キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
07/06/17 23:26:14 3UEMJzNc
100%中の30%・・・!!

101:名無しさん@ピンキー
07/06/17 23:46:08 Z/c1HAL1
>>100
幽白乙だが漢字でてこねー
トグロ(弟)だっけ?

102:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/06/17 23:46:12 Nt6iucWG
ながれをぶったぎって、初投下。

103:姉妹正義 ◆oEsZ2QR/bg
07/06/17 23:48:40 Nt6iucWG
 あたしは学校から帰ると、玄関の植木鉢の下から合鍵をとり、玄関のドアを開ける。
 今日は委員会で遅くなると言って家を出てたが、なんか生徒会のやり手女会長と一年の書記の男の子が謎の失踪をとげたそうで、今週の委員会はお流れになってしまったのだ。
 つまり、いつもより二時間早くこの家に帰ってきたことになる。
 玄関には二つの靴が脱ぎ散らかされていた。ひとつはお兄ちゃんがいつも学校へはいていくシューズ。そしてもうひとつはお姉ちゃんのハイヒールだ。

「…ん。今日はお姉ちゃんも早かったのかな」

 この家に住む姉弟は私の幼馴染だ。
 学校では一年先輩のお兄ちゃんと大学生のお姉ちゃん。
 あたしたち三人は小さい頃からずっと一緒だった。ただの幼馴染をお兄ちゃんお姉ちゃんと呼ぶほど、私はこの家族といつも一緒だった。
 二人のお父さんとお母さんはいつも留守で家を空けていて、ほぼ二人暮らしだ。
 そして、私は自分の両親と二人のお父さんお母さんからお兄ちゃんとお姉ちゃんの世話を任されていた。

「美夏ちゃんはしっかりしてるし。あの二人をお願いね」

 そうやって二人より年下のあたしに保護者役を頼むのはどうなんだろう。
 でも、小さい頃から三人のまとめ役だったあたしはなにも気にすることはなかった。

「ただいまー」

 返事が無い。ゲームでもやってるのかな。
 お姉ちゃんとお兄ちゃんは二人揃って無類のゲーム好きだからプレイに夢中になると周りの声が聞こえなくなる。だから、晩御飯のときはテレビのスイッチを切って二人を呼んだりする。

「まぁいいや」

 あたしは、靴を脱ぐとお兄ちゃんたちが居るらしいリビングを通らず、廊下を通ってそのまま台所まで歩く。別に二人のゲームを邪魔する気は無い。
カバンをおろして椅子に引っ掛けると、いつものように美夏は冷蔵庫を開けた。

「あれ。牛乳が無い」

 今日はクリームシチューにしようと思っていたのに。冷蔵庫を開ければ、昨日何本も買っておいた牛乳は一本もなくなってる。
 あたしは部屋から顔を出すと大声でお兄ちゃんを呼んだ。

「おにいちゃーんっおねえちゃーんっ。牛乳全部飲んだのー!?」

 リビングに向かって呼ぶが、返事が無い。リビングは明かりがついていておにいちゃんとお姉ちゃんは居ることはわかる。
 まったく、よっぽどゲームに夢中になってるのね。HALOなんてどこが面白いのかしら。無駄にゲーム機大きいからリビングで邪魔になるのよ。

「おにいちゃーんっ、おねえちゃーん!」

 返事は無い。
 もう、いい加減にして欲しい。お姉ちゃんもゲームに夢中だから恋人が居ないのよ。

「ちょっと、お兄ちゃん! 牛乳!」

 あたしは部屋から出て、直接リビングに居るお兄ちゃんのところへ歩く。
 お兄ちゃんとお姉ちゃんがゲームに夢中になってるはずのリビングに顔を出してあたしはもう一度叫んだ。

「おにいちゃ、聞いてる……!」


104:姉妹正義 ◆oEsZ2QR/bg
07/06/17 23:50:26 Nt6iucWG
 ……。
 リビングで、お姉ちゃんとお兄ちゃんは下半身を露出させていた。
 カッターシャツの胸元を大きく開けたお姉ちゃんはリビングの小さなテーブルに手を着いて、ジーンズのミニスカートは縞々のショーツと共に足元でいい加減に床に脱ぎ捨てられてくしゃくしゃになっていた。
 そんなお姉ちゃんを、学生服を着崩し制服ズボンをさげただけのお兄ちゃんが、お姉ちゃんをお尻を強くつかみこんで、背後から犬のようにばんばんと腰を打ち付けていた。
 何をしているのか。あたしはすぐにわかった。

「あ、あふっ、あんっ、ふんっ、ふぅっ、んぅっ」

 お兄ちゃんの腰がお姉ちゃんのお尻に叩きつけられる度に、お姉ちゃんは悩ましい声をあげて気持ちよさそうによがる。

「いいっ、姉ちゃん、しまるっ、姉ちゃん、姉ちゃん!」

 そして、お兄ちゃんはまるで恋の媚薬で狂ったかのように、お姉ちゃんを何度も呼びながら出し入れを繰り返していた。
 ばちんっばちんと肌を叩きつける音とびじょりびじょりと何かがかき乱されるような水音がリビング中に響いている。
 異様な雰囲気。異様で淫靡で背徳。あたしは二人の交わりを目を丸くして眺めていた。
 が、すぐに正気を取り戻し、あたしはこれ異常ないぐらいの大きな声を出した。

「な、なにやってるの!!」

 あたしの姿に先に気付いたのはお姉ちゃんのほうだった。

「あン、おかえりぃ、んっ、ンふっ、ああっ、そこ、そこいいっ!」

 お姉ちゃんはいまの自分の状況を悪びれもせず、あたしに笑顔を向けてよがりながら答える。

「あ、美夏。おかえり。今日、委員会は、なかったの、かっ? 、んっ、んっ」

 ふんふんと鼻息を荒くしながら、二人はいつも遅く帰ってくる私を出迎えるように笑う。
 そして、今行っている行為が、さも日常のように。ぶるぶると小刻みに震えながら。腰のグラインドを止めない。
 お兄ちゃんのアレが、お姉ちゃんのあそこに出し入れしているのが見える。毛に覆われた棒が、出たり。入ったり。時々、奥まで差し込んだままお兄ちゃんは腰を小刻みに動かして、お姉ちゃんの反応を見ている。

「うんんんんっ! それ、えぐれてぇ、いいぃっ!」
「姉ちゃんのもいつもより、ごつごつしてるっ!」
「……うわぁ……」

「なにやってるの! ふたりとも! 離れて! 離れてよ!!」

 あたしは何故か涙を流して絶叫していた。

「お姉ちゃんも、お兄ちゃんも! 実の血のつながった姉弟でしょ!」

「え、美夏ちゃんっ。いつも、いつもしてるもんね。ね、昌樹?」
「え、あ、うん。なにを、いまさら、姉ちゃん? ねぇ?」

 腰の動きを止めないまま、二人はあたしを見ながら、何も疑問にもたずに二人はお互いに頷きあう。

「そ、そんな……!」
「だって、いつも言ってるじゃないっ、あたしは昌樹のこと、誰よりも大切だって」
「そうだよ、俺は姉ちゃんのことが、大好きで、尊敬してるって」

 信じられない。そんな、確かに二人は仲がいいけど……! それは違うはずでしょぉ!?

105:姉妹正義 ◆oEsZ2QR/bg
07/06/17 23:51:07 Nt6iucWG
 腰の動きを止めないまま、二人はあたしを見ながら、何も疑問にもたずに二人はお互いに頷きあう。

「そ、そんな……!」
「だって、いつも言ってるじゃないっ、あたしは昌樹のこと、誰よりも大切だって」
「そうだよ、俺は姉ちゃんのことが、大好きで、尊敬してるって」

 あたしは死刑判決を受けたように呆然としていた。二人の悪気の無い笑顔が、余計あたしを絶望の淵に追い詰める。

「なにも、変じゃないよね? あン!」
「変、じゃ、ないよ、なっ!」

 その声と共に、お兄ちゃんの腰が大きくグラインドしはじめ、ゆっくりだった行為が、本格的な動きへと再開された。

「おおおっ! からみついてくる! んんんっ! ああああ!」
「アん! いやぁ、激しっ、激しい! 激しい! あん! あン! あン! あン! あン!」

 ばしん! ばしーん! ばしぃん! ばしぃん!

 腰を叩きつける音が、これまでに無いほどリビングに響き渡った。
 淫靡な匂いがリビング中に広がっていく。二人の間にはもう私は見えていなかった。

「姉ちゃん姉ちゃん姉ちゃん姉ちゃん!!! んんんんっ」
「んん、むちゅ、んちゅるちゅる、ちゅば、ちゅばちゅば!!」

 お姉ちゃんとお兄ちゃんは首を大きく曲げて、むさぼりあうように唇を求めあった。
 お互いの舌がお互いの舌を嘗め回し、口の端から落ちてゆく唾液がお姉ちゃんが手を着いているテーブルにぽたりぽたりとおちていく。

 あたしはこういった経験は無い。つまりセックスという行為自体も見るのは初めてだった。他人の行為を見ることなんて一生無いと思っていた。むしろ考えたこともなかった。なのに。なのに。
 それなのに。まさか。実の姉弟で、とても仲良しの幼馴染の二人のセックスを見ることになるなんて。

106:姉妹正義 ◆oEsZ2QR/bg
07/06/17 23:52:13 Nt6iucWG
「姉ちゃん! 俺、もう、もう、もぅ、げ、限界!」
「うん、いいよっ。私も、もうすぐだから! 一緒に、一緒に、一緒に、一緒に」
「いいの!? 中! 中で! 中に出すよ! 中に! 中に! 中に! 中に! 中に!」
「出して! 出して! いっぱい、いっぱい、中に出して! ぶしゅってして! 全部注いで! 中に! 中に! なかに!」

「「なかに! なかに! なかに! なかに! なかにぃ!!」

 そして、二人の動きは事切れたように止まる。

「あああぁぁぁぁ! 来てる! 来てる! 昌樹のぉ! せーえきぃ! きてるぅぅぅ!」
「姉ちゃんんんんん。姉ちゃんんんんんん!!」

 お姉ちゃんは大きく体をそらして。白目をむいて虚空に向かって吼えるように、下半身に注がれる快楽を享受していた。
 そしてお兄ちゃんも、実の姉の体にどくりどくりと、腰をお尻にくっつけたまま小刻みに体を震わしていた。

「ああ……最高ぉ……」
「ううん……なかだし……きもちぃぃ……」

 そうやって、汗まみれの体をくっつけて一向に離れないお兄ちゃんとお姉ちゃん。
 傍から見れば想いあい愛し合っている恋人のようだ。でも、ふたりは実の姉弟だ。

「い」

 あたしはお兄ちゃんが好きだった。
 幼馴染で、ずっと一緒で、仲の良かったお兄ちゃんが、クラスメイトの誰よりも好きだった。お姉ちゃんも、どの友達のなかでも一番好きだった。

「い、い、い、い………」

 将来あたしはお兄ちゃんと結婚して、大好きなお兄ちゃんと、そして大好きなお姉ちゃんに囲まれながら、幸せに暮らせると確信していた。
 
 でも。それはただの妄信だった。

「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 二人の抱き合う姿。あたしの家族よりも大事なお姉ちゃんと、お兄ちゃんの瞳の中には。
 実の弟と、
 実の姉。
 血のつながったお互いの姿しか見えていなかった。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」

(おわり)

107:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg
07/06/17 23:53:12 Nt6iucWG
これでおしまいです。
日曜の夜はいろんなものが書きたくなる。

108:名無しさん@ピンキー
07/06/17 23:53:59 bUWxJsxw
い、いいのか!?
いいならGJするぞ!
リアルタイムなんて初めてだ!

109:名無しさん@ピンキー
07/06/18 00:13:59 HWvJt7fP
>>89
住人満足してるから別にええがな

つかお前こそえらそうなこと言える立場じゃねぇだろ
このスレに貢献してからほざけ

110:名無しさん@ピンキー
07/06/18 00:19:50 9OWHzJQq
>>108
リアルタイムは初めてか坊や?
力抜いてリラックスしながらGJ!!と言え
力み過ぎは良くない

111:名無しさん@ピンキー
07/06/18 00:31:22 oUT3hYTq
>>107
ゲェーーーッ!?赤いパパさんっ!

某スレでのメイドさんSSの投下、お待ちしております

112:名無しさん@ピンキー
07/06/18 00:40:39 jX9+kPL5
GJでした。日曜日は、すばらしいと再確認した、
月曜?なにそれ?

113:らむだ  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 00:55:51 RW8VOO31
>>88
およびですか?

>>83
ファンタジー風キモウトGJ!
投稿多数な方は違いますね。
前スレでおほめの言葉をいただきましたが、より実力差を実感。
精進します。

近日中とか言ってて一週間待たせました。すみません。
ではキモ姉投下。
・・・そのまえに、

注意事項
エロなし(あと何話かで入れる予定。)
キモ姉もの。(血縁なし)

では、「毒にも薬にもなる姉」第一話です。

114:毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 00:57:06 RW8VOO31
第一話
「能ある姉は本意を隠す?」


灯火 芥

心地よい香りがした。
懐かしいような香り。
ああ、これは昔よく嗅いでいた匂いだ。
ある日突然無くなった匂い。
そうだ、これはお姉ちゃんの匂いだ。


気が付いたらバイクに乗っていた。前に見えるのはお姉ちゃんの背中だ。
荷物はサイドカーらしきものに乗せられていた。(微妙な大きさで人は乗れなそうだ。)
「おはよー。どう?風の中での目覚めは。」
ちょっと待って、俺どうしたの?
「あの後倒れちゃったから、私のマンションに運んでる途中。」
倒れるほどのショックだったのか。
「ん?でも意識がないのにバイクの後ろに乗れる?」
「そういうときのために、しばるベルトとかあるからね。」用意周到。おみごと。
でもまだ何か違和感。
…待てよ、腕が上に来すぎていないか
「どうよ、グリップ効いてるでしょ。
 お姉ちゃんの胸。」
「ああ、道理でぷにぷにしてると思ったら。」
「もっと飛ばすよ。もっとぎゅってしがみつかなきゃ危ないよ。」
正直バイクはなれない。思わず力を強くする。ぎゅー。
「あふぅ。そうそう。」
……え?
うわあああああああああっ!しまった!もっと早く気づけ俺!
「おねえちゃん!外して!」
「大丈夫、強く握ったりしてもきょぬーのままだよ。しぼむどころか大きくなるかも。」
「そこじゃない!こんな街中でこんなことさせんな!」
「こんなまちなかで…。ふあっ、ああっ。」やばいあせて手が動くと逆効果。だめだ、勝ち目がない。
「なんでもするから外してくれ。」事実上の敗北宣言。
「じゃあ、跪いて足をお舐め。」
「女王様!?」
「違う、そこは可愛い声で姉様とお鳴きなさい!」なんのことだ。

115:毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:00:48 RW8VOO31
灯火 光

なんだ、もっともんでいいのに。
まあこんなスキンシップをしているうちに私のマンションについた。
大家は別に雇っているが、オーナーは私。でも内緒。
そんなこと言ったら別の空き部屋を貸してくれと言いだす。
あっ、それはそれで有りかな。
そしたらいろいろなところにカメラを設置して…。
「何にやにやしてるんだよ、キモイよ。」
「これから始まる生活のことを考えるとね。ついね。」
あっくーは溜息を吐きだす。私はすかさず深呼吸。
吐息こい!あっくーの吐息こい!
なにがしたいと冷静な突っ込みがくる。ぐう。
そんな会話をしながら2階・0231号室の前に来る。
「はい合鍵、何だか恋人みたい。」
あっくーはそっけない相槌を打つのみ。冷たい。
いけずー。
しかしくじけない。素直になるまで何度でも。
「さてここが二人の部屋だよー。」
そう、いろんな意味で二人が過ごすのに最適な。
そのための準備や策略は一つたりとも欠かしていない。
これでいろんなことが正当化される。
ふふふふふふふ…。

116:毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:02:01 RW8VOO31
灯火 芥

どうやらこのマンションの広さは初めから二人暮しを想定したものらしい。
「家具はお姉ちゃんの趣味でそろえたからちょっと気になるかな。」
光ねえのインテリアの趣味はシンプルを好む。
だから何ら問題はない。
いや、隣で怪しげな笑いをしている本人が問題なのだが。
しかし無印のシリーズが多い。
デスク・椅子・ダブルベット。結構値は張りそうだ。
教授とはそんなに儲けられるのか?
本棚としていくつかカラーボックスがある。まあ、本が多いのは当然か。
しかしその倍ぐらい漫画が多いのはいかがなものか。
昔から頭がいいのに、マンガばっか読んでたからな、光ねえは。
しかしそんなのはブラコンの前では些細なこと。
オタクでも何でもいいからブラコンだけは直してほしい。
だが何か物足りない。何だろうか。
「そうそう、ソファーは今ないの。ちょっと壊れちゃってね。」
「ああ、それか。」まあ、別に不可欠ではない。
「あとお風呂なんだけど、ちゃんと二人で入ろうね。」
「却下。」
「でも光熱費浮かせるにはこれがいいの。」なぜそんなところはけちる。
まあこれは毎回理由をつけて時間をずらせるかな。
「あとそこの本棚、大事に扱うなら読んでもいいよ。今では手に入らないものもあるから。」
そんなに古い学術書まで読んでるのか。
感心。
「これ、限定版のカバーだから。このカードが付いててね。」
マンガかい。

117:名無しさん@ピンキー
07/06/18 01:02:13 4tbqGcJG
GJ!憂鬱な月曜の仕事の前にいいものみれた。

118:毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:03:50 RW8VOO31
灯火 光

こういったのだ、もう固定観念を抱いただろう。
あの日からマンガ好きを演じ続けた。
正しくはサブカルチャー好き。
ぶっちゃけオタク。
要はバカになりたかった。
いや、バカとして見てほしかった。
(漫画好き=バカというのもどうかと思うが。まあ、判断者が馬鹿だし。)
その要因は馬鹿どもにあるというのは一つの皮肉か。
馬鹿どもは店に並ぶ宝石の美しさは知れど、己が炭鉱からとれた金剛石の輝きに気付かない。
磨けばより輝くのに、ただ燃やしてしまう。
まさに蠅。目は多くあれど、意味を持たない。
もしこれからも馬鹿な真似をするのであったら…。
いよいよ不要となったのだ。
駆除の時間か。

しかし、その金剛石は自力でここまで輝きを取り戻した。
そう、この大学に一般合格。
親からも、先生からも、クラスの人からも四面楚歌を受けながら。
そのうえでこの結果。

お姉ちゃんね、今回はなーんにもしてないよ。
信じてたから。
二年前に手紙が来てから。
一文字一文字全部覚えてるよ。
「二本松大学は馬鹿な僕にはレベルが高すぎるので、今からでないと追いつきません。」
高二の初めから進路を考える人はそうそう馬鹿とはいえない。
「でも僕はどうしても二本松でないとかなえられない夢があります。
 ある教授のもとで勉強したいのです。まあ、よく笑われるけど。」
目標を明確に持つ人を笑える人はいない。
だから、願掛けを込めて。
一緒に頑張ろうと思って。
お姉ちゃんもさらなる挑戦をして完璧になった。
そしたら社会は私をほめたたえる。
ちょっとうっとうしい。
この力を社会に役立ててくれと人々は願う。
いいよ。ただついでだけど。
その前に、
「生きてますかー、おーい。」
うわあぁぁっ!近くにあっくーの顔が!

119:毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:04:51 RW8VOO31
灯火 芥

これも昔からの癖でなんも前触れもなく考え込んで、そのまま何があっても動かない。
けど今までこんな険しい顔をしていたことがあろうか。(そのあとなぜかやさしい顔になったが。)
もしかしてこの六年のうちに色々あったのだろうか。
「あっ、ごめんねごめんね。」
「お姉ちゃん、よく一人暮らしできたね。」
まあ、いろいろあったかなーとごまかしている。
前言撤回。
変わらないな。
いろいろ策略を練ったりするのが得意なのにどこか抜けている。
それが灯火 光。
ん、策略…。
ちょっとまてよ、ソファーがないってことは…。。
「あの、お姉ちゃん、布団とか予備のベットとかない?」だめだ、声がひきつっている。
「何言ってるの、そのためのダブルベットだよ。」
や、やられた。

120:毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:05:54 RW8VOO31
灯火 光

そのあと私の作ったご飯を食べつつ色々な話をした。
いままでのこと、これからのこと。
一緒にお風呂は無理だった。まだまだこれから。
でも文句をこぼしてたけど、結局一緒に寝てくれた。
「変な事するなよ。」
「お姉ちゃんはされてもいいけど。」
「はいはい。」
「弟に一蹴されたー。うわーん。」
結局壁の方を向いたままだけど、一緒に寝てくれた。
まあ、なんだかんだ言いつついうことを聞いてくれる弟。
それが灯火 芥。
変わってないね。
そういうところは。
そして変ったところもあった。
これからはずっと一緒だよ。
まだある春休みも、学校生活も。
そんなことを考えている間にあっくーは気持ちよさそうに眠っていた。寝返りを打ってこっちを向いていた。
そんな彼を抱きしめて私も眠りに落ちた。


「あっくー…。」
「光ねえ…。」




そのあとの目覚めは携帯の着信音だった。
あっくーの携帯のディスプレイは忌むべき単語が並べられていた。

from 母
sub 寮の件
寮に連絡をしました。
話はすべて聞いています。
再び光に迷惑をかけていると自覚しなさい。
とにかく今日光と一緒に家に戻りなさい。
二人に話があります。
早急に来なさい。

幸せをいろいろな意味で破壊したメール。
この時点で何かの感情がこみあげてきた。
始まった。色々と。
いよいよ熟慮断行といったところか。

121:名無しさん@ピンキー
07/06/18 01:09:07 4tbqGcJG
リアルタイム超GJ!
割り込んですいません。だが幸せが二乗になった!

122:らむだ  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:17:44 RW8VOO31
投稿完了。
次回はいつになるだろうか…。
早めに仕上げます。

>>107
大物キター!
なんか、名作の後に駄作を載せてすみません。
あとGJです。

前スレで出てきた質問事項。

「姉しよ好き?」「海ねえ?」「あえて巴ねえ。」
ええ好きです。
ついでにきみあるもすきです。
ただ光ねえには大きな違いがあります。
それは第二話で。

「U-1さん?」
いや、赤の他人です。
エヴァもKanonも扱ったことがありません。
というより新人です。

以上。
それではおやすみなさい。

123:らむだ  ◆9BssOn5LsM
07/06/18 01:20:20 RW8VOO31
あと最後に一つ。
>>121
気にしなくて結構です。
いや、俺も赤いパパ氏にしそうになったんで。割り込み。

ではこんどこそおやすみなさい。

124:名無しさん@ピンキー
07/06/18 02:49:29 EtmKJBzB
>>107
当事者ではない第三者の視点ってのは初めてかも?
姉兄ともにキモイ。素晴らしい。
GJ!!

>>122
テンポ良くてくすっと笑えるネタも満載でGJ!!
さてこれからどうなるのやら?

125:名無しさん@ピンキー
07/06/18 11:05:50 A5Trtraq
>122
いつになるかなんて言わないで早く続きを読ませてku re yo!

126:名無しさん@ピンキー
07/06/18 15:57:18 +8rucTyK
>>122
GJ!
両親逃げてー

127:名無しさん@ピンキー
07/06/19 01:31:34 k75Ssf9H
ツナギの小ネタを投下します。
連続の神の降臨で
いきりたちっぱの息子を萎えさせるのに使ってください。

128:神→神へのインターバル
07/06/19 01:34:17 k75Ssf9H
気温30℃を超える中、学校から家に帰り、大量の汗をかいた俺は
すぐさま二階の自分の部屋に入り着替えた。
部屋の中も蒸し暑く、エアコンを最大出力に設定し、
泣きながら赤くなっていく想像の地球の顔面に妄想の蹴りをいれ、
冷蔵庫を全開にしてその前に座る。
「…あ~~~~…」
分かってるよ…これは扇風機じゃないことくらい。
緊急冷却を終えた俺は再び二階へと足を運ぶ。そろそろ冷えたかな?
…鳥肌がたった。寒いからとかじゃなくて。
「ん、あぅん!おにいちゃぁん!」
俺の部屋の中で下着を鼻に押しつけながら大切なところを
いじいじしてあかる妹を見つけたからだ。
昔から極度のブラコンで、どこへ行くにも
「お兄ちゃん」何をするにも
「お兄ちゃん」だった妹、
いや、お互い高校生となった今も変わらず続いている。
キモ姉キモウトスレ的にいえばこの状況は明らかに
“兄に向けられた狂愛”だが、
妹は決定的なミスを犯していた。
「ん、んっ!おにいふぁん…」
妹の蛮行を見過ごすわけには行かない。意を決した俺は部屋に足を踏み入れ


129:神→神へのインターバル
07/06/19 01:36:54 k75Ssf9H
「摩耶…それ山崎の」
下着が体育の時間からかって友達から盗んだまま返すのを忘れた
レアアイテムだということを告げる。
「ふぇ!?」
下着を加えたまま見たことのないくらい目を見開きながら硬直する妹。
………
「××××××」(乙女の音声モザイク)
ビチビチビチ
その場で激しく吐いた妹。
「お…お兄ちゃん…なんで他人の下着なんか…」
怒りと苦しみに狂っている妹に事情を説明した。
「…という訳なんだ。」
「………」
「摩耶?おーい?」


…お兄ちゃんのバカーっ!!私の初オナニー返せー!!
うわぁまて勝手に人の鞄を漁るお前が悪い、てか
鞄に下着が入ってる時点で不審に思えってぇーー!
においを嗅ぐなー!
ソレハオレノオイナリサンダーー!

130:名無しさん@ピンキー
07/06/19 01:39:23 k75Ssf9H
投下終了。
たまにこんな小ネタは…だめですかね?

神職人様方、引き続き宜しくお願い致します。

131:名無しさん@ピンキー
07/06/19 01:48:32 liU7KRXW
>>130
そういう軽いノリ、結構好きだ
よかったらこれからもたまに書いてくれ

GJ


132:名無しさん@ピンキー
07/06/19 01:53:32 QgjqhEjB
あ~ぁ…男友達に妹の初オナニーとられちゃったよ
妹が初めて口に入れた下着は男のではなく、友達の下着
初めて口に入れた間接ちんこは、男のではなく友達のちんこ


133:名無しさん@ピンキー
07/06/19 03:28:48 +gSLzLeN
>>130
クスっと笑える感じがとても良い
またの投下を楽しみにしてる

GJでした

134:名無しさん@ピンキー
07/06/19 10:39:30 dbowRRY6
>>132
妹のオナニーを止めさせるためとっさについた嘘、と俺は脳内変換した

135:名無しさん@ピンキー
07/06/19 11:08:15 Cick+NGK
>>130
兄の使用済みパンツでオナニーするのはキモウトだ!!
兄のパンツの匂いを嗅ぎ分けられるのは良く訓練されたキモウトだ!!!
本当キモウトは地獄だぜーーーー!!!

136:名無しさん@ピンキー
07/06/19 12:36:26 7WWAzhMT
俺もこのスレの兄みたいにがむしゃらに愛されてぇ~!

137:名無しさん@ピンキー
07/06/19 13:48:47 e1UbNPfj
俺は弟みたいに愛されたい

138:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/19 14:55:32 sa50GeOm
>>107の赤いパパ氏
神はいた・・・もとい神が来た。このスレの歴史に新たな1ページが!

ある意味第三者視点と言いますか、珍しい形ですね。震える親指でGJさせて頂きます。
嫉妬からハーレムまで、某スレとか某スレとか某スレとかの作品もお待ちしておりますね。
乙でした。

>>122のらむだ氏
一週間の間隔などお気になさらず。
私は完璧姉の支援が望めるならば半月程度の籠城戦は余裕であります、サー!
一月・・・? ・・・・・・何とか。 そういえば、親との対決はこのスレ初のような・・・。
次回を楽しみにしつつGJを!

>>130の方
新人さんGJです。乙です。妹の心の傷に合掌。
そちらのタイトル的に私では腰が引けますが、誰もいないうちにこっそり投下しますね。

では、何故かファンタジー書いてる間に脇で書き上がった話を投下。
グロはないと思いますが、注意を。エロなし。

139:フルメタル・妹
07/06/19 14:56:56 sa50GeOm

ワタシは掃除をしていた。

「はぁ・・・はっ・・・はあ・・・っ!」

荒い呼吸をしながら、ワタシに背を向けて必死に逃げようとする溝鼠を追いかける。
常人とは重心の異なる体でバランスを取りながら追いかけるその姿が、段々と迫ってきた。

「はあっ・・・はあっ────ひぃいっ!?」

溝鼠がワタシに振り向き、疲労からかだらしなく弛緩していた顔の筋肉を引き締める。
見ていて面白いほどに、その表情が恐怖に染まった。

「ねえ、待ってよ」

「っひぃぃいいいっ!?」

その背中に声をかけてやると、溝鼠は迫り来るワタシに対する怯えで硬直しそうになる四肢を懸命に動かして駆ける。
思った通り、実に愉快だ。
弱者を嬲る愉悦と獲物を追い詰める喜悦に、冷たい体が内から熱くなっていくような錯覚を抱いた。
一段上がったギアで普通よりずっと重い体を、普通より遥かに強い力で動かして溝鼠を追い立てて行く。

「ねえ、待ってってば」

「いやぁっ!? 来ないで、お願い来ないでぇぇぇえええっ!」

溝鼠と同じ距離を同等以上の速度で走りながらもワタシの肌には汗一つ無く、呼吸には微かな乱れも無い。
全てはお兄ちゃんの愛のおかげ。お兄ちゃんが造ってくれたこの体のおかげだ。

ワタシは、もう二桁近くも前になる年に事故に遭った。
辛うじて繋がっていた意識を病院への搬送途中に失い、沢山の人の努力と祈りの甲斐なく死亡。
ただ、奇跡的にその時の私の頭には傷一つ付いていなくて。
その分野の専門家だった私のお兄ちゃんが保存した私の脳から記憶を引き出し、
それを作り上げた機械の体にインストールして私をアンドロイドとして復活させてくれたのが少し前のこと。
私が目覚めてワタシとして誕生した時に見たお兄ちゃんの姿は苦心の日々でやつれ果てていたけれど、
それも私を甦らせようと少しも休まずに頑張ってくれたからで、
お兄ちゃんの変わらない優しさと愛情に感動しすぎたワタシはその場でフリーズしてしまった。

フ ル メ タ ル
全身金属のボディ。
人でなくなってはしまったけれど、ワタシは今の自分を心の底から愛しく思う。
大好きなお兄ちゃん。世界で一番愛しているお兄ちゃん。
頭が良くて何でも出来て、なのにそれを鼻にかけたりせずにいつも優しくて、誰よりも素敵だったお兄ちゃん。
ううん。今でも素敵なワタシのお兄ちゃん。
そのお兄ちゃんとの兄妹の絆、
物理的な血の繋がりは失ってしまったけれど、ワタシとお兄ちゃんの心の結び付きは今も変わらない。
どころか、苦労に苦労を重ねて甦らせたワタシを妹であると同時に自分の傑作だと感じているお兄ちゃんと、
二度目の人生を与えてくれたお兄ちゃんを兄であり親であり造物主であると考えているワタシ。
お互いに抱く愛情も心の距離も以前よりずっと強く深く近い。
ワタシからお兄ちゃんに対しては特にだ。
何故ならこの体はお兄ちゃんに設計され、部品を選ばれ、組み上げられ、人工の毛の一本一本を植えられ、
人造の肌を一枚一枚張られ、動力を注がれ、命を吹き込まれ、お兄ちゃんによって生み出された物なのだから。
何年もの間をお兄ちゃんが私のことだけを想って私のために造り上げた、全てをお兄ちゃんの愛情で満たされたボディ。
法的には、アンドロイドのワタシはお兄ちゃんの所有物だ。
加えて定期的なメンテナンスと補給をしないとワタシは機能や人格を保てない。
お兄ちゃんによって生み出され、
お兄ちゃんによって所有され、お兄ちゃんに管理されなければいけない、お兄ちゃんに依存しきった体。
同時に被造物として、
お兄ちゃんのために存在しお兄ちゃんのために使われお兄ちゃんの意志に全てを委ねる道具としてのワタシ。
ワタシの全てはお兄ちゃんの手により、ワタシの全てはお兄ちゃんのためにある。

140:フルメタル・妹
07/06/19 14:58:10 sa50GeOm

それは、何と言う幸せな存在理由なのだろうか。
ワタシの中では日々、数値化できない想いがバグのように募っていく。
このボディになっても消えなかったもの。
死んで新しい体で甦ったワタシの中で、たった一つだけ昔と変わらないもの。
どうしようもない程に強い、お兄ちゃんへの愛情。
鋼鉄の中身を紛い物の皮膚で覆っても抑え切れない感情が信号となって電子の意識の上を走り、
人間的な体の構造を失くしても湧き上がる欲情がお兄ちゃんを求める。
愛してる。兄として家族として異性として他人としてどうしようもなく、ワタシはお兄ちゃんを愛している。
戸籍では死んでいて生前の友人知人や家族にも会えないワタシにはお兄ちゃんしかいない。
被造物であるワタシには持ち主であり想い人であり兄であるお兄ちゃんだけがいればいい。

だから。

「待ってって言ってるんだけどなぁぁああ!」

ワタシからお兄ちゃんを奪おうとする者は許さない。
お兄ちゃんとワタシの間に入ろうとする者は許せない。
今、ワタシが追っている溝鼠はお兄ちゃんに手を出した。
その薄汚い体でお兄ちゃんに擦り寄り、汚らわしい唇でお兄ちゃんに噛み付いた。
許さない許さない許さない。殺してやる殺してやる殺してやる!
お兄ちゃんの作ってくれたこのボディで。
この脚で追い詰め、この腕で殴り潰し、たとえ逃げたってこの目で見つけ、この耳で捉えてやる。
逃がしはしない。

「ひぃぃいいいいやぁぁああ────あ」

だけど。
そう意気込む必要もなかったみたい。
追い続けた溝鼠の前には、いつの間にか壁がそびえ立っていた。左右に道らしきものはない。
完全な袋の鼠。
お兄ちゃんと同じ研究室で働いているとか言っていたから頭は良いのかとも思っていたけど、
所詮、溝鼠は溝鼠でしかなかったみたい。
自分から逃げ場の無い場所へ逃げ込むなんて。どうしようもなく滑稽だと、顔の人工筋肉が収縮する。
ワタシと目を合わせた、壁を背にして上下の歯を打ち鳴らす溝鼠の顔が恐怖に歪んだ。

「ひいっ!? お、お願いだから落ち着いてちょうだい、ああアナタはきっとバグに侵されているのよ!
 だから早く私と一緒に戻って、アナタのお兄さんのメンテナンスを受けましょう!?」

愉快だけど、愚かだ。
ワタシが、他でもないお兄ちゃんに造られたワタシがバグに侵されてるだんて、ワタシ達兄妹への侮辱も甚だしい。
それがワタシの回路を逆撫でするだけだと気付かないのだろうか。溝鼠らしい低脳っぷりだ。
やっぱり、こんな奴をお兄ちゃんの傍には置いておけない。コイツはお兄ちゃんに相応しくない。
掃除を、駆除をする必要がある。
お兄ちゃんの傍に居ていいのはワタシだけ。お兄ちゃんに相応しいのはワタシだけ。
老いず朽ちず、科学共にバージョンアップのみを続けていけるワタシだけが、お兄ちゃんと結ばれるべきだ。
衰えることも醜く変わり果てることもなく、お兄ちゃんのためだけに稼動し続けられる存在。
完全で完璧で、それでいてお兄ちゃんの手で完成へと向けた改良を重ねて行けるボディ。
部品を変えオプションを付け電子脳の記憶を記録を書き換え、幾らでもお兄ちゃん好みになれる道具。
ああ。
本当に、私は死んで良かった。
今のワタシになれて良かった。

141:フルメタル・妹
07/06/19 15:00:05 sa50GeOm

「ねえ、お願いよぉ・・・・・・」

一歩、追い込んだ溝鼠へ歩く。
駆動系の唸りが聞こえ、関節部が軋みのような音を上げる。

「うぅっ、来ないで・・・・・・来ないでえっ!」

ほんの僅かしかない距離で、更に一歩。
生前と変わらない色の人工皮膚に覆われた、金属の塊を振り上げる。

「ごめんなさいっ! 私が悪かったなら謝るから、幾らでも謝るからぁっ!
 だからお願いよぉ・・・・・・命だけは助けて! 殺さないでぇえっ!」

機械にさえ不快と感じられる溝鼠の悲鳴。
ワタシは聞く耳を持たないのに、ひたすらに喚き続けている。
流石に五月蝿いので、聴覚にあたる機能をシャットダウンした。
音という情報だけが、ワタシの意識から締め出される。

「──! ────っ!?」

これでもう、何も聞こえない。おかげで一つのことに集中できる。
お兄ちゃんがワタシにくれた体は、前よりもずっと強くて、便利だ。
目の前のことにだけ意識を傾けられる。

「っ! ──っ!」

どれだけ愛情に焦がれ、激情に焼かれても、数値化できないそれから一歩引いた位置で物事を見れる。
同時に余分なものを全て排除して、ただひたすらにお兄ちゃんのことだけを想い、考えることが出来る。
最愛のお兄ちゃんが造ったワタシの体には、本当に最高以外の言葉が思い付かない。

「────」

だって。

「────げばっ」

溝鼠を叩き潰して壁に貼り付けてやっても、
触覚も嗅覚も切って気持ち悪い肉の感触や汚らわしい血の臭いを、温度を感じなくて済むんだから。
ほんの少しだけ聴覚を戻すのが早くて、即死した後に口から溢れ出した血が流れる音を聞いてしまったけど。
そんなこと、少しも気にならない。

これでようやくワタシはお兄ちゃんだけを想い、
お兄ちゃんの傍で、お兄ちゃんだけと共に存在して行けるのだから。



いつかお兄ちゃんが死んでしまい、ワタシと同じ冷たさになったお兄ちゃんの体に抱き付いて機能を停止するその時まで。

142:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
07/06/19 15:03:54 sa50GeOm
投下終了です。
タイトル前半をフルメタルにするかメタルギアにするかで迷ったり。
何故ファンタジーを書いている最中にこんなネタが湧いてくるのか。

王様は問いました、妹なら何でもいいのかと。
私は答えました、キモウトならと。

まあ、既に物理的な血の繋がりはないのですが、これもアリでしょうか。

ではまた、いつかの投下にて。

143:名無しさん@ピンキー
07/06/19 16:18:50 fJggC2xX
GJ!!!

144:名無しさん@ピンキー
07/06/19 21:14:52 q8BOwd+H
タイトル吹いたwwwww
GJです!!!!

145:名無しさん@ピンキー
07/06/19 22:13:37 jjjX6KBQ
夕日ロマンスって漫画をたまたま読んだんだけど…最高だった!!

146:名無しさん@ピンキー
07/06/19 22:47:41 oD2nmlsp
姉が黒髪に黒い改造制服で、従妹が金髪に白い規定制服のやつだよな。
見た目も性格もほとんど変わらなくて、姉が従妹に対して「偽者!!」とか言ってたあたりには萌えた。

おそらく『籠の中』の作者さんはこれの一部の設定を参考に書いたと思われるから、
『籠の中』が大好きな人は楽しめると思う。

147:名無しさん@ピンキー
07/06/19 23:01:12 jjjX6KBQ
>>146
やっぱり知ってる奴いたかww

148:名無しさん@ピンキー
07/06/20 00:20:31 w8ahh56N
あげます。
前スレで出た『虎とあきちゃん』って続き出るんでしょうか?

149:名無しさん@ピンキー
07/06/20 00:49:19 1pEXPYF1
>>145
あれって単行本でそう?

150:名無しさん@ピンキー
07/06/20 04:22:17 qEWrXxzE
>>149
出るよー。7月だったかな?

151:名無しさん@ピンキー
07/06/20 07:13:34 1pEXPYF1
>>150
ありがとう。絶対買うわ!

152:名無しさん@ピンキー
07/06/20 08:23:29 5e/ZGsNy
夕日ロマンスは推奨
つーか読んでみ?スレ住人ならニヤニヤがとまらない

153:名無しさん@ピンキー
07/06/20 13:56:09 mDIyZuyj
夕日ロマンスって何で連載してるんだ?

154:名無しさん@ピンキー
07/06/20 13:58:55 mDIyZuyj
ageちゃってすいません。以後注意します

155:名無しさん@ピンキー
07/06/20 15:50:34 1UkQG+eg
>>152
kwsk

156:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/20 18:01:30 eEzj+cfW
投下します。

157:虎とあきちゃん  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/20 18:02:42 eEzj+cfW

「虎ちゃんおはようのちゅー」
 翌日、馬鹿な寝言をほざいてる亜紀姉の頭をはったおして叩き起こして
一緒に学校に向かうと、下駄箱にはラブレターが入っていた。

「放課後、屋上で待ってます。か…宛名はないが…俺にも春が来たきたきたっ!!!」
 俺は隣ですのこに躓いてこけている駄目姉に悟られないように気をつけながら
スキップして教室へと向かっていった。俺の時代は近い。

 放課後、シューマッハもびっくりなドリフトを演じながら猛ダッシュで屋上に
向かうとそこには気弱そうなおさげで眼鏡の女の子が立っていた。確か隣のクラスの…

「えっと、榛原和歌…さんだっけ。」
「あ…うん…。名前どうして……。」
「その……榛原さんの友達がそう呼んでいたのを聞いたことがあるんだ。」
 俺は飛び上がって喜びそうなのを堪えながら抑えて話していた。榛原さんは、
眼鏡を取ると可愛いし、実はスタイルもいいのだ。それを知っている男連中では
守ってあげたい感じで人気NO.1だ。俺もだめ姉の世話より可愛い女の子とラブラブしたいぜ。
 彼女はにこっと嬉しそうに微笑んで、

「嬉しいな。私その…地味だから…顔も忘れられているかと思ってた。」
「そんなことないよ。榛原さんは可愛いから。」
 うおおおおお言ってる俺が超はずかしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!

「それより…どうしてここに呼んだの?」
「それはその……あの……私…わたしっ!!青野君のことがっ…すっ!」
 彼女は俺の顔を見て真っ赤になりながら上目遣いで…俺はそのときを待っていた。


158:虎とあきちゃん  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/20 18:03:53 eEzj+cfW

が、

「きゃああああぁぁぁぁ!!!」
 そこには何故か姉が居た。何故かバケツを持っていて、こけて、自分で水をかぶっていた。
 榛原さんといえば、目の前に現れたドジ美人をあっけに取られたように見つめている。

「うえええ~~~~~~~~ん、ずぶぬれだよぉぉぉぉ~~虎ちゃん助けてぇぇ~」
「あ、おい。こっちくんな!」
 おい、こら俺に抱きつくな!!胸の感触がって違う!!!

「え…え……青野君……下の名前で呼び合う人が……しかも、こんな美人…えとえとっ!」
「まて、榛原さん誤解だ。こいつは!」
「私…私…知らなくてっ!!ごめんなさい!!!!」
 榛原さんは泣きながら走り去っていった。

「亜紀姉……説明してもらおうか?」
「いやん、虎ちゃん怒らないで~。」
 俺の怒りは臨界点を既に突破していたが、一応姉の言い分も聞いてやろうと思っていた。

「あのね~~。虎ちゃんのラブレター見たの。」
「いつっ!!!」
 俺は見せた覚えもないし、朝はさっさと隠して教室に入ったはずだ。

「昨日の放課後。」
「…………なんで俺の下駄箱を?」
「みやちゃんが浮気調査の基本だって。」
 頼むからみやちゃんとやら…プライバシーは大事にしようぜ。第一俺と亜紀姉は
姉弟だ。浮気関係ねえ!!


159:虎とあきちゃん  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/20 18:05:04 eEzj+cfW

「それでね~~相談したらね。泥棒猫には水でもかけとけって言われたの。」
「ほほう…。それを真っ正直にやろうとしたわけか。弟の恋路を邪魔しようと。」
 姉は嬉しそうにわらって頷いた。男なら百人中九十九人まで蕩ける様な笑み。
 例外は俺だ。

「この馬鹿姉がぁぁぁぁぁぁぁ俺の青春をかえせええええええ!!」
「きゃあああぁぁぁっ暴力反対暴力反対だよぉぉぉぉっ!!」
 とりあえず、頭をぐりぐりしカバンの中から体育で汗をかいたら使うつもりだった
タオル出して、姉の綺麗な髪の毛を拭いてやった。

「虎ちゃん優しい~~~お礼にはぐしてあげるね?」
「いらん。」
 俺の春は遠い。駄目姉を連れてため息を吐きながら帰途に着いた。二人で歩くと
通りすがる人が皆振り返るのは姉が無駄に美人なせいだろう…。いつまで、こんなことが
続くのだろうか。

 翌日、榛原さんと顔を合わせるのが気まずかった俺は寝ぼける姉を連れて、早めに
学校へと向かい誤解が解けることを祈って、俺の気持ちを全て書いた手紙を押し込んだ。

 焦っていたため、下駄箱を間違えていたことに気づいたのはその日の放課後だった…。


160:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/20 18:06:27 eEzj+cfW
投下終了。次辺りからもう少し長めにいきます。

161:名無しさん@ピンキー
07/06/20 18:08:43 S85q7C19
駄目姉が可愛くて仕方ないので困ってしまいますw

162:名無しさん@ピンキー
07/06/20 18:11:01 S85q7C19
ごめんageてしもうた

163:名無しさん@ピンキー
07/06/20 20:11:02 5e/ZGsNy
主要人物

ユウ
紅 夕暮(くれない ゆうぐれ)
ヒロの姉。鶴ヶ崎高校3年。
姉弟の仲は良く、それ以上の感情を持っている。ブラコンであることは周囲の友人も知っている。
黒い改造制服を着ており、そのため学校では「暗黒姫」「黒い魔女」の通り名で有名になっている。
トモ
ヒロ・ユウの異母兄弟。邦府高校1年。
ヒロの妹だがヒロに好意を抱いており、そのためユウとはライバル関係にある。ブラコンであることは周囲の友人も知っている。
ユウとは対照的に髪の毛の色などは白(カラーでは金髪)だが、顔は似ている。


wikiより
まさにスレ住人を釣ろうとしてるかのような設定
俺は1スレが出来る前にすでに釣られてたクマー

164:名無しさん@ピンキー
07/06/20 23:22:56 Q37X2l61
>>160
行動の結果が泥棒猫の被害に繋がらないだけで、キモ姉がこんなにも可愛く見えるとは・・・!
でも心理描写が入るとどろどろなんだろうなぁ。それだいいんだけど。

GJです。
長目の更新、期待してまつ。



夕日ロマンスはコミックスが楽しみだ。
が、「夕日ロマンスの」を入れておかないとな、>>163

165:名無しさん@ピンキー
07/06/20 23:31:08 RBBjf+LG
>>160
GJ!
俺の亜紀姉のイメージはアイマスのあずさをちゅるやさん風にした感じ

166:名無しさん@ピンキー
07/06/20 23:36:39 bSFA5bHo
>>163
ちょwww何その痛い設定wwww
一気に夕日ロマンスを買う気が無くなったじゃねーかww

167:名無しさん@ピンキー
07/06/21 00:13:24 rIBSEAsM
>>163
ちょwwww黒い魔女とかwwwwモロ邪気眼wwwww
>>160あき姉ちゃんキター!
ダメ姉ホント可愛いな。
泥棒猫の始末すらちゃんと出来ねえところに悶える。
たとえ全部計算づくでも俺は姉ちゃんを支持する。
GJ!
次回以降は長めになるそうなのでwktkして待ってます! ありがとうございました。

168:名無しさん@ピンキー
07/06/21 00:19:31 oPhbdv3e
一応言っておくけれど……。
作中で魔女とか言われたりしないからな。

『主人公に告白しようとすると邪魔をしにくる黒い魔女』という噂がある、
ってのが一話でちょこっと出てきただけだぞ。

169:名無しさん@ピンキー
07/06/21 01:35:04 sXM8WA4Q
今日訳分からん言葉思いついたんだ。



「お姉ちゃんどいて!そいつ殺せない!」


はてまたなんでこんな言葉を思いついたのか・・・

170:名無しさん@ピンキー
07/06/21 02:19:55 6DpUR+vw
今日訳のわからない言葉(ことのは)を思いついた
まで読んだ

言葉が妹ならノコギリで手足を切断さうゎああっなにを(ry

171:名無しさん@ピンキー
07/06/21 03:26:32 9TTrg3Bb
じゃあ俺は言葉を姉、世界を妹に…
あれ、お腹に何か刺さって…首から…血?
あれ?俺落ちてるの?こr
  グシャッ

172:名無しさん@ピンキー
07/06/21 03:29:08 sDfpGc5Q
以前、ある新ジャンルに投下した姉がキ印なので、こっちに再投下して良い?
続きも勿論、用意する。
以下、その姉↓

俺の部屋には姉がいる。

姉「大丈夫? 宿題一人で出来る? お姉ちゃんが教えてあげようか?」
弟「大丈夫だよ。分からなくなったら俺から聞くから」
姉「あ、うん。分かった。じゃあ外にいるね」

遠慮して自分の部屋さえ持たない姉がいる。

弟「いいよ、またずっと廊下で待つつもりでしょ」
姉「でも……弟君の勉強の邪魔したくないし」
弟「外にも出かけないならここにいていいから。ね?」
姉「あ……うん」


俺の部屋には姉がいる。屋根のあるところにいさせてもらうだけでも遠慮する、バカな姉がいる。


173:名無しさん@ピンキー
07/06/21 09:16:36 E9tIrksk
↑?

174:名無しさん@ピンキー
07/06/21 10:00:33 YWebJIeq
>>172
あるていど書き溜めて、まとめて投下したほうがいいぞ。


175:名無しさん@ピンキー
07/06/21 13:29:02 m88zasp2
ヤンデレ
URLリンク(ex14.vip2ch.com)

176:名無しさん@ピンキー
07/06/21 14:54:43 munLuJ5/
>>175
新ジャンル「ヤンデレミュウツー」その3
URLリンク(ex14.vip2ch.com)

353 名前:VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774[] 投稿日:2007/06/18(月) 17:36:45.72 ID:riOAN/Uo
ヤンデレミュウツー
URLリンク(ex14.vip2ch.com)

354 名前:VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774[] 投稿日:2007/06/18(月) 18:38:06.83 ID:M33Rhjoo
>>353
それが貼られた所から来ましたが……。
なに、またマルチやるつもり?


ストーカーとヤンデレ、あとどこかでも見たけれどさ。
こんなところのアドレス貼って回るのやめてくれよ。
そろそろウザイんだけれど?

355 名前:VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774[] 投稿日:2007/06/18(月) 18:48:22.71 ID:GqkU4XUo
>>354
それは初耳
誰がやってるかは知らないが失礼しました

貼ってる奴、人増やしたいのは分かるがちょっと止めようぜ

177:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:23:50 VB55V6X/
>>174
その書き溜めたもの

俺の家には居候の姉がいる。

姉「あ、それじゃ、ごちそうさまです」
弟「姉ちゃん。俺、今日バイトで遅いから先にお風呂入ってて」
姉「うん」

そんなこと言って、絶対に俺や両親よりも先に入らない姉。

姉「じゃあおじさんおばさん、学校行ってきます」

俺よりも両親と長く住んでるのに、未だに敬語が抜けない姉。

姉「じゃあ行ってくるね。弟君」
弟「ああ」


俺の家には姉がいる。ずっと居候みたいに縮こまってる姉がいる。


178:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:24:45 VB55V6X/
姉は俺にいつも優しい。

姉「はい、弟君」
弟「なんだよこの服」
姉「プレゼントだよ」
弟「……」
姉「どうしたの? 変で嫌だった?」
弟「いや、そうじゃなくて。いい加減、自分の為にお金使いなよ。いつもいつも買ってくれるのは嬉しいけどさ」

ろくすっぽ友達と遊ばずに、姉は俺のご機嫌取りにばかりお金を使う。

姉「あ、ごめんね。じゃあそれ、返品して違うの買うから」
弟「だから、もっと遊びの為に使いなよ。姉ちゃんだって友達いるだろ? 彼氏とかもs
姉「別にっ」
弟「え?」
姉「別に……私はそういうのいいから。弟君が喜んでくれるなら……」

そういって姉はいつも俺に何かをくれる。



179:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:26:48 VB55V6X/

俺と姉の関係を一言で表すなら、平行線が妥当だろう。

姉「弟君。お腹空いてない? 今、何か作ってあg
弟「いいよ姉ちゃん。なんでそんな俺に構うんだよ」
姉「え……あ……ご、ごめんね……ごめんねごめんねごめんね。ねえ許して弟君。邪魔だったらはっきり邪魔だっていいから。そしたらお姉ちゃん消えるから。
  だからごめんね。許して弟君。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

そうやって姉はいつまでも頭を上げない。


怒りなんてもうとっくになくなっているのに、姉はずっと「ごめんなさい」と繰り返した。


180:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:28:56 VB55V6X/

俺は地元の高校に通っている。

弟「じゃあ行ってくるね」
姉「行ってらっしゃい弟君……やっぱり、途中までお姉ちゃんついていk
弟「いいよ。もう高校生なんだし」

姉は大学進学を勧める両親の話を丁重に断り、地元の中小企業に勤めている。

姉「じゃあ、あの、良かったら帰りに夕ご飯の材料買うから……その」
弟「荷物持ちね。分かった。いつものスーパーね」

律儀に食費まで入れている姉は、やはり俺に荷物持ちなんてさせない。

弟「じゃあ、行ってくるね」
姉「うん。行ってらっしゃい」


181:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:30:15 VB55V6X/

高校では俺は変人だ。

弟「おはよう」
女「あ、おはよう。今朝はお姉さん、いなかったね」
俺「ああ」
女「……ねえ、やっぱりちゃんと嫌なら嫌だってちゃんと言ったほうが良いと私は思うな。弟君も迷惑n
俺「迷惑とは思ってないよ。ただいい加減、あんな肩肘張った生活しなくて良いと思ってる」
女「でもさ、なんかちょっとあそこまでいくと気持ち悪くない? 時々、ちょっと頭おかしいんじゃないかって」
俺「悪口ならそこまでにしてくれないか?」
女「……ごめんなさい」

俺は高校では変人だ。変な姉をかばう変な弟だ。


182:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:31:24 VB55V6X/

スーパーでの待ち合わせは長年続いてるものだ。

タタタ

姉「弟君」
弟「わりぃ姉ちゃん。なかなかダチが離してくれなくてさ。待ったろ?」
姉「ううん。大丈夫だよ。さ、入ろう」

姉は中学に入ると、自分から家の手伝いをするようになった。まるでそうしないと自分の居場所がなくなるように。

姉「お菓子とかいる? 何でも好きなもの買ってあげるから」
弟「いいよ。これ以上食ったら太る」

母がそこまでしなくて良いというのに、姉は自分の居場所を守り続けた。

姉「今日は弟君の好きなもの作るね」

もう、そんなことしなくても居場所なんてとっくにあるというのに。


183:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:32:47 VB55V6X/

俺の趣味はクレーンゲームだ。

ゲーセン

弟「よっ、と。よし、取れた」
姉「わぁ。やっぱり上手だね、弟君」
弟「ほら。これ」
姉「え……いいの?」
弟「ああ」

俺からのプレゼントはよっぽどのことじゃないと受け取らない姉の、唯一受け取ってくれるもの。

姉「ありがとう。大切にするね」

姉はすごく嬉しそうだった。たかが100円のプレゼントに姉はすごく喜んでいた。



184:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:56:25 Uf/4dISZ
終了したんであればその旨書き込んだ方がよいですよー

それはそうと、攻性では無いキモ姉って言うのもなかなか……良いかも。
でも完全にキモいかというとそんなことないし、依存かというとそうでもないし、嫉妬からは遠く、とあれこれ考えるとやっぱりこのスレが一番近いんだろうか。

185:名無しさん@ピンキー
07/06/21 18:57:31 VB55V6X/
>>184
いちおう、ここまでです。お騒がせしました。
続きは出来たら早めに。

186:名無しさん@ピンキー
07/06/21 19:02:27 7yQrGMX4
sageぐらいしてくれ…話はそれからだ

187:名無しさん@ピンキー
07/06/21 19:05:03 7yQrGMX4
はいはい俺も同じ穴の狢orz
ごめん…

188:名無しさん@ピンキー
07/06/21 19:10:51 D3/eMis6
SSをすべてageて書き込む人初めて見た

189:名無しさん@ピンキー
07/06/21 19:16:34 OByPImlE
微妙に混沌としはじめつつも、読みふけってしまう俺がいる
これもキモ姉・キモウトの成せる業か・・・

190:名無しさん@ピンキー
07/06/21 19:50:48 a4eEugT5
>>188
他スレでも結構いる

191:名無しさん@ピンキー
07/06/21 19:57:41 b5Wi0bIu
>>188
よっぽどの自信作なんだろ、放っておいてやれよ

192:名無しさん@ピンキー
07/06/21 20:26:37 9TTrg3Bb
自信作ねぇ…自信作…自信作……
…これ以上噛みついちゃだめだ!皆落ち着こうぜ!な!?

193:名無しさん@ピンキー
07/06/21 20:30:13 7kntHqH+
エロパロ板になじみがうすいんだろ

194:名無しさん@ピンキー
07/06/21 20:40:34 V4ENhARi
>>185
とりあえずSS投下するときはsage投下したほうが無難だ
メール欄に半角文字でsageと入れるだけでよし
荒れる原因にもなったりするからこうしたほうがいいよ

195:名無しさん@ピンキー
07/06/21 20:48:57 VB55V6X/
お騒がせしました

196:名無しさん@ピンキー
07/06/21 20:50:37 zXl5zb3Z
みんな厳しいこと言ってるけど内心では投下を心待ちにしてるから、
まったり続きを投下すると泣いて喜ぶよ。

197:名無しさん@ピンキー
07/06/21 20:58:31 B2eFUjZ/
「」の前に姉とか弟とか書くのも要らないと思う

198:名無しさん@ピンキー
07/06/21 21:00:37 VPN+xJZ0
>>197
それは自信がないんだ大目にみてあげてほしい

199:名無しさん@ピンキー
07/06/21 21:08:28 DNhHeVrY
ふたば分家の++の小説スペースで
>>197の言うようなシナリオもどきの話者注記入りで書くくせに
妙に他人の作品を上段から批評する癖のある痛い書き手を思い出した

200:名無しさん@ピンキー
07/06/21 21:21:48 KkmobQhL
新ジャンルスレなら問題ないが
ここで台本小説はなぁ
どうしても厨っぽいイメージが付く

201:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:18:26 YWebJIeq
まぁ初投下らしいし大目に見てはいかがかね?

202:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:29:01 9TTrg3Bb
話者注記入りにすると精神、内面描写を少なくする癖が付くからな。
必然的に内容が浅くなってしまう。
多少長くなってもいいから登場人物の会話だけで文章構成
というのは止めてほしい。


203:202
07/06/21 22:33:46 9TTrg3Bb
誤解を招く前に修正

多少長くなってもいいから
“文章の殆どを登場人物の会話で構成”
というのは止めて欲しい。

連レススマソ。次の小ネタ考えるとします。

204:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:41:22 oj9bnYNm
ほんとどこ行っても批評家多いな

205:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:43:44 bzoXCppZ

「おまえら、この女の本当の名を知りたいか?」

「ならば、教えてやろう。こいつの名前は、ジャギ!! おれが嘗て、“姉”と呼んだ女だ!!」

206:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:46:25 UPwxY5Dy
前スレまでは良スレだったんだが

207:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:47:45 WITPNVXK
批評家をきどるつもりは無いけど
話を書く上で話者注記無しの方が多少つたない文になっても書き手の技術向上もなるしいいと思うぜ?
別に『技術なんていらない』とか『俺は書きたいように書く』とかいう完全なオナニーなら文句はいわないけど
こういう公の場に出す以上見てもらうっていうのが意識にあるんだろうから、やっぱり真摯に受け止めるべきではないだろうか

と、完全に批評家きどりですね、すいません。


208:名無しさん@ピンキー
07/06/21 22:58:47 UpRuYQEa
台本小説じゃなくて台本そのものなら、俺は別に構わないや
台詞だけで描写や心理表現も可能だし
要は何にせよ、書き手の腕とセンスが大事、二兎は良くないってコトですね

209:名無しさん@ピンキー
07/06/21 23:04:32 8tBWnQTF
引っ張りすぎ
何度も同じような発言し合ってんな

210:名無しさん@ピンキー
07/06/21 23:06:29 oPhbdv3e
台本調の作家はスルーが基本でしょ。


211:名無しさん@ピンキー
07/06/21 23:11:26 9TTrg3Bb
>>208
確かにそうかもしれん。
台詞、描写共に重要である故に書き手の才能が求められる。
どんな方法であれ心理描写を上手く活字に出来ることが
ss制作の鍵か。
ん?台本が落ちてる。なになに?

♀「あらあんな所にピエールがいるわ」
♂「おやあんな所にカトリーヌがいるぞ」
…何これ?

212:>>172の
07/06/21 23:55:59 VB55V6X/
 蒸し暑さだけが漂う残暑。俺はクーラーもついてない部屋で一人、長期休暇の課題に取り組んでいた。
 これでも真面目な性格が幸いしてか、友人連中に助けを求めるような真似はしないで済んでいる。数学の教師が
出してきた殺人的な量の問題冊子も、今日明日で目処がつくところまできていた。
 ここで訂正、このクーラーも数日前に壊れて地獄と化している部屋には俺以外のもう一人の住人がいる。
「あの、宿題大丈夫……? よかったら、その、お姉ちゃんが見てあげようか?」
 俺の部屋には姉がいる。姉弟なのだから当然なのだろうけれど、社会人の姉に高校生の弟が各々、別々の部屋も
持たずに一つの部屋を使用しているのは驚くどころか奇異の目で見られるだろう。確かに両親は一般人ではあるけ
れども、個々の時間の所有を訴える時期をとっくに迎えてる子供二人に部屋を与えられない程度の経済状況でもな
いし、そこら辺の一般的な感覚を有していることは長男の俺が保障する。
 話を戻そう。とにかく、“俺の部屋”に姉がいるのだ。
 俺は姉の問いに首を横に振ると、「分からなくなったら聞くから」と付け足しておく。そうでもしないと姉はす
ぐに、
「あ、うん、分かった……じゃあ、お姉ちゃんは外に出てるね」
 こんなことを言い出すのだ。
「いや、いいって。また廊下で待つつもりでしょ?」
 振り向く俺に姉はおずおずと頷く。そう、姉は曰く、弟の邪魔をしないように廊下でおとなしく待つ、なんてこ
とをする。一度、どうしてそんなことを、と問い質したら、盛大に泣きつかれたのは記憶に新しい。

 ごめんね。お姉ちゃんやっぱり邪魔だよね? こんなお姉ちゃんいらないよね? 弟くんの邪魔しないように一生
懸命やってるけど、でも出来なくてごめんね? やっぱり弟くんにとってお姉ちゃんなんていらないよね? お姉ち
ゃん弟くんの為を思ってやってるけど、でも私って気が利かなくて馬鹿だし邪魔だし、こんなのいらないよね? 
弟くんのお姉ちゃんでいる事自体間違ってるよね、ごめんね、ごめんね、本当に、イライラしたらお姉ちゃんぶっ
たって殴ったって良いからね? それで弟くんの気が済むんならどんなにしたっていいからね? だから、そのね、
もう少し、お姉ちゃんをここに置いて欲しいな? ね? ね?

 俺の部屋には姉がいる。屋根のあるところにいさせてもらうだけでも遠慮する姉がいる。

213:名無しさん@ピンキー
07/06/22 00:02:13 VB55V6X/
>>172のを書き直しました。突然の投下ですいません。
順次、書き直しできたらと思います。それでは。

214:名無しさん@ピンキー
07/06/22 00:24:43 mrDS5RKG
いちいち叩かれそうなことをするおまえがなんか可愛いよ

215:名無しさん@ピンキー
07/06/22 00:25:39 hXL3JXqI
この流れで書き直したお前さんに惜しみないGJを送ろう
頑張れ

216:名無しさん@ピンキー
07/06/22 00:25:53 JDUi9nNd
♂「…………」
♀「どうしたの?ピエール兄さん」
ピエ「ちょっと、こっちに来いカトリーヌ」
カト「きゃ……兄さんったら強引v」
ピエ「そうじゃないだろ!騎士団の宿舎に居る女というのはどういう女だと思う?」
カト「生き別れた兄に会うために修道院を抜け出して来た最愛の妹?」
ピエ「お前が修道院に入ってまだ二日だろう!というか修道院からココまで三日かかるだろう!」
カト「兄さんへの愛ね。少しでも速く兄さんに会いたくて二日でここまでついたわ」
ピエ「どこからつっこめばいい……」
カト「もちろん、私の大事な穴からよ。兄さんが望むなら後ろが初めてでもいいわ」
ピエ「小首を傾げて可愛らしくそういう下品な冗談を言うな!」
カト「本気なのにぃ~」
ピエ「頬を膨らますのもダメ!女の子なんだからもっと清楚にしなさい。はぁ、何のために修道院にいれたのか……」
カト「兄さん?頭痛?大変、騎士団なんてやってる暇ないわ!一緒に家に帰りましょう!!そして二人で暮らすのよ!」
ピエ「誰のせいだ!というか父上も母上も健在だ!それに騎士団に入るのは僕の夢だ」
カト「……居ないわよ」
ピエ「は?」
カト「私と兄さんを引き離すような♂と♀なんて、もう居ないから安心して兄さん。大丈夫、騎士団なんか入らなくても暮らしていけるお金も用意したから」
ピエ「何を……言ってるんだ?」
カト「そう、でも兄さん、夢が大事なんだ。私、負けたくないの。兄さんに寄ってくる雌豚にも、兄さんの夢にも。私は兄さんの一番になりたいの。
   だって私の一番は兄さんなんだがら、兄さんの一番も私だよね?でもね、人って大きくなると色んな邪魔のせいで、本当は一番なのに
   そうじゃないものを一番って呼んだりするのよね。兄妹で結婚できないとかも同じね。社会って酷いわ。でも純粋な兄さんを取り戻してあげる。
   大丈夫、兄さんは純粋で綺麗なままで居てイイの。障害は全部私が排除するから、私達を認めないものだって逆に利用してもみせるわ」
ピエ「カトリーヌ?」
カト「ふふ……大丈夫、私、兄さんとの初めてはこんな草の上じゃなくてシルクのベットの上って決めてるから」
ピエ「お、おい!カトリーヌ、こんな所で何をし始めるんだ……辞めないか、言ってるだろう清楚にしろと。そんな娼婦のような真似事……冗談でも……」
カト「見て、兄さん。私の身体、兄さんの好み?もっと胸があった方がいいって言うんなら、私努力するわ。逆は無理だけど」
ピエ「服を着なさいと言ってる!!」
カト「ダメよ、兄さんはこれから善良な修道女を襲おうとした罪で騎士団から除名されるんだから……」
ピエ「カト…リーヌ……」
カト「大丈夫、牢屋からはスグに出してあげるから。ふふ、兄さんは私の所に帰ってくるし、強姦魔には雌豚は寄ってこないだろうし、一石二鳥ね……」
ピエ「カトリーヌ?やめなさい、いつもの優しい妹に戻ってくれ、な?カトリ…」
カト「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



まあ「」だけの奴はネタ向けではあるんだけど

217:名無しさん@ピンキー
07/06/22 00:36:50 eBnlVzDk
>>212への好感度がうなぎ上り
GJ

218:名無しさん@ピンキー
07/06/22 00:44:20 bqsfyUxM
>>212
みんな期待してるんだよとりあえずGJ
俺も期待してます

219:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:28:42 NmC4o+JB
>>177の書き直し投下します

220:>>177の
07/06/22 01:29:22 NmC4o+JB
 少しだけ慌しい朝食の時間。今のご時世には珍しく、家族揃って食事を摂る我が家は実に和やかなものだ。家族
の誰それがこんなことをした。隣家の奥さんからこんな噂を聞いた。まるでサザエさんのような光景は俺の中では
当然になっており、先日、その様子を長年の友人に話したところ目を丸くしたのはまた別の話だ。
「ごちそうさまです」
 談笑の中にあって一人、手を合わせて食事の終了を知らせる姉に俺は目を向ける。なぜだか、毎回のように家族
の誰よりも早く食事を終える彼女は、エプロンを着け直すと一人、流し場で洗い物を済ましてしまう。
「それじゃあお父さん、お母さん。行って来ます」
 エプロンを外した姉は、両親の返事もそこそこにいそいそと玄関の方へと行ってしまう。姉はあまり態度に出さ
ないが、親を避けている節がある。初めこそ、ありえないことだが親を嫌っているのかもと考えた。しかし、長年
姉の様子を見るにそれはやはり間違いだと気づく。姉はまるで自分がこの場にいることが失礼だと、自分に言い聞
かせるように両親と接していた。自分の存在を恥じるように、すまなそうに人生をそう過ごしていた。
 果たしてそんな行動にどんな意味があるのか、俺にはさっぱり理解できない。だからといって俺には全く別の態
度を取る。今も姉の去った台所には一つの弁当が置かれている。もちろん、姉が作った俺の弁当だ。
「ごちそうさま」
 いい加減、俺もこれ以上のんびりしていられない為、手早く準備をして家を出る。両親は相変わらず暢気に緑茶
を啜っている。養われている以上、こんなことを言うのもなんだが随分とのんびりした親だと思える。
 まあ、実際に血が繋がっているわけでもないし。
 俺は二人に聞こえない程度にそう一人ごちると、いってきますと玄関を開ける。

「だからね、今度、弟くんにも買ってあげたいと思うんだけど」
 安易に地元の高校へと進学した俺の登校はいつも徒歩だ。自転車の購入も考えたが、今のところ、その希望は隣
でひっきりなしに喋っている人物によって粉砕されている。人物なんて隠す必要も無い、姉の独断だ。
「それでね……って聞いてる? 弟くん? お姉ちゃんの話、つまんない?」
 不安そうな瞳と共に腕を掴まれる。俺はただただ苦笑するしかない。想像して欲しい、スーツを着た女性と腕を
組んで堂々と登校する高校生が回りにどう見られるか。はたして学び舎でどんな噂を立てられているのか、自分で
は怖くて詮索すら出来ない現状だ。
 けれど、ここで姉を拒絶するような態度を取ってしまえば俺は通学することすら困難な状況に陥るだろう。
 そもそも、なぜ先に行った姉と一緒に登校しているのか。答えは簡単、この姉は家を出て最初の曲がり角で待っ
ているのだ。そして俺と僅かな時間を共にする。例え、勤め先が学校と正反対の位置にあろうとだ。

 それじゃ弟くん。一緒に行こう。え? 大丈夫だよ、まだ時間なら余裕あるし。弟くんも知ってるでしょ? お姉
ちゃんはただ弟くんと一緒に歩きたいだけだから。それとも、こんなお姉ちゃんと一緒に登校するの嫌? それだっ
たらお姉ちゃんの話なんて聞かないでいいから、うるさいって怒鳴ってぶったって良いから。それかもしも弟くん
が車に轢かれそうになったらお姉ちゃんが身代わりになってあげるから。そんな程度のものだって思って良いから。
だから弟くん、一緒に行こう? ね? ね?

221:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:30:48 NmC4o+JB
次回は>>178の予定です

222:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:35:58 ilNTwSMO
>>221
書きためて投下した方がいいと思うよ

223:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:41:32 JU0WW5X1
頑張れー

224:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:44:29 MbyWF6zO
なんだかなあ

225:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:53:46 kH1uPyH2
嫉妬スレと比べると質が堕ちるな・・
やはり、俺が望んでいるキモ姉妹の話は読めないのかな・・

226:名無しさん@ピンキー
07/06/22 02:01:10 5glBbMZJ
>>221
がんばれ。応援してる。

227:名無しさん@ピンキー
07/06/22 02:29:17 5eqDEBtV
>>221
同じ物書きもどきとして君の熱意に敬意を表する!

228:小ネタ 会話にならない妹
07/06/22 02:29:45 DL95lM8C
「なぁ、○○」
「あぁっ…!!」
昼食の時間、明日の日曜の予定を聞こうと妹に顔を向けた瞬間、
彼女はアメリカンロブスターの如く体を反った。
「…何してんだ?お前」
「だ、だって…!お兄ちゃんに見られると…あぅっ!」
また体を反った。一体何がしたいんだ?
「具合でも悪いのか?」
妹の額に手を触れる。成るほど少しあt
「ふ、ふぁぁぁぁっ!?」
触れたと同時にここ一番の大声と海老反りを見せて、
妹は椅子から転げ落ちた。
「お、おい?大丈夫か!?」
ビクンビクンと全身を激しく痙攣させる妹。頭でも打ったか?
「おに…ちゃん…」
微かに呟いた妹の下半身…

と、その周りの床が少し粘り気のある液体で激しく濡れていた…


ある意味[超・キモウト]
先の一件がありながら勢いでやった、後悔はしている。

229:名無しさん@ピンキー
07/06/22 06:50:50 /3Zxfe1Y
>>216の続きを楽しみにしてる俺ガイル

230:名無しさん@ピンキー
07/06/22 09:39:50 4npwZed5
>>221が普通に面白いのは俺だけか?

俺の好みにど真ん中

231:名無しさん@ピンキー
07/06/22 09:56:22 ZeybLGKH
俺も姉(もしくは妹)が好みのタイプだと面白いと思うし、好みじゃなければ面白くないと思う
SS的に面白いかどうかなんて俺には区別がつかん
俺の読書力なんて所詮そんなもの

232:名無しさん@ピンキー
07/06/22 10:01:24 tRl4OlwX
俺も大好きだけど?
続きをキモ姉に監禁されながら待ってるよ。全裸で

233:名無しさん@ピンキー
07/06/22 10:20:28 ovheFgGi
キモというよりイタイ姉だな
このスレくらいしか収容できなさそうだが

234: ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:05:01 PsFHBAXj
非エロ投下します。
章間キャラクター紹介です。

235:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:07:15 PsFHBAXj
鏡を割った次の日の朝、綾は包帯を巻いた手で朝食を用意し、起きてきた陽一を出迎えた。
「綾、手の包帯、どうしたんだ?」
「昨日部屋の鏡を割っちゃって、その時少し切ったのよ」
「切ったのよって……大丈夫なのか? 食事の支度、俺が代わろうか?」
「やあよ。お兄ちゃんが作っても、美味しくないもの」
「そりゃお前ほどには美味く作れないけどさ。怪我してると水仕事は辛いだろ? 無理するなよ」
綾は陽一の言葉に、ありがとうと礼を言った。
降り注ぐ朝の日差しの中に、端整な微笑が美しく輝く。
「でも痛いほうがいいのよ。これは罰だから。痛い方が自分が馬鹿だって忘れないで済むから」
「罰?」
「ええ、失くしちゃった罰」
「失くした?」
「……鏡よ。大きい鏡は高いからね」
それはともかく、とトーストを載せた皿をテーブルに置きながら、綾は陽一に尋ねた。
「一晩考える時間があったわけだけど、四辻夕里子さんとはどうするの? 付き合うの?」
「ん……まあ……付き合おうかなあと思ってる」
わかっていたことだった。
陽一がどんな夢を見ていたかはわからない。
しかし、性器に刺激を受けている時に、陽一は夕里子の名を口にした。
恐らく、今の陽一にとって、最も「女性」を感じさせられる人物は、四辻夕里子なのだ。
「へー、よかったじゃない。これでお兄ちゃんも女がらみで妙なことに巻き込まれなくなればいいけどね」
ごく平静な様子で綾は言った。
「まったく、今まで散々迷惑かけられたもんだわ」
「はは……いや、すまん」
「これを機会にしっかりするのよ? もし何も変わんないようだったら、四辻さんとの付き合いについて、私も考えさせてもらうからね」
「ああ……ごめんな、心配かけて」
「別に。これで私も楽になるわ」
ふん、と鼻を鳴らし、トーストをかじる。
テーブルの下で、綾は右の拳をぎゅっと握った。
力強く握り、小さく震わせる。
白い包帯に、じわりと赤い血が染み出した。

236:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:07:55 PsFHBAXj
「今日も会うの? 四辻さんと」
「ああ。返事をする約束があるしな」
「ちゃんとデートの報告はしなさいよね」
「いや、もうあれは……恥ずかしいから勘弁して欲しいんだが」
昨日のキスの報告がよほど堪えたのだろう。
陽一は困ったように言った。
「なに? この夏休み中私が鍛えてあげた恩を、もう忘れたっての?」
「そういうわけじゃないけどさ。夕里子さんにも悪いし」
「……まあいいわ。じゃあ今度その夕里子さんを家に連れてきなさいよ。どんな人かしっかり見てあげるから」
「そうだな。そのうち連れてくるよ」
「あんまりどうしようもない人だったら、その時は遠慮なくいかせてもらうからね。あと、いきなり不純な交際はするんじゃないわよ?」
「するか!」
顔を赤くする陽一を指差して、綾は笑った。
「ま、精々うまくやんなさい」
始業式までの一週間、綾は四辻夕里子についての調査はしなかった。
鏡を割って負った傷が完治するまでは、行動を慎むつもりだった。
怪我をした状態で事に当たっては、思わぬところでつまづくことになる。
夕里子の周辺を探っていたという痕跡を残してしまったら、それは致命的な結果を招く可能性があった。
「今年はもう二人殺しているものね……」
一方は事故として処理され、もう一方は別の容疑者が追われているが、被害者たちと綾に接点があったことを知っている者はそれなりにいる。
そして次に狙うのは、陽一の恋人となった四辻夕里子だ。
夕里子を排除することに成功したとしても、こうも立て続けに綾の周囲で人が消えていたのでは、疑う者が現れてもおかしくない。
だから、夕里子を排除するプロセスにおいて、証拠を残すことは絶対に許されない。
どんなに疑われても、証拠がない限り敗北はないのだ。
「お兄ちゃんが疑われる可能性があるのが嫌だけど……でも、お兄ちゃんが四辻夕里子に汚されるのは、絶対に防がなくちゃいけないしね」
綾は自室の天井板を一枚外し、天井裏から金属製の箱を取り出した。
蓋を開けると、中には鉈、金槌、包丁や異常な刃渡りのナイフが数本。
束ねられた細いワイヤーに、透明な液で満たされた小瓶なども入っていた。
廃品、盗品、合法的な入手物―綾が数年にわたって集めてきた、外敵排除のための道具だった。
「お兄ちゃんは渡さないわ」
水を入れた洗面器と砥石を床に置く。
鈍く光る包丁を握り、静々と研いだ。
「私のためにも。お兄ちゃんのためにも。私たちは、ずっと二人でいる方が幸せなんだから」
鋭い切っ先を見つめながら、綾は呟いた。
「馬鹿な女に穢されないよう、私が守ってあげるからね、お兄ちゃん」

237:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:09:02 PsFHBAXj
新たなる学期の始まりとなる九月一日、生徒たちが休み中の出来事を話し、教室はいつも以上のざわめきに包まれている。
普段より少し遅めに登校してきた綾に、小夜子はさっそく声をかけた。
「機嫌悪いね」
「久しぶりに会って第一声がそれ?」
綾はため息をつくと、乱暴に椅子を引いて座った。。
「別に、いつも通りよ。この通り、元気一杯」
「ふーん……?」
「……まあ、ちょっとは機嫌悪いわよ。休み中に手を怪我して、色々不便なの」
「陽一さんがお付き合いを始めたからじゃないの?」
「なっ……!」
綾は包帯を巻いていない方の手で、机を叩いた。
「何で私がそんなことで怒るのよ! お兄ちゃんが誰かと付き合ったくらいで!」
「怒ってないんだ?」
「別に、ようやく肩の荷がおりたって感じよ」
意外、といった風に小夜子は腕を組んだ。
「私、陽一さんが誰かと付き合うことになったら綾は絶対反対すると思ってたから、ちょっと驚いたわ」
「そりゃお兄ちゃんに憧れみたいな気持ちはあるけどね。ブラコンとかじゃあるまいし、誰と付き合おうが、私はお兄ちゃんの意志を尊重するわよ」
「ふーん……でもやっぱり不機嫌よね」
「だから、それは手を怪我したせいよ。まあ、あえて言うなら、お兄ちゃんと相手の四辻って人の付き合い方が、こそこそしていて嫌な感じはするけどね」
「こそこそ?」
「そうよ!」
綾はまた机を叩いた。
「お兄ちゃんが誰と仲良くしようがそれはいいわ。ただね、付き合うなんてことになったら、家族に顔見せくらいしてもいいじゃない?」
結局陽一は夏休み中、夕里子を家に連れてこなかった。
「もうちょっと待ってくれないか」
そう言われ続け、二学期になってしまった。
そして、やはりデートの報告は無い。
どんなことをしたのか聞いてもごまかされてしまい、いつどこでデートをするのかも教えてもらえなかった。
二人の仲がどれだけ進展しているのか知ることができず、綾はそれなりのストレスを感じていた。
「四辻って人はあれかしらね? 何か後ろ暗いことでもあるのかしらね?」
「いや、むしろユリねえは綾に会いたがってるんだけど、陽一さんが今はまだよしておこうって言ったらしいわよ」
「何でよ?」
「ほら、まあ、綾は怖いところあるから」
「はぁ? 何で私が怖がられるのよ」
声を低くして睨みつけてくる綾を、「まあ落ち着いて」となだめながら、小夜子は言った。
「ほら、陽一さんの付き合う人となると、綾は評価厳しそうだし。なまじ自分で何でもできる分、陽一さんの恋人にも同じくらいを要求するでしょ?」
「仮にそうだとして、どうして私に会うのはよしておこうって話になるのよ?」
「まあ、陽一さんも付き合い始めで夕里子さんに気を遣ってるところがあるんだろうし……」
それに、と小夜子は言葉を続けた。
「陽一さん、綾には絶対納得してもらいたいって思ってるだろうから、そのための準備期間なんじゃないかしら」
「別に、今来ようが後で来ようが、私が納得するかしないかに大した違いは無いわよ」
言って綾は苛立たしげに窓の外を見る。
紺色のリボンで結んだツインテールが揺れた。

238:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:10:49 PsFHBAXj
「ねえ小夜子、思ったんだけど……」
「なに?」
「あなた、やけに詳しいわね。そもそも、お兄ちゃんが四辻さんと付き合い始めたのをどうして知ってるの? ユリねえって誰?」
小夜子は一瞬首を傾げ、ぽんと手を打った。
「ユリねえは夕里子姉さん。言ってなかったっけ? 私、ユリねえとは従姉妹同士なのよ。うちは分家だけど。夏休み中に何度か会って聞いたのよ」
綾は絶句してしまった。
言っていないし聞いていない。
縁もそんなことは言っていなかった。
「従姉妹……? 小夜子と……四辻夕里子が……?」
「ええ」
小夜子は頷いて小さく笑った。
それまでの気さくな雰囲気とは違った、柔らかな微笑だった。
「実は私もそれなりのお嬢様だったのですよ」
「知らなかったわ……」
「まあ言うことでもないしね。家に来れば何となくわかったかもしれないけど、綾ってば何度誘っても来てくれないし……夏休み中だって……」
ぶつぶつと愚痴に転化する小夜子に、綾は落ち着いて尋ねた。
「夕里子さんとは仲がいいの?」
「年が近かったから、親戚の中じゃ一番仲がいいわよ」
「夕里子さんは、どうしてお兄ちゃんを好きになったのか、聞いてる?」
「んー……何かね、去年の今頃、助けてもらったらしいのよ。陽一さんに」
「いつどこでどんな状況で?」
やっぱり怒ってるなあ。
そう思いながら、小夜子は話を続けた。
「その……ユリねえはさ、去年の春くらいから、ストーカー被害に遭ってたのよ」
「は?」
「つけまわされたり、変な手紙や写真が届いたり。一時期は本当に大変だったらしいわ」
恐怖に震え、神経をすり減らされた。
警察には相談しなかった。
「ユリねえ、全寮制の私立に入るはずが、親御さんの反対を押し切ってこの高校に入学したのよ。
ストーカーに遭ってるなんて言ったら、もと行くはずだった高校に絶対に押し込められちゃうからね。
それで友達とかに相談して色々対策を練ったりもしたんだけど、なかなかうまくいかなくて……」
身の危険を感じるようにもなった。
決して一人にはならない。
慣れた建物にしか入らず、初めての建物はおおよその構造を把握する。
窓にはカーテンをかけ、傍には寄らない。
尾行確認ほか細々とした注意を怠らないようにした。
「ちなみにその時相談に乗ってくれたのが、宇喜多さんらしいわよ。あの、陽一さんのクラスの」
「へえ……あの人がねえ……」
「でも、なかなかストーカーが離れなくて困っていたところで、陽一さんが助けてくれたらしいのよ」
夕里子と女友達が、いつも通り二人で下校していた帰り道、ストーカーの男は夕里子に接触を試みてきた。
突如夕里子の手を握り、熱烈な愛を説いた。
そこにたまたま現れたのが陽一だった。
陽一は、男を止めに入り―
「殴られたらしいわ。思い切り」
倒れた時、頭に二針縫う傷を負った。
血を流す陽一を見て、男は慌てて逃げ出そうとしたが、何とか陽一が追いすがり、捕まえた。
それがきっかけとなった。
縁は、陽一の怪我を理由に警察に届け出ると言って男の家族を脅し、
男を県外の親戚のもとに住まわせて別の学校に転校させること、今後絶対に夕里子に近づけさせないことを約束させた。
そうして、夕里子は一連のストーカー被害から解放されることとなった。

239:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:11:43 PsFHBAXj
「あの馬鹿……駅の階段で転んだって言ってたのに……!」
綾は昨年兄が怪我を負って帰った時のことを思い出していた。
そんな事情があったとは、全く知らなかった。
「そんなわけで、ユリねえにとって陽一さんは、恩人で、王子様ってわけなのよ。まあ陽一さんは、ユリねえのことはあんまし覚えてなかったみたいだけど」
「なるほどね……」
少し安心したように、綾は息をついた。
「大体わかったわ。お嬢様がちょっと暴力的な日常に触れて抱いた憧れっていうわけね。ま、すぐ飽きるわね、きっと」
「んんー……どうだろう。結構本気だと思うわよ。何しろ一年間ずっと好きだったわけだし。それに、ユリねえ、許婚がいたんだけど、陽一さんに助けられた頃、婚約解消しちゃってたから」
「い、許婚?」
「うん。四辻は本家だから、今でもそういうのやるのよ。これも親御さんに逆らって、ユリねえはかなりの労力を払ったはずだから……陽一さんに関しては、ユリねえは本気なんだと思う」
「なるほどねえ……」
どうやら生ぬるい説得や嫌がらせが通じる相手ではないらしい。
(やっかいではあるけれど……わかりやすくていいかもね)
話し合いが通じないなら消せばいいだけのことだ。
「ねえ……夕里子さんとお兄ちゃん、今日の放課後デートするらしいんだけど、どこでデートする予定なのか聞いてる?」
「聞いてるけど……?」
自分に一番近い友人と、目下一番の宿敵とで、同じ血が流れている。
聞いたときはショックではあったが、今のところその血の繋がりが綾に有益な情報をもたらしてくれるのは確かなようだった。
「今日は陽一さんが文化祭実行委員の集まりがあって一緒に帰れないから、駅前広場で三時に待ち合わせだって」
「ふーん……なるほどね」
「……あ、綾、まさかデートの邪魔とかは……」
「夕里子さんは私に会いたがってるんでしょ? 大丈夫。小夜子の従姉って聞いたからには、そう無茶はしないわよ」
目を細めて笑う綾に、小夜子は困ったように言った。
「やっぱり綾は……ブラコンだと思うよ……?」
「ちがうっての。あくまで、家族の幸せを願う良き妹よ。自分で言うのもなんだけどね」

240:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:13:15 PsFHBAXj
始業式の後は、新学期の心構えを説くホームルームがあり、学校は午前中で終わった。
綾は小夜子と昼食をとって別れた後、一人で駅前広場に向かった。
この街で駅前広場というと、学校最寄の駅から一駅行った、中心街の駅前の広場のことである。
通学定期とは逆の方向なので、切符を買うかどうか迷ったが、時間に余裕もあったことから、綾は歩いて行くことにした。
ただ月がかわっただけなのに、風も日差しもどこか涼しくなったように感じる。
おしゃべりをする学生、子供の手を引く主婦、忙しなく電話をかけるサラリーマン。
淡い午後の光の中、人々の行き交う並木道を、綾は歩いた。
じわりと汗が滲んだが、初秋の風がすぐにかき消してくれた。
駅前広場には、二時前には着いてしまった。
「さすがに早く来すぎちゃったわね……」
綾はあたりを見回し、広場を見渡せて時間を潰せるような店はないかと探した。
と、そんな綾に声をかけてくる男が居た。
「あの、すみません」
柔和な笑みを浮かべた、全体的にほっそりとした男性。
手には、「現世幸福の追求」と大きく印刷された、いかにも怪しげな冊子を持っている。
一目でキャッチセールスか宗教の類だと見て取れた。
男性は、どこか疲れた笑いを浮かべながら、綾に話しかけた。
「この冊子を買っていただけませんか?」
「いりません」
冷たく言い切る綾に、男はくじけず話を続けた。
「幸福の追求に興味はありませんか? この冊子は幸福を呼び寄せるための能力開発について……」
「いりません」
「……どうか……一冊だけでいいんです……そうでないと今日のノルマが……」
「消えろ」
綾のひと睨みで男は言葉を飲み込み、肩を落として去っていった。
男はしばらく広場をうろついた後、今度は自転車を押して歩いてきた少女に話しかけた。
「すみません……この冊子を買っていただけませんか?」
「え? 私ですか?」
目をぱちくりとさせる少女。
綾と同じ高校の制服。
栗色の髪を腰まで伸ばした、穏和な顔立ちの、美しい少女だった。
「はい。現世での幸福の追求について説明したものなんですが……」
「申し訳ありません。私、特別な宗教には関わらないよう親の方から厳しく言われておりまして……」
「そこを何とか!」
綾の時とは違った柔らかな拒絶に活路を見出したのか、男は少女に頭を下げて、すがりついた。
「一冊だけでいいんです。そうでないと、今日のノルマが……」
「ノルマ?」
「はい。ほんの少しの寄付でいいんです。どうか人助けだと思って……」
「その、ノルマとやらを果たさないと、何か良くないことがあるのですか?」
「はい……その……先生からのお叱りが……身勝手なことだとは思いますが、どうか……」
必死な様子の男に、少女は少し悩んだ様子を見せ、やがてにっこりと笑った。
「わかりました。何か大変な御様子ですし、一冊でよろしければ」
「あ、ありがとうございます!」
おいおい、と脇で聞いていて綾は思った。

241:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:14:31 PsFHBAXj
少女は笑顔で男に尋ねる。
「寄付はいくらぐらいにすればいいんですか?」
「それは気持ち程度で十分ですので」
少女は自転車を広場の隅に止めて財布を取り出し、百円玉をいくらか男に手渡した。
それと交換に、冊子を受け取る。
「それでは。ノルマ、頑張ってくださいね」
言って頭を下げ、歩き去ろうとする少女を、男はまた引きとめた。
「あの、もしよろしければ、話を聞いていってもらえませんか?」
「え? 話……ですか?」
「はい。この近くの教室で、その本の内容についてわかりやすく説明会を開いておりまして」
「すみません。それは遠慮させていただきます」
「そこを何とか。ただ来ていただくだけでいいんです。これもその……ノルマがありまして……先生にお叱りを受けることに……」
「お気の毒だとは思いますが、私にも予定がありまして……」
男は去ろうとする少女の腕を掴んで、必死になって引き止めた。
困り顔の少女はどうやら強く言えない性格らしく、無理に引き剥がそうともしない。
五分、十分―男は少女を離さず、延々頼み込み、しまいには涙を浮かべる始末だ。
「本当に……大変なんですね」
と同情の色を見せ始めた少女に、やれやれと綾は頭を振った。
普段ならこんな場面に出くわしても我関せずと放っておくところだが、その少女についてはどうにも見捨てるのが酷に思えた。
「同じ学校のよしみか……」
綾は二人に近付くと、いきなり男の膝裏を蹴り、首根っこを掴んで地面に引き倒した。
「わっ……」
「きゃっ!」
男と少女が、それぞれ声をあげる。
綾は倒れた男の腹に蹴りを入れると、低い声で脅しつけた。
「嫌がってるんだから、いいかげんにしておきなさいよ」
「あ、う……」
男は咳き込みながら立ち上がり、逃げるようにその場を離れた。
男が広場を出て行くのを見届けるて、綾は栗色の髪の少女に向き直った。
「ああいった輩は、一度甘くすると調子に乗りますから、気をつけた方がいいですよ」
「……すみません。助かりました」
少女は心からの感謝を露に、深々と礼をした。
「ちゃんとはっきり断らないと」
「そう……ですね。でも何か困っていたみたいでしたから」
「お人よしも結構ですけど、それであなたが困ることになったら本末転倒でしょう」
「確かに……あなたにもご迷惑をおかけしてしまいましたし……すみませんでした」
また謝る少女の制服の校章の色を見ると、緑色の刺繍で描かれている。
一つ上の学年の生徒だとわかった。
「……まあ、丁寧にお礼を言っていただくのはいいですが……あれ、先輩の自転車ですよね?」
「え?」
広場の隅を振り返る。
なんと、先ほど少女の止めた自転車に、見知らぬ男が跨ろうとしていた。
慌てて少女は駆け寄り、声をかけた。

242:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:15:17 PsFHBAXj
「あの、すみません。それ、私の自転車なのですが……」
「え」
男は驚いたように一瞬動きを止め、すぐに謝った。
「あ、す、すみません。別に盗もうとしていたとかじゃないんです」
「はあ……」
「その、すごい急ぎの用ができちゃって、どうしても自転車が必要だったんです。それで借りようと思って……」
「まあ……そうなんですか」
頬に手を当て、思案顔で栗色の髪の少女は頷く。
「ちゃんと返すつもりだったんです。だから警察とかには……」
「ええ。そういった事情でしたらお貸ししますよ」
「え? いいんですか?」
おいおい本気か、と綾は思った。
結局男は、ぺこぺこと頭を下げながら、自転車に乗って行ってしまった。
少女はというと、それをにこやかに見送っていたりする。
「大丈夫でした。やむをえない事情で借りたかっただけだそうですよ」
安心したように報告する少女に、綾はため息をついた。
「……たぶん、あの自転車、戻ってきませんよ」
「え? どうしてです?」
「どうしてって……」
無断で自転車を拝借しようとする人間の言をどうしてそこまで信用できるのか、そっちの方が聞きたい。
宗教勧誘を哀れんで、さらに自転車を目の前で奪われた少女。
(ある意味すごいけど……)
変な人だと綾は思った。
「まあいいです。でも自転車がなくなったら先輩も困るんじゃないですか? どこかに行く途中だったんでしょう?」
「いえ、それは大丈夫です。どうせしばらくここにいるつもりでしたから」
「この広場に?」
「はい。デートの待ち合わせでして……」
言って、恥ずかしそうに少女は笑う。
白い頬に赤みが差し、何とも可愛らしかった。
「あんまり楽しみで……ちょっと来るのが早くなってしまいました」
近くに立ってみると、少女は綾より幾分か背が高い。
自分より先輩で背も高い少女の、その初々しい姿に、綾もつられて微笑んでしまった。
「羨ましい話ですね。何時が待ち合わせだったんですか?」
「三時なんですよ。これから一時間、待ちぼうけです」
ふふ、と少女は笑った。
綾の表情が変わったことに気付かずに。
「……失礼ですが、先輩、お名前は?」
「あ、すみません。助けていただいたのに名乗りもせず……。私、四辻夕里子といいます」
どんな人なのかと思っていた。
兄の唇を奪った人間は、どんな顔をしているのか。
どんな性格をしているのか。
自分より優れているのか、劣っているのか。
(こいつが……)
動かないままの綾に、夕里子は心配そうに声をかけた。
「あの……?」
「あ、いえ、失礼しました……私も名乗らなければいけませんね」
綾は努めて静かな声で言った。
「支倉綾です。よろしく、夕里子さん」

243:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:16:07 PsFHBAXj
「支倉……綾さんですか?」
「はい」
「あの……ひょっとして……陽一さんの妹さんですか?」
「そうなりますね」
どこか不敵な表情で言う綾。
夕里子は身を固くして、深く頭を下げた。
「お、お初にお目にかかります! 私、陽一さんとお付き合いさせていただいております、四辻夕里子です!」
「ええ、聞いていますよ。兄も嬉しそうに話していました」
「そそ、そうですか……」
改めて綾は四辻夕里子を見た。
髪は長く、綺麗な栗色をしている。
睫毛も長く、少し垂れ気味の目は、いかにもおっとりとした気性を伝えていた。
背も高い。
そして、スタイルは非常によい。
(別にコンプレックスがあるわけじゃないけれど……)
綾は自分の胸と夕里子の胸を、じっと見比べた。
「あ、あの……綾さん?」
「……そんなに固くならなくてもいいですよ。私と話すのは緊張しますか?」
「え、いえ、その……」
「夕里子さんの方が先輩なんだから、もっと気楽な口調でいいですよ」
「いえ、私、この喋り方の方が慣れていまして……誰と話すにも、こんな感じなんですよ」
言ってほんのりと笑う。
まだ緊張はしているようだが、懸命に綾と話そうとしているのが見て取れた。
「あのまま勧誘に引っかかっていたら、お兄ちゃんとデートできなくなっていましたね」
「すみません……何とか逃げるつもりではいたのですが」
「少し隙が多いようですね」
「はい……ボーッとしてると良く言われます」
赤い顔で縮こまる夕里子。
綾は信じられなかった。
この、四辻夕里子という人物に、兄を奪われたことが。
縁のような機知は感じられない。
アキラのような過激なまでの自己主張も感じられない。
隙だらけの、凡庸な人物に思えた。
(どうしてお兄ちゃんはこんな女に……)
兄にとって自分が今のところ女ではないのは、先日痛いほど良くわかった。
だが、なぜこの女なのか。
今目の前にいる女が、陽一にとって自分よりも魅力的だなんて、認めたくはなかった。
「夕里子さん……私、夕里子さんに会ったら聞きたいなと思っていたことがあるんですよ」
「あ、はい……何でしょう」
「お兄ちゃんは、あなたのどこが気に入って付き合う気になったのだと思いますか?」
「え、ええと……それは……私もわからないんですけど、こう言ってくださったことはあります」
夕里子はその時のことを思い出してか、はにかんで言った。
「その……裏表がなくていいって」
「……!」

244:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:16:49 PsFHBAXj
裏と表。
(私は……)
今こうして夕里子と話している時も、綾はいかにして夕里子を排除するかを考えている。
鞄の中には、綾が扱える限りの道具が詰め込まれている。
(真逆、か……)
どうやら兄の好みは、自分とは対称の位置にある人物らしい。
(でも……この女にお兄ちゃんは渡さない)
好みなんてものはわかってしまえば何とでもなる。
裏表のない性格になればいいだけのことだ。
裏を見せないようにすればいいだけのことだ。
(こんな馬鹿な女と一緒に居たら、お兄ちゃんが苦しむことになるもの)
黙り込んだ綾に、夕里子は心配そうに声をかけた。
「あ、あのぅ……綾さん?」
(お前にお兄ちゃんは渡さない)
「その、大丈夫ですか?」
(お前にお兄ちゃんは穢させない)
「綾さん……すみません……私、何か変なことを……?」
(お兄ちゃんは、私が守ってみせる……! 私が幸せにしてみせる……!)
あの、あの、と困ったように話しかけてくる夕里子に、綾はにこりと笑って手を差し出した。
「よろしく、夕里子さん」
「あ、よ、よろしくお願いします」
嬉しそうに夕里子は握手を交わす。
その手をぎゅっと握り、綾はにこやかに言った。
「私、お兄ちゃんの恋人に関しては妥協するつもりは全くないので。覚悟しておいてくださいね」
「え、あ、はい。……え?」

245:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:17:41 PsFHBAXj
陽一がやってきたのは、待ち合わせ時刻の十五分前だった。
改札口からは、陽一に続いて縁と小夜子も姿を現した。
「あら、意外と早かったわね」
「小夜子ちゃんが教えてくれたんだよ。お前が夕里子さんに会いに行くつもりだって」
「ふーん。それで急いで来たの……」
ちらりと小夜子を見ると、小夜子は両手を合わせて謝ってきた。
「ご、ごめん綾。信じなかったわけじゃないんだけど、やっぱり気になって……」
「ま、仕方ないわよ、小夜子は自分で言ったことには責任感じる方だものね」
自分の発言のせいでデートがおじゃんになっては、従姉である夕里子に顔向けできないといったところだろう。
半ばそのつもりでもあったので、これに関しては小夜子を責める気は綾にはなかった。
「お前なあ……心配してくれるのはありがたいけど、そのうち家に呼ぶって言ったろ?」
「今日会いたくなったんだからしかたないでしょ。それに会いに来て良かったわよ。私、夕里子さんを助けたんだから」
「え?」
綾の言葉に、夕里子は再び「すみません」と謝った。
「その……恥ずかしながら、宗教の勧誘につかまってしまいまして……」
「それよりお兄ちゃん、夕里子さんはもう一時間近くここで待ってたんだからね。ダメよ、あんまり女の子を待たせたら」
「え? そんな前から?」
「お兄ちゃんとのデートが楽しみで仕方なかったんだって。それでずっと早くからここで待ってたのよ」
綾の言葉に、陽一は顔を赤くして夕里子を見た。
夕里子はというと、それ以上に赤くなっていた。
「あ、あの、それほど待ったわけではなかったんですが……はい……楽しみで……すみません」
「うん……俺も楽しみにしてたよ」
初々しい様子で挨拶を交わす二人に冷ややかな視線を送りながら、綾は縁に話しかけた。
「縁さんはどうしてこちらに?」
「私は今日は買い物があったから」
「てっきり私と同じでデートを見に来たのかと思いましたよ」
「それも面白いかもしれないね」
あはは、と縁は笑った。
そして、陽一と夕里子を見て、穏やかに目を細めた。
「良かった。うまくいってるみたいだね」
「ええ。まさかあんな人だとは思いませんでしたけど」
夕里子を見ると、小夜子と挨拶を交わしていた。
「ユリねえ、久しぶり」
「お久しぶりです。といっても、十日も空いていませんが……」
夕里子は、従妹である小夜子に対しても、やはり丁寧な言葉遣いを崩さない。
そういう躾を受けているのだろう。
「可愛いし、いい子でしょ?」
「大したいい人ぶりではありましたね。数分の間に勧誘に連れ去られそうになり、さらに自転車を盗られていましたよ」
「相変わらずだね、夕里子ちゃんは。前に色々教えて、ちょっとは注意深くなったと思ったんだけど」
「色々?」
「うん。夕里子ちゃん、ああいう性格だから、男の人に変に誤解というか期待されて、ストーカー被害に遭ったことがあるんだ。
ちょうどその時私はクラス委員だったから、相談を受けて対策を練るのを手伝ったわけ」
「ああ、その話なら聞きましたよ。……要は頭が緩くて隙だらけってことなんじゃないんですか?」
こら、と縁は綾の額を人差し指でつついた。
「冗談でもそんなこと言うもんじゃないよ?」
「兄を任すに足る人物とは思えませんね」
「夕里子ちゃんはね、優しい人なんだよ。本当にいい人で、優しくて、人を惹き付ける力がある。私とかとは違ってね」
「縁さんも人望はあるとお聞きしましたが?」
「私は、みんなに役立つ力がなかったら、誰にも見向きもされないよ」

246:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:18:22 PsFHBAXj
陽一と夕里子と小夜子が楽しそうに話している。
そこから数歩距離を置いたところに、綾と縁は立っていた。
「人を惹き付ける力、ねえ……」
「だって綾ちゃん、普段見知らぬ人を助けたりする?」
「いいえ」
「でも今日は夕里子ちゃんを助けたんでしょ?」
「……」
同じ学校の生徒だったから、たまたまそういう気分になっただけ。
それ以上の理由はないはずだった。
「それに自転車の件も、夕里子ちゃんは盗まれたとは思ってないんじゃないかな」
「貸したと言ってましたよ。正気を疑いましたけど」
「ほかの人ならそのまま盗まれちゃうけど、夕里子ちゃんがそう言ったなら、返ってくるんじゃないかな」
「どんな理屈ですか、それは……」
「そういう人なんだよ、夕里子ちゃんは」
言って、縁はいつものように朗らかに笑った。
結局その日は全員で遊んで、日が沈む頃になって再び駅前広場に戻ってきた。
談笑しつつ、「また明日」と各々別れを告げる。
陽一が夕里子を送っていくことを申し出て、夕里子は嬉しそうにそれを了承した。
別れ際、夕里子は綾にぺこりとお辞儀をした。
「今日は……綾さんに会えて嬉しかったです。その、今後ともよろしくお願いします」
「私はかなり小うるさい人間ですから、よろしくしない方が夕里子さんにはいいかもしれませんよ?」
「いえ、そんな! よろしくしたいです! 陽一さんの妹さんですもの!」
「……本当に、お兄ちゃんが好きなんですね」
夕里子は恥ずかしそうに俯いた。
「は、はい……大好きです……」
隣に立った陽一が、照れた様子で夕里子を急かした。
「じゃ、じゃあ夕里子さん、行こうか」
「はい。あ……自転車」
夕里子の呟きに広場の隅を見ると、もとあった場所に自転車が置かれていた。
前籠の中にはチラシが一枚。
決して上手とは言えない字で、
『ありがとうございました』
と書かれていた。
「本当に戻ってきた……」
呟く綾に、縁が「ほらね」と声をかけてきた。
「夕里子ちゃんは真っ直ぐな分、色々あっても最後には好かれちゃう子なんだよ。愛されすぎて困ることもあるけど」
「へえー、まるで聖女様ですね」
友達として付き合う分にはいい人なのかもしれない。
しかし、陽一にちょっかいをかけた以上、人格の良し悪しなど関係はなかった。
どうしてやろう。
綾はただそれだけを考えていた。

247:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:19:53 PsFHBAXj
次の日、生徒たちはいつも通りに登校して、授業も始まる。
綾は一時間目の休み時間に、自転車通学者用の駐輪所を、一人訪れていた。
手にはいくつかの工具を持ち、周囲をきょろきょろと見回している。
すぐに、目当てのものを見つけた。
昨日はっきりと目に焼き付けた、夕里子の自転車だった。
「聖女様だか何だか知らないけどね……」
綾は自転車の脇に座ると、素早い手つきで前輪と後輪のブレーキワイヤーを切断した。
「その隙は致命的よ?」
誰にともなく語りかけながら、切断した箇所を接着剤で止めなおす。
かかった時間は、ほんの数十秒だった。
「まあ、運がよければ死んでくれるでしょう」
綾は間接的に事故で殺す方法はあまり好まなかった。
自分の目の届かないところで事が起こるため、確実性が下がり、どうしても運まかせになるからだ。
「当たればもうけ、ってとこかしらね」
誰にも見られていないことを確認すると、綾は駐輪場を後にした。

248:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:22:37 PsFHBAXj
放課後、小夜子が図書委員の集まりがあるということで、綾は一人で帰ることになった。
(久しぶりにお兄ちゃんと帰りたいな……)
そう思って校内を探す。
陽一はすぐに見つかった。
駐輪場で、陽一と縁と夕里子の三人が、夕里子の自転車を囲むようにしていたのだ。
「お兄ちゃん、何してるの?」
「お、綾、今日は小夜子ちゃんは一緒じゃないのか」
「小夜子は委員会だって。それより何やってるのよ?」
綾の問いに、縁が代わって返事をした。
「うん、ほら、昨日夕里子ちゃん、自転車を貸したじゃない? 知らない人に」
「ええ」
「だから念のため具合を見ておこうと思って。変なところがないか」
「へえー……」
「タイヤの方は異常はなかったけど……」
綾の見ている前で、縁は後輪を回し、ブレーキのチェックをする。
何度か普通にブレーキはかかったが、さらに勢いよく車輪を回してレバーを引いたその瞬間、軽い衝撃と共に突如ブレーキが弾けた。
「お?」
「え……?」
「あらら」
「ふーん……」
四人がそれぞれ反応を示す。
縁は靴を当てて、摩擦で車輪を止めた。
「あはは、ちょっと危なかったね」
ブレーキワイヤーを調べながら、縁は言った。
慣れたもので、すぐにワイヤーの切れた箇所を見つけ、「ほら」と夕里子に見せた。
「一度切れたのを、接着剤か何かでつけたみたいだね。軽いブレーキなら普通にかかるけど、ちょっとスピードの出た状態でかけると、ワイヤーが切れてブレーキがきかなくなるみたい」
「そんな……」
「危なかったね」
陽一も夕里子も顔を青くしていた。
綾も信じがたいという顔をしていた。
陽一たちとは驚きの理由は違う。
こうも簡単に看破されるとは思っていなかったのだ。
(この女……)
綾は縁を見た。
感情を押し殺していたが、自然視線は冷たいものになった。
「何かな、綾ちゃん」
「いえ……縁さんが注意してくれていて良かったなと思って。下手したら大事故になっていましたね」
「そうだね。まさかとは思ったけど、支倉君と夕里子ちゃんが付き合ったら、ちょっと注意しなきゃならないかなと考えてたから」
「それはまた……どうしてですか?」
綾だけでなく、陽一も夕里子も疑問の顔で縁を見た。
「ん? ほら、前に夕里子ちゃん、ストーカー被害に遭ったって言ったでしょ? 支倉君と付き合うことになったら、ひょっとしたらまた何かしてくる人がいるんじゃないかと思って」
「あの……でも……去年のあれは……ここまで危険なことはありませんでしたし……」
まだショックから抜け出せないのか、弱々しい声で夕里子が言う。
確かに、と縁は頷いた。
「今回のは、それこそ昨日自転車に乗っていった人が、壊れたブレーキを無理矢理直しただけなのかもしれないから、何とも言えないんだけどね」
「……警察に言うか?」
「あはは。警察っていうのは、意外に動かないものだよ。こういう時に役立つのは、周りの人」
縁は夕里子の肩に手を置いた。
「夕里子ちゃん、念のため、これからしばらくは、前に教えた通り身の回りに注意して」
「……はい」
「支倉君も私も、送り迎えするから。家の人には……うーん……話したくないなら話さなくてもいいかな」
「はい……。縁さん、すみません……またご迷惑をおかけして……」
ぱたぱたと手を振り、縁は笑った。
「気にしないでいいって。私が二人の仲を取り持ったわけだしね。できるだけの協力はするから」
言って、綾の方を振り返る。
「綾ちゃんもよろしくね」

249:秋の綾  ◆5SPf/rHbiE
07/06/22 14:23:51 PsFHBAXj
「は? 私が?」
「もし夕里子ちゃんを狙うストーカーだったら、今回は夕里子ちゃん自身よりも、支倉君が危害を加えられる危険が高いでしょ? 彼らの思考からすると『奪われた』わけだから」
「……! なるほど」
ひょっとしたら縁は自分に対して疑念を抱いているのかも知れない―綾は思った。
縁の言葉は裏返せば、陽一が狙われず夕里子に危害が加え続けられる場合、それは、陽一を『奪われた』と感じている人物がいるということだ。
夕里子ではなく、陽一に執着する人間がいるということになるのだ。
(あからさまに夕里子さんだけを狙うのは、こちらも危ないかもしれない……)
縁の言葉は、それだけで夕里子に防御壁を張り、綾の行動を見えない網のように縛り付けた。
(やりにくい……)
これまでに、縁に何らかの物的証拠を見られたことはないが、敵意は露にしてきた。
縁が綾を疑っていたとしても、それは感情を根拠にした、小さな推測のレベルだろう。
(それでも……この女が警戒しているとなると……)
考えながら、綾の視線は知らず知らず縁へと向いていた。
「綾ちゃん、あんまり見つめられると照れちゃうよ」
縁は微笑んで、綾の頬に指で触れた。
「わ、綾ちゃんの肌、つるつるだね。どうしたの? ボーッとして」
「……いえ……縁さんは、凄いなあと思って。こういったことに、慣れてるんですか? 普通気付きませんよ?」
「慣れてるわけじゃないけど。ただ私は、自分だったらどうするかなって、それで予想を立ててるだけだよ」
「じゃあ縁さんは、意外とストーカーさんと気が合う人なのかもしれませんね」
「そうなのかな? あまり嬉しくないけど」
陽一は元気をなくした夕里子を慰めている。
恐らくこの数日、陽一の瞳に収まった回数が一番多いのは夕里子だろう。
綾は胸の内が引き裂かれるように感じた。
「……わかりました。お兄ちゃんに何かあっても嫌ですし、私も力の限りを尽くしましょう」
やりようはいくらでもある。
こちらは十年間戦ってきたのだ。
夕里子が綾の前に歩み出て、頭を下げた。
「すみません……綾さんにまでご迷惑をおかけしまして……」
「いえ、気にしないで下さい。まだストーカーかどうかはわかりませんし」
「そう……ですね」
綾は夕里子の手を取り、ぎゅっと握った。
「夕里子さん、力の限りを尽くすといっても、前に言ったことについては変わりませんからね」
「え?」
「お兄ちゃんの恋人に関して、私は絶対に妥協しないということです」
「あ……はい」
「夕里子さん、家事が苦手と言うことですし……せめてお料理くらいはできるようになってくださいね。そしたら私も安心ですから」
「は、はい! 頑張ります!」
笑って互いの手を握る妹と恋人の姿に、陽一はほっと安堵の息をついた。
その陽一の背中を、縁がパンと叩く。
「良かったね、仲良さそうで」
「ああ……ホント、良かった……」
澄んだ秋空には、雲ひとつない。
「このまま晴れてくれればいいんだけど」
縁は一人、呟いた。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch