ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α6at EROPARO
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α6 - 暇つぶし2ch485:@巴のマスター
07/11/22 08:39:21 4bx74MwZ
「ともねえ…」
その瞬間…おれは…時が止まった様な錯覚を覚えていた。
あの頃と変わらぬ姿の『ともねえ』…。
整った柔らかな丸顔に、大きな蒼い瞳。
艶のある綺麗な赤毛。前髪は眉毛に軽く掛かるほど長く、両側は耳元まで軽く掛かるほど長い。
そして長い髪をきっちり二つに束ねて肩の先まで垂らし、髪留めには白いリボン。
昔、見慣れたエンジのブレザーとスカート…丸衿のワイシャツに更に赤いネクタイ。
整った顔立ちはとても愛らしくも、清楚で知的な印象があり、今見てもアイドルで通るだろう。
そう…ともねえ…そのものだ!

だが…。
その顔立ちが、今更ながら巴に実に良く似ていて…我に返った。
そうだ…これは『トモミ』だ!
ともねえじゃない!!

考えてみると…髪の色やアレンジ…瞳の色が違うだけで、随分印象が変わるものだ。
巴は明らかに、ともねえがモデルであり…このトモミと並べたら、きっと姉妹か母娘の様だろう。
それほど、改めて見るトモミの姿は巴に良く似ていた。

ふと、気付くと、ブレザーの両肩が何かがこすれたように僅かに千切れていた。
多分、バンとジェーンが撃った時の痕だろう。
倒れた様に見えたが、咄嗟にかわしたのに違いない。
…少しほっとすると共と同時に、トモミがほぼ無傷であるという事実は、おれが今、絶望的な
状況にある事を改めて示唆していた。
「…いや…トモミ…だったな」
おれは小銭をポケットに戻し、ちらとトモミの後ろを見た。
…他に誰もいないのか?それとも、下で待ち構えているのか?
トモミは暫し無言でおれを見つめていたが、僅かに小首を傾げ、ほんの微かに笑みを浮かべた。
「あなたの事は…記憶にあります」
「え?」
だが、トモミの顔からは、すぐに笑みが消え、無表情になった。
「昔…昔の朋さんの記憶に…」
「それはそうだろうさ。おまえは、ともねえの分身だったんだからな」
おれが皮肉っぽく言い放つと、トモミは、これまたほんの僅かにだが…悲しそうに…首を振った。
「それは…そうです。でも…わたしには」
「ともねえの姿をしていても…違う…そうだろ?」
「そうです…でも…彼女の記憶や経験は…持っているのです」
「……記憶や経験は…って言ったな?…なら、どうして巴を狙うんだ?巴だっておまえと同じだろう?」
トモミの様子が…思ったより控えめで、しかも…妙に好意的な事に気付いて、おれは訝った。
ここにいるのは…いわばラスボスだろう?
なのにどうして、おれを力づくで連れて行こうとしないんだ?
疑念が段々と大きな疑問に変わり、おれは少しずつ焦り始めた。
これはトモミの巧妙な罠では無いのか?上手く騙して巴を捕まえようとしているのではないか?
…だが、トモミの次の言葉には、思わず飛び上がりそうになった。
「狙っているのは…シンクロイド・システムであって…わたしではありません」


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