嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その38at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その38 - 暇つぶし2ch864:しにがみのバラード ◆88FzqwpUTw
07/10/06 06:31:21 NDgT8JeV
宵高の死神。
ずいぶんとかっこいい呼び名だな、と思う。
実際は、そんなクールなイメージにそぐわない冴えない男なのに、誰がつけたかセンスが無さすぎる。もっとこう、しっくりくる呼び
名はなかったのか。
例えば、加藤環ならこう呼ぶ。
でくのぼう、と。

そのでくのぼうこと、米本真守は環の幼馴染みである。「真守」なんて名前のくせに、昔から泣き虫で、よく名前負けだと笑われてい
たものだ。かくいう環も、子供の頃は男のくせにすぐにピーピー泣く真守にうんざりしていた。おまけに気が弱く、おとなしい性格の
真守はちょくちょくクラスメートに泣かされて、そのたびになぜか環に頼ってくるから面倒くさい。
面倒くさくてたまらなかったが、幼馴染みの縁で仕方なく助けてやっていた。
そんな真守も中学に入学すると、ようやく泣き癖も治まり、その頃からグングンと背が伸びていった。環よりずっと小さかったのに、
気付いたら同丈に、高校二年ともなると首が痛くなるほど見上げないと真守の顔が見えないくらいになっていた。
今、環の身長は166センチ、女子としては大きいほうだ。だけど、それ以上に真守が大きい。
米本真守の身長は185を超えていた。
だけど、真守が大きくなったのはあくまで身長だけ。内面はちっとも変わっていない。おとなしくて、気が弱くて、トロい。だから、
でくのぼうなのだ。


865:しにがみのバラード ◆88FzqwpUTw
07/10/06 06:33:22 NDgT8JeV
「ほらっ!! 早くしなさいっ!! 学校遅れちゃうじゃないっ!!!」
環は後ろを振り返りながらそう怒鳴った。だけど、怒鳴った相手の真守はそんなのどこ吹く風で、もはや癖になってしまったのではな
いかと疑うほどの見慣れた柔らかい笑みを浮かべていた。
「もうっ!! 学校遅れたらアンタのせいなんだからねっ!!」
一向に急ぐ気配のない真守に、環は顔を真っ赤にして怒った。だけど、真守は気にしない。それどころか、遅刻ギリギリのこの時間に
も真守は呑気に、こう言った。
「だったら、先に行っててもいいよ。俺は後から行くから」
あくまで呑気な真守に、怒る自分が馬鹿のように思え、しかしそれが気にいらなくて逆にいらつく。
まったく誰のせいで遅れそうになっているのか、分かっているのか。全部真守が寝ぼすけのせいではないか。こちとら真守のお母さん
に頼まれて、仕方なく毎朝迎えに行ってやっているのだ。そんな態度なら、すぐにでも迎えに行くのを止めてもいいんだぞ。遅刻ばっ
かりになって泣きを見るのは真守なんだ。
そう心の中でまくしたて、ふーふーと肩で息をする。どうやら、そこら辺をきっちりと教えとく必要があるようだ。
環はかしこまるような咳払いをひとつして、
「あのね、真守。あんた分かってないみたいだから言っとくけど、自分が何回遅刻したか分かってんのっ?」
「さぁ? 五回目くらいまでは覚えていたんだけど、もう分からないよ」


866:しにがみのバラード ◆88FzqwpUTw
07/10/06 06:34:03 NDgT8JeV
そう言って、真守は誤魔化すように笑った。もちろん環はそんな事では騙されない。
「冗談っ! 三十回よ、三十回っ!! まだ七月なのに、どうやったらそんなに遅刻出来んのよっ!!!」
「よく数えてたね」
感心したように言う真守に、怒りのボルテージがもう一つ上がる。
「馬鹿っ! そんなわけないじゃないっ!! あんたのお母さんから電話があったのっ!!!」
「へぇ~、そうなんだ。母さん、何て言ってた?」
他人事のように言う真守に、さらに怒りのボルテージアップ。
「これ以上遅刻したら、進級が危ないんだってっ! あんたのお母さん、泣いてたよ!?」
その言葉には、さすがの真守も驚いたように目を剥いた。そして何かを考えこむように、ん~、と唸ってから一言。
「それは大変だね」
あくまで微笑みを絶やさない真守に、環の怒りは沸点に達した。
「馬鹿ーーーーーーーっ!!!」
環の絶叫が空に響く。
近くの電柱でおとなしく鳴いていた雀が驚いて逃げてしまった。
夏の空は青く。そろそろ蝉の鳴き声も聞こえてきそうだった。


867: ◆88FzqwpUTw
07/10/06 06:43:55 NDgT8JeV
投下完了。
トリップさえ忘れてしまった「すみか」の作者です。
夏休みの間はほったらかしにして、すみません。
言い訳じゃないけど、夏休みは忙しかったんだよ?バイトしたり、自分でも分かるくらい明らかに変な場所から生えた親知らず抜いた
り。
ともかく、これからはもっと定期的に投下できる……ハズ。また暖かい目で見守ってやって下さい。
ちなみに今回投下したのは、ツンデレ最盛期に書いたヤツです。埋めネタとしてちょくちょく投下するつもりなので、よろしかったら
読んでやってください。
長々と述べさせて頂きましたが、全部言い訳です。ごめんなさい。

868:名無しさん@ピンキー
07/10/06 12:26:24 1inKsvJI
>>867
復活乙

869:名無しさん@ピンキー
07/10/06 12:57:41 2692HN/k
投下乙!

870:名無しさん@ピンキー
07/10/06 17:09:44 RqHCzWbT
うんうん、ツンデレはイイね。
いずれ横から出てきた泥棒猫に(自分だけが思いこんでいた)大事な思い出を踏みにじられる絶望を思うと
wktkが止まらない。
楽しみにしてます。

871:名無しさん@ピンキー
07/10/06 20:29:56 lpYYaJvo
作品の内容よりも、どうしてそんな呼び名がついているのかって方が気になってしまったw
……ひょっとして間柴か。間柴なのか。

872:名無しさん@ピンキー
07/10/07 19:08:35 3+aKR216
>>870を読んでふと思った

刺されたいとか思ってるから今まで自分の事Mだと思ってたけど、
他人の不幸で興奮するのってむしろSじゃねぇか?

873:名無しさん@ピンキー
07/10/07 19:34:50 x82VDOOw
ヒロインが嫉妬で不安定になるのにゾクゾクとするのと、
ヒロインが嫉妬で攻撃的になるのにゾクゾクとするのの、
両方がいるんだよ。
両方に需要があるんだよ、このスレは。マーベラス。

874:名無しさん@ピンキー
07/10/07 20:19:53 h4KHiuLb
あぁ、つまり両刀使いという事か。

875:名無しさん@ピンキー
07/10/07 21:50:36 lYDVht3w
秋は人恋しくなるな
絶対毎日来てくれるんなら監禁されてもいい気がしてきた

876:名無しさん@ピンキー
07/10/08 10:15:32 4zgC+04P
>>875
見知らぬ美少女には気をつけろよ。
間違っても渡されたものその場で口にするなよ。

877:名無しさん@ピンキー
07/10/08 19:14:51 kRzEtWPn
他の女と話さないで

878:名無しさん@ピンキー
07/10/08 21:09:35 pdSlabBP
ナデナデシテー

879:sage
07/10/08 22:05:05 9GEs5Jm2
 埋めネタに、没にした習作の一部を載せてみる。
 お目汚しスマソ。

880:名無しさん@ピンキー
07/10/08 22:06:42 if4qS3nE
sageの位置が違う

881:sage
07/10/08 22:07:02 9GEs5Jm2
 指で肩胛骨を嘗められる感触に喘ぐ。囁かれた言葉がスイッチに
なったのか、全身がまるで性感帯になってしまったようだった。脳
髄を白く焼く快感の波は、気持ちよさよりも苦痛として認識される。
身体を嘗め回る指から絶えず送り込まれるそれに僕は逃げ出すこと
さえ思いも寄らない。結局、始めてから一分と立たずに、僕は信じ
られないくらいあっさりと射精した。
 そんな僕の醜態を見て、おねえさんは「あらあら」と、まるで困
ったとでも云うように苦笑する。

「ひぃちゃん、もう精通しているのね」

 クスクス、と。
 妖艶―今の僕ならばそう評するであろう笑顔で僕を見下ろしな
がら「どうしようかしら?」と呟いたおねえさんを見たとき、僕が
抱いたのは確かに恐怖だった。表面上はいつもとかわらない笑顔な
のに―否、むしろ、だからこそ内面に荒れ狂う情念の熱量が強調
されて感じられたのかも知れない。まるで尽きぬ炎を閉じこめた氷
のようだ。いつ表面が溶けて炎が溢れ出るか分からない恐怖を、僕
は確かに感じていた。
 そして、そのことに怯えることしかできなかった。


882:sage
07/10/08 22:08:21 9GEs5Jm2
 おねえさんは怯える僕の首筋を甘噛みし、そのまま口を離すこと
なく顎と手を使って僕のパジャマを剥いでいく。

「ねぇ、風邪なんて嘘でしょう?」

 嘘じゃない、とは云えなかった。歯からもたらされる触感が血管
を伝って脳を揺らす。どくんどくんと、首筋に心臓ができたような
錯覚を受ける。言葉が喉で食べられている感じ。云いたいことが声
にならない。
 僕の答えがないと見るや、「ほら、やっぱり」とおねえさんは笑
った。熱い熱い吐息が首に掛かって、思考も意志も融かされてしま
う。
 コリッと強めに血管を噛まれて不意に自分の身体が踊るのを感じ
る。どうやらまた射精したらしい。それに気付いているのかいない
のか、おねえさんは首筋をかみ続ける。

「どうして嘘なんか吐いたの? さとくん―お兄さん、今日はわ
たしとデートの約束をしてたんだよ?」

「さとくんってば優しいから、ひぃちゃんのために今日はデートを
すっぽかしちゃった」と、悪戯に引っかかってすねる子供の口調で
おねえさんは語りかける。


883:名無しさん@ピンキー
07/10/08 22:09:32 9GEs5Jm2
「わたし、今日は携帯電話家に忘れちゃって。待ち合わせ場所に行
く途中で気付いたんだけど、約束してた時間に遅れないようにって
取りに帰るのを諦めて急いだんだけど、さとくん来ないし。ずっと
待ってたのにさとくん来なくて。せっかく作っていったお弁当とか
どんどん冷たくなっていくのにさとくん来なくて。公衆電話からさ
とくん家に電話しようとも考えたけど、待ち合わせ場所から見える
範囲に公衆電話がなくて、もし擦れ違いになると行けないから、擦
れ違いになってさとくん帰っちゃったらイヤだからずっと待ってて」

 ざくり、と露わになった素肌に爪が刺さる。痛みはない。それは
快感であり、だから苦しいとしか感じない。そのまま爪が捻られて、
それをある種の陵辱ととるならば、僕はあのとき犯された。


884:名無しさん@ピンキー
07/10/08 22:10:48 9GEs5Jm2
「もしかしたら待ち合わせの日を間違えたのかな、とか。」

 †(ざくり)。

「もしかしたら待ち合わせは昨日で、さとくん怒って帰っちゃった
のかな、とか」

 †(ざくり)。

「それで、愛想尽かして昨日の夜も電話くれなかったのかな、と
か」

 †(ざくり)。

「どうすれば許してくれるのかな、とか」

 †(ざくり)。

「もしかしたら、どうやっても許してくれないのかな、とか」

 †(ざくり)。

「なんでこんなことになったんだろう、とか―」

 畑を桑で耕すように、間断なく爪を突き立てられる。剥き出しの
感情をあんな風に暴力として向けられたのはそのときが初めてで、
僕は思考を殺されてしまう。おねえさんにのし掛かられてから十数
分、僕にはもうまともにものを考える思考すらなくなっていた。自
分が今どこにいてなにをされているのかという認識さえまともに出
来ない。

「―全部、ひぃちゃんの所為だったんだね」


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