07/09/19 20:53:31 LVuSHfQa
<桜花学園高等部>
「キンコ~ン、カンコ~ン」
洋風の建物と石が引き詰められた並木を、千鶴は歩いていた。
時折、女子高生を自転車の後ろに乗せ楽しそうに談笑する男子生徒や、掛け声
を掛けながらランニングする女子テニス部の一年生達が通り過ぎる。
彼等は、それぞぞれ自分なりの青春を謳歌しているのだ。
”いいな・・・・。”
思わず胸内でそう呟いたが、それは言ってはいけないんだと思い、強引に振り
払う。千鶴は普通の女子高生ではない。命を失う寸前、<神の結社>の若き科
学者 菜月伸介により捕虫植物サラセニアの特殊細胞を埋め込まれ遺伝子改造
を受け蘇りサラセニアン女となり、世に蔓延る人間の皮を被ったゴミをお掃除
する崇高たる身分なのである。
だが、それでも一度くらい普通の女子高生のように青春を謳歌したいという誘
惑にかられるのだ。考えてみれば別段、悪い事では無い。この年頃の子(男女
を問わず)はそう思うのは当たり前の事だ。
だが、千鶴はそんな自分を許さなかった。
改造された10歳のあの夜、アタシは菜月教授に喜んでもらう為にお掃除を頑張
ろうと決めたのだ。菜月教授は命の恩人であり、家族を喪った千鶴にとっては
親である。そして・・・・・。
次の言葉を脳内で思い浮かべ、恥かしさに頬を紅くする。
正門を出ると道路脇に見慣れた黒いバンが停まっていた。
”最も、アタシにとって大事な人・・・・・・。”
***
「今夜は大掃除ね・・・・。」
千鶴は制服を脱ぎ、スカートを降ろしながら尋ねた。
「相手は30人。全員、お掃除して構わないそうです・・・・。」
<神の結社>工作員の菜月晶(菜月伸介の姪)が言う。
彼女の話だと、彼等は老人を騙しインチキの金の延べ棒の券を買わせるという
手口で、年金を騙し取る極悪非道な詐欺師集団で、彼等になけなしの年金や貯
金を根こそぎ騙し取られ自殺したり自宅で食べる物を買う金が無いせいで餓死
した御年寄りもいるらしい。
千鶴はブラとパンティを脱ぎ全裸になる。豊満な乳房が身体を揺らす度、ゆさ
ゆさと揺れている。
「では、言ってきます・・・・。」
「ねぇ、千鶴ちゃん。」
行こうとする千鶴を呼び止める晶
「なんです?」
怪訝そうな表情を浮べる千鶴。いつも男の子みたいにサバサバした性格の晶が、
今日は妙にモジモジしている。
「あのさ・・・・。」
沈黙
「何ですの、晶さん?」
「千鶴さんは、伸叔父をどう思ってんの・・・・?」
沈黙
「ねぇ?」
「好きですよ・・・。」
「えっ?」
「優しくて、笑った時に無邪気な子供みたいで・・・・。」
そう言うと、素早く闇に消える。
<続く>
* 大阪ドームさん こんな感じでしょうか?