07/09/22 17:01:24 EofhR3hR
* 夜には千鶴編の続きを投稿致します。
その神社は都内にある、ごく普通の神社だが祭る物が変っている。
掃除道具=掃除機・箒・ハタキ・竹箒云々・・・・。使い古された、それら掃除の
道具を供養する神社である。
古から箒等掃除の道具は世の穢れを払うのだと言う・・・・・。
***
「糞!!うら若き娘をこき使うなんて、あの糞爺ッ!!」
巫女姿の乙女は、落葉を掃いていた竹箒に両手と顎を乗せぼやいた。
乙女は葵家の三姉妹の次女で中学1年生。本当なら、日曜日は友達とマックに
行ったり買い物に出かけたい年頃である。それが、何の因果か長女の詩織と共に神社の落葉を掃くハメに
なったのだ。
「仕方ありませんわ・・・。さぁ乙女ちゃん、頑張って済ませてしまいましょう。」
優しい口調で詩織が言う。彼女は名門女子高で知られる菊花女学園高等部2年生で成績
は常にトップ、女子サッカー部のFWで点取り屋と言われる自分と偉い違いだと、乙
女は思う。
「ふぁぁぁぁぃ」
箒を持ち真面目に掃こうとした時、玄関から三女の紫苑が顔出し「お姉ちゃん、
お爺ちゃんが呼んでるよぉ!!」という。
勿怪の幸と箒を樹に立てかけ、神社に向かう乙女。
「あらあら、そんなに急ぐと転びますわ・・・・。」
詩織の声。当然、乙女はそんな姉の言葉なんぞ聞きやしない。
***
「黒崎さんが調べてくれた。今回の掃除は<ギャラクシー・ファイナンス>の
社長の尾崎と副社長の前原、取立屋の名波じゃ・・・・・。」
神社の地下。完全防音された部屋に三姉妹と祖父で神社の神主である重介、厳
めしい顔した元自衛隊レンジャーの黒崎がいた。
「相当、悪どい取立をしているようですわね・・・・。」と詩織
「その通りじゃ、たとえば膿が10万円<ギャラクシー・ファイナンス>に借りた
とする。それが僅か1日で10倍という異常な利子がつく。当然、返せる額じゃな
いから、彼等は保険金を賭けて自殺に見せかけて殺しておる・・・・。」
「酷い!!」
小学5年生の紫苑が怒りの表情で言う。その通りだと乙女は思う。
「で、そいつらを綺麗サッパリ掃除するんだろ・・・・。」
乙女が尋ねた。
「その通りじゃ・・・・。毎夜、集金した金の計算や税金を脱税したり警察に対抗
する手段を相談する為、事務所に居残っておる・・・・。」
「判りましたわ、お爺様・・・・。この世のゴミを掃き清める事が、私達三姉妹の
使命ですわ・・・・。」
姉の言葉に紫苑、乙女が無言で頷く。
***
「警察対策は、どうだぁ?」
尾崎は札束を数える前原に尋ねた。元々は弁護士であった前原は警察や税務署対策の
プロだ。
「すでに手は打ってます・・・・。帳簿は綺麗なモンです。どう突付いても粗は出ま
せん・・・・・。」
そう請負った。帳簿に関しては完璧で、冗談抜きで税務署や警察が頑張って突付いて
も逮捕される要素など全く無い。
問題はヤクザ崩れの名波が飼っている取立屋達だ。前原は名波を心底嫌っていた。
闇金というのは知力だけで無く、時には腕づくという方法も必要だと充分過ぎる程理解
しているが、それでも彼等のような野蛮な連中には嫌悪感を憶える。
「それより、社長。例の件、そろそろ・・・・。」
名波が言う<例の件>とは、いま的にしている倒産した工場経営者の件だ。彼にはすで
に億単位の保険金が賭けられている。
「娘の方はどうだ、名波?」
好色そうな笑みを浮べる尾崎。彼は工場経営者の女子大生の娘の事が気に入っている。
おそらく手篭めにして、自分の女にするつもりなのだろう・・・・。
「娘の方は・・・・。」
そう言い掛けた時、ドアが開き全裸の三人の少女が入って来る。
<続く>