嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その38at EROPARO
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その38 - 暇つぶし2ch450:蒼天の夢 03 ◆ozOtJW9BFA
07/09/21 22:28:26 OyPy8Vpg
 それだけではない。
 洞窟内にとどく淡い光でも反射してみせる紅い革鎧と脇に抱えた女神のレリーフが施された兜。
 両方ともワイバーンを一頭買えるぐらいの品なのだろう。
 なにより革鎧の胸部に縫い付けられた紋章。
 彼女がまさしくアザラスの言っていたベイヴェルグ公爵家の“道楽”息子ならぬ娘であると確信した。
 とりあえず俺の好奇心は満たされたので後は自分のことに集中するだけだ。
「よう!俺はドレンの子、アザラス。昨日はいなかったようだけど今朝ついたのか?」
 一方で俺とは行動原理が正反対の奴がさっそく少女に声をかけていた。
 ここまで来ると気さく通り越して、ただの馬鹿である。
「馴れ馴れしい……」
 呼び止められた少女は一端止まると、強烈な視線をアザラスに向けた。
 まるで虫けらでも見ているかのような見下した眼。
 直接見られている訳でもないのに、つい後ずさりしたくなってしまう。
「おいおい、同じスキッダーじゃないか。それにここは闘技場じゃない。競技選手同士もっと気楽にいこうぜ」
 そのままビクついて引っ込むかと思っていたアザラスは意外にも真面目な顔で話していた。
 少しだけ見直したかもしれない。
「ふん、田舎貴族が偉そうに何を申すか!勝負事においては己以外すべてが敵。ましてやクリフ・スキッドはもとはと言えば竜騎兵を鍛えるための演習の一つ。戦へと赴くのと同じ覚悟で挑むのが礼儀」
 もとから不機嫌だったのか、アザラスの態度が癪に障ったのか少女は物凄い剣幕でまくし立てた。
「それを競技?選手同士?笑わせるな!まったく、お前のような輩がよくもスキッダーなどと名乗れるものだ!」
 相手に言い返す隙を与えぬ猛攻である。
 アザラスをはじめ、グレイ・クリフのスキッダーたちは割と気楽である。だからお互い貴族だの平民だのと気にしない。
 それに慣れて忘れていたが、本来貴族様というのはこういうものなのだろう。
「わかった、わかった。俺が悪かったよ。とにかく名前を聞かせてくれないか」
 出だしはよかったがアザラスはすぐに折れた。
 前言撤回。
 やっぱりこいつ駄目だ。
「……私はエラミノの子、ティオーナ。ティオーナ・エラミノ・ベイヴェルグだ」
 アザラスのみならず竜場のいる全員に宣言するかのように彼女は名乗りをあげた。
 まるで他の者に何度も名乗らせるな、と暗に言うような尊大な口ぶりである。
「そ、そうか。よろしくな」
 アザラスは手を差し出すもティオーナは一瞥をくれるだけで歩き去っていった。
「ありゃ乗ってるワイバーンの方が大人しいんじゃないのか?」
 誰かが声を潜めて言った。
 まったくその通りである。
 貴族の女性と言ったらもっと慎ましやかな淑女を想像していた。ティオーナ嬢は貴族女性の幻想を見事なまでに打ち砕いてくれた。
 だがこのままだとあのアザラスでも可哀相に見えてくる。もちろん間違っても俺は奴に同情なんてしてやらない。
 兜を持ち、俺は練習に赴くためさっさと竜場を後にした。


451:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/21 22:30:10 OyPy8Vpg
 投下終了です
 ノリと勢いで書いてるせいか、嫉妬要素まだちょっと先です。
 ほんとうにすみません

452:名無しさん@ピンキー
07/09/21 23:03:34 Nm+jVp7t
いつか嫉妬があるなら問題なしだぜ

453:名無しさん@ピンキー
07/09/21 23:20:39 wDlTuyci
女性キャラの魅力をきちんと描写できていてGJ。
でも個人的には主人公のワイバーンに興味があったり。

454:名無しさん@ピンキー
07/09/22 01:45:34 1IPxH64I
何故か最近毎日沃野の胡桃が夢にでてくるwww

455:名無しさん@ピンキー
07/09/22 02:17:18 pgJyg+rr
>>454
マリー隊長(Ver.bad)と胡桃は最狂
ヒロイン人気投票をしたって勝つに違いない

456:名無しさん@ピンキー
07/09/22 11:28:41 AiiYfJF9
ごめん、話し切って悪いんだけど
↑の方に書いてあるログを読んでもリュンコイスの魔王の起動アイコンがどうしてもわからない。
誰か教えてもらえないだろうか?

457:名無しさん@ピンキー
07/09/22 12:00:55 yi/QmzbJ
>>456
いい加減ググれよクレクレ厨……

ようはツクール2000製RPGをプレイするには、RPG_RT.exeという実行ファイルが必要なんだよ。
ベクターとかで落とせるゲームには最初からこれが入っているんだけど、これみたいな2ch作品は容量削減やウイルス対策やらで実行ファイルを入れてない場合が多い。
だから他のゲームとかから実行ファイル持ってきてやらないとプレイ出来ないんだ。
で、実行ファイルは剣を持ったショタのアイコンなんだけど、バージョンが古いとゲームによっては起動できなかったりするから注意しろよ。
最新版の実行ファイルはURLリンク(park.geocities.jp)で落とせるから
ゲームフォルダ(マップや他のRPG_RTファイルが大量に入ってるところ)にそれをコピーして、最後にショタのアイコンをクリックしてやればゲーム起動が完了ってわけ。

458:名無しさん@ピンキー
07/09/22 12:02:06 ztfA45pU
なぜ本スレに移らないお前ら

459:名無しさん@ピンキー
07/09/22 12:10:14 U4bo3Kpq
>>457
わざわざ説明してあげるお前に脱帽した

460:名無しさん@ピンキー
07/09/22 12:46:37 IPg1m3Ta
スクイズ放送中止だってな

461:名無しさん@ピンキー
07/09/22 13:18:29 avDdhl3Q
こちらでどうぞ
嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第22章
スレリンク(hgame板)

462:名無しさん@ピンキー
07/09/22 13:55:41 NQ/yrwXh
>>457
良いツンデレだな

463:名無しさん@ピンキー
07/09/22 17:51:57 U4bo3Kpq
>>456
つーか、リュンコイスは修羅場以外は糞ゲーだぞ?専門用語ばっかだし…無意味に言葉を難しくいうのがウザすぎてたまらない。そんなに必死になるなよ

464:名無しさん@ピンキー
07/09/22 20:10:53 +CkQYhHp
草待ちwktk

465:トライデント ◆J7GMgIOEyA
07/09/22 22:33:36 G208EnIY
では投稿致します

466:桜荘にようこそ ◆J7GMgIOEyA
07/09/22 22:37:35 G208EnIY
 第13話『枯れる桜』

 更紗と刹那が桜荘に来てから2週間。
桜はもうすぐ枯れ落ちて今年の最後の見納めの時に二人の歓迎会の意味を含めて桜荘の恒例のお花見会が開かれた。

毎年、桜荘にある桜は一般にも開放されて多くの人で賑わう。
どこぞの会社の団体がお花見する時にはちゃんと料金を支払って、桜荘の自慢の桜を見物しながら飲み食いをする。
その料金で桜荘の維持費に使われている。

桜荘に人があんまり住んでいないのに奈津子さんたちが生活をしていく理由はそこにある。
多くの会社にバショ代を払ってもらえるおかげであんな豪華な生活を送れるのだと俺は確信した。
 とはいえ。そんな私利利欲塗れの桜が散る風景をこの目に刻み込みながら、

安曇さんの料理を食べるのは悪いことではない。
去年は奈津子さんと俺だけで虚しく酒を飲んで二日酔いに遭うことに比べたら数倍マシである。
 今年のお花見会はちゃんと公言した通りに美耶子や安曇さん。そして、その後に桜荘に住むことになった雪菜。

そして、俺の大切な幼馴染である更紗と刹那。
 皆がようやく揃った、桜荘恒例のお花見会が始まろうとしていた。


「桜荘恒例のお花見会を始めるわよ。
今年は一樹君が公言した通りに桜荘の皆一緒に揃ってお花見をすることができた。
これは私たちにとって喜ばしいことであり、去年までは叶うはずがなかった行事でした。
新たに桜荘の仲間に加わった更紗ちゃんに刹那ちゃんも居るし。
今日のお花見会は私の奢りで盛大に盛り上げましょう!! 
 というわけで乾杯!! 真穂ちゃん、私の秘蔵のお酒を持ってきて。
今日はそう簡単に寝かせてあげないわよ」


「そうですね。奈津子さん。今日は地獄の果てまで御供します。うっっ……」
「真穂ちゃんもついに大人の階段を登り始める時がやってきたのよ」
 と、奈津子さんの挨拶終了後にさっそくパシリとして安曇さんは泣きながら秘蔵のお酒を取りに走りだした。
 桜荘の中でも大きな桜の木の前に場所を陣取り、俺達は安曇さんが懸命に作った料理を並べて、
夜の桜を見上げながら散り行く名残を楽しんでいた。

単純に言えば、花より団子の女性陣は奈津子さんにあっさりと捕まり、アルコ-ル度数が高そうな酒を飲まされている。
俺はちゃんと今年の桜の散る場面を思い出の一つとして刻み込んでいる。
すでに酒臭い女性陣に比べて、ちゃんとお花見をやってますよ俺。

 黙々と美味しいという言葉以外は評価できない安曇さんの料理を食べながら、
無意味にテンションが高い女性陣は五月蝿く騒いでいた。元気でいいことだ。

「で、雪菜は言ってあげたんですよ……私にコクってくるのは2000年早いって。
本当にどうして年頃の男の子は万年発情期なんだろうか?」
「それは男の本性がオオカミさんだからですぅ。
一樹さんが私たちを監禁して凌辱行為に走るのかと
毎日毎日怯えている私は彼氏がいない方が幸せな人生を送れると……」

467:桜荘にようこそ ◆J7GMgIOEyA
07/09/22 22:39:23 G208EnIY
 と、美耶子は男という生物というよりは俺がどれだけ危険な男であると熱弁していた。
本来なら背後から首を絞めて失神コースの刑は確実なのだが。
二人の頬は真っ赤に染まるぐらいに出来上がっていた。
酔っ払い相手に実力行使すると俺の服に嘔吐物が付着しそうで恐い。
ここは大人しく雪菜と美耶子の会話を聞かなかったことにして、
更紗と刹那の方に近寄ると逆に近寄りづらい雰囲気を醸し出していた。 
二人は顔を俯いて奈津子さんのお酒を少しずつ小さな口で飲みながら、ぼそぼそと呟き始めていた。

「ねぇ、刹那ちゃん」
「なぁに更紗ちゃん」
「私たちってそんなに魅力がないのかな?」
「カズ君。私たちをデートに誘ったり、夜に襲ったりとかしないよね」
「私は桜荘に引っ越してきた時はちょっと期待していたんだよ。
カズちゃんと一緒に暮らせるから、以前みたいな関係に戻れるって思っていたんだけど」
「うんうん」
「カズちゃんは私たちに少しだけ距離を置いているよ」
「やっぱり、カズちゃんが好きだって言った英津子さんの事が忘れなくて……。
でも、英津子さんを徹底的に問い詰めても何にもわからなかったし。カズ君の嘘だったね」
「その英津子さんは問い詰めのせいで人間不振になって、
一人の男の子を監禁して犬プレイさせているらしいよ。羨ましいよ」
 と、二人は痛々しい会話を永遠と続けていた。
やはり、お酒が入ると普段のタガが外れるらしいが、当事者である俺は傍目から聞いているだけで身震いがする。
更紗と刹那に視線を合わせないように俺は二人の会話を全身全霊で耳に傾けていた。

『カズ君の観察日記とかさ……』

『カズちゃんを監禁して、思う存分に甘えたり、』

『カズ君の首輪と鎖を買ってこなきゃ』

『カズちゃんの口に私の唾液を……』

『カズ君のためならなんでも……』

 と、恐ろしい呟きが含み笑いと共に聞こえてきた。お酒を飲む人が変わるのかと長い間幼馴染をやっているけど、
この驚愕の事実を今知った。出来るだけ二人に酒を飲まさないようにしよう。


『恋愛同盟を結成して……本格的にアプローチを』


『あの時の言葉は嘘だったのかな?』

 もう、俺は完全に無視を決め込みこれ以上幼馴染の会話を聞き取るのをやめた。
だって、そうだろう。こんな会話を聞けば幼馴染に拒絶反応の一つや二つぐらい起こるもんである。

468:桜荘にようこそ ◆J7GMgIOEyA
07/09/22 22:41:09 G208EnIY
 さて、盛り上がってきたお花見会は奈津子さん以外の参加者はすでにノックアウトで倒れていた。
俺は女性陣のスカートの裾から見える下着などを隠しながら、奈津子さんの元で一緒に酒を飲んでいた。
泡を吹いて倒れている安曇さんの髪を優しく撫でている奈津子さんは魔性の女がよく似合っていた。

「こんなに楽しいお花見会は始めてだよ」
「いつもと変わらないと思うぞ。憩いの場で皆で飯を食べるのと殆ど一緒だな」
「確かにそうかもしれないけどね。一樹君と私にとっては違うでしょ。
寂しく二人きりでこうやってお酒を飲み明かした時と比べれば」
「桜荘恒例のお花見会と言っても、去年初めて開かれたし……。
それに安曇さんや美耶子も去年みたいに荒れてもいなかったしな」

「一樹君のフィンガーテクニックのおかげだよ」
「んな猥褻な表現の仕方すんなコラァ」
「でも、一樹君が頑張らなかったら、今日のお花見会はなかったわ。
美耶子も雪菜ちゃんや真穂ちゃんもずっと荒れたままだったでしょ」
「確かにそうだけど……」
 1年前のお花見会は悲惨な物であった。俺は幼馴染の事で酷く憔悴していたし、
嫌々に奈津子さんによって強制的にお花見会に参加させられて、
二人で寂しくお酒を飲み明かした。今思い出すだけでも充分に寒い。


「桜荘に向かって、大声で叫んだでしょ?」
「うっ……当の本人にとっては記憶の彼方に忘却したい事なのに」
「確か、俺が絶対にあいつらを絶望から救ってやるって」
「その場に雪菜が居てくれなかっただけが救いだな。
あいつなら朝を起こす時にマイクで復唱するかもしれんし」
「雪菜ちゃんもその一生モノの名場面を見逃したって言っていたし、
今年の抱負をここで桜荘に向かって叫んでみたら?」

「だが、断る」

 去年みたいな最悪の状況は回避されているし、今年の抱負は正月の時にでも適当に決めておくものである。
それに赤の他人の問題に突っ込むのはどれだけ大変なのかと言うことをこの1年間で思い知ったし。
これ以上何かの問題が発生するというならば、間違いなく舞台から下りる。てか、降板させてくれ。

「今年は去年以上の問題が起きるかもしれないわよ?」
「起きてたまるもんですか」
「あら。そう」
「ちょっと酔いを覚ましてきます」
「酔いの勢いで一般人の人たちを襲ったらダメよ」
「誰が襲うかっての!!」

 と、酔っ払いの絡みから逃げるためにさっさとこの場から離れた。

469:桜荘にようこそ ◆J7GMgIOEyA
07/09/22 22:43:21 G208EnIY
 酒の勢いが体全身に回っているせいか、歩くだけで足はふらついていた。
さすがは奈津子さんの秘蔵のコレクション。

ラベルのアルコール度数は偽装表示されているんじゃないのかと言うぐらいにきつい。
夜風に当たるために桜荘の敷地で酔いを覚まそうとするが、心地良い睡魔に襲われつつあった。
その辺にある桜の木に背中を預けると俺は安堵の息を吐いた。

 1年間。
 言葉にするとそんなに時間が流れていないかもしれない。
ただ、体感してきた当事者にとっては忙しい日々と多くの苦難を乗り越えてきた。
特に桜荘のいる住人にとって人類が月に上陸するぐらいに大きな進歩があった。

過去の悲しみを乗り越えて成長した少女の姿がここにはある。
 だが……。
 更紗と刹那は過去にあった悲しみを乗り越えたのだろうか?

 否。
 俺が逃げている限りは一生解決できる問題ではない。
二人の想いを真っ正面に受けとめることができない臆病な自分が真っ向から立ち向かわない限り。ずっと。

 でも、解決する方法が一つだけある。
 早く、新しい人を見つければいい。そうなったら、更紗と刹那は俺から離れて新しい男と幸せにできるだろう。

「それでいいの?」

 刹那。

 少女の呟きが聞こえてた。少なくても、桜荘の住人ではない誰かが女の子の声が。
 その声の位置には純白なワンピースを身に纏った少女が立っていた。

「優柔不断で中途半端な人間のやる事全てがあの子達を傷つけてゆく……」
「アンタは誰さ?」
「私はさくら。人間じゃないわ。桜荘の桜の木の精。わかりやすく例えるなら……悪霊。そう、言った方がわかりやすいわ」
「酒を飲みすぎて何か幻覚を見ているのかな。木の精って、どこのマンガの世界だよ」
「ううん。現実とか架空の世界はどうでもいいんだよ」
「えっ?」

「絶望。その言葉を覚えていて。あなたが無意識に避けていた問題が一気に噴出する。
これは避けられない事態。来るべき、幼馴染との破局にあなたの心は耐えられるかしら?」
「何を言ってやがる」
「美耶子、真穂、雪菜の絶望を解き放ったことだけは誉めてあげる。
でも、あなた自身の暗闇の中を彷徨っているのに、二人を暗闇の中から手を差し伸べることができる」
「絶望とか暗闇とか意味わからんことをグタグタと」
「まあ、仕方ないでしょう。私が桜の木から解放される条件の一つに桜荘の住人の幸せと希望。
対局の状況に陥っているのは偶然ではないわ。桜荘には世界に絶望した人間が集まるようになっている」
「類は友を呼ぶって奴か?」
「わかりやすいことわざをありがとう。それと似たような状況が桜荘にも起きているの。
だから、同じく絶望している更紗と刹那がここにやってきたのよ」
「一体、二人はどうして絶望しているんだ?」

「こ、この鈍感野郎っっ!!!!」
 さくらと名乗った少女はどこぞに隠していたわからないが、棍棒を右手に持ち、
手慣れた動作で俺の頭部に叩きつけた。すでに酒の酔いが体に回っていたので
その衝撃と痛みは俺の心地の良い睡魔を与えることになった。

470:トライデント ◆J7GMgIOEyA
07/09/22 22:45:07 G208EnIY
投下終了。
とりあえず、修羅場になるまで果てしなく遠いです

471:名無しさん@ピンキー
07/09/22 23:10:21 L7vY0zU0
GJ。

472:名無しさん@ピンキー
07/09/22 23:12:02 ctMzdWS9
ごめん


   ●464 名無しさん@ピンキー  sage

草待ちwktk
DATE:2007/09/22(土) 20:10:53 ID:+CkQYhHp
 
   ●465 トライデント ◆J7GMgIOEyA   sage

では投稿致します


この流れは吹いた。

473:名無しさん@ピンキー
07/09/23 01:33:45 Nm54MGLP
>>470
(*^ー゚)b グッジョブ!!
俺は焦らしプレイも好きだぜ(*´д`*)
修羅場、期待してます!

474:名無しさん@ピンキー
07/09/23 10:27:44 ruaESdv+
>>470
キモ幼馴染にGJ
首輪と鎖買ってこなきゃで勃起した俺がいる

475:名無しさん@ピンキー
07/09/23 11:30:53 llWVz1T4
七戦姫を全裸で待ちつづけて早一月。
涼しい秋風が身に染みる。

敗者のため、王大人の到着を待っているのはわかっているのだが・・・

476:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/23 12:08:54 6OXSWXAR
皆さん、おつです。
続きを投下させていただきます。

477:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/23 12:09:35 6OXSWXAR
 色鮮やかな旗もなく、野次や賞賛を叫ぶ声もない。
 食べ物を運ぶ給仕もいなければ、優雅に扇子をあおる貴婦人もいない。
 レース当日とは打って変わって無人の貴族専用観客席。
 ここが俺の練習場だ。
 俺は暇が許す限りここで自分の技術を磨いてきた。
 トーンの低いワイバーンの鳴き声が聞こえる。
 振り向くと朝日を背に、北の山腹に沿うように一頭のワイバーンが向かってきた。
 徐々に高度を上げながら迫ってきたワイバーンは観客席真正面付近で一気に急降下する。
 俺は観客席からやや身を乗り出して、その姿を逃すことなくわが眼に刻む。
 山々の外周に沿って飛ぶクリフ・スキッドではこのようなコースのコーナー部分に貴族席が設置される。
 ただ真っ直ぐ飛ぶ直線より遥かにリスクの高い機動をとる曲がり角の方が見応えがあるからだ。
 特にクリフ・スキッドでは高度制限があるため、“コーナー”を飛び越えていくと失格になる。余裕をもって曲がってもコースから外れ、時間がかかる。
 よって一番効率的な曲がり方は山の斜面を掠めるかのように落ちながら曲がること。
 そうすることでワイバーンは素早く曲がりながら、次のストレートでも簡単に高度を稼ぐことができる。
 崖を掠める。クリフ・スキッドの名の由来だ。
 クリフ・スキッドは基本的に直線で高度を稼ぎ、曲がり角で降下し、次の直線で再び高度をあげ、降下する。
 一見単純な繰り返しが非常に難しい。
 俺はスキッダーになってから、いや、なろうと思う以前から絶壁を制覇する技を学ぼうとしてきた。
 人からワイバーンの乗り方なんて一度も教わったことがない。
 全ては観客席から独学で学んできた。
 ある意味、グレイ・クリフで飛ぶスキッダー全員が俺の師匠だ。
 だがそれも限界にきている。
 スポンサーをつけるため、あたかも乗り方を知っていたかのようにみせるのと、観衆の前で実際スキッダーとして活躍するのでは必要な実力が違う。
 だからといって今からコーチなんて雇う時間もお金もない。
 スポンサー側だって俺がいつか成功するまで待っている余裕なんてない。
 スポンサーと言っても地元の雑貨店や個人経営の店が集まった小さな商会である。
 貴族の個人事業ではじまったワイン会社や冒険者ギルドみたいに莫大な資産がある訳ではない。
「はぁ……」


478:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/23 12:10:19 6OXSWXAR
 来週勝てば良い、と気分を切り替えたつもりだったが現実をみればみる程暗い気持ちになってゆく。
 眼で追っていたワイバーンとスキッダーは俺が立つコーナーを抜け、南へ延びる直線へと飛んでいった。
 その先にはグレイ・クリフ山のコースの中でも随一の難所、『牙』が待ち構えている。
 本当はグレイ・クリフ山の峰が繋がっているもうひとつの非常に細長い山だ。
 普通なら飛び越えていけるはずの山稜も高度制限のあるクリフ・スキッドでは別だ。
 グレイ・クリフ山から西に突き出ている『牙』の周りをわざわざ迂回しなければならない。
 向かってゆくスキッダーたちにとってはヘヤピンカーブ同然。
 普通、スキッダーは『牙』を見ると心臓の鼓動が早くなるらしい。
 俺は『牙』を見るたび心が落ち着く。
 なにせ『牙』は俺にとっての原点であり、俺の武器なのだから。
 もちろん『牙』だけでは勝てないから悩んでいるのだが。
「はあ……」
 再びため息が出るが、すぐに持ち直し青空を見据える。
 最低限、練習から何か得なければ練習をしている意味がない。
 
 午前は他のスキッダーの技を盗もうと観客席で過ごし、午後は実際にアズールに乗って午前参考にした様々な技を試してみた。
 結果は可もなく不可もなく。
 俺は相変わらず普通のコーナーが苦手だということが分かっただけだった。
 レースがない日は後片付けも簡単なので、終わったのはちょうど夕暮れ時だった。
 山を降りようと洞窟を出たところで俺は珍しい人と出会った。
「ミリアちゃん?」
「あ!ジースさん!」
 声をかけると、満面の笑みで少女が駆け寄ってきた。
「久しぶりだな。でもどうしてここに?」
 ミリア・ブラム。
 後ろで束ねた長い緑色の髪が特徴的な俺より二つ歳下の女の子。
 スポンサーの一人、ブラム防具店のライアンおやじの一人娘。
 防具店のほうは父親と二人の兄が仕切っていて、普段は道の向かい側の雑貨店で働いている。
「え~と、実は昨日お仕事サボっちゃいまして。それで今日の配達は代わりに私が……」
 少し照れながら身を屈む姿はまるで子犬のように可愛い。
 屈む際に垂れる前髪もつい触ってしまいたくなる。


479:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/23 12:11:16 6OXSWXAR
 豊作祭になれば街の男子が躍りに誘いたくなる娘一位というのも頷ける。
「サボるって、ミリアちゃん。また?」
「だってジースさんの飛ぶところが観たかったんです……」
「それは嬉しいけどさ……何か言われなかったか?」
 一緒に山道を下りながら会話する間もミリアちゃんは俺の周りをくるくると歩く。
 本当に散歩をする子犬みたいに元気な娘だ。
「えへへ、実はおばさんに今度やったらクビにするぞって怒られました」
 彼女に反省の色は全くない。
「えへへって、本当にクビになっても知らないぞ?」
「その時はその時です。それより今日は早いんですね」
「レースがない日はこんなもんさ。まあ、それでも他のみんなよりかは遅いんだけどさ」
「え?どうしてですか?」
「いやさ……俺ほら、負け続けだし。下男とか雇える余裕ないから全部一人でやんなくちゃいけないんだよ」
「えー!ワイバーンのお世話から全部ですか?」
「ま、慣れているから特に問題じゃないさ」
「お父さん、ジースさんの後援者の一人のはずなのに……何もしてないんですね!」
「いや、ライアンさんには俺の相棒を買った時もそうだけどかなり援助してもらってるよ」
 確かに俺が使っている革鎧は防具店の冒険者用のものにベルト用の金具を付け足しただけの物。
 兜に至っては無塗装の鉄兜ときた。
 文句を言いたくなる時もある。
 それでもアズールを買った時、だいぶ投資してくれた恩がある。
「……」
 ミリアちゃんは突然考えるように押し黙った。
「ミリアちゃん?」
 一瞬の静寂のあと、彼女は何か呟いた。
「じ……わた……ゃ……さぃ」
「え?」
「じゃあ、わたしを雇ってください!わたしがジースさんの雑務を引き受けます!」
 突然何を言い出すかと思えば。
 元気なのは良いことだがやっぱりミリアちゃんは子供っぽいところがある。
「気持ちは嬉しいけど、お給料払えないよ?」
「いいんです!わたし、ジースさんのお役に立ちたいんです!」
「だったら尚更タダ働きさせられないな。大体ほぼ毎日働くことになるんだよ?」
「大丈夫です。これでも体力には自信がありますから」


480:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/23 12:11:58 6OXSWXAR
 やや大きな胸を張るミリアちゃん。
 華奢な体の何処からそんな体力が出てくるのか。
 もっと自分が結果を残せていたら、ちゃんとした給料で手伝いを頼んでいたかもしれない。
 だが今は空を飛べているだけでも感謝しなくてはいけない。
 ここは少し意地悪なことを言ってでも諦めてもらわねば。
「じゃあミリアちゃん、ワイバーンの世話の仕方分かる?」
「分かります。お父さんから聞きました。知らないものはすぐに覚えます」
「でも世話って言うと竜場の清掃とかだよ。糞とかもきれいにしなきゃいけないんだよ?」
「大丈夫です」
「臭いよ?」
「問題ありません」
 手強い。
 しかし俺には彼女が諦めざるえない必殺技がある。
「分かった。そこまで言うならライアンさんからちゃんと、許可を貰えたら頼もうかな」
 幾らライアンおやじといえども、可愛い一人娘が竜場で働くことをよしとするはずがない。
「本当ですか?やったぁ!約束ですよ?」
 まだ許可を貰ったわけでもないのに、彼女はピョンピョンと飛び跳ねながら喜ぶ。
「あくまで許可を貰えた場合だけだよ?」
「はい!分かってますよ~」
 とりあえず今は喜ばせておこう。
 どうせ明日辺り、落ち込んだ顔で『無理でした』という台詞を聞くことになるのだ。
 その時フォローを入れてあげればいい。
 俺はミリアちゃんを家まで送り届けたあと、一人酒場に向かった。
 現実的に来週のレースに勝つため、何か考えるためだ。
 結局、何も思いつくことなく帰路につくこととなった。


481:蒼天の夢 04 ◆ozOtJW9BFA
07/09/23 12:13:50 6OXSWXAR
投下終了です。
話数入れるの忘れました。↑のは4話目です。
すみません。


482:名無しさん@ピンキー
07/09/23 13:22:23 q7UtNup2
�シァ�シェ�シ��シ��シ�

遲�縺梧掠縺上※邏譎エ繧峨@縺��シ��シ∫カ壹″繧よ・ス縺励∩縺ォ蠕�縺」縺ヲ縺セ縺呻シ��シ��シ�

483:名無しさん@ピンキー
07/09/23 16:52:14 qXz8kTnm
>>481
GJ!

484:名無しさん@ピンキー
07/09/23 23:09:26 IHXjDsvE
蒼天が来てる!!いつ嫉妬が来るのか、毎回楽しみに待ってますぜ!!

485:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:34:03 dd5+HPNy
//////////////∧  / /         ,、 ,、            ヽ
、//////////////∧/ /           厶∨ヘ             l
. \/////////////∨´/      /  /  /    !            l
  \////////////∧l      |  |  |    | /ヽ           !
    \///////////∧     !  !  ハ  l    / /  |  /       ,
\    \//////////∧. l  |  |、__,ィ弋´ |   `/''ナ一!-/   /   /
  \    \,/////////∨、 ヽ ヽ\f乞ヾ、  /ィ乞ミk/ /   /   /
   \    、 ////////∧ヽ  \∨f:::::} `   l:::::::::::レメ   /   / とりあえず、斧で少女を殺す嫉妬SS
     \   ヽ////////∧ \  ヾ 弋ソ    弋:zソ/   /   / は規制するべきかと思いますが
      \   、///////.∧/ \ ゝ    ,      /  /    /
        ヽ  ヽ///////∧    `ヽ、  ーっ  /_'7´    ,.イ|
         ヽ  \//////∧      >、    _,ィ /     / `
          ヽ   ヽ,/////∧/7/!/   `丁  /    //
           \  ヽ/////∧/ ___ ,. イヘ! /  /,イ┐
            ヽ  ヽ/////ヾヽ ヽ:::::::::|´ノ / ,/!//:::::/`ィ─- 、
             ` 丁 ̄∧二∧_\ ヽ::::::ト'´`! / /:::::://´    ヽ
                 | / f'ヽ' ̄_,.).|\ \l'´`l //::::::://       |
                |/  |    ,.)!  \ !_イ/-─' ,イ   /      !
                 r |    ´ 〉\__ヽ/ ̄ ̄/ |  /         |
                 レ'|    ノ!,.ヘ / 7 ̄ ̄ ´ r_'´_,. - 、    ノ
                /__/   //   ヽ |     /´___   `ヽ /
                 /ー/  イヘ,/´__   \   /, -─ー `ヽ  Y

486:名無しさん@ピンキー
07/09/24 19:51:59 x2qjsZn4
>>481
ポニーテールは正義!!
GJ!!

487:名無しさん@ピンキー
07/09/25 09:46:38 d0BfXEFI
過疎化しているからちょっと暴れてもいいですか?

488:名無しさん@ピンキー
07/09/25 10:19:04 d0BfXEFI
: : /  |   l   l: : : :ヽ: : : : |/  /  ヽ ヾ、 \: : ヽ: : : : : : : : : :l ∧ : :〃
: ヽ   l   l   /: : : : />-'  /  ゝヽヽ  ヾ、 ヽ: : ヽ、: : : : : :ヽ : : l l//:
: : :l  l  /.  ,': : : :/   // ̄ ̄`ヽヽ丶ヽ ヾ、_ ): :〉 `ヽ: : : : : :\レ: :
: : :l  l  /   l=/    ∠_〃´ ̄ ` - 、ヽ  lヽ _//"〃  \: : : : : ヽ: : :嫉妬SS誰も投稿されてねぇー
: : l / /     l'´〃  / ̄〃   ●   `liヽ、i ヽ // ノ  ヽ: : : : : :ヽ:
: : : l/  {  /  i    ´l  〃ヾ、       /'  `ヽ    / ゞ__ノ: : : : : : : :}
l: : (ヽ         〈  ll .ヽヾ、   /  /  }   = ニ   {: : :_:_:_:_:_ノ:
ヽ: : 〉、ヽ        ヽ  l   ヽ ヾニ`´ /    /=、、〃 ̄`ー-' ヽ/: : : : : :
 ヽ〈 ヽヽ        ヽ l    )i _ -=゛   /〃  〃   i} `ヽ \:_:_:_ノ
   \ヽ丶       ヽ `ー 、Yl      / i  /〃  ● / ´/ ヽ 〉:_:/
    _l\ヽ        ヽ   /,' ̄ ̄  ̄     l 〃    / /== l /_:_:_:_;
─( /: :(ヽ         }   /,'  _ ,    _ -'i 〈ヽ、_ /`ヽ<__ /: :_; --
\  /: : : : \i        l  /,'ィ=ニー-、     i,--ヽ '   _,-  /ヽ´
ヽ ヽヽ: : : : : /ヽ      //-、   ヽ、ヾヽ ,'  ヽ---ヽ´  ヽ/‐' /
 ヽ l ヽ : : ∧ノ      / lヘ, ´rヽ、_ノ/ '  ゝ   / ` ´   /
  l l /: : /`ヽ、    〉 `ヾヽ、_ { ヽ /     _, イ i / ヾ   /
   l / ̄ ̄`ヽ、 `ヽ、 / \  `ー-ニニ' _ ┬‐ ´    /     /
   /      `ヽ  ヽT´ \  _ ィ´  l   _ - ´      /
 /         \  \ l `Tヽl `ヽ、ハ  /        /

489:名無しさん@ピンキー
07/09/25 10:19:46 d0BfXEFI
: : /  |   l   l: : : :ヽ: : : : |/  /  ヽ ヾ、 \: : ヽ: : : : : : : : : :l ∧ : :〃
: ヽ   l   l   /: : : : />-'  /  ゝヽヽ  ヾ、 ヽ: : ヽ、: : : : : :ヽ : : l l//:
: : :l  l  /.  ,': : : :/   // ̄ ̄`ヽヽ丶ヽ ヾ、_ ): :〉 `ヽ: : : : : :\レ: :
: : :l  l  /   l=/    ∠_〃´ ̄ ` - 、ヽ  lヽ _//"〃  \: : : : : ヽ: : :
: : l / /     l'´〃  / ̄〃   ●   `liヽ、i ヽ // ノ  ヽ: : : : : :ヽ:tついでにスレの住人もいねぇー
: : : l/  {  /  i    ´l  〃ヾ、       /'  `ヽ    / ゞ__ノ: : : : : : : :}
l: : (ヽ         〈  ll .ヽヾ、   /  /  }   = ニ   {: : :_:_:_:_:_ノ:
ヽ: : 〉、ヽ        ヽ  l   ヽ ヾニ`´ /    /=、、〃 ̄`ー-' ヽ/: : : : : :
 ヽ〈 ヽヽ        ヽ l    )i _ -=゛   /〃  〃   i} `ヽ \:_:_:_ノ
   \ヽ丶       ヽ `ー 、Yl      / i  /〃  ● / ´/ ヽ 〉:_:/嫉妬スレの終焉の時がやってきたようだ
    _l\ヽ        ヽ   /,' ̄ ̄  ̄     l 〃    / /== l /_:_:_:_;
─( /: :(ヽ         }   /,'  _ ,    _ -'i 〈ヽ、_ /`ヽ<__ /: :_; --
\  /: : : : \i        l  /,'ィ=ニー-、     i,--ヽ '   _,-  /ヽ´
ヽ ヽヽ: : : : : /ヽ      //-、   ヽ、ヾヽ ,'  ヽ---ヽ´  ヽ/‐' /
 ヽ l ヽ : : ∧ノ      / lヘ, ´rヽ、_ノ/ '  ゝ   / ` ´   /
  l l /: : /`ヽ、    〉 `ヾヽ、_ { ヽ /     _, イ i / ヾ   /
   l / ̄ ̄`ヽ、 `ヽ、 / \  `ー-ニニ' _ ┬‐ ´    /     /
   /      `ヽ  ヽT´ \  _ ィ´  l   _ - ´      /
 /         \  \ l `Tヽl `ヽ、ハ  /        /

490:名無しさん@ピンキー
07/09/25 10:21:15 d0BfXEFI
                    / 三二ニ= 、
                    ,イ/  ,二二ニ ヽ、、
                   ハ{   / >‐-= 、 \_/,イ
                   /´二}  {´ , -‐- 、  \ー'__}
                 //, /`ヽ、V /∠二ミ 、_  _ノ
                {〈 ,{ V´ `ー~´´´´´V/7//
               、__」レ'ノ 〉    ,   _V´}/  と、オレンジ閣下も嘆いております
                ミ三,-r´、≧ミ、 ソムtf我`レ/
                  ヽ!     ´ | ` ̄  .'´ _
                   」、   、j    /,r'´   \
                   {{ }ヽ -ー一  イ>ト     ヽ
                  . ィV__ \ ⌒ /ノ {ヘ     `、
              _.. ‐ ´::ノヘ」|〉ーf=i⌒lレ>/ ', /}   `、
        _.. -‐.::::::::::::::::::::/ \,」 }  !   {(/i   V l    `、‐-    .._
    r<:::::::::::::::::::::::::::::::/  <ヽ.ノ  rk!  .レ'  >'´/ノ     `、:::::::::::::::::`ヽ
    _)::::::ヽ、:r== '"´     ノ  ヽ  し'  ,/ / / ィ´       ヽ::::::::::::::::::/
     ヽ:::::::::::||\ ` ー…― - ⌒ヽ}  -‐ '"´  ´/ノl   , -‐-  .  \:::::::/
      |::::::::::||   ヽ          ( rヘォー─ '7'´ | /.::::::::::::::::::::`丶 `く
      |r=‐’     、====ァフ¬イ    /    レ7ァ:::::::::::::::::::::::::::::::::}\}
     ,イ   ノ  }:  l ト、ー= ノ   /   /  rー{_}必ー- 、::::::::::::::::::::::|
    /:::!  /   |   l | } i、\ _   / _,rーf7__L\:::::::::::::\::::::::::::::::l
  , ´.:::::::|  /    :l    l |ノノ ヽ   `、   _f__ノ>' }`´.`ヾ 、:::::::::::::::::::::::::::l
  /:::::::::,イ /     |   l |   └―‐f~く_ノ/ ァー′. : : : }´ト、::::::::::::::::::::::l
. /.:::::/ }/ /    ト、   l |__rー<辷>ー'´ !   廴:_:_:_:_:_: ノ / ,{::::::::::::::::::::::l
/.::∠. -‐レ'    ノ辷辷辷辷>ーァ'´  ___ノ       __//ノ:::::::::::::::::::::j
/    ,} ,rーァ'´ >ァ==キ≠‐ ´   、          /.:::::::::i::::::::::::(
辷辷辷辷辷r‐'f7´ /             `  ー-ッ─ イ´.:::::::::::::::l, -‐- 、}
      レ' //  /              -‐ァ'"´       |:::::::::::::::::::l    `、
.      / / /  /         _.. - '´   /        |:::::::::::::::::::L -‐- 、丶
    /   {   `丶、    , 、イ´    /             l:::::::::::::::::::::',:::::::::::::::ヽ丶
    `丶、  _.. -‐…、/  | |   /            ,::::::::::::::::::::::`、::::::::::::}  丶
       `´      |   } }  , ´            /.::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::|    ヽ
               |   j レ'             /.:::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::L

491:名無しさん@ピンキー
07/09/25 11:58:08 RTlEAdpg
AA連投荒らしはアクセス規制対象ですが

492:名無しさん@ピンキー
07/09/25 16:39:09 N5oAgd/Y
どうせ、誰も来ないから別にいいんじゃねぇの?

493:名無しさん@ピンキー
07/09/25 16:51:34 GyD8hnfa
ニートタイムに書き込んでおいてよく言うな…
>487のカキコ時間とか、普通のエロパロのスレだとカキコほとんどないと思うのだが

494:名無しさん@ピンキー
07/09/25 16:53:58 fdzsi/D8
>>493みたいなレス見ると携帯電話って実はほとんど普及してないんじゃないかと考えてしまう。

495:名無しさん@ピンキー
07/09/25 17:09:34 N5oAgd/Y
>>493
ってニートだから今時携帯も持ってないんでしょ
あんまり突っ込むなよ。可哀想だろw

496:名無しさん@ピンキー
07/09/25 17:11:03 GyD8hnfa
>494みたいなレスみると、携帯からAAはるなんて頑張る人がいるもんだなぁと思う

497:名無しさん@ピンキー
07/09/25 17:27:37 ZZTdax+J
まーそんないじめてやるなよ
携帯からAA貼れると思ってた携帯持ってないニートなんだからさ・・・

498:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:01:47 Paf0d8Ex
いや、携帯からAAは貼れるだろ・・・常孝

499:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:06:12 DrgM+6sL
>>498
AAを一文字一文字打ってるとでも思ってるんだろ

500:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:15:02 1DhREY4D
張ってるAAからして既に痛いんだが

501:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:17:30 N5oAgd/Y
それにしても、嫉妬SSと住人が減ったのは
俺以外の>>488-499
がいるせいだろうな

嫉妬SSを書いて、貢献しろw

502:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:30:34 ZZTdax+J
>501 それはネタですか?

503:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:41:02 L0a8h6LH
お前ら釣られすぎだろ・・・
それとも自演で荒らしてるのかはわからんけど

504:名無しさん@ピンキー
07/09/25 18:59:30 U0p5TJTQ
それにしてもスクイズの最終話中止で、ここの作者さんたちもショックを受けてたりしてないだろうか・・・
それが心配だ

505:名無しさん@ピンキー
07/09/25 19:24:56 uWEtyc8F
>>504
つ本スレ

506:名無しさん@ピンキー
07/09/25 19:32:18 JHAkkzZw
お前らは本当に静かに待てんのか、まったく!
>>475を見習え!
……そろそろ凍死してるかもしれないけど。

507:私たちの愛しいお兄様
07/09/25 20:33:14 wZR5WDe1
目覚ましの音で目が覚める。いつもと同じ六時半。
七時に起きれば間に合うけど、いったん起きてトイレに行き、二度寝するため
この時間に起きてるけど今日は珍しく完全に目が覚めたからもう起きよう。
「真奈、加奈。朝だよ。おはよう」
「ん・・・おはよう・・・ございます・・・おに・・・ぃ・・さま」
「おはよう・・ございます。お兄・・様」
この二人は僕と一緒に生まれた一卵性の妹たち。三つ子だった僕らは、母胎内で
負担がかかったらしく、そのせいか、僕以外の二人は小さいときから病弱で、母も
産後の事故で父と共に死んでしまったため、3人で暮らしてきた。

508:私たちの愛しいお兄様
07/09/25 20:41:23 wZR5WDe1
遺族年金もあったし祖父母が資産家だったこともあり三人で生きていく分には
何も不自由はしなかったが、小さいときに父母の愛を知らなかったからか僕に
ずっとべったりで、高校生になった今も布団を並べて一緒に寝たがるほどだ。
もっとも、二人とも高校生とは言え、小さいときから学校にも行ってないので
精神年齢はずっとずっと幼い。小学生ぐらいだろうか

509:名無しさん@ピンキー
07/09/25 20:45:07 U0p5TJTQ
割り込みすまん!!
頼む、sageてくれ!!

510:名無しさん@ピンキー
07/09/25 21:44:26 Hwwvw6Vc
sage方はメル欄に半角でsageと入力するだけだよ

511:私たちの愛しいお兄様
07/09/25 22:42:58 wZR5WDe1
幼いころ。まだ僕らが一緒に風呂に入っていたときだった。
ちょうど僕が頭を洗っていて目をつぶっていたとき、双子の片割れ、加奈が
湯船から出ようとして脚を滑らせ、溺れかけた。幸い、真奈がすぐに気付き
僕もすぐに気付いたので事なきを得たがそれから加奈は風呂恐怖症になり以降
は中二までずっと一緒に入っていた

512:私たちの愛しいお兄様
07/09/25 22:46:06 wZR5WDe1
さすがに、中三にもなると、一緒に入ることを止めようと提案したが、怖がる
加奈を放っておけず、隣に住む幼馴染が一緒に入ってくれたが

513:私たちの愛しいお兄様
07/09/25 22:51:17 wZR5WDe1
幼馴染が夏休みやゴールデンウィークに旅行に行ったりして
不在だった日には僕が仕方なく一緒に入った。
そういう時は真奈も必ず『お兄様が加奈と入るなら私も一緒に入る』
と言ってくるので、高校に入ってからも何回か三人で入っている。

514:『私たちの愛しいお兄様』の作者
07/09/25 22:53:34 wZR5WDe1
つまらなくてスミマセン。何しろ初めてのSS投下なのでして。
それと、今更ながら主人公と幼馴染の名前募集してます。
誰かいい名前無いでしょうか?

515:私たちの愛しいお兄様
07/09/25 22:57:54 wZR5WDe1
あと、加奈真奈は依存系にします。
病弱かつ親無しという設定上、異論は認めません

516:名無しさん@ピンキー
07/09/25 23:03:46 UNQh7dQX
色々言いたい事はあるのだけれど、とりあえずageないで頂きたい。

517:名無しさん@ピンキー
07/09/25 23:08:26 YVQ3QTFx
上げると注目されて嫉妬した泥棒猫にミキサーでこれ以上は言えません

518: ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:43:28 9PfEhUDt
投下します。

519:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:44:06 9PfEhUDt
 

 俺がまだ小さかった頃、偶然に妹の日記帳を見てしまった事がある。

 その日は家族で大掃除をしていて、年一つ離れた妹の希(のぞみ)と同じ部屋だった俺は、希が別の場
所を掃除している間、一冊のノートを発見した。
 どうせ授業で使う教科別のノートだろうと、手に取りさっさと机に戻そうとしたが、「こくご」「さん
すう」「りか」「しゃかい」と、他のノートにはしっかりマジックで教科名が書かれているのに対し、こ
の見た感じ使い古された風なノートには、教科どころか名前すら書いてなかったのだ。

 まるで、誰にも知られたくない秘密が記されているかのように。

 ただ未使用なだけかもしれない。でも、そうでないかもしれない。
 子供心に興味が沸いた俺は、おそるおそる表紙をめくってみた。一体どんな内容がその中にあるのだろ
うと。


「○月×日 今日は良いてんきでした。おにわのアサガオもげんきいっぱいです。となりでこーくんもわ
 らってます。だからわたしもにこにこです。」

「○月×日 雨がざーざーふってました。がっこうはおやすみになって、とくになにもありませんでした
 。おしまい」

「○月×日 こーくんがわたしのハンバーグをたべてしまいました。おとうさんはおこってこーくんをぶ
 って、こーくんがエンエンないちゃって、それみてわたしもないちゃいました。」


 そこまで読んで、小さかった俺はすぐに興味を無くしてしまった。
 てっきり正義のヒーローの正体だとか、悪の秘密基地だとか、宝物の隠し場所なんかが書かれているの
だとばかり思っていて、開けてみればごく普通の日記だったのである。
 勝手に人の物を見ておいてなんだが、当時はなんだ、とがっかりしたものだ。
 他のページをパラパラとめくってみても、目当てのものは無く、ずらっとその日の出来事が書かれてい
るだけ。
 仕方が無いのでノートを閉じると、元の掃除中である乱雑なスペースへこっそりと戻しておいた。

520:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:44:46 9PfEhUDt
――――――――――――――――――――――――――



 ………で、今。高2になった俺の目の前には、あの時と同じく無題無記名のノートが一冊。

「ぬぅ、装丁まで同じとは見上げた初志貫徹っぷり」

 思わず感嘆の声を上げる。妹の部屋で。

「木を隠すなら森の中…しかし最初から分かってるなら意味は無いな」

 肘をつく机の上には、同じ柄の「国語」「数Ⅰ」「物理」「化学」などなど、各教科のノートがずらり
と並んである。何も書かれていないのは手に持っている一冊だけ。
 一見予備とも思えるそのノートは、おそらく妹の日記帳。

 いっそのこと「世界史」とでも書いておけば、絶対手に取らないと思うんだが…。

 世界史と題された日記帳。壮大だなオイ。

 まあ、そんなどうでもいい思考はさておき。

「……気になるじゃないのさ」

 希は、まだ部活から帰って来ない。
 お互い部屋を別々に分けてから八年、高校に入ってからはあまり入る事の無かった妹の部屋。貸してた
本を取りに来なければ、こうして探索作業に耽ることも出来なかっただろう。

 面白半分、ネタ半分。

 昔と違って、今や俺の興味は日記そのものに向けられている。

「これで何も書いてなかったりしたら一人上手もいいとこだな俺」

 思わず苦笑。しかし好奇心旺盛な兄としては、この機会を見過ごすわけには行かないわけで。
 そう、本棚から机へ視界がスライドしてしまったが運の尽き。後は心行くまま気の向くままに。
 もしも中二頃に見つけていたら、ファンシーなポエムでも読む事が出来ただろうか。いや、ひょっとし
たらまだ現役の妖精さん日記が見れるかもしれない。
 そう考えると顔がニヤける。こう、嫌な感じに。

「どれ、それじゃひとつ見てみるか」

 あの俺の後ろをぴょこぴょこ付いてくる小動物的かつ甘えたがりの駄目妹が、どんな面白い事を書いて
いるのか。もしくはまた脳天気であっぱらぱーな内容なのか。
 ノートを開く。ページをめくる。


 ……
 ………
 …………


「……予備かよッ!!」

 表紙・裏表紙はもちろん、ノートは最初から最後まで全面真っ白だった。

521:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:45:28 9PfEhUDt
「まさか炙り出しじゃないだろうな…?」

 いつの間にそんな忍者みたいな真似をと思いつつ、試しにライターの火を当ててみる。何度やっても字
は出ずにそのまま数ページほど燃えた。
 悔しいので日にかざしてみたり、虫眼鏡でパスポートの中から「JAPAN」の五文字を探すがごとく
じっくりと見てみたが、やはりページには何も書かれてはいなかった。

 何やら無性に敗北感を覚える。いっそ落書きしてやろうかと思ったそのとき、

「ちぃ! 帰って来たか」

 玄関の方からドアの開く音と「ただいまー」という声が聞こえてくる。
 そのまま廊下を歩き、自分の部屋に向かうべく、トントンと階段を上ってくる気配。

 仕方ない、ここは撤退あるのみよ。

 速やかにノート等の処理を済ませ、希が階段から顔を見せる前に、逆にこちらから爽やかスマイルでも
って出迎える。

「やあ、おかえり」
「ただいまこーくん、お母さん達は?」
「今日も仕事で帰れないってさ」

 言って、部屋へ戻ろうとするところで、

「あっ、こーくんこーくん」

 唐突に希に呼び止められる。

「何?」
「あとでそっちの部屋行っていい? 部活で作ったクッキーがあるの」
「いいね、ありがたく頂こう」

 一緒に食べよ? と目で訴える希に対し、軽く頷く。そういえばもうじき小腹の空いてくる時間だ。

「うんっ! お茶も入れてくるから待っててね」

522:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:46:05 9PfEhUDt
 嬉しそうに部屋へ戻っていく。その後ろ姿を見ながら俺はふと、あるアイディアが浮かんだ。
 すでに部屋に入り鞄を置いているだろう希に声をかける。

「あー…希」
「なにー?」
「俺まだレポート終わってないから、三十分くらい待っててくんない?」
「わかったー」

 何も知らない様子で出された提案を了承する希。相変わらず疑う事を覚えん奴よ。
 その声を最後まで聞かず、俺は急いで自分の部屋のドアを開けて、適当な未使用のノートを速やかに机
の上に引っ張り出した。
 手にはマジック。他にもシャーペンと消しゴムも忘れない。

 キュッ、キュキュー

 素早く、しかし丁寧に題を書く。「Diary」。流石にこの年で読めないって事は無いだろう。
 制限時間は三十分。だがそれだけあれば問題ない。

「舐めよってからに……目にもの見せてくれるわ妹よ」

 別に向こうは何もしてないというか、ぶっちゃけ俺の勘違いだが。そんなものは兄のプライドの前には
些細なものに過ぎん。
 だって悔しいじゃないの。こう、兄的に。
 ゆえに、そんな偉大なる兄の面子を保つ為ならば、こんなアホらしい行為の一つもやってのけるのだ。

 マジックからシャーペンに持ち替える。最初のページに踊るように文章が書き込まれていく。


「「◇月◇日 今日は――」

523:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:46:42 9PfEhUDt
――――――――――――――――――――――――――



「んー…」

 台所の食器棚からお盆を取り出し、そこへ調理部で焼いたクッキーの皿と、入れたてのお茶…こーくん
はコーヒーや紅茶よりも日本茶が好きみたい…を、お気に入りの湯飲み二つと一緒にのっける。
 居間の時計は、さっき上の廊下で約束してからぴったり三十分経ってた。

「もう、行ってもいいよね…?」

 お茶がぬるくなっちゃったらもったいないし。
 わたしはお盆を持つと、二階のこーくんの部屋へ向かって階段を上り始めた。


 こーくんはわたしの一つ上のお兄ちゃんだ。


 中学生になってから、お父さんとお母さんは仕事が忙しくてお家を空けることが多くなったけど、その
代わりにこーくんがわたしの面倒を見てくれた。
 いじわるでわりと面倒くさがりのこーくん。でも、わたしが料理を覚えるまではちゃんと毎日二人のご
はんを作ってくれる。お洗濯だって、わたしがパンツを洗われるのを恥ずかしがって自分でやるようにな
るまでは、こーくんがやってくれていた。
 小学生の頃はお風呂も一緒に入って、わたしにシャンプーかけたり身体を洗ってくれたりもした。夜に
なって、さびしくてこーくんと一緒の布団で眠るのは……今でもときどきやってる。最近はおねがいして
も断られるけど、こーくんが疲れて寝ちゃったりしてるときに、こっそり布団に潜り込んでぎゅーって抱
きつくと、こーくんの匂いがわたしに染み付いて、すごく安心できる。

 普段はふざけあったりからかったりして、たまにはいじめられて泣かされそうになるけど、でもでも、
ほんとはわたしのことをとっても大事にしてくれてるこーくん。
 家事を教わりたいと言ったら、「お前にできるかあ?」なんて笑いながら、でもとっても丁寧に教えて
くれた。
 冬に風邪を引いたときは、学校が終わったらすぐに帰ってきてくれて、あれこれお説教しながらそれで
も優しくわたしのお世話をしてくれた。
 こーくんの手作りのおかゆ、頼んだら少し嫌そうな顔をしたけど、ちゃんとふーふーして食べさせてく
れた。こーくんの息のかかったおかゆ。食べながらドキドキし過ぎてまた熱が上がっちゃった。

「こーくんこーくん、もう入っていいー?」
「おお、悪いな。こっちもさっき終わったとこだ」

 ドア越しに「んー」って気だるそうな、背筋を伸ばす声が聞こえてくる。
 よかった、タイミングばっちりだったみたいだ。

「それじゃ、お邪魔しまーす」
「いつも勝手に入ってくるくせによく言う」

524:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:47:26 9PfEhUDt
「い、いつもじゃないよ。ちゃんとノックしてるもん」
「まあいい、それよか早く食べよう。頭動かしてたら甘い物食べたくなってきた」
「うんっ! まってて、今お茶注ぐから…」

 それから、こーくんとわたしは二人でクッキーをおいしく食べた。
 がんばって作った、チョコとバニラを市松模様に分けたクッキーを、お茶をすすりながらこーくんが「
けっこう美味いのな」って褒めてくれる。それだけでわたしは幸せな気分になった。

「たくさんあるから、いっぱい食べてね♪」
「ああ、と……いかん、その前にちょっとトイレ。少し茶を飲み過ぎたかも…腹下した」

 苦い顔をして立ち上がるこーくん。たしかにお茶にはそういう作用もあるっていうけど、もっとこう、
女の子の前なんだから、もう少し気を使ってもいい気がする。

「妹相手に気ぃ使ってどうするよ」
「なっなんで考えてることわかるのっ」
「顔見りゃわかる。お前はそういうのがわかりやすい」

 おかげでいじり甲斐がある、そう言ってこーくんは部屋を出て行った。

 ……そんなにわかりやすいかな、わたし。

 友達からもよく言われる言葉だ。
 だからいっつもトランプとかで負けちゃうのかな。ポーカーとかババ抜きだとか、こーくんは大体ニヤ
ニヤ笑っててちっとも考えが読めない。それで毎回わたしがババを引かされるんだ。

「むー…なんか面白くない」

 バフッ、と手元のクッションを抱え込む。
 言われた通りのむっつり顔のまま、わたしは閉められたドアをじっと睨んだ。

 どうにかしてこーくんを驚かせたりできないだろうか。

 わたしに騙されて、いかにもしてやられた、って感じの顔をさせてみたい。
 今までに何度も試してはみたことなんだけど、いじわるでそういうことに関して鋭いこーくんは、すぐ
に見抜いて逆にわたしがびっくりさせられちゃうのである。
 たとえば、いじめられた仕返しに、夕ご飯のときこーくんの麦茶にこっそり醤油を入れておいたとき。
 目を放した隙に、いつの間にかわたしとこーくんのコップがすり替わってたのに気付いたのは、醤油の
苦味にわたしがむせ込んだあとだったり。

「う…思い出しただけで苦い」

 それを見てこーくん、「俺をハメようなんて十年早い」って大笑いしてたっけ。

 あのときの悔しさもまとめて晴らすため、わたしはこーくんの部屋に使えそうなものはないか探してみ
る。なにか、こーくんが恥ずかしがったり悔しがったりするようなもの。

「自作の詩集だとかあったら、きっとこーくんも一発だよね」

525:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:48:23 9PfEhUDt
 机に向かってポエム作りに熱中して、うっかり朗読なんか始めちゃうこーくん。
 
 …ちょっと、家族としての付き合い方を考えそうになる。

「うう…それはそれでイヤかも。……あ」

 机に整理されてある本とかノートなんかを一つ一つ手に取って確認してると、そのうちの一冊がわたし
の目に入った。なんでもないただの大学ノートの表紙に、マジックできれいに書かれた「Diary」の
五文字。

 こーくんの、日記だ。

「ほんとにあった…」

 なんだか妙に緊張してくる。
 詩集じゃなかったけど、まさかこーくんが日記を付けているなんて。
 どう見てもそんなのめんどくさい、って、そのまま寝ちゃいそうな感じなのに。そんな、そんなこーく
んが、日記。

 ドクン、ドクン…

「あ、う……ええっと」

 胸のあたりがドキドキしてきた。落ち着かない。
 こーくんがどこかに隠れてないか、まわりをキョロキョロ見回す。どこにもいない。きっとまだトイレ
の中だ。


 …………見ても、いいよね?


「ここ、こーくん、だって…わた、わたしの見たこと、あるもん。お、おたがいさま、だよね…」

 あのときは小学生だったけど。

 上手く舌が回ってくれない。口から出た言い訳もカミカミになる。
 こんなの、中学生の頃にこっそり忍び込んだこーくんの部屋の隅から、Hな本を見つけたとき以来だ。

 トイレから帰って来ないうちに、早く見ちゃわないと。

 覚悟を決めて、わたしは日記の表紙をめくった。


「◇月◇日 今日は良い一日だった。放課後に生徒会室で資料を片付けてたら、書記の一瀬(いちのせ)
 と雑談で盛り上がって、結構良い感じの雰囲気になった。
 どれぐらい良いかっていうと、勢いでこんな日記を始めてみるくらいだ。
 いつもは口数の極端に少ない一瀬も、意外とノリ良くこっちの話題に乗ってくれて、案外話しやすい奴
 だという事がわかった。
 ただ雑務をこなすってだけじゃ退屈だったし、これからもちょくちょく話し相手になってもらおう。」


 なんだか考えてたよりも丁寧に日記が書かれてる。こーくんのことだから一行二行だと思ってたけど。
 でも、それ以上に気になったのは。


526:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:49:11 9PfEhUDt


「◇月◇日 雨が降って体育が室内の男女混合でバレーをする事になった。男子一同、俄然やる気を出し
 ていたのだが、顔面不如意な運動音痴ことO宮が、ここぞとばかりに張り切る様は、さながら諸行無常
 を感じざるを得ない。

 世の中顔だ。顔。」

「◇月◇日 会長に押し付けられた雑務をするべく生徒会室へ来たら、今日も一瀬がいた。どうやらこい
 つも雑用係としてほぼ毎日頑張っているらしい。健気な事だ。俺も内申目当てに頑張ろう。
 今日は何と向こうから話しかけてきた。これまでは「ええ」だの「はい」だのしか言わず、あとは事務
 的な会話のみだったのに、これは大きな進歩だ。」

「◇月◇日 我らがB組のハート様ことT下が、隣のクラスの女子に告白。2秒でフラれた。罰ゲームで
 はなく本気の告白だっただけに、どうにも救えない有様だ。
 性格は良い奴なんだけどな。顔と身体がハート様じゃしょうがない、デブ専なんてのは都市伝説だ。
 家に帰ると、珍しく希が将棋で勝負を挑んできた。さっきまでテレビで名人戦を見てた影響だろう。飛
 車角落ちで負かしたら、向こう一週間の夕飯を引き受けるというので全力で負かしてやった。
 兄より優れた妹などいねぇ。」

「◇月◇日 放課後、今日も生徒会室で一瀬と雑務三昧。何となく企業「8:2の法則」が頭に浮かんで
 くる。俺らは二割の働きアリかと思えなくもないこの現状。
 実際のアリは八割が真面目だというのに。ひたすら他の役員どもが憎い。
 入りたての頃も思ってたが、こいつはやはり仕事の出来る奴だ。こっちの割とアバウトな要求にもすぐ
 に対応してくれるので、一緒に仕事をする側としては大変やりやすい。
 そこんとこの要領の良さを、うちの妹にも分けてやりたいものだ。」


 ……だれだろう、この「一瀬」さんって。


 大体、二日に一度ぐらいに、「一瀬」っていう人の名前が出てくる。それも、ちょっと仲良さそう。
 文の内容から見て、多分、女の子なんじゃないかと思う。

 こーくんの日記に、たくさん出てくる、仲の良い、女の子。

「……うー」

 なんか、ヤな感じ。
 別に、こーくんだって好きな人ぐらいいるだろうし、いなくても興味ぐらい持つと思う。それに、ほん
とはそんなんじゃなくって、ただの仲の良い後輩ってだけなのかもしれない。

 ページをめくる。
 日付は一番新しい、昨日の出来事。


「◇月◇日 一瀬と付き合う事になった。


 目に入ったのは、そこまで。続きを読まずにノートを閉じる。

527:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:50:38 9PfEhUDt
「…………」

 きゅん、て、胸が苦しくなる。
 今までずっと一緒にいたこーくんが、いきなり遠くへ離れて行っちゃうみたいな感覚。

「……だ…だいじょう、ぶ。こーくんだって、男の人なんだもん。そりゃ、そうだよ…」

 声が震えるのがはっきりわかる。
 どうしてここまで不安な気持ちになるのか、ちっともわからないよ。

 ジャー…

 ドアの向こうから、トイレの水を流す音が聞こえてくる。
 はっ早く、こーくんが帰ってくる前に、元に戻さなきゃ…。

 ガチャッ

「悪いな、茶が冷めちゃったか?」
「う、ううんっ。全然平気だよ」

 そのあと食べたクッキーとお茶の味は、よくわからなかった。


528:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:52:01 9PfEhUDt
――――――――――――――――――――――――――



 …おかしいな。

 客の居なくなった部屋で一人、腕組みして首を傾げる。
 皿一杯に盛られていたクッキーを平らげると、希はそれ以上長居しようとはせず、そそくさと部屋へ
戻って行った。いつもならその後もまったりとどうでもいい会話をするところなのだが。
 ……というか、

「ちゃんと読んだよな? あれ?」

 視線の先には、先ほどの意趣返しのようにノートに紛れ込ませた日記。製作時間二十八分。
 そのやたら青春臭い内容が書かれた最新の日付のすぐ下には小さく、「以上、フィクションです」の
一言。

 ちょっとしたお茶目なジョークである。

 確かに俺は学校の生徒会副会長で、放課後はよく書記の一瀬という後輩と生徒会の雑務なんぞをやっ
てたりするが、あいつとの関係はいたってドライだ。
 日記序盤の方に書いてあるやり取りで概ね正しい。
 が、それだけだと何の面白味も無いので、所々に脚色を入れて最終的には告白までさせるという荒業
をしてみた。冴えない兄だと思ってたのにいつの間にそんなモテ路線!? と動揺を誘ったところでオ
チを持ってくる作戦だったのだが、ひょっとしたら不発に終わったんだろうか? 今日読んでなくても
、機会を狙って読ませようと思っていたが。
 いかん、何だかスベった空気がプンプンする。

「いや、一応ノートを開いた痕跡はあるんだよな」

 偽の日記帳を開く。
 念の為にノートの最初のページに、こっそり挟んでおいた髪の毛が無くなっている事から考えて、お
そらくはこれをきちんと見たはずなのである。
 だというのに、何故かターゲットたる希はまったくのノーリアクション。

 もしや見ておいて敢えて無反応という高度な反撃か!?

「や、でもあいつだしなぁ」

 出来なさそうである。
 その後、夕飯のときも希はどことなくよそよそしい態度で、布団に入って寝るときも理由はわからな
いままだった。


529:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:52:41 9PfEhUDt
――――――――――――――――――――――――――



 次の日、携帯のアラームで目を覚まし、簡単な朝食を済まして歯を磨き、一通り身だしなみを整え、
いつも通りに門限から少し早めの時間に登校する。
 希は、運動系の部活にある朝練や、俺のように生徒会等、面倒な委員の仕事があるわけではないので
、大体は俺が朝食を食べ終える頃に、のそのそと二階から降りてくる。
 ただ、昨日から引き続いて、今朝もあまり俺と目を合わそうとはしなかった。
 そのくせ、俺の視界から外れるとこちらをじぃっと監視しているような気配を感じる。

「なあ、どうかしたか?」
「ひぇっ!? …なっ、なんでもないっ! なんでもないから!」
「ふーん」

 前に向き直る。と見せかけてさらにくるりと振り返る。

「わぁ!?」
「何見てんのよ」
「みみみ見てないよっ! もう、いいから早く行きなよっ!」

 本当に見てやがった。何をしてるんだコイツは。
 ひょっとしたら、昨日俺がやったイタズラが関係してるのかもしれないと、本人に尋ねてみたくなっ
たが、この様子だとまともに取り合ってくれるか微妙だ。

「あ、そ…んじゃ、先行くからな。ちゃんと鍵は閉めておくように」
「う、うん。行ってらっしゃい」

 希の態度が気にはなるが、どうせそう深い意味はないだろうと結論付け、俺は家を出た。



「よう、お互い苦労するな」
「菅田先輩…どうも。今日は早いですね」

 HR終了のチャイムが鳴り、家へと帰宅する生徒と、グラウンドで部活を行う運動部やその他、学校
へ残る者達に分かれる時間、放課後。
 校舎の最上階に位置する生徒会室の窓から見下ろす景色には、そんな生徒達の姿があちらこちらに映
っている。
 その生徒会室の備品として置かれている長テーブルの端、どっさりと積まれた各方面からの依頼書や
ら報告書やらを、一人黙々と片付けている女子に声をかけた。

「何か、いつも先を越されてる気がするが、…チャイムと同時にダッシュでもしてるんか」
「していません」


530:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:53:18 9PfEhUDt
 彼女が、昨日の捏造日記に出てきた、生徒会書記であり、俺の後輩の一瀬秋子(いちのせ あきこ)そ
の人である。

「一年の教室は三階で、先輩は二階から来たんですから、単純な位置関係の問題です」
「まあ、そうだが」

 それも考慮して、わざわざ今日は急いでここまで来たんだが、…くそ、何か負けた気分だ。

「今日は野球部から予算向上の申請と、新聞部・放送部合同の企画についての意見書が出てます」

 あっさりと会話を打ち切ると、一瀬は資料を片手に、軽く髪をかき上げながら至って事務的な口調で
報告する。
 平均よりほんの少し高めの背に、平均を大きく突き放した美貌。見た目に重過ぎないよう梳いた、背
中まで届く長い黒髪は、そのまま彼女のイメージにぴたりと当てはまっていた。
 傍から見れば冷静沈着、寡黙なドライガールだが、これでも話は打てば返すし、割と冗談も通じるの
である。
 それでも他人に対し基本的には固い感じだが、そこは味と思えば問題無い。むしろ最初はそれでも、
多少懐いてくれてるだろう今の状態は、一男子として、多少の達成感と優越感を覚えるというものだ。

「あー、野球部ねー…あそこは他の部費食い潰してる連中とは違って結構頑張ってる方だし、今年は大
会出場もありえそうだから、くれてやっても特に問題は無いな」
「ちなみに、向こうの予算上乗せ要求額は―」
「…そりゃ高い、半分にしといてくれ」
「わかりました」

 そして、容姿や性格に加えて、仕事の優秀さにおいてもまた、面倒な事務作業をする上で俺の大きな
救いになっている。実は俺にベタ惚れだったとか、アホな展開は抜きに、その点は実際にあの日記に書
いた通りだ。
 指示を出さなくてもちゃっちゃと片付けてくれるし、難題を押し付けてもそれほど苦も無くこなして
しまう大変有能なガールだ。
 これでも自称・出来る男の俺だが、今や彼女の助け無しに、この腐敗しきった生徒会の仕事を捌き切
る事は出来ないだろう。
 他の役員達がほとんど仕事を放ったらかしているのも、あるいはこうして、たった二人でも生徒会を
回せてしまえているからなのかもしれない。
 事実、生徒会長は顔と愛想だけ良いただのアイドルで、成績は優れていても実務にそれが伴わないタ
イプだ。それでもプライドだけは人一倍高く、たまに顔を出せばこっちのやる事にあれこれと口を出し
てくるのだから、質の悪い事この上無い。
 残りの会計、書記補佐らも、それに感化されてか会長に取り入って一緒にサボタージュを決め込む始
末。
 生徒会の執り行う会議や、生徒集会等のイベントでしか顔を合わせないこいつらは、内申報告のとき
にでも手痛い目に遭わせてやろうと思う。
 で、そういった経緯の元、俺と一瀬の二人で、日夜こうした書類、ときとして直談判しに来る生徒等
と格闘しているのだが……。

531:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:54:05 9PfEhUDt
「ったく、肩が凝るったらありゃしない…」
「先輩、こちらの申請書にも許可印をお願いします」

 この学校、意外にも生徒達にやる気のあるものが多く、それ自体は個人的にも歓迎すべき事なのだが
、それにより必然的に生徒会も忙しくなってしまうのがネックである。
 というか、どうしてうちの生徒会に限ってやる気の無い奴が多いんだ。どっか謎の組織だとか、闇の
生徒会とかの陰謀じゃないだろうな。闇とか裏って付けりゃ何でも片付くと思うなよ畜生め。

「ああ、そこ置いといて、とりあえずそれで今日は最後にしておくか。後は各自自宅にて、って事で」

 じき下校時間を過ぎる時計を見て、書類に判を押しながら、活動終了の目処を立てた。
 一瀬は、わかりました、と一言。残りの書類に目を通していく。

「…うし。終わり、っと。そっちは?」
「片付け終わりました」
「よし、んじゃ出るか。帰り際に職員室寄ってくけど、どうする?」
「お供します」

 鞄を持って帰る準備を終えた一瀬が、迷い無く答える。

「いいね、その台詞」

 まるで秘書か侍女でも従えてるような錯覚から、つい口元がにやけた。
 生徒会室の鍵を閉め、ほぼ無人の廊下を歩く。

「先輩は、そういった類の趣味をお持ちですか」
「ぼかぁね、一瀬君。男子たるもの、偏った趣味の一つや…五つほどあっても良いと思うんだ」
「つまり、持ってるんですね」
「……うん」

 だって男の子だもの。

「では、ご主人様と旦那様では、どちらが良いですか?」
「それは一概には言えないな」

 こほん、と堰を一つ。
 そのお題は少し難しいものがある。


532:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:54:49 9PfEhUDt
「ご主人様と言えば所謂メイドの専売特許的なものがあるが、旦那様という呼び方だと和服の侍女や、
変化球で新妻の殺し文句にも使える。評価はほぼ五分だが、それを言う側にも」
「先輩」
「スンマセン自分調子乗ってました」

 言葉を途中で遮られる。無表情に言われると怖さと妙な期待が半々……半々?
 横を歩く一瀬が、前を向いたまま、心なしか頬を染めた。

「…で、では質問を変えます、私が先輩に言う場合はどちらが良いですか?」
「なに? そりゃお前………………………ぬぅ、両方捨てがたい」
「……………」

 あ、何か視線が。視線が刺さる。「あんま恥かかすなやオニイチャン」て視線が今まさに俺に突き刺
さってらっしゃる。

「というか、それはアレかね。リクエストすれば言ってく」
「いえ、言ってみただけです」

 ちょいマテや嬢ちゃん。

 理不尽な。俺の性癖を暴いた挙句に逆切れ目線浴びせるとはどういう了見だ。
 いや、まあ性癖はこっちが勝手に暴露したんだけれども。
 いつの間にか顔が元の無表情に戻ってやがるし。

「待て、したら今の思わせ」
「期待しましたか? 残念ながら演技です」
「貴様男心を何とこころ」
「ません」

 喋らせろ。ていうか俺の心を読むんじゃねぇ。

「先輩とのやり取りも、そろそろ慣れてきましたので」
「言ってくれるじゃないの」
「ええ、喩えるなら先輩はキウイのような感じです」

533:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:55:33 9PfEhUDt
 キウイとな。

 それは喜べば良いのか、怒れば良いのか。
 えらく唐突にフルーツ宣言された俺は、正直今までどちらかと言えば大人しめなタイプとばかり思っ
ていたこの後輩の、割とおいしい性格してたという実際のギャップに不覚にも多少動揺した。
 前述のプロフィールにも「やっぱしちょっと茶目っ気が強かったです」と追記せざるを得まい。

「して、その心は?」

 折角だから、そんな微妙に味のある喩えにした理由を聞いておこう。

「一見雑ですが、中身は綺麗です」

 俺の方へ振り向き、微笑を浮かべながらそう言った。
 ……いい味出すなあ、この娘。

「訂正しれ、ぱっと見も美しいぞ俺は」
「そういう所が、先輩の内面の美徳なんだと思います」
「やめて、褒め殺しはやめて。めちゃ有効だから」

 俺ってばナルシーな人だから。

 常識的に考えて、可愛い娘に褒められ煽てられて悪い気のする人間はかなりの少数派だろう。美人局
の被害に遭う世の男性諸君の気持ちも、今ならば少しわかってやれそうだ。
 それよか、こんないい笑顔の一瀬を見るのはおそらく初めての事なんじゃなかろうか。
 忠実だった飼い犬に背後からうっかり甘噛みされたような気分で、こうして後輩に手玉に取られるの
は悔しいが、自分への親しみが形となって表れたようで嬉しくもあった。

「それでは先輩、残った用件をさっさと済ませてしまいましょう」

 ずいっと、一瀬が一歩前へ出ていつの間にか到着していたらしい職員室のドアに手をかける。会話の
方に頭がいって忘れかけていたが、そういえばここに寄らないといけないんだったな。
 失礼しますの一言とともにドアを開き、俺は彼女を横に従え職員室へ足を踏み入れる。
 一瀬秋子という後輩の事が、今までよりも近くに感じた日の事だった。


534:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:56:11 9PfEhUDt
――――――――――――――――――――――――――



「やめて、褒め殺しはやめて。めちゃ有効だから」

 先輩。その表情は反則ですよ。

 菅田光(すがた ひかる)先輩。私の横を歩きながらむず痒そうに身体を捩るこの人は、最近になっ
て確信した事ですが、素直に好意をぶつけられるのに弱いようです。
 普段は少し軽めというか、ノリの良い感じでこちらの皮肉や不満ものらりくらりとかわすのですが、
今みたいに自分の事を褒められると一瞬本当に照れたような顔をします。その後すぐに持ち直してしま
い、あまり長々と見れるわけではありません。ですが、あの表情は演技やその場凌ぎのものではないは
ずで、先輩のそんな新しい一面は私の心をいっそう釘付けにしました。

 ああ、先輩。光先輩。
 生徒会役員の初顔合わせを終えて最初の仕事をする為に生徒会室へ集まったあの日。あの理事長の孫
だの何だのと選挙の際にのたまっていた見るに器量の無さそうな生徒会長と、そのおこぼれに預かろう
という腰巾着の会計・書記補佐達。私に品も芸も無い誘い文句を吐き、あまつさえ自分達の身の程も弁
えずに先輩を貶し誹り罵倒して、そんな多対一の状況でさえ逆に先輩に言い負かされたあの低能達は、
聞くも惨めな捨て台詞と共に出て行き、ものの五分もしない内に室内には私と先輩しか居なくなってし
まいましたね。

 あのとき、あまりにも下らない人間を見た気分の悪さにいっそ一人づつ精神的に追い詰めていってや
ろうかと思っていた私ですが、口先一つでものの見事にその場で三人を撃退した副会長の、静かな自信
と気迫に満ちた姿へとすぐに興味の対象がシフトしました。

 何と言いますか、所謂大物っぽい雰囲気を漂わせていたんです。

 総会屋さんとか、その道の親分格のような黒幕オーラをちらつかせる先輩の薄笑いは、言葉にしづら
い凄みや迫力があります。正直少し怖いです。

 ですが、それが「良い」と、そう私は思いました。

 直感的に、電撃的に。
 この人は自分よりも格上の人間なのだと思ったんです。

「それでは先輩、残った用件をさっさと済ませてしまいましょう」

 曲がり角の向こうに職員室が見えてくると、私は足を速めて、先輩の前へ出て扉を開けてあげます。
こうしていると、何やらまるで本当に先輩の秘書にでもなった気がして、無意識の内についつい口元が
緩んでしまいました。

「おう。……失礼します」

 頭を下げた状態なので先輩は私の表情に気付く事無く、そのまま挨拶と共に職員室の中へと入って行
きました。当然、私も後に続きます。

「おっ。菅田と一瀬か、どうしたんだ?」
「はい、運動部の予算についてなのですが…」


535:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:56:48 9PfEhUDt
 担当の教師に鞄から数枚の書類を取り出して見せ、その場で何事か話を進める先輩。そこに見えるの
は、普段の場を和ませる軽薄さを潜めた真剣な眼差し。
 会長達を生徒会室から追い出した際。口論には多少の自負を持っていた私でしたが、あの時に先輩が
見せた、ともすれば今すぐにでも刃物を持って切りかからんばかりにギラついた視線を直に浴びながら
では、殆ど上手く喋れる気はしませんでした。もっとも、今は別の意味で上手に先輩と話せている自信
が持てませんが。
 もしも私があと一年早く、あるいは先輩があと一年遅く生まれていてくれたならば。その分だけ二人
の出会いは早まったに違いない、そう考えると自分の親が少しだけ恨めしく思えてきます。でも、そう
。今回はそれでも良いでしょう。だって、逆に言えばそれはたったの一年の誤差で済んだという事なの
ですから。
 大事なのは光先輩と出会い、私との間に関係が生まれたという事実。ですから、たとえ同じクラスや
学年でなくとも、ほら、今はもうこれだけ話せるようになれました。

「……ん、こんなもんか。しかし助かるよ。お前らのおかげで最近はこっちも色々と融通が利くように
なってきたからなあ」
「いえ。こちらこそ、ありがとうございました」

 距離は近過ぎず、けれど決して遠くない。
 今は生徒会でしか繋がらない私と先輩の関係も、きっとよりプライベートなものへと変えていける。
そんな確信があります。
 書類を再び鞄の中に仕舞い、話していた教師に一礼をした先輩がこちらへと向かって来ました。持ち
前の鋭角的なイメージの顔付きに、そうした仕草の一つ一つが様になっており、何と言いましょうか。
先輩の行う動作に一々惚れ直してしまいそうです。

「お待たせ」
「はい。…失礼しました」

 最後に私が先生方に会釈をして、職員室の扉を閉じました。

「お疲れさん。また明日な」
「ええ」

 辺りを覆うのは薄い夕焼け。下駄箱で靴を履き替え、校門を出た所で別れの挨拶をすると、光先輩は
私とは逆の方向へと歩いて行きます。
 いつもそのまま振り返らずに帰る先輩は、私が後姿を見つめる数秒間に気付きません。いつか小さく
手を振る私に気付いたとき、あの人は手を振り返してくれるでしょうか。

 多分、振り返してくれるでしょう。

「…また明日」

 そのときは、きっと笑顔で。

536:「Passion fruits」 ◆yNwN3e7UGA
07/09/25 23:58:46 9PfEhUDt
投下終了。
「草」の方が行き詰っていたので、気晴らしに以前書き途中だったものに
少しだけ手を加えて今回投下してみました。
一応、扱いは単発でお願します。

537:名無しさん@ピンキー
07/09/26 00:03:58 YEZP0JBE
リアルタイムでGJ!

538:名無しさん@ピンキー
07/09/26 00:12:27 UR/z6XKQ
>>536
めっちゃGJ!!!
何気にこーくんと一瀬のテンポの良い会話がツボにはまったw
これが単発と言うのはとても惜しいですが草の方も頑張って下さい!

539:名無しさん@ピンキー
07/09/26 00:24:41 6OzFcnu/
さっき母親が親父から女の香水の臭いがするって怒ってたのが不覚にも萌えた。俺終わった。

540:名無しさん@ピンキー
07/09/26 00:54:07 SEpQd5xM
>>536
ちょ、これ続かないの?
それだけ良い素材を用意しておいて料理せずに腐らせるのですか!

541:名無しさん@ピンキー
07/09/26 01:10:10 bE1j1fdb
>>536
ええええええ続かないの!?
残念・・・凄く面白かったのに・・・(´・ω・`)

542:名無しさん@ピンキー
07/09/26 01:17:59 7kKPpvaA
>>536
乙です。
これをこのまま終わらせてしまうのはすごくもったいないような・・・。
草、楽しみに待ってます。

543:名無しさん@ピンキー
07/09/26 01:25:29 3IzAnnpZ
つっ続かないんすかぁぁあぁ・・・
まぁ作者さんがいきずまったときにまた書いて欲しいなー

544:名無しさん@ピンキー
07/09/26 02:07:33 0k0ZPPuv
>>536
「草」もですが、読ませる事を熟知しているテンポの良い文章と言葉選びには
独特のセンスの良さを感じますね

今回の物語の続きが気になるのはもちろんですが、それと同時に作者様が
一体何者なのか、無粋とは思いつつもつい意識せずにはいられません

545:名無しさん@ピンキー
07/09/26 02:39:43 gjGLJfih
クーデレ娘が良すぎる…続き早く来ないかなって思ってたら
続かないとな?

謝罪と続編を要求(ry

546:名無しさん@ピンキー
07/09/26 02:54:10 7jm1tzSS
>>536
GJ!!
しかしこれから嫉妬ってところで続かないのか、でも草の方も進めて欲しいし。
両方違うタイプだから、草の合間にちょっと頭の切り替えのちょくちょく書くとかは無理かな?

547:名無しさん@ピンキー
07/09/26 06:38:34 mkoFL9NK
いやいや、これから年末が近付くにつれて忙しくなるからさ

草が完結した後で思い出した時にでも続きを書いてくれたら嬉しい。

548:名無しさん@ピンキー
07/09/26 16:03:38 uAcJqeL7
GJ!
直感的に先輩を自分のご主人様と認識した一瀬さんは中々のMとみた

549:名無しさん@ピンキー
07/09/26 18:14:40 SHKfiHhm
相変わらず主人公がスッゲェ個性的だ
つーかフツーにギャグチックな一人称もイケるとかスゲエッス


550:私たちの愛しいお兄様
07/09/26 18:42:22 SFSNxFR2
朝も幼馴染の晴香に作ってもらっており・・・
ピンポーン!噂をすれば
「悠!真奈ちゃん!加奈ちゃん!オハヨ!」
「「おはようございます」」
「ああ、いつもワリィな。毎朝メシ作ってもらって」
「別に良いって!ウチのお父さんもお母さんも朝早くから働いてるし」

551:名無しさん@ピンキー
07/09/26 18:58:29 fpOU8gSI
>>550
頼むからsageてくれ

552:名無しさん@ピンキー
07/09/26 19:19:06 0k0ZPPuv
>>550
アドレス欄にsageと入れるんだぜ?

553:名無しさん@ピンキー
07/09/26 19:44:30 ev56M+iY
新手の嵐だな
こんだけ注意されても聞かないんだったら

554:名無しさん@ピンキー
07/09/26 19:56:16 K+Uniudd
というか投下中に一時間以上も間を開けるな…

555:名無しさん@ピンキー
07/09/26 20:13:27 Wx7UpB59
直しながらでないと投下出来ない人もいるって別スレで言ってる人がいたねぇ

とはいえ、まとめてもらいたいのも確か

556:私たちの愛しいお兄様
07/09/26 21:25:53 SFSNxFR2
スマソ。

557:私たちの愛しいお兄様
07/09/26 21:40:56 SFSNxFR2
彼女は早速エプロンをつけ、冷蔵庫をあけて材料を調べ始めた
「昨日のワカメサラダが結構残ってるわね。今朝はパンとご飯どっちにする?」
「ん、昨日はご飯だったし、今日はパンが良い」
「そ。加奈ちゃん真奈ちゃんもパンで良い?」
「はい。パンでいいです」
「私もパンで良いです」
「んじゃ、目玉焼きとベーコンも焼くからお皿とかコップとか出しといて」
10分後、トーストにベーコンエッグにワカメサラダに牛乳という、シンプル
ながらもヘルシーな食事が並んだ。とは言え、晴香がいなきゃおかずは前日の
残りで済ますということになるし、弁当もコンビニか購買で買うことになるから
つくづく晴香には頭が上がらない

558:私たちの愛しいお兄様
07/09/26 22:23:03 SFSNxFR2
「「「「いただきます」」」」
四人でダイニングテーブルを囲み、食事をスタートする。
「あ、そういえば俺、今日は生徒会に呼び出されてるから少し遅くなるんだけど」
「ん、アンタ生徒会に呼び出されるようなトラブルでも起こしたの?」
「イヤ、何でも生徒会が文化祭に向けて全ての部活に何らかの出し物なりを行わせるらしいよ」

559:名無しさん@ピンキー
07/09/26 22:24:18 Wx7UpB59
今日は終わりかしら?

560:私たちの愛しいお兄様
07/09/26 22:24:42 SFSNxFR2
今日はここまでです。これからもちょくちょく投下いたしますのでご容赦のほどを

561:名無しさん@ピンキー
07/09/26 22:25:44 Wx7UpB59
ありゃ。リロードしたら投下されてた。
こりゃ失礼

562:名無しさん@ピンキー
07/09/26 22:45:41 K+Uniudd
とりあえず言わせてくれ
sage必須で連載する場合はトリップ推奨だ
あと投下するときは確認しながら投下ではなく、できるだけ前もって確認してから投下してくれ
さすがに40分とか一時間またされるのは勘弁だぞ…

563:私たちの愛しいお兄様
07/09/26 23:00:48 SFSNxFR2
スマソ

564:名無しさん@ピンキー
07/09/26 23:29:06 ev56M+iY
ってか、携帯なんだろうけど
こんぐらいの文章量だったら2レスもあれば十分なんじゃないか?

短いから投下するなとかレス数がもったいないとか言わないけど
もっと一気に投下したほうがいいぞ。細かくわけないでさ
下手にわけられるとテンポ悪いし

565:名無しさん@ピンキー
07/09/27 01:40:26 YSbl8jS3
>>562 >>564
おまいらいい奴だな わざわざ助言してやるなんて
漏れはてっきりID:SFSNxFR2は>>556で謝罪するまで
ID:ev56M+iYと同じく荒らしの類だと思っていたが

566:名無しさん@ピンキー
07/09/27 02:10:41 HE/7N6N9
>>563
まぁしょげなさるな。しっかりと一つ一つの批判に応える姿は中々好感を抱く。
頑張って一つの物語を作って下さいな。応援してますよ。

567:名無しさん@ピンキー
07/09/27 04:27:19 XOjfZOCA
おまいら優しすぎるだろ・・・・常識的に考えて・・・

568:名無しさん@ピンキー
07/09/27 05:01:12 JQZ+5jMw
>>567
そりゃまぁ、ザックリやられたりギッチリ監禁されることを許容出来る人達ばかりですから

569:名無しさん@ピンキー
07/09/27 05:27:36 I3ckWcfO
>>568
ストーキング、盗聴、逆レイプも大歓迎、朝メシ前、ドンと来いですが?

570:名無しさん@ピンキー
07/09/27 06:12:43 p2JOwcTc
入れた覚えが無いのに
朝目が覚めたら女の子が家の中に居て、
少し妙な味のする朝食を作っている訳だな

これが本当の朝飯m(ry

すまん誰か来た、ちょっと出てくる

571:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/27 06:16:54 oiM4k21W
皆さんおはようございます。
投下させていただきます。

572:蒼天の夢 05 ◆ozOtJW9BFA
07/09/27 06:17:37 oiM4k21W
 醜い断末魔。
 サラサラと舞い落ちる灰。
「やっちゃった」
 本日六匹目。
 幾ら魔界から召還している魔物でももったいない。
 どうしても感情が抑制できない。
 私の、グレイ・クリフ住民曰く“魔女の塔”の実験室。机の上には水晶球がおいてある。
 『物見の珠』と呼ばれるマジック・アイテム。以前に見たことがあるものなら念じるだけで映してくれる。
 私はいつものようにジース君をみながら魔法の研究していた。
 最近、頭の中までお花畑の小娘がジース君にまとわりつきはじめた。
 今日も朝から竜場に押しかけている。
 困った顔をしている彼の周りをブンブンブンブン。まるで凛々しい駿馬に寄生する蝿のように。
 でもジース君は根気強く蝿女に付き合ってあげていた。
 あの娘は確かジース君のスポンサーの子。
 可哀想。立場上、嫌とは言えない。
 それなのに蝿女は彼の気持ちも考えず、構わず飛び回る。
「ギ―」
「あ」
 七匹目の魔物が灰となる。
 いけない。もっと集中しないと。
 これは魂を抜き取る実験。
 『分解』の呪文の練習じゃない。
 小さなことで心をかき乱されてはいけない。蝿より実験のほうが大切。
 実験が成功し、研究が完成すれば私はジース君とついに結ばれることができる。
 もう少しの辛抱。
 
 ジース君にはじめて会ったのは十二年前。
 当時、しばらく里を離れてみようとグレイ・クリフに越してきた。
 ある日、私は薬草を買おうと地元の薬師を訪ねた。
 その時目を輝かせながら母親の脇にいたのがジース君。最初はただの可愛い男の子。
 私に若木を愛でる趣味はないから当然のこと。
 時々せがまれて遊んだことがあるぐらい。
 変化がきたのは彼が9歳の頃。
 庭先でジース君と遊んでいた時。


573:蒼天の夢 05 ◆ozOtJW9BFA
07/09/27 06:18:10 oiM4k21W
「エ、エルフのまじょめ!」
 彼の友達が突如やってきて私に石を投げつけた。
 多分エルフに慣れていなかったのだろう。
 風を操り、石を逸らそうと思った瞬間。
 ジース君は私を庇って石を己の身に受けた。
 私と友達が驚いている間、ジース君は詰め寄り友達を殴り倒した。
「エリシアさんはエルフのまじょだ。だからどうした!」
 驚いた。はじめてだった。
 今まで人間とそれなりに関わってきたつもり。
 多くは私をエルフとして。あるいは魔術師として、どちらか一方でしか扱ってくれなかった。
 ジース君は両方認めた上で私に接してきてくれたのだ。
 身体が熱くなる。不思議な高揚感に包まれる。
 あの瞬間、私は彼に大樹の器を見た。
 ジース君はその後、母親に酷く叱られ、泣きながら私のもとへ来た。
「友達殴っちゃだめ」
 可愛かったので私はジース君のおでこを弾いた。
「でもありがとう」
 そう言うと、彼はこれまでにない誇らしげな顔で笑った。
 おとぎ話に出てくる英雄の笑顔。
 将来はきっと様々なものを育む立派な樹になる。
 そして大きく成長した彼の隣に立っていたいと私は強く想った。
 彼の隣にただ一人、立っていたいと。
 
 以来、私はジース君の成長を支えようと尽力した。
 さらってしまいたいと思ったことは何度もある。
 でも鷹は鷹の巣で育てるもの。不自然な育て方をしては害悪でしかない。
 だからと言ってただ傍観する私ではない。
 一番大切なのは大きくなったら私だけを見るようにすること。
 彼の良さに気づくのは私だけではないはず。
 だから前以てジース君の身体に、心に種をまいておく。
 彼の両親と交友を続け、家庭教師になるとも申し出た。
 彼の知識の多くは私が教えたもの。
 ジース君が私の髪を触りたがっていたのも知っている。
 もちろんとめなかった。むしろ触りたくなるように仕向けた。
 髪だけじゃない。匂いを嗅ぐことも。時には身体を触ることさえ。


574:蒼天の夢 05 ◆ozOtJW9BFA
07/09/27 06:19:05 oiM4k21W
 人の好みとは幼いころから徐々に構築されてゆくもの。
 その過程の所々に“私”を埋め込む。
 大きくなったら他所に目がいかないように。
 でもがっついてはいけない。
 自然界でも直情的な生き物は狩りが下手。獅子やグリフォンもそう。
 逆に蜘蛛や狼は狩り上手。ただ己の力に任せて襲わない。
 策を練り、罠を仕掛ける。獲物が自らやって来るように。
 
 八匹目の魔物でようやく成功。
 手の中には赤黒く光る珠が浮かんでいる。
 魔物の魂。私の研究に必要な素材の一つ。
 すぐに氷の呪文で結晶化し保存する。
 実験といっても後は微調整と素材集め。研究の基礎は既に実証し、何度も成功している。
 でも今度はジース君に施すから準備は万全にする。
 あと少し。あと少しでジース君は私のもの。
 すごく楽しみ。思わず口が潤う。
 ジース君の愛は一体どんな味がするのだろう?

――――――――――――――――――――

 時間というのは止まっていて欲しいと願えば願うだけ早く過ぎていく。まるで人が苦しむ姿に快感を覚えるサディストだ。
 気づくと一週間過ぎて、レース当日になっていた。
 その間様々なことがあった。
「ジースさん!がんばって下さ~い!」
 俺と相棒に手を振るミリアちゃん。
 彼女を見るたびライアンおやじの薄い頭が正常なのか疑いたくなる。

 ミリアちゃんに父親から許可が降りれば雑務係として雇う。俺は六日前の帰り道、彼女にそう答えた。
 彼女の父親、防具店のライアンおやじは絶対承服しないだろうと踏んでの発言だった。
 翌朝、普段通り竜場に行ってみるとどうだろう。
 そこにはダブダブのつなぎに着替え、俺の愛騎アズールに餌をやりながら鼻歌を歌うミリアちゃんがいた。
「おはようございます!ちゃんとお父さんに許可もらいましたよ!」
 俺が何を言おうとしたのか分かったのだろう。


575:蒼天の夢 05 ◆ozOtJW9BFA
07/09/27 06:20:07 oiM4k21W
 彼女はすぐに一枚の紙切れを取り出した。
 そこには短く『どうか娘のわがままを聞いてやってくれ』と書いてあった。
 うちの親父といい、ライアンおやじといい。アルス王国の男が厳しいのは外見だけなのだろうか。

 気は進まなかったが俺の出した条件を見事にこなしたのだ。断れるはずもなかった。
 以来、ミリアちゃんは朝早くから竜場に働きにきている。
 仕事の内容は悪くない。おかげで俺の仕事の量はかなり軽減された。
 逆にレース開始直前になってもなんら策を見出せない自分が情けない。
 既に準備を終えたスキッダーとワイバーン達が次々と飛び立っていく。
 俺もアズールに跨り、洞窟の出口へと向かう。
 不安はあるものの今更どうしようもない。ミリアちゃんの声援を背に、俺と相棒は地上に別れを告げた。
 洞窟から離陸するとスキッダーたちは参加する選手が揃うまでグレイ・クリフ山の周囲を旋回する。
 全十一騎が空中にあがると、山頂付近にアルス王国の大旗が掲げられる。
 スキッダーたちは規定高度にワイバーンを下げる。一旦コースをゆっくり飛びながら、くじ引きで決められたスタート順位に並ぶ。さながら竜騎兵の編隊飛行だ。
 その間に声を魔術で拡張した司会者が各スキッダーの紹介をしてゆく。
 俺のスタート順位は3位。悪くない位置だ。問題はこの順位を維持できるか。
 目の前の2位を飛ぶのはティオーナと彼女の赤いワイバーン。
 練習中に分かったことだが、彼女の腕は半端ない。
 新人であることや妙に真剣すぎる態度。腕の方は身分とは正反対に低いだろうと俺は高をくくっていた。
 だが彼女の飛び方を五日間見てそんな気持ちは吹き飛んだ。
 何処かの竜騎士の下で修行していたのか。まるで恐れを知らない急降下。風を切り裂くような機動。ワイバーン、スキッダー共々まさに一流と呼ぶにふさわしい。
 未熟な俺が言うのもなんだが、彼女は間違いなく上位に食い込んでくる。
 全員が定位置にいることが確認されると今度は王国旗が振られる。
 スタート地点となる山の北側の観客席を次に通過した瞬間、レースが開始するという意味だ。
 一番緊張する時間である。
 視線は前を飛ぶワイバーンより、横手の山腹に広がる観客席に泳いでゆく。
 規則とはいえ、ゆったりと編隊飛行しているのがもどかしく思えてくる。
 まだか。まだか。高ぶる心を静めるのが難しい。
 程なくして、山の曲がり角を回るとそれは視界に入ってきた。
 一際大きく造られた観客席。王侯貴族の来訪を視野に入れた豪華な主催席を兼ね備えた建物。無数の小さな旗が振られ、観測用の塔も見える。
 あれがスタート地点だ。
 手綱に力が入る。両足が強張る。全神経が耳に集中してゆくのが分かる。
 あの音を聞くために。
 そして先頭のワイバーンが観客席を通り過ぎた瞬間。
 野太い角笛の咆哮が轟いた。
「いけぇ!アズール!」
 どのワイバーンもスキッダーもまるで角笛に応えるかのように叫び、力を解放する。
 優雅な編隊は解かれワイバーンたちは我さきへと、前へ跳躍する。まるで勝利への渇望が空を支配したように。
 クリフ・スキッドは今日も平常運転である。


576:蒼天の夢 ◆ozOtJW9BFA
07/09/27 06:23:58 oiM4k21W
投下終了です。
過去の書き込みを修正、加筆できたらなと思う今日のこの頃。
いや、自分が気をつければいいだけの話なんですが…
つまらない話でした。失礼します。

577:名無しさん@ピンキー
07/09/27 06:33:15 U3M/QPpe
朝からGJ
これで今日も一日仕事頑張れます
エルフ可愛いよエルフ

578:名無しさん@ピンキー
07/09/27 06:59:50 4pJBqnBL
GJ!!
エルフさんの動きっぷりは素晴らしいですねw

579:名無しさん@ピンキー
07/09/27 07:29:15 Nwp0xKop
GJ!エルフ可愛いよエルフ
朝からいいもの読ましてもらいました

580:名無しさん@ピンキー
07/09/27 10:07:40 eExEwUX8
>>576
乙!エルフ可愛いよエルフ
しかしティオーナも期待株な予感が・・・
次も楽しみにして待っています。

581:あの女が倒せない
07/09/27 17:18:30 4hOPUSfV
幼「気がついたら彼の横に姉妹が居る」
幼「そしていつも彼と一緒に帰る」

幼「諦めずに姉妹排除に奮戦するけど彼に諌められるよ」

幼「アパートに一人暮らしなら楽に彼を監禁できるけど」

幼「何回やっても、何回やっても、あの姉妹が倒せないよ!」

幼「あのノコギリ何回やってもよけれない」
幼「うしろに回って首を絞めてもいずれは彼に止められる」

幼「悪評流布も試してみたけど、肉親相手じゃ意味がない」

幼「だから既成事実作るために」
幼「わたし排卵日だけは常時確認しとく」


妹「気がついたら兄の隣に幼馴染」
姉「そしていつも弟に付き纏う」

姉「諦めずにふたりの仲を妨害するけどすぐにまた寄って来る…」

妹「媚薬が購入できれば楽に兄を薬漬けにできるけど」

姉妹「「何回やっても、何回やっても、幼馴染倒せないよ!」

姉「落ちるカッター何回やってもよけれない」
妹「うしろに下がって弓を引いてもいずれは兄に止められる」

妹「悪評流布も試してみたけど、幼馴染じゃ意味がない」

姉「だから既成事実作るために」
姉妹「「わたし排卵日だけは常時確認しとく」」


幼姉妹「「「殺人許可証あれば楽に彼と幸せになれるけど」」」

幼姉妹「「「何回やっても、何回やっても、あの女が倒せないよ!」」」

幼姉妹「「「あの大鉈何回やってもよけれない」」」
幼姉妹「「「うしろに回って突き落としてもいずれは彼に止められる」」」

幼姉妹「「「悪評流布も試してみたけど、彼女が相手じゃ意味がない」」」

幼姉妹「「「だから既成事実作るために」」」
幼姉妹「「「わたし排卵日だけは常時確認しとく」」」

男「逃げれないよ…orz」

URLリンク(www.youtube.com)

582:名無しさん@ピンキー
07/09/27 18:50:56 hVZlbUkB
スレリンク(dqnplus板)
ガクブル

583:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 19:21:04 uSz856w+
投下します

584:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 19:24:19 uSz856w+
「へー、それじゃ、晩御飯は私たち先に食べてるね?」
「ん、頼むわ。もしかしたらそのまま部活の連中と食べて帰るかもしれないから朝まで残せるもの頼む」

585:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 19:24:57 uSz856w+
ちょっと用事出来たので最大30分ほどお待ちください

586:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 19:29:06 uSz856w+
失礼しますた。再開します

587:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 19:35:51 uSz856w+
食後、制服に着替えて鞄を持って玄関に立つ。一旦家に着替えに戻った晴香も丁度出てきた
「お弁当忘れてないね?」
「ああ、じゃ行こうか。加奈!真奈!行って来ます」
「行ってらっしゃいませ、お兄様」
そして、僕らは学校に向かう。

588:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 19:50:43 uSz856w+
side~加奈
お兄様が今日は生徒会に呼び出されて遅くなるらしい。まあ、それ自体は仕様が無いし、
別にどうってことは無い。だけど、部活の用事を盾にお兄様の近くをうろつく
あのメス犬がどうしても許せない。以前、買い物しようと町まで出かけたら
不相応にもお兄様の隣を歩いていたメス犬の姿が脳裏に浮かんだ。私は無論、
それが誰なのかその場で問い詰めた。お兄様が口を開かれる前にそのアマは
『文芸部部長の川村祥子です。部活が遅くなったので送ってもらっています』
とか名乗り出た。

589:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 20:05:18 uSz856w+
私の怒りは収まらなかった。病弱で、学校へ行けない私達がお兄様と一緒に過ごせる貴重な
時間を奪ったというだけが理由ではない。その女のお兄様を見る目が盛りのついたメス犬の
それだったからだ。私達双子姉妹が命よりも大切に想いお慕いしているお兄様を誑かそうと
隙を伺うあのアマの存在自体が憎くて仕方なかった。一応晴香さんにもその話をして学校で
あの薄汚いメス犬の監視をお願いした。晴香さんには普段から色々とお世話になっているし
小さいころ、彼女と私達は一つの協定を結んでいたからだその協定は、平日は晴香さんが、
休日は私達姉妹が、お兄様に近づく泥棒猫たちを排除すること

590:私たちの愛しいお兄様
07/09/27 20:09:03 uSz856w+
今日は一旦ここまでです。時間があればまた後ほど投下します。文才が乏しくて
スミマセン。

591:名無しさん@ピンキー
07/09/27 20:30:50 qhTXVi5q
まぁがんばれ

592:名無しさん@ピンキー
07/09/27 20:35:39 tZjDBj0+
文才以前に他のことを改善したほうがいいと思うが・・・
まあGJ

593:名無しさん@ピンキー
07/09/27 21:06:47 7/WOhXhZ
こういうこと言っちゃならないのかもしれんが、本当に改善する気ある?
以前のアドバイスも改善されていない気がするんだが・・・

594:名無しさん@ピンキー
07/09/27 21:25:24 rcehpaVk
別に無理に急いで仕上げなくて良いんだ。
とりあえず全裸の俺たちが風邪をこじらせない程度に投下があれば。


595:名無しさん@ピンキー
07/09/27 21:26:04 p2JOwcTc
携帯でもちゃんと書けるよ

1:メールの中で文章を書き上げる

2:それを自分のアドレスに送信するか、未送信で溜める

3:推敲

4:メール内の文章を切り取りorコピー
  これはストック10いけるから、あらかじめ決めた数をストックしてスレを開く

5:ストックを張り付け
  携帯でも1レスに1000文字くらい(2000バイト)入れれる
  これはコピーの8個弱(私は普段6、7個だが)

6:4番に戻る、以下繰り返し

これで注意されてる部分は何とかなると思うので、頑張って下さい
説明が分かり辛かったらすみません


596:名無しさん@ピンキー
07/09/27 21:40:59 gyz4RNeX
機種にもよるけれど、メモ帳を使えば貼り付けが楽だよ。

あと、PCに携帯を繋げて書いた文章をメールファイルにコピぺすれば、執筆もスムーズにいくし、推敲もやりやすい。
俺の場合はいつもそうしてる。

597:名無しさん@ピンキー
07/09/27 21:58:02 bCLdZwQ/
スクールデイズ見終わったが、素晴らしかった。

598:名無しさん@ピンキー
07/09/27 22:27:20 7dpO5Bat
おとうさんおとうさんきこえないの
ミナコが

599:名無しさん@ピンキー
07/09/27 22:40:40 bCLdZwQ/
誠と言葉が誠の家にいるところに世界登場。世界ブチ切れ。言葉が「西園寺さんこそ裏切った。」
と反撃。誠は言葉寄りになり世界の前でキス開始。世界逃亡。

世界、誠に学校後会いたいとメールで連絡。

誠は動揺。家で世界と会う。誠がちょっと離れた隙にメールが来る。世界からのメール。「さようなら。」

誠の家で世界が誠を包丁で殺す。

言葉、誠の家で誠の死体を見つける。

言葉、誠の携帯で世界を学校の屋上に呼び出す。

世界に誠の首を見せさせる。世界動揺。

世界対言葉一騎打ち。言葉が世界を殺す。

言葉、世界の腹を割く。「子供なんかいないじゃないですか(笑)」

言葉、誠の生首とnice boatで海へ

600:名無しさん@ピンキー
07/09/27 22:45:57 bCLdZwQ/
           ノ "''===='
_r~~~'"^⌒⌒⌒^`ヾ'"=ニ二二ユ
_`二ニ='       '"^丶
   /       ∧    _z'ニ三二ニ nice boat.
__l____|::::}____l___
三二三二三二三二三二三二三二三
二三二三二三二三二三二三二三二

601:名無しさん@ピンキー
07/09/27 22:51:14 MeIQQKfa
とりあえずnice boat!

602:名無しさん@ピンキー
07/09/27 22:56:37 4J6awSuU
>>599
これって本当?
U局映るのにあの事件で放送しないしATXなんて契約してないし。
斧女四ね

603:名無しさん@ピンキー
07/09/27 23:23:08 cd7T+uQJ
久しぶりにSSを読み返していた、やはり嫉妬SSはいいものだ。
そして一言 RedPepperの続きマダー?

604:名無しさん@ピンキー
07/09/27 23:36:53 puwgEqPy
            ____,......、_
           ,/´::::::::::::::::::`ヽ、.     
         ,/´;::´;::::::;:::::,,;:::;;; ;,、:\    
        /;';/:::;/;/´フノ リ`゙i::::`、   あ…ありのまま 今 起こったことを話しますね    
       ,/レ/;/!/○    ノ 、_!::!::;;i,   
       ,/:/:/::::/  ,、      ○ リ:;:| i!  『私は西園寺さんの妊娠が嘘だと
      ,/::::/:::::/  i  ヽ、_    |;ノi     思ったら、やっぱり嘘だった』
     ,イ:::::;!:::::/|  |      フ  /:::|
    ノ,/::::/;::::::|:ヽ、 ヽ    /  /::|:::|    な…何を言っているのかわからないと思いますが   
   / /::::::::|:|::::::|::::::`メ、`___ ´,, イ:::::|:::ト、    私も何をされたのかわかりませんでした
  / /::;::::::|リヽ、|;/~ \|ヽ;::::::::::::::::::;|;イ `  
 ノ  /::/::::::|::::::::/::::ヽΤ`+´`、:::::::::::::::リ;|    頭がどうにかなりそうでした…
   i::::|::::::::|::::::/:::::ノ:´゙レ、ノ、_ノ、;::::::::::::::|;|   
  /:::/|::::::;/::::/:::/::::::::::::::ヽ´::::i`、:::::::::::|i!   想像妊娠だとか、誠くんの彼女は私だからありえないだとか
  /;::||::::::;/:::::/;;;/::::::::::~::::::~::|::::|;、`メ;;::::|リ    そんなチャチな理由じゃ断じてありません
 レ´|:| !;;;;|::_;/_ソ;;::;:::;:::::;::::;:::::|:::;:i´~ー´:ノ 
   !j-ーイ_/,/,__|__|___|__|__|__|__ト;;;;/  もっと簡単な確かめ方の片鱗を味わいました
 ''゙´"/'´`|\:::::/===/:::::::::::|===        「中に誰もいないじゃないですか」
 ^~~    ` `ソ::::::::/::::::::::ノ|::::::::|


605:名無しさん@ピンキー
07/09/28 00:21:41 NjOIS4um
放送自粛には納得だったなぁ
さぁて、SSをwktkする作業に戻るとするか

606:名無しさん@ピンキー
07/09/28 00:46:30 QJWJ/td9
  |/.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.::/.:.:.:.:.:/<ヽ.:.:i.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 .|i.:.:.:/.:.:.:.:/.::.:.:.:.:.:/.:.:.:.:/.:.:.:/;;//iヘvwv| :|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
 |.:.://.:.::.::/.::.:.:.:.:/.:.:.:/:.:.:/;;////   .|.:|.:.:.:i.:.:.:.:i.:.:.:|
 |:.:| |.:.:.::.:i.:.:.:.:.:::i.:.:.://.:::../;;;/.//    |:.:|i.:..:i.:.:.:.:i.:.:.:|
 |:.| .|.:.:.::.:i.:.:.:.:.:i.:.:/ー;;/ソ/ // -==、_.|:.| |.:.::i.:.:.::i.:.:::|
 .|:| .|.:.:.:.::i.:.:.::.:i.:.:ム;r-y,ネ'  // -_、,,,,__ .|:;ヘ|.:..:i.:.:.:i.::..:|
  ii |i :i.:.::i.:.:.:.:|ヤケiテうト`  ,/'´  '´,ケネデヌ;., |.:.:i.:.:/|.::.::|i
  .` |iト,.:i..:i.:i.:..:|{_|;:::::`}:| /     |{::::::f;;イソ:.i.:.イ./.:.:.::|i
   |i|i.:.::ト,.:iヾ;;:| ャ:::::,ソ        .セ_:::::ソ/.:.:/.|/.:.:.:.:|.i        
  .|i|i.:.:.:;iヾ;ヽトヽ ̄      .    .~ ̄ /イi.:.:|i.:.::.:.:.| .i
  .|i |:i.:.:.:.:i..:`,ミ

607:名無しさん@ピンキー
07/09/28 02:03:11 MUOx/8P2
よくよく考えると斧女が父親を殺す事件って
スクールデイズと比べると何か霞むよな
リアルな事件と二次元の事件を比べる時点でおかしいがw

608:私たちの愛しいお兄様
07/09/28 16:25:13 uictfe9P
投下します

609:私たちの愛しいお兄様
07/09/28 16:26:07 uictfe9P
お兄様の事を愛していいのは私達と晴香さんだけ。どこの馬の骨ともつかない
犬畜生にその権利を与えてなるものか。幼い頃から助け合ってきた私たちの間
に割り込もうなんておこがましいにも程がある。絶対にあの女にお兄様は渡さ
ない。だが、今は晴香さんを信じて事を任せるしかない。彼女に全て仕事を丸
投げするのは心苦しいが、私達にも出来る事を全力でするまで。病弱で出来る
事は限られているけど、お兄様とその永遠の伴侶たるに相応しい晴香さん、そ
してその二人に永遠の忠誠と愛情を誓った私達の未来のため、決して他の女に
出し抜かれてはならない。絶対に防いでみせる。

610:私たちの愛しいお兄様
07/09/28 16:29:55 uictfe9P
変なの所で改行してすみません。一応、枠に収めているので。

611:私たちの愛しいお兄様
07/09/28 16:41:28 uictfe9P
~side真奈~
お兄様を愛していいのは私達姉妹二人だけ。晴香さんにはお世話になってるけど
それとこれとは話が別。加奈は『晴香さんだったら』と思ってるみたいだけど、
お兄様と共に生きるのを私が我慢出来るのは血を分けた加奈だけ。私達は学校に
行けないから学校での監視はあの泥棒猫に任せるしかないのが癪だけど、絶対に
幼馴染以上の間柄―最悪でも親友レベルまで―まして彼女の座だけは絶対に・・
「絶対に・・・渡さない・・」


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