女の子と二人きりになってしまった 2回目at EROPARO
女の子と二人きりになってしまった 2回目 - 暇つぶし2ch50:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/31 01:13:56 JKtEqSSK
◆生還の条件

 部屋中に、聞き覚えのある電子音が響き渡った。
 無駄なエネルギー消費を抑える為、ベッドに横になっていた二人だったが、同時にベッドから起き上がり『開かない扉』へと駆け寄る。
 液晶画面に表示された残り日数は『二十四』だった。そして……新しく『ルールB』の部分に文章が一行追加されていた。
 二人は、目を見開いて、ルールの文面を追う。今や、二人の興味は、新しく発表されるルールの内容だけだった。
 ルールB以降のルールが、ルールAの絶対的不利を覆してくれなければ、生還はありえないのだから。
「ルールB……ルールは、日数が三日経過する毎に一つ明らかになる……」
 読み上げる智信の声には、落胆が色濃く滲んでいた。はっきり言って、二人にとっては肩透かしな内容だと言わざるを得なかった。
「言われてみればそうか、ルールAを知らせるブザーが鳴った時、表示は『二十七』だったから……次は『二十四』その次は『二十一』……」
 気が付いてしまえばなんということはない、単純な法則である。
「このルールは、毒にも薬にもならない、か……残念だが、次のルールを待つしか―」
 そこで、智信の言葉に、留美が割り込んだ。
「私……もう……だめです……後三日なんて、そんなの……」
 留美は、どさりとその場に膝をついた。目の焦点が合っていない。
 ここ三日で、肉体的にも精神的にも、かなり衰弱してしまっているようだった。
 また、あの不可解な『時間の歪み』も、答えの出ないままで、留美の心に影を落としている。
 留美は、両手で肩を掴み、自分を抱き締めるような姿勢で蹲る。その体は、小刻みに震えていた。
「何でこんなひどいことをするんですか……私たちが何をしたって言うんですか……もう許してください……許して……許して……許して……!」
 智信も、留美の手前、平静を装ってこそいるが、ルールBの内容にかなりのショックを受けていた。
 留美がその場に座り込まなかったら、智信が似たような行動を起こしていたかもしれない。
 取り乱している留美の姿を客観視することで、何とか正気を保っている。
 暫くの間、智信は留美を呆然と見ていた。が、意を決したように頭を振って、動き出す。
 留美と同じように、扉の前で座り込み、覆い被さるような形で肩を抱く。
 それは、親鳥が翼を大きく広げて、外敵から雛を守る光景を連想させた。
「落ち着いてくれ、ルールが全部公開されるまで、諦めたら駄目だ……! 二人で散々話したじゃないか! 絶対家に帰るんだって! それで、paixのチョコパフェを食べるんだって! 友達と一緒にウォーターアイランドに行くんだって!」
 震える留美に向かって、必死で言葉を投げかけながら、智信は涙を流していた。
 頬を伝った雫が、口の端まで流れてくる。智信は舌を伸ばして、それを舐めとった。
 畜生、水分が勿体ない。でも、どうしようもないじゃないか、理屈なんか関係なく、涙が止まらないんだから……!
 智信は、くしゃくしゃになった顔を留美に見られたくなくて、顔を背けた。最も、涙声で、泣いているのはバレバレだっただろうが。
「もう少しだけ、頑張ってみよう! それで、二人で一緒に、ここから生きて帰るんだ! そうすれば、いつか……今日の出来事だって、笑って話せるようになる!」
 智信は、留美の震えが治まるまで、肩を抱いたまま、付き添っていた。



51:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/31 01:14:32 JKtEqSSK
 ようやく恐慌状態から回復した留美をベッドに寝かせて、智信は一人考える。
 精神的に追い込まれて当然の状況ではある。水、食料、共に残りは雀の涙なのだから。
 決して、浪費しているわけではない。むしろ、これ以上ないくらいに節約している。
 それが証拠に、二人はここ数日でみるみる内に窶れ、表情から生気を失い始めている。
 ゆっくりと、しかし確実に、終わりが近付いてきているのだ。死神の鎌は、二人の喉元にまで迫っていた。
「気は進まないが……水だけでも確保できれば……」
 智信は一人ごちながら立ち上がると、水洗トイレに向かった。トイレの便器に補充される水を、飲料水として使えないかと思ったのだ。
 二人とて馬鹿ではない。今までも、それは選択肢の一つとして考えられていたことだった。だが、結局は理性が邪魔をして、口をつけるまでには至らなかっただけだ。
 しかしながら、もう、汚いだとか何だとか、形振り構っていられるような、余裕のある状況ではない。
 水だけでも無制限に使えるとなれば、大分楽になる。
 少なくとも、最後のルールであるルールDの発表までは、確実に生きていられる。
 智信は覚悟を決めて、便器に頭を突っ込む。
 便器に顔を近付けた瞬間、正体不明の違和感が智信を襲ったが、智信は水のことで頭が一杯で、それには気付けなかった。
 接吻をする時のように唇を突き出して、溜まっている水を啜る。利用者は二人しかおらず、比較的清潔なのが唯一の救いか。
 が、口に含んだ水を、すぐに便器に向かって吐き出す。
「かはっ……! 何だこれ、しょっぱ……」
 半端ではない濃度の塩水だった。とても飲み水にはできそうもない。海水だろうか。
「畜生め、意地でも水は飲ませないつもりか……!」
 憤怒に任せて、智信はトイレの壁を殴りつけた。痺れるような拳の痛みが、少しだけ、やり場のない怒りを紛らわしてくれた。



52:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/31 01:15:14 JKtEqSSK
 智信はトイレから部屋に戻ると、留美が横になっているベッドに近付く。
 留美は智信の気配に気付いたのか目を開けて、申し訳なさそうに、声をかけてきた。
「あの……さっきは、ごめんなさい……取り乱して。もう、大丈夫です。私、迷惑かけてばかりで……」
「そんなことない。ルールA発表の時、死にそうな顔をしていた僕を、きみが励ましてくれただろう? 『一緒に頑張りましょう』って。だから、これでお相子、貸し借り無しだ」
 そう言って、不器用ながらも微笑むと、留美は安心したように、目を閉じるのだった。
「それから……これは報告しておかなくちゃいけないか。トイレの水、試しに飲んでみたんだけど、駄目だった。塩が濃くて飲めない。海水みたいだ」
「そう、ですか」
「残念ながら、ね。……立ち直って早々、気が滅入るような話をしてすまない」
「……智信さんって、優しいですね。それに、いつもしっかりしていて。すごいなって思います」
「そうでもないよ、さっきなんか、思いっきり泣いてたから。それに―これはお互い様かもしれないけど―きみが傍に居るから、冷静でいられるって言うのもある。一人だったら、とっくに発狂しているかも」
「そ、そうなんですか?」
 先程、智信が留美を励ましていた時、留美はかなり平静を失っていた。だから、智信が自分の為に声をかけてくれているのはわかったけれど、彼が泣いているか否かなど、意識にのぼらなかったのだ。
「そうだよ。こう見えても、気は小さい方なんだ。子供の頃なんか、絵に描いたような泣き虫だった。飼い猫にひっかかれて大泣きしてたりしたくらいでね」
「ふふ、智信さんが泣き虫だったなんて、何だか意外な感じです。じゃあ、私と一緒ですね」
「ああ。一緒だ」
 そこで、会話は途切れた。でも、初日、二人でベッドに並んで座っていた時のような、得体の知れない息苦しさは覚えない。
 二人の周囲に流れる空気は、この殺伐とした状況を忘れてしまうくらいに、緩やかで、穏やかなものだった。
 留美の手が、智信の手の近くに置かれる。智信はそれに気付くと、そっと、その手を握った。留美もまた、握り返した。
 智信は、留美に倣うようにして、目を閉じる。そして、一時、全ての思考を放棄する。一切の情報が遮断された暗闇の中、確かなのは、留美の手の温もりだけ。
 二人は一時間ほど、そのまま目を閉じて、手を繋いでいた。
 その無言のコミュニケーションは、この過酷な日々を共に生き抜いたことにより、二人の心理的な距離が縮まった証なのかもしれなかった。

53:TIPS ◆SSSShoz.Mk
07/08/31 01:16:11 JKtEqSSK
TIPS『グロックワークス』
ゲーム製作会社。社名の由来は自動拳銃の『グロック17』と『ぜんまい仕掛けの時計(Clockwork)』の捩り。
PC、コンシューマーをプラットフォームとして、主に、FPS、ホラーゲーム等の開発を手がける。

TIPS『ウォーターアイランド』
水をシンボルとした巨大遊園地。
ジェットコースターやメリーゴーラウンドと言った一般的なアトラクションの他、色々な種類のプール、果ては水族館まである。
アイスクリームショップ『フローズン』のチョコミントと、水族館の熱帯魚コーナーが留美のお気に入り。

TIPS『正体不明の違和感』
トイレに使用されている水が塩水であった事実に気付けなかった、と言うわけではない。
もっと重大な見落としを、智信はしている。

54: ◆SSSShoz.Mk
07/08/31 01:17:39 JKtEqSSK
>>41からの続きです。そろそろ物語の落とし所があからさまに読めてきます。
>>43海猫亭は意識したわけではありませんが、大神はマイフェイバリットゲームの一つです。大神降ろしの美麗さといい、ラスボス戦前の展開といい。
しかし一番気に入っているのはミカン爺が舞を舞うシーンだったり。

前回投稿分、>>38の四行目訂正です。
見当○
検討×

55: ◆SSSShoz.Mk
07/08/31 01:18:53 JKtEqSSK
>>54二行目、レスアンカー訂正。
>>43ではなく>>44でした。失礼。

56:名無しさん@ピンキー
07/08/31 01:56:08 aKMzKEgX
GJ!続きが気になって気になって仕方がなく、毎日確認に来てますわ…

57:名無しさん@ピンキー
07/08/31 06:56:59 IKUj79jH
はてさて二人に太陽は昇るのか?

お後は次のお楽しみ…

58:名無しさん@ピンキー
07/08/31 13:45:59 XD6KWkzd
>>47
曲がりなりにも軍オタの端くれなため、元となった>>9-10で変な描写があったらそれを直して書く
また、自分は遅筆である事を報告しておく

59:10
07/08/31 22:17:54 CHnQtKdu
S4氏、GJ!
ストーリーをきちんと、楽しませてくれますね。
これからどうなるか気になります!

>>58
元々オーバーテクノロジーなメカを想像してたんで、リアルに直されるならけっこうガッチリ変えちゃって下さい。
一月、二月くらい待つ覚悟はあるんで、存分にやって下さい。

60:名無しさん@ピンキー
07/09/02 11:59:16 w5u5jKgP
どうでもいい豆知識
救命いかだなどで運動量を制限される場合、気候などの条件が良ければ
一日に必要な水は百数十cc(非常用飲料水アルミパック一本分)まで減らせるらしい

…33ccは厳しい過ぎ
続きが気になってしかたがない

61:名無しさん@ピンキー
07/09/02 21:25:25 Ypki+bV+
GJだとは思う。だがエロくねぇ。

62:名無しさん@ピンキー
07/09/02 22:15:58 wB07n3he
>>61
エロの有無を問わず楽しめるよう精進しろ。

63:名無しさん@ピンキー
07/09/02 22:47:51 5pZM9f2D
エロゲの全年齢対象版が修行にオススメだ。

64:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/03 15:27:01 hGL75/TV
>>58です。>>9-10にてまずは冒頭を。

 機体番号52-8590の33式21号ハ戦闘攻撃機「剛雷」がアフタ・バーナを焚いてバレル・ロールにて回避機動をとる。同機の6時方向に位置する、機体シリアルFT8-71のJ-25G「ソーコル」戦闘攻撃機が機銃掃射。命中せず。追跡者もアフタ・バーナを焚いている。
 52-8590のパイロット、東遼介空軍即応予備中尉―コールサイン「レインボウ3」、TACネイム「オーリエント」―は瞬時にスロットル・レヴァを引き、減速。同時にエア・ブレイキを展開。体に6Gの負荷。FT8-71、オーヴァ・シュート。
 ヘルメットに備え付けられているヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)に、FT8-71を囲むように正方形、ターゲット・ボックスが表示される。それはすぐに、新たな表示に変化。ロック・オン。現在選択されている兵装は27式短距離空対空誘導弾。
 同様に表示されている円形のガン・レティクル内にターゲット・ボックスが入る。ガン・クロスが敵機に重なり合う。アズマ中尉はサイドにある操縦桿のトリガを引く。同時にコール。
「レインボウ3、ライフル。―」
 毎分1000発、つまり毎秒約17発が敵機に突き刺さる。敵機、左エンジン発火。1秒満たず爆発。
 敵機からのベイルアウトは確認出来なかった。敵機が錐揉みで墜落し、空中分解するのを確認する。
「―スプラッシュ1」
 この間約10秒。
 アズマはレーダを見て周辺に敵機が居ないか再度警戒する。下方を0時から6時に4機通過。IFF作動。敵機。JQ-15C「プリヴィデニエ」戦闘攻撃機2、Q-10B「ブーリャ」攻撃機2。
 スプリットSにて追跡。一瞬ブラック・アウト。僚機が1機追随。
『アズマ! 俺が「幽霊」のエレメントを殺る。お前は「嵐」を殺れ』
 追随している僚機、レインボウ4、「ブーメラン」、浪川進太郎空軍中尉がアズマ機に追い付いて言う。
「ウィルコ」
 アズマ機、アフタ・バーナ点火4秒。「嵐」に近付く。兵装は先刻と同様、27式短距離空対空誘導弾。ロック・オン。バンディット・イン・ガン・レンジ。
「レインボウ3、ライフル」
 コールと同時に銃撃。右側の敵機に命中。両エンジン発火、爆発。パイロットは脱出。
「フォックス2」
 回避行動をとろうとしていた左側の敵機にミサイルを撃つ。5秒後に命中。爆発四散。
「レインボウ3、スプラッシュ2」
『スプラッシュ2! やったぜ!』喜びに満ちたコール。ナミカワ中尉も敵機を片付けたようだった。
 アズマは再びレーダに目をやる。敵機の表示は映っていない。光学探査。探査可能な範囲に敵機は無し。
『当該空域の敵機全滅を確認。レインボウ隊、帰還を許可する』
 AWACSからの通信。現空域からの離脱の許可が下りる。
『ラージャ。レインボウ隊、RTB』
 燃料は基地まで保つ。彼らは現空域に来たときのように編隊を組み、復路を南へと飛び去っていった。

65:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/03 15:27:57 hGL75/TV

 東山道陸奥県、三沢。ここがこの国の、防衛の要だ。
 8年前、ひとつの国が滅び、ひとつの国が生まれた。その新生国家は次々に大陸の国々を滅ぼし併合し、ついに2年前、この国へと侵攻を開始した。
 北から攻めてきた彼らは、まず北海道の樺太を占領した。当時、樺太にはその新生国家との国境があった。次に千島、次に北見、次は天塩と、彼らは怒涛の勢いで南下していく。
 この国の軍隊は、奮戦した。しかし、石狩県札幌にある北海道方面司令部への核攻撃により総崩れとなり、結局北海道はその全土を、1年余りかけて占領されてしまったのだ。
 現在、津軽海峡の南北で、両国はにらみ合っている。

 今回の戦闘は「こちら側」、下北半島の上空で起こった。
 このあたりはたびたび、あの国の航空機が飛んでくる。数度に渡り、爆撃機の編隊がADIZ(防空識別圏)内に侵入し、基地や都市を爆撃していった。そのたびに、彼らが駆り出されるのだ。
 空軍第3防空団航空群第8飛行隊、通称「レインボウ隊」。それが、彼らの家である。

  *  *  *

66:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/03 15:29:13 hGL75/TV
  *  *  *

 空中給油を終えた機体シリアルMM14-92のJ-27A「ジュラーヴリ」戦闘機が、給油機HY-9から離れる。それを確認し、HY-9は上空へと移動、反転して基地に帰っていった。
 オリガ・ニコライエヴナ・ザパドノポリェワ空軍大尉の異動先は、現在この国による占領状態にあるホッカイドーと呼ばれる地域の、チトセ飛行場だ。そこには、この国のエース・パイロット達が集まり始めているという。
 彼女は明日から、第11航空軍第67防空軍団第3戦闘機連隊第5戦闘飛行隊3番機、コールサイン「スピルト3」という身分になる。最前線への異動だ。だがそれは、彼女自身が認められているという事である。その事が、彼女にとって名誉であった。
 彼女は愛機である最新鋭のJ-27Aを従え、東へと向かっていった。後ろには、同機によって構成されている編隊が居る。

67:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/03 15:31:42 hGL75/TV
以上、冒頭。このSSには多数の航空軍事用語が出てきます。それらを予めまとめておきます。

A/B…After Burner。アフタ・バーナ。戦闘機などで、燃料を急激に燃焼させて大きな推力を生む事。
機体番号…本編に出てくる「52-8590」は、納入年号の1の位が「5」で、登録順位が「33式21号ハ戦闘攻撃機」を示す「2」、ハイフンのあとに「戦闘機」を示す「8」、最後3桁が、機体の製造番号。航空自衛隊も同様の尾翼番号をもち、登録順位「2」はF-15J/DJを示す。
バレル・ロール…樽(バレル)の内側を回るように機体を操作する機動。
6時方向…真後ろ。時計の文字盤の中心から「12」の文字のある方向を正面とすると、後方は「6」になる。他の方位も推して知るべし。
機体シリアル…本編中に出てくる「FT8-71」はまったくのでっち上げ。しかしこれだけははっきりしている。製造番号は「71」である。
コールサイン…個々の航空機に割り振られる、何処の所属かを示すサイン。
TACネイム…Tactical Air Command name。タック・ネイム。軍用機パイロットが作戦行動中に名乗る名前。通常、発音のしやすい3音節以内の語を用いる。
オーヴァ・シュート…Over shoot。追跡中の後方の機が対象となる機を追い抜いてしまう事。空戦で最もやってはならない機動。
ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)…Head Mount Display。パイロットが使うヘルメットに、機体の状態や敵機の位置を表示するための装置。正面を向かなくても、敵機の居る方向に顔を向ける事でロック・オンが可能。
ガン・レティクル…機銃用の照準。
ライフル…機銃の射撃をするときのコール。
ベイルアウト…航空機から脱出する事。
スプラッシュ1…「敵機を1機撃墜」を意味するコール。
IFF…Identification Friend or Foe。敵味方識別装置。
スプリットS…機体を180度ロールさせ、その状態で縦にターンして方向転換する機動。ある程度の高度がないと墜落する。
ブラック・アウト…脳への血液が遠心力などで足りなくなるとき、視覚が暗くなる事。
エレメント…航空機の編隊。通常2機でひとつのエレメントになる。
ウィルコ…Wilco。「Will comply」の略で、「了解。実行する」ほどの意味。
バンディット・イン・ガン・レンジ…Bandit in gun range。「敵機が機銃の射程に入った」の意味。
フォックス2…Fox 2。赤外線誘導ミサイルを発射するときのコール。「Fox」のFは「Fire」のF。
AWACS…Airborne Warning And Control System。「エイワックス」と読む。空中警戒管制機。
ラージャ…Roger。「ラジャー」の方が一般的だが、実際の発音は「ラージャ」
RTB…Return to base。「帰還する」ほどの意味。
空軍即応予備中尉…我々の知る陸上自衛隊にのみある階級・制度。この国の空軍にも同様の階級と制度があり、1年以上軍務に就いた者が普段は民間人として働きながら年数度の訓練を受け、有事の際には出頭して軍務に就くというもの。中尉は即応予備役の最高階級。


68:名無しさん@ピンキー
07/09/03 16:18:08 z4/Lz54v
専門用語使い過ぎじゃないか?
オレだけかも知れんが、凄く読みづらい
カンに障ったら謝るが、もう少しかみ砕いて書いて欲しい

69:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/03 16:52:21 hGL75/TV
>>68
あえて専門用語を多用してみた
平易な語で書いてもいいけど、空戦のスピード感を出したかったので
まあ、あとで投下する続きはここまで暴走しないように気をつけたい

70:名無しさん@ピンキー
07/09/03 16:53:00 c7mKiBhh
「雪風」とか読んだから文字で状況を想像できるけど、興味が無い人にはきついかな?
今後に期待。

71:名無しさん@ピンキー
07/09/03 17:09:56 s5oKPN+i
「~をする」等を省略した体言止が多すぎ。鼻に付くぜ

72:10
07/09/03 17:56:39 tQGeRNWh
>>67
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
初っ端からスピード感抜群の戦闘!次回も激しい戦いを期待します!
上にもありますが、確かにに少々専門用語が多いですね。
自分が読みながら分かったのは、半分程度ですが、前後の文でだいたいどんな感じかは想像がつくので、多少は大丈夫だと思います。
分からない言葉も、あとがきで説明してくださったので分かりますし。
そして、リアルに書いてくれてありがとうございます!
では、名無しに戻りますが、あなたがくるのをお待ちしております。

73:名無しさん@ピンキー
07/09/03 20:58:06 DQ/PrSIa
専門用語分からねぇ('A`)
二人っきりに期待

74:名無しさん@ピンキー
07/09/03 21:13:04 FbS4xLZq
詳しすぎてなんかすげえな。
読み手を選ぶ感じ?でも俺は好き。
一気に投下してくれたら勢いで全部読めそうだ。逆に途切れ途切れだと疲れるかも。
新しい形の二人っきり、続き期待。GJです!

75:名無しさん@ピンキー
07/09/03 22:56:35 MWVGPpAW
>>64
読む人のことを考えない文章ですね

76:名無しさん@ピンキー
07/09/04 00:16:10 t3vonxhU
専門用語解説あるだけでも十分だと感じるけどな。
俺が雪風慣れしてるだけかな?

77:名無しさん@ピンキー
07/09/04 09:27:43 zGRSLiPP
awacs
<<ここはどこだ? どうやら迷い込んでしまったようだ…>>

↑を連想した自分エスコン厨

78:名無しさん@ピンキー
07/09/04 16:11:20 dBJtWx+A
はっきり言ってつまんない。はじめて読み飛ばした。

79:名無しさん@ピンキー
07/09/04 23:11:11 GEj1Z6NG
つまらないなら読み飛ばしてもいいと思う。
しかし、それを書き込むことによって、書き手さんが書き込みにくい空気になるのが問題だ。
書き手が書き込み易い空気を作ることも、読み手として為すべきことではないだろうか?

80:名無しさん@ピンキー
07/09/04 23:21:30 2qqFDPpv
荒らしに構うな。
居座られるぞ。

81:名無しさん@ピンキー
07/09/05 01:44:44 R0aUXCj5
構想を練ってるが
今仕事だからなにもできん

ネタとしては
車の運転中に車内に隠れていた相手に
自分の首筋に堅い冷たい物をおしあてられて
行き先をめちゃくちゃに指示されて・・・

って言うものなんだが
こういうものもありなのか?


82:名無しさん@ピンキー
07/09/05 02:41:16 1YNFJ0hM
>>81
いいかも
期待してます

83:名無しさん@ピンキー
07/09/05 13:29:20 IyCtiYWz
>>81
お化けの女の子と二人きりで深夜ドライブってのもいいなw
ちょっと前に流行ったツンデレ幽霊みたいなのだったら面白そう。

84:名無しさん@ピンキー
07/09/05 13:59:54 xYXBwO6O
>>81
堅い冷たい物が本当にヤヴァイ代物か実は…かで又違った展開が(ry

85:名無しさん@ピンキー
07/09/05 17:52:06 3AmC102M
新スレをお気に入りに登録し忘れてるのに気付かず、更新チェックから漏れてた…orz

>白い牢獄の人
ドキワクがとまらねぇww
色々情報が増えてきたけど、肝心なところはサッパリで、(少なくとも自分には)先が読めん。
GJ!

>架空戦記な人
大好物キタコレ!! GJです。
我々の歴史とは微妙に違った経緯をたどってるのかな?
樺太が日本領だったり、機体が国産だったりするみたいだし、
第二次大戦で日本勝ってるとか、対米開戦しなかったとかそんな感じか?
でも用語は英語ベースだし、この世界でもアメリカは大きな影響力持ってるんだな。
ともかく、続き楽しみにしてます。

用語多くて読みにくいって件は、この手のは専門用語無いとしらけるし、仕方ないかな。
やっぱり「らしさ」の演出って大事だと思う。 ちゃんと用語集付けてるから、いいんじゃない?
ただ、改行はもう少し増やしてもいい気はする。1行がちょっと長めかも。

>>81
そのシチュだと、車も立派な「二人きり」だね。
完成待ってます。


以上まとめ&長文で失礼しました。

86:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/05 19:19:10 VFMoom29
---なんでこんなことになっているのだろうか…

ことの始まりは、
取得しづらい会社の夏休みをやっとのことでもらった1週間休暇。
日ごろの鬱屈を発散すべく、「そうだ、一人旅でも!」と勢い込んで4日分の準備…
そして記念すべき旅行の一日目、一番目の目的地コンビニで、
車の鍵をうっかり閉めずに買い物を済まして、戻ってきた。
当時は、閉め忘れたが別段気にせず、目的地である長崎への1200kmの旅に出たところであった。
(順調にいけば14時間だな)
と、いろいろ思いをめぐらせる。
隣では黒塗りの車の周りで大男があわてていた。
(? なにをあわててるんだ? まぁいいか)

おれはかまわず出発した。鍵を閉め忘れたことで予定変更を余儀なくされることも知らずに…

自分の車は軽バンだ。上司に「そんな車で長崎まで行くな! 新幹線使え!」
しるか! おれは長年付き添ったこの車でいくんだっ!
ふと、会社に道程予定表を提出したら上司に言われた言葉だ。
会社としては、死なれたら香典代がもったいないそうだ。あと手続きと、派遣先への謝罪などいろいろ。
普段の生活まで拘束するのか 会社ってやつは…
(・・・いかんいかん)
一人旅だと物思いにふけってしまいがちになる。
<<ピンポーン 料金ハ¥700円 デス>>
ETCがそう告げる。志村料金所を通過した音だ。
ここから長崎まで、高速で行くのだ。片道1200km ETC3割で約15000円の道のり…

87:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/05 19:20:43 VFMoom29
池袋の手前で車体がぶれた。軽なので、ちょっとした貧乏ゆすり、体重の移動や荷崩れで簡単に揺れる。
首都高独特のつなぎ目による揺れじゃない。ましてパンクであろうはずもない。
車体後ろで気配がしたので思わず振り向こうとしたら、チクリとした痛みが首筋に走った。
「!? ?!?」
なにがなんだかわからない。パニクって壁に激突しなかっただけマシかもしれないと、思う。
すると、透き通るような、でもしたったらずな声が耳朶にささやく。
「おとなしくしなさい・・・」
あきらかに女の声だった。自分は首筋になにか当てられ、ちょっと痛い。
「なっなんだおまえはっ」
驚く。当たり前だ。なぜ自分の車に赤の他人が乗っている…
「質問は許さない。私の言うことだけ聞いてなさいっ」
「そんなふざけたとこあるかっ!」
運転で前を向きつつも反論を試みる。しかし…
チクチクッ!
首筋の痛みが増す。
「いいから私の言うこと聞きなさい! 死にたくないでしょっ!」
少女(と思われる)は手に持ってると思われる何かをつきたてる。
痛みが増し、高速運転では危険なので周りの速度にぎりぎりまで合わせるように速度を落とす。
「なにしてるの!? 止まれなんていってないわ!」
東池袋パーキングエリアに近づいたので、すかさず車を滑りいれ、停車する。
「あのさ… 目的はな………んだい…?」
と、ルームミラーで後部座席を見る。
金髪碧眼の少女がそこにいた。容姿端麗な彼女に思わず言葉が詰まってしまう。
「千葉までいきなさいっ これは命令よ!」
「千葉ぁ!?」
素っ頓狂な声を上げてしまった。
チクリ。
「いいからいく!!」
「ぐっ… わ、わかったよ!」
ちくりとした痛みがなくなった。
「わかればよろしい♪」
すごくうれしそうな声だ。
(千葉なんてふざけんなよ! おれは長崎に…)
「早く行く!!!」
チクチクッ!!
「はっ、はいいいい!」
脅迫にちかい状態で、おれはパーキングを出発した。
(旅行早々カージャックかよ…)
心のつぶやきは誰にも聞かれず消えていった。

#ロング金髪碧眼でなくても、黒髪ロングポニーかホワイトヘアにルビーアイとか、妄想がとまらない。
#ある程度まとまってからとか思ったけど 台風の影響とか仕事とか家庭とかでorz
#金髪碧眼は、Lia(「Mori~!」)ちゃんの影響(作者氏ごめんなさい
#よろしくです

88:名無しさん@ピンキー
07/09/05 19:25:32 VFMoom29
#おかしい…2度くらい推敲したのに文が変だ…
#夜勤明けで今日も夜勤だからか?
#(脳みそくさってやがる… 早すぎたんだ…)

89:名無しさん@ピンキー
07/09/05 23:39:13 wYivWKDK
くそっ!続きが気になる。
マジでGJだ!

90:名無しさん@ピンキー
07/09/06 08:37:50 Ltbk/XAm
焦らしプレイですか?

91:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/06 20:02:34 rnlKcqFl
いあ あの 今夜夜勤でその上台風でこれから出勤でっ!
今起きた。
プロット5割作ったんで、肉付けは台風が関東を過ぎたあたりにでも…

というか、他の作品も続きwktkwktk!!

てか雨すげぇ…

92:名無しさん@ピンキー
07/09/06 20:52:05 AwgERNAw
明日の夜には上がってますように>雨

ところで卓球部の合宿の続きを未だに待っているのは俺だけだろか・・
いや、それも含めた全ての作品が漏れなくwktkなんだが。

93:名無しさん@ピンキー
07/09/06 22:41:07 BxMWqC+L
>>92
卓球は俺も待ってるよ。結構いいところまで進んでるし。
このスレには本当に期待してる



あー、俺も「Mori~」って呼ばれてぇ。名前に「もり」とか入ってないけどさ…

94:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:35:56 /V4euhHC
 部屋に、三度電子音が響き渡る。液晶画面に表示されている残り日数は『二十一』だ。
 ルールBの時と違い、二人はすぐさま『開かない扉』の前に駆け寄るようなことはしなかった。
 最早、走る気力もないくらいに、疲労困憊していたというのもあるが……何より、ルールCの内容を知ってしまうのが怖かった。
 もし、ルールCの内容が、何の救いもないものだったら……? それを考えると、足が竦んでしまい、その場から動けなかったのだ。
 何故なら……口にしなくとも、二人が一番理解している。ルールCの発表が、事実上のデッドラインであると。
 この分では、まず間違いなく、後三日は持たない。だから、きっとこれが、智信と留美にとっての、最後のルールになる。
「智信さん……」
 ブザーが鳴り止んでも、一向にその場を動こうとしない智信に、留美が心細そうな視線を送る。
「……わかってる。見なければ、始まらないものな。一緒に、見よう」
 二人は寄り添うようにして『開かない扉』の前まで歩く。そして―新しく発表されたルールを確認した。
 今回に限っては、智信はルールを朗読しなかった。いや、できなかったのだ。その文面に、目を、心を、奪われてしまったから。
 時間が、凍りついてしまったみたいだった。智信も留美も、立ち尽くしたまま、一言も発しない。
 ルールCの内容は、以下の通り。

『ルールC この部屋の中にいる生存者が一人となった時も、残り日数がゼロになった時同様、扉が開かれる』

「これって」
 長い沈黙の後。留美が、搾り出すようにして、言葉を発した。
「智信さんが先に死んじゃったら、私が助かって……私が先に死んじゃったら、智信さんが助かるってことですよね……」
「……文章を何度読み返しても、そうとしか、解釈できそうにない」

95:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:36:43 /V4euhHC
「こんなの! こんなのってないです! どうして……!」
 それ以上は、言葉にならなかった。留美の喉から、嗚咽が漏れる。
 智信も、留美も、心のどこかで、二人は一蓮托生であると思っていた。
 助かる時は二人一緒。死ぬ時も二人一緒。それは小さな連帯感となり、二人の間に絆を生んだ。
 しかし、ここでルールは無情にも、二人を引き裂いた。
 助かるのは一人。死ぬのも一人。つまり……絶対に『どちらか片方しか助からない』のだ。
「どうする?」
 泣き笑いのような、複雑な表情を浮かべながら、智信は留美に聞いてみた。
「……どっちも、嫌です。二人で、一緒に、帰りたい……」
 服の袖で涙を拭いながら、留美は答える。リップクリームなんて塗れるわけがないから、唇はかさかさで。喉は渇き切って、満足に声も出せない。それなのに……流す涙だけは尽きないのが、何だか無性に恨めしかった。
「僕も、同じ気持ちだ。でも……こうなってしまった以上、どうしようもない。むしろ、片方だけでも助かることを喜ぶべきなのかもしれない」
「そんなのって……」
「僕の考えを、話してもいいかな」
「……はい」
「このゲームを仕組み、ルールを決めた人間は、おそらく……僕たちが仲違いして、憎みあったり、殺しあったりすることを望んでいる」
 留美は悲しそうな表情で俯いたまま、答えない。
「ルールCを読み替えれば『一緒に閉じ込められたもう一人が死んでしまえば、自分は助かる』と言うものになるからね」
 智信は、少し間を置いてから、続ける。
「僕だって、こんな所で死ぬのは嫌だ。……生きたい! だけど、ルールを作った人間の思うように動かされるのは、もっと嫌だ」
 留美は首肯する。留美も、ルールCまで来てようやく、ルールに潜む明確な悪意に気が付き始めていた。
「だから、基本方針の維持を提案したい。丁度、水も食料も、底をついた。ここから先は……我慢比べになる。どちらが先に脱落しても、恨みっこなし。そして……最期の瞬間まで、お互いを尊重しあう。どうかな?」
 留美としても、異議があるわけもなかった。力比べを始めたら、智信が勝つに決まっているのだから。
 卑劣なルールに屈せず、最後まで、フェアプレイを貫き通そうとする智信の姿勢を、留美は嬉しく思った。



96:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:37:32 /V4euhHC
 留美は、水色の箱を下敷き代わりに、A四判の用紙を広げ、ボールペンを握った手を一心不乱に動かして、何かを書き記していた。
 三十分くらい、そうしていただろうか。留美は小さく息をつくと、動かしていた手を止め、智信へと向き直る。
「智信さん……」
「なに?」
 壁に寄りかかって、どこを見るでもなく目を開いていた智信は、不意に声をかけられて、留美の方を見る。
「智信さんに、一つ、お願いがあるんです」
 言いながら、ボールペンを置く。紙を小さく折りたたみ、箱に入れて蓋をする。
「もしも、私が、先に死んでしまったら……扉の外に出る時に、この箱を持っていってください」
「何を入れたの?」
「……遺言みたいな、ものです」
「そう、か」
 そこで、ふと、智信は気付いてしまった。自分も思い残しがないわけではないが、遺言を書くような相手も、書くべき内容も、見付からないということに。
 両親とは、進路の問題でこじれて以来、ろくに口も聞いておらず、だからと言って、親友と呼べるような、深い仲の友人もいない。
 ああ……もしかしたら。毎日、死に物狂いで勉強して、一級市民、一級市民と復唱してきたのは、他人より上を目指す以外に、アイデンティティを証明する手段がなかったからなのかもしれない。
 それは、とても空しいことのように思えて、智信は盛大な溜め息をついた。ただでさえ失われかけていた気力が、完全に失せていくようだった。



97:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:38:44 /V4euhHC
 ルールCの発表から、二十四時間が経過した。液晶画面に表示されている残り日数が『二十』を示す。
 智信は、ベッドに座ったまま、魂が抜けてしまったような表情で中空を眺めていた。
 留美は、ベッドの上に仰向けで横たわったまま、ぴくりとも動かなくなっていた。
 智信はのろのろと立ち上がると、留美のベッドに近付く。生気のないその顔は、近くに寄っても生きているのか死んでいるのか判断に困るほどだった。
「……留……」
 名前を呼ぼうとしたが、声が掠れて言葉にならなかった。しかし、その呼びかけに反応するように、留美の唇が微かに動く。
 留美の瞳に光はなく、目線も、呼びかけた智信の方ではなく、明後日の方を向いている。生きているのが不思議なくらいの衰弱ぶりだ。
 この様子を見るに、もう……独力では、立ち上がることすらもかなわないだろう。
 智信は、ずるずるとその場に座り込み、ベッドの側面に背中を預ける。マットレスを肘掛け代わりに使うと、指先に何かが触れた。ベッドに力なく投げ出されたそれは、留美の手だった。
 前にもそうしたように、智信は留美の手を握って、目を瞑った。
 智信とて、立ち上がり、動くことくらいは出来る、と言うだけで、それ以外は、留美と大差なかった。
 いつ何があってもおかしくはない、最悪のコンディションである。
 現実と幻想が混じり合って溶けたような混沌とした思考の中、智信は思う。
 どちらが先に逝くにしても―もうすぐ終わる、と。



98:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:39:42 /V4euhHC
 智信は、液晶画面の前に居た。残り日数は『十九』である。
 留美はもう、植物人間のようになってしまい、話しかけても何の反応も示さなかった。
 心臓は動いている。息もしている。だが―それだけだ。留美はもう、喜ばない、怒らない、泣かない、笑わない。
 智信も自分自身、体の自由が利かなくなりつつあるのを感じていた。このままでは、智信もすぐに、留美と同じ運命を辿るだろう。
 ――すぐに、同じ、運命?
 その言葉が頭を過ぎった瞬間。智信の心の奥底で、悪魔がそうっと囁いた。
『このままでは共倒れになる』
『佐々野智信。お前はこんな場所で死んでいいのか?』
 妄想の中の悪魔は、みるみる内に明確なイメージとなって脳内を駆け巡り、ついには智信の隣に、その醜悪な姿を現した。
『見ろ』
 悪魔は横たわる留美に、鋭利な刃物のように尖った指先を向けた。
『もう留美は動けない』
『お前が先に死んでも、どの道助からない』
『そうすれば、留美の残した遺言とやらも、結局は無駄になる』
『お前の取るべき最善の選択が何かわかるな?』
「僕は……約束した。最後までお互いを尊重するんだって」
 悪魔は、部屋全体が振動するような大声で笑った。その声が煩くて、智信は思わず耳を塞ぐ。
『くはははははははははは』
『何を遠慮する必要がある』
『動けなくなった時点で死んでいるのだ』
『後はお前が生きるか死ぬかを選ぶだけだ』
 悪魔は智信の手を引いて、無理矢理立ち上がらせる。そして、そのまま留美のベッドへと引き摺っていく。
「でも、こんなのは駄目だ、間違ってる、やりたくない」
 悪魔は、無言のまま首を振る。そして今度は一転して、優しげな口調で語りかける。
『もういい。お前はよくやった。俺は知っている』
『一気に食料を消費してしまいたかったが、食欲に抗い、長い日数を渇きと飢えに耐えながら過ごした』
『本当は留美を抱きたくて仕方が無かったが、性欲に抗い、手出しはおろか、性的な視線を向けることすらしなかった』
『留美がこの状況に押し潰されて錯乱状態に陥った時、一緒に泣き喚いてしまいたかったが、留美を気遣い、励ました』
『そして、ルールCの発表により、二人の対立が明確になっても尚、互いを尊重しようと言い、留美に生還の可能性がなくなるまで耐えた!』
 悪魔の手が智信の腕を掴む。智信の腕が留美の首にかかる。
 智信はしきりに頭を振って抵抗する。本当はこんなことはしたくないのだと。
『意地を張るな。もう楽になれ。緊急避難だ。誰もお前を咎めはしない』
 留美の首にかけられた智信の手に―力が、こもった。
 目を固く閉じて、歯を砕けるくらいに食い縛って、智信は留美の首を絞めた。

99:TIPS ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:40:35 /V4euhHC
TIPS『最悪のコンディション』
実質『どちらかの死亡待ち』であるルールCの存在が、二人から生きる気力を奪い、急激に衰弱させた。

TIPS『悪魔』
智信のエゴが妄想により具現化したもの。

100: ◆SSSShoz.Mk
07/09/07 00:41:12 /V4euhHC
>>52の続きです。次回以降解決編。

ルールA 鉄扉の正面に表示されているのは残り日数である。残り日数がゼロになった時、扉は開かれる。
ルールB ルールは、日数が三日経過する毎に一つ明らかになる。
ルールC この部屋の中にいる生存者が一人となった時も、残り日数がゼロになった時同様、扉が開かれる。
ルールD ???

101:名無しさん@ピンキー
07/09/07 02:03:04 InXfF/ON
>>100
S^4氏GJ&>>100ゲットオメ!

すげーハラハラドキドキする。

102:名無しさん@ピンキー
07/09/07 10:13:53 +PFXljIe
>>100
GJ!なんという絶望感…ハラハラさせるわほんっとに
続きを待とう。誰かと。二人っきりで。いないけど。

103:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:45:44 9E1ip7TH
チクチク… チクチク…
「あ、あの…」
「なに?!」
俺は、カーブの度に首に刺さる何かに耐えかねて、少女に問いかける。
しかし、彼女は怒ったように言葉を返す。
「いや、その…なんでもないです…」
「…なにか言いたいならはっきり言ったらどうなの?!」
「いえ…」
「「・・・・・・・」」
微妙な沈黙。くそっ、俺がなにしたんだよ…
「あーもうじれったいわね!!! なんなのよあなたわっ!」
容姿に似合わず、流暢な日本語だ。
「…こっちとしては、脅迫というか、命握られてる身なので、ほんとはなにもいえないのですが、
 ひとつだけ… お願いしてもいいでしょうか?」
「な、なによ…?」
あ、なんかミラー越しでも可愛い…
「なにぶんカーブの多い高速で速度でてるので、ゆれるたびにチクチクささるのですが、それ、
 収めてもらえませんか?」
「いやよ!」「なぜ!?」 
すかさず切り返す俺… 死んだな…
「収めたら、あなたきっと警察にいくでしょ!!」
「いや、そりゃ、まぁ…当然というか、ハンドル握ってるの俺だし…」
至極まっとうな意見を述べる。
「なおのことダメよ。これは保険なの。わかった?」
「だからってだなぁ… もし事故になると、逆にあんたのほうが危険だと思うのだが…」
「あら、私なら大丈夫よ? いざとなったらシートベルトかけるもの… って… あれ? …ない?」
なにかに気がついたようにあたふたしはじめる。長い髪がふわふわつられて動くのが見えた。
「ああ、この車は8年前のモデルチェンジ~云々~で、貨物仕様だから後部にベルトは無い」
「ちょっ、ちちちちょっと! それは困るわ!!!」
「勝手に困ってくれ… 俺は知らない…」
ぎゅっ!
「こーのー!!! 今すぐベルトだしなさい~!」
「ぐえっ! 首っ、首つかむなっぐえぇっ! むっ むりだっぐええぇ!」
「なんとかしなさい! 命令よ!!」
「ぐえええ! いやなら助手席こいっ! そこならあるからっっっ!」
ふっと首を絞めていた手が離れた。と思ったら、俺が運転してるのに前にでてきやがった!!
「はじめからこうしていればよかったのね♪」
チクチク。
またチクチクが始まった… って、今度は獲物がちゃんと見えた…
「って、ナイフかと思ったらシャーペンかっ!!!」
俺は盛大にツッコミしてしまった。
「あ・・・」
「~~~っ!… はぁ~…」
思いっきりため息を吐いてしまった。
こんなのも見抜けなかった自分が情けない…


104:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:46:27 9E1ip7TH
獲物がわかった瞬間、少女の態度が変わったのが見て取れる。
あきらかに身を縮こませ、凶器としての役を請っていたシャーペンを握り締めている。
運転のためちらちらとしか見えないが、彼女はなんだか守りたくなるような可憐さを漂わせている。
その様子に、俺も毒気を抜かれてしまったようだ…
「…まぁいいさ、警察には言わないでおこう。」
少女が顔を上げ、笑顔になったのを感じる。
「ほ、ほんと!?」
猫のようにも、小動物のようにも受け取れる目を俺に向けてきた。
くっ、こっちみんなっ! 俺がワルイコトしてるように思えてくる!
「あっ、ああ。まさかシャーペンで脅されました なんて警察に言えるか」
「……ご…さい…」
「ん? なんだって?」
聞こえなかった。聞き返すと、今度は耳をつんざくような声で
「ごめんなさい!!っていってるのっっっ!」
俺に身を乗り出しつつ耳元で大きい声をはりあげた。
正直鼓膜が破れるかと思ってしまう。奥でキーンと鳴っている。
「あー、はいはい! わかりましたっ! わかったから、シートベルト締めろ!!」
俺がそういうと、少女は助手席に座りなおし、シートベルトを締めた。
 :
 :
「…渋滞…か」
竹橋に近づくと、渋滞掲示板から「この先渋滞 追突注意」の文字が見えた。
ここで渋滞となると…首都高抜けるのに1時間か…
「あ、と、君… 千葉…方面だったよな?」
「え?! い、行ってくれるの?」
「まぁ… 不本意ながら乗せちまったワケだし、もともとは長崎までの道のりだ。
 千葉くらいなら、+150kmってとこだろ… 別にいいさ」
少女が笑顔になる。後光がさすような、そんな笑みだ。…いま、華が舞ったぞ?
「ただし、送るだけだからなっ?」
「ありがとうっ!」
抱きつかれた。だからあぶねぇって!


105:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:50:03 9E1ip7TH
渋滞にはまっていてしばらくすると、少女が妙にソワソワしだした。
「なに? どうした?」
「えっ?! いやそのっ…」
「はっきり言ってくれ。さっきみたいになりたくない」
「その… ~~~に…」
「は?」
「トイレっ! おしっこっ!!」
は・・・ マジデスカ?!
「う、うわわわ おまっ、ここ渋滞の中だからトイレないぞ!?
 先が事故でふさがっているからしばらく動かないし!
「こまる! もうでちゃうぅ!」
くっ、この手だけは使いたくないが…
過去に同じ経験したことがあるだけに、常にダッシュボードには穴の開いていない
スーパーのビニール袋が常備してある。それを使えば…
「いやよ!」
そのことを説明したら拒否られた。
「断ってる場合か!漏れたらどうすんだっ!」
「でもでも!」
「でももへちまもねぇ! やれ!」
「~~~~~~~~~っっ!!!!」
完全に決壊寸前だったらしい。ベルトをはずすよう指示して、
座席を後ろまで後退。足をまげ腰を座席の前までもってこさせ、ビニールを持たせてやった。
「あとはできるな?!」
こくん。
少女は耳まで真っ赤にしながらうなずいた。
背に腹はかえられないらしい。あれ?表現違うか?
”ぱしゃっ ちょぼぼぼぼぼぼぼ…”
極力見ないように努力する。見たら俺、変態だ。うん、みるな。みちゃだめだ。だめだったらだめだ。
「んっ、くふっ、ふぅぅぅっ」
吐息が聞こえる。
くっ… 逆に見ないほうが妄想たくましい俺に…
「やぁ…」
嫌がる声が耳にうるさく届く。
「ナっ?! なニドうシタッ!??」
動揺するな動揺するなドウヨウスルナ・・・
「と、とまらないのぉ! こんなにいっぱいぃ~…」
ちょぽぽぽぽぽぽぽ…。
たしかに袋半分はきてるだろうか?
どれだけ我慢してたんだよ… って、あ… 見てしまった…
「ひっく…臭いが…」
少女は恥ずかしさのあまり泣き出していた。
(だぁー! もう!!)
すかさず換気モードで風力全開にする俺。窓は…全開にできないな。
…これでどうだ!? 俺はあまり臭いを感じないがこれだけすれば問題ないだろ?!

106:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 10:51:57 9E1ip7TH
ガサ…ガサガサゴソゴソ…きゅっ。
少女は泣きながら自分のを受け止めた袋を締めた。
「は、恥ずかしすぎるよぉ… こんなこと初めてだし…」
「がまんしろ。俺も過去に1度だけやったことがある」
「み、見てないでしょうね?」
「おお、み、見てないぞ? うん」
「黒いパンティ、見たでしょ?!」
「い、いや、白かっただろ! 赤いリボンのっ!」
「「・・・・・・・・・・」」
「…へんたい」
ぐはぁ! なんか! なんかイケナイ道に進もうとしてないかオレ!!
「むりやり車のなかでオシッコさせたうえにその姿を見て喜んでるなんて…スケベ! へんたいっ!」
「うおっ!? 喜んでなんかいっ、いないぞ?! 何を言い出すんだっっっ!」
「………まぁいいわ… がまんできなかった私が悪いんだし… 送ってもらえるんだから文句言えないし…」
あ…焦った… オレが逆に警察のお世話になるところだった…
「とりあえずこの袋、どうするの?」
ちゃぷん。
袋に詰まったモノの処分は、ココでは不可能だ。
しょうがない…
「取っ手を引っ掛けるものが後部座席の手すりにあるから、そこに引っ掛けて…」
「ん… わかった」
とりあえず、引っ掛けてもらった。


一応騒動はひと段落する。渋滞は、抜けるまであと少し・・・

#軽バン…99年式ダイハツ ハイゼット・アトレー 貨物仕様車 は、後部座席にシートベルトがありません。
#(主に ○○ 40 ナンバー車) ウチの車だけかもしれませんが、後部にはローラーコースターばりの手すり
#(買い物袋引っ掛け用爪付き)があり、移動中はそれを握ってもらいます。
#ディーラーに確認したら、ベルトは後付けも不可で、車検証には乗車定員 2(4) 人 と明記してあります。
#
#過去に1度だけ…作者経験談です。関越道でいつか昔に女性が生きたまま手枷つけられて100km走行時の車から
#投げ捨てられた事件(婦女暴行死亡事故事件)があったときに、自動車道が閉鎖されてしまい、
#その煽りをくって川越街道(成増~所沢BP)が激混みしたときに、仕方なくやってしまったことがあります。
#いつかネタにしてやるとか思ってたので、ここで登場です。
#
#なんだか、こんなネタでいいのか自分の脳みそくさってんちがうか? とか…
#まだ序章も終わってないのにorz
#よろしくお願いします。

107:名無しさん@ピンキー
07/09/07 11:14:20 BBBEzzoq
なんだかんだでGJですわ

はてさてこの珍道中どうなるのか…
(…作者さん女の方?同じビニール袋使うっても男と女じゃ使い勝手違うし)


108:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/07 19:07:29 9E1ip7TH
>107
gjありです。
>女?
男です。ビニールの使い方のヒントは、10年位前にFujiQ→新宿の高速バスで、
隣に座ってた女の子がトイレ我慢できずに決壊寸前までいって、
親の指示でその場で局部にビニールを密着させて"した"という目撃例があるので…
それを数年後に自分で実践することになるとはいやはや…
男だと筒先を調整するだけで済みますが、女の子って大変だなぁと…

109:名無しさん@ピンキー
07/09/07 19:54:48 GZnJxSy7
>81 ◆DlPgAmm21I 氏
乙です。それにしても出発早々にニョーホーとは..。目的地が千葉とはいえかなり濃い旅が期待できそうw
「ローマの休日」ならぬ「総武の休日」とでも呼びましょうか?w車板住人でもあるので、期待してます。

110:名無しさん@ピンキー
07/09/07 20:24:27 QiUxCSQ6
車が爆発とかしたら、帰りは京葉線で帰るのかな?wkwk

111:名無しさん@ピンキー
07/09/07 21:58:49 x6/tf4fD
お二人様共に、GJ!

方や大詰め、方やワクワク・・・

シャーペンは受けましたw
この流れはよめませんでした

112:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/08 09:28:55 UfQTHTXa
#えと、妄想が止まらないです。
#じゃんじゃか物語が紡がれていくのですが、
#基本へタレなのでおいしい物語にならなかったらごめんなさい…

<<ピンポーン 料金ハ\200エン デス>>
-京葉道路・船橋料金所を通過した。
「なぁ、ひとつ聞いてもいいか?」
「なに?」
「とりあえず、方面はわかったが、正確にはどこなんだ?」
「館山よ」
「そうか、館山か… 何しに行くかわからないが、住所はわかるか?」
「○○よ。○○の××の△△△△」
「まてまて… よし、これだな」
車に取り付けた自慢のPSPナビが起動する。
少女から微かな笑い声が聞こえる。こら、わらうな!
そんな顔をしてたら
「ちいさくてかわいい機械ね」
だと… くっそ、ボーナスでHDDナビ買ってやる!
今年の7月に館山まで高速一本でいけるようになったから、古いナビも新調しなくちゃな…

「・・・そういえば、名前、まだだったな。俺は康平。君は何ていうんだ?」
「まりよ。真理って書くの。友達からは”まーちゃん”とか”マリー”とか呼ばれてるけど…」
「マリーか… たしかにしっくりくるな」
「な・に・か・い・っ・た・か・し・ら?」
まずい、逆鱗に触れたらしい…
「こんな成りしてるから”なるほど”とか思ったんでしょ!」
ばれてるらしい… 金髪碧眼でそのあだ名は誰もがソウ思うだろう? よし、フォローを試みよう…
「いやでも、きれいな髪だしふわふわだし、かわいいからなんというのかな・・・」
「そんな言葉は聞き飽きてるっ! しらないっ」
「おいおい…」
「・・・・・・・ぷっ、あははっ、くすくす、あはははははっ」
真理はコロコロと笑い始めた。
「な、なんだよ」
「私のあだ名を教えたら、だれもが同じ反応するから、ついおかしくって…」
ちぇっ… なんだよそれ…
「ふんっ… 高速降りるぞ」
「え? ちょっ! なんで高速降りるのよ!」
俺は幕張ICで降りてそのまま14号に合流した。
長年の経験からいうならば幕張IC~アクアライン連絡道までは14号・16号を使ったほうが、
穴川の渋滞も、遠回りする上に金もかかる高速も回避できるのだ。
「何で降りたのよ? しかもなにニヤニヤしてるの? 怖いわよ?」
ニヤニヤしている顔を見られてしまった。
「う、うるさいっ、経費節約だっ この道の方が得だしっ!」
ガソリン代も馬鹿にならない。
出発した埼玉南西部では136~142円/Lだが、千葉は133~138円/Lだ。(07/09/01調)
入れるとしたら市原近辺の製油所前のスタンドがベストだろうと、思っている。
ただ、メーターを見たらさほど減っていないので、今回はパスすることにする。

113:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/08 09:32:12 UfQTHTXa
くーきゅるきゅるきゅる・・・
「・・・?」
ん? なんの音だ?
くぅ~・・・きゅるきゅる・・・
なんだかマリー(もう確定だな)から聞こえてくる。
幕張ICからだいぶ走ってきた。40kmくらいか?
彼女をみると、おなかを押さえて顔を赤くしている。
「どうした? おなかへったか?」
「…うん」
「なんだ、なら、挑戦してみたい店があるんだが、いいか?」
「挑戦???」
「ああ、すぐそこだ」
「なに? 大食いでもやるつもり?」
「いや、ドライブスルーさ」
「ドライブスルー?! ええっ!? 経験したことない!!」
「おお、ならちょうどいい。行って見るか。ちなみに牛丼屋だ」
「えっ?! …私、牛丼って食べたことない…」
「おー、なら人生初挑戦、いってみようか!!!」
「うんっ!」

国道16号を南下し、アクア連絡道の袖ヶ浦IC数km手前に、その店はある。
日本全国に展開している牛めし屋 ”松屋”。
俺は今まで利用したことがなかったが、そこは生まれて初めて見つけた
ドライブスルーの利用出来る松屋だった。

「並2つ」
ドライブスルーでの牛丼は生まれて初めてだ。
マクドはしょっちゅう、ケンタのフラチンもちょくちょくだが、
牛丼は未経験だった。
隣ではマリーがまだかまだかと目をキラキラさせている… 思わず頭をなでたくなった。
はっ… いかんいかん…

弁当を受け取り、そのまま袖ヶ浦ICから高速に乗る。
高速走行中、となりでは、
”はぢめてのぎゅぅどん”と格闘しているマリーがいる。
「お、おいしい!! あたたかい料理ってあまり出ないから、すごくいい!」
お気に召したようだ。
ああほら、ほっぺにご飯粒ついてる…
「ご飯粒ついてるぞ?」
「んぅ、どこ?」
わたわたと探すマリー。
「ここだ。しょうがないな」
ひょい ぱく。
「・・・わたしの分、たべた・・・」
ええ?! そこでそうきますか?!
ってあれ? 顔真っ赤だぞ…
「マリー?」
ビクッ!。
「し、しらないしらない!」
あ、そっぽ向いた。
「・・・・・・」
なんか俺、やばいんじゃね?

114:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/08 09:35:26 UfQTHTXa
#エロにもっていけないヘタレです。orz
#PSPナビ ナビは向いてないけど現在地の把握に役立ちます。
#去年長崎行ったときは地図片手に右往左往でしたが、これがあればもっと楽だったのかなあ…
#
#松屋のドライブスルー、実は未経験だったりします。
#きっかけは、深夜ドライブでアクアラインを神奈川から超えたところで発見しました。
#軽で深夜で1950円だったかな?ETCで←アクアライン。
#調べてみたら、ちょくちょくあるみたいで… こんど近場にないか探します。
#松屋ドラスルー、いつか行ってやる!
#
#これから寝ます。起きたらお出かけ。続きは週明けになるかと思います。
#よろしくお願いします。

115:名無しさん@ピンキー
07/09/08 20:02:34 AvT11Ewg
おい!、そこで高速代ケチって渋滞回避なんて言い訳コクなら、
長崎へ行くのに5号線上るな!用賀まで下だろ!
え?違う?

とにかくガンガレ。

116:名無しさん@ピンキー
07/09/08 20:30:33 oPDP56Dv
なあ、もしかして小便捨ててなくないか?
まさか伏線!

117:名無しさん@ピンキー
07/09/08 21:16:07 slQ01Dho
work taker

118:名無しさん@ピンキー
07/09/08 21:29:43 wwKMVvAd
>>116
追っ手にぶつける聖水爆弾と見たw

119:名無しさん@ピンキー
07/09/09 04:20:07 0ybM1Hyr
うちのおじがPSPナビ使ってる件w

120:名無しさん@ピンキー
07/09/09 14:38:47 sMtzC+37
コレはいい二人きり。
フリー鬱ゲームのナルキッソスを明るくしたみたいで面白い。
続きが楽しみ。

121:名無しさん@ピンキー
07/09/09 20:05:47 YrS8iOTz
ナルキッソスって携帯電話用のエロゲじゃん。
いや、まぁエロシーンが邪魔なくらい面白かったけどね?

122:名無しさん@ピンキー
07/09/09 21:55:29 16z4lCRz
電波を受信したので、思わず一本書いてしまいました。

しかし、SSを書いたのは初めてだったので、皆さんが納得できるような内容では無いかもしれません。

更に言うと、パソコンは今修理中ですので、携帯からの投下になってしまいます

スレ汚しになるかもしれませんが、投下してもよろしいでしょうか?(ダメなら帰りますので)



123:名無しさん@ピンキー
07/09/09 21:58:50 YrS8iOTz
投下しろ、話はそれからだ。

124:名無しさん@ピンキー
07/09/09 22:57:05 gvLlOHdW
作者さんはやくきてクレー!

125:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:04:25 16z4lCRz
それでは、投下します。ただ、なにぶん初めてなもので…
チラ裏に書いとけとか言われそうな内容なので、ご容赦下さい




今日、俺は中学からの悪友、高岡亮太郎の家に遊びにきていた

しかし、亮太郎は妹を連れて、買い物に行くと言って家を出て行った。後に残ったのは……

(はぁ…、メッチャ気まずい……亮太郎~、恵美ちゃ~ん、早く帰ってきてくれよ~!)

今、この部屋にいるのは、自分と、高岡の妹と同じ中学校の制服を着た女の子だけだった

(全く、高校生にもなって妹と同じ部屋なんて、あいつ絶対シスコンだな。今も二人仲良く買い物に行ってるし…)

目の前にいる少女は、遊びに来た時に何度か見たことがあるのだが、名前も知らなかった

とにもかくにも沈黙が気まずすぎるので、何か話題を振ってみよることにした

「ふ、二人とも遅いね」

「そうですね」

一瞬にして会話が途切れた。そして再び訪れる沈黙・・・

(俺は馬鹿ですか?それともアホですか?一秒も会話を続けられないなんて…)

話題が何も思いつかばないので、とりあえず名前を聞いてみる。



126:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:06:46 16z4lCRz

「俺の名前は吉田由広。君の名前は?」

「・・・・石井加奈です」

少女は一瞬驚いた顔をしながら、返事をする。そしてまたもや沈黙が訪れる。

加奈はそれ以上話し掛けるな、とでも言わんばかりに本棚に入っていた少女漫画を読み出す。

(はぁ…。しょうがない、俺も漫画でも読むか。)

そう思い、同じように漫画を読み出す由広。

しかし、高岡兄妹はいつまでたっても帰って来ない。

時間はすでに6時を経過していた。

(…帰るか、ここに居ても気まずいだけだし)

そう思い、亮太郎にメールを打ち始める。

と、加奈もどうやら帰ると決めたようで、帰り自宅を始めた
「あれ?恵美ちゃんはメール打たないの?」

「携帯を持っていませんので」

この発言に対し、少し驚く由広。

(へぇ。今時持ってない子もいるんだ。でも、俺も中学までは携帯なんて持ってなかったしな。そういう子が居ても不思議じゃないか)と、納得する。

「じゃあ俺がメールしとくよ」

「…ありがとうございます」

ペコリと頭を下げる加奈。

それでは、私は帰りますので。そう由広に言うと、サッサと部屋を出て行ってしまう



127:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:12:18 16z4lCRz
「あ、送ってくよ。」

「いえ、いいです。歩いて15分程度なので」

では、と言いながらドアを開けた加奈。しかし…


「凄い雨だね…」

外はどしゃ降りだった。

「傘は持ってるの?」

「持ってないです。まさか降るとは思って無かったので…」

とりあえず、二人は部屋に戻った。

と、その時、亮太郎からのメールが届いた。

「なになに…、『外はどしゃ降りだし、明日は学校休みだし、今日は泊まってけよ。今から夕食の材料買って帰るから。加奈ちゃんにも伝えといて。』だって。どうする?」

「でも、そこまでお世話になる訳には…」

加奈は遠慮しているのか、迷っているようだ

「大丈夫じゃない?アイツの両親旅行中だし」

しばらく迷っていたものの、それなら…、と加奈は泊まることを決めたようだ。


とりあえず、ここまで書き上げました。
できれば皆さんからの、批評、感想、アドバイスを聞いてみたいです。
皆さんからの反応で、今後どうするかを決めて行きたいです。
もちろん、このスレにはいらない、などの意見が大多数だった場合は、ROM専に戻り、他の作者様の邪魔にならないようにします。

128:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:17:29 D+pJAYh3
続行希望

129:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:27:33 DnAsB4Up
続行キボン

何かこのままだと4Pになりそうな(ry

130:名無しさん@ピンキー
07/09/09 23:42:43 YrS8iOTz
句点、読点の打ち方が不自然だな。
一行空けるのは正直いらないと思う。
文章に緩急がないので、伝えたいところは説明を多く、説明が不要と思われるところは省く。
文章がブツ切れになっているので文の終わりに変化をつけてもいいと思う。『~た』以外のも考えるべき。
説明の文は現在形になっていると臨場感が出る。(一人称視点は特に)
()の中身で思考を表現するのはどうかと。それこそ説明文に織り込むべき。
「~?」ときたら答えとの間に文を挟まない。失速する。
一人称視点なら説明の文に感情を込めるべき。無機質すぎる。
視点がブレている。物語を書く上で一番やってはいけないこと。セリフ以外で主人公の名前を出すとほぼ確実に起こるから注意。

いろいろ言って見たけど、内容自体はGJ。続き希望。

131:名無しさん@ピンキー
07/09/10 00:10:41 DBhoNmv/
>>127
GJ
だいたい>>130の言う通り。
後、投下前に「投下しても良いですか?」と訊くのは「誘い受け」と言われて、あまり良い顔されないから控えた方が良い。
改めて言うけれども、GJな作品だから、これらに気を付けて、自信を持って。

132:名無しさん@ピンキー
07/09/10 03:11:49 x6RWXgUt
1行あけることについては、別に構わないと思う。読みやすいしね。
ただテンポが淡白になりやすいんで、文章に抑揚をつけないと難しい。
この1行空けは「満月」からの流れなのかな?


133:名無しさん@ピンキー
07/09/10 06:56:19 +DXjF7wk
>>128-129ありがとうございます。これから続きを書くことにしました
ただ、4Pではないですw
>>130沢山のアドバイス、ありがとうございます。
自分は三人称のつもりで書いていたのですが、どうやら一人称とも三人称ともどっち付かずな文章になっていたようです。
以後は気を付けたいと思います
>>131GJありがとうございます。
確かに誘い受けと思われるような事を書いてしまって、すみませんでした。
>>132満月からの流れ、という訳では無いのですが、文が長いと読みにくくなると思い、一行空けました。
ただ、仰るとうり、淡白な文章になってしまいましたので、次は気を付けます。

長文失礼しました

134:名無しさん@ピンキー
07/09/10 07:45:07 +DXjF7wk
書き忘れましたが、今週はなにかと忙しいので、続きを投下できるのは来週になりそうです。
遅筆なので投下に間隔が空いてしまいます。すみませんでした

135:名無しさん@ピンキー
07/09/10 14:47:45 v+F2DFAT
このスレも盛り上がってきたな。500KB行くかもしれんな。



俺が行かせてやる。

136:名無しさん@ピンキー
07/09/10 17:27:23 ngNYHDCJ
この切り込み隊長>>136様が此のスレを500kbまで突っ走ってやるよぉぉぉ!

137:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:10:08 hyAgyWwY
#遅くなってすみませぬ。行きます。
<※作者注…この物語はフィクションです。実在の団体、名称等とは一切関係ありません>
お、パーキングエリアだ。

君津ICを過ぎてパーキングに入る。

「ちょっと休憩するぞ」
「え?」
「トイレだ」
「あ、うん…」
なにか考え事でもしていたのだろうか… 生返事っぽかった。
「私も、トイレいく…」
「おう、いっとけいっとけ。もう袋なんてないからな」
「ばっ!…」
ぐあ、言い過ぎたらしい… なみだ目だ(汗
おいおい、睨むな… こっちみんな…

車を降りて建物に向かう。
「ほぅ… さすができたばかり… いろいろとピカピカだな」
「トイレがきれい~♪」
「じゃあ、15分くらい休憩したら出るから、そのつもりでな」
「は~~い」
ふぅ… 金髪がふわふわして遠目から見ても気を引くかわいらしさだな…
性格はいいんだろうけど無鉄砲なとこあるしな…
いっそマリーを家に飾りたい衝動にかられそうだ… いや、やめとこう…
トイレのなかで、ついでに、車からマリーの・・・が入った袋を処理にかかる。

用を済ませると、ふと、エリア内で街中で見かけない自販機をみつけた。
いや、街中のとはそっくりなんだが、奇妙な言葉が入ってる。
”災害支援ベンダー”…! なるほど。
言葉から察するのと、実際の説明書きとが合致する。
停電状態でも購入が可能なのか。

ガコン!
意識覚醒用に缶コーヒーを購入した。
しかし、停電状態でどうやって動くのだろうか…バッテリー? 発々? まさかカラクリ仕掛けとか…

自販機前で思案してるとマリーがやってきた。
「なにむずかしい顔してるの」
「いや、この自販機が停電しても買える機械だからどうやって動くのか考えてた」
「ふーん」
つまらなさそうだ。
機械の仕組みについてつい考え込んでしまうクセはどうにも抜けないなぁ。
と自嘲しつつも、さて… マリーに飲み物かってやるか…
「なにか飲むか?」
「んー… ほしい、かも。 同じのでいいよ?」
「え、ブラックコーヒーなんだが…」
「あ、だめ… 甘いのがいいな…」
「激甘コーヒーがあるけど、どうだ?」
「ん、それでいい」

138:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:12:19 hyAgyWwY
ジョージア マックス コーヒー… これしかないだろ
「なににやついてんのよ?」
「いや? 激甘で後悔すんなよ?」
「ふん。(パカッ) んくんくっ、んく… あっま~い!」
「甘いだろ? それ毎日飲んでたら、糖尿病になるぞきっと」
「おもしろい冗談ね? でも、すごい甘いねこれ…」
「昔、ジョージア名称がついてない時代のマックスは、もっと甘かった。
 マックス甘いコーヒーといっても過言じゃなかったんだよ…」
「うそ?!」
「ごめん、実体験してないから聞いた話しだ」
「なによ 知らないんじゃない」
「いや、友人から聞いた話だが、比べたら現在のやつより甘かったって言葉はあるんだよ」
「これより甘いの…?」
「うん。でも、苦いの苦手でもこれならのめるだろ?」
「…うん」

ここのパーキングの喫煙所はまだ建設中だった。
隣に青空喫煙所があったので、そこで吸うことに。
懐からタバコをだして、ライターを探す。
だが、探す手がマリーにつかまれた。
「なに?」
「タバコはやめて… おねがい…」
うあ、上目遣いに見るなって… 悪いことしてる気持ちになるんだって。
「う… あ…」
「体にも悪いから、ね?」
…吸う気が失せてしまった。日に2~3本しか吸わない貴重なものだったが、
こんな美少女に抱きつかれて懇願されたら、吸う気も失せる…
「わかったよ… きみの前では吸わないよ」
「いや、そうじゃないんだけど… ううん、わかった」
わかってくれたか。送り届けたあと、めいいっぱい吸おう。
…ピアニッシモ・ペシェだけど。

139:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:14:00 hyAgyWwY
タバコをとめられたので、ちょっと周りをみてみた。なんか人工的な丘がある。
マリーを促し、ちょっと上ってみることに。
「うわあ パーキングとか、いろいろ見渡せるねぇ~!」
一人駆け足でのぼっていってしまったマリーを追いかける。といっても歩いてだが。
先に上りきった彼女が、こっちに大声で話しかけてきた。いや、感想か?
自分も登りきると、そこには先客がいた。
学生のグループ? がマリーを確認すると、友人たち(と思われる)で話あっている。
「カワユス」「超お持ち帰りケテイ」「こらこら やめとけ」など。
おいおい、おまいらも俺と同類ですか。
学生たちは俺を確認すると、丘から降りていった。
離れていく会話が細く聞こえる。
「今夜はきっと」「ラブホでしっぽり…」「金髪美幼女、たまんねぇ…」
こらこら…俺は一回、命狙われてんだぞ… そんなことしたらなにされるかわからん。
しかし… しかし、だ… 仮に~
「なに? どうしたの?」
いつの間にか駆け寄ってきてたマリーに驚く。
「うわ! い、いや、なんでもない」
やばい、顔が赤いと思う。 彼女を凝視できない。
「へんなの」
いかんいかん…なに考えてんだ俺! 相手は2回り近く年が低いんだぞきっと!
それだったら対象にすらならんっ!!
「ねぇねぇ、それより、あっちにハンカチが結ってあるの。なんだろうね~?」
考えを切り替えろ。ん? ハンカチ?
マリーに引かれるままその場所に至る。
鉄製の柵に、ハンカチがいっぱい結ってある。なんだ? これ。
「なんだかわかるー???」
彼女は本気でわからなそうだった。
よし、適当ぶっこいてみるか。
「きっと、どこかのカップルが二人で結って、末永く幸せになれるようにとか、願ったものじゃないの?」
「ええっ?! それホントっっっ!?」
やばい、目がキラキラしだしてる… 今”嘘だ”といわないと、フォローしきれなくなるっ。
「冗談だよ… 正直判らん」
「ええー? なんだよぅ!!」
ぶ~! とふくれて抗議してきた。
はっはっはっは と笑いながら頭を撫でてみる。
「マリーは素直でいいこだな」
「笑いながらいうなあぁ!」
「ぐぇ」
みぞおちにパンチがはいった。いてぇ…
「あっ?! ご、ごごごごめんっ!!」
俺は丘備え付けの長ベンチに腰掛けた。
マリーも隣に座り、心配そうに覗き込んでくる。
…こういう仕草が俺にツボだ。
彼女はわかってやってるわけではないだろうが、ドキドキする。

140:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/11 02:23:22 hyAgyWwY
「なぁ」
「なに?」
俺は落ち着いた頃、マリーに質問してみることにした。
「なんで、こんなことをやってんだ?」
「こんなこと って、ヒッチハイクみたいなもののこと?」
「そうだ」
初めはカージャックだったがな。 は心の奥にしまった。
「それは・・・・それはね・・・・・・」

#今日はここまでっ
#マックスコーヒー…コーヒーの分量よりも、練乳とか砂糖が上位に来ている缶コーヒー。
#初めはちばらき限定販売が、ここ5年ほどで全国区販売に展開。
#コーヒー飲めない友人が、これならいけると言い切った代物。冷たい状態ですんごく甘い。
#あっためたら…((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
#パーキングの丘…実在します。ハンカチもありますが、どういうためのものなのか未だに不明
#以下 意見感想へのレスポンス
#・「総武の休日」 いいなあ どうしようかなぁ… 「房総の」とか考えたけど 総武 にはかないませんでした。
#・バクハツはいやだなぁ…
#・5号線へ乗る理由は、以前友人が環八を超えるのにえらい混雑で、東京インターまで8時間掛かった経緯が…
#・小便は今回捨てました。シチュ考えたけど、=汚い イメージしかわいてこなかったので処理処理!
#・PSPナビは、現状把握とルート確認には良い物です。でも、UMD読み込みなので通過してから「そこ右」とかしょっちゅう…
#・ナルキッソス 検索完了。初めて見る作品です。なんか読み応えありそうなのですが、自分、読んでしまうとめちゃくちゃ影響うけるので、この作品終わるまでは読まない様にします。すみません。

141:名無しさん@ピンキー
07/09/11 03:11:26 GfknvrLX
GJ。GJだがこの焦らし。81!貴様、わざとやっているな!
まあ小便は捨てるよなw

142:名無しさん@ピンキー
07/09/11 03:23:06 dVf5g8SV
何この気になる終わり方マリーカワユス

143:名無しさん@ピンキー
07/09/11 11:51:15 eHusbk4y
良いねコレ! 素晴らしい二人きり。楽しみです。
あ、あと関係ないけど前言ってたナルキッソスって携帯用のエロゲじゃ無いよ。
車で二人だけで旅する鬱なフリーゲームだよ。1しかしらないけど。

144:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:31:06 oXsD9FBU
A/B投下。>>66の続きです
前回の反省や意見等を取り入れて書いてみました(取り入れたつもりになっているだけかもしれないが)

まずは今回説明が必要と思われる用語をあらかじめ以下に示します。「こんな言葉知ってるぜ。馬鹿にすんな」っていうやつもあるかもしれませんがご容赦を
前回使用した用語は改めて説明しません。>>67を参照

ブリーフィング…航空機に搭乗する前に、隊内や同じ機の乗務員らと行う簡易の(その割には30分かかる事もざららしいが)説明会。
動翼…文字通り、動く翼。垂直尾翼のラダ、水平尾翼またはそのエレヴェータ、、主翼のエルロンなどがある。どれも航空機の機動に関係する。
ギア・アップ…航空機の車輪(ランディング・ギア)をしまう事。逆は「ギア・ダウン」。
ピッチ角…機体の前後軸が左右軸に対してなす角。機首の上下を表す。
データ・リンク…正確には戦略デジタル情報リンク(TADIL)。軍事行動の情報を伝達、配信、共有するための通信システム。兵士や兵器の効果的な運用を意図している。
クラック…ハッキングの一種。対象のコンピュータや通信網に打撃を与え、使用を困難または不可能にする行為。
耐Gスーツ…高G下に於いてブラック・アウトを防ぐために下半身に血液が溜まらないようにするための衣類。脚をきつく締め付けるように作られている。
エプロン…ハンガ前の広場。
キャノピ…風防。航空機のコックピット部分を風圧から守るためのガラス。ちなみにF-15Cのキャノピはマッハ2.5を越えると吹っ飛ぶ事があるらしい。
エンゲージ…「交戦開始」のコール。
対電子戦防御(ECCM)…敵の電子戦に対抗して逆にその妨害電波を打ち消す行動。電子戦というのは妨害のし合いの繰り返しである。
ブレイク…「今とっている進路から離脱する」というコール。回避行動を促す意味(命令形)や、急な進路変更で使われる。
一ノ谷…かの有名な源義経による「逆落とし」で敵陣を背後から急襲したもの。それにちなむ。
マズル・フラッシュ…銃撃の際に銃口(マズル)から出る炎(フラッシュ)。
エア・インテイク…空気取入口。これが無いと航空機は飛べない。
近接信管…目標の機体とある程度接近すれば爆発するように設定されている信管。
ドッグ・ファイト…戦闘機同士の格闘戦。現代では起こる事がまず無いが、ステルス技術が進歩すると格闘戦が復活するだろうという意見もある。
ヨー…正確には機体の上下軸に対する機首の左右の運動。通常、垂直尾翼にあるラダを使ってヨーによる方向転換をする。
ポジティヴ…「肯定」のコール。否定するときは「ネガティヴ」。

145:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:33:04 oXsD9FBU
  *  *  *

 10月に入った。
 敵による防空識別圏(ADIZ)への侵入は9月上旬からその回数を増し、基地や施設、都市が爆撃されていった。
 爆撃機の編隊は、必ず護衛の戦闘機を連れているが、それらによって要撃機が次々と落とされていった。
 爆撃機についてくる戦闘機は、J-27A「ジュラーヴリ」が6機。上面が蒼く、下面が灰色に塗装されている。
 その飛行隊は、驚くべき機動で要撃機を翻弄した挙げ句、正確な射撃で狩る。その姿は愛称の訳語、「鶴」とは似ても似つかない、まるで「猛禽」だ。
 このまま敵からのダメージが蓄積していくと、津軽海峡以南の制圧も時間の問題になってしまう。
 そこで、今ブリーフィングが行われている。
 いつものブリーフィングとは違い、今回は大会議室で行われている。そしていつもは数名で行うのに対し、今回は30名ほどが参加していた。
 それもその筈、今回の作戦は、北海道の奪還を目的としている。
 ここに集まったのは、全てが制空戦闘機のパイロットである。敵航空戦力を相手にする、対地・対艦攻撃はお門違いの人材だ。
 国土が侵され、その領域が敵に占領されたのはこの国の歴史において、2年前にあの国が侵攻してきた戦争のみである。なればこそ、この国土奪還作戦は完遂させなければならない。
 ブリーフィング参加者には、北海道の出身者が多かった。
 東遼介空軍即応予備中尉は、この戦争が始まるまでは陸奥県内の大学で軍事学の助教授をやっていた。その大学の学生は、北海道出身者の割合が多い。
 彼本人は塩釜市の出身なので、北海道への直接的な思い入れは無い。しかし―
 国土の奪還は、奪還する側にとって圧倒的に不利である。
 というのも、占領している側はその土地から攻撃の矛先を様々に向ける事が出来るし、いざとなればその土地に居る人民を人質に取る事だって可能なのだ。
 そんな作戦を、今からこの国は行う。「楓作戦」。そう名付けられた。

146:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:34:45 oXsD9FBU

 空軍第3防空団航空群第8飛行隊、通称「レインボウ隊」は、道南の敵航空部隊を無力化する事を、他の航空隊と同様に任命された。危険な任務だ。真っ先に会敵するのだから。
 アズマ中尉らレインボウ隊は1ヶ月ほど前、新しい機体を受領した。
 40式22号イ戦闘機「蓬風」。対地攻撃能力は無いが、その分空戦に集中出来る戦闘機だ。ステルス性よりも機動性を重視した形状で、現時点ではこの機動性を凌ぐ機体は存在しないとされている。
 先に上がった36式4号ロ電子戦機「嵐霧」、33式21号ハ戦闘攻撃機、31式2号警戒管制機(AWACS)「星雲」に続き、彼らは上がる。
 滑走路手前で待機している40式戦は、その胴部のウェポン・ベイに27式短距離空対空誘導弾を左右2本ずつ4本、30式中距離空対空誘導弾を4本装備している。また、翼下のパイロンには27式が2本、30式が2本装備され、計12本のミサイルを搭載している。
 それに加え、小型予備燃料タンクも左右にひとつずつ装着している。
『レインボウ隊、離陸を許可する。風は方位220から10ノット』
 管制塔からの連絡。彼らは滑走路手前で一列に並んで、正確には少しずつ交互にずれながら、滑走路に進入した。
 航空機の操縦は、点検に次ぐ点検である。彼らは滑走路上で、滑走路の点検、エンジンを大出力にしたときの点検、電子機器の点検、油圧系統の最終的な点検などをこなす。動翼が動く。
 キャノピに雨粒が付き始める。この雨粒も、巡航速度になれば風圧で全て飛んでいってしまうだろう。
『雨が降り始めた。迅速な離陸を請う』
『了解。レインボウ隊、離陸する』
 1番機と2番機がギア(車輪)のブレイキを外して動き出す。最初はアイドル状態で3、4番機から離れ、少し自走したらアフタ・バーナ点火、心持ち長く滑走し、離陸する。
 3、4番機は1、2番機が過ぎるまで、その排気で大きく揺れる。今その揺れがなくなった。滑走路上を陽炎が揺らめく。
 アズマは右を見る。隣にはレインボウ4、浪川進太郎空軍中尉が繰る同型機だ。アズマは一度管制塔を見る。そして敬礼し、今度は僚機を見て頷く。これが合図だ。
 アイドル状態の位置にあるスロットル・レヴァを前に押す。アフタ・バーナ点火。滑走を開始する。右にレインボウ4が併走。
「V1」アズマはそう呟く。
 決心速度、つまりこれを過ぎれば、あとはエンジンが不調でも飛ぶしかない。幸い、エンジンに異常は発生しなかった。改めて整備員に感謝する。
 練習機に乗っていた時分、あらゆる事を、声を出して確認せよという教官の教えを反芻する。即応予備役になってから、そうする事が常だった。
「VR」
 操縦桿を軽く引き、カナード翼が動く。景色が空だけになる。ノーズ・ギア(前輪)はすぐに上がり、メイン・ギア(後輪)も地面を離れる。同時にナミカワ機も機首が上がる。
「V2」
 燃料節約のためアフタ・バーナを切る。それ無しでも安定した上昇が出来る速度だし、スーパ・クルーズ性能が備わっているためこのままでも音速が出る。
 ギア・アップ。完全に、彼は空の人になった。
 ピッチ角を50度にして上昇、雲の上に出る。1番機と2番機が旋回中。スムースに合流し、北を目指す。

147:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:35:58 oXsD9FBU
 後方、奥羽山脈上空で旋回飛行するAWACS、コールサイン「オライオン」が戦闘空域までの航路をレーダ上に転送する。それに従い、彼らは飛ぶ。
『オライオンよりレインボウ、君たちはこのまま、上がってきた敵機を叩け。現在スコール隊が敵航空基地及びレーダ・サイトを無力化中だ』
『敵機は確認出来るか?』レインボウ1が問う。
『千歳と奥尻から戦闘機が上がった。奥尻組はスリート隊が対処している。君たちは千歳組だ。到達まで10分』
『今の時期、海に落ちたら悲惨だな』レインボウ4、ナミカワ中尉が軽口を言う。
 今は秋、紅葉の季節だ。次第に寒くなっていく。温度の低い海水は、体力を急速に奪っていく。しかもこの日は雨だ。気温の低下は著しい。しかし今は雲の上、実感は無い。
「じゃあ、落ちないように飛べよ」アズマはナミカワの言葉にそう声をかける。
『オーケイ、じゃあ、出来るだけ陸の上空で戦おうぜ』
『落ちる事を考えるな、アホ』
 隊長、後藤明人空軍中佐が会話に割り込む。
『お前ら、いくらアクティヴ・ステルス下にあるからって、油断してるなよ。いつ「タイフーン」が落ちるかわからねえんだから』
 現在、「タイフーン隊」の36式電戦「嵐霧」6機によって、敵防空レーダや海上レーダでこの作戦の動向が捕捉されないように電子戦が行われている。そしてそれと平行して敵のデータ・リンクをクラックして虚偽の情報を与えている。
 こうする事によって、実際には存在しているものをモニタ上では存在していないものとして扱わせ、逆に存在しないものをあたかも存在しているように見せる事で、敵の目を欺くのである。
 この欺瞞情報で敵が四苦八苦している間に、敵拠点、例えばレーダ・サイトや滑走路、変電所や通信網などを潰す。
 これがアクティヴ・ステルスだ。
 2年前、この国がこの戦術によって敗れていた。今度はこちらがそれを、しかもより堅牢なシステムで用いるのだ。
 タイフーン隊はその護衛として33式戦攻を、各電子戦機に2機付けている。しかし護衛にも限度はある。今や敵地となった北海道の深くにまで侵入し、無事で居られるはずがないと考えるのは妥当な事である。
 まだ、タイフーンの墜落は報じられていない。
『レーダに機影を確認』ゴトウ中佐の一言で、隊の全員に緊張が走る。『数は12。いや、16。全機、方位010、ヘッドオン』
『航空隊全隊、交戦を許可する』とオライオン。
『スリート隊、エンゲージ』
 奥尻島方面に向かっている手筈のスリート隊の交戦宣言が混線によってヘッドフォンから聞こえる。
 アズマは唾を飲み込んだ。

148:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:37:09 oXsD9FBU
  *  *  *

 スクランブル。敵の先制攻撃。オリガ・ニコライエヴナ・ザパドノポリェワ空軍大尉はそれを基地内の食堂で聞いた。
 この日、彼女の所属するスピルト隊はスクランブル配置ではなかった。それでもいつでも飛び立てる準備だけはしてある。スクランブル配置の機が飛び立っていく。
 ザパドノポリェワ大尉はロッカ・ルームに即座に移動し、フライト・スーツを着る。つなぎの上に耐Gスーツを装着し、パラシュート、ヘルメットを持って部屋から出、機械類の点検を完了させたらハンガに向かってまっすぐ歩いていく。
 愛機J-27Aジュラーヴリは既にハンガ前のエプロンで雨に濡れていた。交互に並んでいる。周りは整備員たちが雨具を着けつつ忙しい。
 その中のファイルを持ったひとりの男がザパドノポリェワに気付いて彼女を一瞥した。彼女はその男のいる主翼の下に行き、手荷物を地面に置く。
「整備は上々だ。一応故障箇所は見当たらなかった」
「ダー。じゃあ、確認するから」
 男からファイルを受け取り、彼女は時計回りに機体を見て回る。
 「見て回る」と作者は書いたが、正確を期する表現にするなら「異常個所が無いかを隈なくチェックして回る」である。
 兵装はウェポン・ベイにP-12「ストレーラ」長距離ミサイル4本、翼下パイロンにP-17「ドロティーク」中距離ミサイル2本、P-13「ソスーリカ」短距離ミサイルが2本だ。
 チェックが終わり、彼女はファイルを男に返す。そして互いに敬礼しあった後、ザパドノリェワは梯子を上って操縦席の中に納まる。梯子が外される。彼女はキャノピを閉める。
 チェック項目を消化していく。動翼やエア・ブレイキの動作確認もここでなされる。消化しつくした頃には、スクランブルから20分が経過していた。
 整備員が有線インカムのプラグを機体から引き抜く。誘導員が機の前に出て誘導する。
 まもなく、彼女は空の人になる。

149:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:37:38 oXsD9FBU
  *  *  *

『敵航空機、ミサイル発射』
 AWACSからの警戒通信。
 敵からの攻撃は中距離射程のセミ・アクティヴ・レーダ誘導ミサイルである。母機が目標にレーダ電波を照射し、その反射波を頼りに標的に向かっていく。
『ミストA[アルファ]1、エンゲージ』どこかからのコール。
 ミストA隊は33式21号ニ電子戦機「剛霧」によって他の飛行隊機に混じって飛び、細かい電子戦を行うのが任務である。今はレーダ電波を逆の周波数で打ち消している。
 誘導を失ったミサイルは、ただまっすぐ飛行するだけのものに過ぎない。
『道を空けろ。ミサイル様のお通りだ』
 冗談交じりに、ミサイルの予測航路がAWACSから送られる。そしてそこを、高速でミサイルが通り過ぎる。
 間もなく、短距離赤外線誘導ミサイルの射程範囲になる。アズマがそう考えた瞬間、ゴトウ中佐が宣言する。
『クロッカより全機へ。これより自由戦闘を開始する。だが単独で戦闘はするな。必ず2機1組で敵を狩れ。分かったか?』
『レインボウ2、ラージャ』
「3」
『4』
『よし。じゃ、生きて会おう。タケ、着いて来い。クロッカ、エンゲージ』
 それに続いて編隊機もコール。タケこと石塚健も続ける。
『ウィルコ。タケ、エンゲージ』
 1、2番機が降下する。3、4番機の指揮はアズマに一任された。
「そちらも、生きて会いましょう」
『帰ったら隊長の奢りっすからね』
『俺から2万借りてる分際で何を言う!』
 隊長機が機体を振る。それを見届けてから、彼らは上昇した。

150:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:38:09 oXsD9FBU
  *  *  *

 チトセから離陸して10分、間も無く会敵する。レーダ上の進行方向には、敵の姿が時折現れては消えていく。
 味方の警戒管制機や電子戦機は既に上がっているはずだが、対電子戦防御(ECCM)が作動していない。オリガ・ニコライエヴナ・ザパドノポリェワ空軍大尉は訝しく思う。
『スピルト1より警戒管制機、対電子戦防御を要請する』
 隊長機も異変に気付いていた。しかし警戒管制機の応答は、それを拒否するものだった。
『敵のクラックにより、こちらのデータ・リンクにコンピュータ・ウィルスが流された。過負荷状態のため、無線による通信しか出来ない』
「役立たずね」ザパドノポリェワは一蹴する。「隊長、データ・リンクの解除を進言します」
『君は黙っていろ』
 隊長、アンドレイ・ユーリイエヴィチ・グレブネフ空軍少佐が嗜める。
『敵を引き付けるだけ引き付ける。機動性ではこちらの方が上だ。それと、今からスピルト隊は警戒管制機とのデータ・リンクを一次的に解除する』
 宣言の後、編隊は高度を下げる。眼下は雲海。天気予報では、下界は雨だ。GPSの反応が無い。位置が分からない。この機のコンピュータにもウィルスが入り込んでいる。
『火器管制システムは無事だな。ストレーラを発射する。誘導は発射8秒後に設定』
「設定完了」他の編隊機も同様に返す。
『発射準備。発射後は分散しエレメントで行動しろ』
 ザパドノポリェワは操縦桿の親指で撃つ兵装を選択する。HMDの表示が変わる。そしてその表示が「П-12 СТРЕЛА ДДР」になったのを確認し、スイッチに親指を添える。
『撃て』
 発射スイッチに添えていた親指に力を入れる。彼女はこの瞬間、いつも思う。このスイッチは軽すぎる、と。

151:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:39:16 oXsD9FBU
  *  *  *

『第二派攻撃! アクティヴ・レーダ誘導ミサイル! 全機ブレイク!』
 オライオンが叫ぶ。ミサイルがレーダ電波を目標に発し、その反射波によって自身を目標に向かわせるものだ。このような攻撃は、大抵電子戦機に向けられる。
 戦闘機を電子戦機に改造した33式ニ電戦はともかく、電子戦のみを想定した36式電戦にはミサイルを避けるような機動性など望めない。
 それに回避行動をとっている最中は、どうしても電子戦・情報戦どころではなくなる。
『最終誘導開始を確認! 周波数特定! いけます!』そう、混線で現状が聞こえる。
 そんな中で、高高度を飛行中のレインボウ3、4はその進路を変えずに北上する。
『あいつらかね、今のアクティヴ・レーダの連中』ナミカワ中尉からで通信が入る。
 あいつら―件の蒼灰J-27Aの編隊だ。
「そうだろうな。ぶっちゃけ出来る事なら手合わせしたくない相手だ」
『ンな事言っちゃって、あいつらを落としたの、お前が初めてなんだぜ?』
 半月前、レインボウ隊はスクランブルで爆撃機と例のJ-27Aの編隊を相手にした。戦果は、爆撃機6、戦闘機2。その半数、爆撃機2、戦闘機2を、アズマが落としていた。
 また、墜落こそしなかったものの、戦闘機1機の右の垂直尾翼と水平尾翼をもぎ取っていた。
 損害は、2番機と4番機の被弾のみ。2人とも無事だった。
 「蒼灰の飛行隊」にそこまで損害を与えたのは彼らが初めてだし、蒼灰相手にそれだけの損害しか受けなかったのも彼らが初めてだった。
「奴らは息が合ってるからな、下手な機動じゃ落とされる。それにミサイルの機動性に頼るばかりじゃ、あの時の二の舞になるしな」
『へいへい、肝に銘じとくぜ。で、どうする? そろそろ敵の上だけど』
「挟み撃ちしようと思う。このまま敵のいる高度にスプリットS」
『オーケイ。一ノ谷戦術だ』
「逆落としか、面白いな。オーリエント、エンゲージ」
『んだべ? ブーメラン、エンゲージ』
 予備の燃料タンクを切り離す。そして機体を同時に反転、背面飛行でしばらく直進してから、彼らは花火の中に飛び込む。

152:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:40:02 oXsD9FBU
  *  *  *

 雲の下では、混戦が繰り広げられていた。
 ザパドノポリェワ機の追いかける機が右に旋回する。減速が甘い。
 彼女はそれよりも小さい半径の旋回をする。体にかかる大きなG。眩暈にも似た一瞬を過ぎ、彼女の機体の前を敵機が横切る。
 咄嗟に彼女は操縦桿のトリガを引く。HMDの表示に従えば、機首表示の方向に20ミリメートル口径の弾丸が流れていく。
 一瞬、敵機のパイロットと目が合う。いや、それはザパドノポリェワの錯覚か。しかし、そのパイロットは確実にこちらを見た。
 この時点でマズル・フラッシュを確認しても、もう遅い。両機の距離は100メートルを切っている。1秒未満で弾丸は狙った場所に到達する。そこは、コックピットだ。
 敵機の機首が折れる。破片がエア・インテイクに入り、エンジンが異常燃焼、爆発する。パイロットは既にただの肉塊になっているはずだ。
 彼女はそれを無視し、僚機に合流しようと上昇する。
 雲を抜ける。目の前には太陽。いつの間にかあんなに高い。眩しさに思わず瞬く。そのせいで、4番機が被弾した事に一瞬遅れて気付いた。

153:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:41:14 oXsD9FBU
  *  *  *

 正面の雲の白を背景に、蒼い機が横切る。あの塗装は、「蒼灰の飛行隊」の機だ! ロック・オン状態になっている。それに気付いたのか、回避行動を始めた。
 アズマはそちらに方向を調整する。背後には太陽。いい条件だ。トリガを引く。
「オーリエント、ライフル」
 レティクル内のガン・クロスが敵機に重なる。一瞬の事だ。
 だが、弾丸は敵機の双垂直尾翼の間、双発のエンジンのどちらかを直撃した。火を噴く。その脇を2機は通り過ぎる。雲の中に入る。
「やったか?」
『うんにゃ、まだっぽい。俺がやる』
 機体を再び上昇させ、雲の上に出る。そして確認する。命中したのは左のエンジンだ。
 ナミカワ機が敵機の背後を取る。アズマはその上で後方を警戒する。こちらに一直線に向かってくる敵機1。
 ナミカワ機が銃撃。敵機の胴部に命中。爆発する。
『ブーメラン、スプラッシュ1! やったぜ、蒼灰!』
「ナミカワ、ブレイク!」
『うおっと!』
 ナミカワ機がロールした後、そこを銃弾が通り過ぎる。次の瞬間には蒼い機も。
「あれは……さっきの奴の僚機か?」
『だとしたらおもしれえ!』
 その蒼灰はエア・ブレイキを開いて旋回、こちらに機首を向ける。同時に、互いにロック・オン。敵機体下で動き。ウェポン・ベイを開いたのだ。そこにあるのは―
「SRAAM[エスラーム]!」
 アズマはすかさずアフタ・バーナ点火。兵装はこちらもSRAAM、つまり短射程空対空ミサイルのはずだ。発射。そして敵機の上を通り抜け、上昇する。ナミカワ機も同様にミサイルを撃つ。
 ミサイル発射のコールをする間もなく、敵からミサイルが来る。現代のSRAAMの機動性は、目を見張るものがある。
 ロック・オンしたのであれば、目標が後方にあっても反転してそれを追尾する。どんな回避機動をとっても、追尾してくる。
「ナミカワ! フレア!」
 SRAAMはその性質上、赤外線誘導である。航空機のエンジン部分や排気、そして機体と大気の摩擦熱から放射される赤外線をシーカで画像として探知し、それに向かっていく。
 いくらミサイルそれ自体の記憶領域に目標の情報があっても、赤外線誘導であれば比較的簡単に欺瞞出来る。フレアはその欺瞞のひとつで、航空機と同様の周波数特性を持ち、強力な熱源を短時間発生させるものだ。
 機体胴部のチャフ・フレア・ディスペンサから長方形のフレアが3つ射出される。瞬時に1000℃にもなったそれらに、ミサイルはおびき寄せられる。
 これで先ほどのミサイルの脅威は少なくとも去った。アズマは機を立て直す。そして後方を見た。
 こちらのミサイルが近接信管によって敵機の間近で爆発したようだ。破片によってダメージを被ったらしい。右主翼から燃料が漏れている。
 彼らはその機を追った。

154:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:46:52 oXsD9FBU
  *  *  *

 2機の40式戦に追い回されたJ-27Aは、1機の40式戦の機動に翻弄された挙句に機銃弾の被弾によって航行不能になる。
 その愛機は空中分解の後、爆発。ザパドノポリェワはその様子を、ベイルアウト後、パラシュートで降下する最中にはっきりと目に焼き付けた。
 負けたのだ。それも、えらくあっさりと。
 一瞬見えた機体の機首横に書いてある「166」という番号が、頭を過ぎる。その機体は、以前、そう半月ほど前、僚機を2機も落とし、彼女の乗る機体から右の垂直尾翼と水平尾翼をもぎ取った機ではなかったか。
「2度も……2度も負けた……!」
 悔しさでいっぱいになる。パラシュートの紐を握る手に力が入る。それから10秒ほどして、彼女は紅葉の森に消えた。

155:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 12:49:18 oXsD9FBU
  *  *  *

 しくじった。
 アズマはそう、歯ぎしりをする。
 ドッグ・ファイトの最中、敵機に接触し左の主翼を半分ほど失ったのだ。燃料が噴き出している。今はスロットルをアフタ・バーナぎりぎりまで押し、直線飛行中だ。
 40式戦は、極めてパワフルなエンジンを2基搭載している。1基当たり約15000キログラムという推力は、今のようにミサイルを数本搭載したままでも推力重量比が1を超える。
 これは揚力を生み出さずに、速度ゼロの状態からエンジン推力のみで垂直上昇が出来るという事だ。
 現在、700ノットで飛行中だ。左主翼を半分失った状態でも安定して飛行出来ている。例えるなら、主翼の必要無いミサイルのような飛び方である。
『おい、アズマ、大丈夫か?』
 平行して飛ぶナミカワ中尉が訊く。
「俺は何とか。でもそろそろ燃料が切れそうだ」
『あとどれくらいもつ?』
「5分もてばいいくらい」
 今、内浦湾の上空だ。そこから三沢まで、150キロメートルほどだろうか。間に合わない。
「隊長と合流してくれ。この戦況なら、このあたりに不時着しても大丈夫だ」
『アホかお前は!』ナミカワは叫ぶ。『お前を置いてけるかよ!』
「俺を護衛して飛んでたら、それこそお前が落とされるだろ。ほら、チェック・シックス(後方警戒)」
 後方に敵機。蒼灰ではない。2機編隊。よく今まで生き残ったものだ。銃撃。アズマ機は右にヨー(垂直尾翼で移動)。次の瞬間、その2機が爆発した。
『左が無いのはアズマか』
 隊長、ゴトウ中佐だ。続いてイシヅカ機。この2機によって先の敵機は落とされたのだ。
「ポジティヴ。敵にぶつけられました」
『まったく、下方注意を怠るなと言ったのに……。まあいい。燃料はどれくらいだ?』
「あと3分ほど」
『じゃあ仕方ない。先に帰ってるぞ。お前はその辺に脱出するなり何なりしてろ。すぐに救助をよこす。メシ奢るから、ちゃんと生きて帰って来い』
「ウィルコ。ありがとうございます」
『ちょっ、隊長!』ナミカワが抗議に叫ぶ。
『おいナミカワ、アズマとうちの上陸部隊を信じてやれ。お前がそんなんじゃ、助かる奴らが助からねえ』
 ナミカワは何も言わない。後藤が続ける。
『俺らは一時三沢で補給を受けてから、もう一度来る。救難信号を発しておけ』
「了解」
 3機編隊が左に遠ざかる。アズマはそれに敬礼をし、海岸線を目指すためヨーで移動する。
 内浦湾の西側に導滞着陸出来そうな場所が無いか探してみたが、結局それは見つからない。燃料切れまで1分を切った。
「受領したばっかだけど……」
 彼は仕方無しに高度を下げる。雲の下は大雨だった。高度100メートル。真正面に乙部山。渡島県と胆振県の県境にある山だ。
 スロットル・レヴァを引き、アイドル状態に。音速から亜音速に移行。500ノット。450ノット。400ノット。
 機体が前後軸に対して時計回りに回転し始める。左右で生み出す揚力が違うのだ。低速度域だと揚力の影響をダイレクトに受ける。
「レインボウ3、エマージェンシ、ベイルアウト」
 コールの後、左手にあるイジェクション・シートの安全装置を解除し、機首を60度上げる。相変わらず回転中。
 背筋を伸ばし、ラダ・ペダルから両足を離し、股の間にあるイジェクション・レヴァを引いた。
 ショルダ・ベルトが締まる。キャノピが火薬で弾け跳ぶ。背骨を縦方向に圧縮するかのような衝撃。座席ごと彼は機外に放出される。歯を食いしばり、12Gに耐える。
 急激な制動に一瞬目が回る。運よくコックピットが上方にきたときに射出されたようだ。姿勢が安定すると彼はパラシュートの紐を引いて、落下地点を調整する。
 風はそんなに強くない。雨に濡れた紅葉が美しい。彼は出来るだけ、広葉樹林のあるあたりを目指す。
 機体が回転しながら放物線を描いて遠ざかるのが見えた。もう噴き出す燃料すらない。
 遠ざかっていった機体は吸い込まれるように山の中腹に墜落し、爆発。遅れてその音が聞こえた。

156:A/B ◆iok1mOe6Pg
07/09/11 13:26:22 oXsD9FBU
 以上、第2話(?)。
 次から「2人きり」スレ的に本番です。

 お察しの通り、「戦闘妖精・雪風」を読んだ事がありますし、空戦のシーンはこれに影響を受けています。
 ちなみに舞台設定としては、「国号が『日本国』『大日本帝国』ではない日本」です。行政区分を江戸時代以前のそれに準拠させたのは「っぽく」しようとしたから。
 敵国も、「ロシア連邦」や「ソヴィエト社会主義連邦共和国」ではないものですが、少なくともスラヴ系の人種によるロシア語の国である事は言っておきましょう。

 軍用機の名称は、「仮日本」の場合は制式配備された年号の下二桁、制式配備された同種の機体の通し番号、仕様の違いを正式名としています。
例:40式22号イ戦闘機「蓬風」…年号の下二桁(40式)、同型の機体の通し番号(21号)、仕様の違い(イ)。愛称「~風」は戦闘機を意味する。
 また、戦闘機を他の用途として改造して使う事もよくあるので、(例:F-4EJ戦闘機→RF-4EJ偵察機、F/A-18E戦闘機→EA-18G電子戦機)それにも対応。
例:33式21号ニ戦闘攻撃機「剛雷」→33式21号ニ電子戦機「剛霧」。愛称「~雷」は戦闘攻撃機、「~霧」は電子戦機を意味する。
 「仮敵国」の場合は戦闘機を表す「J」とその通し番号、仕様の違いを正式名としています。なお、この機種を現すアルファベットは中国空軍のそれをそのまま使用しています。「J」は「Ж」にあたるのかな?
例:J-27A「ジュラーヴリ」:27番目に制式配備された戦闘機のA仕様。愛称は結構適当だったり。ちなみにロシアの戦闘機Su-27の愛称は「ジュラーヴリク(鶴ちゃん)」です。

 以上、チラシの裏でした。
 他の方の作品、期待しております。作者さんがんばって。

157:135
07/09/11 15:24:26 TSH1xwFe
ちょwマジで盛り上がってきたww

MAXは本当に甘いです。ブラック飲めない俺がいうんだから(ry

お二人とも続き頑張ってください。


俺も書かねば…。

158:名無しさん@ピンキー
07/09/11 17:14:41 wTl1Hg6B
>>140
GJ!
マリーかわいいな。 てか、そこで切るのかよw

今回の舞台のPAをググって妄想の足しにしたw
出来て間もないからか、情報少なくてハンカチの件は判らなかったよ。


>>156
こちらもGJ!
いよいよ次回から”二人きり”シチュ突入?
あと、前回聞いた世界設定や機体名についての回答thxです。

…ジュラーヴリクちゃん (*´д`*)ハァハァ

159:名無しさん@ピンキー
07/09/11 19:24:22 juJYBV2O
なんかキモい軍オタがいるな

160:名無しさん@ピンキー
07/09/11 20:20:43 1E2OUiqb
某・スレで

なんか設定よくわかんないよ、ボケ

のレス二つも貰った自分的には十分神SS、GJ!!!

161:初心者
07/09/11 21:34:58 +khWhBhn
>>127です
来週投下と書きましたが、思ったより暇だったので筆が進みました
ただ、自分の好きに書いたので、かなり設定に無理があります…
気に入らなければ、読み飛ばして下さい




「……、とりあえず、お風呂に入りたいんですけど、入っても大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思うよ。あ、服の替えはある?」
「あ、そういえば…」
どうしよう、と困った風に呟く
「確か…、そこのタンスに恵美ちゃんのが…。確認取るからちょっと待ってて」
「はい、ありがとうございます。・・・でも、なんでそんなこと知ってるんですか?」
「え!?い、いや、俺は何回か泊まったことあるし…、その…」
思わぬ質問に、俺はしどろもどろになりながら答える
「フフッ、冗談ですよ。先輩がそんな邪なことを考える人じゃないのは知ってますから」
そう言いながら笑う彼女に、俺は思わずドキッとしてしまう
そういえば彼女の事をしっかりと見たのは、これが初めてかもしれない
腰までかかる髪に、中学生とは思えない長身。今時の女の子にしては長めのスカートから伸びる脚は、足フェチの人にはたまらな(ry


162:初心者
07/09/11 21:36:02 +khWhBhn
とにかく、彼女はとても魅力的だった
やばっ、俺は何をドキドキして・・
「先輩、メールが来たみたいですよ」
気付けば携帯から聞き慣れた着信音が流れていた
「あ、やばっ」
急いでメールを見る
「好きなの着ていいって。あと、頑張ってって書いてあるけど・・・。なにコレ?」
「あ、い、いや、何でもないですっ!」
何故か解らないが、彼女が急に焦り出した。なんなんだ?
「ま、いいけど。風呂に入らないの?」
「えっと・・・その・・・」
どうしたんだろう?さっきからずっとボーっとしてるし。あ、もしかして・・・
「俺が風呂を覗くと思ってる?大丈夫だよ、そんなことしないから」
「い、いえ、そういう訳では無くて・・・」
「じゃあ、なんで?」
「・・・」
なんでもないです。そう言い残し、彼女はお風呂場に向かった
本当にさっきからなんなんだ?急に焦りだすし・・・


163:初心者
07/09/11 21:37:46 +khWhBhn
ま、いいか。考えても何か解るわけでもないし。考えるのを止めて、漫画を読み出した。



加奈が風呂に入ってから5分弱、腹が減ったなぁ、などと考えていると彼女が大きな声を出して、俺を呼んだ
「せ、先輩!ちょっと来て下さい!」
何かあったようで、彼女の声は若干涙声になっている
俺は急いで風呂場に行き、ドア越しに彼女に呼び掛ける
「加奈ちゃん、大丈夫!?何があったの!?」
「先輩、お願いです、シャワーを取って下さい!」
へ?シャワー?どゆこと?
いまいち状況が掴めず混乱する俺に、彼女は必死になって呼び掛ける
「先輩、お願いです!早く!」
「わ、わかった!」
そう言ってドアを開けると、いまさらながらここは風呂だということを思い出す。
風呂の中ということは、当然加奈も裸なわけで・・・
「う、うわぁぁぁ!」
思わず外に飛び出てしまった俺に、再び彼女が呼び掛ける
「先輩、早くシャワーを!」


164:初心者
07/09/11 21:40:38 +khWhBhn
「じ、自分でで取ればいいじゃないかぁ!」
「場所がわからないんです、早くしてください!目が痛くて・・・」
俺は彼女の方は見ないようにしながらシャワーを渡す





「・・・で、どうしたの?」
彼女にシャワーを浴びせられ、びしょびしょになった服を脱ぎながら聞いてみる
「・・・すみませんでした。実は私、一人で髪が洗えないんです・・・」
ん?なんだって?
「もっかい言って?」
「だから、一人では髪が洗えないんです!」
彼女はかなり恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながら叫ぶ
しかし、中学生にもなって髪が洗えないとは・・・。これはかなり萌え(ry
じゃなくて、
「なんで一人で洗えないの?」


165:初心者
07/09/11 21:41:34 +khWhBhn
「お母さんが私とお風呂に入るのが好きで、ずっと一緒に入っているんです。それで、自分では髪を殆んど洗ったことが無くて・・・」
一人で洗うと、必ず目にシャンプーが入ってしまうそうだ
「じゃあ今日は洗わなければ良かったじゃないか」
「先輩は男だからわからないかもしれませんが、女性にとって髪はとても大切なものなんですよ。だから、洗わない訳には、いかなかったんです」
そんなものなのかな?実際男の俺にはよくわからない。ま、いいか。
「それじゃごゆっくり」
「ま、待って下さい!」
風呂場から出て行こうとした俺を呼び止める
「先輩、一緒に入りませんか?」
は?なんですと?


166:初心者
07/09/11 21:43:48 +khWhBhn
「べ、別に変な意味ではなくてですね!先輩ずぶ濡れですし、寒いと思いまして・・・。それに、まだ髪をしっかり洗えていませんし」
なるほど、俺に髪を洗って欲しいという訳か。
しかし、ここで素直にハイという訳にはいかない。
なぜなら、ここは風呂場で、彼女は当然風呂に入る格好をしているのだ。
俺は聖人ではないので、欲望を抑えるのは不可能な近い。
「無理に決まってるだろ?」
結論は、もちろん無理
「で、でも・・・」
「君は女の子で、俺も一応男なんだよ?慎みをもちなさい」
そう言って部屋に戻ろうとした俺の腕をを彼女が掴む。
え?さっきは風呂にいたじゃん・・

167:初心者
07/09/11 21:44:59 +khWhBhn
もう一度言います。いえ、何度でも言います。
ここは風呂場で、彼女はさっきまで風呂に入っていました
ということは・・・
「な、何してんだよ!ちょ、君は今裸じゃん!てか、服が濡れる!」
「お願いします、一緒に入って下さい!」
彼女の顔が赤いのは、風呂のせいか羞恥のせいかわからない。
しかし、俺の顔も真っ赤だった。これは風呂のせいにしておこう
「は、離してよ!」
「一緒に入ってくれれば離します!」
彼女はなぜか決意を固めた顔をしていて、俺がYESと言わなければ絶対に離そうとしなかった
「わ、わかった!わかったから離して!さっきから胸が」
「え?・・・キャッ!」
彼女は悲鳴をあげて胸を隠した
あぁもう可愛いな!
「す、すみません・・・。それじゃ、入りましょう」
「あ、ああ・・・」
しょうがない、入るか…。い、いや、決してやましい気持ちがあるわけじゃないですよ?
たただ、一度約束したことは守らなきゃ…、って誰に言い訳してるんだ?
「先輩?どうしました?」
「い、いや、なんでもないよ」
俺は覚悟を決めて、風呂に入って行く。
どうなることやら・・・

168:初心者
07/09/11 21:48:30 +khWhBhn
はい、という訳で、自分の欲望のままに書いてしまいました・・・
次回からは本番に入って行く予定です
しかし、二人きりという設定を全然生かせていませんね・・・
アドバイスも、一応気をつけたのですが、殆んど変わっていないですね
チラ裏から失礼しました

169:名無しさん@ピンキー
07/09/11 21:52:28 GfknvrLX
>>156
GJ!なんかオリガさんはツンデレかもと妄想している。年齢がわからないけど。

170:名無しさん@ピンキー
07/09/11 22:15:57 GfknvrLX
>>168
ごめん。更新せずに上の作品にレス返してなんかタイミング悪くなった。
GJ!強引な展開だけどなんかもう風呂場というシチュだけでご飯何杯も食える。
次は早くも本番…できれば風呂場ならではの不自由な二人っきり具合を見せてほしい。
浴室が狭くてどうしてもあちこち密着するとか、タイルが痛くて横になれず仕方なく浴槽内で座位、あるいは立位で初エッチとか。

171:81 ◆DlPgAmm21I
07/09/12 01:36:35 pajJQeiR
#ちょっと今日はお休みしようかと思って今までの分をwikiに放り込んだら、
#コメントをつけられないページ(TEXTonly)にしちゃって、その上削除ができないorz
#ドウシヨウ
#コメントはなくてもokかな・・・?
#それじゃ、また明日ー
#(つ、続きは頭の中にできてるんだからねっ?! ほんとだからねっ?!)


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