07/07/18 01:32:20 o9K0XhmY
>1 乙!
3:名無しさん@ピンキー
07/07/18 02:07:19 kupkOIc/
>>1
乙だっ!
4:名無しさん@ピンキー
07/07/18 07:34:44 Hazx5nE0
乙カレー
5:名無しさん@ピンキー
07/07/18 11:44:34 1LWhs4s0
乙です
6:名無しさん@ピンキー
07/07/18 14:19:15 jc4E/Jui
otu
7:名無しさん@ピンキー
07/07/18 20:13:51 Ie9QeM9X
いちおつ
8:名無しさん@ピンキー
07/07/18 20:20:22 Htk3FYy0
乙っす
9:名無しさん@ピンキー
07/07/18 20:41:38 hfLTQVlF
乙~
10:名無しさん@ピンキー
07/07/18 21:12:08 7Zke378b
オツ
11:名無しさん@ピンキー
07/07/18 21:57:01 uXCBUYTV
パイ乙
12:名無しさん@ピンキー
07/07/18 22:01:02 tGiBz5I6
乙っ!!
13:名無しさん@ピンキー
07/07/18 22:31:37 nzFa/Vz6
>>1
乙!
14:名無しさん@ピンキー
07/07/18 22:32:44 nzFa/Vz6
ageてしまった…
スマンorz
15:名無しさん@ピンキー
07/07/18 23:48:02 Py6Q6T7m
おつ!
16:名無しさん@ピンキー
07/07/19 07:50:00 i2+mBgSW
夏っぽい話ってなにかある?
17:名無しさん@ピンキー
07/07/19 08:00:34 ZIdHHovu
クラゲ娘とか
こう麻痺毒で動けなくなった所を吸い取っちゃうぞ♪
みたいな
あーでも溺れちゃうか
岩場?
18:名無しさん@ピンキー
07/07/19 08:10:41 i2+mBgSW
…蝉とかカブトムシとか?
19:名無しさん@ピンキー
07/07/19 09:24:42 pDe10cyQ
蝉娘ってw
夏といえば…蛍?
20:名無しさん@ピンキー
07/07/19 10:32:51 XpCs3uI9
鰻とか
ぬるぬるぽ
21:名無しさん@ピンキー
07/07/19 11:09:24 fILg65Ll
蛍娘とかなら、光るのかな?
22:名無しさん@ピンキー
07/07/19 11:26:26 u9aO/hZD
長く生きられない蝉は幽霊で
23:名無しさん@ピンキー
07/07/19 14:04:07 ZIdHHovu
黒い悪魔G娘
24:名無しさん@ピンキー
07/07/19 16:13:28 GXE9aMDJ
>>20
ガッ
カブトムシとか?
25:名無しさん@ピンキー
07/07/19 17:54:05 qs1b+O3L
海洋生物はどうだ
26:名無しさん@ピンキー
07/07/19 18:20:05 3ViglCvg
エイはかなり具合が良いそうだ。
27:名無しさん@ピンキー
07/07/19 18:29:06 wz8JED4n
鰻は擬人化するより猫又のオマタに入れたほうがいいよ
とってもエロスなんだけどうまくこのスレに合わせんのが難しい
28:名無しさん@ピンキー
07/07/19 20:49:01 fOAnDp5B
高飛車でゴウージャスな高級人魚真鯛女は…正月か?
29:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:04:17 vOaXTTce
>>22
悲しい話になりそうな希ガス
30:名無しさん@ピンキー
07/07/19 23:07:21 +vqAUCoe
蛸娘や烏賊娘に触手で蹂躙され…
駄目っぽい気がするな
男と一緒に女の子も触手の餌食になったり
ヤられるのがショタな男の子だったりならアリかも
31:名無しさん@ピンキー
07/07/20 01:10:17 yvtBk5+J
貝娘とか
32:名無しさん@ピンキー
07/07/20 01:31:40 wE12HIEB
>>31
巨大なシャコガイの殻の中に閉じ込められていろいろ搾り取られると申したか。
あと海亀娘の産卵プレイとかなんとか夢想した。
保管庫行ったらくまさん生きてた
33:名無しさん@ピンキー
07/07/20 03:02:25 yCIsAxMz
>>32
産卵プレイ……涙流しながらだからやってる男の方は罪悪感が……
「(シクシク)あ、これは気持ちいいと勝手に出るんだ(シクシク)」
34:名無しさん@ピンキー
07/07/20 17:34:35 sPD+9h1E
男はやられる方だろう
35:名無しさん@ピンキー
07/07/20 21:44:51 LSIgiDi0
うれし涙で逆レイプというわけか。
36:名無しさん@ピンキー
07/07/20 21:57:51 yzoPULKy
涙流しながら逆レイプか…
なんという斬新さwww
37:名無しさん@ピンキー
07/07/20 22:04:22 +HVglZzX
だがちょっと待て。海亀が涙を流すのは産卵の時じゃないか。
まさか子作りの段階で泣いてる訳ではあるまい。
無粋でスマン。
38:名無しさん@ピンキー
07/07/20 22:15:06 JZsEYfDR
いやだから産卵プレイなんじゃ?産卵しながらヤると解釈してたが。
39:名無しさん@ピンキー
07/07/20 22:20:04 +HVglZzX
……爬虫類の受精って、卵が形成される前だよな?違うなら申し訳ないが。
それともあれか、人間で言うなら出産しながらヤるっての?
40:名無しさん@ピンキー
07/07/20 22:23:26 ygDOicch
魚類ならありだな
産卵プレイ
むしろ必須かも
41:名無しさん@ピンキー
07/07/20 22:27:42 JZsEYfDR
うん。出産しながら頑張るの。どこを通すのかわからないけど。
42:名無しさん@ピンキー
07/07/20 22:52:31 +HVglZzX
流石にそれは勘弁願いたいなぁ。百歩譲ってアナルだけど、それでもきつい。
43:名無しさん@ピンキー
07/07/20 23:43:22 yzoPULKy
>>41
これなんて無理強い?ww
ちっとは海亀さんの負担も考えてやれよ
44:名無しさん@ピンキー
07/07/20 23:54:43 sPD+9h1E
ここって逆レイプスレだよな?
45:名無しさん@ピンキー
07/07/21 00:30:32 yIGJvYeD
【感動の】海亀さん保護の会31匹目【出産】
46:名無しさん@ピンキー
07/07/21 00:37:55 ZQ1iHSXq
微妙にスレ違いじゃないのか?
確かに動物の話題だけどさ……
47:名無しさん@ピンキー
07/07/21 01:03:52 ZLxXYSDh
正直スマンカッタ。海月娘に搾り取られてくる。
48:名無しさん@ピンキー
07/07/21 01:07:44 i3jsJEox
イソギンチャク娘なんてどうだ?
ヤドカリ娘とセットでどうぞ、みたいに。
49:佳境に立つくまさん
07/07/21 01:43:52 pZm4j4IZ
いろいろとすみません。風呂神様も仕上げます orz
突発的に書いてみました。
50:佳境に立つくまさん
07/07/21 01:44:43 pZm4j4IZ
「暑ぅ…こりゃ今晩も熱帯夜だな…。」
ごろりと寝返りをうって開け放った縁側を見る。
涼しそうな月光に照らされる庭を見ていると蚊帳の中まで涼しく…はならなかった。
それどころかピタリと止んだ夜風と共にじりじりと気温が暑くなっていくのが分かる。ああくそ、暑い!
枕元の団扇を手にパタパタと仰ぎながらどうしたものかと思案を巡らすうち、俺は庭に舞う虫を見つけた。
ひらり、ひらりと頼りないような…それでいて優雅に見えるような不思議な飛び方をしている。
白い体と白く透き通った羽を月光にさらしながら舞うそれは、青白い光を身にまとった天女のようにも見える。
なんという名前だったか…
「もし…」
いつの間に眠ったのだろうか?時計に目をやると午前二時、草木も眠る丑三つ時というやつだ。
ついで隣を見ると見慣れない女性が枕元に座っていた。
「あの、もし…」
むくりと体を起こしてじっと見つめるとおぼろげだった彼女の姿がだんだんと鮮明になってきた。
白い着物、透明な羽、ぴょんと飛び出した二本の触角、腰まで届きそうな黒髪、そしてなにより…美人だった。
「何か…用か?」
「私を…孕ませて…」
――はあ?何言って――って声が!?
「心配は…いりません…ただの…金縛りですから…」
51:佳境に立つくまさん
07/07/21 01:45:24 pZm4j4IZ
「んむ…んく…ぴちゅ…」
状況を理解するより早く俺の体は反応してしまっていた。
肉棒をを丁寧に舐めていく彼女の舌と、白く細い指がおぼつかない手つきながらも優しく上下に扱く彼女はその懸命な表情もあって直接的な快感以上に俺を刺激する。
やがてもう十分と判断したのか、彼女は糸を引きながら口を離すと自らの割れ目に手をやると、少しばかり驚いた表情を見せる。
自分の体の反応が恥ずかしいのか…しきりに自分の割れ目からしたたり落ちる愛液を手にとって舐めている。
「寝て…」
彼女の言われるがまま、というより体が勝手に動いて横になった俺を跨いで濡れそぼった肉棒と割れ目をあてがう。
「くっ…」
苦しそうな表情を浮かべて腰を落としていく…それはまるで男を知らないかのような反応だった。
――きつ…っ…
予想しなかった締め付けに耐えられず、俺は彼女を最奥に欲望を放つ。
「ふぁぁ!出て…るぅ…オスの…精が…」
いきなりの射精に彼女は声をあげて子宮で精子を受け止め、絶頂の波に体を震わせている。
ごぷごぷと子宮に流し込まれる精子はあっというまに彼女の膣口から溢れ出してくる。
「ん…もっと…精子…欲しい…丑三つ時が過ぎても…」
痛みはすでに快楽へと変わったのだろうか、彼女はふふっ…と笑って腰を動かしてくる。月光に照らし出された羽が青白く輝いて部屋を照らしている。
5回、6回と搾り取られてなおも続く快楽の中、俺の意識は暗中に沈んでいった。
朝、蝉の声で目を覚ました時、俺は一人だった。昨日は確か不思議な女の人と…って、夢か。
そういえば昨日の虫…"ウスバカゲロウ"だったかな?あれ、俺なんであの虫の名前知ってるんだろうか?
そんな事を考えてるとどこからともなく頼りない飛び方の"彼女"が飛んできた。
ひらり、ひらり。丑三つ時のお話。
52:佳境に立つくまさん
07/07/21 01:47:12 pZm4j4IZ
以上、ウスバカゲロウでした。薄命なんですよね…。
タイトル「真夏の夜の夢」みたいな感じで。
53:名無しさん@ピンキー
07/07/21 04:57:36 zxnfNHYq
>>52
GJ
ウスバカゲロウってあれか?
数年間肛門を持たないアリジゴクとして過ごして成虫になった途端溜まっていた数年分の(ry
54:名無しさん@ピンキー
07/07/21 08:28:33 i3jsJEox
久しぶりにGJ!
じゃあ尻の先をニッパーで切ったらどうなりんだ?
55:名無しさん@ピンキー
07/07/21 10:02:52 8fHBbR6Z
GJ
寿命って長くて二週間なんだよな…
56:名無しさん@ピンキー
07/07/21 13:22:05 i4CFoMkv
>>53
ネコミミカチューシャ縫い付けるぞコノヤロウ。
>>52
GJ!
薄幸そうな美人ってイイNE!
57:名無しさん@ピンキー
07/07/22 03:46:46 P+EIL2AM
夏で短命と来たら後は蝉だよな…
俺の脳内で家に超元気なハイテンション蝉っ子が突然押し掛けて来る。
って妄想が沸いたけど悲しい事に文才がないから書けないorz
58:名無しさん@ピンキー
07/07/22 10:44:41 WKs7bTHb
>>57
超元気っ子は面白そうだからとりあえず書いてみてくれと思う俺と
読んだ後に切なくなってしまいそうだから書かないでくれと思う俺がいる
59:名無しさん@ピンキー
07/07/22 11:33:43 0E4C2a8A
切ないけど読んでみたい。
南国少年パプワ君みたいに。
60:名無しさん@ピンキー
07/07/22 15:56:35 N01f7169
>>52
いまさらながらGJ
御伽噺は大好きだが…切ないな
61:名無しさん@ピンキー
07/07/22 16:34:03 itVg/Fuu
そろそろ狐氏やらの続きが見たい
62:通りすがり
07/07/23 01:17:38 Kw3TPDZi
最近、何だか夏バテ気味な俺が通りますよ……
今回は吉川教授が擬人化薬を使う目的だった猫の話を投下します。
虎姐の話はもう少し待っててください……orz
63:通りすがり
07/07/23 01:18:31 Kw3TPDZi
「シィッルッキィィちゅわぁぁぁぁん!」
「こ、来ないでこのド変態ッ!!」
ザシュ
「ぎぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
―はて?
何の音だろうか?誰かが騒いでいる声と音が聞こえたような……気の所為かな?
ここは某大学の構内、時は日も落ちてお月様が顔を出し始めた頃、
俺、陵 勇樹(みささぎ ゆうき)は長引いていた大学の実習がやっと終わり、
ある用事の為に大学の構内を一人歩いていた、その片手には出来たての猫まんまを持っていたりする。
と言うのも、その”ある用事”と言うのがこの大学で飼われている猫のシルキーに餌を与える為に
夜中にも関わらず人気の無い大学の構内を一人歩いていた訳で、
……まあ、端から見たら今の俺の姿はもろに不審者であるのだが……
それもあってか、以前、警備員さんに不審者と見間違われた事もあったが、
何とかここの学生だと言う事と、大学で飼われている猫に餌を与える為にいた事を説明し、事無きを得て、
今ではその警備員さんとも顔見知りとなり、晴れて堂々と夜の大学構内を歩けるのだ。
だから良い子も悪い子も用も無いのに夜の学校をうろつくなよ?
……下手すると通報されるから。
とまあそれはさて置いて、
さっきの変な叫び声みたいなのが気になったが、今は俺のやる事を済ませなけりゃならん。
「シルキー、御飯持って来たぞー!」
未だに姿を見せないシルキーを呼ぶべく、俺は声を上げる
だが、反応は無く構内は静まり返ったまま
おかしいな……何時もであれば、俺が呼んだら直ぐに何処からとも無く大急ぎでやってくるのだが……?
あ、そうそう、俺と、その猫のシルキーの関係なのだが、
事故で母親を失ってミーミー鳴いている子猫だったシルキーを拾い、甲斐甲斐しく世話をしたのが
大学に入学したての頃の俺だったりする訳で、それからの付き合いだったりするのだ。
以来、大学に来た時と大学の講習が終わった時は何時もシルキーに餌を与えるのが日課になっている。
それにしても今日はおかしい、何時まで経ってもシルキーが姿を見せない
まさかとは思うが、シルキーは病気か事故かで動けない状態になっているのか……?
いや、悪い想像はしないほうがマシだ、何時でもポジティブシンキングなのが俺のポリシ―なのだ。
取り敢えず、考えているよりシルキーがいそうな場所を捜してみるか……
と俺がシルキー捜索に動こうとした矢先。
64:通りすがり
07/07/23 01:19:20 Kw3TPDZi
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!、嫌われたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
俺の目の前を大声で泣きながら走り去っていく人影があった、
あの声、そして人影の放っていたマッドな科学者特有の独特なオーラ、
見間違え様が無い……あの人影は吉川教授だ。
吉川 学(きちかわ まなぶ)教授、
彼がいなければ世界の技術発展は十年遅れていたと言われる天才、いや、奇才。
聞いた話によると、教授のうちたてた功績の約半分は教授自身の欲望が生み出したとか
教授は常に奇天烈な行動ばかりで、教授の研究所に勤める研究員が辞める理由の大半がそのストレスが原因だとか、
色々と妙な噂があるようだが、俺にとっては”何かと凄い教授”と言う認識でしか無い。
まあ、キチ○イとか言われている事に関しては俺も同意なんだが。
……そんな教授がこんな夜中に一体何をしていたのだろうか?
泣いていた事からすると、かなり重要な実験が失敗したのかな?
偶に実験が上手く行かないと人目を憚(はばか)らず泣き喚く事があるからな……あの教授。
と、教授の事よりも、今は未だに姿を見せないシルキーを捜さなくちゃ……
「シルキー!御飯持って来たぞー!」
構内を歩きながら呼んでは見るが
……やはり反応は無い、やっぱりシルキーに何かあったのだろうか?
いやいや、シルキーに限ってそんな事は無い筈だ、
病気にしろ、伝染病の予防接種は欠かさず受けさせてるから病気になる可能性は低いっちゃあ低いし
それにシルキーは慎重派だから、車道に飛び出る真似なんてする筈無いし、
無論、見境の無い野良猫と違って毒餌を食うなんて以ての外だ。
だが、現にシルキーは未だに姿を見せない……まさかと思うがさらわれた?
いやいやいや、さらわれるなんてそれこそ有り得ない、シルキーは良い人と悪い人を見分ける力に長けている、
その為、シルキーに捕まえようなんて考えを見せれば即 引っ掻き&噛みつき、そして逃亡のコンボを行う、
現にシルキーを捕まえようとして引っ掻き傷だらけにされた挙句、逃げられた不届き者の姿を何度か見て来た、
だからさらわれると言う事も有り得ないだろう。
大方、今頃シルキーは警備員のオジさんと遊んでいるだけなのだろう、多分その筈だ。
だったら、もう一回呼んで見てから、警備員のオジさんの所に行ってみるか……
「シルキー!早く出てこないと御飯が無くなっちゃうぞ―!」
……しかし、やっぱり反応は無い。
……やっぱ警備員のオジさんの所かな?
俺はそう思い、警備員の詰め所へと行こうとした矢先、
65:通りすがり
07/07/23 01:20:03 Kw3TPDZi
がさがさ
俺の後ろの植え込みから、何かが植木を掻き分ける音が聞こえ始めた
それに気付いた俺はやれやれとばかりに振り返り
「シルキー、やっと来たか……何かあったのかと心配し――」
「あーもう、あの変態の所為でゴハンの時間が遅れちゃったじゃない……ねえ、ゴハンまだ有るよね?」
「――……誰?」
予想を裏切る結果に俺は思わずポツリと呟いた。
目の前に現れたのは猫のシルキーでは無く妙な女だった、
年の頃は15か16歳くらいだろうか、地味な白い貫頭衣姿で
見た目は黒いショートカットの猫を思わせる丸めの顔で、大きなクリっとした目が可愛らしい
体型もまた、何処か猫的なしなやかさを感じさせるスレンダーな体型で、
街を歩けば2~3人に声を掛けられそうな美人、なのだが、
俺が彼女に対して妙だと思ったのはその格好だった。
コスプレ、なのだろうか?彼女の頭には白い猫耳が付いており、更に腰からも白い猫尻尾がついていたりする、
おまけにカラーコンタクトをしているのだろうか、瞳が普通の人間では有り得ない金色に輝いていたりする。
何なんだろうか?この妙なコスプレ女は……?
「ねえ、人の話聞いてる?ゴハンはまだ有るよねって聞いてるんだけど?」
俺は暫し呆然としていると彼女から声を掛けられ、我に返る。
……どうやら彼女は俺に話し掛けているみたいだ、
彼女の話からすると彼女は御飯が食べたい様だが……、この時間では学食も購買も既に閉まっているし、
ここで御飯を食うにはもう遅過ぎるのだが……?
つか、俺に御飯の事を聞かれたとしても、今、俺が持っている食い物は猫にやる為の猫まんましか無いし……
って、妙なコスプレ女に構っている場合では無くて今はシルキーを捜さなくては!
「御飯って俺に言われても分からないし今は忙しいんだ、だから俺じゃなくて他の人に聞いてくれ」
「え~?……って、御飯を持ってるのに分からないって如何言う事よ!」
俺の言った言葉に彼女がやや憮然としながら指差した先に有った物は…………手に持っている猫まんま、
「をいをい、これはシルキーって名前の猫に与えるもんであって間違っても見ず知らずの女に……」
「アタシがシルキーだもん、だから早くゴハン頂戴」
「は?いや、だから、これは猫にやるもんであってな。例えお前さんがその猫と同じ名前だったとしても……」
「だーかーらー!、あたしがその猫のシルキーだって言ってるでしょ?」
「 は い ?」
うん、夏休みも近いこの時期、暑さに脳をやられた人が多くなるとは聞いてはいたが、
実際、そのテの人を目の当たりにするとは思っても無かった。
……ああ、なんか唐突に眩暈と頭痛がして来た……
さっさと警備員さんにこの妙な事を言い出すコスプレ女を押し付けた方が面倒が無くて良いかな……?
「……なんか失礼な事を考えてない?……もう、そんなに疑うんだったら証拠を見せてあげる!」
「証拠?……って、うわ、いきなり何を!?」
訝しげな眼差しを投掛ける俺に、彼女は少し怒りながらおもむろに貫頭衣を上へと捲り上げる
……その貫頭衣の下は下着も何も付けておらず、バッチリと彼女の下半身がもろ見えな訳で……
当然、俺は思いっきり顔を紅くして彼女を見ないように明後日の方へと向く、
66:通りすがり
07/07/23 01:20:53 Kw3TPDZi
「こらっ、ちゃんとこっちを見なさい!」
だが、直ぐに俺の喉元を彼女の手がガッチリと掴み、無理やり彼女の方へと向け直される。
うわわわ、僅かに覗いた下乳や引き締まったお腹とか可愛らしいお臍とか股間の黒い柔らかそうな茂みが……!
って見るな見るな見るな!俺!平常心平常心だぞ!俺!
「クソ、俺に裸を見せて如何するつもりだ!お、俺はそんな事では惑わされないぞ!?」
「ちーがーうー!あたしが見せたいのは、このおなかの傷痕よ、き・ず・あ・と!
変な所みて顔を赤くしているんじゃ無いわよ!」
やや怒りながら彼女は服を捲り上げている手の指で腹の上辺りにある傷痕を指差す。
……ん?なんかこの傷痕、見覚えがあるような……?
「去年、アタシが身体の調子を悪くした時に、ジューイって奴にシュジュツされた痕よ、憶えているでしょ?
あの時は色々と苦しかったけど、治してもらって感謝しているんだよ?」
そういえばシルキーは去年、身体を悪くして獣医に手術してもらった事があった、
その時は支払う治療費が意外に高額で、暫くの間、俺の生活が苦しくなった事がかなり印象に残っている。
ま、まさかとは思うが……
「ほ、本当に、お前がシルキーなのか?」
「本当よ、アタシが貴方の捜すシルキーなの、やっと分かった?」
言われて良く良く見て見れば
彼女の頭に有る一番上の部分が黒いネコミミや腰から生える先端が茶色の白い尻尾
この特徴は間違いなくシルキーの特徴だ、毎日の様にシルキーを見ている俺だから分かる。
それに金色の目の瞳孔も猫の様に縦に細く、彼女が元々は猫だったというのが頷けてくる。
それにしても……猫が猫耳少女に変わるなんて奇想天外な出来事は
アニメかマンガかラノベ位にしか無いだろうと思っていたが……こう現実に来るとは思ってもなかった、
まさに事実は小説よりも寄なり、だなぁ……。
67:通りすがり
07/07/23 01:21:53 Kw3TPDZi
「なあ、お前が本当にシルキーだとして、何でそんな姿に?」
「あー、それがね、もう聞いてよ、何でアタシがこんな姿になったのはね、
アタシが何時もの通り縄張りの見回りしていたら、いきなりキチ……ガイ?って変態に変な薬をぶっ掛けられて、
気が付いた時にはこうなっていたのよ!もう最悪よ!」
キチ……ガイ?……って吉川教授の事か?……まあ、あの人ならやりかねなさそうだな……
普段から講習の場でも「猫娘萌え~♪猫娘(*´д`)ハァハァ」とか言っている人だし……
とか、思っている俺を余所に、彼女は更にまくし立てる様にして
「それでね、その変態がクソ偉そーにこの擬人化薬がどーだとか、効果は2時間がどーのとか喋った挙句に
いきなり服脱ぎ始めて奇声上げてアタシの方に飛びこんできたのよ、もうあれって変態としか言い様が無いわ!
それでびっくりしたアタシは反射的にその変態の顔面に必殺パンチを叩きこんだのよ
そしたら、その変態、何だか悲鳴を上げて脱いだ服持って逃げてったんだけどね?」
ああ、あの時の悲鳴ってキチガ……オホン吉川教授の上げた悲鳴だったのか……
んで、シルキーに嫌われてしまった吉川教授は泣きながらシルキーを捜す俺の前を走っていった、と言う事か、
なるほど……これで何となく話が繋がった。
今、目の前にいる人間の姿のシルキーは、吉川教授の作った変な薬の効果による一時的な姿で、
んで、人間になったシルキーに吉川教授がハァハァしようとしたら、彼女のヌコパンチを食らって泣いて逃げた。
……吉川教授、あんたって人は……なんか同じ人間として情けなくなって来た……
「まあ、そう言う事よ。で、話は本題に戻るけど、さっさとゴハンが欲しいんですけど?
アタシ、もうおなかペコペコなんだから……」
おっと、ついつい考えるのに夢中で本来の目的を忘れてしまっていた……
見ると彼女は大げさに腹を抑えて空腹に喘ぐ仕草を見せていたりする、
「あ、悪い……はいこれ」
「サンキュ♪、やっぱキミのくれる猫まんまは最っ高ね!
前に警備員の人に御飯を貰った事が有るけど、キミのくれる猫まんまと比べたら月と鼈(スッポン)
なんか一味足りないのよ、一味が!」
俺から猫まんまを貰うと、彼女はその場で喋りながらがつがつと食い始める、
……いい歳した女性が犬食いならぬ猫食いしている上に
更に食っている最中に喋るもんだから口から御飯粒を飛ばしまくっているってのは何だか……
まあ、元が猫だから仕方が無いか。
――とか俺が思っている内に彼女は食い終わったようで、
「ごっちそうさまー!あー美味しかったー!また明日も作って頂戴ね?」
と、元気良く空になった器を両手に持って俺に差し出してくる。
こうやって言葉で感謝されるってのは良いもんだな……なんか感慨深いな。
何時もは、御飯やって食い終わったらはい終い、だからなぁ……
68:通りすがり
07/07/23 01:22:55 Kw3TPDZi
「じゃあ、これで俺は帰るけど、事故に気を付けろよ?」
「え?帰っちゃうの?……アタシと遊んでいかないの?ねえ、帰らずにあたしと遊んでよ?」
「え゛いや、でも……夜も、遅いし……」
遊んでって……そう言われても如何遊べと言うんだ?
猫じゃらしで遊ぶにしても良い歳した男が猫耳少女相手にやっている姿は端から見れば変態さんだし、
かといって他に遊ぶって………少女と遊ぶ………ってをい、何おかしな方へ想像を膨らませてんだ俺は!
ええいっ、煩悩退散煩悩退散!相手は猫だぞ!……まあ、そりゃあ今は可愛いし女の子の姿な上に
傷痕を見せられた時に中々良い身体しているなーとか思ったりするけど……って駄目駄目駄目!
そんな俺の思考にマイサンは敏感に反応したらしく、何時の間にかズボンの股間へ見事なテントを設営しており、
その様子を彼女が興味深げに目を輝かせて眺めていた。
「ってコラコラコラ、女の子がこんな所をそんな興味深げに見ちゃいけません!エッチなのは駄目ですよ!」
「……キミ、アタシに発情してくれたんだ……嬉しい!」
「え?ちょっ――うわっ!」
俺が必死に両手を使って股間を隠していると彼女にいきなり抱き付かれ、そのまま押し倒されてしまう。
その際に、彼女の発する甘い匂いと胸の柔らかい感触を感じて俺は顔を紅潮させてしまう。
見れば彼女の目は既に情欲に染まり、僅かに息も荒くなっているし……マジですか?
「アタシね……実はキミの事が好きなんだよ?
お母さんが死んで一人ぼっちだったアタシを拾ってくれて、毎日毎日美味しい御飯をくれるキミの事が好き。
だけどアタシは猫、キミは人間、その差は埋めようにも埋められない、だからアタシは諦めてたんだ……
けど、あの変態の所為とは言え、アタシは人間の姿になれた、ならこのチャンスは逃す手は無いの!
だから、キミ、アタシとつがいになって!」
「え?……え?……え!?」
ちょwww待て待て待て!?いきなり何を言い腐りやがってるのですかこの人(猫?)は!?
まあ、そりゃ俺は彼女もいないし、今のシルキーは可愛いなとは思っているけど、
それは幾ら何でもいきなり過ぎやしないか?つーか、展開が飛び過ぎだっ!これは誰かの陰謀かっ!?
……え?このスレの話である以上はこう言う事は仕方が無い事だって?
……いや、ちょっと待ちーや!幾ら何でも急展開にも程が(ry
69:通りすがり
07/07/23 01:23:36 Kw3TPDZi
「何一人でぶつぶつ言っているのか分からないけど、
あの変態は今の姿は2時間限りだって言ってたし、アタシには時間が無いのよ、
だからキミが如何言おうともアタシは止めない!」
「いやだから止めるとか以前にふむぐぅ!?」
俺が言葉を言いきらぬ内に彼女の唇によって口を封じられ
更に猫特有のざらざらとした舌で口内を舐り始める。最初こそ彼女の舌の動きは拙い動きだったが、
だんだん慣れて来たのか俺の舌へ絡ませたり歯茎などを刺激したり唾液を吸い出したりするようになる。
ちゅくちゅく……
数分の間、唾液の交じり合う音を立て俺と彼女の舌が絡み合う。
う……なんか、気持ち良いし……。
で、でも……ちょっと、呼吸がし辛いんですけど?……つか、苦しい!
「プハッ……ズボンを脱がせるよ……?」
ようやく唇が離れた後、酸欠の所為で抵抗する事も出来ず両手で俺の身体を抑えこむ彼女を眺める俺を余所に
彼女は淫蕩な表情を浮べながら俺のズボンを下着ごと脱がしとる、ってまてぇぇぇぇぇぇっ!!
ああっ、クソっ、直ぐに振り払いたいけどシルキーの奴、意外に力がありやがるから振り払えないしっ!
「人間のこれってトゲトゲして無いのね……だったらやりやすいかも?」
「ぐっ、そんな興味心身な目で見るな、つか触るな擦るなって!」
ズボンと下着と言う抑えが無くなり、自分の存在を存分に天に向けて誇示するマイサンを見て
彼女は顔を赤らめ、目の瞳孔をより細めながら興味深げにマイサンを手で擦る。
70:通りすがり
07/07/23 01:24:58 Kw3TPDZi
「時間が無いからさっさと始めるよ……」
「えっ?ま、待―――」
擦られた刺激を受けてより自分の存在を天に向けて誇示するマイサンの上に跨り
既にしどどに濡れ愛液を垂らし始めた秘所へ、くちゅりとマイサンの先端を宛がうと
俺が止める間も無く彼女は一気に腰を下ろし、ずぷりと言う音と共にマイサンを秘所へと飲みこんでゆく。
「――くぅ……!」
「あっ……くっ……は、入ったぁ……!」
マイサンに彼女の膣壁が熱く絡み付いて……き……気持ち……良過ぎる……!
彼女も挿入の快感を感じているのか耳を伏せて尻尾を上に立て身体をフルフルと震わせている。
「ああ……これでキミとつがいになった……嬉しい……!」
「し、シルキー……」
「……動く……よ!、にゃふぅ!」
彼女の秘所が俺のマイサンを根元まで飲みこんだ後、余程一つになれた事が嬉しかったのか、
彼女は金色の瞳に涙を浮べながら呻き声を上げる俺に笑いかけ、腰を動かし始める。
「にゃぁ!……気持ち良い!気持ち……良いよぉ!」
「うっ……く……!」
彼女から溢れ出る大量の愛液でジュプジュプと結合部から卑猥な音が漏れ、
俺は思わずこの音が構内中に聞こえているんじゃ無いか?と錯覚する、
だが、俺の考えを余所に彼女は嬌声を上げながら腰を打ち付ける様に激しく上下させる。
「みゃはぁ!にゃふっ!キミも、気持ち良い?みゃふぅ!」
「うっ、き、気持ち良い!……けど、けど!」
「駄目、アタシは止めないって言った、だから最後まで……みゃぁ!」
彼女が動く度にマイサンを包みこむ膣肉が蠢き、俺へ電撃の様な快感を与え、
そして彼女もまた、快感に身体を震わせ口元から涎を垂らしながら腰を動かして行く。
腰を動かしながら俺に笑いかける彼女に、俺は尚も止めようとするが彼女の手によって制される。
……最早俺にできる抵抗は、必死に精を出すのを我慢する事しかなかった。
71:通りすがり
07/07/23 01:25:48 Kw3TPDZi
「みゃぁっ!みゃぁっ!みゃふぅっ!」
「うっ……!くっ……!くぁっ……!」
気が付けば彼女の腰の動きは単純な上下運動から前後左右の動きを加えた円運動に変わり、更に俺に快感を与え
俺もまた、無意識のうちに彼女の腰を突き上げていた。
そうしている内に俺の腰の奥からじわじわと込み上げる物を感じ始める。
……拙い、このままだと彼女の中に!
「くっ……ちょ、抜けっ!」
俺は慌ててマイサンを彼女から引き抜こうと、何も考えずに彼女の尻尾を掴んで上に引っ張った、
だが……それが行けなかった。
「にゃ!?、みゃふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
どうやら尻尾は彼女にとっての性感帯だったらしく、掴まれた刺激によって彼女は絶頂を迎え。
それと同時にマイサンを包みこんでいる膣肉がうねうねと複雑に蠢き締め付ける。
無論、既に達しそうだった俺が耐えられる筈もなく、
「うっ……でっ、出るっ!?」
あっさりと限界に達し、腰を痙攣させると彼女の中へ
欲望の白濁をビュクビュクと音が聞こえる位の勢いで解き放ってしまう。
あ゛あ゛ぁぁぁ……やっちまったぁ……よりによって猫相手に……
「みゃぁぁ……キミのがドクドクって出てる……すっごく熱いよ……」
噴き出される欲望の白濁を子宮で受けとめ、口元から涎を垂らしながら彼女は身体を震わせ、
結合部から白濁の混じった愛液が溢れだし、俺の下腹部をヌルヌルに濡らす。
……後でどーすんだ、これ?
なんて俺が考えていると、マイサンを包む膣肉が蠢き出し彼女が再び腰を動かし始める、っておい!
「コ、コラ……シルキー、さっきので十分だろ?」
「何言ってるの!アタシは一回達した程度では満足しないの!……それじゃ、もう一回!」
そう言って彼女は嬌声を上げて腰の動きを激しくさせる。
……ああ、もうこうなったらなるよーになれっての!
結局、彼女が満足して眠りにつくまでの間、俺は彼女によって8発も搾り取られ、
疲労によって半ば意識を失いかけながらも後始末をする羽目になったのだった。
この時に警備員さんが来なくて本っ当に良かった……
72:通りすがり
07/07/23 01:26:34 Kw3TPDZi
※※※
5年後
「ほらっ、何をのろのろと歩いてるの!早く行かないと特売の箱ティッシュが売れきれちゃうわ!」
「ハイハイ、そんなに慌てなくてもそう直ぐに売れ切れるもんじゃないだろ?」
俺は荷物を両手に、急ぐ彼女の後姿を眺めながら街を歩いていた。
あの後、大学を卒業した俺は色々あって彼女と結婚をしていたりする。
(実の所、何故か親が非常に協力的で、あっさりと話が纏まった事に俺は驚いている)
最初こそ彼女の戸籍とか人種だとか人間としての生活教育とか様々な問題が付き纏ったが、
今はその問題も落ちついて幸せに過ごしている、と言うか既に彼女が所帯じみていたりする。
「ママー、待ってー。ほらパパも急いでー!」
ゆっくりと歩く俺の横を、猫耳猫尻尾を付けた幼女が掛け抜け、振り向くと俺に急ぐように急かす。
結局、あの満月の日の情交によって彼女は見事に妊娠し、娘を授かったのだった。
今、この子は4歳になる所、親に似て我侭な所もあるが、可愛い盛りだ。
「あー!変態!」
気付くと前を急いでいた筈の彼女が立ち止まり、誰かを指差して失礼な事を叫んでいた。
をいをい、いきなり見ず知らずの人間に変態って言うのは流石に失礼過ぎるのでは……?
って、彼女が指差している相手って……
「吉川教授!?」
「だーれー?あのオジちゃん、パパのしってるひとー?」
俺は驚きの余り思わず声に出してしまい、側に居る娘に不思議そうな目で見られる。
……見間違え様が無い、彼女の前にいる人は吉川教授だった。……独特のオーラは今だ健在みたいだ。
如何言う訳か教授は目の前に居る彼女にかなり驚いており、唖然とした表情を浮べて立ち尽くしている。
73:通りすがり
07/07/23 01:27:22 Kw3TPDZi
「な、何で何でなんでっ!?」
「んー、まあ、あんたの薬のお陰と言った所かしら?
この人と結ばれる事が出来たし、娘も授かったし、あたしは今、とっても幸せよ。
……とにかく、一応あんたにお礼は言ってあげるわ、有難う」
「…………」
どうやら教授は何で彼女が今も人間のままで居るのか疑問になったらしく。
彼女に疑問をぶつけるのだが、しれっと答えられた上にお礼まで言われ、教授は再び唖然とした表情となる。
あ、何か教授が震えている……
「う、う、ウワァァァァァァァァァァァァァァン!」
教授はやおら踵を返すと、如何言う訳か泣き叫びながらその場から走り去っていった。
何故に泣いて逃げていったのだろうか……彼女と会った事が教授にとって何かショッキングな事だったのだろうか?
「おい、シルキー、教授に何か酷い事を言ったのか?」
「え?アタシは別にあの変態を泣かせるような事は言った憶えは無いわよ?」
「「じゃあ……何で泣いて逃げてったんだ(のかしら?]」」
しかし、彼女に聞いてみても彼女自身も教授が泣いて逃げた理由を良く分かっていないらしく、
教授の行動が理解できない俺と彼女は二人合わせて首を傾げる事になる。
……そういや吉川教授が猫だったシルキーに薬を使った目的って……ハァハァする為だったよな?
あ、なんとなーく教授が泣いて逃げてった理由が分かってきた様な……
「ねえ、ママー、パパー、急がないのー?、ティッシュ売れきれちゃうよー?」
「あ゛っ!忘れてた!もう急がないと!ダッシュよ、ダッシュダッシュ!」
「コラコラ、そんなに引っ張るなって!つか爪が手に食い込んで痛い痛い痛い!」
「あーん、ママもパパも待ってー!」
だが、俺が教授が泣いて逃げた理由が何となく分かろうとした矢先に
娘の一言で本来の目的を思いだした彼女が再び走りだし、思考は中断される事になる。
結局、この後の主婦同士による多々買いのドタバタの所為で、
俺は教授の事を記憶の隅に追いやってしまってしまうのだった……。
……その後、新聞で知った話だが
彼の乗るヘリが上空で何かの液体を撒き散らした事で警察に聴取された事件が起きた、らしい
その時の教授は「失恋した!」「もうやけくそ」「こうなれば皆擬人化だ!」などと錯乱しており、
その液体が何だったのか、そして何の目的で液体を撒き散らしたのかは最後まで分からずじまいだったそうだ。
更に聞いた話だと、教授が謎の液体を撒き散らした地域に獣耳の人間を見たという噂があったとかないとか……
はっきりいっておれはこのじけんとかんけいないとおもいたいです
みささぎ ゆうき
―――――――――――了?――――――――――――
74:通りすがり
07/07/23 01:29:05 Kw3TPDZi
以上です、
虎姐の話は後もう少しで投下できるかも?……トラブルが無ければ、の話だけど(汗
75:名無しさん@ピンキー
07/07/23 01:59:10 fuAHasGO
GGGJJJJJJJJJJJ!!!!
つまりこの事件により擬人化パラダイスが(ry
全裸でwktkしとくw
76:名無しさん@ピンキー
07/07/23 02:16:52 j6ix/RUQ
通りすがり氏、乙&GJ!
それにしても毎回教授カワイソスwww
77:名無しさん@ピンキー
07/07/23 02:59:05 LKXp2Phi
>>74
GJでしたが、誤字発見しました。
>>69の下から四行目
「興味心身」は「興味津々」かと。
そういえば、某国立大学の某キャンパスにはノラネコが名前貰って住み着いてるとか。
キャンパスの所在地の地名を名字に貰い、大学の愛称を名乗る一匹のノラ。
天敵も車もいない大学で、今日も今日とて気ままなノラネコライフ。
彼と代わりたい……
78:名無しさん@ピンキー
07/07/23 09:37:50 U+akhu7E
>>74
GGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJ!!
スレをもネタに入れる文才にただただ脱帽するばかり
79:名無しさん@ピンキー
07/07/23 12:39:48 LvXB5J/I
そういえば猫は交尾した時の刺激で排卵するからで100%妊娠する、
って聞いたことがある。
動物の性質を重視するか人間の性質を重視するかで書き手の趣味がわかるな
80:名無しさん@ピンキー
07/07/23 12:54:22 LvXB5J/I
おっとうっかり忘れてた
通りすがり氏GJ!!
ひょっとしてこの事件によって虎姐達(の先祖?)が
生まれることになったということだろうか?
だとしたら教授GJwww
81:名無しさん@ピンキー
07/07/23 13:25:33 xoObxb4g
くまさん氏と通りすがり氏、両名ともGJ!
作品を並べて読んでみると作者毎に作風が違うのが分かるね。
くまさん氏は雰囲気とか風景描写を重視して、薄目のえちシーン。
通りすがり氏はキャラの特徴とかやり取りを重視して、濃厚!なえちシーン。
くまさん氏は風景が思い浮かびそうな詩的な感じ、通りすがり氏は成年マークばりばりで脳内で漫画化されそうなお話しってな感じか?
俺はどっちも大好きだぜ。
ただ一つ言うなら、くまさん氏は雰囲気とか風景がきれいだから抜くのがはばかられるんだよなあw
82:名無しさん@ピンキー
07/07/23 16:01:44 6J5sAk3H
GJ
個人的には虎姐よりこっちのが好きだ
83:名無しさん@ピンキー
07/07/24 00:19:39 gLlV8jGj
>>57辺りに着想を得て初めて書いてみた。
本当は前スレの埋めに使おうと思ったけど、
書き足していくうちに容量がオーバーしてしまったのでこっちに投下。
……おかしいなぁ、処女作は鳥娘になるはずだったのにw
84:夏の虫
07/07/24 00:21:07 gLlV8jGj
大学4年生の俺が住んでいるアパートの裏庭には、大きな栗の木が生えている。
毎年夏になると樹液を求めて蝉やらかぶと虫やらが多く集まるので、
近所の小学生らがよく昆虫採集に来る。
朝早くから虫かご片手に元気よく裏庭を駆け回る姿を見て、
「自分にもこんな時代があったなぁ」などと思いを馳せるのがこの時期の日課だ。
そんなある日のこと。
急に休みを取った同僚のフォローに回った結果、予定外に深夜までバイトするはめになった。
へとへとに疲れた俺は、自分の部屋に辿り着くなり着替えもそこそこにベッドへとぶっ倒れた。
部屋の明かりをつけたまま、窓も開けっ放しで……
「ねーねー、起きて起きて起きてー!早く起きてよー!」
ゆさゆさと強く身体を揺すられる。耳が痺れるような甲高い声が辺りに響く。
思わず布団の中に潜り込み、両手で耳をふさいでしまった。
「うるさいなぁ……疲れてるんだ、ゆっくり寝かせてくれ」
「あー!そうやって寝ちゃうんだー!
いいよいいよ、こうなったら実力行使しちゃうんだから!」
そう言うと声は遠ざかっていく。一瞬部屋に静寂が訪れた。
しかし、これでやっと寝られると油断したのがまずかった。
「食らえ、秘技スニークアタックぅ!」
「だあッ?!」
いきなり下半身がひんやりと涼しい夜の空気に晒された。
そして次の瞬間、生暖かい何かが俺の股間に覆いかぶさっていた。
思わず体が反応してしまう。やべぇ、すげー気持ちいい。
85:夏の虫
07/07/24 00:22:10 gLlV8jGj
「くっ……もう駄目だ、出るっ!」
「んんむ……んんんんんッ!んふ、んぐ、んん……」
がばと布団を跳ね除けて身体を起こし、慌てて枕もとから眼鏡を取ってかける。
熱心に肉棒にむしゃぶりついていたのは、ダークブラウンの髪にショートカットの小柄な女の子。
健康的に日焼けしたその体は、陸上競技の選手のように引き締まっている。
これでもうちょっと胸があれば……って、いだだだだっ?!
「んもう、ちょっと早いんじゃない?味は樹液みたいにとっても甘くて美味しいけど……」
「うっさい!今日は疲れてるって言ってんだろ!」
俺の精液をたっぷり時間をかけて嚥下した彼女が顔を上げたと同時に耳を引っ張られました。
上目遣いに膨れっ面。あまりの可愛らしさにもう俺はキュンキュン来たね。
……しかし冷静に考えてみると、どう考えても目の前にいるのは知らない子だ。
「おい、ところでお前は誰だ?もしかしてもしかしなくても不法侵入者?」
「私の名前はチイよ。でもね、そんなことどうだっていいじゃん。
……それにしても、出したばっかりなのに元気ね、それ」
「え?」
あっけらかんと言ってのけたチイの視線につられて下を見る。
さっき出したばかりのマイサンは、早くも復活の兆しを見せておりました。
恥ずかしくなって顔を上げると、チイと目が合う。彼女は俺を見てにんまり笑うと、
「じゃあ、今からあんたのこと犯すから。無駄な抵抗は止めておとなしく出しちゃえ♪」
とか抜かしやがりました。
「『出しちゃえ♪』じゃねー!ふ、ふざけんなよコラ、放しやがれ!」
じたばたと暴れる俺を意外に強い力で押さえつけるチイ。
そして俺の上に馬乗りになると、左手で肉棒を掴み、右手の指で割り開いた秘裂へと肉棒を沈めていった。
86:夏の虫
07/07/24 00:22:57 gLlV8jGj
「ふぁ……ん、もう根元までずっぽり入っちゃった。
どう、あたしのここ、気持ちいい?もちろん気持ちいいよね?」
「……ああ」
「じゃ、早速動くよー。えいえいっ!」
言うが早いか、上下左右に艶めかしく腰を使いだす。
膣内は焼けるように熱く、やわやわと包み込む感触はこれ以上ない快感となって伝わってくる。
そして、
「んっ!あん!あっ!いいっ!感じるっ、感じちゃうっ!」
じゅぷじゅぷと音を立てる結合部分を見せつけつつ、チイは辺りをはばからずに大声で喘ぐ。
あまりに淫らな様子に誘われるかのように、俺は下から腰を突き上げていた。
「それ、それっ、すごい、良すぎるっ!もうイく、イくっ!イっちゃうよぉっっっっ!!」
「うおおぉぉっ!?」
絶叫に近い大声をあげ、急激な締め付けと共にチイは絶頂へと達した。
同時に俺も二度目の射精をしてしまう。
勢いよく流し込まれた大量の精液が子宮口で逆流し、ついには結合部から溢れ出す。
その刺激が引き金を引いたのか、青い顔でチイが叫んだ。
「……ひっ!?だ、だめぇ!出るっ、出ちゃうよぉっ!」
何が?などと訊く間もなくちょろちょろと黄色く生暖かい液体がこぼれだした。
独特の鼻につんと来る匂いが辺りに充満する。
それが恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にして目を伏せ微動だにしないチイ。
しばらく沈黙の時間が流れた。気まずさに耐え切れなくなった俺は声をかけた。
「な、なんて言うか……別に気にしてないから」
「うん」
さっきまでの様子とは一転してか細い答えが返ってくる。力無い微笑みが浮かぶ。
ころころと面白いくらいに雰囲気の変わる子だ。
見ず知らずの彼女が愛おしくなってしまい、思わずぎゅっと抱きしめていた。
そして、耳元に口を近づけて秘密の話をするかのように囁く。
「それに、すげえ気持ちよかった」
「ありがと。……でも、これは何?」
「……すまん、お前の艶姿思い出したらまた元気になっちまった」
「んふ、じゃあじゃあ今から第二回戦に突入しよっか♪
ほらほら、行くぞー♪」
さっきからずっと繋がったままの下半身は本当に正直だ。
再度やわやわと締め付けはじめたチイの肉襞の感触を味わいながら、俺は官能の海へと溺れていく。
結局、俺達は肉欲の求めるままに夜通し何度も何度も互いの体を求め合った。
87:夏の虫
07/07/24 00:23:48 gLlV8jGj
ちゅん、ちゅん。
「……朝か」
スズメの鳴く声に目を覚ますと、もうすっかり朝だった。
周囲を見回してあちこち開けたり閉めたりしてみるが、どこにもチイの姿は見当たらない。
「やっぱ夢だったのかなぁ……。それにしちゃあ、やけに現実っぽい感触だったけどなぁ」
その時、不意に顔面にぶつかってくるものがあった。
「わぷっ」
足元にぽとりと落ちたのは、茶色い小さな蝉。確か名前はニイニイゼミだったか……。
はるか昔に昆虫図鑑で見たのを思い出して頬が緩む。
そのままじっと観察していると、何故か酔っ払ったようにふらふらと窓の方へ歩いていく。
「夜のうちに明かりにつられて迷い込んだのか?
……そういや昨日の子、お前みたいに騒がしい奴だったなぁ」
じいじいと騒がしく鳴きながら暴れる蝉の体を傷つけないように、
慎重にそして優しく摘んで窓へ行くと桟の上にそっと置いてやる。
蝉はしばらくそのままの姿勢だったが、突然飛び立つと鳴きながら外へと出て行った。
ご丁寧にも命の恩人の顔に小便を引っかけて。全く、なんて奴だ。
―そして、その日の深夜。
「よ、よくも今朝はあんな目に合わせてくれたわね!
罰として、今夜も実力行使させてもらうんだから!覚悟しなさいっ!」
バイトから帰るとチイが俺のベッドの上にいた。
思わず彼女に飛びつくと、さらに言葉を続けようとする彼女の口をキスで塞いで
ゆっくりとベッドに押し倒した。
どうやら今夜も長い夜になりそうだ。
―了―
88:名無しさん@ピンキー
07/07/24 00:25:43 gLlV8jGj
ネットの情報によると、ニイニイゼミの地方名にはチイチイというのがあるそうです。
89:名無しさん@ピンキー
07/07/24 02:03:40 jkoV87FC
>>88
GJ!なんてかわいい蝉なんだw
ちょっと展開が早いような気もした&あまり強引じゃないけどチィの元気さには合ってるかもね。
今年の夏は蝉=お漏らしプレイを連想しそうだw
90:名無しさん@ピンキー
07/07/24 08:01:54 QhJZMyNi
鳴くセミはオスだからつまりこれはうほっ
91:57
07/07/24 10:25:16 +mMuMhRa
>>88
GJ!!
まさか俺の妄想を具現化してくれるなんて……
その上書くのを忘れてたお漏らし属性まで付けてくれるなんてw
恐ろしい子っっ!!!
92:名無しさん@ピンキー
07/07/24 10:40:04 v8Sib6Re
>>90
アッー!
それは気付いても言ってはいけないだろ・・・常識的(ry
93:名無しさん@ピンキー
07/07/24 12:45:28 P4x7L9D9
元がオスでも擬人化したら女の子になるのが
古からのお約束ってヤツなんだぜ?
94:名無しさん@ピンキー
07/07/24 14:32:46 W5G5dSqw
>>93
それなんてシモンty(ry
95:HYO-G feat.SR
07/07/24 20:32:25 mOCmLXWh
㍉㍍㌢㌧㌢㌧
96:名無しさん@ピンキー
07/07/24 21:03:30 hD8tLw04
オケラはメスも鳴くらしい
97:名無しさん@ピンキー
07/07/24 22:01:24 XZfA3Wr1
盲目の土竜少女とか…いや土竜幼女でお願い。
98:名無しさん@ピンキー
07/07/25 10:38:12 vsezW9D8
このスレに頻繁に来るようになってから、
少しずつ動物の生態に詳しくなっていく俺がいる
ところで>>94シモンty(ryって何?
99:名無しさん@ピンキー
07/07/25 10:50:22 6mmbDiUX
>>98
URLリンク(www.city.shimotsuma.lg.jp)
角煮のシモンちゃんスレは落ちたっぽいな。
100:名無しさん@ピンキー
07/07/25 12:32:51 vsezW9D8
>>99
ありがとう
このスレ向きのマスコットキャラだなw
101:名無しさん@ピンキー
07/07/26 16:24:52 Qgp2ItkI
このスレならではのプレイってどんなのがある?
尾コキ、手コキ with 肉級、尻尾逆フェラ、尻尾を挿入 with アッー!、
痛みを与えながら(爪等で傷をつけながら)攻める、孕ませ(孕ませられ?)、牛娘母乳プレイ、魚娘産卵プレイ、鳥娘の空中プレイ
集団逆レイプ
他になにかある?
102:名無しさん@ピンキー
07/07/26 17:39:53 xO9bFhJK
直腸舌舐めプレイとか尿道攻めとか?
103:名無しさん@ピンキー
07/07/26 18:04:35 Mf80mnqs
>>102
ほぅ、蛙娘かカメレオン娘だな
104:名無しさん@ピンキー
07/07/26 18:12:20 i3s6IRwD
そしてまた新たなブームが……
105:ポン
07/07/26 18:29:51 quuYbgJp
前に言っていた地雷犬Another Storyです
『Am Tag des Regens im Mai~子犬とワルツをベルリンで』
1945年4月、南下するソ連軍にくわえ連合軍のノルマンディ上陸を許したドイツ軍は次第に劣勢に追い込まれ、
首都ベルリンまでソ連軍が迫った今、ドイツ降伏は時間の問題となっていた。
1945年4月29日午後9時:ドイツ第三帝国首都 ベルリン:天気・曇り
満天の夜空が落ちる中、ドイツ第三帝国の首都であるベルリンはかつての優雅な街並みをどこかに置き去りにしてきたように、
瓦礫に包まれたゴーストタウンと化しつつあった。
「おい、ハンス」
廃墟と化した地下鉄駅の階段にしゃがれた声が響く。ハンス=カウフマン伍長が振り向くと、そこにはハンスと同じ陸軍の制服を着た壮年の男が立っていた。
「ほら、コーヒーだ」そういって男は熱いコーヒーの入ったブリキのカップを階段の途中に置く。
「ありがとうございます、クラウス軍曹」
そのままヨゼフ=クラウス軍曹はハンスの横にどっかりと腰を下ろした。とても徴兵によって引っ張られてきたとは思えない、軍人のような
がっしりとした体が顔をのぞかせた。
実際に先の大戦でアルデンヌの前線を潜り抜けてきたという話もあるが、本人曰く『生き残ったって言うより前線出て3日で毒ガスでやられて、
そのまま終戦まで野戦病院たらい回しだった』らしい。
「…………さっき偵察機が見たらしいが、次の戦闘で久しぶりにコミー共が地雷犬を出してくると」
「……そうですか」ハンスの顔に陰りが見える。
地雷犬。それは全ての意味で最悪の兵器だった。獣人に爆弾を括り付けて戦車に突撃させ、敵戦車と共に敵の士気さえもいっぺんに殺ぐ兵器。
「ハンス……地雷犬が出るってコトはお前の出番ってことだ」
「そう言われてもあまりいい気分はしないですね」
「戦場なんてそんなもんだ」
クラウス曹長は階段の中ほどに放置されたハンスの武器、もう一つの最悪の兵器――火炎放射器を見た。
長年使い込んだ事でタンクがところどころかすれ、放射口の先端が欠けて無くなりかけており、それはこの火炎放射器とハンスの戦歴を物語っていた。
「いつ終わるんでしょうかね、この戦争」
もう夜も深いと言うのに、あちこちで舞い上がった炎のせいでベルリンは煌々としていた。
106:ポン
07/07/26 18:30:40 quuYbgJp
1945年4月29日午後9時:ソヴィエト軍ベルリン侵攻前線基地:天気・雨
「ふむ……向こうの大隊はよくやっているようだな」雨音の中即席で作られた見張りやぐらの上で、アレイシア=ライカ中尉は双眼鏡から眼を離した。
ベルリン陥落は時間の問題。とでも力強く物語るようにベルリンからは行く筋もの炎が舞い上がり、それは20km以上も離れたここからでも確認できるほどだった。
「これでは、要請した増援もあまり必要がないな」彼女は先日、先行の部隊がドイツ軍戦車隊の抵抗が激しいと言うので本国に要請していた増援のこと
を思い出していた。
だが、抵抗も徐々に規模が小さくなってきている。ここまでくれば陥落はすぐに……それこそあと一週間、そのくらいで落ちるだろう。
そう思いながらライカ中尉はキャンバス地が張られた見張りやぐらを降り、自分の天蓋へと戻る。途中、雨が激しくなってきたので軍帽を深く被りなおした。
と、やっつけ作業で作られた掘っ立て小屋のような格納庫の前を通ったときだった。
「中尉~」
雨に混じって聞こえた小鳥のような声にライカ中尉は振り返る。
そこには、犬の獣人である少女が色の薄い金髪とボロ布のようなシャツを雨に濡らし、ずぶ濡れの状態で立っていた。
「こんばんわ」
「こんなとこで何やってる?Z-09」
Z-09と呼ばれた犬耳の少女は、にはは。と可愛らしく笑う。
「雨が気持ちよかったんで外でたんですよ」
それを聞いてライカ中尉は呆れた、とばかりにため息をつく。
「風邪を引くからすぐに宿舎に戻れ」
「ダイジョウブですよ」
まあ、いいか。と中尉は再び足を進める。
その後ろでぴちゃぴちゃと雨の中で遊ぶ音がいつまでも響いていた。
ベルリンへの総攻撃は明日、それまでには雨も止んでいるといい。と考えながら、ライカ中尉は帽子をはずした。
そこには、Z-09と同じ犬耳があった。
あのバカ娘のせいだ。と思いつつ、何故かすがすがしい気持ちになっていたのは、久々に雨に打たれたからだろう。自分でも気づかないうちに
鼻歌を歌いながらライカ中尉は基地内を歩いていった。
107:ポン
07/07/26 18:32:50 quuYbgJp
1945年4月30日午前11時:ドイツ第三帝国首都 ベルリン:天気・雨
前日の夜から振り出した雨に、重い火炎放射器を装備したハンスはうたれていた。
目の前には昨日より腫れぼったく思える灰色の瓦礫と空家が並ぶ通りの真ん中、地下鉄駅の残骸の脇にひと筋の希望とでも言うべきくたびれた鉄の巨獣が腰を下ろしている。
Ⅳ号戦車J型。どこかの戦車小隊が逃亡した際に捨てていったドイツ陸軍の主力戦車だ。
さすがにKVシリーズ(ソヴィエト軍の重戦車)は無理だが、T-34(同軍の主力中戦車)程度や軽装甲車。それに歩兵なら簡単に撃破できる。
ハンスはこれを地雷犬から守るために、戦車の前で地雷犬を追い払う役だ。本当なら歩兵用の火炎放射器などではなく、戦車に車載型の火炎放射器を積む所なのだが
あいにく劣勢も劣勢のドイツ軍にそんな余裕はない。
雨のせいか、いつも立ち昇っている埃と煙の匂いが、この日だけはなりを潜めていた。
「ハンス兵長。やっこさん、来たぞ」戦車の車長が声を上げた。
「そうですか」ハンスは火炎放射器を構える。
ここにベルリンを巡る最後の戦いの、一つの戦闘がここに幕を開けた。
瓦礫まみれになった通りの奥から、ソヴィエト軍が突撃してくる。
その数は目測で60人ほど。戦車や装甲車は無く、先頭に爆弾の入ったチョッキを来た犬の獣人――地雷犬、その後ろにバラライカ(PPshマシンピストル)を持った歩兵。
「弾種榴弾、距離500、フォイエル(発射)!」
車長が軍勢の真ん中に照準を合わせてそう叫んだ次の瞬間、轟音と爆風と共に戦車の砲弾が発射され、軍勢の真ん中に榴弾が打ち込まれ、多くの兵士や地雷犬がその破片で吹き飛ぶ。
だが、奴らは突撃をやめない。
「第二弾、フォイエル(発射)!」
再び轟音と爆風が通りに広がり渡り、何人もの兵や地雷犬が吹き飛ぶ。
さらに通りの廃墟と化した建物群の窓々や陰から機関銃やマシンピストルの乾いた断続的な銃声が響きだし、やはり多数の肉片が飛び散った。
そのうち、戦車に恐れをなした兵士達は前進を躊躇い後退、もしくは躊躇の隙を突かれて射殺されるが、それでも地雷犬の突撃は止まらず、いつの間にか彼女達は戦車の近くまで迫っている。
着火装置に手をかける。途端、放射口から炎が小さく噴出した。
「アーメン……」
そう小さく呟くとハンスは放射口を彼女たちに向け、引鉄を引く。
次の瞬間、放射口からは暴力的なまでに紅く、猛った炎が放射され、地雷犬の群れを焼いていった。
燃料が正規のゲル化ガソリンではなく重油カスのため粘性が低いが、すぐに消えないことは同じであり、
彼女たちのチョッキや皮膚の上で轟々と踊り狂う炎は彼女たちの体を焼き、生きるための酸素を奪ってゆく。
さらにはチョッキの中の爆薬に引火し、爆発が後続の地雷犬の命すらも奪ってゆく。
振り続く雨も重油によって燃え盛る炎をすぐに消せるほどの力はなく、ただ地雷犬の悲鳴を和らげて行くだけだった。
その炎の暴力の中でハンスは一人、慣れた手付きで次から次へと地雷犬を焼き払っていった。
幾度も悪あがきのように前から飛んでくるバラライカの弾丸が体をかすめたが、弾丸の有効射程外から撃たれたトカレフ弾で引火するほど火炎放射器はやわではないし、
戦車を盾に取ればそれほど怖くもない。
それどころか逆に地雷犬たちは暴炎に恐れをなして逃げてゆき、隠蔽された機関銃に次々と撃たれ、爆発に巻き込まれながら一匹、また一匹と果てていった。
だが……
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
一匹の地雷犬がしなやかな動きで火炎の帯をくぐり抜け、ハンスの間近へと迫っていった。
「畜生!」ハンスは火炎放射器を素早くその地雷犬に向け、引鉄を引く。放たれた炎は地雷犬に届いたと同時に燃料が表皮に染み込み、彼女の白い肌の上で舞い踊る。
「ぁぁぁぁぁっ!」
しかし、彼女はそれでも前進を止めなかった。
それどころか、炎をもろともせずにその地雷犬はハンスに飛びついた。
「……ッ!」
ハンスは引鉄を引こうとしたが、その間も無く地雷犬に大きくつき飛ばされ、ぽっかりと口をあけた地下鉄駅の残骸の中へと落ちてゆく。
そのまま幾度も壁や床に叩きつけられ、激痛のせいで薄れゆく意識の中でハンスは雨の感触と何かが爆発する音と、それ以外の轟音を聞いたのだった。
108:名無しさん@ピンキー
07/07/26 19:30:36 GQ503dqI
>>107
ミリタリー好きな俺にとってはGJ!だがこぇぇ…プライベートライアンの冒頭並だ。
表現が生々しいのは意見が分かれるかもしれんね。俺は好きだが。
Z-09がどう見ても観鈴ちん(ry
確かくまさんも地雷犬書いてなかった?
109:名無しさん@ピンキー
07/07/26 20:13:45 gM35l1se
ここまで来ると戦記物スレかエロくないスレの範疇じゃね?
シビアな世界書ける俺SUGEEEEEて人が行く所はどこにもないけど。
110:名無しさん@ピンキー
07/07/26 20:52:38 XvYllnGX
このスレみたいな小説置いてるサイトがほとんどないから困る
111:名無しさん@ピンキー
07/07/26 21:18:22 ErRAGiXu
>>109
まだ導入部だし。
と言うかこの程度なら、戦史を多少齧った人間からすると、当たり前すぎて困る。
まぁ当たり前ゆえに、エロエッセンスとしてはかなり刺激的に思うぞ。
正直期待。
112:名無しさん@ピンキー
07/07/26 21:19:32 iA5WvLtv
え、これ前半部分でしょ?
後半部分ではハンスとZ-09がくんずほぐれつして子犬こさえるんでしょうに。
113:名無しさん@ピンキー
07/07/26 22:34:22 nhl58JGR
WWⅡの第三帝国軍の話を見る度に、どうして人外魔境のドイツが負けたのか疑問に思う。
ルーデル、ハルトマン、ガーデルマン、バルクホルン……
超人だらけだったのに。
114:名無しさん@ピンキー
07/07/26 22:59:44 QVqXQqyC
超人は凡人に負けるさだめなの!
115:名無しさん@ピンキー
07/07/26 23:26:52 JIofgmee
孤高の超人は凡人の集団に負ける。
兵が悲壮な努力をしたところで、将の失策を取り返せるものでもないし。
116:名無しさん@ピンキー
07/07/27 00:05:04 iX7AzHfc
ヒント:イタリア抜き
117:名無しさん@ピンキー
07/07/27 02:48:03 cRd62feq
ええと…戦略級の失敗は戦術では取り返せないだったか?
118:名無しさん@ピンキー
07/07/27 02:49:52 KVlCmpgR
>>116
ヘタリアは少人数だと結構強いみたいだけどね。
大人数だとヘタレな国。
「女の為ならともかく、国の為になんか死ねるか!!」
と言ったらしいし。
「飯が美味い国は戦争で負ける」って結構当てはまるな。
日独伊は言わずもがなだけど、中近東やアジア各国、アフリカ、南米、フランス、スペインとか。
アジアや南米、アフリカは欧米列強に植民地にされたし、フランス、スペインはWWⅡでは一応戦勝国側だったけど、フランスはノルマンディー取られてるし、あまり目立った戦績は聞かないし。
唯一の例外はロシアか?
119:名無しさん@ピンキー
07/07/27 06:32:03 agHnXGVV
>「女の為ならともかく、国の為になんか死ねるか!!」
感動した!
120:名無しさん@ピンキー
07/07/27 09:45:05 4mRHD9td
>>119
さすがイタリア!!
女の為なら俺たちに想像だにしない事を軽々と言ってのける!
そこに痺れる憧れる!!!
121:名無しさん@ピンキー
07/07/27 10:06:45 mlcY0elw
ところでそれらの薀蓄はこのスレにあった話なのか?
鼻の穴広げてミリネタ開陳とか正直見てらんない。
それが楽しいのは俺も判るが正直痛い月厨を見てる月儲の気分だ。
122:名無しさん@ピンキー
07/07/27 10:46:18 1aahPcR/
サナダムシ娘による体内徘徊プレイ
123:名無しさん@ピンキー
07/07/27 10:56:04 I1Y/ItNW
>>122
頑張って書いてくれや
124:名無しさん@ピンキー
07/07/27 12:06:44 2gtqDOxu
そういえばくまさんの作品にもハンスがいたなぁ…
125:名無しさん@ピンキー
07/07/27 12:50:50 fm/m06mU
>>124
狙撃兵の話だっけ?
あれは終わり方が俺好みだ。相変わらず切ないけど orz
126:名無しさん@ピンキー
07/07/27 12:58:28 BuvwiYTY
ここってミリタリネタの方がいいんじゃないかと思う時がある。
127:名無しさん@ピンキー
07/07/27 13:13:07 G2YuvBoT
そういえば虚乳少佐の名前もライカだったな
ああ同一人物か・・・
128:名無しさん@ピンキー
07/07/27 20:57:12 cFTIDYAt
女のために命を懸けた結果逆レイプされるというのか。
最高の展開じゃないか。
129:名無しさん@ピンキー
07/07/27 21:48:56 X2DONgWW
>>118
スペインが枢軸国に加わらずに中立だった訳は?
URLリンク(yasai.2ch.net)
ドイツは過去の戦争責任を深く反省している
スレリンク(whis板:215-315番)
スイス(中立だがドイツ寄り)、スペイン(中立だがドイツ寄り) 北欧諸国全部とリトアニア、エストニア、チェコとかがドイツの同盟・協力国になるぞ。 フランスのヴィシー政権は親独政権なのは説明不要だろう。
上のようにスペインは中立国で連合国に加わっていない。
130:名無しさん@ピンキー
07/07/27 22:02:01 zTaqAT64
あのさ、板違いなんだよねいい加減
131:SA
07/07/27 22:15:41 N4wEdELx
うがぁ、夏風邪からやっと復帰ぢばぢだぁ!!!
復帰しなくて良いです、なんて言わないで下さいね;
>>105~>>107
GJです。
地下と聞いて、真っ暗の中であんあんっていうのを勝手に想像してしまいました。
後半に期待してますー!!
放置中だった蝙蝠娘ですが、前半部分だけでもこの土・日で投下したいと思います。
流れに乗れば、後半部分も投下できると思います。
SA頑張りますです。
132:名無しさん@ピンキー
07/07/28 10:06:37 tfpykWD9
くまさんとかポンさんとかお話は面白いけどこういうキチガイが湧くのがなあ…
133:名無しさん@ピンキー
07/07/28 11:00:06 P/yeOmpl
>>131
報告乙!
このSA、実にノリノリであるw
134:名無しさん@ピンキー
07/07/28 16:59:44 xDhP7vPu
>>132
夏だしね…。
くまさんの時も言われたけど、ミリネタもほどほどにな。
135:名無しさん@ピンキー
07/07/28 17:32:53 say1PSom
くまさん・・・マダー?
136:SA
07/07/28 17:43:22 x7yI3JtS
蝙蝠娘です。
出血シーンがありますので、苦手な方はご注意下さいませ。
前半部分の投下です。
137:SA/Bloody Maze
07/07/28 17:43:57 x7yI3JtS
八月。
それは一年の中で最も暑い月。
けたたましく鳴く蝉と、ギラギラと照りつける太陽がそれを克明に示している。
そんな中で俺はクーラーをガンガンに効かせ、家の中でゴロゴロゴロゴロ。
今日、温暖化問題で悩まされているこの地球にとっては悪しき行為なんだろうが、この暑さには流石に耐えられないんだ。許してくれ、地球よ。
しかし、いくら夏休みだとは言え、こんな自堕落な生活を死んだじいちゃんに見られたら、蹴っ飛ばされて喝を入れられそうだ。
っと、俺は妹尾 真夜(せのお しんや)。地元の高校に通う極普通(だと自分では思っている)の高校二年生。
俺には、大きなコンプレックスがある。
それは、身長。高校二年生で、しかも男子なのに155cmしかない。せめて、175cmは欲しかったのに……。何処へ消えた、俺の20cm……!
そして、その低い身長に加えて、更に女顔。本当にやってられない。
体格と顔のこともあって俺は学校で「まや」とか「まやちゃん」とか。とにかく、マシな呼ばれ方をされていない。
しかも、俺の名字に「妹」という漢字が使われていることもあって、遂には「まやタソ」にまで発展した。
「妹」で思い出したが、俺には中学二年生の妹がいる。名前は妹尾 亜美(せのお あみ)。
中学生と言えば微妙な年頃だが、真っ直ぐでとても優しい妹だ。
だが、この妹。身長がなんと170cmもある。中学二年生で、しかも女子で、だ。普通ならまず有り得ないが、その有り得ない奇跡をこの妹は起こしたのだ。
俺と亜美の身長差は15cmもあるから、会話をする時、必然的に俺は亜美を見上げる格好になる。だから、外ではしょっちゅう姉と弟に間違えられるわけだ。
この間も二人で買い物に行ったら、店員がにこにこ笑いながら、ごきょうだいですか、って聞いてきた。
多分、『兄妹』ではなく『姉弟』の方だと思ったんだろう。いや、絶対そうだ。
もっと酷い時なんか、仲の良い姉妹ですね、って言ってきた店員もいた。もうその時、俺は怒りなんか通り越して哀しさを覚えた。
きっと、俺が失った20cmは妹が全て吸収したんだ。そうに違いない。
でも、だからと言って俺は別に亜美を恨んでなんかいない。
というより、小さい俺が喧嘩を吹っ掛けたところで敵うはずもないし、それに亜美は怒るとめちゃめちゃ怖い。
一度だけ、本気で怒った亜美を見たことがあるが、あれは本当にやばかった。普段の優しい亜美からは想像もつかない程の激昂だった。
うぅ、思い出したら鳥肌がたってきた……。
これ以上、身長のことについて話すと、鬱で死ねるからもうおしまい。
それよりも、この暑さをどうにかして欲しい。外ではゆらゆらと蜃気楼が起きて、道行く人もハンカチを手放せずにいるみたいだ。
俺が部屋に置いてあるペットボトルの麦茶に口をつけた瞬間、部屋のドアが開いて亜美がひょっこりと顔を出した。
「お兄ちゃーん。明日、山登りに行くってー!」
俺は亜美のその言葉に口に含んでいた麦茶を盛大に噴き出した。
「や、山登りぃ!?海じゃなくて!?」
「うん、山登り。皆で行くんだよー」
「え゛ぇ゛ーーー!!」
「お兄ちゃんも一緒に行くよねぇ?」
「(ビクリ……!)あ、あぁ、もちろん行くよ!」
「やった♪じゃあ、お父さん達に二人とも行くって言ってくるねー!」
嬉しそうに部屋を出て行く妹の背中を見ながら、俺は溜め息を吐いた。
あれは、一緒に行こうっていうお願いじゃなくて、一緒に行かないと殺るよっていう脅迫だったな。
もし、あの時、行かないって言ってたら……想像もしたくない。
ということで、妹尾一家は夏に山登りに行くという奇行をすることになった。
138:SA/Bloody Maze
07/07/28 17:44:56 x7yI3JtS
ある程度は予測していたが、やっぱり車の中は暇だ。
運転席に座っている父さんと助手席に座っている母さんは話し込んでいて、それなりに盛り上がっているようだ。
後部座席に座っている俺達は亜美の提案でしりとりをして時間を潰すことになった。
しりとりにおいて、とある亜美の必殺技が存在する、それは、『る』攻め。その名の通り、語尾が『る』で終わる言葉で攻めてくる亜美の得意戦法だ。
この戦法でいつも負けてしまうのだが、今日の俺は一味違う。とっておきのカウンター技を用意してきたのだ。
「じゃあ、俺から。しりとり」
「りか」
あれ、おかしいな。いつもなら『リール』で返してくるのに。
今日は『る』攻めを使わずに普通にやるつもりなのか?折角、用意したカウンター技がぁ……。
「からす」
「すまた」
「な……!?」
い、今、何て!?俺の聞き間違いか!?
そ、そうだ、きっと聞き間違いだ。亜美がそんなこと言うわけがない。
「『な』じゃなくて『た』だよ。早く早くー」
「わ、分かってるよ。たんぼ」
「うーん、ぼっき!」
「ぶ……!」
今度こそ聞き間違いじゃないぞ!?今、確かに亜美は……!
「んー、お兄ちゃんパスー?じゃあ、あたしの番ね。きとう」
「今日は淫語攻めかぁーーー!!」
そんな淫語しりとり(俺はしてないぞ)をしていると、いつの間にか俺達は目的地の山に辿り着いていた。
外に出た瞬間、もわっとした外気が肌に触れ、汗が噴き出る。俺はその汗を持って来たタオルで拭くが、次々と汗が滴り落ちてきてきりがない。
「あぢぃぃぃ……」
山登りを始めて僅か三十分。暑さのせいで既に俺の体力は限界に達していた。
「もう、お兄ちゃん体力無さ過ぎだよ。お父さんとお母さん、もうあんなに上まで登っちゃってるよー?」
先に登る亜美の方を見上げると、ずっと遠くに父さんと母さんの姿があった。二人共、とても四十代とは思えない体力だ。
そもそも、何でこんな暑い中で山登りなんだ。夏って言ったら、海だと思うのは俺だけではないはずだ。
父さん曰く、高く伸びた木々が直射日光を防いでくれて、時折、樹間から吹く風が最高に気持ち良いらしい。
残念ながら、直射日光はガンガン当たるし、樹間から吹く風とやらも全く感じない。単に俺が鈍感なだけか。
そんなことを考えながら、ふらふらよろよろと歩く俺を心配して、亜美が俺の背後に回って後ろから押してくれる。
「ほら、押してあげるからちゃんと歩いて!」
亜美のお蔭でだいぶ楽になったが、それでも時間が経つにつれて次第と足は重くなり、歩幅も狭くなる。
やがて、ぐいぐいと背中に加わる亜美の力が俺の前進する力を超え、俺はバランスを崩した。
何とか体勢を立て直そうとしたが、運悪く小石を踏んでしまい、遂に俺は全体重を後ろにいる亜美にかけることになってしまった。
「や、やべっ……!」
「え?ちょ、ちょっと、お兄ちゃん!?」
俺は成す術も無く後ろに倒れ込み、それを支えようと踏ん張っていた亜美もバランスを崩し、後ろに倒れ込んだ。
だが、いつまで経っても地面にぶつかる衝撃は訪れず、一瞬、俺の耳元で風が空を切った。
「え……?」
下を見ると、そこには徐々に迫ってくる木々が。つまり、これは俺達が落ちていることを意味している。
このままではまずい。俺はそう思い、腰に回してある亜美の手を緩め、そのまま反対方向を向く。
そして、自分の胸に亜美の頭部が来るように抱き抱え、そのまま両目をぎゅっと閉じた。
「お兄ちゃん!?」
「だ、大丈夫だ……!目、瞑っとけ!」
「う、うん……」
自分よりも身体が大きい人を抱き抱えるのは不自然だが、それでも俺は亜美の頭部だけは守ろうと必死だった。
そして、俺はやがて訪れるであろう鋭い痛みを覚悟しながら、いつの間にか意識を失っていた。
139:SA/Bloody Maze
07/07/28 17:45:32 x7yI3JtS
俺は右足に襲い掛かる鋭い痛みで目を覚ました。どうやら、意識を失っていたらしい。
人間は落下して地面に激突する寸前に意識を失う、と何処かで得た知識だったが、それは本当だったようだ。
しかし、あの高さから落ちて生きていられるとは本当に奇跡だ。恐らく、樹がクッション代わりになったんだろうが、それでも奇跡と呼んでおかしくはない。
ふと、傍らにいる亜美の方を見る。掠り傷を負っているが、大きな外傷は見られない。俺は安心して、亜美を起こそうと身体を揺するが、一向に目を覚まさない。
「亜美……?亜美!?」
亜美の口元に耳を当てる。どうやら、息はあるようだ。だが、何処か身体の内部を傷つけてしまったのかもしれない。
とりあえず、ここにいても仕方が無いし、亜美のことも心配なので立ち上がろうと足に力を入れた瞬間、さっき俺を襲った鋭い痛みが再び蘇った。
そして、辺りに充満する血の臭い。何か嫌な予感がする。少なくとも亜美からではないことは確かだが。
俺は痛みがする右の太股に恐る恐る目をやると、直径1cmくらいの枝が俺の太股を貫通していた。
傷口からは、だらだらと大量の血が流れて地面を奇妙な色に変色させている。このまま放置すれば、俺は間違いなく出血多量で死ぬだろう。
まずは、とりあえず、止血をしなければならない。
俺は持っていたタオルと辺りに転がっていた枝を使って止血をした。これで何とか出血多量は免れたが、まだ一つ問題がある。
人間の身体には傷口を塞ごうとする治癒能力が備わっている為、長時間この枝を突き刺したままにすれば、傷口の周りの筋肉が硬くなって一生抜けなくなる恐れがあるのだ。
つまり、俺は自分自身の手でこの突き刺さった枝を抜かなければならないのだ。
他人に抜いてもらうのならばともかく、自分で抜くのは精神的に相当なダメージになるだろう。
だが、状況が状況だから、そんな悠長なことも言ってられない。
俺は持っていた登山用リュックからもう一枚のタオルと綺麗に洗濯された予備のティーシャツを取り出す。
タオルを口に咥え、歯を食いしばり、両目をぎゅっと閉じる。そして、一つ大きな息を吸って一気に手前に引き抜いた。
「んぐぅぅぅぅぅぅぅ!?」
予想していたものを遥かに越える激痛が襲い掛かり、俺は涙をぼろぼと零しながら意識が飛びそうになるのを必死で堪えた。
枝を全て引き抜くと、傷口からまた大量の血が溢れ出した。いくら止血をしているとはいえ、突き刺さっていたものを引き抜いたんだ。無理もない。
俺は用意していたティーシャツを半分に破り、両方の傷口に当て、咥えていたタオルで強く縛った。
これで応急処置は完了したが、これからまた歩かなければならないことを考えると、ずんと肩が重くなる。
暫く何もしないでぼーっとしていたが、やがて、ゆっくりと立ち上がり、意識を失っている亜美を背負って太股の痛みに耐えながら歩き出した。
突き刺さっていた枝を引き抜いたことによる痛みと精神的ダメージで疲労感が募り、俺の足取りは全くおぼつかなくなる。
亜美を背負う力も少しずつ抜け、途中から引き摺る格好になってしまう。そんな俺に追い討ちをかけるように、少しずつ雨が降り出した。
さっきまであんなに晴れていたのに……。山の天気は変わりやすいというのは本当なんだと改めて実感する。
ぽちょぽちょと振っていた雨だったが、それも本降りになり、更には雷まで鳴り出した。
俺はずぶ濡れになりながら、それでも一歩ずつ一歩ずつ前進し続けた。
疲労もいよいよピークに達し、半ば諦めかけたその時。目の前に大きな建物があることに俺は気付く。段々、近付いていく内にそれは大きな屋敷だと分かった。
こんな山奥に屋敷が建っているのも不自然だと思ったが、何よりも亜美の身を案じて俺は最後の力を振り絞ってそこまで辿り着き、ドアを力強く叩く。
何度か叩いていると、ドアが開き、中から人が現れた。
「すみません、助けてくだ……」
最後まで言えず、俺は遂にその場に倒れ込んだ。
「きゃっ!?だ、大丈夫ですか!?」
女の人の声を聞きながら、俺は意識を失った。
この屋敷が俺達の人生を大きく変えることになるのは、もう少し後のことである。
140:SA
07/07/28 17:48:14 x7yI3JtS
おかしい部分(応急処置辺り)があるかもしれません;
見つけたら、ご指摘下さい。
後半部分は必死こいて書いて深夜辺りに投下出来れば良いなぁ、と思ってますー。
141:名無しさん@ピンキー
07/07/28 23:31:48 4N+AX9kO
万一投下前に圧縮落ちしたら洒落にならん。
142:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 08:20:46 Hq0NI99i
このスレで軍事ネタを書き始めたのはくまさんが最初?
自衛隊の生活ネタは面白いからどんどん書いてほしいよ。
143:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 10:10:14 QyHppu0W
分からん人や興味ない人もいるから程々に。
軍事ものじゃなきゃダメなんて流れになったら嫌だし
144:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 10:33:28 Hq0NI99i
シチュエーションとしてのミリタリーはいいけど、それがメインにならないように!ってことか。
145:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 12:48:03 NyvW5R2e
くまさん、犬娘の3と5にタイトルつけてほしいな
146:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 13:34:39 QyHppu0W
もうくまさん専用のまとめサイトとか作っちまえば?
147:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 13:37:24 QyHppu0W
書き忘れ
くまさんマダー?ってレスをよく見る限り一番人気なんだろ?
148:名無しさん@ピンキー
07/07/29 13:50:09 8zJbr+I4
かえってまずいだろwなんだそれ
あと、俺の中の一番人気は百歩蛇!
149:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 14:06:34 Hq0NI99i
くまさんマダー?はこのスレでの「保守」みたいなもんだろw
150:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 15:05:43 f47SrXgN
狐氏とかマダー?
151:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 18:14:41 vGGK7mQE
俺は通りすがり氏の三毛猫娘の話が好きだ。読み終わった後何故だかすごく安心した。
152:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 19:43:52 QyHppu0W
1番じゃないけど幼なじみの狼、風美ってやつがいいと思った。逆レじゃないけど…
153:名無しさん@ピンキー
07/07/29 22:07:46 /KDHzJNW
俺的には刹那ちゃんだな
動物は猫が一番好きけど刹那ちゃんだけは例外
154:名無しさん@ピンキー
07/07/29 22:44:48 RvA1n1Y1
くま氏のホロりと来るストリーも好きだしゲーパロ氏の作る世界観も好きだけど
一番は通りすがり氏かな?あの暴走しまくりのキャラ最高!
擬人化だったらおっぱい大好きなんで牛のモモコとヤドカリ様。
155:名無しさん@ピンキー
07/07/29 22:49:45 +DahglFD
モモコは可愛いかったな、確かに。
紅狼さんが一番好きだがw
156:名無しさん@ピンキー
07/07/29 23:43:24 NyvW5R2eO
>>148
俺は鰐淵先輩
最近ゲーパロ氏忙しいみたいでサイトの更新もままならんよう
いつかまた降臨して頂きたいもんだ
157:名無しさん@ピンキー
07/07/30 00:06:36 tbBh7JLu
四聖獣ズ
が好きなのは俺だけでいい
158:名無しさん@ピンキー
07/07/30 00:20:04 Soj/LpdB
そうだな。
お前だけでも良い。
159:名無しさん@ピンキー
07/07/30 00:20:51 Soj/LpdB
途中で送信した……orz
だから、変わりに俺は蛇神様達を貰っていくぞ。
160:名無しさん@ピンキー
07/07/30 00:54:46 bQia3zy9
脇から華麗に犬の太郎ちゃんを戴いていく。
161:名無しさん@ピンキー
07/07/30 02:27:14 /ClSGTlE
>156 よう俺
あと、最初の狼娘とかな
162:名無しさん@ピンキー
07/07/30 02:55:57 hMx1618R
俺自身、「好きな作家」という表現は避けてるんだが、このスレに投下された作家さんたちはたいがい「好きな作家」って言える。
書く人氏、ゲーパロ氏、BIG BOSS、くまさん、etc etc...
「好きな作家」という表現を避けるのは、その作家さんのごく一部しか知らないのに、その人の全てを知ってるかのような口振りは出来ないから。
最近だと、漫画家の水上悟志と佐藤ショウジがそうだった。
水上は読み切りも連載も全部読んで全部好きだったから好きな作家と言えるけど、ショウジの場合は代原漫画が好きなのであって連載漫画はそれほどじゃなかった。
つまりはそういう事。
俺はこのスレの黎明期から見てるけど、本当に良スレに育ったよ。
特に荒れる事も無く、寂れる事も無く、暖かなスレになった。
いつかの仮面ライダーだけ無いのはちょっと寂しいけど、こんな限定的なシチュスレが賑わってくれて、小父さん嬉しいよ。
163:SA
07/07/30 03:52:39 +jV/RaUc
真夜中(深夜)の投下です。
蝙蝠娘の後半ですー
164:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:53:48 +jV/RaUc
目を覚ますと、俺は大きなベッドの上に寝かされていた。
一体どのくらい眠っていたのだろうか。
窓から外の景色を見てみると、相変わらずの大雨だ。時折、大きな音を立てて雷が鳴り、薄明かりの部屋を一瞬だけ明るくする。
辺りを見渡すと、何処か西洋風の雰囲気を漂わせる置き物がいくつも並べられていることに気付いた。
世の中にはこういった置き物(骨董品と言ったか)を集める人もいるらしいから、この屋敷の主もその類なのだろうか。
とりあえず、助けてもらったお礼をしなければならないので、俺はまだ少しだけおぼつかない足取りで部屋を後にした。
廊下にも様々な西洋風の骨董品が置いてある。中でも俺の目を引いたのは、獅子の顔をかたどった燭台だった。
今更だが、この屋敷の明かりには電気ではなく蝋燭の火を用いているようだ。しかし、これだけ広いと火の管理も大変そうだ。
そんなことを考えながらきょろきょろして歩いていると、階下に続く階段を見つけた。俺は素直にそれを降りて行く。
歩く度に襲い掛かっていた右足の痛みも、既にほとんど消えていた。これもこの屋敷の主が手当てしてくれたのだろうか。
一番下まで降りて、また暫く歩いていると、とても長い机とやけに背もたれが高い椅子が置いてある部屋に辿り着いた。
西洋の映画のワンシーンでしか見たことがないが、恐らく晩餐会などに使う机と椅子なのだろう。ということはここはダイニングルームなのだろうか。
ふと、一番奥を見ると、二人のメイドに囲まれて何かを飲んでいる女性の姿があった。屋敷の雰囲気からして紅茶かもしれない。
見たことがないものばかりだから、俺は全て憶測でことを片付けるようになってしまっている。まぁ、仕方ないといえば仕方ないが。
恐らく(これも俺の憶測だ)あの女性がこの屋敷の主なのだろう。俺はティータイムの邪魔をしないように静かに女性の傍まで歩み寄った。
両目を閉じて紅茶を味わっている途中に話しかけるのは気が引けたが、意を決して尋ねた。
「あの、あなたがこの屋敷の主ですか?」
女性は口につけていたティーカップをゆっくりと離し、両目を開けながら静かに答えた。
「いかにも。わたくしがこの屋敷の主、リーゼロット・ヴァン・シルグレッドですわ」
名前からしてどうやら日本人ではないらしい。外人にしては珍しい黒髪だ。
年の頃は二十歳くらいだろうか。少なくとも俺より年上なのは確かだろう。
そして、近くで見ると、この女性はかなりの美人であることが分かった。赤いドレスを着て紅茶を嗜んでいる姿はまさに絶世の美女と呼ぶに相応しいだろう。
って、何を考えているんだ俺は。助けてもらったお礼を言わなければならないのに。
「助けてもらってありがとうございました。本当に助かりました。あ、俺、妹尾 真夜っていいます」
「玄関で倒れられた時には驚きましたわ。それにしても、この大雨の中どうされたんですの?」
「登山中に落下してしまって、助けを求めて歩いていたら偶然ここに……」
「まぁ、それは大変でしたわね。命があったことに感謝しなければなりませんわね」
「いえ、リーゼロットさんの助けがなければ、今頃は……。あっ……!?亜美!?」
亜美の存在を思い出し、俺は慌てふためく。
屋敷の前で意識を失う寸前も俺は亜美を背負っていたことは覚えているから、離れ離れになっている筈は無いが。
「あみ……?もしかして、背負っていた女の子のことですか?」
「はい!俺の妹なんです!」
「その子でしたら、二階の部屋に寝かせてありますから、ご心配なさらずに」
「そ、そうですか。良かった……」
ほっと胸を撫で下ろす。
俺はやっと、兄として妹に何かしてやれた。
今までは亜美が俺にしてくれることが多かったから、俺は兄として本当に情けなかった。
そのわだかまりが少しだけ取れた気がして俺は少しだけ達成感を覚えた。そして、それと同時に妹が無事だと聞いて心底、安心もした。
「それと、わたくしのことはリゼと呼んで頂いて構いませんわ。リーゼロットでは長いでしょうから」
「はい、分かりました」
「あら、妹さんも目を覚ましたみたいですわ」
リゼさんが見ている方向に俺も目をやると、そこには黒いドレスを着た亜美が立っていた。
165:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:54:27 +jV/RaUc
どうして亜美がドレスなんか着ているのだろうか。
確か、登山していた時はティーシャツにジーンズだった気がしたが……。
「わたしくのドレス、お気に召しましたか?サイズの方は如何です?」
「大丈夫ですけど……これ、あなたのですか?」
「そうですわ。着ていた服は泥だらけでしたので間に合わせとして、そのドレスを」
なるほど、リゼさんが気を利かせて服を変えてくれたらしい。よく見ると、俺も服が変わっている。いや、流石にドレスではないが。
今までの経緯を説明されていない亜美は未だに頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。
俺は分かりやすいように順を追って亜美に説明した。
「じゃあ、リゼさんはあたし達の命の恩人ってこと?」
「ああ。リゼさんに助けてもらわなかったら、俺達は間違いなく死んでた」
「そうなんだ。リゼさん、助けてもらってありがとうございます」
「いえ、当然のことをしたまでですわ」
「まぁ、お兄ちゃんがあそこでドジしなかったらこんな目には遭わなかったんだけどねー」
「……ごめん」
本当のことを言われ、俺はしゅんとなる。
良く考えてみれば、確かに亜美の言う通りかもしれない。元を正せば、あそこで俺がバランスを崩したから、こんな目に遭ったのだ。
「でも、落ちる時、庇ってくれたでしょ?それは嬉しかったよー」
「ま、まぁ、兄として当然のことをだな……!」
「調子に乗るなー!」
「ふふ、仲の良いご兄妹ですわね。あ、丁度良かった。夕食の準備が出来たみたいですわ」
奥の方から様々な料理を持ったメイド達が次々と現れ、食卓に並べていく。
俺達は指定された席にそれぞれ座り、メイド達が全ての料理を運び終わるのを静かに待った。
そして、全ての料理が食卓に並べられると、一人のメイドが俺に歩み寄り、膝にナプキンを掛けてくれた。
「こちらをどうぞ」
「あ、どうも……」
まるで何処かの高級レストランのような配慮である。幸い、テーブルマナーを少しはわきまえていたから困ることはなかったが、それでも緊張はする。
亜美はというと……。やっぱり、悪戦苦闘しているようだ。
「どうですか?お口に合えば良いのですけれど」
「とても美味しいです!ね、お兄ちゃん!」
「あ、あぁ!」
「ふふ、それは良かったですわ」
一通り食べ終わり、俺と亜美はほっと一息つく。緊張のせいかほとんど味は覚えていないが、それでもかなり美味しかったと思う。
だが、やっぱり日本人はナイフとフォークよりも箸だと改めて実感した。
「一息ついたら、お湯に浸かってきては如何ですか?先程、下の者に沸かさせましたので」
「夕飯をご馳走になって、お風呂まで貸して頂いて本当にありがとうございます」
「お兄ちゃんはもうリゼさんに頭が上がらないねー」
「ふふ、気にすることはありませんわ。さぁ、行ってらっしゃいな。服は下の者に用意させますから」
「では、お言葉に甘えて」
リゼさんの言葉に甘えて、俺達は湯に浸かりに行った。
どちらが先に湯に浸かるかを決めるためにじゃんけんをして負けた俺は、一番最初にいた部屋に戻って亜美が出るのを待つことになったのだが、
ものの五分も経たない内に亜美が戻って来た。
亜美によるとどうやら浴場が二つあるらしい。ということで、贅沢にも俺達は一つずつ浴場を使うことにした。
途中で亜美が、一緒に入ろうと生意気に誘惑をしてきたが、俺は顔を真っ赤にしてそれを撥ね除け、そして、今に至る。
こんな広い浴場を独り占め出来るなんて、そうそう出来ない体験だ。
俺は、おぉーとか、んんーとか、まるで中年の親父のような訳の分からない声を出しながら、絶妙な湯加減にすっかり気分を良くしていた。
独り占めの大浴場をたっぷりと堪能して出ると、俺はとてつもない睡魔に襲われた。
それに耐えられなくなった俺は部屋に戻って、ころんと横になり、そして、あっという間に夢の世界へと落ちて行った。
166:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:55:03 +jV/RaUc
腹の辺りに感じる妙な重みで俺は目を覚ました。
ゆっくりと両目を開け、その重みがする腹の方へ目をやった俺は信じ難い光景を目の当たりにした。
「リ、リゼさん……!?」
そう、そこには俺の身体に跨り、ただ静かに見下ろすリゼさんの姿があったのだ。
とりあえず、このやばそうな状況を打開する為に上体を起こそうとするが、身体が全く言う事を聞いてくれない。
どれだけ力を入れても指先が少し動く程度。そんなことをしている内にリゼさんの顔が少しずつ近付いて来ることに俺は気付く。
「ふふ、身体が動かないでしょう?先程お二人が食べた食事に薬を盛らせて盛らせて頂きましたわ」
「一体、どういう……!?」
「真夜さんの……ですわね」
目と鼻の先でリゼさんが何かを呟いたが、それは大きな雷の音で俺の耳に入って来ることはなかった。
その直後、俺の首に何かがちくりと刺さり、じゅるじゅると血を吸っていく。俺は初めて血を吸われる未知の感覚にやり場のない嫌悪感を抱いた。
「っは……」
「真夜さんの血、とても美味しいですわ……じゅるり」
ちくりとした痛みの原因はどうやらリゼさんの歯だったらしい。
いや、人間とは思えない程、鋭く尖ったそれは歯というよりも牙と呼んだ方が相応しいかもしれない。
口の周りに付着した血をぺろりと舐め上げながら言うリゼさんに俺はとてつもない恐怖感を覚える。
この人は人間じゃない。このままだと俺は全身の血を抜き取られて殺されてしまう。早く逃げろ―
俺の身体がそう危険信号を発しているが、俺の身体は相変わらず痺れたように全く動かない。
「一つ言い忘れていましたわ。わたくし、人間ではありませんの。本当の姿は……」
もぞもぞとリゼさんの背後が動き出し、やがて、そこに漆黒の羽が姿を現した。黒かった瞳も真っ赤に染まっている。
何だろう、吸血鬼だろうか。吸血鬼に羽なんか生えていたか?
って、そんな呑気なこと考えてる場合じゃない。俺は今、命を狙われているんだ……!
「驚きましたか?わたくしは蝙蝠娘。そして、ここは空間を彷徨う蝙蝠の館」
蝙蝠娘?空間を彷徨う?
そんなファンタジー小説みたいな話が本当に有り得るのか?いや、でも、目の前にいるこの女性は間違いなく人間ではない。
となると、やっぱりこの話は……。
いきなりの摩訶不思議現象に俺の頭はすっかり錯乱状態に陥っている。
「この姿を見たということは、すなわち、もうこの屋敷からは出られないということ。真夜さんには私の玩具になって頂きますわ。永久にね」
「じょ、冗談じゃない!何で俺がこんな屋敷に一生……!」
「随分と反抗的ですわね。先程までの恭しい態度は何処へ?」
「っ……!」
確かにこの人は俺と亜美の命の恩人だ。だから、最初は本当に感謝していた。
だが、この人の言ってることはおかしい。理屈に合っていない。この人に対して持っていた好印象が全て崩れていくのを俺は感じた。
「こんな理不尽な話があって堪るか!さっさと俺達を外に出せ!」
「少し言う事を聞かせる必要があるようですわね」
蝙蝠娘がそう言うと、周りに立っていたメイド達が次々と俺に伸し掛かってくる。
そして、俺が着ている服を脱がし、身体のあらゆる箇所を思い思いに愛撫し始めた。
あるメイドは俺の口に舌を突っ込んで口内を犯し、またあるメイドは俺の乳首に吸い付き、またあるメイドは舌を使って俺の耳を犯す。
全身に降り掛かるメイド達の愛撫に悔しいが、俺は少しだけ感じてしまっていた。
「や、やめろっ……!こんなことしても無駄……くぅっ!」
「喘ぎ声を出しながら言っても説得力がありませんわよ?」
溢れ出る声を必死で我慢しようとするが、強烈なメイド達の愛撫を前にして俺のその努力も徒労に終わる。
その時、部屋の中でゴトンと音がして亜美の声がしたのを俺は聞き逃さなかった。
167:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:55:35 +jV/RaUc
「ん、お兄ちゃん……?」
「あ、亜美!?くぅっ……!」
声がした方を向くと、亜美が椅子に縛り付けられた状態でそこにいた。
どうやら、亜美の食事にも薬が盛られていたらしい。
「あら、お目覚めですか?」
「リ、リゼさん、これは一体どういう……!?」
この光景を見た亜美も驚きを隠せずにいるようだ。
それもそうだろう。目の前には羽の生えた化け物がいて、兄はメイド達に蹂躙されているんだから。
「貴女達を助けたリーゼロット・ヴァン・シルグレッドは人間ではない。ただそれだけのことですわ」
クスクスと笑いながら、蝙蝠娘はゆっくりと亜美の方に歩み寄っていく。
「貴女の血も美味しそうですわね……」
「えっ……?」
「や、止めろ!」
「何か?」
「亜美にだけは……妹にだけは手を出さないでくれ!俺はどうなってもいいから!」
「あら、妹思いの優しいお兄さんですわね。でも、人にものを頼む時はそれ相応の態度というものがありますわよね?」
「っ!……お、お願いします、妹にだけは……んぁっ!?」
俺は羞恥心を感じながら哀願しようとするが、それを邪魔するかのように乳首に吸い付いていたメイドが甘噛みを始めた。
いきなりの出来事に俺はまるで女のような喘ぎ声を出してしまう。
「良く聞こえませんわ」
「お願いしま……うぅっ、す……。んっ……妹にだけは、手を、出さないで下さい……!」
「仕方ありませんわね。真夜さんに免じて、妹さんには手を出さないと約束しましょう。でも……」
一度離れた蝙蝠娘が再び俺に跨り、また顔を近づけて来る。
「ふふ、さっき真夜さんは自分はどうなっても良いと仰いましたわね」
また血を吸われるのか、と思ったが、違った。
今まで俺の口内を犯していたメイドの代わりに今度は蝙蝠娘が舌を突っ込んで来たのだ。
メイドのものとは全く比べ物にならない熱烈な責めで思考力と抵抗力が少しずつ削がれていくが、それでも何とか自我を保っていた。
そんな俺に止めを刺すかのように、蝙蝠娘はメイド達の愛撫によってすっかり硬くなっている俺のモノをぎゅっと握り締め、上下に少しずつ動かしていく。
今までそこだけ触ってもらえなかったこともあって、快感も倍増する。
「れろ、ちゅっ……ふふ、こんなに大きくしてそんなに気持ち良いんですか?」
「ぷはっ……。こ、こんなの気持ち良くなんか……んんっ!」
「嘘はいけませんわ。こんなにビクビクして、汚い精液びゅくびゅく出したいんでしょう?」
「そ、そんなことないっ……!」
そう言って強がったが、実際は図星だった。
蝙蝠娘が愛撫している間も他のメイドは愛撫を続けているから、俺は性感帯という性感帯を責められ続けていることになる。
そんな度が過ぎた快感に長時間も耐えられる筈がなく、既に我慢の限界にまで達していた。
だが、それを悟った蝙蝠娘は射精しない程度に俺のモノをやわやわと弄り続ける。イキたいのにイケない、そんなもどかしさの中に俺はいた。
「ほら、またビクンって。真夜さんのココ、出したい出したいって叫んでいますわよ?素直にお願いしたらどうですの?」
「だ、誰が化け物なんかに……!」
「その強がりがいつまで続くか、わたくしとても楽しみですわ」
俺は悔しさで涙をも浮かべるが、屈服するわけにはいかなかった。自分のためにも、亜美のためにも。
「もうやめて!」
そんな光景を黙って見ていた亜美が遂に口を開いた。
168:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:56:35 +jV/RaUc
「それ以上お兄ちゃんを虐めたら……」
「虐めたら?」
「ゆ、許さないんだから……!」
「ふふ、どう許さないんですの?貴女、今の自分の状況を分かっていて?」
「っ……!」
嘲笑いながらそう言う蝙蝠娘をぎゅっと唇を噛み締めながら睨み付ける亜美。
だが、正直言って亜美には反抗的な態度を取って欲しくなかった。
亜美は俺のことになると、まるで別人のようになる。もし、亜美の挑発によって蝙蝠娘が逆上して手をかけたら……それは、俺が最も望まない展開だった。
今まで兄らしいことをしてやれなかった分、俺は今ここで妹を守るという責務を全うしようとしているのだ。
「人外に犯される実の兄を貴女はそこで黙って見ていなさい」
え、今、何て……?
「そ、そんなこと絶対にあたしが許さない!さっさとこの縄を解いてよ!」
「威勢の良い妹さんですわね。……さぁ、始めましょうか。わたくし達の快楽の宴を」
「ちょっと、やめ……!」
制止する亜美を無視して蝙蝠娘は着ていた赤いドレスと下着を脱ぎ去り、自分の秘所に俺のモノをあてがう。
そして、そのまま何の躊躇いもなく腰を落とし、俺のモノはずぶりと蝙蝠娘の中に入り込んでいった。
温かく柔らかい肉壁がやわやわと俺のモノを包み込み、俺を少しずつ高みへと導いていく。もうそれだけで十分、射精が出来る程だ。
「……!?」
「さぁ、全部入りましたわ。如何です、私の膣内は」
「そ、そんなっ……!」
初めて味わう膣内の感覚に俺は何も言えず、まるで金魚のように口をぱくぱくさせるだけだ。
「言葉も出ない程、気持ち良いんですの?それなら、もっと気持ち良くして差し上げますわ」
そう言って蝙蝠娘は腰を上下に振り出し、更なる快感を俺に送ってくる。自分でするのとは大違いだ。
「んっ、真夜さんの大きいのが奥に当たって……んんっ!」
「くぅっ……!」
「んぁっ!ほらほら、何か言って下さらないと、んっ、分かりませんわ」
気持ち良い。それが素直な感想だが、それを言ってしまえば、俺は蝙蝠娘に屈服したことになってしまう。屈服することは、つまり、俺が敗北すること。
だから、俺は唇を噛み締めて、溢れ出そうになる声を必死で堪えていた。
そんな俺の様子を見て、無情にも蝙蝠娘は腰の動きを更に激しくする。今度は上下運動だけではなく、左右に動かしたり、円を描くようにして腰を回したり。
そのことで遂に俺は溢れ出そうになる喘ぎ声を抑えきれなくなった。
「うぁっ……!ぐっ、かはっ……くふぅっ!」
「あんっ!ふふ、良い喘ぎ声ですわ。んんっ、こんなに大きくなって、そろそろ出したいんですわね?良いですわ、精液いっぱいわたくしの膣内に出して下さい!」
「中は、だ……め、くぅっ!うっ、出る……!」
「あぁっ!わたくしもイキます……!んぁぁぁぁぁっ!!」
己の意思に反して喘ぎ声を出す自分の情けなさを慙恚する中で、俺はとてつもない射精感を感じた。
そして、蝙蝠娘が力強くズンと腰を落とした瞬間、俺のモノから大量の精液が噴き出し、膣内を駆け巡っていった。
あれだけ焦らされていたこともあってその量は半端が無く、収まりきらなかった残りの精液が逆流して俺の腹に流れ落ちる。
俺が射精したのとほぼ同時に蝙蝠娘も絶頂を迎えたらしく、蝙蝠娘は俺の方にくたりと倒れ込んだ。
「はぁっ、はぁっ……。ふふ、わたくしも、イッてしまいましたわ」
絶頂の後の余韻を全身で感じ、ぶるぶると身体を震わせながら蝙蝠娘はそう呟く。
化け物に良いように犯され、更に中出しをしてしまった俺は絶望に打ちひしがれ、涙を流しながらただ天井を見つめていた。
169:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:57:54 +jV/RaUc
「いつの間にか妹さんも静かに……あら?何をそんなにもじもじとしていますの?」
「別に何でもないわよ……!」
「貴女、まさか?」
蝙蝠娘が俺のモノをずるりと引き抜いて亜美に歩み寄り、足と足の間に手を突っ込んだ。
つまり、そこは……。こいつ、亜美には手を出さないって言ったくせに……!
「きゃっ……!?何処、触ってんのよ、この変態!」
「変態?それは、もちろん自分のことを言ったんですわよね?」
何やら様子がおかしい。
亜美は赤面して俯いてるし、蝙蝠娘は突っ込んだ手の人差し指と中指を開いたり閉じたりしている。この謎の行動には何の意味があるのだろうか。
薄明るい部屋でそれ以上の様子を窺い知ることは出来なかった。
「驚きましたわ。実の兄が犯されている姿を見て興奮しているだなんて。とんだ変態さんがいたものですわね」
「こ、興奮なんか……!」
「それじゃあ、どうして貴女のそこはそんなに濡れていますの?」
「それは……!」
「それは実の兄が犯されてる姿を見て興奮してしまったから、でしょう?」
「っ……!」
俺は耳を疑った。そんな現実を直視したくなかった。
亜美が、亜美が……いや、そんなはずがない。
きっと、蝙蝠娘が仕組んだに違いない。そうだ、そうに違いない。
「ふふ、安心なさって。わたくしは貴女を軽蔑などしませんわ。まぁ、貴女のお兄さんはどうか知りませんけど」
「……」
「楽になりたいのでしょう?この男を犯したい。犯し尽くしたい。でも、自分達は血の繋がった兄妹。それは、禁忌を犯すことになる。だから出来ない。
でも、犯したい。喘がせたい。散々、弄って、嫐って、めちゃくちゃに壊したい。ふふ、わたくしに任せればすぐに楽になれますわ」
蝙蝠娘が放つ一つ一つの言葉に亜美は眉をぴくりと動かす。
亜美、どうしたんだよ……そんなことないって否定してくれよ……亜美!
そう言いたいのに、何故か声が出ない。どうしてだ?まるで、声帯を失ったかのようだ。
「楽に、なりたいのでしょう?」
「……(こくん)」
嫌だ。
俺は絶対に信じない。
夢だ。そうだ、俺は夢を見てるんだ。
こんな悪い夢からは早く覚めなければならない。
だから……。
やがて、蝙蝠娘が亜美の首元に口を持っていき、そして―
「止め……」
俺の発する言葉が外で鳴る雷の音と重なり、遮られた。
眩しい稲光で見えなかった部屋の様子がやっと見えるようになる。
そこにいたのは蝙蝠娘と……誰だ?蝙蝠娘と同じ姿の奴がもう一人いる。まさか、分身したのか?
いや、違う。亜美の姿が無い。まさか……!?
片方の蝙蝠娘がゆっくりと俺に歩み寄り、耳元で囁いた。
「こんばんは、お兄ちゃん」
それは紛れも無く俺の妹、亜美の声だった。
170:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:58:38 +jV/RaUc
「や、止めろ、亜美!正気を取り戻すんだ!」
「やだなぁ、お兄ちゃんったら。あたしはいつものあたしだよー?」
目を細め、微笑みながら亜美は言う。その瞳は、赤。
「こんな悪い夢、早く覚めてくれ……。お願いだから、早く……」
「夢なんかじゃ、ないよ」
「え……?」
「あたしね、ずっと前からお兄ちゃんのこと好きだったったの。兄としてじゃなくて、一人の男性として。
でもさ、あたしがいくらアピールしても、全然気付かないんだもの。お兄ちゃんったら本当に鈍感だよねー!あははっ」
「亜美……」
「やっと。やーっと!お兄ちゃんと一つになれる時が来たの!こんなこと夢にも思わなかったなー」
馬鹿、俺だって気付いてたさ。
急に抱き締められたり、寝ている間に布団に潜り込まれたりして気付かないわけ無いだろ……。
でも、俺は敢えてそれを言わなかったんだ。俺達は兄妹だから。兄妹としての関係を壊したくなかったから。
俺だって亜美のことは好きだし、大切に思ってる。でも、それは家族としてであって一人の女としてではない。
そうやって俺が気付かない振りをしている内に、亜美の中の俺への想いは極限まで大きくなっていたんだ。
だから、化け物になってまで、俺と一つになろうとした。これは、俺の責任なのかもしれない。
でも、いくら人間でなくなったからといって、やっぱりこれは許される行為じゃない。大丈夫。ちゃんと話せば、亜美だって分かってくれる筈だ。
「亜美なら分かってくれる筈だ。俺達は……んむっ!?」
まるで、その後の言葉を言わせないかのように、亜美は俺の唇を自分の唇で塞いだ。
更に舌も入れてこようとするが、俺は歯を食い縛ってそれを阻む。
だが、亜美は俺よりも何枚も上手だった。
俺は両方の乳首を力強く摘ままれ、激痛で食い縛っていた歯を緩ませてしまう。その隙を亜美は見逃さず、隙間からすかさず舌を差し込んだ。
上顎、下顎、歯と歯の隙間。亜美の舌が俺の口内の至る所を舐め回していく。俺は実の妹に口内を犯される奇妙な感覚に戸惑いながら、それが終わるまでじっと耐えていた。
やっと終わったかと思うと、今度は俺の身体に次々とキスを落としていく。
最初は触れるだけの優しいキスだったが、その内、肌を吸い上げる熱いキスへと変わっていく。
吸い付かれた所は蚊に刺された後のように赤くなり、俺の全身はたちまち赤い斑点と亜美の唾液だらけになってしまった。
それでも、亜美はキスを止めようとせず、夢中で俺を自分色に染め上げていく。
「んっ、あ、亜美、もうやめてくれ……」
「ちゅっ、ちゅっ。うん、じゃあ、そろそろだね」
「え……?」
いつの間にか亜美は一糸纏わぬ姿になっており、そして、俺に跨り、自分の秘所に俺のモノをあてがう。
「ま、待っ……!」
亜美は俺の言葉なんて完全に無視して、そのまま一気に腰を落とす。
俺のモノが亜美を貫いていき、とある一点で何かを突き破った。恐らく、初めての証だろう。
それなのに、亜美は全く表情を歪めない。おかしい、確か一番最初は物凄く痛い筈だが……。いや、俺は女ではないから分からないが。
「あれ、全然痛くない……。この姿だから?まぁ、いいや。じゃあ、動くよー」
そう言って亜美は上下に腰を動かし始め、少しずつそのスピードを速めていく。
最初は乱暴に上下運動をするだけだったが、慣れてきたのか、亜美は俺を気持ち良くさせるために様々な運動を付け加えていく。
「んっ、んっ!お兄ちゃんのおっきくて、奥に当たって……あぁっ!気持ち良いよぉ!」
部屋中には激しく肌と肌がぶつかり合う音が響き渡っている。
痛みは無いと言っていたが、やっぱり処女の締め付けは強烈だ。ぎゅうぎゅうと俺のモノを締め付け、射精へと導いていく。
そんな強烈な締め付けに、俺は早くも限界に達していた。
171:SA/Bloody Maze
07/07/30 03:59:34 +jV/RaUc
「くっ、うぅっ……!も……出るっ!」
「あんっ!あんっ!い、いよ、出して。お兄ちゃんの精液、あたしの膣内にいっぱい出してぇぇぇ!」
「だ、駄目だ……。亜美、抜いてくれっ……!」
「だめぇ……!あたしも、イクから、お兄ちゃんも一緒に!」
「ばっ、か……!抜……っぁぁぁぁ!」
「あぁん、だめぇ!あたし、もうイっちゃう!お兄ちゃんので、あたしぃ……!あぁっ、お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!」
さっきあれだけ出したのにも関わらず、大量の精液が亜美の膣内に流れ込んでいく。
俺の射精と一緒に亜美も絶叫し、身体をピンと伸ばして絶頂を迎え、体液が俺の下腹部に降り掛かった。
「はぁっ、はぁっ……。凄い……こんなに気持ち良いの、あたし初めてだよ、お兄ちゃん」
「……」
俺は何てことをしてしまったんだ……。
一方的だったとはいえ、実の妹の処女を奪い、中出しまでしてしまった。
もう俺は完全に禁忌を犯してしまったのだ。そう思うと自然と涙が溢れ出てくる。
「お兄ちゃん、泣いてるの……?」
「……」
「後悔、してるんでしょ?実の妹と性行為をしてしまったこと」
「……(こくり)」
「あたしは後悔してないよ。お兄ちゃんと一つになれて、本当に嬉しいし、それに、もうあたしは人間じゃないんだしさ。お兄ちゃんが悔やむことなんかないよ」
「そうじゃ、ないんだ。俺なんかのせいで亜美を化け物の姿に……」
「あぁ、そういうことかー。お兄ちゃんはさ、あたしが人間じゃなくなると、もう妹だとは思えない?」
「そ、そんなことない!化け物だろうが何だろうが、亜美は亜美だ!俺の大切な妹だ!」
「うん、じゃあ、良いよね?でも、もし、お兄ちゃんが人間じゃないと妹だとは思えないなんて言うのなら……」
「……?」
「あたしは、お兄ちゃんの喉を引き裂いて殺すよ。あたしをこんな姿に変えたお兄ちゃんは当然、罪を償うべきでしょう?」
「(ビクッ……!)」
「でも、良かった。こんな姿でもあたしのことを妹だと思ってくれて。あたし、やっぱり、お兄ちゃんのこと大好きだよ♪」
「亜美……」
「ふふ、実に良いお話でしたわ。わたくし、とても感動致しました」
「お前……!」
「あら、真夜さんは何か勘違いをされていますわ。わたくしは亜美さんの願いを叶えたまで。別に強制や脅迫はしていませんわ。全ては亜美さんの意思ですもの」
「うん、そうだよ、お兄ちゃん。さっきも言ったでしょ?あたしは後悔してないって」
「さてと、亜美さんはもう普通の生活には戻れませんわね。わたくしと一緒に、永久にこの蝙蝠の館で暮らしてもらうことになりますわ。でも、真夜さんは別。
貴方が外へ出たいと仰るのなら、わたくしは引止めませんわ。ただし、最愛の妹を独りここに残すことが出来ればの話ですけれども」
亜美がいない普通の人生と亜美がいる異端の人生を天秤に掛けて、どちらに傾くかは明白だった。
「……亜美と一緒に、ここに残ります」
「分かりましたわ。自分の人生よりも最愛の妹を取ったんですわね」
「お兄ちゃん……あたし、嬉しい……」
亜美が俺の身体をぎゅっと抱き締める。
こうなったのも全て俺のせいだ。俺だけ責任逃れをすることは絶対に出来なかった。
だから、俺は後悔なんてこれっぽっちもしていない。後悔するということは、つまり、亜美を妹として否定してしまうことになるから。
それに、普通の人生に戻ったってどうせ罪の意識に苛まれるだけだ。
これで……良かったんだ。