07/07/16 09:37:43 elBFE6yd
昼下がりの小学校。5年2組の教室はすっかり騒ついていた。隣の3組の藤宮由美が行方不明になったからである。
由美は別け隔てなく友達を作り、容姿端麗ということもあり男子からの人気も高かった。
現場に残されたのは由美のランドセルと靴、そして2年前から行方不明になっていた別の学校の少女だった。
誰もが驚き、悲しみ、涙を流している者も決して少なくなかった。
「誘拐かな?由美ちゃん……もしかして死んでたり……」
「そんなわけないだろ!」
様々な思索がされる中、ただ一人由美が消えた事を喜んでしまう人物がいた。
それは杏里、由美の……幼稚園から友達である。
「全くもってわかんないわ……どうして由美ちゃんが?」
「運が悪かったのよ……うん」
ちらりと彼女は由美がいなくなった事で悲痛に暮れている男の子を凝視してしまう。
彼は陽介。杏里が憧れる、初恋の相手である。しかし、彼は由美が好きである。それを由美は知らない。だから余計にいらついていた。
これで陽介は自分の物。幼なじみで仲が良いからこそ、由美を妬んでいた。
既に由美が消えてから3週間が経った。杏里は思い描いていた通り、陽介の心の隙間を少しずつ埋めていっていた。
陽介が完全に自分に振り向いてくれるのも時間の問題である。