07/09/05 00:11:04 e+j7bbUb
暗い部屋。
狭くて清浄なこの場所も、二人の異物が淫靡に合着すれば、たちまち熱と汚濁に満ちた空間となる。
「ひゃっ、んんぁああっ、ふはあっ、んくぅっ……んんぅっ!」
腰から下に、感覚を失って破裂しそうなほどの電気的愉楽が走る。
目の前の女は、身につけていたレースのカットソーを二の腕に引っかけたままであることにも気づかずに、壁に両腕をついている。
「んはっ、いっ、はぁっ、うぁ……ふくぅぅっ……」
細いばかりだと思っていた肉の感触は、意外なほどに柔軟で、過剰なまでに交感神経を刺激する。
既に一度顔面に十分な放射を済ませた後だった。口に咥えさせて前後往復をさせ、その間細緻で麗容な髪の毛を存分に撫で回した。
天性のマゾヒストなのではないかと思うほどに、橘京子は従順に従僕と化した。微かな回想をする間にも僕の淫棒は圧搾され、両手で腰の括れをさするとなおも快感が増す。
「……んひゃっ、んはぁぁ、きっ……もちあぁっ! ひぃぃぃん!」
虚ろに転じた視線の先に、脱ぎ捨てられたプリーツとショーツが雑然と散らかっていて、卑猥な神経を高揚させる。真冬であれば吐息だけで室内が真っ白になったかもしれない。
「どいつも……こいつも……っ、目障りなんだ……!」
押圧を繰り返しながら、僕は虚無と至福を同時に感じていた。
「だっ……だめ……やめ、はぁぁぁ……」
泣くな。この畜生め。黙って隷従していればいい。この場に憂いの思念は不必要だ。
きつく閉まった肉扉が淡い鮮血を交えていても、そんなものはこの暗闇の中では見えやしない。
「きゃぅっ! はぁっ! あぁぁああっ! だっ、はぁぁぁぁあああ!」
刹那の暴走のように、意識の全てが股間へ向かう。脳髄が真っ赤になって、やがて全ての力を放擲して白へと変わる。
この部屋にあるまじき色へと変わる。
「……ひっ……っく……うぇぇ……ふぇぇ」
「…………どうしてだ」
拒もうと思えば拒めたはずだ。一度質問したのだから。
なのになぜ、今なお僕に拠りすがる。
「…………うぇっ、……あなたは……っく、……いつも……ふぇ、寂しそう……」
それきり橘は身体中の水分を使い果たすのではというほど泣き続けた。
僕は最後の最後まで何も言い返せなかった。
……ちくしょう。
(了)