07/08/16 02:08:37 gWP1sLXk
ヴァリエール別邸の朝は早い。
寝室に差し込む朝日でこの屋敷の主人が、日の出とほぼ同じ時間に起き出すからだ。
もちろん使用人たちはそれより早く起き出し、主の為に朝の準備を整えねばならない。
それは、才人の隣で眠る黒髪のメイドも例外ではないわけで。
シエスタはまだ日も差し込まないうちからもぞもぞと起き出し、全裸のままベッドから降りる。
ベッドの上では、シエスタの愛しい主人と、その婚約者がすやすやと眠る。
シエスタはすやすやと眠る才人の頬に口付けして。
そしてなんと、隣で眠るルイズの頬にも口付けした。
「頑張りましょうね、お互い」
言ってベッド脇に置いてあった下着を着こんで、メイド服に袖を通す。
メイド服を調え、そして音を立てないようにそっと扉を開け、寝室を後にする。
シエスタは才人のメイドである。だから、どれだけ昨晩激しく抱かれたとしても、主人の朝の準備は彼女がしなくてはならない。
「さ、急がないとサイトさん起きちゃう」
ぱたぱたとシエスタは厨房へと駆けていく。
そして厨房に向かうまでのほんの少しの間、彼女は昨晩の出来事を思い出していたのだった…。