07/09/22 22:04:21 QK20MM+m
(後日談)
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以上が私のカウンセリグ室で彼女が語った全てである。
彼女を襲った2人についてだが、
その後の通報で警察が駆けつけたときには、2人とも頭部に極めて
強い衝撃を受けており、今では廃人同然の暮らしをしているという。
その後、風浦可符香は妊娠が発覚して高校を退学し、私のカウンセ
リングは終わった。
それからも、度々手紙のやり取りをしていたが、
なんでも男児を出産後、大検を取得し、大学に進学したとのことだった。
数年後、たまたま成長した彼女に会う機会があった。
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満開の桜並木とピンク色の花びらの舞散る中を、
私は彼女―風浦可符香―と彼女の息子と一緒に歩いていた。
すでに桜は開花時期を過ぎ、その多くが散り始めていた。
彼女の息子は5歳位になっただろうか。
桜の木の下を「あれは、桃色ドラゴン、あれは、桃色新幹線、
あれは、桃色しっぽ」と名づけながら駆け回っている。
「・・そう、今は高等学校の国語の教員をしているの。」
「はい。まだ2年目ですから駆け出しですけど。」
彼女はすっかり大人びていたが、トレードマークの髪飾りを
いまだ付けていた。
「夢の中で『先生』は教科書に書いてある事を教えてくれたん
じゃないんです。
世の中にある現実やそれを見た時の人の心の変動。
そういった生の声や経験を教えてくれていたんだと思うんです。」
「生の声や経験・・・。」
私は噛み締めるように繰り返してみた。