キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3 - 暇つぶし2ch416:名無しさん@ピンキー
07/07/02 19:05:51 YqimOoup
>>392
個人的にはかなり書いて欲しい。

417:名無しさん@ピンキー
07/07/03 12:18:42 rbz/VKzC
職人さんたち忙しいのかのう

418:名無しさん@ピンキー
07/07/03 15:44:43 MYNXK1qj
>>413
ポイントだけ教える
詳しくはぐぐれ

・化け物の生け贄に捧げられた姉を、決死の覚悟で救出に来る弟
・実は若い娘の姿な化け物と、弟が仲良くなるのがおもしろくない姉
・弟事故死、後を追って姉自害
・「どうして生き返らせたりなんかしたの!? 依人がいない世界で、生き続けていたくなんてない!!」
・化け物にされた姉、数百年後に化け物力で弟創造
・そこに化け物娘あらわれ、弟と知らずちょっかいを出すが…

419:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:11:16 +trzF5VT
短編を投下します

420:三者面談 ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:12:07 +trzF5VT
「どういうことですか! 志望大学を変えろって!!」
 私は思わず立ち上がって、大きく手を振り上げて机を叩いて抗議する。バンっという乾いた音が進路指導室に響き渡る。
 私の机の向かい側に座っていた進路指導の高倉良子先生は肩をびくりと震わせた。
 しかし、すぐに冷静さを取り戻したようで、手元にある紙束と私を見比べていた。
「え、えっとね。沢木さん。あなた、たしかN大学を受験するつもりよね……」
「ええ、そうです」
 私は鼻息を荒くして答える。それに高倉先生が困ったように眉をハの字にして言葉を続ける。
「でもね。あなたの成績だともっと上の大学を狙えると思うの。テストはいつも学年1~3位をキープしてるし、生徒会役員だし……。この学力だとW中央大学も夢じゃないわ」
「そんな大学、興味ありません」
「興味ないって……。でも、もったいないとおもうの。あなたぐらいの人がN大学って……」
 特徴的なおおきなメガネのずれを直すと、なおも高倉先生は私を説得しようと上目遣いでこちらをのぞく。歳に似合わない童顔のせいか、一年生の後輩に見つめられるような気分になる。
「ねぇ、沢木さん。もうすこし考え直してくれないかしら?」
「それよりもひとつ気になっていたんですが……」
 私は、くるりと視線を高倉先生の隣に移す。そこには俯いたまま私たちのやり取りを黙って聞いていた弟の誠二がいた。
「なぜ、誠二が居るのですか?」
 それも、私の横ではなく何故か机を挟んで高倉先生の隣に居る。
 本来、進路指導を受けるべきなのは誠二のはずでしょう。ただでさえ、私と違って成績が悪いのだから。
「ね、姉さん。それは……」
「最近は帰ってくるのも遅いし、作ってあげているご飯も残すし。今日はこんなところにいるし、どういうことかしら?」
「あ、あの、えっと」
 私と視線を合わせようともしない誠二。
「なぜ、あなたがここに居るのかしら? 説明しなさい。誠二」
「それについては、私から話すわ」
 誠二を睨みつける私を遮るように高倉先生はズレたメガネをあげて言う。
 そんな先生に、私は嫌悪感を丸出しにした顔で誠二を指差した。
「高倉先生。私より誠二の進路のことが問題なのではないですか? ここで相談するのは誠二のことにしません? 最近の誠二の成績と普段の態度は目に余るものがありますし……」
「いえ、今日はあなたのことを話し合います」
 私を正面から真剣な表情で見据える高倉先生。ぐっと一文字に結ばれた口元からは、決意に満ちた感情が感じられる。
「沢木君にも来てもらったのは、あなたの進路のことにも関係があるからなの。そうだよね? 沢木誠二君」
 自分に振られ、誠二は怯えながらもこくこくと頷いた。
「う、うん。一度、正面から姉さんとこのことに話し合いたかったんだ」
「それなら家でも出来るでしょう! 誠二!!」
 なんで、わざわざ先生を挟んで、こんな補導された万引き女子高生みたいな状態で話し合わなくちゃいけないのよ!?
 私が誠二につかみかかろう体を乗り出そうとして、
「やめなさいっ。沢木さん」
 高倉先生に腕を掴まれとめられてしまったのだった。早い。
 私が手を振り上げた瞬間に予想したように立ち上がり、二の腕を掴んで止めたのだ。その細身の体にどうしてこんな力があるのかと思うほどの強い力。
「あなたがそんな風だから、今日は先生が居るんです。いいから座って話をしましょう!」
 くっ、これでは私が悪者みたいだ。私が力を抜いたと感じたらしい高倉先生はふぅと安心したように息を吐くと、掴んでいた腕を離した。そして、席に座るように促される。
私は軽く舌打ちをして私はパイプ椅子に座って、先生と誠二に向き合った。舌打ちした瞬間、誠二が少し怯えたように肩を震わせたのが気になった。……なに。イライラする。
「まぁ誠二のことはいいわ。たった一人の家族だし、三者面談に居てもいいでしょう。でも、保護者は私ですからね?」
「ええ、とりあえず落ち着いて話しましょ」
 高倉先生はにっこりと笑って書類を指で叩く。その笑顔がわたしの感情を逆なでする。
「まず、沢木さん。どうしてあなたは学年トップの成績なのに、N大学を受験するつもりなのか聞かせてくれないかしら?」
「……別に」

421:三者面談 ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:13:00 +trzF5VT
「怒ってるわけじゃないの。ただ、理由を教えてくれないかしら」
「理由なんて無いですよ。先生は私がN大学へ行くのは無理だと言いたいんですか?」
「いまはこちらの質問だけに答えて頂戴。あなたの学力なら十分上の大学を狙えるのよ。それなのにどうして、」
「……だから、理由はないと何度も……!!」
「誠二君」
 ……!
 高倉先生はくるりと頭を動かして、隣に居る誠二に聞く。
「誠二君の志望大学はどこだったかしら?」
 睨み付ける私にあたふたしながらも誠二は答えた。
「え、N大学……」
「そうね。頑張らなきゃね」
 答えた誠二を褒めるように高倉先生は目を細めて誠二の頭を撫でた。
 そして、今度はしたり、とした顔で高倉先生はこちらに視線を戻す。
「あなたが理由無く志望する大学と、弟である誠二君がギリギリ入れそうな大学が一緒なのは偶然なのかしら?」
「か、関係ありませんっ!」
「声が震えていますよ」
 くっ、私のこめかみに一筋の汗が流れる。
「ねえ、沢木さん。先生に本当のことを教えてくれないかしら?」
 高倉先生は回答が分かっておきながらも、あえてそれを私に言わそうとしている。
「姉さん……」
 心配そうな顔で、私の顔色を伺う誠二。

 ……中一の頃、両親が交通事故で死んだ。あたしとまだ反抗期も来ていない小学六年生の誠二を残して。二人はこの世を去った。
 それ以来、私たち姉弟はずっと二人っきりで暮らしていた。幼い頃からすでに親から自立していた私と違い、まだまだ親にべったりだった誠二には親の居ない家なんて考えられなかったようだ。
 だから、私は誠二の母親代わりとなったのだ。
 誠二のために私はなんでもやった。料理も家事も、大好きだった陸上の夢もあきらめて、誠二のために夜もバイトして働いて、誠二を養っていった。
 そのせいで、私のせいで誠二が虐められることのないように。誠二のせいで落ちぶれたと言われないように、成績も上位をキープし、誰もやらないような仕事も全て進んでやり、他人や教師からの信頼も勝ち得た。
 そして、誠二が私に甘えないように徹底的に厳しく誠二を教育した。私の青春はすべて誠二のために捧げた。そして、そのことに私は後悔はない。

 成績がいいとか、内申がいいとか、そういうことはただの副産物に過ぎない。
 私にとってはいかに誠二のためであるか。それだけが重要なのだ。

 なのに、なのに。
「あなたは、誠二くんと同じ大学に通いたいから、ここを志望しているのよね? あなたの志望している学部も誠二君とまったく一緒だし。ねぇ、沢木さん」
 どうして、この教師は。まるでそれが悪いとも言いたげな表情で、私を見つめるのだ?
 そして、どうして誠二はそれを止めようとしない?
 あまつさえ、
「僕は、僕は姉さんの重荷になりたくない」
 ……なんでそんなことを言ってくるの?
「姉さんには十分感謝してる。だから、これからは姉さんには姉さんの道を進んで欲しいんだ」
 やめてよ。
「姉さんは僕のためにいっぱいしてくれた。だけど、もういいんだ。僕は姉さんを自由にさせてあげたいんだ」
 やめてよ。だめよ。
 あなたはまだ私が居なきゃダメじゃない。料理だってヘタだし、洗濯だって上手くできない。勉強だってそのN大学に受かるかどうかも微妙なところよ。
「自惚れないで、誠二。あなたみたいなダメな男。まだまだ私の傍に居なきゃダメなのよ」
「自惚れているのはあなたよ。沢木さん」
 高倉先生が、初めて立ち上がった。
「……!」
 私は、ヘビに睨まれた蛙のように、動けなくなる。
 高倉先生の顔は憤怒に満ちていた。可愛らしい幼げな童顔の顔は真っ赤に染まり、眉間には何十もの皺が縦に連なっている。メガネのフレームが熱気で割れそうなほど熱を発し、折れそうなほどの強さで奥歯を噛みしめて、私を睨んでいた。
 まるで般若だった。
 こんな小さな若い体のどこに、これほどの怒りを込めることができるのだろう。鎖で絡めてガードした心を一瞬で丸裸にしてしまう程の威圧。
 私は初めて、この先生に恐怖を抱いた。

422:三者面談 ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:14:06 +trzF5VT
 助けを求めようにも、机の向こうに居る誠二は私を同情の瞳で見つめている。机一つしか離れてないのに、誠二がとても遠くに感じる。手を伸ばしても、心が届きそうに無い。
「誠二君の傍に居なきゃダメなのはあなたです。あなたは、それを認めたくなくて、誠二君のせいにして納得しているのです」
「そ、そんなことない……!」
「いいえ、そうです」
 高倉先生の言葉が、私の丸裸になった心を鋭利なナイフで突き刺していく。
「悲劇のヒロインを演じて、自己満足しているだけ」
違う……違う違う違う違う!
「違う!」
「違わなくても、そう見えます。それは誠二君にも」
 高倉先生の隣にいる誠二も私を見ていた。ここで誠二が違うといってくれれば、すべて元通りなのに。どうして言ってくれないの!? 誠二!!
「あなたがそうやって、誠二君を理由にして苦労するごとに、誠二君を罪悪感で苦しめていることに気付いてないのですか?」
 やめろ! 言うな! 苦しめてなどいない! 誠二のことを一番分かっているのはこの私だ!! たかが、教師風情がなにがわかる!?
 だから、だから、違うと言いなさい、誠二! 頼むから、頼むから! 違うって言って!! 言ってよぉ!!
「そんなの嘘だ! 私は誠二のためにやってきた! 誠二は私がいないとダメなんだ! 誠二を一番分かっているのは私だ! だから誠二は私の言うことだけを聞いていればいいんだ!! 私の言うとおり、行動して私のために……」
「ふざけるな!!」
 しかし、そんな私に業を煮やした先生は。
私との間にあった机を蹴り飛ばした。

大きく横に跳ねていく学習机。

そして、高倉先生は私の首根っこを掴みあげると。

「あなたの都合で、誠二を貶めるな」
「……」
 メガネごしに見えるの瞳の奥に住む、高倉先生に姿を化かした鬼が、私を地獄の業火で焼いている。
「確かに、あなたは誠二をずっと支えてきたわ。それは認めてあげます。しかし、もうあなたの役目は終わりなのよ」
 冷静に言葉を紡ぐ、高倉先生。ぎりぎりと襟を締め上げて私を睨みつける。
「誠二くんは、もうあなたの支えを必要としていない」
 せ……誠二。た、す、け……。
「そして、あなたも。もう誠二くんはあなたの自己満足の道具じゃないの」
「……う」
「姉としての自覚を持ちなさい! 沢木千鶴!!」
 ………う、う、う、う。

「うるさぁぁぁああい!!!」

 私は、掴み上げられていた腕を払うと怒号を上げて、高倉先生から距離をとる。進路指導室の窓から落ちる夕日の光が、目の前にいる高倉先生と誠二にかかってまるで後光のようだった。
「うるさいうるさいうるさい! お前に何が分かる!! 私は姉として、誠二の肉親として当然のことをしただけ! それだけだ! 間違いない!」
 怒鳴り咆哮し罵声を二人に浴びせる私に、高倉先生は、もはや何も言わず。同情した目で私は見つめていた。
 …なんだ、その目は。
「かわいそうね。沢木さん」
 …やめろ。そんな目で私を見るな。
「弟に依存していることに気付けてないあなたは、誠二君の親代わりとしても、姉としても失格よ」
「黙れ! 黙れ黙れ! 誠二! 私は先に帰る。帰って今日のことをゆっくり話すからな、覚悟してなさい! わかった!? 誠二!」
「ね、姉さん!」
 私は誠二の返事も聞かず、進路指導室の引き戸をちからいっぱい引いて、外に飛び出た。大きな音が鳴り、たまたま近くにいたカップルがその音に驚いている。
 そいつらを一瞥すると、カップルは私の剣幕に恐怖を感じたのか、そそくさと逃げていった。
 く、怒りが脳をたぎらせている。
 あの教師。高倉良子……。
 なにも、わかっていないくせに。私と誠二のことなんてこれっぽっちも知らないくせに。

423:三者面談 ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:14:48 +trzF5VT
 いや、それよりも誠二だ。
 あの愚弟め。本来あなたは私のほうに立って、高倉先生に言うべき人なのよ。「僕は姉さんがいないとダメ」って。
 それなのに……こともあろうに、「姉さんはもう必要ない」? 愚弟め。成績も悪いくせにいきあがって。これは、帰ったら本気で教育してあげないとダメだわ。
「私に逆らうとどうなるか思い知らせてやるわ……」
 くくくくく、まず、自分がどれほど小さい存在なのかわからせてやる。
 通販で買った、あれもこれもそれもこれも、引っ張り出して使ってあげましょう。
 一日で教育しなおして、私に逆らえないようにしてやるわ。
「ふふふふふははははははははははははっっ!!」
 私は大きく笑うと、走り、校舎を飛び出して、自宅へと急いだ。
 いまから、誠二の再教育の準備をしなければならない。その内容を想像する度に、私は心の底から沸き起こる笑みを抑えることが出来なかった。
「はやく、はやくぅ、帰ってきなさい! 誠二っ。いっぱいいっぱい教えてあげるから……、その体で……。ふふふふふふふふ……!」

 しかし、私がいくら待とうとも、誠二は一向に帰ってこなかった。

 誠二はソファで横になっていた。
「………」
 正面にある小さなテレビからは、お笑い芸人たちが司会者と共に笑いながら自分たちの失敗談を披露している。
 しかし、まったく内容が頭に入らない。ただ、テレビを無感動に見つめているだけ。
(本当にコレでよかったのかな……)
「くすくすくすっ。おかっしい」
 そんな無表情にテレビを眺める誠二の頭を自分の膝に乗せて、高倉良子は口元に手を当てて上品そうに笑っていた。
 黄色のパジャマで普段は後ろでアップにしている髪の毛を、下ろしているプライベートモードだ。
 二人が居るのは、高倉良子のアパートだった。テレビと二人用のソファ、それと可愛い小物が並んだ部屋で、二人は恋人のように体をくっつけている。
 事実。二人は好きあっていた。このことを知っているのは、お互いのみである。校長や高倉良子の両親、そして誠二の姉でさえも、この二人の関係は知らない。
 誠二は体の左半分に感じる太ももの温かさを感じながら、今日のことを思い出していた。
 姉との対決。始めて見た姉の取り乱した顔。そして……、高倉先生。
「………」
「どうしたの? 誠二くん」
 ふと、顔を上げると。高倉良子がにっこりと微笑んで、誠二の頭を優しくなでていた。
「えへへ。可愛いね。誠二くんは。でも、どうしたの? テレビ、面白くないの?」
 あの進路指導室の時の鬼神の顔を微塵にも感じさせない。麗しい女神の表情。そういえば、この笑顔に自分は惹かれたのだ。
「いや、えーっと…」
「お姉さんのことが気になる?」
「うん……」
 誠二が軽く頷いた。
 その瞬間。

424:三者面談 ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:15:42 +trzF5VT
 ミシィッ!!

「いっ!!」
 いきなり、自分の耳が高倉良子によって引っ張られる。
「いたたたたたた、いたいいたいいたい!」
 高倉良子の指に力が込められ、引きちぎれそうなほどの引力を耳たぶが受けている。そのまま誠二の頭は浮いていき、耳たぶだけで吊り下げられてるようになってしまう。
 そして、そこまで伸ばした耳に、高倉良子は優しくささやきかける。笑顔のまま、女神の表情のまま、その瞳の奥に潜む
「誠二くん。お姉さんのことなんてもう考えなくていいのよ? 今日あれだけ言ったにも関わらず、まだわからなかった大馬鹿なんですもの」
「今日、もし誠二くんがほんとの家に帰ったら、きっとあのお姉さんにこの世のものとは思えないほどの酷いことされるんだよ? だから、先生がここに住ませて避難させてあげてるの」
「誠二くんは今日から先生の部屋に住人になったんだよ。だからここでは先生のルールに従うの。約束したよ? 覚えてる?」
「言ったよね。このアパートでは先生以外他の女のことを口に出しちゃダメだって。先生、被害妄想の誇大妄想女だから誠二君が自分以外の女の子の名前言っただけで、
寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくてサミシイサミシイ病でウサギみたいに死にそうになっちゃうの。それが誠二君の実の姉だとしても。いや、姉だからこそね……」
「わ……わかったっ、わか、いたいいたい!」

 高倉良子は誠二の姉の気持ちが痛いほどわかっていた。自分と同じ人間だから。
 徹底的に愛しい人を自分に向けさせるための束縛。自分と同じ欲望を持っていることに気付いていたのだ。
 しかし、それを彼女にわからせてやる必要は無い。むしろ、それを利用して誠二とあの五月蝿い姉を引き離すこと。高倉良子にとってはそれがなによりも重要だった。

「だから、この家では。お姉さんの話は禁止。わかった?」
「わかったわかったわかったわかった!」
「そう。うふふ、よかった」
 耳たぶを離す。ぼふんと頭が膝枕に落ちた。頬をはねる弾力が気持ちいい。
「えへへ、誠二くん。これからもずっと一緒だよ」
「うん、先生……」
 高倉良子の唇が、誠二の頬に触れる。そのまま、高倉良子は膝枕していた膝を外すと、ソファの上をのそのそと動き、誠二に覆いかぶさる。そして、潤んだ瞳で誠二に優しく微笑みかけると、自らの体を任せるように肌を合わせていった。
 高倉良子に服を脱がされながらも、誠二は(本当に、本当にこれでいいのだろうか)と、家で自分を待っているはずの姉を思いながら、ずっと自問していた。

高倉良子と歩む未来は、姉と歩む未来とそう変わらないことにも気付かず……。

(終わり)


425:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/07/03 23:17:13 +trzF5VT
終わりです。改めてみてみると、姉結構沸点低いな。

私の書くキモ姉キモウトものは大抵、姉妹が不幸になります。
次作も気が向けば。

426:名無しさん@ピンキー
07/07/03 23:57:48 U7ZJIeYi
>>425乙&GJ!
他の作品だと姉が主導権を握る話が多い(気がする)んで、こういうのは新鮮で良いな。

427:名無しさん@ピンキー
07/07/04 00:42:34 To0f1QhL
>>425
両方とも怖い、だがそれがいいwww
弟が姉に次ぎあう時がものすごく気になるな。
短編なのが惜しい。
作者さんGJ

428:名無しさん@ピンキー
07/07/04 00:55:48 uHzefDE2
>>425
GJ!
ぜひとも姉の誠二奪還編が見たい!

429:名無しさん@ピンキー
07/07/04 10:30:10 DJynNbp8
>サミシイサミシイ病
雛…

430:名無しさん@ピンキー
07/07/04 12:31:45 Im+mhjI1
敗北するキモ姉もまたかわいい

431:名無しさん@ピンキー
07/07/04 15:23:27 1ltaYfxP
>>425
なんという乙・・・そしてGJ

しかし先生もずいぶんキモイが家に帰らなくなった弟を思う姉はどのように歪んでしまう
んだろうか・・・そこが気になるぜ・・・

432:名無しさん@ピンキー
07/07/04 18:23:23 LZ1gtyEX
GJ!
だが姉派の私としては姉に勝ってほしかった…。


433:名無しさん@ピンキー
07/07/04 18:33:25 olH06CST
>>431
そりゃ後日(どっから入手したんだか)ランボーなみの武装をして学校に乗り込んで来ますよ。

434:名無しさん@ピンキー
07/07/04 18:57:39 iGpoQ55g
高倉さんの方が可愛げがあるから、高倉さんに
つ一票

435:名無しさん@ピンキー
07/07/05 19:24:06 +Z/6m+Ch
超怖い姉とか見れればそれでいいからどっちでもいいや

436:名無しさん@ピンキー
07/07/07 01:34:02 reLh1SgC
投下ラッシュ前の静けさ保守

そして今更ながら保管庫の人乙

437:名無しさん@ピンキー
07/07/07 06:36:25 qF8F0BcQ
調子の変化が激しいな此処・・・

職人さんがんばれ。

438:名無しさん@ピンキー
07/07/07 09:33:35 UTj4axiY
関連スレを上げまくってる愉快犯のつもりな奴がいますね

439:名無しさん@ピンキー
07/07/07 15:37:46 6ZaSMhcv
職人様の到来を祈ってるよ

全裸で。

440:名無しさん@ピンキー
07/07/07 19:24:30 mOTJL2UD
x/Dvsm4nBIです。契約している通信会社である某E社がアク禁に指定されました。
規制中ぼちぼち書き溜めながら解除を待ちます。中途で止めてすみません。

441:名無しさん@ピンキー
07/07/07 21:28:01 hd2D/Yb8
お待ちしております

442:名無しさん@ピンキー
07/07/07 21:36:02 SpYWVM4X
  [ (★) ]_
  <丶´Д`>
   (ミ 北 )<嫉妬スレが職人不足・・・このスレの職人さん・・助けて・・・
   ) |(
   〈_フ__フ
スレリンク(eroparo板)

443:名無しさん@ピンキー
07/07/07 22:32:37 V3HTLC/f
キモ姉やキモウトが職人達の他の女(スレ)への浮気を許すだろうか。

444:名無しさん@ピンキー
07/07/07 22:45:28 aooU1ok/
>>443
ごめん、俺ちょっと言ってくる


445:名無しさん@ピンキー
07/07/08 00:00:34 x3y4NxVR
>>444
無茶しやがって…

446:名無しさん@ピンキー
07/07/08 00:07:27 ju5UzgFM
お兄ちゃんが他の所に行くなんて許さないんだからね

447: ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 03:58:55 KZpfkP/i
非エロ投下します。

448:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 03:59:36 KZpfkP/i
自転車の一件があってから、夕里子は縁の言葉に従い、身の回りに注意して過ごした。
普段から二人以上で行動し、周囲に異変がないか気を尖らせた。
元々友人は多いので、同じクラスの親しい友人の協力も得ることができた。
綾はしばらくの間、夕里子を襲う隙がないかと観察していたが、どうにも難しそうだとわかった。
(慣れてるっていっても、所詮私も一人の女だしね……)
力は人並みだし、持っている道具もごく一般的な凶器に過ぎない。
警戒をしていない相手と警戒をしている相手とでは殺害の難易度は雲泥の差だし、二人以上を一度に葬る自信はなかった。
(やればできなくはないだろうけど、危険すぎるわね)
うまく殺せても、二人分の死体の処理や細工には、単純に二倍の作業が必要となる。
時間が長引けば人に見られる危険があるし、焦って作業が雑になることもあるだろう。
死体の処理で失敗をすると、警察その他に目をつけられる可能性が格段に高くなるのだ。
(しばらくは様子見ね……)
やれやれと、綾は溜息をついた。
「あーあ……うちが何かの工場とかだったら楽だったのに」
「綾さん、経営者になりたいのですか?」
綾の嘆きに、隣を歩く夕里子が、ほんわかとした声で応じた。
放課後、夕里子を送る陽一に綾が同行する形で、三人並んで夕暮れの道を行く途中だった。
「は? 何言ってるんです?」
「いえ……今さっき家が工場だったら云々と仰っていたので……」
「あー、それは……」
あんたとあんたのお仲間の死体処理に頭を悩ませてるんだよ、とは言えない。
綾は「まあ、そんなところですね」と、適当な相槌をうった。
「綾さんはどういった工場がお好みなのですか?」
「そうですねえ、溶鉱炉とか、大きな粉砕機とかあればいいんですけど。ああ、薬品を扱ったりするのもいいですねー」
「鉄鋼、食品、化学……綾さんは色々なものに興味をお持ちなのですね。すばらしいです」
「すばらしいですか。それはどうも」
感心しきりとばかりに頷く夕里子に、綾は微笑しつつ答えた。
「しかし、あれから一週間経つのに、ストーカーとやらは何もしてきませんね」
「え? あ、はい、そうですね。縁さんもあくまで念のためと言っておりましたし……ストーカーなどではなかったのかも知れませんね、あの自転車は」
「ということは、夕里子さんが自転車を貸した男がやったことだったんですかね」
「そうなるんでしょうか……。いずれにせよ、何も起こらないで良かったです」
「ははあ、お気楽ですね」
にこりと笑う夕里子に、それまでとは一転、冷たい声で綾は言った。
「夕里子さんが見知らぬ男に自転車を貸してしまったおかげで、お兄ちゃんもあなたの友達も気を張ることになったわけですが」
「ぅ……はい……それについては本当に申し訳ないと……」
「人望と言えば聞こえがいいですけど、少し他人に甘え過ぎなんじゃないですか?」
「はい……すみません」
綾の追及に夕里子はしょんぼりと肩を縮こまらせてしまう。
また始まったか、と脇で聞いていた陽一は内心溜息をついた。

449:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:01:01 KZpfkP/i
二人が顔をあわせてから一週間、綾は夕里子に対して常に丁寧な言葉遣いで応じたが、何かにつけて厳しい言葉を浴びせることがあったのだ。
「お兄ちゃんの恋人が他人に平気で迷惑をかける人間だとは、私も思いたくないんですがね」
「本当に……不出来なもので、すみません」
細い声で再び夕里子は謝る。
見かねた陽一が、綾の肩に手を置いて制した。
「こら、綾、夕里子さんをいじめるなよ」
「いじめてなんかいないわ。夕里子さんに、お兄ちゃんの恋人としてふさわしい人になってもらうべく、アドバイスしてるだけでしょ」
「その、俺の恋人にふさわしい人の基準ってのは、誰が決めたんだよ」
「この私がよ。文句ある?」
「大ありだろ! 何でお前が決めるんだよ!」
「たった一人の妹である私が決めないで、誰が決めるっていうのよ!?」
肩をいからせて陽一に詰め寄る綾。
陽一も退くことはなく、二人は至近距離で睨みあった。
「あ、あの……喧嘩は……」
今度は夕里子が割って入ろうとするが、消え入りそうな声は二人の耳には届かなかった。
「……お兄ちゃんは夕里子さんにやたら甘いわよね」
「別に甘くはないだろ。お前が細かいことを気にしすぎるんだよ」
「何よ? 私、間違ったこと言ってる? 夕里子さんの能天気が原因で、みんなが無駄に苦労しているのは確かでしょ?」
「夕里子さんの無防備なところは俺も時々不安になるけど……夕里子さんのために色々するのをみんながどう思うかは、お前が決めることじゃないだろ」
「……」
「少なくとも俺は、無駄とも苦労とも思ってない。これっぽっちもな」
「へえ~、お兄ちゃんも言うようになったわね」
半眼で睨んで、綾は陽一の脛を勢いよく蹴飛ばした。
「うぐぉっ!」
「よ、陽一さん! だ、大丈夫ですか?」
痛さに悶える陽一と、おろおろと慌てふためく夕里子を尻目に、綾は小走りに交差点を渡る。
「あ、綾……どこに……」
「夕飯の買い物! それじゃあね!」
突っぱねるように言って、そのまま綾は駆けていってしまった。
綾の姿が見えなくなると、陽一は道脇の植え込みの石段に座り、蹴られた脛を見るべくズボンをまくった。
夕里子もその隣にちょこんと座った。
「いてて……あいつ、本気で蹴りやがったな……」
「大丈夫ですか? 私、さすります。任せてください」
「え、あ、いや……」
言うが早いか、夕里子は陽一の脛に触れて優しくさすった。
恥ずかしいのでやめてくれと言おうとした陽一だったが、夕里子の真剣な表情を見て、とりあえずは任せることにした。
「どうですか……? その、少しは楽に……?」
「う、うん。ちょっとくすぐったいかも」
夕里子は綺麗な眉の端を下げて、今にも泣きそうになりながら、懸命に陽一の脛をさすった。

450:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:02:05 KZpfkP/i
「……陽一さん、すみません。私のせいで、また綾さんと喧嘩になってしまって……」
「ん? 気にしなくていいよ。俺たち昔からあんな感じだから」
「え……昔から蹴られたりしていたんですか?」
「ああ。しょっちゅうケチつけられて、殴られたり蹴られたりしてるよ。だから大丈夫大丈夫」
陽一は軽く笑うが、夕里子の表情は晴れない。
俯いてぽつりと呟いた。
「……綾さんは……まだ私を認めてくださってはいないみたいですね……」
「綾の言ったこと、気にしてるのか?」
「綾さんの仰るとおり、私に落ち度があったのは確かですし……」
「いや、まあ、そんなに気にしなくていいと思うよ」
「え?」
「綾はけっこうきついこと言うけど、それもいつものことだから。夕里子さんに限ったことじゃないし」
「そうなんですか?」
そう、と何でもないことのように陽一は頷いた。
「前に宇喜多にも話したんだけど、あいつ、同じ人に対してもその時々で寛容だったり厳しかったり、わけわからない変化をするからさ。基本的に気分屋なんだ」
「気分屋さん……ですか」
「まあ……心配性なところもあるから、俺と夕里子さんが付き合うことについても色々気にしてるみたいだけど……」
「ですよね、やっぱり……」
陽一も夕里子も共にため息をついた。
「やっぱり会わせるのが早かったのかなあ。……と言ってもあいつから会いに来ちゃったからにはどうしようもないんだけど」
「すみません。私が至らないばかりに」
「あ、いや、こっちこそ、妹一人黙らせることができなくてごめん」
お互い謝って、思いのほか顔が近付いていることに気が付く。
二人は顔を赤らめて姿勢を正した。
「ま、まあ……そんなわけだから、綾の言うことなんて気にせずに……」
「いえ、気にします。ご家族に認められてこそ、陽一さんとお付き合いする資格があると言えるわけですし……」
「そんな大げさな」
「大げさじゃありませんよ。私……胸を張って陽一さんの恋人だって言えるようになりたいんです」
日が落ちて、夕闇に街灯が灯る。
涼しい風が、夕里子の栗色の髪を揺らした。
少し色素の薄い瞳は真剣そのもので、綾の去った後の交差点を見つめていた。
ガラス細工のように繊細なその横顔を見て、陽一は、本当に綺麗な人だなと、一瞬見惚れてしまった。
「うーん……そうまで言われると、俺も夕里子さんの恋人だって胸を張って言えるように頑張らなきゃな」
「え!?」
夕里子は顔を真っ赤にして、あたふたと胸の前で両手を振った。
「い、いえ、陽一さんはそんな、十分にその……私、陽一さんが傍にいてくれるだけで嬉しいですから」
「また大げさだな」
「全然大げさじゃありません! 私、心の底からそう思っていますから! 今もこうして話しているだけで幸せで……」
「そ、そっか」
陽一も夕里子も赤い顔のまま俯いて黙り込んでしまう。
やがて二人はまた並んで歩き出した。
言葉はないままで、互いの手をとって歩く。
陽一と夕里子の付き合いは、初々しくも順調で、少しずつ心の距離を近づけつつあった。

451:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:03:31 KZpfkP/i
家に帰った綾は、買ってきた鶏肉をまな板の上に置くと、包丁を手にとって思い切り突き刺した。
包丁がまな板に突き刺さる重い音が家の中に響く。
「くそ! あの女……!」
何度も何度も、綾は包丁を振るって肉を刺した。
この一週間毎日のように繰り返しているストレス解消法だった。
「何で……何でお兄ちゃんはあんな奴のことかばうのよ!」
綾が夕里子にけちをつけるのは、陽一の恋人にふさわしい人間になってもらいたいからとか、そんなわけでは当然ない。
陽一と夕里子が深い仲になるのを牽制するためにしていることだった。
あわよくば、文句を言われるのに疲れて、夕里子が陽一から離れていってくれたら、とも思っていた。
しかし、今のところ夕里子が陽一から離れる気配は全くない。
それどころか、陽一が綾の攻撃から夕里子をかばうという構図のせいで、むしろ二人の仲がより緊密になっているように思えた。
「くそ! くそ! くそ!」
綾は狂ったように刺し続け、やがて糸が切れたようにがくんと動きを止めた。
虚ろな目で時計を見る。
そろそろ陽一の帰ってくる時間だった。
「いけない……こんなことしてる場合じゃなかったわ」
綾は陽一の部屋に行くと、ゴミ箱を回収し、自分の部屋に敷いた新聞紙の上にゴミをぶちまけた。
紙くずやビニール袋が散乱する。
綾はそのうちのティッシュのゴミのみを選り集めた。
「一、二、三……今日は少な目ね」
包んで捨てられたティッシュを開き、臭いを嗅ぐ。
一つ目、二つ目と嗅いでいって、三つ目を開いたとき、何とも嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ……これこれ」
両の手に捧げるように開いたティッシュを置き、口元に近づける。
微かだが、栗の花のような青臭い臭いがした。
「よしよし。お兄ちゃん、健全な生活を送っているようね」
当面は様子を見ると言っても、急がなければならない時もある。
それは、陽一と夕里子が肉体関係を持ってしまった時だった。
「お兄ちゃんが穢れるのは絶対絶対防がなきゃいけないものね」
陽一も年頃の男。
性欲はあるし、自慰もする。
綾は陽一が夕里子と付き合い始めてから、こうして陽一の自慰がどれくらい行われているかを毎日確認していた。
「これで今週は六回……一日平均〇.八六回……回数には異常なし、と」
安堵の息をつく。
陽一の自慰の回数は、夕里子とことに及んでいるかどうかの重要な指標だった。
自慰の回数が極端に減った時は、陽一と夕里子が肉体関係を結んだ時であり、多少の危険を冒してでも夕里子を排除せねばならない時だと綾は考えていた。
「どうやら今のところは大丈夫みたいね……と言っても、放っておく気もないけれど」
ゴミ箱にゴミを戻し、陽一の部屋に元あったとおりに置いておく。
ただし、精液のついたティッシュは戻さず、ベッドの枕元に置いてあった赤い箱の中にそっと入れた。
箱の中にはそれ以外にも、この数週間で集めた陽一が自慰で使用したティッシュが大量に入っていた。
「ふふ……お兄ちゃんの精子……」
綾はベッドの上で四つん這いになると、箱に顔を擦り付けるようにして、漂ってくる性臭を嗅いだ。
「お兄ちゃん……」
鼻を鳴らしながら、股間に静かに手を伸ばす。
上体を寝そべらせ、熱い息を吐いた。
「今は……こんなことしかできないけど……きっといつか……」
頬を紅潮させ、目を細める。
「大丈夫……お兄ちゃんは……あんな女すぐに嫌いになるはずだもの……ね? お兄ちゃん……」
声を押し殺し、夕影の差す部屋で綾は静かに自慰に耽った。

452:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:04:13 KZpfkP/i
数日後、綾は夜の街を静かに歩いていた。
綾の前方十数メートルの所には、予備校帰りの女子高生が一人、学校鞄を肩に提げて歩いている。
セミロングの髪を後ろで無造作に束ねた、地味な印象の少女だった。
彼女の名前を、綾は知らない。
ただ知っているのは、自分たちと同じ学校に通っていて、夕里子と同じクラスで学んでいるということ。
休み時間になっても話す友人もなく、机に向かって本を読んでいる、もの静かな人物であるということだけだった。
他にも夕里子のクラスに二、三人似たような人物は居たが、この数日調べたところ、定期的に一人になる時間帯が出来るのは彼女だけだった。
毎週木曜日、予備校の特進クラスで、彼女の帰宅は遅くなる。
帰る時は一人で、人通りの少ない道を通る。
綾が彼女を選んだのは、それらの条件が重なったからに過ぎない。
彼女とは話したこともないし、これといった恨みもなかった。
「気の毒だとは思うけど、これもお兄ちゃんと私の幸せのためだもんね」
綾はズボンのポケットの中で、束ねたストッキングを握た。
どこの店ででも簡単に手に入れることのできる、女性用のナイロンストッキングだ。
先を輪状にして、重みがかかると閉まるように結んである。
いわゆる、クローズドロープと言われる結びだった。
名も知らぬ少女の家は、街外れにある。
家がまばらに立ち、街灯がぽつぽつと立つ寂しい道を歩いて数分、綾は足音を忍ばせて少女に背後から近付くと、首にストッキングの輪をかけ、そのまま後ろに引き倒した。
「……!?」
驚きに、少女は顔を引きつらせる。
肩にかけていた鞄が道に転がった。
少女の尻が地面につかないよう、綾はストッキングの片端を腕に巻き、固定する。
少女は地面に足をつきながら、腰を宙に揺らめかせ、首を吊る形になった。
一秒、二秒と綾は心の中で数える。
少女は慌てたように首を絞めるストッキングを引き剥がそうとするが、しっかりと首に食い込んだそれは、指を割り込ませる隙間もない。
足を踏ん張らせて体勢を立て直そうとしても、綾が少し後ろに下がると、それだけで踏ん張りがきかなくなってしまった。
「……かっ……あ……!」
少女が声にならない声をあげ、綾が心の中で十秒を数え終える頃には、少女は動かなくなっていた。
「ふう……終わりっと」
とりあえず済んだが、のんびりしているわけにはいかない。
綾は少女の死体を引きずって道脇の林の中に運び込むと、適当な高さの枝にストッキングを投げかけて、少女の首をきちんと吊らせた。
綾の身長はそこまで高くないので、手の届く範囲で枝にストッキングの端を結び付けても、少女の足が少し地面についてしまう。
「まあ……自殺の形としては、結構多い型のはずだし、問題ないわよね」
道に転がった鞄を持ってきて、首を吊らせた少女の足元に置く。
さらに少女のスカートのポケットから携帯電話を取り出した。
アドレス帳を開くと、あ行の欄に『お母さん』と登録してあった。
綾は『お母さん』に宛ててメールを打った。

『勉強が辛い。友達もできない。クラスの人には無視される。四辻夕里子にはひどいことを言われた。もうやだ』

そう文面を打って、送信した。
首を吊らせてから既に数分経っている。
「まあ……多分助からないわよね」
もう数分置いて、少女の死をきちんと確認したかったが、長くここにいるのは危険だった。
少女の鞄には『宮入智恵』と名前が書かれていた。
「宮入さん、ね……」
暗闇の中、枝に首を吊った少女の顔を見る。
引きつったままの表情で、虚ろな視線を宙に向けていた。
「ごめんね、宮入さん。恨むなら私と……あと半分は宇喜多縁を恨んでね。あいつが余計なことをしなければ、死ぬのは夕里子さんだけで済んだんだから」
宮入智恵のポケットに放り込んだ携帯電話が、ブルブルと震えていた。
先ほどのメールを心配した母親からのものだろう。
「いいお母さんね……」
少し罰の悪そうな顔をして、綾は背を向けた。
道路に出て空を見ると、薄曇の中に星が見えた。
「まあ……夕里子さんだけ守れば済むと思っているのが、甘いところよね」
くく、と声を忍ばせて笑う。
陽一には買い物に行くといって外に出た。
遅くなった言い訳をどうしようか。
大いに頭を悩ませながら、綾は家路についた。

453:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:05:16 KZpfkP/i
翌日、学校で緊急の集会があった。
校長から短く、本校の生徒が亡くなったことが伝えられ、全校生徒が黙祷を捧げた。
教室に戻ってから、興味本位で話をする生徒たちもいた。
「なんかさ、自殺らしいよ」
「自殺?」
「ああ。俺、朝見たんだよ。その死んだ人の親が来てるの。凄い剣幕で校長室に怒鳴り込んでさ」
「なんで自殺だからって校長室に行くんだよ」
「よくわからないけど、いじめがあったんじゃないかって話だよ」
ひそひそと、囁くように教室のあちこちで会話が交わされていた。
「……死んだ生徒、ユリねえと同じクラスの人なんだって」
「あら、そうなの?」
沈痛な面持ちで言う小夜子に、綾は初めて聞いたという風に、驚きの表情を見せた。
「じゃあ夕里子さん、ショックを受けてるんじゃない? 優しい人だし」
「うん……多分ね」
はあ、と小夜子は陰鬱なため息をつく。
その顔は、どこか疲れているように見えた。
「何か、この学校ってけっこう人が死んでるよね」
「え?」
「だって……春には事故で一人死んでるし……今回も……」
「あー、まあ確かにね。でも世界では二秒で三人は死んでるんだし、そのうち二人がたまたまうちの学校の生徒になることも、十分ありうることなんじゃないの?」
「まあ……それはそうなんだけれどね……こうも立て続けに人が死んでいると、悲しい気持ちになるというか……」
よしよし、と綾は小夜子の頭を撫でた。
「小夜子はいい子ね。やっぱり従姉妹だけあって、夕里子さんに似てるのかしら」
「私はユリねえみたいに他の人のことを考えてるわけじゃないわよ。ただ、もしも自分が当人になったらって想像すると……悲しい気分になっちゃうのよね」
ねえ、と小夜子は勢い良く顔を上げた。
「綾は死なないでね。もしも綾が死んだりしたら……私……」
小夜子の目は、少しではあるが、潤んで見えた。
「まったく……よくわからない想像力ね。小夜子、泣かないでよ」
「泣いてはいないけど……」
「大丈夫、私は死なないわ。まだまだやりたいことがあるもの。小夜子こそ死ぬんじゃないわよ?」
「私が死んだら……綾は悲しんでくれるの?」
「あったりまえだのクラッカーよ。ま、せいぜい二人とも長生きしましょ」
そう言って、綾は力強く笑った。

454:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:06:04 KZpfkP/i
その噂が流れてきたのは昼過ぎだった。
死んだ宮入智恵は自殺する直前にメールを母親に送っていたらしいということ。
そのメールにはいじめを示唆する内容が書かれていたということ。
そして、午前中からずっと、四辻夕里子という生徒が話を聞くために職員室に呼び出されたままだということ。
「メールに、四辻って人になんかされたって書かれてたらしいぜ」
「じゃあ……やっぱりいじめで自殺したのか」
「これって、ニュースとかになるのかな?」
噂は静かに、しかし素早く広がり、昼休みが終わる頃には、全校生徒で四辻夕里子の名前を知らない者はなくなっていた。
「馬鹿馬鹿しい」
と小夜子は噂を切って捨てたが、綾は何も言わなかった。
どこか不穏な雰囲気のままその日の学校は終わり、生徒たちはあまり騒ぎ立てないよう教師から注意を受けて、各々教室を出た。
委員会に行くという小夜子と別れて、綾は昇降口に向かう。
どうやら校長室に押しかけた宮入智恵の両親が、メールのことも喚きたてていたらしい。
さすがに昼ほどではないが、四辻夕里子の名を囁く生徒はやはりいた。。
昇降口を出た綾は、校門を出ようとしている陽一の後姿を見つけ、慌てて後を追った。
「お兄ちゃん!」
呼びかけると同時に、後ろから抱きつく。
その勢いに、陽一は前につんのめってしまった。
「おわ! な、何だ、綾か」
「今帰りなの?」
「ああ、まあ、そうなんだけど……」
下校時間だけあって、周囲にはたくさんの生徒の目がある。
突然陽一に抱きついた綾と、抱きつかれた陽一を、道行く人が興味深げに見ていた。
「……何でいきなり抱きついてるんだよ、お前」
「ふふ……これ、今私たちの間で流行ってる挨拶なの。別に深い意味は無いわ」
綾は笑顔で言って、陽一から離れた。
「今日は一人なのね」
「ああ」
「夕里子さんは?」
「……ちょっと色々あって、遅くなるらしいんだ」
「ふーん」
陽一も当然事情は知っているのだろう。
綾の問いに、何とも言えない複雑な表情を見せた。
二人は一緒に帰ることにしたが、言葉少なく、駅に着くまでも、電車に乗ってからも、最寄り駅から自宅に歩くまでも、あまり会話をしなかった。
ただ黙々と道を歩いた二人だが、近所の大きな公園の脇を通ったとき、綾が口を開いた。
「お兄ちゃん、ちょっと寄って行かない?」
「え……」
「公園に。寄っていこうよ」
その公園は、アキラが浮浪者たちに犯され、命を落とした公園だった。
陽一は躊躇したが、綾は有無を言わさず陽一の手を引き、公園に連れ込んだ。

455:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:17:48 KZpfkP/i
アキラが死んだのはほんの二ヶ月ほど前のことだが、すでに公園は多くの人が平気で訪れるようになっていた。
木がたくさん植わっているおかげで、秋の彩をより身近に感じることができる。
広い芝の運動場では、子供たちが楽しそうにサッカーをしていた。
「元気よね、子供たちは」
「そうだな」
「夕日が真っ赤で綺麗ね」
「そうだな」
無邪気にボールを蹴る子供たちを見ながら、陽一と綾はベンチの脇に佇んで言葉を交わした。
「お兄ちゃん、この公園、覚えてるわよね」
「何がだよ」
「アキラちゃんが死んだ公園だよ」
「……ああ、覚えてるよ。当たり前だろ」
「お兄ちゃん、あの時すごく悲しんでたわよね。それに、自分を怒ってた」
「……まあ、そうだな」
「お兄ちゃんは正義感が強いのよね。ある意味、お母さんの影響なのかしら」
「綾……そんな話をするだけならもう行こう。俺はこの公園にいるのはあまり気が乗らないんだ」
「アキラちゃんのこと、随分引きずってるのね。そんなに悲しいことだったの? そんなに許せないことだったの? アキラちゃんを殺した人達が今も憎い?」
「当たり前だろ。人が死んだんだぞ? 忘れられないし、許せることじゃないだろうが」
憤りを露にする陽一の言葉に、綾は小さく微笑んだ。
「じゃあ、夕里子さんも許せないってことになるわよね」
「……!」
「お兄ちゃんも知ってるでしょ? 夕里子さんが自殺した宮入さんをいじめていたっていう話。
自殺する前に書き残していたんだってね。今日遅くなるっていうのも、その辺の話を聞かれてるんでしょ?」
「……まあ、そうみたいだな」
「いじめて自殺に追い込むのは、人殺しと違うのかしらねえ?」
「夕里子さんがいじめなんてしていたとは思えない」
夕里子の笑顔が思い起こされる。
穏やかな微笑を浮かべ、いつも心配になるくらい優しかった夕里子。
その夕里子がいじめをしていたなんて、到底信じられることではなかった。
「何かの間違い……だと思う」
「ばっかじゃない? 死ぬ前に送ったメールに、夕里子さんの名前がはっきり書いてあったんでしょ? どこをどう間違えるのよ」
綾は、陽一の逡巡を一言で叩き切った。
「別れなさいよ」
「え……」
「別れなさい、夕里子さんと」
「それは……」
「前に聞いたけど、お兄ちゃん、夕里子さんの裏表のないところが好きだって言ったんですってね
でも、ああやって笑ってる裏でいじめなんてして、しかも自殺まで追い込んだとなると……それって、思い切り裏表があったことになるでしょ? 
お兄ちゃんの好きだったところが、全部嘘だったってことになるんじゃない? そうだとしたら、もう夕里子さんと付き合う理由が無いんじゃないの?」
綾の口調はあくまで静かで、冷たかった。
赤い西日が逆光になって綾の表情は見えない。
ツインテールに結んだ髪が、血の中に揺らめく影のように、黒く風になびいていた。
その異様な威圧感に圧されて、陽一は言い返すことができなかった。
「ねえ、別れなさいよ。お兄ちゃんとあの人は合わないわ」
「合わないって……」
「私の知ってるお兄ちゃんは、いい人の皮を被った鬼畜を恋人にするような人じゃないもの」
「綾……お前……言い過ぎ……」
綾は歩を進めて、陽一に抱きつき、その胸に顔をうずめる。
突然のことに、陽一は言いかけた言葉を飲み込んでしまった。
「お兄ちゃん、お願いだから……私を守ってくれたお兄ちゃんのままでいて……あんなやらしい人殺しに穢されちゃ駄目よ」
「……」
「ねえ、もう一度聞くけど、夕里子さんを許せるの? 宮入さんを自殺に追い込んだ、夕里子さんを」
「それは……」

456:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:19:00 KZpfkP/i
陽一は幼い頃に自分の母の壮絶な虐待を目の当たりにしている。
それで綾が死に掛けたことも覚えている。
そんな原体験を持つ陽一にとって、他人を傷つける行為、他人の命を奪う行為は、一般的な倫理観を越えたところで、許されざることだった。
「……許せることじゃないよ。もし……本当にいじめをしていて、自殺に追い込んだとしたら。でもまだ本当に夕里子さんが原因だと決まったわけじゃ……」
「仮にも恋人だから、どうしても贔屓しちゃうのはわかるけどね。死ぬ間際のメッセージを軽んじるのは、死んだ宮入さんがあまりに気の毒じゃないかしら。
絶望して、自ら命を絶とうという時に書いた最後の訴えなのよ?」
「……!」
綾は陽一に抱きついたままで顔を上げ、目で訴えかけた。
「別れてくれるわよね。アキラちゃんのために涙を流したお兄ちゃんなら……私を守ってくれたお兄ちゃんなら……わけもなく他人をいたぶる人を、好きになるはずないものね」
そう、夕里子があの笑顔の裏で級友をいたぶっていたとなると、それは陽一の許容する人物像ではない。
恋愛対象から嫌悪の対象に変わることは間違いなかった。
間違いなかったが―
「別れる……?」
「そう、別れるの。人殺しのいじめっ子が大好きって宗旨変えするなら、それはそれでいいんだろうけどね」
「それはさすがにないけど……」
「じゃあ別れてくれるのね!?」
「そう……だな……許されることじゃないもんな……」
次々と繰り出される綾の責めの言葉に、陽一はついに頷いてしまった。
「じゃあ、今すぐメールを打ってくれる? 夕里子さんに」
「え……? 何も今すぐしなくても……」
「ここからは私の都合になるけど、『級友を自殺に追い込んだ女と付き合ってた男の妹』なんて周囲に認識されると私も困るしね。手早く別れてもらった方がいいわけ」
「……まあ、そうだな。俺だけの問題ってわけじゃないんだよな、こうなると」
陽一はのろのろとした動作で携帯電話を取り出したが、夕里子へのメールを打つ段になってまた止まってしまった。
「どうしたのよ? 文面が思いつかないなら、いっちょ私がすっぱり別れられる強烈なやつを書いてあげようか?」
「いや、いい。自分で打つよ」
しかし陽一の指は動かない。
綾はじっと期待の目で見ているが、数分経っても陽一は動かなかった。
「……ちょっと、お兄ちゃん?」
「ん……ああ、まあ、意外と思いつかないもんだな、別れの言葉って」
これから打つのは夕里子に向けた別れの言葉だ。
凝った文面なんて考えなくてもいい。
書こうと思えばすぐに書けた。
しかし―
(いいのか? 本当に……)

『私……胸を張って陽一さんの恋人だって言えるようになりたいんです』

そう言って恥ずかしそうに笑った夕里子。
綺麗で、冗談だろうと言いたくなるくらい優しくて、一途に自分を想ってくれた夕里子。
いじめは許されることではない。
人の命を奪ったとなれば、なおさらそれは嫌悪の対象になる。
そして、夕里子が死んだ宮入智恵になんらかの嫌がらせをしていたのは―どうやら間違いないらしい。
何しろ、宮入の死の直前のメールがあるのだ。
(でも……)
陽一は携帯電話の画面を見つめたまま、動くことができなかった。
いい加減痺れを切らした綾が陽一の手から携帯電話を奪い取ってしまった。
「あ……」
「私が送ってあげるわよ」
陽一の手を払い、綾が素早くメールを打ち始めたその瞬間、
「支倉君? 綾ちゃん?」
二人のすぐ近くから声がかかった。

457:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:21:18 KZpfkP/i
振り返るまでもなくわかった。
きっちりと編みこんだ三つ編みの髪に、一切崩すことなく着こなした制服。
眼鏡の少女は、小首を傾げて陽一と綾を見つめていた。
「宇喜田……」
「あら、縁さんじゃないですか」
縁は嬉しそうに手を振って、二人の元に駆け寄った。
「あはは。よかった。人違いだったらどうしようかと思ったよ。西日がきついねえ、この公園は」
「……縁さん、こんなところにどうしたんですか? お家とは別の方向ですよね」
「ちょっと支倉君に用事があってさ。今から家にお訪ねしようかと思ってたんだ」
「何の用事ですか?」
「夕里子ちゃんについてお話があって」
綾は舌打ちをしたくなったが、努めて平静な声を出した。
「そうですか。後で聞きますから、近くの喫茶店で待っていてください。今、兄と大切な話をしていますので」
「夕里子ちゃんに関することだよね? だったら私も混ぜてほしいんだけどな」
「家族としての話し合いですので、ご遠慮願えますか?」
「何か迷ってるようだったら、別の意見も聞いてみた方がいいと思うけど?」
言って縁はちらりと陽一の顔を見た。
いつもの朗らかな笑い顔。
眼鏡の下の瞳には、知性のきらめき。
そして、陽一を見つめる眼差しからは、『力になる』という確固とした意志が感じられた。
陽一の沈んだ表情が、みるみるうちに晴れていった。
「……綾、宇喜多にも話を聞いてもらおう」
「お兄ちゃん!?」
「宇喜多は俺やお前よりも、夕里子さんのことを知っているわけだし、話を聞くのは悪いことじゃないだろう」
「う……」
前回のちゃちな自転車への細工とは違う。
人を一人殺してまで打った、夕里子を陥れるための罠だ。
死に際して残した言葉というのは、日常口にする言葉の何倍も重く見られる。
『自殺した』宮入智恵は、四辻夕里子の名前を残したのだ。
学校や死んだ宮入智恵の親は夕里子を追及する流れになっているし、全校生徒も、四辻夕里子が何かしたのだろうと考えている者が多数だ。
四辻夕里子の名は、級友をいじめの末自殺に追い込んだ生徒として、定着しつつある。
例え縁であっても、挽回の余地はないように思えた。
(でもこの女は……)
油断ならない。
できれば縁を関わらせないうちに、陽一と夕里子を別れさせてしまいたかった。
「……話なんか聞く必要ないでしょ? これまで人前でどんな振る舞いをしてきたにせよ、宮入さんを死に追い込んだ事実に変わりはないんだから。後はお兄ちゃんからメールを送っておしまいよ」
「それは違うんじゃないかな?」
綾の言葉に、陽一に代わって縁が答えた。
「夕里子ちゃんが悪いなんて言い切れないでしょ?」
「お前には言ってない!!」
綾は目を見開いて、縁を睨みつけた。
射殺さんばかりの視線を、縁は笑って流した。
「はは。まあ、私も支倉君に言ってるだけだから、お互い気にせずいこうか」
「ここに居るだけで邪魔なのよ! あんたは!!」
「二人にとってお邪魔なら居なくなるよ」
縁はまた陽一を見る。
「話を聞かせてくれ」
はっきりと、陽一は言った。
「というわけで、支倉君に話をするから、ちょっと我慢していてね」
「この……!」
「あはは。うーん、綾ちゃん怒ってるね。できれば綾ちゃんにも綾ちゃんにも聞いてもらいたいんだけどな。考えが変わるかもしれないし」
「何をどうすれば変わるのよ。夕里子さんのせいで宮入って人が死んだのは間違いないんでしょ?」
「そうとも限らないよ」
ふん、と鼻で笑って、綾は縁を見据えた。
「遺書が残ってたのよ? それで親御さんが学校に怒鳴り込んできたんじゃない」
「遺書って言ってもメール遺書だからね。本人が書いたとは限らないし」
「へええ、また面白いことを言うのね」
「うん、これは今さっき綾ちゃんを見て閃いたことだから、本当に単なる思い付きだけど」
「私を?」
縁は綾が手に握った陽一の携帯電話を指差した。

458:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:26:01 KZpfkP/i
「ほら、綾ちゃん、今支倉君の代わりに夕里子ちゃんにメールを送ろうとしていたでしょ? それと同じことができるじゃない」
「……!」
「メール遺書なんて、そんなものだよ」
「……あなた、自分が何言ってるかわかってるの? 本人以外がメールを送ったんだとしたら、それは……」
「そうだね。自殺じゃないね」
「警察も自殺だって言ってるんでしょ? それが間違ってるっての? さすがに妄想が過ぎると思うけど」
「あはは。突飛だと自分でも思ってるよ。でも警察も人間の集まりだから、間違えもするし面倒くさがりもするよ。自殺の形になってれば、適当にしか調べないからね。……でもまあ思いつきだから、忘れてね」
置いといて、と物を除ける仕草をして、縁は話を続けた。
「宮入さんが自殺したのはまあ間違いないとして、メール遺書も宮入さんが送ったとしても、本当に夕里子ちゃんが悪いのかどうかは、それとは別問題だから」
「は? 名指しされていてどうしたら別問題になるのよ? あんたも身内贔屓が過ぎるんじゃないの?」
「身内贔屓っていうか、信頼の問題だよね」
「どう違うのよ、それは」
「ちゃんとした理屈があればそれは信頼の問題になって、理屈がなければ単なる身内贔屓だね」
「はー、いちいち仰ることが違うわね。何よ、夕里子さんが悪くないっていう理屈があるって言うの?」
綾はもはや敬語など抜きで、縁に素のままでぶつかっていた。
縁は気にした様子もなく綾と陽一の顔を交互に見ながら話をし、陽一はただ黙って話を聞いていた。
「殺す意図があった場合と殺す意図が無かった場合とで、殺人の罪も重さが違ってくるのは知ってる?」
「まあ、そんな話を聞いたことがあるわね」
「例えば、殺す意図が無くて、百人が見たら百人とも『人の死に繋がるわけは無い』と思う行動をして、その結果人が死んでしまったら、それはその行動をした人が悪いのかな?」
「……言ってる意味がわからないんだけど」
「夕里子ちゃんが宮入さんに『頑張ってくださいね』と声をかけて、その結果宮入さんが自殺したのだとしたら、それは夕里子ちゃんが悪いのかな、ってことだよ」
言葉の捉え方は人それぞれ。
精神状態によっても大きく違ってくる。
メールには『ひどいことを言われた』としか書かれていなかった。
「本当に何気ない一言や単なる挨拶を、不安定な精神状態だった宮入さんが『ひどい言葉』に変換しちゃっただけってこともあるんだよ。その場合、声をかけた人が悪いのかな?」
「……勝手に死んだ人間が悪いと、そう言いたいのね」
「言い方は悪いけど、ぶっちゃけるとそうなるね」
さすがに決まり悪げに縁は笑った。
「……全部縁さんの想像でしょ? それこそ、夕里子さんが陰に隠れてひどいことを言い続けていた可能性だってあるんだから」
「一応色々聞きまわったけど、誰もそんな様子を見た人がいなかったからね。
元々友達の居ない子だったみたいだけど……どんなに隠れるのがうまい人でも、まったく他人に気取られずに人を害するのは至難だよ。
私は、夕里子ちゃんは責められるようなことはしていなかったんだと思うよ。まあ、このあたりが最初に言った信頼の問題になってくるわけだけど……理屈は通ってるでしょ?」
「仮にあなたの言うことが正しかったとしても、夕里子さんが宮入さんの自殺のきっかけになったことに変わりは無いんじゃない」
「その辺は、誰もが可能性のあったことだからね。運の悪い宝くじに当たったようなものだし、私はどうでもいいやって思うけど、これは人によるかな」
ということで、と両の手を叩いて、縁は陽一に向き直った。
「夕里子ちゃんを信頼するのが私の意見、夕里子ちゃんを信頼しないのが綾ちゃんの意見だよ。どっちも理屈としては同じくらいのものだから、後は本当に、夕里子ちゃんを信じるか信じないかってだけ。
私も夕里子ちゃんの知り合いじゃなかったら、ひどいことする人だなあ、で終わってただろうしね」
言い終えて息をつき、縁はいつもの笑いを浮かべた。
「後は支倉君次第。夕里子ちゃんを信じるかどうか選んでね」

459:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:26:50 KZpfkP/i
「俺次第、か……」
考え込む陽一を、綾は苦々しい表情で見た。
後は夕里子を振るメールを送るだけという状況だったのに、二択にまで押し戻されてしまった。
そして、縁は自殺についてまで疑いを抱いていた。
(この女はどこまで……)
危険を冒してでも殺さなければならないのはこの女なのかも知れない。
しかし、今まで出会ったどの女とも、縁は明らかに質が違った。
縁は小首を傾げたままで、考え込む陽一を見つめている。
やがて陽一は、縁に向かって問いかけた。
「宇喜多、お前は、夕里子さんを信じるんだな」
「うん」
「……俺も信じるよ。まあ、出会って数週間の俺が信じるなんていうのもおこがましいけど……俺の見てきた夕里子さんと、夕里子さんを信じる宇喜多を信じることにする」
「お兄ちゃん!?」
愕然として、綾は陽一を見た。
「お兄ちゃん……私よりも、縁さんの言うことをとるの? 私のことは信じないって言うの?」
顔から血の気が引き、膝ががくがくと震える。
傍目に見ても、普通ではない反応だった。
「綾……?」
「何で……何でそうなるのよ! 何で……!」
「おい、綾、別にお前を信じないとかじゃなくて……」
「うるさい! 馬鹿!」
綾は陽一を平手で殴りつけた。
乾いた音が響く。
そのまま綾は顔を伏せて駆けていってしまった。
「綾!」
陽一は慌てて鞄を持ち、走りだそうとして、縁に向き直った。
「宇喜多、すまん! 俺、綾を追うから……」
「うん、いいよいいよ。夕里子ちゃんのこと、後でちゃんと励ましてあげてね」
「ああ。それと、綾のこと、ごめんな。別にあいつも悪気があるわけじゃなくて……」
「わかってるよ。綾ちゃんは支倉君のことが大好きでだから、心配なんだよね、きっと」
「……ありがとうな」
今度こそ陽一は駆け出す。
綾はすでに公園を出て、その姿はなかった。
一人残された縁は、陽一の後姿に向かって呟いた。
「こちらこそ。信じてくれて、嬉しかったよ」

460:赤の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:27:35 KZpfkP/i
綾は家に帰ると、部屋に閉じこもり、ベッドに伏せて泣いた。
すぐに後を追ってきた陽一も帰り着き、綾の部屋の戸を叩いた。
「綾! おい! ちょっと話を聞けって!」
「何よ……」
扉の向こうから聞こえる声はくぐもり、震えている。
泣いているのだとすぐにわかった。
「……余計なこと言って悪かったわね……っ……もう、夕里子さんとでも縁さんとでも、勝手に仲良くしてなさいよ」
「綾、さっきのは夕里子さんを信じるか信じないかって問題で、お前を信じるかどうかとは違うだろ。落ち着いてくれ」
「……お兄ちゃんは……私なんかより、縁さんがいいんでしょ」
「宇喜多を信じるって言ったのは、お前と比較したわけじゃない。夕里子さんを信じる理由の一つとしてという意味で……」
「例えば……変な話だけど、私が夕里子さんと同じ立場になって……縁さんが私の味方をしてくれなかったら……お兄ちゃんはどうするの?」
「どうするも何も……俺はお前の味方だよ。兄妹なんだから、当たり前だろ」
「……」
部屋の中から聞こえていた嗚咽が小さくなっていく。
しばらくして部屋の戸が開き、目元を赤くした綾が部屋着に着替えた姿で現れた。
「綾……」
「……」
「えーと……」
ぼんやりと、綾は陽一に顔を向けた。
「夕里子さんとは、別れないのね?」
「まあ」
「お兄ちゃんにも、よくない噂が立つかもしれないのよ?」
「ああ」
綾は細くため息をついた。
髪は解れ、荒んだ目をしていたが、だいぶ落ち着いた様子だった。
「……所詮、妹の心配なんて、余計なものよね」
「いや、ありがたいとは思ってるよ。ちょっと過激かなとも思うけど」
「……もういいわ。今回のことは、好きにすれば?」
腕を回し、コキコキと肩を鳴らしながら、綾は陽一の脇を通り過ぎた。
「さあて……今度はどうしようかしらね」
「え?」
「料理よ。最近つくねが多かったから。今度は何が食べたい?」
「ああ……別に何でもいいよ」
「そう」
綾が階段を下りるのを追って、陽一も階下に下りた。
開いたままの綾の部屋の扉がゆらりと動き、軋んだ音を立てる。
部屋の中には枕が一つ、綿を撒き散らし、包丁の突き刺さったままで転がっていたが、陽一がそれに気付くことは無かった。

461: ◆5SPf/rHbiE
07/07/08 04:31:02 KZpfkP/i
今回の投下は以上です。
気付いたら総量194kb……。
終わりまであと2+3話くらいはかかりそうです。
お付き合いください。

462:名無しさん@ピンキー
07/07/08 05:34:46 a6WC0Eh6
欲を言えばもっと続いて欲しいです(●´∀`)
けどペース乱さず最終話まで書き切っちゃってください!

463:名無しさん@ピンキー
07/07/08 06:00:32 D1MyYW3q
綾ヤバいwww
最後どうなるかメッチャ気になるわwww

これは籠の中に続く大作だ

464:名無しさん@ピンキー
07/07/08 09:23:58 ju5UzgFM
綾は何人闇に葬れば気が済むんだよwwww

465:名無しさん@ピンキー
07/07/08 09:41:45 LgknxXfP
しかも今回の被害者は兄と全く関係ないwwwwww

466:名無しさん@ピンキー
07/07/08 09:58:07 Y/Iq7uTS
毎回クオリティー高く、楽しみに読ませてもらってます。
それにしても、縁の登場の仕方と推理が前回よりもグレードアップしててそこも楽しい。

次回以降の殺人鬼綾VSホームズ縁の推理対決も楽しみです。
結末も全然予想がつかないですし、次回以降も楽しみにまっています。

467:名無しさん@ピンキー
07/07/08 10:11:02 3GCxFgQm
>>461
綾タンキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)n゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

渾身のGJ!!それにしてもクオリティ高杉・・・綾には幸せになってほしいなぁ・・・

468:名無しさん@ピンキー
07/07/08 10:12:03 HOveF3j2
>「あったりまえだのクラッカーよ。ま、せいぜい二人とも長生きしましょ」
人を殺した翌日なのにこの余裕・・・!綾・・・恐ろしい子!!!!

469:名無しさん@ピンキー
07/07/08 11:39:36 zRaM5r7X
てなもんや三度笠か
何歳だ?




綾・・・恐ろしい子!!!!

470:名無しさん@ピンキー
07/07/08 13:11:42 V29dWWrW
縁空気嫁

471:名無しさん@ピンキー
07/07/08 16:30:33 bTnnoQFb
犯人の側から見たバーローはちょうど縁みたいな感じなんだろうなぁ。

472:名無しさん@ピンキー
07/07/08 17:09:25 NKFo+Z42
正直、緑と夕里子を応援してしまっている…
今回は被害者可哀想過ぎるだろ…


473:名無しさん@ピンキー
07/07/08 17:20:52 YWoUJSNi
GJ!!
しかし縁は最終的に兄を手に入れようとしてるかしてないかで私的には印象がぐっと変わるな
本当に夕里子とくっつけようとしてるだけだったら人の恋愛に少しでしゃばり過ぎな感じがある

474:名無しさん@ピンキー
07/07/08 17:48:22 LgknxXfP
>>473
まあ普通の恋愛だったらでしゃばり過ぎなのかも知れないけど
腹黒殺人キモウトが暗躍してるこんな世の中じゃ

475:名無しさん@ピンキー
07/07/08 18:03:39 91JnsrU0
まじ読みごたえあるわー
これホラー映画にできるだろ

476:名無しさん@ピンキー
07/07/08 18:48:27 FMnwxHWX
綾KOEEEEEEEEE!もはやキモウトなどと言う言葉すら生ぬるい!
しかしながら言わしてもらう。
GJです!!!!!!!次回を楽しみにお待ちしています!

477:名無しさん@ピンキー
07/07/08 21:03:42 aIDyVIsj
綾たん暴走しすぎ。もちろん性的な意味で

478:名無しさん@ピンキー
07/07/08 21:31:33 RyQ9ccLE
>>461
そろそろ綾タンが恋しくなってきたなぁと思っていた頃に投下ktkr!!!

あー、相変わらず綾タンは素敵だ。
縁タンの推理というか、話の展開のさせ方もいいね。
はてさて、どうなることやら。
残り2~3話とのことだけど、楽しみに待つ!


だが、不満が!!
オナニーティッシュでハァハァする綾タンをもっと見たかったぞっ!!!

479:名無しさん@ピンキー
07/07/08 21:37:08 XDONWaxu
2+3だからあと5話くらいなのでは?あとゆかりかえにしか教えてほしい

480:名無しさん@ピンキー
07/07/08 21:42:33 V29dWWrW
だれか綾タソのイラスト描いて下さい><

481:名無しさん@ピンキー
07/07/08 21:46:58 TG/VQIph
>>479
同意
ある程度読み進んでから読み方が違う事に気がつくと修正が難しかったりするよねw

482:名無しさん@ピンキー
07/07/08 21:49:47 DPq9hQ2E
兄を悲しませたり苦しませたりした人間に、兄にかわって復讐する話も読みたいな
1話目みたいな感じの

483:名無しさん@ピンキー
07/07/08 22:37:29 XMEKrp2g
これはキモウトに萌えるスレだったはずなのに
何故か夕里子とくっついてほしい俺ガイル
何故だろう・・夕里子が凄いいい子なのと綾がマジで怖くなってきてるからだろうな
とにかくこれは期待だな

484:名無しさん@ピンキー
07/07/08 22:53:46 cxF9CRTv
>>483
do-i
今回もgkbrして読んでしまった。
地味無関係の宮入タソテラカワイソス
気持ち的には綾への憤りが出てきた。
今のところは縁委員チョの絶対防衛線とのせめぎ愛を
楽しむことにします。


485:名無しさん@ピンキー
07/07/08 23:17:28 JEi32Qop
綾が計画通りにいかなくてギリギリしてる姿に萌える
縁にはもっと綾をボコボコにして欲しい
綾が最高に気分がいい時に奈落に堕として欲しい

486:名無しさん@ピンキー
07/07/08 23:25:50 ju5UzgFM
綾と陽一が結ばれて欲しい俺は少数派

487:名無しさん@ピンキー
07/07/08 23:33:29 aIDyVIsj


488: ◆5SPf/rHbiE
07/07/09 00:01:27 KZpfkP/i
一瞬だけコテつけます。

>>479
縁はゆかりです。
えにしちゃんじゃないんです。
残り2+3=5話ほどです。
夏が終わるまでには完結する予定です。

489:名無しさん@ピンキー
07/07/09 00:21:57 06kkUVti
この漫画ってキモウト漫画なの?
URLリンク(www.youtube.com)

490:名無しさん@ピンキー
07/07/09 00:36:02 eAb3UVFb
キモ姉、妹とはあんまり関係ないけど、今回の話を読んで「ヤンデレ刑事(探偵)」ってネタを思いついた。
元ヤンデレの女刑事(または探偵)がヤンデレが関与する事件に挑むって感じ。


まあ、どうでもいいか……

491:名無しさん@ピンキー
07/07/09 00:40:43 jM2I7uZq
>>489
兄から一方的に関係を絶たれた妹が、宗教にはまって兄を刺し殺そうとする話。
その後、妹は階段から落ちてナイフが自分に刺さり昏倒。植物状態に。


……たぶん、キモウト。
兄の方がぶっ壊れてるけれど。

492:名無しさん@ピンキー
07/07/09 02:34:30 2s6TKraS
なんて漫画?

493:名無しさん@ピンキー
07/07/09 02:38:25 2s6TKraS
自己解決しますた

494:名無しさん@ピンキー
07/07/09 02:43:21 MT5GufEt
Arkっていう漫画。前後編とも持ってるので角煮板でリクがあればZipであげられるかも。

ちなみにこれラストを見ると兄のほうが常軌を逸している。

495:名無しさん@ピンキー
07/07/09 12:48:40 B8SLkdw6
>>479,488
おおう、これは失礼。単なる見間違いだ。
綾タン(*´д`*)ハァハァ

496:名無しさん@ピンキー
07/07/09 13:00:54 MUVf16bx
何かと思って気になってみたらサンホラのアレか

497:名無しさん@ピンキー
07/07/09 19:21:27 CEgPUTtx
遅いけどGJ!
いい調子だぜ縁!
さんざん横暴してくれた綾をぶちのめしてやってくれ!
死んでったかわいそうなキャラのためにも!


……でも心のどこかで皆殺しエンドを期待している俺もいる。

498:名無しさん@ピンキー
07/07/09 21:18:02 lbBIx6vJ
むしろ泥棒猫を全員抹殺して、綾大勝利きぼんぷ

499:名無しさん@ピンキー
07/07/09 22:37:49 vJppfjm+
500ゲト

500:名無しさん@ピンキー
07/07/09 22:48:56 j8IwC/a+
>>498
そしてお兄ちゃんに正体がばれて監禁するんですねw

501:名無しさん@ピンキー
07/07/10 07:01:36 DgKh3S6P
縁END
縁BADEND(監禁)
夕里子END
夕里子BADEND(財力を使い綾から逃避行)
綾END
綾BADEND(監禁)
綾BADEND(皆殺し、そして最後はお兄ちゃんと・・・一緒に・・・・)
綾BADEND(やりたい放題の綾、そのときイ○は発動した)


全部俺が見たいだけ

502:名無しさん@ピンキー
07/07/10 10:12:49 zuMUKOPe
>>501
けーさつに掴まるという選択肢はないのだな

503:名無しさん@ピンキー
07/07/10 11:32:10 2hctT8hB
>>502
あってたまるかっ!!

504:名無しさん@ピンキー
07/07/10 12:12:05 Ue6T2y/V
>>500
お兄ちゃんと共犯関係になって、泥沼ながら強固な絆が発生するんだよ

505:名無しさん@ピンキー
07/07/10 18:08:48 ShBKdoku
>>502
「9パラごときであたしをとめられると思うなっ!」みたいなことに

506:名無しさん@ピンキー
07/07/10 20:06:38 YM3UUrPG
ゼロの者氏

507:名無しさん@ピンキー
07/07/10 23:46:40 ZlmSyI1Q
監禁したり泥棒猫を全部頃しても
綾は陽一に愛されない

508:名無しさん@ピンキー
07/07/10 23:48:04 m4r5TEYm
なんでさ

509:名無しさん@ピンキー
07/07/10 23:54:09 TsZlUVJ6
家族としてしか見られない切なさも近親片思いのキモだ

510:名無しさん@ピンキー
07/07/11 00:08:59 vZlz8y2S
キモウト×キモ兄作品が読みたいです…

511:名無しさん@ピンキー
07/07/11 00:11:43 +VaCeLUm
そう決めつけるもんではないさ

512:名無しさん@ピンキー
07/07/11 03:52:04 VCimOek9
縁は可愛いね。超越者っぽくて違和感はあるんだが。
あんな女がいたら、確かにラブじゃなくて友人で居たいと思うかも。てかあんな友達が欲しい。

513:名無しさん@ピンキー
07/07/11 11:57:26 GP7ifviT
キモウト&キモ姉スレでも必ずしもキモウトが応援されるわけじゃないことが、なんか新鮮だ

514:名無しさん@ピンキー
07/07/11 14:57:01 vxC99xGl
けれど綾タンのあの必死さに萌えてしまうw

515:名無しさん@ピンキー
07/07/11 15:11:30 7JIVEtEn
綾タン必死杉wwwww涙目バロスwwwwwwww
って感じか?w

だがそれがいい!

516:名無しさん@ピンキー
07/07/11 19:59:10 vZlz8y2S
これだけ必死になっても陽一が落とせなかった時に、綾がどう発狂するのか楽しみだ。

517:名無しさん@ピンキー
07/07/12 00:56:49 H0G4IiHd
>>516
怖すぎて想像できないな・・・

まぁ普通に監禁するだろ・・・あれ?ループしてる希ガス

518:名無しさん@ピンキー
07/07/12 02:09:48 QkMdg64J
連載中リスト

虎とあきちゃん
綾シリーズ
水木さんちシリーズ
運命の赤い超紐理論
聖のお兄様
毒にも薬にもなる姉


      +
 +
     ∧_∧  +
  + (。0´∀`)
    (0゚つと )   +
 +  と__)__)

519:名無しさん@ピンキー
07/07/12 17:09:49 QJnHcDIB
とりあえず綾には
「吐き気を催す『邪悪』とは! 何も知らない者を己のために利用することだ!」
って言いたい。

520:名無しさん@ピンキー
07/07/12 18:15:55 gcK/wF8c
>>519
お前それ言うと、時間消し飛ばされてなんだかわからんうちに死ぬぞ。

521:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:22:03 uGKMtPti
投下します

522:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:24:35 uGKMtPti

それは子供のころの話。

川原に居た僕は、そこで蜻蛉に良く似た昆虫を捕まえた。
一緒にいた姉にそれを見せると、彼女は僕に微笑みながら説明してくれた。
「これは蜉蝣ね。ふゆう目の昆虫。蜻蛉も同じふゆう目だから似ているけど、一応別物」
「かげろー?」
「そう。蜉蝣。短命の昆虫」
顔をみてみなさい。
姉は僕にそう云った。
云われるままに覗き込むと、すぐに違和感に襲われた。
無い。
生物にあるべきものが、それには欠落していたのだ。
「お姉ちゃん、こいつ、口がないよ?」
「うん。そう。口が無い」
「どうして口が無いの?これじゃあごはんが食べられないよ?」
「必要ないからよ」
すぐに死んでしまうから。
姉はそう云って、僕の掌の中の蜉蝣を空に放した。
どこまでもか細い、具象化した儚さはゆっくりと風景に消えて往く。
永遠に生きるものは無い。
不滅の生命は有り得ない。
生きとし生けるものは、皆土に還り。
形あるものは、皆滅ぶ。
それが早いか遅いかの差だけで。
本質は何も変わらない。
たとえそれが―数時間の命であったとしても。
姉はそう教えてくれた。
「じゃあ、お姉ちゃん」
「ん?」
「お姉ちゃんも、いつかは死んじゃうの?」
「・・・・」
僕が不安そうに見上げると、姉は眉をハの字にして笑った。
「大丈夫。私は死なないわ。大切な弟を置いて、死ぬわけが無い。私は永遠に―貴方の傍にいる」
子供心に、それは嘘だとわかった。
けれど、僕にはそれで充分だった。
人を幸せに出来る『優しい嘘』もきっとある。
それがわかったのだ。
その日の会話も。
その時の笑顔も。
総てが色鮮やかに。
今も僕の心に焼き付いている。

――――――――――――――――――

僕にはみっつ歳の離れた姉が居る。
名前は鳴尾至路(なりお しろ)。大学生。
謹厳実直・頑固一徹・石部金吉を地で往く人物で、他人にも自分にも厳しいことで有名だ。
本人曰く、
「優しさこそが最も人を駄目にする。厳しさは人倫の根幹」
だ、そうで、周囲に居る人間は、目上・目下、はたまた同輩・友人であってもその『手厳しさ』から
逃れることは出来ないと云われている。
幼少のころに両親が「あいつは厳しすぎて困る」と愚痴をこぼしていたのを聞いたことがあるから、
その厳しさは筋金入りと云って良い。
「政治の要諦は寛厳両輪の均衡にある。けれどそれが無理なときは厳しさをこそ選ぶべき」
そう云い切る姉の愛読書は『韓非子』と『君主論』。
尊敬する人物は、織田信長、チェーザレ・ボルジア、李世民、、スッラ・フェリックス、
ハンニバル・バルカだそうで、大学では独裁、或は寡頭政治をテーマに論文を書いている模様。

523:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:26:40 uGKMtPti
そんな姉なので、周囲にはこう公言して憚らない。
「私は弟の躾を何よりも重んじている。決して甘やかさず、徹底して厳しく育てる。恨まれることも
あるでしょうが、厳しさこそが優しさであるといつか気づいてくれるはず」
多分、姉は本気でそう云っている。
僕を厳しく育て上げることを主眼にし、鍛え上げている『つもり』なのだろう。

僕の名前は鳴尾来路(なりお くろ)。
優秀な姉とは似ても似つかない―不肖の弟です。

※※※

「いやあ、大したものだなぁ・・・」
五代(ごだい)先生は手に持った淡彩画に感嘆する。
某有名芸大の教師である彼から見ても、その目に映る四角い世界の精度は極めて高いのだろう。しきり
に唸りながら驚嘆の声をあげる。
ここは五代邸の客間。
数多くの芸術品に囲まれた僕は豪奢なソファに座り、先生と対面している。
「きみの姉はあれだな、天才と呼べるかもしれんね」
手に持った淡彩画を目の前のテーブルに置き、五代先生は顎を撫でた。
「自分は天才ではない、と、姉は云っていましたけどね。そこまで到達するほどの才覚は無い、と」
姉は自分の評価も適正に出せる人間なので、この自己評価も間違いは無いだろう。
世にある名画家にはとても及ばない。
けれど凡百の絵描きよりは技量が上。
それが姉の下した自己評価である。
「ふぅむ・・・・」
先生は吐息して僕を見る。
「なんにせよ、惜しいよなぁ・・・・」
視線は再び姉の描いた淡彩画へ。
「私が鳴尾くん―きみのお姉さんに逢ったのは、彼女が高校のときでね。教え子がそこの美術教師を
していたんだが、自分の教え子に大才の持ち主がいると報告してきて、その作品を見たのがきっかけ
だった。これがまた凄い。鳥肌がたってね。以来事あるごとにうちの学校に来ないかと誘ったんだが」
ものの見事に袖にされたよ。
先生は残念そうに苦笑する。
「歴史と政治の研究のほうが面白い、そんなことを云われてねぇ」
「まあそうでしょうね。家でもそっち関係の本ばかり読んでいますから」
それでも誘いを断ったことに引っかかりはあるようで、たまに描く絵を五代氏に届けているようだ。
いつもは姉本人が五代邸に足を運ぶのだが、今日は先輩の見舞いに往くとかで僕が代役になった。
「いや、こう云っちゃ何だがね、彼女、歴史研究家としての能力は並だろう?特定のイデオロギーに
捕われずに歴史を公平に俯瞰できる才覚は認めるが、云ってしまえばそれだけだ。明らかに書画家
としての才能のほうが彼女にはあるだろう」
「姉は絵を捨てたわけでは無いですよ。人生の主眼に置かないだけです」
「それだよ」
五代先生は机を叩く。
「絵を主としない。そこが問題だ。これだけの才能の持ち主はうちの学校にもそうはいない!天賦の才
を開花させず、研鑽もせず眠らせてしまうなんてあまりにも勿体無いじゃないか」
先生の顔からは無念さが滲み出ている。
五代氏自体、画家を目指して叶わなかった人なので才能のある人間がそれを放棄することが残念で仕方
ないのろう。
「絵画に限らず最近の芸術界は人材が払底している。有為な人物は一人でも多く必要なのだ。なのに
きみの姉ときたら・・・」
「ちょ、ちょっと待ってください。人無きってのは大げさでしょう。最近は若い世代の台頭が著しい
って専らの噂ですよ?四道義彩子(しどうぎ あやこ)とか水沢(みずさわ)つぐみとか、声楽の世界
では月ヶ瀬聖理(つきがせ さとり)とか」
今日姉が見舞いに往っている相手も芸術ではなくセラミック技術の世界ではあるが当代最高と評される
人物であるし、若い才能が芽吹いているのだが。
「月ヶ瀬聖理?ふん、月ヶ瀬聖理ねぇ」
僕が名前を出した人物が気に入らなかったのか、先生は益益不機嫌になる。
「彼女こそ才能の無駄遣いだろう。声楽の世界では日本どころか世界屈指とまで謳われると云うのに、
ちっともそれを活かそうとしないじゃないか」

524:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:28:41 uGKMtPti
吐き出すように云う。
「日本を離れないんでしたっけ、彼女?」
「日本を離れないどころじゃない。日帰りできる範囲までしか出て往かないんだぞ!?歌は世界中の
人間に聞いて貰ってこそ価値があるのに、そんな我侭を・・・・っ」
「でも裏返せば、それを是とさせるだけの才能があるという証左でしょう?天使とまで称される歌声は
それを可能にすると。―でもなんで日本を離れないんでしょうねぇ?」
ふとした疑問を口にする。
すると先生は更に不機嫌になった。
「聞いたよ、理由」
「聞いたんですか?本人に?」
「知人の紹介で逢ったときにな。まったく意味不明の理由だったぞ。曰く、家にニートのくせに専業
主婦面しているドラ猫がいるのでそれをくびり殺してからじゃないとおちおち家を空けられないとか
なんとか」
「なんです、それ?」
「知らん!ともかくあの女の話はするな、不愉快だ」
先生は子供のようにそっぽを向く。
「そう云えばきみも・・・・」
そっぽを向いたままの先生は瞳だけジトリと僕を捉えた。
「随分才能があるのに、無駄にしているそうじゃないか」
「は?何ですか、それ、初耳ですよ!?」
本人だがそんな覚えはまるで無い。
「鳴尾くんがいつも云っている。己は弟に如かず、とね。まったくイヤミな姉弟だ」
「ちょっと、先生、拗ねないで下さい。姉は確かに自分を含めて公平にモノを見れますけど、僕に
関しては出鱈目なんです。過大評価してるんです。珠に瑕なんです。画竜点睛を欠くんです。テストで
平均点より上をとっただけで優秀とか云いふらすような人なんですよ」
運動会で一等賞を取っただけでスポーツ万能と触れ回るような人間なのだ。姉の過大評価で苦労した事
は数知れない。本人は万能な人間だからいいのかもしれないが、そのレベルに合わせねばならない凡人
には相当な苦労が付き纏う。
艱難辛苦を口にしてみても「どうだかな」と先生は拗ねたまま。
居た堪れない空気のまま数分が経つと、客間の扉が叩かれた。
「失礼します」
入ってきたのは、愛くるしい少女。
大きな瞳の、小動物を連想させる女の子。
彼女の手にはトレイがあって、その上にはティカップが見える。お茶を持ってきたのだろう。
「どうぞ」
「ありがとう」
ティカップを置く少女に会釈する。使用人の類ではない。先生の身内だろうか。
「―ああ、きみとは初めてだったね。これは私の娘の絵里(えり)だ」
「はじめまして。五代絵里です。しろさんにはいつもお世話になっています」
少女はその容貌に相応しい甘い声で丁寧に挨拶をする。
興奮でもしているのか、僅かに頬が赤い。
「どうも。鳴尾くろです。こちらこそ姉がお世話になっています」
ぺこりと頭を下げる。
「先生の娘さんですか。随分歳が離れてそうですけど」
「40になってから出来た子だからね。確かに離れているよ。今中3できみのふたつ下だ」
そう答える先生の顔はゆるい。
どうやらこの少女が可愛くて仕方ないようだ。
「しろさんにお話は聞いてました。その・・・とても素敵な人だって」
憧憬の念をもって彼女―五代絵里は僕を見つめる。
けれど僕は気が重い。
(姉は一体どんなことを云ったんだろう)
万事がそこそこの僕が完璧超人とされるくらいだ。この子にどう吹聴しているのか想像するだに恐ろし
い。
「鳴尾くんは滅多に人を褒めないが、きみのことはいつもべた褒めしていてね。娘もきみという人間が
来るのを楽しみにしていたんだよ」
「そ、そうなんですか。光栄ですね」
そう答える僕の笑顔はたぶん硬い。
一方の先生は愛娘の前だからか鷹揚な表情。他方の五代絵里ははにかんで笑っている。
「え、と。くろさんって呼んでも、いいですか?」

525:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:30:39 uGKMtPti
「僕のことは好きに呼んで下さい」
「あ、じゃあ、私のことも絵里って呼んで下さい。あと敬語も使わなくていいですよ。くろさんの方が
年上なんですし」
「ん。了解。じゃあ絵里ちゃんで」
「はいっ」
絵里ちゃんはニッコリと笑う。
元気な小動物のような子だ。
愛を注いで貰っている人間で無いと、こんな顔は出来ないだろう。
「それで、くろさんは今日はどうして家に来られたんですか?」
「しろ姉さんのお使いだよ」
机の上に置かれた絵を指し示す。
絵里ちゃんは「失礼します」とそれを手に取った。
「うわぁ・・・・素敵な絵・・・・!!」
頬を紅潮させ、姉の淡彩画に見入っている。
「絵里ちゃん、絵、好きなの?」
「はいっ!大好きです」
彼女は元気良く頷いた。
「好きも何も、絵里は美術部所属の画家志望だぞ。油絵の方だがね」
「へえぇ。絵里ちゃん絵を描くんだ。どんなのか見てみたいな」
「そ、それはその・・・・は、恥ずかしいので・・・・」
途端に顔を真っ赤にしてわたわたと手を振る中学生。
実に初々しい。
「あの・・・しろさんに聞いたんですけど、くろさんも絵を描かれるんですよね?」
「いいや?」
「あれ?そうなんですか?しろさん、自分の弟は絵がとても上手いって仰ってましたけど・・・」
「・・・・」
確かに何度か姉を真似て描いてみた事はあるが、それだけだ。2~3枚しか描いたことが無い。
姉は無条件にべた褒めしいていたが、信用はまるで出来ない。これも姉の中の僕の過大評価のひとつ
なのだろう。
「まったく惜しいよなぁ。鳴尾くんはそれだけの絵が描けるのだ。絶対に美術の道に進むべきだ。
きみもそう思うだろう?」
先生はまたその話題を蒸し返す。
「お父さん、私にはいつもやりたいことをやれって云ってくれてるでしょう?しろさんだってやりたい
ことをやっているだけじゃないかな?」
「それはそうだが・・・・」
先生は云い澱む。どうやら娘には弱いようだ。
「人間には無限に支路がある。その道のどこを歩くのも自由だ。でもなぁ、多くの人を感動させられる
才覚があるのならば、その道こそを本道とすべきだろう?」
「それはお父さんの我侭だよ。強制されるものじゃないと思うけど」
「いや。それはわかる。わかってはいるんだが、悔しいのだ。やるせないのだ。生きた爪あとを残せる
力があるのに、それをしない。それが歯痒いんだ」
五代先生は心底悔しそうに云う。

生きた爪あと。
そこに居たという証拠。
生き、死ぬ間に残せる自分という足跡。
来た路と、至る路。
その道程を姉は残せるのだと先生は云う。
人生に足跡を刻める者は少ない。
姉はその少数にカテゴライズされるのだと。
けれど―
けれど姉は足跡を残すよりも、それを観察する道を好しとした。
英雄や豪傑の生き様を辿る事を道とした。
(その良し悪しなんて結局―)
僕は思う。
道を歩ききって振り返ったときにのみ、わかることなんだろうなぁって。
至る路。
その支路の寡多も。
その長短も。

526:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:32:35 uGKMtPti
歩ききってみなければわからない―永遠の謎なのだ。

※※※

「ただいま~」
家に着く頃には夜になっていた。
季節が季節だけあって、かなり寒い。
「おかえり。ご飯もうすぐ出来るわよ」
母のそんな声が玄関に響く。
置いてある靴を見ると父も姉も帰宅しているようだ。
僕は自室に戻って部屋着に着替えると、姉の部屋を訪れた。
姉は和室を自室としているので、扉ではなく襖を叩く。
「姉さん、いる?」
「ええ。入っていいわ」
凛とした声。
身が引き締まる澄んだ空気が返ってくる。
「じゃ。失礼します」
襖を開くと独特のスライド音がして、その向こうに正座する女性がいた。
凛然とした美人。
知性と沈着を感じさせる立ち居振る舞い。
鳴尾しろ。
正真正銘僕の実姉である。
「おかえり。クロ」
「うん。ただいま。ねえさん」
帰宅の挨拶。
それはどちらかが戻ったら必ずすることになっている。
僕は姉の前に座る。
すると―
ぎゅ。
思い切り抱きしめられて、頭を撫でられた。
「ね、姉さん」
何で急に?
そう問おうにも、顔を胸元に収められてしまっているので口が開けない。
「信賞必罰。良い子にはご褒美」
「良い子って、僕がなにを・・・・むぐっ」
「お使い。疲れたでしょう?」
苦しいほうが疲れます。
5分くらい呼吸困難が続いて、漸く開放される。
「ぶはっ」
水中から顔を出したように、口いっぱいで吸気した。
幽かに鼻腔をくすぐるのは、慣れ親しんだ『和』の匂い。
そして、姉の匂いだ。
しろ姉さんはそんな僕を見てもう一度、
「お帰り、クロ」
そう云って微笑した。

「じゃあすぐに病院から戻ってきたんだ?」
姉のいれたお茶を啜る。
ほうじ茶の香りが心地良い。
「ええ。朝歌(ともか)先輩は私の見舞いよりも見舞いの品のほうが御気に召したようだから」
「ふーん。何を持って往ったの?」
「四民月令」
大分時間が空いたので自宅に戻ってからは掛け軸を作っていたらしい。
姉の背後には無駄な達筆で「はらぺこ」と書かれた新作がある。先月までは確か「さもしい」だった
はず。姉は絵のみならず書作や彫り物も嗜む。彼女の手の届く範囲には、筆やら彫刻刀やら半紙やらが
散見されて、何かの作業中だったことが窺われた。
「クロは、この時間まで向こうにいたのね」
「うん。なんか引き止められて。夕食もどうかと誘われたけど、断って帰ってきた」
「愚痴なんて聞いていて楽しいものじゃないからね」

527:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:34:35 uGKMtPti
良くわかっていらっしゃる。
「でも先生本当に残念がってたよ?しろ姉さんには芸術の道を歩んでほしいって」
「何かを表現するよりも、何かを考察するほうが私は楽しい」
やんわりとした拒絶。
姉は自分の道を常に曲げない。
「そんなことより、この時間まで向こうに居たってことは、彼女には逢ったのね?」
「彼女?絵里ちゃんのこと?」
「絵里、ちゃん?」
ピクリと姉が蠕動する。
「クロ」
「え、なに?」
「女性の名を濫りに呼んでは駄目よ。それは大変な失礼にあたるわ」
「いや、でも絵里ちゃん本人が―」
スコン。
刹那。
僕の背後に音が響いた。
それが姉の投げた彫刻刀が柱に刺さった音だと気づくのに時は要らなかった。
「信賞必罰。悪い子には、お仕置き。―次は無いわよ?」
「あ、う・・・・ごめんなさい・・・」
「そう。わかってくれたのね。嬉しいわ」
姉は何事も無かったかのように微笑んだ。
「そ、それで・・・・絵・・・・じゃなくて、五代さんに逢ったのがどうかするわけ?」
「どうもしない。唯・・・」
「ただ?」
「あの子、一人っ子なのよ。だから兄弟に憧れているの。私が貴方の話をすると、とても喜ぶ。だから
何度かクロのことを話してあげたんだけど、それでいらぬ幻想を見始めているみたいだから」
それは僕に向けていた妙に爛爛としたあの瞳のことだろうか。
しかし、それは、
「姉さんが僕を実像以上に大きく宣伝するからなんじゃ・・・・?」
「私の評価は概ね正しい。それは貴方も知っているでしょう?」
「時と場合によりけりだ」
特に僕に関することは。
「あの子、私が五代先生の家に行くたびに、クロの話をねだるようになったのよ。それで、ちょっと
気にしていたのよ」
「ふぅん?」
いまいち良くわからない。
何にせよ姉が自分でまいた種ではあるようだが。
「しろー、くろー、ご飯できたわよー」
遠くから声が響く。
母のそれ。
聞きなれた呼び出しだ。
「もうそんな時間ね。往きましょうか」
「あ、うん。・・・・お茶、飲みきらなかったな」
「置いておいていいわ。後で私が飲むから」
「え?」
飲みかけですよ?
「何か問題が?」
「いや・・・」
問題と思わないことが問題か。
僕は首を振って立ち上がった。

※※※

「さて、久しぶりだな」
食事を終えた僕は部屋に戻ると久しぶりに筆を取った。
絵を描く。
それは本当に稀な行為。
美術の時間は総て手抜きかサボりなので、自分の意思で絵を描くなんて年をまたいでの“久久”だ。
種類は水彩画。
モチーフは幻想の風景。

528:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:36:36 uGKMtPti
求めるものは―幻滅。
我ながら後ろ向きな理由であるとは思う。
あの娘―五代絵里に失望して貰うためのもの。
「くろさんの絵が見たいです」
あちらにいる間に、彼女は何度か暗にそう云った。
「見ても仕方ない」
そう答えても納得しない。
否。
謙遜として信じていない目をしていた。
百聞は一見に如かず。
実物を見れば嫌でも黙するようになるだろう。
精神的に虚弱な僕だ。
無駄な期待に応えるだけの強さはない。
だから“ここに”弱さを表現する。
百円均一で買ってきた安物の画材。
すぐに色あせ、今この瞬間ですらも満足に世界を表現できないチープな絵の具と、ばさばさの筆。
どうせ一枚しか描かないのだから、それで良い。
幻滅を目指す道に無力を乗せ、下書きも無しにかきなぐる。
期待されるのは嫌だ。
プレッシャーは嫌いだ。
重荷には耐えられない。
弱い。
弱い。
弱い。
弱い。
それが僕。
それが中身。
それを表す。
強さはわからない。
強さはしらない。
だからそれは絵に出来ない。
姉のように強くは無い。
描く。
ただ描く。
ひたすら描く。
時を忘れて描く。
どれくらい筆を走らせていたか。
集中力が途切れたその瞬間に、背後に気配を感じた。
よく知った、肉親の気配。
それがすぐ傍に在った。
「―姉さん?いつからそこに?」
「いつでも、ここに」
ドテラを羽織った姉が微笑しながら僕を見つめていた。
「クロが絵を描くなんて、珍しいわね」
「う、うん・・・」
僕が曖昧に頷くと、姉は僕の肩に顎を乗せて四角い世界を賞翫する。
「うん。・・・・良い絵だ。流石は私のクロね」
「そうかな?」
補正の入った評価ではあるのだろうが。
「ねえ、しろ姉さん」
「ん?」
「強さって、なんだろう?」
この人ならば。
強い人間ならば、それはわかるのだろうか。
僕が問うと、姉は僕を抱きしめた。
「それは“美しい”とか、“美味しい”とか“幸せ”とかの定義を求めるのと一緒ね。一つじゃない。
色色な強さがあるし、時と場合と人にもよるわ。強さとは我侭を押し通す力、とか単純に云えれば苦労
はないのだけれど」

529:永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:38:38 uGKMtPti
そう云いながら僕をくすぐる。
何気にちょっかいを出すのが好きな人なのだ。
「・・・でも、しろ姉さんは強いよね?」
「全然」
肩の上で首を振る。
頬と頬が触れ合った。
「五蘊常苦にも耐えられるかどうか。愛別離苦も求不得苦も怨憎会苦も絶対に無理」
ギュッと姉は腕の力を強める。
「依存しなければ生きていけないのよ、私は。愛するものと離れるとか、欲しいものが手に入らない
とか、泥棒猫をそのままにしておけないとか、我慢できないことが多すぎる」
「姉さんが?」
僕は驚く。
けれど姉はいつもの澄んだ笑顔で「ええ」と頷いた。
「とりあえず無理に強くあろうとすることは無いわ。履き違えなければいい。強さを身勝手さと。弱さ
を優しさと。それに―クロには私がいる」
姉は僕の頭を撫でる。
「永遠なんて無い。不滅なんてありえない。それでも、矛盾しても、こう云える」
頭を抱き寄せ、頬を寄せる。
「貴方が先に死んで、私だけが残されても。私が先に死んで、貴方が残されることになったとしても」
それでも。
「それでも私は永遠に―貴方の傍にいる」
それは強さなのか。
或は弱さなのか。
僕には判断がつかなかった。
たとえ死がすぐそこに迫ったとしても。
それでも。
それでもこの人は、こうやって笑うのだろうか。

530:無形 ◆UHh3YBA8aM
07/07/12 18:41:25 uGKMtPti
投下終了です。
妹モノも書いていますが投下時期は不明です。

>>146
未読です。

亀ですが、保管庫管理人様、いつもお疲れ様です。

では、また

531:名無しさん@ピンキー
07/07/12 19:05:32 YzZgLAeR
うおおおおおお


GJ





532:名無しさん@ピンキー
07/07/12 19:47:08 pIxVTOby
GJ。これからの展開に期待してます。
あと妹モノの方も楽しみに待ってます。

533:名無しさん@ピンキー
07/07/12 20:42:08 osJydbuM
GJ!!

そういえば夕日ロマンス買った?今日発売だよな?

534:名無しさん@ピンキー
07/07/12 20:51:18 M8EhNDl8
俺の大学の購買には売ってなかったなぁ……。

535:名無しさん@ピンキー
07/07/12 21:05:58 2Jk3K5Kp
あいかわらず一気に読ませる面白さをもちながら、
月ヶ瀬聖理という単語をだして前作のファンへのサービスも忘れない

そんな作者にはGJ!としか叫びようがないなこりゃ

536:名無しさん@ピンキー
07/07/12 21:43:16 yMTbWBje
新作投下キタコレ!!
毎回自分のつぼにはまるものばかりで嬉しいですw
妹ものにも期待してます
作者さんGJ

537:名無しさん@ピンキー
07/07/12 21:50:08 eJmTmZWn
>>530
なんつーか、キモ姉という属性抜きで読めました。
個人的にしろ姉さんは今月亡くなられた某写輪眼刀姉のイメエジをあてさせていただいてます。
GJでした。

538:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:15:09 rSQB+ljE
おおお!
このスレに居座るきっかけとなった無形さんの新作キタコレ
聖理と理理が出てきたんなら真理が今どこに勤めてるとかもサラッとでいいから描写してほしいな
俺実は真理ファンなんだw

539:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:36:01 kNovrZRW
>織田信長、チェーザレ・ボルジア、李世民、スッラ・フェリックス、ハンニバル・バルカ

絶対友達・上司にしたくない人間ばかり並んでるw見事だ

540:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:42:36 G35+p7We
才能のない作家に引導を渡すのが俺達の批評家の役目だと思わないか?

541:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:47:37 Jy633X7F
思わない
というかお前が批評家だとも思わない
ただのこじきだろ

542:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:49:09 G35+p7We
    ∧_∧ ・・・・・・・・・・・・・
    < `Д´ >     ∧_∧
   /    \    < `Д´ >  ・・・・・・・・・・・・・
__| |     | |_   /    ヽ、
||\  ̄ ̄ ̄ ̄   / |   | |
||\\        (⌒\|__./ ./       このスレッドは    
||  \\       ~\_____ノ|           おはようから、おやすみまで、暮らしを邪魔する在日
.    \\ ________\        捏造一筋、チョン日新聞
.     \||      ____||    /    お口の悪臭 キムチ
.       || ̄ ̄ ̄|\____\ /    あしたのゴミ 捨民党
.       ||     | |======== |        The fabrications are infinite, 韓国政府
           _|  |oo======= | \     Drive your delusions, ヒュソダイ自動車
           |\\|_____|\ \   Shift the past, シンスゴ
           | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|     犬を、おいしく、楽しく、COREAN FOODS
           | |  生野キムチ.  |     Inspire the anti-Japanese, プロ市民(サヨ)
                            爆発一番 ハム日新聞
                            拉致ひとすじ 金正日
                            妄想 ふくらまそう 民口寸
                            淫らな明日のために 従軍慰安婦
                            黄色いエラ 街宣ウヨ(ジサクジエン)
                            犯行は計画的に ほのぼのレイプ
                            歴史をクリエイトする 朝魚羊総連
                            電波も全開に コリア 観光局
                            悪名世界一への挑戦 しG電気
                         ご覧のキムチ野郎の抵抗でお送りします。

543:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:49:50 G35+p7We

          ..--‐‐‐‐‐‐‐‐---..,
        /:ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;) /   在日の「生活が第一!」
        |::::/          ヽヽ /
        |:::ヽ  ........   ........  /:::|  
        |::/    )  (     \:|     
   / ̄\iヽ;|  -=;;・;=‐ ‐=;・;;=- |6) 
  , ┤    ト、|   'ー-‐'   ヽ. ー'  |/     年金問題のどさくさに、民潭職員を擁立!
 l  \__/  ヽ   /(_,、_,、_)\   |     
 |  ___)( ̄  | / トエェェェェエイ \ |      北朝鮮の工作員にも地方参政権を!
 |  __)  ヽ.ノ   |ュココココュ|    l    
 ヽ、__)_,ノヽ   ヽニニニニソ   /`ヽ、   証拠なんか無くても慰安婦に賠償金を!
    \      \        /    ヽ
                             




544:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:49:50 WUvJiOdO
相手しちゃ駄目だに。

545:名無しさん@ピンキー
07/07/12 22:54:05 i0x3nY0g
うおっ、期待大の新作が投下されとる。

>>530
相変わらずレベルが高くて超GJです。
これからの展開にメッチャ期待しておきます。

546:名無しさん@ピンキー
07/07/12 23:00:46 i1HC5Sfa
五蘊盛苦…

547:名無しさん@ピンキー
07/07/12 23:45:21 con4Kzc4
>>530
GJです!続き楽しみにしてます!

548:名無しさん@ピンキー
07/07/12 23:58:26 QkMdg64J
無形氏新作キター!!
相変わらずの重厚な雰囲気がたまりません。
鉄の女シロねえの弟贔屓がなんとも…
次回も期待!

549:名無しさん@ピンキー
07/07/13 00:41:06 s5oWIQ9b
なんか前作と比べると大分趣味の世界が入ってるように見えるなw
そっちのほうが筆が進むんならもちろん否やはないが

550:名無しさん@ピンキー
07/07/13 01:36:45 3Vnq6sdr
>>530
なんて素晴らしい姉……!!
こりゃあ続きに期待せずにはいられませんぜ!!GJ!!

551:名無しさん@ピンキー
07/07/13 02:25:54 8jXHVJCp
>>539
兄弟殺しの信長・世民と近親のチェーザレが意味深だと思う姦

552:名無しさん@ピンキー
07/07/13 04:32:58 HwFXtQcp
>>530
この上なくGJ!!!



どうでもいいけどタイトル見て初代ペルソナを思い出した

553:名無しさん@ピンキー
07/07/13 08:03:47 AHb4lc/q
>>530
うぎゃああああああああああああああああ無形氏の新作がああああああ夢にまで見た新作
がキタ━━(;´Д`);´Д`);´Д`);´Д`);´Д`)━━!!!

しかも待ちに待ったキモ姉・・・引力爆弾クラスのGJ!!!この大作でどれだけ俺は萌だ
えるのだろうかwktk

554:名無しさん@ピンキー
07/07/13 16:14:14 qL1KkicA
>>551
信長は自分を裏切った浅井と朝倉の頭蓋骨を漆で固めて金箔を張った上で
それを器にして酒を飲むような男だしな。
姉を裏切るとしろも・・・ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル

555:名無しさん@ピンキー
07/07/13 20:06:25 9FG5wbi6
無粋なのかもしれないが
カゲロウは蜉蝣目、トンボは蜻蛉目だよう

556:名無しさん@ピンキー
07/07/13 23:04:22 XCq9E6Bp
久々に来たら無形氏の新作!しかもキモ姉!!

夕日ロマンスも良かったし、今月は良いことが多いぜー

557:名無しさん@ピンキー
07/07/14 15:15:41 aJ0kNAao
人殺しと一緒になんかなりたくないだろ一般人なら

558:名無しさん@ピンキー
07/07/14 15:17:29 aJ0kNAao
人殺しと一緒になんかなりたくないだろ一般人なら

559:名無しさん@ピンキー
07/07/14 15:18:25 aJ0kNAao
人殺しなんかと一緒になんかなりたくないだろ一般人なら

560:名無しさん@ピンキー
07/07/14 15:21:10 NDEMqtXg
   /⌒\
  ( ・∀・) ?
  ノルリノルリ


561:名無しさん@ピンキー
07/07/14 18:20:52 4kSkA2u4
人殺し?あぁ、
狂愛者(人殺し)のことか。

562:名無しさん@ピンキー
07/07/14 20:02:50 vHJIQown
人殺しと書いてー


563:名無しさん@ピンキー
07/07/14 20:20:00 vjjU/7ce
おっぱいと読むー

564:名無しさん@ピンキー
07/07/14 20:29:54 pRZB67/3
その心は?

565:名無しさん@ピンキー
07/07/14 20:44:21 WKmHjzSV
ちわ~三河屋で~す

566:名無しさん@ピンキー
07/07/14 21:46:47 dQGf0Fr+
誰か説明してくれ

567:名無しさん@ピンキー
07/07/14 22:06:03 /PAuk2Dr
つまり全てがFになるんだよ

568:名無しさん@ピンキー
07/07/14 22:43:18 ESbMnb4N
そんなゲームもあった気がする

569:名無しさん@ピンキー
07/07/14 23:51:43 tZ/PdUuo
何この流れ・・・・・・・?
             /ヽ       /ヽ
            / ヽ      / ヽ
  ______ /U ヽ___/  ヽ
  | ____ /   U    :::::::::::U:\
  | |       // ___   \  ::::::::::::::|
  | |       |  |   |     U :::::::::::::|
  | |      .|U |   |      ::::::U::::|
  | |       | ├―-┤ U.....:::::::::::::::::::/
  | |____ ヽ     .....:::::::::::::::::::::::<
  └___/ ̄ ̄      :::::::::::::::::::::::::|
  |\    |           :::::::::::::::::::::::|
  \ \  \___      ::::::

570:名無しさん@ピンキー
07/07/15 00:06:32 +BRISaEE
   /⌒\
  ( ・∀・)ノ 良くあること
  ノルリノルリ

571:名無しさん@ピンキー
07/07/15 00:19:22 GRLk6vjO
兄が妹に優しいから妹が兄に甘えるようになるのか、妹が兄に甘えるから兄が妹に優しくなるのか。
どっちが先だと思う?

572:名無しさん@ピンキー
07/07/15 00:45:20 zqZ07odf
わたしは生まれたときからお兄ちゃんのもので、
お兄ちゃんはわたしのものなんだよ?

573:名無しさん@ピンキー
07/07/15 01:03:07 B6VDStEo
>わたしは生まれたときからお兄ちゃんのもので、
お兄ちゃんはわたしのものなんだよ?

      /::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
       /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::人:::::::::::ヽ
     /:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::/  ヽ、:::::::ヽ
     |:::::::::::@ヽ-------‐‐'′    ヽ:::::::::|
    |::::::::::/                 |:::::::::|
    |:::::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ===/ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ|:::::::::|
   |::::::=ロ  -=・=-  |,  |  -=・=-  ロ=::::::|
    |::::::::/ヽ      /ノ  ヽ      /ヽ:::::::|
   |:::::/  `── /   ` ──  丶:::|
   |:::ノ        (●_●)        |::|
   |::|           l l           |::|
   |::|       __-- ̄`´ ̄--__       |::|
   |::|        -二二二二-        |::|
   |::::\                   /::::|
   \::::::\     _- ̄ ̄ ̄-_     /::::::/
     |Ξ|~ \             / ~|Ξ|
    /::::::ヽ/|\_______/|\ /:::::::ヽ
    |::::::::::|  \         /  |::::::::::::|
   /|:::::::::::|    \      /    |::::::::::::|


574:名無しさん@ピンキー
07/07/15 01:04:33 B6VDStEo
      /´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
       /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
       (:::::::::::人ノヽノヽノヽノヽ人::::::::::::::::)
      (:::::::::::/           \:::::::::::::)
      (::::::::::/             \:::::::::::)
     (::::::::::/               ヽ::::::::)
     |:::::::/ ,,;;;;;;;;;;;;;;,     ,,;;;;;;;;;;;;;;,  |:::::::::|
     |:::::┏━━┓  ┏━━┓:::::|
     |::=ロ   -=・=- ┣━┫ -=・=-   ロ=::|
     /|:::/ヽ      /ノ  ヽ      / ヽ|ヽ
    .| |/  ` ̄ ̄ ̄´/    ` ̄ ̄ ̄´   | |
    ヽ|         (. o⌒o .)        .|ノ
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