07/09/22 03:31:50 3TMObEnK
「目覚めた気分はどうかしら、杉浦さん?」
智美の質問に、泉はどこか覇気のない笑顔で答える。
「智美お姉さま…とてもいい感じよ。何も考えず服従することがこんなに気持ちいいなんて」
「では、片山弘樹については、どう思うかしら?」
「かたやま…ひろき…?」
一瞬ぼんやりとした表情になる泉。だが、答えは速かった。
「あたし達のご主人様の敵よね。弱い人間を守ろうとする、愚かな奴よ」
今度は優美が聞いた。
「泉さん、弘樹の側に私たちと同じ力を持った人間がいるよね。
どうすればいいと思うか、泉さんの意見があったら聞かせてほしいわ」
泉はきょとんとした顔をしている。
「質問の意味が分からないわ、優美様。あたしに命令してくれない?」
優美は嬉しそうににこりと笑った。
「智美さん、面白い寄生のさせ方ね」
「可愛いでしょう?自分の生き方、とか言ってた人間も私の力でこうなるのよ」
「うふふ、扱いやすい駒ができたね」
優美は再び泉の方へ向き直ると、言った。
「じゃあ、泉さん…あいつの仲間をタナトス様の下僕へと目覚めさせてほしいの。できる?」
「やるに決まってるじゃない、それがタナトス様のお望みなら」
「じゃあ篠原さん、いつも通り占いをしながら、あの人間の仲間が来るのを待つのよ。
そしてチャンスが来たら動きなさい。
あなたは私たちの…そしてタナトス様の分身。あなたの思念は私たちにもすぐ届くわ。いい?」
泉は微笑んだ。ただしいつものような明るい笑いではなく、人形のようなうつろな目で。
「人間のように感情のあるふりをして紛れ込めばいいのね。わかった、智美お姉さま、優美様」
こうして今日も泉は中庭で占いをしている。
以前にも増して的中率の上がった彼女の占いだったが、その分効果的なアドバイスは減った。
「あたしはナイトメア、杉浦泉。タナトス様の操り人形にして使い魔。
もっともっと、あたしと同じ人間型のナイトメアを生み出さなくちゃね…」
誰もいない時、カードを整えながらこうつぶやく泉の姿があった。
彼女がうっとりと見つめるのは、悪魔のカード。堕落・誘惑を象徴する。堕とされ、新たな獲物を待つ、今の彼女自身でもある。
流れ切った上に長くなってスマソ(´・ω・`)
次回は誰を堕とそうか考え中