ヤンデレの小説を書こう!Part9at EROPARO
ヤンデレの小説を書こう!Part9 - 暇つぶし2ch750:名無しさん@ピンキー
07/09/12 23:22:12 kUwWOsI8
GJ
三途の川の手前でこっそり待ち構えていそうな気がするけどなw

751:名無しさん@ピンキー
07/09/13 01:52:32 1gdA4l9A
>>635
かなり亀レスだが、もしかしてこのサイトか?
URLリンク(ip.tosp.co.jp)


752:名無しさん@ピンキー
07/09/13 09:04:36 iqGRGioz
実験的ネタを投下します。
苦手な方は注意して下さい。


753:天上の帝国
07/09/13 09:06:44 iqGRGioz
耳鳴りが強くなってきました。位置を調節しなければなりません。
方位は南南西、水平面からの高低角24度……誤差修正、来ました、マイクロウェーブです。
量子通信によるモールス信号を受信します。シ・ナ・ビ・タ・オ・メ・コ・ニ・ム・シャ・ブ・リ・ツ・イ・タ……了解。解読の結果、私ことエテル・シュマッケルと兄さんことオルデネル・グルデンレウ男爵が最終ランデヴーです。
つまり私たちの邪魔をしやがるあの忌々しい魔女ウルリカ・ダーレフェルドを屠殺する許可証が機関から発行されたのです。この殺しのライセンスさえあれば、あの汚らわしい泥棒猫を密殺できるのです。
ああ、また来ました。北斗七星にいる私の従僕、キエーレン山脈のヴィルフリッド・ケンニボール三等兵から電報です。……どうやら魔女ウルリカ・ダーレフェルドが兄さんの部屋に潜入した模様です。
いけません、いけません、逃げてください兄さん。あの厭らしい雌猫は貴方をカツオのタタキにして明日のブランチにするつもりです。
ええい、汚らしい多数者に媚を売る蛮族め。私の兄さんに近づくなんて、鬼畜米英のくせに生意気です。
下賤な植民地人のくせに……ハンバーガーしか伝統料理がないくせに……粗悪な輸入品の劣化金色夜叉のくせに……腐れきりしたんのくせに……。
チーズ臭い体臭を私の伴侶に染みつけないで下さい、この女版ドン・ジュアンめが。
ああ、畜生め。その胸に垂れ下がっている邪悪な脂肪の塊をもぎ取ってやりたい。プロシャ兵どもに輪姦させて、トルケマダおじさんのアウト・ダ・フェでローストしてしまいたい。


754:天上の帝国
07/09/13 09:09:22 iqGRGioz
左腕の包帯がうずきます。あの女の猫撫で声が聞こえるたびに、どくどくと真っ赤に燃えて、開放を今か今かと待ちわびています。
まだです、まだJAKI-GANを開放してはいけません。この苦しみは持たざる者には解らないでしょうから。
ですが耳の奥でラ・マルセイエーズが鳴り響いています。あの女を倒せと轟き叫んでいます。
―ガンホー!ガンホー!お願い!お願い!しごいて!しごいて!市民らよ、武器をとれ!―
駄目です、まだ市民革命の時期ではありません。自由主義者も、王党派も根絶やしにしなくては今後塩柱で近親相姦逆レイプの勇者ロトになってしまいます。
とりあえずここは一つ、過呼吸でもして落ち着きましょう……。
ひっひっふぅ、ひっひっふぅ、ル・ラーダ・フォルオル!
……落ち着きました。びぃくーるです。くーる、くーる、くーるです。ほっとなとりっきーじゃありません。
とにかく、何とかして魔女ウルリカ・ダーレフェルドから発せられる高周波を中和しなくてはなりません。
大蔵省からプランが二つ送られてきました。
プランA、作戦名エターナル・フォース・ブリザードγ―楽園にはないお茶菓子と紅茶とカルピスをもってお部屋に突撃する作戦です。成功率A、持続性D、スピードC。いいふいんきは死にますが、いまいち効果的ではありません。
プランB、作戦名死魔殺炎烈光弐式<ディアボリック・デスバーストmkⅡ>―略すとおにいちゃんおべんきょうおしえて作戦です。私の美声で兄さんはもうめろめろなのです。
旧式の南極一号なんかほっぽりだして、兄さんは私の生肉にむしゃぶりつくといった寸法です。成功率C、持続性A+、スピードA~E(兄さんの状態によって変化)
一度せいこうしてしまえば兄さんゲットだぜなのですが、もし失敗してしまったら今夜初めてタバコを吸うといった事態になりかねません。
……今回は無難にプランAでいきましょうか。






755:天上の帝国
07/09/13 09:11:09 iqGRGioz
最近、妹の様子が変だ。
その日、今年で十四になる妹の挙動が日に日におかしくなっていくことについて隆志は幼馴染の沙良に相談を持ちかけた。
食事中に突然左手を押さえて呻きだしたり、自分の名前は影羅だと名乗ったり、反抗期の衝動にしては行き過ぎた行為が目立っている。
何か悩みがあるのではないかということで、妹と同じ女性である沙良に相談したのだった。
「ほら、あれよ。中二病ってやつよ。」
「中二病?」
クォーターの特徴である金色をした長髪をかき上げて沙良が言った。
女らしい仕草に隆志は少し頬を赤らめたが、聞きなれない病名を聞いて首をかしげる。
その様子を見た沙良は隆志にちょっと待っててと言った後、彼のパソコンを起動してインターネット画面を呼び出した。
隆志が沙良に促されて液晶をのぞきこむと、そこには彼女のいう『中二病』とやらの情報が延々と連なっていた。
「黒の教科書?邪気眼?なんなんだよ、これは。」
「見てのとおりよ。十四歳というのは多感な年頃なの。物事を感じ易くなって、ついには現実と空想の違いをはっきり認識できなくなる。
この病に冒された人に待っているのは、例えようもない後悔の念。高校に上がるころに感じる、とても悲しくて、とても切ない自己嫌悪の気持ちよ。
自分がどれだけ狭い世界で生きていたのか実感して、自分自身の愚かさで首を吊ってしまいたくなるほどの羞恥心を受け止めなければいけないの。
そう。中学二年生とは、恐ろしく、とても不安定な時期なのよ。」
窓の外に視線をやり、遠くにある何かを見つめるような目をしながら沙良は言う。自分の左腕を撫でて自嘲するように微笑む彼女を見て、隆志は嫌な予感がした。
「もしかして、沙良もそうだったのか?」
「そ、そんなわけないじゃない!あたしはこんな痛い連中とは違うわよ!」
沙良のポエミーな語りも十分アレだと思うんだけどな、と隆志は思ったが、口にはしない。
見てみぬふりをすることも、円滑な人付き合いには必要なのだ。


756:天上の帝国
07/09/13 09:14:53 iqGRGioz
ともかく、何か解決策がないものかとネット上を探る。
治療法として見つかったのは自覚症状を促したり、時間によって解決させるなどの穏便なものや、哲学モドキの俗流形而上学に自己啓発といった怪しげなものなど様々だ。
後者はあまりにもアレ過ぎて手を出す気持ちにはなれないし、前者の自覚症状云々の手段もなんだか残酷なようでとりたくない。
時間によって解決できるといっても、大事な妹に沙良のような後悔はさせたくないと隆志は考えていた。
八方塞になってしまい、どうしたものかとこめかみを揉む隆志に向かって、先ほどからベッドに寝転がって漫画を読んでいた沙良が話しかける。
「ていうかさ、別に放っておいてもいいんじゃないかな?」
「だけどこのままにしておくわけにもいかんだろ。」
「ほっとこうよ、中二病なんて。」
「でもメシくらい静かに食いたいし……」
隆志はモニターに顔を向けたまま、沙良に言葉を返した。妹のことについてはいい加減なんとかしろと母からもせっつかれているのだ。
食卓を囲んでいる最中に覚醒されたときなど、空気が気まずすぎて食事が喉を通らなかった。
ベッドのほうからなにやら衣擦れのような音がしたが、沙良が寝返りでも打ったのだろうと考えた隆志は気にしないことにした。
かちかちとマウスを鳴らして、情報を探す。
「どうでもいいじゃない、あんたの妹なんて。」
「いや、どうでもよくないだろ。常識的に考えて。」
間違えて出会い系サイトの広告をクリックしてしまった。慌てて戻るのアイコンを押すが、なにやら細工されているらしく戻れない。
隆志はため息を一つ吐いて、ブックマークを開いた。
「そんなに、妹が大事なの?」
「きめぇこと言うなよ。俺はただアイツを元に戻してやりたくてだな。」
妹は見た目はいいのだが、精神は中二病に汚染されてキモいことになっている。キモい妹がいたら外聞が悪い。兄である自分に根も葉もない噂が立つことだけは避けたかった。
ただでさえ、隆志はクラスメイトにシスコン疑惑を持たれているのだ。これ以上状況が悪化することはなんとしてでも阻止しなくてはいけない。


757:天上の帝国
07/09/13 09:16:52 iqGRGioz
「じゃあ、さ。荒療治っていうのは、どうかな?」
「荒療治?」
「環境が急に変われば、あんたの妹だって正気に戻るかもしれないわ。」
「環境ってお前。なにをどう変え……」
るのかと続けようとしたが、振り向いた瞬間に声が出せなくなってしまった。
隆志の真後ろには下着姿の沙良が立っていたのだ。
白人特有の透き通るような白さの肌は薄く薔薇色に染まり、彼女の美しさを引き立てていた水色の瞳は艶やかに濡れていた。
身じろぎ出来ずにいる隆志に、裸足の沙良はひたひたと足を進めて近づいていく。
「あんたに彼女が出来れば、妹のヤツだって大人しくなるわ。」
沙良は硬直する隆志の首に腕を回して、彼の耳元で囁くように言葉を続ける。上半身で感じる少女の体温と、耳元にかかる吐息が隆志の脳髄を沸騰させた。
「あたしがあんたの恋人になれば、ぜんぶうまくいくわよ。きっと。」
「わ、わけわかんねーよ。」
「心配しないで。あたし、元々あんたのこと好きだったし。」
「はぁ?」
隆志は混乱していた。沙良の理屈も、なぜ幼馴染の彼女が下着姿なのかも理解できなかった。どうして股間が窮屈になってるのかさえ、解らなかった。
あまりにも唐突な展開に思考が付いていかないのだ。しばらく放心状態のまま、沙良の為すがままにさせていた。
沙良は隆志の手を引いてベッドに横たわり、それに引かれて隆志も倒れ込んだ。隆志はその間じゅう目を見開いていたが、自分が何を見ているのかを認識はしていなかった。
肌着を剥ぎ取られて、直に他人の体温を肌で感じたときにやっと彼は自分の状況を知覚した。彼の視線が自分と重なったことに気が付いた少女は、嬉しそうな様子で隆志の唇に自分のそれを重ねた。
その口付けをきっかけとして、隆志の中からむくむくと情欲が頭をもたげてきた。
そして、隆志の股座を弄る沙良の金色の髪が鼻を掠めたときに、とうとう彼は正気を手放した。
彼は金髪フェチだったのだ。






758:天上の帝国
07/09/13 09:19:00 iqGRGioz
雑巾汁のお茶を作るのに随分時間がかかってしまいました。短針が六十度ほど動いていますが、宇宙的にみればほんの一瞬です。
私的にみても無問題です。同名の映画とは違って本当に無問題なのです。
私と兄さんの肢体が醸し出す芳しい兄妹愛スメルは特殊な磁界を発生させます。
このラヴラヴフィールドによって私×兄さんというエクリチュールがトポス・ノエトスつまり神の悟性あるいはア・プリオリ的必然性の構造としてのロゴスに組み込まれ超越論的存在者として悟性界に君臨するのです。
もちろん闇属性としてですけれどね。光属性なんて今時流行りません。土属性は論外です。
私としてはヒロイン格の水属性が好ましいのですが、必然的に社会学的起源をもつエクリチュールにとっては画数の多い漢字にしたほうが有利な気分なのです。
そのおかげでたとえ現象界でどれだけの時間が進んだとしても、私的仮想界つまりスピリテユエルっぽい内的時間は一瞬たりとも変化しません。
ですがイルミナードスの場合はいけません。イルミナードスは教会の敵です。イルミニズモは異端の教えなので、汚辱のしるしである黄色い十字のフェルトをつけなければならないのです。
その上羞恥ぷれいをしながら霊地詣を強制します。もちろんカッシーニ軌道上での鞭打ち刑はかかせませんよ。死体発掘は勘弁してあげますがね。
しかし、このお茶を作るのには本当に骨が折れました。例の魔女イサベル・デ・ラ・クルスのためにここまでしなくちゃいけないなんて……ほんとに憎たらしい野蛮人です、ペルフェクトスとかいう連中は。
いつかコンキスタドーレスの恐ろしさを味わわせてやりましょう。
まあ、かまいません。あの脂肪の塊がこの特製ジュウスを口に入れてしまえば全ては終わるのですから。
完全無欠の大団円、私と兄さんが結ばれる最終回なのです。次回予告も、駄作化した続編だってありません。テコ入れのビッチヒロインなんてそもそも必要じゃないのです。
あの淫売が私謹製のブルーアイズ・ホワイト・茶を飲みさえすれば、ずっと私のターンです。ブルーアイズでホワイトな屍肉がきたねえ花火なのです。もちろんGTなんて付きません。
二階に続く階段を上ります。ちょうど十三段あるなんて私的ディスティニィを感じます。縁起が悪いとかいう口出しはのーりっすんです。暗黒面にあこがれるお年頃なのですから。
たしかに光属性はダサいです。ついでにセガもダサいのでプレステをやりましょう。

759:天上の帝国
07/09/13 09:22:42 iqGRGioz
専務なんてどうでもいいのです。
早く約束の地に到達しなくては、兄さんが異端の偶像崇拝に染められてしまいます。具体的には新世界訳聖書とかです。尊氏のためなら死ねる体にされてしまう前に、私のシャクティパッドでヒートエンドしなくてはいけません。
急ぎましょう急ぎましょう。グラマトロジーをア・ポステリオリに適応して精神的アフターバーナーです。私のあそこもオーバーブーストです。
早く行かなくては、あの身持ちの悪い心理的非処女の雌豚が、兄さんをじっと見詰めてしまう。あいつの眼差しが兄さんの純潔を汚してしまいます。
ああ!兄さん!そう思っただけでも、乙女の私は気が狂いそうになるのです!
今日にでも乙女は卒業するつもりですがね。ええ、もちろん兄さんの手と三本目の足によって。処女性による命中補整は失ってしまいますが、サイズ差無視の合体攻撃追加でソウルメイツの仲間入りです。
そのためには魔女イサベル・デ・ラ・クルスを世俗裁判所の手に渡さねばなりません。あそこは聖庁の場合とはちがって、ほぼ百パー電気椅子ですもの。
ですが一応、万が一を考えてドヴァ本国にも電報を打っておきましょう。
いつ迂闊で残念な白豚にとらっぷかーどおーぷんされるか解りませんからね。
爆乳吸血ギャルの逆襲、想像しただけで身の毛がよだちます。
早く兄さんにミートコンパクションパイル工法で私の肢体を地盤改良してもらいましょう。そうすれば雨の多い日も安心ですので。
ついでに魔女を使ってフォールコーン試験しなくてもよくなって万々歳です。あの女は重力で魂と一緒に乳も引かれてしまっていますから、兄さんが付き合ったらドリルボーイになっちゃう。
……そうこうしてるうちに兄さんの部屋の前に到着しました。
この扉は狭き門です。悪徳にまみれた泥棒猫なんかが通っていいはずないのです。
私のような一片の穢れもない超絶美少女だけが、この神聖な門を通ることを許されているのです。
早速ですが突入作戦を開始します。ここであえてノックをしないのが妹としてのたしなみですね。事後処理などどうとでもなりますし。
SATだかブルースワットだかのように華麗に兄さんを救出して、その後にゆっくりとニャンニャン合体すればいいのですから。
それでは、予備の鍵である私を使って、最後のとびらを開けましょう……。






…………。






…………。






「おにいちゃんどいて!そいつ殺せない!」






760:名無しさん@ピンキー
07/09/13 09:24:01 iqGRGioz
以上です。
やまなし、おちなし、いみなしです。
スレ汚し失礼しました。

761:名無しさん@ピンキー
07/09/13 10:21:46 7SIsEEoK
>>760
序文を読んで
なんだこの電波な文章は、スルーだな。
と思ったらそれが設定上の演出だったのに驚いた。
妹も泥棒猫もキャラ立ってるし
これから修羅場になりそうで続きを読みたいけど
これはここで終わった方が良いのかな。

GJ!

762:名無しさん@ピンキー
07/09/13 10:39:50 pMjGqfqT
「おにいちゃんどいて!そいつ殺せない!」

は名せりふだな

763:名無しさん@ピンキー
07/09/13 10:58:51 t4fkxLIQ
>>760
GJ!JAKI-GAN吹いたwww
とりあえず妹は土属性とセガの(元)専務に謝れwwww

764:名無しさん@ピンキー
07/09/13 14:32:07 wcS9inHp
解読するのに素敵なぐらい時間かかりましたが、読んでて楽しかったですw
GJ!!

765:名無しさん@ピンキー
07/09/13 15:21:32 N04oXSh4
>>760
非常におもしろかったが一つ言わせてくれ




これはヤンデレではない
キモ姉&キモウトスレに行くべきだ
スレリンク(eroparo板)

766:名無しさん@ピンキー
07/09/13 15:40:52 RUWi93HQ
「べき」って何だ。

767:名無しさん@ピンキー
07/09/13 16:04:02 /brmBd6c
>>765
幼なじみが主役かもしれなあだろ

768:名無しさん@ピンキー
07/09/13 18:03:24 mcwT5wiD
SSのキャラに○○はヤンデレ、○○はヤンデレじゃない、
なんていうのはやめよーうーぜー

769:名無しさん@ピンキー
07/09/13 18:31:35 C8mv2eyd
俺にはヤンデレとキモ姉&キモウトの区別がつかないからどっちでも
ぶっちゃけ、姉妹版ヤンデレと思ってるし

作者がこっちだと判断したんだからそれでいいんじゃないか?

770:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:14:11 7SIsEEoK
どうせまたいつもの潔癖症の彼だろ……本格的に自治厨になってきたな

771:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:35:20 ji3CbQoj
「おにいちゃんどい(ry
てよくみるが何のセリフなんだ?

772:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:36:24 hTHpmHvO
>>771
有名な都市伝説
URLリンク(yuni_ford.at.infoseek.co.jp)

773:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:37:47 itAwYE+i
てかキモ姉妹の方が後から立った重複スレだぞ、しかも荒らし対策で勝手に。
無駄だから消せって言われてたのに続行したんだから配慮するのはあっちだろ。
ここが気にする必要なし。

774:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:43:47 7SIsEEoK
>>773
言ってる事は正しいと思うが、釣られるなよ
そうやって揉めさせるのが狙いなんだから。

775:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:54:37 uxhSDpFV
すぐ敵視し過ぎ
何故似ている属性で仲良くできないのか

776:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:57:27 itAwYE+i
似ているってかそのまんまだろ
分ける意味ないし

777:名無しさん@ピンキー
07/09/13 19:59:44 V0rfIgRM
そんな事いったらこのスレだって意味なくなるだろ
嫉妬すれでまとめればいいだけの話

それぞれ「これがみたい」っていう需要が集まってできてるんだから
今さらあーだこーだいう方がおかしい

778:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:01:50 itAwYE+i

ここは嫉妬スレで収まらないものから分岐したんだが?
キモスレは知らんぞ、アホな初代>>1が暴走しただけだし

779:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:06:43 V0rfIgRM
ああ、懐古厨か
これは何をいっても無駄だな

780:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:09:01 itAwYE+i
・・・それで満足ならまあいいよ。

781:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:12:22 pzkmbxVs
スルースキルの低い輩がまだいるのか

782:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:14:03 7SIsEEoK
よし、俺は検定一級だからどっちの意見もスルーするぜ

783:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:28:28 ulGeVmym
SSがおもしれければそれでいいよな。

784:名無しさん@ピンキー
07/09/13 20:59:20 U4ros2m/
嫉妬スレもここもキモ姉妹スレも住人かぶってんだからどこに投下してもさして問題ないと思ふ。

785:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:08:29 itAwYE+i
>>784
キモスレ見てないんだが?
一緒にするな

786:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:09:37 C8mv2eyd
ここの住人なら知っているかもしれんが、「G県厨」のがヤンデレ?のような・・・
まぁ、ヤンデレというか精神異常というか・・・

興味ある人はググるといいかも

787:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:14:23 d2T11dcq
まーたすぐ噛みつく
いい年してまったくもー

788:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:19:36 pzkmbxVs
夏休みは終わったはずなんだが

789:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:22:05 dTR8uTo5
>>786
あれは只のキチガイだろw

790:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:22:40 7SIsEEoK
いやまあ言いたいんだが





>>788
ゴメン、sageて

791:名無しさん@ピンキー
07/09/13 21:50:23 xF1kV5oJ
実は今までROMってたんだが、意を決して投下することにしたよ。
一応頑張って書いてみた。どうかこれから宜しく。

792:異喰物語 ◆cgdFR4AMpg
07/09/13 21:52:16 xF1kV5oJ
苦しい。
 唇が渇き、喉が涸れ、臓腑が爛れ、肉が火照る。
 得も知れぬ衝動に突き動かされながらしかし、一向に解放は訪れずに苦悶に伏す。
 理由は簡単。――餓えだ。
 前代未聞の飢餓に苛まれながら彼は、摩訶不思議なことに一切の食物を口にすること能わず、僅かな水分を赦された身のみで、ここ数年間その苦しみを耐え抜いてきた。
 最終的に下された診断は“拒食症”。しかしながら彼は、それは違うと確信を以って否定できた。理由は知らぬ。元より智に長けたとはとても言えぬ己だが、そんなささやかな理性以前、本能としてそれを理解できた。

 おそらく先はそう長くない。耐え抜くうちに気付けば、髪の色は抜け落ち、肉は削がれ骨と皮だけとなり、貌には死相を思わせる皺が幾重にも刻まれている。未だ成人すら迎えていないにも拘らず、だ。
 正体不明の飢餓に追いやられ、死の淵に臨む。そうした窮極に至ったからか、彼は最近“妖精”を目にするようになった。とはいえ、その通りに可愛らしい存在ではない。寧ろ逆、圧倒的な“美”を漂わせ佇む様は、魔女か女神か死神か。怖気を誘うほどに美しい。

「相も変わらず苦しそうなのね、あなた」
「そう、言わないで、くれ……これ、でも、必……死なん、だ」
「必死、ふぅんそう、必死……ね。文字通り、このままだと必ず死ぬのじゃないかしら」

 朧霞がカタチになったような、不確かな存在感で見下ろす彼女の瞳は、やはりいつもと同じく冷ややかだ。さもありなん、彼女は彼を見下しているのだから。


793:異喰物語 ◆cgdFR4AMpg
07/09/13 21:56:14 xF1kV5oJ
「未だ“答え”が解らないの? とっても簡単、いくつもヒントを示してきたのに。そろそろ私も限界よ?」
「馬鹿、言うな……解るわけ、ないだろ。俺には、さっぱり……何が、なんだか、理解出来ん」

 出会った当初に彼女が示した問い。それは『何故、志賀京司郎は原因不明の飢餓に見舞われているのか?』というものだった。
 そんなものこっちが聞きたいと、京司郎は言い放ったが、彼女―平坂暦は問いからの逃走を認めず、毎夜現れる度に問答を繰り返している。今の会話もまた、その問答の後に交わされたものだった。

「予兆は過ぎ、前兆も終え、死兆に見えながらも“覚醒”は未だ。どうしてかしら? 普通ここまで来れば気付いてもおかしくない。いいえ、気付いてなければおかしいはずなのに」

 暦は憤りに表情を歪め、もどかしさに震えながら京司郎の首へと手を這わす。
 感触は無い。首筋に僅かな冷たさが伝わるだけで、一切の物的干渉は起こり得ない。

「そう、おかしいのよ。あなたはおかしい。目の前にある答えに、まるで気付いていない」
「やめて、くれ……」
「いえ、気付いていない、のではないのかしら? これだけの圧倒を前に、もしかして知りたくないだけ?」
「やめろ……」
「目を瞑り、耳を塞ぎ、口を噤むの? 成程、まだ“人間”でいたいのね? “人間”のままで死にたい、そういうこと……」
「やめろ!!」

 ぶん、と。腕を力まかせに振るう。
 衰弱しきった枯れ枝の一撃は、しかしながら容易く鉄柵を砕く。だが、暦の身体を捉えることは出来なかった。それこそ、朧でも掴むかのように。

 無理に怒声を発した代償に京司郎は血反吐を吐き、掻き毟るように喉元へ手を当てる。口笛のような呼気を吐く彼を見て、暦はその手を離した。
 音も無く、滑るように寝台から離れ、一連を見守る。冷ややかな視線をそのままに。

「――また来るわ。次こそは、あなたが気付いてくれることを信じて。諦めようだなんて思わないでね? 私の大好きなあなた」
「もう、来ないで、くれ……」

 届かぬ言葉。一方的に話すだけ話して、暦は跡形も無く消え去って行った。
 ドサリ、と沈み込む。頼りない照明に腕を翳し、胡乱に見つめ、

「くそ、くそ……っ!」

 じゅるり、と唾液を呑み。
 異質な“餓え”に涙ぐんで、京司郎は自らの細腕に歯を立てた。


794:名無しさん@ピンキー
07/09/13 22:05:37 QZ0vmm9D
終わり、かな?
一番乗りGJぃ!!!


795:異喰物語 ◆cgdFR4AMpg
07/09/13 22:30:12 xF1kV5oJ
がちり、と歯が鳴る。その一噛みで右腕の骨が露出した。
 ぶしゃり、ぶちゃ、ばき。
 皮膚を剥ぎ、肉を喰らい、骨を砕く。髄を啜り、鮮血を飲み下し、吟味する。
 自らの歯で、自らの肉を咀嚼する。
 終わりは無い。喰う端から髄は伸び、骨は融け合い、肉が盛り上がる。それをまた喰う。
 幾度となく、終わり無く。
 在り得ない循環を繰り返しながら、流す涙をそのままに食み続ける。
 まるで餓鬼のようだ。
 逸話と違い子は産まぬが、それでも自らを喰うことに変わりは無い。
 絶対的な矛盾。彼女の言う通りだ。
 これが窮極の発露。己が至った、生態の袋小路。
 
 彼女は言った。この異常極まる行為こそが、志賀京司郎にとっての“窮極発露”だと。
 彼女は言った。この果てに在るものこそが、志賀京司郎にとっての“覚醒進化”だと。

 壁を乗り越えねば、死は免れぬと。
 壁を乗り越えれば、生き延びると。

 そんな戯言めいた真実を片隅に、京司郎は“一”を噛み砕き咀嚼して、再び“一”に戻るを繰り返す。

「美味いなぁ。美味い、なぁ……。柔らかかったら、もっと美味い、のか、なぁ……」

 喰う時はいつもこう。美味い美味いと繰り返し、忌避しながらも止められぬ。
 “答え”なんて、すぐ解った。己の果てなど、すぐに見えた。

 ――平坂暦が何であるかなど、一目見ればすぐに察せた。

 時は無い。答えるならば、そろそろだろう。
 だがそのためには、京司郎の意志は脆く儚く、別れを告げるには未練が多すぎた。
 しかし別れを告げたとしても、“仲間”は傍に居てくれる。

 “人”を取るか、“外”を取るか。
 答えは二つに一つ。それだけだった。


796:名無しさん@ピンキー
07/09/13 22:33:26 xF1kV5oJ
第一話、投下終了。
三つめは色々見直してたから遅れてしまった。申し訳ない。

こんな感じの文章で、ちまちまとスローペースなんだけど大丈夫かな?
一応完結はさせるつもりなので、それまでどうかお付き合いお願いします。

797:名無しさん@ピンキー
07/09/13 22:53:58 7SIsEEoK
>>796
我々は
来るもの拒まず、去るものは帰還をいつまでも待つ
であります。迷わず来たまえ、GJ!

798:名無しさん@ピンキー
07/09/14 12:21:43 xDCdn1cN
ちょっとした試作品を投下します。
一応あっさり目ですが、わりときわどいネタなのでご注意。

799:藁を叩く少女
07/09/14 12:23:03 xDCdn1cN
美佳は幼馴染の直樹が大好きだった。家が隣同士の二人は、小さい頃から毎日のように一緒に駆け回っていた。
二人は何をするにも一緒だった。春には二人でお花見をして、夏には一緒に市民プールへ出かけて、秋には手を繋いで紅葉狩りをして、冬には力を合わせて雪だるまを作った。
このまま死ぬまで、ずっと二人は一緒にいるものだと美佳は思っていた。同じ学校に通い、同じ仕事に就き、結婚して同じ家に住むことは、当たり前のことなのだと考えていた。
そして、当然のように直樹もそう考えているのだろうと美佳は思っていた。




800:藁を叩く少女
07/09/14 12:25:36 xDCdn1cN
小学校に上がってからしばらく経って、とある休日いつものように直樹と遊ぼうと美佳は彼の家を訪れた。しかし、玄関で彼の名を呼び続ける美佳の前に現れたのは大好きな直樹ではなく、彼の不在を弁明する小母さんだった。
このようなことは美佳にとってはじめての経験だった。彼が自分との約束を蔑ろにして、他の子供たちのところへ出かけたことは今までに一度も無かった。
直樹が生涯を通した伴侶である自分との約束ではなく、小学校に入ってから出来た精々二三ヶ月程度の付き合いしかない『ともだち』を優先させた事実は、美佳には許しがたいことだった。
当然のように美佳は激怒し、自分に対して過失を犯した直樹と、直樹の『ともだち』だという彼女にとってやくざな連中に制裁を加えるべく付近の公園を探しまわった。
しかし、美佳が数時間かけて三箇所ほどの公園を探しても、直樹たちは見つからなかった。
美佳は走りまわってへとへとに疲れてしまい、先ほどのあれだけ沸き立っていたはずの怒りは萎えてしまった。
美佳はだんだんと悲しくなり、鼻がつんとして、涙で視界が歪んでいった。直樹が居ない寂しさに耐えられなくなった美佳はぐすぐすと鼻をすすりながら、あてもなくあたりを彷徨い続けた。
日も暮れ始めたころ、美佳は古びた神社の前に立っていた。神社の床下には美佳が直樹といっしょに作った二人の秘密基地があった。
彼女は寂しさを紛らわすために、少しでも二人の絆を感じようとここにやって来たのだった。
秘密基地に近づくにつれ、美佳の耳になにやら楽しそうな笑い声が聞えてきた。今の自分の泣き顔を直樹以外の誰にも見せたくなかった美佳は、敷地に植えられている大きな御神木の裏に身を隠した。
笑い声はどうやら三人のようで、二人の少女の声に混じって少年の声が聞えた。
美佳の隠れている御神木は出口の石段に近い場所にあるため、これから敷地を出るのだろう三人から聞えてくる声はだんだんと大きくなっていった。
三人の声がはっきりと聞き取れるほど近づいたとき、美佳は愕然とした。
そういうのも、そのうちの一人の声は今の今まで美佳が必死になって探していた直樹の声だったからだ。


801:藁を叩く少女
07/09/14 12:28:35 xDCdn1cN

入学祝いに作ってもらった一人部屋の寝台に丸まって、美佳はすすり泣いていた。
自分は直樹に裏切られたのだ。約束を破られたのだ。二人だけの秘密だったあの場所を、他人に暴かれたのだ。
美佳の脳裏には、あの三人が発した楽しげな笑い声がこびりついて離れなかった。
耳穴に指を突っ込んでも、忌々しい音は聞こえてきた。布団に頭を埋めても、音は余計に大きくなって美佳の心を痛めつけた。
何も見ずとも、聴かずとも、触らずとも、どうやっても三人の嘲笑を消すことは出来なかった。
せいぜい自らの呻き声でそれを少しなりとも誤魔化すだけだった。
『ともだち』に秘密をばらした直樹が恨めしかった。かといって美佳には直樹を怨むことなど到底不可能だった。
美佳にとって直樹とは自分の半身であり最愛の伴侶であって、彼を否定することは彼女の存在意義を否定することに等しいのだ。
そうなると美佳の憎悪の矛先は当然のように『ともだち』である二人の少女へと向かうはずなのだが、幼い少女には悲しみを憎しみに転化するほどの機知はまだ備わっていなかった。
結局のところ今の美佳に出来たことは、こうして一人でみじめにすすり泣くことだけだった。




802:藁を叩く少女
07/09/14 12:31:43 xDCdn1cN
夏になった。夏休み中、美佳と直樹が遊ぶ機会は以前と比べてかなり減ってしまっていた。
直樹は美佳をほったらかして、例の少女二人と毎日のように遊び歩いていた。
美佳は毎日、秘密基地に一人で佇んでいた。あの少女たちが持ち込んだのだろう玩具を手に取って、一人遊びを続けていた。
時折、すすり泣きの音が神社の床下に響いた。
一昨日久しぶりに会った直樹は真っ黒に日焼けしていた。今みたいに秘密基地にいる以外は部屋に閉じこもっている美佳の肌は、真っ白なままだった。
美佳はピンクの手提げ袋から、一冊の冊子をとりだした。犬の絵の表紙には可愛らしい書体で『たのしいなつやすみ』と描かれていて、裏表紙にはマジックペンで『なおき』の文字が書かれていた。
この冊子は一昨日会ったときに美佳が直樹に押し付けられたもので、ぱらぱらと捲るとページの空欄は全て小奇麗な丸文字で埋められているようだった。
美佳は父親の書斎から持ち出してきたライターを手にして、捲った表紙の角に火をつけた。
冊子が置かれている地面は少し湿っていたが、炎は数秒で表紙全体に広がり、冊子は勢い良く燃え続けた。
直樹の肌とお揃いで真っ黒になった冊子に、美佳は靴の踵を何度も何度もたたきつけた。そして、かろうじて形をとどめていた直樹の冊子はばらばらの灰になった。
神社では蝉の鳴き声に混じって、少女のしゃくり上げる声が響いた。

学習机の上には、『みか』と名前が書かれた夏休みの宿題が置かれていた。美佳は『みか』の文字を手で擦った。手が湿っていたからか、水性マジックペンで書かれた文字は灰色に霞み、何回も擦るうちにとうとう消え去ってしまった。
薄く灰色に滲んだ名前欄に、美佳は『なおき』と書き入れた。ペンを持ったままの手で、美佳はいつもしているように濡れた目元を拭った。拭った手がべたべたになった。
新学期が始まった日に、宿題を失くしてしまった美佳は先生に叱られた。




803:藁を叩く少女
07/09/14 12:33:20 xDCdn1cN
秋になった。美佳と直樹の家族は連れ立って紅葉狩りへ出かけた。
登山の最中、美佳は久しぶりに直樹と手を繋いで、鮮やかに色付いた景色の中を一緒に走り回った。
木の根に躓いて転んでしまい、美佳はわんわんと泣き出してしまったが、直樹は泣いている彼女のために団栗を沢山拾ってきてくれた。
美佳は大好きな直樹に、ひさしぶりに心からの笑顔を見せた。
ピクニックを終えて家に帰っると、二人は採ってきた団栗を使い、どんぐり独楽を作って遊んだ。
直樹の作った独楽のほうが、不器用な美佳の作ったそれより良く回った。直樹は自分の作った独楽と美佳の独楽を交換しようと提案して、美佳も喜んでそれを受け入れた。
美佳の宝物がまた一つ増えた。

次の日、隣にある直樹の家から響いてきた音は、ごちゃごちゃとしたテレビゲームの電子音と、時折それに挟まれる少女たちの歓声だった。
美佳は学習机に昨日拾った団栗を全部広げて独楽を作り続けていた。雑念を払うように、団栗に錐で穴を開け、爪楊枝を刺す作業を延々と続けた。
完成した独楽は、直樹に貰ったもの以外全部金槌で叩き壊した。




804:藁を叩く少女
07/09/14 12:37:26 xDCdn1cN
冬になった。校庭では直樹たちが雪合戦をしていた。美佳はそれを廊下の窓から眺め続けていた。
入学してから今日まで、ついに美佳は一人の友達も作ることが出来なかった。
美佳が望んだなら、友達の一人や二人簡単に作れただろう。この年頃の子供というのは何よりも遊び相手に飢えているから、誰だろうと差別なく自分たちの輪の中に受け入れることが出来るのだ。
しかし、美佳は直樹以外の友人をつくることを拒否した。
周りの同年代の子供らが無遠慮に口にする『ともだち』という単語は、美佳が最も憎んでいて、耳にするだけで不愉快になるようなものだったからだ。
たった数ヶ月の付き合いで心を許すなんてことは、言語道断であると少女は考えていた。ただの遊び相手に抱く薄っぺらな友情も彼女は御免被りたかった。
何よりもまず上辺だけの付き合いをしようにも美佳には少女らしい潔癖な誠実さがあり、そういった軽薄な振る舞い自体、彼女にとって到底許せるものではなかったのだ。
美佳の態度があまりにも頑なだったので、この頃にはもう自分から彼女に話しかけようとする子供は直樹以外に誰も居なくなり、彼女はクラスという集団の中で浮いた存在となってしまっていた。
しかし、美佳は集団生活の中にいるうちは孤独だったが、一度学校から離れれば直樹という最愛の人間がいた。
美佳が今のように一人で遠くから直樹を見つめている間だけは、学校生活で感じる寂しさと劣等感を一時的にせよ慰めることが出来た。
直樹が敵軍の大将をやっつけたことで校庭から歓声が上がった。
得意そうにしている直樹の様子を眺めて、美佳は心底嬉しそうに微笑んだ。




805:藁を叩く少女
07/09/14 12:38:57 xDCdn1cN
二度目の春が訪れた。二年生になっても相変わらず美佳は孤独だったが、直樹との距離は一時期に比べて以前のものと近くなっていた。
四月の初めには、親たちに内緒で家を抜け出し、美佳と直樹の二人きりで夜桜を見にいった。
直樹が露店で買ってくれたたこ焼きは涙が出るほど美味しくて、いつまでもこの味を忘れないでいようと美佳は誓った。

翌日、美佳は家族に連れられてお花見に行った公園で、直樹が二人の少女たちと一緒にお好み焼きをつついている姿を目撃した。






806:名無しさん@ピンキー
07/09/14 12:41:03 xDCdn1cN
以上です。
十周打ち切りっぽく、オチが無いのがオチです。

807:名無しさん@ピンキー
07/09/14 14:17:13 9eBFQfr7
>>806
これがオチって・・・
打ちきりになった作家さんに失礼だろ

808:名無しさん@ピンキー
07/09/14 14:46:28 j2/dNd2e
>>806
文体とか非常に好みなので、
なんていうか惜しいです 感想のつけようがない

809:名無しさん@ピンキー
07/09/14 14:51:23 E01vIY3O
>>806
ほほうほほう、遠回しにヤンデレの作り方を教えてくれてありがとう。
来世はコレで行くか!

810:名無しさん@ピンキー
07/09/14 15:57:49 vDpkdufK
亀だが、
>>771とかのあのセリフをオレはバルドフォース(のEXEだったかな)から来てるのかとオモテタ。

811:名無しさん@ピンキー
07/09/14 16:20:31 drMNHCpw
最近投下が増えてきて嬉しい。
作者さんたち乙です

812:異喰物語 ◆cgdFR4AMpg
07/09/14 22:00:39 mngBUKM5
 平坂暦にとっての“覚醒進化”とは、つまるところ一種の“悟り”のようなものであると思う。
 既存にして起源である世俗より解脱し、そこからも更に上、次なる段階への躍進であると、暦はそう定義する。
 そう自覚してより以後、暦は世界が“未だ嘗て無いもの”に満ちていることを知り、同時にそれらを知る事の出来ぬ“世間”を煩わしく思うようになった。
 中身の無い亡骸に縋る両親も、それを聞きつけ打算を張り巡らせる親族も、その他諸々一切の全てを何にも値せぬゴミと判断し見下し軽蔑し、

 ――それらへの決別を決意した。

 その頃である。彼女が同類と思わしき青年と出会ったのは。
 彼は見た目こそ老衰し、衰弱し、死に体であったが、観念的に物事を把握する彼女にとって見た目は何ら問題では無く、だからこそ彼の本質を見抜いた。

 そして惚れた。
 それはもう問答無用、空前絶後の完全無欠なまでに一目で陶酔した。
 一目惚れである。そしてこれが、暦の初恋でもあった。

「うふ、うふふふ……」

 彼が欲しい、と暦は思った。
 だが己の身では彼を捉えることは出来ない。
 かといって彼の“終わり”を待つことも出来ない。それに続きが存在するのは、己だけに赦された特殊性であると理解していたからだ。
 食べてしまいたいほどに愛おしい彼。彼のことを思うだけで秘奥が疼き、淫らな空想に耽ってしまう。
 見下してしまうのはただ照れ隠しだ。どうしようもないもどかしさが、彼を想って口を吐いてしまう発露。本当は今すぐにでもその腕の中に抱かれたいのに。
 だが未だ。
 彼が目覚めるまでは――

「こんな若さ故の迷妄。――あなた方に理解できるかしら?」




813:異喰物語 ◆cgdFR4AMpg
07/09/14 22:02:13 mngBUKM5


『――、―― ――』

 “それ”は暦の呟きに答えるように、不明確そのものの雑音を漏らす。
 老い、枯れ、死に至った在りし日の残滓。
 還るべき場所に還る筈のそれは、しかし暦の朧手によってしっかと捉えられていた。

『――、―― ――』
「あぁ、あぁもう煩いわ。耳障りよあなた。やっぱり老人には度の過ぎた話かしらね」

 見ようによってはヒトの形に見えなくも無い“それ”の、おそらくは首にあたる部分を暦はぎりぎりと締め上げる。
 “それ”に問うたのも、ある種気紛れのようなものだったが、やはりというかまともな答えなど返ってはこなかった。
 例えばその手を離したとしても、或いは優しく撫で擦ったとしても。
 “それ”は同じ雑音を繰り返すに違いない。
他と同じく、茶器の底に残るような澱でしかない“それ”。
 暦はそれが堪らなく嫌いだった。

 “終わり”を迎えたものの後に残る“それ”。
 “魂”とでも言うべき不確かを、暦は締め上げ縊る。
 “終わり”は彼女の独壇場だ。終わったものを糧とする、彼女だけに赦された“覚醒進化”。
己の場合にとっての“それ”を、暦は“魂喰らい”と名付け称した。

 ――黄泉比良坂に息衝く痩せ犬、平坂暦。

『――、―― ――』
「そう、残念ね。だけどここで終わり。だってあなたは“餌”だから」

 先程死した老人の“魂”の一端を喰らってみれば、「一目孫に会いたい」と語っていた。
 だが、そんなことは関係無い。

「迷ってないでさっさと逝くべきだったのにね。だけどもう遅い。それじゃあ――」

 いただきます、と。
 言うや否や、早々に口に運ぶ。
 しゃりしゃり、じゅるり、さっくりと。
 凡そ物質的な食感ではない食べ応えに、暦は一応の至福を見せたが、それもすぐに消えた。
 数分と経たずに食べ終えるも、ますますその表情は険しくなっていく。
 理由は簡単。単に不味いからだ。
 例えるならば小骨の多い焼き魚を冷めてから食べるような、旨味を出し切った鶏がらを齧るような、そういう感触。

「やっぱり老い耄れは駄目ね、美味しい要素が一つも残ってないんだもの。未練たらたらな部分は良さげだったけど、それだけじゃあねぇ……」

 空しさに虚空を仰ぎ、彼の下へと思いを馳せる。
 彼と添い遂げる時には、うんと上等なものを用意しよう。そう密かに決めて。

「メインディッシュはこれから。早く目覚めてね、キョウ……」


814:名無しさん@ピンキー
07/09/14 22:03:55 mngBUKM5
投下宣言し忘れてました。すみません。
短いですが、第二話とさせていただきます。それでは。

815: ◆DT08VUwMk2
07/09/15 02:36:05 mGHngbhz
一昔前に妄想したネタを投下。
SS書くのは初めてなので誤字脱字等があるかもしれませんがご了承下さい


816: ◆DT08VUwMk2
07/09/15 02:36:59 mGHngbhz
「君がいけないんだぞ『大人になったらお嫁に貰ってくれる』って
さぁ、あの時の約束、ちゃんと責任を取ってもらうぞ」


私こと玄田ジュンは、幼馴染の椎名ミキに手足を拘束され婚約しろと脅されている
なぜこのような状況になったかというと今日(午前1時なので正確には昨日か)の同窓会でミキと一緒に帰っている時の事

「じゅ・ジュン…突然で悪いんだが小学3年の夏、私との約束を覚えているか?」
本当に突然の質問で私は戸惑った…え~っと、10年前ミキになんか約束したっけ?
そういえばおじいちゃんに『レディとの約束を忘れちゃいけない』と言われたが覚えてないものは仕方ない

「え~っと、ゴメン俺、ミキとなんか約束したっけ?」
ミキは「本当に覚えてないのか?」っとどこか悲しげな顔をしながら言った。
そんなミキを見ると少し罪悪感を感じた…がやっぱり思い出せない

本当に覚えてないとわかったのかミキが頬を赤くして
「き・君は、その時『10年たったらミキをお嫁に貰う』ってい・言ってくれたんだ」


……
………あっ思い出した
確かに私は10年前、ミキに結婚するって約束した
しかし、それは世間を何も知らない小学生同士の約束…なんでそんな事を今更、掘り起こしたのだろうか?

「私はうれしかったそして今日がその約束の日だ…今日まで君の為に純潔を守ってきた」

あれ?もしやミキは私の事が好きって事?無愛想な女だが自分を好いてくれるのはうれしい
おもわず「私も男だ!ミキと結婚しよう」っと言いたくなったが現実的に考えると
さすがに計画性のない学生結婚はしたくない…あぁせめて15年後って言っときゃよかった

「え~っとねミキ、さすがにお互い学生の身だし…いやほら若いうちに結婚すると
色々と苦労しそうだしね…その…だからあの約束はなかったって事で…」我ながらナイス言い訳

「…つまり結婚の約束は………なかった事って事なのか?」
「いや…その…あぁ、そういう事になるな」
「そうか…わかった」そういうとミキはバックから護身用スタンガンを取り出し私にそれを押し合えた

「ぬぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

817:『10年前の約束』 ◆DT08VUwMk2
07/09/15 02:38:38 mGHngbhz
…どうやら私は気を失ってたらしい
で、手足を手錠で拘束されてるようだ

「ようやく目を覚ましたか」
「はっ!その声はミキ!な・なぜこんな事を…」

「…君がいけないんだぞ」
月の明かりでさっきまで暗闇で見えなかったミキの姿が見えた…ミキの姿は裸だった

「君が私を本気にさせた…それなのに君は私と結婚してくれないという…君は実に酷い男だ」
「待て!ミキ、話し合おう!!」
「話したら…話したら結婚してくれるのか?一緒にいてくれるのか!?愛してくれるのか!!?」
そしてミキは私の服を無理矢理と脱がし私の身体にまたがり私の口に舌を入れてきた
ミキは、私の舌吸いつき舐めまわし、しゃぶりついてきた

数分してようやくミキは私の舌を開放した
「結婚してくれないなら…フフフ、結婚せざるおえなくしてくれる」
そう言うとミキは私のパンツごと一気にズボンを引き摺り下ろした

「すごい臭いだ…これならフフフ君との子が孕めそうだ」

「や・やめて…STOP・THE・レイプ!!」
「えぇ~い!!問答無用じゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

818:『10年前の約束』 ◆DT08VUwMk2
07/09/15 02:39:28 mGHngbhz
「むにゃむにゃ………はっ!」
いつの間にか寝てたようだ
う~んっと同窓会の後、ミキと一緒に帰って………そこから先が思い出せん
多分、ミキの事だ酔った私を家まで送ってくれたに違いない本当になんていい奴なんだ
…でも俺、酔ってたっけ?

とりあえず顔を洗おうと私は台所に向かうと
「ジュン、おはようあいからわず君は寝坊助だな」
そこには割烹着を着たミキがうちの台所で朝ごはんを作っていた

「な・なんでミキが家の台所で味噌汁作ってるんだ!!」
「夫の朝食を作るのが妻の役目だろう
…それとも昨日、あんなに愛し合ったのにまた忘れたというのか?」
そうだ思い出した!私はミキに犯されて…それから

「私に中にあんな大量に射精して…フフフ、そんなにそんなに私と赤ちゃん作りたかったのか?」
「いや…待って!お前が無理矢理やってきたから…」
「そんな戯言通用せんぞ…君は昨日の時点で社会的にも肉体的にも私のものになったのだ」
「な・なんという事だ…つまり俺はパパになってしまったって事なのか」
「そして私の夫でもあるのだ」



かくして私こと『玄田ジュン』は『椎名ミキ』の夫となりミキのお腹の中の子のパパになったのである

happy end...

819:『10年前の約束』 ◆DT08VUwMk2
07/09/15 02:43:27 mGHngbhz
終わりです。

SS初心者がエロシーンを書くのは難しい…
なんか色々と詰め込みすぎた感が…

820:名無しさん@ピンキー
07/09/15 04:04:10 947lHiU2
乙。短くまとまっていて良かったと思います。
初心者ということなので、文法的なことを少し。
句点をつける、中点(・)が変、!や?は全角で後ろに文を続ける場合は全角スペースを入れる
あたりに気をつけたらどうでしょうか。
次作を期待しています。

821:名無しさん@ピンキー
07/09/15 07:14:20 +HQDoMH8
主人公の一人称がばらばらなのが気になる

822:名無しさん@ピンキー
07/09/15 08:12:05 njSA0iaP
>>814
>「メインディッシュはこれから。早く目覚めてね、キョウ……」
……逃げてー!主人公逃げてー!

>>819
昔の約束を律儀にも守り続けてきた女の子に犯されるなんて。
テラウラヤマシス



823:名無しさん@ピンキー
07/09/15 10:00:56 ZVppQa9C
>>819
激しくGJ

824:名無しさん@ピンキー
07/09/15 10:09:28 ZVppQa9C
今思ったんだけど男と女二人ともヤンデレ同士だったらどうなるの?

825:名無しさん@ピンキー
07/09/15 10:33:48 LJm03Qbx
須藤兄妹や上書きの島村さん惨殺エンドみたいになるんじゃないか

826:名無しさん@ピンキー
07/09/15 12:17:06 lkxf8zB8
>>824
お互い一途に愛し合うので修羅場も発生せず、周りの人もふたりも幸せなハッピーエンドに向かうでしょう。

827:名無しさん@ピンキー
07/09/15 14:25:30 McevAqgl
>>824
障害がなければ問題なさそうだが、家柄・兄妹などの理由による周りの反対や第三者のヤンデレなどの障害があれば虐殺エンドや二人だけの世界に旅立つ結末になりそう

828:名無しさん@ピンキー
07/09/15 14:33:16 5ni+yub8
お互いが監禁・拘束して餓死しそう

829:名無しさん@ピンキー
07/09/15 15:14:22 7CppxBG9
アホすぐるwwwwww

830:名無しさん@ピンキー
07/09/15 16:12:15 n90UWyOA
依存したり嫉妬深かったり自虐的だったり好戦的だったり電波っぽかったりツンデレから裏返ったり、一口にヤンデレといっても色々あるけど、
最もスタンダードというか王道的なヤンデレってどんなのだろう?
姉妹が遊びで話す『手錠で拘束して逆レイプと媚薬盛って暴走させるのではどっちがいい?』レベルの話で

831:名無しさん@ピンキー
07/09/15 16:32:01 9GoX9VVv
王道か。難しいねぇ。
ヤンデレは行き着く先があまりはっきりと決まっていないから、道の引き方も色々あるし。
でも>>830が挙げた属性はどれもスタンダードに為り得ると俺は思う。


……個人的にもっとも重視したいのは依存だなぁ。

832:名無しさん@ピンキー
07/09/15 20:25:21 LJm03Qbx
漠然としているからなんとも言えないなあ。
ヤンデレに望むものは、と言えば一途さになるんだが。

833:名無しさん@ピンキー
07/09/15 21:05:16 5ni+yub8
いやヤンデレは一途だからこそヤンデレなのでは

834:名無しさん@ピンキー
07/09/15 21:09:16 MzCfn9yQ
ヤンデレが先か一途が先か

835:名無しさん@ピンキー
07/09/15 21:11:21 7sd9CGV8
まあつまり>>830に答えると一途である事がヤンデレの王道、か?

836:名無しさん@ピンキー
07/09/15 21:12:01 Vf9FEtI5
>>831
お前さんは依存スレもいってほうがいいんじゃないか?
依存娘がいっぱいいるぞ

837:名無しさん@ピンキー
07/09/15 23:47:09 zkTJugfB
ただ依存系じゃない一途なヤンデレって、どうも元から狂気な女の子のイメージがあるからなぁ


838:名無しさん@ピンキー
07/09/16 01:36:29 VATY24fe
元から凶器の女の子って定義から外れるんだっけ?


……テンプレみたら外れてたよ。危ない危ない。

839:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:12:47 XhI6Pjwi
昔書いた話を書き直してみたので、投下します。
まだ途中ですが、どうぞ。

840:羊と悪魔
07/09/16 03:14:13 XhI6Pjwi
 質問です。あなたにとって親友とはなんですか?


 私の学校には、とても目立つ髪の色をした女子がいる。
 名前はたしか、石橋あきら。「たしか」なんて使うのは、私が彼女の名前をろくに記憶していなかったからだ。
 そして、これからも彼女の名を記憶することはないだろう。

 結果から最初に言ってしまえば、彼女は死んでしまった。
 頭からその髪と同じ色の血を流しながら、殺された。

841:羊と悪魔
07/09/16 03:14:47 XhI6Pjwi
 出会いは、小学校。私がいた小学校では四年生になるとクラス替えをする。
 目立つ髪をしたあきらのことは前々から気付いていたけど、同じクラスになったときは、なんとなく気に喰わなかった。
 クラス委員長の私。クラスメイトや、他のクラスの人とも仲良しな私。勉強だってみんなよりも得意な私。
 そんな私よりも目立っている彼女が、妬ましかったのだろう。
 でも、そんな嫉妬の感情はあっさりと消えた。ほんの二日三日彼女の立ち振る舞いを見ていて、どう考えても私の方が目立っていると確信したのだ。
 あきらは目立とうとしない。
 誰よりも目立つ髪の色を隠すように、いつも帽子を被っていた。勉強は得意そうだったけど、私に敵うものじゃあなかった。そして、いつでも一人ぼっち。
 そう、私の方が彼女よりも圧倒的に優れていたのだ。ただ髪の色が違うというだけで、彼女は私よりも格下なのだ。
 その頃は、そう思っていた。そう思っていたからなのか、何かにつけ彼女をいじめた。
 いじめた理由はよくわからない。ただ、何故かいじめたかった。きっといじめやすかったのだろう。
 あきらは大人しかった。不気味すぎるほど大人しかったことに、私は気付けなかった。

 燃えるような赤、ではない。鮮血のような赤。
 あきらの髪は、とても赤かった。非現実なほどに。

842:羊と悪魔
07/09/16 03:16:04 XhI6Pjwi
 あきらをいじめる口実は、いつも決まって「親友だから」。
 たとえば給食で嫌いなもの(そういえば当時は魚類が食べられなかった)が出たら、それをあきらの机に置く。
「私たち親友でしょ?」
 そう言えばあきらは何も言わず、黙々と食べてくれる。自分のことだけど、酷い子供だ。
 借りたものを返さないことも多かった。教科書、鉛筆、消しゴム、彼女が大切にしていた小物。多分あきらは困っていただろうが、お構いなし。
「親友だもんねぇ?」
 私はことあるごとに親友という言葉を使っていたが、彼女を親友であるとは思っていなかった。

 責任転嫁もよくやった。
 男子が掃除中にふざけて箒を振り回して、窓ガラスを割ったとき、私の提案であきらが割ったことにしたのだ。
 すぐにやってきた先生に、
「あきらちゃんがほうきで割りました」
 と言ったら、先生は何もしていないあきらに説教をし始めた。あまりの先生の怒りっぷりに、さすがに私も罪悪感が芽生えた。

 しかし、もっと多くの手段で彼女をいじめていた気がするのだが、どうしてもその内容が思い出せない。思い出す必要がないと、私の脳が判断したのだろうか。

843:羊と悪魔
07/09/16 03:16:39 XhI6Pjwi
 中学生になり、大人になったような錯覚を抱いて登校する私の姿は輝いて見えたであろう。
 しかしすでに内面と外面を切り分ける術を手に入れていた私にとっては、輝いていた私は偽りである。たとえ外面は意気揚々と学校へ向かうように見えていたとしても、内面は意気消沈していた。
 中学生になってもみんなの中心にいた私は、毎日のように恋愛の相談を持ちかけられ、正直疲れていた。よくもまぁそんなに異性のことを好くものである。恋愛をしたことがない私にそういうこと聞かれても、根拠のない励まししか出来なかったのがうしろめたい。
 そんな私の初恋が担任の先生であったことは、青春の思い出として、苦い恋の思い出として、タキシード姿の彼と隣に並ぶウェディングドレスの美人のツーショットとともに、今も大切に記憶の中にしまい込まれている。先生、末永くお幸せに。

 ところであきらのことだが、なんとまた私は彼女と同じクラスになった。私のいた中学校にはクラス替えが無いので、これから彼女と三年間付き合うことになる。
 そのころにはもうあきらをいじめることはなくなった。というか、無視することに決めた。相談されたり勉強したりで忙しくて、もう彼女の相手をしている暇は無かったからだ。
 三年間のあきらはおとなしく、誰よりも先に学校に来て、自分の席から動かず、時々自費購入したと思われる何かの小説を読み、そして誰よりも早く帰路に着いた。
 いつの間にか、同じ教室にいながら、彼女の存在に気付かないようになっていた。
 彼女がいじめられ続けていることは知らなかったし、彼女の机が罵詈雑言や中傷で埋め尽くされていることも知らなかった。


844:羊と悪魔
07/09/16 03:18:58 XhI6Pjwi
 再び彼女の存在を思い出すのは、高校受験のときである。
 私は県立の有名校を志願した。偏差値は相応に高く、並の点数ではあっさりと不合格になってしまうが、私の成績なら確実に合格できるという程度の高校である。
 受験当日、試験会場であるその有名校の昇降口で、私は赤い髪の少女の姿を見た。小学生の頃から変わらない、前髪だけが少し長いショートヘア。鮮血のように赤い髪が、冬風に吹かれていた。
 あきらだ。
 驚き立ちすくむ私に気付き、僅かに顔を向けるあきら。その口元には、うっすらと笑みを浮かべていた。
 試験用紙の空白を埋めている間もずっと、あの笑みが頭の中に刻み付けられて離れない。思い出すたびに、何故だか背筋が冷たくなった。
 そうして私は合格し、あきらもまた、合格した。

845:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:19:54 XhI6Pjwi
とりあえずはここまで。続きは期待せずにしばらくお待ちください。

846:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:22:00 QTVGEQzh
とりあえずサゲよう。な?

847:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:22:15 wjDjI3Y7
まずはsageろ
話はそれからだ

848:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:38:50 XhI6Pjwi
と、失礼。
次からは気をつけます。

849:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:47:29 IN3/w7GF
>>845
好みです 続きも期待しています

850:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:52:02 ml728Za8
殺された、とあるから自殺じゃないんだろうな。
まだ序盤みたいだからなんとも言えないが、生贄を連想させるようなタイトルが物語にどう関わってくるのか楽しみだ。
>>799とかもそうだが、こういう幼さ故の残酷な仕打ちって読んでるとやるせなくなる。
続き期待してます。GJ!

851:羊と悪魔
07/09/16 20:10:41 XhI6Pjwi
 小さい頃に読んだ絵本の登場人物は、みんなとても穏やかな目をしています。
 私はそんな穏やかな目を見たことがありません。
 私が暮らす家には、父親という名前の他人と、母親という名前の他人がいます。二人とも私を見るたびに、険しい目になります。
 絵本の登場人物は皆、誰かを愛しています。とすると、父親と母親という他人は、どうやら私を愛していないようなのです。
 学校の先生という名前の他人も、クラスメイトという名前の他人たちも、私に向ける目は険しく、きっと私を愛していないのでしょう。
 困りました。絵本によると、愛されない人は悪魔らしいのです。愛されない私は悪魔なのでしょうか。
 悲しいことに、きっと私は悪魔なのです。だって皆とは違う髪の色をしているのです。
 こんなに赤い髪をしている私は、悪魔以外の何者でもないのです。

 私が悪魔だとしたら、悪魔は何をすればいいのでしょうか。本屋さんでなにやら難しそうな、悪魔と書いてある本を探して、なけなしの小遣いをはたいて購入し、家に帰って読んでみました。
 しかし当時小学生だった私には読めない漢字が多く、頑張って解読しようと辞典辞書を持ち出して、なんと書いてあるかを必死で調べていました
 幸いカタカナを読むことはできたので、悪魔の名前を知る程度はできました。
 たとえば6番目の悪魔ウァレフォールは盗みがたいへん上手な悪魔であるとか、17番目の悪魔ボティスは友人や敵の調停(よくわかりませんが、きっと仲直りさせてくれるのでしょう)を行うであるとか。
 どうやら悪魔というのは、人に迷惑をかけるだけのものではないようなのです。私は少し感動しました。
 72もいる悪魔のうち、24番目まではどんな悪魔かはわかりましたが、25番目の悪魔を解読している途中で、父親という名前の他人に悪魔についての本を取り上げられてしまいました。
 25番目の悪魔は一体どんな悪魔だったのでしょうか。
 名前だけは憶えているのです。カールクリノラースという名前だけは。


852:羊と悪魔
07/09/16 20:12:31 XhI6Pjwi
 小学生のときの思い出は、きみこちゃんが全てです。
 誰もが赤い髪の悪魔に話しかけないのは当然のことなのですが、きみこちゃんだけは違いました。
 私のことを『親友』だと言ってくれたのです。
 友達どころか、まともに話す相手もいなかった私を親友だと言ってくれたのです。
 そのときの喜びをどう言い表せばわかりません。私の語彙が足りないせいです。ただ、家に帰るとそのときの感情を何度も思い出して、嬉しくて涙が出てしまいました。
 『親友』。
 そう、私ときみこちゃんは親友です。彼女のためなら何でもしてあげたい、いえ、何でもすると誓います。私の全てはきみこちゃんのものであり、私の思い出の全てはきみこちゃんのものなのです。
 永遠に、私の親友はきみこちゃんだけです。神に─いえ、私は悪魔です。ならば何に誓えばいいでしょうか。
 そうだ、私は悪魔なのですから、悪魔に誓えばいいのです。悪魔に誓うだなんて不吉な感じがしますが、悪魔は人に迷惑をかけるだけのものではないはずです。
 誓います、悪魔カールクリノラース。
 私はきみこちゃんを裏切りません。
 絶対に。
 永遠に。

 私の上履きが隠されました。何回目でしょうか、もう私は数えるのを諦めました。多分どこかのゴミ箱から出てくるでしょう。
 教科書や筆箱が消えています。何回目でしょうか、最初から数えていません。やはりどこかのゴミ箱から出てくるはずです。
 私の持ち物はいつもすぐに隠されます。
 上履きを履かずにいると、先生という名前の人間が上履きはどうしたのかと尋ねてきます。失くしましたと言えば怒りだし、黙っていれば怒りだし、隠されたと正直に言うと人のせいにするなと怒りだすので、私にはどうすることもできません。
 教科書もそうです。教科書が無いと怒られます。
 あの先生という名前の他人は、私を怒鳴ることで生きているのではないか、と時々考えてしまいます。
 給食のときにみんなが嫌いな食べ物が出ると、私の机はその食べ物で埋め尽くされます。クラスメイトという名前の他人が置いたものなら手をつけませんが、きみこちゃんが置いたものなら喜んで食べます。だってきみこちゃんは親友ですから。
 きみこちゃんが欲しいものは何でもあげました。教科書だって、鉛筆だって、消しゴムだって、なんだってあげます。きみこちゃんが欲しいものなのです、惜しくはありません。
 トイレに閉じ込められてバケツ満杯の水をかけられても、掃除用具入れに放課後まで閉じ込められても、きみこちゃんがやったことなら、許せます。きみこちゃんがやったことなら、耐えられます。

853:羊と悪魔
07/09/16 20:13:04 XhI6Pjwi
 だから、あのときのことは忘れません。あの日から、私はほとんど眠れなくなりました。頭と喉、胸が針を刺されたように痛みます。
 掃除の時間のときのことです。私が箒で塵を掃いていると、大きな音とともに窓ガラスが割れていました。何があったんだとすぐに先生という名前の他人がやってきました。
 教室が他人たちの声でざわめく中、きみこちゃんがこう言ったのです。
「あきらちゃんがほうきで割りました」

 私は、ただ箒で掃いていただけのはずです。私は窓ガラスに触れていません。
 でも、きみこちゃんが言ったのです。私が割ったに違いありません。どうやって割れたかは問題ではないのです。
 それでも、私はきみこちゃんを疑わずにはいられません。私は何もしていない。でも、きみこちゃんの言うことは全て正しいのです。
 どうすればいいのでしょう。親友を疑うなんてこと、あってはいけません。
 私が悪いのです。私が悪いから、きみこちゃんはあんなことを言ったのです。きみこちゃんが正しいから、悪いのは私なのです。
 ごめんなさい。私は悪魔です。人に迷惑をかけるだけしかできない悪魔です。
 ごめんなさい。親友を疑う私は悪い子供です。
 ごめんなさい。きみこちゃん、ごめんなさい。

854:羊と悪魔
07/09/16 20:13:35 XhI6Pjwi
 中学生の記憶は、ほとんどありません。
 きみこちゃんが話しかけてくれなくなりました。
 私は、何も憶えていません。
 私の机に何か書かれていようと、私には見えません。
 私が何をされようと、何も感じません。
 きみこちゃんが全てなのです。同じクラスにいようと、きみこちゃんの近くにいられないなら、その部屋には誰もいません。
 きみこちゃんがそこにいないなら、私に生きている意味はありません。

 家の中でうずくまって家とはなんだったのか思い出せなくて喉が痛くて頭が痛くて部屋は暗くて。
 父親という名前の他人の声がうるさい母親という名前の他人の声がうるさい別の部屋の声が私の耳元で聞こえる。
 助けてたすけてたすけて誰も助けてはくれません私は悪魔だから私は悪魔だから私は悪魔なのです。

 気付いたら、部屋の中は暗くなっていました。誰の部屋だったかも思い出せません。
 ベッドの中で泣いていた私の目の前に、黒い人影がありました。
「あなたは誰?」
 影は答えません。でも私にはわかっています。影は悪魔です。私の望みをかなえてくれる悪魔です。
 悪魔カールクリノラース。そう、私はあなたに誓ったのです。
「私はどうすればいいの?」
 影は答えません。でも私にはわかっています。
 いつしか私は、笑い叫ぶ自分に気付いていました。

855:羊と悪魔
07/09/16 20:14:41 XhI6Pjwi
 高校受験は、きみこちゃんと同じ高校を選びました。きみこちゃんの行く高校は、カールクリノラースくんが教えてくれました。
 きみこちゃんは小学校のときからずぅっと同じクラスだったのです。いつまでも一緒です。
 だって私ときみこちゃんは、親友なのですから。
 私のすべてはきみこちゃんのものです。きみこちゃんの言うことはすべて正しいのです。
 きみこちゃんと一緒にいられるなら、私は何もいりません。私の望みは、きみこちゃんだけです。
 だから、同じ高校を選びます。また同じクラスになりましょう。また私に話しかけてください。
 私ときみこちゃんは親友です。
 そう、永遠に。

 そうして私は合格し、きみこちゃんもまた、合格しました。

856:名無しさん@ピンキー
07/09/16 20:18:18 XhI6Pjwi
羊と悪魔、続きです。あきらの視点からです。
ただの電波少女になってるような気がしないでもないですが。

狂気を表現するのは難しい。

857:名無しさん@ピンキー
07/09/16 20:31:56 BsFiQyRc
>>856
GJ
だがカワイソス(´・ω・)すぎて鬱になりそう。

858:名無しさん@ピンキー
07/09/16 20:34:35 pUAdnNH8
>>856
結末に行き着くまでが非常に気になる

859:名無しさん@ピンキー
07/09/16 21:21:56 wCWGdWi4
GJ!
ヤンデレの¨ヤン¨の部分はかなりの出来映え。
ここからどうやってデレ要素を絡ませるのかに期待。

860:名無しさん@ピンキー
07/09/16 23:31:34 FwL/juTF
そういや次スレってもう立ってるの?

861:名無しさん@ピンキー
07/09/17 00:27:37 kpUuvuMC
まだ立ってないし、立てるのにはもう少し待ってもいいと思う。
まあ俺はスレ立てられないんだがな。

862:名無しさん@ピンキー
07/09/17 02:34:39 5xT8VqoK
そうか
いや残り24kしか残ってなかったから疑問に思ったんだお

863:名無しさん@ピンキー
07/09/17 02:47:46 kpUuvuMC
あ、ほんとだ。申し訳ない。見てなかった。



864:sage
07/09/17 03:21:50 Sf6DhUew
投稿したいと思うのですが、次スレにした方がいいでしょうか?

865:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:22:38 Sf6DhUew
あげてしまった
申し訳ないorz

866:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:25:24 zt9lqecl
>>865
じゃあスレ立てしてくる。

867:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:31:21 zt9lqecl
スマソ、無理だったorz
他の人頼む

868:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:32:12 Sf6DhUew
>>866
サンクス
できるかわからないけど、自分でやってみます

869:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:37:16 Sf6DhUew
たてました。
次スレに投稿したいと思います。

870:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:41:47 zt9lqecl
>>869乙!
誘導用
ヤンデレの小説を書こう!Part10
スレリンク(eroparo板)

871:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:46:04 5xT8VqoK
うわ…すまん、気づいたときにやっとくべきだったな…
>>869

872:名無しさん@ピンキー
07/09/17 03:51:51 Sf6DhUew
>>870
>>871
いえいえ、恐縮です。

873:名無しさん@ピンキー
07/09/17 10:17:45 TuxvL6RR
埋め

874:名無しさん@ピンキー
07/09/17 21:01:15 V1H/GQFF
>>830
オーソドックスだとか王道と言うつもりはないけど、
行動に愛する者以外を排除しようとする衝動や愛する対象への独占的志向を伴うことが多いと思う。
それが嫉妬だとか、障害となる人物に対しての病的なまでの衝動的行動に繋がるんじゃないかなと。
電波や狂気は必ずしも要素となるわけではないけど、伴うことも多い気はするなぁ…。
例えば、ある時期からの思慕・恋慕の暴走だとか
妄執・虚構を精神的支えとするようになったりして行動がエスカレートして行ったりとかね。

875:名無しさん@ピンキー
07/09/19 14:27:18 5utCdqo2
ふむ、みんな新スレに移行しているみたいだから埋めついでに言うと
詳しく読むとヤンデレ大全はひどい点がかなり目立つ。
安易に暴力や病んでしまうことを肯定する傾向が特にマズい。
この手のヒロインには愛情が裏にあるから良いわけなのにさ……
大全発売後に「男のヤンデレ」を語るやつが急に増えたのも、そういう項目が書かれているからだろう。
女性向けの漫画とかで病んだ男キャラがいるとしても、そういうのをヤンデレと言うわけでもないのにな。
なんでもかんでもヤンデレかよ。

おまけ
水銀燈の項目について。
ローゼン(父)に対する愛情(デレ)で真紅たちに対する敵意(ヤン)という解釈だった。
なにがなにやら。
オーベルテューレでの描写によれば姉妹シリーズの中で真紅に対して
もっとも信頼を寄せていたわけで、それなのに正式にローゼンメイデンに
なったことを真紅は歓迎してくれない。つまり好意が裏返って憎しみになった。
この流れをヤンデレと言うなら納得だけど、そもそも名キャラには色んな要素があるだけだと思う。
なんでもかんでもヤンデレっていう態度を助長するだけだよな。

リストに関しては「大全」の本質なので、しっかりして欲しいもんだ。
もちろんコラムも詳しく読めば、わかってない感が匂うけどな。
もう頼りになるのは、おまえらとかVIP発のゲームぐらいだ……

876:名無しさん@ピンキー
07/09/19 16:19:16 4h8cVc6u
>>875
確かにアレは酷かった。あと、ひぐらしのレナ。彼女も違うってw
…まぁ、言葉とかねーちんについての項は良い感じにまとまっていたけど。
むしろ、ヤンデレにはグロが付き物って勘違いして、
耐性がないなどの理由でやたらと敬遠する人がいないかの方が心配かも。
要素の1つとして含み得る事が多いだけなのに。

877:名無しさん@ピンキー
07/09/19 16:22:02 25UrQT2s
チラシの裏でしっかりしてほしいだ頼りになるのはお前らだけとか
やっすい居酒屋でクダ巻いてるオッサンかあんた。
でもなきゃキモイワナビ。

878:名無しさん@ピンキー
07/09/19 16:50:08 TVRvhzOe
お前はガキだ

879:名無しさん@ピンキー
07/09/19 17:01:48 5utCdqo2
すまない。埋め用のチラ裏だったが確かに愚痴りすぎたな。
>>877は大全の出来についてどう思う?

880:名無しさん@ピンキー
07/09/19 17:49:30 E4VOTvFP
>>877
「頼りになるのはもう○○君だけなんだよぉ」とか言ってる子に脳内変換するんだ

881:名無しさん@ピンキー
07/09/19 19:02:09 8ancfqVs
 >>875は涙でぐちゃぐちゃにした顔で笑顔を浮かべた。
「もう、頼りになるのは君だけなの。私には君だけしかないの。だから―お願い」
 細い腕が、俺へと伸ばされる。微かに震える>>875の腕を俺は―

→はねのける
 引き寄せる
 ねじ上げる


無意味にこんな妄想をした。

882:名無しさん@ピンキー
07/09/19 22:28:54 4h8cVc6u
最近発売されたエロゲだと、(最近?)
聖なるかなののぞみんこと永峰希美は
結構当てはまるキャラなんじゃないかと個人的には思った。
ヤンデレ的要素が少なすぎて、修羅場止まりになってるのが残念すぎる位。

883:名無しさん@ピンキー
07/09/21 01:11:28 GMksHyfi
ここ数日で東方の二次創作読み始めたんだけれど、
アリスというキャラの話にヤンデレっぽい描写が多いみたい。
ググってみれば、原作や公式本ではちょっと嫉妬深い友達の少ない子程度らしいから不思議だぜ。


以下、みかけたヤンデレっぽい二次創作

少女の現
URLリンク(coolier.ath.cx)
URLリンク(coolier.ath.cx)

白百合畑でつかまえて
URLリンク(coolier.ath.cx)
URLリンク(coolier.ath.cx)


884:名無しさん@ピンキー
07/09/21 06:24:06 uogKhxla
東方なんて二次設定がほとんどだろ

885:名無しさん@ピンキー
07/09/21 11:27:02 zvZ3s/iJ
>>883
嫉妬深い子もキャラとしてはヤンデレ的な素質有りと考えやすいからかな、
原作の設定をどう解釈するかにも依るけど。
あと、友達の少ない子ってのは、ほぼ間違いなく準原作の萃夢想からだと思うw
(準なのは、原作者も携わってるけど、制作のメインは別サークルのため)

886:名無しさん@ピンキー
07/09/21 13:30:55 SqEQRvN3
ヤンデレの基本形態はボーダーにあると思うのだがどうだろう

887:名無しさん@ピンキー
07/09/21 14:03:37 zvZ3s/iJ
>>886
ボーダー?と思いきや、境界性/境界型パーソナリティ障害か。
基本形態というよりも、言動理念の下地になることが多いんじゃないかな。
必ずしも症例に当てはまるわけじゃないし。

888:名無しさん@ピンキー
07/09/21 14:07:48 SqEQRvN3
そうだなぁ
もっと深いところの、思考の原点みたいなところに根付いてるんだろうなぁ
普段は抑えてるけど抑えられなくなった時に吹き出る感じが強い

889:名無しさん@ピンキー
07/09/22 23:04:58 P0GDI/4D
ヤンデレ大全、持ってる人に読ませてもらった。

「質量、つまり重さなんだ」って書いてある本を受験時代に読んだのを思い出した。

890:名無しさん@ピンキー
07/09/23 01:07:48 1iYDTokz
質量と重さを同一視しているようにヤンデレと気違いを同一視しているという意味?

891:名無しさん@ピンキー
07/09/23 08:42:48 qa6xZ0XM
機知外はヤンデレでいうデレが無い

892:名無しさん@ピンキー
07/09/23 10:03:41 Kna1APRe
質量 物体固有の量 重力が違う星に行っても変わることはない
重さ 地球上で物体にかかる力の大きさ 故に地球上以外だと意味がない

ヤンデレ 愛してるが故に病んでしまった 病むほどに愛してしまった状態 
愛する人を手に入れるためなら手段をえらばない 病むほどに愛してる人以外には愛情を向けられない

キチガイ 最初から病んでいる どう考えてもメンヘラ 
最初から病んでるが故にヤンデレでいうデレがない状態 愛情と別世界の何かを履き違えてる子

893:名無しさん@ピンキー
07/09/23 12:02:41 JttUnon9
はいはいループループ

894:名無しさん@ピンキー
07/09/24 01:36:13 yTBfmvEc
質量があるヤンデレだと!?

895:名無しさん@ピンキー
07/09/24 02:17:40 FSk+QK4k
鉄仮面吹いたw

896:名無しさん@ピンキー
07/09/24 04:01:26 vfTFPQf5
いやオマエラ、F91ネタなんて振られても普通分からんだろう?

897:名無しさん@ピンキー
07/09/24 05:12:45 1/SzMPCC
へすゅ

898:名無しさん@ピンキー
07/09/24 06:13:42 BVtDnDGO
>>891
デレがあろうとなかろーとkitty guyはkitty guyでしかなくヤンデレとは別物だ
ヤンデレは常時ヤンでるよりもまともな部分とのギャップを楽しむものだろうに

899:名無しさん@ピンキー
07/09/24 14:10:28 2ctenXgW
>>898
それはどうかなぁ?
ここのSSだって登場からendまでぶっちぎりでヤミッぱなしのヒロインもいるし一概には言えないと思う

900:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:09:12 OEH+DIM2
↑おまえみたいなのがいるからヤンデレが勘違いされる
>>898の言ってることは
ここのssがどうだといってるわけじゃない。

901:名無しさん@ピンキー
07/09/24 15:40:27 f1DN3ppp
↑おまえみたいなのがいるからスレが荒れるんだ
新スレに持ち込むなよ

902:名無しさん@ピンキー
07/09/24 16:04:35 8OwSMHiH
↑おまえみたいなのがいるから話がおわらないんだ
スルーしろよ

903:名無しさん@ピンキー
07/09/24 17:44:45 EgwybuVN
話の終わらないさまはまるでヤンデレとの会話のようだな

904:埋めネタ~ヤンデレ家族~
07/09/24 23:07:02 44vDg8Ym
 俺の家には5人が同時に暮らしている。そして俺以外の4人全員が何かしらおかしい。
 まず、父と母。実の両親である。
 俺にとっては両親であるが、実を言うとこの2人はただの夫婦じゃない。
 別に父親がヒーローだとか、母親が裏世界のドンだとかいう意味ではない。
 もうちょっとレベルの低い意味でただの夫婦ではない。
 別の言い方をするならばベクトルが違うとでも言うのだろうか。
 
 俺の父と母は、兄妹だ。

 嘘ではない。どうしようもなく、本当のことである。
 なにせ、両親の母―俺にとっては祖母である―から聞かされた話だ。
 祖母はまだ50代である。まだ呆けていない。会社にだって務めている。
 俺自身、祖母の言ったことを全く疑っていない。
 俺が、兄妹で子供を作ったというにわかには信じがたい話をなぜ疑わないかというと、
たった今、壁一枚隔てた向こう側から、それを証明する声が聞こえてくるからである。

「おにいちゃあん! いいよっ! イイよぉっ!」
 この声は母の声だ。実の息子である俺が言うのだから間違いない。
 ちなみに母の年齢は……怖くて未だに聞けていないが、父の年齢が36歳ということから考えて、
30代前半だと考えられる。
 俺は現在17歳。となると、母は少なくとも18の頃には俺を産んでいたと言うことになる。
 なんということであろうか。
 兄妹で子供を作ったというだけでもトンデモ話だというのに、このうえ10代で出産していたとは。
 その事実を知ったときにはさすがに自分の耳、もしくは脳が損傷していないかを疑った。

「―っく、イクぅっ! あ、ああああああっ! いっぱい出てるうぅぅっ!!」
 ……ふむ。
 改めて考えてみると子供が起きているというのに、隣室でまぐわっている夫婦の
片割れである母(父の妹)が嬌声をあげているというのも変な話である。
 そして、30代子持ちで『おにいちゃん』と言う母の精神年齢の低さも異常である。
 俺は母の嬌声なんぞ聞きたくもないし、聞いても全く嬉しくない。
 人間の耳に、聞きたくない音声をシャットダウンできる機能があればいいのに、と俺は切に願う。
 母にセックスするのをやめてくれ、もしくは回数を減らしてくれ、と頼むことはできない。
 以前さりげなくそう言ってみたら、「私とおに―お父さんのスキンシップを邪魔するの?」と言いつつ、
母が俺の首に手を伸ばしてきた。
 その場は父がおさめてくれたが、もし父が居なかったらと思うとぞっとする。
 本人に言っても無駄なら、それこそどうしようもない。
 俺は夜ごとにひたすら頭のおかしい母と、父のまぐわう声を聞き続けなければいけないのだ。
 これからもずっと。

 父と母の話はこれぐらいにしよう。この家に住んでいるもう2人の話をする。 
 その2人というのは、俺の弟と妹だ。弟は1つ下、妹は2つ下。
 弟は俺のことを慕ってくれる。あまり学校の成績がよくない弟はテストの度に俺を頼ってくる。
 そこそこ勉強ができる俺は同じ高校に通う弟の勉強をよく見ている。
 その際、弟の勉強を見ている俺を、妹が後ろから見つめてくる。
 これが2つ離れた俺の尊敬の眼差しであれば嬉しいのであるが、そうではない。
 妹は俺を睨んでいるのだ。それも血走って濁った目で見てくるのだ。
 その瞳に何が篭っているのかなど、考えるまでもない。
 俺に対する、憎悪である。
 妹は、弟を独占する俺を射殺さんばかりに憎んでいる。
 とは言っても、それは勉強を見ているときだけのことである。
 勉強が終わってしまえば妹は弟にすぐさま飛びついて甘える。見ていて微笑ましくなるほど、激しく甘える。
 妹のデフォルトは、弟にくっついている状態なのである。
 長男としては少しばかり悲しくもある。だが妹の興味が弟に全ていくならそれでもいい、とも思う。


905:埋めネタ~ヤンデレ家族~
07/09/24 23:08:13 44vDg8Ym
 その理由には、俺の趣味が関係している。
 俺の趣味はプラモデルを作ることだ。そのため、部屋に立ち入ってもらったら困るのである。
 せっかく上手く塗装できたプラモデルに指紋などつけられては大変なことになる。
 具体的には飯も食えなくなるほどに俺がへこむ。
 しかし、母は父の部屋にしか入らないし、妹は弟の部屋にしか入らない。
 俺の部屋に入る人間は、俺以外にいないのである。
 たまに父や弟が入ってくることもあるが、俺が部屋にいる時に限るのでいたずらされる心配がない。

 というわけで、今の俺は明日学校があるにも関わらず、小言を言われずにプラモデルに色など塗れるわけだ。
 ああ、なんという幸福な生活であろうか。
 同居人の誰にも邪魔されずに趣味に没頭できる。趣味に生きる人間にとってこれ以上の幸せがあるだろうか?
 いや―ない。
 たとえ寂しい人間と言われようと、今の俺は幸せだ。
 それは父と弟という人身御供のおかげであるのだが、とにかく俺は幸せだ。
 今は幸せなら、それでいい。たとえ、これからは幸せでいられないとしても。

* * * * *

 朝になった。
 俺は部屋の隅に畳んだまま置かれている布団に身を預けるようにして眠っていた。
 夏というのはありがたい。寝るときに布団を敷かなくても風邪を引かないからだ。
 立ち上がり、学生服に着替え、部屋を出て、洗面所へ向かう。
 顔を洗い、少しばかり寝癖のついていた髪を水のついた手で撫でる。
 それで寝癖が直るわけではないのだが、一応やっておく。

 洗面所の次に行くところはリビングだ。
 リビングの入り口の扉を開けると、朝食の匂いがした。
 リビングのテーブルにはこの家の同居人である四人がすでに食事を始めていた。
 母と、母にあーんをされている父。妹と、妹にあーんをされている弟。 
 二組はテーブルを挟んで向かい合って座っていた。
 ちなみにテーブルに備え付けてある椅子は四脚。全ての席は既に埋まっている。
 俺の席は当然無い。朝食も当然用意されていない。
 こめかみを押さえて目を閉じる。そして自分に向けて暗示をかける。
 ―これはいつも通りの光景だ。今日もいつも通りで安心した。
 ―いきなり俺の朝食が用意されていたら、どうリアクションをとればいいかわからない。
 ―だからこれでいいのだ。
 ……よし、暗示終了。

 キッチンに入り、冷蔵庫の中を開ける。
 買い置きのプリンがまだあった。これと、あとはトーストを焼いて食べるとしよう。
 キッチンに置いてある小型の椅子に座り、焼いたトーストにマーガリンを塗り、食す。
 冷蔵庫に背を預けてよりかかり、もくもくと咀嚼しながらテーブル席についている四人を観察する。
「あなた、どう? 今日のお味噌汁」
「ん……まあまあ、かな」
「え? まあ、まあ?」
「はっ! 違う違う。うん、サイコーだよ。やっぱりお前を嫁にもらって成功だったよ」
 父が歯の浮くような台詞を言いながら母の頭を撫でた。
 母はにこにこ笑いながら父に体をすり寄せる。
 見ている方が恥ずかしくなるバカップル、じゃなくおしどり夫婦、もとい仲のよい兄妹ぶりである。


906:埋めネタ~ヤンデレ家族~
07/09/24 23:09:43 44vDg8Ym
 さて、もう一組、こちらは弟と妹の組み合わせである。
「お兄ちゃん。あーん」
「……あーん」
 妹が差し出した卵焼きが弟の口の中に入った。弟はもぐもぐと顎を動かす。
「うん……ちょっとしょっぱいけどおいしい」
「ホント!? じゃあ、もっとしょっぱくしても大丈夫?」
「いや、気持ち塩を少なめにしてもらえるともっと美味しくなると思う」
「そう? お兄ちゃんはその方がいい?」
「うん」
「わかった。明日からはそうするね。もう一つどうぞ。あーーん」
 こちらも両親に負けず劣らずの仲の良さを見せつけてくれる。
 これが兄妹同士でなければ兄としては安心できるのであるが……今となってはどうしようもあるまい。
 言うだけ無駄だ。よって何も言わないことにする。

 四人を見ていて、いつも思うことがある。
 父と母。弟と妹。四人はまったくそっくりである。
 兄妹という構図もそっくりであるが、その容姿すらもそっくりなのだ。
 父と弟はほぼ同じ顔だ。母と妹だってそうだ。
 このままいけば、いずれ弟と妹は、両親と同じ道を辿るのではないだろうか。
 ありえない、と言えないところが恐ろしい。
 実際に妹の行動は、兄妹は仲良くしなければならない、で説明できる行動の範疇を超えている。
 高校一年生と中学三年生の兄妹といえば、とっくに兄妹離れしている年齢である。
 それだというのに妹は弟にくっついたまま離れようとしない。
 これはブラコンの一言で片付けていいものなのであろうか。
 俺の本能は否、と言っている。このままではいけない、と言っている。
 だが、同時に本能が告げるのだ。妹の邪魔をすべきではない、無理矢理に弟と妹を引き裂けば俺の身に危険が及ぶ、と。
 弟のテスト勉強を見ているわずかな時間でさえ俺に譲ろうとしない妹を見ていると、その警告にも納得ができる。
 弟と妹にまっとうな人生を歩んで欲しいと俺は願う。両親のように歪んだ夫婦にしてはいけない。
 そうは思うものの、我が身かわいさ故にどうしても2人を放っておくしかできない。
 だが、いつか弟と妹が両親のように道を踏み外そうとしたら、その時は止めようと思っている。
 それが兄としてできる精一杯のことである。

 朝食を食べ終えた後、食器を片付けていると電話機が電子音を発した。
 リビングに視線を向ける。ピンク色の空間に居る両親と弟と妹はベタベタくっついたままで、電話をとろうとはしない。
 もちろんそれはいつものことである。朝食の時間に電話がかかってきた際に応対するのは俺の役目なのである。
 いつからそうなったのかはわからない。
 もしかしたら自分から望んでそうするようになったのかもしれないが、とうに忘れてしまった。
 廊下に出て、受話器をとって耳にあてる。
「もしもし」
「あ、お兄ちゃんの方かな? 元気?」
 電話の相手は祖母であった。
 祖母と言うには若々しい声である。還暦を迎えていないので、おかしいとは思わない。
「うん。元気だよ。どうかしたの、こんな朝から」
「今日は誕生日だったでしょう。だから電話をしておこうと思ってね」
 壁に貼ってあるカレンダーを見る。確かに今日は俺の誕生日であった。すっかり忘れていた。
「ありがとう、お婆ちゃん」
「もしかしたら、まだお兄ちゃんにお祝いしてくれないんじゃないかと心配になったんだけど。
 どう? むす―じゃなくてお父さんとお母さんにおめでとうって言われた?」
「うん。それに、今日は朝から大好きなフレンチトーストを作ってもらったから」
「……そう、よかったね」
「うん」


907:埋めネタ~ヤンデレ家族~
07/09/24 23:14:10 44vDg8Ym
 ちくり、と胸が痛んだ。俺は祖母を騙している。朝食は自分で作って食べていたのだから。
 けれど、ああ言わざるを得ないのである。
 祖母は実の息子と娘が肉体関係を結んでしまったことで、心に傷を負ってしまっているのである。
 盆や正月、親類の結婚式の時や法事の際に再会した祖母の顔は若々しくもあったが、同時に深い哀しみも湛えていた。
 そんな祖母に、心配させるようなことを言えるわけがない。
 もしかしたら祖母は俺の偽善―真実を伝えられないという思い―を見抜いているのかもしれない。
 それでも、俺にはこうするしかないのだ。なるべく心配をさせないよう、演技をしていくしか道はない。

「弟くんと妹ちゃんは元気?」
「元気がありあまって、こっちが参るくらいだよ」
「……仲が良すぎたりはしていない? たとえば妹ちゃんが弟くんと一緒にお風呂に入ろうとしたりとか」
「ううん。ちゃんと別々に入っているよ」
 これも嘘である。弟と妹は一緒の風呂に入っているし、さらに妹は弟に髪を拭いてもらっている。
 祖母がこんなことを聞いてくるのは、前例があるからである。
 祖母の息子と娘、つまり俺の両親のことであるが、2人が肉体関係を結んでいたことに、祖母は気づけていなかった。
 その苦い思いが、二度と同じ過ちは繰り返したくないという思いが、孫へと向けられているのだろう。
 だが安心して欲しい。弟と妹がもし過ちを犯しそうになったら、俺が止めるから。

「お兄ちゃんは、どう? 怪我とかしてない?」
「心配性だね。どこも怪我なんかしてないよ」
「無理はしないでね。……あの人も、昔……」
 俺は、祖母の声を遮るように声を出した。
「あ、ごめん。もうすぐ学校に行かなくちゃいけないから。また、帰ったら電話するから」
「ええ、気をつけて行ってらっしゃい……」
 祖母の言葉を聞き終えてから、受話器を置く。
 祖母が言っていたあの人。それは祖母の夫、俺にとっては祖父に当たる人のことだ。
 俺は祖父に会ったことが一度もない。俺が生まれたときには、すでに祖父は帰らぬ人になっていた。
 俺はそのことを、幼い頃は別におかしいことだと思っていなかった。祖父を早くに亡くしている人はこの世に大勢いる。
 祖父の死に疑念を抱き始めたのは、数年前のお盆のことだった。
 久しぶりに祖母の家に遊びに来た親戚が、俺に向けてこう言ったのである。
『あら、おじいちゃんにそっくりね』
 その場に居合わせた母は、俺の顔を掴みながら睨み付けるように目を剥いた。
 祖父の死に疑いを持ち始めたのは、それからである。
 もしかしたら、祖父は両親の関係を引き裂こうとして、母に殺されたのではないかと。
 母が恨みを込めた目で俺を見たのは、祖父が再び目の前に現れた、と考えたからではないだろうか。
 一度考えると、全てを疑わずには居られなかった。俺は祖母に内緒で、祖父の死について調べ始めた。
 祖父が死んだのが、俺の生まれる10ヶ月前であること。
 祖父の死因は、病死でも事故死でもないこと。―祖父は通り魔に遭い、殺されたということ。
 それらを知る頃には、俺はすっかり母への疑いを強くし、祖母を頼るようになった。
 そして、俺は母を避けはじめ、間もなくして母から避けられるようになった。
 プラモデルを趣味にし始めたのも、母がシンナー系の匂いを苦手にしていると祖母に聞いてからだ。
 この家で、俺と母は見えない戦いを繰り広げているのだ。
 
「兄さん、電話誰から?」
 リビングの扉を開けて、弟が廊下に現れた。左腕には妹がくっついている。
「お婆ちゃんからだ。元気にしてるか、って聞かれたから、元気だっていっておいた。お前達の分も」
「そうなんだ。ありがと」
「ありがと、お兄さん」
 妹は俺をお兄さんと呼び、弟をお兄ちゃんと呼ぶ。お兄さんと呼ぶときのニュアンスが暗いのは毎度のことである。
「さて、そろそろ行かないと遅刻するな。先に行っているぞ、弟よ」
「ああ、兄さん待って」
 玄関に置いたままの学生鞄を掴み、靴を履いて玄関から出る。

 ―うむ。今日も朝日が眩しい。快晴だ。


908:名無しさん@ピンキー
07/09/24 23:15:07 44vDg8Ym
終わりand埋め!

909:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:19:58 4RTA4Mqv
お兄ちゃんカワイソス

しかしこの展開だとそのうち婆ちゃんがお兄ちゃんに(ry
と、本気で思ってしまった俺はもう駄目かもわからんね。

910:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:23:52 WTG2t2lJ
澤越止の血脈と比べたらこんなものは児戯に等しいわ

911:名無しさん@ピンキー
07/09/25 00:45:49 GpM69Zni
両想いでどんなにどんなに相手の側が愛してくれていても、
それを上回るくらいに相手への愛が強すぎて、
愛しても愛しても愛しきれないと病んでいくのはヤンデレとは違うかな?



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