キモ姉&キモウト小説を書こう!Part4at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part4 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@ピンキー
07/08/28 18:00:46 uFkVsG9W
以上です。

351:名無しさん@ピンキー
07/08/28 19:40:23 HhER4Go6
一人電車の中でニヤケてしまって周りから変な眼で見られてしまったではないか!
罰としてもっともっとキモ姉を書くのだ!


まぁそれはともかくGJ!!!

352:名無しさん@ピンキー
07/08/28 19:44:23 Dtw4rNKc
ヤラレチャッタwww

GJです!

353:名無しさん@ピンキー
07/08/28 21:24:52 kETlhMGn
亜紀ねええっちぃな!
これぞエロキモ姉。
次も期待して待ってます。

354:名無しさん@ピンキー
07/08/28 23:40:23 7XLbuSiC
GJ!亜紀姉は相変わらず可愛いな
土日が仕事で潰れても頑張れるのはキモ姉のおかげだ
  

355:名無しさん@ピンキー
07/08/29 00:38:21 /WrOVNXp
GJ!!
悪意がないだけに天然姉には手がつけられませんなw
それにしても薫にも惹かれてしまった俺はこのスレでは異端なのだろうか?

356:名無しさん@ピンキー
07/08/29 00:45:51 yI3DtdcB
>>355
悪意が…無い?
俺、亜紀姉からものっそい黒いオーラ感じたぞ?

357:名無しさん@ピンキー
07/08/29 03:51:57 Lm7s0tKI
>>350おれの姉になってください。そして監禁してください。
GJ!!!

>>356お前も感じたのか・・・

やはり亜紀姉は

358:名無しさん@ピンキー
07/08/29 08:01:48 V6aj5Ukh
亜紀姉の鍍金が剥がれた時が怖いな……

359:名無しさん@ピンキー
07/08/29 09:19:09 DZJvb9YD
亜紀姉「ずっとお姉ちゃんのターン!」

360:名無しさん@ピンキー
07/08/29 12:20:19 JI2aLzm+
そろそろ究極のキモウトも見てみたくなったズェ!

361:名無しさん@ピンキー
07/08/29 12:29:28 0tuCPxH0
職人様はまだかっ!

362:名無しさん@ピンキー
07/08/29 13:51:14 o5ZzFKjS
>>336>>338
待て!!それは罠だ!!
336「相談ってnうわなにをするしぇhぇ」
338「姉ちゃん何のyあwrg;wsgんうぇ」

遅かったか(´・ω・)

363:名無しさん@ピンキー
07/08/29 16:36:35 xmZfwPMM
>>362
最近このスレの人口が減ってるなぁと思ってたんだが、それが原因か。

よし、ちょっとお姉ちゃんに相談してくる!!

364:名無しさん@ピンキー
07/08/29 18:15:56 o5ZzFKjS
そう言ったまま、>>363の姉ちゃんの部屋と思われるところに入ったまま二度と姿を見せなかった。

365:名無しさん@ピンキー
07/08/30 03:10:22 OTgNUmGe
―3ヵ月後、我々が姉の部屋を訪ねると、そこには元気に監禁された>>364の姿が
「あの時はさすがに死ぬかと思いました。もう二度とお姉ちゃんに相談なんてしませんよ。」

366:名無しさん@ピンキー
07/08/30 05:19:33 AbRc0aju
そして部屋を訪れた我々は口封じに我々は皆殺しにされようとしていた・・・・

「ここは俺が食い止める!お前達は早くキモ姉妹スレに逃げるんだ!」
「無茶な!弟関係の時のリアルキモ姉の戦闘力は50億!!!
我々の10億倍だぞ!」
「ああ・・・多分俺は死ぬ・・・だが一つだけ希望がある。
それは・・・このスレのキモ姉妹パワーが50億を越えることだ・・・
だから・・・お前達にそれを任せたい。

信じてる・・・ぜ?」

「・・・分かった。だが一つだけ言わせろ!」

「・・・何だ?」


「保守」

367:名無しさん@ピンキー
07/08/30 13:13:26 Zt1mbOvb
何だこの神スレは。
最高じゃねえか。

368:364
07/08/30 14:02:23 cXWPEwfL
>>365
>>384じゃなくて>>383じゃね?

369:名無しさん@ピンキー
07/08/30 14:02:57 cXWPEwfL
ミスった。
>>364じゃなくて>>363じゃね?だった

370:名無しさん@ピンキー
07/08/30 14:10:28 xzAS6pcD
>>369
そんなドジやっちゃう弟くんにはお姉ちゃんからたっぷりおしおきし・た・げ・る♪

夜にでもお姉ちゃんの部屋においで?待ってるからさ

371:名無しさん@ピンキー
07/08/30 16:30:01 44aMdsq6
>>370
そんなことより姉ちゃん!俺クラスの女の子からラブレター貰ったんだ!

372:名無しさん@ピンキー
07/08/30 16:32:25 HTHGUXAy
この手の流れが面白くないのが玉に瑕だな

373:名無しさん@ピンキー
07/08/30 17:09:35 850L4Ay9
やってる本人は楽しいんだろうけどな

374:名無しさん@ピンキー
07/08/30 17:09:40 gDfKaPT3
玉ってほどのスレじゃないだろ

375:名無しさん@ピンキー
07/08/30 17:35:37 ilOdh/3d
空気悪くなるから無視しとけよ……。

376:名無しさん@ピンキー
07/08/30 20:09:58 s9u1Ymbn
まあ、まったり投下でも待とうよ

377:名無しさん@ピンキー
07/08/30 21:45:47 urE/fhOF
次はどの職人様が来てくれるのかね。俺の予想は…そろそろ無形氏が後臨してくるんじゃないかと思ってるが、どうだ?

378:名無しさん@ピンキー
07/08/30 21:46:51 aaGHgupr
ほす

379:名無しさん@ピンキー
07/08/30 23:59:33 QHZXFmGq
URLリンク(akiba.kakaku.com)

380:名無しさん@ピンキー
07/08/31 00:54:56 eWldpsDr
>>379
なんかこのシリーズって節操ないから嫌い。
とりあえずブーム?に乗っておくかって魂胆がみえみえじゃん。

381:名無しさん@ピンキー
07/08/31 12:09:35 h3RrApNc
眼鏡&ストーカーなキモウトってのも見てみたい今日この頃

382:名無しさん@ピンキー
07/08/31 12:12:30 mVPPo2FL
うわー、朝倉涼子はねーだろ

383:名無しさん@ピンキー
07/08/31 12:41:12 6Mb5RkFS
ヤンデレじゃなくてただ単に狂気持ちだとか病んでるだけでデレないやつ載ってるな
言葉の意味わかってないだろw

384:名無しさん@ピンキー
07/08/31 15:22:18 EiUbbMty
そろそろヤンデレスレに統合してもいいと思うんだけど、どうだろう

385:名無しさん@ピンキー
07/08/31 15:46:14 c0OIsrsO
ここのSSの姉や妹は男兄弟が異常に好きなだけで
ヤンデレってほど狂ってないのも多いからなあ

姉スレや妹スレとの重なり具合も微妙ではあるんだが
たとえば姉と妹がセットで出てくる作品はここが相応しいし
かといって姉スレ妹スレの双方までまきこんで「姉妹スレ」みたいな
大統合をしようといっても、姉と妹がそれぞれ一大ジャンルだから
難しかろうかと

いろいろ批判はあるんだろうけど、シチュスレ同士の多少のオーバーラップは
しかたがないかと

386:名無しさん@ピンキー
07/08/31 15:52:53 94s/m4x7
ヤンデレ、嫉妬、キモ姉&キモウト
スレはとんでもない勢力図になっているように思える



387:名無しさん@ピンキー
07/08/31 16:06:50 gbY0oXx7
今の神職人の方々を見るとこのスレは成功してると思うんだけど…

388:名無しさん@ピンキー
07/08/31 16:13:53 94s/m4x7
俺もいつかはキモ姉&キモウトスレに投稿したいが
嫉妬スレの作品が終わらないw

389:名無しさん@ピンキー
07/08/31 16:15:05 +5aNtRLX
向こうにもキモ姉妹ものって投下されてんのか?

390:名無しさん@ピンキー
07/08/31 16:31:05 eJ1/mkMn
何作かはあったと思われ

>>387の言うとおりここの神職人を見たら成功の気がするけどね。まぁ、どの作品が神かとか言っちゃうともめそうだから言わないけど

391:名無しさん@ピンキー
07/08/31 16:37:57 HK0k/x6M
なんどめだナウシカ
なんどめだこの話題

392:名無しさん@ピンキー
07/08/31 17:16:32 gGwAh4Er
双璧の朝倉はヤンデレだったなー

393:名無しさん@ピンキー
07/08/31 17:17:29 OMRAt+ax
ヤンデレとの統合の話も出てるのか……。

実は、娘の小説でも書こうかスレでは、
キモ姉妹に組み込んでキモ近親者スレにしてくれという要望が出ているのだが。
他スレの話題ですまん。

394:名無しさん@ピンキー
07/08/31 17:27:15 gbY0oXx7
>>393
それはいいな…長年の夢のキモ母が…wktk

395:名無しさん@ピンキー
07/08/31 17:33:51 crsGaI97
>>393は一部の住人が言ってるだけな。

396:名無しさん@ピンキー
07/08/31 17:50:34 mfLV03r8
キモ母っつーと、マザコン息子とそれを巡る
嫁姑の争いみたいな図しか思い浮かばん…

397:名無しさん@ピンキー
07/08/31 18:12:17 c7FY5R+v
個人的には、姉妹ものと親子ものはだいぶ属性が遠いからまとめない方がいいと思う

398:名無しさん@ピンキー
07/08/31 19:09:20 6dGZAVn6
今月の快楽天に良いキモ姉エロ漫画が載ってるぞ

399:名無しさん@ピンキー
07/08/31 22:37:27 iJVYFk2w
て言うかまとめるとか余計なことしないでいいだろ。
現状で何か不具合があるわけでもないのに。

400:名無しさん@ピンキー
07/09/01 00:02:59 iUvfqNoI
なんどめだなんどめだこのループ話題

401:名無しさん@ピンキー
07/09/01 00:34:41 8W2H6y7+
とりあえず保守

402:名無しさん@ピンキー
07/09/01 00:42:05 8W2H6y7+
って、誤爆した。スマソ

403:名無しさん@ピンキー
07/09/01 01:14:29 Oq5Oq3co
URLリンク(l-c.hp.infoseek.co.jp)

404:名無しさん@ピンキー
07/09/01 01:17:10 dhaUioyW
ぎゃ嗚呼ああああああああああああああああっっっつ


405:名無しさん@ピンキー
07/09/01 02:03:38 2JFzU1La
キモ母なんて加えずに母親総合スレでも立ててそこでやってくれよ

406:名無しさん@ピンキー
07/09/01 02:05:08 X+GFkuLV
兄貴 墜ちろ

407:名無しさん@ピンキー
07/09/01 05:18:30 q3Krs93c
需要はあるスレだし、現状維持がいいさ

408:名無しさん@ピンキー
07/09/01 07:57:54 4ilFixFk
いまのままでいい

409:某スレより転載
07/09/01 09:36:16 ySD3RXHd
妹「お兄ちゃん、お誕生日おめでとう♪はい、プレゼントだよ」
兄「……?手帳か(こいつのことだからてっきり『私を貰って♪』とくると思ったんだが…)」
妹「気に入った?」
兄「ああ、ありがとう」
妹「えへへ、じゃあ早速作らないとね」
兄「は?なんのことだ?……もしや!?」

【母子手帳】

兄「アッー!ただの手帳じゃない!」
妹「もちろんプレゼントはお兄ちゃんとの子供だよ!さぁ、いざ参らん♪」
兄「らめぇぇぇぇ!!」



ライトなキモウトで流れを変えてみる。

410:名無しさん@ピンキー
07/09/01 11:51:47 vXS1Tdnj
某機動戦士のあの妹スレかw

411:名無しさん@ピンキー
07/09/01 14:45:29 U14RK6k0
ホモじゃないのに『アッー!』とかそのまんまだなww

だがそれがいい

412:せきにん
07/09/01 15:03:42 wdlMI3Qk
人間が感じる苦痛のなかで最も性質の悪い苦痛とは、良心の疚しさであると僕は思う。
体の痛みは治療や麻酔によってその元を断つことで解消できるし、怒りや妬みはその責任の所在を他者へ向けてある程度ごまかすことができる。
しかし、自分が加害者の側となって被害者に対し感じるこの負い目は、罪を償うというある種の代謝行為によってでしか解消できない。
罰則を受け、許しを得るということは、良心の疚しさから開放されることなのだ。ソクラテスのいったことは正しかった。
罰則を受けないでいることは、罰則を受けることよりずっとずっと苦しくずっとずっと悲しいことであるのだ。
そして、残念なことに僕は取り返しの付かないことをしでかしてしまった。償いきれない罪を犯してしまった。
この罪状は永遠に許されることはなく、この負い目は死に至るまで僕を苛み、切れることのない鎖で僕を雁字搦めにして責苦を味わわせ続けるだろう。
姉さんはきっと僕を許してくれないだろうから。

ベッドが広くなっていることに気付いて、僕は目を覚ました。ちゅんちゅんとした鳥の囀りに混ざって、微かに車のエンジン音が聞こえる。
典型的な朝の静寂が僕を憂鬱にさせた。畜生め、また朝が来てしまったのだと、ラジオ体操の歌詞とは正反対の感情を抱く。
壁一枚隔てた向こうでは、平穏な日常が繰り広げられているだろう。陰気な我が家とは大違いだ。
目覚まし時計はまだ鳴っていない。以前はこれの助けが無ければ起きられないほど無精だった自分も健康的になったものだ。
病は気からというが、その逆は当てはまらないのだなと一人納得し、口元を拭ってベッドから降りる。
昨夜の名残が鼻をついたため、吐き気を振り払うように頬を打ってから部屋を出た。

413:せきにん
07/09/01 15:05:19 wdlMI3Qk
台所ではいつものように姉さんが鍋をかき混ぜていた。寝巻きの上にエプロンをかけて、ぱたぱたと忙しそうに朝食の準備をしている。
「おはよう、修司。もうちょっとでごはん出来るから待ってなさい」
「ん、おはよう、姉さん」
目をこすり、まだ完全に目覚め切っていないような仕草で挨拶を返す。もちろん演技だ。
以前となんら変わらない日常を送っているのだと、自分自身を騙すための。
僕の目を見つめて柔らかく微笑む姉さんはそれを見透かしているのだろう。食卓を囲んで、味噌汁の出汁を変えたこと、
テレビで流れてるニュースのことといった他愛の無い雑談を楽しそうにしながらも、その口元は哀れな僕を嘲笑っているように見えた。
「お買い物行くから今日は早めに帰って来なさいよ。いいわね」
姉さんが皿を洗いながら話す。顔は流し台に向けたままだ。
「ごめん、今日は部活があるからちょっと」
「部活があるから一緒に行けないっていうのかしら」
「その、ごめん」
「どうだっていいじゃない部活なんて。一度や二度サボったって大したことないわよ」
姉さんが振り向き、僕を見据える。あの笑顔は能面のように張り付いたままだ。
「で、でも、今日こそ出るって約束しちゃったし」
「修司」
「わ、わかったよ。今日も出れないって謝っておく」
姉さんに逆らうことは、僕には許されていない。選択する権利など、初めからありはしないのだ。
「わかればいいのよ。あんたはそうやって姉さんの言うことをちゃあんと聞いていればいいの」
「うん」
「ふふ。修司はいいこね」
姉さんは妖艶な笑みを浮かべながら手のひらで僕の頬をなぞる。唇に感じる指先の冷たい感触、自分のあまりの情けなさに泣きたくなった。


414:せきにん
07/09/01 15:06:50 wdlMI3Qk
黒板に書かれた数式をひたすら書き写しながら、こんなお勉強が何の役に立つのだろうかと普通の高校生なら誰しも一度は考えるであろう疑問に想いを馳せる。
与えられた問題を与えられた方法で解いても、頭が良くなるわけではない。暗記するだけならチンパンジーにだってできる。
むしろ机にかじりついて勉強すればするほど愚鈍に近づき、教えられたことを何の疑問も持たず受け入れ、教えられたことのみしか出来なくなっていくようにも感じる。
かくいう僕も理性を卑屈にして権威に服従することになれさせられて、挙げられた学識を無条件に信じ切っているわけだが。
そもそも、いい学校へ入学するためだとか、進路の選択肢を増やすためだとか教師は口を酸っぱくして繰り返しているが、
彼らがいう将来の幸福とやらはあまりにも不確定で漠然としたものであり、
そんなもののために人生で一番幸福な時期を犠牲にするのは本末転倒じゃないかと劣等生の僕は思う。
もしも自分が明日死ぬとして、自分は幸福な人生を生きたと胸を張って言える学生はこの学校に何人いるのだろうか。
百歳まで長生きしたとして、その無駄に長い人生のうち、子供時代より幸福だといえる瞬間はいったい何度訪れるのだろうか。
亡くなった僕の両親ははたして幸福な人生を送れたのだろうか。
彼らはいわゆる教育熱心な親というやつで、高い金を出して小中通して僕を塾に通わせ、少しでもよい成績を取らせようと頑張っていた。
僕たち姉弟をいい大学へやるため必死に働き続け、数ヶ月前に事故で亡くなった。
その日は公立高校受験の合格者発表の日で、店に注文していた合格祝いのご馳走を取りに行く道中で飲酒運転車の追突事故に巻き込まれたのだ。
皮肉にも、僕は不合格だったわけだが。


415:せきにん
07/09/01 15:08:07 wdlMI3Qk
「で、その女ってのがメンヘラちゃんでよ、あの時ばかりは俺もさすがにヤバイと感じたね」
「いわゆる地雷女ってやつ?」
「そうそう。中三の時付き合ってたんだが相当イタい女でさ、一日に何十通ももメールしてくるのは当たり前、
少しでも返信が遅れたら即効電話かけてきて『今何してるの?どこにいるの?浮気してるんでしょ!』って怖い怖い」
「一途な娘じゃんか。それだけ愛されてるってことでしょ」
「勘弁してくれよおい。あれは恋とか愛とかそういう次元じゃねえんだって」
昼休み。悪友の隆と昼食を食べながら談笑する。話題は彼が昔付き合っていた女性についてだ。
長谷川隆はいわゆるヤリチンと呼ばれる部類に入る男で、顔よし成績よし運動神経よし、おまけに実家は金持ちと、
少女漫画に出てきてもおかしくないような完璧ぶりである。もちろん性格を除いてだが。
「大体いつも長袖着てたからおかしいと思ったんだよ。いざヤる段になって脱がしてみたら、手首には刃物でつけたみたいな傷痕がびっしりってわけだ」
「うわぁ、巷で流行りのリストカッターさんか」
男の前と女の前で180度態度を変えて、僕に自分の女性遍歴を嬉々と語るこのモテ男は、わざわざいうまでもなく男子一同には好かれていない。
クラスから疎外されたり、無視されるほどでもないが、陰でとことん貶される程度には嫌われている。
僕から見てもこいつは間違いなく男子に嫌われるタイプだと断言できるし、事実、入学から二ヶ月も経てば親しく話す人間は男子には僕くらいしかいなくなっているのだ。


416:せきにん
07/09/01 15:09:16 wdlMI3Qk
「それで、結局シたの?」
「適当な理由つけて即効逃げたに決まってんだろ。勃つもんも勃たねえよ。萎える以前に縮み上がったっての」
「ははっ、さすがの隆でも不能になっちゃったんだ。でも、恋は障害があるほど燃えるんじゃない」
「いやいやマジで笑い事じゃねえんだって。あの手の女はきっと別れ話持ちかけると無理心中とかするタイプだぜ」
「じゃあどうやって別れたのさ」
「ああ、その、なんだ。アドと番号変えれば連絡手段ないわけだろ。高校も違うし、ここに入学してから一人暮らし始めたからよ」
「つまり逃げたわけ。でもホントに大丈夫なの?いつか道端でばったり会ったりして」
「ふ、不吉なこと言うなよ」
「こう、サクっと」
手を何かを握るように構え、わき腹に当てて二・三回えぐるように回してみる。
妙にリアルな仕草に目の前の最低男は恐怖を覚えたのか、腹を押さえてガタガタ震え始めた。非常に面白い。
「ま、安心しなよ。葬式で香典くらいはあげてやるからさ」
「俺死ぬの確定ですか?」
「許されざる愛の末に現世を捨て黄泉路で結ばれる道を選んだ恋人たち、二人の愛は清かった。うん、涙を誘う美談だね」
「色々とすっ飛ばしすぎだろ!いい話っぽくまとめるんじゃねえ!」
隆は本当に最低な人間だ。これ見よがしに自分がいかにモテるか自慢し、男の前では女性への誠意に欠けた発言をためらいも無く行う。
でも、僕はそんなこいつが好きだ。もちろん性的な意味などではなく、友人として。こいつは自分の欲望に正直で、自己中心的だ。
同性にしてみれば性格がいいなどとは口が裂けてもいえないだろう。
大抵の人間は他人に対して善人であろうとする。自分は優しく、公正な人間であろうとするし、主張しようとする。
しかし、こいつは自分から自分はイイヤツであると口うるさく主張しない。こいつの陰口を叩く人間のように、自分の憤りに同意を求めようとしない。
だから僕はこいつが好きだ。こいつと話すときは自分に正直でいられるから。
前までの僕だったら、正直云々以前にモテ男の隆を妬んでいただろうが、姉さんとあんなことになってしまった今ではそんなことはどうでも良くなっている。
僕はもう二度と恋愛なんて出来ない。僕に姉さん以外の女性をみることは許されていないのだ。


417:せきにん
07/09/01 15:13:16 wdlMI3Qk
隆からの合コンの誘いを断った後、文芸部と書かれたプレートの前で立ち尽くす。
ノックしても返事が無く、鍵も掛かっている。おそらく先輩はまだ来ていないのだろう。
部活に出れない旨を伝えるために待つというのも不自然だが、先輩は携帯電話を持っていないので仕方が無い。
今時の女性にしては珍しいと思うが、そういう時代錯誤なところも彼女らしいと思う。
「あ、伊藤くん」
「どうも。お疲れさまです、先輩」
髪を肩で切りそろえ、消え入りそうな声で僕の名前を呼ぶ小柄な女の子は二年の羽鳥美紀先輩。
文芸部の部長であり、部員の中でただ一人まともに活動している部員だ。
文芸部員は全部で五人いるが、うち三人は三年生であるため受験勉強に忙しくたまにしか顔を出さない。
そのうえ僕は人数合わせのため入部しただけの半帰宅部の幽霊部員なので、文芸部は実質彼女だけで切り盛りされている。
「ええと、その」
「少し待っててくださいね。今、お茶を淹れますから」
言うタイミングを逃してしまった。先輩は部室に入り鞄と電気ポットを机に置き、普段は使われていない急須と湯のみの用意を始める。
電気ポットにマジックで大きく書かれた文字を見るに、今日のためにわざわざ茶道部の備品を借りてきたらしい。
背伸びしているためかひょこひょこと棚の前を上下する小さな頭に罪悪感を覚える。
「はい、どうぞ」
「は、はい。頂きます」
うん、美味い。湯のみを傾けながら先輩の顔を窺う。普段は表情に乏しい先輩の口元が少しだけ綻んでいる。
おそらく久しぶりに他の部員が来たから嬉しいのだろう。
先輩はいつもこの殺風景な部屋の机にたった一人で座っているのだと想像すると、いたたまれなくなる。
先輩の容姿は美人というよりは可愛らしいという表現が当てはまり、下手したら小学生くらいに見えるからやるせなさも倍増だ。
ますます話を切り出せなくなってしまった。

418:せきにん
07/09/01 15:15:03 wdlMI3Qk
投げやりな気分になっていなかったとは言い切れない。頭のどこかで、どうにでもなっちまえと考えていたのは事実だ。
近頃の姉さんは機嫌が良く以前よりか無理を聞いてくれるようになっていたから、もしかしたら許してくれるんじゃないかという甘い考えがあったことも否定できない。
嫌なことを先へ先へと引き伸ばし続け、その結果、手遅れになってしまってからやっと後悔する。僕の人生はそういうことの連続だった。
自分で自分に言う『大丈夫』ほど信頼の置けないものはない。結局あのまま先輩に言い出せず、ずるずると部室に居座り続けてしまったのだ。
最悪でも五時あたりにはもう家で待ってなくてはいけなかったのだろうが、携帯電話の液晶には六時半と表示されている。
さらに新着メールが24件、着信履歴は18件、いうまでもなくすべて姉さんからである。部室で着信音も振動も切っていたのが仇となった。
こうして家へ向かって走っている最中にも着信があったが、僕に通話ボタンを押す勇気はない。
大丈夫、なんとかなるさと自分に言い聞かせながら、精一杯足を動かし、息を切らせながら玄関の扉を開いた。

419:せきにん
07/09/01 15:17:35 wdlMI3Qk
「ご、ごめん姉さん。急に委員会の用事が入っちゃってさ」
リビングに座っていた姉さんがゆっくりと立ち上がり、僕へと近づく。前髪が影になって、こちらから目元は見えない。
「な、なかなか仕事が終わんなくて、ついさっきにやっと終わったばかりなんだ」
すり足で距離を詰めてくる姉さんに、考えた弁解を無駄だとわかりつつも必死に行う。
思わず後ろに下がってしまいそうになるが、震える足に力を入れて耐える。
「は、は、早く帰らせてって委員長にたのんだんだけどさ、それがまたこわい先輩で」
「修司」
「でも急いで帰ってきたんだ。こうやって、全力で走って」
「修司」
ねえさんが、ちかづいてくる。
「ほほほほら、こんなに汗だくでしょ。だ、だから」
「修司」
がしりと痛いほどの力で肩を掴まれる。真っ赤になった姉さんの目が僕を見据える。それに耐えられない僕は、思わず顔を背けた。
「こっち向きなさいよ」
あぅっ、と、間抜けな音が口からはみ出た。姉さんは右手親指で僕の喉を押さえつつ、残った指で顎を掴み固定している。
目を逸らしても、それに合わせて姉さんの顔が移動する。もう、逃げられない。
たとえ目を瞑ったとしても、姉さんは瞼を無理矢理こじ開けるだろう。
赤々と充血した姉さんの眼は僕の心の奥底まで見透かしているようであるし、焦点の合わない視線は何物も視ていないようにも思える。
視覚ではなく、五感とは別の感官で僕の脳髄を観察しているのだ。
姉さんに嘘は通用しない。汗の味を確かめなくとも、姉さんは僕の思考を暴き立てる。
「あたしとの約束、やぶったのね」
「そ、それは、委員会の仕事があったから」
「今日は早く帰ってくるってあたしと約束したのに、帰ってこなかったわね」
「だ、だからそれは」
「はじめからまもるつもりなんて、なかったのね」
「ぐっ……ぁがっ」
姉さんの左手が僕の首に絡みついた。血管を圧迫されて自分の心音が聞こえてくる。
「うそつき」
「はなし……ねえさ」
首から上の体温が上昇し、音だけではなく頭全体で血液の脈動を感じる。
「うそつき」
「おね……やめ」
鼻の奥に圧迫感。それは目玉の裏へ続いている。いずれ眼球を押し出すかもしれない。
「うそつき」
「ぁっ……」
きりきりと骨の軋む音。顔全体がむくみ始める。こめかみのあたりには血管が浮き出ているだろう。
「うそついちゃ、いけないのよ」
「ぁ……ぁああああっ!」
意識が遠のく直前、体が勝手に動いた。

420:せきにん
07/09/01 15:18:27 wdlMI3Qk
自分の吐瀉物から顔を上げ、尻餅をついたまま固まっている姉さんを見やる。
顔のむくみは収まったが、圧迫から開放された血液が一気に首下へ移ったせいなのか軽い立ち眩みを覚えた。
胃液が逆流したため喉が焼け付いている。唾液を飲み込んでそれをごまかし、僕を殺そうとした人間をにらみつけた。
「あんた、あたしに手を上げたわね」
「ねえさん、が、ぼくを、ころそうと、した、から」
どうして僕がこんな目にあわなきゃいけない。どうして僕が殺されなきゃいけない。恐怖が反転して憎悪へと変わる。
「あたしに逆らったわ」
「ぼくに、だって」
自分をまもる権利くらい、ある。そう言おうとした瞬間、姉さんの目が変わった。
「修司」
無機質だった硝子玉に暗い光が宿り、潤んだ瞳はコールタールのように波打つ。
むき出しにされた犬歯がぎりぎりと音を立てて軋み、胆汁質な、姉さん本来の気性が表に出始める。
その表情に宿した感情は怒りでも、悲しみでもなく、僕に対する憤り。犯罪者、極悪人、加害者に向けられる、正当な憎悪。
見下ろしているのは僕であるはずなのに、見下し、蔑むような視線は姉さんのもの。
下賤な奴隷に裁きを下す王であり、無慈悲に罰を与える権利を持つ絶対者の瞳。
「あんた、あたしに逆らっていいとおもってるの」
「ひっ……」
また、姉さんが近づいてくる。恐怖が僕の傍へと這いながら近寄ってくる。黒い獣が僕の足元で大口を開けて今か今かと待ちわびている。
「あんたに、逆らう権利があるとおもってるの」
奴隷は王に逆らってはいけない。罪人は法に逆らってはいけない。義務とは権利である。権利とは義務である。
それを拒絶したと同時に、それによって保護されるものを捨てねばならないのだ。叛逆とは、庇護を放棄することと同義である。
王に逆らった奴隷は何の権利も所有出来ず、法に逆らった罪人は贖罪の術を失う。
既に過失を犯してしまった僕には姉さんという王に対して反抗する権利は与えられていない。僕には姉さんという法に対して償う機会は与えられていない。
「あんたはだれのおかげでこうやって生活できるとおもってるの」
「ご、ごめん」
この家の家事はぜんぶ姉さんが行い、管理している。
「あんたはだれのおかげで学費の高い私立に通えるとおもってるの」
「ごめん、なさい」
この家の収入はぜんぶ姉さんが働いて、稼いでいる。
「ちゃんと答えなさい」
「ぜんぶ、姉さんの、おかげです」


421:せきにん
07/09/01 15:20:02 wdlMI3Qk
姉さんがいるから、僕はこうやって生きていけるんです。
「そう。あたしはあんたを養うために、大学をやめて、遊びも、恋愛もしないで、朝から晩まで必死になって働いてるのよ」
「はい。そのとおり、です」
姉さんはひとつひとつの言葉を咀嚼しながら、一歩、また一歩と僕の目の前へ歩み寄る。
「あたしはあんたのために、自分のしあわせをみんな犠牲にしてるのよ」
「ありがとう、ございます」
吐息がかかるほどの距離にいる姉さんが僕の肩に指を這わせた。
小さく開いた胸元から覗く鎖骨と、薄く薔薇色に染まったきめ細やかな肌が言いようの無い艶やかさを思わせる。
長い睫毛と、小さく整った顎骨。瑞々しく薄紅に色づいた唇が妖艶に歪んだ。
「それで、そんな可哀相な姉さんにあんたは何をしたのかしら」
「ぼ、ぼくは、姉さんを……ました」
「よく聞こえなかったわ。もう一度、はっきりと、あたしの目を見ながら言いなさい」
涙で視界が歪むが、姉さんの指が瞼をなぞり、フィルターを拭い取られた。否が応にも姉さんの瞳を見せ付けられる。
「僕は、姉さんを、犯して、しまいました」
「そう。あんたはあたしの純潔を奪ったのよ。無理矢理ね」
くすくすとわらう姉さん。肩に置いてあった掌を持ち上げ、僕の顎を包む。
「あんたのおかげで、あたしの人生はお先真っ暗。夢を追うことも出来ないし、恋だって出来なくなってしまったのよ」
「はい。ぜんぶ、僕が悪いんです」
僕がいるから、姉さんは幸せになれない。
「あんたがあたしを犯したせいで、あたしはもう、人に愛される資格を失なってしまったの。
出来るかもしれなかった恋人に、初体験は弟のレイプですって答えなきゃいけないのよ」
「ごめん、なさい。姉さん」
僕が姉さんを汚したから、姉さんは愛されない。
「あたしは一生、実の弟に純潔を奪われたかわいそうな女として生きていかなきゃならないのよ。あんたはどう落とし前をつけるつもりなのかしら」
「償わせて、下さい」
この苦痛から逃れさせてください。
「あんたが何をしようが、あたしの処女は帰ってこないし、あんたが追わせた心の傷は治らないのよ」
「なんでも、します」
「なら」
そっと唇に触れる柔らかいもの。その感覚に一瞬遅れて姉さんの舌が僕の唇を割り、口腔を魂ごと蹂躙する。
不快な粘着質の音が耳にしばらく響いた後、陵辱者は糸を引きながら後退し、僕の姿をその濁った瞳に映した。
「あたしを愛しなさい」

422:せきにん
07/09/01 15:22:26 wdlMI3Qk
彼女の告白はあまりにも暴力的で支配力に満ち、理性に残った最後の抗いでさえ、一瞬にして萎えさせた。僕の返答は考えるまでもなく決まりきっている。
奴隷であり罪人である加害者が、王であり法務官である被害者に可能な唯一の報復。許しを懇願する、卑屈な奴隷の質問。
「愛すれば、許していただけるんですね」
「ええ。あんたが死ぬまで、あたしを愛し続ければ」
許されることが、開放されることがありえないとわかっていても、僕は姉さんに従い唇を重ねる。僕にはこうする道しか残っていないからだ。
せめて体を重ねている間は、一時にせよこの苦痛と屈辱を忘れられるよう、甘い淫夢に身をまかせよう。




僕はたしかに厭世主義者だが、死後の世界なんて信じちゃいない。金と一緒で、罪や幸福はあの世へは持っていけないからだ。
死後の世界なんていう、あまりにも不確定すぎて噴飯ものの将来の幸福とやらのために、現世の幸福を犠牲にするほど年老いちゃいないし、
永遠の命に憧れるほど無感動な人間でもない。
結局のところ僕は他の大多数の人たちと同じで、どっちつかずのまま日々を空しく過ごしていくしかない。
ただ一つ、他の人たちと異なる点は、首輪に繋がれた鎖が平均より少々太いという点だけなのだ。
太い鎖は重くて、駆けずり回るのに少しばかり骨が折れるものだが、なんとか耐えていけるだろう。
僕の飼い主が昔のように寛大になり、僕の鎖を軽くしてくれるという、忌まわしくも甘美な淫夢に浸ることで。





423:名無しさん@ピンキー
07/09/01 15:23:05 wdlMI3Qk
元ネタ兼サブタイトルは『真夏の夜の淫夢』です。

424:名無しさん@ピンキー
07/09/01 15:36:59 2ziLLBbF
>>403
最後の名残に一発やってから別れ話
明らかに妹に愛情無いよねこのお兄ちゃん

425:名無しさん@ピンキー
07/09/01 15:49:04 8MXigzZb
>>423
GJ!
ていうか姉ちゃん怖すぎ

426:名無しさん@ピンキー
07/09/01 17:30:37 ve12x7uD
>>423
GJ!
でもそのサブタイトルってTDNじゃないかwwwww

427:名無しさん@ピンキー
07/09/01 17:37:26 6h9E3pxL
たしかにTDNだwwwこれはワロスww

428:名無しさん@ピンキー
07/09/01 20:43:19 RJg5Ng+V
最近ここは活気があるなぁ

429:名無しさん@ピンキー
07/09/01 23:42:23 ZYCRwjG0
>>423
姉ちゃん怖ええええええええ!
GJです!

430:名無しさん@ピンキー
07/09/02 03:45:56 0q2/AzNN
>>429
おもしろかったけど、これってキモ姉なの?
弟が勝手にレイプして憎んでるだけなんじゃないの?

431:430
07/09/02 03:46:30 0q2/AzNN
間違えた>>423だった

432:名無しさん@ピンキー
07/09/02 04:11:28 wGFQaYOa
>>430
本当にレイプだったんだろうか・・・?
妄想の翼をもっと広げて感じるんだ。

433:名無しさん@ピンキー
07/09/02 09:39:03 TWjYBkb7
>>432
俺はレイプ違うとみたね!

434:名無しさん@ピンキー
07/09/02 09:57:59 YfAj88vg
>>426
T…東京
D…ディズニー
N…ナンド?

435:名無しさん@ピンキー
07/09/02 10:00:05 Sqx8VGeV
ただの野球選手ですよ…

436:名無しさん@ピンキー
07/09/02 10:23:56 b5wKwere
T タ
D ダ
N ノ

437:名無しさん@ピンキー
07/09/02 10:47:47 X3Wk02NX
>>423
姉が弟に媚薬を飲ませてレイプさせたか、単に弟が興奮のあまり姉を犯したのか。
読者がどう捉えるかによって意味の違う話になるな。
まあ、とにかくGJだ!

438:名無しさん@ピンキー
07/09/02 11:28:55 HC3G1wUM
綾様まだなの・・・・?
ボクもう疲れたよ・・・・

439:名無しさん@ピンキー
07/09/02 20:05:27 iNkyOYWP
お前らの親が実は兄妹同士で結婚したものだったらどう思う?

440:名無しさん@ピンキー
07/09/02 20:25:24 1yBlZ0sf
(やっぱり…!)

441:名無しさん@ピンキー
07/09/02 23:25:11 RFIQnvqA
(実の姉であるわたしでも○○くんと結婚できるんだ!!)

442:名無しさん@ピンキー
07/09/02 23:34:08 wHMSXqAi
ジュルリ

443:名無しさん@ピンキー
07/09/03 00:33:42 LJ7W2grN
(あは、カエルの子はカエル・・・か)

444:名無しさん@ピンキー
07/09/03 00:35:38 qe/uDw3T
この間から同じ人ばっかりのような気がしてならない

445:名無しさん@ピンキー
07/09/03 01:08:44 /tR3mH0i
そんなあなたにNG登録。

446:刻み藁
07/09/03 21:57:01 1SMXCWgw
始めに誰かが叫んだ。そして、公園に散らばり、各々に遊んでいた子供たちが砂場の周りに集まってきた。
子供たちはひそひそとささやきあいつつ、砂場の中心に立っている二人をじろじろと見つめた。
二人の子供は、五、六歳くらいの年恰好だった。一人はやや青白い顔色の、こざっぱりとした身なりの男の子で、真二という名前だった。
もう一人は長い髪を後ろで纏めた、気が弱そうな、おどおどとした、真弓という名前の女の子だった。
二人は双子の兄妹だった。兄の真二は妹を庇うように立ち、群れをなした子供たちを睨み付けていた。
群れの先頭にいた、ずるい意地悪げな目つきをした子供が言った。
「お前んちって、お父さんが居ないんだろ」
真二は何も答えなかった。真弓は腕で目元を隠し、鼻にかかった、子供が泣き始める前にするようなあの声を出し始めた。
二人に残酷な質問を浴びせかけた少年はぐずり始めた真弓を見て、早くも自分の意地悪が功を奏したのに得意になり、何度も何度もこの質問を繰り返した。
この二人の母親のことは、みんな自分たちの家で噂を聞いていた。
子供の母親たちは、人前でこそ愛想よく振舞ってはいたものの、陰にまわるといくぶん軽蔑のいりまじった同情をこめて、彼女を話題にしていた。
母親たちのこういう気持ちは、訳がわからないながらも、子供たちのこころに影響を及ぼしていた。


447:刻み藁
07/09/03 21:58:46 1SMXCWgw
始めに叫んだ少年が、二人の子供について、自分の母親がつぶやいていた言葉を思い出した。
からかうような様子で真二に向かって舌を出してみせ、
「父なし子、父なし子」と叫んだ。
この聞きなれない悪口の語感が気に入ったのか、周りの子供たちは彼に同調し、くりかえしくりかえし、父なし子とはやしたてた。
今度こそ真弓はわんわんと泣き叫び、真二はうつむいて、あふれ出ようとする涙をこらえていた。
敵の片割れを討ち取ったことで、悪童たちの間に惨忍で嬉しげな声が上がった。
子供たちはもう片方も泣かせてやろうと思い、手と手を取り合い、学芸会でやったおゆうぎをするように、二人のまわりで輪を作って踊り始めた。
即興で作った悪口の替え歌は、真二のこころに言いようの無い敗北感を味わわせた。
とうとううちのめされてしまった真二は、声を忍ばせて、体を震わせ、すすり泣きし始めた。
ソプラノできんきんと耳に響く真弓の泣き声と、しゃくりあげながら、不均等にリズムをとる真二のうめき声が重なり、奇妙な合唱が公園に響いた。
かごめ、かごめが、泣いた、泣いたとなり、子供たちは誇らしげに残酷な歌を歌って、この双子をやっつけたのだという惨忍な喜びに酔いしれた。
もう夕食の時間になったのだろう、誰かの母親が迎えに来た。
一人が帰ってしまうと、興が冷めたのか、他の子供も一人、また一人と、それぞれの帰路に着き始めた。
公園には泣き続ける双子以外に誰もいなくなった。
目を赤く腫らした真二は、何も言わずに泣きじゃくる真弓の手をとって歩きだした。



448:刻み藁
07/09/03 22:00:29 1SMXCWgw
玄関を開けた真二の耳に、台所の方向から祖父の怒鳴り声が飛び込んできた。
祖父がいつものように酒に酔って、家族に怒りをぶつけていたのだ。
真二は再び目元に涙を溜め始めた妹の手を引いて、自室へと逃げ込んだ。
兄妹は頭から布団をかぶり、目を瞑り、手で耳を塞いだ。
それでも祖父の、祖母と母を罵倒する声、食事にけちを付ける言葉、伯父を罵る単語が耳に聞こえていた。
真弓がすすり泣き始めた。真二は耳から手を離して、妹を抱きしめた。
突然、扉の開く音がした。真二は祖父が入ってきたのだと思った。
布団が剥ぎ取られた。双子は殴られることを予想して、体を強張らせた。
しかし、痛みはいつになっても襲ってこなかった。真二が瞼を開いて顔を上げると、伯父が微笑んで立っていた。
伯父は真二と真弓の頭を撫でて、部屋から出て行った。
しばらくすると、ひときわ大きな怒鳴り声が聞こえてきた。硬いものがぶつかる音や、何か壊れるような音がしばらく続いて、急に台所が静かになった。
祖父のうめき声と、どしどしと乱暴に廊下を踏みしめる音が響いた後、今度こそ家に静寂が訪れた。
ふたたび部屋の扉が開いた。顔に青い痣を作った伯父が、もう大丈夫だと言って微笑んでいた。



449:刻み藁
07/09/03 22:02:35 1SMXCWgw
真二は伯父のことが大好きだった。痛々しい痣をさすりながら夕食を食べている伯父は、彼にとってヒーローだった。
普段は優しいのに、酒を飲むと暴力を振るう祖父や、真二をぶたないかわりに、一言目には世間さま、世間さまとうるさい祖母とは違って、いつも真二に優しかったからだ。
真二と真弓が悲しんでいる時に颯爽と現れ、二人をまもってくれる伯父は、母を除いてただ一人の、兄妹の味方だった。
真二は伯父に自分たちの父親になってほしかった。伯父はとてもやさしいし、恰好いい。
この誰だって自慢したくなるような父親がいれば、自分たちは父親がいないというだけで、他の子供たちにいじめられなくて済むんだと真二は思った。
一度だけ、真二は伯父にお父さんになってほしいと頼んだことがあった。
そのとき伯父は何も言わずに真二の頭を撫でてから、そんなこと頼まなくても、おじさんは真二と真弓を守ってあげるから大丈夫だよ、と言った。
それじゃあ駄目なんだ、と真二は言おうとしたが、泣きそうな顔で微笑んでいる伯父の顔をみたら、何も言えなくなってしまった。
母にそのことを話したら、彼女は泣きながら、ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返した。
真二にとって、こんなに悲しそうな母を見たのはこれが初めてだった。



450:刻み藁
07/09/03 22:07:34 1SMXCWgw
その夜、真二は妹の手を引いて廊下を歩いていた。妹をトイレに連れていくことは、真二の仕事なのだ。
薄暗い、音のしない廊下は真二の想像力を掻き立て、あの陰からお化けや、怪物が出るかもしれないと思うと、怖くてその場でへたり込みそうになった。
だけど、握り締めた手を震わせ、真二にしがみついて歩く妹のことを考えると、恐ろしさはどこかへ行って、真弓をまもらなきゃという考えが真二を奮い立たせた。
真二は誇らしい気持ちになり、勇気を出して、そろそろと暗闇の中を進んだ。
用を済ませた真弓を連れ、廊下の帰り道を歩いているときに、二人の耳に聞きなれない、くぐもったような声が聞こえた。
声は母の部屋の方角から響いていた。
早く戻ろうと言う真弓をなだめて、好奇心に支配された真二は、誘われるように母の部屋へと歩きだした。
部屋へ近づくにつれ、声は大きくなり、苦しそうで、切なそうに唸る音が母の声であると真二は理解した。
母が苦しんでいると思うと、わずかに残っていた恐怖は吹き飛んで、二人の中はお母さんを助けなきゃという気持ちでいっぱいになった。
伯父さんがここにいない今、母を助けられるのは自分たちだけだと思った二人は、勇気を奮い立たせて母の部屋の前にたどり着いた。
ふすまの中からは、母の苦しそうな声が聞こえていた。規則正しいリズムを取りながら、だんだんと鼻にかかって高くなっていくこの音を聞いたら、母の苦しみがどんどん酷くなっていくように思えた。
二人は急に得体の知れない恐怖を覚えて、ふすまにかけた手を離してしまった。
そうしているうちに、母の声は更に大きくなり、断末魔ともいえるほど、恐ろしいものになっていった。
真二は、母が死んでしまうのかと思った。早く助けなきゃ、お母さんがどこか手の届かない遠いところへ行ってしまうと思った。
真二はふすまに手をかけて、真弓の顔を窺った。
妹も同じ気持ちだったのだろう、真弓は真二のそれに手を重ねた。
ゆっくりと手を引いて、少しだけふすまを開けた。母の声が一段と大きくなった。
二人は頷き合って、そっと、母の部屋を覗き見た。

暗闇の中で、母親と、真二の大好きな伯父が裸で絡み合っていた。



451:名無しさん@ピンキー
07/09/03 22:13:36 1SMXCWgw
>>439
こうですか?わかりません><

452:名無しさん@ピンキー
07/09/03 22:34:49 9t3fNduO
親が兄妹同士というのはありえないんですが

親が同じ田舎の出身だったので、一度、家系図を見ていたら
ちょっと、固まったね・・・。はとこだったとは・・・。

はとこは全然やばくないかもしれないが、はとこ同士で結婚するなんて
この広い世界にありえることなんだろうかとちょっと考え込んだ時期が


453:名無しさん@ピンキー
07/09/03 23:52:31 45DAQBh5
はとこはそこまで驚く必要ないと思うけどな、知らなかったかもしれんし。
いとこだったらかなりビックリだが

そう考えると平安時代はそういうのばかりですごいな。

454:名無しさん@ピンキー
07/09/03 23:56:27 3UFFia0L
>>451
やけにリアルだな。GJ!
できれば、真弓のキモウト化も是非読みたい。続きはあるのかい?

455:名無しさん@ピンキー
07/09/04 00:24:12 LN7QjeEa
>>451
GJ!
というか>439のために書いたのだとしたら、壮大過ぎるレスだw

456:名無しさん@ピンキー
07/09/04 11:55:35 r6wRMT6S
妹がお兄ちゃん子で度が過ぎるとどのようなことをするのか
考えてみた

①お兄ちゃんのベットに毎晩潜り込んで朝を共にする

②兄の下着は必ず、妹が洗う(兄の大衆を嗅ぐため)

③家にいると露出度の高い服を着ている妹が
 抱きついて離れない
④学校に行く時は兄の腕を組んで投稿する。


なんか、キモウトというレベルではないな
まだまだ、 い も  う  と  レベルって感じがする

457:名無しさん@ピンキー
07/09/04 12:52:11 iQqRUwAt
>>456
エロ雑誌にそういう写真を投稿するのかと思ったwww

458:名無しさん@ピンキー
07/09/04 14:33:16 yYx3iC0B
>>456
①ベットと言わず風呂やトイレも一緒

②兄の下着を妹が着る

③露出度100%で抱きついてくる

④腕組みでは物足りずおんぶしてもらう


キモウトになったかな???

459:名無しさん@ピンキー
07/09/04 14:34:27 rFZvlkbZ
>>458
リアリティが足りなくて、半ばギャグになっている予感

460:名無しさん@ピンキー
07/09/04 14:39:58 +xBvyOGr
このスレ初心者の俺には、既に>>456で十分なキモウトなんだが・・・

それにしても、桜の網の続きが読みたくて仕方ない

461:名無しさん@ピンキー
07/09/04 15:12:54 rFZvlkbZ
連載中リスト

永遠のしろ
虎とあきちゃん
綾シリーズ
水木さんちシリーズ
運命の赤い超紐理論
聖のお兄様
毒にも薬にもなる姉
桜の網
Favor
三者面談

      +
 +
     ∧_∧  +  テカッテマス
  + (。0´∀`)
    (0゚つと )   +
 +  と__)__)

462:名無しさん@ピンキー
07/09/04 16:56:30 UmEiijsi
>>460
俺もだ。一気に読んだから尚更続きが読みたかったりする

463:名無しさん@ピンキー
07/09/04 18:32:51 UiYI/QK9
あ、ありのままに今日、聞いたことを話すぜ……
俺の友達が階段から落ちて入院したんだ。それでお見舞いに行ったらやけにビクビクしてるから訳を聞いてみた。
そいつには妹がいるんだ。ブラコンってことで冷やかされてる妹なんだ。
なんでもあろうことか一昨日の晩、妹に誘われたらしい。当然、それをそいつは断って、そろそろ兄離れをしなければならないと諭したらしい。
だがそこで妹が泣き出したらしい。そして妹なのに本気でそいつのことが好きだと告白したらしい。
フィクションの世界じゃあるまいし、そいつはそれとすぐにそれは無理なんだと言ったんだ。
妹はそれでも泣き続ける。親に気づかれてはマズいと考え、そいつは必死に説得した。
だが妹はどんどん激昂し、勢いでそいつを階段から突き落としたそうだ。

な、なにを言ってるかわかんねーだろうが……これ実話なんだ……
まさか身近にこんなこのスレみたいな話があるとは思わなかった。
とにかく伝えたかったんだ……みんなも気をつけてくれ。

長文スマソ

464:名無しさん@ピンキー
07/09/04 18:43:32 bTxyvc1E
階段から突き落とされるなんて
まだまだ、妹さんは可愛いほうだと思うのだが

やはり、病室で見動きできない状態から本当のキモウトの恐ろしさ
を知る事になるであろうw 


465:名無しさん@ピンキー
07/09/04 18:45:06 OdSb0tZW
>>463
創作意欲が湧いた

466:名無しさん@ピンキー
07/09/04 19:19:03 C7hMYIfg
>>465
期待

467:名無しさん@ピンキー
07/09/04 19:33:59 f08fidAc
まあ、IZUMOのキモウトのアプローチも凄かったな

468:名無しさん@ピンキー
07/09/04 20:49:18 b4/d6jMu
>>463
世界はまだまだ幸福で満ち溢れていると知りました

469:名無しさん@ピンキー
07/09/04 20:52:10 B9KQkAo8
よしまず俺に妹を用意してくれ、話はそれからだ
本当は実妹がいいが義理までなら許す、ただし近所のお兄ちゃんと呼ぶ子は却下だ

470:名無しさん@ピンキー
07/09/04 20:59:26 SGGH2ohd
たまにはキモ姉のことを思い出してあげてください

471:名無しさん@ピンキー
07/09/04 21:38:44 DO9H2Mv+
>>470
よしまず俺に姉を用意してくr

472:名無しさん@ピンキー
07/09/04 22:30:47 P2HN+YP3
.>>451
確か昭和辺りは片親の子はいじめられてたなぁ~。

473:名無しさん@ピンキー
07/09/04 22:55:49 M6vtBguw
よしまず俺に・・・・





何を用意してもらえばいいんだ?

474:名無しさん@ピンキー
07/09/04 23:41:18 rm7xwZ8C
すぐにヤキモチを焼くお姉ちゃんと
寂しがり屋のキモウト



475:名無しさん@ピンキー
07/09/05 00:29:10 M71KQX12
(・∀・)∩嫉妬深いおねえちゃん今ならお安いよ~

476:名無しさん@ピンキー
07/09/05 05:07:42 vQWg9bkF
>>475
二人ほどいただこう。

…何?お代は命?

安いもんだ

477:名無しさん@ピンキー
07/09/05 11:47:34 XnxlBtqS
>>461
連載中リストとか見るたびに思うんだけど永遠のしろって連載作品じゃ無いんじゃないか?
このスレと前スレじゃ言ってなかったけどどこかで無形氏が連載って言ってたの?
確かに個人的には理想の姉そのままだからあるなら続きは読みたいけど

478:名無しさん@ピンキー
07/09/05 12:20:25 nmuR2krq
>>458
よかった~…2はやられてないから、俺の妹はまだ普通だな。

479:名無しさん@ピンキー
07/09/05 12:54:20 Qock0mLy
連載作品だよ…たぶん。というか、連載してほしい

480:名無しさん@ピンキー
07/09/05 13:33:46 M71KQX12
>>458
下着じゃないけどお下がりの服なら普通に着てる。
>>476
兄ちゃん、他の女と喋るときは気をつけな。

481:名無しさん@ピンキー
07/09/05 13:43:17 BshU/C/p
…やっぱりSATSUGAIが無いとらしくないようなw

482:名無しさん@ピンキー
07/09/06 00:02:54 5Jm+nq/A
え?KANKINもだろ?
締めはSENNOUで

483:名無しさん@ピンキー
07/09/06 01:28:03 123x4J+m
お兄ちゃんが他の女に盗られそう!
泥棒猫に渡すくらいなら……!
SHINDYUしよ?

484:名無しさん@ピンキー
07/09/06 01:31:21 gdN0ZN5U
GOUKANじゃないの?

485:名無しさん@ピンキー
07/09/06 01:45:55 J+eVXsTM
俺が本当のSHITTOの仕方を教えてやる

486:名無しさん@ピンキー
07/09/06 01:48:20 XPdTcb0m
>>485
ご指導ご鞭撻よろしくお願いします。

487:名無しさん@ピンキー
07/09/06 01:48:30 N+WqT8cB
出た…キモウトの一秒間に十回のGYAKUREIPU発言

488:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:09:27 gO3C15uU
病気のお兄さんのために11回に挑戦するんだな

489:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:20:51 IPZNh1W8
唐突に投下

490:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:21:31 IPZNh1W8
よしまず俺に妹を用意してくれ、話はそれからだ
本当は実妹がいいが義理までなら許す、ただし近所のお兄ちゃんと呼ぶ子は却下だ




「これで良し……っと」

ブラウザに表示されているの『書き込む』を左クリックし、俺はパソコンのディスプレイから一旦目を離し、ぐっと伸びをした。
帰宅してからずっと座りっぱなしだった所為か、背骨がボキボキとイヤな音を立てた。

「妹、か…」

壁に掛かっている時計を見つめながら、ぼそりと呟く。
それからディスプレイに視線を戻す。
ディスプレイに映る文字は『キモ姉&キモウト小説を書こう!PART4』
このスレッドは、血の繋がりなど何のその、愛するお兄ちゃん(もしくは弟)の為なら殺人、監禁、盗聴、洗脳、追跡、泥棒猫の駆除まで何でもござれな素晴らしきキモ姉&キモウトの小説が投稿される所なのである!

……何故か1人で脳内演説を繰り広げてしまったことに少々危険を感じつつ、再びディスプレイに目をやる。

491:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:22:14 IPZNh1W8
469:名無しさん@ピンキー :sage 2007/09/04(火) 20:52:10 ID:B9KQkAo8
よしまず俺に妹を用意してくれ、話はそれからだ
本当は実妹がいいが義理までなら許す、ただし近所のお兄ちゃんと呼ぶ子は却下だ



ソコには、先ほど俺が書き込んだレスが表示されていた。
数レス前に実体験風?なレスがあり、それに触発され、つい反射的に書き込んでしまったのだった。

俺は、キモ姉かキモウトのどちらの方が好きか?と問われれば、間違い無く前者を選ぶ。
別にキモ姉が嫌いな訳じゃない。
しかし、実際に『姉』がいる俺は、どうしても一線を引いてしまい、作品を楽しめない。
しかもその『姉』が、実際弟の俺にベッタリのブラコンで、キモ姉作品のキモ姉とどうしても重ねてしまい、姉を『もしかするとキモ姉では無いのか?』と疑ってしまうのがイヤだったからだ。
それに、『妹』という未知の存在に対する憧れもあるのだろう。
そんな訳で、このような『妹』贔屓なレスをしてしまったわけだが……。

「こんな事美夜ねえに知られたら、一体どうなることやら……」

姉の怒った様子を思い出し、思わず体が震えた

492:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:22:54 IPZNh1W8
ガタン!

「っ!」

突然背後から物音がして、驚いて飛び上がるように立ち上がり、ギギギと古びたブリキ人形のような動作で後ろを振り返る。
……実は俺、幽霊妖怪などの霊的存在に非常に弱いのだ。

ともかく、恐る恐る振り向いた。
しかし、振り向いた先には何も──いや、扉がほんの少し、開いていた。

キィ……

扉が軋みを上げて、少しずつその隙間を広げていく。

ヤバい。
俺の本能が警鐘をかき鳴らす。
ぞわぞわと全身の毛が逆立つような感じがする。

キィィ……

絶対ヤバい
もし扉の向こうに『何か』がいたら、間違い無く死ぬ。

キィィ……

止まれ!
そう頭の中で念じてみるものの、扉が開くスピードは全く変わらない。

とうとう脳が処理限界を超過し、意識がブラックアウトするかどうかの所で、扉の隙間からヒョイと見知った──と言うか、見慣れた顔が現れた。

「京く~ん♪」

姉、だった。

「……はぁぁぁぁ」

俺は姉を認識するやいなや、盛大な安堵のため息を吐きながら床にへたりこんだ。

「プッ!アハハハハハッ!!」

俺のその様子を見て、姉──美夜ねえは腹を抱えて笑った。大爆笑。

493:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:23:41 IPZNh1W8
「美夜ねえ笑いすぎ……」
「ご、ごめ、だって、京くんおもしろすぎ……」

しばらく経っても、美夜ねえはくっくっと笑い続けたままだ。
さすがの俺も、ここまで笑われて何もしないままではいられない。
すっくと立ち上がり、ビシッと美夜ねえを指差す。

「人を脅かして笑うなんて、趣味悪いぞ美夜ねえっ!」
「へー?別に脅かしたつもりは無かったんだけどなー?」
「ぐぬぬ…」

俺の抗弁にも、ニヤニヤと笑ったまま痛いところを突いてくる。
反論できず、俺はうなり声を上げながら睨みつける事しか出来なかった。

「はいはい、そんなに睨まないの!」
「……って言うか、美夜ねえは何しに来たわけ?」

そう言いながら、俺と一緒に倒れた椅子を元の位置に戻す。

「ちょっとマンガ借りに来たんだけど……」
「……?」

途中で急に口を止めたので、何事かと思い手を止め、美夜ねえを見ると──

──未だにニヤニヤし続けていたはずの美夜ねえの顔が、俺の方を向いたまま急に無表情になっていた。

「ど、どうしたの?」
「ねえ、ソレ何かな……?」

すうっと、美夜ねえの白い指が持ち上がり、俺──いや、俺の背後を指差す。

494:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:25:02 IPZNh1W8
「へ?何が……ってうわっ!!」

慌てて後ろを振り向くと、そこにはパソコンのディスプレイに映し出された『キモ姉&キモウト小説を書こう!』の文字が。

ヤバい!
もしかしたらキモ姉と言う単語の意味を誤解しているかもしれない!
このままでは俺の命が……

「……い、いやキモ姉ってのはな……」
「……そうじゃない」

俺が動揺しながらもキモ姉について説明しようとすると、何故か、焦点を結んでいないような瞳の美夜ねえが止めた。

「あの、書き込み、何?」
「書き込み?」

もう一度ディスプレイを覗き込むと、そこには先程俺が書き込んだレスがあった。

「……これがどうしたの?」

全く意味が分からず、後ろへ振り返る。
そこには、うつむき、細かく震える美夜ねえの姿が。

「……んで、…うと…なんか……」
「……へ?」

上手く聞き取れず、聞き返す。

「…何で…何で妹なのよ!!」

急に顔を上げ、叫ぶようにそう言った美夜ねえ。
その瞳は、濁っていた──

495:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:25:39 IPZNh1W8
「ねえ!何で妹なの!
お姉ちゃんじゃいけないの!?」


そんな……


「お姉ちゃん今まで京くんのために頑張ってたじゃない!
なのになんでっ!?」


まさか……


「いっつも京くんを一番に思って、京くんのために生きてたのに!」


ウチの美夜ねえが、キモ姉だなんて……


「……今まで我慢してたけど、もう無理。
……京くんには、お姉ちゃんしか居ないって、徹底的に教えてあげるからね♪」


でも……


「クスクス……」


俺は、コレを望んでいたのかもしれない……




その後、>>469の姿を見た者は居なかった……

496:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:27:47 IPZNh1W8
後悔はしていないが反省はしている。
>>469とは一切関係ないのであしからず。

>>469
勝手に調子こいてすいませんでしたorz

497:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:31:00 bZ5LqrEB
一番槍GJ

498:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:38:12 qFTa7NZI
しかしこのスレ的にはどう考えてもハッピーエンドw

499:名無しさん@ピンキー
07/09/06 02:58:11 w8GfNZFs
寝る前に来て良かった GJ

500:名無しさん@ピンキー
07/09/06 03:21:57 cHmz68Sm
保守

501:名無しさん@ピンキー
07/09/06 03:26:17 X0yGwFfO
「姉さん。ちょっとタオルとってくれない?」
「ぁあ!?誰に向かってモノ言ってんだクソガキ!」
「ひ、ひぃいいい!ごめんなさいお姉様!」
またやってしまった。いつものノリで頼みごとをして、姉さんを怒らせてしまった。
ときどき、こうして姉さんはとても怒りっぽくなる。
いつもは優しい姉さんが、まるで悪魔が乗り移ったかのように残虐になり、ちょっとしたことでブチ切れるようになってしまうんだ。
そして、今みたく僕が粗相を仕出かしてしまったときなんかは……

「おい、ガキ」
「は、はい!何でしょうかお姉様!」
姉さんは眉をつり上げて、僕を視ている。
その瞳は、どこまでも冷たい。
あれは決して人を見るような目じゃない。家畜を見る、浅ましい雄豚を眺める屠殺業者がする目だ。
今の姉さんと僕の関係は、喰うものと喰われるもの、殺すものと殺されるもの、
自然界のあるべき姿、弱肉強食の摂理において頂点に立つ絶対的補食者と、それに食される食物の関係でしかない。
人間が食べたパンの数を覚えていないように、姉さんはここで僕のはらわたを喰い千切ったとしても、なんの感慨も湧かないだろう。
「お前みたいな悪ガキには、ちぃとばかしキッツいお仕置きが必要かもしれないわねぇ」
じゅるり、と舌なめずりをする姉さん。
ひたひたと浴室のタイルの上を踏みながら、獲物を追い詰めるべく進む。
「く、くるな!こないでよぉっ!」
「うふふ……そうやって暴れて、無理やりされたいんだね」
僕の内股を撫でながら、潤んだ目で凝視する。
―犯される!弱者の本能が、そう警告した。
「ち、ちが……」
「なんて浅ましい子だい。お前って雄豚は……ほぉら、お前の子豚ちゃんは、こんなになってるわよ」
違う。僕はこんなことされて興奮する変態じゃない。
実の姉に無理やり……されて喜んだりしない。


502:名無しさん@ピンキー
07/09/06 03:27:19 X0yGwFfO
「こんなに泡だらけにして、ちゃあんと洗ってあげなきゃかわいそうだろう?」
「止めてよ……姉さん。こんな……こんなこと、いけないよ……」
嫌だ。―嫌だ嫌だ嫌だ。
犯されたくない侵されたくない冒されたくない!
お願い止めて姉さんお願い僕を犯さないで僕を汚さないで下さいお願いですから昔の優しかったお姉ちゃんに戻ってくださいなんでもしますから―!
「だぁめ。だって、お前から誘ったんじゃないか」
「そ、そんな……」
なんという理不尽。いや、今の姉さんには、それが許されている。
弱者の僕は黙って魔王の姉さんに従わなくてはならないのだから。
「お前のかわいい目が……」
姉さんの舌が、僕の涙をひと舐めする。
「お前の可憐な唇が……」
唇をなぞる、真っ白な姉さんの指。
「お前のやらしいおててが……」
姉さんが、丹念に薬指をしゃぶる。
「そして……お前の浅ましいコレが……」
姉さんが身を屈めて、ぴちゃぴちゃと音を立てると、全身にビクビクと電流が走る。
「……わたしを、誘惑してるんじゃないか」
僕は……もう……
「逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ逆レイプ―ッ!」
「アッー!」
そん、な……一秒間に、十回もだなんて……

503:名無しさん@ピンキー
07/09/06 03:28:12 X0yGwFfO
はぁ。わたしってどうしていつもこうなのかしら?
GENKAITOPPAして、大事な大事な弟をファックしちゃうなんて……
この間、あの漫画読んだのがいけなかったのかな?
でも、あの子を目の前にすると、変になっちゃうのよね。
態度が自然とおっきくなって、わたしはなんでもできるんだーって気持ちになって、
まるで、自分が女王様になった気分みたいなになるのよ。
弟だろうが無機物だろうが、なんでもレイプしてみせる!って感じになっちゃった。
ま、いっか。
あの本のおかげで、愛しい弟をわたしだけのものにすることが出来たんだから。

うふふ……今度は、十一回に挑戦してみようかしら。
来月の危ない日が楽しみね。

504:名無しさん@ピンキー
07/09/06 03:31:59 X0yGwFfO
>>487を見てムシャクシャしてやった。
今は反省している。

505:名無しさん@ピンキー
07/09/06 04:40:53 oynrwI2r
>>504
なんかもう笑ってしまったわいw

506:名無しさん@ピンキー
07/09/06 05:13:18 sBP3TvLC
今年で中二になった弟と喧嘩をした。
不覚にも先手を取られ、弟の拳が私の左オッパイに当たる。

姉「きゃあっ!?、あんっ。。」

最後の「あんっ」は艶っぽい声にして、ナヨナヨと左のオッパイを
押さえながら、パンティをチラリ気味に倒れる。

弟「あっ。・・・ゴ、ゴメン。わ、わざとじゃないんだ、ホントだよっ」
姉「・・・もう、ホントにィ・・・。隙有りィっ!!」

思いっ切り弟の股間を蹴り上げる私。
股間を押さえつつ、口から泡を吹きながら白目を剥いて崩れ落ちる弟。
この私がオッパイを殴られた位で、 陰毛も生え揃っていない牝ガキみたいな反応をするとお思いで?。クス♪

507:名無しさん@ピンキー
07/09/06 10:05:04 KtRkUEPp
>>453
平安貴族の「世間」はせいぜい数百人(200人位だっけ?)

だから、あの時代に書かれたものは、そういった閉じた世界での約束事で成り立っているので、
あの方、とか、~は言わずもがな、とかいった読者に推察や共感を強いるような表現が多いそうだ

508:469
07/09/06 13:27:30 STwERGky
>>496
GJ!!こんな俺にキモ姉を用意してくれるなんて!!
うれしすぎる。



と監禁中の弟の代わりに書き込みました

509:名無しさん@ピンキー
07/09/06 18:30:50 70nOLiUC
>>487
元ネタは何なの?

510:名無しさん@ピンキー
07/09/06 18:31:52 fGado8oA
クラウザーさんwww

511:名無しさん@ピンキー
07/09/07 00:00:48 OiLbHp/E
DMC信者多すぎだろ・・・

512:小ネタ『酔っ払い旋風』
07/09/07 01:23:22 5MKuTMd5
「たっらいまぁぁ~おれぇりゃんのおかえりでしゅよ~ぉ」

夜の10時、俺の平穏は如何考えてもしらふとは思えない様子の姉ちゃんの帰宅でぶち壊された。
恐る恐る玄関の方を見ると、顔を真っ赤にして千鳥足で廊下を進む姉の姿があった。
と言うか、良く見てみると、姉ちゃん、ハイヒールを脱いでいないのだが………

まあ、それはさて置き
あの呂律の回らない喋り口調から多分、姉ちゃんは会社の飲み会か何かで散々飲んで来たのだろう。
恐らく、姉ちゃんがああなるまでに、一緒に飲んだ同僚の人の何人かは撃沈している筈だ。
済まない、至らない姉の所為で撃沈してしまった同僚の人、本当に済まない!

「あんれぇ~?だぁれもいにゃいの~ぉ?」

拙い、この状態の姉ちゃんに捕まったら多分タダでは済まされない。
ここは部屋に閉じ篭った方が安全だ。

「んぁ~………しょういえばおかあしゃんもおとうしゃんも温泉に行ってたッけ~?」

ああ、そうだよ。
今、父さんも母さんも結婚30周年と言う事で夫婦水入らずの温泉旅行に行っているんだ。
だからその間は静かに過ごせると踏んでたのに………姉ちゃんがいた事をつい失念していたorz

「おとうと~ぉ、いるんでしょ~?」

呼ばれてホイホイと出る程、俺は馬鹿ではない。
俺は姉ちゃんの呼び出しを無視して、読書の方へと意識を傾けた。

「んみゅ~、呼んでも出てこないんだったりゃこっちから来ましゅよ~」

その言葉と共に、どたどたとハイヒールを履いたまま木の廊下を歩く音がこちらに近付いてくる。
大丈夫だ、鍵はしっかりと掛けている。念の為につっかえ棒も使った。
これで例え、姉ちゃんが合鍵を持ってたとしてもつっかえ棒が邪魔をして入る事は出来ない筈だ。

「あるぇ~?なんで開かないにょ~?」

程なく、姉ちゃんがドアを開けようとドアノブと格闘を始めるが、
鍵が無い以上は鍵の掛かったドアが開く筈が無く、姉ちゃんは不思議そうに呟く。

「しかたないにゃ~………」

良し、このまま諦めてさっさと寝てくれ。お願いだ。
俺は心の中であらゆる存在に対して、必死に祈りをささげる。

513:小ネタ『酔っ払い旋風』
07/09/07 01:27:22 5MKuTMd5

ド カ ン !

しかし、俺の願いはドアが吹き飛ぶ音と共にあっさりと打ち崩される。
如何やら姉ちゃんはドアに思いっきり体当たりをしたらしく
倒れたドアと共に姉ちゃんが俺の部屋に転がり込む。

「ひっしゃつ、だいなみっくちょっぷぅ~………」

後で言うのか!と言うか如何見てもチョップじゃなくてさっきのは只の体当たりだ!
って、突っ込んでいる場合じゃなくて。

「んふふふ~、弟く~ん。お姉ちゃんとあしょぼう~」

直ぐに姉ちゃんがヨタヨタと立ち上がり、酒臭い息を撒き散らしながらこちらに寄って来る。

「あ、遊ぼうってどんな遊びをするつもりだよ、姉ちゃん………」
「ん~?、性的なプロレスごっこ、かな?」

やっぱりか、やっぱりそのつもりか!

「来るな…来るなって!俺は遊ぶつもりは毛頭無いって!」
「だいりょうぶりょ~、いりゃい事は何もしにゃいって~」

後ずさりする俺に対して、姉ちゃんは指先をワキワキと動かしながらにじり寄ってくる。
拙い、拙過ぎる。安全だと思っていた筈の自室が、途端に逃げ場のないどん詰まりに変化してしまった!
このままでは酔った事によって只でさえ無い自制心が完全に消し飛んだ姉ちゃんによって絞り尽くされてしまう!

考えろ、考えるんだ!何とかしてこの状況から逃れる方法を!考え出すんだ!

と、打開策を考え始めた矢先

「………う゛っ」

不意に、にじり寄って来ていた姉ちゃんの動きが呻き声と共に止まる。
しかも、顔を蒼くして口元を両手で抑えていたりする。

酔っ払いがこのポーズを取ったときは必ず………地獄の門が開く。
俺の脳内に『WARNING! WARNING! 発射秒読み開始 乗組員はすみやかに退避せよ!』のコールが響き渡る。

しかし、この時の俺に退避するべき場所は存在しなかった。

「お、おい、姉ちゃん、やめろ。こんな所で止めて………」
「も゛う゛………我慢できにゃ――」


――そして地獄の門は開かれた。


この後の事は俺の記憶に留めたくない為、記載しないでおく。

只、その翌朝、半分泣きそうな顔で汚染された衣服を洗濯する俺と、
姉ちゃんの自室のベットで二日酔いによる頭痛で喘ぐ姉ちゃんの姿があった事だけを記しておく。

514:名無しさん@ピンキー
07/09/07 01:33:05 tUmqPJ2o
泣けるで!

515:小ネタ『酔っ払い旋風』
07/09/07 01:46:52 5MKuTMd5
台風の夜にボンヤリしていたらつい書いてしまった、反省していた。

>>514
涙はこれで拭いとき つ◇

516:名無しさん@ピンキー
07/09/07 01:48:49 tUmqPJ2o
オデブキャンデーどうぞ、それにしてもGJでした

517:名無しさん@ピンキー
07/09/07 01:56:56 FqePs41/
>>515-516の流れに「愛理さんもちょっとしたキモ姉」と言わざるを得ない

518:名無しさん@ピンキー
07/09/07 06:48:59 eKd1ZCka
携帯の着信が弟の声ってのにはフイタわw

519:名無しさん@ピンキー
07/09/07 10:19:50 k7cYZpWD
お兄ちゃん!
彼女いないって、言ったじゃない!


この言葉だけで何分ぐらい妄想できる?

520:名無しさん@ピンキー
07/09/07 11:04:58 vW4INcPb
半日はかたい

521:名無しさん@ピンキー
07/09/07 11:16:08 9K2YcC2x
>>519
そこから別の台詞や行動に発展させても良いのなら日がな一日。

522:おゆき ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:42:05 sCu2rWYp
微エロ投下します。

523:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:43:13 sCu2rWYp
綾が身をぼろぼろにして帰って来た夜、汚れを落として欲しいという綾の懇願に、陽一は応じてしまった。
ベッドの中で、兄妹は何度もキスを繰り返した。
気丈な妹が涙を浮かべてキスを求めるその姿に、陽一はひたすら自分を責めた。
己のわがままのせいで、綾は変わってしまったのだと。
気の狂った男に汚され、あの気高い心が崩れ落ちてしまったのだと。
元の綾に戻って欲しい。
元気で、少し生意気で、厳しいけど本当は優しい、昨日までの妹に戻って欲しい。
その一心で、陽一は綾と唇を重ねた。
実の妹と口付けを交わすことに倫理的な罪悪感は大いにあったが、それ以上に、妹にかつての姿を取り戻して欲しいという思いが強かった。
次の日の朝、目を覚ました綾に、陽一は伝えた。
「夕里子さんと別れることにしたよ」
「そう……」
身を起こし、そっと陽一の頬に口付けをする綾。
互いにそれ以上の言葉は無かった。
朝食を食べた後、綾は学校に行きたくないと言った。
「お兄ちゃん以外の人に会うのが怖い……」
「そうか……なら、今日は家に居るといいよ」
「……お兄ちゃんも傍に居てくれる?」
おずおずと上目遣いに聞いてくる綾に、陽一は力強く頷いた。
「当たり前だろ」
それから、綾も陽一も一切外に出ず、家の中で過ごした。
綾はずっと陽一の傍に身を寄せ、いつでもどこでもキスを求めた。
台所で料理中に、居間で読書中に、午後の光の差す自室でまどろみながら、二人は幾度となくキスをした。
浅く、触れるようなキスは、いつしか舌を絡める濃厚なキスとなっていた。
そして、唇へのキスだけでは綾は満足しなかった。
「頬も舐められたわ」
「胸にも触れられた……」
「お腹にも手を這わせてきて……」
ボタンを外し、服をはだけさせて兄の前に白い肌をさらして、綾は懇願した。
「お兄ちゃん、お願い……私の汚れを全部取って……」
陽一は逡巡しながらも、綾の体に口付けをした。
頬に、胸に、腹に。
「脚も無理矢理広げられたの」
ベッドに寝転んで膝を立て、綾は陽一に訴えかけた。
「ほら、ここよ……」
短めのスカートの下にのぞく、真っ白な下着。
局部の形に沿うようにして皺のよった薄布のすぐ脇の太腿の付け根を、綾は指差した。
陽一は戸惑いながらもベッドの上に上がり、這うようにして綾の股間に顔を寄せると、青白い太腿に口をつけた。
「ん……」
目の前で自分の股間に顔をつける兄を見て、綾は大きな興奮に襲われた。
呼吸が乱れ、甘い吐息が漏れる。
慌てて口をつぐんで、陽一に自分の心の動きを悟られないようにした。
この悦びを悟られては、ここまで兄に償いを求め続けた意味が無い。
紅潮した顔を見られないようにと、陽一の頭を上から軽く押さえて、ひたすらに自分の内太腿を舐めさせた。
「お兄ちゃん、しっかり舐めてね……」
綾の言うままに、陽一は綾の太腿に舌を這わす。
下着越しに微かに秘所に触れる兄の吐息に、綾は下半身がきゅんと熱くなるのを感じた。
表情や呼吸の変化は繕うことはできても、体の変化ばかりはどうしようもない。
自らの秘所に火照りと疼きを感じながら、綾は思った。
今、自分のあそこはどうなっているのだろうと。
濡れているのだろうか。
(だとしたら、お兄ちゃんは気付いているのかしら……私の……女としての体に……)
スカートの陰に隠れて、陽一の表情は見えない。
綾は息を押し殺して、肌の上をなぞる陽一の舌の感触を感じていた。

524:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:43:57 sCu2rWYp
要求はより大胆で淫らなものとなり、ついには下着の上から秘所に触れるよう陽一に求めた。
「お願い……ね?」
「綾、さすがにそれは……やめておこう」
「あ、そう」
これまでに無くはっきりと拒絶の意をあらわにした陽一の目の前で、綾は小さなナイフを握った。
そして、自分の左腕の内側を削ぎ落とすようにして薄く切った。
「綾!? な、何をしてるんだ!」
肉が抉れ、血が流れ落ちる。
慌てて駆け寄る陽一に、綾は笑って言った。
「ここは、昨日お兄ちゃんがキスしてくれなかったところなのよ」
「え……?」
「汚されたままで放っておいたら、腐っちゃうでしょ? だから、綺麗になっていないところは切り捨てなきゃ」
スカートを押さえるようにして、綾は自分の股間に触れた。
「お兄ちゃん、ここにはただの一度もキスしてくれたことないよね? 触ってもくれてないよね?」
「綾……」
「もう腐っちゃってるかもしれないわね」
ナイフを握った腕をゆらりと揺らす綾を、陽一は慌てて取り押さえた。
「ま、待て!」
陽一の勢いに押されたようにして、綾は背後のベッドに倒れこむ。
陽一の手を握り、引きずり込むようにして自分の上に覆いかぶさらせた。
「お兄ちゃん……わかったなら、お願いね?」
「ああ……わかったから……自分を傷つけるなんてしないでくれ……頼むから……!」
陽一は目に涙を溜めながら、綾の下半身に手を伸ばした。
下着の上から、震える手で綾の秘所に触れる。
経験が無い以上、ただ愚直に手でなぞるしかなかったが、綾は陽一の手がそこに触れただけで身を捩じらせて感じてしまった。
「お、お兄ちゃん……!」
反射的に太腿を閉じ、陽一の手を挟むようにしてより強く自らの秘所に押し付ける。
じわりと下着が愛液に濡れた。
「お兄ちゃん……ん……んんっ……!」
両の手をしっかりと陽一の背中に回して抱きつき、熱い息を吐いた。
「お兄ちゃん……! もっと……もっと……! 唇にも、胸にもキスして……!」
ベッドの上で情熱的に絡み合う二人の行為は、紛れも無い、恋人同士のするような愛撫だった。
「あ……ああ……! お兄ちゃん……!」
自分の体の下で、小さく喘ぎながら身悶えする妹。
陽一は、罪の意識に苛まされながら、その行為を続けた。

そうして、三日経っていた。
暦は十一月に入り、色づいた葉は道に舞い落ちて、冬の冷たい風が吹き始める。
北風が窓を鳴らす音が響く家の中で、陽一と綾は二人、ベッドの中で寄り添って寝転んでいた。
カーテンの隙間から入る秋の終わりの日差しに、陽一は目を細め、布団の中から身を起こす。
うなだれて、じっと自分の手を見た。
「何をしてるんだ、俺は……」
その手は、つい先ほどまで、妹の身体を愛撫していた手だった。
「綾……」
傍らには綾が、安らかな寝顔で眠っている。
布団の端からのぞく左腕には、血を押さえるための包帯が巻かれていた。
「どうしてこんな……」
ぽつぽつと、布団の上に涙が落ちた。
今の綾との関係は、どう考えても普通の兄妹の関係ではない。
しかし、この関係を続けなければ、綾はそれこそ自ら命を絶ってしまうかもしれない。
「どうしたらいいんだ……」
声を震わせて泣く陽一を、綾は薄く目を開けて見つめていた。

525:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:44:54 sCu2rWYp
次の日、陽一はやかましい金属音に目を覚ました。
「はいはい! 朝ですよ! 起きた起きた!」
「え……綾?」
凛とした、鋭い声に跳ね起きる。
何日ぶりかに聞く綾の元気な声だった。
「ほら! 今日は学校に行くんだから、ちゃんと起きて支度してよね!」
「え……え?」
「何よ、その顔は? まさか、まだ休み足りないっていうの?」
綾はにやにやと笑いながら、手に持っていたおたまと鍋の蓋を、こつんと鳴らす。
「やかましいと思ったら……何でそんなの持ってるんだ?」
「お兄ちゃんを起こすために決まってるでしょ。私は授業なんて受けなくてもなんとでもなるけど、お兄ちゃんはこれ以上休んだら勉強についていけなくなっちゃうもんね」
綾はすでに制服を着込み、朝食の準備のためだろう、その上にエプロンをかけていた。
「まだ目が覚めない? 鍋じゃなくて、お兄ちゃんの頭を叩いてあげようか?」
言って綾は、おたまの柄で陽一の頭を垂直に打つ。
手加減の無い打撃に、陽一は小さく叫び声をあげた。
「いてっ」
「目が覚めた?」
「お、お前なあ、返事する前に叩いてるじゃないか」
「ふふ……まあいいじゃない。可愛い妹の愛の鞭よ。ほら、着替えは用意してあるから、起きてちょうだいね」
明るく笑う綾を、陽一はまじまじと見つめた。
「何よ? 変な目で見て」
「いや……お前……学校に行くって……大丈夫なのか?」
「んん? 心配してくれてるわけ?」
心配でないわけがない。
綾は昨日まで、自傷に走るほどの精神状態にあったのだ。
「無理してるんじゃないのか?」
「無理なんてしてないわ」
軽く言って、綾はベッドから身を起こした陽一の唇にキスをした。
三日間、数え切れないほどしたとはいえ、抵抗感がなくなったわけではなく、陽一は顔を真っ赤にして綾から身を引いた。
「お、お前、また……」
「お兄ちゃんのおかげだから」
綾は頬を朱に染めて、えへへ、と嬉しそうに笑った。
「お兄ちゃんが、私はまだ汚れて無いって教えてくれたから、もう少し頑張ってみようって思ったのよ」
本当に朗らかな笑顔で、綾は言う。
「……どんなに苦しいことがあっても、お兄ちゃんが守ってくれるってわかったもの」
「今回のことについては、そもそもの原因が俺にあったわけだけどな」
自嘲気味に言う陽一に、綾は強く首を横に振った。
「だけど、お兄ちゃんは夕里子さんと別れてくれたじゃない。私を選んでくれたじゃない。これからは夕里子さんじゃなくて、私を守ってくれるってことでしょう?」
夕里子の名が出た時、陽一は微かに悲しそうな顔をしたが、気付かないふりをして綾は続けた。
「お兄ちゃんはまだ色々悩んでいるみたいだけど……私、お兄ちゃんにキスしてもらって、本当に救われたのよ」
「……そうか」
「兄妹でこんなことするのは、お兄ちゃんにとってはいけないことなのかもしれない。罪悪感を感じるなというのは無理な話なのかもしれないわ。でも、お兄ちゃんが抱きしめてくれたおかげで、私は今も生きていられるのよ」
綾は再び陽一と唇を合わせると、切なげに声を震わせた。
「お願いだから……そんなに思い詰めた顔をしないでちょうだい」
「そんなに暗い顔してるか?」
「してるわよ。もう真っ暗よ」
陽一の頬をつねって、綾は唇を尖らせる。
「それとも……私が自分の体を全部削ぎ落としてた方がよかったの?」
「いや、そんなわけはない」
「なら、もっと胸を張ってよ。お兄ちゃんは、最後には私を助けてくれる……私の、自慢のお兄ちゃんなんだから」
陽一の胸に顔を埋め、甘えるように声を出す。
そんな妹の様子に、陽一は微かながら心が落ち着くのを感じた。
「そう……だな。綾が元気になったのなら、それは喜ぶことなんだよな」
「そうそう。でも……夕里子さんとの関係を蒸し返したりしたら、また同じことだからね。その辺、わかっているわよね?」
一瞬鋭さを見せる綾の言葉に、陽一は無言で頷いた。

526:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:45:53 sCu2rWYp
「んー! 久々に外に出ると気持ちいいわね!」
駅のホームで電車を待ちながら、綾は思い切り伸びをした。
「あれだけ嫌だった満員電車も、今じゃ懐かしく思えるから不思議よね」
通過列車の風に、ツインテールに結んだ髪が揺れる。
切れ長の、どこか挑発的な目を光らせて、隣に立つ陽一を見た。
「お兄ちゃん、わかってるわよね?」
「え? 何が?」
「『何が?』じゃないわよ! 電車の中! 乗ってる男の人たちが私に触れないよう、ちゃんと抱きしめててよね!」
怒った口調だが、綾はあくまで笑顔だった。
いつかのように足を踏むのも忘れない。
痛がる陽一の耳に口を寄せ、
「ちゃんと抱きしめててくれないと、学校でキスしてもらうことになるからね」
と囁いた。
「お、おま……それは……」
「はい、文句言わない」
陽一の口を塞ぐように、綾は素早くキスをする。
そうして、陽一の腕に抱きついた。
「……綾……もし誰かに見られたら……」
「お兄ちゃんが、不安にさせるようなことを言うからよ。私だって、お兄ちゃんを困らせるのは本意じゃないんだから」
しっかりと腕を組んでくる綾に、陽一は慌てて周囲を見る。
こんな姿を知り合いにでも見られたら、何を言われるかわかったものではない。
不安げな表情の陽一に、綾はクスクスと忍び笑いを漏らした。
「大丈夫、同じ学校の生徒はこのあたりにはいないわよ。私がそんなへまをするわけないでしょう?」
「そりゃ、お前の抜け目無さは大いに認めるところだけどさ……」
「ふふ……夕里子さんと付き合い始めてから色々あって、お兄ちゃんの評判もあんまりよろしくないものね。これ以上、お兄ちゃんの名誉を損なうようなことはしないわよ」
綾は陽一と腕を組んだまま、もう一方の手で指折り数えた。
「まず宮入さんが自殺したわよね。それに、佐久間さんが強姦されて、写真をばら撒かれて、佐久間さんのお母さんが自殺して、佐久間さんも自殺未遂して……」
綾の挙げていった事件の一つ一つが、陽一の胸に突き刺さる。
「夕里子さんのお友達たちも、さすがに怖がって離れていっちゃったみたいだし……お兄ちゃんのお友達はどうなのかしら?」
「どうだろうな。教室だとみんな何も言わないけど……以前と接し方が違っているのは確かだな……」
少し悲しげな表情を見せる陽一に、綾は心が痛んだ。
夕里子と別れさせるためとはいえ、陽一にここまでの被害を与えたのは自分なのだ。
(宮入智恵の時点で別れてくれていれば、こんなことにはならなかったんだけどな……)
恋人のように陽一に寄り添いながら、綾は次にするべきことを考えた。
(このままじゃいけないわよね。お兄ちゃんには笑っていてもらわなきゃ)
自分と天秤にかけさせたうえで夕里子と別れさせたのだから、夕里子にはほぼ完全に勝利したと言ってよい。
細々とした後処理は残っているが、実に満足のいく結果だった。
後は陽一の評判を綺麗なものにし、健全な人間関係を取り戻して、自分と一緒に平穏な日々が送れるようにする必要がある。
「お兄ちゃん、元気出して!」
陽一の背中を叩き、綾は笑った。
「お兄ちゃんを悪く言う人がいたら、私がどうにかするわ。お兄ちゃんが私を守ってくれるように、私もお兄ちゃんを守るからね」
「そっか……ありがとうな」
よしよしと綾の頭を撫でる陽一は、やはり元気が無い。
改めて、これから頑張らねばと、綾は内心で奮起する。
ただ、陽一のこと以外にも、忘れてはならないことがあった。
「そうそう……私が森山浩史に襲われたことは、誰にも言わないでね。当然、縁さんにも」
「ああ、言わないよ」
「絶対によ? 私の体が汚されたことがお兄ちゃん以外の人に知られたら……私、恥ずかしくてどうなるかわからないからね」
縁に不審を抱かせる情報を与えてはならない。
できるなら、縁と陽一の関係を完全に断ってしまいたいかった。
「縁さんは、勝手に調べて警察に届けたりしそうだから、お兄ちゃんから余計なことをするなって言っておいてほしいな」
「俺が言っても意味無いだろ」
「ううん。お兄ちゃんの言うことなら、縁さんは聞いてくれるよ」
縁は陽一に嫌われる真似はしない。
その確信が綾にはあった。

527:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:46:54 sCu2rWYp
「綾……!」
教室に入った綾を出迎えたのは、小夜子の熱烈な抱擁だった。
「ちょ、ちょっと、小夜子……」
「綾……! もう! 馬鹿! 心配したのよ!」
しっかり数秒抱きしめて、小夜子は離れる。
心配そうに問いかけた。
「もう体はいいの?」
「ええ、ばっちり。もうすっかり健康体よ」
小夜子は心配そうに、綾の額に手を当てた。
「本当? 熱は無いみたいだけど……」
「そんなに心配しないで。本当にもう大丈夫なんだから」
体調など悪いはずが無い。
休みの理由として学校に風邪と届けただけで、実際は陽一と二人きりで過ごしていただけなのだ。
「ふふ……心配性よね、小夜子は」
「心配もするわよ。あんなことがあった後だし……綾にまで何かあったんじゃないかって……」
肩までの髪を揺らして、小夜子は目を潤ませる。
涙腺の緩い友人に、綾は悪いと思いながら笑ってしまった。
「大げさよ、そんな」
「だって……二学期になってからもう二人亡くなっているのよ? 学校の雰囲気もおかしいし……私、綾にまで何かあったら……」
またじわりと涙を滲ませる小夜子。
「私がどうにかなるわけないでしょう? それを言うなら、小夜子こそ大丈夫だったの?」
「うん、大丈夫……」
「なら良かった。小夜子に何かあったら、私の方こそ大ショックだわ」
にこりと笑って、綾は席に着く。
「はい、休んでいた時のノート」
「ありがとう」
小夜子の差し出したノートの束を受け取り、パラパラとめくる。どうやら授業については問題無しのようだった。
「学校の雰囲気がおかしいって言ってたけど、どんな風におかしいの?」
「うん……前よりもずっと暗いのよね。……鬱々してる感じ。あの事件の後、影響を受けちゃったのか、自殺未遂をした人が一人いて……休む人も増えてきたし」
「へええー、そりゃ確かに普通じゃないわね」
仕組んだ綾も驚くほどの影響を生徒たちに与えていたらしい。
「まあ確かに、あんな風に人死にが出れば当然かもね。言われてみると、うちのクラスも活気が無いみたいだし」
綾は教室全体を見回す。
いくつかの席は、朝のホームルームの時間が迫っているというのに、空いたままである。
綾の方を見て何やら話をしていた生徒たちが、慌てたように目をそらした。
「それに、何だか私、注目されているみたいね」
「うん……ユリねえと陽一さんは、あれからずっと噂されてるから」
「いい噂なわけはないわよね」
やれやれと綾は首を振った。
どうやら陽一の名誉挽回は思った以上に手間がかかりそうだった。
「噂の当人のお兄ちゃんは、今日まで仲良く病欠していたわけだけど、夕里子さんの様子はどうなの?」
「ユリねえは……元気ない……この何日か、特に」
佐久間愛に関する一連の事件の後、夕里子の評判は地に堕ちていた。
今、夕里子の周囲には誰もいない。
夕里子に関わると酷い目に遭うという恐怖、人殺しの仲間と見られることへの嫌悪から、皆離れていってしまったのだ。
昼休みに縁や小夜子と昼食をとるものの、それ以外の時間は完全に孤立していた。
「ここのところ、話しかけてもぼーっとして反応してくれなかったりして……本当、心配なのよ……」
「なるほどね」
どうやら夕里子は、陽一から振られたことを、少なくとも小夜子には話していないようだった。
(話もできないほどショックだったのか、それとも別れるつもりはないということか……)
いずれにせよ、今日明日中には陽一と接触を持とうとするのは間違いないだろう。
(もう絶対に、お兄ちゃんは渡さないわ……)
夕里子をさらに追い込むにはどうしたらいいだろう。
ぼんやりと、いくつかの案を頭の中で吟味する。
「綾! 綾ってば!」
小夜子の呼びかけで現実に引き戻された。
「ぼーっとして……大丈夫?」
「ん、ちょっと考えごとしてたのよ」
小夜子は知る由もなかった。
目の前の親友が、自分の敬愛する従姉に対して、さらに残酷な牙を剥いていることを。

528:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:47:41 sCu2rWYp
陽一の久々の登校を迎えるクラスの雰囲気は、何とも微妙なものであった。
級友たちは挨拶もぎこちなく、こそこそと話をしている。
覚悟していたことなので、特に気にした様子も見せず、陽一は自分の席に着いた。
「おはよう。久しぶりだね」
「久しぶりって、たかが三日だろ」
クラスの人間が遠巻きに見守る中、陽一に声をかけたのは、委員長の縁だった。
縁は周囲の雰囲気などまるで気にした様子も無く、陽一にいつものように話しかけた。
「はい、休んでいた間のノートだよ」
「ああ、ありがとう」
「風邪はもう治ったのかな?」
「ひとまずはな」
綾と二人で過ごした背徳的な三日間が脳裏をよぎる。
自然と表情が沈んだ。
「元気無いね」
「そうか?」
「うん、元気ない。支倉君のことなら、ちょっと見ればわかるよ」
「……まあ、どうやら悪い意味で有名人になっちゃったみたいだからな」
縁は、なるほど、と頷いて教室を見回した。
「大丈夫だよ。どんなことがあっても私は支倉君の味方だから」
言って、陽一の目をじっと見つめる。
「だから、何かあったらいつでも私に相談してくれていいからね」
「ああ」
「今は、何か悩んでることとか無いのかな?」
「特に無いよ」
「本当に?」
いつの間にか縁の顔がすぐ目の前に迫っているのに気付いて、陽一は思わず身を引いた。
「ああ、本当に無いよ」
「ならいいんだけど、本当の本当に?」
心の内を見透かしたように、縁はじっと見つめて問いかけてくる。
ここで話してしまえば、いくらか気が楽になるかもしれない―
そんな思いが一瞬頭によぎったが、すぐに綾の言葉を思い出した。
『お兄ちゃん以外の人に知られたら……私、恥ずかしくてどうなるかわからないからね』
どうなるかわからない。
それはつまり、今の綾にとって、その身を傷つけることを意味する。
余計なことをしないように言っておいてくれとも言っていた。
「宇喜田……心配してくれるのは嬉しいけど、変に勘繰らないでくれよ。本当に何もないんだから」
「ん、不快にさせちゃったかな?」
あはは、と縁は笑った。
「私、一度気になりだすと止まらなくて。うん、わかった。支倉君がそう言うなら、もう気にしないようにするよ」
ホームルームの時間が近づき、次第に人が増えていくが、相変わらずひそひそと話し声が聞こえるだけで、教室内の陰鬱な雰囲気は変わらない。
縁はスカートのポケットから手紙を取り出した。
「これは……?」
「夕里子ちゃんからだよ。支倉君が来たら渡してくれって言われてたんだ」
水色の、飾り気のない封筒。
開いてみると、細く綺麗な字で、『昼休み、屋上で待っています』とだけ書かれていた。
「夕里子ちゃん、すっかり元気無くしちゃってるから、支倉君が励ましてあげなきゃだめだよ。恋人なんだから」
「そうか、聞いていないんだな……」
「何を?」
「夕里子さんとは別れたんだよ」
あらら、と縁は間の抜けた声をあげた。
「どうして?」
「色々考えて決めたんだ。俺なりにさ」
「支倉君、やっぱり何かあったんじゃないのかな? だとしたら……」
「宇喜田」
縁がしゃべるのを、陽一は少し大きな声を出して押しとどめた。
「これは俺と夕里子さんの問題で、それ以外は何も無いんだ。俺が夕里子さんと別れようと決めただけなんだ。俺に関しては、これ以上変に関わろうとしないでくれ」
「……そうだね。ごめん」
ややきつい陽一の物言いに、縁は表情を変えることなく謝る。
それから、縁が夕里子に関する話題を口にすることは無かった。

529:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:48:25 sCu2rWYp
灰色の雲が重苦しく垂れ込める十一月の空。
初冬の風が吹き荒ぶ屋上に、夕里子は一人立っていた。
栗色の髪は寒風に狂ったように舞い、絶え間なく宙に流れている。
美しく整った顔は病的なまでに白く、優しい光を宿していた瞳は虚ろで、ぽっかりと黒い穴が開いているかのようだった。
「夕里子……さん?」
「陽一さん、来てくれたんですね」
嬉しそうに目を細め、ゆっくりと陽一のもとに歩み寄った。
「不安でした。来てくれないんじゃないかって……三日間ずっと待っていました」
「ごめん。俺、ずっと学校休んでたから」
「そう……そうでしたね。わかってはいたのですが、それでもここで待たずには居られなかったんです」
夕里子は陽一の頬に手を伸ばし、愛しげに指先で撫でた。
「陽一さん……会いたかった……」
風の音に紛れてしまいそうな細い声で言って、夕里子は陽一に抱きつこうとする。
その細い両肩を陽一は手で押さえ、押し止めた。
「陽一さん……?」
「夕里子さん、メールで送ったけど……俺たちはもう別れた方がいいと思う。別れよう」
陽一の言葉に、夕里子は穏やかに笑った。
「……ええ、承知しています」
美しいが生気が無い、人形のような笑顔だった。
「悲しいけど、仕方の無いことだと思っています。陽一さんは、優しい人ですから……他の人が傷つくのが耐えられないんですよね」
「君だってそうだろう」
「どうでしょうね」
微笑みながら、夕里子はぽろぽろと涙を零した。
「私、転校することになると思います」
「え……?」
「今度の件で、色々と問題を起こしているのがお父様に知られてしまいましたから。もと行く予定だった女子校に編入されるそうです。結局、あの便箋にあった通りになってしまいましたね」
佐久間愛の事件の際の脅迫文には、『別れたことの証明は、いずれかの証明を以ってする』とあった。
「これでもうみんなに迷惑をかけずに済みますね。どうせこうなるなら、初めから無理をするんじゃありませんでした。おかげで佐久間さんは……」
「……森山浩史のことは大丈夫なのか?」
「お父様がお知り合いを通じて、警察に強く訴えてくださったみたいです。たぶん……これからのことは大丈夫だと思います」
夕里子は俯いてため息をついた。
「結局、私たちの恋は何だったのでしょうね」
栗色の髪が、風に舞い乱れる。
陽一は何も言えなかった。
「……別れるといっても、最後に抱きあうくらいは許していただきたいです」
すがり付いてくる夕里子を、陽一は今度は押し止めなかった。
鉛色の空の下、二人は静かに抱き合った。

530:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:49:26 sCu2rWYp
放課後、文化祭実行委員の集まりに縁と共に参加した陽一を、綾は校門で待ち受けた。
夕影の中、昇降口から歩いて来る陽一を目に留めると、綾はすぐさま駆け寄ってその腕に抱きついた。
「お兄ちゃん!」
「綾……」
甘える猫のように腕に頬を擦り付ける綾に戸惑いながら、陽一は尋ねた。
「ずっと待ってたのか? けっこうな寒さだったろうに……」
「ずっとじゃないわ。私もついさっき来たところよ。放課後やることがあったしね」
綾はきょろきょろと辺りを見回す。
「縁さんは? 一緒じゃなかったの?」
「ああ。宇喜多は、用事があるとかで先に行ったけど……校門を通らなかったか?」
「通らなかったけど……ま、どうでもいいわ」
組んだ腕を引き、少し体制を崩させて、綾は陽一とキスを交わす。
そして、嬉しそうににこりと笑った。
「二人きりならこうやってキスもできるし、好都合よね」
「綾……外では……」
「大丈夫。誰も見ていないわよ。今日一日、恐怖に押し潰されそうになるのを我慢してクラスの男の子とも話したんだから、エネルギー補給くらいさせなさいよね」
駅までの道すがら、綾は陽一にその日一日のことを面白おかしく話した。
夕里子のことも、縁のことも、ひと言も言わなかった。
「……聞かないんだな。夕里子さんとのこと」
「え? どうして?」
「いや……いつもお前は、俺と夕里子さんとのことを聞いてきたし……もっと追及してくるかと思った」
「しないわよ、そんなこと。お兄ちゃんが私のために別れるって言ってくれたんだもの。信じない道理が無いわ」
さも当然とばかりに綾は言った。
「……夕里子さん、転校することになるみたいだ」
「そう」
「警察も動いているみたいだし、もうお前に迷惑をかけることもないと思う」
「縁さんは?」
「宇喜多には……もう俺と夕里子さんとの問題だからって言っておいた。お前のことは話さなかったし、変に勘繰らないでくれとも言っておいたよ」
綾は無言で深く頷いた。
(警察、か……)
この数ヶ月で殺し過ぎた感はある。
追及はそれなりに厳しいものになるだろう。
「やれやれ……まだまだ大変ね」
「ん?」
「何でもないわ。それより、今日の夕食は何がいい?」
兄妹は仲睦まじく腕を組んだまま家路についた。

531:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:50:09 sCu2rWYp
空き教室で、縁と夕里子は向かい合っていた。
西日が真横から二人を照らし、長い影が教室の床に伸びる。
「今日屋上で……陽一さんと抱き合いました」
虚ろな目で縁を見つめながら、夕里子は言った。
「それで最後って、陽一さんと約束したんです。だから……もういいんです」
「あらら、諦めちゃってるね」
夕里子のか細い声に、縁のあっけらかんとした声が対照的に響いた。
「支倉君を嫌いになったわけじゃないんでしょ?」
「そんなわけありません……」
「好きなんだったら、もう少し頑張ってみてもいいと思うんだけどな、私としては」
縁の助言に、夕里子ははっきりと首を横に振る。
「皆さんに迷惑がかかります」
「夕里子ちゃんのお父さんが、警察の偉い人をけしかけてくれたんでしょ? 大丈夫だよ」
「でも……」
夕里子とて未練がないわけではない。
生まれて初めて好きになった人なのだ。
「陽一さんは……別れると言っていました。私の想いだけではどうにもなりません」
「支倉君は、夕里子ちゃんのことを嫌いになったって言ったの?」
「それは……言われていませんけど……」
「つまり、支倉君も本心では別れたくないってことだよ。二人とも一緒に居たいって思っているのに、諦めちゃっていいのかな?」
夕里子はぎゅっと唇を噛んだ。
そして、彼女には似つかわしくない、険しい眼差しを縁に向けた。
「……宇喜多さんは、何とも思わないんですか?」
「何がかな?」
「佐久間さんのこと……佐久間さんのお母様のこと……何とも思わないんですか!?」
「申し訳ないことをしたなって思ってるよ」
あっさりとした物言いに、夕里子は噛み付くように言う。
「だったら……! 何でそんな、何事も無かったみたいに言えるんですか!?」
「私は、支倉君と夕里子ちゃんに幸せになってもらいたいだけだよ」
「……そのお気持ちは嬉しいです。でも、人を不幸に追いやって幸せになるのは、私には無理だとわかりました」
「そっか」
縁は残念そうに笑って、頭をかいた。
「もうこれ以上、支倉君とお付き合いはしないと、そういうことだね?」
「……そうなりますね」
「どうしても? 考え直したりはしない? 私は出来る限り協力するよ?」
縁は夕里子に歩み寄り、肩を掴んで問いかけた。
優しい声で、優しい眼差しで。
「もし少しでも未練を感じているなら、保険をかけておいた方がいいと思うんだけどな」
「保険……?」
「そう、保険。転校して離れ離れになっちゃったとしても、全部が解決して二人の邪魔をする人間が居なくなったとき、またよりを戻せるように」
「そんなことが……できるのですか?」
簡単だよ、と縁は笑った。
「支倉君と、男と女の関係になればいいんだよ」
「え……そ、それって……」
「エッチしちゃえばいいってこと。支倉君は責任感の強い方だし、夕里子ちゃんのことを忘れられなくなるはずだよ」
夕里子は頬を赤らめ、目をそらす。
「で、でも陽一さんは私のことを抱くなんて……嫌がると思います」
「そんなわけ無いよ。支倉君だって、別れたいわけじゃないんだから」
縁は、夕里子の肩を掴む手に、さらに力を込めた。
「好きな人と結ばれて……しかも、また恋人に戻れるかもしれないんだよ?」
「また……陽一さんの恋人に……」
もう身を引くしかないと思っていた夕里子にとって、それはあまりにも甘美な響きだった。
陽一と結ばれる―
考えるだけで、緊張し、体が熱くなった。
「ご迷惑じゃ、ないでしょうか……」
「ご迷惑じゃないと思うよ」
夕里子は迷いながらも、気付いたら頷いてしまっていた。

532:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:51:32 sCu2rWYp
次の日の放課後、綾は縁に呼び出され、中庭にやってきた。
四方を校舎に囲まれてはいるが、南側と西側の校舎は高さが低いため、昼から夕にかけては日の光がよく入る。
古びた校舎の壁も、枯れた下草も、葉を落とした木々も、すべてが夕日の赤に染まっていた。
「綾ちゃん、おひさだね」
「何です、こんなところに呼び出して」
中庭の真ん中に立って出迎えた縁に、綾は不快感を隠さずに言った。
「私も暇じゃないんですけどね。何か大切な用事なんですか?」
「大切な用事というか……綾ちゃんと親交を深めたいと思って」
背後に隠していた手を、ぱっと広げる。
その手には、バドミントンのラケットが握られていた。
「じゃーん」
「……じゃーん、じゃないわよ」
早くも敬語を崩して、綾は突っ込んだ。
「綾ちゃん、バドミントンしよう」
「気でも狂ったの? 何でこんなところであんたとお遊戯をしなきゃならないのよ」
「あっはは。ひどいなあ。綾ちゃんと仲良くしたいだけなのに」
縁は綾の手をとり、ラケットを握らせる。
「ネットもコートも無いけど、ここを中心に高さはこのくらい。コートの幅は、このくらいでやろうか。綾ちゃんはおりこうさんだから、頭の中にコートを描いてできるよね」
「……まだやるなんて一言も言ってないんだけど」
「ちなみにこの試合は特典付きだよ」
「特典?」
「一打打つごとに相手に質問ができる特典。相手は、必ず質問に答えなければならない。質問は、点を取られるか、質問が途切れるかするまで続けられるよ」
「何なのよそれは」
綾は険悪な表情を崩さない。
一方の縁も、いつもの微笑を崩さなかった。
「綾ちゃんは私の質問に正直に答えなくてもいいよ。適当な答えでもかまわない。でも私は、綾ちゃんの質問に全部正直に答える。どう? おもしろそうじゃない?」
「ふーん……」
縁が何を意図しているかはわからない。
しかし、いつも笑ってばかりいる優等生面をした女の素顔はどんなものなのか。
綾は強く興味を引かれていた。
「あんたが私の質問に正直に答える保障なんて、何もないわけだけど」
「そこは信じてもらうしかないかな。ここで嘘をついたらもう二度と綾ちゃんと遊んでもらえなくなっちゃうだろうし、私は本気だよ」
「なるほどねえ……」
踵を返し、綾は縁から五歩、十歩と離れる。
そうして再び縁の方を向き、ラケットを構えた。
「いいわ。来なさい」
「先手は綾ちゃんでいいよ」
縁がバドミントンの羽を放り投げる。
「ちなみに負けた方は勝った方にパフェをおごるということで」
「はいはい。どちらにせよ勝つのは私だから……」
綾はふわりと羽を空中に投げ―
「問題無しよね?」
思い切り打ち出した。
鋭い球筋だが、縁は素早く横に動き、難なく打ち返す。
「それは違うかな」
打ち返された羽は、二人が頭に描くコートの隅に吸い込まれ、綾はあっさりと得点を許してしまった。
「勝つのは私だよ。どんなことでもね」
誇るわけでもなく、蔑むわけでもなく、ただ淡々と縁は告げる。
やはりこの女は違う。
綾は改めて思った。
「今度は私の番だね」
「ふん……」
「綾ちゃんは、女の子かな?」
問いかけながら、厳しいコースに打ち込む。
「見てわかるでしょう!」
負けじと綾も打ち返した。
学業のみならず、身体能力も各々の学年で並外れて高い二人である。
素早い身のこなしと、力強い打ち込みで、二人は延々ラリーを続けた。

533:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:55:23 sCu2rWYp
「綾ちゃんは、友達はいる?」
「たぶんね」
「友達は好き?」
「まあね」
「その友達は小夜子ちゃん?」
「だからどうした!」
「羨ましいね」
「それも質問か!?」
放課後の校内に、二人の応答の声と、羽を打ち合う音が響く。時に打ち返すのに精一杯で質問が途切れ、質問の権利が移ることはあったが、互いに得点を許すことは無かった。
「そういう縁さんは友達いるの?」
「いるよ」
「その人は夕里子さん!?」
「違うねえ」
「じゃあお兄ちゃん!?」
「そうだね」
「それ以外には?」
「いないよ」
縁の打ち返しが厳しく、質問が途切れてしまう。
打ち合いを続けるうちに、二人は息が切れ、質問はより踏み込んだものになっていった。
「綾ちゃんは、夕里子ちゃんは好き?」
「普通ね」
「他の人は?」
「普通」
「支倉君は?」
「好きよ」
「じゃあ私は好き?」
「大嫌い」
点が入り、質問権が移る。
「縁さんは、夕里子さんは好きなの?」
「好きだよ」
「他の人達は?」
「好きだよ」
「お兄ちゃんは?」
「好きだねえ」
「私は?」
「好きだよ」
「嫌いな人はいないの?」
「みんな好きだよ」
「それってつまり、みんなどうでもいいってことよね」
「……そういうわけでもないけどね」
また質問権が移る。
「綾ちゃんには、特別な人がいるの?」
「ええ」
「支倉君?」
「だったらなんだってのよ!」
「支倉君の何が特別なの?」
「大切な家族よ」
「支倉君のためなら何でもできる?」
「ものによるわね」
「人殺しとか」
「ご冗談を」
さらに綾が得点を重ねる。
「縁さんは、特別な人はいないの?」
「いるよ」
「お兄ちゃん?」
「そうだよ」
「お兄ちゃんのためなら何でもできる?」
「できることなら」
「お友達を見捨てることも?」
「友達はもとより一人しかいないしね」

534:蜜の綾 ◆5SPf/rHbiE
07/09/07 12:56:13 sCu2rWYp
そうして、延々二人は打ち合った。
佐久間愛の事件のせいで、生徒は早々と帰ってしまうので、誰も通りかかるものはいない。
実力の拮抗した二人の試合は、抜きつ抜かれつのシーソーゲームとなっていた。
綾も縁も、肩で息をするまでになり、なおも互いに譲らなかった。
「ふう……やるねえ、綾ちゃん。さすがだよ」
「あなたもね」
何度目かの質問権を得た縁が、シャトルを手に空を見上げる。
「日が落ちるのが早いね。少し見えづらくなってきたかも」
綾も釣られて空を見ると、薄紫の空に、一番星の輝きが見えた。
「あまり長く続けていられなそうだね。もっと綾ちゃんに聞きたいことがあったのにな」
「私は適当にしか答えてないけどね」
「うん。それでも、ね。聞くことに意味があるんだよ」
あれだけの運動をしても、縁は微笑を絶やさずにいた。
「そうそう、風邪で休んで以来、支倉君が元気が無いように見えるんだけど、綾ちゃん何か知らないかな?」
「……打たないで質問はルール違反だと思うけど」
「あはは、ごめんごめん。じゃあ、ちゃんとした質問にするね」
ふわりと、縁は羽を浮かせた。
「綾ちゃんは支倉君と……」
そして、勢いよく振りぬいた。
「肉体関係にあるのかな?」
「!!?」
飛んできたシャトルを受け損ない、あらぬ方向に弾いてしまう。
綾は呼吸を落ち着かせて縁を見た。
「……何言ってるの?」
「この数日、綾ちゃんが前にも増して支倉君と仲がいいみたいだったから、気になったんだ」
「兄妹が仲が良いのは当たり前でしょうが」
「まあ、そうだね。聞いてみただけだから、気にしないでよ」
言って縁は、地面に転がったシャトルに視線を走らせた。
「さっきの、真正面だったのに、取り損ねちゃったね」
「……だから何?」
「人間の心と体は、どうやっても切り離せないんだよね。心の動きは、体の動きに現れちゃうんだよねえ」
しみじみと縁は言う。
「だから聞くことに意味がある。……今日は、綾ちゃんのことを知ることができて、とっても楽しかったよ」
「まあ……あんたが頭の中でどう解釈しようがあんたの勝手だけどね……」
「そうだね。私、妄想癖があるみたいだから、気にしないで」
縁が綾に向かって手を差し出す。
戸惑う綾に笑いかけた。
「ラケット。今日はもう終わりにしよう」
「まだ勝負がついてないわよ」
「勝負は私の負けでいいよ。充分に目的は果たせたから」
「目的?」
いぶかしげに聞く綾に、縁はあっさりと答えた。
「夕里子ちゃんに頼まれたんだ。一時間でいいから、支倉君と綾ちゃんを引き離して欲しいって」
「……!」
慌てて時計を見る。
縁との遊戯で、すでに一時間半費やしていた。
「まさか……!」
慌てて陽一に電話をかけるが、やがて留守番電話センターに繋がってしまった。
「あんた……」
「綾ちゃんのことを知ることもできたし、私としては上出来だね」
綾が手に持っていたラケットを投げつけるも、縁はあっさりとそれを手で掴んで受け取った。
「この女狐……!」
「今度パフェおごるよ」
ほんの数秒、縁を睨みつけ、綾は踵を返す。
中庭の隅に置いておいた荷物を手にし、全力で駆けた。
後に残された縁は一人夕影の落ちる中庭に佇んでいた。


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