07/09/10 14:12:26 2mxX3x6P
「お嬢様、そろそろお時間が……」
ノックをして執事が入ってきて言った。確かにもう結構な時間だった。
「あっ、ごめんなさい。こんな時間まで引き止めてしまって」
「別に帰ったって何にもするわけじゃないから大丈夫だよ」
中原さんはまた、笑って言った。まだ数時間しか一緒にいないのに、この人は本当に優
しい人なんだと、心から思った。
帰ろうとする中原さんに私は勇気を振り絞って言った。
「あの……ま、また会ってくれますか?」
頷いてくれた彼を見て、私は今までに感じたことのない程の幸福感に包まれた。
帰りも僕は黒塗りのベンツに乗せてもらった。こんなの一生に何回あるだろうか?
ああしかし綾瀬さん可愛かったなあ。彼女の姿を思い返して僕は思わずため息を吐いた。
まるでお人形さんみたいに彼女は可愛かった。
あんな可愛い娘にあんなに感謝されて、もうマジで言うこと無し!! って感じだった
りした。
『あの……ま、また会ってくれますか?』
あんなの顔赤くしながら言うなんて、反則に決まってる。
鞄から携帯を取り出すと、先輩からメールが来ていた。何やら黒尽くめに拉致された僕
を心配してくれているらしい。
『大丈夫でした~
詳しいことは明日学校で話しますね』
と、先輩にはこれだけ送っておいた。