07/09/14 21:30:02 Km18UY3w
「おはよ遼君」
いつも通りの朝、通学路で私は遼君に声をかけた。
「あ、おはようございます」
よし、今日は朝から遼君と会えた、いいことありそう。なんて心の中でガッツポーズ。
「今朝も寒いっすね~」
何だか嬉しそうに遼君は言った。
「どうしたの、そんなにニヤニヤして?」
彼の機嫌がいいと、私まで何だか嬉しくなる。
「冬は好きなんすよ」
これまた笑顔。やっぱり私は彼のことが好きなんだ。
「そうなんだ~」
こんな他愛もない会話をしながら、学校までの坂道を登る。
「あれ?」
突然遼君が声をあげた。その視線の先には、
「あの車って………」
いつぞやの黒塗りのベンツが悠々と走っていた。
「また誘拐されちゃうかもね」
冗談めいた口調で私は言った。
「まさか」
遼君は苦笑いをしながら、それでもあの車が気になっているようだった。