【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合20at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合20 - 暇つぶし2ch400:29Q
07/09/24 00:45:28 RYn9H+bN
投下してもよかですか?
短いけど。

401:名無しさん@ピンキー
07/09/24 00:46:40 oZdcoLX6
>>400
確認しなくてもいいと思うよ。どぞ。

402:お姫様の憂鬱
07/09/24 00:51:16 RYn9H+bN
 それは、小さな体に潜むほんの小さな恋心。
 あの人は、私を救ってくれた。氷のような私を、溶かしてくれた。
 だから私は誓った。私は従者。私はあの人のために生きる。あの人に、全てを捧げる。私は、あの人のためなら何でも出来る。
 あの人のために生きる私は、あの人が幸せであればそれでいい。たとえ誰を好いていようと、あの人が幸せであれば、それでいい。……それで、いい。
 授業中だけど、私はあの人の横顔を見る。暇そうな表情で、時折欠伸をしているあの人。欠伸をしたことをご主人様に注意されている人。あの人は笑いながら謝ってて、あの人のご主人様は怒ってる。
 でも、私にはわかる。彼女は本気で怒ってない。彼女自身と、あの人に恥を掻いてほしくないから怒っただけ。たぶん、あの人は気づいてない。
 あの人、嬉しそう。ご主人様と話をして、とても嬉しそうな表情をしてる。それは私にとっても嬉しいこと。でも、少し胸が痛む。
 ううん、駄目。我慢しなきゃ駄目。私は、あの人の幸福のためにある存在。そんな私が、あの人の幸福の邪魔をしちゃ駄目。だから私は、この胸のモヤモヤにも耐える。
 あの人が幸せであればそれでいいんだから。あの人が幸せであれば、私はどうなっても構わない。
 私は従者。私があの人を守る。その為だったら、私がどんな風になっても構わない。
 あ、いつの間にか授業が終わってた。あの人を見てると、すっかり時間の流れが早くなる。
「今日も見てたのね」
 見られてたみたい。声の主は、私とは逆の豊満な体を持つ赤い髪が特徴のトライアングルメイジ。私の親友。
「健気ね……彼には相手がいるっていうのに」
 わかってる。
「叶わぬ恋かもしれないのよ?」
 え?
「それでもいいなら、私は応援するけどね」
 ありがとう。……じゃなくて、別に私はあの人とそういう関係になりたいわけじゃない。ただ、あの人の幸せを守りたいだけ。
 私の親友は、それがわかってないみたい。私があの人を狙ってるって思ってる。そんなんじゃないのに……。
 確かに少しはそういう思いもあるけれど、私が一番に願ってるのはあの人の幸せ。好きな人と一緒に、好きな風に生活を送ること。少しくらい夢も見たりするけれど、それ以上に私が願うのはそれ。

403:お姫様の憂鬱
07/09/24 00:52:22 RYn9H+bN
「この犬ーーーーーー!!!」
 突然聞こえてきたのは、あの人のご主人様の叫び声。その後すぐに、あの人の悲鳴と爆発音。たぶん、いつもどおりの折檻。折檻に伝説の力を使うなんて、ずいぶん無駄な使い方だと思う。
 大丈夫かな? あの人、無事でいるかな? あの爆発音が聞こえてくるたびに、私は心配になる。怪我とかしてなければいいんだけど。
 声と爆発音が聞こえてきたのは広場から。私は窓から、広場の様子を見る。
 やっぱり……。
 あの人は、ボロ雑巾みたいに倒れてる。そして倒れてるあの人を、そのご主人様はこれでもかというほど蹴ってる。
 許せない。
 折檻が終わって、あの人のご主人様は怒りながら自分の部屋に戻っていった。あの人は気絶して、意識を取り戻してない。
 どうしてそんな痛い目にあってまで、あの人はついていくんだろう。どうして痛い思いをしてまで、あの人はついていくんだろう。
 ううん、わかってる。疑問に思うのが間違ってるくらい。
 あの人は、優しいから。あの人は、とても優しすぎるから。だから守ろうとする。だから自分の身を犠牲にしても、守ろうとする。
 でも、あの人がご主人様を守るのは少し理由が違う。使い魔というだけだからじゃなく、別の感情があるから……。
 ……また、胸が痛んだ。
 あの人は、今が一番幸せ。痛い思いをしても、ご主人様と一緒にいられるのが幸せ。
 でも……。
 もしも……それが幸せでなくなったなら……。
 私が……。

404:29Q
07/09/24 00:57:41 RYn9H+bN
最近はクオリティ高い作品ばかりの投下ラッシュなのでこんなので大丈夫だろうかとびくびくしながら投下。
とりあえずタバサ好きなのでタバサものをもう少し書きたいぜ。
でもテファもいいんだぜ。
でもシルフィードも(ry
でもタバサだぜ。

405:名無しさん@ピンキー
07/09/24 01:00:31 vqQVREEW
>>404
見る人の心しだいで純愛タバサかダークタバサかが分かれる不思議なラスト
もう少しと言わずタバサ書いてください。GJ!!

406:名無しさん@ピンキー
07/09/24 01:01:18 oZdcoLX6
んー、GJ☆ 長いのばかり読んだ後には、こういうつまみ食いできる感じのもいいや。

407:名無しさん@ピンキー
07/09/24 01:07:56 EZ/fbeiW
205氏。
涙腺の緩い男に、なんたる仕打ち!!
。・゜・(ノд`)・゜・。   GJ


あ、だからといって、*の件を許したわけじゃあないですからね??
きゅいきゅい。w

>>395
乙です。「娘」と聞いてツェルプトーを想像してしまいましたが、違いましたね。w
次回作も期待してますよ。

408:名無しさん@ピンキー
07/09/24 01:40:55 5CoLjS49
後50KBと少しで新スレの時期ですね。
間に合うように書こう書こう・・・

今回、今まででかなりのハイスピード投下じゃないですかね?

409:名無しさん@ピンキー
07/09/24 01:59:03 Ehn3RBDt
アニメすげぇ…ここまでやったら逆に尊敬するわ…

410:名無しさん@ピンキー
07/09/24 02:11:21 La7OpMFS
アニメ・・・wwww
ご都合主義再びwww
そしてテファの出番が・・・wwwwwwwwwww

411:名無しさん@ピンキー
07/09/24 02:35:42 AHAHrBmN
ふぅ。アニメスレで不満をぶちまけてこちらに帰還。

一言「酷かったな」

412:名無しさん@ピンキー
07/09/24 02:57:20 vqQVREEW
そんな事より聞いてくれよ。俺のきゅいきゅい鳴く妹がアホでさ~

413:名無しさん@ピンキー
07/09/24 02:58:35 FQYqJj9m
>>412
よかったな。おめでとう!

テファの声……

414:名無しさん@ピンキー
07/09/24 03:37:19 fE52Ylfc
「こんなのは慣れっこじゃないのかい、相棒」

415:名無しさん@ピンキー
07/09/24 06:43:47 p52yq/CQ
>>412
時間でも跳ぶつもりか?

416:名無しさん@ピンキー
07/09/24 07:34:39 hzdXRUOi
絶望したテファの声が能登麻美子で絶望した
全くあってない

話変わるけどなぜカトレアだけヴァリエール姓じゃないの?

417:名無しさん@ピンキー
07/09/24 07:38:41 AHAHrBmN
>>416
まぁゼロ魔2は結論としてシャナの宣伝みたいな感じだからな。カトレアの姓
が違うのは確か自分の領土持ってるからとかゆうのは聞いた事あるが

418:名無しさん@ピンキー
07/09/24 09:07:52 UHpIzipA
三連休なのにブログの更新ができねー
タバサとルイズの対決のつづきが書きたいんだが携帯だと指がもたんorz

419:名無しさん@ピンキー
07/09/24 12:07:37 Mp0X2kTN
本当に500レス行かなそうだな・・


420:名無しさん@ピンキー
07/09/24 12:17:16 MhsSf2bc
スレを早く終わらせるために職人さんが頑張ろうとするのはなんか違う気がするけど、
職人さんが頑張った結果としてスレが早く終わるのっていいね。

自分でも何書いてるのかわからないな。

421:名無しさん@ピンキー
07/09/24 12:20:59 Wk3gF2zh
過程と結果を入れ違いにしちゃいかんということか

422:名無しさん@ピンキー
07/09/24 13:17:15 FpN0nDha
投下時期が重なって、原作のやアニメの話題が減少傾向だからね。
スレの密度が自然と上がってるんじゃないかな。

423:名無しさん@ピンキー
07/09/24 14:54:05 JAWIjAyT
そしていつか原作も終わって過疎になり
「ここも過疎って来たな」
「age」
「昔は職人さんがいっぱいたんだがな」
という展開に・・・いやだいやだ終わりたくないやい!

424:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:01:14 K7NPYteR
まあ、それも仕方ないさ。
勢いがある内に思う存分楽しませて頂こう。
上のコルベール先生のSSも、元は別のスレから誘導されて来たものだし
当分は新規作家の枯渇は無いと思う……タブン

425:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:02:02 ZEl8UC29
アニメの絶望感に反比例して投下量が増えてる気がするんだがw

426:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:15:36 FQYqJj9m
アヌメの絶望感が俺達の力になる!

427:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:16:20 xU/b/q/N
アニメの期待以上の裏切りのせいで
頭で脳内変換してた職人さんがたまった妄想をここに投下してると思うんだ

428:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:17:50 AHAHrBmN
>>423
とりあえずMFの看板作品になったし暫くは終わらんだろうが・・・・

>>425-427
現実逃避最高w

429:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:18:38 Wk3gF2zh
モット伯のような話しでもやればネタになるのにね

430:名無しさん@ピンキー
07/09/24 16:20:48 sk9PZxEg
Nice Noto.

431:名無しさん@ピンキー
07/09/24 16:43:06 vKGkxDGk
アニメが放映されてない東北の田舎者としては、
1話と6話(しか見てなかったりw)の女の子アニエスをニコ動で見れただけで
余は満足じゃがw

432:名無しさん@ピンキー
07/09/24 17:06:01 icLV5k90
なんだかタバサ×サイトの純愛系を読みたい、と唐突に思った。
何方か職人さんが筆をとってくれる事を望む。


433:名無しさん@ピンキー
07/09/24 17:15:02 D2a63m39
>>432
YOU 書いちゃいなYO!!

434:名無しさん@ピンキー
07/09/24 17:35:31 FQYqJj9m
>>431
そのあたりでやめておくのが吉かと。
二期はその……く、釘みゅの迫真の演技だったぜ!は、ハハハ…

435:名無しさん@ピンキー
07/09/24 17:49:00 AHAHrBmN
>>434
ナギの方が良いと思ってる俺がいる・・・。いや、犬犬うっさくて

436:名無しさん@ピンキー
07/09/24 17:49:43 flrZmVzm
>>432
 タバサ→サイト→ルイズ
 タバサ←→サイト←ルイズ
 タバサ→サイト←→ルイズ

どっち方面なんだろう


437:名無しさん@ピンキー
07/09/24 18:01:05 HzLNFFoU
コッパゲとサイトの対話書いたけどオチがない…

438:名無しさん@ピンキー
07/09/24 18:02:07 HXhUGemL
タバサ←→サイト←→ルイズ←→タバサ

439:名無しさん@ピンキー
07/09/24 18:10:06 MSTFjmw+
そういやあとひと月で都産祭だが
誰かせんたいさんのサークルの情報知らんか?
いつだったか都産祭でスペース出してるみたいな話してたと思ったんだが

440:名無しさん@ピンキー
07/09/24 18:37:36 pcM8lxal
Wii←→ Wii←→シャー←→シャー

441:サイトが魔法を使えたら(1/2)
07/09/24 18:56:38 flrZmVzm
ルイズのお許しをもらったサイトは、午後の数時間をタバサと過ごすように
なった。もちろんご主人さまの命令(いいつけ)どおり、魔法を教えてもらうだけである。

ガンダールヴの力の助けもあってかサイトの理解力はタバサの予想を超えていた。
系統魔法の基本の手引きは3日足らずで理解してしまったのである。
今は初中級者向けの系統魔法の教科書を使って勉強に励んでいる。

タバサは毎日必ずサイトとふたりきりになれることに喜びを感じていた。

「タバサ、そろそろ教科書ばっか読んでるもの疲れてきたんだけど、実践ってやんないのか。
使えなかったら意味がないだろ?」

タバサはちょっと困ったように答えた
「メイジとしてルーンを紡ぐためにはその媒介とするものが必要」

サイトは首をひねった。
「媒介?」

「つまり杖のこと---」

「あー杖のことなのか、俺はそんなのもってねーな。デルフは剣だからな・・・」

「オレは魔法を吸収できても吐き出せねえよ。もちろん杖じゃねえ」
唐突にデルフリンガーが二人の話に割り込んできた。
「しかしだ。相棒の前のオレの相棒は右手にある物を持ってそれで魔法の
ルーンを唱えてたな。今思い出した!」

「なんだよ、そのある物ってのは」
サイトはいぶかしげにデルフリンガーに聞いた。
「それはオレに聞くよか、そこの青髪のおちびちゃんに聞いたほうがいいんじゃねえかな」

「え?!タバサに!」
目を見開いてサイトはタバサのほうに視線を向けた。

442:サイトが魔法を使えたら(2/2)
07/09/24 18:57:12 flrZmVzm
不意にサイトと目が合ったタバサは頬を染めた。想い人に見つめられると
こんなに心躍るものなのだろうか、この高揚感にすこし戸惑い気味なタバサだった。
「い、イーヴァルディが作ったとされるインテリジェンス・スピアがある。
名は、《グングニル》。」

「ほほー、おちびさん、ヤツの名前までご存知とは恐れ入りやのきしぼじん」
デルフはタバサに感心していた。タバサは今まで人から(デルフは剣だが)褒められる
ことがなかったのでちょっと照れくさくなってうつむいてしまった。

「なあ、相棒オレは、相棒の左腕なんだよ。つーことはだな、右腕ってのもある
そー思ったことねえかい」

「う~ん、正直デルフを扱うだけで一杯一杯だったからな。考えたことなかった」

「ありゃ、そなの・・・でもよ、グングニルってヤツがいるのは確かなんだよ
まぁ、ちょいと変わった性格してんだけどな笑。これも今思い出したんだがね」

「ところでタバサ、そのグングニルってのは今どこにあるんだ?」
サイトは素朴質問をタバサに投げかけた。

タバサは少し微笑み、じっとサイトを見つめてこの槍のありかを告げた。
「ここ。この魔法学院にあるの」

443: ◆LoUisePksU
07/09/24 19:00:16 flrZmVzm
>>284のつづき。
連休は大阪行ってたもんで少なめ。
ルイズはお休みですw

つづきはまた今度。

444:名無しさん@ピンキー
07/09/24 19:02:48 QpQUdaWF
乙です。
これからどんな展開に持っていくのか楽しみです。w

445:名無しさん@ピンキー
07/09/24 19:03:50 Wk3gF2zh
そういえばガンダールブは槍も持ってたんだっけな
戦う時は振り回しづらくないのかねぇ?

446:名無しさん@ピンキー
07/09/24 19:20:10 tS47PUO+
投下乙。


たまにはサイトとキュルケのカップリングも見てみたいな。
そんなことになったら、ルイズラスボスルートは確実だろうがw

447:名無しさん@ピンキー
07/09/24 19:22:59 pcM8lxal
肉弾戦の時だけデルフとグングを合体させて

魔法戦の時
デルフ→盾
グング→剣
みたいな感じにしてたりとか?

448:名無しさん@ピンキー
07/09/24 19:31:33 kF73yVzZ
『グングニール』で『ニール』がよいんじゃね?


……犬ごめん

449:名無しさん@ピンキー
07/09/24 20:22:17 vqQVREEW
>>436
もう、必ずしもルイズに拘る必要も
無いのではないかのう……?

450:名無しさん@ピンキー
07/09/24 20:24:34 Wk3gF2zh
>>449
つまりこういうことか

タバサ→サイト→オスマン←コルベール

451:名無しさん@ピンキー
07/09/24 20:24:47 FpN0nDha
>>440
勇者王自重

452:名無しさん@ピンキー
07/09/24 20:57:34 flrZmVzm
>>448 承知した。「グングニル」→「グングニール」にもっていく展開にする。

453:名無しさん@ピンキー
07/09/24 20:57:59 N2mXTG29
      巨乳たち
        ↑
タバサ→←サイト→←ルイズ
        ↓
   サイトのオカンの味噌汁
↑(多分)
       コッパゲ

454:名無しさん@ピンキー
07/09/24 21:00:08 N2mXTG29
ずれた!お詫びの俺の後ろの穴を使ってくれてもかまわんよシルフィ

455: ◆LoUisePksU
07/09/24 21:01:54 flrZmVzm
さっきあげた >>441 のつづき書いた。
どうやら相当書けなかったのでストレスがたまったらしい。
どんどん行かして頂きますよ。


456:サイトが魔法を使えたら(1/3)
07/09/24 21:03:07 flrZmVzm
神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。

デルフから先代ガンダールヴが右手に槍を持っていたことを聞いた。
その名前がグングニルであるということをタバサから聞いた。
なんと、その槍はこの魔法学院のどこかにあるらしい。

持ち前の旺盛な好奇心でサイトはワクワクしていた。
「じゃあさ、早速その槍を探したいなっ、な、タバサ。学院のどこ探せばいいんだよ」
タバサはたしなめるように言った。
「あせっちゃ駄目。在り処のめぼしはついてるから」
ちょっとサイトはすね気味に口を尖らせた。
「ちぇー。ケチんなくってもいいじゃんよ」

タバサはなぜかそんなサイトがかわいいと思ってしまう。
そしてサイトにやさしく諭した。
「駄目。まだ外は明るすぎる。今夜、夜が更けた頃、探しに行くの」
タバサのやさしい口調にサイトは素直に反応した。
「そか、暗くないとだめか。分かった。タバサの言う通りにするよ」

「ん。じゃぁ、今夜、本塔入口で待つ」

「了解、タバサ隊長!」

すこしにこりと笑ったタバサにサイトはどきっとした。
やっぱりかわいいよ。タバサ。

457:サイトが魔法を使えたら(2/3)
07/09/24 21:03:56 flrZmVzm
ルイズの部屋に戻ったサイトは夜が来るのを待った。
隣ですーすーとルイズの寝息が聞こえるなか、
サイトはそっと部屋から出て行った。

魔法学院本塔入口---
タバサは既に待合せ場所で待っていた。
サイトとふたりで待合せ。なんだがどきどきしてしまう。
夜という時間もこのどきどき感を高めているにちがいない。

そわそわしながらサイトがくるのを待った。
もしかしたらあのルイズに止められてしまっているかもしれない。
いやな予感がする---タバサはきゅっと唇をかんだ。

「おーい、タバサ。お待たせ。」
サイトは走ってきたらしい。タバサはいやな予感がはずれてほっとした。

458:サイトが魔法を使えたら(3/3)
07/09/24 21:05:30 flrZmVzm
「早く行こうぜ」
「ん。」
タバサは塔の入口の鍵をアンロックで開錠した。

「あのさタバサ、どこに行くんだよ」

サイトは小声でタバサの耳元で囁いた。
サイトの息が耳にかかったのでタバサはびくんと身体が跳ねた。

「・・・・耳。くすぐったい」

「おわっ、ごごめん。ちょっと近かったか」

サイトに少し距離をおかれてしまった。
別にいやなわけではなかったが、なんか恥ずかしいのだった。
気を取り直してタバサは答えた。
「5階の宝物庫に行く」

459:名無しさん@ピンキー
07/09/24 21:55:23 lNWeFggV
GJ

460:名無しさん@ピンキー
07/09/24 22:51:22 NxY/5X0+
GJ!続き待ってる~

アニメテファ………orz

461: ◆LoUisePksU
07/09/24 22:56:29 flrZmVzm
今夜はとことん行くぜ!
>>456続き投下開始っ!


462:サイトが魔法を使えたら(1/4)
07/09/24 22:57:15 flrZmVzm
魔法学院本塔5階。魔法を使えばすぐに一飛びで行ける距離だ。
しかし、まだメイジではないサイトと一緒に走っていくしかない。
歩けばいいのにサイトは走り出してしまったのである。

身体が小さいタバサの体力は他の生徒と比べるとやはり少ない。
サイトは男の子なのでなおさら距離は開く一方だった。
だんだん息が続かなくなってきてタバサは走るのをやめてしまった。

はぁ、はぁ、はぁ---いっそのことフライを使ってしまおうか。そう考えた
矢先、先走っていたサイトがいつの間にかタバサのところに引き返していた。

「タバサごめん、おもっきりダッシュしてた。手を貸すよ。一緒に行こう」
サイトはそういうとタバサの小さな右手を握ってきた。
サイトの予想外な行動にタバサは顔を赤くした。

「え・・・・あ、ありがと」

力強くサイトに手を引かれながら宝物庫の前までやって来た。
二人の目の前には巨大な鉄の扉が聳え立っていた。

「で、でかい---」
その巨大さにサイトは息を飲んだ。
しかもその鉄の扉にはこれまた頑丈そうな錠前が付いていた。

「・・・」
タバサは無言で鉄の扉を見上げていた。

「ど、どうすんだ。どうやって入るんだ」
サイトはあせってタバサに聞いた。

「・・・だいじょうぶ。」
そう一言タバサは呟くとサイトの目の前にきらりと光る物を突き出した。

「か、鍵?!どうやって持ってきたんだよ--」
サイトがびっくりしてタバサへ問いかけた。

タバサは悪戯っぽく笑って、ヒミツ。と言った。

463:サイトが魔法を使えたら(2/4)
07/09/24 22:58:43 flrZmVzm
ガチャンーーータバサがどこから持ってきた鍵で宝物庫の巨大な扉は開かれた。

目の前に広がる秘蔵ともいうべきお宝の数々にサイトは圧倒された。

「す、すっげーよ。まるで博物館じゃねーか!!!」
興奮するサイトのパーカをタバサはちょっとつまんでくいくいっと引いた。
「こっち、来て」

どうやら地球にある博物館と同じようにある程度分類された状態で保管されている
ようである。
物珍しさにキョロキョロしまくっているサイトを横目でちらちら見ながらタバサは目的の
場所へと歩いていった。

「たぶん、ここらへん」
二人は剣や槍などの武器を保管している場所にたどりついた。

「にしてもずい分あるなー。探すにゃ骨が折れそうだな~」
言葉とは裏腹にサイトの目はキラキラと輝いている。

そんなサイトをタバサは微笑ましく見つめた。
「デルフリンガー」
タバサがサイトの剣の名を呼んだ。
「ん~。なんだぁお呼びかい。おちびさん---こりゃまた懐かしい匂いの
する場所にきたもんだ。おでれーた!」

「お願い。槍を探してほしいの」

「ヤツを見つけりゃいいんだな。分かったよ。おちびさん。
じゃぁ、相棒。悪いだが俺を持ってくんねぇかな」
デルフはサイトに言った。

わかった。そう言ってサイトは左手でデルフを握った。
左手のルーンが光り輝いた。
すると宝物庫のある一角が光を放ち始めた。

「相棒、おちびさん。あの光がヤツの居場所さ---」
なぜか渋い声色でデルフが言った。

二人は言われるがままに光の下へと急いだ。

464:サイトが魔法を使えたら(3/4)
07/09/24 23:00:59 flrZmVzm
タバサとサイトは光を放つ場所にきた。

2メイル半はある美しい木目が目立つ長い柄。そしてその先には昔のデルフのようにくすんではいるが、
鋭利な刃が付いていた。その槍の刃には何か文字が刻まれており、その文字が光輝いていた。

「よう、ひさしぶりじゃねか、グング。いつまで寝てんだよ。とっとと起きやがれ」
デルフは、懐かしい友人に冗談を言うように槍に話しかけた。
すると、槍がしゃべりはじめた。
「っるさいわねぇ~ダレなのよぉ。折角人が気持ちよく寝てたってのにさぁ~」

その声を聞いてサイトは一瞬で凍りついた。
タバサは、伝説の槍を目の当たりにしてただただ凝視していた。
(これが、伝説のインテリジェンス・スピアーーグングニル・・・)

「おめぇ槍だし。いーから目ー覚ませ。久々に使い手が現れたんだぜ」
デルフは急かすように言った。
「なにさ、使い手?えっわたしたちを使える人間がまた出てきたってのね!
あぁらぁ、おにぃ~さぁん、かわいぃじゃないよぉ。あたしのこ・の・みかしらぁん。ウフッ
お名前、おしえて~ん」

サイトの全身からいやーな汗が大量に噴きだした。
デルフはサイトの雰囲気を察して、かわりに槍に話しかけた。
「相棒やっぱ固まっちまったか。今回の相棒名前はなーーー」

「あんたにきてないわよぉ。この子に直接聞いてるんだから、アンタは黙ってらっしゃいな」

「へーへー、ってことで相棒そろそろ口聞いてやってくれ」
「お・な・ま・え・は?」

「ひひひひひヒラガ・さささサイトです。」
サイトはてんぱってしまった。
またかよ。またアレか。この世界はスカロンみたいな人間だけじゃなく武器すらアレがいるのか・・・
そう、この槍オネエ言葉でしゃべるのだ。

465:サイトが魔法を使えたら(4/4)
07/09/24 23:02:33 flrZmVzm
「素敵なお名前じゃないのぉ。サイトくんねぇ。よろしくぅ。あたし、グングニルっ呼ばれてんだけどさ、
あたしとしちゃ、グングニールって呼んでほしいわけ。あたしのお願い聞いてくださるわよねぇ~
聞いてくんなきゃ、ゆーこときいたげないわよぉ。フフフ・・・」

この槍の言うこと聞いておかないと間違いなく寝込みを襲われる。奪われてしまう。
「わ、わかったよ。グングニール。よ、よろしくな」

「ぁあん。いー声じゃなぁい。ちゃーみんぐだわぁん。貴方のお願いならなーんでも
聞いてあげちゃうわよぉ。早速だけど、あたしに触れてみてぇ~」

サイトは言われるがままグングニールに触れた。
するとグングニール全体が黄金色に光り輝いた。

「サイトくーん。あたしってば今はこんな図体だけどさぁ、とってもかわいらしく
変身できちゃうのよぉ。今からやったげるから、しっかり受け止めてねぇ」

輝きが閃光となり宝物庫全体を光で包み込んだ--そしてサイトの右手
に杖くらいのかわいらしいサイズになったグングニールがいた。

「いやぁん、しっかりうけとめてもらっちゃたわ。感激ぃ」

激しい吐き気に襲われながらも必死になってサイトは小さくなったグングニールを
しっかり握った。

466:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:04:18 lNWeFggV

釜なのか槍なのかどっちなんだww

467: ◆LoUisePksU
07/09/24 23:05:01 flrZmVzm
今日はこんなとこで。
やっと満足したきがするw

>>448
これでどう?


468:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:06:38 flrZmVzm
>>466
そうそう、ヤリなんですがカマなのね。そこがポイントなんですよw

469:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:07:07 hKCE3x+I
内容自体はまあGJなんだが。
いちいちカッコつけんでもいいから、書ける分書いてからまとめて投下してほしいなあ。
他の書き手さんたちも気を遣って投下のタイミング計りづらくなると思うし、
なんか常に自分に注目を集めようとしてるようで、読み手にとってもあんまり印象よくない。

470:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:09:47 fE52Ylfc
n/Nって書き方してくれてるから別にいいんじゃないのとおもう

>467
とにかくGJ
ちゃんと最後まで書ききってくれ

471:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:11:24 flrZmVzm
>>469
もうしわけない。さすがに今日はなんかちょっと節操がなかった。
以後気をつけるよ。

472:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:12:13 vqQVREEW
>>467
タバサ好きですからいいんですけど……
タバサがサイトに告白した事についてはなにもフォローないんでしょうか?
サイトもタバサの告白よりルイズを優先した事についてもう忘れたかのように話してますし
その上でやっぱりかわいいと思うのはある意味原作より不誠実な態度なのではないでしょうか?
横槍入れてすみません。


473:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:13:02 68Hsxcfw
>>365
ピロウズ好きの俺にはたまらない内容だったw

歌詞の内容とぴったりだし
「歳を取って忘れられてく 痩せた枯れ木に
Please Mr lostman 星が咲いていた please Mr lostman」

474:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/09/24 23:23:59 JZC8Hhi+
絶望した!俺の大好きなおっぱいエルフの出番が一瞬で終わって絶望した!
ていうかね。タバサも出番少なくてね。

…もう俺JCにケンカ売りにいこうかしらん、とか何度か思ったわけですよええ。

8巻冒頭のステキ妄想シーンを飛ばすとはなにご(ry
以上、愚痴終わり。
>>255の続きですが。
…また終わってないんですよこれがね。時間なくてね…。
恨むなら(ry

475:キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM
07/09/24 23:24:49 JZC8Hhi+
「あっあのこれはですねっ!つい魔がさしてっ!」

目の前でシエスタが慌てている。
トリステイン魔法学院の制服で。
っていうかルイズの制服で。
目の前でぶんぶん手を振り回しながら、真っ赤な顔で。

「なんか似合うかもー、って思って!ミス・ヴァリエールとあんまりサイズも違いませんしっ!」

言い訳と一緒に振り回される腕と一緒に。
サイズが合わなくてこぼれそうなおっぱいがぽよんぽよんと揺れている。今にもこぼれそうなその物量はまさに過積載。
…なんというエロ可愛ゆさ。

「あ、あのー?サイトさん?」

はっ!?
しまったヨダレがっ?
ていうか俺は今相当アレな顔をしていたらしい。
シエスタは俺の方を心配そうに見つめている。
やべ、フォローしとかないと俺まじでへんたいさんですかっ!?

「い、いや、なんでもないよ!
 ていうか、シエスタその格好似合ってるよ。うん」

…とりあえず誤魔化してみる。

「そ、そうですか?」

褒められたシエスタは、えへへ、なんて嬉しそうに微笑んだ。
…よっしゃ成功。
とりあえず、ほっとして俺は続ける。

「うん、似合う似合う。
 こんなご主人様なら俺喜んで使い魔やっちゃうよ」

その言葉に。
シエスタの目が鋭い光を放った、ように見えた。
…キノセイダヨネ?

476:キミが主で使い魔が俺で ◆mQKcT9WQPM
07/09/24 23:26:43 JZC8Hhi+
シエスタはしばらく才人に背中を向けて何事かぶつぶつ言った後、振り向いた。
そして、ちょっとぎこちない爽やか笑顔で、こう言った。

「え、えと、じゃあ、今からサイトさんが私の使い魔で、私がご主人様、っていうのはどうでしょう!」

その言葉に、才人の目が点になる。

「へ?」

しかしここで引いては、せっかくの妄想実現チャンスを不意にしてしまう。
シエスタは半分呆れ顔の才人に食い下がる。

「本当に、ってわけじゃないんです!ごっこですごっこ!
 ちょっとの間だけ、してみません?き、きっと面白いですよ!」
「そ、そういうもんかなあ」

鼻息がかかりそうな距離まで近寄って、必死にそうのたまうシエスタに、才人はちょっと引き気味だ。
シエスタはほんの少し焦ったが。
ようし、こうなったら!

「そ、そういうわけで今から始めます!はい!」
「え?え?え?」

ヘタレで女の子の押しには弱い才人のことだ。
ここで押されれば、きっと。

「…の、喉が渇いたわ。紅茶を持ってきて頂戴」

ちょっとルイズを真似て、すこし斜に構えて才人を見下ろすシエスタ。
…お願い、上手くいって…!
才人は少しの間、ほけっとシエスタを見つめていたが、少しすると微笑んで、

「…了解しました、ご主人様」

すたすたと、紅茶を取りに部屋から出て行ったのだった。
やったーーーー!
シエスタは心の中で喝采し、部屋の中で小さく飛び跳ねたのだった。

477:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/09/24 23:29:16 JZC8Hhi+
2期丸まる使って8巻やればらきすた越えられたかもしれないのに、もったいない。
とか愚痴ってもしょうがないので

こどものじかんに萌えてきます<真性

じゃあ続きは後日ーノシ

478:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:38:10 oZdcoLX6
んーGJ。見てみたいな兎塚絵で制服シエスタ。
・・・そろそろマジ容量限界が近づいてきた・・・

479:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:55:16 C2AtT9+5
でも一応アニメで8巻展開は……やらないん?

上手く運べば燃えと萌え両立できる神素材なのに、
スタッフが諦めて萌えのみに特化せさせちゃった感があるからなぁ

480:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:59:45 NxY/5X0+
アニメは毎回「俺が」身悶えるシーンが出てくるんだよね、
見てるこちら側が恥ずかしくなるような…糖尿になりそうだった
次アニメやるときは萌ベクトルをちょっと抑えて欲しいな

481:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:07:02 llMYNLFm
>>480
オレ、ネコルイズが出てきた時点でTVの電源切っちまった
余りにも恥ずかしすぎて直視できなかったんだよ

482:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:12:18 zvj29YHG
なんだあの2期END・・・怒りで震えが止まらない・・・

483:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:28:15 ft103Qp+
アニメなんか作者公認の豪華な同人さ・・・

484:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:29:34 HaSwWu89
キャベツに比べれば……ッ

485:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:30:14 0yaGy/fm
OVAとかで出ないかねぇ~
映画は無理としても…

486:205
07/09/25 01:38:43 BgiXlWlE
>>473
元ネタを知ってたお前とは間違いなく友達になれるだろうと確信する俺。
ビートルズって答えてくれた人も、ある意味間違いではないんですが。

しかし、かなり後ろにいってしまったSSにレスつけてくれるとは、なんていい奴なんだ!
気に入った、>>473もシルフィにファックされても(ry

えー、前置きが長くなりましたが、URLリンク(wikiwiki.jp)「犬竜騒動」の続きを投下します。
前以上に意味不明な内容となりましたが、まあキニシナイ。

487:犬竜騒動
07/09/25 01:39:58 BgiXlWlE

「おねーさまおねーさま!」
 窓の外から大声で呼ぶ声がする。精神的な疲れを癒すべくベッドの中で眠っていたタバサだったが、
それがシルフィードの声だと気付くや否や、慌てて跳ね起き窓を開け放った。窓の外に浮かんでいる
シルフィードは、何やら非常に興奮した様子だった。
「大変なのね、大変なのね!」
「そんなに大声を出したら、他の人に気付かれる」
「あ、ごめんなさい、ついうっかり。きゅいきゅい」
 タバサの指摘を受けて、シルフィードはようやく声量を落とした。タバサは窓の外に首を突き出し
て、そっと辺りを窺ってみる。休日の昼間ということで人が出払っているのか、今のシルフィードの
声に驚き、騒いでいる人間はいないようだった。
 ほっとしつつ、念のため周囲に「サイレント」の魔法を張り巡らせてから、タバサは再びシルフィードに向き直る。
「それで、何が」
「そうそう、大変なのよ、あの女、とんでもねー化け物だったのよ」
 シルフィードは声を落としたまま、興奮した口調できゅいきゅいと説明を始めた。とんでもない回転刃の話やら、
詠唱なしで発動する、地面を抉るほどの超威力の魔法の話など。
 タバサはうんざりした。
(また、何か勘違いしているみたい)
 しかし、「これは由々しき事態なのね」という文句を何度も織り交ぜながら説明しているシルフィードを
見る限り、「何かの勘違いに違いないから、もう一回確認して来い」と言ったところで聞きはしないだろう。
(ここは、とりあえず適当に聞き流すに限る)
 タバサは手の平を出して、シルフィードの声を遮った。
「話はよく分かった」
「じゃ、シルフィに加勢してくれるのね?」
「そんな危険な怪物を相手にするのなら、情報が必要。もっと時間をかけて、相手のことを調べるべき」
 我ながら上手いことを言ったものだと思ったが、シルフィードは「それじゃ遅いのね」と叫んで激
しく翼をばたつかせた。
「ぐずぐずしてると、あの女の肉体にのめり込んでるサイトが、もっとひどいことになっちゃうわ!」
「もっとひどいこと、と言うと」
「ええと、きっと『回転刃プレイ』とかやらされるのよ」
「なにそれ」
「『いいこと思いついた。お前、この回転する板にチンコ入れてみろ』とか言われるのよ。大変、サ
 イトが種無しになっちゃうのね!」
「大変なのはあなたの頭」
 そして同時にタバサの頭も大変なことになってきた。アホな理屈を真面目に聞いていたせいか、後
頭部の辺りがずきずきと痛み出したのだ。
(休まないと大変なことになりそう)
 タバサが大きく息を吐き出すと、シルフィードは歯軋りしながらぶんぶん首を振った。
「おねーさま、やる気なさすぎです!」
「当たり前」
「もういいのね、おねーさまには頼らずに、サイトを助けてみせるのね。きゅいきゅい」
「シルフィード」
 身を翻しかけたシルフィードを呼び止める。竜は嬉しそうにこちらに頭を向けた。
「やっぱり、おねーさまも協力してくださるの?」
「ううん。ただ、正体がばれないように注意するようにと言いたかっただけ」
「言われなくても分かってるのね!」
 吠えるような返事を残して、シルフィードは飛び去った。
 タバサは黙って窓を閉じた後、ベッドではなく本棚に歩み寄った。頭痛を治めるためにも休まなけ
ればならないが、その前にやらなければならないことがある。
(風韻竜の肉の値段はどの本に載っているだろう)
 割と真剣に本の背表紙に目を滑らせるタバサであった。

488:犬竜騒動
07/09/25 01:40:43 BgiXlWlE

「これは由々しき事態なのね!」
 目の前の切り株を前脚で叩き、シルフィードは唾を飛ばしながら力説した。
 魔法学院周辺にある森の一角、泉のそばにある開けた場所である。シルフィードの目の前の広場に
は、魔法学院の生徒や教師達の使い魔たちが、所狭しと集まって好き勝手に鳴き喚いていた。
 使い魔会議。ご主人様たちには知られることのない、使い魔たちの秘密の会合である。本日召集を
要請したのはもちろんシルフィードで、例の鉄の竜を使い魔総出で何とかしようと提案する腹づもりであった。
「敵は非常に強大なのよ」
 シルフィードは居並ぶ使い魔を見下ろしながら説明する。
「近づくものを全て切り刻む謎の回転板、詠唱なしで発動する謎の破壊魔法。どこが目でどこが鼻な
 のか、そもそも何という名前の生き物なのか。全てが謎に包まれているのね。そして何よりも、あ
 の人間を魅惑する謎のぼでー」
 シルフィードは、鉄の竜の腹に顔を埋めていた才人の顔を思い出し、興奮に任せて何度も目の前の
切り株を叩いた。
「これは由々しき事態なのね! 早急に手を打たないと、皆のご主人様たちもゆーわくの骨抜きの種
 無しなのよ!」
 実に熱の篭った演説だという自覚はあったが、使い魔たちの多くは全く聞いていなかった。仲のい
い者同士集まって、ピーピーギャーギャーゲロゲログワッグワッと好き勝手に雑談している。
「お前のご主人最近どう?」
「相変わらず肉の塊だね。ああ、なんで俺はあんなデブ男の使い魔になっちまったんだろう。そっちはどうよ?」
「相変わらずペッタンコのオデコテッカテカ。しかも人使い、いやカエル使いが荒くてよ。そんなた
 くさん魔法薬の材料なんか集められるかっつーの」
「でもたまにキスとかしてもらってんじゃん」
「そのぐらいじゃ割に合わねーよマジで。これでバインバインだったら少しは頑張れるんだけどよー」
 愚痴を垂れ合っているのは、小さなカエルとフクロウのコンビである。確かロビンとクヴァーシル
という名前だったか。
「ミミズうめぇ」
 と、一人もぐもぐやっているのは、間抜けな顔の巨大モグラ。名前はヴェルダンデである。
(アホばっかり。いくらなんでもまとまりなさすぎなのね)
 誰も真面目に聞いてくれていないので、シルフィードは少しうんざりする。そのとき、使い魔の群
れの中から誰かが長い舌を突き上げた。
「質問があるんだが」
「はいはい、何なのねそこの人。あらフッチーじゃないの」
 発言したのは一匹のサラマンダーであった。名前はフレイム。タバサと仲のいいキュルケの使い魔
なので、シルフィードとフレイムも自然と友達になっていた。
 フレイムは、ちろちろと細い火を吐きながら首を傾げた。
「お前さんのご主人様は、あのタバサってちっこいお嬢ちゃんなんじゃないのか?」
「ああ、あの青髪のお子様な」
 シルフィードが答える前に、カエルのロビンがゲロゲロと口を挟んだ。隣でフクロウのクヴァーシ
ルが澄まし顔で頷く。
「俺、あのデブ……いや、ご主人様と違ってお子様体型って興味ないんだよね。やっぱ女はもっとこ
 う、バインバインしてた方がいいよ」
「同感。ウチのご主人には凹凸が足りない」
 カエルのロビンとフクロウのクヴァーシルが、揃ってフレイムをじっと見た。フレイムが気味悪げに顔をしかめる。
「なんだお前ら、その目は」
「いいよなフッチーはよ」
「そうだよ。あんなエロいご主人を毎日毎日飽きるまで観賞できてよ」
 恨みがましい二匹の使い魔の言葉に、フレイムは呆れたように首を振った。
「あのな、俺はそもそもトカゲだから、人間の女の体なんかに興味なんぞ」
 だがフレイムの弁解などお構いなしに、ロビンとクヴァーシルはどんどん興奮していく様子であった。

489:犬竜騒動
07/09/25 01:41:37 BgiXlWlE

「きっと、トカゲ風にじゃれつく振りして、あの長い舌でご主人の体思う存分なめ回すんだぜ」
「うひゃー、エロイ、フッチーエロすぎ! っつーかそもそも、あのご主人のおっぱい反則だよな」
「お前さんのご主人だって、胸にたっぷり肉がついてるじゃないか」
 フレイムが口を挟むと、クヴァーシルが飛び上がって威嚇するように翼を広げた。
「馬鹿言え、あれはただの脂肪だ」
「何か違うのか」
「おっぱいと脂肪を一緒くたにするんじゃねーよバカ」
「そーだよ、おっぱいには夢が詰まってるんだぜ」
 ロビンが怒りを表すようにぴょんぴょん飛び跳ねると、クヴァーシルもまた興奮した様子でばさば
さと翼を振るう。二匹は口を揃えてフレイムに叫んだ。
「という訳で、罰としてお前のご主人のおっぱい俺らに見せろ」
「そーだそーだ、俺らにもおっぱい寄越せ。おっぱいの開示を要求する!」
「意味が分からん」
「うるせー、いいからおっぱいうp」
「そうだそうだ、おっぱいうp、おっぱいうp!」
 ロビンとクヴァーシルにまとわりつかれ、フレイムは鬱陶しげに頭を振るう。
(この色狂いの使い魔どもは役に立たないのね)
 シルフィードは彼らに頼みごとをするのは諦め、代わりに広場の片隅で何やら土をごそごそやって
いるヴェルダンデに目をやった。
「そこのモグラさんはどう思われますの」
 土から顔を上げたヴェルダンデが、鼻をひくつかせながら答えた。
「ミミズうめぇ」
(アホの子なのね)
 シルフィードは盛大にため息を吐いた。
(どうしてこの学院の使い魔は、皆こんな能天気なのばっかりなのかしら。やっぱりメイジのパート
 ナーたるもの、もっと上品かつ知的でなければいけないのね)
 きゅいきゅいと頷きながら、シルフィードは憎い鉄の竜の面相を思い浮かべた。
(そこいくと、あの女はやっぱり失格だわ。あの嫌味で人を見下した態度、こちらを嬲るような魔法
 の使い方。最低なのね。サイトもあんな女のどこがいいのかしら、きゅいきゅい)
 そんな風にシルフィードが頭の中で罵声を唱え続けるおかげで、会議はいよいよ混沌の坩堝に陥った。
「おっぱい、おっぱい!」
「いい加減にしないと燃やすぞお前ら」
「ミミズうめぇ」
「ウチの主人はミーハーで困りますのよ」
「俺の主人なんかハゲだぜハゲ」
「馬鹿野郎お前ら、あんな根暗中年と長年付き合ってきた俺の苦労を知れよ」
「ミミズうめぇ」
「私のご主人も、もうすっかりおばさんでねえ」
「ミス・ロングビルがいた頃は天国だったよないろいろと」
「ミミズうめぇ」
 ギャーギャーワーワークォゥクォゥモグモググワッグワッピーピー。
 恐らく人間が通りかかったら腰を抜かすであろう、多様すぎる動物達の狂乱の宴。
 会議はこうしてまとまりを欠いたまま、何の結論も得られずに終わるかと思われた。
「おうおう、騒がしいじゃねえか、ああん」
 貫禄たっぷりの声が響いたのは、まさにそのときである。あれだけ騒がしかった広場が一瞬で静ま
り返り、全員が一斉に入り口の方を見る。そこへ、小さな巨人がゆったりと姿を現した。
『モートソグニルの旦那!』
 その場の全員が口を揃えて叫び、一斉に頭を下げる。
 モートソグニルと呼ばれたそのネズミは、チューチューと髭をしごきながら、使い魔たちが体を避
けて作った通路を通り、シルフィードの眼前まで歩いてきた。
「面倒な挨拶はいらねえよ。でっけえ嬢ちゃんよ、あんたは、ここにいる連中の力を借りてえってんだろ」
 先程まで演台として利用していた切り株の上に立ったモートソグニルが、小さな瞳でシルフィード
を見上げてくる。
「は、はいなのね!」
 シルフィードは緊張しながら返事をした。ネズミなどよりも余程強大な力を持っているにも関わら
ず、彼女もこのモートソグニルには逆らう気にはなれない。他の使い魔たちも皆同様で、モートソグ
ニルの命令には素直に従うのである。これが貫禄というものなのだろう。

490:犬竜騒動
07/09/25 01:43:00 BgiXlWlE

(凄いのね、モートソグニルの旦那の力を借りれば、きっとこの難局も乗り切れるのね)
 期待に胸を躍らせるシルフィードの前で、モートソグニルは「だがまあ」とため息を吐くように言った。
「タダっていうのは、虫がいい話だわな」
 やたらとドスの利いた声に、シルフィードは緊張して身を硬くした。
「な、何をお望みでしょう」
「そうさな。俺の知恵を貸してほしけりゃ」
 睨むような鋭い目が、シルフィードを見据える。
「なんかエロいもん寄越せ」
 要求は直球だった。
「さすがモートソグニルの旦那だ」
「俺達には真似できねえ」
 モートソグニルの背後で、カエルとフクロウが恐れ慄く。さすがあのエロ学院長の使い魔、好色さ
も他の使い魔顔負けである。
(良かった、割と容易い要求なのね)
 シルフィードはほっとしながら、愛想よく頭を下げた。
「じゃあ、これで一つよろしくお願いいたしますわ」
 少し長めの呪文を詠唱し、魔法を発動させる。風が巻き起こり、青い渦となってシルフィードを包む。
 その風が晴れたとき、シルフィードは青く長い髪を持つ、人間の美女へと姿を変えていた。もちろ
ん、生まれたままの姿である。
「これでいかがかしら」
 タバサの友人を真似て、媚びるような声と仕草をしてみせる。エロガエルとエロフクロウが興奮し
て飛び上がった。
「うひょー、ブラボー!」
「おっぱい、おっぱい!」
 あの二匹の反応を見る限り、きっとネズミの旦那にも満足してもらえるだろう。シルフィードは自
信を持って下を見たが、切り株の上のモートソグニルは喜びを露わにするどころかブルブルと体を震
わせていた。
「あら? どうしたのね、モートソグニルの旦那」
「嬢ちゃんよ、ふざけてんのかい」
 呟きと共に、モートソグニルはダッと駆け出した。ネズミらしい俊敏な動きで一気にシルフィード
の体を駆け上がり、彼女の頭に思いっきり前歯を突き立てる。
 シルフィードは悲鳴を上げて飛び上がった。
「痛い痛い、いたいのねーっ!」
「ンな紛い物いるかぁ! 俺は生が見てえんだよ、生が!」
 あまりの痛みにのたうち回るシルフィードの前に着地し、モートソグニルが吠えるように鳴く。
 使い魔たちが畏怖するように身を引いた。
「さすが旦那だ」
「ああ、あれが通ってもんだぜ」
「ミミズうめぇ」
 使い魔たちの長的存在であるモートソグニルの機嫌を損ねたことで、会議はまたも失敗に終わるか
と思われた、が。
「その辺で勘弁してやってくだせえよ」
 こちらもなかなか貫禄のある鳴き声を上げながら、サラマンダーのフレイムがのっそりと進み出てきた。
 モートソグニルが不機嫌に鼻を鳴らす。
「なんでえトカゲの坊主。こちとら、このアホ女がくだらねえ芸を披露してくれたおかげで気が立ってんだ」
「竜の嬢ちゃんは、図体こそデケェがまだガキなんです。ここは一つ、俺に免じて許してやっておくんなせえ」
 頭を下げるフレイムに、モートソグニルはひくひくと鼻をひくつかせた。
「そこまで言うんなら、お前さんが代わりのものを用意してくれるんだろうな」
 広場に緊張が走る。誰もが注目する中、フレイムは目を瞑り、厳かに言った。
「旦那が協力してくださるってんなら、一度だけウチの部屋に覗きに入るのを見逃しやしょう」
 その場がざわめいた。フレイムの言葉は、ほとんど主人への裏切りである。

491:犬竜騒動
07/09/25 01:43:40 BgiXlWlE

「あのケバいねーちゃんか。正直好みじゃねえが、まあいいだろう」
 モートソグニルが重々しく頷く。長がシルフィードへの協力を約束したのである。広場が再びざわめいた。
「じゃあ俺らにも見せろ」
「おっぱいうp、おっぱいうp」
 ロビンとクヴァーシルも便乗して騒ぎ出す。フレイムはため息混じりに頷いた。
「分かった分かった、その代わりこの竜の情ちゃんに協力するんだぜ」
「うひょー、やったぜ!」
「俺らも頑張るぜシルフィ」
「楽しみだぜおっぱい!」
「おっぱい、おっぱい」
 跳ね回る二匹のアホ使い魔の脇を通り抜けて、フレイムがシルフィードにのっしのっしと近づいてきた。
「おう、これでいいんだろ嬢ちゃん」
「ありがとう、本当にありがとうなのねフッチー」
 主の裸を売ってまで協力してくれたフレイムに、シルフィードは痛く感激していた。何度も頭を下
げる彼女に、フレイムが苦笑混じりに細く火を噴き上げる。
「いいってことよ。どうせウチのご主人は、他人に肌を見せることになんざ大して羞恥心を持ってね
 えんだ。獣に見られるぐらい、気にもしねえよ。何より、お前さんとお前さんのご主人にゃ、俺の
 ご主人も世話になってるしな。これからも一つ、よろしく頼むわ」
 フレイムは低い頭をさらに下げたあと、使い魔たちの中へ戻っていく。その背を見送ったあと、シ
ルフィードは残る知り合いにも声をかけた。
「あなたにも協力してほしいのね」
 この騒ぎの中、まだ地面をごそごそやっていたヴェルダンデは、頭を上げると鼻をひくつかせながら言った。
「ミミズうめぇ」
「分かった、後でシルフィも一緒にミミズ探してあげるのね」
「了解した、私も協力しよう、心の友よ」
「まともに喋れるのなら最初からそうしてほしいのね!」
 また喧々囂々の騒ぎになりかける広場を、モートソグニルが一喝で収めた。
「おうお前ら、話は分かったな。他の連中も、一つ俺の顔に免じて協力してくれや」
 文句は出ない。これもまた貫禄というものである。モートソグニルが満足げに頷いた。
「よし、じゃあ早速策を練るとしようか」
 こうして、使い魔会議はその日の夜遅くまで続けられたのである。

492:205
07/09/25 01:44:50 BgiXlWlE
俺は何故こんなプロットを立てたんだろうと疑問に思いつつ。
この展開を予想できた人がいたら掘られてもいい。

493:名無しさん@ピンキー
07/09/25 01:56:02 JfEpABDW
とりあえずGJです

続きwktk

494:名無しさん@ピンキー
07/09/25 01:56:03 72rfAChu
犬竜きたーよー!!
そういえばこっちのタバサさんは初期型だったの思い出したww

じゃあこれ約束のブツ(´・ω・`)つ[缶入り汁フィ]

495:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:05:50 HaSwWu89
これは凄いwwww

496:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:06:42 llMYNLFm
シルフィードが相変わらずアホ過ぎてワロスww
GJ!

497:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:06:43 zsOXw+kL
>205
>「ミミズうめぇ」

吹いた

エロパロ板でなんでこんなに笑わされなきゃならんのだ
GJだぜ旦那

498:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:06:58 D9pNtjv5
GJ!ミミズうめぇw

499:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:11:50 tGyYdhfX
>>492
         ヽ、        /  思 い
  チ こ お   !        !   .い い
 ..ン の. 前.   !       |   つ こ
  コ. 回     |      !,  い と
  入. 転     ノ      l′ た
  れ す     ゛!  ___ 丶
  て. る    ,,ノ' ´    ` ''ヾ、、_   _,.
  み 板   /            ヽ`'Y´
 ..ろ に   }f^'^^了t^'^'`'ー1  l
       ノ|L_ ! ___ { ,..、|
'- 、.....、r‐''´  }f'tr'i  ''^'tォー` }j/i',|
     ヽ    l.| ´ |    ̄  vijソ.!
         丶 └、     Fイ l′
     /    ',  ‐--‐  ,イ ケ|
   , ,/.       ヽ `''"´,/ !  ^|ー、
  / /      _,,」、'....ィ'       '|. \、__
. /./  ,. ‐'''"´    ! /   ,  _」__ヾ',
.,'.,'  /´   └ 、_ ノi   ノ  (、_  ``ヾ!
,'/ /     ヽ、 ` ''ー 、ィ-─'' r`'^    `
l|  !            零    `ぅ ー=、_
| |          戦     〉
  ト             ′    ./''ー- 、,.._
  |  ヽl            (B     /    ヽ、
  |     !,、      !     /     ∠_
  ,イ     ヾ'     ィ 、   . /   ,,ィ'´


GJ!
ホント、よくこんなこと思いつきますねw

500:261のひと
07/09/25 02:15:53 qOHZlljg
>>131-135の続き……

そんなに黒くしたつもりは無かったのですが、黒い黒いといわれたので無理矢理方向転換。
今回は前より黒いかもですけど、次で締めます。

(当初の予定では、更に黒くだったけど……)

501:1/7
07/09/25 02:16:50 qOHZlljg
 ざわめいていた教室が、一瞬で静まり返る。

「?」

 皆がわたしを見て話を止めた気がしたけど、どうかしたのかな?
 テファの側に何人か女の子が居る。
 わたしが居ないと、テファの周りにはいつも人が沢山集まる。
 
『うれしいんだけど、一度に沢山の人って緊張しちゃうから、ベアトリスが居てくれて助かるわ』

 どんな形でもクルデンホルフの名前が役に立つのなら、うれしかった。

 でも、今日はなんだか違った。
 テファの周りの女の子たちは、わたしの姿を見ても逃げない。
 テファの陰に隠れるようにして、わたしの方を見ている。

 ―嫌な目だ。

 冷たい目、覗き込むような、見下すような……わたしを突き放した目。
 その視線に押されて、わたしはテファの側に近寄れない。
 少し前までは人の視線なんて。気にもならなかった。
 でも、今は少しだけ怖い。
 
 人がわたしをどう見ているのか、それがとても気に掛かるから。

「ベアトリス?」

 テファがわたしの名前を読んでくれると、テファの陰に隠れていた女の子たちが慌てて逃げ出す。
 
 ―テファはやっぱり優しい、わたしの一番のお友達。

 他の子が羨ましそうに見守る中、わたしはわたしの特等席に……テファの隣に座る。

「何かいい事有った? 凄くうれしそう」
「えっ……う、ううん、何も……何も無いよ……テファ」

 シュヴァリエに優しくしてもらった事を話すのが、ちょっと恥ずかしくて、ついテファにも内緒にしてしまう。

 …………教室の空気が揺れた。

 教室中の視線がわたしに集まる。
 今、気付いた。
 皆テファとわたしの会話を聞いていた事に。

 わたしの返答を聞いた皆が、ヒソヒソと話を始める。
 ―冷たい目、嘲笑うかの様な唇。
 何か……間違えたのかな?

「そう……何も……無かったんだ」

 テファが笑ってる。
 わたしはそれだけで少し安心できた。
 他の子なんか要らない、テファだけ居れば良い。

「後でわたしの部屋に来てね? ベアトリス」
 
 テファが笑っていれば、他に何も要らなかった。

502:2/7
07/09/25 02:17:25 qOHZlljg
「いらっしゃい、ベアトリス」

 テファの部屋はいつも良い香りがする。
 好きだから、落ち着くからって、近くの森や広場で花や野草を摘んで、
 部屋のあちこちに飾られていたし、
 お薬にもなるんだよって、綺麗に並べて干してあったりする。
 そのお陰で、テファの部屋に入るといつも森の奥に踏む込んだような不思議な気分になった。

「お邪魔します、テファ」
「お友達ですもの、邪魔になんかしないわ」

 穏やかに笑うテファが大きく腕を広げてくれると、わたしは耐え切れなくなってテファに向かって駆け出す。

「テファァッ……テファ、テファテファっ」
「あら、ベアトリスは甘えん坊さんね」

 子供をあやす様なテファの声。
 他の子にされたらきっと不快になるに違いないけど、テファに言われると別。

「テファ―、ずっと、甘えたかったのっ、今日も一日我慢したんだからっ、
 誉めて……誉めて、ねぇっ、誉めてよぅ」
「ええ、良い子ねベアトリス」

 だってわたしは本当に子供みたいになってしまうから。

 森の中のような部屋の中で、華の様なテファに抱かれていると、
 幸せで、幸せで、幸せで、なーんにも考えられなくなる。

「ベアトリスは良い子よね?」
「ん……良い子だよ」

 目を瞑ったまま、テファの胸に頬を擦り付ける。
 柔らかくて、暖かくて、きっと世界中の優しいものの詰まっている世界一のおっぱい。
 今ハルケギニアで一番幸せなのは、間違いなくわたし。
 自分の胸はまだ膨らまないけれど、テファのが有るから自分は良いや。
 うっとりテファに寄り添っていると、細い指先がわたしの髪を梳いてくれる。

「ベアトリスは、嘘なんかつかないわよね?」
「うん」

 何も考えずに、テファにお返事。

「じゃあ、あの子達が嘘ついたのかな?」
「え?」

 テファの手がわたしを抱きしめてくれる。
 それはとても嬉しかったけれど……

 抱きしめられていると、テファの顔が見えなくて……

 それが凄く怖かった。

503:3/7
07/09/25 02:18:14 qOHZlljg
「う、嘘?」
「うん、ベアトリスが授業をサボってサイトとお話してたって」

 っ!
 それは嘘じゃないけどっ。
 違うの、違うのテファっ

 テファに言い訳をしようとした……

 でも……教室で一度テファに何も無かったっていっちゃった。
 テファに嫌われるのが怖くて、もう本当の事を言い出せない。

 知らなかった。
 本当に怖い時、喉が凍って何も話せなくなるなんて。

「ベアトリス、サイトと仲悪かった筈なのに、凄く楽しそうだって聞いたけど……
 嘘だったのよね?」

 ……わたしは……何も言えない。

「ベアトリス?」
「……っ…………ぁ……ぅ……」

 身体が勝手に震えだす。
 怖い、わたしには何も無いのに。
 テファしか居ないのに、もし……

 考えたくも無い想像が私を押し潰す。

 わたしの肩を掴んだテファが、ゆっくりわたしを引き離すと静かにわたしの目を見つめる。

 ―全てを見透かすような目と視線を合わせる事が出来ないわたしは、咄嗟に……

 目を逸らしてしまって……

 テファにはそれで十分だったらしい。

「……さようなら、ミス・クルデンホルフ」

 どこまでも優しいテファの、どこかよそよそしい態度に押し出されるように部屋から出たわたしは、
 涙を堪えて自室まで駆け戻った。

504:4/7
07/09/25 02:18:49 qOHZlljg
『ベアトリス、サイトと仲良くなったんだ』

 前までのベアトリスなら、サイトとお話したりは出来なかったから、
 それは喜ぶべき事。
 
 ……嘘を吐かれたのは少し悲しいけれど、
 サイトとお友達になれるほど優しくなれたのなら、もう魔法を使う必要も無い。

『サイトにバレちゃうし……』

 ティファニアの魔法の存在を知るサイトに関する記憶を消すと、
 ベアトリスとサイトの記憶の齟齬から、サイトが気付くかもしれないから。

『……なんだか怒られちゃいそうな気がするし……』

 変わり始めたベアトリスを見て、ティファニアは自分の魔法に疑問を持ち始めていた。
 ひょっとしたら、軽々しく人に掛けてよい魔法ではないのかも知れないと。
 自分はとんでもない事をしてしまったのかもしれないと。

 でも……消えた記憶は還らない以上、最早できる事は何も無い。

『内緒、内緒』

 どうしようもない事で延々悩める程、ティファニアは余裕のある人生を送っていなかった。
 考えても意味の無い事で悩んでも仕方ない、そう思いばっさりとベアトリスの事を切り捨てる。


 それよりも……

「サイトとお話……いいなぁ……」

 自分も学院に来てからサイトとゆっくりお話なんかしていないのに。

 そんな想いがわだかまっていて、その所為で、不必要なまでにベアトリスに冷たくしてしまった自分の心に、
ティファニアはまだ気付いていない。

「……サイト……」

 窓を開けて、サイトの部屋のある方を眺めるティファニアの目は伝えられない思いで溢れていた。

505:5/7
07/09/25 02:19:45 qOHZlljg
 ベアトリスは一睡も出来なかった。

『テファに嫌われた』

 そう考えると、眠ることも起きることもできない。
 
 真っ青な顔をしたベアトリスを見て、ベアトリスの騎士達は彼女を引きとめようとしたが、

「下がりなさいっ!!」

 ベアトリスの記憶には騎士達の忠誠を信じるに足る根拠が無い。
 信用できない近衛等、鬱陶しいだけの存在に過ぎなかった。

 なにより……

『授業に出ないと……テファに会えない』

 ―ひょっとしたら……昨日の事は夢かもしれない。
 そんなありえない希望にすがり、世界で一番大切な人に会いに、
 重い足を引きずりながら教室に向かう。

 朦朧とした頭で教室に入ると、ティファニアは既に教室に居た。

「あ……」

 ベアトリスと目が合って……ふわりと、花がほころぶ様テファの笑顔。

『……よか……っ……たぁ……』

 やっぱり自分の勘違いだったんだ、夢だったんだ。
 テファがわたしに冷たくするな……

「おはよう、ミス・ クルデンホルフ」

 ―世界が止まる

「……おは……よぅ……ミス・ウェストウッド……」

 泣いちゃだめ……
 今泣いたら、テファが悪いみたいだもの、
 テファに泣かされたみたいに見られたら、テファに迷惑が掛かるもの。

「き、気分が悪い……から……今日は失礼させていただく……わ……」
「そう……気をつけてね? ミス・ クルデンホルフ」

 泣きたかった。
 でも、クラスメイトにテファを誤解されるのはもっと嫌だった。

 テファは何時だって優しくて素敵な人だから……

「さ、さようならっ」

 誰にも顔を見られない様、睡眠不足の身体に鞭打ってベアトリスは逃げ出していた。

506:6/7
07/09/25 02:20:20 qOHZlljg
 ―どうやって死のう?
 ベアトリスの今の興味はそれだけ。

 ―テファに迷惑が掛かったらどうしよう?
 未来への希望はそれだけ。

 ―遺書……書きたいな……
 テファにごめんなさいが言いたいから。

「ひっ……ぅ……っく……うぇ……」

 人気の無い廊下を、一人でぽつぽつと歩く。
 遠くから聞こえる授業の声。
 そこに自分が居ないことが、寂しさに拍車をかける。

 今テファは授業を受けていて、自分はそこに居ない。
 
 これからも……そこには居られない。
 嫌われてしまった自分が側に居たら、テファが不快になるかもしれないから。
 テファに悪い事をするくらいなら、自分なんか無くなってしまえばいいから。

 寂しい時に一人で居ると、思考は暗い方へ暗い方へ転がり落ちてゆく。

 誰にも愛されない自分、
 たった一人だけ優しくしてくれた人。

 ……いや……もう一人……


「おー、また泣いてんのか?」

 授業中の廊下を徘徊する変な人、

「シュヴァリエ……サイト……さん?」
「……サイトでいいけど……あー……」

 新鮮な逡巡、ベアトリスの周りの者はベアトリスの名前を知っている。
 ご機嫌を取るために、そうでなくとも敵として……

 なのに、ティファニアと同じくこの男は……

「ベアトリス……です」

 ―とても新鮮だった。

507:7/7
07/09/25 02:20:53 qOHZlljg
「つまり……テファと喧嘩した?」
「……違います」

 テファが大切にしている人だから。
 サイトに対するベアトリスの物腰は、知らず知らずに丁寧になってゆく。

「ん~? 喧嘩じゃないのか?」
「テファ…… ミス・ウェストウッドは悪くないから、喧嘩じゃないです」

 嫌われたから、お友達じゃない自分は、もうテファって呼べないから。
 そう思うと、ベアトリスの涙はもう一度溢れ始める。

「と、とりあえず泣かないでくれー」

 世の男の常として、サイトも女の子の涙には弱い。
 ルイズの涙とは別の意味で、ベアトリスの涙には勝てない。

 なにしろ……年下。

「い、苛めてるみたいじゃねーかぁぁぁぁ」

 一向に泣き止まないベアトリスに、サイトの神経は追い詰められてゆく。

「わ、わたしなんか死んじゃえば良いんです」
「お、おちつけぇぇぇぇぇ」

 一度揉めた相手とはいえ、目の前で自殺されるのは勘弁して欲しかった。

「テ……ミス・ウェストウッドの事、釜茹でにしようとしたし……わ、わたしなんて、
 わたしなんて……死んで当然の……」
「だから落ち着けぇぇぇぇ」

 サイトは絶叫と共に、ベアトリスの肩を力任せに掴んだ。

「った……」
「そんなに釜茹でが重罪ならっ、テファに茹でて貰えばいいだろぉがぁぁぁ」

 ―サイトの頭も茹っていた。

508:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:22:31 qOHZlljg
もう一回続きます、近日中に……

保管庫の過去ログは上げなおしました。

更新もしろって言われそうですけどっ、とりあえず暫くは許してっ

509:名無しさん@ピンキー
07/09/25 02:34:40 tGyYdhfX
480KBを突破したので、用意。

【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合21
スレリンク(eroparo板)

510:名無しさん@ピンキー
07/09/25 03:30:05 XBbcdqkZ
ゼロの使い魔 第2期は結局おっぱいアニメだった気がする。
URLリンク(twodimension.blog59.fc2.com)


511:名無しさん@ピンキー
07/09/25 07:49:42 ei3nYYl+
>>509


512:名無しさん@ピンキー
07/09/25 09:08:27 IH5Vw+/P
残り18kb

513:名無しさん@ピンキー
07/09/25 10:09:56 zn1b7t+T
>>508
GJでヤンス。面白い。

514:名無しさん@ピンキー
07/09/25 12:06:58 EEcljhUH
もうここまで来たら







サイトよシルフィを襲ってくれ

515:名無しさん@ピンキー
07/09/25 12:21:14 TMKwafc4
                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _- 次スレへ行こう。
 - ‐_+      ;'"  ,;'' ,''   ,;゙ ‐-  ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////
スレリンク(eroparo板)

516:名無しさん@ピンキー
07/09/25 12:47:41 bNjGhWT0
シルフィ(美女態)のばあい
つサイト♂

シルフィ(竜形態)のばあい
つフィストf××k


これは大いなる意思の決定である(うそ

517:名無しさん@ピンキー
07/09/25 14:00:08 DNftO/R8
職人の皆さん、GJです
こんなに早くスレが終わるとは・・・
次のスレでもwktkですなww

518:名無しさん@ピンキー
07/09/25 14:59:50 h4Gtbccp
                   ,'⌒,ー、           _ ,,..  X
                 〈∨⌒ /\__,,..  -‐ '' " _,,. ‐''´
          〈\   _,,r'" 〉 // //     . ‐''"
           ,ゝ `く/ /  〉 /  ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / /  . {'⌒) ∠二二> -  - - - - - -
  _,.. ‐''"  _,,,.. -{(⌒)、  r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
 '-‐ '' "  _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐'   ;;    ‐ -‐   _- 次スレへ行こう。
 - ‐_+      ;'"  ,;'' ,''   ,;゙ ‐-  ー_- ‐
______,''___,;;"_;;__,,___________
///////////////////////


519:名無しさん@ピンキー
07/09/25 16:15:23 Tns/0m2r
>>516
頭でも突っ込んでろ

520:Girls, be ambitious
07/09/25 21:34:46 55hRbtMJ
埋め代わりに爆弾投下します。前スレ19-519の続き

※百合表現を含みます。

容量間に合うか分からんが。

521:Girls, be ambitious
07/09/25 21:37:56 55hRbtMJ
「陛下。ミス・ヴァリエールが」
「通してください」

トリスタニアの王宮にて、アンリエッタは次々とやってくる政務に追われていた。女王の
職務は肉体的にも精神的にも辛い仕事である。食欲不振に陥ろうともなんら違和感はない。
だからといって休みがとれるわけもなく、会議は続き、報告書は積み上げられ、面会のひ
とは行列を作る。また女王に定休日というものは存在しないし、そもそも休みがあるのか
定かではない。そのためルイズやサイトがやって来る日はアンリエッタにとっては至上の
一時となるのである。だから先程の声にもどこか喜びが含まれていた。

「お久しぶりです。お変りはありませんでしょうか」
「まぁ、よく来てくれたわねルイズ。さぁこちらへいらっしゃいな」

友人の他人行儀な挨拶に少しムッとしながらも、彼女は友人の来訪を心から歓迎した。

「あら、ルイズったら、タイが曲がっていてよ」
「すっすいません……」

他人行儀の仕返しにイタズラしてあげるのも忘れない。こんなやり取りが彼女には至上の
楽しみなのだから趣味が悪いとは言っちゃいけない。

「それで、今日はどうしたのです?」

この友人は生真面目な性格で、用のない日にほとんどやって来ない。自分がどれだけ頼ん
でもそうなのだから、きっと今回も用事があって来たのだろう、とアンリエッタは感付いていた。

「あ、はい、その…今日は、お願いがあって……来ました」

その友人、ルイズはなんだかはっきりしない口調で答えた。部屋に来たときから何か思い
つめた顔をしていたな、とアンリエッタは思い返す。

「他ならぬあなたの頼みですもの、私にできることでしたら何だっていたしますわ」

一方のルイズは、しばらく言うのか言わないのか、どちらにしてももどかしい作業を繰り
返し、やがて意を決したように話した。

「ひ、姫さまっ!」
「なんでしょう」

「わ、わわわわわわたくしのっ、おおちちち、じゃなくて、むむむね、むねをっ揉んでくらさぁいっ!」

「……」

時間は止まり、空気が凍った。
扉の外で金髪の女性の含み笑いが聞こえた。

522:Girls, be ambitious
07/09/25 21:41:19 55hRbtMJ
「あ、あの、ルイズ?」
「……」

この部屋に誰もいれてなくてよかった、とアンリエッタは安堵しつつ、ルイズの手を取り
引き寄せた。

「え、あ……」

そのまま、ルイズと同じ高さまで腰を落とすと彼女の首へと手を添える。

「失礼します」
「ひ、ひめさま?」

ルイズの目前へとアンリエッタの顔が迫ってくる。それがたとえ同性であろうとも、真剣
な彼女の眼差しに魅了されてしまうであろう。ルイズも例外ではなかった。彼女の体が強張る。

コツン
「あ……」
「どうやら悪い病気ではなさそうですね」

ただ熱を測る、それだけのことだった。アンリエッタがルイズの手を取ったのも、屈んで
ルイズの背の高さにあわせたのも、そしてルイズのうなじへと手を添えたのも。しかし残
念ながらルイズの目にはそううつらなかった。

「どうしたのですか?」
「ひめさまが、ひめさまが、ひめひゃまが……」
バタッ

ルイズは百合の花畑へと旅立った。
扉の外で金髪の女性が呼吸困難に陥った。

「ルイズ、ルイズっ」
「んむぅ」

場所は変わって女王の寝室。
ルイズはアンリエッタのベッドの上で目覚めた。

「ひっひめさま。……も申し訳ありません! そそそそその粗相をいたしました」
「い、いいのよルイズ」

気まずい雰囲気がながれる。

「……それで、ルイズ。何があったの?」

とにもかくにも、アンリエッタは先程の願いの理由を尋ねた。

「そ、その……ちぃ姉さまから手紙がきて」
「カトレア殿から?」
「はい。それで、その手紙に…む、胸をおっきくする方法って……」
「まさか、それが?」

アンリエッタの問いにルイズの顔が林檎よりも赤く染まる。

「親しい人に、その……揉んでもらうことです」
「ほんとうですか?」
「はい」

にわかに信じがたい話ではある。一国の王女でも聞いたことがない、まるで異世界の妄想
の産物のようなものに聞こえた。


523:Girls, be ambitious
07/09/25 21:44:56 55hRbtMJ
「それで、こんなこと頼めるの、姫さましか」
「そうですか」

でも、この友人の言葉に嘘偽りはないようにアンリエッタには思えた。そこで、
(さすがカトレア殿ね。なんでもわかってらっしゃるわ)
と、納得することにした。

ちなみにこの物語にツッコミはいない。ちょっととんでるのが二人に、観客が一人いるだけだ。

ルイズはマントを脱ぎ、傍らに置くと、服のボタンを一つづつ外しはじめる。

「だから、その」

何がルイズをここまで動かすのだろうか、アンリエッタにはさっぱりわからなかった。
気付けば自分は人並み以上に膨らみ、大きくなってほしいなどと願ったことはなかったのである。
ふと自分の胸元をみる。
(この中にはいったい何が入っているのでしょう?)
男を魅了し、ルイズを駆り立てる謎の物体。
(あとでアカデミーに調査を依頼しようかしら)
彼女は無責任にもそんなことを考えながら目の前の友人をまじまじと見ていた。

「して……くださいませんか?」
「……わかりました」

言うや否やアンリエッタは自分のドレスを脱ぎはじめた。

「あ、あの、ひめさま?」
「無二の親友の恥を忍んでの頼みです。相応の覚悟をもって臨んでしかるべきでしょう?」
「は、はぁ」
他に方法は無かったのだろうかという素朴な疑問がちらりと頭をよぎった気がした。
それから二人は互いに下着以外の全てを脱ぎ、傍らへと積んだ。
一国の女王と上流貴族の子女が、その身のほとんどを外気に晒している。奇妙な静寂に
包まれる中、二人はベッドに腰をかけ、互いに向き合った。

「えっと……それでは」
「お、おおおねがいします」

二人とも恥ずかしいのか、お互い目を合わせないようにしていたが、アンリエッタは覚悟を決めルイズの方を見る。
(これが、ルイズの……)
幼い頃に一緒に風呂に入った仲である。彼女も別に初めてというわけではなかった。しかし、

「きれい……」

確かに膨らみには乏しい。だがそれを補って余りあるほどの精錬された肌である。父親や
母親、姉達が如何に大事にしてきたかが容易に想像できた。
(私も……)
アンリエッタはルイズの胸へと自らの白い手をゆっくりのばしていった。

524:Girls, be ambitious
07/09/25 21:46:35 55hRbtMJ
「……んっ!」
彼女の、人より若干冷たい指先がルイズの胸へと一瞬触れた。瞬間、ルイズの身体は電流
が走ったかの様にぴくりとはねる。緊張していたルイズは、その微かな刺激さえも反応し
てしまうほど敏感になっていた。ルイズの反応にアンリエッタも一瞬びくっと手を引っ込
めてしまうが、もう一度、親友の様子を伺いながら、次第に一本、二本と触れる指を増や
し、彼女の指にもルイズの肌の感触が分かるほどに触れる面積を広げていく。
(柔らかい……)
それがルイズの胸に触れた彼女の最初の感想だった。
他の人の胸を触る。それがたとえ女性であったとしても、それほど他人の胸を触れる機会
があるわけではない。まして王族であるアンリエッタにとって、その行為は幼少の頃から
慎むべきものだった。従ってルイズがほとんど初めてと言ってよかったのである。
ルイズの胸は、膨らみこそほとんどないものの、そこには女の子らしい柔らかさが確かに
あった。指を通して彼女の体温、鼓動が伝わってくる。アンリエッタは敏感な頂きに触れ
ないように、優しく撫でるようにルイズの胸を揉みはじめた。
「んく……ふぁ…………あ」
 しばらくするとルイズの身体に異変が生じる。身体の奥の方から何か熱く、モヤモヤし
たものが生まれるような感じがしたのである。
「んぁ、……あ……ん」
(熱い?)
それはルイズの胸の奥に溜って、だんだんその強さを増していく。丁度熱に浮かされるか
のようなその感覚は、しかし風邪のときのように不快なものではない。
(なんかふわふわする)
ルイズにとって未体験のその感覚は次第に彼女を翻弄していく。既にルイズの目は光忽と
し、初めは白かった肌も朱を帯び始めている。一方のアンリエッタにも変化が起きていた。
(何だか体が熱く……?)
彼女もまたルイズと同様に、身体に妙な、渇きの様なものを感じた。それはルイズの光忽
とした表情から伝染したのか、こんなことをしているという背徳感からか。いずれにして
も、アンリエッタの双丘の頂点は、下着の下からその存在を誇示していた。
「あ、……や……ひうっ!」
「す、すみません!」
相手にどれだけ愛撫を施そうと自らのモヤモヤした感じはなくならない。
アンリエッタの気づかぬうちに手に力が入ってしまっていたらしい。

「あ、あの……ルイズ」
「ぁ、な、なんですか?」

525:Girls, be ambitious
07/09/25 21:48:43 55hRbtMJ
手の動きはそのままに、アンリエッタはルイズに頼む。

「その、わたくしも……」
「ふぇ? ……は、はい」
通常時なら恐れ多くも女王陛下のなんたら、と絶対に受け入れなかったらだろうが、この
時は違った。彼女の頭の中には、今、この時がずっと続いてほしい、ということしかなか
った。胸の奥にこみあげる何かも、身体を駆り立てる何かも、むしろ心地よく感じてしまっていたのである。
(ひめさまの……)
ルイズの指先がアンリエッタの果実へと埋まっていく。その温かさ、柔らかさに彼女は自分の姉を思い出した。
(いいなぁ……)
浮かされているかのような高揚感のなか、ルイズとアンリエッタはひたすらに互いの果実を揉む。
「あっ……ひめさまぁ」
「んっ、あっ、気持ちいい」
二人の少女は、自然と口を重ねていた。
「んむ、ルイズぅ……」
互いの舌を絡めあい、呼吸が減ることで更に二人は高ぶっていく。アンリエッタはルイズの手を取ると自らの秘処へと導いた。

くちゅ
「ひめひゃま?」
「ほら、私もこんなに感じているのよ」
「……うれしい……」

ルイズの手がアンリエッタの秘処でうごめく。自慰の経験のほとんどないルイズのそれは
決して巧いとは言い難かったが、それでもアンリエッタを高みへと連れていくには十分だった。

「んぁっ、はぁ、ルイズのここも、こんなになっちゃって」
「ひあああっ」

アンリエッタはルイズのさくらんぼを口にくわえ、舌で転がす。共に限界が近かった。

「やっ……いあっひめさまっ」
「んむ……んっんん!」

ルイズの手の動きが限界まで速くなり、アンリエッタが彼女のさくらんぼを甘噛みする。

「「―――――――!!」」

二人は共にビクビクっと二回ほど身体を震わせるとそのままベッドに倒れこんだ。

バンッ
「どうなされまし……ぶはっ」
そして金髪の女性により入口が紅く染められた。


ちなみに数日後サイトはルイズの
「ねぇ?わたしどこか成長した?」

という、究極の質問をうけることになる。


終わり。

526:名無しさん@ピンキー
07/09/25 21:52:23 55hRbtMJ
百合は勘弁って人が多そうなんで、このタイミングにした。反省してる。

527:名無しさん@ピンキー
07/09/25 21:53:31 IH5Vw+/P
>>526
いやいや、百合も良いではないか!
GJ!

528:名無しさん@ピンキー
07/09/25 21:55:51 VKPuzwpy
>>526
ちゃんと注意書きもあったし大丈夫だと思いますよ。
GJ!でした~

529:名無しさん@ピンキー
07/09/25 21:57:22 72rfAChu
三代前から廃墟と化してた城に
勇者の子孫が来た気分だ……GJ!!
でもルイズを幸せに出来るのはシエスタさんしかいないと言ってみるよ!!

530:名無しさん@ピンキー
07/09/25 22:58:48 zn1b7t+T
『この物語にツッコミはいない。ちょっととんでるのが二人に』<とびすぎだwww
でもGJ。この二人好きなんでうれしいわ。

531:名無しさん@ピンキー
07/09/25 23:13:37 QI8TwvQJ
>>529
本編でノボルがシエスタルイズで書くという暴挙に出たばかりなのに
ここでそれをうpできるのは、相当な勇者だと思うんだ w

532:名無しさん@ピンキー
07/09/25 23:24:17 UKeaX6fW
シエスタとルイズの絡みはその行為よりも
惚れ薬の影響で才人が眼中に無い
ここが一番よろしくなかったのではないかと。
なんかね、ギャクとかコメディで割り切れないのよ。

533:名無しさん@ピンキー
07/09/26 02:50:39 FkyOrFpC
                     /!                    ヾ`ー─┐
               / │         -―――‐- 、  ̄  ̄O |
              /   .|:    /               `ヽ、  °|
               /     |: . . /                   \  |
                 /    /: : /                          \/
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            |     ∨  l      /      / /  /  /
            l        |:   / / /   //'::.  /  /:!:.  .:::.     ヘ
              l           |: . ::/:/_ /-‐'// /::..__/|: / !::::::/:::     ヘ
               l       :|: ̄{/ /∠.//  /::../`7メ、 /::: /:::    ..:::::::::l
              l         !::::厶f≦テ千ト<  //xz≠< /::::/::::  ..::/.::::/
      , ‐<⌒ヽ   l:.   :|    l::Ⅳ {:ヘ__,ィ/      ´7ヘ _,ハ/:/:::::. _/:::/
    /   \ \  i::.  ::l   :::ハ 弋_:少'       r'托/ ' ァー‐<{ /::/
   く      ヽ  ヽ___}!:. ハ   .::::::/>ヘ、.:.::::::       `ー'  /::::::::...:::| '´
    >  >―‐- 〉  .ヾ∧::..::::ヽ.::::/  ___ヽ      ' .:.:::::::: /:::_::::::::::::l-、
/'⌒く/: : : : : : : {     }∧:: :::: f'´  ´ ̄ _}  r―-,     //  ̄`l:::::Vヘ
   /: : : : : : : : : ゝ   l_∧:::::::|     '´   ヽ_` ー'´   __イ⌒ヽ   |::::::Vヘ<埋めちゃいますよ
  /: : : : : : : : : : : : : : :ヽ  lヽ∧ :::|       / l_   r<⌒l \  ヽ  |:::::::∨
. /: : : : : : : : : : : : : : : : :|  l | ヽ:l          ノ/ / {  { .l   `    ハ::::::::l
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :|  l |   |      r'_//  ∧  !        / \:::|\


534:名無しさん@ピンキー
07/09/26 04:02:51 8Srt+BPy
           __/       \___
            /o               o ヽ
        │゚    -―――- 、    ゚ |
        │ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、 /
          /レ'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨ヽ
         〃/:::::::::::::::|::::|::::::| :::::::ト:、:: \::::l::::: |::::::',
       ∨ ::::::::::::::::|-:|‐:::|:::::::::|‐:\-::V ::::::|:::::::|
        ヽ:::::\ ::::::|::ハ:::_|\::::{\:: \| :::::::|:::::::|   
          \::: ヽ::」孑汀`  ̄ 孑f卞| :::::/ ::::,′【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合21
            ∨小  V:リ      ヒ以│::/ ::::/ 
            |::::|:ハxx.   '   xxxj::/ ::::/ スレリンク(eroparo板)
.        , -‐'´ヽ::!::::\   V ̄}   /:/ ̄ ̄ヽ/  ∧
       / _ \_) ̄ ̄}{ ̄不 ̄}{ ̄ミ(_/     ∨ ̄入_`‐-、
.      / __`ヽ、/=-、-=}{~~~}{//:::ヽ 二  │ /ー'::::ヽ }
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