女の子と二人きりになってしまった 2回目at EROPARO
女の子と二人きりになってしまった 2回目 - 暇つぶし2ch100: ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:41:12 /V4euhHC
>>52の続きです。次回以降解決編。

ルールA 鉄扉の正面に表示されているのは残り日数である。残り日数がゼロになった時、扉は開かれる。
ルールB ルールは、日数が三日経過する毎に一つ明らかになる。
ルールC この部屋の中にいる生存者が一人となった時も、残り日数がゼロになった時同様、扉が開かれる。
ルールD ???

101:名無しさん@ピンキー
07/09/07 02:03:04 InXfF/ON
>>100
S^4氏GJ&>>100ゲットオメ!

すげーハラハラドキドキする。

102:名無しさん@ピンキー
07/09/07 10:13:53 +PFXljIe
>>100
GJ!なんという絶望感…ハラハラさせるわほんっとに
続きを待とう。誰かと。二人っきりで。いないけど。

103:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:45:44 9E1ip7TH
チクチク… チクチク…
「あ、あの…」
「なに?!」
俺は、カーブの度に首に刺さる何かに耐えかねて、少女に問いかける。
しかし、彼女は怒ったように言葉を返す。
「いや、その…なんでもないです…」
「…なにか言いたいならはっきり言ったらどうなの?!」
「いえ…」
「「・・・・・・・」」
微妙な沈黙。くそっ、俺がなにしたんだよ…
「あーもうじれったいわね!!! なんなのよあなたわっ!」
容姿に似合わず、流暢な日本語だ。
「…こっちとしては、脅迫というか、命握られてる身なので、ほんとはなにもいえないのですが、
 ひとつだけ… お願いしてもいいでしょうか?」
「な、なによ…?」
あ、なんかミラー越しでも可愛い…
「なにぶんカーブの多い高速で速度でてるので、ゆれるたびにチクチクささるのですが、それ、
 収めてもらえませんか?」
「いやよ!」「なぜ!?」 
すかさず切り返す俺… 死んだな…
「収めたら、あなたきっと警察にいくでしょ!!」
「いや、そりゃ、まぁ…当然というか、ハンドル握ってるの俺だし…」
至極まっとうな意見を述べる。
「なおのことダメよ。これは保険なの。わかった?」
「だからってだなぁ… もし事故になると、逆にあんたのほうが危険だと思うのだが…」
「あら、私なら大丈夫よ? いざとなったらシートベルトかけるもの… って… あれ? …ない?」
なにかに気がついたようにあたふたしはじめる。長い髪がふわふわつられて動くのが見えた。
「ああ、この車は8年前のモデルチェンジ~云々~で、貨物仕様だから後部にベルトは無い」
「ちょっ、ちちちちょっと! それは困るわ!!!」
「勝手に困ってくれ… 俺は知らない…」
ぎゅっ!
「こーのー!!! 今すぐベルトだしなさい~!」
「ぐえっ! 首っ、首つかむなっぐえぇっ! むっ むりだっぐええぇ!」
「なんとかしなさい! 命令よ!!」
「ぐえええ! いやなら助手席こいっ! そこならあるからっっっ!」
ふっと首を絞めていた手が離れた。と思ったら、俺が運転してるのに前にでてきやがった!!
「はじめからこうしていればよかったのね♪」
チクチク。
またチクチクが始まった… って、今度は獲物がちゃんと見えた…
「って、ナイフかと思ったらシャーペンかっ!!!」
俺は盛大にツッコミしてしまった。
「あ・・・」
「~~~っ!… はぁ~…」
思いっきりため息を吐いてしまった。
こんなのも見抜けなかった自分が情けない…


104:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:46:27 9E1ip7TH
獲物がわかった瞬間、少女の態度が変わったのが見て取れる。
あきらかに身を縮こませ、凶器としての役を請っていたシャーペンを握り締めている。
運転のためちらちらとしか見えないが、彼女はなんだか守りたくなるような可憐さを漂わせている。
その様子に、俺も毒気を抜かれてしまったようだ…
「…まぁいいさ、警察には言わないでおこう。」
少女が顔を上げ、笑顔になったのを感じる。
「ほ、ほんと!?」
猫のようにも、小動物のようにも受け取れる目を俺に向けてきた。
くっ、こっちみんなっ! 俺がワルイコトしてるように思えてくる!
「あっ、ああ。まさかシャーペンで脅されました なんて警察に言えるか」
「……ご…さい…」
「ん? なんだって?」
聞こえなかった。聞き返すと、今度は耳をつんざくような声で
「ごめんなさい!!っていってるのっっっ!」
俺に身を乗り出しつつ耳元で大きい声をはりあげた。
正直鼓膜が破れるかと思ってしまう。奥でキーンと鳴っている。
「あー、はいはい! わかりましたっ! わかったから、シートベルト締めろ!!」
俺がそういうと、少女は助手席に座りなおし、シートベルトを締めた。
 :
 :
「…渋滞…か」
竹橋に近づくと、渋滞掲示板から「この先渋滞 追突注意」の文字が見えた。
ここで渋滞となると…首都高抜けるのに1時間か…
「あ、と、君… 千葉…方面だったよな?」
「え?! い、行ってくれるの?」
「まぁ… 不本意ながら乗せちまったワケだし、もともとは長崎までの道のりだ。
 千葉くらいなら、+150kmってとこだろ… 別にいいさ」
少女が笑顔になる。後光がさすような、そんな笑みだ。…いま、華が舞ったぞ?
「ただし、送るだけだからなっ?」
「ありがとうっ!」
抱きつかれた。だからあぶねぇって!


105:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:50:03 9E1ip7TH
渋滞にはまっていてしばらくすると、少女が妙にソワソワしだした。
「なに? どうした?」
「えっ?! いやそのっ…」
「はっきり言ってくれ。さっきみたいになりたくない」
「その… ~~~に…」
「は?」
「トイレっ! おしっこっ!!」
は・・・ マジデスカ?!
「う、うわわわ おまっ、ここ渋滞の中だからトイレないぞ!?
 先が事故でふさがっているからしばらく動かないし!
「こまる! もうでちゃうぅ!」
くっ、この手だけは使いたくないが…
過去に同じ経験したことがあるだけに、常にダッシュボードには穴の開いていない
スーパーのビニール袋が常備してある。それを使えば…
「いやよ!」
そのことを説明したら拒否られた。
「断ってる場合か!漏れたらどうすんだっ!」
「でもでも!」
「でももへちまもねぇ! やれ!」
「~~~~~~~~~っっ!!!!」
完全に決壊寸前だったらしい。ベルトをはずすよう指示して、
座席を後ろまで後退。足をまげ腰を座席の前までもってこさせ、ビニールを持たせてやった。
「あとはできるな?!」
こくん。
少女は耳まで真っ赤にしながらうなずいた。
背に腹はかえられないらしい。あれ?表現違うか?
”ぱしゃっ ちょぼぼぼぼぼぼぼ…”
極力見ないように努力する。見たら俺、変態だ。うん、みるな。みちゃだめだ。だめだったらだめだ。
「んっ、くふっ、ふぅぅぅっ」
吐息が聞こえる。
くっ… 逆に見ないほうが妄想たくましい俺に…
「やぁ…」
嫌がる声が耳にうるさく届く。
「ナっ?! なニドうシタッ!??」
動揺するな動揺するなドウヨウスルナ・・・
「と、とまらないのぉ! こんなにいっぱいぃ~…」
ちょぽぽぽぽぽぽぽ…。
たしかに袋半分はきてるだろうか?
どれだけ我慢してたんだよ… って、あ… 見てしまった…
「ひっく…臭いが…」
少女は恥ずかしさのあまり泣き出していた。
(だぁー! もう!!)
すかさず換気モードで風力全開にする俺。窓は…全開にできないな。
…これでどうだ!? 俺はあまり臭いを感じないがこれだけすれば問題ないだろ?!

106:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:51:57 9E1ip7TH
ガサ…ガサガサゴソゴソ…きゅっ。
少女は泣きながら自分のを受け止めた袋を締めた。
「は、恥ずかしすぎるよぉ… こんなこと初めてだし…」
「がまんしろ。俺も過去に1度だけやったことがある」
「み、見てないでしょうね?」
「おお、み、見てないぞ? うん」
「黒いパンティ、見たでしょ?!」
「い、いや、白かっただろ! 赤いリボンのっ!」
「「・・・・・・・・・・」」
「…へんたい」
ぐはぁ! なんか! なんかイケナイ道に進もうとしてないかオレ!!
「むりやり車のなかでオシッコさせたうえにその姿を見て喜んでるなんて…スケベ! へんたいっ!」
「うおっ!? 喜んでなんかいっ、いないぞ?! 何を言い出すんだっっっ!」
「………まぁいいわ… がまんできなかった私が悪いんだし… 送ってもらえるんだから文句言えないし…」
あ…焦った… オレが逆に警察のお世話になるところだった…
「とりあえずこの袋、どうするの?」
ちゃぷん。
袋に詰まったモノの処分は、ココでは不可能だ。
しょうがない…
「取っ手を引っ掛けるものが後部座席の手すりにあるから、そこに引っ掛けて…」
「ん… わかった」
とりあえず、引っ掛けてもらった。


一応騒動はひと段落する。渋滞は、抜けるまであと少し・・・

#軽バン…99年式ダイハツ ハイゼット・アトレー 貨物仕様車 は、後部座席にシートベルトがありません。
#(主に ○○ 40 ナンバー車) ウチの車だけかもしれませんが、後部にはローラーコースターばりの手すり
#(買い物袋引っ掛け用爪付き)があり、移動中はそれを握ってもらいます。
#ディーラーに確認したら、ベルトは後付けも不可で、車検証には乗車定員 2(4) 人 と明記してあります。
#
#過去に1度だけ…作者経験談です。関越道でいつか昔に女性が生きたまま手枷つけられて100km走行時の車から
#投げ捨てられた事件(婦女暴行死亡事故事件)があったときに、自動車道が閉鎖されてしまい、
#その煽りをくって川越街道(成増~所沢BP)が激混みしたときに、仕方なくやってしまったことがあります。
#いつかネタにしてやるとか思ってたので、ここで登場です。
#
#なんだか、こんなネタでいいのか自分の脳みそくさってんちがうか? とか…
#まだ序章も終わってないのにorz
#よろしくお願いします。

107:名無しさん@ピンキー
07/09/07 11:14:20 BBBEzzoq
なんだかんだでGJですわ

はてさてこの珍道中どうなるのか…
(…作者さん女の方?同じビニール袋使うっても男と女じゃ使い勝手違うし)


108:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 19:07:29 9E1ip7TH
>107
gjありです。
>女?
男です。ビニールの使い方のヒントは、10年位前にFujiQ→新宿の高速バスで、
隣に座ってた女の子がトイレ我慢できずに決壊寸前までいって、
親の指示でその場で局部にビニールを密着させて"した"という目撃例があるので…
それを数年後に自分で実践することになるとはいやはや…
男だと筒先を調整するだけで済みますが、女の子って大変だなぁと…

109:名無しさん@ピンキー
07/09/07 19:54:48 GZnJxSy7
>81 ◆DlPgAmm21I 氏
乙です。それにしても出発早々にニョーホーとは..。目的地が千葉とはいえかなり濃い旅が期待できそうw
「ローマの休日」ならぬ「総武の休日」とでも呼びましょうか?w車板住人でもあるので、期待してます。

110:名無しさん@ピンキー
07/09/07 20:24:27 QiUxCSQ6
車が爆発とかしたら、帰りは京葉線で帰るのかな?wkwk

111:名無しさん@ピンキー
07/09/07 21:58:49 x6/tf4fD
お二人様共に、GJ!

方や大詰め、方やワクワク・・・

シャーペンは受けましたw
この流れはよめませんでした

112:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/08 09:28:55 UfQTHTXa
#えと、妄想が止まらないです。
#じゃんじゃか物語が紡がれていくのですが、
#基本へタレなのでおいしい物語にならなかったらごめんなさい…

<<ピンポーン 料金ハ\200エン デス>>
-京葉道路・船橋料金所を通過した。
「なぁ、ひとつ聞いてもいいか?」
「なに?」
「とりあえず、方面はわかったが、正確にはどこなんだ?」
「館山よ」
「そうか、館山か… 何しに行くかわからないが、住所はわかるか?」
「○○よ。○○の××の△△△△」
「まてまて… よし、これだな」
車に取り付けた自慢のPSPナビが起動する。
少女から微かな笑い声が聞こえる。こら、わらうな!
そんな顔をしてたら
「ちいさくてかわいい機械ね」
だと… くっそ、ボーナスでHDDナビ買ってやる!
今年の7月に館山まで高速一本でいけるようになったから、古いナビも新調しなくちゃな…

「・・・そういえば、名前、まだだったな。俺は康平。君は何ていうんだ?」
「まりよ。真理って書くの。友達からは”まーちゃん”とか”マリー”とか呼ばれてるけど…」
「マリーか… たしかにしっくりくるな」
「な・に・か・い・っ・た・か・し・ら?」
まずい、逆鱗に触れたらしい…
「こんな成りしてるから”なるほど”とか思ったんでしょ!」
ばれてるらしい… 金髪碧眼でそのあだ名は誰もがソウ思うだろう? よし、フォローを試みよう…
「いやでも、きれいな髪だしふわふわだし、かわいいからなんというのかな・・・」
「そんな言葉は聞き飽きてるっ! しらないっ」
「おいおい…」
「・・・・・・・ぷっ、あははっ、くすくす、あはははははっ」
真理はコロコロと笑い始めた。
「な、なんだよ」
「私のあだ名を教えたら、だれもが同じ反応するから、ついおかしくって…」
ちぇっ… なんだよそれ…
「ふんっ… 高速降りるぞ」
「え? ちょっ! なんで高速降りるのよ!」
俺は幕張ICで降りてそのまま14号に合流した。
長年の経験からいうならば幕張IC~アクアライン連絡道までは14号・16号を使ったほうが、
穴川の渋滞も、遠回りする上に金もかかる高速も回避できるのだ。
「何で降りたのよ? しかもなにニヤニヤしてるの? 怖いわよ?」
ニヤニヤしている顔を見られてしまった。
「う、うるさいっ、経費節約だっ この道の方が得だしっ!」
ガソリン代も馬鹿にならない。
出発した埼玉南西部では136~142円/Lだが、千葉は133~138円/Lだ。(07/09/01調)
入れるとしたら市原近辺の製油所前のスタンドがベストだろうと、思っている。
ただ、メーターを見たらさほど減っていないので、今回はパスすることにする。

113:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/08 09:32:12 UfQTHTXa
くーきゅるきゅるきゅる・・・
「・・・?」
ん? なんの音だ?
くぅ~・・・きゅるきゅる・・・
なんだかマリー(もう確定だな)から聞こえてくる。
幕張ICからだいぶ走ってきた。40kmくらいか?
彼女をみると、おなかを押さえて顔を赤くしている。
「どうした? おなかへったか?」
「…うん」
「なんだ、なら、挑戦してみたい店があるんだが、いいか?」
「挑戦???」
「ああ、すぐそこだ」
「なに? 大食いでもやるつもり?」
「いや、ドライブスルーさ」
「ドライブスルー?! ええっ!? 経験したことない!!」
「おお、ならちょうどいい。行って見るか。ちなみに牛丼屋だ」
「えっ?! …私、牛丼って食べたことない…」
「おー、なら人生初挑戦、いってみようか!!!」
「うんっ!」

国道16号を南下し、アクア連絡道の袖ヶ浦IC数km手前に、その店はある。
日本全国に展開している牛めし屋 ”松屋”。
俺は今まで利用したことがなかったが、そこは生まれて初めて見つけた
ドライブスルーの利用出来る松屋だった。

「並2つ」
ドライブスルーでの牛丼は生まれて初めてだ。
マクドはしょっちゅう、ケンタのフラチンもちょくちょくだが、
牛丼は未経験だった。
隣ではマリーがまだかまだかと目をキラキラさせている… 思わず頭をなでたくなった。
はっ… いかんいかん…

弁当を受け取り、そのまま袖ヶ浦ICから高速に乗る。
高速走行中、となりでは、
”はぢめてのぎゅぅどん”と格闘しているマリーがいる。
「お、おいしい!! あたたかい料理ってあまり出ないから、すごくいい!」
お気に召したようだ。
ああほら、ほっぺにご飯粒ついてる…
「ご飯粒ついてるぞ?」
「んぅ、どこ?」
わたわたと探すマリー。
「ここだ。しょうがないな」
ひょい ぱく。
「・・・わたしの分、たべた・・・」
ええ?! そこでそうきますか?!
ってあれ? 顔真っ赤だぞ…
「マリー?」
ビクッ!。
「し、しらないしらない!」
あ、そっぽ向いた。
「・・・・・・」
なんか俺、やばいんじゃね?

114:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/08 09:35:26 UfQTHTXa
#エロにもっていけないヘタレです。orz
#PSPナビ ナビは向いてないけど現在地の把握に役立ちます。
#去年長崎行ったときは地図片手に右往左往でしたが、これがあればもっと楽だったのかなあ…
#
#松屋のドライブスルー、実は未経験だったりします。
#きっかけは、深夜ドライブでアクアラインを神奈川から超えたところで発見しました。
#軽で深夜で1950円だったかな?ETCで←アクアライン。
#調べてみたら、ちょくちょくあるみたいで… こんど近場にないか探します。
#松屋ドラスルー、いつか行ってやる!
#
#これから寝ます。起きたらお出かけ。続きは週明けになるかと思います。
#よろしくお願いします。

115:名無しさん@ピンキー
07/09/08 20:02:34 AvT11Ewg
おい!、そこで高速代ケチって渋滞回避なんて言い訳コクなら、
長崎へ行くのに5号線上るな!用賀まで下だろ!
え?違う?

とにかくガンガレ。

116:名無しさん@ピンキー
07/09/08 20:30:33 oPDP56Dv
なあ、もしかして小便捨ててなくないか?
まさか伏線!

117:名無しさん@ピンキー
07/09/08 21:16:07 slQ01Dho
work taker

118:名無しさん@ピンキー
07/09/08 21:29:43 wwKMVvAd
>>116
追っ手にぶつける聖水爆弾と見たw

119:名無しさん@ピンキー
07/09/09 04:20:07 0ybM1Hyr
うちのおじがPSPナビ使ってる件w

120:名無しさん@ピンキー
07/09/09 14:38:47 sMtzC+37
コレはいい二人きり。
フリー鬱ゲームのナルキッソスを明るくしたみたいで面白い。
続きが楽しみ。

121:名無しさん@ピンキー
07/09/09 20:05:47 YrS8iOTz
ナルキッソスって携帯電話用のエロゲじゃん。
いや、まぁエロシーンが邪魔なくらい面白かったけどね?

122:名無しさん@ピンキー
07/09/09 21:55:29 16z4lCRz
電波を受信したので、思わず一本書いてしまいました。

しかし、SSを書いたのは初めてだったので、皆さんが納得できるような内容では無いかもしれません。

更に言うと、パソコンは今修理中ですので、携帯からの投下になってしまいます

スレ汚しになるかもしれませんが、投下してもよろしいでしょうか?(ダメなら帰りますので)



123:名無しさん@ピンキー
07/09/09 21:58:50 YrS8iOTz
投下しろ、話はそれからだ。

124:名無しさん@ピンキー
07/09/09 22:57:05 gvLlOHdW
作者さんはやくきてクレー!

125:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:04:25 16z4lCRz
それでは、投下します。ただ、なにぶん初めてなもので…
チラ裏に書いとけとか言われそうな内容なので、ご容赦下さい




今日、俺は中学からの悪友、高岡亮太郎の家に遊びにきていた

しかし、亮太郎は妹を連れて、買い物に行くと言って家を出て行った。後に残ったのは……

(はぁ…、メッチャ気まずい……亮太郎~、恵美ちゃ~ん、早く帰ってきてくれよ~!)

今、この部屋にいるのは、自分と、高岡の妹と同じ中学校の制服を着た女の子だけだった

(全く、高校生にもなって妹と同じ部屋なんて、あいつ絶対シスコンだな。今も二人仲良く買い物に行ってるし…)

目の前にいる少女は、遊びに来た時に何度か見たことがあるのだが、名前も知らなかった

とにもかくにも沈黙が気まずすぎるので、何か話題を振ってみよることにした

「ふ、二人とも遅いね」

「そうですね」

一瞬にして会話が途切れた。そして再び訪れる沈黙・・・

(俺は馬鹿ですか?それともアホですか?一秒も会話を続けられないなんて…)

話題が何も思いつかばないので、とりあえず名前を聞いてみる。



126:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:06:46 16z4lCRz

「俺の名前は吉田由広。君の名前は?」

「・・・・石井加奈です」

少女は一瞬驚いた顔をしながら、返事をする。そしてまたもや沈黙が訪れる。

加奈はそれ以上話し掛けるな、とでも言わんばかりに本棚に入っていた少女漫画を読み出す。

(はぁ…。しょうがない、俺も漫画でも読むか。)

そう思い、同じように漫画を読み出す由広。

しかし、高岡兄妹はいつまでたっても帰って来ない。

時間はすでに6時を経過していた。

(…帰るか、ここに居ても気まずいだけだし)

そう思い、亮太郎にメールを打ち始める。

と、加奈もどうやら帰ると決めたようで、帰り自宅を始めた
「あれ?恵美ちゃんはメール打たないの?」

「携帯を持っていませんので」

この発言に対し、少し驚く由広。

(へぇ。今時持ってない子もいるんだ。でも、俺も中学までは携帯なんて持ってなかったしな。そういう子が居ても不思議じゃないか)と、納得する。

「じゃあ俺がメールしとくよ」

「…ありがとうございます」

ペコリと頭を下げる加奈。

それでは、私は帰りますので。そう由広に言うと、サッサと部屋を出て行ってしまう



127:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:12:18 16z4lCRz
「あ、送ってくよ。」

「いえ、いいです。歩いて15分程度なので」

では、と言いながらドアを開けた加奈。しかし…


「凄い雨だね…」

外はどしゃ降りだった。

「傘は持ってるの?」

「持ってないです。まさか降るとは思って無かったので…」

とりあえず、二人は部屋に戻った。

と、その時、亮太郎からのメールが届いた。

「なになに…、『外はどしゃ降りだし、明日は学校休みだし、今日は泊まってけよ。今から夕食の材料買って帰るから。加奈ちゃんにも伝えといて。』だって。どうする?」

「でも、そこまでお世話になる訳には…」

加奈は遠慮しているのか、迷っているようだ

「大丈夫じゃない?アイツの両親旅行中だし」

しばらく迷っていたものの、それなら…、と加奈は泊まることを決めたようだ。


とりあえず、ここまで書き上げました。
できれば皆さんからの、批評、感想、アドバイスを聞いてみたいです。
皆さんからの反応で、今後どうするかを決めて行きたいです。
もちろん、このスレにはいらない、などの意見が大多数だった場合は、ROM専に戻り、他の作者様の邪魔にならないようにします。

128:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:17:29 D+pJAYh3
続行希望

129:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:27:33 DnAsB4Up
続行キボン

何かこのままだと4Pになりそうな(ry

130:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:42:43 YrS8iOTz
句点、読点の打ち方が不自然だな。
一行空けるのは正直いらないと思う。
文章に緩急がないので、伝えたいところは説明を多く、説明が不要と思われるところは省く。
文章がブツ切れになっているので文の終わりに変化をつけてもいいと思う。『~た』以外のも考えるべき。
説明の文は現在形になっていると臨場感が出る。(一人称視点は特に)
()の中身で思考を表現するのはどうかと。それこそ説明文に織り込むべき。
「~?」ときたら答えとの間に文を挟まない。失速する。
一人称視点なら説明の文に感情を込めるべき。無機質すぎる。
視点がブレている。物語を書く上で一番やってはいけないこと。セリフ以外で主人公の名前を出すとほぼ確実に起こるから注意。

いろいろ言って見たけど、内容自体はGJ。続き希望。

131:名無しさん@ピンキー
07/09/10 00:10:41 DBhoNmv/
>>127
GJ
だいたい>>130の言う通り。
後、投下前に「投下しても良いですか?」と訊くのは「誘い受け」と言われて、あまり良い顔されないから控えた方が良い。
改めて言うけれども、GJな作品だから、これらに気を付けて、自信を持って。

132:名無しさん@ピンキー
07/09/10 03:11:49 x6RWXgUt
1行あけることについては、別に構わないと思う。読みやすいしね。
ただテンポが淡白になりやすいんで、文章に抑揚をつけないと難しい。
この1行空けは「満月」からの流れなのかな?


133:名無しさん@ピンキー
07/09/10 06:56:19 +DXjF7wk
>>128-129ありがとうございます。これから続きを書くことにしました
ただ、4Pではないですw
>>130沢山のアドバイス、ありがとうございます。
自分は三人称のつもりで書いていたのですが、どうやら一人称とも三人称ともどっち付かずな文章になっていたようです。
以後は気を付けたいと思います
>>131GJありがとうございます。
確かに誘い受けと思われるような事を書いてしまって、すみませんでした。
>>132満月からの流れ、という訳では無いのですが、文が長いと読みにくくなると思い、一行空けました。
ただ、仰るとうり、淡白な文章になってしまいましたので、次は気を付けます。

長文失礼しました

134:名無しさん@ピンキー
07/09/10 07:45:07 +DXjF7wk
書き忘れましたが、今週はなにかと忙しいので、続きを投下できるのは来週になりそうです。
遅筆なので投下に間隔が空いてしまいます。すみませんでした

135:名無しさん@ピンキー
07/09/10 14:47:45 v+F2DFAT
このスレも盛り上がってきたな。500KB行くかもしれんな。



俺が行かせてやる。

136:名無しさん@ピンキー
07/09/10 17:27:23 ngNYHDCJ
この切り込み隊長>>136様が此のスレを500kbまで突っ走ってやるよぉぉぉ!

137:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:10:08 hyAgyWwY
#遅くなってすみませぬ。行きます。
<※作者注…この物語はフィクションです。実在の団体、名称等とは一切関係ありません>
お、パーキングエリアだ。

君津ICを過ぎてパーキングに入る。

「ちょっと休憩するぞ」
「え?」
「トイレだ」
「あ、うん…」
なにか考え事でもしていたのだろうか… 生返事っぽかった。
「私も、トイレいく…」
「おう、いっとけいっとけ。もう袋なんてないからな」
「ばっ!…」
ぐあ、言い過ぎたらしい… なみだ目だ(汗
おいおい、睨むな… こっちみんな…

車を降りて建物に向かう。
「ほぅ… さすができたばかり… いろいろとピカピカだな」
「トイレがきれい~♪」
「じゃあ、15分くらい休憩したら出るから、そのつもりでな」
「は~~い」
ふぅ… 金髪がふわふわして遠目から見ても気を引くかわいらしさだな…
性格はいいんだろうけど無鉄砲なとこあるしな…
いっそマリーを家に飾りたい衝動にかられそうだ… いや、やめとこう…
トイレのなかで、ついでに、車からマリーの・・・が入った袋を処理にかかる。

用を済ませると、ふと、エリア内で街中で見かけない自販機をみつけた。
いや、街中のとはそっくりなんだが、奇妙な言葉が入ってる。
”災害支援ベンダー”…! なるほど。
言葉から察するのと、実際の説明書きとが合致する。
停電状態でも購入が可能なのか。

ガコン!
意識覚醒用に缶コーヒーを購入した。
しかし、停電状態でどうやって動くのだろうか…バッテリー? 発々? まさかカラクリ仕掛けとか…

自販機前で思案してるとマリーがやってきた。
「なにむずかしい顔してるの」
「いや、この自販機が停電しても買える機械だからどうやって動くのか考えてた」
「ふーん」
つまらなさそうだ。
機械の仕組みについてつい考え込んでしまうクセはどうにも抜けないなぁ。
と自嘲しつつも、さて… マリーに飲み物かってやるか…
「なにか飲むか?」
「んー… ほしい、かも。 同じのでいいよ?」
「え、ブラックコーヒーなんだが…」
「あ、だめ… 甘いのがいいな…」
「激甘コーヒーがあるけど、どうだ?」
「ん、それでいい」

138:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:12:19 hyAgyWwY
ジョージア マックス コーヒー… これしかないだろ
「なににやついてんのよ?」
「いや? 激甘で後悔すんなよ?」
「ふん。(パカッ) んくんくっ、んく… あっま~い!」
「甘いだろ? それ毎日飲んでたら、糖尿病になるぞきっと」
「おもしろい冗談ね? でも、すごい甘いねこれ…」
「昔、ジョージア名称がついてない時代のマックスは、もっと甘かった。
 マックス甘いコーヒーといっても過言じゃなかったんだよ…」
「うそ?!」
「ごめん、実体験してないから聞いた話しだ」
「なによ 知らないんじゃない」
「いや、友人から聞いた話だが、比べたら現在のやつより甘かったって言葉はあるんだよ」
「これより甘いの…?」
「うん。でも、苦いの苦手でもこれならのめるだろ?」
「…うん」

ここのパーキングの喫煙所はまだ建設中だった。
隣に青空喫煙所があったので、そこで吸うことに。
懐からタバコをだして、ライターを探す。
だが、探す手がマリーにつかまれた。
「なに?」
「タバコはやめて… おねがい…」
うあ、上目遣いに見るなって… 悪いことしてる気持ちになるんだって。
「う… あ…」
「体にも悪いから、ね?」
…吸う気が失せてしまった。日に2~3本しか吸わない貴重なものだったが、
こんな美少女に抱きつかれて懇願されたら、吸う気も失せる…
「わかったよ… きみの前では吸わないよ」
「いや、そうじゃないんだけど… ううん、わかった」
わかってくれたか。送り届けたあと、めいいっぱい吸おう。
…ピアニッシモ・ペシェだけど。

139:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:14:00 hyAgyWwY
タバコをとめられたので、ちょっと周りをみてみた。なんか人工的な丘がある。
マリーを促し、ちょっと上ってみることに。
「うわあ パーキングとか、いろいろ見渡せるねぇ~!」
一人駆け足でのぼっていってしまったマリーを追いかける。といっても歩いてだが。
先に上りきった彼女が、こっちに大声で話しかけてきた。いや、感想か?
自分も登りきると、そこには先客がいた。
学生のグループ? がマリーを確認すると、友人たち(と思われる)で話あっている。
「カワユス」「超お持ち帰りケテイ」「こらこら やめとけ」など。
おいおい、おまいらも俺と同類ですか。
学生たちは俺を確認すると、丘から降りていった。
離れていく会話が細く聞こえる。
「今夜はきっと」「ラブホでしっぽり…」「金髪美幼女、たまんねぇ…」
こらこら…俺は一回、命狙われてんだぞ… そんなことしたらなにされるかわからん。
しかし… しかし、だ… 仮に~
「なに? どうしたの?」
いつの間にか駆け寄ってきてたマリーに驚く。
「うわ! い、いや、なんでもない」
やばい、顔が赤いと思う。 彼女を凝視できない。
「へんなの」
いかんいかん…なに考えてんだ俺! 相手は2回り近く年が低いんだぞきっと!
それだったら対象にすらならんっ!!
「ねぇねぇ、それより、あっちにハンカチが結ってあるの。なんだろうね~?」
考えを切り替えろ。ん? ハンカチ?
マリーに引かれるままその場所に至る。
鉄製の柵に、ハンカチがいっぱい結ってある。なんだ? これ。
「なんだかわかるー???」
彼女は本気でわからなそうだった。
よし、適当ぶっこいてみるか。
「きっと、どこかのカップルが二人で結って、末永く幸せになれるようにとか、願ったものじゃないの?」
「ええっ?! それホントっっっ!?」
やばい、目がキラキラしだしてる… 今”嘘だ”といわないと、フォローしきれなくなるっ。
「冗談だよ… 正直判らん」
「ええー? なんだよぅ!!」
ぶ~! とふくれて抗議してきた。
はっはっはっは と笑いながら頭を撫でてみる。
「マリーは素直でいいこだな」
「笑いながらいうなあぁ!」
「ぐぇ」
みぞおちにパンチがはいった。いてぇ…
「あっ?! ご、ごごごごめんっ!!」
俺は丘備え付けの長ベンチに腰掛けた。
マリーも隣に座り、心配そうに覗き込んでくる。
…こういう仕草が俺にツボだ。
彼女はわかってやってるわけではないだろうが、ドキドキする。

140:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:23:22 hyAgyWwY
「なぁ」
「なに?」
俺は落ち着いた頃、マリーに質問してみることにした。
「なんで、こんなことをやってんだ?」
「こんなこと って、ヒッチハイクみたいなもののこと?」
「そうだ」
初めはカージャックだったがな。 は心の奥にしまった。
「それは・・・・それはね・・・・・・」

#今日はここまでっ
#マックスコーヒー…コーヒーの分量よりも、練乳とか砂糖が上位に来ている缶コーヒー。
#初めはちばらき限定販売が、ここ5年ほどで全国区販売に展開。
#コーヒー飲めない友人が、これならいけると言い切った代物。冷たい状態ですんごく甘い。
#あっためたら…((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
#パーキングの丘…実在します。ハンカチもありますが、どういうためのものなのか未だに不明
#以下 意見感想へのレスポンス
#・「総武の休日」 いいなあ どうしようかなぁ… 「房総の」とか考えたけど 総武 にはかないませんでした。
#・バクハツはいやだなぁ…
#・5号線へ乗る理由は、以前友人が環八を超えるのにえらい混雑で、東京インターまで8時間掛かった経緯が…
#・小便は今回捨てました。シチュ考えたけど、=汚い イメージしかわいてこなかったので処理処理!
#・PSPナビは、現状把握とルート確認には良い物です。でも、UMD読み込みなので通過してから「そこ右」とかしょっちゅう…
#・ナルキッソス 検索完了。初めて見る作品です。なんか読み応えありそうなのですが、自分、読んでしまうとめちゃくちゃ影響うけるので、この作品終わるまでは読まない様にします。すみません。

141:名無しさん@ピンキー
07/09/11 03:11:26 GfknvrLX
GJ。GJだがこの焦らし。81!貴様、わざとやっているな!
まあ小便は捨てるよなw

142:名無しさん@ピンキー
07/09/11 03:23:06 dVf5g8SV
何この気になる終わり方マリーカワユス

143:名無しさん@ピンキー
07/09/11 11:51:15 eHusbk4y
良いねコレ! 素晴らしい二人きり。楽しみです。
あ、あと関係ないけど前言ってたナルキッソスって携帯用のエロゲじゃ無いよ。
車で二人だけで旅する鬱なフリーゲームだよ。1しかしらないけど。

144:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:31:06 oXsD9FBU
A/B投下。>>66の続きです
前回の反省や意見等を取り入れて書いてみました(取り入れたつもりになっているだけかもしれないが)

まずは今回説明が必要と思われる用語をあらかじめ以下に示します。「こんな言葉知ってるぜ。馬鹿にすんな」っていうやつもあるかもしれませんがご容赦を
前回使用した用語は改めて説明しません。>>67を参照

ブリーフィング…航空機に搭乗する前に、隊内や同じ機の乗務員らと行う簡易の(その割には30分かかる事もざららしいが)説明会。
動翼…文字通り、動く翼。垂直尾翼のラダ、水平尾翼またはそのエレヴェータ、、主翼のエルロンなどがある。どれも航空機の機動に関係する。
ギア・アップ…航空機の車輪(ランディング・ギア)をしまう事。逆は「ギア・ダウン」。
ピッチ角…機体の前後軸が左右軸に対してなす角。機首の上下を表す。
データ・リンク…正確には戦略デジタル情報リンク(TADIL)。軍事行動の情報を伝達、配信、共有するための通信システム。兵士や兵器の効果的な運用を意図している。
クラック…ハッキングの一種。対象のコンピュータや通信網に打撃を与え、使用を困難または不可能にする行為。
耐Gスーツ…高G下に於いてブラック・アウトを防ぐために下半身に血液が溜まらないようにするための衣類。脚をきつく締め付けるように作られている。
エプロン…ハンガ前の広場。
キャノピ…風防。航空機のコックピット部分を風圧から守るためのガラス。ちなみにF-15Cのキャノピはマッハ2.5を越えると吹っ飛ぶ事があるらしい。
エンゲージ…「交戦開始」のコール。
対電子戦防御(ECCM)…敵の電子戦に対抗して逆にその妨害電波を打ち消す行動。電子戦というのは妨害のし合いの繰り返しである。
ブレイク…「今とっている進路から離脱する」というコール。回避行動を促す意味(命令形)や、急な進路変更で使われる。
一ノ谷…かの有名な源義経による「逆落とし」で敵陣を背後から急襲したもの。それにちなむ。
マズル・フラッシュ…銃撃の際に銃口(マズル)から出る炎(フラッシュ)。
エア・インテイク…空気取入口。これが無いと航空機は飛べない。
近接信管…目標の機体とある程度接近すれば爆発するように設定されている信管。
ドッグ・ファイト…戦闘機同士の格闘戦。現代では起こる事がまず無いが、ステルス技術が進歩すると格闘戦が復活するだろうという意見もある。
ヨー…正確には機体の上下軸に対する機首の左右の運動。通常、垂直尾翼にあるラダを使ってヨーによる方向転換をする。
ポジティヴ…「肯定」のコール。否定するときは「ネガティヴ」。

145:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:33:04 oXsD9FBU
  *  *  *

 10月に入った。
 敵による防空識別圏(ADIZ)への侵入は9月上旬からその回数を増し、基地や施設、都市が爆撃されていった。
 爆撃機の編隊は、必ず護衛の戦闘機を連れているが、それらによって要撃機が次々と落とされていった。
 爆撃機についてくる戦闘機は、J-27A「ジュラーヴリ」が6機。上面が蒼く、下面が灰色に塗装されている。
 その飛行隊は、驚くべき機動で要撃機を翻弄した挙げ句、正確な射撃で狩る。その姿は愛称の訳語、「鶴」とは似ても似つかない、まるで「猛禽」だ。
 このまま敵からのダメージが蓄積していくと、津軽海峡以南の制圧も時間の問題になってしまう。
 そこで、今ブリーフィングが行われている。
 いつものブリーフィングとは違い、今回は大会議室で行われている。そしていつもは数名で行うのに対し、今回は30名ほどが参加していた。
 それもその筈、今回の作戦は、北海道の奪還を目的としている。
 ここに集まったのは、全てが制空戦闘機のパイロットである。敵航空戦力を相手にする、対地・対艦攻撃はお門違いの人材だ。
 国土が侵され、その領域が敵に占領されたのはこの国の歴史において、2年前にあの国が侵攻してきた戦争のみである。なればこそ、この国土奪還作戦は完遂させなければならない。
 ブリーフィング参加者には、北海道の出身者が多かった。
 東遼介空軍即応予備中尉は、この戦争が始まるまでは陸奥県内の大学で軍事学の助教授をやっていた。その大学の学生は、北海道出身者の割合が多い。
 彼本人は塩釜市の出身なので、北海道への直接的な思い入れは無い。しかし―
 国土の奪還は、奪還する側にとって圧倒的に不利である。
 というのも、占領している側はその土地から攻撃の矛先を様々に向ける事が出来るし、いざとなればその土地に居る人民を人質に取る事だって可能なのだ。
 そんな作戦を、今からこの国は行う。「楓作戦」。そう名付けられた。

146:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:34:45 oXsD9FBU

 空軍第3防空団航空群第8飛行隊、通称「レインボウ隊」は、道南の敵航空部隊を無力化する事を、他の航空隊と同様に任命された。危険な任務だ。真っ先に会敵するのだから。
 アズマ中尉らレインボウ隊は1ヶ月ほど前、新しい機体を受領した。
 40式22号イ戦闘機「蓬風」。対地攻撃能力は無いが、その分空戦に集中出来る戦闘機だ。ステルス性よりも機動性を重視した形状で、現時点ではこの機動性を凌ぐ機体は存在しないとされている。
 先に上がった36式4号ロ電子戦機「嵐霧」、33式21号ハ戦闘攻撃機、31式2号警戒管制機(AWACS)「星雲」に続き、彼らは上がる。
 滑走路手前で待機している40式戦は、その胴部のウェポン・ベイに27式短距離空対空誘導弾を左右2本ずつ4本、30式中距離空対空誘導弾を4本装備している。また、翼下のパイロンには27式が2本、30式が2本装備され、計12本のミサイルを搭載している。
 それに加え、小型予備燃料タンクも左右にひとつずつ装着している。
『レインボウ隊、離陸を許可する。風は方位220から10ノット』
 管制塔からの連絡。彼らは滑走路手前で一列に並んで、正確には少しずつ交互にずれながら、滑走路に進入した。
 航空機の操縦は、点検に次ぐ点検である。彼らは滑走路上で、滑走路の点検、エンジンを大出力にしたときの点検、電子機器の点検、油圧系統の最終的な点検などをこなす。動翼が動く。
 キャノピに雨粒が付き始める。この雨粒も、巡航速度になれば風圧で全て飛んでいってしまうだろう。
『雨が降り始めた。迅速な離陸を請う』
『了解。レインボウ隊、離陸する』
 1番機と2番機がギア(車輪)のブレイキを外して動き出す。最初はアイドル状態で3、4番機から離れ、少し自走したらアフタ・バーナ点火、心持ち長く滑走し、離陸する。
 3、4番機は1、2番機が過ぎるまで、その排気で大きく揺れる。今その揺れがなくなった。滑走路上を陽炎が揺らめく。
 アズマは右を見る。隣にはレインボウ4、浪川進太郎空軍中尉が繰る同型機だ。アズマは一度管制塔を見る。そして敬礼し、今度は僚機を見て頷く。これが合図だ。
 アイドル状態の位置にあるスロットル・レヴァを前に押す。アフタ・バーナ点火。滑走を開始する。右にレインボウ4が併走。
「V1」アズマはそう呟く。
 決心速度、つまりこれを過ぎれば、あとはエンジンが不調でも飛ぶしかない。幸い、エンジンに異常は発生しなかった。改めて整備員に感謝する。
 練習機に乗っていた時分、あらゆる事を、声を出して確認せよという教官の教えを反芻する。即応予備役になってから、そうする事が常だった。
「VR」
 操縦桿を軽く引き、カナード翼が動く。景色が空だけになる。ノーズ・ギア(前輪)はすぐに上がり、メイン・ギア(後輪)も地面を離れる。同時にナミカワ機も機首が上がる。
「V2」
 燃料節約のためアフタ・バーナを切る。それ無しでも安定した上昇が出来る速度だし、スーパ・クルーズ性能が備わっているためこのままでも音速が出る。
 ギア・アップ。完全に、彼は空の人になった。
 ピッチ角を50度にして上昇、雲の上に出る。1番機と2番機が旋回中。スムースに合流し、北を目指す。

147:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:35:58 oXsD9FBU
 後方、奥羽山脈上空で旋回飛行するAWACS、コールサイン「オライオン」が戦闘空域までの航路をレーダ上に転送する。それに従い、彼らは飛ぶ。
『オライオンよりレインボウ、君たちはこのまま、上がってきた敵機を叩け。現在スコール隊が敵航空基地及びレーダ・サイトを無力化中だ』
『敵機は確認出来るか?』レインボウ1が問う。
『千歳と奥尻から戦闘機が上がった。奥尻組はスリート隊が対処している。君たちは千歳組だ。到達まで10分』
『今の時期、海に落ちたら悲惨だな』レインボウ4、ナミカワ中尉が軽口を言う。
 今は秋、紅葉の季節だ。次第に寒くなっていく。温度の低い海水は、体力を急速に奪っていく。しかもこの日は雨だ。気温の低下は著しい。しかし今は雲の上、実感は無い。
「じゃあ、落ちないように飛べよ」アズマはナミカワの言葉にそう声をかける。
『オーケイ、じゃあ、出来るだけ陸の上空で戦おうぜ』
『落ちる事を考えるな、アホ』
 隊長、後藤明人空軍中佐が会話に割り込む。
『お前ら、いくらアクティヴ・ステルス下にあるからって、油断してるなよ。いつ「タイフーン」が落ちるかわからねえんだから』
 現在、「タイフーン隊」の36式電戦「嵐霧」6機によって、敵防空レーダや海上レーダでこの作戦の動向が捕捉されないように電子戦が行われている。そしてそれと平行して敵のデータ・リンクをクラックして虚偽の情報を与えている。
 こうする事によって、実際には存在しているものをモニタ上では存在していないものとして扱わせ、逆に存在しないものをあたかも存在しているように見せる事で、敵の目を欺くのである。
 この欺瞞情報で敵が四苦八苦している間に、敵拠点、例えばレーダ・サイトや滑走路、変電所や通信網などを潰す。
 これがアクティヴ・ステルスだ。
 2年前、この国がこの戦術によって敗れていた。今度はこちらがそれを、しかもより堅牢なシステムで用いるのだ。
 タイフーン隊はその護衛として33式戦攻を、各電子戦機に2機付けている。しかし護衛にも限度はある。今や敵地となった北海道の深くにまで侵入し、無事で居られるはずがないと考えるのは妥当な事である。
 まだ、タイフーンの墜落は報じられていない。
『レーダに機影を確認』ゴトウ中佐の一言で、隊の全員に緊張が走る。『数は12。いや、16。全機、方位010、ヘッドオン』
『航空隊全隊、交戦を許可する』とオライオン。
『スリート隊、エンゲージ』
 奥尻島方面に向かっている手筈のスリート隊の交戦宣言が混線によってヘッドフォンから聞こえる。
 アズマは唾を飲み込んだ。

148:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:37:09 oXsD9FBU
  *  *  *

 スクランブル。敵の先制攻撃。オリガ・ニコライエヴナ・ザパドノポリェワ空軍大尉はそれを基地内の食堂で聞いた。
 この日、彼女の所属するスピルト隊はスクランブル配置ではなかった。それでもいつでも飛び立てる準備だけはしてある。スクランブル配置の機が飛び立っていく。
 ザパドノポリェワ大尉はロッカ・ルームに即座に移動し、フライト・スーツを着る。つなぎの上に耐Gスーツを装着し、パラシュート、ヘルメットを持って部屋から出、機械類の点検を完了させたらハンガに向かってまっすぐ歩いていく。
 愛機J-27Aジュラーヴリは既にハンガ前のエプロンで雨に濡れていた。交互に並んでいる。周りは整備員たちが雨具を着けつつ忙しい。
 その中のファイルを持ったひとりの男がザパドノポリェワに気付いて彼女を一瞥した。彼女はその男のいる主翼の下に行き、手荷物を地面に置く。
「整備は上々だ。一応故障箇所は見当たらなかった」
「ダー。じゃあ、確認するから」
 男からファイルを受け取り、彼女は時計回りに機体を見て回る。
 「見て回る」と作者は書いたが、正確を期する表現にするなら「異常個所が無いかを隈なくチェックして回る」である。
 兵装はウェポン・ベイにP-12「ストレーラ」長距離ミサイル4本、翼下パイロンにP-17「ドロティーク」中距離ミサイル2本、P-13「ソスーリカ」短距離ミサイルが2本だ。
 チェックが終わり、彼女はファイルを男に返す。そして互いに敬礼しあった後、ザパドノリェワは梯子を上って操縦席の中に納まる。梯子が外される。彼女はキャノピを閉める。
 チェック項目を消化していく。動翼やエア・ブレイキの動作確認もここでなされる。消化しつくした頃には、スクランブルから20分が経過していた。
 整備員が有線インカムのプラグを機体から引き抜く。誘導員が機の前に出て誘導する。
 まもなく、彼女は空の人になる。

149:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:37:38 oXsD9FBU
  *  *  *

『敵航空機、ミサイル発射』
 AWACSからの警戒通信。
 敵からの攻撃は中距離射程のセミ・アクティヴ・レーダ誘導ミサイルである。母機が目標にレーダ電波を照射し、その反射波を頼りに標的に向かっていく。
『ミストA[アルファ]1、エンゲージ』どこかからのコール。
 ミストA隊は33式21号ニ電子戦機「剛霧」によって他の飛行隊機に混じって飛び、細かい電子戦を行うのが任務である。今はレーダ電波を逆の周波数で打ち消している。
 誘導を失ったミサイルは、ただまっすぐ飛行するだけのものに過ぎない。
『道を空けろ。ミサイル様のお通りだ』
 冗談交じりに、ミサイルの予測航路がAWACSから送られる。そしてそこを、高速でミサイルが通り過ぎる。
 間もなく、短距離赤外線誘導ミサイルの射程範囲になる。アズマがそう考えた瞬間、ゴトウ中佐が宣言する。
『クロッカより全機へ。これより自由戦闘を開始する。だが単独で戦闘はするな。必ず2機1組で敵を狩れ。分かったか?』
『レインボウ2、ラージャ』
「3」
『4』
『よし。じゃ、生きて会おう。タケ、着いて来い。クロッカ、エンゲージ』
 それに続いて編隊機もコール。タケこと石塚健も続ける。
『ウィルコ。タケ、エンゲージ』
 1、2番機が降下する。3、4番機の指揮はアズマに一任された。
「そちらも、生きて会いましょう」
『帰ったら隊長の奢りっすからね』
『俺から2万借りてる分際で何を言う!』
 隊長機が機体を振る。それを見届けてから、彼らは上昇した。

150:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:38:09 oXsD9FBU
  *  *  *

 チトセから離陸して10分、間も無く会敵する。レーダ上の進行方向には、敵の姿が時折現れては消えていく。
 味方の警戒管制機や電子戦機は既に上がっているはずだが、対電子戦防御(ECCM)が作動していない。オリガ・ニコライエヴナ・ザパドノポリェワ空軍大尉は訝しく思う。
『スピルト1より警戒管制機、対電子戦防御を要請する』
 隊長機も異変に気付いていた。しかし警戒管制機の応答は、それを拒否するものだった。
『敵のクラックにより、こちらのデータ・リンクにコンピュータ・ウィルスが流された。過負荷状態のため、無線による通信しか出来ない』
「役立たずね」ザパドノポリェワは一蹴する。「隊長、データ・リンクの解除を進言します」
『君は黙っていろ』
 隊長、アンドレイ・ユーリイエヴィチ・グレブネフ空軍少佐が嗜める。
『敵を引き付けるだけ引き付ける。機動性ではこちらの方が上だ。それと、今からスピルト隊は警戒管制機とのデータ・リンクを一次的に解除する』
 宣言の後、編隊は高度を下げる。眼下は雲海。天気予報では、下界は雨だ。GPSの反応が無い。位置が分からない。この機のコンピュータにもウィルスが入り込んでいる。
『火器管制システムは無事だな。ストレーラを発射する。誘導は発射8秒後に設定』
「設定完了」他の編隊機も同様に返す。
『発射準備。発射後は分散しエレメントで行動しろ』
 ザパドノポリェワは操縦桿の親指で撃つ兵装を選択する。HMDの表示が変わる。そしてその表示が「П-12 СТРЕЛА ДДР」になったのを確認し、スイッチに親指を添える。
『撃て』
 発射スイッチに添えていた親指に力を入れる。彼女はこの瞬間、いつも思う。このスイッチは軽すぎる、と。

151:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:39:16 oXsD9FBU
  *  *  *

『第二派攻撃! アクティヴ・レーダ誘導ミサイル! 全機ブレイク!』
 オライオンが叫ぶ。ミサイルがレーダ電波を目標に発し、その反射波によって自身を目標に向かわせるものだ。このような攻撃は、大抵電子戦機に向けられる。
 戦闘機を電子戦機に改造した33式ニ電戦はともかく、電子戦のみを想定した36式電戦にはミサイルを避けるような機動性など望めない。
 それに回避行動をとっている最中は、どうしても電子戦・情報戦どころではなくなる。
『最終誘導開始を確認! 周波数特定! いけます!』そう、混線で現状が聞こえる。
 そんな中で、高高度を飛行中のレインボウ3、4はその進路を変えずに北上する。
『あいつらかね、今のアクティヴ・レーダの連中』ナミカワ中尉からで通信が入る。
 あいつら―件の蒼灰J-27Aの編隊だ。
「そうだろうな。ぶっちゃけ出来る事なら手合わせしたくない相手だ」
『ンな事言っちゃって、あいつらを落としたの、お前が初めてなんだぜ?』
 半月前、レインボウ隊はスクランブルで爆撃機と例のJ-27Aの編隊を相手にした。戦果は、爆撃機6、戦闘機2。その半数、爆撃機2、戦闘機2を、アズマが落としていた。
 また、墜落こそしなかったものの、戦闘機1機の右の垂直尾翼と水平尾翼をもぎ取っていた。
 損害は、2番機と4番機の被弾のみ。2人とも無事だった。
 「蒼灰の飛行隊」にそこまで損害を与えたのは彼らが初めてだし、蒼灰相手にそれだけの損害しか受けなかったのも彼らが初めてだった。
「奴らは息が合ってるからな、下手な機動じゃ落とされる。それにミサイルの機動性に頼るばかりじゃ、あの時の二の舞になるしな」
『へいへい、肝に銘じとくぜ。で、どうする? そろそろ敵の上だけど』
「挟み撃ちしようと思う。このまま敵のいる高度にスプリットS」
『オーケイ。一ノ谷戦術だ』
「逆落としか、面白いな。オーリエント、エンゲージ」
『んだべ? ブーメラン、エンゲージ』
 予備の燃料タンクを切り離す。そして機体を同時に反転、背面飛行でしばらく直進してから、彼らは花火の中に飛び込む。

152:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:40:02 oXsD9FBU
  *  *  *

 雲の下では、混戦が繰り広げられていた。
 ザパドノポリェワ機の追いかける機が右に旋回する。減速が甘い。
 彼女はそれよりも小さい半径の旋回をする。体にかかる大きなG。眩暈にも似た一瞬を過ぎ、彼女の機体の前を敵機が横切る。
 咄嗟に彼女は操縦桿のトリガを引く。HMDの表示に従えば、機首表示の方向に20ミリメートル口径の弾丸が流れていく。
 一瞬、敵機のパイロットと目が合う。いや、それはザパドノポリェワの錯覚か。しかし、そのパイロットは確実にこちらを見た。
 この時点でマズル・フラッシュを確認しても、もう遅い。両機の距離は100メートルを切っている。1秒未満で弾丸は狙った場所に到達する。そこは、コックピットだ。
 敵機の機首が折れる。破片がエア・インテイクに入り、エンジンが異常燃焼、爆発する。パイロットは既にただの肉塊になっているはずだ。
 彼女はそれを無視し、僚機に合流しようと上昇する。
 雲を抜ける。目の前には太陽。いつの間にかあんなに高い。眩しさに思わず瞬く。そのせいで、4番機が被弾した事に一瞬遅れて気付いた。

153:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:41:14 oXsD9FBU
  *  *  *

 正面の雲の白を背景に、蒼い機が横切る。あの塗装は、「蒼灰の飛行隊」の機だ! ロック・オン状態になっている。それに気付いたのか、回避行動を始めた。
 アズマはそちらに方向を調整する。背後には太陽。いい条件だ。トリガを引く。
「オーリエント、ライフル」
 レティクル内のガン・クロスが敵機に重なる。一瞬の事だ。
 だが、弾丸は敵機の双垂直尾翼の間、双発のエンジンのどちらかを直撃した。火を噴く。その脇を2機は通り過ぎる。雲の中に入る。
「やったか?」
『うんにゃ、まだっぽい。俺がやる』
 機体を再び上昇させ、雲の上に出る。そして確認する。命中したのは左のエンジンだ。
 ナミカワ機が敵機の背後を取る。アズマはその上で後方を警戒する。こちらに一直線に向かってくる敵機1。
 ナミカワ機が銃撃。敵機の胴部に命中。爆発する。
『ブーメラン、スプラッシュ1! やったぜ、蒼灰!』
「ナミカワ、ブレイク!」
『うおっと!』
 ナミカワ機がロールした後、そこを銃弾が通り過ぎる。次の瞬間には蒼い機も。
「あれは……さっきの奴の僚機か?」
『だとしたらおもしれえ!』
 その蒼灰はエア・ブレイキを開いて旋回、こちらに機首を向ける。同時に、互いにロック・オン。敵機体下で動き。ウェポン・ベイを開いたのだ。そこにあるのは―
「SRAAM[エスラーム]!」
 アズマはすかさずアフタ・バーナ点火。兵装はこちらもSRAAM、つまり短射程空対空ミサイルのはずだ。発射。そして敵機の上を通り抜け、上昇する。ナミカワ機も同様にミサイルを撃つ。
 ミサイル発射のコールをする間もなく、敵からミサイルが来る。現代のSRAAMの機動性は、目を見張るものがある。
 ロック・オンしたのであれば、目標が後方にあっても反転してそれを追尾する。どんな回避機動をとっても、追尾してくる。
「ナミカワ! フレア!」
 SRAAMはその性質上、赤外線誘導である。航空機のエンジン部分や排気、そして機体と大気の摩擦熱から放射される赤外線をシーカで画像として探知し、それに向かっていく。
 いくらミサイルそれ自体の記憶領域に目標の情報があっても、赤外線誘導であれば比較的簡単に欺瞞出来る。フレアはその欺瞞のひとつで、航空機と同様の周波数特性を持ち、強力な熱源を短時間発生させるものだ。
 機体胴部のチャフ・フレア・ディスペンサから長方形のフレアが3つ射出される。瞬時に1000℃にもなったそれらに、ミサイルはおびき寄せられる。
 これで先ほどのミサイルの脅威は少なくとも去った。アズマは機を立て直す。そして後方を見た。
 こちらのミサイルが近接信管によって敵機の間近で爆発したようだ。破片によってダメージを被ったらしい。右主翼から燃料が漏れている。
 彼らはその機を追った。

154:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:46:52 oXsD9FBU
  *  *  *

 2機の40式戦に追い回されたJ-27Aは、1機の40式戦の機動に翻弄された挙句に機銃弾の被弾によって航行不能になる。
 その愛機は空中分解の後、爆発。ザパドノポリェワはその様子を、ベイルアウト後、パラシュートで降下する最中にはっきりと目に焼き付けた。
 負けたのだ。それも、えらくあっさりと。
 一瞬見えた機体の機首横に書いてある「166」という番号が、頭を過ぎる。その機体は、以前、そう半月ほど前、僚機を2機も落とし、彼女の乗る機体から右の垂直尾翼と水平尾翼をもぎ取った機ではなかったか。
「2度も……2度も負けた……!」
 悔しさでいっぱいになる。パラシュートの紐を握る手に力が入る。それから10秒ほどして、彼女は紅葉の森に消えた。

155:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:49:18 oXsD9FBU
  *  *  *

 しくじった。
 アズマはそう、歯ぎしりをする。
 ドッグ・ファイトの最中、敵機に接触し左の主翼を半分ほど失ったのだ。燃料が噴き出している。今はスロットルをアフタ・バーナぎりぎりまで押し、直線飛行中だ。
 40式戦は、極めてパワフルなエンジンを2基搭載している。1基当たり約15000キログラムという推力は、今のようにミサイルを数本搭載したままでも推力重量比が1を超える。
 これは揚力を生み出さずに、速度ゼロの状態からエンジン推力のみで垂直上昇が出来るという事だ。
 現在、700ノットで飛行中だ。左主翼を半分失った状態でも安定して飛行出来ている。例えるなら、主翼の必要無いミサイルのような飛び方である。
『おい、アズマ、大丈夫か?』
 平行して飛ぶナミカワ中尉が訊く。
「俺は何とか。でもそろそろ燃料が切れそうだ」
『あとどれくらいもつ?』
「5分もてばいいくらい」
 今、内浦湾の上空だ。そこから三沢まで、150キロメートルほどだろうか。間に合わない。
「隊長と合流してくれ。この戦況なら、このあたりに不時着しても大丈夫だ」
『アホかお前は!』ナミカワは叫ぶ。『お前を置いてけるかよ!』
「俺を護衛して飛んでたら、それこそお前が落とされるだろ。ほら、チェック・シックス(後方警戒)」
 後方に敵機。蒼灰ではない。2機編隊。よく今まで生き残ったものだ。銃撃。アズマ機は右にヨー(垂直尾翼で移動)。次の瞬間、その2機が爆発した。
『左が無いのはアズマか』
 隊長、ゴトウ中佐だ。続いてイシヅカ機。この2機によって先の敵機は落とされたのだ。
「ポジティヴ。敵にぶつけられました」
『まったく、下方注意を怠るなと言ったのに……。まあいい。燃料はどれくらいだ?』
「あと3分ほど」
『じゃあ仕方ない。先に帰ってるぞ。お前はその辺に脱出するなり何なりしてろ。すぐに救助をよこす。メシ奢るから、ちゃんと生きて帰って来い』
「ウィルコ。ありがとうございます」
『ちょっ、隊長!』ナミカワが抗議に叫ぶ。
『おいナミカワ、アズマとうちの上陸部隊を信じてやれ。お前がそんなんじゃ、助かる奴らが助からねえ』
 ナミカワは何も言わない。後藤が続ける。
『俺らは一時三沢で補給を受けてから、もう一度来る。救難信号を発しておけ』
「了解」
 3機編隊が左に遠ざかる。アズマはそれに敬礼をし、海岸線を目指すためヨーで移動する。
 内浦湾の西側に導滞着陸出来そうな場所が無いか探してみたが、結局それは見つからない。燃料切れまで1分を切った。
「受領したばっかだけど……」
 彼は仕方無しに高度を下げる。雲の下は大雨だった。高度100メートル。真正面に乙部山。渡島県と胆振県の県境にある山だ。
 スロットル・レヴァを引き、アイドル状態に。音速から亜音速に移行。500ノット。450ノット。400ノット。
 機体が前後軸に対して時計回りに回転し始める。左右で生み出す揚力が違うのだ。低速度域だと揚力の影響をダイレクトに受ける。
「レインボウ3、エマージェンシ、ベイルアウト」
 コールの後、左手にあるイジェクション・シートの安全装置を解除し、機首を60度上げる。相変わらず回転中。
 背筋を伸ばし、ラダ・ペダルから両足を離し、股の間にあるイジェクション・レヴァを引いた。
 ショルダ・ベルトが締まる。キャノピが火薬で弾け跳ぶ。背骨を縦方向に圧縮するかのような衝撃。座席ごと彼は機外に放出される。歯を食いしばり、12Gに耐える。
 急激な制動に一瞬目が回る。運よくコックピットが上方にきたときに射出されたようだ。姿勢が安定すると彼はパラシュートの紐を引いて、落下地点を調整する。
 風はそんなに強くない。雨に濡れた紅葉が美しい。彼は出来るだけ、広葉樹林のあるあたりを目指す。
 機体が回転しながら放物線を描いて遠ざかるのが見えた。もう噴き出す燃料すらない。
 遠ざかっていった機体は吸い込まれるように山の中腹に墜落し、爆発。遅れてその音が聞こえた。

156:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 13:26:22 oXsD9FBU
 以上、第2話(?)。
 次から「2人きり」スレ的に本番です。

 お察しの通り、「戦闘妖精・雪風」を読んだ事がありますし、空戦のシーンはこれに影響を受けています。
 ちなみに舞台設定としては、「国号が『日本国』『大日本帝国』ではない日本」です。行政区分を江戸時代以前のそれに準拠させたのは「っぽく」しようとしたから。
 敵国も、「ロシア連邦」や「ソヴィエト社会主義連邦共和国」ではないものですが、少なくともスラヴ系の人種によるロシア語の国である事は言っておきましょう。

 軍用機の名称は、「仮日本」の場合は制式配備された年号の下二桁、制式配備された同種の機体の通し番号、仕様の違いを正式名としています。
例:40式22号イ戦闘機「蓬風」…年号の下二桁(40式)、同型の機体の通し番号(21号)、仕様の違い(イ)。愛称「~風」は戦闘機を意味する。
 また、戦闘機を他の用途として改造して使う事もよくあるので、(例:F-4EJ戦闘機→RF-4EJ偵察機、F/A-18E戦闘機→EA-18G電子戦機)それにも対応。
例:33式21号ニ戦闘攻撃機「剛雷」→33式21号ニ電子戦機「剛霧」。愛称「~雷」は戦闘攻撃機、「~霧」は電子戦機を意味する。
 「仮敵国」の場合は戦闘機を表す「J」とその通し番号、仕様の違いを正式名としています。なお、この機種を現すアルファベットは中国空軍のそれをそのまま使用しています。「J」は「Ж」にあたるのかな?
例:J-27A「ジュラーヴリ」:27番目に制式配備された戦闘機のA仕様。愛称は結構適当だったり。ちなみにロシアの戦闘機Su-27の愛称は「ジュラーヴリク(鶴ちゃん)」です。

 以上、チラシの裏でした。
 他の方の作品、期待しております。作者さんがんばって。

157:135
07/09/11 15:24:26 TSH1xwFe
ちょwマジで盛り上がってきたww

MAXは本当に甘いです。ブラック飲めない俺がいうんだから(ry

お二人とも続き頑張ってください。


俺も書かねば…。

158:名無しさん@ピンキー
07/09/11 17:14:41 wTl1Hg6B
>>140
GJ!
マリーかわいいな。 てか、そこで切るのかよw

今回の舞台のPAをググって妄想の足しにしたw
出来て間もないからか、情報少なくてハンカチの件は判らなかったよ。


>>156
こちらもGJ!
いよいよ次回から”二人きり”シチュ突入?
あと、前回聞いた世界設定や機体名についての回答thxです。

…ジュラーヴリクちゃん (*´д`*)ハァハァ

159:名無しさん@ピンキー
07/09/11 19:24:22 juJYBV2O
なんかキモい軍オタがいるな

160:名無しさん@ピンキー
07/09/11 20:20:43 1E2OUiqb
某・スレで

なんか設定よくわかんないよ、ボケ

のレス二つも貰った自分的には十分神SS、GJ!!!

161:初心者
07/09/11 21:34:58 +khWhBhn
>>127です
来週投下と書きましたが、思ったより暇だったので筆が進みました
ただ、自分の好きに書いたので、かなり設定に無理があります…
気に入らなければ、読み飛ばして下さい




「……、とりあえず、お風呂に入りたいんですけど、入っても大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思うよ。あ、服の替えはある?」
「あ、そういえば…」
どうしよう、と困った風に呟く
「確か…、そこのタンスに恵美ちゃんのが…。確認取るからちょっと待ってて」
「はい、ありがとうございます。・・・でも、なんでそんなこと知ってるんですか?」
「え!?い、いや、俺は何回か泊まったことあるし…、その…」
思わぬ質問に、俺はしどろもどろになりながら答える
「フフッ、冗談ですよ。先輩がそんな邪なことを考える人じゃないのは知ってますから」
そう言いながら笑う彼女に、俺は思わずドキッとしてしまう
そういえば彼女の事をしっかりと見たのは、これが初めてかもしれない
腰までかかる髪に、中学生とは思えない長身。今時の女の子にしては長めのスカートから伸びる脚は、足フェチの人にはたまらな(ry


162:初心者
07/09/11 21:36:02 +khWhBhn
とにかく、彼女はとても魅力的だった
やばっ、俺は何をドキドキして・・
「先輩、メールが来たみたいですよ」
気付けば携帯から聞き慣れた着信音が流れていた
「あ、やばっ」
急いでメールを見る
「好きなの着ていいって。あと、頑張ってって書いてあるけど・・・。なにコレ?」
「あ、い、いや、何でもないですっ!」
何故か解らないが、彼女が急に焦り出した。なんなんだ?
「ま、いいけど。風呂に入らないの?」
「えっと・・・その・・・」
どうしたんだろう?さっきからずっとボーっとしてるし。あ、もしかして・・・
「俺が風呂を覗くと思ってる?大丈夫だよ、そんなことしないから」
「い、いえ、そういう訳では無くて・・・」
「じゃあ、なんで?」
「・・・」
なんでもないです。そう言い残し、彼女はお風呂場に向かった
本当にさっきからなんなんだ?急に焦りだすし・・・


163:初心者
07/09/11 21:37:46 +khWhBhn
ま、いいか。考えても何か解るわけでもないし。考えるのを止めて、漫画を読み出した。



加奈が風呂に入ってから5分弱、腹が減ったなぁ、などと考えていると彼女が大きな声を出して、俺を呼んだ
「せ、先輩!ちょっと来て下さい!」
何かあったようで、彼女の声は若干涙声になっている
俺は急いで風呂場に行き、ドア越しに彼女に呼び掛ける
「加奈ちゃん、大丈夫!?何があったの!?」
「先輩、お願いです、シャワーを取って下さい!」
へ?シャワー?どゆこと?
いまいち状況が掴めず混乱する俺に、彼女は必死になって呼び掛ける
「先輩、お願いです!早く!」
「わ、わかった!」
そう言ってドアを開けると、いまさらながらここは風呂だということを思い出す。
風呂の中ということは、当然加奈も裸なわけで・・・
「う、うわぁぁぁ!」
思わず外に飛び出てしまった俺に、再び彼女が呼び掛ける
「先輩、早くシャワーを!」


164:初心者
07/09/11 21:40:38 +khWhBhn
「じ、自分でで取ればいいじゃないかぁ!」
「場所がわからないんです、早くしてください!目が痛くて・・・」
俺は彼女の方は見ないようにしながらシャワーを渡す





「・・・で、どうしたの?」
彼女にシャワーを浴びせられ、びしょびしょになった服を脱ぎながら聞いてみる
「・・・すみませんでした。実は私、一人で髪が洗えないんです・・・」
ん?なんだって?
「もっかい言って?」
「だから、一人では髪が洗えないんです!」
彼女はかなり恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながら叫ぶ
しかし、中学生にもなって髪が洗えないとは・・・。これはかなり萌え(ry
じゃなくて、
「なんで一人で洗えないの?」


165:初心者
07/09/11 21:41:34 +khWhBhn
「お母さんが私とお風呂に入るのが好きで、ずっと一緒に入っているんです。それで、自分では髪を殆んど洗ったことが無くて・・・」
一人で洗うと、必ず目にシャンプーが入ってしまうそうだ
「じゃあ今日は洗わなければ良かったじゃないか」
「先輩は男だからわからないかもしれませんが、女性にとって髪はとても大切なものなんですよ。だから、洗わない訳には、いかなかったんです」
そんなものなのかな?実際男の俺にはよくわからない。ま、いいか。
「それじゃごゆっくり」
「ま、待って下さい!」
風呂場から出て行こうとした俺を呼び止める
「先輩、一緒に入りませんか?」
は?なんですと?


166:初心者
07/09/11 21:43:48 +khWhBhn
「べ、別に変な意味ではなくてですね!先輩ずぶ濡れですし、寒いと思いまして・・・。それに、まだ髪をしっかり洗えていませんし」
なるほど、俺に髪を洗って欲しいという訳か。
しかし、ここで素直にハイという訳にはいかない。
なぜなら、ここは風呂場で、彼女は当然風呂に入る格好をしているのだ。
俺は聖人ではないので、欲望を抑えるのは不可能な近い。
「無理に決まってるだろ?」
結論は、もちろん無理
「で、でも・・・」
「君は女の子で、俺も一応男なんだよ?慎みをもちなさい」
そう言って部屋に戻ろうとした俺の腕をを彼女が掴む。
え?さっきは風呂にいたじゃん・・

167:初心者
07/09/11 21:44:59 +khWhBhn
もう一度言います。いえ、何度でも言います。
ここは風呂場で、彼女はさっきまで風呂に入っていました
ということは・・・
「な、何してんだよ!ちょ、君は今裸じゃん!てか、服が濡れる!」
「お願いします、一緒に入って下さい!」
彼女の顔が赤いのは、風呂のせいか羞恥のせいかわからない。
しかし、俺の顔も真っ赤だった。これは風呂のせいにしておこう
「は、離してよ!」
「一緒に入ってくれれば離します!」
彼女はなぜか決意を固めた顔をしていて、俺がYESと言わなければ絶対に離そうとしなかった
「わ、わかった!わかったから離して!さっきから胸が」
「え?・・・キャッ!」
彼女は悲鳴をあげて胸を隠した
あぁもう可愛いな!
「す、すみません・・・。それじゃ、入りましょう」
「あ、ああ・・・」
しょうがない、入るか…。い、いや、決してやましい気持ちがあるわけじゃないですよ?
たただ、一度約束したことは守らなきゃ…、って誰に言い訳してるんだ?
「先輩?どうしました?」
「い、いや、なんでもないよ」
俺は覚悟を決めて、風呂に入って行く。
どうなることやら・・・

168:初心者
07/09/11 21:48:30 +khWhBhn
はい、という訳で、自分の欲望のままに書いてしまいました・・・
次回からは本番に入って行く予定です
しかし、二人きりという設定を全然生かせていませんね・・・
アドバイスも、一応気をつけたのですが、殆んど変わっていないですね
チラ裏から失礼しました

169:名無しさん@ピンキー
07/09/11 21:52:28 GfknvrLX
>>156
GJ!なんかオリガさんはツンデレかもと妄想している。年齢がわからないけど。

170:名無しさん@ピンキー
07/09/11 22:15:57 GfknvrLX
>>168
ごめん。更新せずに上の作品にレス返してなんかタイミング悪くなった。
GJ!強引な展開だけどなんかもう風呂場というシチュだけでご飯何杯も食える。
次は早くも本番…できれば風呂場ならではの不自由な二人っきり具合を見せてほしい。
浴室が狭くてどうしてもあちこち密着するとか、タイルが痛くて横になれず仕方なく浴槽内で座位、あるいは立位で初エッチとか。

171:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/12 01:36:35 pajJQeiR
#ちょっと今日はお休みしようかと思って今までの分をwikiに放り込んだら、
#コメントをつけられないページ(TEXTonly)にしちゃって、その上削除ができないorz
#ドウシヨウ
#コメントはなくてもokかな・・・?
#それじゃ、また明日ー
#(つ、続きは頭の中にできてるんだからねっ?! ほんとだからねっ?!)

172:名無しさん@ピンキー
07/09/12 11:42:34 hTcSYYSi
>>156
次から、遂に二人きり突入ですね!
エロシーンにも期待!

>>166
風呂場か…
青年よ、君の理性がどこまで持つか見せてもらう。

二人ともGJ!

>>169
>>9-10を見るとツンデレだけどね。
どこまでそれを元にするかは、作者さんに委ねてるし。

173:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/12 14:59:48 IlpO5BpS
ツンデレな人物を書いたことがないのでどこまでそれっぽく書けるかが今の課題
ただ、>>9-10よりかはツンデレ分を減らして書くかも

174:”管理”人
07/09/12 16:16:42 KS/lEp/w
>>171
差分から推測してコメント欄をつけてみたけど、これでおk?

175:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/13 00:12:09 ZNSz0XRP
 けたたましく響くブザーの音で我に返り、智信はようやく留美の首から手を離した。
 それは―留美の生命が尽きた証であり、同時に、扉が開く合図でもあった。
 気が付けば、悪魔は跡形も無く消え去っていて、もう、声も聞こえなくなっていた。
 智信は、留美の亡骸の横にある水色の箱を手に取り、ついにロックが解除された『開かない扉』へと歩を進める。
 と、その途中。智信は何かに躓いて、転倒した。どうやら、自分で適当に置いておいたペットボトルに足をとられたらしかった。
 その拍子に、持っていた箱を落としてしまい、蓋が開いて、中身が床に散らばる。
 空になったペットボトルとカロリーメイトの箱……小さく折りたたまれた用紙……
 智信は、それらを拾い集め、箱に戻すついでに、折りたたまれた紙を開いてみた。
 留美が外の世界に、どんな思い残しがあったのか、知っておきたかった。
 これから先。智信は、その無念をずっと、背負っていかなければならないのだから。
 用紙は、びっしりと、小さな文字で埋められていた。家族、友人に宛てたメッセージらしい。
 智信は夢中で文章を追った。その内容から、留美がどのような日常生活を送っていたのかを、ある程度窺い知ることができた。
 家は父子家庭で、年頃の女の子にしては珍しく、父親べったりであること……
 同級生の中でも、理香と秋の二人とは特に仲が良く、いつも三人で出かけること……
 この白い部屋でしか留美を知らない智信には、それらの記述はまるで、別世界の出来事のようで、とても新鮮に映った。
 読み進めていく内、智信の目が、ふと止まる。用紙を持つ手が、小刻みに震える。
 最後に書かれていたメッセージは……誰あろう、智信に向けたものだったのだから。

 智信さんへ。
 智信さんがこの文章を読んでいるっていうことは……私はもう、この世にいないのでしょう。
 残念ですけど、これも運命だと思って受け入れます。
 私は私なりに、一生懸命頑張って生きたつもりです。お父さんも、みんなも、わかってくれると思います。
 それに……私が死んでしまうのも勿論嫌ですけど、智信さんが死んでしまって、私だけ生き残るのも、同じくらい嫌ですから。
 やっぱり、どちらかしか助からない、なんて、そんな終わり方しかなかったのが、とても悔しくて、悲しいです。
 二人で一緒にここを出たかったです。それで、智信さんと一緒に、遊園地で遊んだり、食事をしたりしながら、この部屋で過ごした辛い日々を談笑の種にしてしまいたかった。
 と、そんなことばっかり書いても、智信さんの気が滅入っちゃいますよね。ごめんなさい。ルールを見た時のショックが、まだ抜けないみたいです。
 えっと、それから。智信さんには、心からの、ありがとうを言わせてください。
 思い返せば、智信さんには、最初から最後まで、励まされてばかりでしたね。
 私は、最後に智信さんみたいな人と会えて、嬉しかったです。こんな場所だけど、優しい智信さんと一緒でよかったです。
 もう、私はいないから……何を言われても、迷惑にはなりませんよね?
 だから、最後に、一言だけ。智信さん、大好きです。
 
 智信は、あらん限りの声を振り絞り、絶叫した。留美のベッドに駆け寄ると、そのすぐ横に跪き、拳で、床を何度も叩いた。
 自分への怒りと、この計画の首謀者への怒りが綯い交ぜになって、頭がどうにかなりそうだった。
 ……いや。もしかしたら、悪魔の幻覚に囚われ、留美の首に手をかけた時点で、智信は狂っていたのかもしれないが。



176:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/13 00:12:54 ZNSz0XRP
 どのくらいの時間、呆然としていただろうか。
 智信は立ち上がり、留美の手を取った。手からは温もりが消え、薄っすらと冷たくなっていた。
 智信はその手を、胸の上で組み合わせた。その姿に、智信は、留美と最初に出会った日のことを思い出す。
 脳裏に、このベッドで、気持ち良さそうに眠っていた留美の姿がフラッシュバックする。
 でも……今、目の前にいる留美は、あの時と違って、眠っているわけじゃない。心臓は止まっていて、息をしていなくて、体は冷たくて……
 そう。僕は、彼女を殺した。首を絞めて殺した。ずっと一緒にいたのに殺した。無抵抗なのに殺した。生き残る為に殺した……!
「僕は……優しくなんて……なかった」
 殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。
「すまない……最後の最後で、弱かった僕を、許してくれ……」
 もはや永遠に返事をしない留美にそれだけ言うと、智信は水色の箱を抱えて、逃げるように『開かない扉』へと向かった。
 液晶画面にあった『十九』の数字は消えていて、残っているのは、智信と留美を最後まで苦しめた、ルールの表示だけだった。
 智信は震える手で、ドアノブに手をかける。開かないのではないか、などという根拠のない不安が頭を過ぎり、一瞬、ノブを回すのを躊躇う。
 それでも、思い切って、手に力を込める。何度回そうとしても、ぴくりとも動かなかったノブは、驚くほど簡単に回り―扉は、ゆっくりと、開いた。
 そして、扉の外に進もうとして、智信は、自分の目を疑った。何故なら、扉の外に広がっていた光景は―

177:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/13 00:13:59 ZNSz0XRP
■幕間三『一級市民』

 広く、長い廊下を、二人の人間が並んで歩いていた。
 二人とも白衣を身に纏っており、片方は長い黒髪を後ろで束ねた女性、片方は金髪の男性だ。
「本当にいいのですか? このまま叶派が実権を握れば『白組』であるマークスさんの地位は不動のものになりますが」
 女性が、隣を歩く男性に声をかける。と、マークスと呼ばれた男性は目を細めて、大袈裟に首を振った。
「私はね、私が正しいと思うものに賛成し、誤りだと思うものに反対する、それだけだ」
「それでは……どうしても、彼女、叶綾香博士に対して、一級市民資格、剥奪決議案を提出する、と?」
「百合女史。何度も言わせないでほしい。私の決意は変わらない。『白組』ではないが、叶派の貴女としては、利敵行為に見えるだろうが、ね」
 百合と呼ばれた女性は、眉間に深く皺を寄せて、溜め息をつく。
「……告発の決意は固いというわけですか。仕方ありませんね」
「そうだ。彼女のコンセプトには見るべき所はあるが、如何せん、方法に問題がある。公私混同も甚だしい」
 マークスは百合を振り切るように歩調を速めながら、続ける。
「それに―どんなに優秀であっても、犯罪者は、誇り高き一級市民たり得る資格はない」
 マークスの言葉に、百合は呆れと諦めの入り混じった表情を浮かべて、額に指先を当てた。
 もう、彼にはいかなる説得も無駄なのだと、悟ったのかもしれない。
「素晴らしい倫理観をお持ちで。流石は『白組』代表といったところでしょうか」

178:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/13 00:14:32 ZNSz0XRP
「同じような皮肉を、倉田にも言われた。心が荒む。謂れのない誤解があるようだが、私を含めた『白組』は、聖人君子でもなんでもない」
 倉田、とは、マークスが叶博士の犯罪の証拠集めの際に接触した、非『白組』の一級市民、倉田勇一(くらた ゆういち)のことである。
 マークスが、自身の後ろ盾である叶綾香を告発しようとしていると知った時の倉田の驚きようは、尋常ではなかった。
 ―地位や名誉には興味はない、ってわけか? まったく『白組』様の言うことは違うぜ……くそ、気に入らねえ。
 台詞と共に、倉田の、苦虫を噛み潰したような表情が思い返される。
 白組以前の一級市民であり、叶派とも袂を分かつ立場であった倉田は『project whitebox』発案による叶綾香の躍進の影響で、非常に肩身の狭い思いを強いられていた。
 このままだと、今に『白組』でなければ一級市民にあらず、と言った風潮すら出来てしまいかねない、そういう危機感も持っていた。
 だから、倉田にとって、身内であるマークスが告発の準備をしているという報告は諸手を挙げて喜ぶべきことで、ここは派閥無視の共同戦線を張って、情報を収集するのが賢い選択と言えた。
 そう、理屈では理解している。それでも倉田は、口をついて出る嫌味を止められなかった。敵に塩を送られているようで、気分が悪かったのだ。
 同時に、そんな些事に拘っているお前は、やはり矮小な人間なのだと指摘されたような思いにもなった。それは流石に、倉田の被害妄想だろうが。
「聖人君子かどうかは兎も角、あなたの結果が一級市民の間でも語り草である事実に変わりはありません。叶博士曰く『project whitebox』始まって以来の快挙、だそうですから」
「私の場合は、無駄に高いプライドが、結果的に良い方向に働いただけだ。それに……」
 マークスは、隣を歩く百合にも聞こえないくらいの、小さな声で呟く。
「『白組』だからこそ、願うのかもしれない。死して尚、辱めを受ける彼女に、せめて安らかな眠りを―とね」

179:TIPS ◆SSSShoz.Mk
07/09/13 00:16:38 ZNSz0XRP
TIPS『叶綾香』
一級市民。朝霧良夫の元妻であり、朝霧留美の母親。

TIPS『百合』
一級市民。叶派所属。フルネームは朽木百合。

TIPS『倉田勇一』
一級市民。草加派所属。

TIPS『叶派』
一級市民内での派閥の一つ。『project whitebox』発案者、叶綾香博士が会長を務める。
派閥所属者はやはり『白組』の人間が半数近くを占める。

180: ◆SSSShoz.Mk
07/09/13 00:17:58 ZNSz0XRP
>>98からの続きです。今回よりネタバレ開始となります。
CUBEZEROで舞台裏が明かされた時のようなガッカリ感ではありますが、どんなものでしょう。

181:名無しさん@ピンキー
07/09/13 01:03:41 2vuzypZ1
まさか殺すとは・・・

182:名無しさん@ピンキー
07/09/13 01:21:47 2vuzypZ1
忘れたGJ!!!!!

183:名無しさん@ピンキー
07/09/13 01:29:59 VwaXco+0
CUBEやSAW好きだからワクテカしながらネタばらしを待つ。

184:名無しさん@ピンキー
07/09/13 01:42:30 qc+cQQIm
これまでの情報から全体像を推測してたが、穴だらけな予想しか出来なかった
諦めておとなしく続きを待っております

185:名無しさん@ピンキー
07/09/13 01:54:10 rClAvBgg
読んで愕然としたぜ…留美死んじゃったよ…今日は枕を涙で濡らそう…

でも外伝やこれまでの経過から考えると留美は何度も同じようなことを繰り返しているみたいだから
死ぬのも初めてではないのか?今回のは何回目のケースなんだろう。てか留美って何者?

次は真相編ですか。続き待ってます!

186:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/13 02:21:01 QKF+BhVv
>174 おお、ありがとうございます。
wikiって弄ったのが初めてなので、ご迷惑おかけして申し訳ありません。
これでちょくちょく追加できたりできますね。
管理さん感謝です。

それと、私のタイトルを「総武の休日」にしようかと…
「ローマの休日」に似ても似つかないのですが、語感がいい感じでしたので…
>109さん ありがとうございます。 それ、頂きました。

187:総武の休日 ◆DlPgAmm21I
07/09/13 02:22:27 QKF+BhVv
「それは・・・・それはね・・・・・・」
俺はそれから、ポツリポツリと喋るマリーに耳を傾けた。
「私ね…いままで心からの友達って、いなかったの…」
「え? 友達?」
ヒッチハイクと友達の因果関係が結びつかずにそのまま返してしまった。
「うん。…私のひいおじいちゃんって、すごいお金持ちで、周りの大人ってみんな私から取り入ろうとか思ってるのばかりで…
 その大人の子達は、みんな私よりもおじいちゃん目当てで… 結局最後は絶交しちゃってね…」
マリーは悲しそうな顔をした…
「うん……」
「それでかな… 小学校のときに… あ、小学校のときもお金持ちって理由だけで妬まれたりいじめられたんだけどね…
 それでも、私のことをあだ名で呼んでくれる女の子たちはいたんだけど、そこにアイツが転校してきたんだ」
なんか… 小説で読んだような状況だな… 事実は小説よりも奇なりってことか…
「そいつは、男子のなかでも大人びてて、でもとりつきやすくて、だれにでも平等に接してくれて…」
「それで?」
「それでね… そいつが来てから、私にも普通に接してくれてね… いつか靴が隠されたときも探してくれたし…」
「うん」
「で、そのすぐあとかな… クラスメイトに川に突き落とされて溺れたときに、そいつが真っ先に助けてくれたの…」
思い出しているらしい… 顔が真っ赤だ。
「ほうほう… なるほど、マリーには麗しの騎士様に映ったんだ?」
「・・・・・・」
恥ずかしがるなっ なんかごちそうさまな感じだよ
「で、でね? そいつがまたすぐに転校って話になって、思い切って告白…は出来なかったんだけど、
 メルアドの交換はできたの。それからかな… ちょくちょくメールしあってたんだけど、いきなり返信がこなくなったの」
「・・・・うん」
途絶えたことが気になるな…

188:総武の休日 ◆DlPgAmm21I
07/09/13 02:23:08 QKF+BhVv
「2ヶ月位してからかな… 何度目かのメールを送ったら、メールがまた復活したの」
「ほぅ、よかったじゃないか」
「うん♪ でも、なんだか様子が変で… だから、思い切って会いに行こうって、家を出たの」
まてまて…
「それじゃ、手持ちの金がないとか、そういうことか? 交通費も?」
「ううん? お金はあるの」
驚いた… もしココで無いとなると、自宅まで送り届けなきゃ自分、鬼だ。
いや、そういうわけじゃない… 送りたくないわけじゃなくて、むしろ逆だ。
だがしかし、俺が理性を保てるか は別問題だ。いやいや、少女を相手にするな 落ち着けおれ!
「? どうしたの?」
だぁ!!!
「い、いやいや、続きをどうぞっ」
「それでね… お金はあるんだけど、おじいちゃんやおとうさんが、いっちゃダメって…」
「まさか・・・ 反対されて出てきたんじゃ…」
「・・・・・・・・・・うん」
うわわわわわ… 家出じゃないかっ!
「なぁ、家族の誰か、知らないのか? ここに居ること…」
「しらない・・・と思う」
うわー… 家族が心配してるぞ… 下手したら俺、誘拐犯?!
「で、山手線に乗っているところを見つかってね? 車で連れ戻されてるところに、コンビニに寄ってもらって、
 ちょうど康平の車の鍵が開いていて、チャンスと思ったの」
・・・だからかっ! 黒服の男が慌てていたのはっっっ!!!
どうしようどうしよう… 冷や汗が止まらない。
「大丈夫? 顔が蒼いよ?」
ペタ。
うわ、手が小さいっ… ひんやりして すべすべしてキモチいい・・・
・・・だあああああ!
「いっ、あっ、いあいあいあいあ、大丈夫だからっっっ!」
「そう?? アレなら、もう少し休憩しよう?」
「いっいやいや、いくぞっ! ほら、乗った乗った!」
俺はぬぐいきれない冷や汗を流しつつ、丘を降りて車に乗った。
「あ、まってよー!」
マリーもトコトコついてきて助手席に乗る。
・・・そして、俺らはパーキングエリアを後にしたのだった。



エリアの隅では・・・
「・・・見つけました。不明の男(成年)と思しき者と行動を共にしてます。はい、わかりました。後を追います」
セダンタイプの車がそこを後にした。

ほんと、俺、どうなるんだ?!

#とりあえずやっと序章終わり? な感じです。
#プロットは最後までできました。
#あとは肉付けをどうするか、矛盾が発生してないかを考えて組み立てていく感じです。
#よろしくお願いいたします。

189:名無しさん@ピンキー
07/09/13 06:32:12 OF8y8K1h
sien

190:名無しさん@ピンキー
07/09/13 08:26:48 ZO5WPk2u
しょんべん(←なぜか変換できない)の行方は!?

191:名無しさん@ピンキー
07/09/13 10:24:14 rClAvBgg
>>190
もう処理されましたがw

黒服さんご苦労様です。マリーお嬢様のわがままに振り回されるのも大変でしょう。
でもかわいいから許してやって下さい。うん、真っ赤になるマリーお嬢様かわいいな。
これからどうなるのかな。カーチェイス始まるのかな。期待期待

192:名無しさん@ピンキー
07/09/13 14:55:47 LKhHZehj
>>137
どうでもいいツッコミと言うか内容に無関係なトリビアですが

> ”災害支援ベンダー”
> 停電状態でどうやって動くのだろうか…バッテリー?

バッテリーがついてます
災害発生時には無料で中身が取り出せるようになるあたりが災害支援
URLリンク(www.reika.co.jp)
コカコーラの電光掲示板がついてる自販機もだいたいこれだったり
URLリンク(www.cocacola.co.jp)

193:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:41:48 F3DQj98T
君津ってことは木更津は過ぎたのかな?
過ぎてなかったら、カーチェイスの末にアクアラインに
追い込まれて.."相武の休日"w

こちらまで妄想かき立てられる作品は久しぶりだな。
あんまり読み手がはしゃいじゃいけないんだろうけどさw



194:名無しさん@ピンキー
07/09/13 23:05:41 MoRPVhzq
「二人きり」っていうと当初の作品みたいに、山で遭難してとか、閉じこめられて、みたいな
物理的に二人きりを解消できない、問答無用なやつを想像しちゃうけど、
最近の作品のような他人の家で知らない娘と二人きり、とか、車の中で二人きり、
っていうのもありなんだな。 GJです。

二人きりになるメンツやシチュ次第でそれでも充分に「二人きり感」を出せるんだな。
最終電車やローカル線に二人きりとか、お店で店員と客が二人きり、なんてのもいいかも?

195:総武の休日 ◆DlPgAmm21I
07/09/13 23:24:04 RN0/p5dM
富津館山道の終点へ何事も無く到着した。
ナビの結果からの予測だと、あと数十分で目的地に到着するらしい。
「なんだか、どきどきしてきた…」
「会えるといいな」
「うん」
なんともほほえましい。応援したくなってしまう。
しかし、さっきからついてくる車がいるような… 気にしすぎか?
黒いセダン車がつかず離れずいることに気がついた。
気のせいだな。尾行だとしたら、ばればれだ。きっと違う。

何度目かの交差点を曲がる。目的地まであと少し。
後ろにいた黒い車も、いつの間にかいない。なんだかほっとした。
・・・なんで俺がほっとするんだ・・・? やましいことはしていないのに・・・。
<<目的地周辺です。ナビを終了します>>
PSPナビの欠点がこれだ。周辺になると、直前で終わってしまう。
どうせなら、この家の前です まで案内してほしいものだ。
あとは自力で探すしかない。
「住所の番地までわかったが、ここからは自力だ。一緒にさがしてくれ」
「う・・・ん、わかった」
「なんだ、元気がないぞ?」
「ううん、なんか、会うのが怖く」
「ここまできたんだ、覚悟決めろ」
「うん・・・」

目的の家はその後すぐに見つかった。
閑静な住宅街がかるく広がる高台のところにその家はあった。
家の前に車を停めて、エンジンを切る。
マリーとおれは車を降りて、呼び鈴の前に立った。
「さぁ」
「うん…」
<<ぴんぽーん♪>>
「はーい」
「み、御神楽真理です、ああああの、以前にゆゆ、悠太さんに助けていたただだいた」
「真理ちゃん???!」
ん? 相手はなんか大慌てだぞ?
「ちょ、ちょっとまってね!」
がちゃがちゃ、がちゃっ。
ドアが開く。出てきたのは、お姉さんと呼んでもおかしくない若い女性がでてきた。
「悠太くんのおかあさん」
「ま、まぁまぁ! こんな遠いところまでよくきたね! さぁさ あがってあがって!」
「は、はいっ」
こっちを向くマリー… 一緒にこいってことか?
「あ、あら、そちらの方は?」
やっぱ、男がいると気になるよな。
「いえ、その、おれはマリーの」「保護者みたいなものですっ」
おいおい。 まちがっちゃいないと思うが…
「あら? そうなの…?」
「ここまでつれてきてもらったんです」
マリーが言う。
「あらあらまぁまぁ… 遠いところからご苦労様です。 さぁさ、あがってくださいな」
「わ、わかりました。お邪魔いたします」
「どうぞどうぞ」

196:総武の休日 ◆DlPgAmm21I
07/09/13 23:25:21 RN0/p5dM
俺らは応接間らしき場所に通された。
椅子に腰掛けると、麦茶をお盆に載せて先ほどの女性…悠太くんのお母さんが現れる。
俺にコップを差し出しているときに、マリーが口を開いた。
「あの、ゆ、悠太くんはいまどこに?」
その言葉に激しく動揺するお母さん。俺に手渡すべくコップを落としてしまった。
「うわっ」
「!? ご、ごめんなさいっ!」
カーペットに麦茶がこぼれている。
悠太母はあわてて奥にひっこみ、すぐにふきん片手にもどってきた。
「ああ、それは俺がやっときます。彼女はやっとのことでお子さんに会いに来たんで、
 早く会わせてあげてください」
さっきからマリーが落ち着かないんで、目的を達成させてあげたほうがいい。と、母に促す。
しかし、母は鈍重な動きをみせた。
「どうしたんですか?」
俺は聞く。
「い、いえ、わ、わわ、わかりました。悠太は奥にいますから、真理ちゃん、こっちへ…」
「は、ははは、はいっっっ」
ふぅ、行ってくれたか。
じゃあ、俺はこぼれた茶を拭きますか。
  :
  :
  :

197:総武の休日 ◆DlPgAmm21I
07/09/13 23:26:42 RN0/p5dM
「いやああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
マリーの絶叫がこだまする。
俺は拭いていたふきんを手放し、声のした奥へ駆ける。
「マリー! どうしたっ!!!」
マリーがいたと思われる部屋に近づくと、部屋から駆け出してきた彼女に思いっきり抱きつかれた。
いや、タックルか?
おれは転倒してしまった。
「いやああああ!!! うそっうそっ!! うそよぉぉぉぉおおおおお!!!」
腹のあたりで顔をぐりぐりしてくる。彼女は泣きじゃくっている。
おれは、何があったのか、問う。
「どうした! なにがあった!!」
「いやあああああ!!」
らちがあかない。すると、部屋から申し訳なさそうな顔をした母が出てきた。こちらも、泣いている。
「・・・・・・なにが、あったんですか?」
おれはちょっとしかめっ面になっていたかもしれない。悠太母に問いかけた。
「・・・・・・・来ていただければ、わかります・・・」
母の言葉に、俺はマリーをつれて…というよりも、抱えて、部屋に入った…
そこには、立派な仏壇と位牌が佇んでおり、線香が煙をたてていた。
悠太母が位牌を手に取り、言った。
「これが、悠太です…」
俺は愕然としてしまった。
マリーの腕の力がいっそう強くなる。骨が折れるほどではないが、力いっぱいだというのが判る。
すでに声はでないようだった。低くくぐもった嗚咽が、マリーから漏れている。
俺は、このパターンは予想できなかった… いや、母の行動から気づくべきだった。
気づけと言われても気が付く要素はなかったんだが…結果的に、マリーを悲しませることになってしまった…

#またこのパターンかっっっ!
#なんだか長編になってしまって申し訳ないです。
#スレ汚しにならないよう、がんばります。
#
#以下レスポンス
#>190 >191の通りで、処分してます。 その件は>137の
#・トイレのなかで、ついでに、車からマリーの・・・が入った袋を処理にかかる。
#で処理してます。シチュ考えても、=汚いのイメージが払拭できなかったので…
#使いどころがあれば、まさしくバクダン とか、聖水 とか、インニョー とか、いろいろありますが、
#今回は見送りさせていただきました。
#>191 黒服さんはこれからの登場に期待UPUPです。 でも、最初に大男と書いてしまった手前、
#乱闘で服がちぎれたときに”実は女だった!”という展開にできないのが残念です。それだとスレ違いになるし…
#>192 おお?! UPSで動いてましたか! …ということは、後ろのコンセント抜けばジュース取り放題?
#そんなワルイコトしませんが、できちゃいそうだなぁ…
#>193 残念。アクア連絡道から乗りましたが、アクアラインとは逆方向に乗ってます。
#>194 おお?! 新作の予感???


198:名無しさん@ピンキー
07/09/14 01:26:12 pu7L4W6w
がーんばれ。最近はこれが楽しみ。
黒服やマリーの今後の展開が気になる終わりですね。

199:名無しさん@ピンキー
07/09/14 21:48:12 4DnXJfes
ううむ、またしても予想とは違う展開に・・・
これは最後まで見届けるしかない。

200:初心者
07/09/15 00:01:46 5ulU3E+C
GJです!
まさか死んでいたとは…
予想外過ぎて最初はよく理解できなかった…
皆さんの作品を読んでいると自分の作品を投下しても良いのか、とか思います。
それでも投下しますがねw

201:名無しさん@ピンキー
07/09/15 00:55:43 4ToD/4dh
あ、何だこれからもって事か
今から投下かと思ってwktkしてたぜwww

202:名無しさん@ピンキー
07/09/15 22:42:05 DqMXXbzA
動きがないなんて珍しいな

203:名無しさん@ピンキー
07/09/16 00:10:16 8XG0cUU+
>>202
きっとこれから凄いのが来るんだよ><

204:名無しさん@ピンキー
07/09/16 21:42:14 arrcHaKL
URLリンク(up2.viploader.net)

205:名無しさん@ピンキー
07/09/16 21:54:15 wkNv0+Oq
>>204
抜いた

206:名無しさん@ピンキー
07/09/16 22:17:05 FneUYUq5
>>204
変な物貼るなよ。
不幸の手紙のパチモンだからスルーね。

207:名無しさん@ピンキー
07/09/17 01:02:16 xW5+S8cu
画像元はなんだろ、呪怨?

208:名無しさん@ピンキー
07/09/17 09:27:02 v2o370kC
なあ、幽霊と二人きり、ってシチュはアリかな?

209:名無しさん@ピンキー
07/09/17 09:49:36 s2P/Ce7M
>>208
こっちが適切かと

【妖怪】人間以外の女の子とのお話22【幽霊】
スレリンク(eroparo板)

210:名無しさん@ピンキー
07/09/17 10:01:04 8/BSuR3L
幽霊であろうが女の子である事に変わりない
それで二人きりならいんでないの?

211:名無しさん@ピンキー
07/09/17 10:02:59 bfJe2L2T
age

212:名無しさん@ピンキー
07/09/17 10:30:48 KoZKZQkf
>>208
このスレに投下して>>209のスレにリンク貼れば、どちらの住人も幸せに(ry

213:名無しさん@ピンキー
07/09/17 13:47:09 h9sec6iA
>>212
ネ申現る

214:名無しさん@ピンキー
07/09/17 16:14:28 8s+NE/vP
おまえあたまいいな

215:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/17 18:05:54 qbs6MDNN
◆扉の外の真実

 扉の外に広がっていたのは―漆黒の闇だった。
 部屋の白とは対照的な、一面の黒が、行く手を覆い尽くしている。
 智信は最初、それを見て、単純に暗闇で先が見えないだけなのだと、そう思った。
 しかし、壁伝いに、外に手を這わせてみて、気付く。そこに『何かがある』が見えないのではない。ただ『何もない』だけなのだ。
 扉に手をかけて、一歩踏み出してみても、足は床に触れることなく空を切り、先の見えない闇の中に沈む。
 そこにあるのは、永遠に続く、虚無の世界。現実にはありえない、悪夢の中に入り込んでしまったかのような光景。
 馬鹿な……馬鹿な馬鹿な馬鹿な。こんなことがあっていいわけがない。
 この部屋はどうなっている!? そして、この果てしない闇はなんなんだ!?
 少しでも気を抜くと、狂気に侵食されそうになる思考を宥めながら、智信は自問する。
 そう。確かにルールには『三十日が経過した場合』或いは『生存者が一人となった場合』に『扉が開かれる』と書かれていた。
 しかし、よく考えてみれば、扉の外に関する情報は一切なかった。二人が勝手に『扉の外が出口である』と思い込んでいただけだ。
 そう結論付けてしまうのも、当然ではある。この部屋には、出入り口と思われる扉は二つしかなく、片方はトイレで、片方は開かなかった。
 それなのに『開かない扉』の先が行き止まりであると仮定すると、どうしても、説明がつかない点が出てくる。
 智信と留美は、どのようにして、この部屋に運び込まれたのか? という問題である。
 無理矢理にこじつければ、天井が開く仕掛けになっていて、ワイヤーか何かで吊り下げられてベッドに寝かされた、などという仮説も立てられるが……
 そんな凝った仕掛けを用意する意味は薄い上、仮にそうだとしたら、ベッドの真上の天井に細工の痕跡があるはずで、眠る時に気付かないのはおかしい。
 開かない扉が外と繋がっており、二人はそこから運び込まれ、ベッドに寝かされた、とするのが一番自然だった。
「……に……!」
 智信の口から、声にならない言葉の断片が零れる。
「そ……は……に……で、出口……な……だ……!」
 それなのに、そのはずなのに、なんで出口がないんだ……!
 そう怒鳴ったつもりだった。だが、乾燥して潰れてしまった声帯は、発声を拒否する。

216:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/17 18:06:59 qbs6MDNN
 智信は暫くの間、暗闇の向こう側に、何かが見えたりはしないだろうかと目を凝らしていたが、やがて諦めたのか、扉を閉めた。
 もう、この先、どうすればいいのかわからなかった。この部屋には、出口がない。あるのは、どこへ繋がるとも知れぬ深い闇だけだ。
 恐怖からか、体ががくがくと震え、吐き気まで催してきた。そのまま、不安定な足取りで、トイレへと向かう。
 智信は便器に頭を突っ込み、思い切り吐いた。とは言っても、胃の中には内容物は一切残っていないから、口から滴るのは粘ついた胃液だけだったが。
 レバーを引いて、水を流す。水が流れるのだから、少なくとも排水設備はあるはずで、外界から完全に隔離された場所とは考え難いのだが……
 そんなことを考えながら、智信は何気なく、水面を見た。
「……?」
 ふと、小さな違和感を覚える。智信は、その違和感の正体がなんであるのか、最初はわからなかった。だが……水面を見つめるうちに、智信は気付いた。
 違和感の原因は―水面にぼんやりと、揺らめきながら映っている、智信の顔にあるのだと。
「あ……」
 ぽかん、と。智信の目が、口が、大きく開かれる。それは智信にとって、この部屋に閉じ込められてから、一番の衝撃だったかもしれない。
 そうは言っても、第三者の視点から見れば、智信が何故こうまで驚いているのかを理解するのは難しかっただろう。
 だって、水面に映っている顔は、とりたてて語るところもない、ごく普通の顔なのだから。美しくもなければ醜くもない、平均的な、男の顔。
 客観的に見て、目に見える異常はない。だから勿論、留美とて、気付くわけもない。
 この『違和感』には、智信本人か、家族、親戚、友人―つまり『智信の顔を知っている人間』でなければ気付けない。

 ― これは、誰の顔だ!? ―

 ― これは、僕の顔じゃない! ―

「うわあああああああああ!」
 両手で頭皮に爪を突き立て、喉が焼き切れるような叫びをあげながら、トイレから飛び出す。扉を背に、その場に蹲る。
 がりがりと頭を掻き毟りながら、何とか現状を把握しようと試みるが、山積する疑問に圧倒されて、思考は正常に働かない。
 畜生! 畜生! 畜生! わからない! もう何もかもわからない!
 発狂寸前にまで追い込まれて、壁に側頭部を叩き付ける。ベニヤ板の上に物を落としたような鈍い音がした。こめかみの辺りを生暖かいものが伝う。

217:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/17 18:09:00 qbs6MDNN
 この痛みで目が覚めたなら、どんなに幸せだろうか、と智信は思った。
 これは、交通事故か何かに遭った僕が、生死の境を彷徨いながら見ている、長い長い悪夢で。
 僕は、病院のベッドの上で目を覚ます。まだ悪夢の残滓が燻っているのか、心臓の鼓動は早く、汗をびっしょりかいている。
 看護士さんがぱたぱたと走り回って、担当医に昏睡状態だった患者が起きたことを伝えにいく。
 僕は現実に戻ってこれたことに安堵しながら、天井を見つめる。そして、今まで見ていた悪夢について、ぼんやりと考えを巡らせる。
 白一色の内装に、鼻をつく消毒液の匂い。そりゃあ、こんな場所にずっと寝かされていれば、悪い夢の一つも見て当然だ……って。
 苦笑しながら首を横に向けると、右隣のベッドが視界に入る。そこで寝息を立てているのは―夢の中で見た少女だった。
 これが物語なら。きっと……そんな風に、綺麗に終わってくれる。
 何もわからないまま……部屋からも出られず……のたれ、死ぬ、なんて……そんな、終わり……認め、ない。認め……。
 智信は、精も根も尽き果てたとばかりに、その場に崩れた。そして、数時間も経たない内に、動くのを止めた。



 残されたのは、二つの骸。最早動くもののいなくなった部屋に、電子音だけが空しく響く。
 液晶画面に、最後のルールである、ルールDが表示される。
 それは、ここまで生き延びた強者への、最初で最後の助言。
 永久に出ることのできない袋小路に放り込まれた仮初の生命を、せめて意義あるものにする為の、唯一の解。

『ルールD 醜い生は死であり、潔い死は生である』

 ルールDを表示し終えて間もなく、再度、電子音が鳴り響く。
 今まで、ルールが公開される度に鳴っていた音とは違い、目覚まし時計のベルにも似た、激しい音だ。
 その音は、ゲームの終了を告げるものだった。
 音が鳴り止むと同時に、白い部屋はゆっくりと、物音一つ立てずに、崩壊していく。
 部屋と、部屋に存在するすべての物質が、原子単位にまで分解されて、飛散、消滅する。
 まるで、波打ち際に作った砂の城が、波に攫われて、元の砂に戻ってしまうように。
 ついには、部屋はその痕跡すら残さずに消え失せて、扉の外に広がっていた、あの、底知れぬ闇だけが残った。

218:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/17 18:10:10 qbs6MDNN
◆ようこそ、ラストステージへ

 智信の自室。ずっと机に向かっていた智信は、そろそろ小休止を入れようと、シャープペンシルを机の上に転がして、立ち上がった。
 立ち上がりついでに、大きく伸びをして、欠伸を噛み殺す。時計の針は、午前一時を指している。眠気がして当然の時間帯だ。
「畜生、眠い……コーヒー、飲むか」
 机の上には、書きかけのレポートと、乱雑に積まれた参考資料の山。
 間違ってコーヒーを零したりでもしたら洒落にならないから、前以てそれらを机の端に退かしておく。
 部屋を出て、キッチンに向かう。コーヒー豆をコーヒーメイカーに入れて、スイッチを押す。
 ブレードが豆を粉砕する音を聞きながら、食器棚からカップを取り出す。
 そこで、同じようにキッチンに出てきた父親とばったり出くわした。
 彼―佐々野敦(ささの あつし)も智信と同じく、コーヒー党であることは知っていた。
 大方、夜中に目が覚めてしまって、コーヒーの一杯でもと思いキッチンに出てきたのだろう。
 智信はドリップを完了したコーヒーメイカーからカップにコーヒーを注ぐと、コーヒーメイカーを敦の方へ差し出した。
 敦はそれを受け取り、コーヒーを淹れ始める。
 でも、互いに目は合わせない。会話もしない。智信と両親との関係は、お世辞にも良好なものとは言えなかった。
 智信と両親の仲がこじれたのには、ちょっとした原因がある。
 智信は、幼かった頃から、持ち前の要領の良さと吸収の速さで、神童と持て囃されていた。
 両親もその才能を生かそうと、智信を塾に通わせ、勉強を勧め、できるだけ良い学校に行かせようとしていた。
 そうする内に、智信は、誰に言われるでもなく、いつか一級市民昇格試験を受けるのだと心に決めるようになっていた。
 智信にとって、一級市民は目指すべき目標であり、自分の努力が報われる、一種の到達点なのだと思っていた。
 だが、大学に進学した直後、一級市民昇格試験を受けたい、と打ち明けてみると、両親は、口を揃えて反対した。
 なるべくなら、受けない方がいい。受けるにしても、今はまだ早過ぎる。もっと人生経験を積んでからがいい。それが両親の言い分だった。

219:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/17 18:11:46 qbs6MDNN
 思いがけない言葉に、智信は憤慨した。一級市民昇格試験の最年少合格者は、公式発表では確か、十三歳だったと記憶している。
 今日に至るまで、智信は出来る限り自分を殺して、命じられるがままに勉強に邁進してきた。
 数少ない友人とも、まともに交流する時間が取れない、そんな日々を、文句の一つも言わず過ごして来た。
 それなのに……お前はまだ十三歳以下だ、そう言われているようで、我慢ならなかったのだ。
 勿論、両親の意見にも、理がないわけではない。
 一級市民昇格試験。
 それは、知識、経験、人格……あらゆる側面から、受験者が一級市民として相応しいか試される、難関試験だ。
 試験を受けるに当たって必要な資格は一切ない。年齢、性別、学歴、階級……すべて不問。
 それでは受験志願者が殺到するのではないか、と思うだろうが、世の中そうそう甘い話が転がっているものではない。
 試験は一生で一度しか受けられず、不合格になった者は、自動的に五級市民へと降格されて、一生抜け出せない。無期懲役も同然の酷い扱いだ。
 そう、これは天国と地獄を分かつ究極の二択。天に昇って、天上の住人となるか、それとも、地の底まで落ちて、地獄の亡者となるか。
 そんなハイリスクな試験に若くして挑むのがどれほど無謀なことか。両親は、井の中の蛙である息子に、警鐘を鳴らしたかったに違いない。
 智信はカップ片手に、部屋に戻った。デスクチェアに寄りかかり、コーヒーを啜る。
 一口飲んでから、しまった、と思う。敦と長い時間顔を合わせていたくなくて、急いで部屋に戻ったものだから、ミルクを入れてくるのを忘れていた。
 苦味の強いブラックに少しばかり顔を顰めながら、机の上にカップを置く。
 まあいい。眠気覚ましには、丁度いい味かもしれない。気を取り直して、今夜中にレポートを片付けてしまおう。
 そう考えて、智信は再び机に向かい、レポート用紙の空白を埋める作業を再開した。

220: ◆SSSShoz.Mk
07/09/17 18:12:27 qbs6MDNN
>>178からの続きです。そろそろ終わりが見えてきました。
今までの話を読んでいる途中、少しでも「これはこうなってるんじゃないかなー」と考えてもらえたなら、作者冥利につきる次第であります。

221:名無しさん@ピンキー
07/09/17 20:20:23 vzCCwl69
>>220
???だった頭が?…!…?くらいになりました。
GJです。少しずつ見えてきた真相。これまでの経過。その先にある結末。期待せずにはいられません。


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