【友達≦】幼馴染み萌えスレ13章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ13章【<恋人】 - 暇つぶし2ch1:名無しさん@ピンキー
07/08/16 00:51:31 8HYTbzxt
幼馴染スキーの幼馴染スキーによる幼馴染スキーのためのスレッドです。

■■ 注意事項 ■■

*職人編*
エロパロ板のスレですが、エロは必須ではありません。
ラブラブオンリーな話も大歓迎。
書き込むときはトリップの使用がお勧めです。
幼馴染みものなら何でも可。

*読み手編*
つまらないと思ったらスルーで。
わざわざ波風を立てる必要はありません。

前スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ12章【<恋人】
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11代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ11章【<恋人】
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10代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ10章【<恋人】
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9代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ9章【<恋人】
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8代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ8章【<恋人】
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7代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ7章【<恋人】
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6代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ6章【<恋人】
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5代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ5章【<恋人】
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4代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ4章【<恋人】
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3代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ3章【<恋人】
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2代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ2章【<恋人】
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初代スレ:幼馴染みとHする小説
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2:名無しさん@ピンキー
07/08/16 00:52:22 8HYTbzxt

*関連スレッド*
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第7章(派生元スレ)
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いもうと大好きスレッド! Part3(ここから派生したスレ)
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お姉さん大好き PART4
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*これまでに投下されたSSの保管場所*
2chエロパロ板SS保管庫
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次スレはレス数950or容量480KBを超えたら立ててください。
では職人様方読者様方ともに今後の幼馴染スレの繁栄を願って。
以下↓


3:名無しさん@ピンキー
07/08/16 08:46:15 7Ydvabpw
>>1
乙です! このスレでもたくさんの良作が生まれますように。

4:名無しさん@ピンキー
07/08/16 09:51:25 uGdkl6c8
>>1
乙!!

5:名無しさん@ピンキー
07/08/16 10:20:19 /aO83SV0
>>1
乙!

6:名無しさん@ピンキー
07/08/16 15:39:14 2g+ONixa
>>1


「私だって女の子なんだよ?」っていうネタは王道か?

7:名無しさん@ピンキー
07/08/16 16:02:29 +3+NqYuy
王道やね。

8:名無しさん@ピンキー
07/08/17 00:34:51 fBYQoIUf
>>1


     ::|    ____
     ::|.  ./|=|    ヽ.    ≡三< ̄ ̄ ̄>
     ::|. / |=|  o  |=ヽ     .≡ ̄>/
     ::|__〈 ___  ___l   ≡三/ /
     ::|、ヽ|.|┌--、ヽ|/,-┐|    ≡/  <___/|
     ::|.|''''|.\ヽ--イ.|ヽ-イ:|  ≡三|______/
     ::|.ヾ |.::. .. ̄ ̄| ̄ /
     ::|  ';:::::┌===┐./
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./       こ、これは乙じゃなくてスラッガーなんだから
     ::||ロ|ロ|  `---´:|____    変な勘違いしないでよね!
     ::|:|ロ|ロ|_____/ロ|ロ|ロ,|`ヽ
     ::| |ロ|旦旦旦旦旦/ロ/ロ|旦,ヽ
     ::|ロヽ 旦旦旦旦旦./ロ,/|::旦旦)
     ::|ヾ旦旦旦旦旦旦,,,/::::|、 旦旦|


9:名無しさん@ピンキー
07/08/17 19:17:02 +zAhZ3cD
>>1

夕飯中にお邪魔します。前スレの埋め用にするか迷ったけど
アドバイスに素直に従い,こっちに投下させていただきます

10:名無しさん@ピンキー
07/08/17 19:20:24 +zAhZ3cD
そして夕方となり、おれは家にいる。食卓には既にメシがある。
なぜかというと昼間アイスを奢ってもらったから、と妙な義理心を出した
理菜が夕飯を作ってくれたのだ。
「いや、そもそもアイスは今日の予定に付き合ってくれた礼なんだが」
「いいんだよ。だって久し振りに実家に帰ったんだから冷蔵庫に何もないでしょ?
 沢山の食材を買うの大変だし」
「むむ……正論だ」
おれはささやかな協力として食卓に置かれてるゴク冷えのビールに貢献した。
「飲むか?」
「少しね」

なんとも理菜らしい回答に苦笑しつつも夕飯を始める。
おれは、まず最初に冷や奴と酒の相性の良さを喉で楽しむ。
「くぅ~~っ! たまんねーなー。夏が暑くても許せる瞬間だぜ!」
「ふふふ、天ぷらもどうぞ?」
理菜の作ってくれた品は、どれもさっぱりとしていて茹だる夏には、ぴったりだった。
特に天ぷらは衣が薄くて外がサクッとしていて中がジューシーだ。
思わず箸がテキパキと皿の間を動いていく。

そして夕飯が終わり皿洗いは後回しにして、理菜と一緒に酒をちびちびとやる。
大きく開けた窓からは網戸と竹のすだれを通して心地よい風が入り込んでくる。
「ふー、涼しいなあ。エアコンなくても夜は凌げるな」
「そうだね。大抵、扇風機でどうにかなるね」
理菜がうちわを扇ぎながら続ける。
「そう言えば、この辺が夜涼しいのって山から冷たい水が流れているからって
 聞いたことがあるよ。
 山の森の中を石清水が流れていて、それが例えば田んぼとか用水路を流れるから
 夜になってくると、この辺りはぐっと冷えるんだって」
「ああ、おれも聞いたことがあるような気がする。
 大学のレポート用に調べておこうかな」
「あ、うん。そうだね……」

ちりーん………

「お、風鈴かー。風流だねえ」
「……そ、そうでしょ? ねえ健次ちゃん、ずっと風鈴を聴くというのはどうかな?」
「え?」
「じゃなかったら風鈴を都会に持っていくのはどうかな?」
「??」
「ぁ………」
理菜は自分が何を言っているのか、ようやく気付いたらしい。
「ご、ごめん。なんでもないよ……あ、あははは」

11:名無しさん@ピンキー
07/08/17 19:22:07 +zAhZ3cD
……どうしておれは、こんなにも理菜の顔を見つめてしまうのだろう。
理菜は、どぎまぎしながら更に言う。
「あ、あのさ……健次ちゃん」
「なんだ?」
理菜は、まるで酒の勢いに任すように切り出した。
「健次ちゃんって彼女、いるんだよね?」
「ん? ……ああ」
理菜、知っていたのか。

「………………」
「い、いるけど?」
「k、彼女と上手くいっているのかな?」
「ええっ」
「ほ、ほらその、わ、たわし、じゃない……わたし、つ、付き合ったこととかないし」
……。
「さ、参考になるかも……って」
「……そ、そうだな。んー」
別に嘘をつく必要なんかないはずだ。
「まあ正直上手くは行ってない。何と言うか接していて疲れるというか根本的に違うというか」
理菜は、じぃっとおれの言葉に耳を傾ける。

「なんだろうな? 悪いやつじゃないけど、どうしてダメなんだろうな。
 何と言うかさ……。向こう行ってから、いつも思ってたんだけど、
 おれどうやらみんなと違うらしい。
 それが地方出身だからなのか、おれの性格なのかはわからないけどさ。
 ……どう思う? おれの性格が問題なのかな」
「そんなわけないよ……」
「友人とは、それでもそこそこ上手くやってるんだぜ?
 だけど、彼女とはどうも上手くいかなくて」
「だったらさ………か、代わりでもいいから……わ、わたしと……!」
理菜……!?
彼女は自分の言った事に対して我に返るや否や息を呑んで言葉を止める。
「ご、ごめん。なんでもな―」
「待て、理菜」
何故だ。どうして、おれはこんなことを言ってしまうのか。

「理菜。おれの彼女になってくれないか?」

何故だ? 愛していないとはいえ、おれは彼女がいると言うのに。
いや、だがわかってる!
風鈴。
理菜が小さい時に、おれにプレゼントしてくれた風鈴!
そういうことだったのかッ!!
理菜は、おれが付き合っている事を知っていた。
その上でなお、風鈴をずっと聴かないか、と言ったのだ!

12:名無しさん@ピンキー
07/08/17 19:24:44 +zAhZ3cD
「あ………ぁぅ……」
理菜の潤んだ瞳が、やけに綺麗だ。
「彼女とは、ずっと前から上手くいかないと感じていたんだ。この際、きっぱり別れる。
 だから理菜。代わりなんかじゃなくて、本命として。
 おれと付き合ってくれないか?」
理菜の目からは涙が溢れそうになっていて今にも泣き出してしまいそうだ。
「ほ、ほんとに………!?」
「ほんとだ」
「嬉しい………健次ちゃん……!」
「ただ……。2日ほど待ってほしい」
「えっ?」
「とりあえず待って欲しい。2日後にすべてがわかる。
 多分……既に理菜を待たせてしまっていただろうから虫のいい話なんだが………」
「わ、わかったよ、健次ちゃん。2日待てば良いんだね?」
「ああ」
「うんっ。私、信じているから………!」

そして、おれは理菜を家まで送っていった。
帰り道である水田のあぜ道から見る星空がとても綺麗に見えた。
家に辿り着くと「お帰りなさい、お嬢さん」と華のある声が掛けられる。
彼女の家は地元で有名な和菓子屋さんなのだ。


理菜を送り届けてから我が家に帰り、ふと部屋を見渡す。
座卓のおれの隣がさっきまで理菜が座っていた場所だ。
皿洗いも理菜がしてくれた。遠慮したのだが理菜の上機嫌さに負けた。
風鈴は今も、ちりーん……と鳴いている。
思い返してみると、とんでもないことを言ってしまったような気もする。
だが、これは良い機会だ。
付き合ってる彼女と全然上手くいってないのは本当の事だ。
2日もあれば別れるための心構えを固められるはず。




と、ゆーわけで何も心配する事はないので健康的なおれは理菜の可愛い顔や
昼間のエロ妄想をネタにしておなにぃした後クソして寝たっ。

13:名無しさん@ピンキー
07/08/17 19:29:11 +zAhZ3cD
主人公が無駄にエロいのは仕様
そこで抜きにかかる主人公に漢を感じてくれ

う、埋めネタじゃないからキンチョーしてしまう

14:名無しさん@ピンキー
07/08/17 19:37:15 kIMz5edT
前スレと合わせてGJ!

欲を言うともうすこしエピソードがほしかったんだぜ?

15:名無しさん@ピンキー
07/08/17 20:12:34 sa6S57qY
前スレの幼なじみとハイテンションBOYとの
ほのぼのとした触れ合いの部分が特に、GJ!!!
それと、彼が無駄にエロイとは感じなかったYo

只、彼が今付き合ってる彼女をあっさりと
振り捨てる部分がいきなりっぽい感じがして、ちょっと戸惑った
もーちょっとそれなりの逡巡とか戸惑いとかが
欲しかったなぁと思うのは、自分だけかもしれませんが

あーでも、理菜ちゃんかわいいよ理菜ちゃん
健次ちゃんには勿体無い(w

16:名無しさん@ピンキー
07/08/17 21:06:48 +zAhZ3cD
エピソードって言うとアレか。風鈴のこととか?
そう言われて見ると物足りないねw ラストまでに、どうにかしたいけど…

>振り捨てる部分がいきなりっぽい感じ
確かに。次回ようやく詳しい事情が語られる……つもり
つか、おれも前半のほのぼのが好きなんだけど、パワーダウンしたっつーか
設定間違えてる感がしてるっつーか

17:名無しさん@ピンキー
07/08/18 00:27:24 fNgUOCKC
>>16
確かに、少し急いじゃった感じがあるよな

18:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:14:40 wi2UaUvX
前スレ、557です。
汚名返上するため、もう一度投下します。
これで万が一、またどこかとネタが被ったら立ち直れる自信がない。

19:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:16:08 wi2UaUvX
「ん……ぬぅ…」
 起きてはみたが、どうも疲れがとれた気がしない。
 まぁ、そりゃそうか。スーツなんて堅苦しい服で寝て気分良いわけないな。
 大きな欠伸を一回。
「……シャワーでも浴びるか………」
 そう呟きベットから起き上がる。
 違和感
 何かを焼く音、焼ける匂い。
 それが馴染み深いものと気付くのには数秒とかからなかった。
「あれ?起きちゃった?」
 そう言いながら顔を出すのは
「……友梨…今、何時?」
「九時半。ついでに私がここについたのが九時頃、ご飯の準備を始めたのが十分頃。あと質問は?」
 さも当然の様な顔をして言う。
「……なんで、ここに?…」
「昨日のお礼。気付いたらベットの上だったから。飲み代、払ってくれたんでしょ?」
 聞き慣れた台詞。週に一回はこれを聞いている。
 というのも、飲む→友梨寝る→俺支払い、という流れが毎週少なくとも一回、多くて三回。
 それがあった週の土曜日、もしくは日曜日も、必ずと言っていいほどの確率で来る。
 鍵は合鍵を渡している。
 一昨年の友梨の誕生日に「ちょうだい」と一言、言われたから。
 言ったのが友梨だったから。
「もうちょっと待ってて、すぐご飯出来るから」
「……シャワー浴びる…」
 
 ずるいと思う。
 ずっと好きなのに、好きだから家にまで来てるのに、それに気付かないのは。
 毎回毎回、どれだけの覚悟でここに来てるか知らないのは。
 一回だけ……もしかして女の子に興味、無いのかな…と疑った事がある。
 まぁ、それはこの前、彼が寝ている間に床に……その、女の子が写った………エッ、チな本を見つけたから……否定出来た。
 それじゃ……やっぱり私に…興味が無い、のかな?……
 いや、でも、家の中には入れてもらえるんだから、少なくとも、嫌われてることは無い、と思う。思いたい……

20:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:18:22 wi2UaUvX
「美味いよなぁ」
 優也にそう言ってもらえるのが一番嬉しい。
 母に料理を教わったかいがあると言うものだ。
 優也にそう言って欲しい。そう思って料理を教わっているのだから。
 
「ホント?」
 その問いについ笑う。
「嘘言う理由がないだろうよ」
「なら良かった。せっかく作ったんだから美味しく食べてもらわないと」
 彼女が作るご飯はシンプルだが、美味い。とても真似は出来そうにはない。
「ところで、なにで来たんだ?」
「え?だから、お礼に……」
「なんで?じゃない、なにで?手段の方だ」
「あぁ、んとね。お父さんに送ってもらった」
 おじさん……あなた、付き合ってもいない男の家に娘さんを送りますか……
「それがどうかした?」
「いや、特には。ところで、あとどうするんだ?」
 予定くらいは聞いておこうと思う。
「ん~……まぁ、良いじゃない?」
「なにが?」
「なにもしなくても、さ」
 そう言いながら漫画三割、小説三割、仕事の資料三割、その他が一割の本棚に近付く。
 このお嬢さんは、帰る気が無いらしい。まぁ、別に良いが。
 あ、そこはその他のスペースですよ。
「えっ!?」
 本の背に指を当てたところで動きが止まる。題名をやっと見たようだ。
 いい年した女性が十八禁の本くらいで停止しないでください。
「ちょ、ちょっと……なんで、こんなの……堂々と……」
「前、床に落ちてたろ?」
「!」
「それ拾って、お前、机の上に置いたろ」
 あれは思い出すだけでも恥ずかしい。十年間隠し続けた物を見つかったのだ。
「なんていうかね?親にエロ本見つかった高校生の気分を味わえたよ」
 もしかしたら、親に見られるよりキツイかも知れない。好きな女に見られるとは。
「だから、隠すくらいなら堂々と、と思ってさ」
 開き直り?うん、開き直ったよ。

21:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:20:10 wi2UaUvX
「うぅ………」
 一度背に引っ掛けた指を離していく。それが賢明だろうね。
 正直、困ったように顔を赤くしている友梨は、可愛かった。
 
 こ、こんな本があったら、意識してしまう……
 優也がどんなのに興味があるか……優也が……その…ど、どんなのを見て……オナ…二ー…するのか……とか…
 ショックもあるが、彼も男だ。良く考えれば、持ってない方が不自然なのかも知れない。
 正直、見てみたい。と思う。だけど、見たら、エッチな女の子と思われそうな気がする。
 ……それも良いかな………って、ダメダメダメ!!
 彼に少しでも良く見られたくて、今までずっと品行方正な女の子を通してきた。
 今更、品行方正からエロに、なんてアクロバティックな転身はしたくない。
 ………まぁ、品行方正と言っても……一人のときは…何回も彼を想って……その…オナ
「どうした?」
「ひゃい!?」
 優也の声に現実に引き戻される。
「お前……その年になってまで、その手の本には耐性無しか」
「な……何か悪い?」
「うんにゃ、何も悪か無いさ」
 彼が意地悪な笑みを浮かべているのが、見なくても分かる。
 なんとなく、悔しい。
「てか………私だって……女の子なんだよ?なんでそんなに堂々と………」
「いやぁ、隠し事は良くないかなぁ?…と」
 絶対馬鹿にしてる。そんな口調だ。
 変な意地が出てきた。
 私だけがあたふたさせられるなんてフェアじゃない。優也の顔も赤くさせてやる。

22:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:22:49 wi2UaUvX
「男の子って、こういうの見て、オ、オナ、ニー……するんだよね…」
 あれ?私、なに言ってるんだろ?
 
「………はあ?」
 彼女が何を言っているのか、すぐには分からなかった。
「やっ…ぱり……興奮………しちゃうものなの?……」
 さあ、果たして友梨は自分がなに言ってるのか分かってるのかね?
 一応、答えておく。
「世間一般の男は、まぁ……そうなんじゃないか?」
「優也……も?」
 なぜ俺?
「ま、一応、俺も男だな」
「じゃあ優くんは……こういうの見て………妄想とか、しちゃう……の?…」
 ホントにこの娘さんはさっきから何を言っちゃってるのかな?
 エロ本は何かのスイッチでしたか?
「まぁ……あなたのご想像にお任せしようと思う」
 とりあえず、当たり障りのなさそうな返答を。
 ……おいおいおいおい………
 友梨の顔が噴火でもするんじゃないかと思うくらい赤くなっていく。
 何を考えてる?なあ、何を考えてるんだ?
「………ぅぷ……」
 奇声。
 鼻を押さえてる様だが………って!?
「は、鼻血!?」
「うー………うん……」
「二十代後半突入してんのに妄想で鼻血!?なにそれ!?」
「う、うるひゃい!へか、女の子のねんへいをでっかいこへて言ふなぁ!」
 半分くらい聞き取れない。鼻つまんでたらそりゃ、そうなるわな。
 いや、まぁ、可愛らしいが。
「ほれ、ティッシュ」
「うぅ………」
 ティッシュを数枚取り、鼻に当てる。さすがに鼻栓するのは恥ずかしいか。

23:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:25:09 wi2UaUvX
「ったく………お前はいったい何を考えたんだよ?」
「な……何って………」
 友梨が止まった。
 顔が更に赤くなっていく。
「あぁ、いや、思い出さんで良い」
 鼻血がもっと酷くなったら困るからな。
「てかさ、俺らはなんでいい年してこんな話してるかね?もっと別のことしよう」
「別の、ことって?」
「……ゲームでもしようや」
「………うん」
 一緒に遊ぶのに、ゲームはいい手段だった。性別、体格が違っても、ほとんどフェアに遊べる。
(向き、不向きはあるが、幸い二人とも、向いていた様だ)
 中学あたりから、ゲームを二人ですることが増えてきた。
 たぶん、ゲームがあったから、今でもこうやって、一緒に遊べるんだと思う。
 結局今日は、ゲームでほぼ一日を潰した。
 貴重な休日だが、友梨といれたんだ、良しとしよう。
 
「あ……十時……」
「ん?あぁ、帰るなら送ってくぞ」
 ……どうして君は、泊まってけ。とか気の利いた台詞を言えないのかな?
「……な、なに?その目は?……」
「別に……じゃあ、運転手お願い」
「はいよ。おじさんたち心配させるわけにゃ行かないからな」
 確かに心配はしないけど、その代わりがっかりするんだよ?色々と。
「……あのさ…」
「ん?」
「明日、買い物に……つ、付き合って……くれないかな?…お父さんの誕生日が近いから……プレゼントを…」
 付き合って、のところでちょっとだけ声が裏返ってしまった……感づかれたり……して………
「良いぞ。どうせすることも無いしな」
 ……しないよね……感づいてくれる訳ないよね………だって優也だもん………
 それでも、明日も会えると分かると、嬉しい。
「んじゃ、明日、お前が準備出来たらメールでもくれ。迎えに行くから」
「いや、私がここに来るよ?」
「なにで?おばさんは車の免許持ってないだろ。おじさんには、一応でも秘密にしとけ」
 ……どうしてそんなところには気が回るのに、私の気持ちには気付いてくれないのかな?
「……いや、だから…なに?その目は?……」
「……別に…」

24:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:26:15 wi2UaUvX
投下終了です。

25:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:28:39 9RhfKfEx
次回にwktk

26:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:34:48 SzJDqoYo
じれって~!!
しかしGJ!!
続きまってます

27:名無しさん@ピンキー
07/08/18 01:56:37 8Y2WShjH
初だが書いて良い?

28:名無しさん@ピンキー
07/08/18 02:01:28 GMfiW3XP
豚切スマソ
前スレ見た?おいしい梅キテタ━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━!!!!

29:名無しさん@ピンキー
07/08/18 15:30:05 YX0xbbcr
,前スレ埋まったな

>>27
お願いします

30:名無しさん@ピンキー
07/08/19 05:29:34 qDeBnKqv
>>24名作ktkrGJ!!!

このもどかしさがたまらない!!

31:名無しさん@ピンキー
07/08/19 18:12:39 qmH4kfol
前スレ◆NVcIiajIyg氏ナイス埋めネタGJ!
>>24氏GJ!

夏休みが終わってしまうけど、とりあえず投下

32:名無しさん@ピンキー
07/08/19 18:13:30 qmH4kfol
そして2日後。おれは都会の喫茶店で付き合ってた彼女と会っていた。
「それで今日おまえと会っている理由は、な」
「………」
「既にメールでも言ったと思うんだが……って聞いてるか?」
「………」
「お、おい」
「……きーてる」
あぁ……先が思いやられる。付き合い始めた頃から現在まで彼女は、ずっとこんな感じだ。
彼女に別れる旨を伝えたが納得できないと、ごねるので今日会うことになった。
というか、こんな態度見せ付けておいて納得できないって何だよ。

「……別れようぜ」
「あたしは納得できないんですけど」
「何がだよ。どう見ても、おれら終わってるだろ」
「なんでオメーは別れようなんて言いだしたんですか」
「もうおまえとはやってられないんだって」
「ホントぉ? そんなのいつものことじゃん。
 それでも付き合ってたのは、あたしのことが好きだからと思ってたんですけど」
頭いてぇ。
「おまえな、おれのこと金づるぐらいにしか思ってないだろ」
「そんなことないよ、愛してる」
「どこがだ」
「ん、まあ言葉では言えないくらい? アンタが浮気しても最後には許しちゃうほど」
ふざけてやがる。そのニヤ笑いはなんだ。

「大体さ。親戚のトコ行ってたんじゃないのかよ」
「直ぐに帰ってきた。だから眠くて」
嘘だ。彼女の親戚の家は、おれの地元よりも遥かに遠い。時間的にムリなのだ。
「よく堂々とウソが言えるな……。
 おまえ親戚に顔出しした、じゃなくて浮気相手に中出しさせた、じゃないのか」
「は? なにそれ全然笑えないんですけど!!」
まあ、この状況で笑えるのは、おれぐらいだろうな。
「浮気したのはオメーでしょ!? なんであたしのせいにするわけ?」
「おれは浮気してないって。おまえより好きな人が出来たってだけでな」
「浮気じゃん! 最低」
「だったら別れようぜ」
「……挙句の果てには、あたしが浮気しているとか疑うし、謝罪もしないし」
浮気って言葉に過剰反応しすぎだ。バレバレなんだよ……。
「おれが何も知らないって決め付けるのはやめようぜ。みんな知ってるんだよ」
「……っ。なんのことよ! 一体誰が言ったのよ!?」
「だからみんなだよ。みんな知っていて、おまえを止めないし、何もしない」

33:名無しさん@ピンキー
07/08/19 18:14:27 qmH4kfol
「まあ、そんなことは、どうでもいい。
 一番重要なのはおまえが誰と何しようとも、おれには何の感情も起きないことだ」
「……あたしの性格が悪いから嫌いなんでしょ」
「いきなり話飛んだな。別に、おまえの性格が問題なんじゃない」
「ウソよ。どうせ性格良くて、何でもハイハイ言ってくれる女が良いんでしょ」
「そうじゃない、もっと根本的な問題なんだよ。価値観の違いだ。
 最初の頃は、それでも上手くいくと思ってたけど……」
「…………」
「おまえのことは全く愛していないよ。そして、おれ、好きな人も見つけたよ。
 だから、別れよう。いいな?」
「………………」
おれは席を立った。

「これ、勘定」
しかし彼女は受け取らない。
そんな姿に彼女の誠実さ、みたいなものを感じてしまうおれは甘いのだろう。

「アンタのこと愛しているって言ったのは本当だから……」
「……?」
「でも、どうやって上手くやっていけば良いのかわからなかった」
「そうか」
「それだけは信じてよ」
「……ああ」
もちろん、その気持ちを受け止めることは出来ないが。
おれは喫茶店を出て行った。



今日は……夏にしては涼しいな。確か午後過ぎると暑くなるらしいけど。
……思えば周りの連中が、二人とも陽気で、お似合いだと
冷やかすから付き合ったんだったな。この先どうなるのかも知らずにさ。
そりゃあ世間一般的には、おれもあの女も陽気と分類されるかもしれないけど
そもそもおれはテンションが高いときがあるだけだ。
更に言えば、おれとアイツでは根底にある価値観が違う。
アイツは、いつも無茶苦茶だ。アイツは他人を思いやる心に欠けている。
それが一番の問題で、それは性格という話じゃない。

別に悪いやつだとは思っていなかった。
一般的に悪いとされるようなことさえ時々するようなやつだったけど、
それは周りを楽しませたい一心の行為だと思っていたから。
実際は違ってた。アイツは自分が楽しければ周りも楽しいと思ってしまうヤツだった。
それをいつまでも悪いと非難できなかったおれが愚かだったんだ。
もう決して二人の道は交わることはない。

おれは駅へと急いだ。

34:名無しさん@ピンキー
07/08/19 18:15:30 qmH4kfol
そして、あと少しで駅に辿り着くという所で
「健次ちゃん!」
理菜が抱きついてきた。

実は別れ話をしていた時、道路向かいの喫茶店に理菜を座らせていたのだ。
おれが本気で別れることを示すためだ。
そして念のため、駅までのルートを別々にして落ち合う。
もちろん別れる所を見させるなんて外道ではある。
だが、あの女にも随分と酷い目に合わされてきたのだ。最後の仕返しでもある。

「健次ちゃん……っ」
理菜は離れそうもない。
「急ごう理菜」
おれは理菜の肩を抱いたまま、駅へ入る。切符は既に買ってある。
もどかしい改札を抜けて、おれたちは故郷へ帰る電車に乗ったのだった。



理菜は、まだ離れようとしない。
今日は帰省シーズンが終わったからなのか時間帯の問題なのか電車はガラ空きだった。
「ごめんね、健次ちゃん。彼女と別れさせるような事しちゃって……」
「ん?」
「私、健次ちゃんが付き合ってること知ってたのに」
「いいんだ」
「でも………」
やっぱり別れるところを見させたのは間違いだったかもしれない。
理菜は罪悪感が渦巻いているようだった。

「理菜、おまえは何も悪くない」
「……でも私が言わなかったら―」
「強いて言えば都会に行ったとき故郷のこと全てを忘れ、彼女作ったおれが悪いだろ。
 都会で、ずっと暮らすつもりだったとか下らない言い訳はいくらでも出来るけどな。
 理菜。いつごろから、おれが付き合ってるって知ってたんだ」
「ずっと………前から」
「ならばなおさらだ。理菜、おまえはわがままになっていいんだ」
「うっ……ぅぅ………けんじちゃ……ん」

「次は~毛津駅~~毛津駅~~、お乗り越しのお客様は~」
車掌が乗り越し清算している。構うもんか、続けよう。

「けんじちゃん……うれしいよぉ………っ」
「そかそか。理菜に喜んでもらえて嬉しいぜ」
理菜は必死に、おれの胸に頭を擦り付けてくる。
そうやってじゃれつかれると、みょーに嬉しさが、こみ上げてくる。

35:名無しさん@ピンキー
07/08/19 18:16:44 qmH4kfol
車内は、お日様が良い感じに差していた。よし、ここは一つ決めちゃえ!
「理菜……」
おれは理菜の頬に手をやる。
「け、健次ちゃん」
おれの意図を察した理菜が赤くなる。
そして覚悟を決めるように、そっと目を閉じた理菜に、おれは口づけをした。
「ん………」

充分した後に、そっと唇を離すと理菜は、ぽーっとした眼でおれを見ていた。
もちろん1回で終わらせるつもりなんてなく、おれはもう一度キスをする。
「ん………っ」
そのままでは前回と同じなので軽い悪戯もしておく。
「…………!」
舌を入れて唾液まで交換してしまう。びくん!と理菜の身体が跳ねた。
もちろん軽い悪戯とは思ってない。
「……はぁ、はぁ………」
口を離すと理菜は荒い息をしながら驚いたような顔でおれを見つめていた。
「ごめん、ちょっと過激だったかな?」

「次は~打駅~~打駅~~、お乗り越しのお客様は~」
さっきの女車掌か。つーか邪魔だなっ。切符は大丈夫だっての。こっち見んな。

「じゃあ今度は普通にな?」
「もう、けんじちゃんったら……」
理菜は甘ったるい声で言う。そして今度は理菜自らが唇を寄せてくれた。
おれの方は今回は理菜の背中に回した手で愛撫する。
撫でられるうちに気分が高まってきたのか理菜も、おれの背中をさする。
殆ど無我夢中と言っていい愛撫をしながら熱烈に口づけをする理菜におれは圧倒されていた。

ながーーいキスが終わり、おれと理菜は互いに身体を寄せ合う。
「健次ちゃん……健次ちゃんとの2度目のキス………」
口に手を当てて微笑む理菜が、おれに更に身体を預け―

「つ、次は~清駅~~清駅~~、ハァハァ、お乗り越しの(ry」
ちょっと待て、そんな駅ねーだろ! つーかハァハァ言うなっ。一々来んなっ。

流石に理菜も何かに気付いたらしく、顔を赤くしながら、そっと体を離す。
それでも手は離そうとしなかったけれど。
……車掌が邪魔しなければ誰もいないんだけどな。


そうこうしてると、おれたちの故郷が見えてきた。
ようやくおれたちは馴染んだ土地に帰ってきたのだった。
故郷。
おれは、この地を離れてずっと都会で暮らすつもりだった。
今更になって戻ってきたおれに対しても地元の風は優しく迎えてくれた。

36:名無しさん@ピンキー
07/08/19 18:19:57 qmH4kfol
12の続きって言うのわすれてた

投下終了。

37:名無しさん@ピンキー
07/08/19 23:07:25 HWh84s3C
お見事! GJです!!

まぁ欲を言えば、この後の初エッチまで書いて欲しいけれどね!
気が向いたらで良いから頑張ってみてくれー!!

38:名無しさん@ピンキー
07/08/19 23:40:01 ZwQmpf/I
GJ!ワクワクする・・・と言いたいが、
毛津駅とか清駅とかいうネタ単語を混ぜるのは
正直なところ止めてほしかった。

39:名無しさん@ピンキー
07/08/19 23:52:01 UItRS1Pw
>>38
「もうず駅」に「さや駅」でしょ?

40:名無しさん@ピンキー
07/08/19 23:54:06 UItRS1Pw
やべ、「ず」じゃなくて「づ」だ、連書きスマソ

41:名無しさん@ピンキー
07/08/19 23:59:51 Tlz9MseE
下げませう

42:名無しさん@ピンキー
07/08/20 00:07:34 /uSLdOav
重ねがさね、ごめんなさい。

43:名無しさん@ピンキー
07/08/20 00:47:41 jjwbYfmk
ネタがワカンネ('A`)

44:名無しさん@ピンキー
07/08/20 01:15:16 WMPp+6MU
投下する時はトリップを付けた方がよくない?
このスレはまったりしてるから、今のところは問題無さそうだけど一応ね。

45:36
07/08/20 20:36:48 aekSasDO
どもです。助言に従い次からトリップ付けますけど、投下はいつになるやら……

>>43
女車掌は二人がいちゃついてるのを冷やかしに来てる(ヒマだから)
実在しない駅名を言ってからかっているんだけど見直すと、わかりづらいね

38氏が言うように真面目なシーンに入れるにしては下品だったし、
わかりづらかったとも思うので次から気をつけます。ごめん

46:名無しさん@ピンキー
07/08/20 20:49:16 aekSasDO
連投スマン
>>43
一応正確に言っておくと駅名は全部体液。例)毛津駅→血液
我ながら寒いオヤジギャグだった……凄く反省してる

47:名無しさん@ピンキー
07/08/21 04:30:15 OJqwQCuA
>>46切なくて暖かい。
GJ!

48:名無しさん@ピンキー
07/08/21 08:54:32 nsXWg6uA
こんなことをやってる女車掌は、一日の仕業が終わった時点で
乗務員駐泊所でウテシからお仕置きされるに違いない

49:名無しさん@ピンキー
07/08/21 10:56:53 Q4u4oAbA
 「祥子、オマエ一体どうしたんだよ」
 「……えっと、何の事でしょうか。運転手殿」
 「何の事……じゃなくて、昼間の出鱈目アナウンスの件!」
 「……鉄ちゃ、じゃなくて、ソレは多分、鉄也さんの聞き間違……」
 「俺の耳がおかしいだけなら、お客様からの苦情なんか上がってこないっーの」
 「……」(あんの、若いだけが取り柄のバカップルっ。今度乗車してきたら絶対、コロス!!!)
 「……図星を突かれると、途端に黙り込むあたりは全然成長してないのな。
  とにかく、あんまり度重なるようだと俺の所で食い止めるのも、無理になってくるんだよ。
  オマエだって、あの悪名高き『日勤教育』なんか受けたく無いだろう。
  特に今の担当は、男すら平気で泣かす事で名高い『鬼』の管さんなんだぞ」
 「……」(げーっ、なんでよりによってアレな訳ーっ!!! この前の飲み会からの帰りだって
  鉄ちゃんが気が付いてくれなかったら、危うくホテルに連れ込まれそうに……)
 「おーい、祥子。俺の話ちゃんと聞いてんのか? ……せっかく、子供の頃からあれほど
  希望していた鉄道会社にやっと入れたのに、こんなツマラナイ事で首になんか……」
 「……」(……アンタが鉄道好きだって言うから、アタシも後追っかけただけ……。あ、駄目っ!!!)
 「お、おぃ祥子ぉ……、泣いているのか? ご、ごめん。ちょっと言い過ぎ……」
 「……してょ……」
 「え?」
 「鉄ちゃんと同じ車両に乗っていても、二度とドキドキしないように、ちゃんとお仕置きしてよっ!!!」
 「祥子?」
 「……鉄ちゃんの、莫迦ーっっっ!!!」


 
 えーと、こうでしょうか? よく解りませんっ!!!

50:名無しさん@ピンキー
07/08/21 21:17:53 X3kUd9TG
運転手と車掌も幼なじみなのかw

51:名無しさん@ピンキー
07/08/22 02:43:14 U8oUoxCB
祥子は「さちこ」なのか「しょうこ」なのか
重要なのはそこだ

52:名無しさん@ピンキー
07/08/22 03:47:54 LSLAsdDb
>>51なぜにww

53:名無しさん@ピンキー
07/08/22 04:30:32 U8oUoxCB
>>52
「うえぇっ!?な、なんかわかんないけど、ごめん祥子!」
「ばか…!あやまるだけじゃやだ。行動で示して。」
そう言って泣きじゃくる彼女は時々嗚咽を漏らしながらも口を閉じ、目尻に涙が浮かぶ目で俺の顔を見つめてくる。
保護欲をかき立てる姿。こらえられず、俺は彼女をそっと抱きしめた。
「ごめんな、昔から俺はお前の気持ちをわかってやれないばっかりだ。こんな年になってまで泣かせちゃって、悪かったよ。」
「鉄ちゃん…ううん、いいの。私、いつもわがままで鉄ちゃんを困らせてばっかりだったから…私もごめんね…
でも…ふふっ、鉄ちゃん、あったかい…こうしてると幸せ。」
「さっちゃん……わがままだなんて、そんなことないよ。さっちゃんに付き合うのはいつも楽しかった。
それに今だって……その、すごくかわいいよ。」
気恥ずかしさから小学校高学年ごろから使わなくなった、昔の呼び名が口をついて出てしまう。
やはり気恥ずかしかったが、腕の中の小さな温もりを感じていると、そんなことはどうでもよくなった。
「鉄ちゃん…私、うれしいよ…」




「さちこ」ならこんなことができる

54:名無しさん@ピンキー
07/08/22 04:57:19 LSLAsdDb
>>53致命的打撃を受けました。

いかん・・・死ぬ・・・

55:名無しさん@ピンキー
07/08/22 09:00:29 JBqLV21D
「しょうちゃん」ではダメなのか?

56:名無しさん@ピンキー
07/08/22 11:10:08 4idSWq91
>>55
女の子相手に使うにはちょっと語呂が悪くないか?

57:名無しさん@ピンキー
07/08/22 12:23:02 3Slgiaio
そこで幼少の頃は男の子と思ってて実は女の子でしたパターンが使えるようになるんじゃないか

58:49
07/08/22 12:23:13 FJO7zegP
>>51
 車掌だから「しょうこ」(w
 でも『さっちゃん』ギザモユス

 ちなみに「祥子」とかいて「しょうこ」と読むのは、叔母の本名
 小さい頃は、しょこおば……じゃなくて「しょこ(ねー)さん」と呼んでいた
 

59:名無しさん@ピンキー
07/08/22 13:41:26 jTqBR6oC
>>57

  そ  れ  だ

60:名無しさん@ピンキー
07/08/22 13:54:13 tYWCzlUD
お前らはどうしてこういうとこで才能を浪費するんだw

61:名無しさん@ピンキー
07/08/22 14:59:59 vTs8jwdj
正しい使い道と信じてるからw

62:49
07/08/22 16:11:02 FJO7zegP
 その言葉と共に、俺の腕の中の小さな温もりの
うっすらと赤く染まった目尻に又、新しい煌めきが盛り上がる。
 
「ごめ……、ごめんね、鉄ちゃん。私、嬉しいのに、本当に嬉しいのに
 涙、止まんなくなっちゃった。……変だよね、こん……ひゃっ!!!」

 泣きながら笑う祥子が可愛くていじらしくて、俺は無意識に
彼女の目尻から流れる涙を舌で舐め取っていた。
結構色白なのと、それなりに整っている割には年頃の女に相応しい化粧をほとんど
していない、細かい産毛とそばかすに飾られた白桃のような頬の感触が非常に心地よい。

「……鉄ちゃ……鉄、ん!!!」

 当然、うわ言みたいに俺の名前を繰り返し呟やいていた薄赤い口も、そのまま塞ぐ。
がくがく震えている唇を強引にねじ割って、舌を滑り込ませ心行くまで蹂躙する。
柔らかい唇の裏側や上下の歯茎をねっちりと舐め回し、乱暴なまでに吸いたててから
一旦、唇を離す。
 
「……はぁっ、はぁ……、て」

 にっこり笑いながらも、彼女の口が完全に塞がらない内に、もう一度深い深いキス。
今度は小さな口の中で逃げ回る彼女の舌を絡め取る事に、見事成功した。
じゅるじゅるとイヤラシイ音を立てながら、俺と彼女の間をお互いの唾液が何度も行き来する。
最初はおずおずと、しかしやがてしっかりと俺を抱きしめて来た祥子の腕の力を確認してから
再度ゆっくりと唇を離すと、二人の間に細い銀の橋が架かった。
 
「……鉄ちゃぁん……、わたっ私、本当にオカシ……」

 抑えきれない欲情を湛える目元に辛め取られた俺の全身を、止めようの無い快感が支配する。
我慢しきれずに、太ももをもじもじとこすり合わせてぐったりともたれかかってきた彼女を
横抱きにして、その耳元でそっと囁いた。
 
「本当、可愛いな祥子……。だから、ちゃんとお仕置きして上げるよ」




つー事でっ、後はまかせたっノシ

63:名無しさん@ピンキー
07/08/22 16:46:51 jTqBR6oC
けしからん!もっとやれ!

64:名無しさん@ピンキー
07/08/22 17:29:24 6v1CCvJy
>>62
GJ!
健次理菜カップルといいこの地方は幼馴染カップルの聖地かww


おいおい最近幼馴染スレはじまりすぎだろw

65:名無しさん@ピンキー
07/08/22 20:38:01 Ta2UAA0e
なんか、このスレの皆才能有りすぎだろw
しょうちゃんだと某雀鬼思い出してしまって困る。

66:名無しさん@ピンキー
07/08/22 21:10:15 U8oUoxCB
>>53が俺のエロパロ板初投下であることは俺しか知らない

67:名無しさん@ピンキー
07/08/22 22:36:18 CG4Wch9+
仕事から帰ってきて、朝のカキコがこんな形で大暴走していることに
呆れつつ感心しつつの>>48の俺がいた


特急グリーン車の美人アテンダントもカコイイが
10年ばかり前にローカル線の2両編成で車内を往来していたお下げの車掌娘は思い出深い

68:名無しさん@ピンキー
07/08/23 00:36:33 BYy221mr
>>66
早くSS書き本格デビュー作の執筆作業に戻るんだ
もちろん投下先はここな

69:66
07/08/23 01:03:39 hQsPSkR7
>>68
言われなくてもこのスレ用のSSを鋭意制作中だぜ!
それを処女作にするはずが>>49が可愛かったので思わず

70: ◆prrsJaB8ts
07/08/23 10:15:12 tvri23pW
生徒会長松宮菜月が初めて学校を休んでから、もう一週間が経とうとしている。

「ああ、平和だ」

昼休みの屋上で、一人具の無いおにぎりを食べる俺こと土谷恵一は、平和を満喫していた。
幼なじみだった松宮にオタクキャラとしていじられ続け、学校全体の笑い者にされた俺だったものの、彼女が学校を休んでからはその嘲笑がピタリと止んだ。

「あいつがいなくなったおかげなのかねぇ」

そうだとしたら、不謹慎だが松宮にはずっと学校に来ないでもらいたい。
俺をイジり始めてからは疎遠になったわけだし、仲直りする気もないし。
そんなことを考えていると、後ろから突然声がした。

「土谷君」

その声だけで、誰なのかが十分理解できる。

「何の用だ?松宮の手先」
「名前で呼んでください」
「はいはい。坂野真琴さん」

長いストレートの黒髪に、ふちの黒い眼鏡を掛けた生徒会副会長、坂野真琴。
生徒会の中では一番おとなしい人だ。


71: ◆prrsJaB8ts
07/08/23 10:15:52 tvri23pW
「で、何の用?」
「会長のことで、お話があります」
「やだ」

即答。

「あいつの話題を振るな」

彼女に再び背を向けて歩きだそうとした、その時。

「待って!」

後ろから、抱き締められた。

「待って…ください…」

坂野は離れようとしない。
夏服ごしに、背中に小さな胸の感触が伝わるのが分かった。

「離れろ」
「お願いですから…話を…話を聞いてください…」

だんだん、彼女の声が弱々しくなり、涙声に変わっていく。
坂野が泣いているなんて、今まで一度もなかったことだった。

「会長は…菜月は、中央病院に入院しています」
「で?」
「退院の見込みは…ありません…」
「はぁっ!?」



72: ◆prrsJaB8ts
07/08/23 10:17:00 tvri23pW
~~~~~~~~~~~
「あ、松宮さんの面会ですか?こちらになります」

ナースに案内され、病室に向かう。
正直な話、恐い。
今、俺は平和のなかにいるわけで、わざわざ暗黒時代の原因に会いに行かなければならないというのが恐かった。
坂野が泣きながら頼んだりしなければ、絶対に断っていたぐらいである。

「こちらです」

病室のドア。
恐る恐る、開く。
そして、

「あ……」

驚いた顔をした松宮と、目が合った。

「来て、くれたんだ」

一週間前に見たときと同じ、ショートカットの似合う快活な生徒会長は、病院のベッドの上で、パジャマ姿で笑っていた。

「仕方なくな」

何だろう、少し違和感を感じる。
いじらないから、ではない。少し元気が無さそうだから、でもない。

「坂野が必死に頼むから来た」
「ああ、真琴は精一杯頼むはずだわ」
「で、何だ?」

この部屋に入ってからずっと、笑顔のままの松宮。

「―私ね、来月死ぬんだ」

そんなことも、笑顔のままで言ってのけた。



73: ◆prrsJaB8ts
07/08/23 10:18:04 tvri23pW
「手遅れなんだって、言われたの。もうだめ」
「お前……」
「きっと、罰が当たったんだよね」

無邪気な笑顔の松宮を見て、ようやく分かった。

「ずっと仲良しだったけーちゃんを、傷つけた罰が、当たったんだよね」

今の彼女には、以前溢れていた、希望が無いのだ。

「ほんとうに、ごめんなさい」

いつのまにか、彼女の頬に光の筋が見えていた。
弱々しく、頭を下げる松宮には、すでに過去の面影などどこにもなかったのだ。

「で、許してくれと?」
「ううん」

突然、彼女が立ち上がると、こっちにゆっくり歩いてくる。

「許しても、許さなくても、いいの」

そして、その腕が俺の背中に回される。

「ただ、私は、けーちゃんに償いがしたい」

とても弱い抱擁。

「けーちゃん……んっ……」

そのまま、彼女は背伸びして唇を重ねた。

74: ◆prrsJaB8ts
07/08/23 10:19:13 tvri23pW
今回の投下はここまでにします

75:名無しさん@ピンキー
07/08/23 15:42:57 Zgc/YPZq
良くも悪くも調子の良い幼馴染ですね

76:名無しさん@ピンキー
07/08/23 20:30:47 jz4l0ete
ここからどうやって彼女の魅力を表現していくのか気になる
この先に期待

77:62の続き? 1/2
07/08/23 20:59:34 djfka/1n
人間、何が『琴線』に触れるのかその直前まで
まったく解らないものでございます。
で、なにやら又毒電波を受信してしまいました。



「……鉄ちゃぁん……、本当の本当に、私に『お仕置き』してくれるの?」

 この世の醜い理を何も知らぬ無垢な幼女のような、そして同時に、己を強く突き動かす
肉欲以外の何も信じるものが無い天然の淫婦のような妖しく不思議な眼差しが、俺を追い詰める。
心の中で必死に歯を食いしばり、その顔を見ないように見ないようにと最大限努力する俺を
あざ笑うかのように、祥子の視線に、声に、息使いに、身じろぎに、匂いに、それら総てを
ひっくるめた恐らく彼女自身は意識すらしていないのに滲み出す痴態に、何よりも敏感な俺の
下半身が一層硬度と角度を増した。
(……あぁ、クソっ!!! このままじゃ、目的地まで持ちそうにねーよっ!!!)
一瞬、いっそこのまま行きずりの色気違いよろしくホームのベンチの上で……とも考えたが
それでは彼女の望んでいる『お仕置き』にはならない。
しかも、そんな俺の悲鳴じみた叫びを知ってか知らずか、腕の中の小さな温もりはその
細い両腕をゆるゆると伸ばしてきたかと思うと、俺の肩をぎゅっとつかみ、その上体を
ゆっくり起こして、初めて自分の方からうっとりと口付けて来た。

「……ぅん、大丈夫。平気だよ、鉄ちゃぁん。……何をどうされても私は、鉄ちゃんが
  この世で一番だぁい好きな人だから、イケナイ私にちゃんと『お仕置き』して下さぁぃ……」

(あーーーっ、莫迦祥子!!! もう我慢の限界だよっ、畜生!!!)
最初の目的地をあっさり諦めて、目の前の乗務員駐泊所の扉を半分蹴り開けるようにして飛び込み
最大限の性急さと優しさを込めたつもりながら、結局は随分荒々しく簡易寝台の上に、車掌を転がした。
それでも熱に浮かされたように蕩けかかった幸せな顔のままで、ゼンマイが切れかかったカラクリ人形の動きで
のろのろと祥子は、微笑みながら自らの上着のボタンを外し、スカートも脱ぎ捨て、足を開いて、俺を誘う。
それから、目を逸らす事が出来ないまま、それでも俺は最大限の冷静さを装いながら『お仕置き』を開始した。
 
「……本当なら、オマエの恋人の目の前でオマエをめちゃくちゃに犯してやるつもりだったんだけどな」

 ぴたりと祥子の動きが止る。

78:62の続き? 2/2
07/08/23 21:01:51 djfka/1n
「……だけど、イヤラシイ祥子さんは生まれ付いての淫売で、我慢が出来ない体なんだからしょうがない」
「……鉄ちゃん、何を言っているの? ……私、鉄ちゃん以外に好きな人なんかいな……」
「祥子ぉ、本当に俺がなにも知らないとでも思っているのか? …オマエ、結構図太い女だったんだなぁ」
「……て、鉄ちゃん、酷ぃ……。あた、私、今なにか気に触るようなコト言った?」

 熟れ過ぎたトマトみたいに真っ赤だった祥子の顔はいまや、真っ青を通り越して幽霊のように白い。
壊れたスプリンクラーみたいに必死で首を左右に振り、ぼろぼろ涙を溢しながら立ち上がり裸足のままで
ふらふらと夢遊病者の足取りで、俺の足元にへたり込み、そのまますがり付いて来た。
その華奢な肩を態と手荒く小突いて、顎を掴みむりやり顔を上げさせ、思い切り冷たい笑いを浴びせかけ
そして、訳も解らぬまま只しゃくりあげ続ける幼馴染の耳元でそっと囁いた。

「祥子さぁん、君も本っ当ーに強情だね。だけどさぁ、一週間前の今頃、事務室で君が何をしてたのか
  俺、全ー部知ってるんだけど?」

 忙しなく瞬きを繰り返していた祥子の瞳の焦点がやっと目の前の俺に合い、青白い顔にさっと朱が走った。

「やれやれ、やーっと思い出したみたいだね、事務室の机の角っこ相手によがってた、色情狂さん」

 今日と同じく、俺と祥子の組み合わせで、この駅が終点兼終電車までの勤務だったの場合、業務日記を
付けるのは何時も、車掌である祥子の役目だった。
そして、俺が電車内と構内をざっと清掃して電源を落とした後、バイクのにけつで帰るのが何時もの
パターン……だったのだが、たまたま三ヶ月ほど前、構内で蛍光灯が切れてる所を発見して何時もより
幾分早く事務所に行って見たら、祥子は声を漏らさないように自分の指を噛締めながら、お楽しみの最中だった。
最初、祥子の逼迫したくぐもり声を聞いた時は、急に具合でも悪くなったのかと思ってかなり焦ったが
結局、ぶるぶる震えながらも最後はあのすらりとした足をぴぃんと伸ばして、うっすらと上気した顔で
荒い息を吐きながら机の上にぐったりうつ伏せる、祥子の一部始終を息を殺しながらたっぷり視姦した後
大急ぎで運転席に戻り、自分で自分の高ぶりを納める……と言うかなり情無い自分がココにいるというのは
特に祥子だけには、一生知られたくない。
  
 二人のローテーションが偶然一致した深夜のみに許される『ご褒美』が、やがて視姦した直後だけではなく
夢精を伴う淫夢の中にまで現れ、終いに祥子は俺の空想の中では何度も何度も犯される性奴隷と化した。
だけど、本物の祥子は何時も何時も拙い絶頂を迎えるアノ時にも絶対声を漏らさず、俺は見知らぬ相手に
向けて、どす黒い嫉妬心を日に日に募らせていくしかない意気地の無い阿呆のまま、祥子の秘密を一方的に
知り、いざとなったらソレをネタに祥子を意のままに出来るかもしれないなどと莫迦な夢想をしながら
表面的には仲の良い同僚兼幼馴染という、非常に心地よい関係をずるずると続けようとした。
 
 しかし、こんな俺の心の動きを敏感に察したらしい祥子が先に動いて……。
 
  本当に『お仕置き』をされなきゃいけないのは、俺だ。

79:三人を書いた人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:18:40 AbBVSXYt
お久しぶりです。
前スレから引き続き、参上させて頂きました。

『三人』を書かせて頂いている者です。

前スレ
>191-195
>199-203
>224-227
>236-240
>262-267
>317-321
>424-429
>444-447
>471-477
>494-500の続きです。

80:三人を書いた人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:20:19 AbBVSXYt
 そして出会った。


11:What I've Done



 目配せに気付いて、正宗はそっと立ち上がった。何食わぬ顔で部屋から出て、待つこと数分。やはり
しれっとした顔で、美幸が出てくる。ぐっ、と親指を立てる彼女、同じように返す彼。
 こっそりと、ガラス張りの扉の中を覗くと、もはや歌そっちのけで高村と静香は話に夢中になっていた。
 二人とも、正宗と美幸が部屋を出ることに気付いていただろう。それでも止めなかったのは、その意味を
理解していたから。
「あんまり覗くの、良くないよ」
 耳元で小さく囁く少女の言葉に、彼は頷いて離れる。
 最後に正宗が見たのは、部屋の中の二人の視線がしっかりと絡まっているところだった。

「出番、あんまりなかったね」
 苦笑しながらの美幸の言葉に、彼は黙って頷いた。
 すでにカラオケ屋から出て、二人は当てもなく街をブラブラしていた。ゆっくりと歩く彼女に、正宗は
ちゃんと歩調を合わせてくれている。
「もうすっかり、両想いだったよね、二人とも。最初から別行動でも良かったかも」
「そういうわけにもいかないだろう」
 美幸が唇を尖らせて言った言葉に、彼は苦笑を交えて返してくる。勿論、彼女も冗談のつもりだったから、
だよね、と肩をすくめる他になかった。
 ふと見上げる空は、澄んで青い。どこまでも。
 吸い込まれるのは、心。そして想い。
「行きたい所は?」
 正宗の言葉がなければ、そのまま泣いてしまっていたかもしれない。一瞬、目を閉じて小さく息を吐く。
「少し、ブラブラしよ。それから考える」
 それは悲しいこと、辛いことがあった時に言う、美幸のいつものわがまま。買い物をするとか、甘いものを
食べるとか、幸せをたくさん味わいたい。
 もしそこに正宗がいてくれれば、もっと楽しくなる。そして優しい正宗は、何も言わずに付き合ってくれるのだ。


「これなんてどうかな?」
 向日葵の飾りの付いた麦わらの帽子を被って、彼女は笑う。今日の為にと用意した、白のキャミソールに
レース編みのフリルボレロ。七分丈のデニムと相まって、涼しげに夏を楽しむ美幸は、休日で賑わうデパートの
中でも一際、目立つ。
 その隣に立つ正宗は、ぶっきらぼうな表情ながらも優しい目で彼女を見つめる。タンクトップの上に羽織った
薄いブルーのシャツ、その袖からのぞく二の腕は、細いながらも引き締まっていて。
「いいんじゃないか?」
 彼の言葉に、美幸は嬉しそうに笑う。はにかんだ顔のまま、その隣に並んでいた帽子を手に取るが、
「そっちは、あんまり」
「えー。可愛いと思ったのに」
 なかなか正宗の審美眼は厳しい。唇を尖らせて不機嫌を装うが、彼は頑として首を縦には振らない。
美幸は、さして拘る素振りも見せずに元に戻した。それだけ、彼の目を信頼しているということ。
「じゃあ、こっちは?」
「前に着てたシャツにならあうんじゃないか?」
「あー、そうだね。あれに合わせたら可愛いかも」
 わずかな距離だけを置いてかわされる会話は、端から見れば恋人同士のそれにしか見えない。時々、
正宗の冗談に笑いながら、肩や胸を美幸が叩くのなどは、よほど仲睦まじいカップルなのだろうと、
通り過ぎる人々に思わせた。

 それでも聡い人は気付いただろう。
 少女が、彼にわがままを言って甘えながらも、溺れまいとしていることを。
 少年が、彼女を優しく受け止めながらも、強く抱きしめて我が物にしようとはしていないことを。
 つまり。
 二人の距離は、確かに恋人同士かと見間違わんばかりに近いけれど、決してそういった関係ではない
ということに。
 気付いただろう。

81:三人を書いた人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:21:16 AbBVSXYt
 誰がこの夏を一番楽しんでいるかといえば、それは太陽なのだろう。張り切って大地を照らしつけている
様を見れば、誰もが少しうんざりした顔をしながら頷くに違いない。
 正宗と美幸も、その例外ではなかった。
「コルトン、行こうか」
 首筋の汗をぬぐう正宗に、美幸も手で自分をあおぎながらそう声をかける。
 存分にデパートの中を歩き回り、心ゆくまで買い物を済ませた頃には、随分と喉が渇いていた。だが
考えることは皆、同じなのだろう。どこの喫茶店に行っても満席で、席に付くことが出来ない。それは
暑いとわかっていて外に出ても同じことで。
 たまりかねた彼女が提案したのが、普段から通う馴染みの店だった。ここからは少し離れているが、
その分、人通りも少なく、座ることが出来るだろうと思ったのだ。
「ん、そうだな」
 頷きながら、交差点へと向かった彼が、一瞬、立ち止まった。硬直した体、その視線を知らず美幸は追う。

 そこにいたのは、二人だった。
 高村と静香。
 カラオケを終えて、次はどこに行こうとしていたのだろう。互いを見る彼らの目にははにかむような幸せが
浮かんでいて。
 そして彼らの手はしっかと結ばれている。指を絡めて、もう離さないと言わんばかりに。

 あぁ。良かった。うまくいったんだ。
 そう思った、次の瞬間。
 美幸の胸は、締め付けられた。終わりを実感して。

 いつも。いつでも。
 彼女のことを見ていた。だから、気付いた。
 泣き出しそうだと、いうことに。
「美幸」
 彼女の腕を掴んで、正宗は足早に歩き出す。幸い、激しい人波のおかげで彼らは二人の姿を認めて
いないだろう。もしも見つかったら、美幸は涙を我慢する。笑って高村と静香を祝福する。それがわかって
いるから、彼はその場を立ち去った。
 おめでとう、そう言うのは今じゃなくたっていい。美幸が辛い気持ちを抑えてより辛くなるのなら、今でなくても。
 だから正宗は、二人から逃げ出した。美幸もそれに逆らうことはなく、黙って彼に付いて行くのだった。

 彼女は、しかし泣かなかった。
 本当に、本当に泣きそうだったのだけれど。
 ぐっと耐え切ったのだった。


82:三人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:22:04 AbBVSXYt
 噴水の前のベンチに腰を下ろした美幸は、一つ、大きく深呼吸。
 吸って、吐いて。その時に、自分の中の澱みを外に押し出す。
 ダメだなぁ、と彼女は思う。幸せを祈る、なんて啖呵を切ったのに、まだどこか振り切れていなかったから。
「大丈夫だよ」
 それでも。
 美幸はそう言った。目の前に立つ少年に言い聞かせるように。
 これ以上、心配をかけたくはなかった。今日はもう十分、わがままを聞いてもらったから。
 そして実際、彼女は大丈夫だと思っていたのだ。何故なら、彼が……正宗が側にいてくれたから。
「ねぇ、正宗」
 それでもほんの少しだけと、美幸は最後のわがままを言う。いや、言おうとした。
「…………正宗」
 なのに、彼に先を越されてしまって。彼女はくすぐったそうに笑う。

 彼の手は、美幸の頭をそっと撫でてくれていた。

 いつだってそうだった。
 辛い時。悲しい時。側にいてくれたのは、正宗だった。
 何度も何度もしてきた失恋。その度に、落ち込む彼女を励ましてくれたのは彼だった。
 言葉では何も言わない。優しさは態度で示すだけ。それでも十分だった。十分すぎるほどに、十分だった。
 常よりも深く落ち込んだ時には、こうして、頭を撫でてくれる。
 少し照れくさいけれど、彼のぬくもりが直に伝わってきて、暖かな気持ちが生れる。
 我ながら子供っぽい、と美幸は思う。それでも。
 正宗の優しさに、彼女は甘えてしまう。最後には、頼ってしまう。

 幼馴染という、関係に。

83:三人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:22:39 AbBVSXYt
 どれぐらいの間、そうしていただろうか。
「ありがと、正宗」
 立ち上がった彼女の眼差しは、しっかりとしていた。別れを告げたのだろう、自分の想いに。きっぱりと、
はっきりと。
 正宗は、安心したように頷いて、さて、と言った。
「コルトン、行くか」
「そうだね。色々と付き合ってくれたから、今日はおごっちゃうよ」
「随分と気前がいいな。あれだけ買い物したわりには」
 大丈夫、大丈夫。笑いながら、不安になったのだろうか、財布を取り出して中身を見た彼女が、一瞬、
固まる。
「コーヒー一杯、290円でいいさ」
「そうしてくれると助かるかも……つ、次にはね」
 溜息混じりに差し出した言葉に、彼女はあっさりと飛びついてきた。
「さっき、買い物しすぎだ」
「だって、可愛いかったんだもん」
「それはわかるが、計画性を持て、って言ってるんだ」
 他愛もない言い争いをしながら歩く二人、正宗の目はいつだって美幸に優しい。
 だが、時にその目は煙る。二人の間の距離を、掴みかねて。
 美幸に望まれるようにあること。それは彼の願い。だが達観するまでには至っていなくて。
 何も言わずに側にいることも、想いを押し殺して立つことも辛くはなかった。
 辛いのは、知っていること。彼女が彼の全てを知っていると言うように、彼も彼女のことを理解している。
だから、気付いてしまう。
 優しい幼馴染。求められているのがそれだから、正宗はそう振舞う。
 決してその先には進まない。何故なら求められていないから。

 辛いのは、求められるものと、求めているものが違うこと。
 正宗は知っている。
 彼女が彼に求めているのは、幼馴染の自分でしかないことを。

 それでも彼は、他に術を知らなくて。
 幼馴染を続ける。いつ終ると知れなくても。

「正宗? どうかした?」
 覗きこんでくる彼女に、だから彼は言うのだ。
「なんでもないさ」
 と。

84:三人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:23:16 AbBVSXYt
「あれ?」
 コルトンに近付いた時、美幸はふと首を傾げる。裸眼で2.0の彼女は、店内に誰かを見つけたらしい。
「店の中にいるの、忍じゃない?」
「え?」
 言われて、正宗はじっと目を凝らす。
 黒の短い髪。細い頬、スレンダーな首筋。確かに、それは彼の知るもう一人の幼馴染だった。
 だが、その隣には。
「あれって、男の人、だよね?」
 自信なさげに言う美幸に、彼は返事を返せない。テーブルを挟んで向かいあっているのは、確かに
男だった。シャツをラフに着こなし、どこかふてぶてしい。
 そして、何よりも二人が驚いたのは。
「忍、楽しそうだね」
「だな」
 普段は人見知りするのか、あまり表情を面に出さない忍が、今は違っていた。楽しそうに男と話している
彼女の様は、二人にはまるで知らない人間のように思えたほど。
 いつの間にか二人は、こっそりと見つからないように歩いていた。植え込みの影に隠れながら、そっと
窓から中を覗き込む。
 今度は、はっきりとわかった。
 忍の満面の笑みも。彼女の前に座る男の顔も、やはり楽しそうな様子も。

 思い出す。高村が言っていたことを。
『相手は一個上の三年らしいんだけど、なんか笑いながら喋っててさ。俺、塩崎があんな風に笑うとこは
初めて見た気がするな』
 もしかして、あの男が、忍が図書室で会っていたという男なのだろうか。

「忍にも、とうとう彼氏が出来たか~」
 感慨深そうに言う美幸の声は、嬉しそうで、楽しそうだった。心からの祝福を送る彼女をチラリと横目で
見ながら、何故か。
 何故か正宗は、言いようのない苛立ちを覚えていた。

 後になって彼は気付くことになる。
 それが虫の知らせだったということに。


 ――そして出会った――

85:三人を書いた人  ◆vq1Y7O/amI
07/08/24 02:30:06 AbBVSXYt
今回は謎とかはなくて、シンプルなストーリーですー。
忍と亮太から離れて、美幸と正宗の方へ視点を移してみました。

前スレ>502
考えていただけてありがとうございます。コルトンは、やっぱりフェアじゃなかったですね。反省です。

前スレ>503
namelessから「な」と「め」を捻り出すというのも、暗号としてどうかとは思ってはいましたw

前スレ>504
やはりキャラは自分の子供のようなものなので、そう言っていただけると嬉しい限りです。


そんなわけで、新スレとなっても、投下させていただきたく思っております。
お付き合い頂けると幸いです。

ではよろしくお願いいたします。

86:名無しさん@ピンキー
07/08/24 03:50:56 XcBG5m5c
GJ!

今回のラストの意味を素直に受け取るなら、美幸が亮太に惚れるか惚れられるかしそうだな。
もしくは両方か。

87:名無しさん@ピンキー
07/08/24 06:10:27 HotUew72
GJ! しかし、何か正宗が誰とくっつくにしろ、余った方が出そうですねぇ……。

いや、当たり前の話ですが、何か切なく感じてしまいますー。まぁ、そこがまた面白いのですけれど。

88:名無しさん@ピンキー
07/08/24 08:41:16 kYHfZ5Nd
>>78
GJ!

でも早く書ききってくれ。
俺の息子が反抗期なんだ。

89:名無しさん@ピンキー
07/08/24 14:15:32 dKBB0EXl
これはまさかの
正宗→美幸→亮太→忍→正宗

の予感!!
いやー・・・いつ読んでも「三人」は切ないねー

90:名無しさん@ピンキー
07/08/24 23:05:19 pLxjYgfL
俺は忍派だったはず…なのになぜ美幸にこんなに魅力を感じているんだろう!もう両方下さ(ry
ここからどう展開するか楽しみで仕方がない。GJです!

91: ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:44:44 Jy/bcMUJ
久しぶりの投下になります。
前スレ>>461-463及び>>516-523の続きです。

↓以下投下

92:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:47:23 Jy/bcMUJ
第二章「中学生二日目の『出会い』」




「さて、と」
 昨日と同じように起きた後、制服に着替えて、歯磨きして顔を洗って、居間に入ると机の上におにぎりと
書置きを発見した。
「今日も遅くなります、か…」
 キッチンに椅子に座って、おにぎりを食べる。中身はおかか。あたしの好きなやつだ。
 お母さん、最近忙しそうだな。まぁ、それは良いんだけど。リモコンでテレビを点ける。朝のワイドショーの
ニュースキャスターの陽気な声が流れ出してきた。その声がいやに遠くから聞こえてくるように感じた。
 いつも通りの光景。あの時くらいからの。台所を見回す。今日、和美は来ていない。
 ……ちょっと早いけど、もう出ようかな。
 何か耐えられないものを感じたあたしはさっさとおにぎりを片付けて、おにぎりが置かれていた皿を洗って、
戸締りをした。鞄を取ってきて、玄関で靴を履いて、家の中を見る。
「――」
 いってきます、ってそういえばいつから言ってないかな。
 ふっ、と息を吐いて外に出て、鍵を閉める。すると、後ろで門を開ける音。

93:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:49:37 Jy/bcMUJ
「勇希ちゃん、おはよう」
 和美だった。いつも通り、あたしに屈託のない笑みを見せて―あたしはその笑顔を少し呆然と見詰めてしまった。
「どうかした?」
「え、う、ううん、なんでもないなんでもない。おはよう、和美」
 そのまま二人並んで歩き出す。
「勇希ちゃん、これ試しに作ってみたんだけど」
 和美はそう言って鞄の中から青い包みを取り出した。これは……お弁当?
「自分の分作ったからついでに作ったんだ。良かったら。」
「あ、ありがと」
 あたしは両手でそれを受け取った。結構……いや、凄く嬉しい。
「でも、和美。あんた、あたしがお弁当作ってたり、学食で食べるとか言い出したらこのお弁当どう処分するつもり
だったの?」
 なんだか照れくさくて意地悪を言ってしまう。
「……あー、んー、考えてなかった、かな」
 和美が頬を人差し指で掻きながら答える。
 あたしはその様子を見て、口元を歪めて、目を細めた。
 ―和美らしいな、なんて思ったり。ああもう、なんであたしはこんな和やかな気持ちになっちゃってるのかしら。

94:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:51:56 Jy/bcMUJ
 昨日が入学式。今日が授業の初日と来たら、まだ授業はまともに始まらない。教科ごとに先生の自己紹介
及び、授業内容の解説に半分以上の時間を取られ、あとはちょっとかじるだけ。
 知ってはいたけど、授業ごとに先生が変わるのってかなりおかしく感じる。あと、授業時間も五分だけだけど
長くなってるし。なんか肩が凝る感じ。
「勇希ちゃん、どう? 授業の感じ」
 休み時間に隣の和美が訪ねてきた。あたしは振り向かずに次の時間の教科―英語の教科書を取り出しながら
答えた。
「ちょっと慣れるまで時間かかりそうね。今から成績が心配かも」
「違和感あるよね。ほぼ一ヵ月半ごとにテストがあったりとか」
「そうよね。ところで、和美。あんたこの教科自信ある?」
 あたしは英語の教科書を両手で持って胸元で構えて見せる。
「うーん、どうだろ、やったことないからなぁ」
「あーあ、そうよねー。英語が一番心配。外来語なんて……」
「外来語って……」
 和美が苦笑する。
 だってしょうがないじゃない。苦手なんだから。日本人は日本語さえできれば良いじゃないのよぅ。

 そして、昼休み。あたしは机に突っ伏していた。結局、英語の授業は不安感を煽りに煽る内容だった。
 大丈夫かな、あたし……

95:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:53:59 Jy/bcMUJ
「勇希ちゃん、ご飯食べようよ」
 和美が椅子だけ持ってきて、緑のハンカチで包まれた弁当箱をあたしの机に置いた。はぁ、と溜息を付いて
あたしも朝に貰ったお弁当を取り出した。
「そうね、切り替えないとね…」
 青いハンカチをほどいて、フタを開けると、なかなかの数のおかずが詰め込まれていた。玉子焼き、一口だけの
スパゲティに鳥のから揚げ、あと野菜にプチトマトとレタス、お新香、で白ご飯。
「ちょっと簡単なおかずばっかりで申し訳ないんだけど」と和美。
「そんなことないわよ、色合いも良いし、美味しそうじゃない」
 まずは鳥のから揚げ。あたしは好きな物を最初に食べるタイプだ。軽い塩味と胡椒の風味に生姜の香り。
奥歯で噛むと心地よい歯ごたえが返ってきた。ご飯が進む味だ。間に野菜を食べて、スパゲティ。からめてある
ミートソースはレトルトだけど、それでも美味しい。玉子焼きは砂糖醤油の味付けで葱を混ぜた物。お新香は
和美の家の自家製で、胡瓜と茄子が一切れずつ。噛むたびにキュッキュッと音を立てる。ご飯はお弁当用に
固めに炊いてあった。
「勇希ちゃん、あとこれも」
 同じように箸を進めながら和美が小さな丸いタッパーを出した。中は蜜柑と林檎にヨーグルトをかけた物。
いちいち心遣いが嬉しい。
 全部食べ終わるのに15分もかからなかった。最後に渡されたお茶を一息に飲んで―
「ごちそうさま」
「うん」
 和美が笑顔で頷いて昼食は終了した。和美も同じくらいに食べ終わる。そのままお弁当の品評もかねて雑談
していると、いつの間にか昼休みは終わってしまった。

96:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:56:36 Jy/bcMUJ
 五時限目は…生物ね。それにしても、とあたしは思った。
 お弁当を食べてる時、何か視線を感じたけど一体何だったのかしら。

 そして、放課後は初部活。少しだけ緊張を感じながら武道館へ。道場に入ると、そこは雰囲気が違って感じた。
昔、空手をしていた時にも感じた凛とした空気。棚にズラリと並んだ防具。きらりと蛍光灯の光を反射する板の床。
その全てが特殊な雰囲気を醸し出していた。
 気付くと、周囲にはあたしや和美と同じ、制服に着られているという言葉がぴったりの一年生がいた。とりあえず、
来てみたもののどうすべきか迷っていたその時、奥の扉が無造作に開いたかと思うと、長身の女性が出て来た。
あたしたちを一瞥して女性はぶっきらぼうな口調で言った。
「おい、そこのお前ら、仮入部か見学希望の一年生か?」
 はい、そうです。と誰かが答えた。
「よしよし、良いぞ―私は剣道部顧問の秋水(あきみず)だ。よろしく頼む。見学の者は道場の、あー…」
 今秋水と名乗った先生は道場を見回した後、隅の方の空いてる部分を指差す。
「あの辺に適当に座っててくれ。仮入部の者は体操服を持ってきているだろうから、そこの更衣室で着替えて道場へ
集まってくれ」
 一年が体操服に着替えて、道場で待っていると先輩らしき人達も続々と入ってきた。やがて道場に男女合わせて
二十名以上の剣道部員が揃った。全員、袴は紺色だけど、上の胴着は男子が藍色で女子が白色だった。防具は
棚から下ろされて、床に一列に並べられ、一年生を除く全員が竹刀を持って中央に整列している。

97:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/24 23:58:40 Jy/bcMUJ
 道場入り口上部に添えつけられた時計が四時を指し示した時、前に秋水先生が立ち、よく通る声で言った。
「では、準備体操を始める! 仮入部の一年生も見よう見まねで良いから準備体操をするように。別に中央に
並ばなくても、その場で良い。それと、佐藤、準備体操が終わったらいつも通りにこなせ。私は仮入部
を指導する」
 はい、と短く女子の一人が返事をした。
 ちなみに見学をしている一年生が五人。仮入部扱いで体操服を着ているのが私と和美を合わせて三人。見学者は
道場の隅の方に正座で座り、全員が辛そうにしていた。
「まず、基本を教える。剣道の移動の基本となる、すり足だ」
 秋水先生が準備体操が終わったあたし達の前にやってきて動作を示した。
「背筋を伸ばして、少し体重をかけるように右足を前に出せ。左足は爪先を右足の踵から若干ずらして離して、
踵を少し浮かせろ。膝は少し曲げるように。で、前進は右足から動かす。後退は逆に左足からだ」
 一通り見せた後で秋水先生は私達を見た。
「何か質問はあるか?」
「はい」
 和美が手を上げた。
「何だ?」
「僕、マネージャー志望でなんですけど……」
 そういえば、そうだったわね。
「そうか。気にするな」
「……は?」

98:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/25 00:00:59 Jy/bcMUJ
「常識で考えろ。剣道の基本もロクに知らないヤツが剣道部のマネージャーなんてやったところでまともに
こなせるはずがない」
「そ、それはそうですけど」
「私はマネージャー志望であろうと、入部希望の者はとりあえず面を被る位までは基本をやってもらうことに
している。ああ、今マネージャーやってるアイツ―二年の小島と言うんだが」
 秋水先生がジャージで動いている女の人を指差した。
「アイツがそうだ。途中まで他の奴らと同じ事をやらせたが、やっぱりマネージャーが良いと言うから、
マネージャーになってもらった」
 また和美に向き直る。
「まぁ、そんなわけだ。とりあえず、基本は覚えろ。覚えてから後でどっちか決めても遅くはない、異議はあるか?」
 反論は無かった。こうして和美は暫定で剣道を本格的にすることとなった。
 和美がやりこめられたところで、ひたすらすり足の練習が始まった。道場の隅の空いてるスペースをひたすら往復。
時折おかしい所を指摘されながらもひたすらすり足。練習が終わったのは六時。ただ歩くだけ、と思っていたけど
終わってみれば足が結構疲れてる。
 一方、和美は腰を落としてへたり込んでいた。
「今更だけど、本当に体力ないわよねぇ……」
 あたしはその光景を回想しながら和美を武道館の前で待った。和美はまだ来ていない。疲れてるから時間が
かかってるのかしら。

99:防人と柱 ◆QiN.9c1Bvg
07/08/25 00:03:42 Jy/bcMUJ
 その時、肩を叩かれた。後ろを振り向くと、何かがぐにっと頬に突き刺さった。目線を頬に。……人差し指? 
そのままその人差し指の持ち主に目を向ける。
「宮間さん、やっけ? 引っ掛かかった~」
 いたずらが成功したことで嬉しそうにはしゃぐ女の子がいた。それは今日、あたしと和美と一緒に仮入部を
体験した女の子で……そうだ、思い出した。昨日、クラスの自己紹介で、かなり特徴的な喋り方をしてた―
「下園、さん?」
「お、覚えててくれたんか、嬉しいな~」
 明らかにあたしとはニュアンスというか、イントネーションの違う口調で下園さんが答えた。
「一緒のクラスの人を一緒の部活で発見したもんやからちょっとお近づきになっとこうと思ってな。
……ひょっとして怒っとる?」
「あ、いや、ううん。ちょっと突然だったからびっくりしただけで、別に」
「勇希ちゃん、お待たせ……あれ? どなた?」
 三人とも顔を見合わせる。これが、後にあたしや和美と大親友になる下園静との出会いだった。


100: ◆QiN.9c1Bvg
07/08/25 00:07:14 pl/e2VgM
以上、投下終了です。

書いてからいつも思うんですが、文を書くって難しい……
終わってみれば序盤とはいえ、今回もヤマが無い始末。
次回からは時計の針を早くまわして行きたいと思いますので、よろしくお願いします。

あと、前スレで指摘がありました、和美の長髪の件ですが、
その、書くのも下らない伏線になっております。ご指摘の分も含めまして見て頂けると幸いです。

次回もよろしくお願いします。では。

101:名無しさん@ピンキー
07/08/25 00:13:54 gjLxUkzY
早速GJ! シロクロにしろ絆と想いにしろ三人にしろ高校の話だから、初々しい感じの中学生、しかも一年生というのはいいね!

二人で仲良く弁当食っといてそれが何を意味するか分からないなんて……。

フフフ……そんな初心な勇希に萌え萌えだぜ!!

102:名無しさん@ピンキー
07/08/26 06:42:04 j32x08rA
これは百合wwwww

いやなんでもありませんwwサーセンwww

GJ!!楽しそうな学園生活だな

103:49 の前日談 1/2
07/08/28 19:08:27 mhKwCwUI

「……祥子ぉ、アンタいいかげん、その腐れ処〇膜、特別急行にでも破いてもらったらぁ~?
あ~、なんだったら、アタシの彼氏、貸すよぉ? 超鈍行だけど編成数多めで、結構デカイからぁ
アンタとぉ~、アタシとぉ~、アンタの想い人ぐらい、縦に重ねても、余裕で串刺しぃ……」

 この前の飲み会の時、隅っこで超薄っすいチューハイをちびちび舐めてた私の耳元に
酒臭い息を吹きかけながら、ちーちゃんはこっそりそう囁いてくれた。
そしていきなり咳き込んだ私を、その凶暴までに大きな胸へぎゅーーーーっと押し込めつつ
イイコイイコしてから、『んじゃ、私にもご褒美ぃ~』とか言って、私の太ももにぽすんと
顔を伏せ、そのままぐりぐりめり込ませてくる。

「ちっ、智津子ちゃん、ちょっと飲み過ぎ……。気分悪くなってない? 別室で、ちょっと休む?
 それとも、酔い覚ましのお薬買って……」
「そっかそか、祥子はそんなに『御休み所』に逝きたいのかぁ~。良ぉし良し、愛い奴じゃぁ~」

 親友がそんな事を大声で喚いても、殆どの同僚がそれ以上の乱痴気騒ぎを繰り広げていたので
幸い誰にも聞きとがめられなかったと思い込み、その時は迂闊にもホッとしてた。
しかも、ちーちゃんは『う~ん、遥か昔の懐かしき、処女の匂い~』とか言いながら、絶えず
変な刺激を与えてこようとするので、本当に始末が悪い。

 ほとんど泣きそうになりながら思わず、鉄ちゃんの姿を探すと、運良くちーちゃんの恋人の
若狭君の近くでウーロン茶を啜っていたので『お願い、こっちに気が付いて下さい』視線を
投げようとした途端、鉄ちゃんが顔を上げて、真正面から私を見た。
  
 それだけで、心臓が跳ね上がり、お腹の一番奥深い所から、熱い何かがじわっと流れ出る。
だから一瞬、鉄ちゃんの顔が、微妙に歪んだのは、自分の目の錯覚だと思った。


 べろんべろんに酔っ払っちゃったちーちゃんを、若狭君ごとタクシーに無理矢理押し込む直前
親友が私の耳元でもう一度、はっきり囁いてくれた。

「祥子~ぉ、アタシが貸してあげた『資料』で、毎日ちゃんとお勉強してま~すか~ぁ?」
「……ぅん……」
「勉強熱心で、本当にアンタは良い子だ~ぁね~」

 タクシーが街頭から少し離れた所に止っていたのが幸いして、私の顔がその瞬間、火を噴いたのは
多分ちーちゃんにしか解らなかっただろうが、声が少し震えたのは若狭君にもばれたかもしれない。
ちなみに、ちーちゃんの彼氏の若狭君は『お口とオッパイでの御奉仕』が大好きな人だそうで……。
しかも、ちーちゃんが一週間ごとに私に押し付けてくる『資料』とは、二人の隠し撮り無修正××テープ。
更に、400字詰め原稿用紙一枚以上の感想文提出まで、平気で要求してくる始末。
コレは、若狭君は絶対知らないちーちゃん個人の秘密な趣味だから、私は永遠に孤立無援だ。


104:49 の前日談 2/2
07/08/28 19:10:52 mhKwCwUI
 
 タクシーのテールランプが完全に見えなくなるまで、私はそこでしばらく深呼吸を繰り返していたら
誰かから、いきなり肩を叩かれて、本当に腰が抜けるかと思うぐらい驚いた。

「ひぃやぁぁぁ……、もがっ」
……人聞きの悪い反応はやめて貰えないかね、祥子君」

 薄い眼鏡の奥から、爬虫類みたいに何処を見ているのかよく解らない視線を光らせて『清竜鉄道一の
教育者』を自称する、菅さんが私の背後にこっそり忍び寄って来てた。

(うわ、私、この人、凄く苦手……)

 でも、鉄道会社はサービス業。
どんなに、見た目や第一印象が嫌いなタイプでも、まずはにっこり笑って、愛想良く応対しなきゃ
いけない基本精神だけは、しっかり叩き込まれてる。
特に私みたいな、ちんちくりんが持つ事の出来た武器は、満面の笑顔しかありませんでしたから。

「……えっと、何か御用でしょうか?」

 (何でこの人、私を名前で呼んだだけじゃなく、にたにた笑いながら、私の手を撫で回しているのかなぁ?)
なんて、ぼんやり思ってるあたりで、自分もかなり酔っている事に気が付かなきゃいけなかったみたいで
次の瞬間、菅さんが、私の手を強引に握り締めて、一直線に向かう先はピンク色のネオンがかなり安っぽい
ブティックホテル。

「……え? え? え?」
 
 強引に振り払おうにも、完全に力負けしてる。
しかも、菅さんは卑怯にも『鉄也くんがアソコの前で待ってるって言ってたよ』なんて口走ったので
一瞬、抵抗する力が抜けて……。
 
『げずっ!!!』

 とか、かなり痛そうな音がして、菅さんの体がぐらりと傾いた。
そのまま、誰かが自分の体を、小荷物みたいに脇に抱えて、より暗い方に即効で運搬される。
後ろで、なにか獣が大声で喚いていたけれど、目の前がぐるんぐるんして……。


  次に気が付いた時、私は鉄ちゃんの大きな背中に、ぐったりおぶさっていた。


 当然、翌日全然二日酔いなんかしてない超爽やか顔のちーちゃんが、やっと勤務が終わって
瀕死状態の私に新しいテープを押し付けるのと同時に『鉄也さんから、頼まれたんだけど~』
とか言いながら、二日酔いに苦しむ私の耳元で、延々3時間以上にわたって、惚気とお説教を
シームレスで呟き続けると言う、言葉攻めをしてくれた。

105:名無しさん@ピンキー
07/08/28 19:12:12 mhKwCwUI
>>88
 では >>78 の続き電波を受信する作業に戻ります 
 サーセンwww

106:名無しさん@ピンキー
07/08/28 22:14:53 MKiFQIh5
ぬはwwwwGJwwwww!!

祥子さんモテモテだな! 鉄ちゃん早くお仕置きしてあげないとやばいぞ!


107:名無しさん@ピンキー
07/08/29 04:11:31 Lm7s0tKI
管キメエwwwwwwwwwwwwww

こいつを拷問するSSキボンwwwwギャグ風味でもいいからさwww

>>105GJ!!

108:名無しさん@ピンキー
07/08/29 08:25:08 AVC26q/Y
>>105
アンカーのったら自分のレス表示されて吹いたwwww
俺キメエwww恥ずかしいww

わっふるわっふる

109:名無しさん@ピンキー
07/09/01 05:19:53 xGctEgS9


110:105
07/09/01 13:03:17 9t8FUvOv
10レスほどお借りします

111:祥子と鉄也 1/10
07/09/01 13:04:59 9t8FUvOv

私より2つ年上の、とても気の良い、鉄道が大好きな幼馴染は、ずっと『私のヒーロー』だった。

   田植え前、きれいに代かきされた田んぼの深い泥に足を取られて、全然動けなくなった時も
   七夕お泊り会の深夜、怖い話を聞きすぎて、一人で真っ暗なおトイレにいけなくなった時も
   ドングリ拾いの帰り道、崖の高い所に咲いている竜胆の花が、どうしても欲しくなった時も
   大雪の翌朝、融雪路の雪捨て場にうず高く積もった雪を踏み抜いて、危うく流されかけた時も

 何時でも鉄ちゃんは、莫迦な私をちゃんと助けてくれて、拙い言葉で背一杯感謝の気持ちを伝えると
『さっちゃんは、面白いからほっとけない』とか言って、私のお下げを2、3度引っ張るのが癖だった。

 本当の事を言うと、幼かった時の私にはイマイチ良く解らなかった旧国鉄車両の微妙な差異をいかにも
楽しそうに滔々と熱く語るその内容よりも、きらきらと目を光らせてる真剣な顔にずっと見とれていた。

 だけど、小学校高学年頃から、何故か前みたいに気安く『さっちゃん』ではなく、他人行儀な『祥子さん』
なんて呼ばれ始めてしまった事に少し寂しさも感じたが、鉄ちゃんは中学校で剣道部に入ったあたりから
初夏のイタドリみたいにぐんぐん背が伸びて、声が低くなり、体つきもすごくがっしりして、あっという間に
男の子から男の人になっていったので、それも仕方が無い事なのかなぁ……と思って我慢した。

 一方の私は、鉄ちゃんのお家にも『お赤飯のおすそ分け』をした頃から、背が全然伸びなくなって
胸に付いた以上に腰や太ももに重たく余計な肉がどんどん集まって、ひどくみっともない体になっていた。

 それでも、『清竜鉄道同好会』は、ずーっと鉄ちゃんと私と結局本当にいたのか最後まで良く解らない
何名かの幽霊部員とで、二人がご近所さんだった小・中・高校の12年間は、なんとか細々続けてこられて。

  だから、私が、鉄ちゃんの隣に永遠に居ても良いんだと、一人で勝手に思い込んでしまった。

 勘違いにやっと気が付いたのは、鉄ちゃんが遠くの大学から始めて帰省してきた高二の夏の暑い日。
鉄ちゃんの隣の洒落た日傘の影では、背がすらっと高くて、胸が大きくて、とても垢抜けた、綺麗な都会の
女の人が凄く楽しそうによく通る高い声で、絶えず笑ってた。


112:祥子と鉄也 2/10
07/09/01 13:06:16 9t8FUvOv

井戸でよく冷やした西瓜に麦わら帽子を被せ、鉄ちゃん家の軒先に黙って置き去りにして、一人でまとめた
『清竜鉄道同好会』のレポート抱えて西日に照らされながら、とぼとぼ自分の家へ逃げ帰り、深夜お風呂の中で
12年間以上何にも言わなかった自分の大莫迦さ加減を噛締めながら、生まれて始めて本気で泣いた。

 一年目と二年目は同じ人で、三年目と四年目はそれぞれ違う人。
夏になる度に、背が高くて、胸が大きくて、赤いバラみたいな雰囲気が共通している女の人を連れて
帰ってくる鉄ちゃんと、絶対鉢合わせしたくない一心で、私は毎年一週間決まって酷い夏風邪を患う。

 そして、枕元には毎年律儀に、都会の鉄道会社の期間限定グッズ(主に食べ物)が、届けられた。
玄関先で、お母さんが鉄ちゃんに色々と上手く謝ってくれてる声を布団の中で必死に耳をそばだてて聞き
その後必ずタヌキ寝入りをして、最後にはお母さんからも酷く怒られてしまったけれど……。

 地元の短大を卒業後、保母さんになるつもりだったのに、鉄ちゃんが『清竜鉄道』に入社するらしいと
聞いて、駄目元で試験を受けたら『清竜鉄道同好会』のレポートが功を奏したのか見事、補欠合格。
総合職として採用予定だった大学卒の女の人が、入社直前に寿辞職して、本当に同僚になってしまった。

  鉄ちゃんの邪魔にならない程度の距離から、こっそり見ているだけで、十分だったハズなのに。

 学習能力の無い莫迦な私は、又同じ過ちを犯してしまった。


113:祥子と鉄也 3/10
07/09/01 13:08:01 9t8FUvOv

「おい、祥子」

 ともすれば、後悔やら罪悪感やらで見っともなく震え出してしまう声を、極めて短い語彙の
命令口調でなんとか取り繕ろう事にして、俺は意地の悪いニヤニヤ笑いを貼り付けた顔のまま
俺の戒めから必死で逃げ出そうと無駄な努力を続けている、哀れで愛しい幼馴染を見下ろした。

「聞いてんのか、痴女」
 
 ぎゅっと固く閉じられた瞼からはとめどない煌めきが流れ落ち、泣き声を漏らぬように
強く引き結ばれた薄赤い口元は、俺からの許しの接吻を乞うかのように、わなないている。
力の入らない両手で、弱々しく俺を押し退けようとしているが、どうやら腰が抜けたようで
女の子座りの格好で力無く投げ出されている両足は、青い血管が浮き出して見えるほど白く
むっちりとした太ももが時折ひくひく痙攣するだけで、少しも動かせていない。

「……いっ……ゃ……ぁぁぁ」
「い・や?」

 ぐらぐらと頼りなく、それでもなお小刻みにいやいやと振られ続ける細い顎を掴んだままの手に
ゆっくりと力を込め、吊り下げるようにして無理矢理立たせると、彼女は小さな悲鳴を上げた。
それを態々、猫なで声で繰り返してから、そのまま小さな桜色の耳たぶを咥えて舐めしゃぶり
一気に耳の穴へ舌を突っ込んで掻き回してやると、面白いぐらいに体が跳ねて、又くたりと崩れた。

「ははっ、祥子ぉ。……イッた?」 
「……あ、あっ……、いやぁっっっ、ごめんなさい、ごめんなさい、鉄也さんっ
見ないで、私を、もう、見ないで……ぇ、下さぁぃ、おっ……、お願いーっ!!!」


114:祥子と鉄也 4/10
07/09/01 13:09:03 9t8FUvOv

一度苦しげにひゅぅっと息を呑んだ後、祥子は唯一自由になる両手で己の耳を塞ぎながら、そう喚く。

(本当ならそれは、こっちの台詞なんだけどな、祥子。
 ……あぁ、でも、今ココで辞めてしまったら『お仕置き』にはならねーんだよ)

 心を鬼にして、二人を隔てているその華奢な手を、指が砕けんばかりの勢いで握り締めて
引き剥がし、頭を垂れ身も世もなく泣き続ける彼女に向けて厳かに、魔法の言葉を告げてやる。

……コレは『お仕置き』だよ、祥子。イケナイ体と心に対する、正当な『お・仕・置・き』」
 
 ほどなくすすり泣きが止み、わずかな沈黙の後、ゆっくりと俺を見上げて来た幼馴染の顔には
最早、ある一線を踏み越えてしまい、ほとんどの意識を放棄した、白痴の笑みしか浮かんでいない。
……もっともそれを見た瞬間から、俺の根性無しな下半身様は持ち主の自制心を完全に殴り倒し
一刻も早くこの窮屈な場所から開放しろと、暴力的なまでの快感で全身を乗っ取りに来やがったが。

 出来る事ならもう少し、祥子と遊んでいたかったけど、意志薄弱なこの身では、もう無理だ。
愉悦にのみ支配され、頭のネジを完全にすっ飛ばしたまま『お仕置き』と言う言葉を何度も
嬉しそうにぶつぶつ繰り返す幼馴染の心を取り戻し、二度と俺なんかには届かない遥かに遠く
安全な所に、しっかりと据えてやらなきゃいけない。

 これで『お終い』にするための覚悟を固め、祥子をそっと抱き寄せると、彼女はこれから
自分がどんな目に合わされるのかまったく解らぬがゆえの無邪気さで、俺に擦り寄ってきた。


……俺からの最後の口付けは、わざと小鳥がついばむ様な軽いものにした……。


115:祥子と鉄也 5/10
07/09/01 13:10:09 9t8FUvOv

今時の幼稚園児でも、もうちょっとマシな技を持ってるぞ? とか、突っ込まれそうなほど
無愛想なキスを一度だけ、幼馴染と交わす。
今や、その程度の刺激では物足りなくなってた祥子は一瞬、不思議そうな表情で俺の顔を
覗き込んでくるが、あえてソレに気が付かない振りをして。
 だが、それにめげる事無い彼女は、俺を簡易寝台の上に押し倒し、自分から積極的に舌を
使って、少し前にうっかり教え込んでしまった以上の技で、俺の口内を遠慮会釈無しに犯してくる。
 しかも、今回は俺の胸にわざとらしく、下着越しでも十分柔らかい胸を、絶えず押し付ける
という、とんでもない特典付きでだ。
 
(本当、コイツって、昔っから無駄な所で、器用なんだよなぁ……)

 体中が感じている感覚とは全然関係無い事を必死で考えていないと、あっと言う間に総てを
持って行かれそうな快感を、握り締めた拳の内側に爪を立てると言う恐ろしくしょぼい方法で
なんとか押さえ込む。
……案の定、大莫迦野郎な俺の下半身様には、なんの効果が無かったが。
 まぁそれも、東海道本線の駅名をオサコヘから逆に、何回か行きつ戻りつしながらもシツヘンあたり
まで唱えた辺りで、いきなり口の中に広がった塩辛い錆味のおかげで、あっさり中断させられる。
 
「……なんで、なんにもしてくれないの、鉄ちゃん!!!」

 形良い薄赤の口元から、それ以上に赤い血をつぅっと一筋垂らしながら、祥子が叫ぶ。
この器用だか不器用だか良く判らない幼馴染が、俺の気を引くために、俺のではなく
自分の唇を態と噛み切りやがった事に、やっと気が付いたが、ぐっと我慢して無表情で言い返す。

「『机』は一々、反応しない」

 ざざぁっという派手な音が聞こえそうな勢いで、又、真っ赤な顔が一瞬で真っ青になった。

「『机』は一切、喋らない」

 つい先ほど踏み越えた一線の向こう側から、リニア並の速度で引っ返してきたようで
泣き出すよりも前にこわばった表情が、どんどん険しくなっていく。

「『机』相手に欲情なんかするな、変態」


116:祥子と鉄也 6/10
07/09/01 13:11:22 9t8FUvOv

祥子の体を押し退けながら心底嫌そうに吐き捨てて、簡易寝台と俺の体の間で皺だらけになった
彼女の制服を次々引っ張り出し、手荒く投げつける。
 
「……さっさと、着ろ。歩いて帰るつもりか?」

 絶対、祥子の方を見ないように(帰ったら、まず『配置転換願』か『退職届』だよなぁ……)
なんて事を、天井あたりを半眼で見上げながら、ぼんやり考えていたために一瞬、反応が遅れた。
 腰の辺りでカチャカチャという音がして、いきなりズボンを下ろされる。

「……ソコデ、ナニヲ、シテイラッシャルノディスカ、祥子サン?」
「『机』は喋らないっ!!!」

 どこかで見た覚えの有る表情の幼馴染が、上目使いで睨みつけながら、俺の下着に手をかけてきた。
ソレは間違いなく『スイッチ』が入ってしまった時の顔で、俺がこれまでそれに勝てた事は一度も無い。

「ちょっと待て、祥子!!!」
「私専用の、大切な『机』に、変な釘が、出っぱってるので、これから、修理、しますっ!!!」
「……なんだ、それはーっ!!!」
「『机』は一々、反応しないっ!!!」

 抵抗虚しく、一気に全部降ろされたのとほぼ同時に後退る俺の足がもつれて、二人とも床に尻餅をつく。
結果、男のO字開脚の真ん中で屹立している俺の下半身様の超至近距離で、祥子が固まってしまった。
その顔は、みるみるうちに真っ赤っ赤になって……。

「……う、動くなよ、祥子、絶っっ対動くな……、っ!!!」

 かつて『スイッチ』が入っちゃってる状態の祥子に、俺が何か提案をして、それをそのまま
すんなり聞き入れて貰った事も、決して無かったのを完全に忘れてる辺りがもぅ、てんぱり過ぎ。
そんな追い詰められた状態でも、彼女の荒く熱い吐息を感じ、おずおずと伸びてきた細い指がそっと
やさしく添えられる……、只それだけで、俺の根性無しな下半身様はよりいっそう大きく反り返った。

「……すごい……、熱くて……どきどきしてる……」

 膝を大きく開いた女の子座りのまま、にじり寄ってきた祥子は、とろんとした瞳でうっとりと
呟きながら、凶暴さを増していく俺の下半身様に、冷たくなめらかな指先で絶えず刺激を与えてくる。
 一方の俺はと言うと、そんな祥子の両膝の間のショーツのクロッチ部分が、いまやなんの役にも
立たないくらいぐちゃぐちゃに濡れて喰いこみ、布越しに透けて見える茂みの奥に有るモノの形すら
はっきり判ってしまう光景から完全に目が離せなくなった自分の浅ましさに、一層追い詰められていた。


117:祥子と鉄也 7/10
07/09/01 13:12:35 9t8FUvOv

……あれは、俺が一方的に気恥ずかしさなんて小賢しいものを覚えて、気軽に『さっちゃん』と
呼べなくなり、なんとなく祥子との間に距離を置き始めた時より、ほんの少し前。
 最後に二人っきりで、俺の家のお風呂に入った時にも何故か『スイッチ』が入ってしまった祥子は
恐ろしいまでの天真爛漫さを炸裂させて、俺の股間にあるコレを『私に無いのは、不公平!!!』とか
訳解らん屁理屈こねて散々いじくりまわし、結局コレは取り外しや付け替えが出来ないモノなのだと
十分納得してからやっと開放してくれたという微笑ましい思ひ出も……。

(……あれ? なんかその時、とんでもない『約束』を、させられたような覚えが……)

 目の前の現実から一瞬でも逃避したい俺の甘酸っぱい昔話……なんぞ全然お構いなしに、生身の祥子の
拙い指使いは、自分が空想の中で御奉仕させていた性奴隷の時とは全然違って、素人丸出しな所作のため
早く往かせるためのテクニックとか男を喜ばせるツボもへったくれもない、ぎこちなさ満開なのだが……。
 
「……あ、なにか……出てきた……」

 自分の指先を濡らす、俺の先走り汁の感触をしばらく面白そうに確かめていた祥子は、その
にちゃにちゃで汚された指を一瞬もためらう事無く、自分の口の中に突っ込んだ。

「……ん、ちょっと苦……しょっぱい?」
 
 ぺちゃぺちゃと言うイヤラシイ音を立てながら、細く白いその指をゆっくりなめまわすという
痴態を丁寧に見せ付けた後、俺の下半身に再び覆いかぶさる直前に、記憶力も良い俺の幼馴染は
にっこり笑いながら、言う。

「コレ、私が好きな時に好きなようにして良いって『約束』だったよね、鉄ちゃん!!!」

(やっぱり、覚えていやがったーっ!!!)

 薄赤い口元は、ピンク色の小さな舌をちろりと覗かせて、俺の頂上にゆっくりとキスをした。


118:祥子と鉄也 8/10
07/09/01 13:14:01 9t8FUvOv

ずいぶん小さい頃に、さんざん見せっこや触りあいした時と比べて、随分グロ……じゃなくて
凄く逞しくなってた鉄ちゃんのアレには正直、一瞬驚いた。
 だけど、ちーちゃんの『資料』のお陰でその後の私は、初めてにしては、割と上手く行動出来たと思う。
  
 しかも、ちーちゃんは『良いかぁ~、祥子~ぉ。まず、最初が肝心だぁ~。 相手の反応を確認後
速やかに、対処~っ!』とか言いつつ、自慢の『資料』をがんがん見せ付けながら、必ず最後には
涙目になってる私の口内に、ミルクアイスバーやソフトクリームを遠慮会釈無しにねじ込むという
『特訓』を何度も何度も施してくれた。
 その、美味しいんだけど結構辛かった練習を無駄にしない為にも私は、鉄ちゃんの顔をちらちら
盗み見ながら、どこをどうすれば一番気持ち良くなってくれるのか、体当たりで調べ始めた。

 溜めた唾を少しずつ少しずつ舌をつたわせて、熱い塊に注いでから、優しく丁寧に舐め上げる。
亀頭から雁首には細かく舌を這わせて、裏筋あたりはゆるゆる舐め上げ、根元の方はくすぐる様に。
時々、鈴口をちょんちょんと舌の先でつっつく事も、勿論忘れてない。
暑い日の犬みたいにハァハァ息を弾ませて、私の唾液と鉄ちゃんのお汁でどろどろになっても
熱さを失わず、そそり立つモノに頬をすりつけると、それだけで頭の中がビリビリ痺れた。
 
 ……なんだか、この辺りから無意識に、鉄ちゃんを気持ち良くさせる方法より、自分の方が
気持ち良くなれる事を、どんどん追求し始めてたような気がするけれど。
それ以上に、鉄ちゃんの切なそうにしかめられる顔や短く息を呑む声が、私を深く酔わせていった。
だから、『じゅぶじゅぼ』と、はしたなく響く水音も、『ふぁぁん、ふぅ、んふ』と鼻に抜ける嬌声も
どこか遠くの方から聞こえてきた『祥子、咥えてくれ』というお願いも、全部私の心が発したモノ。

 出来るだけ大きく口を開けゆっくりと、頂上から麓へと何処まで行けるのか、慎重に飲み込んでみる。
絶対、歯を当てないように、そして舌を全体的に絡め這わせながら、喉の一番深い底まで、誘い込む。
亀頭がこつっと当たった時、思わず咳き込みそうになったけど我慢して、今度は逆の方向へと唾液を
まぶしながらゆるゆると送り出して一転、リズム良く強めに唇でしごく。

119:祥子と鉄也 9/10
07/09/01 13:15:19 9t8FUvOv

急にブラが乱暴に引っ張り上げられ、私のあんまり大きくないオッパイが、ふるんと飛び出した。
 なんだか、少し怒ってるような顔の鉄ちゃんがつっと手を伸ばして来て、太く長い指で背一杯優しく
強く、私のはしたないくらい固く立ち上がっていた乳首を、つまんで捻り上げ、弾きながら転がす。
 すると、そこからきゅんきゅん甘い痺れが立ち起こって、お腹の一番奥深い所に絶え間なく流れ込み
私の中から、どんどんイヤラシイ滴りがあふれ出て、床にオモラシしたような水溜りを作っていく。
   
   
  鉄ちゃん、コレ、私の、モノ、だよね? 
  私、だけの、モノ、だよね?
  もうすぐ、身も、心も、蕩け堕ちる。
  だから、私を、繋ぎ留めて。
  世界中の、誰よりも、大好きな、鉄ちゃん。
  一刻も、早く、私で、気持ち、良く、なって、下さい。
  私の、魂に、鉄ちゃんを、しっかり、刻み込んで、下さい。
  どうぞ、莫迦な、私に、お仕置きを……。
   
  
 口内に収まりきらない熱い塊から直に流れ出る、総てを焼き尽くす媚薬を一滴も漏らさぬよう
私は、小さな子供みたいに良く回らない舌で、ちゅばちゅぶと一層強く吸いたてた。

 瞬間、訳の解らぬ咆哮が、私の名前を繰り返し、がっしりとごつい大きな手が、私の頭をわしづかみ
ながら引き上げて、欲望をその爆発へ向けて滅多矢鱈に突き入れてきた。
思わず、悲鳴を上げて激しく身悶えしたけれど、本当は嬉しくて堪らずに、体が勝手に動いただけ。
何度も何度も、重く粘つくご褒美を流し込まれ、全部飲んでしまいたかったのに、量が多くて間に合わない。
  
 やがて、私の喉の奥底からずるりと、白い粘液が絡みついたままの熱い塊が引きずり出されて……。

(……私の、机……、ちゃんと、綺麗に……)
 
 舌で舐め取ろうとしてみたけれど、何故か口の中からどろどろと青臭い白濁液が次々溢れ出して
更に酷く汚してしまい、私はそのまま、気を失った。


120:祥子と鉄也 10/10
07/09/01 13:17:01 9t8FUvOv

糸が切れた操り人形のようにくたくたと、床に崩れ落ちる体を抱きとめると、祥子はすごく嬉しそうに
微笑みながら、ゆっくり目を閉じた。
 途端に重みが増した体を、簡易寝台にそっと横たえて、こびり付いたままの俺の残滓を拭き取ろう
と口元に当てられた指を無意識のまま、しゃぶり始める。
 その時始めて、屋根を叩く強い雨音に気がついて、内ポケットの携帯を取りだそうとしたら上着の
裾が、強く握り締められていた。
 上着を脱ぐため、未練たらたらで祥子の口内からゆっくり指を引き抜くと『……嫌だぁ……
鉄ちゃん……、もっとぉ……』との御達。

(……流石に、意識の無いヤツを襲うのは、趣旨に反するんだよなぁ……)

 とりあえず、脱いだ上着を彼女に掛けて、そのまま枕元に座り込み、しばし規則正しい寝息を
堪能してから、送信。

  To.MAP 【件名】明日レチ、ウヤ
    本文:オマエと連結中ウテシの最新属性は『緊縛』
 
 携帯画面をぼけーっと見つめながら、左薬指のサイズ とか、祥子の父親は昔から結構腕っ節が
強かった事 とかを、つらつら考えてるだけで胸の奥底がどんどん暖かくなってきた。
 お、早速返信が……。
  
  To.金失 【件名】ヌキ&車交、セチ 
    本文:4P、スワップ、NTRに興味有?

 脊髄反射的速度で

  To.MAP 【件名】市ね!!! 
    本文:今後ともレチ教育ヨロ

 と叩き返し、祥子が次に覚めた時、必ず目の前に居るために腕枕添い寝してやって
まずは最初に『俺もさっちゃんが世界で一番大好きだ』って、しっかり教え込まねーと……
なんて思いながら、幸せな眠りに付いた。


 ……あぁ、これで翌朝、超鈍行とオッパイ性人が、人の枕元でやらかしていた手鎖プレイの嬌声で
強引に起床させられなきゃ、本当に最高だったんだけどな!!!


121:105
07/09/01 13:18:09 9t8FUvOv
以上です

最後に
健次と理菜 の中の人
>>48 の中の人
>>53 の中の人
 本当にごめんなさいorz

>>107
 管の属性は『つるぺた、言葉攻め、足こき』なんだけど
 ソレを出来る拷問役は、某ツンツンお嬢しか自分のストックに無いため、㍉

122:名無しさん@ピンキー
07/09/01 19:14:47 KhnfYv4K
うはGJ!! 祥子健気だなぁ。次は是非本番の方をよろしく!!

あ、あと、最後のメールに出て来た単語の意味も教えてもらえると有難い。レチとかウヤとセチとか。鉄道用語なんだろうけど……。



123:名無しさん@ピンキー
07/09/02 01:13:16 0lYYH+/h
GJ!

>>122
それぞれ鉄道用語で、レチは車掌、ウヤは運休、ウテシは運転士のこと。

・・・セチって何?

124:名無しさん@ピンキー
07/09/02 06:52:26 WsamF+Fa
ヌキは、当該列車を運行順序の枠組みから抜く事
セチは、承知
この2つ(+レチ、ウヤ、ウテシ)は鉄道用電報略号より

車交は、車両交換の略語

125:名無しさん@ピンキー
07/09/03 20:33:47 9D7RUt0r
最近絆こないな・・・投下きてくれ。
いそがしのかな?


126:名無しさん@ピンキー
07/09/03 22:29:38 6X6RfMl/
関連スレが 新スレになってます、よろしくお願いします o(_ _)o

いもうと大好きスレッド! Part4
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お姉さん大好き PART5
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気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第8章
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127: ◆RFJeoF38Ko
07/09/04 18:35:50 TjBUT8k8
1.
私は震えていた。
布団の中で、ずっと震えていた。
泣いていたかもしれない。

夜。
私は押し寄せる後悔と恥ずかしさに、悶えるような思いで一杯だった。
なんてことしちゃったんだろう。
私は、なんてことを。

冷静に戻ってみれば、頭がおかしくなったとしか思えない。
裕輔に、あんなこと言うなんて。
あんな格好で裕輔の部屋で待っていたなんて。
誰がどう見たって、あれは私が……。

誘っていたとしか、見えない。

そんなつもりがなかったなんて言ったって、信じてくれないだろう。
それに私には、もうあのときの話を裕輔の前で蒸し返す勇気も無かった。
きっと、裕輔は軽蔑したに違いない。
もちろん、私たちはキスをしあうような仲だった。
たまにふざけて唇以外の場所にキスもした。
首筋とか、耳たぶとか。
それに抱き合ったときに、普通なら触らないような場所に触れちゃうこともあった。
私の手が裕輔のおなかを撫でたり。
裕輔が私の後ろに回した手が、私のお尻に触れたり。

でもそれは、いいわけが出来た。
多分私たち二人とも、心の中でいいわけしながらこんな関係を続けていた。
「これはいとこ同士のおふざけだ」って。
実際、私たちは決してキス以上のことをしなかったし、そんなそぶりも見せなかった。

いや。
いいわけしていたのは私だけだったんだ。
裕輔は、ずっとおふざけのつもりだった。
私だけが、「おふざけ以上」のことを望んでいた。
一人で興奮して一人で盛り上がって……一人で勝手に裕輔のことを「恋人」だと思ってた。
だけど、裕輔にとって私はやっぱりいとこに過ぎなかった。

私がスカートを捲り上げ、下着をずらし、自分の手で自分を弄りながら彼を待っていた時。
裕輔は一瞬目をそむけた。
そしてそれ以後、私の方を決してみることは無かった。
長い沈黙が流れた。
私はだんだん、心が冷えていくのを感じた。
私はとんでもないことをしてしまったって。

「なっちゃん」
裕輔の声に、私はついに我に返った。
「僕、出てるから、ちゃんと服を直しなさい。お母さんもうすぐ帰ってくる」
そう言って裕輔は部屋を出て行った。
私は一人、裕輔の部屋に残された。
下着をはきなおし、乱れたスカートを直すとき、私は知らず知らず泣いていた。
恥ずかしくて。惨めで。
涙がこぼれて仕方なかった。
自慰に使った裕輔のジャケットを壁にかけるときなんて、死んでしまいたいぐらいだった。
私はそっと部屋を出ると、入れ替わるように裕輔さんが部屋に入った。
後ろで戸が閉まる音がして、それは夕食まで開くことは無かった。
謝ろうと思った勇気は、戸が閉まる音で打ち砕かれた。


128:那智子の話・第六話 2/13 ◆ZdWKipF7MI
07/09/04 18:36:34 TjBUT8k8

私と裕輔は、目を合わせようともしなかった。
お母さんもお父さんも不思議がり、「喧嘩したの?」と聞いた。
喧嘩の方がよっぽどマシだったと思う。
私は勝手に暴走して、裕輔との一線を無理やり飛び越えようとした。
裕輔は戸惑い、自分の心の扉を閉めた。
もう、二度と私たちは仲のいいいとこ同士には戻れない。
キスも出来ない。手も握れない。
目を合わせて微笑みあうこともない。

いつかは二人の様子がおかしいことに両親も気づくだろう。
その時裕輔はたぶん秘密を守ってくれる。
でも。
それを機会に裕輔は私から遠ざかろうとするかもしれない。
家を出て下宿するなり、学校の寮に入るなり。
私はそれを考えると胸が痛んだ。
こんな状況を招いた自分のバカさ加減に腹が立った。
もし神様がいるなら、今朝まで時間を巻き戻して欲しい。
布団の中で体をぎゅっと丸くしながら、私はどれくらい真剣にそう願っただろう。
でも、神様はいないし、ドラえもんもタイムマシンも現れなかった。

こんな辛いときこそ、裕輔に抱きしめて欲しかった。
そして、頭を撫でて欲しかった。
対等な関係でなくたっていい。
子ども扱いでもいい。私は裕輔に甘えていたい。
「裕輔―さん」
でも、私はどう頑張っても、彼の顔をはっきりと思い出せない。
だんだん記憶がぼやけて、裕輔の顔が頭の中から消えていく。
そんな錯覚に、私は怖くなった。

「ゆう……すけ……」
でも、私の部屋の中には、答える声も、支えてくれる腕も、何も無かった。
何も。




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