07/08/12 21:01:29 09Fawd2e
校舎の外、運動場からは運動部の活動だろう掛け声が聞こえる。
が、廊下には人の気配もせず私の靴底が出す足音のみ。時折人は通るだろうが、
教室の中にまで気に留める者などそういるわけもない。何の問題もない。計画、通り。
底意地の悪い笑みを浮かべつつ―「って、バイトが暇だからといってまとめて漫画を読んだせいね」
私の声で彼は起きてしまった。ボリボリと頭をかきつつ現状の把握に努めている。
寝ぼけ頭でどこまでの速度が出るのか知らないが、距離を詰めると次の作戦にとりかかった。
「あら、播磨君。誰も起こしてくれなかったのね」
「……ホームルーム、終わっちまったのか?」
「とっくに終わってるわ。私とあなた以外には誰も残っていないわね」
「高野は何で残ってんだよ。部活だろ」
「その部活の途中よ。忘れ物があったから取りに来たの。そうしたら寝ているあなたがいて」
彼はあくびを一つするとすっと立ち上がり鞄を持って教室を出て行こうとする。
ここで出て行かれるのは素人。私はズンと前に出ると、ちょっと気分を入れつつ、
「播磨君、今日は誰もいないから暇なの。茶道部に顔を出していかない?」
彼はちょっと考えて「ちっとならな。高野には世話になってっし」と投げやりに言う。
今日は特に用事もないのか、特にどうでもいいといった感じ。でも、私にとってはチャンスである。
私は教室の鍵を閉め、彼と共に茶道部へと向かって行った。