【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合18at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合18 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/08/04 18:11:31 Duy3K2Jf
<丶`∀´>y─┛~~

3:名無しさん@ピンキー
07/08/04 19:03:18 PMIm6Yda
3get

4:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:06:59 rcJ0FWoZ
おーーーつ

5:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:15:19 Qg1gtw4/
いちもつ

6:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:19:32 VquKkRh7
コルベール先生のハゲ頭にぶっかけたい。

7:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:41:57 3bMBlE1Q
あえて言おう、1GJ!!!!!

8: ◆CSTs7hoBww
07/08/04 22:55:02 9FW71zyy
前スレの933ではないですが、一作書き終えたので投下しようと思うんですがよろしいですかね?
今回はサイト・タバサなんですけれど、タバサを上手く生かせてないような気がしますorz

9:名無しさん@ピンキー
07/08/04 22:57:34 zInwGQs7
>>8
「ダメだね」って言われたら投下しない気か?

そんな気弱なことでどうする
書いたんなら投下しちまえ
タバサが待ってる

10:お酒の力 ◆CSTs7hoBww
07/08/04 23:05:33 9FW71zyy
>>9
ありがとう、投下させてもらう。
即死避けみたいな一作だと思ってください。


たまには、お酒でも飲んでパーッとしませんか?
というシエスタの誘いを受け、才人は厨房までお酒と肴を拝借しにいっていた。

「ここ最近、飲んでばっかじゃねぇか?俺って……」

その通りなのである。
ガリアからタバサを救い出してから、水精霊騎士隊の面々と飲んでばっかりなのであるが
むさい男連中、特に酒が入ると被害妄想が高まるマリコルヌの相手をするのは
ほとほと疲れていたので、シエスタ達となら…と受けたのである。

最も、その選択は間違いだったのであるが……後述しよう。

厨房からの帰り道、才人は窓の外を眺めているタバサを見つけた。
まだそんなに夜が更けていないので、他の学生を見ることはあっても
タバサを見ることは珍しかった。
しかも寝巻き姿である。サンタクロースのような薄い青い帽子に
それに合わせたようなパジャマ、そして身長より長い杖。才人、ここでグっと来た。

どうしたんだ?と声をかけると、ピクッと肩を震わせこちらを向いた。

「……」
「……」
「……」
「……眠れない」

しばしの沈黙の後、タバサの口から出てきた言葉はそれだった。
まぁ戦い続きだったし……母親の事も心配なんだろうか、と才人は思い

「じゃあ、こっちの部屋で飲んでいくか?」

ちゃぽん、と葡萄酒の瓶を揺らす。

それからまたしばしの沈黙の後に短く、行くとだけ答えて
才人の後ろにくっついていった。

「おかえりなさい~……って、ミス・タバサ?」

扉を開けた才人を出迎えてくれたのはもちろん、シエスタである。
才人の後ろに、いつもとは違う装いのタバサを見つけ
少々驚いた雰囲気だったが、二人を部屋の中に入れた。

部屋の中は、シエスタの手によって少々変わっていた。
といっても、蝋燭が灯っていたり花が生けられていたり、といった程度だが
普段のやや味気ないルイズの部屋とはまた違った印象を受けた。
するとルイズが手短に、小声で

「遅いわよ、犬。……で、なんでタバサが?」
「何か歩いてたら一人でいて眠れないって言ってたからな」
「ふーん、そうなの」

面白くない、と言ったようなルイズ。
反論しようとしたが、シエスタの声で飲み込んだ。

「はいっ、もう準備終わりましたから乾杯しましょっ?」

11:お酒の力 ◆CSTs7hoBww
07/08/04 23:08:02 9FW71zyy
そう促され、3人は席に付いた。タバサと才人、シエスタとルイズが対面になるよう座っている。
シエスタのグラスの中身が少ないのはきっとルイズ邸での事があったからだろう。
乾杯の合図で4つのグラスはカチンと音を立てた。


だがしかし、ここからがルイズ達と飲むという才人の選択の間違いであった…

ルイズは何故か物凄い勢いで飲みながら絡む。
それをなだめようとすると、シエスタが何故か熱っぽい顔で才人の手を握る。
目撃してしまったルイズは更に絡む。そして飲む。
タバサはそんな二人のやり取りを見る事も無くひっそりと飲んで食べていた。

酒乱である二人の暴挙は更に激化していった……
ルイズは才人にとにかく絡む。そして飲ませて飲む。

「あんたはわたしの使い魔なの!だから飲みなさい!」だの
「伝説の虚無の担い手の私のお酒が飲めないの!?」だの
何やら、普段の倍は出来上がってしまっているようで……

シエスタはと言うと……
「サイトさんって私がこんなに誘ってるのに……」とか
「ミス・ヴァリエールのぺったんこが好きなんですか?」とか
それを聞いたルイズは更に激化して……
あぁ、シエスタってお酒飲んだらダメなんじゃ…とガンガンに酔いが回った頭で
おぼろげに思い出した才人であったが、シエスタはもう止まらない。
脱いだらすごいんですっ!とか言っていきなり脱ぎだすし
それを見たルイズは何故かサイトを殴った。

「あら、ミス・ヴァリエール?貴女はお脱ぎにならないんですか?」
「あ、あんたと違ってそんなはしたない事出来るわけないじゃないっ!」
「そうですよね、怖いんですよね。私と違って……ふっ」
「な、な、なんですってぇぇぇぇぇぇ!?」

あぁ、シエスタ。お願いだから辞めておくれ。という才人の願いも空しく
争いは当然激化する訳で、挑発されたルイズが脱ぎだし
それを見たシエスタが鼻で笑い、才人が何故か攻撃される。

争いが止んだ時、才人が持ってきた葡萄酒の瓶は結構な数だったが
そのほとんどが床に転がってしまっている。
争いを起こした張本人達は…机に突っ伏して寝てしまった。
そのままにしておく訳にもいかないので、とりあえずルイズのベッドに二人を寝かせた。

12:お酒の力 ◆CSTs7hoBww
07/08/04 23:09:06 9FW71zyy
「その…ごめんな、騒がしかったろ?」
「良い、別に構わない。」
「…そっか。ならいいんだけどさ。」

酒が入っても、才人ではタバサの表情に変化は見られない。
キュルケならば、もしかするとその奥に潜んだ感情を掘り出せたのかもしれないが。

「……あなたは、寂しくないの?」

以前にも聞いたことがある言葉だった。
場所は図書館だったかな?と才人がぼんやりとしていると

「あなたは、ウエストウッドで帰りたいと言った。でもまだここにいる。」
「そりゃ…帰りたいけどな。ロバなんだっけに行けばわかるかもしれない。けど…」
「……けど?」
「またあのミョズニトニルンが来るかも分からない。先ずはあいつをとっちめてからだな。」

才人は、以前に襲われたあのデカくて早いゴーレムの一件を思い出した。
いくら「偽りの動機」を消されたとはいえルイズの事が心配なのである。

「寂しく、ないの?」

次の質問はさっきの質問と意味は同じだが語気が違った。
いつもの抑揚の無い声とは違う、少し感情の篭もった声。

「そ、そりゃ寂しいけど…」

そんなタバサの声を聞くのは初めてだったので
つい口が滑ってしまい本音を喋ってしまった。
とはいえ、タバサの前で故郷を思い出して大泣きしたのでそこまで気にはしなかったが
やっぱり、男が寂しいというのはちょっと恥ずかしいため下を向いてしまった。

分かった、と短く告げるタバサ。
そのすぐ後、下を向いたままの才人の視界に入ってきたものはタバサの足。
顔を上げるとそこに居たのはタバサだが表情がいつもとは違っていた。
タバサ…?と声をかけても上の空のようであったが才人が立ち上がろうとすると
その動きを制し、ゆっくりと才人の前に顔が来た。

酔った頭では何が起こったのか分からなかった才人だったが
何のことは無い、座っている才人の上にタバサが座り首に手を回したのだ。

「紛らわして、あげる。」

何を?と聞こうしたが、その言葉は出なかった。
タバサの唇が自分の唇に合わせられたからだ。

"雪風"の二つ名を持つタバサであったが
その唇は燃えるように熱く、才人の頭を更に酔わせた。
ウエストウッドでのそれと違い、執拗に唇を這わせ舌を絡ませる。
ぼーっとした頭で、どこでこんな事を学ぶんだろうと思った才人だった。

ぷはぁ…と、たっぷりと時間をかけ味わいそれを惜しむかのように唇を離す。
タバサの顔は見たことも無いくらい朱に染まっていた。
なぜ、と言おうとしたがその表情を読み取ったのか

「私は、あなたに母と命を救われた。あの時言った言葉は嘘なんかじゃない。」
「だから……あなたが寂しいならそれを紛らわしてあげたい。」
「私は……あなたの物だから……それとも、私じゃダメ……?」


13:お酒の力 ◆CSTs7hoBww
07/08/04 23:13:40 9FW71zyy
据え膳食わぬは何とやら、才人は無言で唇を押し付けた。

「むっ…んむっ…はぁ…んっ…」

気づいたら、手がパジャマの中に入りご主人様のそれと似た草原を優しく撫ぜる。
既に自己主張を始めている頂にそっと触れると、ビクンッと身体が震えたが唇は離れない。
以前酔いは回っているがちょっとした悪戯心が芽生える余裕が出来てきたので
片方の手で背中を抱き、片方の手を下腹部の下のほう、タバサのそれへと導いた。

「んぅっ!?むぐっ…あむっ…」

先ほどより大きな反応だったが唇は離れない。
すでに興奮していたのか、タバサのそこは十分に濡れていた。

「んっ、んっ、あふっ、むぐっ…んぁっ!」

ついに唇が離れた時に触れた場所は、小さく自己主張していた小さな蕾だった。
更なる悪戯心を燃やした才人はそこを執拗に、しかし優しく責めた。

「んぁっ!あぁっ!ダメっ!あっ!」

イってしまったのだろう、肩で息をしながらタバサは恍惚の表情を浮かべている。
しかし、次の瞬間には不満の顔に変わっていた。

「……サイトのいじわる」
「ごっ、ごめん!その……可愛くってつい…」
「……次は、私の番」

顔を真っ赤にしたタバサが才人の膝から降りて、跪きズボンのジッパーを下ろし
才人の大きくなった息子を取り出し一気に咥えた。
尚、彼女の指南書は「バタフライ伯爵夫人の優雅な一日」である。

頭の中で、えぇと伯爵夫人はここをこうして……と記憶を頼りに必死に才人に奉仕していた。
そんな奉仕をされてしまっては才人も耐える事が出来るはずもなく

「タ、タバサっ!も、出るっ!」

男の欲望を小さなその口で受け止めたタバサはそれを全て飲みきった。
こんなことは指南書に書いてある訳ではなかったが、何か勿体無い気がしたのだ。

「ご、ごめん…気持ちよくって」
「良い、私が望んでした事。それより…こ、この前の続き…する。」

どこかで聞いたようなセリフだなぁ…とまるで他人事のように聞き流しタバサを押し倒した。
いつの間に脱いだのだろう、タバサはいつの間にか全裸だった。
タバサの裸は雪風の名に相応しくどこまでも真っ白だった。
そのおかげか、才人は幾分か理性を取り戻した。


14:お酒の力 ◆CSTs7hoBww
07/08/04 23:14:43 9FW71zyy
「その……俺なんかで、いいのか?」
「…あなたでないと、ヤダ」

ヤダ!ヤダってあーた!あぁ、もうこのちびっ子め!俺の理性を!

「じゃ、じゃぁ入れるよ。」

才人は再び大きくなった一物をタバサの秘所にあてがい優しく挿入した。
まだ誰にも侵入を許してないそこは当然狭くきつかった。

「っ!!!」
「だ、大丈夫か!?」
「だ、大丈夫だから…気にしないで」

目をしっかり瞑り、口元は苦痛に歪んでいる。
ゆっくり、ゆっくり挿れていくと壁にぶつかった。
おそらく、まだ身体的に成長していないのだろう、タバサのそこは発達しきっていないのだった。

「も、もう動いて…大丈夫だから…」
「ほ、本当に大丈夫か?」

コクン、と肯定されたので才人は腰をゆっくり動かし始めた。
最初こそ、その口元は苦痛に歪んでいたがいつの間にかその歪みに変化が現れた。

二つの寝息をかき消すように肌と肌がぶつかり合う音が室内に響いた。
が、タバサのサイレントのおかげでその音が二人の耳に入る事は無かった。

ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ…
回数を重ねて幾たびに口元が開きそうになるのを堪えているようだったが
すぐにその口は開かれ、嬌声が漏れた。

「あっ…サイトっ・・・!んぅっ…!」

普段の表情からは決して出てこない甘い声で更に欲望に火が付いた。
嬌声を塞ぐように、才人は唇を合わせタバサはその首にしっかりと手を回す。
唇をついばんでいると、潤んだ瞳をこちらに向けてくる。
その顔がとても愛おしく感じた才人は強く抱きしめた。

「私は、あなたとこうする事が出来て……嬉しい。」
「酔いに任せてしまったかもしれないけど……嬉しい。」

そんな甘い声を耳元でダイレクトに聞いてしまった才人は
タバサを労わる事を頭からふっ飛ばし、腰を強く打ちつけ始めた。

15:名無しさん@ピンキー
07/08/04 23:18:05 9FW71zyy
そんな甘い声を耳元でダイレクトに聞いてしまった才人は
タバサを労わる事を頭からふっ飛ばし、腰を強く打ちつけ始めた。

「はっ、あぁっ!サい、とっ!」
「タバサ!タバサ!」

もう、今はタバサを穢す事しか頭になくなってしまった才人を包み込むかのように
タバサは両手を首から背中へと移し、離れないようにしっかりと握った。

「タバサっ!俺、もうっ!」
「そのままっ…!中……中にっ…!」

その一声で才人はラストスパートをかけ白濁液を幼い身体に注ぎ込んだ。
荒い息を吐きながら、タバサはその腕と足を才人に絡ませた。
もちろん、タバサと繋がったままである。

「え、えーと?タ、タバサさん?離れられないんですが…」
「もっと…もっと…して?」

潤んだ瞳で見つめられれば才人にはもう断る術などあるはずもなかった……


次の朝、目を覚ますと目の前には眠っているタバサが居た。
どこをどうしたのか、いつの間にか才人とタバサの衣服は元に戻っており
懐かしき藁束の上でタバサに腕枕をしながら眠っていた。
可愛いなぁ…と思っているとそこにはお約束の殺気が。それもダブル。

「な、ななななななな何してるのかしらっ!?犬っ!?」
「サイト……さん?何してらっしゃるんですか?」

二人の怒声で目覚めさせられたのだろう、やや不機嫌そうに目をあけたタバサは
どこから出したのか杖を持ちながらすっと立ち上がり

「私の主人に、手出しはさせない。」

あぁ……タバサさん……あなたはどうして……油にガソリンを注いでくれますか……

瓶と魔法と虚無が飛び交う中、いつものように真ん中で才人は意識を手放した…

16: ◆CSTs7hoBww
07/08/04 23:20:33 9FW71zyy
ちょっと手直ししながら投下してたので、時間がかかってしまいました。
以前言われたようにエロシーンを長めに書いてみようと思ったんですけれども、難しいですねorz

いつかせんたいさんのようなSS書きになれるように頑張ります・・・
スレ汚し失礼しました。

17:名無しさん@ピンキー
07/08/04 23:43:03 7QuQwp6o
>>16
GJ!!気持ちは伝わってきた。次回にも期待してる。

……とか偉そうなことが言える立場でもないな。吊ってくる。

18:名無しさん@ピンキー
07/08/04 23:57:55 zInwGQs7
>16
GJだぜ
タバサエロかわいいよタバサ


19:名無しさん@ピンキー
07/08/05 01:16:57 +tvFoY3i
>油にガソリン
わざと?

タバサかわいいよタバサ

20:名無しさん@ピンキー
07/08/05 09:36:34 2hM8kq2v
>>16
GJ!
酒の上の不埒って感じで全く持ってこのロリコンどもめ!と激賞したくなる出来でしたな
色々意味不明だがキニシナイ

所で油にガソリンて……つまり今ですらまだ炎上してないってことか、おそろしや……
火種はテファが公に参加すること辺り?

21: ◆CSTs7hoBww
07/08/05 09:52:57 zNVSBTP1
おはようございます。

>>19-20
アッー!しまったアッー!
正確には「火にガソリン」ですorz
いや、こんなのはきっと序の口にすぎないのかもしれません。

読んで頂いてありがとうございます。
お次はif物を考えております…

22:名無しさん@ピンキー
07/08/05 16:15:18 +yBk87yx
>>20
物凄い妄想力だww
SS書けるんじゃないか?ww

23:名無しさん@ピンキー
07/08/05 18:05:57 TOtEM307
まさか、ちびまる子にシエスタが出てくるとはw

24:名無しさん@ピンキー
07/08/05 18:36:04 3MaQL4w/
>>23
kwsk

25:名無しさん@ピンキー
07/08/05 18:43:03 bTOHtlcy
「シエスタ」という単語。

26:名無しさん@ピンキー
07/08/05 18:54:06 enQtoAb4
カジヒデキの曲に過剰反応しちまう俺と同類だな

27:名無しさん@ピンキー
07/08/05 18:54:51 TOtEM307
>>24
昼の長時間休憩と言うか昼寝と言うか・・・話の流れで出ただけです、ハイ。
一応サブタイにもなってたけど。

28:名無しさん@ピンキー
07/08/05 23:40:04 PjHZ3huC
>>23
俺はおまえのスキルニルかw
過剰反応したヤツはもっといるはずだ。

29:名無しさん@ピンキー
07/08/06 00:15:47 kjJJvj6T
俺が中学ん時の英語の教科書に出て来たな>シエスタ

30:名無しさん@ピンキー
07/08/06 00:33:44 e5nka66I
フランツ・シェスター

31:名無しさん@ピンキー
07/08/06 01:12:40 bdp7mFx5
>>30
かませ犬だったなぁ…シエスタは違うぞ!

32:名無しさん@ピンキー
07/08/06 01:53:01 GAB7ZJ2N
くっそぉ~~~~!!!野球中継のせいで録画失敗した!
ナイターなんてだいっ嫌いだ!!!

33:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:30:39 niMmymIi
前回投下から半月も経たずに投下できるのは
前スレ
スレリンク(eroparo板:951番),953
さまのお陰です。

かわいいよアンリエッタかわいいよ

URLリンク(wikiwiki.jp)
「チクトンネ街の女王」
の続きの投下、行きます。

34:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:31:37 niMmymIi
 チクトンネ街の路地裏。街の喧騒は聞こえるものの、奥まっているここは路地に積まれた
荷物の陰になって街路からは直接見通すことはできない。
 そこに、アンリエッタは極小のミニスカートとセーラー服を着た格好で才人に抱きついていた。
 変装のための長いカツラの下の顔を真っ赤に紅潮させながら、愛しいシュヴァリエの名を
何度も叫ぶ。
 ミニスカートの下にはなにも履いておらず、胸の上までまくりあげられたセーラー服の中にも
下着はつけていない。アンリエッタは真っ白でふっくらした乳房を晒しながら、その豊満な胸を才人に
押し付け興奮の荒い吐息をこぼしつづける。
 ミニスカートから伸びる真っ白なふとももには、興奮のせいでぬれた股間から垂れてきた液が
輝く線を作っている。

 才人のズボンのファスナーを下ろすと、張りつめたその盛り上がりの股間から「ぶるん」と男根
が突き出てきた。硬直しきったその肉の槍は、先ほどからのアンリエッタの痴態を目にして
興奮の極みに達している。天を突くような角度でアンリエッタにその切っ先を向けている。
 アンリエッタは膝を地面につけて膝立ちの体勢になると、顔のすぐ前の才人の男根に顔を近づけていく。

 どくん。
 アンリエッタの胸の中で、心臓が暴れた。
 その器官がアンリエッタにどんなことをしてくれるのか、知っていたから。
 その肉棒で女の子の場所を突かれ、縫われ、苛められると自分がどうなってしまうのか、
知っていたから。

 だからアンリエッタはその薄赤い肉棒を目にしただけで、自分の身体の奥から
熱い波が生まれてくるのがわかった。
 動悸は激しくなり、口の中に唾液が溢れてきてしまう。
 その匂いを嗅いだだけで頭の中が真っ白に焼けてしまいそうだ。
 熱い吐息を吹き掛けながら、アンリエッタは肉棒にその麗しい唇を近づけていく。
 顔を真っ赤に染めながら、それでも視線はその亀頭から外すことが出来ない。

―サイトさんの…おちんちん…わたくし、今…お外で…こんな、格好で…サイトさんの…

 膝立ちになって才人の男根に顔を寄せるアンリエッタ。
 腰の裏がねっとりと痺れ、鼻から吸い込む才人の体臭も、頬を撫でられる才人の掌の熱さも、
全ての刺激がジリジリと興奮を高めていってしまう。
 はだけたセーラー服から巨きな乳房を零しながら、アンリエッタは膝立ちの体勢で才人の股間に
その小顔を寄せていく。
 唇をおずおずと小さく開ける。
 その内側は飲み込みきれない唾液でとろとろに蕩けていた。

「待って」
 才人の声がアンリエッタの動きを止める。
―サイトさん?
 ギクリ、としたアンリエッタは心臓が止まりそうなほど驚いてしまう。
―お口でして差し上げようとしたのが……ご不満だったのでしょうか?
 想い人の不興を買ったのかもしれない、というショックで顔色が変わっているアンリエッタ。
泣き出しそうな顔で才人のことを見上げている。

 才人はアンリエッタの頭を覆う長い髪のカツラを取り去った。
 街中を歩かせるにあたって才人が変装のために用意したカツラ。
 今までずっとかぶっていたそれを外され、その下からはアンリエッタ本来の
ダークブラウンのセミロングの髪が現れた。
「やっぱり、カツラなんかしないほうがアンは可愛いね」

「…っ…」
 アンリエッタは泣きそうになる。
 大好きなご主人さまが、そんな優しい言葉をかけて下さる。
 奴隷のアンリエッタにはそれだけで軽い絶頂に達することができた。
 胸の中からあふれてくるのは、目の前がぼやけてしまうほどの幸福感。
 身体の芯がズキズキという甘い鼓動で満たされ、夢うつつのままその温かい波に揺られている。
 だから、気が付くとアンリエッタは無我夢中で才人の男根に舐りついているのだった。

35:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:35:05 niMmymIi
 ちゅうう、とアンリエッタの薄いばら色をした唇が、才人の男根を咥え込んでいる。
 国民を魅了するつややかな唇は今や才人の蒸れた性器を愛しげに咥えてしゃぶっている。
 鈴を鳴らしたような可憐な声を紡ぐ舌は、才人の肉竿の表面に唾液を塗りこめるように愛撫している。
 それら全てが、アンリエッタには喜びなのだった。

 ねっとりとしたアンリエッタの舌の感触に酔いしれている表情をしている才人。
 才人が下を見ると、唇をすぼめながら男根に奉仕している清らかな女王陛下の顔が見える。
 頬を紅潮させて、丸くて大きな瞳をうっとりと潤ませながら、一心に男根に口を奉げている。
 それは見ているだけで、腰の中が爆発しそうなほどエロかった。
 才人はその顔を見ているだけで思わず達してしまいそうになる。


 アンリエッタは口で男根に奉仕しながら、上目遣いで才人の顔を覗う。
 幸せそうな顔で目を細める才人の表情にアンリエッタは満足する。
―サイトさんが……気持ちよくなって下さっています…
 大好きなご主人さまを満足させられている、という想いはアンリエッタの女の子の粘膜を
熱く融かしていく。こぽり、と熱い期待の高まりの液をこぼしてしまう。

 アンリエッタは才人の視線を感じている。
 ちらりと上を見ると、幸せそうな顔の才人が自分の顔を見つめているのがわかる。
―サイトさんに…わたくしの……いやらしい顔……見られてます…
 その視線は女王陛下の胸の奥をジリジリと焼き焦がしていってしまう。
 切なくて、苦しくて、それでも甘く身体が溶けていってしまいそうな感覚が女王の身体の中に
あふれてくる。
 唾液に塗れた頬の内側の粘膜が亀頭粘膜に張り付き、その反対側をアンリエッタの舌先が弄う。
 その刺激で、才人の男根はさらに固く大きく、弓なりに反り返っていく。
 アンリエッタの口の中で大きさを増した亀頭は、女王陛下の口の天井の粘膜を突く。
 柔らかい粘膜に亀頭が押し付けられ、そこが弱点であるアンリエッタの腰の中がさらに
甘く蕩けていってしまう。そんな粘膜に、逞しい陰茎の先端を押しあてられている。
 膝立ちの女王陛下は才人のジーンズの腰を力ない拳で必死にしがみつく。そうしていないと、
地面に倒れてしまいそうだったから。
 才人の掌がアンリエッタの頭を優しく撫でる。
「アン、すごく気持ちいいよ」
 興奮に鼻を鳴らしながら、ときどきくぐもった声を漏らすこの平賀才人という少年のことを
アンリエッタは心から愛している。誰よりも大切に思っている。
 だからそんな風に、才人が感じてくれている、ということはなによりうれしいことだった。
 アンリエッタは唇をすぼめながらカリ首をしごくように刺激する。舌で鈴口を撫で上げ、
裏筋をなぞるように舐めあげる。
 才人のモノを愛しげにしゃぶりながら、アンリエッタは自分の両足の間に甘く痺れるような熱が
どんどん生まれてくるのを感じていた。

「んくっ……ふぅっ……んぁ…」
 アンリエッタの鼻から甘い吐息が漏れる。
 ちゅく、ちゅく、という音が肉竿と唇の間からこぼれてくる。
 唾液に包まれた亀頭がアンリエッタの舌先で愛撫されると、才人は眉間に深く皺を作って
その快感にこらえようとする。
 その表情を見ているだけで、アンリエッタは恋しいご主人さまを満足させられているのだ、
という気分で多幸感の虜になっていく。
 胸の中がジンジンと熱くなり、女の子の部分がとろとろに蕩けていく。

36:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:35:40 niMmymIi




 チクトンネ街の狭い路地裏の倉庫の影で、アンリエッタ女王陛下は愛しいご主人さまの
男根を咥えながらしっかりと発情していた。
「ん……アン……イイ、いいよ……アンッ!!」
 才人のモノが、限界に達することを知らせるかのように大きく一度脈動する。
 そして次の瞬間、アンリエッタの口内に白い濁流が噴き出した。
「う…くぅっ……」
 才人のうめきと同時にびくん、びくん、と何度も男根が脈動し、男の匂いを濃縮したような精液が
アンリエッタの口の中に広がる。
 アンリエッタは舌の上に白濁を感じ、粘膜を熱い液で浸される。
 歯ぐきにも、頬の内側にも、熱いほとばしりを叩きつけられ、口の中が才人の男の滾りで
いっぱいになってしまう。
 二度、三度と才人の男根が脈動し、アンリエッタの口の中にさらにたくさんの熱い白濁液が飛び散った。
 さらに噴出を続ける精液が喉に叩きつけられてアンリエッタは咳き込みそうになるが、
まるで一滴でもこぼすのは勿体無いかのように唇は才人の男根から離れない。

 夢うつつのなかでアンリエッタは子宮がズキズキと熱を帯びているのがわかる。
 才人の精を口で受け、味わい飲み込む。するとアンリエッタは全身がかあっと燃えるみたいに
熱くなってくる。心臓は今まで以上にドキドキと弾み、体中の皮膚が触ってほしいかのように
敏感に、貪欲になってくる。
 こくん、と小さな喉を鳴らして才人の精を飲み込むアンリエッタ。
―サイトさんの……せ、精液って…まるで、媚薬のようです…
 愛しいご主人さまの精液は、メス奴隷の身体を発情させていく。


 地面に膝立ちの体勢のまま腰が崩れそうになっているアンリエッタのスカートの中に才人は手を入れた。
 すべすべの太腿の間。下着をつけていないアンリエッタの陰部は充血し、とろとろの本気汁を垂らしていた。
 濃紺のミニスカートがの股間が黒く染まるくらい、熱く塗れているそこは才人の指をたやすく受け入れてしまう。

 才人の指が敏感になっている陰唇を割って粘膜を弄う。
「ひあぁぁぁっ」
 アンリエッタは発情期の猫のような悲鳴を上げ、才人の腰に抱きついた。
 もう身体に力が入らない。膝立ちすらできない。

「アンって、しゃぶりながらこんなにしてたんだ?」
「ち、違います……これは……」
 才人にはしたない女だ、と思われるのがイヤでアンリエッタはウソをつく。
「えっちなアンのこと、俺は大好きだよ?」
「…」
「俺のチンコしゃぶりながら、こんなにしてるようなえっちなアンのこと、俺は好きだけどな」
 そう言って才人はアンリエッタに微笑む。
 それを目にしたアンリエッタの身体に、熱い波のような高揚感が襲ってくる。

37:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:36:46 niMmymIi



「だ、ダメです…こんな……表で、こんなこと…」
「大丈夫。アンが静かにしてればこんなとこ誰も来ないよ」
 才人は腰の抜けてしまったアンリエッタを木箱に座らせる。
 そして濡れて染みだらけになってしまったミニスカートをアンリエッタの両足から素早く抜き取った。
 スカートが抜き取られると、この女王さまが身につけているのは黒のストラップシューズと胸のはだけた
セーラー服の上衣だけだった。おっぱいの上まで捲り上げられたセーラー服から下には白い透き通る肌しか見えない。
 外でこんな格好をしている、という自覚はこの女王陛下の興奮をさらに高めていくばかりだ。

「ごめんね」
「…はい?」
 アンリエッタは突然の才人の謝罪に途惑って言った。
「さっき、助けるの遅れて」
「いいえ……サイトさんが、きっと助けてくださると信じていましたから」
 そう答えるアンリエッタの豊満な胸を才人の手がゆっくりと撫でる。
 その滑らかな触感を楽しむように優しく愛撫する。指先が瑞々しい乳肌を圧迫しながらゆっくりと
その表面を這っていく。
 アンリエッタはそれだけでゾクゾクするような快感が乳肉の中で生じてしまう。
 腰掛けた木箱に液体が垂れてしまいそうなくらい、激しく高ぶっていってしまう。
「サイトさん…」
 強弱をつけてその胸肉を掌の中でもてあそぶ才人。興奮に固くなっている乳首を指先で軽く擦りたて、
すべすべな肌を優しくマッサージしていく。
 その優しく愛撫されている感触に、南の海のような色の瞳を蕩かせながらアンリエッタは才人に懇願する。

「サイトさん…も、もっと、サイトさんの好きなように…触って、揉んで下さい……
わ、わたくしのなかから、あの者たちのイヤな感覚を消してください……」

 ほんの少しだけ涙を浮かべながら、切なげに才人の顔を見つめてくる。
 その顔にドキリとしてしまった才人は「いいの?」というような視線を投げかける。
 黙って小さく頷くアンリエッタ。上気した頬と潤んだ瞳でもう我慢できません。

 才人は汗の浮いた珠の肌をぎゅうう、と痕がつくくらい強く握り締める。
 優しく、でもアンリエッタの唇から甘い声が出るくらいには強く乳首を指で挟んで転がす。
 巨きな乳房全体を持ち上げ、押しつぶすように乳肉を揉みまくる。
 左右の乳房を互い違いに持ち上げ、乳肉を柔らかく変形させていく。

 その愛玩の一つ一つにアンリエッタは興奮の階段を無理矢理登らされてしまう。
 そして揉まれ、愛撫されている間にキスをされ、耳元で「アンはかわいいよ」「大好きだよ」
などと囁かれるともう可愛らしいあえぎを漏らすしかない。
 女王陛下は腰掛けている木箱の表面がぐっしょり濡れるくらい、股間を濡らしてしまっていた。

「足持ち上げて」
 才人がそう言うと同時に、アンリエッタの右足が才人によって持ち上げられる。
 左足だけ地面にかろうじて着くくらいの高さの木箱に浅く腰掛けたまま、右のかかとを腰の横に
着かされる。
 大きく開かれた股間。
 その体勢では才人の前で陰部をまともに晒してしまうことになる。
 そのことがアンリエッタの興奮を極限近くまで昂ぶらせてしまう。

 才人はその秘奥を覗き込んだ。
「…サイトさんっ……」
 才人の視線を隠しておきたい場所に浴びてしまい、アンリエッタは呼吸ができないくらい
胸の中が切なく苦しくなる。
 アンリエッタの髪と同じ色の薄い恥毛は、淡い色の陰唇の間から際限なく漏れ出てくる愛液で
べったりと肌に張り付いてしまい、その中心をほとんど隠しきれていない。
 女王陛下の一人しか男を知らない肉の裂け目はすっかり充血してひくひくとその口を開きかけ、
すっかり肉棒を迎え入れる準備ができている。

38:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:54:47 niMmymIi
 才人の指がその淡いピンクの粘膜の縁に触れ、その口に再び猛りきった亀頭をあてがう。
 その熱さが、固さが、アンリエッタの胸の中の期待と興奮をさらに大きくしていく。
 ぬるぬるしたアンリエッタのすこし濁った粘液を才人は自分の亀頭に塗りこめる。
 その感触が気持ちよくて、アンリエッタの下の唇の感触がたまらなくて、才人は甘く鼻を鳴らす
このお姫さまの陰部への亀頭での愛撫を続ける。
 すぐ前にあるアンリエッタの顔は興奮で真っ赤になっている。もとが透き通るくらいの色白なので、
薄暗くなりかけている夕暮れの路地裏でもその赤さは明確にわかる。

 才人はその顔に魅入られながらも、まだその弄えを続けた。
 蕩けたアンリエッタの粘膜を亀頭でなぞる。
 才人はそのままアンリエッタの唇にキスをする。
 しかしまだ挿入はしない。アンリエッタがそれを待ち望んでいるということを知りながらも。

 一分近くそのじらしを続けていると、才人にはアンリエッタの瞳の中に苦痛の色が見えてきてしまう。
 切なげに眉を寄せ、漏らす吐息も苦しげな雰囲気になっている。

 とろとろに溶けた陰部を指と男性器で好きなように弄られて。
 熱く湿りきった淫花に亀頭でキスをされて。
 その間も唇にキスを、耳元に甘いささやきを受けていたアンリエッタは
触れば落ちてしまいそうなくらい熟しきった果実のようなものだった。
 じゅぷじゅぷという水音を立ててしまうくらい湿りきったアンリエッタの肉裂は
すっかり男を迎え入れる準備ができている。
「サイトさん、い、いれて・・・ください」
 アンリエッタは呆けた目で才人におねだりをする。

「アン? それじゃどこに何を入れたらいいのかわかんないよ?」
 微笑みながら才人はアンリエッタに言った。

 恥ずかしさに燃えそうな熱い頬のまま、アンリエッタは唇を動かす。
「あ、アンの……いやらしい、あそこに、サイトさんの…
 あ、熱い…おちんぽを、下さいませっ……」
「アンは俺のちんぽが欲しいんだ?」
「は、はい……」
 消えてしまいそうなくらい恥じ入っているアンリエッタは耳まで真っ赤にしながら
頷いた。
 才人はその表情を見てさらに微笑むと、愛しいメス奴隷にこんなことを言った。
「でも、どこに欲しいのかわからないよ?」

 アンリエッタは口をぱくぱくとなんどか動かすと、意を決したかのように言い放った。
「わ、わたくしの……お、お、おんなに……サ、サイトさんの……お、おちんぽを…くださいませっ」
「おんな? それってどこのこと?」
 才人が男根をアンリエッタのふとももに押し付けながら尋ねる。
「わかんないから、入れようがないなあ」
 息を呑むアンリエッタ。浅く荒く呼吸をしながら、口の中に溜まった唾液をこくんと飲むと、才人に向けて叫んだ。
「お、お、お○、お○んこに…アンの、いやらしいお○んこに、サイトさんの、熱い、
固い、おちんちんを、入れて、入れてくださいっ」
 そう叫んだ、叫んでしまったアンリエッタは真っ赤に染めた顔の中で、瞳だけが酔ったように泳いだ。
 無理矢理言わされた淫語に、脳天がはじけてしまうような羞恥と、底知れぬ快感を覚えてしまっているのだ。

「よく言えたね」
 才人はアンリエッタの頭を撫でると、もう片方の手を添えながら男根を
ぱっくりと口を開いている女王陛下の粘膜の入り口に押し当てた。


「アン…いれるよ」
 才人がそうアンリエッタにささやく。
「……」
 アンリエッタは無言のまま、涙をにじませた焦点の合っていない瞳で小さく頷く。

39:チクトンネ街の女王
07/08/06 02:57:20 niMmymIi
――――――――――
今日はここまでー

次回の投下もなるべく早くできるようがんばる。
んでわっ

40:名無しさん@ピンキー
07/08/06 03:05:19 Sc/jsEkB
>>39
GJ。

アン様のプリケツ画像(*´д`*)

41:名無しさん@ピンキー
07/08/06 03:06:18 bvSai28f
>>39じらすなああああああああああああああああああああああああああGJ!!!

42:名無しさん@ピンキー
07/08/06 08:35:07 qFXf4U1j
>>39
期待に違わずエロ~いw 凄い良いよアン様。
高貴な人が淫らに堕ちている様m堪らんw

43:名無しさん@ピンキー
07/08/06 17:00:03 5GLxpFwH
新刊の表紙は、シエスタとティファ

44:名無しさん@ピンキー
07/08/06 17:28:41 LJSVSLfw
URLリンク(www.mediafactory.co.jp)
これだな

45:名無しさん@ピンキー
07/08/06 17:45:43 JU9XZ2D5
>>39
なんっっというNamagoroshiiiiiiiiiiiii------!!!!!!!!!!!!!!

46:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/08/07 00:11:07 FfgE+h7q
『ゼロの飼い犬』 9回目です。
12巻の表紙にモニタの前でガッツポーズとってしまったのは内緒だ。

47:月夜の晩に 1/15
07/08/07 00:11:50 FfgE+h7q
「……眠れねえ」
 毛布を体の上からどかすと、身を起こしてベッドに腰掛ける。
 色々あって体には疲れが溜まってるのに、目が冴えてしまって眠れる気がしない。
 
 そういえば、数日前にもこんなことあったっけ。タバサと一緒に『月の涙』を
探しにいった夜だ。隣のベッドでギーシュが幸せそうに寝息を立ててるのも同じ。
 
 違うのは、今日の宿はシエスタの実家だという点。宝探しの締めくくりとして
俺たちはシエスタの故郷であるタルブの村までやってきて、
シエスタの家に泊めてもらうことになったのだということ。
 
 そしてもうひとつ。今度は”宝”が見つかったのだという点。
 眠れないのはそのせいだ。色んな思いが胸の中にあって、興奮している。
 思い出したら、余計に目が覚めてしまった。
 
 俺はひとつ溜息をつくと、ベッドから降りてパーカーを着込んだ。
「どっか行くんかね、相棒」
 目ざとく声をかけてきたデルフに、口の前に人差し指を立てて見せる。
寝てる人を起こしちゃ可哀想だ。
 「散歩だよ」と小声で言うと、デルフを部屋に置いたまま部屋を出た。
 
 シエスタの実家から外に出て、森の木々がざわめきと虫の音しか聞こえない村道を歩く。
特に目的地を決めていたわけじゃないのだが、自然と足はある場所に向かっていた。
 村近くの平原の片隅にある寺院。今日の昼間にシエスタに案内された、『竜の羽衣』が
安置されている場所だ。
 
 寺院の中に入ると、『竜の羽衣』―いや、ゼロ戦に触れる。
この世界では明らかに異質な存在である、大日本帝国海軍の艦上戦闘機。
 俺と同じく、地球の日本からこの世界に迷い込んだものであり、
そして俺以外にもこの世界に来てしまった人がいたのだということを証明するもの。
 
 『固定化』とやらの魔法がかけてあるらしく、使用された当時のままの質感を
保っているのだろうその装甲を撫でる。レプリカでもなく、こんな綺麗な状態で
保存されているゼロ戦は地球にだって無いだろう。そう考えるとなんか不思議だ。
 
 このゼロ戦を発見してしまったから。だから俺は胸がいっぱいになってしまって、
興奮しっぱなしになっている。それは、懐かしいとか故郷との繋がりを見つけたという
嬉しさだけじゃなくて……不安もある。
 
 少なくとも、このゼロ戦と共にこの世界にやってきたシエスタのひいおじいさん、
海軍少尉佐々木武雄は地球へは帰れなかったのだから。
 
 帰れなかったのか、帰らなかったのか。たぶん、両方だろう。
 最初は当然帰るつもりで、でも方法が見つからず帰れなかったのだろう。
 そのうち、この村に住むようになり、ここで働くようになり、奥さんをもらって。
シエスタの祖父か祖母にあたる子供もつくって……帰らないことを決めた。
 
 でもこのゼロ戦を見るたびに思い出したはずだ。地球に想いを馳せたはずだ。
太平洋戦争はどうなったのか。日本はどうなったのか。家族や戦友はどうなったのか。
 考えて、悩んで、でも知り得なくて、こちらの世界にも家族や生活ができて……。
 
 ふう、と大きく溜息をつく。それって、もしかしたらこの後俺にも
繰り返されるかもしれないことなんだ。だから、こんなに不安になる。
 
「サイトさん?」
 不意に寺院の外から声をかけられた。振り向くと、ゆったりした寝間着姿の影。

48:月夜の晩に 2/15
07/08/07 00:12:34 FfgE+h7q
「シエスタ」
「あの、驚かせちゃってすみません。誰かが家を出ていく音が聞こえて気になったから。
どうしたんですか? こんな夜中に……」
「いや、別に何か意味があったわけじゃないんだけど、眠れなくて」
 
 寺院から外に出る。月の光に照らされて、艶やかな黒髪が輝いていた。
 シエスタは実家に置いてあったらしい、薄手の寝間着に上着を羽織った姿だった。
学院でシエスタの部屋に泊まった時の格好に似ていて、思わずどきっとしてしまう。
 
「眠れなかったんですか? わたしもです」
「シエスタも?」
「はい。なんだか色々考えちゃって……。
夕方にサイトさんにあんなこと言っちゃった後だったから」
 
 シエスタは気まずそうに視線を逸らして俯いた。その姿を見て申し訳なくなる。
シエスタは一緒にこの村に住もうとまで言ってくれたのに、俺はそれを断ったんだから。
 
「シエスタ、それは」
「いいんです。一生に関わることですもの。いきなり言い出した私がいけないんです」
 
 言葉を遮られてしまった。そのまま、二人でどことも無しに歩いていく。
 やがて、夕方にシエスタと一緒に話をした、平原が見渡せる丘まで到着した。
 遙か遠くの山々まで見えるその場所は、夜でも十分すぎるほどの絶景だった。
 
「やっぱり星がもの凄く一杯見えるな」
 日本で言う満天の星空なんて言葉が馬鹿らしく思えるほど、無数に星が輝く夜空。
見上げると、そのまま吸い込まれてしまいそうな錯覚まで感じる。
 
「サイトさんの故郷では違うんですか?」
「ああ、夜でも街の明かりが消えないから、星はあんまり見えないんだ」
「そんな。星の光が消えちゃうほどの明かりなんて、つけられるわけないじゃないですか」
 
 冗談だと思ったのか、シエスタは小さく笑う。
たぶん、夜なのに昼間みたいに明るくなっているのを想像したんだろう。
 俺も苦笑して返す。そんな冗談みたいなことが実際あるんだよな、地球では。
ある意味そっちの方がよっぽど魔法みたいだ。
 
「でも、夜でもそんなに明るいなら、暗くて迷ったりすることはありませんよね」
 何かを思い出したのか、シエスタは視線を遠くへ向ける。それから少しして。
 
「あの……わたしの、つまんない昔話聞いていただけますか?」
 シエスタは草地の上に座り込んで、ぽつりとそう言った。
「どんな話?」
 言いながら隣に座る。シエスタは話し始めた。
 
「いつだったかな。たぶん、まだ10歳にもなってないころです。
わたし、あそこに見える森……。あの森にイチゴを採りに行って、迷ってしまったんです」
 シエスタはこの丘から見える、村の側から広がっている深い森を指して言った。
 
「日が落ちるのも早くなっていた時期で、どんどん辺りは暗くなっていって。
そのうち、右も左もわからないくらいになってしまいました。
お父さんやお母さんの名前を呼んでも返事が無くて。
疲れて、転んだり木や草に擦ったりして傷もいっぱいできて、もの凄く怖かった。
しまいにはオオカミの遠吠えなんかまで聞こえてきて……」
 
 シエスタは淡々としゃべり続ける。当時のシエスタの不安まで伝わってくるみたいだ。
 
「最後には歩く気力も助けを呼ぶ気力も無くなってしまって、木の陰に座り込んで
泣き出してしまったんです。その時思ったのが……」
 シエスタは目を閉じて空を仰いだ。

49:月夜の晩に 3/15
07/08/07 00:13:14 FfgE+h7q
「空が飛べたらいいのに、って。
その時のわたしでも、貴族という偉い方は魔法を使えるってことくらい知ってました。
それでも、ただ漠然と羨ましいなぁなんて思ってただけだったんですけど。
森で迷って木陰で震えているわたしは、もしわたしにも魔法が使えたら、
空を飛んであっというまにお家に帰れるのにって思って、悲しくなりました。
そう思ったら、自分がどれだけ弱くて何もできない存在なのかっていう自覚が
どっと襲いかかってきて、ただ怖くて不安なだけじゃない、嫌な気持ちになったんです」
 
 シエスタは大きく息をついた。胸の奥に溜め込んでいたものを吐き出すように。
 
「その経験からも来てるのかもしれませんね。わたしが空を飛んでみたいって強く思うのは。
もちろん、一番大きいのは『竜の羽衣』の話を聞いてたからだと思いますけど」
 
 今の話でシエスタは『空を飛んでみたい』って気持ちになったことを強調したけど、
たぶんそれは正確じゃない。
 それだけじゃなくて……その時初めて、シエスタは貴族―魔法使いに対する
羨望とか劣等感とか、あるいは畏怖を感じたんだ。
 そしてその感情は、この世界の平民が遅かれ早かれ感じることになり、
平民が貴族に付き従うという社会制度をつくる下地のひとつとなるものなんだと思う。
 
 この世界で貴族が平民より上の地位に立っているのは、地球での階級制度とは意味が違う。
貴族はただ権力があるだけじゃなくて、魔法が使えるから平民よりも上の立場にある。
 魔法が使えるか否かという明確な差に加えて、それによって『平民は貴族に劣る』
という意識を生活の中で刷り込まれてしまうから、この社会システムがより堅固になる。
 
「わたし、魔法学院に奉公してますから、貴族の方の側にいる機会が多いです。
だから、いつのまにか当然だと思ってました。
平民は貴族の方よりも弱くて、劣っていて、命令をされても見下されても当たり前なんだって。
それを嫌だとか不満だとかも思わないようになっていました。でも……」
 
 シエスタは顔を俺の方へ向けた。星空よりも深くて綺麗な、黒い瞳で見つめられる。
「やっぱり悔しいとか、惨めだなとかは思っていて。
平民だって、貴族の方よりも弱いだけの存在なんかじゃないんだってことを示してくれる人が
現れないかななんてことを、心の底では考えてました。もちろん、ただの夢想だって知ってて。
『イーヴァルディの勇者』みたいなお話の中でしか有り得ないことだって、わかってたんですけど」
 
 俺の顔を見ていたシエスタの表情が、不安そうに歪む。シエスタは俺の袖を掴んだ。
 
「だから……サイトさんが現れて、ミスタ・グラモンを負かしたって聞いたとき。
学院を襲った盗賊を捕まえたのは、本当はサイトさんの手柄なんだって聞いたとき。
わたし、夢みたいだって思ったんです。想像の、お話の中にしかいないはずの、
貴族の方を見返してやれる平民の人がいたなんて、本当に夢みたいで……」
 
 シエスタは言葉をくぎるように続ける。
「夢じゃないですよね。サイトさんはここにいますよね。
でも、サイトさんがいつかは故郷に帰るんだって聞いたら、不安になって……
サイトさんの存在も、サイトさんがしてくれたことも、
少しの間だけの夢になってしまうんじゃないかって思って、怖くて……」
 
 そこでシエスタは言葉に詰まった。
「ごめんなさい。こんな事言ったらサイトさん、故郷に帰りにくくなるってわかってるのに。
ただの自分勝手な泣き言だってわかってるのに。なのに……こんなこと言ってでも、
わたし、サイトさんに遠くへ行って欲しくないって思ってます。
我が侭ですよね。迷惑ですよね。でも、でも」
 
 かけてやれる言葉が見あたらない。シエスタの気持ちが痛いほど伝わってくる。
 シエスタは掴んでいた俺の袖を放して、俺の側に寄ろうとしてから、その体を自ら引き留めた。
そんな行為も、ただ俺を束縛するだけの我が侭になる思ったのだろう。
 胸がぎゅうっと締め付けられる。今日の夕方、俺はシエスタに残酷なことを
言ってしまったのだということを、改めて理解する。

50:月夜の晩に 4/15
07/08/07 00:13:56 FfgE+h7q
「ごめん、シエスタ。俺はずっとここにいるとは言えない。けど」
 けど、何だよ。結局の所、俺はこんなに想ってくれるシエスタを置いて
日本に帰るつもりなんじゃないか。シエスタが悲しむのを見たくないから、何か弁明して
わかってもらうつもりか? 悪者になりたくないのか? 自分の気持ちに虫酸が走る。
 
「……謝らなくていいです。わかってます」
 シエスタは気持ちにある程度整理がついたのか、ふっきれたように笑いながらそう言った。
 
「サイトさんにずっと側にいて欲しいって思うのは事実ですけど、
そのために好きになったわけじゃありません。サイトさんがいつかは故郷へ帰ってしまうんだと
しても、それでもわたしの気持ちは変わりません。もちろん、もし帰る方法が見つからなかったら、
その時サイトさんの居場所になるのはわたしの隣であって欲しいですけど」
 
 どきんと心臓が高鳴るような直球勝負の言葉をかけられて、頬が熱くなる。
「だって、サイトさんは今ここにいるんですから。夢なんかじゃないんですから。
だから、それが一番大事なんです。ごめんなさい、泣き言を聞かせてしまって」
 
 シエスタはにっこり笑った。この世界に来てから何度も助けられた、魅力的な笑顔。
 今言ったのが本気なのかどうかはわからない。けど、シエスタが俺の気持ちと、
自分の気持ちを眠れなくなるくらい考えて紡ぎ出してくれた言葉。
自分の心の弱い部分もさらけ出してくれた言葉。
 そんな言葉を俺に向けてくれたことが、凄く嬉しかった。
 
「ありがとう、シエスタ」
「お礼も言わなくていいんですよ。わたしはサイトさんを困らせる我が侭を言っただけなんですから」
 悪戯っぽく言うシエスタは、少なくとも表面上はいつもの調子に戻ったみたいだ。安心した。
 
「……ところでさっきの昔話だけど、道に迷ったシエスタはどうやって助かったんだ?」
「木陰で泣き疲れて眠ってしまって、次の日の明け方に探しに来たお父さんに起こされたんです。
実はそんなに深いところまでは行ってなかったみたいで。つまんない話だって言ったでしょう?」
 俺とシエスタは顔を見合わせて笑った。
 
 
 少しして、そろそろ家に戻ろうかといった雰囲気になった。
俺はちょっとしたことを思いついて、立ち上がったシエスタに声をかける。
「シエスタ、ここら辺で一番高い木ってどれかな?」
 シエスタは不思議そうな顔をした後、首をめぐらせてここからそう離れてはいない、
森の入り口に立っている巨木を指した。
「たぶん、あの木だと思いますけど」
 なるほど、ひときわ高い。しかも丁度良く高台にある森に立っている。
 
「ちょっとついてきて」
 シエスタを手招きして、その木の下まで移動する。下から枝の様子を見上げると、
これならいけそうだと判断できた。
 
「シエスタ、ちょっと俺におぶさって」
 背中を見せて屈み込む。
「え、どうしてですか?」
 いいから、と強い調子で言うと、シエスタは遠慮がちに俺の背中に乗った。
さすがにタバサよりは重いけど、子供の時に誰かにおんぶしてもらうのに慣れているのか、
なかなか上手い具合にしがみついてくれた。
 
 パーカーのポケットから、『月の涙』の探索の時に作った石器を取り出して意識を込める。
ルーンが熱を持ったのを感じると、俺は再び上を見上げ、木の枝を駆け上がった。
 
「わっ、わわわ、わあっ!!」
 シエスタが慌てふためいた声を上げる。枝や葉に引っかからないよう気をつけながら
すいすいと登っていき、あっという間に登頂近くまでたどり着いた。
 丈夫で足をかけやすそうな枝の隣で止まると、シエスタは意図を察したのかそこへ降りる。
 やはり子供の頃は木登りなんかも頻繁にしたのか、危なげない足取りだった。

51:月夜の晩に 5/15
07/08/07 00:14:39 FfgE+h7q
「代わりと言っちゃ何だけど、まだ『竜の羽衣』は飛ばせないから」
 俺も安全な足場に立つ。シエスタは呆然とした顔で、そこから見えるものに心を奪われていた。
 ここら辺で一番高い木のてっぺんからは、シエスタの生まれ育ったタルブの村も、
その周辺の森も平原も、もっと遠くの山々も川も道も一望できた。
 
 高さでいったら、山の上やタバサの風竜の上よりもずっと低い。
 けれど、木の上から眺める景色というのは一味違う。俺も子供の頃経験がある。
 
「凄い……これ、いつも見上げてたあの木なんですよね」
 シエスタが感極まった声を上げる。喜んでもらえたみたいだ。 
「こんな風に見えるんだ。わたしの家があんなに小さい。すごいなぁ……」
 シエスタは夢中になって景色を眺めている。切り揃えられた黒髪が風にたなびく。
 その嬉しそうな横顔を見ていると、こっちも楽しくなってくる。
 
「星もお月様も、なんだか近くなったような気がします。手が届きそう」
「『竜の羽衣』……飛行機があればメイジじゃなくても、ここよりずっと高く飛べる。
風竜よりも、空に浮かんでるアルビオン大陸よりも。
魔法が無い俺の故郷で、それだけのことができてるんだ」
 それどころか、月まで行けてしまう。まるで魔法のようで、魔法じゃない。
 
「だから、なんていうか」
 魔法が使えなくたって、魔法より凄いことだってできる。
魔法の有無にかかわらず、もっとずっと色んなことができる。そこまで言ったら
さすがに説教臭いだろうか。そう思って言葉に詰まると、シエスタは俺の方へ振り向いて、
 
「わたし、今すごく嬉しいです。ありがとうございます!」
 この景色にも、星空にも二つの月にも負けないくらいの笑顔を見せてくれた。
それで十分だった。
 
 
「あの山を越えたら、魔法学院ですね」
 ひとりきり眺めを堪能した後、シエスタは遠い山脈を指して言った。そうなのか。 
「サイトさん、明日になったら帰ってしまうんですよね」
 寂しそうに言うシエスタ。明日になったらギーシュのコネでドラゴンを借りて、
ゼロ戦を魔法学院まで運ぶことになっている。シエスタはここに残るという話だったけど。
 
「ああ」
 答えると、シエスタはくすっと笑った。
「どうしたの?」
「いいえ、サイトさん、わたしが『帰る』って言葉を使ったら、自然に答えましたから。
サイトさんには故郷以外にも、帰る場所がもうあるんだなって」
 
 そう言うシエスタの言葉に、俺ははっとした。
「サイトさんが『帰る』ところって、あのヴェストリ広場に作ったテントじゃありませんよね。
ミス・ヴァリエールのところですよね」
「それは……」
 否定しようと思ったけど、否定できない。俺は魔法学院のことを思い出して、
最初にイメージしたのはルイズの部屋だった。もちろん、ルイズとセットで。
 俺は無意識のうちに、そこに『帰る』つもりでいた。今はクビにされてるはずなのに。
 
「やっぱり、ミス・ヴァリエールが羨ましいです。
貴族だからっていうんじゃなくて、サイトさんと一緒にいられるから」
 ルイズ。俺のご主人様。考えたらこの宝探しの間も、俺はいずれはルイズの所に
戻るつもりだったんじゃないか? 宝探しには『出かけている』つもりだったんじゃないか?
 俺自身も気付いていなかったことを、シエスタが見抜いていた。
 
「サイトさん、今はミス・ヴァリエールと喧嘩なさってますよね。ミス・ヴァリエールのこと、
我が侭でわからずやな方だと思ってるんじゃありませんか?」
「まぁ、そりゃね」
 頬を掻きながら答える。学院に戻って、どんな顔でルイズに会えばいいのかわからない。

52:月夜の晩に 6/15
07/08/07 00:15:20 FfgE+h7q
「いいことを教えて差し上げます」
 シエスタは内緒話をするいたずらっ子みたいな顔を、少し俺の方へ寄せた。 
「ミス・ヴァリエールは、サイトさんが来てからすごく変わったんですよ」
 そうなのかな。確かに俺に対する待遇は良くなってたけど、
外から見て明らかなほど変わっているようには思えない。
 
「疑ってますか? 確かに、サイトさんには『サイトさんが来る前のミス・ヴァリエール』
のことは知りようがありませんからね」
 その通りだ。当たり前だけど、シエスタは俺より先にルイズを見知っていたわけだ。
 
「ミス・ヴァリエールはお気が強くて、他人に何でもずけずけ言うように
見えるかもしれませんけど……でも、サイトさんが来る前は違ったんです」
「ほんとに? あのルイズが?」
「ええ。ミス・ヴァリエールは学院の生徒の方の中でも特に高貴な身分ですから、
絶対に粗相が無いようにって顔と名前を覚えさせられました。
けれど、ミスはそれだけ高い身分の方なのに魔法が苦手でしたから。
だから孤立して、お昼休みも放課後も、ほとんど独りだったんです」
 
 言われて、なんとなく頷けてしまった。そういえばルイズって友達らしい友達が
まるでいない気がする。休み時間も昼休みも放課後も、俺にばっかり構ってくる。
 
「独りで、思い詰めた顔で本や教科書を読んでいて。
お勉強は頑張っているみたいなのに、やっぱり魔法はできないみたいで。
他の生徒の方がミスの悪口や陰口を言っているのをよく耳にしました」
 
 それは俺も聞いた。でも、ルイズへの悪口はただのからかいじゃない。
 ただ成績が悪いだけならともかく、ルイズは家柄が最高級なんだから。
そのプレッシャーと現実との差にルイズはピリピリして、周りと壁を作って、
孤立してしまったんだろう。
 
「それで、今年の新学期になってサイトさんがミス・ヴァリエールに召還されて。
それからです。ミス・ヴァリエールが今みたいになったのは。
ミスが怒鳴ったり暴れたりするなんて、それまではほとんど見なかったんですよ。驚きました」
 
 今まで鬱憤が溜まっていたところに、明らかに目下な存在ができたからじゃないのか。
 そう思うのは簡単だけど、きっとそれだけじゃない。
 なんというか……俺は、ルイズにとっての”友達”でもあったんじゃないのかな。
一般的な意味での友人とは違うけど、遠慮なく物を言える相手。喧嘩できる相手。
 
「それって凄い事です。公爵家のミスと本気で喧嘩できる方なんて、貴族の方でも
滅多にいません。ずっと張り詰めてて、お友達もいなくて、独りでいたミスを
サイトさんは変えていたんです。きっと、サイトさんにしかできなかった事です」
 
 不意に、数日前の『月の涙』の谷での、タバサの言葉が蘇った。タバサは、ルイズが本気で
俺のことを犬同然だとは思っていないと言ってくれた。今のシエスタもそう。
俺とルイズが仲違いしていることについて、外からの視点で慰めと助言をしてくれている。
 
 俺はルイズに裏切られたと思って、一方的にルイズを悪者だと思ってたけど……
俺の方も、ルイズの本心を考えていなかった? 周りが見えていなかった?
 
「わたし、サイトさんはわたしが夢想していた『貴族を見返してくれる人』みたいだって
言いましたけど、本物のサイトさんはわたしの夢想よりもっと凄い人なんですよ。
サイトさんはただの平民の味方じゃありません。平民とか貴族とか、そういう立場とか身分に
関係なく物事を考えられる人です。だからミス・ヴァリエールを変えることができたんです」
 
 かいかぶりすぎだよ。それができるのは、俺が身分差別の無い別の世界から来たから、
貴族だ平民だってのにピンと来ないだけ。空気が読めないからって言ってもいい。
 でも、そのおかげでルイズが変われたっていうのなら、俺が日本から召還されたのは、
やっぱり何か意味があってのことなのかもしれない。

53:月夜の晩に 7/15
07/08/07 00:16:05 FfgE+h7q
「だから……わたし、メイジじゃありませんから、使い魔と主人の関係がどういうものなのかは
よくわかりません。けど、やっぱりミス・ヴァリエールには、サイトさんが必要なんだと思います」
 シエスタの髪が風にふわりと流され、月の光を反射してきらきらと輝いた。
 
「あはは、わたし、何言ってるんでしょうね。昼間はサイトさんにこのままこの村で
暮らしてくださいなんて言ったのに。なんか矛盾してますね」
 
 ううん、矛盾なんかしてない。シエスタは俺のことを思ってくれてるから。
だから言ってくれたんだろ。わかる。痛いほどわかる。
 シエスタは自分の気持ちを押し殺しても、俺のために。
俺がルイズと仲直りしやすいように、言葉を連ねてくれた。
 それが嬉しくて、同時に申し訳なくて。胸が締め付けられてたまらなくなる。
この女の子の気持ちに、応えてあげたくて仕方なくなる。

「シエスタ」
 もう一度手製のナイフを握ると、シエスタを抱きかかえた。今度は背負うのではなく、
いわゆるお姫様抱っこ。ルーンの力を発動させると、シエスタの体は羽毛みたいに軽くなった。
 トントンと枝から枝へ飛び降り、無事に地面へ降り立つ。
 
 シエスタの体を降ろそうと思ったら、パーカーの前をきゅっと掴まれた。
「もう……本当に、夢かおとぎ話みたいじゃないですか、こんなの……」

 薄暗い月明かりの下でも、シエスタの瞳が潤んでいるのがわかった。
 その色っぽくも幻想的な雰囲気に、思わず心臓が高鳴る。
 
「じゃあ、せっかくだしこのまま家まで運びましょうか?」
 芝居がかった口調で言うと、シエスタはふにゃっと顔を崩して俺の手の中から降りた。
「遠慮しておきます。だって、ここにいるサイトさんは夢でもおとぎ話でもないんですから」
 シエスタは草原に駆け出すと、くるっと振り返って俺に笑いかけた。
 
 
 シエスタの家に帰ってきた。物音を立てないように廊下を歩き、シエスタの部屋の前で止まる。
 ここで俺はおやすみを言ってあてがわれた部屋に戻るべきなんだろうけど、
足に根が張ってしまったようにそれができない。シエスタとこのまま別れたくない。
 
 シエスタは自分の部屋の戸を開けると、遠慮がちに俺の服の袖を摘んで引っ張った。
 それだけでわかった。シエスタの方も同じ気分なんだ。
 誘われるままに入った部屋は、物がいっぱいに積み上げてあった。
シエスタが学院に奉公に出てしまったので、物置代わりにされていたのだろう。
 ベッドとその周りだけは片づいていた。シエスタが整理したのかも。
 
「あの……サイトさん、明日になったら学院に戻ってしまいますよね。
そうしたら、しばらく会えませんよね」
 ベッドの隣まで来て、もじもじと肩を揺らしながらシエスタは口を開いた。
 
「その……だから、あの……」
 自分の寝間着の胸をぎゅっと掴むシエスタ。薄暗い部屋の中でも、
その顔が真っ赤になってるのが想像できる。
 そして、ここでシエスタが何をしてほしいのかわからないほど俺は馬鹿じゃない。
 
「シエスタ」
 呼びかけると、シエスタは意を決したように俺の方へ顎を上げて、目を瞑った。
 少し力が入って引き結ばれてしまっているその唇に、俺の方から唇を合わせた。
 シエスタは一瞬身を震わせた後、体の力を抜いた。固くなっていた唇がとろけそうなほどに
柔らかくなる。シエスタとキスをするのは、確かこれで三回目。
 
「んっ…ふ、ぁ」
 唇を離すと、シエスタは俺の首に手を回してきた。そのまま引っ張られそうになったところで、
シエスタは身を横に倒した。シエスタのベッドの上に、二人で倒れ込む。

54:月夜の晩に 8/15
07/08/07 00:16:43 FfgE+h7q
「サイトさん……サイトさん、サイトさん……!」
 俺の名前を呼びながら、今度はシエスタの方から何度も唇を重ねてきた。
 今まで押し殺していたものを解きはなったみたいな、貪るようなキス。
 
 ベッドに仰向けになった俺の体にのし掛かるような格好になって、
シエスタはそこにいる俺の感触を確かめるように、力を込めて抱きついてくる。
 温かくて、柔らかくて、包み込まれてしまうようなシエスタの体。
抱きしめ返すと、シエスタは喉の奥から幸せそうな吐息を漏らした。
 
「っは……はぁ……やっぱり、駄目ですサイトさん……」
「え?」
 シエスタはキスを中断すると、耳元へ口を寄せて甘えるように言ってきた。
 
「こんなの……こんなに甘くて、嬉しくて、気持ちいいこと教えて。
わたし、あの夜からサイトさんのことばっかり考えてるんです。
またキスして欲しいって。抱きしめて欲しいって。そんなことばっかり」
 
 首筋に押しつけられた唇が上がってきて、耳たぶに触れた。
 
「こんなに素敵なこと知ったら、大好きな人に触れるのがこんなに幸せだって教えられたら、
どんなことしてても離したくなくなっちゃいます」
 
 シエスタは俺自身を味わおうとするみたいに、そしてささやかな抗議をするみたいに、
耳たぶを甘く噛んだ。ぞくぞくする感触に背筋が震える。
 シエスタの言葉に、心の奥が痛む。俺もそうだ。つい先日シエスタと一緒にお風呂に入って、
その後一緒のベッドで眠ったとき。その時のシエスタの温かさを知ってしまって、
俺はシエスタを離したくないと思ってしまった。欲しいと思ってしまった。
 
 シエスタの前で俺はいつか故郷に戻るとはっきり言ったのに、それでも俺を待ってくれると
言ってくれるシエスタの言葉を嬉しいと思ってしまった。
 それはつまり……帰れなかったときの次善策として、
シエスタをキープしておこうなんて思ったってことじゃないか。
 
「シエスタ、俺はそんな立派な人間じゃない。だって」
「いいんです。関係ないです。だってわたしだって綺麗じゃないですから。
心に汚いところがいっぱいあって、それをサイトさんに見せまいとしてるんですから」
 
 言葉とは裏腹に、その内側に汚いところがあるなんてとても思えない潤んだ瞳が俺を見る。
 
「……サイトさん。今ここで、わたしにお情けをくださいますか?」
 シエスタは目を細め、何も知らない少女みたいな笑顔で、とんでもないことを聞いてきた。
 
「え、その、それは……!」
 俺がしどろもどろになると、シエスタは小さく吹き出した。
「わかってます。今はまだ駄目ですよね。それにここでそんなことになったら、
さすがに家族とかミス・ツェルプストーたちにばれてしまいます」
 
 ほっとしたような、残念なような。
 
「でも、わたしだって不安なんですよ。わたしはただのメイドですから。
貴族の方に勝れるところなんてほとんどありませんから。
だから……はっきりした、証しみたいなものが欲しくなってしまうことだってあります」
 
「あ、証しって」
 恥ずかしそうに言うシエスタに、俺はどう返していいのかわからなくなる。
「関係ないって! 前にも言ったろ、シエスタにはどれだけ感謝してもしたりないくらいだって」
 
「それでも不安なんです」
 シエスタはずいっと俺の方へ体を寄せた。
何だかその顔は強ばっていて、勢いに身を任せてるような印象さえ見受けられる。

55:月夜の晩に 9/15
07/08/07 00:17:28 FfgE+h7q
「あの……、その、だだ、だからですね」
 口元に指を当て、所在なさげに視線を彷徨わせながら言うシエスタ。
 そのまま深呼吸をすると、意を決したように口を開き、でも小声で、
 
「…………ご奉仕、させていただきたいんです」
 そう言ってきた。
 
 ……はい?
 脳が一瞬思考停止する。
 
「え、それ、どういう」
「わかってるんじゃありませんか? サイトさん、意地悪です」
 
 シエスタは涙目になって俯き、俺を上目遣いに見つめながら言ってきた。うぅ、可愛い。
 いや、見とれてる場合じゃない。少し頭が飛んじゃったせいで素で聞き返しちゃったけど、
つまりその、ごごご奉仕って、えっちぃ意味でってこと?
 考えがまとまる前に下半身に何かが触れ、ぞくりと刺激が走った。

「シ、シエスタ!?」
 前にも同じ感触を味わったことがある。シエスタが俺のズボンの前に手を這わせたのだ。
「不安なんです。だってわたし、サイトさんに喜んで貰えるようなもの、
この身体しか持っていません。なのに、まだ愛してはいただけないから、だから……」
 
「そんなことない! シエスタは俺にもっと色んな事を」
 シエスタの手から腰を引いて逃げながら、必死で言い返すと。
 
「わたしがしたいんですっ」
 そう言い切られた。唖然としていると、シエスタは居直ったように俺の瞳を見返した。
 
「だっ、だから汚いって言ったじゃないですか。サイトさんに喜んで欲しいのは本当です。
サイトさんにわたしを好きになって欲しいのも本当です。
そのためにこんなことするのだって、汚いことだけど……それよりも、もっと汚くて」
 
 シエスタは俺の胸に顔を埋め、頬を押しつける。
「私の部屋に泊まって貰ったあの日から、忘れられないんです。
サイトさんの声も、吐息も、匂いも、体の感触も。ずっと消えなくて、頭から離れなくて」
 シエスタはすうっと息を吸い込んだ。まるで匂いでも確かめてるように。
 
「はしたないってわかってるのに。いやらしくて汚いのに。
なのに、サイトさんとまた同じベッドで眠りたいって、毎晩考えていたんです。
サイトさんの方から求めて下さらないかななんて、ずっと考えてたんです」
 ほとんど自虐に近い口調で、シエスタは一気に吐露した。
 
「……こんな、サイトさんの気持ちも考えてない汚い子なんて、
愛して頂けるわけないんです。だからお情けなんて望みません。
わたしに……奉仕させてください。わたしがサイトさんのためにいるっていうしるし……」
「シエスタ、ちょっと待って……!」
 
 シエスタは俺の制止も聞かず、それこそ一緒に眠った晩を繰り返すかのように
ジーンズのホックに指をかけた。あの時と違うのはあっという間にそのホックが外され、
流れるようにチャックまで下ろされてしまったこと。おかしい。いくらなんでも手際が良すぎる。
 
「嫌ですか? でしたら逃げて下さい。こんな汚い子に触られるのが嫌なら、今すぐ」
 陶然とした顔を向けてくるシエスタに、あの時と同じように問われる。
そう言われて、逃げられるわけがない。だって、嫌じゃないんだから。
こんな淫靡な表情で見つめられて、もう体は期待と興奮に支配されているんだから。
 
 シエスタは俺の様子から全てを悟ったかのように、くすりと微笑んだ。
まるでその瞳に魅了の魔法がかかってるみたいに、心を鷲掴みにされ、動けなくなる。

56:月夜の晩に 10/15
07/08/07 00:18:35 FfgE+h7q
「……失礼します」
 シエスタは俺の下着をするりと下げ、壊れ物を扱うような手つきで中の物を取り出した。
 ひんやりとした部屋の中の空気に、ガチガチに硬直したものが晒される。
 シエスタにそれを眼前で直視されてしまい、何か致命的な一線を越えてしまったような
罪悪感が襲いかかってきた。
 
「凄い……こんな、こんな立派なの……」
 譫言みたいに、シエスタは口の中だけで何か言った。そして先端を手で包み込むと、
全体の形を確認するように指を根本まで撫で下ろす。
 緩い刺激が腰から背中を駆け上がり、意識せずに手がベッドシーツを握りしめる。
 
「あぁ、これです。あの時と同じ。熱くて、固くて、大きくて」
 シエスタの瞳が無くしてしまった宝物を探し出した子供のように輝き、
指が根本から再び先端まで滑る。また降りる。それを数往復。
 以前はそれを繰り返されただけで、シエスタの手の中に果ててしまった行為の再現。
 あの時より無理がない体勢だから? 前よりずっと快感が大きい。
 
「あの……サイトさん、びっくりしないでくださいね。わたし、今から」
 手で俺のペニスを擦るのを止めないまま、シエスタは聞いてくる。
俺はといえば、ただ手を上下させているだけのシエスタの与えてくる快楽に
必死で耐えていることしかできない。
 
「今から……たぶん、すごくいやらしいことしますから」
「え?」
 これ以上いやらしい事って。それが何なのか聞く前に、シエスタは行動に移った。
横髪を耳の後ろに流すと、シエスタはすぐ眼前にあった俺のペニスにさらに顔を近づけ、
そのまま……先端に口付けた。
 
「あっ……!」
 驚きと刺激に、短い悲鳴と同時に腰が跳ねる。揺れたペニスが唇をなぞって離れた。
「あん……動かないでください。初めてだから、危ないかもしれませんよ」
 シエスタは弟のイタズラを咎める姉みたいな声でそう言い、
ペニスの根本を両手で固定する。そして改めて、その唇が亀頭の先端に触れる。
 ちゅ……と粘膜同士が触れ合う微かな音がいやに大きく耳に飛び込んだ。
 
「ふっ……ぁ、シエスタっ……!?」
 俺の困惑の声が届いていないのか、無視されているのか。
ついさっき自分のキスを重ねたシエスタの熱くて柔らかい唇の感触が敏感な部分に広がる。
 それだけでも頭の処理が追いつかないような未知の感覚だったのに、あろうことかその唇が
割り開かれ、さらに熱い舌が鈴口に触れた。
 
「ひぁっ!」
 まるで女の子みたいな情けない悲鳴が漏れる。ぴちゃりという水音と共に、
びりびりと痺れるような快楽が弾ける。そのままシエスタは唇を大きく開いて
亀頭の上半分辺りを覆うと、ストローで物を飲むみたいに吸い付いてきた。
 
「…………ッッ!!」
 声にならない声を喉から漏らし、反射的にシエスタの頭を掴んでしまう。
ほとんど引きはがされたも同然な状態でシエスタが顔を離すと、その唇とペニスの間に
銀色に輝く唾液の糸が引き、ぽたたっ、とシーツの上に雫が落ちた。
 
「す、すみませんっ! 痛かったですか!? ごめんなさい!」
 シエスタは口元に垂れた涎も、掴まれて乱れた髪も気に止めず、
こちらが驚くくらい頬を蒼白にして俺に謝ってきた。
 
「いや、俺の方こそ。いきなり頭を掴んだりして」
「いいの、勝手な事したのはわたしですから。それで、痛かったんですか? お嫌でしたか?」
 粗相をしてしまったことで飼い主に許しを請う飼い犬のような怯えた目を向けられた。
その視線と態度に、俺の心中の暗い部分がぞくりと刺激されたのを感じた。

57:月夜の晩に 11/15
07/08/07 00:19:16 FfgE+h7q
「いや、痛くはなくて、むしろ良すぎて驚いちゃったくらいなんだけど」
「そうなんですか? よかったぁ……」
 シエスタは、今度は飼い主に誉められた子犬のように一転して瞳を輝かせ、
心底安堵したという風に相貌を崩した。そして、再び上体を俺の股座に戻す。
 
「あの、それじゃ、嫌ではないんですよね?」
 その様子に、またも心の奥の部分が震えた。今度はその姿が、餌をお預けされている
飼い犬を連想させたからだ。何か、どこかでおかしい。ただ目の前の女の子が
熱心すぎる奉仕をしてくれているというだけじゃ済まないような気がする状況。
 
「じゃあ、続けさせていただきます」
 その違和感の正体に気付く間もなく、シエスタは口を小さく開けて、
唇だけでペニスに噛み付くみたいに亀頭を挟んだ。
 シエスタは首を横にすると、唇で竿を掃除でもするかのように唾液を撫でつけながら
根本まで顔を下ろした。俺の太股にぺたんとシエスタの頬が当たると、
今度はまた上がってくる。
 歯を食いしばらないとまたみっともない声が出てしまうそうな刺激に震えていると、
亀頭のところまで登ってきたシエスタの口が、またちゅるりと鈴口を吸った。
 今度はシエスタの頭を掴んだりはしなかったけど、腰が跳ねるほど気持ちよかった。
 
「ん、ぷはっ、はぁ…」
「ふぅ……はぁ、はぁ、はぁっ……」
 シエスタはそこで顔を引き、唇を離すと、自分が今まで奉仕していたペニスを眺めた。
 俺の方は、その様子をぼやけた視界で見ていることしかできない。
シエスタより俺の方が息が乱れているくらいだ。
 
「サイトさん、どうですか? わたし、よくわからないから、サイトさんの方から
どうしたら気持ちいいのか言って頂けると嬉しいんですけど」
 冗談だろ。シエスタの与えてくる快楽に耐えるだけでいっぱいいっぱいだ。
これ以上どうしろなんて言えるわけがない。むしろ手加減して欲しいくらいだ。
 
「そ、それより、どうして急にこんなこと?」
 また吸い付かれたりしたら我慢する余裕もなくシエスタの口にぶちまけてしまいそうなほど
高ぶっていたので、熱を冷ます時間を得る意味も兼ねて聞く。
 
「言いましたよね? あの夜のことが頭から離れなくて、
サイトさんがわたしで良くなってくれたことを思い出すだけでたまらなくなってしまって。
それで、もっと良くなってもらうにはどうしたらいいのか勉強して」
 
「べ、勉強ですか」
 シエスタは口を離して俺の様子を見ている間も、俺のペニスを掴んだ指を
やわやわと動かしてゆるい刺激を与えてくる。まさか無意識にやっているんだろうか。
 
「あっ、もちろん、わたしサイトさん以外の殿方にこんなこと絶対しません。
その、同じ部屋の子に聞いたり、自分で想像したり……それだけです」
 布団を持って行かれてしまった時といい、シエスタと同室の子って一体。
 
「それで、”これ”が男の人は凄く気持ちいいって聞いたから、ずっとして差し上げたくて。
してみたくて……。サイトさん、気持ちいいですか? ちゃんとできてますか?」
 とろんとした目つきで、唾液に濡れた輝くペニスをにちゃにちゃと扱きながら聞いてくる。
「良い。凄く気持ちいい」
 正直に答えると、シエスタは顔をほころばせて再び口を開いた。
その口元からきらりと光る唾液が零れる。
 
「じゃあ、もっと良くなってくださいね」
 今まで我慢していたような勢いでシエスタはペニスの先端に唇を当て、
そのまま……ずるりと奥まで飲み込んだ。

58:月夜の晩に 12/15
07/08/07 00:20:02 FfgE+h7q
 驚愕するくらいの感覚だった。口腔を通り越して喉まで
入ってしまっているんじゃないかというほど、シエスタの顔が腰に近い。
 それに、ペニスがシエスタの口の中の、固かったり柔らかかったり、
どこがどこなのか判断もつかない部分に満遍なく触れている。
 
 それだけでも頭がオーバーヒートしてしまいそうな感触だったのに、
さらに想定外の刺激が襲いかかってくる。
 ペニス全体が、熱くてぬるぬるしたものの中にひたされている。
俺の持っている『人間の口の中』というイメージからかけ離れた感覚。
 その理由に一瞬迷った後に気付いた。唾液が大量に溜められているんだ。
 
「んんぅっ……!」
 じゅるじゅるじゅるっ、と下品と言っていいような水音を立てて、
シエスタはくわえ込んだペニスを先の部分まで引き戻した。
 溢れた唾液が根本の方まで落ち、更に袋の方まで垂れてくる感覚に背筋が震える。
 
 亀頭だけをくわえた状態になったシエスタは、俺の顔を見て少し考える様子を見せた後、
あれだけペニスに塗りつけて口の中から零したのにほとんど水気が減ったようには
思えない口腔の中で、口をゆすぐみたいに唾液をぐちゅぐちゅと動かした。
 
「あ……あ、あっ…!!」
 どんな刺激が与えられるのか、漠然とでも予想できていればいくらかは耐えられる。
けど、これは想像を遙かに超えた感覚だった。
 敏感な亀頭だけが、熱い頬裏や舌に擦られる。それだけならまだしも、
ぬるぬるの唾液によって攪拌され、翻弄される。
 
 俺の口元からも、だらしなく涎が零れた。自分のものと比較して、改めて理解する。
 シエスタは普通の人より間違いなく唾液が多い。平均の倍じゃ済まないんじゃないか。
さっきまで薄々感じていた違和感のひとつの正体はこれだ。
 頭を掴んで引き離してしまったときに、水音を立ててシーツに落ちるほど零れた唾液。
まるで餌を待つ犬を連想してしまうほどに濡れていた口元。普通より明らかに多かった。
 それに、ただ唾液が多いだけじゃない。粘度も高い。
 
 まるで男を悦ばせるためにあつらえられたみたいな口腔が、再びペニスを中ほどまで
飲み込む。舌が裏筋を中心に竿に絡みつき、吸い付かれながら引き上げられる。
 気持ちいい。良すぎる。目の前に火花が散るような刺激。
 
 シエスタは目をきゅっと閉じて、頬を真っ赤に染めながら俺のペニスにしゃぶりついている。
聞いたり自分で考えただけ、と言っていた。たぶんそれは間違いない。
 シエスタの口奉仕には熟練しているとか技巧があるといった雰囲気は感じられない。
ただ、一心不乱にしゃぶりついて、ぐちゃぐちゃとねぶっているだけ。
 
 それなのにこんな、意識が飛んでしまいそうなほど気持ちいいのはシエスタの才能だ。
口を大きく開いて俺のものをくわえ込んでいるのに、えずいたり苦しそうになったりという
ところが無い。鼻からの息継ぎだけで、ずっと行為を続けている。
 それに、遠慮というものがない。最初は俺の反応を確かめるように少しずつ
舌や口の中を動かしていたけど、俺が”良さそう”な反応をする力の入れ方を覚えると、
次からは絶対にそれを下回らない。物足りないと感じるどころか
さらに強い攻めを試してきて、あっという間に苦痛となるギリギリまで追い立てられる。
 
 そして、多少無茶をしても緩衝剤となり、それどころかさらに快感を加速させる
大量で、かつ粘性の高い唾液。俺の物を簡単に飲み込めてしまう口腔と合わせて、
ただくわえられているだけでもすぐに果ててしまいそうなのに。
 これで技巧なんてものが備わったらどうなってしまうのか恐ろしい。
いや、既に恐ろしい状態になっている。
 
 その上……、時々薄目を開いて俺の顔を見つめるシエスタの表情には、
つらいことをしているとか、屈辱的なことをしているとか、そういう色が全く見えない。
 俺のことを気遣って、俺の喜ぶことをして。それが何よりの幸せなんですと言わんばかりの、
いつものシエスタそのままの目。俺と目が合うと、恥ずかしそうに目を閉じる。

59:月夜の晩に 13/15
07/08/07 00:20:51 FfgE+h7q
 そんなシエスタの様子と、彼女が行っていることの乖離が混乱と背徳感を生むのと同時に、
俺の胸の中に暗い情動に火を灯す。この子は、シエスタは俺の物だ。
俺の為だけに存在する。
 そんな許されるわけが無い、けれどもあまりに甘美な幻想が心の奥底に弾ける。
 
 肉体だけじゃなく精神までがシエスタの与えてくる快楽に溺れていくうち、
次第にどこをどうされてるのかという感覚すら次第に失われて、
ただ快楽だけが腰から脳髄まで駆け上がってくる。シエスタの口の中で
俺のペニスは溶かされてしまったんじゃないか、なんて妄想すら浮かぶ。
 ひょっとしたら、もうとっくに果ててしまっているのかもしれない。
だって、シエスタの口の中は粘性の高い唾液で満たされていて、射精してしまっても
ほとんど感覚は変わらないのではと思えたから。
 
 だが、そんな想像も長くは続かなかった。感覚がイレギュラーすぎて体の方が
混乱していたとしか思えない、そうでなければ今まで保ったことが不思議なくらいの
射精感が腰の奥に膨らみ、じわじわと登ってくる。
 
「シエスタ、シエスタっ……!!」
 思わず、先刻そうしたようにその形の良い頭を掴んでしまう。
止めてもらわないと、そう思った。思ったはずだった。なのに体がそれを無視した。
 俺の両手は、シエスタの頭を抱え持つと……それを引き寄せたのだ。
 
「んぶっ…!?」
 驚いて目を見開くシエスタ。急に口の中に入っている部分が増えたため、
その分の唾液が溢れて腹の方にまで跳ねた。やってしまってから、
自分がとんでもない暴虐を働いたことに気付き、すぐさま腰を引こうとすると。
 
 シエスタは逃げようとする俺を捕まえるかのように、腰の後ろに両手を回した。
そして何もかも受け入れた表情で目を瞑り、口の中に溜まった唾液を集めて吸い上げ、
ごくりと飲み込んだ。
 
 それが、抵抗しようもない引き金だった。ペニスをシエスタの舌や唇や頬の肉、
顎や歯までが扱き、唾液ごとペニスもその中身も吸い込まれてしまいそうな感覚に、
我慢するという発想すら生まれる余裕すら与えられず限界が打ち破られた。
 
 俺が放出したというよりも、シエスタの吸い出されたというような射精だった。
 体の内側にドロドロと渦巻いていた衝動と快感が、一気にそこに集まって爆発する。
 
 そして―俺は、意識が焼き切られてしまうような絶頂の快楽の間、
シエスタの頭を離さなかった。逃げる余地も与えず、そこで受け止めるのが当然だと
言わんばかりに、腰に引き寄せたシエスタの頭をそのままにしていた。
 
 それに気付いたのは、全て吐き出してしまったのではないかと思えるほどの放出が
収まってきた時だった。
 呆けそうなほどの余韻の中で俺は俺自身がしていたことに気づき、
心臓が跳ねるようなショックの後、今さら過ぎる中でシエスタの顔を解放しようとした。
 
 けれども……シエスタは、抵抗した。自分の口の中に出させることに抵抗したんじゃない。
まだ射精の終わっていない俺のペニスから口を離すことに、抵抗した。
 俺が押し戻そうとする手に髪を擦られるのも厭わず、竿の部分についた
唾液や精液を唇の裏でこそげ落とすように締め付けながらゆっくり顔を引き、
それを亀頭のすぐ下に来るまで続けたころ俺の射精が完全に終わったのを確認すると、
僅かに零すのすら勿体ないとばかりにちゅるんと音を立てて吸い上げながら
先端から唇を離した。
 
「あ、あの……シエスタ」
 何と声をかけていいのかわからない。無体なことをしてしまったのに対して謝る?
でも、シエスタはまるで不快や苦痛を感じているようには見えない。
 それ以前に、その時のシエスタの、どこを見ているのかもよくわからない
とろけきった表情の色っぽさに、意識を釘付けにされてしまっていた。

60:月夜の晩に 14/15
07/08/07 00:21:32 FfgE+h7q
 シエスタは軽く顎を上げ、口元に手を当てる。まさか、と思った次の瞬間、
ごくりとこちらまで聞こえる嚥下音をさせて、大量に口中に溜まったものを飲み下した。
 
「シエスッ…!!」
 呼びかけるか呼びかけないうちに、シエスタは糸が切れたように
ふらりと俺の方へ倒れ込んできた。太股へ頬をつけ、ぐったりと体から力が抜ける。
 
「え……シエスタ、どうしたんだよ!?」
 シエスタの髪を流し、表情を見る。夢から覚めたようにシエスタは目を薄く開いた。
 そして、その眼前にまだ萎えきっていない、半勃ち状態のペニスがあるのを確認すると、
よろよろと顔を上げてその竿に舌を這わせてきた。
 
「ちょっと! ちょっと待てシエスタ!」
 今度ばかりはその肩を掴んで引きはがす。シエスタは俺のペニスを物欲しそうに
呆然と眺めていたが、唐突に瞳に生気を戻らせたかと思うと、はっとして辺りを見回した。
 
「あ……あれ、わたし……」
 シエスタはこちらが唖然としてしまうほど”いつも通り”の様子で頬に手を当てた。
「良かった、どうしたのかと思った」
 胸を撫で下ろすと、シエスタはその時初めて俺に気付いたかのように俺を見る。
 
「あれ、サイトさん。あ、わたしってば、ごめんなさい! 続けます」
 シエスタは急に慌てたかと思うと、再び俺の腰の上に屈み込んでペニスに顔を近づけた。
「ええ!? 待った待った! それは終わったでしょ!」
 
 そこを手でガードして言うと、シエスタはぽかんとした表情で俺を見て、
「え、終わったって…。あ、そうですね。わたし、サイトさんにお口の中に頂いて……」
 何言ってんだ大丈夫なのかシエスタ、と思っている間に、シエスタはぼっと頬を赤くした。
 
「あっ、あああ、そうでした。終わっちゃったんでした……」
 羞恥に顔を俯かせながら、自らの唇に指を当てる。その後、舌を出してその唇を
ぺろりとなぞった。
 
「あの……ごめんなさいサイトさん。わたし、途中で何がなんだかわかんなくなってしまって。
サイトさんにご奉仕しなくちゃいけないのに、勝手な事。今度は、ちゃんとしますから……」
 シエスタは今にも泣き出しそうな不安げな顔で、俺を見つめてきた。
 
「な、何言ってんだよ! 俺は滅茶苦茶良かったから。こっちの方こそ酷いことしちゃって」
「ほんとですか……?」
 シエスタは半信半疑な様子。あんなに良くしてくれたのに、何が不安なんだろ。
 
「本当! ほんとにほんと! 信じられないくらい気持ちよかった」
 シエスタを説得するために力説するも、かなり恥ずかしいことを言ってることに気付いて
思わず赤面。シエスタの方もはにかんで両手を胸の前でもじもじさせた。
 
「それなら嬉しいですけど……サイトさんにご奉仕してたら、わたしの方がその、
き、気持ちよくなってしまって。そのうち、頭がとろんとしてきて。
こんなんじゃご奉仕になりませんよね。次は、もっと頑張りますから」
 小声で言うシエスタの言葉に、頭がくらくらしてきた。
まさか、意識もはっきりしない状態であそこまで翻弄されてしまうとは。
 もっと頑張られてしまったらどうなるのか、想像も追いつかない。
 
 とりあえず、気を取り直す。俺はシエスタの肩に手を乗せると、こちらを向かせた。
今は、何よりシエスタに言わなければいけないことがある。
 シエスタはまだ潤んだままの瞳で、俺を見返す。俺はコホンと一つ咳払いをして、
 
「その……ありがとう。シエスタのしてくれたこと、凄く嬉しかった」
 一瞬間を置いて、シエスタは花が咲き開いたような笑みを見せた。
そのまま、俺の胸に顔を埋めてくる。

61:月夜の晩に 15/15
07/08/07 00:22:18 FfgE+h7q
「えへ……良かったぁ」
 誉められた子供みたいに甘えてくるシエスタ。柔らかな体を押しつけられて、
さっき散々吐き出したばかりなのに、また体が興奮してくる。
 
「えっと、じゃあじゃあ、サイトさんもまたして欲しいって思ってますか?」
「う、うん。思ってる」
 わざと恥ずかしいことを言わせたいのだろうか。シエスタはいたずらっぽく聞いてくる。
 
「また、していいですか?」
「うん……いいよ」
 これは新手の虐めか。
 
「それなら、今もう一回っていうのは?」
「……それは遠慮しておく」
 
 もぞもぞと手をお腹の方へ滑らせてきたシエスタを制止する。
 今、俺はシエスタを本気で怖いと思った。色んな意味で。
 
 
 翌朝。タルブの村の前の草原に、ギーシュの呼んだ竜騎士隊が到着した。
一匹でも迫力満点なドラゴンが何匹もそろい踏みしている光景に圧倒されつつ、
寝不足の目を擦る。
 
「何だね、堂々の帰還だというのに不景気な顔をして」
 欠伸を堪えている姿を、ギーシュに呆れられてしまった。
結局寝たのは明け方になってからな上、精魂尽き果てたというか吸い取られたからな。
 
 ゼロ戦に着々とロープがかけられてい様を眺めていると、軽快な足音が迫ってきた。 
「サイトさんっ!」
 振り向くと、日の光の下に輝くシエスタの笑顔。どきっとするのと同時に、
昨晩の月光の下での妖艶な姿とのギャップにやっぱり女の子は凄いなぁと思う。
 それどころか、彼女も寝不足なはずなのにいやに血色が良くてツヤツヤして見えるのは
気のせいでしょうか。
 
「シエスタ、どうしたのその格好?」
 シエスタは明らかによそ行きな格好に、宝探しに持ってきた大きな荷物を提げている。
「やっぱり、学院に戻ることにしました。正式な休暇になったらここに帰ってきますけど」
「え、なんで急に」
 聞くと、シエスタは含みのある笑顔を俺に見せた。
そして、ちらりとキュルケとタバサの様子を確認する。
 
「さて、どうしてでしょう? あ、そろそろ準備が終わるみたいですよ」
 シエスタは『竜の羽衣』に向かって軽快に駆けだした。
 
「……? あの子、なんとなく変わったかな?」
 ギーシュは黒髪が揺れる後ろ姿を身ながら、顎に手を当てて言った。
 
「そ、そうかな? 俺にはよくわかんないけど」
「親しすぎると見えないこともあるものだよ。まぁ、女性は魔物だからね。
いついかなる姿に変わるかわからないものなのさ」
 
 肩をすくめてしたり顔で言うギーシュ。こいつがどこまで女性のことを
わかってるのかは怪しいが、ちょっと同感できる俺は苦笑するしかない。
 
 でも、関係ないか。シエスタが俺にとって大事な女の子なのは間違いないんだし。
 俺は荷物を担ぎ直すと、遠くで手を振るシエスタのところへ駆けだした。
 
つづく

62:Soft-M ◆hjATC4NMLY
07/08/07 00:25:25 FfgE+h7q
あ、あああの馬鹿犬ってば、ご主人様放っておいて
ふらふらしてる間にあっちこっちで尻尾振って!
許さない! 絶対許さないんだから!
帰ってきたら、帰ってきたら……。どうしよう?

次回、ゼロの飼い犬 『雨降って地固まる?』
続くんだかんね!

63:名無しさん@ピンキー
07/08/07 00:26:45 SpFyW0/Q
>>62
GJすぎます

64:名無しさん@ピンキー
07/08/07 00:29:03 FvqcQ6zG
>>62
うわああああ
上手いなあ
ノボルっぽいしキャラの動かし方も自在な感じ
たまんねえですわ


で、シエスタとの本番マダー?

www

65:名無しさん@ピンキー
07/08/07 01:29:13 YS2ieB+4
GJ!!

寝る前に見れてよかった

66:名無しさん@ピンキー
07/08/07 12:08:01 lKRKoLKk
>>62
すっげえ…あんさん、凄すぎだよもう胸キュンが止まりませんよ
次回は遂にルイズか!?wktk

67:名無しさん@ピンキー
07/08/07 12:52:26 /yxIO33b
神。もう、神。神過ぎる。Soft-M神信者です、俺。
原作に入っていても違和感皆無。とにかく上手い。たぶんエロ無くても読めたと思います。
続きを楽しみにしています。

68:名無しさん@ピンキー
07/08/07 18:16:12 KvWcVQLe
シエスタエロ過ぎヌイタ

69:名無しさん@ピンキー
07/08/07 18:36:57 MQg3Eva4
考えた。ハルケギニアで出来る地球の遊びで、このスレの住人の欲望を叶えられるもの

「王様ゲーム」

才人、ルイズ、シエスタ、タバサ、アン様、テファと場合によってはカトレアさんとエレノール姉さま
も入れてwまぁ他には合コンとか考えた。ハルケギニアではブームになりそうだw

いや、俺は書けないよ?w

70:夏なので
07/08/07 22:09:26 q87REpkO
この世界にもある暑い季節。お肌が日に灼けるのは気になるけど…
「お母様ー!」
「え?」
「お父様がー!」
「え?サイト?」

「アンタに任せたのが間違いだったわ…」
「ゴメン…」
「ほら、お水」
「うん…」
相変わらず私の使い魔は無鉄砲で、この暑さで倒れたりして…私と血が繋がってる分、子ども達の方がお利口かしら。
まあ…嫌いな訳じゃなくて、馬鹿は私の目の前だけにして欲しいのよ。
「…アイツらは?」
「しっかり帽子も被せたし、水分も摂らせたから、海に入らない限り大丈夫だと思うわ」
「そっか…」
「言い出したのはアンタなんだから…気をつけなさい」
世話焼かせるんだから…

「…変わったな」
「え?」
「なんか…落ち着いた感じ。ほら、お前のお姉さんに似てるかも」
「ちい姉様に?」
「うん」
私の知ってる限りサイトがちい姉様に会ったのは数える位しか無いんだけど…それだけ印象に残ってるのかしら?
少しだけ妬きそうになる。こういう所はまだちい姉様に叶わないと思うんだけど。
一体何処が…?
「前はさ、俺がお前に突っ込める所があったんだけど、今は注意されてばっかりだし」
「あの子達が誰かに似てやんちゃだから、こんな風になっちゃったのよ」
「いや、悪いわけじゃなくて」
「…何?」
そう言ってるアンタの目は、前と変わって無い気がするのに。
「…俺に勿体無いくらいの…人だなって…」
「そ…そんな事無いわよ!私はアンタが良いんだから…」
「…前もだけど、今も可愛いって思う」
「へ…え」

このドキドキだけは昔から変わって無い。変えたくない。
こんなにドキドキするのに、他の人を選べる訳無いじゃない。

「…ねえ」
「?」
「久しぶりにご褒美…貰わない?」
「…わかりましたよ。ご主人様」
「あ、アンタから取りに来なさい…よね」

今のこの時間は、私がサイトから貰った、ご褒美。



71:220
07/08/07 22:10:48 q87REpkO
久しぶりです。夏なので軽いのをちょくちょくやっていきます。…ちょっと落ち着き過ぎですかね?

今回はエロ無しでした(ゴメンナサイorz)

72:名無しさん@ピンキー
07/08/07 22:12:58 pfQAMSqy
>>71
一番槍GJ!
こういう甘いの大好きですぞ!

73:名無しさん@ピンキー
07/08/08 00:11:06 1fvG1J80
前スレ埋め終了

74:名無しさん@ピンキー
07/08/08 00:12:25 B5KQlvO1
>>69
ん? ちょっと待て。 アニエスが入ってないのはどうゆうことだ?

75:名無しさん@ピンキー
07/08/08 01:11:41 qUfeaJaO
>>73
( ・3・)乙だゆぉ~。
久しぶりに1000いったぬぇ。SS投下が減ったのか、それ以外が増えたのか

76:名無しさん@ピンキー
07/08/08 04:41:31 CWX8CGvg
>>69おいおい、シルフィとシェルフィーがいないじゃないか

77:名無しさん@ピンキー
07/08/08 10:11:12 k5MFpqBi
>>71
GJ!
続きはやく~

78:名無しさん@ピンキー
07/08/08 10:45:13 jhhsFCJS
>>71
GJ!!!続きが早く見たいです。

79:220
07/08/09 00:11:03 HeQHLc7Q
>>70
「…うーん」
「どうしたの?」
「俺の娘なのに、なんであんなに可愛いのかなって…」
「私の娘だからよ」
「はっきり言うな」
「でも、あの子だって将来男前になると思うわ」
「俺の子だから」
「自惚れないの」
なんだかんだ言っても、子ども達が好きなのよね。私も負けない位好きよ?サイトの事も、あの子達の事も…
「…うーん」
「今度は何?」
「男の子は良いんだけど、女の子は将来貰われちゃうからなー…」
「考えすぎ。まあ、私の娘なんだからモテるでしょうけど」
「胸さえ似なけりゃ完璧だよな」
「…へえ」
久しぶりに鞭が欲しくなった。
「そ、その胸がいつまで経っても大好きな人は誰かしら?」
「俺本当は大きい方が…」
「…さ・せ・て・あげないわよ?」
「ゴメンナサイ」
まだ言うのね。ソレがあったらもっと積極的になれて、アンタなんてイチコロだったのに。…結果的には良かったんでしょうけど。

「…父親って複雑だな。娘に男が出来るって考えるだけで、もうダメだ」
「じゃあせめて…許嫁でも決める?」
「それは絶対イヤだ」
アンタ自身がその辛さ、わかってるわよね。
「もし、あの子が好きになった男の子がアンタみたいだったら…」
「俺達が止めても無駄だろう」
「で、知らない内に私達の娘は成長しちゃってた」
「…やっぱり悲しいかな」
「大変ね」
自分のやった事を棚に上げて。私のお父様の前で何やったか覚えてるの?確かに事故だったけど、少しだけお父様の気持ちが解る気もするわ。
だ、だって目の前で娘がキスしてて…もう少しで…大変な事になってたんだから…

「私は逆にあの子が心配よ?」
「どうして?」
「アンタに似ると色んな人を好きになるのに、全部本気になるから…」
「一番好きな人も決めてるから大丈夫だろ」
「相手の子よ。やきもち妬いちゃうのが可哀想…」
最大の被害者。私。

「そう言えば私を好きになったのはいつ?」
「ん?…んー。今更言われてもなあ…」
「…あ」
「…あ」

思いあたった。多分、正解。

「ファースト…」
「キス…」

今更だけど…私の理想とは順番が違い過ぎてたわ。好きになる前にキス。結婚する前に…


続(取り留めないです。スミマセン)

80:名無しさん@ピンキー
07/08/09 00:55:03 MCRJ6bzm
>>79
ワッフルワッフル。

81:77
07/08/09 00:59:12 ycn41vvs
>>79
続ききてたー
こんな甘々もいいよなぁ
是非もっと書いてくれw


82:名無しさん@ピンキー
07/08/09 17:56:17 ETQWAXCs
なんかスレが止まってますが・・・
暇が出来たので、そろそろ書き始めますね。

なんかルイズ・サイトの甘甘のネタなら結構浮かんでくるのに
他のシチュになるとネタが浮かばないorz
シチュが似通ってしまいますが許してください・・・

一個質問なんですけど例えばルイズ・サイトのIf物を書く時に、この二人が初めてでなくてもいいですよね?

以前書いたif物の続きって訳じゃないんですけど
例えば8巻のある部分でのif物を書いて、6巻のある部分でのif物を書いた時に
両方とも初体験だと何だかなぁと思ってるんです。

なので、8巻で初体験を済ませて、6巻のif物では二回目、という風に書いてみたいというか
そうしたほうが、私としても皆さんとしても飽きがこないかな?と思ったのです。

分かりにくい文章だと思います。
好きにしろ!って言われればそれまでなんですけど、ちょっと気になりまして。

長文すいません。とっとと書いてきますorz

83:名無しさん@ピンキー
07/08/09 18:21:53 MCRJ6bzm
>>82
同じようなシチュエーションが奇跡的に8巻後に来たことにすればおk。
そのままでも問題ないけど。

84:名無しさん@ピンキー
07/08/09 18:23:45 MCRJ6bzm
ああ、やっぱりだめだ。同じようなシチュエーションでも中身は全く別物になる。
やっぱり作者さんのやりたいようにやってください。

85:名無しさん@ピンキー
07/08/09 23:10:57 ftcMIGD/
>>79
ルイズ、子どもできたのに
おっぱい大きくならんのか

86:名無しさん@ピンキー
07/08/09 23:15:20 Kp/lUJze
大丈夫。シエスタが二人ぶんおっぱい出してくれるから。

87:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/08/09 23:15:57 PQ8PcHR1
まいどー。次回ゼロ魔双月はアン様大爆走ということで、こちらもアン様大爆走いってみます。
でも、途中なのよね。続きは明日ね?

88:真昼の夜の夢 ◆mQKcT9WQPM
07/08/09 23:16:54 PQ8PcHR1
昨日は珍しくルイズの機嫌がよかったので、早めに眠れた。
なので、才人は早朝から起き出して、自分の馬を駆って朝靄の魔法学院の外周を散策などしているわけで。

「あー、なんかすっごい爽やか。気分いいねえこういうの」
「だあね。たまにはこういうのも気分いいね」

背負った相棒のデルフリンガーと語り合いながら、才人は朝靄の中を行く。
すると。
前方に、騎影が見えた。
それは一騎だけで魔法学院に向かって、ゆっくりと進んできていた。どうやら火急の用件というわけではないようだ。
だんだん近づいてくるそのシルエットの形から、乗っている人間が女性である事が知れる。
細い体。柔らかい曲線を描く輪郭。そして柔らかく揺れる、黒い短いポニーテール。
…ハテ。どっかで見たような。

「…おい相棒、ありゃどっかの女王陛下の変装じゃねえか?」

その事実を否定したかった才人だったが、デルフリンガーはあっさりと事実を肯定した。

「…ったくもう、あのひとは…」

女王だって自覚あんのかね、などとルイズが聞いたら『あんたに貴族や王族の何がわかんのよ!』と怒鳴られそうな事を考えながら、才人はその馬に寄って行く。

「やっぱり、サイトさんでしたか」

やはりというか、馬の上にいたのは女王アンリエッタの変装した、『アン』だった。
黒く染めた髪を後ろで短いポニーテールに纏め、白いYシャツに脚のラインのはっきり出る黒いズボン。
町娘の変装も、だんだん板についてきている。

「…今日は、どんな手を使って王宮を抜け出してきたんです?」
「今日の公務は会食だけですので、アニエスに代理をお願いしてきましたわ。
 本当、よくやってくれていますアニエスは。もういっそのことこの国譲っちゃおうかしら」

無責任女王、才人の頭をそんな単語がよぎる。
アンは才人の馬の隣に自分の馬をつけると、言った。

「丁度よかったわ。今日はちょっと、サイトさんにもお手伝いしてほしくて」
「え、何を…?」

才人の質問に、「ナイショです」、とひとさし指を口の前に立ててアンは応え、馬を進める。

「さ、着いてきてくださいサイトさん。急がないと間に合いませんから」
「ちょ、事情くらい説明してくださいよ!」

そう言いながら結局、才人はアンの後をついて馬を走らせるのだった。

二人がやってきたのは、いつぞや宴を開いた、街道沿いの宿屋。
アンは手際よく馬小屋に自分の馬を繋ぐと、才人の馬も同じように繋ぎ、才人を促す。

「さ、急いでください」
「だから説明を」

才人の言葉は無視して、アンは宿屋の入り口を開ける。

「女将さん、連れてきました!」
「あ、ありがとう、助かるよぉ」

アンが元気よくそう言って入り口の扉を潜ると、厨房の奥から、真っ赤な顔をして、丸々と太った中年の女性が出てきた。
アンの言うとおりなら、この女性はどうやらこの宿の女将のようだ。

89:真昼の夜の夢 ◆mQKcT9WQPM
07/08/09 23:17:46 PQ8PcHR1
「あ、いけません女将さん、熱があるのに無理しては」
「で、でも仕込みくらいはやっとかないと…」

女将は言ってふらつき、厨房の出口にもたれかかる。

「ほら、無理しないでくださいな」
「だ、大丈夫ですか?」

女将の容態に才人も心配になり、近づいて肩を貸そうとする。
女将はそんな才人を振り払うと、言った。

「悪いね。旦那以外の男に担いでもらうつもりはないんだよ、あたしゃ。
 騎士様の優しさはありがたいけど、一人で歩けるから」

言ってにっこりと笑い、のしのしと厨房から出て、宿泊する部屋のある二階に続く階段へと歩いていく。

「それじゃあアン、今日一日たのんだよ。
 何か困ったことがあったら、すぐあたしを呼ぶんだよ」

階段の手すりに体をもたせかけ、アンにそう言う。
アンはにっこりと手を振って言った。

「おまかせください、いつかのご恩は返させていただきますわ。
 女将さんはゆっくり休んでくださいな」

その言葉を聴いて女将はどしどしと階段を登っていった。
アンはそんな女将を見送ると。

「それじゃ、事情を説明しますね」

才人に振り返り、説明を始めたのだった。
アンが言うには、かつて宴で借り切ったこの宿の女将が、体調を崩したと、赤熊からアニエスを通じて連絡があったという。
そこでアンは、一日だけ、宿の切り盛りの手伝いをすると、そう言ったらしいのである。

「…そういうわけかぁ」

才人は納得する。

「でも、私一人じゃ不安で。
 サイトさん、手伝っていただけますか?」

確かに。普段やりなれない事をアン一人にやらせるよりは、自分が手伝ったほうがいい。
才人はそう考え、頷いた。

「ありがとうございます。では私は厨房を。サイトさんはフロアの準備をお願いします」

言われるまま、才人はテーブルの上にさかさまに乗せられた背のない丸椅子を、テーブルに合わせて並べ始めた。

朝方は、比較的静かだった。
繁忙期ではないこの時期、しかも泊り客のいない日であったのが幸いしたのか。
しかし、昼からはその様相は一変した。
昼前から振り出した雨をよけるため、入ってきた旅人達によって、食堂が溢れかえったのである。
収容人数40人程度の食堂が、一気に活気付く。

「おにいさーん、こっちエール追加ねー」
「料理まだぁー?」

こっちは二人しか戦力がいないというのに。
しかし、働く側の都合などお構いなしなのが客というもの。
次から次に沸いてくる注文に、才人はてんやわんやになる。

90:真昼の夜の夢 ◆mQKcT9WQPM
07/08/09 23:19:16 PQ8PcHR1
厨房は大丈夫だろうか?才人はふと不安になる。
皿を下げたついでに覗きに行って見ると、アンはてきぱきと注文を書いた紙を見て、料理を並べている。
どうやら、女将の仕込んでくれた料理のおかげで、アンは大した苦労もせずに注文をさばけているようだ。
しかし才人は、アンが無理をしないよう、声を掛ける。

「アン、きつくなったら言ってね、手伝うから」

アンはそんな才人の言葉ににっこり笑って応える。

「大丈夫ですよ。それよりお料理できました。もっていってくださいな」

これなら大丈夫そうだな、と才人は安心し、フロアに戻った。

嵐のような昼時だった。
雨は昼の時間とともに去り、それと一緒に食堂を埋めていた客もいなくなった。
才人は厨房に入り、アンと一緒にたまった汚れ物を洗っていた。

「お疲れ様でした。サイトさん」

皿についた水を布巾で拭き取りながら、アンは才人を労う。

「アンこそお疲れ様。タイヘンだったでしょ」

水を溜めたシンクに手を突っ込んで、石鹸で泡立たせて食器を洗いながら、才人は応えた。
アンはその言葉に首をふるふるを振る。

「いいえ。女将さんの仕込みのお陰で、大して苦労はしていませんわ。
 私のしたことといえば、調理した料理を切ったり、温めたりしただけです」

それでも、以前に比べれば大した進歩だ。
やっぱり、前言っていた夢の為に、頑張っているのだろう。
才人は、アンの成長が、なんだか嬉しくなった。

「それでも、前に比べたらいろいろできるようになったんじゃない?すごいよ」
「…そんな、大したことないんですよ、ホントに」

照れて布巾を胸元で握り締めるアン。
そんなアンに、才人は冗談めかしてこう言った。

「俺はすごいと思うよ。ご褒美あげたいくらい」

その言葉を聴いたアンは、一度何かを言おうとしたが、すぐに口をつぐむと、少し考えて、少し頬を赤らめると、言った。

「じゃ、じゃあ」

…やばい。この顔は。
才人の中のワーニングサインが点灯するが、しかしその警報は手遅れだった。

「じゃあ、ここで、抱いてください…」

真っ赤になって俯いてそう言って、動きを止めた才人の手を取って、きゅっと握ったのだった。

91:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
07/08/09 23:21:22 PQ8PcHR1
さて今日のところは以上。
こっから先は明日以降になりまーす。

↓んで、勢いで保管庫に上げた『きっとこんな未来』のアナザーエピソードです
URLリンク(wikiwiki.jp)
お話し的にはアンの夢がかなっちゃった未来、ってとこでしょうかね。
んじゃお風呂いってきまーすノシ

92:名無しさん@ピンキー
07/08/09 23:30:46 ycn41vvs
>>91
一番槍GJ!
そして続きをwktk

93:名無しさん@ピンキー
07/08/10 00:13:10 WRRQ+aG1
今日はよく眠れそうです。wktkしながらマターリしてます。

94:名無しさん@ピンキー
07/08/10 04:39:07 ffl+myDq
>>91
せんたいさんはGJすぎるwきっとこんな未来のアナザーまで・・・・・

95:名無しさん@ピンキー
07/08/10 05:19:28 T3u2U/DN
>>91だーからなんで寸止めするかなー?

GJ!!!アナザーもGJ!!

あんまりじらしちゃうと、このスレみんなヤンデルイズになっちまうぜ!


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