触手・怪物に犯されるSS 13匹目at EROPARO
触手・怪物に犯されるSS 13匹目 - 暇つぶし2ch50:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:36:09 YO/b4IP8
やがて仲間の一人が、いつもと違う風景を目にし、指さす。
「あれを見よ同士よ!あの看板を!」
「おお、あれはまさしくとら○あな」
「アニ○イトの看板もあるぞ!」
「○ッセ○ンオーもあるわい!」
「間違いない!あれこそ秋葉。我らに約束された聖地なるぞ!」
もはや咆哮といっていいほどの喜びの声を上げる彼ら。
「まっておれ・・・日向殿・・・永遠の愛を貴殿に・・・」
「越前殿・・・これからはずっと・・・」
目を血走らせて、そんなうわごとを発しながら、
彼らはついに、この地にたどり着く。

地に足を踏み入れるや、あんなに激しかった逆流がウソのように消えうせ、
街をもっとよく見渡せるようになった。そして、彼らの目の前にあるのは・・・

美幼女、美少女、美姉さん、美熟女
どこをどう見渡しても女。しかも必要以上に質の高い女達・・・。
この光景に、彼らは戸惑いをあらわにする。
「なんじゃ・・・なんじゃこれは・・・」
「女共しかおらぬだと・・・?」
「しかもこの不必要なまでの奇麗ぞろい・・・まさか奴ら・・・」
「そんな・・・ありえぬ・・・そんなはずはない!」
そんな彼(女?)らの疑念や否定が、次に響いてくる声によって打ち消された。
その方角を向いた彼らは、今度こそ仰天した。

51:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:37:33 YO/b4IP8
あ・・・ん・・・だめぇ・・・
いやぁ・・・アイドルはぁ・・・純潔であるべ・・・ひあっ!
その他ファンのみなさんごめんなさぁいぃ・・・い・・いくぅ~~~!
様々なコスプレをした粒ぞろいの美少女たちが、
往来でファンと称するナマモノ達に犯されている。
中にはカメラ小僧もいて、耐水性カメラでフラッシュを連発していた。
歩行者天国の萌え系ストリートライブかはたまたアイ○スか。
いずれにせよ筋骨隆々の闖入者を受け入れる場面でないことだけは明らかだった。
「ぬうおおおおおおおおぅおぅおおおおっ!!!」
「なぜじゃあああああああぁぁあああぁあぁあああ!」
「これは何たることぞ・・・」
「わしらに約束された場面は!?」
「美少年たちの、美少年たちによる、美少年たちのための失楽の園ぉおぉお」
筋肉一人一人の困惑は、やがて憤怒へ替わってゆく。

「やあたくましき人達。秋葉原へようこそ。ヲタ一族を代表して歓迎しようwww」
後方から可愛い声を聞いたのはその時であった。
振り向くと一人の美少女が立っていた。
栗色ショートボブの愛らしい顔立ち、小柄な体をLLのシャツとズボンで包んでいる。
「来ていただいたところ悪いけどさ、ここってやっぱ、
メンズニーズ要素が強いらしくてさ。少年はおろか蓋すらないんだよねえ。
いやほんと、遠路はるばる申し訳ないけどさwwwww」
愛らしい少女の口元が悪戯に歪んだ。こいつは絶対申し訳なく思ってない。

52:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:39:51 YO/b4IP8
「おおおおおおおおお・・・・」
やがて兄貴の一人が天を仰ぎ、ひざをついて慟哭する。
それをきっかけに、次々と兄貴たちがひざをつき始める。
なかにはorzの体勢となり号泣する者までいた。
彼(女)らは、一人一人形こそ違えど、絶望していた。
「池袋があんな状態だったというのに!不公平なり!理不尽なり!」
「わしらは、いったい・・・何のためにあの試練を・・・」
「これでは、散っていった多くの同胞たちが、浮かばれぬではないかぁっ!」
しかし、中には、まだ希望を失わない筋肉もいた。
「気をしっかり持たれい同士よ!わしらが立ち上がるのじゃ。
わしらで新たなる腐の道を、貴腐人道を極めようではないか」
気丈にも、絶望にうなだれる筋肉を賢明に説得する。

だが・・・

orzの体勢になり微動だにできなくなっていた筋肉の姿が
ぐにゃぐにゃと変成し、一瞬関取のような女の姿になったが、
やがてまたメタモルフォーゼしていく。
「ど・・・同士よ・・・い、いかん!気をしっかり持つのだ!
わしらの乙女心は永遠のものぞ!同士よ。同士よおおおおっ!」
必死の説得も空しく、メタモルフォーゼは完成していく。
それは、毒々しい緑色をしており、何本か蛸のような脚を持ち、
真ん中に巨大な眼を持っていた。
そして、何処に口があるのか、「それ」はたった一言、こう言った。
「絶望!新たなる道!そしてシュマ○ラスでシュ!」
言うや否や、それは足早に、目下凌辱中の現場へ飛び込んでいった。
「こ・・・こは如何なること・・・」
見回すと、他の筋肉も、同様にメタモルフォーゼを始めていた。
変わるわ変わるわ、巨大イソギンチャクやら犬やら、得体の知れない妖怪変化。
果ては某閉鎖空間のアメーバ状人型生命体までいる始末。

53:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:41:21 YO/b4IP8
「これは・・・わしらが忌み嫌っていた、あのナマモノども・・・
ということは・・・腐たるわしらの運命とは・・」
「そう、美少女となることをあくまで拒否したものは、
それでもこの世界で生きる以上、もう一つの道を行くしかないってことさ。」
後ろで、先程の少女が口を挟んでくる。
「成程な・・・要は、凌辱せし側に廻るしか、ないということか・・・」
「ご名答。でも、考えを変えればこれは必ずしも悪いことではないかもよ。
何しろ今後、責めの立場として過ごすことが出来るんだぜ?」
少女が淫猥に顔を歪ませながらそう言ってくる。
「この世に、最早BLの神は存在せぬということか・・・
だが私、さほど悲哀や絶望が沸いてこぬ。何故だろうか。
しかもいつの間にか、声、口調まで変わっているようだ」
「おまいさんの今の姿をよく見な。なかなかダンディに生まれ変わってるぜ」

最後の筋肉が自分の姿を見ると、裸一貫筋肉テラテラだった自分の姿が、
いつの間にかコートを着た一見怪しげな紳士のような姿になっていた。
コートの中は暗黒で、正体不明の何かが居そうな雰囲気だったが。
「これは・・・ふむ、物の本で見知ったことがある。
吸血鬼の一種で、変幻自在な混沌を操る者・・・確か、教授だったかな」

54:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:43:47 YO/b4IP8
「ま、この世界もそう悪いもんでもないぜ。
精々これからの快楽人生、思う存分満喫してくれ。それじゃ・・・」
言いたいことだけ言って去ろうとしたまさにその時、
少女の手をつかむ、1本の触手。
その触手の元を辿ると、思った通り、最後の腐、最後の筋肉だったもの。
今し方変身を完了した教授であった。
「お、おい・・・これは何の真似だいジェントルメン」
当然のことながら、腕を振って見ても容易に解けそうにない。
「快楽人生か・・・ククク」
今度は教授が口を笑みに歪ませる。
「悪くはないな。確かに貴様の言う通りだ。
元々紳士や教授という種には僅かながら憧れもあったしな。それに・・・」
嗤いながら触手を増やし、少女を拘束にかかる。
「この体になってから、性欲と女体への感情が止まぬのだ。
単刀直入に言う、貴様の体、いや、全てが・・・恋しい!!」
先ほどまでヘラヘラ笑っていた少女の顔に、ようやく焦りが見え出す。
「な、なあ・・・冗談は・・・他に一杯、美少女はよりどり・・・」
喋っている口を塞ぎ、己が体に抱き寄せると、教授はこう言い放つ。
「勃きよ・・・触事の時間だ!」

  * * *


55:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:45:50 YO/b4IP8
ひやー。まさかこんなことになってたとはねえ。
妙な気合で激流を逆泳する腐女子兄貴たちに呆れ、一度は興味を失ったけど、
せめて目標に辿り着く所までは見届けておきたいと思い、
再びついていってみたら・・・。
まさか彼(女?)らが、よりにもよって一番忌まわしいと思っていた、
凌辱生命体になってしまうとは。
しかも生命体としての本能が増大し、己が意志で逆らうことが不可能になる、
要するに、「身も心も化け物になってしまう」ことになろうとはねえ。
この世界は所詮、男にとって都合よく出来てるのか、と、
一時は腹も立ったけど、よくよく考えると、彼(女?)らは襲う側。
少なくともイニシアチブは彼(女?)らにあるw
それを証拠に彼(女?)ら、嬉々として秋葉原の住人たちを「つまみ食い」している。

先ほどのアイドル陵辱に参加できなかったタコアメコミは、
手近にいた西天大聖少女に潜在投げ(包み込み投げ)を食らわしている。
いや、投げではないだろう、何せ丸くなった自分自身にすっぽり少女を入れてしまい、
そのまま中で少女の全身を愛撫し犯しまくってるからねえ。
当分出す気はないだろうね。まさにこれ、オカスディメンジョンwwww

かと思えば、うわあ、なんだこれ、
アメーバみたいな奴だとおもったら、次第に人型を形成していって、
触手を多岐に分岐させて、超常現象夢見がち女子高生団長をさらって
コイツも自らの中に入れ、ついでに服も溶かしちゃって、
やりたい放題しているし・・・・

56:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:47:56 YO/b4IP8
中でも目を引いたのは、こりゃ明らかに○学生じゃないかって少女を、
マントを羽織ったどうみても変質者としか思えない奴に、
良いようにイジラレまくってる所だ。
少女は、その変質者の体に、顔だけ残して全身を埋没させられている。
おおかた変質者の体は、触手か何かで構成されているのだろう。
「ん、んぐっ・・・ぷはっ!ふ・・・腐女子なんぞ・・ぅあっ・・・にいっ・・」
さっきから全身を責められて顔は真っ赤、眼はとろんとしている。
にもかかわらず、体をびくびくいわせつつ、上記台詞を何とか口にする少女。
「何を言うか、貴様こそ、元、容姿のままならぬ哀れな男ではないか。
まだ反省が足らぬようだな。クックック」
突然、少女の声のトーンが上がる。
中でおそらく、急所責めが激しくなっているのだろう。
「ひっ・・・んく・・・ひぐぅ・・・や、やめぇ、や・・・」
責められる度に少女は反応する。それまで強がっていた声が弱々しい。
その愛らしい顔はだらし無く緩み、舌を出して喘いでいる。
「腐女子時代には考えも及ばなかった、肌と肌の触れ合い・・・
それが、これ程までに素晴らしいものだったとは・・・
相手が少年でないのが唯一の悔いだが・・・な」
言うと、変質者は、少女の舌に自分の舌を絡ませ、
そのまま口づけに移行する。
クチュクチュと音がし、少女の体がまたピクピクと動く。

「さあ、性を謳歌しよう!」



57:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:49:53 YO/b4IP8
それまですっかり弛緩しきっていた少女の表情があからさまに変わった。
次の瞬間、びくびくびくっと体を反応させ、えびぞる少女。
これ、やっぱり「接合」だよね・・・。
「うぁ・・・うああああぁぁっ・・・はっ、はっ、あぁぁ・・・」
強烈な圧迫と、後に襲いくる強烈な性感に、少女の眼は再び見開かれ、
大きな叫び声が上がる。
「あ、あっ、うぁっ、は、あ、あん、あうん」
動きが早くなるにつれ、断続的なその声は、とてもなまめかしくなる。
「良い感度だ。流石はこの町の住人だな」
そういいつつ、すっかり赤くなった少女の耳を甘噛む変質者。
それが止めとなったか、少女は2・3度強くひくついたかと思うと、
「んあっ・・・うあああああああああっ!」
叫び声を上げながらこれ以上ないほどエビ反り、絶頂する。
変質者の方も、限度だったようで、
「いくぞ、おおおおおおおおおおおっ!」
少女と共にそう叫び、両腕でマントを少女に覆い被す。
恐らく、中で「始めての射精」を味わっているだろう。
変質者は、何とも言えない表情をしていた。

「貴様と私は、なかなかの相性のようだ。
しばしの間、夜伽相手を努めていただこう」
そう言うと、マントの中から黒い鹿を取り出し、
少女を乗せて、立ち去って行く・・・

58:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:51:24 YO/b4IP8
いやぁ~久しぶりに見入っちゃったわよ、私。
自分の好みではないとは言え、あれほど激しいもの見せられちゃ、
心がときめいちゃうってもんだわよ。
・・・さて、賢明な君達はそろそろお気づきかと思うけど、
そう、私は便乗No1の、あのガッツさん。
全身セクシーダイナマイツな、この世界じゃ異色の存在。
腐女子筋肉達のヲチを当初の目的に、この街にきたんだけど、
もしかして秋葉原なら、あらゆる萌えの殿堂であるこの場所なら、
自分を受け入れてくれるものがあるかもしれない、
という期待も、実はあったのよ。

でもね、やっぱり・・・というか、だあれもあたしを見向きしてくれない。
別に襲われたい訳じゃないけど、こうまで無視されちゃ腹が・・・
いや、やっぱり襲われたい、誰か襲いなさいよ!
そうなの、実は私、待ってたみたいね。誰かが来てくれるのを。
今回の凌辱劇を見せつけられて、気づかされちゃった・・・。
もういいわ・・・待ち続けるの疲れちゃった。
こうなったら実力行使。私が、襲ってやるんだから。
腕っ節には自信がある。生命体1匹なら容易に捕まえられるかもね。

59:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:53:31 YO/b4IP8
そこまで思った時、不意に私、高い場所に引きずられていることに気づく。
良く見ると、私の腕に白い触手が巻き付いてるのが分かったわ。
本能的に振りほどこうとする。腕力はあるのでなんとか振りほどくも、
すぐさま別の触手に巻き付かれる、次第に数を増やして行く触手。
突然、ものすごい声が、してきた。

UOOOOOO!!スゥエ~~~クスゥイイィダァイナマァイツッッ!!!

「お、珍しいのが捕まってる♪」
「御神体、御乱心?wwww」
「ちゃうちゃう、御神体は守備範囲が神レベルに広いのさwww」
「この筋肉さんも、出戻りにいくのかぁ、いいなあ・・・」

え?え?私?襲われちゃうの!?!?
そりゃ、選んでくれることは、うれしいけど・・・
わ!わ!わ!いきなりそんな白い体に、私の体を沈めるんじゃない!
ZBZBZBZBとめり込まれていく感触はあまりいいものじゃない。
そうしているうちに全身愛撫が始まった。
ちょwwwwwおまwwwww本気かよとwwwww
あのwwww心の準備ってものがwwwwそのwwww
って・・・


アッーーーーーーーーーーー!!!!!



 * * *

60:ソレナンテ=エ=ロゲ 外伝 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 19:54:13 YO/b4IP8
てなわけで、今のあたいがいるわけよ。
その後は、海岸に投げ出されるわ、妙なもん出産するわ、
ついでに勇者に仕立て上げられるわで、とんとん拍子だったねえ。
しかも、戦士ならいざ知らず、聖職者ねえ・・・wwww
まあ、あるファンタジーラノベを読んだ影響があるのかしらねえwwww
って、おい、あんたら・・・。
全く、もう寝ちまったのかい。人がせっかく話してるのにさあ。
まあいいわ、メンバーも増えたことだし、よろしくね、スク水ちゃんwwww

61:ソレナンテ=エ=ロゲ 閑話休題 ◆Tu16cfxGQ6
07/06/27 20:00:13 YO/b4IP8
以上でございます。読んでくださった皆様感謝の至りorz

本編は、中途のエロシーンがなかなか上手いことつながらず
目下難儀中です(´・ω・`)
こんなわたしめですが、お見捨てなくば幸いでございますorz

余談ですが、私は前スレの神の一人の手による、
「The Kingdom Of The Phallus」のようなシチュが
大好きでございますwwwwww

では皆様、今宵はこれにて・・・。


62:名無しさん@ピンキー
07/06/28 12:26:52 hh9oSN0O
コスプレえっちktkr!(違)

ともあれGJ!
このテンションの高さが俺好み。

63:名無しさん@ピンキー
07/06/28 16:09:22 l/cXoNnq
関係ないけどこのスレ
URLリンク(cncc.hp.infoseek.co.jp)
のソフトトークで読ませると楽チンでオヌヌメ

janeで読ませるならオプション→機能→コマンド

コマンド名
読む

実行するコマンド
"d:\ソフトトークまでのパスを記入\SofTalk.exe" $TEXT

これで選択範囲で囲った文字を右クリックして読む押すとその文字を読んでくれる
興味を持った方はお試しあれ

>>57を読ませてみたサンプル
URLリンク(www.uploda.net)

64:名無しさん@ピンキー
07/06/28 17:01:09 P3zmiXKt
>>63
喘ぎ声やべえw w w w w w w w w w w w w w

65:名無しさん@ピンキー
07/06/28 20:01:45 uzelM2KE
>>63
ワロタ

66:名無しさん@ピンキー
07/06/28 23:59:26 f8aU4tWV
>>63
コマンドとソフトの情報、ありがたく頂いたwwwwww

67:名無しさん@ピンキー
07/06/29 05:25:44 SSgJk5qS
>>63
聞くに耐えんなw

68:名無しさん@ピンキー
07/06/29 19:08:25 /ZmSbCE0
やあ(´・ω・`)
僕触手。僕は人間で言う極細で早漏なんだ
だから昔は皆に馬鹿にされてたんだ
でも僕は誰も出来ないことをやってのけた
それは処女膜を破らずに妊娠させること
これを実行してからは僕の触手生は変わったね。正に薔薇色
周りからの態度も変わった。今では僕はこう呼ばれてるんだ
「音速のパスタ君」……とね。
今から触手特有の仕事があるからこれで失礼するよ

69:名無しさん@ピンキー
07/06/30 00:12:35 GbwuUz4V
処女を破らずにお尻の穴だけで性的な快感を娘さんに教え込んじゃう触手さんとか、
凄く尊敬しますですな。

70:名無しさん@ピンキー
07/06/30 05:45:05 kxjsiOlU
音速のパスタさんは尿道でもやれそうだね
羨ましいな、俺の触手は中肉中背で特徴ないから


71:名無しさん@ピンキー
07/06/30 05:55:47 4LcO97KP
オレもいまから触手特有のお仕事だよ…
たまには手足を拘束する役目じゃなくてアソコにも挿入れてみたいよ…

いまのところオッパイに巻きついて、乳首をこりこりして、顔にぶっ掛けられたのが
一番美味しい仕事だったな。

最近は触手になりたがってる人も多いけど、結構タイヘンなんだぜ…

72:名無しさん@ピンキー
07/06/30 07:32:04 S9F7Aj9L
俺は本数は少ないけどその分太いんだ・・・
だから、やさしくしてあげたいんだけど、みんなすぐに壊れちゃうんだよなぁ…

73:名無しさん@ピンキー
07/06/30 07:42:20 oIwHUWjV
俺……こないだ噛まれたよ
媚薬担当がたまたま風邪で休んでたばっかりに、おまけに愛撫担当の連中は新人ばかりで……
今、労災申請してる
口担当はタイミングが命だぜ!

74:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:37:12 c+R0KqeE
流れぶった切ってニュルニュルして書いた。
××天使なら何でも良かった。今は反芻している。

スレ住人の諸兄にデスパ…、もといインスパイアされて書き上げだ粗品でつ。
原作未プレイにつきほぼオリジナル。設定等におかしな点あったらご容赦を。

75:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:41:14 c+R0KqeE
~粉砕天使ナツメ 前編~

「い、ひぃッ!嫌ぁぁぁぁぁぁあっ!!」

魂さえも吐き出してしまいそうな悲鳴が薄暗がりに響き渡る。
白目を剥いた眼差しは虚空を見つめ、細い背筋は体操競技のようにしなり、
張り詰めた全身の筋肉はあたかも息絶える寸前の虫のように震えていた。

ゴプ…ゴプ…、ゴプ…、ゴプン……………………、ぷしゅ。

間の抜けた音を立てて引き抜かれる肉棒。
その先端から放たれる余剰物が制服に染みを作る。
時を置かずにスカートの中から溢れ出る粘性の液体。
ドサリ、と力なく少女はその身を冷たい床に投げ出した。

「…あっ…あぁ……あ……。か、香奈ちゃん……」

その様子を傍らで眺めていたもう一人の少女は、
目の前に横たわる友人の名をわななく唇で紡ぐことしか出来ない。
つい先程、わずか30分前まで、日曜午前の部活を終え一緒に帰宅路を辿っていた親友。
その彼女は今、変わり果てた姿で仰向けに転がり、股間から真っ白な液体を垂れ流し続けている。

「何で……。ねぇ…、何で香奈ちゃんが………こんな…?」

目の前の光景を受け入れることが出来ず、
虚ろな表情で恵子の口はただ意味を成さぬ問い掛けを繰り返す。

「ヌゥゥゥハァァァ……。ウマイ…。オンナ……、オンナぁ~。もっとだぁ…」

帰ってきたのは冥府の主も思わず布団に潜るようなおぞましい響き。
声の主はブルっとひと度その巨体を震わせると、ゆっくりとその視線を恵子の方へと向け始めた。

「―――――ひッ!」

その絶対的捕食者の眼差しに彼女の身体は竦む。
突如マンホールの蓋を跳ね除けて飛び出して来たあの触手たち。
疑う余地も無く、目の前に居るのはその本体だ。
この暗さではその全貌を捉えることは出来ない。
ただ、その身を揺るがす度に響き渡る地鳴りから、
およそ生身の人間が立ち向かえる相手でない事だけは動かない。
闇の中、大人の拳よりも大きな目玉だけがやたらと目立ち、
その根元から伸びる無数の触手が時折輝いては己の存在を主張する。

76:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:42:38 c+R0KqeE

「次ぃ~。お~ま~えェ~」

「や…、やだ。わ、わ、わ、私やだ!や、やめて!おおお、お、お願い…!」

ズルリと左右から伸びてきた触手がミニスカートの中へと消えていく。
逃げ出すことは叶わない。両腕は頭上で組まされ、何かツタの様な物で縛り上げられているのだ。

「や、嫌っ…。お、お願い、ねぇ。わ、わ、私こんなの駄目。駄目。
 だからッ、他にホラ。な、何か他のをさ、ね?ね?ねえ……ッ!」

恐怖に蝕まれる心が搾り出す哀願の言葉すら相手は意に介さない。
スル、スルリ…、と左右交互に引っ張るようにして、恵子の下着が降ろされて行く。
子供が脱ぎ捨てるように裏返ってズリ落ちていく物体は、
飾り気の無い灰色一色のスポーツショーツ。
陸上の練習を終えてまだ取り替えていないソレは、既に彼女の汗を存分に吸って酷く濡れていた。
外気との隔たりを失った股間は嫌に冷たい。
太腿をゆっくりと滑り、膝の裏をスルリと抜け、
紺色のハイソックスに包まれたフクラハギを静かに進み……。

―――――ビッ。

名残惜しそうにローファーの踵に引っ掛かっていた下着が、
ぬたくる触手の内に絡め取られた。

(だ……駄目。私も………やっぱ…犯られちゃうんだ………)

持ち主の身体から離れブラブラと吊るされているショーツに、
恵子はこれから自分が辿る運命を悟る。
それは傍らで消え入りそうな息をついている友人と同じものだろう。

だが―――――。

(…………………え?)

到達に目の前で繰り広げられる光景が彼女を困惑させた。
触手たちは恵子から剥ぎ取ったショーツをチリ紙のようにクシャクシャ丸めると、
自らの頭をその中にうずめだしたのだ。

(何…………やってるの、……これ?)

亀頭部を包む布切れをしきりに前後させている。
余り気持ちの良い着想ではないが………、
恵子にはマスタベーションに耽っている様にしか見えない。
いぶかしむ彼女を置いてけぼりにして行為は続く。

―――――ブチュ。

(あ……………)

触手たちが一瞬ビクリと律動したかと思うと、次の瞬間、
何か狭いスペースに粘ついた物が注ぎ込まれたような音がした。
程なくして彼女の予想は裏付けられた。
丸まった下着から引き抜かれた触手の引く白い糸によって。

77:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:44:14 c+R0KqeE
(う……うわぁ…………)

思わず唇の端が引きつった。
他にどんな表情を浮かべてよいのやら分からない。
無理も無い。さっきまで自分の穿いていた下着が、
化け物の慰み物となり果てたのだ。
まだ温もりだって消えてはいまい。
とりあえず……その……吐き気がする。

「ヌプゥゥゥウ、よぉし」

それまで黙って行為に熱中していた化け物が口を開いた。

「オレぇ、これがらまたぁ~、狩りに出るゥ~」

「え………あ……はあ?」

どこにあるやも分からぬ口から出てきたのは意外な言葉。
うっかり間の抜けた返事をしてしまう。
つまり……この怪物はこれから巣穴を留守にする……と解釈して良いのだろうか。
とりあえず、差し迫った貞操の危機は回避されたと。
いや―――、むしろ隙を突けば逃げ出す事だって……。

「オマエはァ、その後にだっぷりと吸い取るぅ~」

「…………………」

逃げ出す事だって不可能ではないハズだ。
残念ながらタイムリミットがつているようだが。

この段階までは恵子はそう思っていた。
―――――しかし、

「そぉ~れぇ~まぁ~でぇ~にぃ~……」

怪物は二本の触手で両サイドを引っ張り、
先程のショーツをベロンと広げたのだ。

「オマエのカラダぁ、コレでトロントロンになるぅ~!」

「………………え?」

何を言っているのか、最初は理解できなかった。
化け物の保持する下着には余す事無く塗りたくられた白濁液。
特にその股布部分の内側にはベットリと、いやドッサリと、
液体というより半固体状に近い粘着物が盛り付けられている。

(な、何……するつもりなの、コイツ?)

恵子の当惑を打ち払ったのは、化け物の次なる一手だった。
別の触手が彼女のつま先をクイっと持ち上げると、
そのベトベトになったショーツが両足首に通されたのだ。

(え、う………うそ………)

恵子の顔が驚愕に引きつる。
脱がされたシーンを逆再生するように脚を昇り、
今度は“穿かされて”いくショーツ。
再着用したとき、丁度その股間に触れる部位には、
これでもかと塗りつけられている怪物の体液が。

78:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:45:15 c+R0KqeE
恵子の中で僅か数分前の出来事が回想される。
それまで気丈に抵抗していた香奈が、
この液体を内股に吐きかけられたその瞬間。
彼女は壊れてしまったようによがり、悦び、
全身を恍惚に打ち震えさせたのだ。そしてそのまま、化け物の……餌食に。

つまり……このままだと……、

その液体が……恵子の股間とショーツにサンドイッチされて……、

されて………………。

グチャ…………って。

………………………。

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

声帯が切れてしまうのではないか。
そんな心配までしてしまいそうな絶叫。
頭をブルンブルン振り回し、拒絶の意思を表明する恵子。
先程まで彼女の下腹部を覆っていたポリエステルの生地は、
今や狂気の拷問器具となって元あった場所に迫り来る。

「や、やめて!お願い!分かった!抱いていいから!
 それだけは待って!ねぇってばぁぁぁぁぁぁぁあ!」

脚を閉じ抵抗しても、汚れた下着はゆっくりと歩みを進めて来る。
膝という最終コーナーを抜ければ残りは太腿の一直線のみ。
ゴールテープまでの距離はもう僅かも残っていない。

「やめて、ねえ!ねえってばぁぁぁぁぁあ!!」

触手に持ち上げられながら、丈の短いスカートの中に
滑り込んでいくショーツ。そして……。

―――――クチャリ。

79:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:46:37 c+R0KqeE
「………あ………」

前袋に大量の粘液を湛えた下着は持ち主へと返却された。
触手が離れると、伸びていたウエストのゴムがパツンと閉じる。

「あ……あぁ……。あ……やぁぁぁぁぁぁあ!!!」

まるで秘部に湿布でも貼り付けられたかのような感触。
恵子のクリトリスには化け物のザーメンをジャムのように
塗りたくった薄布が張り付いて、哀れな肉芽は一瞬にして
そそり立ち、秘裂はその唇をワナワナと振るわせ始めた。

「いやぁぁぁあ!取って!取って!これ取って!!
 お願い!脱がして!!もう好きにしていいからさぁぁぁあ!!」

「んぁあ?何言っでるんだぁ~?オマエのぱんつだろぉ~?ムフゥ~」

恵子は目を真っ赤に充血させ、狂ったように腰を振る。
だが、下腹をぴっちり包む下着はズリ落ちる気配など一行に見せない。
当然のことだ。そもそも激しい運動でもズレないのが売りのショーツ。
吸水性も抜群。本来ならば垂れて落ちる運命にある白濁液を完璧な状態で保ち、
じっくりと、十分な時間を掛けて着用者の恥ずかしい場所へと染み込ませ続ける。

「あう……、ひっく……は……ぁ……んッ」

広がる疼きが止まらない。甘く切ない何かが込み上げてくる。
未だかつて味わった事の無い未知の悦びが。
内股から溢れ、太腿を伝わる一筋の光。
これまで一度も使った事の無い割れ目から、
脱水症状を起こすのではと思われるほどの愛液が流れ始める。

「ヌゥゥゥ~ハァァァア~」

その様子に満足したのか、化け物はゆっくりと百八十度旋回。
よがり狂う恵子に背中を向けると、ブルドーザーを引きずるような音と共に
暗闇の中へと消えていった。
向かう先は先刻語られた通り“狩り”なのだろう。
だがそんな事を気に留める余裕は今の恵子に残されていない。
下腹部から広がる愉悦の侵略に呑まれ行く少女。

最後の刹那、その唇は自らと親友の身体を弄んだ蹂躙者の名を紡ぐ。

「デ……デスパイ……ア……ッ!」




80:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:47:34 c+R0KqeE
前線は去り列島の梅雨は明けた。
入道雲の間から降り注ぐ真夏の太陽光。
駐車場を埋め尽くす車のボンネットはさながらバーベキューのような熱さ。
そのフェンスの向こうからはこの季節の到来を待ち侘びていた人々の歓声が聞こえる。

さほど風光明媚という訳でもないこの街でも、つかの間の余暇を愉しむのには難儀せずに済む。
この公営プールもそんなスポットの一ヶ所なのだ。
折りしも今日は夏休み最初の休日。
入場者数は監視員も大わらわと言うほどの大入りである。

だが―――――。
一見しただけでは分からないであろう。
この近郊型のベッドタウンとして賑わう街で、
半年ほど前から若い女性の失踪が相次いでいる事を。
事件は表向き明るい住人たちの心にも暗い影を落としている。
そう、誰もが口にこそしなかったが、その犯人像を確証していた。
数年前、世界各地に突如出現した人類の新たなる敵。
その名は…………………。

「ねぇミッチー!次はホラ、流れるプール行こ!流れるプール!」

「うーん!ちょっと待ってぇ!!」

友人に声を掛けられた一人の女性は、プールの中に落とした髪止めを中腰で探している最中であった。
そんな後姿をじれったく催促するように、プールサイドからもう一度お声が掛かる。

「だーかーらぁー、待ってってばぁー!」

髪を掻き上げ、再度視線を水中に戻す。
友人のせっかちにも困ったものだ。

「……………?」

何だろう。その女性はふと思った。
先程に比べると随分と水の中の見通しが悪い。
なにやら白く濁ってきたような感じた。
オマケになんだ、少し妙な匂いがしたような………。

(あーんもぉ!監視員の人に頼もうかな……)

そんな事を考えていた矢先である。

(………………あれ?)

彼女の足に何か動くものが触れたような気がした。

(何か……………居る!?)

刹那の逡巡。そして次の瞬間―――――!!!

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

突如、女性の身体は水面遥か高く、空中へと持ち上がった。
真っ赤なビキニを身に着けたハリのある身体に絡み付くのは紫色の毒々しい触手。

81:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:48:27 c+R0KqeE
ゴブゴブゴブ―――――ザッバァン

一泊置いて、プールの水が爆発したかのように弾け飛び、
そのなかから巨大な球体が出現する。

「キャア―――っ!!!」

「………で、デっ、デスパイアー!!」

誰もが口々にその名を叫ぶ。
現れたのはこの世のものとは思えないおぞましい化け物。
巻貝を思わせるその外殻は半径だけでも軽く数メートルを越え、
楕円形に広がった入り口からは、無数に蠢くツル状の物体、
つまりはデスパイアの触手が無数に生え揃っている。

捕獲器官の先端は花のツボミのように軽く膨らんで、
その頭頂部にある亀裂からは白く濁った液体が止め処なく溢れ出る。
血の巡りの悪そうな肉色をしたソレは正に欲望という概念を物質化した逸物であった。
その根元には爬虫類めいた縦に走る瞳孔の巨大な目玉が左右にふたつ、
つまりはアンモナイトの化け物である。

「ヌゥハァァア!オンナァ、オンナァ、たぐざんいるゥ~!」

ブルブルっとその身を震わせると、貝殻の中から大量に吐き出されるクリーム色の液体。
その放出物は見る見るうちにプールの水と混ざり合い、
太陽の光を受けてキラキラ輝いていた遊泳場は、
あっという間に白く濁った不気味な液体へと変換されてしまった。

「な、なに!?コレ!?」

「や、やだ……ッ!!」

ツーンと鼻腔を突く栗の花に似た香り。
とてつもなく不潔で生臭い空気が水面から沸き立ち始める。

公営プールは一瞬にして恐慌の渦へと引きずり込まれた。
居合わせた客たちは水から上がろうと先を争ってプールサイドへ殺到する。
それは正に悪夢のような海洋パニック映画のひとコマそのものだ。

「まァずはオマエ~!!」

ヒュンと風切り音が鳴り響き、デスパイアの触手が走る。

「ひっ!や、やめ、や、嫌ァッァァァア!!!」

ザパッと、二十代前半と思しき女性がひとり、触手によってプールから引き抜かれる。
ヌメった肉蔓は、四肢を無茶苦茶にバタつかせて抵抗する彼女を雁字搦めにすると、
その身体を品定めするかのように引き締まったお腹を撫で回す。
塗りたくられた粘液が肌の上を走り、黒一色のセパレーツに染み込んで妖しく光る。

「ひ、ひぃぃぃい!だれ、だ、誰か、助け……!!」

乱暴に持ち上げられるウエストのゴム。
露出した青い茂みをまさぐるように滑り込んで来る肉の塊。
薄く伸縮性に富んだ水着の生地は、その下で蛇でも飼っているかのようなミミズ腫れを作り、
暴れ回る侵入者の姿を外部にアピールしてしまう。
前袋だけを強引に伸ばされたボトムが、グイグイとTバック状に着用者のヒップへ食い込んだ。
フンドシのような姿に変わり果てた水着によって分断された双つの山からは、
デスパイアの粘液と塩素消毒された水が交互にポタポタと滴り落ちる。

82:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:49:34 c+R0KqeE
「ヌプウ~…。そこのォ、オマエはどうだぁぁぁあ~!?」

「え、え、あ……。あぁぁぁぁぁあ!!」

今度は水色の競泳水着姿の女性が手繰り寄せられる。
デスパイアの触手は、ハイレグラインを持ち上げて水着の内側へ侵入を試みるが、
無駄のない綺麗なボディラインにしっかりフィットした合成繊維は簡単には持ち上がらない。

「ヌゥゥゥゥゥウ、ならばァ、こうじでやるゥ~!!」

デスパイアは彼女を顔の真ん前まで近づける。そして、

ヌプ―――――、ぬちゃぁぁぁぁあ………

「ひ、ひやぁぁぁぁあ!あ、あ、あぁぁぁぁあン!!!」

甲羅の中から伸びてきた真っ赤な舌で、その身を股間から胸元まで一気に舐め上げたのだ。
なすり付けられた唾液がジュワジュワ泡立ち、みるみる内に溶解して行くポリウレタン。
伸縮性に富んだ競泳水着はプチュプチュと悲鳴を上ながら着用者の肌を露出させ、
その下で乳房を守っていたパットがポチャンと水面に落ちた。
窮屈なスポーツウェアから解き放たれたバストは弾けるように自らの存在を主張。
それに応えるようにして、陽に焼けていない白い果実にデスパイアの触手が巻き付けられた。

「きゃぁぁぁあ!!」

「早くッ!早くぅッ!!」

真夏の太陽の下、公衆の面前で繰り広げられる公開陵辱を目の当たりにし、
半狂乱状態に陥った客たちは次々と水から上がり、少しでもその場から遠ざかろうと互いに押し合う。

「待ぁぁぁでぇぇぇえ~!逃がずがぁぁぁぁぁあ~!!!」

狩場からの離脱を目論む獲物たち。
その様子を捉えたデスパイアはそ力むように巨体をブルブルと震わせる。
そして…………!!

「逃げるオンナはァ、こうだァァア!!!」

ブパパパ―――――、ベチョ!!

「きゃあっ!」

「痛っ!!」

高圧ポンプで湿った物体を押し出すような音。
次々とデスパイアの口器から吐き出される無数の何か。
放たれた物体はミサイルのように空中を滑り、
プールサイドから逃れようとする女性客たちに次々と着弾する。
命中の衝撃にくずおれ転倒する者も少なくない。
背筋を走るヌメった感触に、恐る恐る振り返ると、
そこには………………!

「嫌ァァァァァア!!」

「やッ!何よこれぇぇえ!?」

「ひ、ひぃぃぃぃぃいッ!!!」

寸分違わず女体に張り付いたソレは、目の前の化け物をそのまま縮小コピーしたような生物。
子供の頭ほどのサイズをしたミニチュアサイズのデスパイアである。

83:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:50:35 c+R0KqeE
「と、取って!誰かコレ取ってぇッ!!」

「は、放して!放して!放してぇっ!!!」

今の世相、デスパイアの好餌を知らぬ者など皆無。
だが、助けに入ろうとする男性たちは、親デスパイアの振り回す触手に容赦無く薙ぎ倒される。
孤立無援の状況下、か細い両腕を酷使し、必死の形相で小さな襲撃者を引き離そうとする女性たち。
しかし、生まれたての兵隊たちは、親譲りの生え揃った触手を巧みに操り、
標的の背中に、腹部に、臀部にガッシリとしがみ付いてまるで離れる気配が無い。
それどころか、そのまま抵抗など物ともせず、劣情が命じる進攻目標めがけてモゾモゾと肌の上を移動。
日焼けした肌に粘液を擦り込みながら、余裕の表情で獲物の股間へと辿り着く。
しして………………!

「ひ、ひぃやぁぁぁぁあ!!」

「や、や、やめてぇぇぇええ!!」

鼠径線を撫で回す触手が肌とウェアの境界線を探り当てた。
瑞々しい肌の感触に燃え盛る化け物たちに対して、水着という衣類はあまりにも無力である。
露出度が高く、生地が薄く、デスパイアたちはその上から自らの粘液を好き放題に塗りたくることが出来る。
女性のボディラインを魅力的にアピールするためのこのスポーツウェアは、
彼らデスパイアにとっては陵辱を待つ性奴隷の布切れそのもの。
美女たちの下半身を守る薄い合成繊維はいとも簡単に持ち上げられる。
その伸縮性に富んだ触り心地と獲物の反応をひとしきり愉しむと、
子デスパイアたちはぬたくる拷問器具をその下へと潜り込ませてきたのだ。

「誰かァ!誰かァァァァあ!!」

「い、い、嫌ァ!嫌ァ!い、い、いぃぃぃぃい!!」

「助けて!たすッ、た、た、たす、助け………っ!!」

辺り一面に繰り広げられる陵辱地獄絵図。
脚を閉じて抗おうにも、秘裂の真下には布地一枚隔てて巨大な果実が吊るされている。
どう頑張っても犠牲者たちはそれを剥き出しの太腿で挟む事しか他に出来ない。
うら若い水着姿の女性たちが、恥ずかしい場所に謎の球体をブラ下げて、ガニ股でもがく異様な光景。
まるでプールサイドが何か妖しい儀式の祭礼場にでも変わってしまったかのようだ。

腰を滅茶苦茶に振ったとろで、慣性で剥がれて飛んでいく程ヤワな生き物ではない。
まるで自分たちが今年の新作水着だと言わんばかりのその態度。
逃げ出そうにもこの姿である。走ることは勿論、満足に歩くことすら叶わない。
狼狽のあまり、デスパイアごと水着のボトムを脱ぎ捨てようとする女の子もいるが、
恥部から尻をグルリと一周して獲物をホールドしている触手の前ではそれすら不可能。

「きゃっ!……や、やめて!!」

「な、………やだ、なんなの、コレ………」

「や、やめて……。なんか、………やんッ」

柔らかなデルタの膨らみを、真っ赤な舌がゆっくりと舐め回す。
塗りたくられる粘液は肌色の三角州に生える茂みでもってしても湛えきれず、
ヴィーナスの丘をトロリと滑り落ち、その下でヒクつく肉芽を濡らす。
理性を溶かし、欲情の苗木を育む魔の液体肥料。
硬く尖ったピンクの突起がふたつ、パットを入れた水着の上からでも判別できるほどそそり立つ。
やがて流れ落ちる唾液には被害者自身の分泌液が混じり始め、
カラフルな流行の水着に他人には見せられないシミを広げていく。
―――――そろそろ頃合だ。

84:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:51:43 c+R0KqeE
「ヌフゥゥゥウ!ト~ロトロだぁ、ト~ロトロだぁ。
 いっぱい吸っでぇ、もぉっど大きくなぁるぅ~!!」

大元の巨大デスパイアはその触手を総動員して、一度に十数人もの女性たちを絡め取っている。
ツーピースの水着を身に付けていた女性は、そのボトムをクルクルと、よじれた縄のように丸められて降ろされ、
ワンピース水着の着用者は、肩紐を二の腕の半ばまで外されて乳房を振り出し、
肋骨辺りから下の生地はドロドロに溶かされ、桃色の下半身は真夏の太陽の下に暴かれていた。
皆揃って多量の粘液を浴びせられ、潤んだ瞳は虚ろに垂れ下がり、声帯からは既に悩ましげな囁きが漏れ始めている。

「ヌフゥ。そぉろそぉろかなぁ~?」

真っ赤なビキニのトップがグイっと持ち上げられ、
カップの拘束から放たれた白桃がブルンと振動する。
一番最初に囚われた、あの髪止めを探していた女の子だ。

「あ……あんっ!ひ……ぁ………あうっ!!」

童顔に似合わぬ豊満な乳房が揉みしだかれる。
ゴム鞠のように姿を変え、形を変える健康的な脂肪の塊。
喘ぎながら首を振る度に、瞳の淵に浮かべられた涙が空中に踊る。
その反応にデスパイアは満足の笑みを浮かべた。
出来上がっている。完全にスイッチが入ったようだ。

「ムゥフゥフゥ~!いよぉぉぉし!」

ニチニチと、触手の先端を包む包皮がめくれ始める。
徐々に姿を見せ始めた責め具の真の姿。
それは正に大小無数のイボを有する肉の矢尻。
まるで真っ赤なゴーヤそのものである。

「ムフっ、それではぁ~」

グイっと、その切っ先は潤んだクレヴァスにあてがわれる。
既にクリトリスは限界までその身を膨らまし、
弛緩し切った谷間はドロドロとヨダレを流しながら、
目の前で焦らす果物を咥え込もうと躍起だ。

「い~ただ~きまァ~ず!!!」

85:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:52:28 c+R0KqeE
クチュ―――――ズ、ズ、ズ、ズ、………ズン。

「ぁ…ぁ…ぁ…ふぁぁぁぁぁあ!!!」

「ひぃぃぃぃぃぃい!!!」

「んあッ……あ…あ…あ……あんっ!!」

一糸乱れぬシンクロ率で実行された挿入。
子デスパイアたちもそれに続き、獲物の股間にブラ下がったまま、次々とドッキングを開始。
中には手違いで後ろの穴に差し込んでしまった個体も見受けられる。

真っ赤な逸物は突き刺さるや否や、即座にその身を膣壁に合わせてググっと膨張させ、
ちょっとやそっとでは抜ける事の無いよう、ガッチリとロックをかける。
止まる事無く漏れる悲鳴。足の指はピンと張って開き、腰がガクガク打ち震える。

だが、その腰の動きもデスパイアがゆっくりと抽送を始めるにつれ、
滑らかに、艶やかに、官能的な躍動へと変わり果てていく。
それは触手の突き上げから逃れる動作でもなく、
下腹部の痛みを誤魔化すための運動でもない。
まさに………受け入れた異性のモノに送る情熱的奉仕のうねりである。

「あン……、あン……、あン……、あ……」

「ふくッ……、はァ……、はァ……、はァ……、はんッ!」

欲望の果ての盲目的なグラインド運動。
先程まで悲鳴を搾り出していた喉までもが、いつの間にやら悦びに打ち震え、
蹂躙者をより盛らせるための嬌声を放送している。

「ぬゥ~ぷゥ~ぷゥ~!いいぞ、いいぞぉ~、いいごえだぁ!
 それじゃぁ~、すごし早いけど、ご褒美をォ~、あァげようがァ~!!」

それまでウネウネとその身を波打たせていた触手たちが動きを止め、
あらん限りの海綿体をググっと膨張させ全身を力ませる。
真っ赤なデスパイアの口から漏れる長く熱い吐息。
………間違いない。出すつもりだ。もちろん中に。
熱く煮え滾る欲望が咀嚼された大量のスペルマを。

「これでオマエだち、みィ~んなオレのお嫁ざんだァ~!!」

収まり切るハズもない膨大な白濁液が、
凶器の先端から放たれようとした正にその瞬間――。

86:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:53:24 c+R0KqeE



―――――ザシュ。



「――――ヌゥ!!」

果実をナイフで抉るような残響。
デスパイアの右顔面に突き立てられたのは光の矢。
続けざまに三発の閃光が巨体めがけて飛来する。

「ぬぅばぁぁぁぁア!!」

デスパイアの反応も早かった。
眼球目掛けて殺到した光条を間髪入れず貝殻で受け止め、
犠牲者の胎内に注がれる予定だった液体はすかさず別の触手に充填。
攻撃の飛来方向、ウォータースライダーの天辺めがけ放つ。

「…………チっ!流石に硬いわね」

すぐさま宙に舞う黒い影。
一泊送れて着弾した白濁液が遊具を鳥モチのように覆い尽くす。

「逃ィがァずゥがぁぁぁぁぁあ!!」

その影がプールサイドに着地する瞬間を狙って、
先端部を刃物のように角質化された触手が放たれる。
その切っ先が標的に到達しようとした刹那――。

「はぁぁぁあ、―――――ヤァッ!!」

気合一閃。唸りを上げる巨大な鉄の塊。
真横からの乱入者が放った一撃をマトモに食らい、
デスパイアの武器は中腹から跡形も無く吹き飛とんで、
ベチンと、ここより遥か彼方のビル外壁に叩きつけられた。

87:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:54:50 c+R0KqeE



―――――ザ………。



ふたつの対照的な影がプールサイドに並び立つ。

黒一色の、喪服を思わせる装飾の少ないシックな衣装。
足首まであるロングスカートから伸びる細い踵。
その左手には漆黒の衣装に良く映える紫色の洋弓が握られ、
右手には同じ彩のアーチェリーグラブが填められている。
肩に少し掛かるか否かといった長さのプラチナブロンドの髪。
その隙間からは灰色の瞳が二つ、ガラスで出来た刃の様な冷たさを湛えながら、
眼前の狙撃対象を瞬きひとつせず見据えていた。

その傍らに控えるのは白い影。
あからさまに装飾過多な、フリル満載の純白のドレス。
足元には児童文学のお姫様でさえ遠慮するのではと思われる輝かしい靴。
ふくよかな胸元にはペールブルーのリボンがあしらわれ、
慎ましやかな真夏の微風にその身を任せている。
………………そして何より目を引く物体。
細い腕に握られているのは、少女趣味爆発の立ち姿とは余りにもミスマッチなシロモノ。
主力戦車の正面装甲さえも容易く叩き潰すのではと思われる巨大な鉄槌であった。
身の丈ほどもある柄に備え付けられた、紛う型なきスレッジハンマーである。
背中まで伸びた黒髪をなびかせ、強い意志の宿った漆黒の瞳は、
粉砕すべき標的を一直線に捉えて放さない。

「………来ぃたぁなぁ~!えんじぇるどもォ!!」

五臓の底から相手を呪い、大親の化け物は捕らえていた女性たちをプールサイドに放り捨てた。

「まだ陽が高いってのに、随分と羽振りがよさそうね」

チラリと周囲に視線を配り、ブロンドの少女が口を開く。
辺り一面には触手を差し込まれ、よがり狂う水着姿の女性たち。
その股間に張り付くデスパイアの子供たちは、二人の乱入者もお構いなしに、
哀れな犠牲者の陰部と陵辱遊戯に明け暮れている。

「私たちは今すこぶる機嫌が悪いわ。誰のせいかは言うまでもないわね。
 ま、手間は取らせないわ。―――――大人しく消えなさい!」

「ブシュルルルルルル!ほーざーけぇぇぇえ!オマエらもオレの嫁にじでやるぅ!
 トロントロンにしてぇ、脚ぃ開かせてぇ、めぢゃぐぢゃに流し込んでやるぅ~!」

デスパイアの陵辱宣言も終わり切らぬ内に、二人の踵は地を蹴っていた。
プラチナブロンドの少女、エミリアが手甲をかざすと、そこには光の矢が出現する。
すぐさま握り締めた洋弓<クロイツァー>にノッキング。
灰色の瞳はエイミングを開始する。

88:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:56:19 c+R0KqeE

「エミィちゃん!どっちからやっつけるの!?」

並走する黒髪の少女がエミリアに訊ねる。

「決まってるじゃない!デカブツからよ!!」

「でも!小さいのに捕まってる人たちが……!」

「親玉が先よ。元締めを叩かないと堂々巡りだわ」

「わ、わかった!!」

純白の少女、ナツメが自慢の鉄塊を振りかざす。
対デスパイア用戦闘槌<フロムヘヴン>は内蔵タービンを唸らせ、
灼熱を帯びて自らの纏う魔力を最大限まで昂ぶらせた。

「ぶじゅぁぁぁぁあッ!!」

デスパイアが一際巨大な一振りを天高くかざし、
軟体の下に隠れた全身の筋肉を軋ませ打ち下ろす。

―――――ズズゥ…ン。

即座に二人の天使は散開。
空振りに終わった渾身の一撃はプールサイドのタイルを
落ち葉か紙屑のように打ち上げる。

「……まずは搦め手からってね!!」

着地を待たずしてエミリアは張り詰めた弦から光の矢をリリース。
立て続けに二発を放ち、計三発の閃光が触手を強襲。
デスパイア本体を護る様に配置されていたそれを串刺しにする。

「ピギィィィィィイッ!!」

「………………っ!?」

その攻撃が合図になったかのように、
辺りを埋め尽くすデスパイア・チャイルドたちが次々と獲物の股間から離れ跳躍。
母体に加勢すべく更なる矢を番えようとするエミリアに殺到する!

「―――えぇーいッ!!」

どこか平和的な一声と共に唸る剛の一撃。
エミリアの前に立ちはだかったナツメが鉄槌を一振り。
眼前の標的に組み付こうとしていた雑兵達は、
その直撃の前に原形を留めぬどころか粉末状にまで砕かれ四散した。

その大降りの隙を狙い今度は本体から触手が伸びるが、
放たれた肉蔓はナツメの身体に到達する前にエミリアの矢に貫かれた。

89:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:57:23 c+R0KqeE

「今のナイスよナツメ!サマになってきたじゃない」

「でもっ、これキリがないよ!!」

「分かってる!速攻で決めるから!準備して!!」

「りょ、了解!!」

ナツメの返事を待たずにエミリアは詠唱を開始。
右手のグラブに光芒が集まり静かに大気を揺るがす。

「リカーヴ<クロイツァー>……モード変更、ベラーゲルング!!」

ヴァイオレットに輝く手甲の内に現れたのは一際太い光の柱。
すぐさま巨大な矢は弓にマウントされ、その中心にはターゲットレールが出現。
凍てついた湖面の如き瞳を凝らし、視線はその先に佇む標的を捕捉。
強靭な装甲から僅かに露出した一点を狙う。
―――――そして!

「―――――フォイア!!」

弓鳴りはたった一発。
だが、撃ち出されたのは視界を覆いつくさんばかりの無数の閃光。
それはまさに光の雨<リヒト・レーゲン>。
世界の全てを飲み干しながら、あらゆる邪念を殲滅する濁流がデスパイアに迫る。
―――――しかし!

「なァッめるぬァァァァァァァア!!!」

デスパイアの咆哮。
本体を取り囲んで伸びていた触手たちを前面に集中。
全身の血液を凝縮し、ギシギシ唸るそれを天高く、
遥か上空に振りかざし………、

ザッ………バァァァァァアン―――――!!!

………打ち下ろした。
高圧線に迫る高さまで建立された水の壁。
岩も砕けんばかりの水圧に弾かれ、光の軍勢は宙に舞う。
攻撃は失敗……………に終わったかに見えた。

「…………ンなぁ!?」

化け物の顔が驚愕に引きつる。
弾かれた無数の矢は空中に静止、標的を中心にズラリと円陣を組んでいる。
獲物を取り囲み、牙を剥き、今まさに飛び掛らんとする猟犬の群れ。
スーっと、エミリアの腕が持ち上がり、グラブに包まれた人差し指が標的に向けられる。

「――ラヴィーネッ!!」

沈黙は決壊。次々と獲物に襲い掛かる牙。
雪崩打つ光の渦にズタズタに引き裂かれる触手。
怪物は狂乱の嵐を振り払おうと足掻くが、
幾百の腕を以ってしてもその猛攻は捌く事叶わず。

90:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 12:58:45 c+R0KqeE
―――――ズブリ。

「ぬぅギャァァァァァァァァ……………ッ!!!」

その内の一筋が水晶のような右目を貫いた。
止め処なく流れ出る青い血液。
尚もジリジリと傷口を焦がす矢を抜き払おうと腕を伸ばすが、
巻きつけた触手までもが光の魔力に焦がされ炭と化す始末。

「ヌゥゥゥ、ヌフゥゥゥ………!」

怒りと屈辱に牙をガチガチ鳴らし、潰れていない方の目で敵の姿を探すデスパイア。
だが、その策敵行動の成果は……………………まさにその瞬間、
スレッジハンマーを振り下ろすナツメの姿を捉えたに過ぎなかった。

「ハアァァァァァァ―――――………」

右肩に大きく振りかぶられる鉄塊。
斜め上空四十五度からの急降下と共に放たれようとしている大打撃。
ゴゥンゴゥン唸りながら<フロムヘヴン>は猛り狂い蒸気を吐き出す。
先刻までどこかおっとりした印象を見せていた黒い瞳は、
怖れも慈悲も躊躇も宿さず、今から叩き潰す手負いの肉欲獣を捕縛して放さない。

フワっと、長い黒髪が風を切った。

「………――――ヤアッ!!!!!」

―――――ゴッ。

音とは、その規模が余り甚大であると人間の聴覚でもって認識されない。
故に、この一撃のインパクト音はホンの一瞬であった。
爆音の代わりに周囲を染めたのは………………まばゆい光。
白昼、もうひとつの太陽が降臨したかのように怪物と少女の姿は光に飲まれる。
一人と一匹を中心に、水面は月面のようなクレーターを形成。
敷き詰められたタイルは波打ち、窓ガラスは弾け飛ぶ。


―――――ズズゥゥゥゥゥン。

「ぬ……アァ……ぶふぁッ!がひゅ……、がひゅ……ゴブっ!」

何が何だか、本人にも認知できていないであろうカラフルな液体を吐き出すデスパイア。
圧倒的強度を誇っていたその貝殻には、大人が優に出入りできるような大穴が空けられ、
その下に露出した皮膚までもが衝撃と高熱に曝され、ジクジクと血液を噴出していた。

91:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 13:00:03 c+R0KqeE
「………っ!まだ生きてる!!」

必殺の一撃<ジャガーノート>を受けてもなお絶命しないその生命力にナツメは驚愕。
だが、敵は相当弱っている。歴戦の猛者とは言えない彼女の観察眼を以ってしても、
二発目を回避する体力がおよそ残っていない事は断言できた。
止めの一撃を加えるべく、ナツメは<フロムヘヴン>を再び構え―――………。




「跳びなさいナツメっ!!」

背後から掛けられたエミリアの声。
デスパイアの身体が一瞬、膨張したか見えた。
―――刹那の攻防。
頭で判断するよりも早く、ナツメの脚はありったけの魔力と筋力を集め、地を蹴っていたのだ。



ごぷ……………―――――ドボボボボボボッボップァ!!!



敷地全体を飲み干すのではと思われた白い爆発。
一体あの身体のどこにコレだけの体液が収められていたのか。
質量保存の法則を疑わせるような射精が敢行された。



「……………ナツメ、無事?」

「……な、なんとか。エミィちゃんのお陰で」

すんでの所でナツメは売店の屋根の上へと逃れていた。
一方のエレミアはスピーカー塔の上。
細い鉄柱の上に爪先を使って器用に立っていた。

「………ちッ!まんまと逃げおおせたわね。あと一歩のとこだってのに」

まかり間違っても被りたくない煙幕が落ち着くと、既にデスパイアの姿は無かった。

「どうやって逃げたんだろ?とても動けそうな感じじゃなかったのに……」

「多分、ブッ放しながらザーメンの上を滑って行ったんでしょうね」

「う………うわぁ……。ソレは豪快というか、余り見たくないというか……」

エレミアの冷静な解説にナツメの顔がゲンナリと崩れる。
ハレンチ極まりないスケーターが滑っていったと思われる方角にはキラキラ輝く白濁液の川。
重機で抉ったような爪跡をタイルに刻み、フェンスをブチ破り、プール裏手の緑地の中に突っ込んでいる。
ファインダーに収めておけば、色んな賞が総ナメにできた。………かもしれない。

92:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 13:02:36 c+R0KqeE

「でー……、これからどうするの?」

「何言ってるの!追うわよ!!」

「あう、やっぱり………」

エレミアの返事にナツメが嫌そうに溜息をつく。
あんなもモノ、頭から被ったら青春台無しどころでは済まされない。

「エンジェルがビビってちゃダメ!引き摺ってでも連れてくわよ!」

「あー、うん。わかってるって―――――」

はァ、―――――あぁぁぁぁぁあンっ!

「…………えっ!?」

突如湧き上がった悩ましげな嬌声に、ビクっと二人の声が揃う。

「な………、何なのよ………これ?」

「……………………」

眼下に広がる光景に、思わずナツメは声を上ずらせる。
一方のエレミアは黙って表情を押し殺しその景色を見つめていた。

「あん、あん、あぁぁぁん………あっ!」

「はう……キモチ………いい……ッ」

「はぁ……、はぁ……、はぁ……、うんッ!」

プール全体を洗い流すようなスペルマの海の中で、
先刻までデスパイアに嬲られていた女性たちが悦びに打ち震えている。
どうやら奴の吐いた白い煙幕、いや、精液の大洪水に巻き込まれたらしい。
水着は一人残らず溶かされて汗ばむ身から剥がれ落ち、
先っぽを尖らせた乳房がブルンブルン踊る。
恥部に生い茂る艶っぽい繊毛は日光に曝され、
陰部から流れ出る愛液は真っ白な空間を希釈していく。

膝下までつかりそうな精液の上を流れていく色とりどりの水着の破片。
惨めに汚され尽くしたこの夏の流行の残骸。
ナツメの立っている売店のすぐ下で、
一着の黒い紐ビキニが音を立てて小さくなっていく。
すぐ傍には持ち主と思われるロングヘアーの女性。
右手で自らの乳房を揉みしだき、左手は股間の秘裂へ。
その顔は既に理性を宿さず、極上の歓喜に打ち震えていた。

「ひ………あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁあぁあん!!!」

次々と絶頂の叫びが上がり始める。

「――ナ――メ、―――ツメ、ナツメ!!」

「……………あ!?」

エミリアの声に彼女は再度ビクリと身体を震わせ、我に返る。

93:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 13:03:53 c+R0KqeE
「ナツメ、気をしっかり持ちなさい。彼女たち、これでも助かった方なのよ」

「え、あ、うん。…………でも」

ナツメは考えてしまう。
この人たちは、何か悪い事をした訳でもない。
家族と、友人と、恋人と過ごす今日のひと時を、ただ楽しみにしていただけだ。
なのに………いきなり化け物に襲われて、無理やり……されて、女の誇りも奪われて、
こんな格好にまでさせられて、お気に入りの水着もボロボロで、
最後はみんなが見てる前で、自分のカラダを―――。

「な…、ナツメ!待ちなさい!!」

彼女たちの元に飛び降りようとしたナツメを慌ててエレミアが制す。

「な、何でよエミィちゃん!助けてあげなきゃ!!」

潤んだ瞳でナツメはキッと戦友を見つめた。

「違うわよ!今あの中に足なんか突っ込んでみなさい!
 靴なんかアッと言う間に溶けて、あなた彼女たちの仲間入りよ!?」

珍しく強い視線を投げ返してきたナツメをエレミアが諭す。

「……………で、でも」

尚もうろたえるナツメの隣に、エレミアは跳んで来た。

「いい、ナツメ?良く聴いて頂戴。もうじき救護班が来るわ。
 彼らはプロだから、あの人たちはそっちに任せて置けば大丈夫。
 私たちがヘタに手を出しても何ひとつ好転しないわ。わかる?」

「………………」

同い年の先輩の言葉に、ナツメは瞳を伏せて頷く。

「そうよ、私たちに出来る事はあのデスパイアを仕留める事。
 あいつ、手負いだからきっとこれから他の女性たちを次々襲うわ。
 そしてこっから先の被害者はこんなモンじゃ済まされない。
 それどころか、完全に再生してしまえば、勝てる保障だって無いの。
 こっちは今の戦いで手の内明かしちゃってるんだから。
 モタモタすれば………次にこうなるのは私やナツメかもしれないのよ?
 だからそうなる前に、私たちが奴に引導を渡すのよ。いいわね?」

94:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 13:04:38 c+R0KqeE
エレミアの言葉は正論だ。
さほどお喋りではない彼女が、ナツメの為にここまでまくし立てているのだ。
一緒に戦うようになってまだ日は浅いが………、
彼女の気持ちだけはしっかりとナツメに届いていた。

「………うん。ごめん。無茶言っちゃって」

「………………ふぅ」

ようやく出てきたナツメの言葉にエレミアは顔を綻ばせ、ポンっと後輩の肩を叩いた。
そしてすぐさまいつもの表情に戻ると、漆黒の衣装を翻し跳躍。
遊具や建物を飛び石代わりにして、白い海の上空を駆け抜けていく。
目指す先はデスパイアの消えた緑地。
一拍遅れてナツメがその後に続く。



あぁん……あん……あん……あぁぁあん、あん

はぁ、あわわ、んぁ‥‥んんンー

イクっ、イクっ、うそ、もう、イク‥‥ん、ハァ、ひぃ



どこまでも続く痴態の沼。
下から沸き立つ甲高い喘ぎに後ろ髪を引かれながら、ナツメは宙を駆ける。
エレミアに諭された今でも、この声を聴くと逃げている気分に囚われてしまいそうだ。

「……………………」

もう一度、頭の中で彼女の言葉を反芻し、片隅の迷いを打ち払う。

負けられない……。絶対に、負けられない。

95:戦いは数だよ@兄貴!!
07/06/30 13:09:13 c+R0KqeE
ちなみに書いてて結構な長さになったんで、前、中、後編に区切った。
通しでほぼ完成してるので、軽くチェック入れて一両日中にでも続きうpる予定。
お付き合い頂けたら幸いでつ(´・ω・`)

96:名無しさん@ピンキー
07/06/30 13:34:32 KMgAAcBO
>>95
おつ><
続きが気になって出かけられません><

97:名無しさん@ピンキー
07/06/30 14:01:38 9hjEdTRp
ドズル閣下乙であります
自分も天使SSの続き書きたいが時間無くて一字一句書いてない…orz
デスパイアより凶悪ですよリアルは…

粉砕天使か…夢は広がる

98:名無しさん@ピンキー
07/06/30 14:14:49 5glUzhF2
ムッハー
なんという長編w
続きまってます

99:名無しさん@ピンキー
07/06/30 16:55:27 QoRb36C/
ナツメに足突っ込んでもらいたかったw

続きに期待!!

100:名無しさん@ピンキー
07/06/30 17:10:13 CHdMKiZj
粉砕天使…クラッシュエンジェルってところかな?
とにかく続き続き!!

101:名無しさん@ピンキー
07/06/30 22:12:34 aJUAI4iq
>>100
クラッシュだとなんか自分も壊れてるみたいで縁起が悪いようなw
スマッシュ(強打)も粉砕の意味があるらしいからそっち方面どうだろ?
何はともあれGGJJです

102:名無しさん@ピンキー
07/07/01 03:46:29 7hOKnmum
>>95
GJ! GJ!
>>79の粘液おいしすぎw
女子校のプールに混入して…(*´д`*)ハァハァ

103:名無しさん@ピンキー
07/07/01 12:07:02 +WgCLttf
普通に「クラッシャーエンジェル」でイージャン!
とりあえずGJ!!!!

104:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:40:11 uR6/l2mU
ぶっちゃけ横文字タイトルは全く考えてなかったわ。とりあえず>>103でおk。
漢字的には“破砕天使”の方がカチョエエんだけど、これだと重機みたいだし。

ってな具合で中編入りますん。

105:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:42:03 uR6/l2mU
~粉砕天使ナツメ 中編~

「どうやらここがヤッコさんの隠れ家みたいね」

「………うん。たぶん」

緑地の最奥部。殆ど手入れが行き届かず、
雑草が腰の高さまで生い茂る一角で二人は足を止めた。

「…………………」

ベトベトに輝く軌跡はここで途絶えていた。
地盤沈下でも起こしたようにボッカリと巨大な穴が天を仰いでいる。
まるで空を飲み干そうと大口を開ける深海魚。
知らずに通りかかれば思わず足を踏み外してしまいそうだ。

「下に………足場が見えるね」

「とりあえず、降りるわよ」

着地地点に例の液体が付着していない事を確認すると、
エミリアは颯爽と暗闇にその身を躍らせる。
爪先が足場を捉えるのと同時に膝立ちで<クロイツァー>を構え策敵。
ざっと周囲を確認し、敵が近くに潜んでいないと見ると、
頭上のナツメに合図。彼女もその後に続く。

「驚いた。人工空間ね。ボイラー室……それともポンプ室?」

右手に出現させた光の矢で、エミリアは辺りを照らし呟く。

「この林っていうか空き地は3年前まで浄水場が立ってたの。
 さっきのプールもね、その跡地を使ってるんだよ。
 この街の海は殆ど護岸工事されてて、泳げる場所なんて無いから」

「へぇ………、あなた随分詳しいわね」

「うん、中学のとき、社会科のグループ研究で丁度これがテーマだったの。
 住宅環境に配慮した新構想の衛星都市型公共施設モデル、ってゆーので」

「なるほど。やっぱこーゆー時、地元の人間は強いわね」

「あ、でも実際に入るのは初めてだから、あまりアテにしない方向でお願い」
 
コツコツと二人の足音が闇の中を響く。
後から大型の機材を搬入できるように余裕を持って設計された間取は、
まさにバブル期の建造物ならではだ。
ここならあのデスパイアも十分に出入りできる。

106:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:43:03 uR6/l2mU
「気をつけなさいナツメ。可愛い女の子がこの手の場所に絡むと、
 かならず、きゃー、いやー、って襲われちゃうのが昨今の相場よ」

「ヤ、ヤな相場作らないでよー!」

「そんでナツメはきっと、やめて下さいー、とか言っちゃうタイプね。
 相手を余計に盛らせるから、よしといた方がいいわよ。そ~ゆ~の」

「なによそれ!言わないってば、もー!」

緊張を解そうとしているのか、はたまたプレッシャーを掛けようとしているのか。
そんな先輩にオドオドとスレッジハンマーを胸元に抱き寄せてナツメは抗議する。
いじらしい後輩の反応を楽しみながらも、エミリアの手は大きな金属製の扉を探り当てた。
大型の作業用車両が優に二台は並んで通れるような巨大な造り。
恐らく開閉は電動式だろうが、今は完全に動力が死んでいた。
しかし…………稼動部だけは見事に埃が落ちている。
つまり、とてつもない馬力を持った誰かが力ずくで開け閉めしている証拠だ。それも頻繁に。

「……………ビンゴね」

エミリアは静かに弓を持ち上げ、矢をつがえる。
その後ろで黙って頷くナツメ。
ゆっくりと<フロムヘヴン>を振りかぶり、ヒタリと扉に寄り添う。
聞き耳を立てても扉の向こうは沈黙を堅持。となれば仕方が無い。

「……………準備は?」

「……………オッケー」

ナツメが指を三本立てて合図。
エミリアが黙って頷く。

「イチ、ニィ、サン、……えいッ!!」



――――ゴォン。



唸るスレッジハンマー。突風に煽られるトタン屋根のように吹き飛ぶ扉。
現れた前方の空間にすぐさま<クロイツァー>の照準が向けられる。

「…………………」

「…………………」

しかし、その先には何も居なかった。
今までと同じ薄暗がりが延々と続いている。
ふぅ、と肩で息をつき、エミリアが弓を下ろす。
―――――しかし次の瞬間!

107:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:44:06 uR6/l2mU
「きゃぁぁぁあ!!いやぁぁぁあ!!」

すぐ背後から後輩の悲鳴が。
エレミアは振り返りながら跳び退ると間髪居れずに弓を構える。
その先には……………。

「べー」

舌を出しているナツメ。

「さっきのお返しー」

「こ、…………この…ッ!」

麗貌を怒りに引きつらせるエレミア。初めて見せる表情だ。
大股で百八十度回頭するとゴスゴス足音を立てながら彼女は先を急ぐ。

「ナツメがデスパイアに捕まったら、助ける前に小一時間ほど見学させて貰うわ」

「あー!ごめん!ごめんってばー!!」

「ついでだから記念に一枚撮ってあげようかしら?話の種に丁度いいわよ?」

「だーからー!ごめんってばー!」

肩を怒らせスタスタ行ってしまう影を慌ててナツメが追う。

地下の敷地は相当広そうだ。ここだけではない。
この街にはこんな閉鎖施設が至る所に点在している。
昭和初期は軍港。戦後は臨海コンビナート。高度経済成長期は娯楽都市。
そして平成以降は新興住宅地。なかなか方向性が定まらず、
試行錯誤の下に続けられた開発は思わぬシワ寄せを呼んでいる。

化け物たちにとっては正に穴場だろう。
その不届き者を排除するためにエンジェルが投入され、
それを狙って新たなデスパイアが近隣から集まり、
………………事態は収束のメドが一向に立たない。

このままではいずれ街の若い女性全てが連中の性欲処理器具にされてしまうのではないか、
そんな空恐ろしい未来像さえも、エミリアには笑い飛ばせないのが辛いところだ。

108:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:45:24 uR6/l2mU
「―――――あっ!エミィちゃん!!」

「……………今度はなに?」

また冗談だったら承知しないとでも言いたげなジト目で振り返る。
ナツメが指差すその方角を光の矢で照らすと、そこには………。

「……………いよいよ殴り込みね」

乗用車が複数台まとめて通れそうな空洞が大口を開けていた。
僅かな照り返しを受けて真新しい粘液の跡がキラキラ光る。
二人は互いに頷くと己の腕に抱く武器の状態を再度チェック。
悪魔の巣へと足を踏み入れた。



「酷い匂い………。鼻がバカになるわね」

建材で構成された洞窟から岩盤の魔窟へと舞台は移り変わる。
エミリアの言う通り、凄まじい臭気が充満している。
生乾きの精液から沸き立つ悪臭。堪った物ではない。

「これってやっぱ、男の人のアレの匂いだよねぇ……」

「あ~ら、随分詳しいのね。ま、お年頃だから仕方ないけど」

「なっ!ヘンな事言わないでよ!これってエミィちゃんが読めって渡してきた
 対デスパイア用なんとか必勝マニュアルに書いてあったんだからね!!」

「ああ、アレね。企画の段階で古い友人が参加してたから仕方なく
 受け取ったんだけど、どうにも家に置いときたくなくて」

「そ、それで私に押し付けたのー!?」

「いらなくなったら古本屋にでも持ってきなさいな」

ナツメがどれだけ恥ずかしい思いをして読破したことか、彼女は知らないらしい。
実際、今も家に置いて来たソレが家族の目に触れやしないか気が気でないのだ。
ちなみに件の大量破壊兵器はベッドの下奥深くに蹴り込まれ眠っている。
中学一年生レベルの隠し場所しか思いつかない自分にも泣きたくなった。

いらぬ心配事を打ち払うように首を振り、視線を前方に戻す。すると、

「エ……エミィちゃん。あれ………なに?」

「…………………?」

震える声で呼びかけるナツメに、エミリアはその視線を追う。
洞窟の壁面で、何か僅かに動いているようだ。
嫌な予感はしたが、見過ごす訳にもいかず、その方角に灯りを向けてみる。
そこには…………………。

109:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:47:18 uR6/l2mU
「酷い……………」

駆け寄るナツメの背中を、周囲に警戒しながらエミリアも追う。
彼女が見つけてしまったのは……………囚われの身の女性だった。
気を失って動かない。まだ若い、新人のOLだろうか。
上半身を包むのは真新しい黒のリクルートスーツ。
だが、下半身の方は……………何も穿いていなかった。
剥き出しの陰部は真っ赤に腫れ上がり、そこから下はベットリと、
思わず目を背けたくなるような量の白濁液が垂れている。
溶かされず僅かに残ったパンストの名残が膝から下を申し訳程度に包んでいた。

「相当焦ってご馳走になったみたいね」

正面より僅か斜めに陣取ったエミリアが淡々と分析する。
粗雑に扱われた性器周辺の腫れ具合。対照的に殆ど乱されていない上体の衣服。
碌な愛撫を加えずにいきなり行為に及んだのだろう。
再生の為の魔力吸収を急いだと思われる。

「………と、とにかく、降ろしてあげなきゃ………」

惚けていたような瞳に気合を入れ直すと、
ナツメは被害者を拘束している肉の塊のような物体に手を掛けようとした。
その光景を見たエレミアの顔が驚愕に引きつる。

「危ないッ!!」

「―――きゃっ!!」

咄嗟にナツメを引き寄せ一緒に倒れ込む。



ブピュ―――――ドチャ。



その間、一秒も無かっただろう。
拘束具に生えるコブから、勢い良く白濁液が放たれた。
床に飛び散った飛沫の内一滴が、ナツメの衣装に付着。
純白のフリルがジュっと音を立て、小指が通るほどの穴が開く。

「…………う……ぁ」

ナツメは恐怖した。マトモに浴びていたら……………。
先程嫌というほど見た、プールサイドの被害者たちと同じ運命を辿ることになる。

110:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:48:01 uR6/l2mU
「ご、ごめんなさいエミィちゃん」

「えぇ、まったくよ。………あ痛たた……」

自分の腰を撫でながらエレミアが立ち上がる。

「助け出そうとする人間をカモるためのトラップね。
 …ったく、あの軟体生物、やってくれるじゃない」

忌々しげに呪いの台詞を吐き捨てた。
被害者の体を拘束しているのは恐らくデスパイアの身体の一部。
暇を見繕って自らの肉片を切り離し仕掛けて置いたと見て間違いない。

「可愛そうだけど、こっちも救出は後回しね」

「でもエミィちゃんの弓なら遠くから触らずに……」

後輩は被害者の救出に尚も食い下がる。

「それもヤツの狙いよ。こいつで私たちを足止めして、
 その隙に蓄えてある子を次々レイプしようって算段。 
 そうすりゃ私たちが到着する頃には五体満足ってね」

「……………何で、そんな事平気で思いつくんだろう」

ナツメが声を震わせる。ちょっと小突いたら泣き出してしまいそうだ。

「そーゆー連中なのよ。私たちのお相手は。ま、とにかく。
 もう触手を挿し込まれてるワケじゃないから、悪いけどもう暫くこのままね。
 幸い気絶中みたいだし、ここならまず人目にも付かないでしょ」

「…………………うん」

蚊の鳴くような、小さく消え入りそうな声をナツメが返した。
だが、その小さな囁きの中に、エミリアは確かな怒りの色を感じ取る。
その矛先は言うまでもない。この延々と続く陵辱劇の元凶に向けられている。

(………この様子だと荒れるわね………)

難しいフォローの求められる戦いになりそうだ。




111:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:48:56 uR6/l2mU
二人は尚も最深部を目指す。
途中、先程のような女性に幾人も出くわした。
エミリアは視界の端でその場所をさり気無く記憶し、
一方のナツメは努めて見ないように振舞っていた。

「言葉にも難儀する下級デスパイアのくせに、
 よくもあそこまで大きく成れたと思ったけど、
 ………タネ明かしはこういう事だったのね」

「―――え?」

あれから一言も発しないナツメにエミリアの方から声を掛ける。

「奴はここから伸びる上下水道を利用してゲリラ的に獲物を調達していたのよ。
 当然、私たちの情報網にも失踪者は引っ掛かるけど、普通の地図じゃ点と線が結べない」

「ああ………なるほど」

「オマケにこんな快適な一軒家持ち。それで今日まで一度も姿を見せる事無く、
 あのサイズまで膨れ上がる事が出来たのよ。とは言ってもね。
 結局あのガタイを維持するのに餌の供給が追いつかなくなって、
 仕舞いにはさっきみたいな乱痴気騒ぎに至っちゃったってトコかしら。
 …………要するに、奴の仕組みはもう破綻してるワケ。そこは不幸中の幸いね」

「…………………うん」

返って来るのは気の無い返事ばかりだ。
エミリアは大きく息をつくと、思い切って切り込んでみる。

「ナツメ、あなたさっきから何を考え込んでるの?」

「………え?あ?」

「慣れてないのは分かるわ。私も最初はそんな感じ。
 いや、ひょっとするともっと酷かったかもしれない。
 けどね、そんな沈んだままで勝たせてくれるほど、
 生易しい相手じゃないって事はわかったでしょ?」

「……うん……」

「思い切って吐き出してみたら。歩きながらでも相談に乗るわよ」

「………………」

少々気まずい沈黙が辺りを支配する。
響き渡るのは岩盤を噛む二組の靴の音だけ。
そんな空気に耐えかねてか、ようやくナツメが重い口を開く。

「私たちも……負けたら……あんな風にされちゃうんだよね……」

「…………え?」

今度はエミリアが思わず聞き返す番だった。

112:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:50:11 uR6/l2mU
「ここで負けたら、やっぱ、私たちも………されちゃうんだよね、って」

伏し目がちに再度呟くナツメ。
そんな彼女にエミリアは一度深く息を吸い込むとこう返す。

「他の結末があるっていうなら是非伺いたいところね」

「あんな事されたら………私、どうなっちゃうんだろ……」

尚も後輩の弱音は止まらない。
ムリも無いか。彼女はまだ三回目の出撃だ。
先輩としての経験という奴を、語って聞かすべきか否か。
いや、やめておくべきだ。そうに決まっている。でも……。
そんな逡巡をしている内に、エミリアの唇は動いていた。
まるで、彼女自身を突き放すかのように。

「別に。強いて言えば少し人生観が変わるだけよ」

「―――――え?」

後から思えば、エミリアは少しでも自分を解かってくれる相手が欲しかったのかもしれない。
だから………言ってしまった。背後でナツメの足音が止まる。

「エミィちゃん……、その………」

「私、捕まった事あるわよ」

「……………っ!」

僅かな吐息が気道と擦れる音。それは言葉にはならない。
先輩であり、戦友であり、そして親友でもある少女の告白に、
ナツメの瞳はハッと見開かれる。

「……で、でもさっ!今こうして無事だってことは――……」

「えぇ、幸か不幸か一晩で助け出されたわ。姉さんにね」

「へ、へぇ………。お姉さん、いるの?」

「あら、言ってなかったかしら。それは悪かったわね」

ナツメはなんとかして話題を逸らそうと試みる。
自分は今、不躾にも友達のとんでもない過去に触れてしまった。
そんな罪悪感が彼女の胸の内に広がっている。
内心後悔していたエミリアも、とりあえずその努力を受け入れる。

「うん、初めて聞いた。どんな感じの人?やっぱキレイなのかなぁ?」

訊き過ぎかとも思ったが、今はとにかく話題を別の方角に持って行きたかった。

113:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:50:49 uR6/l2mU
「………そうねぇ………」

一瞬考え込むような素振りを見せ、
その直後、エミリアの顔が一気に険しくなる。

「正直、余り褒められた人間じゃないわ」

「え……、あ……。仲とか、悪いの?」

二個目の地雷を踏んでしまったようだ。
自分の学習能力の無さを呪う。ナツメの狼狽は止まらない。

「でも、アレと張り合えるデスパイアなんてダーウィンでも
 そう簡単には見つけられないでしょうね。ま、そんな感じよ」

「………はぁ………」

純粋な尊敬と軽い敵意の混ざった声色に、
ナツメはただ戸惑う他に術がない。
とりあえず今の会話からしてひとつ言える事は、

(物凄く、強い人なんだきっと……)

そしてエミリアが今もその影を追いかけている事も。
どこか気難しい彼女。その視線の先にあるものが何となく見えてくる。
ほんの少し、本当に少しだが、彼女の事が解かった気がした。

(なんだか………そこだけは普通の女の子みたいだね)

気が付けば、幾らか気持ちは軽くなっていた。
ナツメは再度歩みを進め、エミリアの後姿に追いつこうとする。
だが―――――、

「エミィ………ちゃん?」

「しっ!静かに!!」

今度はエミリアが立ち止まっている。
彼女は唇に人差し指を立て、ナツメを制した。
その真剣な眼差しに気圧されて、ナツメも黙り込み耳を澄ます。

114:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:51:56 uR6/l2mU



………や、……や、……あぁん……あん……。



進行方向前方より漏れてくる喘ぎ声。近い。

「エミィちゃん!」

戦友の呼び掛けに黙って頷くエミリア。
二人の眼差しが向けられる方角からは、仄かな灯かりが漏れて来る。
奴がいる。今度こそ逃さない。
己の運命を託す武器をもう一度強く握り締め、エンジェルたちは地を蹴った。


「あ……、や……、嫌ぁぁぁぁぁぁぁあーっ!!」

ドク……ドク……、ドク……、ゴプン。

絶望と絶頂の悦びが混ぜこになった悲鳴が響き渡る。
限界まで反り返って跳ねる細い身体。
許容量を遥かに上回る白濁液を注ぎ込まれ、悲鳴を上げる膣壁。
瞳は大きく見開かれ、開け放たれた唇の端から一筋よだれが流れ落ちる。

「ヌブァァァァァア………!ムゥウ~………」

射精後の満足感と余韻に浸るデスパイア。
ほどなくして彼は獲物の股間から触手を引き抜くと、
少女の片足首に絡み付いていたグレーのショーツをビッと剥ぎ取り、
それをナプキン代わりにして、粘液の滴る肉棒の先端をグイっと拭った。

「来ィたァなぁ~。まっでたぞぉ、えんじぇるどもぉ~」

その周囲には力なく横たわる少女たち。十人はいる。
みな半裸で大きく脚を開かされたまま、気を失っていた。
その下に広がる白濁液の池は、既に行為が完了している証明である。
余った精液を拭き終えた下着がベチャリと持ち主に投げ返される。
虚ろな瞳で荒い呼吸を繰り返すその娘はもう、
自らの顔にへばり付いたソレを取り払おうともしなかった。

115:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:52:33 uR6/l2mU
「………………」

銃口のような、化け物を射殺さんばかりの視線で睨みつけるエミリア。
状況は余り好ましくない。切り落とした触手は既にほぼ再生を終え、
甲羅の方は完璧とは行かないまでも、薄い角質が既に患部を覆い尽くしている。
潰された視力もどうやら回復しているようだ。
襲われた女性の数からすれば、少なくとも万全ではないと思われるが、そんなのは気休めに過ぎない。
戦闘領域はほぼ円形。狭くは無いが決して広くもない。
その気になれば、触手は端から端まで届く。

「………ま、やるっきゃないわね」

構えられる<クロイツァー>。

「貴方に弄ばれた女性たちの分、全部まとめて叩き込みます!」

凄惨を極まる場の空気の飲み込まれぬ様、
強く<フロムヘヴン>を握り締め宣言するナツメ。

「ぬぅかぁせぇぇぇえ~。先にィ、抱かれたいのはァ、どっちだぁぁぁあ!!」

二人のエンジェルと触手の軍勢が地を離れたのは同時だった。

116:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:53:04 uR6/l2mU
逃げ場は無い。動きを止めれば即、触手の餌食。
敵は正面以外は頑強な殻に覆われている。
その装甲は手数で押すエミリアの技では抜けない。
必然的にフォーメーションは挟撃。
前方のエミリアが撹乱を担当。繰り出される触手たちを逐次撃ち抜く。
そして背後からは本命のナツメ。隙を伺い、その脳天に必殺の一撃を叩き込む。

「―――ハッ!!」

弓鳴りと共に一本の触手が壁に縫い付けられる。
尚も足掻き続けるそれに一瞥もくれず再びマウントされる矢。
狙うは肉塊に埋もれる水晶のような輝き。
先程同様、視力さえ封じてしまえば、形勢は一気にこちら側へ傾く。
まだ大して時間も経っていないのだ。
地上で見せた大量射精のような奥の手を繰り出せるほど、モノは貯まってないだろう。

「……………くッ」

だが、敵もそのぐらいは重々承知。
瞳に狙いを定めようとしても、眼前を掠める次なる触手によって、
照準は妨害されてしまう。

「参ったわね。対戦車ロケットでも持って来るんだったわ」

「―――でぇぇぇやぁぁぁあッ!!」

その背後から、炸裂するナツメのハンマー。
しかし、回避動作の連続で碌な“溜め”の利いていない一撃は、
デスパイアの背中に僅かなヒビを走らせただけで止まってしまう。

「……………きゃッ!」

デスパイアが巨体を捩り背後を薙ぐ。
動きを止めていた所に横殴りの一撃。
右肩を触手で打たれたナツメが吹き飛んだ。

「―――ナツメ!」

「………だ、大丈夫!!」

岩盤を蹴ってバランスを取り、なんとか転倒だけは逃れる。
すぐさま壁に飛び上がり、追撃してきた触手たちを回避。
ギシギシ伸び切ったソレに腹いせの一振りを見舞う。

「ったく、これじゃマラソン勝負ってヤツね」

その通りだった。だがデスパイアの息も荒い。
押し切れない状況ではないハズだ。
二人とも、少なくともこの時点ではそう思っていた。

117:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:53:43 uR6/l2mU
デスパイアの半身がグググっと殻の中に引っ込み、次の瞬間、

ギギギィ―――――グチュア。

「……………!!」

文字通り“奥の手”だ。
殻から出現したのは先刻の倍以上はある大量の触手。
どうやら奴の背負ってる自慢のブツは、
協力無比な盾であると同時に武器弾薬庫も兼ねていたらしい。

「冗談は顔だけにして欲しいわね!」

「は、反則!反則だよ、あんなの!!」

二人の抗議を無視して触手の大部隊がギシギシと全身の筋肉を軋ませる。
次の瞬間、圧縮されたスプリングが解き放たれたように爆ぜる大群。
繰り出される攻撃が次々と岩盤を穿ち壁を軋ませる。

「ホント、初日からとんだサマーホリデーね!!」

黒衣を翻し<リヒト・レーゲン>で応戦。
だが、押せども叩けども肉の壁の侵攻は止まる気配など無く、
大きなステップでエミリアは後退を余儀なくされる。
壁までの距離はまだあるが、あまり余裕をかましていられない。

「――――っ!?ナツメ!上を!!」

「――――えっ!?」

叩き付けられる鞭の衝撃に耐えかねて、頭上の岩盤がボコリと剥がれ落下する。
半ば反射的に、振り返りざまの一撃でナツメはそれを粉砕した。

「こ、このままじゃ生き埋めだよ!」

貴重な獲物でもあるエンジェルを捕らえる機会、
そうそう簡単に手放すとは思えないが………。
流石に追い詰められれば分からない。
なにせ奴には強力なシェルターがある。
洞窟を崩壊させてしまえば、最悪でもドローより上の結果を狙えるのだ。

「ナツメ、右よ!早くッ!!」

「――――あっ、危ない!!」

あやうく犠牲者の上に落下しかけた一枚をナツメが砕く。

118:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:54:57 uR6/l2mU
「止むを得ないわ!攻撃は私が捌くから、ナツメは落下物から皆を守って!!」

「無理だよ!それじゃエミィちゃんが―――っ!!」

「無理でも不利でも通さなきゃならない道理ってのが私たちにはあるのよッ!!」

叩き付けられる肉塊を数本を光の矢で串刺しにする。
奴も堪えている。こんな派手な攻撃、そう長続きするハズが無い。
チキンレースだ。付き合ってやる他に無い。

すぐさま次の矢をノッキングしデスパイアに放つ。
案の定、弾かれた。だが、ここで打ち止めにする訳には行かない。
すぐさまナツメが舞い、スレッジハンマーを一振り。
剥離した大岩を粉々にすると、彼女は汁まみれで気を失っている一人を担ぎ、
気休め程度に安全なこの部屋の入り口へと跳躍する。
その背後に一本の触手が追いすがった。

「あんたの相手はこっちだって!」

解き放たれた矢が不埒な襲撃者を貫いた。
真横から飛来した触手は体を反転させ弓本体で薙ぎ伏せる。
次なる一本をつがえ、デスパイアへ振り向こうとしたその瞬間、

――――ベチョ。

「――――!!!」

足首に湿った感触。すぐさまエミリアは足元に目線と弓先を向ける。
視界に飛び込んできたのは、黒いタイツに絡みつく赤紫色の触手。

「こ、……………このっ!!」

すぐさま矢を放とうとした。
だが……………、間に合わなかった。

「きゃっ!」

刹那の差で引っ張られる足。可愛らしい声で尻餅をつくエミリア。
起き上がろうと、彼女が顔を上げたその瞬間。
頭上から、……………肉色の塊が降ってきた。

119:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:56:14 uR6/l2mU



「きゃぁぁぁぁぁぁあー!!!」

二人目の女の子を床に降ろし終えたところで、
その悲鳴に思わずナツメは振り向いた。
飛び込んできたのは我が目を疑いたくなるその光景。

「え、エミィちゃん!!!」

デスパイアの巨体に、エミリアが覆い被されていたのだ。
蠢く無数の触手の下で、彼女は必死にもがいている。
すぐ傍に転がる<クロイツァー>を手に取るが、
その弓までもがすぐさま肉蔓に絡め取られてしまった。

「むっふっふ~!獲ったァぞぉぉぉぉお!!」

「こ、この!や、放せ、………あぁっ!!」

振り乱されるプラチナブロンドの髪。
完全に組み敷かれ、ヌメった雑兵に絡め取られていく身体。

「この変態っ!エミィちゃんを放せぇぇぇぇえ!!………きゃっ!!」

怒りと焦燥に震える突撃は、唸る触手の壁に阻まれる。

「エミィちゃぁぁぁん!!!」

エミリアの身体は膨大な数の捕食器官に飲み込まれ、
もはや外に出ているのは首から上と右腕だけ。
苦しそうに食い縛られた彼女の口が開き、ようやく言葉を紡ぐ。

「……ナツメ!作戦……失敗よ。他の子達を連れて逃げて!!
 お願いだから聞き分けて。あなたは急いで他の天………あっ!」

親友の言葉はそこで途切れる。

ズズズル――――ごぷ。

ソバをすする様な音と共に、彼女の姿はデスパイアの貝殻の中へと消えて行った。

120:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:56:53 uR6/l2mU



「う………うそ……。嘘………でしょ……?」

呆然と立ち尽くすナツメ。現実を脳が処理しきれない。
すぐさま叩き込まれた触手を、半ば身体が自動的に回避した。

「エミィちゃんが………そんな……」

目の前が真っ暗になりそうだった。
虚ろな表情のまま、二発目、三発目の攻撃をハンマーの柄でいなす。

『……や、やめ………や。あ、あぁ………駄目っ!……そこは!!』

デスパイアの体内から、僅かばかりの声が漏れていた。
なにか土管の中で反響するような感じで、ただひたすらそれは聞こえて来る。

「……や、やめて、……お願い。エミィちゃん……そこにいるんでしょ……」

「ヌァア、いるなぁ~。おれン中でナンか言っでるぞぉ~?」

うわ言の様なナツメに台詞にデスパイアが返す。
しかしその言葉は彼女の耳には届いていなかった。
ナツメの意識を縛り付けているのは……………、
殻の内側から聞こえて来るエミリアの声だけだ。

『あ、や、や、……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!』

ナツメの身体がビクンと震える。
ひときわ大きな絶叫が体内から聞こえてきた。
間違いなくそれは友人が何かを踏みにじられた証。
そしてその後に続くのは……………、

『あ……あん、……や…あ………はぁ………んっ』

「ヌハァ!いいぞぉ。いいぞぉ~。魔力がぁ漲るぅ~」

デスパイアの傷が急速に再生していく。
プールサイドで嫌というほど聞かされたあの響き。
すなわち、蹂躙される女の声。
それを悟った瞬間、ナツメは――――、



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!!!!」




ナツメは爆発した。

121:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 12:59:15 uR6/l2mU
「ヌゥゥゥゥゥウ!?」

炎が渦巻き、閃光が走る。視覚化されるほどの猛烈な魔力の噴出にたじろぐデスパイア。
ナツメの握るスレッジハンマーが自らを砕かんばかりに猛り狂う。
別人のように見開かれた漆黒の瞳。怒りに引きつった表情。
噛み締められ、並び揃って剥き出しになる歯。もはや戦鬼という呼び方すら生ぬるい。
彼女が大地を蹴ると、ゴバァンと足元の岩盤が宙に舞った。

「こ、ここ、……こ、小娘ぇっ!!」

虚勢を取り繕うような咆哮。どちらが化け物か分からない。
少女の姿をした鬼神の突進を阻止すべく、条件反射で触手を繰り出す。
だが、その肉の槍は彼女の身体を貫く寸前で、レンジに放り込まれたナマ卵のように破裂する。
ナツメから湧き出し彼女を包む魔力の聖域に、不浄の身はもはや存在さえ許されない。
その姿はまさに燃え盛る大気を纏い大地に突き刺さる流星。
進路上のあまねく存在が無条件で“粉砕”される。



「ま、ま、ま、待で!おれン中にばっ、おまえのっ、な、な、仲間が――」

「エミィちゃんを!返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」



振り下ろされる<フロムヘヴン>。天国からの招待状。
咆哮。打撃。炸裂。全ては同時だった。
気化爆弾でも投下されたかのように、辺り一面は真っ白になる。

「ンがば!?ぬぅぅぅがぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

―――――ズズゥゥゥゥゥン。

アトラスでさえ支え切れないかと思われる強烈な一撃。
直撃を食らった部位が瞬間的に粉末状に砕け散る。
衝撃は外殻を貫通し、内臓を通過し、着弾地点の反対側の甲羅をも突き破った。
摩擦が死んだように大地を滑り、豪快に壁に叩き付けられるデスパイア。
その上に追い討ちの岩盤が容赦なく降り注ぐ。
所々から噴き上がっているのは蒸発した体液。
再生しかけていた甲羅の傷は第一撃の時以上に叩き壊され、
中から真っ赤に裂けた肉と触手が飛び出した。

122:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:00:03 uR6/l2mU
「ハァ………、ハァ………、ハァ………、ハァ………」

頭がガンガン痛い。手の平がジンジンする。
自分の身体の負荷など一切考えていなかった。
いや、考えてはいけない。いけないのだ。
エミリアが味わされている痛いみは、こんなものじゃない。

「ヌフゥ………が……あば………げぷぅ……ッ」

まだ息がある。そうだった。コイツの生命力は半端じゃない。
ならば再度、今度は剥き出しのその身に鉄槌をくれてやるまでだ。
疲弊した身体に鞭打ち、ナツメが再び<フロムヘヴン>を振りかぶる。

「――――え!?」

そこで彼女の動きは止まってしまった。
デスパイアの貝殻に開いた大穴から、何かが這い上がってくる。
間違いない。アレは人間の手。そして次に現れたのは、プラチナブロンドの髪。つまり、

――――ベトベトになった………エミリア。

「え、エミィちゃぁん!!!」

裏返った声で叫ぶナツメ。
這い上がってきた友人は数分前とは似ても似つかぬ哀れな姿。
漆黒の衣服は殆ど溶かされ僅かな名残が肌に付着し、
その下のライラックの花を思わせる薄紫色のショーツは太腿半ばまで降ろされ、今まさに溶けていく最中である。
剥き出しの陰部にはこれでもかと深く差し込まれた触手。
その先端は膣のサイズに合わせて膨張し、もはやエレミアに抜くことは叶わない。
それでも彼女は震える歯を食い縛り、上気する肌の感触に耐え、
涙を瞳の淵に押し止めながら陵辱の檻から這い上がってきたのだ。

123:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:00:37 uR6/l2mU
「ナ………ナツ…メ。…………あぁう!!」

胎内でビクンと蠢く触手に、美しい顔が更に歪む。

「エミィちゃん!!」

再度その名を叫び、駆け寄るナツメ。

「ナツメ……来ちゃ……ダメ……っ!」

後輩の身を案じ、救いの手を拒絶するエミリア。
後一跳びでナツメがデスパイアの殻に飛び乗れる
かといった距離まで近づいたその瞬間。

――――ブチュア。

「……………あぁっ!」

エミリアの身体は、穴から追いかけるように飛び出してきた数本の触手に抱きすくめられ、
背中から倒れ込むように肉の中へと引き摺り戻されていった。

124:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:01:12 uR6/l2mU
その光景をただ見守ることしか出来なかったナツメ。

「よくも……ヒク、よくも……エミィちゃんを……あんな……ヒック」

怒りの表情でボロボロと涙を流しながら震える言葉を紡ぐ。
他の見ず知らずの女の子たちとは訳が違う。
こんな事になるなんて、最初は思いもしなかった。
さっきまで一緒だった親友が、メチャメチャに強姦されてしまう。
なんでこんな思いをしなければならないのか。

……なぜ?分かり切っている。デスパイア。コイツがいるからだ。

「あんたなんか、あんたなんか、サッサと死んじゃえぇぇぇぇぇえッ!!!」

これが止めの一撃。頭上高く振りかぶられる<フロムヘヴン>。
怒りと、憎しみと、ありったけの哀しみを込めて、それは振り下ろされる筈だった。



――――ズンっ。



「……………え?」

両手から離れ、ズシンと地面に転がるスレッジハンマー。

「――――かはっ……」

悲鳴を上げる肺から吐き出される空気。口の中に仄かな鉄の味が広がる。
武器を振りかぶり、ガラ空きになっていたお腹に叩き付けられたのは、
一抱えほど岩のような物体。チャイルド・デスパイア。この攻撃を……忘れていた。
鳩尾の真下へと入った一撃に、ナツメは膝から崩れ落ちる。
再度武器を拾い上げようにも手が動かない。

(私……、またドジ踏んじゃった……)

発射されたきりチャイルドは動かない。
たぶん、先程の一撃で既に親の胎内で死んでいたのだろう。
だから、代わりに動いたのはデスパイア本体。
所々から血を流す満身創痍の触手でかつての敵、そして現在の戦利品を抱きかかえる。

「手こ……ずらせ、やがってぇぇえ。さあ、お友達が……ぐふ……お待ちだぜぇぇぇえ」

最後の賭けに勝利した暴君は、傷だらけの顔でニンマリ微笑んだ。

(……………ごめん…………エミィちゃん……)

そして――――ナツメは頭から飲み込まれた。

125:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:02:02 uR6/l2mU



真っ白なコスチュームに、同じく真っ白な液体が滲み込んで来る。
濡らされて肌に張り付く生地の感触が、なぜだか酷く気持ちいい。

(結局……負けちゃったんだ……私たち)

ここはデスパイアの体内。彼女は肉の壁でサンドイッチにされているような状態。
ジュクジュクと音を立てて溶け始めた衣装。肌がヒリヒリしてきた。
足掻くにも身動きなど殆ど取れない狭さ。その中を次々と群がってくる触手たち。
先刻までの強敵は今や抵抗ひとつ出来ない。嬲りたい放題だ。
どうやら彼のシェルターは盾と武器庫の他にもうひとつの役割があったらしい。
つまり食糧庫。エンジェルという極上の糧を閉じ込め貪る為の檻。

(このまま私も……裸にされて……無理やり……エッチされちゃうんだ)

他人が嬲られている様なら短期間で嫌というほど見せ付けられてきたが、
その行為が実際どんな感触のモノなのか、ナツメ自身はまだ知らない。
痛くて、悔しくて、恥ずかしくて、悲しくて、今までの人生全てを否定されるような感じ。
ただ漠然と、そんな心情風景を思い描いていた。

(フロムヘヴン……落っことしてきちゃったな……。もう……駄目か…)

僅か三度の出撃で、ナツメの戦いは終わりを迎えようとしている。
不思議と涙は出なかった。ただ心が空っぽになったような感じがする。
私が帰らなかったら叔父さんと叔母さんはどうするんだろうとか、
夏休みが終わって私がいなかったら学校の皆はどう思うんだろうとか、
そんな事ばかりがひたすら頭の中を駆け巡る。

(ハルカ……ごめんね。お姉ちゃん……カタキ……討てなかったみたい)

ナツメは病院のベッドの上で今も泣いている妹に謝る。
もしあの時、エミリアが現れてくれなかったら、
妹は今もデスパイアのオモチャにされていたかもしれない。
そう思うと、彼女には感謝してもし切れない。
こんな結果に終わった今でも、その気持ちだけは変わる事が無かった。

(そうだ……エミィちゃん……)

自分はもう、どうなってもいい。
せめて彼女だけでも助け出したい。それだけは諦めたくない。
確か、エミリアが囚われていたのはもっと上の方だ。
僅かな力を振り絞り、ナツメはデスパイアの体内を這っていく。
フリルがドロリと滑り落ちた。一糸纏わぬ姿にされるのは時間の問題。
いや、その前にたぶん、粘液でおかしくされてしまう。
天使の耐性を持ってしても、デスパイアの媚薬を防ぎきることは不可能。
現に内股の辺りが妙に切ない。タイムリミットは僅かも残されていまい。

126:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:04:01 uR6/l2mU
だが、そんなささやかな時間も手負いのデスパイアは待てなかったらしい。
ジュルリと触手が一本、溶け掛けのスカートの中に潜り込むと、
ナツメの穿く淡いピンクのショーツをグイグイと引っ張り始めた。
全部溶け切るまでなど到底待っていられない。
さっさと挿入れさせろ。早くオマエの魔力をよこせ。
そう言いたげにナツメのお尻から下着を引き剥がす。

それでも彼女は止まらない。
ショーツが太腿を滑り落ちる感触もお構いなしに、ひたすら這い進む。
曝け出される秘裂。一度も使っていないソコはまだ堅く閉ざされている。
だが、もうデスパイアはお構いなしだ。エンジェル一体では回復が追いつかない。
一刻も早くもう片割れのご馳走にありつかねば。

――――クチュ。

「………………あ!」

グググ――――グイッ。

「あ……い、い、痛い!い、い、痛ぁあ……っ!!」

殆ど愛撫などされていない身。当然まだ潤っていない。
そんな事など今やどうでも良いと言わんばかりに、肉の責め具は侵入を強行する。
メリメリと楔が食い込むような感触。破瓜の痛みにナツメの顔が歪む。

「ハァ…、ハァ…、エミィ…ちゃん……、エミィ……ちゃ……んっ!」

それでも必死で親友の名を繰り返しながら、尚もナツメは進む。
その時、肉の壁の中に伸ばした右手が何かに触れたような気がした。
握り返してくる。間違いない。人間の手だ。

「エミィちゃん!!」

「……ナ…ナツ……メ…なの?」

肉と触手の釜の中で、ようやく二人は再会した。

127:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:05:29 uR6/l2mU
「この……お馬鹿…っ。逃げろって……言ったのに…」

熱くなった息を混ぜながら、エミリアが語り掛ける。

「だって、エミィちゃん置いて逃げるなんて……私……できないよ。
 ――――あうっ………あ……痛い………く、…はぁ………」

胎内に完全に収まりきった触手が自らの身体を膨張させ、
ナツメの小さな膣をガッチリとロックした。これでもうナツメには抜けない。

「………ナツメ………」

エレミアの顔が悲しみに歪む。
ここからナツメの背後がどうなっているのかは伺えないが、
そこで何が行われているかは苦痛に耐える彼女の表情が物語っている。
とうとう自分は後輩を守り切れなかったのだ。何て不甲斐ない。
いっその事、代わってやりたかった。二人分、自分が犯されてもいい。

「ねぇ、エミィちゃん」

苦しそうな顔で無理に笑いながら、ナツメが口を開いく。

「私の魔力、……使って。エミィちゃんならきっと、逃げられると思うから」

「……………えっ!?」

我が耳を疑った。作戦失敗の責任は私にあるというのに。

「……ナツメ、あなたって人は……ホントに…」

思わず涙が溢れそうになってしまう。
官能に耐えるフリをして、エレミアは顔を背ける。

「私はもう、ここまでみたいだから…。だからエミィちゃん、今までありがとう。
 私の残りの魔力、全部使っちゃっていいから。なんとかならない………かな?」

ナツメの視線はある一点に注がれている。
エミリアと一緒に取り込まれた武器、<クロイツァー>だ。
確かに魔力の扱い方こそ素人だが、ナツメのキャパシティはズバ抜けている。
彼女の残る全ての魔力を奪い取ってアレを撃てば、あるいは……。
しかし、それを実行に移せばナツメは………。

「ごめん、無理」

「――――え?」

「私、……もう中にメチャクチャ出されちゃったから。
 これ以上、……動けないのよ。……ほんと悔しいけど」

半分嘘だった。確かに一度はイかされたが、自分だって天使だ。
あと一回ぐらい、最後の一撃を放つくらいはやってみせる。
だが、それができるのなら……、

それができるのなら――――生き残るべきは、私じゃない。

ナツメはまだこれからどんどん伸びる。もっともっと強くなる。
自分が今いる場所より遥か先の高み。そこでもっと大勢の人を救うことが出来る。
腹は決まった。後悔などしない。この場から逃がすべきは彼女だ。

128:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:07:05 uR6/l2mU
「あぁう!ちょ、っちょっと!や、やだ!な、なにこれ!?……いやぁ……っ!」

突如、ナツメの身体がリズミカルに揺さぶられだす。ピストン運動が開始されたのだ。
未体験の性技にナツメは甲高い悲鳴を上げる。触手の伸縮に合わせて動く下半身は止まらない。
自分の腰がこんな動作をするなんて、彼女は今まで知りもしなかった。

「やだ!……こ、こんなのやだぁ!止めて!ねぇ、誰か止めてぇ……っ!!」

「……な、ナツメ!落ち着いて!リードされちゃ駄目!呼吸を整えて!!」

「え……エミィちゃん……でもっ……でもっ、私のカラダ……おかしくなっちゃう!」

セックス・テクニックへの耐性などナツメにあるハズがない。全てが初体験である。
何の前振りもなしに強要されたハードな行為に、彼女はもうパニックに陥りかけている。
このままでは、三分と経たずに絶頂へ持っていかれてしまうだろう。もう時間が無い。
エミリアは決意と共にその手を強く握り返すと、渾身の力で肉壁の中から<クロイツァー>を引き抜き、
泣き叫ぶナツメの頬を優しく撫でながら差し出す。

「ナツメ。これを撃って」

「え、……………で、でも!?」

「大丈夫!いつも通り、私がフォローするから!!」

<クロイツァー>は扱いに熟練を要する武器だ。
一撃必殺型の波長を持つナツメとは殊更相性が悪い。
事実、訓練中だけで同型の武器を三機も暴発させて壊している。
だからこそ彼女の武器は剛性の高いハンマーと決まったのだ。

魔力の暴発は術者自身に危害を加えることはない。
なにせ常に自分の体内を流れている物なのだ。
故に、被害を被るのは周囲の人、物、建造物その他。

「そ、そんな事したらエミィちゃんが!」

「だからフォローするって言ってるでしょ」

無理に笑って見せる。その笑顔は当然気休めだった。

「私の魔力はもうカラッポ。吸い尽くされちゃってるの。
 ナツメもイかされたらもうアウトよ。だからその前に!」

エミリアは死を覚悟している。ナツメにそれを悟らせてはならない。

「………さあ、早く!このまま揃ってオモチャにされたいの!?」

「…………………」

暫しの躊躇の後、ナツメは決意に満ちた瞳で差し出された武器を受け取る。
エミリアは優しげに微笑むと、静かにその身体を抱きしめてやる。
触手に弄ばれるナツメの動きが止まった。今なら集中できる。

129:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:08:49 uR6/l2mU
(ナツメ……温かい……)

瞳を閉じ、ナツメの身体を流れる魔力の奔流を探り当てる。

(あなたは本当にいい子。お馬鹿だけど、どこまでも……真っ直ぐで……優しくて)

あまねく迷いを打ち払うように、大きく息を吸い込むナツメ。
これが最後の一撃。彼女は<クロイツァー>を握り締め、その弓先を頭上にかざす。
狙うは一点。未だ完全に塞がり切らぬ再生ポイントを内側から穿つ。
絡み合う魔力の糸。最初は静かに、やがて力強く輝きだす二人の身体。
デスパイアが体内で生まれた違和感にたじろぎ始める。
限界を超えた魔力を注ぎ込まれ、洋弓が悲鳴を上げだす。
グッと腕に力を込め、より強くナツメを抱き締めるエミリア。

二人の鼓動が重なった刻、その一撃は放たれた。

――――………ズズズズズズズ。

「ぬぁ?こ、ここ、、こ、こればぁ!?ぬがぁ!?」

突如、身体の奥底から走り始めた激痛。限界を超えた銅線のように焼き切れる神経。
デスパイアの全身が裂け始め、そこからまばゆい光が漏れ出している。
メチャクチャに振り回される触手が内側から沸騰、砂のように崩れて空気中に散った。
クワっと見開かれたデスパイアの瞳が収縮し、ボコリと本体から弾け飛ぶ。

「ぶ………ぎぃやぁぁぁぁぁあぁあああぁぁぁぁぁあ!!!」



ズ―――――――ゴバァァァァァッァ!!!!



瞬間的に膨れ上がった化け物の背中。立ち昇る光の柱。
あらゆる臓器と体液を撒き散らしながら、デスパイアの身体は破裂。
その身を貫いた輝きは天井の岩盤をも突き抜け地上へ。
アスファルトを突き破り、空高く―――どこまでも空高く天を駆ける。



やがて上空遥か彼方まで走る天使の輝きは、真夏の入道雲の中へと消えて行った。

130:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/01 13:13:10 uR6/l2mU
以上で。今話題の“食の安全”に関わるタイムリーな勝ち方でした(ぇー
残すは締めの後編のみ。馬鹿長くなっちまいましたが、お付き合い頂けたら幸いでつ。


131:名無しさん@ピンキー
07/07/01 14:35:50 u/3M+P5v
すげえええ!

超GJ!!!!!!!!!

132:名無しさん@ピンキー
07/07/01 16:14:49 +262+Ae6
これはwktk

133:名無しさん@ピンキー
07/07/01 21:23:32 PC9poXMC
まだまだスレの序盤からスゲェ神作品が投下されているな
いったいこのスレはどうなっていくんだよ

134:名無しさん@ピンキー
07/07/01 22:17:41 WW/Up25Y
>いったいこのスレはどうなっていくんだよ
決まってるだろう。
太く、長く、どこまでも伸び、広がっていく。
そう、触手のようにな!

135:名無しさん@ピンキー
07/07/01 22:25:00 P3laSnjD
>>134
巧い!!
座布団4枚

136:名無しさん@ピンキー
07/07/01 22:44:20 QqYN7e8j
>>134
こwwwれwwwはwww

座布団5枚くれてやるよ

137:名無しさん@ピンキー
07/07/01 23:08:55 00Lqq3Si
そしていずれ、この世は
♀=美女
♂=異形生命体

のみの世の中になるのか。
うむ、何という理想郷。

138:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/02 21:42:26 th+p2aod
んじゃ締めの後編をうp。
あんまデカイの投稿してるとまたスレ容量オーバーになるから、程々にせなあかんが。

139:戦いは数だよ@兄貴!!
07/07/02 21:43:21 th+p2aod

――ナ――メ、―――ツメ、ナツメ……!

「う……うぅ……。だ、誰……?」

朦朧とする意識の中、遠くで誰かに呼ばれている。

「ナツメ!しっかりして、ナツメ!!」

頭に掛かる靄が晴れるに連れ、馴染み深いその響きは徐々に近づいてきた。
ボヤけた視界の焦点が定まるにつれ、声の主の姿がハッキリしてくる。
心配そうに覗き込んで来る友人の顔。その目の淵には涙が湛えられていた。

「エミィ……ちゃん?」

「ナツメ!無事なのね!?………良かったぁ……」

安堵の笑みを浮かべるエミリア。どうやら、最後の一撃は成功したらしい。
ナツメは仰向けの姿勢からゆっくり身体を起こそうとする。

「………あ………うくッ!?」

ズクリと、股間を突き上げるような痛みが走る。
太腿と太腿の間に何かが挟まっているようだ。

「あ、待ってナツメ。動いちゃダメ!いい?全身の力を抜いて」

言われなくとも力が入らない。その身を再び横たえるナツメ。
エミリアの手がボロボロになって殆ど原形を留めていないナツメのスカートの中へと伸びる。
襲ってきたのはグイっと、何かが引っ張られる強烈な感触。

「あうッ!」

ナツメの股間から、残っていた触手がズルリと引き抜かれた。
本体から既に千切れていたソレは、さしたる抵抗も見せずに排除される。
手の内で力無く垂れ下がる異物をエミリアは憎しみの籠った眼差しで爪を食い込ませると、
ベチャリと床に叩きつけるようにして壁際に放り捨てた。

「大丈夫、もう大丈夫よ」

「エミィちゃんも……無事……だったんだ」

「――――え?」

「良かったぁ…。だってエミィちゃん……………、
 どっか遠くに行っちゃいそうな感じだったから」

「………な、何言ってるのよ!このお馬鹿!!」

「えへへへへ……」

「……ま、まあ、その前にデスパイアごと殴られた時は正直死ぬかと思ったけど。
 今回は結果オーライって事にしてあげるわ。…………もちろん二度とゴメンよ」

相方の鋭さに内心エミリアは動揺を隠せなかった。
自分が今無傷で……いや裸だが……ここにいられるのが不思議なくらいだ。
なぜあそこまでナツメの魔力に介入できたのか、エミリア自身にもよくわからない。


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