07/09/09 21:55:04 LevsuDPr
おまえら「移動販売」って知ってるか?トラックの荷台をお店に改造してあって、
音楽を鳴らしながら、週2回くらい田舎の集落を回ってるやつだ。
オレが小学校低学年のころ、昼間両親は共働きで家にはオレ、弟、妹と年老いた爺さんが
いただけだった。
移動販売がやってきたことを知らせる音楽が聞こえると、いつも爺さんが120円くれて、
「おやつを買ってきな」という。
俺ら兄弟はトラックを追いかけていって買うんだ。1つの「元祖サンポー焼豚ラーメン」を。
家に帰ってお湯を沸かして、兄弟3人で分けて食べる。1人はそのままカップ。
残り二人はおわんに取り分けて。
いつもケンカしてたよ、「今日は僕がカップで食べるんだ!」「兄ちゃんチャーシューちゃんと
分けてよ!」とかね。小さい俺ら3人がガツガツ食ってる横で爺さんはニコニコ笑ってたよ。
あれから20年、爺さんはすでに天に召され、俺たちも大人になった。
今ではカップラーメンの1つなんて簡単に買えて、一人で全部食べることもできる。
先日転勤で九州に帰ったとき、たまたまスーパーで見かけたんだ。
あの「元祖サンポー焼豚ラーメン」を。早速買って帰って作ってみた。袋に入った紅生姜。
薄いちっぽけなチャーシュー。全てが「あの頃」のままだ。
あの味、あの田舎の家の光景、小さな3人に爺さんの顔。全てが蘇ってきた。
でもひとつだけ気になった。全体が「小さく」見えたんだ。
あの頃3人で食べたあのカップラーメンはもっと大きく見えた。
オレは涙を流しながらハシをおいた。
ラーメンが小さくなったんじゃない。「オレが大きくなったんだ…」
オレは涙を拭いて、そのラーメンを最後の一口まで残さず食べた。