
「じゃあ、お墓を探してあげるしかないですねぇ」
「そうですね」
 あびるも同意して頷いた。

「小節さんも……手伝ってくださいよ」
 あびると仲良くなるチャンスかも知れないと、望は少し下心を出して聞いてみた。
 もちろん、先生と生徒の恋は禁断であると先ほどまで悩んでいたことは、
すっかり忘れている。

 あびるは、すんなり頷く。
「いいですよ。その代わり、願い事がかなってもずっと猫ちゃんが取り憑いたまま
でお願いしますね?」
「それじゃあ、意味ないじゃないですか!」
 考えてみれば、謎のコンニャクを持っているあびるの手助けは必須なのだ。
 今後の展開に悲観して、思わず絶望してしまう望なのだった。


705:名無しさん@ピンキー
07/10/09 18:06:24 oEdruSOr
うおぉ続きだ、GJ。今後の展開が気になるずぇ。
新スレでもwktkしてお待ちしております。

706:名無しさん@ピンキー
07/10/09 18:49:36 KOjUc16o
>>292さん
GJGJです!
もしかしてアナザーエンディングのカフカSSの146氏ですか?
違ってたらスマソ

707:名無しさん@ピンキー
07/10/09 19:15:20 Oj+6B7qC
       '´ ⌒ヽ
     ノ  λ
      | / ー゚ノ|   せーんせ♪そろそろ500kだね。次スレはここだよ。↓  
      /|/ Уヽ   スレリンク(eroparo板)
     ノ っ   ヽ
     (__,、_ )


 

708:名無しさん@ピンキー
07/10/09 21:14:30 GG5q79mQ
まだ書き込めるかな
305氏、すっげー面白かった!!
アクションかっけぇ! また真夜SSよろしく頼むぜ!!



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