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彼も、遼君もそう思っていてくれていることを、私は願っている。
「あれ? 遼君、その上着どうしたの」
彼の制服の上着の左腕の部分に、とても雑で、糸のほつれの酷い縫い目を見つけた。
「ああ、これっすか……昨日の強盗にね」
苦笑いしながら遼君はそう答えた。
「だ、大丈夫!? 痛くないの!?」
強盗と戦ったときに怪我をしたなんて話は、クラスメイトからも、もちろん彼からも聞
いていなかった。
「え、ええ。まあ、かすり傷っすから」
「そう、よかった………」
それを聞いて安心してから、自分が明らかに取り乱していたことに気付いた。恥ずかし
くて、顔が赤くなりそうだった。
「それで、自分で縫ったんですけど………あんまり上手くいかなくて」
またしても苦笑。私は彼のこういう仕草もたまらなく好きだったりする。